JP2013201071A - 電池用電極材料、電池用電極材料ペースト、色素増感太陽電池、および蓄電池 - Google Patents

電池用電極材料、電池用電極材料ペースト、色素増感太陽電池、および蓄電池 Download PDF

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美保 中村
Tomomichi Naka
具道 中
Yoko Tokuno
陽子 徳野
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Abstract

【課題】蓄電効率が高い色素増感太陽電池に用いられる電池用電極材料、この電池用電極材料を含む電池用電極材料ペースト、前記電池用電極材料を用いた色素増感太陽電池および蓄電池を提供すること。
【解決手段】酸化タングステン粉末からなる第1の粉末と、金属酸化物、金属ホウ化物、金属フッ化物、金属炭化物、炭酸塩、炭素、および金属から選ばれる少なくとも1種の物質からなる第2の粉末と、の混合粉末からなる電池用電極材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電池用電極材料、電池用電極材料ペースト、色素増感太陽電池、および蓄電池に関する。
近年、自然エネルギーである太陽エネルギーを利用可能な太陽電池が注目されている。
太陽電池としては、当初、主にシリコン系太陽電池が用いられていた。シリコン系太陽電池には、発電効率10%以上を実現できるという利点がある。
しかし、シリコン系太陽電池を製造するためには、シリコンの結晶成長やスパッタなどの真空成膜技術を多用する。このため、シリコン系太陽電池は、製造コストが高くなる。
そこで、太陽電池の製造コストを低くする技術として、シリコン以外の半導体微粒子の表面に光を吸収する色素を吸着させて形成する色素増感太陽電池が検討されている。この色素増感太陽電池は、半導体微粒子の表面に色素を吸着させて作製されるため、色素増感太陽電池の作製には、ペースト塗布技術が多用される。
たとえば、特許文献1(特開2008−204956号公報)には、電極材料として酸化チタン粉末を用いこの酸化チタン粉末の表面に色素を吸着させることにより、一定の発電効率が得られることが記載されている。特許文献1に記載された技術によれば、製造コストを低くすることができる。
ところで、太陽電池は文字通り、太陽光を使うものであるから、太陽光の日照量に応じて発電量が変化する。このため、日中に屋外から屋内に移動する場合等のように日照量が急激に低下する場合には、発電量が急激に低下するという問題があった。
このような日照量の変化に対応する技術として、特許文献2(特開2009−135025号公報)には、光電変換層上に固体蓄電層を設けることにより、色素増感太陽電池に蓄電機能を付与することが記載されている。
特開2008−204956号公報 特開2009−135025号公報
しかしながら、特許文献2に記載されるように単に光電変換層と固体蓄電層とに2層化するだけでは、発電効率と蓄電効率とを高い次元で両立することは困難である。太陽光の有効利用のためには、蓄電効率を向上させることが重要であると言える。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、蓄電効率が高い色素増感太陽電池に用いられる電池用電極材料、この電池用電極材料を含む電池用電極材料ペースト、前記電池用電極材料を用いた色素増感太陽電池および蓄電池を提供することを目的とする。
本発明は、酸化タングステン粉末からなる第1の粉末と、特定の材質からなる第2の粉末との混合粉末を電池用電極材料として用いると、得られる色素増感太陽電池または蓄電池の蓄電効率が高いことを見出して完成されたものである。
本発明の電池用電極材料は、上記問題点を解決するものであり、酸化タングステン粉末からなる第1の粉末と、金属酸化物、金属ホウ化物、金属フッ化物、金属炭化物、炭酸塩、炭素、および金属から選ばれる少なくとも1種の物質からなる第2の粉末と、の混合粉末からなることを特徴とする。
また、本発明の電池用電極材料ペーストは、上記問題点を解決するものであり、前記電池用電極材料を含むことを特徴とする。
さらに、本発明の色素増感太陽電池は、上記問題点を解決するものであり、前記電池用電極材料を用いたことを特徴とする。
また、本発明の蓄電池は、上記問題点を解決するものであり、前記電池用電極材料を用いたことを特徴とする。
本発明の電池用電極材料、色素増感太陽電池、および蓄電池は、蓄電効率が高い。
本発明の電池用電極材料、電池用電極材料ペーストによれば、蓄電効率が高い電池用電極材料、色素増感太陽電池、および蓄電池を製造することができる。
本発明の第1の色素増感太陽電池の断面図。 本発明の第2の色素増感太陽電池の断面図。 本発明の蓄電池の断面図。 ラマン分光分析の測定結果。
[電池用電極材料]
本発明の電池用電極材料は、第1の粉末と第2の粉末との混合粉末からなる。
本発明の電池用電極材料を用いると、第1の粉末の粒子および第2の粉末の粒子のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる固着構造体を形成することができる。
具体的には、電池用電極材料である混合粉末を含むペーストを電極表面に塗布し、焼成することにより、電極表面に、第1の粉末の粒子および第2の粉末の粒子のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる固着構造体を形成することができる。以下、この第1の粉末の粒子および第2の粉末の粒子のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる固着構造体を、混合粉末固着構造体という。
第1の粉末と第2の粉末とが混合粉末固着構造体を形成することについて、より詳細に説明する。第1の粉末と第2の粉末とを含む本発明の電池用電極材料から作製されたペーストを電極表面に塗布し、焼成すると、電極表面に、第1の粉末の粒子と第2の粉末の粒子とがネッキングにより固着したり、第1の粉末の粒子同士がネッキングして形成された固着構造体の隙間に配置された第2の粉末が第1の粉末の粒子にネッキングしたり、第2の粉末の粒子同士がネッキングして形成された固着構造体の隙間に配置された第1の粉末が第2の粉末の粒子にネッキングしたりする。これにより、電極表面に混合粉末固着構造体からなる層が形成される。
なお、第1の粉末の粒径と第2の粉末の粒径との差が大きい場合は、混合粉末固着構造体は、一方の粉末の粒子がネッキングして形成された固着構造体の粒子間の隙間に他方の粉末の粒子が配置される構造になりやすい。このような構造の混合粉末固着構造は、一般的に隙間が少なくなる。
本発明の電池用電極材料は、たとえば、混合粉末固着構造体を作製する材料として用いられるものであり、高い蓄電効果を有する第1の粉末に加えて、混合粉末固着構造体の焼結強度、導電性、および混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の密着性から選ばれる1種以上の効果を向上させる第2の粉末を含むものである。
このため、本発明の電池用電極材料を用いて形成された混合粉末固着構造体からなる層は、第1の粉末のみで形成された固着構造体からなる層に比較して、混合粉末固着構造体からなる層の焼結強度、混合粉末固着構造体からなる層の導電性、および混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の密着性から選ばれる1種以上の効果が高くなる。
ここで、混合粉末固着構造体からなる層の焼結強度の向上とは、混合粉末固着構造体を構成する第1の粉末の粒子および第2の粉末の粒子のうち、隣接する粒子間のネッキングが多くまたは強く行われることによる混合粉末固着構造体自体の機械的強度の向上を意味する。
また、混合粉末固着構造体からなる層の導電性の向上とは、混合粉末固着構造体を構成する第1の粉末の粒子および第2の粉末の粒子のうち、隣接する粒子間のネッキングが多くまたは強く行われることによる混合粉末固着構造体自体の導電性の向上、および固着構造体と電極との間の導電性の向上を意味する。
さらに、混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の密着性の向上とは、混合粉末固着構造体からなる層を構成する粒子と電極との間の化学反応等による混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の物理的な密着性の向上を意味する。
混合粉末固着構造体からなる層を構成する粒子と電極との間の化学反応は、たとえば、電極がITOからなる透明導電膜であり、第2の粉末がITOとの反応性に富む物質である等の場合に生じる。
(第1の粉末)
第1の粉末は、酸化タングステンWO粉末からなる。第1の粉末は、ラマン分光分析法で測定したピークが以下の特性を有することが好ましい。
<ラマン分光分析法で測定したピーク>
第1の粉末である酸化タングステンWO粉末は、ラマン分光分析法を行ったとき、少なくとも、以下の第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを有することが好ましい。第1の粉末は、少なくとも、以下の第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを有すると蓄電効率が高い。このため、第1の粉末を含む本発明の電池用電極材料も、蓄電効率が高くなる。
ラマン分光分析法での測定条件は、たとえば、顕微レーザーラマン分光装置を用い、測定モードを顕微ラマンとし、波長514.5nmのArレーザーを光源として測定する。顕微レーザーラマン分光装置としては、たとえば、Photon Desing社製PDP−320を用いることができる。
[第1のピーク]
第1のピークは、波数が268〜274cm−1の範囲内に存在するピークである。
第1のピークは、半値幅が、通常8〜25cm−1、好ましくは12〜18cm−1である。
第1のピークの半値幅が8cm−1未満であると、第1の粉末および電池用電極材料の蓄電効率が低くなりやすい。
第1のピークの半値幅が25cm−1を超えると、第1の粉末が凝集しやすくなり、結果的に第1の粉末および電池用電極材料の蓄電効率が低くなりやすい。
[第2のピーク]
第2のピークは、波数630〜720cm−1の範囲内に存在するピークである。
第2のピークは、半値幅が、通常15〜75cm−1、好ましくは30〜50cm−1である。
第2のピークの半値幅が15cm−1未満であると、第1の粉末および電池用電極材料の蓄電効率が低くなりやすい。
第2のピークの半値幅が75cm−1を超えると、第1の粉末が凝集しやすくなり、結果的に第1の粉末および電池用電極材料の蓄電効率が低くなりやすい。
[第3のピーク]
第3のピークは、波数800〜810cm−1の範囲内に存在するピークである。
第3のピークは、半値幅が、通常15〜50cm−1、好ましくは25〜40cm−1である。
第3のピークの半値幅が15cm−1未満であると、第1の粉末および電池用電極材料の蓄電効率が低くなりやすい。
第3のピークの半値幅が50cm−1を超えると、第1の粉末が凝集しやすくなり、結果的に第1の粉末および電池用電極材料の蓄電効率が低くなりやすい。
第1の粉末は、ラマン分光分析法を行ったとき、上記の第1のピーク、第2のピーク、および第3のピークに加えて、以下の第4のピークまたは第5のピークをさらに有していると好ましい。
[第4のピーク]
第4のピークは、波数130〜140cm−1の範囲内に存在するピークである。
第4のピークは、第3のピークの強度Iに対する第4のピークの強度Iの強度比(I/I)が、通常0.10以上、好ましくは0.12〜0.3、さらに好ましくは0.17〜0.3である。
強度比(I/I)が0.10以上であると、第1の粉末は、蓄電効率と、表面に色素を定着させたときの発電効率とがともに高くなるため好ましい。
第1の粉末である酸化タングステン粉末は、後述のように、少なくともプラズマ処理工程を経て作製される。また、第1の粉末である酸化タングステン粉末は、必要により、プラズマ処理工程の後に、急冷工程や熱処理工程をさらに行って作製される。
第1の粉末である酸化タングステン粉末のうち、強度比(I/I)が0.10以上であり、蓄電効率と、表面に色素を定着させたときの発電効率とがともに高いものは、通常、プラズマ処理工程の後に少なくとも熱処理工程を行うことにより作製することができる。
[第5のピーク]
第5のピークは、波数930〜940cm−1の範囲内に存在するピークである。
第5のピークは、第3のピークの強度Iに対する第5のピークの強度Iの強度比(I/I)が、通常0.04以上である。
強度比(I/I)が0.04以上であると、第1の粉末である酸化タングステン粉末および電池用電極材料は、蓄電効率が特に高いため好ましい。
第1の粉末である酸化タングステン粉末のうち、強度比(I/I)が0.04以上であり、蓄電効率が特に高いものは、通常、プラズマ処理工程の後に熱処理工程を行わないことにより作製することができる。
第1の粉末は、BET比表面積から換算した平均粒径が、通常1〜300nm、好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは10〜25nmである。
第1の粉末の平均粒径が1〜300nmであると、混合粉末固着構造体からなる層の蓄電効率が高くなる。
(第2の粉末)
第2の粉末は、金属酸化物、金属ホウ化物、金属フッ化物、金属炭化物、炭酸塩、炭素、および金属から選ばれる少なくとも1種の物質からなる。
第2の粉末としては、たとえば、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、鉄、ニッケル、マンガン、銅、アルミニウム、インジウム、シリコン、錫、鉛、ビスマス、アンチモン、インジウム、タンタルおよびランタノイドから選ばれる元素の酸化物;前記元素のホウ化物;前記元素のフッ化物;前記元素の炭化物;前記元素の複合酸化物;前記元素の炭酸塩;炭素;ならびに前記元素の1種以上を含む金属より選ばれる少なくとも1種の物質からなる粉末が用いられる。
ここで、前記元素の酸化物とは、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、鉄、ニッケル、マンガン、銅、アルミニウム、インジウム、シリコン、錫、鉛、ビスマス、アンチモン、インジウム、タンタルおよびランタノイドから選ばれる元素(以下、「第2の粉末用元素」という)の酸化物である。
また、前記元素のホウ化物、前記元素のフッ化物、前記元素の炭化物、前記元素の複合酸化物、および前記元素の炭酸塩とは、それぞれ、第2の粉末用元素のホウ化物、第2の粉末用元素のフッ化物、第2の粉末用元素の炭化物、第2の粉末用元素の複合酸化物、および第2の粉末用元素の炭酸塩である。
なお、第2の粉末用元素の複合酸化物は、第2の粉末用元素を少なくとも1種含む複合酸化物であり、第2の粉末用元素を2種以上含んでいてもよいし、第2の粉末用元素以外の元素を含んでいてもよい。
前記元素の1種以上を含む金属とは、第2の粉末用元素の単体からなる金属、および第2の粉末用元素の2種以上を含む合金である。
<第2の粉末用元素の酸化物>
第2の粉末のうち、第2の粉末用元素の酸化物からなる粉末は、第1の粉末である酸化タングステンWO粉末の焼結性を向上させる。このため、第2の粉末として、第2の粉末用元素の酸化物からなる粉末を用いると、混合粉末固着構造体自体の機械的強度が高くなり、混合粉末固着構造体からなる層と電極との密着強度が高くなり、混合粉末固着構造体からなる層を発電層等として用いて作製した色素増感太陽電池の発電効率が高くなる。
ここで、酸化タングステンWO粉末の焼結性の向上とは、たとえば、WO粒子同士のネッキング接合面積の増加、WO粒子と透明導電膜等の電極との間の接着力の向上等の作用を意味する。
このようにWO粒子同士のネッキング接合面積が増加すると、混合粉末固着構造体自体のネッキング接合強度が高くなるとともに、WO粒子同士の粒界の抵抗値を下げることから混合粉末固着構造体自体の導電性が高くなる。
このため、第2の粉末として、第2の粉末用元素の酸化物からなる粉末を用い、WO粒子同士のネッキング接合面積が増加すると、混合粉末固着構造体自体の機械的強度、および混合粉末固着構造体からなる層を発電層等として用いて作製した色素増感太陽電池の発電効率が高くなる。
<第2の粉末用元素のフッ化物および炭酸塩>
第2の粉末のうち、第2の粉末用元素のフッ化物からなる粉末、および第2の粉末用元素の炭酸塩からなる粉末は、第1の粉末と第2の粉末とを含む混合粉末から作製されたペーストを焼成する際に、第2の粉末用元素の酸化物からなる粉末と同様に、第1の粉末である酸化タングステンWO粉末の焼結性を向上させる。
このため、第2の粉末として、第2の粉末用元素のフッ化物からなる粉末、および第2の粉末用元素の炭酸塩からなる粉末の1種以上を用いると、混合粉末固着構造体自体の機械的強度が高くなり、混合粉末固着構造体からなる層と電極との密着強度が高くなり、混合粉末固着構造体からなる層を発電層等として用いて作製した色素増感太陽電池の発電効率が高くなる。
<第2の粉末用元素の1種以上を含む金属>
第2の粉末のうち、第2の粉末用元素の1種以上を含む金属は、混合粉末固着構造体からなる層の導電性を向上させる。このため、第2の粉末として、第2の粉末用元素の1種以上を含む金属からなる粉末を用いると、混合粉末固着構造体からなる層を発電層等として用いて作製した色素増感太陽電池の発電効率が高くなる。
ここで、第2の粉末用元素の1種以上を含む金属としては、たとえば、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、鉄、ニッケル、マンガン、銅、アルミニウム、インジウム、シリコン、錫、鉛、ビスマス、アンチモン、インジウム、タンタルおよびランタノイドから選ばれる元素(第2の粉末用元素)の単体、ならびに第2の粉末用元素の2種以上からなる合金が用いられる。
第2の粉末のうち、マグネシウム、リチウム、マンガン、鉄、ニッケル、アンチモン、ジルコニウム、およびランタンから選ばれる元素の酸化物、ならびに炭素を用いると、混合粉末固着構造体からなる層の焼結強度、混合粉末固着構造体からなる層の導電性、および混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の密着性から選ばれる1種以上の効果が高くなるため好ましい。
第2の粉末は、BET比表面積から換算した平均粒径が、第1の粉末のBET比表面積から換算した平均粒径に対して、通常0.1〜200倍、好ましくは0.1〜80倍、さらに好ましくは0.1〜10倍である。
第2の粉末の平均粒径が第1の粉末の平均粒径に対して0.1〜200倍であると、第1の粉末と第2の粉末とを含む混合粉末を用いて、第1の粉末の粒子および第2の粉末の粒子が固着してなる固着構造体を作製したときに、固着構造体を構成する粒子間の隙間が少なくなりやすい。
(混合粉末)
混合粉末は、第1の粉末と第2の粉末とを混合して得られる粉末である。第1の粉末と第2の粉末との混合方法としては特に限定されない。
混合粉末は、第1の粉末の質量を100質量部としたとき、第2の粉末を、通常40質量部以下、好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは30〜40質量部含む。
混合粉末が、第1の粉末の質量を100質量部としたとき、第2の粉末の質量を40質量部以下含むと、混合粉末固着構造体からなる層の焼結強度、混合粉末固着構造体からなる層の導電性、および混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の密着性から選ばれる1種以上の効果が高くなる。
(電池用電極材料の効果)
本発明の電池用電極材料粉末を構成する第1の粉末である酸化タングステン粉末は、蓄電効率が高い。また、本発明の電池用電極材料粉末を構成する第2の粉末は、第1の粉末と固着して蓄電効率が高い混合粉末固着構造体を構成すると、混合粉末固着構造体からなる層の焼結強度、混合粉末固着構造体からなる層の導電性、および混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の密着性から選ばれる1種以上の効果が高くなる。
このため、本発明の電池用電極材料粉末によれば、混合粉末固着構造体からなる層の機械的強度、混合粉末固着構造体からなる層の導電性、および混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の密着性から選ばれる1種以上の効果が高いとともに、蓄電効率が高い色素増感太陽電池用または蓄電池用が得られる。
[電池用電極材料の製造方法]
次に、本発明の電池用電極材料を製造する製造方法について説明する。
本発明の電池用電極材料である混合粉末は、第1の粉末と第2の粉末とを混合して得られる粉末である。
混合粉末構成する第1の粉末および第2の粉末のうち、第2の粉末の製造方法としては公知の方法を用いることができる。また、第1の粉末の製造方法としては、特定の方法を用いることが好ましい。
そこで、第2の粉末の製造方法についての説明を省略し、第1の粉末の製造方法について以下に説明する。
(第1の粉末の製造方法)
酸化タングステンWO粉末からなる第1の粉末の製造方法は、少なくともプラズマ処理工程を有する。
<プラズマ処理工程>
プラズマ処理工程は、金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末を、酸素含有雰囲気中でプラズマ処理する工程である。
具体的には、プラズマ処理工程では、原料である金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末を、プラズマ処理により酸素含有雰囲気中で昇華させる工程である。
プラズマ処理工程では、プラズマ処理による昇華を酸素雰囲気中で行うため、金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末を瞬時に昇華させて固相から気相の金属タングステン蒸気を生成し、この金属タングステン蒸気を酸化することにより酸化タングステンWO粉末が得られる。また、気相での酸化反応を利用していることから酸化タングステンWOの微粉末が得られる。
[金属タングステン粉末およびタングステン化合物粉末]
プラズマ処理工程に用いられる金属タングステン粉末としては、粉末状の金属タングステンが用いられる。プラズマ処理工程に用いられるタングステン化合物粉末としては、たとえば、三酸化タングステンWO、二酸化タングステンWO等の等の酸化タングステン、炭化タングステン、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸等が用いられる。
プラズマ処理工程に用いられる原料としては、金属タングステン粉末、三酸化タングステン粉末、炭化タングステン粉末およびタングステン酸アンモニウム粉末が好ましい。原料として、金属タングステン粉末、三酸化タングステン粉末、炭化タングステン粉末およびタングステン酸アンモニウム粉末を用いると、酸素雰囲気中で昇華した後に得られる三酸化タングステン粉末に不純物が含まれ難いとともに、金属タングステン粉末、三酸化タングステン粉末、炭化タングステン粉末は昇華工程後に形成される副生成物、すなわち三酸化タングステン以外の物質、として有害なものが形成され難くなる。
プラズマ処理工程の原料である金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末は、平均粒径D50が、10μm以下、好ましくは1〜5μmである。
原料である金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末の平均粒径D50が10μmを超えると、プラズマ炎に金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末を均一に投入することが困難になることから均一なプラズマ処理ができないため、プラズマ処理工程後に得られる酸化タングステンWO粉末の粒径にばらつきが生じやすい。
一方、原料である金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末の平均粒径D50が1μm未満であると、金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末の調製が困難となるため、製造コストが高くなりやすい。
[プラズマ処理]
プラズマ処理としては、たとえば、誘導結合型プラズマ処理が用いられる。誘導結合型プラズマ処理は、酸素雰囲気中で一度に大量の原料粉を酸化することにより、大量の酸化タングステンWO粉末が一度に得られ易いため好ましい。
誘導結合型プラズマ処理等のプラズマ処理では、プラズマの発生領域を調整することにより一度に処理できる原料の量を制御することができるからである。
プラズマ処理は、通常、アルゴンガスおよび酸素ガスからなる酸素雰囲気中でプラズマを発生させた後、このプラズマ中に金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末を供給する方法が用いられる。
プラズマ中に金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末を供給する方法としては、たとえば、金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末をキャリアガスと共に吹き込む方法、および、金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末を所定の液状分散媒中に分散させた分散液を吹き込む方法が用いられる。
金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末をプラズマ中に吹き込む方法に用いられるキャリアガスとしては、たとえば、空気、酸素、酸素を含有した不活性ガス等が挙げられる。このうち、空気は、低コストであるため好ましい。また、キャリアガスのほかに酸素を含む反応ガスを流入する場合や、タングステン化合物粉末が三酸化タングステンの場合など、反応場中に酸素が十分に含まれている場合は、キャリアガスとしてアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを用いてもよい。
金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末を所定の液状分散媒中に分散させた分散液を吹き込む方法を採用する場合において、金属タングステン粉末またはタングステン化合物粉末の分散液の作製に用いられる分散媒としては、分子中に酸素原子を有する液状分散媒が用いられる。分散液を用いると原料粉の取扱いが容易になるため好ましい。分子中に酸素原子を有する液状分散媒としては、たとえば、水およびアルコールの少なくとも1種を20容量%以上含むものが用いられる。
液状分散媒に用いられるアルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールから選択される少なくとも1種のアルコールが用いられる。水やアルコールは、プラズマの熱により容易に揮発し易いことから原料粉の昇華反応および酸化反応を妨害しないとともに、分子中に酸素を含有しているため、酸化反応を促進し易いため好ましい。
プラズマ処理に用いられるプラズマ炎としては、中心温度が、通常8000℃以上、好ましくは10000℃以上である。中心温度が8000℃以上の高温のプラズマ炎を用いると、得られる酸化タングステンWO粉末が微細になるため好ましい。
プラズマ処理工程では、プラズマ炎中で昇華して生成した金属タングステン蒸気が酸素雰囲気中の酸素で酸化されることにより酸化タングステンWO粉末が得られ、得られた酸化タングステンWO粉末はプラズマ炎から飛び出す。プラズマ炎から飛び出した酸化タングステンWO粉末は放冷してもよいが、本発明の電池用電極材料の製造方法では、プラズマ炎から飛び出した酸化タングステンWO粉末を急冷する急冷工程を行うことが好ましい。すなわち、本発明の電池用電極材料の製造方法では、プラズマ処理工程の後に、急冷工程を行うことが好ましい。
<急冷工程>
急冷工程は、プラズマ処理工程で得られ、プラズマ炎から飛び出した酸化タングステンWO粉末を急冷する工程である。
プラズマ処理工程の後に急冷工程を行うと、得られる酸化タングステンWO粉末の蓄電効率が高くなりやすい。
急冷工程の急冷処理は、プラズマ炎の表面と、この表面から所定距離離間した面との間にある急冷領域で行われる。急冷領域は、プラズマ炎から飛び出した酸化タングステンWO粉末が急冷される距離である急冷距離が、通常1m以上、好ましくは1.5〜2mになるように設けられる。
急冷領域は、プラズマ炎から飛び出した酸化タングステンWO粉末の冷却速度が1000℃/s以上になるように設定される。
本発明の電池用電極材料の製造方法では、プラズマ処理工程または急冷工程の後、さらに熱処理工程を行うことが好ましい。
<熱処理工程>
熱処理工程は、プラズマ処理工程の後、酸素含有雰囲気中、300〜1000℃で熱処理する工程である。なお、プラズマ処理工程の後に急冷工程が行われる場合には、熱処理工程は、急冷工程の後に行われる。
プラズマ処理工程または急冷工程を行って得られた酸化タングステンWO粉末(以下、「非熱処理酸化タングステンWO粉末」という)は、粒子の表面に格子欠陥を多く含みやすいとともに、WO以外の酸化タングステンの粉末を含みやすい。ここで、WO以外の酸化タングステンとしては、通常、Wのy/xが3未満のWO、W等の酸化タングステンが挙げられる。
熱処理工程を行うと、得られる酸化タングステンWO粉末の表面の格子欠陥が少なくなり、得られる酸化タングステンWO粉末の純度がたとえば99%以上に高まる。また、熱処理工程を行うと、得られる酸化タングステンWO粉末のWOの結晶構造および粒径が表面に色素を定着させたときの発電効率の向上に適した状態になる。このため、熱処理工程を行って得られる酸化タングステンWO粉末は、蓄電効率が高いことに加え、表面に色素を定着させたときの発電効率も高くなる。
酸素含有雰囲気としては、たとえば、酸素、大気、水蒸気や酸素を導入した不活性ガス、水等が用いられる。酸素含有雰囲気が水の場合は、水中で熱処理を行う。雰囲気の圧力は特に限定されないが、通常は大気圧またはこれ以上の圧力である。
熱処理は、非熱処理酸化タングステンWO粉末の最高温度が、通常300〜1000℃、好ましくは450〜600℃になるようにして行う。
また、熱処理は、最高温度の保持時間が、通常10分以上、好ましくは1〜60時間、さらに好ましくは2〜60時間である。
熱処理の最高温度およびその保持時間が上記範囲内にあると、非熱処理酸化タングステンWO粉末の表面および内部にある格子欠陥が、酸化反応速度の小さい温度域でゆっくり酸化されることにより解消されるため、蓄電効率と、表面に色素を定着させたときの発電効率とがともに高い酸化タングステンWO粉末が得られやすい。
なお、熱処理の最高温度が高いと、酸化タングステン粉末の表面部分の反応速度が大きく、非熱処理酸化タングステンWO粉末の粒子ごとに格子欠陥の解消の度合いが異なりやすいことから、熱処理後に得られる酸化タングステンWO粉末に、粒子表面および内部にある格子欠陥が残存しやすいため好ましくない。
特に、熱処理の最高温度が1000℃を超えると、WO粒子が急激な粒成長を示して粒径にばらつきが生じ、蓄電効率と、表面に色素を定着させたときの発電効率とがともに高い酸化タングステンWO粉末を得にくくなる。
熱処理は、雰囲気熱伝導、輻射熱、高周波の照射、マイクロ波の照射、レーザー光の照射等により行われる。輻射熱を用いた熱処理は、たとえば、電気炉を用いて行われる。
熱処理工程の熱処理のうち、好ましい熱処理の例は、大気中熱処理、加圧雰囲気中熱処理、水中熱処理、およびマイクロ波熱処理である。すなわち、熱処理工程は、大気中熱処理、加圧雰囲気中熱処理、水中熱処理、およびマイクロ波熱処理のいずれか1種の処理を行う工程であることが好ましい。
大気中熱処理とは、大気中で行われる熱処理であり、たとえば、チャンバーに大気を導入した電気炉を用いて行われる。
加圧雰囲気中熱処理とは、加圧雰囲気で行われる熱処理であり、たとえば、チャンバー内を加圧雰囲気にした電気炉を用いて行われる。
水中熱処理とは、熱処理の対象である非熱処理酸化タングステンWO粉末を水中に分散させた状態で行われる熱処理であり、たとえば、高周波、マイクロ波、レーザー光の照射等を用いて行われる。
マイクロ波熱処理は、たとえば、マイクロ波加熱装置を用いて行われる。
以上の工程を行うと、酸化タングステンWO粉末からなる第1の粉末が得られる。得られた第1の粉末を、第2の粉末と混合すると、本発明の電池用電極材料である混合粉末が得られる。
第1の粉末と第2の粉末との混合方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
(電池用電極材料の製造方法の効果)
電池用電極材料の製造方法によれば、本発明の電池用電極材料を効率よく製造することができる。
[電池用電極材料ペースト]
本発明の電池用電極材料ペーストは、本発明の電池用電極材料を含むものである。
具体的には、本発明の電池用電極材料ペーストは、本発明の電池用電極材料と、バインダと、溶媒とを含む。
バインダとしては、たとえば、500℃での熱分解率が99.0%以上のバインダが用いられる。500℃での熱分解率が99.0%以上のバインダであると、電池用電極材料ペーストがガラス基板等の基板に塗布された場合にガラス基板等の基板に損傷が生じ難いため好ましい。ここで、500℃での熱分解率とは、バインダを500℃で30分熱処理したときの熱分解率を意味する。熱分解率の%は、質量%を示す。
ガラス基板等の基板に塗布された電池用電極材料ペーストは、加熱処理でバインダと溶媒とが除去されることにより、基板上に電池用電極材料が固着される。このとき、加熱処理の温度が高いと、ガラス基板等の基板が軟化して変形したり材料の特性が変化したりする等の損傷が発生しやすい。500℃での熱分解率が99.0%以上のバインダを用いた場合は、ガラス基板等の基板に、変形や特性の変化等の損傷が生じ難くなる。
500℃での熱分解率が99.0%以上のバインダとしては、たとえば、エチルセルロース、ポリエチレングリコールが用いられる。
溶媒としては、たとえば、アルコール、有機溶媒、純水が用いられる。この中ではアルコール系溶媒が好ましい。また、アルコール系溶媒の中では、ターピネオールが好ましい。
電池用電極材料ペーストは、電池用電極材料とバインダと溶媒との合計量を100質量%としたときに、電池用電極材料の配合割合が、通常5〜50質量%、好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは30〜40質量%である。
電池用電極材料ペースト中の電池用電極材料の配合割合が5〜50質量%であると、電池用電極材料ペーストの取り扱い性がよい。
電池用電極材料ペースト中の電池用電極材料の配合割合を算出する場合、電池用電極材料の配合量は、通常、電池用電極材料を構成する第1の粉末および第2の粉末のみの質量から算出する。ただし、第1の粉末や第2の粉末の粒子の表面に添加物が付着したり被膜が形成されたりする場合は、この添加物や被膜を含めた質量が上記の範囲内にあるようにする。
電池用電極材料ペーストは、電池用電極材料とバインダと溶媒との合計量を100質量%としたときに、バインダの配合割合が、通常3〜30質量%、好ましくは4〜20質量%、さらに好ましくは4〜10質量%である。
電池用電極材料ペーストは、25℃での粘度が、通常800〜10000cps、好ましくは3000〜7000cpsである。
電池用電極材料ペーストは、電池用電極材料と、バインダと、溶媒とを混合して調製される。
混合の順序は、通常、はじめに、バインダと溶媒とを混合した後、電池用電極材料を添加する順序が好ましい。なお、電池用電極材料とバインダと溶媒とを一度に混合すると、得られる電池用電極材料ペースト中に凝集体が多く含まれるため好ましくない。
また、バインダと溶媒とを混合した後、電池用電極材料を添加する場合に、バインダおよび溶媒の混合物に、本発明の電池用電極材料である第1の粉末と第2の粉末との混合粉末を添加してもよいが、バインダおよび溶媒の混合物に第1の粉末と第2の粉末とを別々に添加してもよい。
バインダと溶媒との混合、および電池用電極材料の添加の際は、バインダと溶媒とを十分に撹拌することが好ましい。第1の粉末は、BET比表面積から換算した平均粒径が1〜300nmの微粒子からなる粉末であり、第2の粉末の平均粒径は第1の粉末の平均粒径の0.1〜200倍の微粒子からなる粉末であるため、撹拌が不十分であると、凝集体を生じるからである。
電池用電極材料ペーストは、たとえば、ガラス基板の表面に形成された透明導電膜、電極、または発電層等の表面に、スクリーン印刷法等を用いて塗布された後、500℃以下の温度で焼成される。この焼成により、電池用電極材料ペースト中のバインダおよび溶媒が除去または分解され、第1の粉末の粒子および第2の粉末の粒子のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる混合粉末固着構造体からなる蓄電層が形成される。
ここで、発電層とは、太陽光等の光の照射を受けると発電する層である。発電層は、光電変換材料同士がネッキング等により固着して形成された固着構造体からなる層であってもよい。ここで光電変換材料とは、光電変換特性を有する材料である。光電変換材料としては、たとえば、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化ストロンチウム、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、および酸化ランタルから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
また、蓄電層とは、第1の粉末の粒子および第2の粉末の粒子のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる混合粉末固着構造体からなる層であり、蓄電作用を有する層である。
さらに、蓄電層において、混合粉末固着構造体を構成する第1の粉末の表面に、色素増感太陽電池の発電層の表面に定着される色素が定着している場合は、発電蓄電層を形成することができる。発電蓄電層は、太陽光等の光の照射を受けると発電するとともに、蓄電作用を有する層である。
(電池用電極材料ペーストの効果)
本発明の電池用電極材料ペーストに含まれる第1の粉末は蓄電効率が高い。このため、本発明の電池用電極材料ペーストから形成される混合粉末固着構造体からなる蓄電層または発電蓄電層は、蓄電効率が高い。
したがって、本発明の電池用電極材料ペーストによれば、蓄電効率が高い蓄電池または色素増感太陽電池を効率よく作製することができる。
また、本発明の電池用電極材料ペーストに含まれる第2の粉末は、本発明の電池用電極材料ペーストから形成される混合粉末固着構造体からなる層に対して、機械的強度、導電性、および混合粉末固着構造体からなる層と電極との間の密着性のうち、1種以上の効果を向上させる。
このため、本発明の電池用電極材料ペーストによれば、混合粉末固着構造体からなる層を蓄電層または発電蓄電層とすることにより、蓄電層または発電蓄電層の機械的強度、蓄電層または発電蓄電層の導電性、および蓄電層または発電蓄電層と電極との間の密着性から選ばれる1種以上の効果が高い蓄電池または色素増感太陽電池を効率よく作製することができる。
[色素増感太陽電池]
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の電池用電極材料を用いたものである。
本発明の色素増感太陽電池は、表面に色素増感太陽電池の色素が定着した電池用電極材料を用いて形成された発電蓄電層を有する第1の色素増感太陽電池、および、発電層とこの発電層の表面に形成され、電池用電極材料同士が固着して形成された蓄電層とを有する第2の色素増感太陽電池とを含む概念である。
(第1の色素増感太陽電池)
図面を参照して、第1の色素増感太陽電池を説明する。図1は、本発明の第1の色素増感太陽電池の断面図である。
図1に示されるように、第1の色素増感太陽電池1Aは、発電側複合体91と、発電側複合体91に対向して配置された非発電側複合体92と、発電側複合体91と非発電側複合体92との間に形成された空間59を外部から区画するスペーサ56とを備え、空間59内に発電蓄電層81が形成されたものである。
発電側複合体91は、ガラス基板51aの表面に透明導電膜52が形成されたものである。非発電側複合体92は、ガラス基板51bの表面に透明導電膜52とPt対極53とがこの順番で形成されたものである。透明導電膜52としては、たとえば、ITO、ATO、FTO等が用いられる。
発電側複合体91と非発電側複合体92とは、発電側複合体91の透明導電膜52と、非発電側複合体92のPt対極53とが対向するように配置される。Pt対極53は、たとえば、透明導電膜52の表面にPtをスパッタリングすることにより形成される。発電側複合体91と非発電側複合体92とは、たとえば30〜80μm離間して配置される。
発電側複合体91の透明導電膜52と、非発電側複合体92のPt対極53との間には、発電側複合体91と非発電側複合体92との間に形成された空間59を外部から区画するスペーサ56が備えられる。スペーサ56は、たとえば、アイオノマー樹脂等の合成樹脂からなる。
発電側複合体91と非発電側複合体92とスペーサ56とで区画された空間59内には、電解液70が封入される。
発電側複合体91の透明導電膜52と、非発電側複合体92のPt対極53とは、スペーサ56の側面外側に設けられた導線57で電気的に接続される。
第1の色素増感太陽電池1Aは、発電側複合体91と非発電側複合体92とスペーサ56とで区画された空間59内において、発電側複合体91の透明導電膜52の表面に発電蓄電層81が形成される。
<発電蓄電層>
発電蓄電層81は、第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる混合粉末固着構造体において、第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40の表面に色素増感太陽電池の色素30が定着した層である。発電蓄電層81は、太陽光等の光の照射を受けると発電するとともに、蓄電作用を有する。
ここで、発電蓄電層81の発電作用は、主として、発電蓄電層81を構成する粒子のうち、表面に色素30が定着した第1の粉末の粒子20によって生じる。表面に色素30が定着した第2の粉末の粒子40は、原則として、発電作用を生じないが、第2の粉末が酸化チタン粉末である場合は発電作用を生じる。
色素30は第2の粉末の粒子40の表面に定着していてもよい。第2の粉末の粒子40が酸化チタンTiO等の導電性物質である場合には、酸化チタンTiOの表面に定着した色素30が発電を行い、生成された電子が酸化チタンTiOを通して第1の粉末の粒子20または透明導電膜52に流れる。
なお、第2の粉末の粒子40が非導電性物質である場合には、第2の粉末の粒子40の表面に定着した色素30は発電を行わない。
色素増感太陽電池の色素30としては、たとえば、ルテニウム系の色素が用いられる。ルテニウム系の色素としては、たとえば、シグマアルドリッチ社製の色素溶液N719を乾燥させたものが用いられる
発電蓄電層81において、第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40のうちの隣接する粒子間には空隙が形成される。空隙は通常5nm以上である。ここで、空隙の大きさとは、発電蓄電層の断面1μm×3μm相当の拡大写真(10万倍以上)を撮る。この拡大写真に写る空隙の最も長い対角線を「空隙の大きさ」とする。なお、拡大写真において、電極材料と空隙はコントラストの違いにより区別できる。
発電蓄電層81は、空隙率が通常20〜80体積%である。ここで、空隙率とは、発電蓄電層の断面1μm×3μm相当の拡大写真(10万倍以上)を撮る。この拡大写真における空隙の合計面積率(%)を求める。この空隙の合計面積率(%)を空隙率とする。
<発電蓄電層の製造方法>
発電蓄電層81の製造方法について説明する。
はじめに、本発明の電池用電極材料ペースト等の電池用電極材料を含むペーストを調製する。
電池用電極材料を含むペーストは、電池用電極材料とバインダと溶媒との合計量を100質量%としたときのバインダの配合割合が、上記のように通常3〜30質量%であると、発電蓄電層81の空隙率が20〜80体積%になりやすいため好ましい。
次に、発電側複合体91の透明導電膜52の表面に、電池用電極材料を含むペーストを、スクリーン印刷法等を用いて塗布する。塗布は、必要な厚さになるまで複数回行うことが好ましい。
さらに、電池用電極材料を含むペーストが塗布された発電側複合体91を焼成すると、発電側複合体91の透明導電膜52の表面に、第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる混合粉末固着構造体が形成される。
焼成温度は、通常500℃以下、好ましくは200〜500℃である。焼成温度が、500℃以下であると、ガラス基板51aが損傷を受けないため好ましい。
なお、焼成の際の昇温温度を100℃/h以上とすると、電池用電極材料を含むペースト中のバインダを一気に熱分解させることができることから、電池用電極材料20間の空隙を5nm以上にしやすいため好ましい。
次に、透明導電膜52の表面に、第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる混合粉末固着構造体が形成された発電側複合体91を、色素増感太陽電池の色素30を含む溶液に浸漬し、乾燥させると、電池用電極材料20を構成する第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40の表面に色素30が定着して、発電蓄電層81が形成される。
なお、第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる混合粉末固着構造体を、色素30を含む溶液に浸漬する前に、混合粉末固着構造体の電池用電極材料20の表面処理を行うと、電池用電極材料20を構成する第1の粉末の表面に色素30が定着しやすくなるため好ましい。このような表面処理としては、たとえば、第1の粉末20の表面にY膜を形成する方法が用いられる。
発電蓄電層81が形成された発電側複合体91は、別途作製された非発電側複合体92と対向して配置される。その後、発電側複合体91と、非発電側複合体92と、図示しない電解液注入口を有するスペーサ56とは、熱圧着されて一体化する。さらに、スペーサ56の電解液注入口から空間59内に電解液70を注入し、電解液注入口を樹脂で封止し、透明導電膜52とPt対極53とを導線57で電気的に接続すると、第1の色素増感太陽電池1Aが得られる。
<第1の色素増感太陽電池の作用>
図面を用いて第1の色素増感太陽電池1Aの作用を説明する。
図1に示されるように、第1の色素増感太陽電池1Aのガラス基板51aに光75が照射されると、光75はガラス基板51aおよび透明導電膜52を透過し、発電蓄電層81の色素30に受光される。
色素30は、受光した光によって、光電変換特性に適した励起を行い、電子を生成する。すなわち、色素30は発電する。色素30で生成した電子は、発電蓄電層81の第1の粉末20に流れる。
なお、第2の粉末40が酸化チタンTiO2である場合は、色素30で生成した電子は、発電蓄電層81の第2の粉末40にも流れる。
発電蓄電層81の第1の粉末20に流れた電子の一部は、透明導電膜52を介して導線57に流れ、導線57を符号61の向きに流れる。また、発電蓄電層81の第1の粉末20に流れた電子の残部は、電池用電極材料20に留まり、蓄電される。
このため、第1の色素増感太陽電池1Aによれば、日照量が急激に少なくなっても、外部機器に電気を供給することが可能である。また、蓄電機能を活かして外部機器に電気を供給している間に、一般の商用電源に切り替えるなどの対策を行うことができる。
また、発電蓄電層81を構成する第2の粉末40が酸化チタンTiO等の導電性の高い物質からなる場合は、発電蓄電層81の導電性が高くなり、発電および蓄電の際の損失が小さくなる。
(第2の色素増感太陽電池)
図面を参照して、第2の色素増感太陽電池を説明する。図2は、本発明の第2の色素増感太陽電池の断面図である。
図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bは、図1に示される第1の色素増感太陽電池1Aに比較して、発電蓄電層81に代えて発電層82と蓄電層83とが形成される点、および蓄電層83の表面に接触するメッシュ状電極55が設けられる点で異なり、他の点は図1に示される第1の色素増感太陽電池1Aと同じである。
このため、図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bの構成のうち、図1に示される第1の色素増感太陽電池1Aと同じ構成には、同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
図2に示されるように、第2の色素増感太陽電池1Bは、発電側複合体91と、発電側複合体91に対向して配置された非発電側複合体92と、発電側複合体91と非発電側複合体92との間に形成された空間59を外部から区画するスペーサ56とを備え、空間59内に発電層82と蓄電層83とが形成されたものである。
発電側複合体91と非発電側複合体92とスペーサ56とで区画された空間59内において、蓄電層83の表面には、蓄電層83に接触するようにメッシュ状電極55が設けられる。メッシュ状電極55は、たとえば、Ti等で形成されるメッシュ状の電極であり、厚み方向の電解液70の流通が可能になっている。
発電側複合体91の透明導電膜52と、非発電側複合体92のPt対極53とは、スペーサ56の側面外側に設けられた導線57で電気的に接続される。また、この導線57は、分岐してメッシュ状電極55にも接続されている。
このため、導線57は、発電側複合体91の透明導電膜52と、非発電側複合体92のPt対極53と、メッシュ状電極55とは、電気的に接続される。
第2の色素増感太陽電池1Bは、発電側複合体91と非発電側複合体92とスペーサ56とで区画された空間59内において、発電側複合体91の透明導電膜52の表面に発電層82と蓄電層83とがこの順番で形成される。
<発電層>
発電層82は、光電変換材料としての酸化チタンTiO10同士が固着して形成された固着構造体からなる層である。発電蓄電層81は、太陽光等の光の照射を受けると発電する。
ここで、光電変換材料とは、光電変換特性を有する材料である。光電変換材料は、粉末であることが好ましい。
光電変換材料としては、図2に示される酸化チタンTiO単体以外にも、たとえば、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化ストロンチウム、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、および酸化ランタルから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
<発電層の製造方法>
発電層82の製造方法について説明する。
はじめに、光電変換材料としての酸化チタンTiO10を含む酸化チタンペーストを調製する。
酸化チタンペーストは、たとえば、酸化チタンTiO10と、バインダと、溶媒とを含む。酸化チタンペーストに用いられるバインダや溶媒としては、たとえば、本発明の電池用電極材料ペーストの調製に用いられるものと同じものを用いることができる。
酸化チタンペーストは、酸化チタンTiO10とバインダと溶媒との合計量を100質量%としたときのバインダの配合割合が、上記のように通常3〜30質量%であると、発電層82の空隙率が20〜80体積%になりやすいため好ましい。
なお、発電層82の光電変換材料10として酸化チタンTiO以外の物質を用いるときは、この物質を含むペーストを調製する。
次に、発電側複合体91の透明導電膜52の表面に、酸化チタンペーストを、スクリーン印刷法等を用いて塗布する。塗布は、必要な厚さになるまで複数回行うことが好ましい。
さらに、酸化チタンペーストが塗布された発電側複合体91を焼成すると、発電側複合体91の透明導電膜52の表面に、酸化チタンTiO10同士がネッキングしてなる固着構造体が形成される。
焼成条件は、図1に示される第1の色素増感太陽電池1Aの発電蓄電層81の製造方法で説明した条件と同じであるため、説明を省略する。
<蓄電層>
蓄電層83は、発電層82の表面に形成される。
蓄電層83は、第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40のうち、隣接する粒子間が固着して形成された混合粉末固着構造体からなる層である。蓄電層83は、蓄電層83を構成する第1の粉末20が蓄電作用を有する。
蓄電層83は、空隙率が通常20〜80体積%である。空隙率の定義は、発電蓄電層81の空隙率と同じである。
<蓄電層の製造方法>
蓄電層83の製造方法は、図1に示される第1の色素増感太陽電池1Aの発電蓄電層81の製造方法に比較して、第1の粉末の粒子20および第2の粉末の粒子40のうち、隣接する粒子間がネッキングしてなる混合粉末固着構造体が形成された発電側複合体91を、色素増感太陽電池の色素30を含む溶液に浸漬し、乾燥させることを行わない以外は、同じである。このため、蓄電層83の製造方法の説明を省略する。
発電層82と蓄電層83とが形成された発電側複合体91は、蓄電層83の表面に接触するようにメッシュ状電極55が設けられる。
メッシュ状電極55が設けられた発電側複合体91は、別途作製された非発電側複合体92と対向して配置される。その後、発電側複合体91と、非発電側複合体92と、図示しない電解液注入口を有するスペーサ56とは、熱圧着されて一体化する。さらに、スペーサ56の電解液注入口から空間59内に電解液70を注入し、電解液注入口を樹脂で封止し、透明導電膜52とPt対極53とメッシュ状電極55とを導線57で電気的に接続すると、第2の色素増感太陽電池1Bが得られる。
<第2の色素増感太陽電池の作用>
図面を用いて第2の色素増感太陽電池1Bの作用を説明する。
図2に示されるように、第2の色素増感太陽電池1Bのガラス基板51aに光75が照射されると、光75はガラス基板51aおよび透明導電膜52を透過し、発電層82の色素30に受光される。
色素30は、受光した光によって、光電変換特性に適した励起を行い、電子を生成する。すなわち、色素30は発電する。色素30で生成した電子は、発電層82の光電変換材料である酸化チタンTiO10に流れる。
発電層82の酸化チタンTiO10に流れた電子の一部は、透明導電膜52を介して導線57に流れ、導線57を符号61の向きに流れる。また、発電層82の酸化チタンTiO10に流れた電子の残部は蓄電層83に流れ、蓄電層83の第1の粉末20に蓄電される。
このため、第2の色素増感太陽電池1Bによれば、日照量が急激に少なくなっても、外部機器に電気を供給することが可能である。また、蓄電機能を活かして外部機器に電気を供給している間に、一般の商用電源に切り替えるなどの対策を行うことができる。
また、蓄電層83を構成する第2の粉末40が酸化チタンTiO等の導電性の高い物質からなる場合は、蓄電層83の導電性が高くなり、蓄電の際の損失が小さくなる。
(色素増感太陽電池の効果)
本発明の色素増感太陽電池は、発電蓄電層または蓄電層中に含まれる第1の粉末の蓄電効率が高いため、蓄電効率が高い。
また、本発明の色素増感太陽電池は、発電蓄電層または蓄電層中に含まれる第2の粉末が、発電蓄電層または蓄電層の機械的強度、導電性および密着性のうち1種以上の効果を向上させる。
このため、本発明の色素増感太陽電池は、蓄電効率が高いとともに、機械的強度、導電性および密着性のうちの1種以上の効果が高い。
[蓄電池]
本発明の蓄電池は、本発明の電池用電極材料を用いたものである。
図面を参照して、本発明の蓄電池を説明する。図3は、本発明の蓄電池の断面図である。
図3に示されるように、本発明の蓄電池2は、電極54と、電極54に対向して配置された非発電側複合体92と、電極54と非発電側複合体92との間に形成された空間59を外部から区画するスペーサ56とを備え、空間59内に蓄電層83が形成されたものである。
蓄電池2は、導線57で電気的に接続された太陽電池5と組み合わされることにより、発電作用および蓄電作用を有する太陽電池−蓄電池複合装置7を形成する。
図3に示される蓄電池2は、図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bに比較して、発電側複合体91に代えて電極54を用いる点、発電層82を形成しない点、およびメッシュ状電極55を設けない点で異なり、他の点は図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bと同じである。
このため、図3に示される蓄電池2の構成のうち、図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bと同じ構成には、同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
電極54は、材質、構造等が特に限定されない。電極54は金属や炭素からなる電極でもよいし、発電側複合体91のようにガラス基板51aの表面に透明導電膜52が形成されたものであってもよい。
太陽電池5は、材質、構造等が特に限定されない。太陽電池5の材質としては、たとえば、Si、CIGS(Cu(In,Ga)Se)、TiO、DSSC(色素増感太陽電池)等を用いたものが挙げられる。
<蓄電層>
蓄電層83は、図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bの蓄電層83と同じ構成からなる。また、蓄電層83の製造方法も、図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bの蓄電層83の製造方法と同じである。
このため、蓄電層83の構成および作用についての説明を省略または簡略化する。
<蓄電池の作用>
図面を用いて蓄電池2の作用を説明する。
図3に示されるように、太陽電池5で生成された電子の一部は、符号61に示されるように、導線57をPt対極53に向かって流れる。また、太陽電池5で生成された電子の残部は、導線57から電極54に流れる。
電極54に流れ込んだ電子は、電極54から蓄電層83に流れ、蓄電層83を構成する第1の粉末20に蓄電される。
このため、蓄電池2によれば、日照量が急激に少なくなっても、外部機器に電気を供給することが可能である。また、蓄電機能を活かして外部機器に電気を供給している間に、一般の商用電源に切り替えるなどの対策を行うことができる。
(蓄電池の効果)
本発明の蓄電池は、蓄電層中に含まれる第1の粉末の蓄電効率が高いため、蓄電効率が高い。
また、本発明の蓄電池は、蓄電層中に含まれる第2の粉末が、蓄電層の機械的強度、導電性および密着性のうち1種以上の効果を向上させる。
このため、本発明の蓄電池は、蓄電効率が高いとともに、機械的強度、導電性および密着性のうちの1種以上の効果が高い。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
はじめに第1の粉末としての酸化タングステンWO粉末を製造した。
[製造例1]
(WO粉末の製造)
<プラズマ処理工程>
原料粉として平均粒径3μmの三酸化タングステンWO粉末を用意した。この原料粉末を大気(空気)をキャリアガスとしてRFプラズマに平均流速1m/sとなるように噴霧し、原料粉を昇華させながら酸化反応を行うプラズマ処理工程を行った。プラズマ処理の際のプラズマ炎の温度は、10000℃とした。
<急冷工程>
プラズマ処理後、プラズマ炎から飛び出したWO粉末について、表1に示す条件の急冷工程を行った。すなわち、急冷領域における急冷距離を2mとし、急冷領域における冷却速度を1000℃/sとした。急冷工程を行ったところ、WO粉末が得られた。
Figure 2013201071
(WO粉末の評価)
得られたWO粉末に対し、平均粒径を測定し、ラマン分光分析を行ってピークを検出した。
平均粒径は、BET比表面積の測定値を換算したものである。
<ラマン分光分析の測定条件>
株式会社フォトンデザイン(Photon Design)製スペクトログラフPDP−320を用いて測定した。
測定条件は、測定モードを顕微ラマンとし、測定倍率を100倍とし、ビーム径を1μm以下とし、光源を波長514.5nmのArレーザーとし、管でのレーザーパワーを0.5mWとし、回折格子をシングル600gr/mmとし、クロススリットを100μmとし、スリットを100μmとし、検出器を日本ローパー株式会社製の1340チャンネルのCCDとした。
測定範囲は、100〜1500cm−1とした。
表1に、WO粉末の製造条件および平均粒径の測定結果を示す。
表2に、ラマン分光分析の測定結果を示す。
図4に、ラマン分光分析の測定結果を示す。
Figure 2013201071
[製造例2および3]
(WO粉末の製造)
急冷工程の条件を表1に示すように変えた以外は、製造例1と同様にして、プラズマ処理工程および急冷工程を行った。
<熱処理工程>
急冷工程後に得られたWO粉末について、大気中で、表1に示す条件の熱処理を行った。熱処理工程を行ったところ、WO粉末が得られた。
(WO粉末の評価)
得られたWO粉末に対し、製造例1と同様にして、平均粒径を測定し、ラマン分光分析を行ってピークを検出した。
図4に、ラマン分光分析の測定結果を示す。
[実施例1]
(電池用電極材料の調製)
製造例1のWO粉末100重量部と、BET比表面積から換算した平均粒径20nmのMgO5重量部とを混合して電池用電極材料を調製した。
表3に、電池用電極材料の配合を示す。
Figure 2013201071
(電池用電極材料ペーストの調製)
はじめに、溶媒としてのターピネオール59質量部と、バインダとしてのエチルセルロース5質量部とを撹拌混合した。次に、バインダが溶解した溶媒を撹拌させた状態で、得られた電池用電極材料を36質量部添加し、撹拌を続けたところ、電池用電極材料ペーストが得られた。
得られた電池用電極材料ペーストについて、25℃での粘度を測定した。
表4に、溶媒およびバインダの配合割合と、電池用電極材料ペーストの25℃での粘度とを示す。
Figure 2013201071
(第1の色素増感太陽電池の作製)
図1に示される第1の色素増感太陽電池1Aを作製した。
はじめに、厚み1.1mm、シート抵抗5Ω/□のガラス基板51aの片面に透明導電膜52が形成された発電側複合体91を用い、透明導電膜52の表面に、電池用電極材料ペーストを、スクリーン印刷法により印刷塗布した。このペーストが塗布されたガラス基板51aを、電気炉を用いて大気中で、昇温速度10℃/minで25℃から450℃まで昇温した後、450℃で30分焼成した。焼成後は、透明導電膜52の表面に、WO粒子20およびMgO粒子40のうち、隣接する粒子間がネッキングして形成された多孔質体からなる電極層が形成された。多孔質体の空隙率は65%、厚みは15μmであった。
次に、作製した電極層を40mモル/L硝酸イットリウム水溶液に70℃で1時間浸漬し、エタノールで洗浄後、乾燥した。その後、昇温速度10℃/minで25℃から450℃まで昇温した後、450℃で30分焼成した。焼成後は、WO粒子20の表面がY膜で被覆されていた。このY膜は、WO粒子20の表面への色素30の定着を良くするために形成したものである。
さらに、透明導電膜52の表面に形成された電極層を、色素溶液に室温で48時間浸漬して発電蓄電層81を作製した。色素溶液としては、アセトニトリル1容量部とt−ブチルアルコール1容量部との混合溶媒に、シグマアルドリッチ製N719(ジ−テトラブチルアンモニウム−シス−ビス(イソチオシアナート)ビス(2,2´−ビピリジル−4,4´−ジカルボキシラート)ルテニウム(II))を0.3mモル/Lになるように溶かしたものを用いた。発電蓄電層81において、色素30は、Y膜を介してWO粒子20の表面に定着していた。また、発電蓄電層81において、色素30は、MgO粒子40の表面にも定着していた。
また、他のガラス基板51bの表面に透明導電膜52とPt対極53とがこの順番で形成された非発電側複合体92を作製した。Pt対極53は、透明導電膜52の表面にスパッタリングにより厚さ80nmの白金層を形成したものである。
次に、発電蓄電層81の厚さ方向の厚さが60μmで、電解質組成物注入口が4箇所開けられた筒状のスペーサ樹脂56を、発電蓄電層81の周囲を囲むように配置した。その後、110℃に加熱した発電側複合体91と非発電側複合体92とを張り合わせた。
電解質組成物注入口から電解質組成物(電解液)70をシリンジで注入し、注入口を2液硬化性の樹脂で封止した。電解液組成は、アセトニトリル溶媒中に、ヨウ化リチウムを0.5モル/L、ヨウ素を0.05モル/L、t−ブチルピリジンを0.58モル/L、EtMeIm(CN)(1−ethyl−3−methylimidazolium dicyanamide)を0.6モル/L溶解させたものを用いた。
これにより、第1の色素増感太陽電池1Aが得られた。
(第1の色素増感太陽電池の評価)
得られた第1の色素増感太陽電池1Aに、ソーラーシュミュレーターを用い、AM1.5のスペルトルを有する1kW/mの強度の光を照射して、光電変換効率を測定した。この光電変換効率を発電効率とした。
次に、第1の色素増感太陽電池1Aを510Ωの抵抗と接続し、光照射時と光遮断時における電流の変化を測定した。光源としては、ソーラーシュミュレーターを用いて得られる、AM1.5のスペルトルを有する1kW/mの強度の光を用いた。
さらに、第1の色素増感太陽電池1Aの蓄電効果を確認する試験を行った。すなわち、第1の色素増感太陽電池1Aを暗所で20秒静置して発電量がゼロになったことを確認した後、光照射を20秒間行い、その後、光を遮断した。そして、光照射時の第1の色素増感太陽電池1Aの最大電流値から、光遮断後,電流値が0mA/cmになるまでの間の放電容量を求めた。この放電容量を蓄電容量とした。
表5に、第1の色素増感太陽電池1Aの発電効率および蓄電容量を示す。
Figure 2013201071
[実施例2〜15]
(電池用電極材料の調製)
電池用電極材料を調製する条件を表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、電池用電極材料を調製した。
表3に、電池用電極材料の配合を示す。
(電池用電極材料ペーストの調製)
電池用電極材料ペーストを調製する条件を表4に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、電池用電極材料ペーストを調製した。
なお、表4中のBCAとは、ブチルカルビトールアセテートを意味する。
得られた電池用電極材料ペーストについて、実施例1と同様にして、25℃での粘度を測定した。
(第1の色素増感太陽電池の作製)
電池用電極材料ペーストを調製する条件を表4に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして第1の色素増感太陽電池1Aを作製し、評価した。
表5に、第1の色素増感太陽電池1Aの発電効率および蓄電容量を示す。
[比較例1]
実施例1の電池用電極材料ペーストに代えて平均粒径13μmの酸化チタンTiOを含む酸化チタンペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして、色素増感太陽電池を作製した。
得られた色素増感太陽電池は、図1に示される第1の色素増感太陽電池1Aにおいて、発電蓄電層81を構成するWO粒子20を、TiO粒子に代えたものであった。
得られた色素増感太陽電池について、実施例1と同様にして、評価した。
表5に、色素増感太陽電池の発電効率および蓄電容量を示す。
[実施例16]
(第2の色素増感太陽電池の作製)
図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bを作製した。
はじめに、厚み1.1mm、シート抵抗5Ω/□のガラス基板51aの片面に透明導電膜52が形成された発電側複合体91を用い、透明導電膜52の表面に、平均粒径13μmの酸化チタンTiO10を含む酸化チタンペーストを、スクリーン印刷法により印刷塗布した。このペーストが塗布されたガラス基板51aを、電気炉を用いて大気中で、450℃で30分焼成した。焼成後は、透明導電膜52の表面にTiO10同士がネッキングして形成された多孔質体からなる電極層が形成された。多孔質体の空隙率は50%、厚みは10μmであった。
次に、TiO10同士がネッキングして形成された多孔質体からなる電極層の表面に、実施例1の電池用電極材料ペーストを、スクリーン印刷法により印刷塗布した。このペーストが塗布されたガラス基板51aを、電気炉を用いて大気中で、昇温速度10℃/minで25℃から450℃まで昇温した後、450℃で30分焼成した。焼成後は、透明導電膜52の表面に、WO粒子20およびMgO粒子40のうち、隣接する粒子間がネッキングして形成された多孔質体からなる電極層が形成された。多孔質体の空隙率は65%、厚みは10μmであった。
さらに、WO粒子20およびMgO粒子40のうち、隣接する粒子間がネッキングして形成された多孔質体からなる電極層の表面に、Tiメッシュ電極55を形成し、外部への取出し電極とした。透明導電膜52とTiメッシュ電極55との接触を避けるために取出し部分には絶縁処理をした。
次に、作製された2層の電極層を、色素溶液に室温で24時間浸漬して発電層82と蓄電層83とを作製した。色素溶液としては、アセトニトリル1容量部とt−ブチルアルコール1容量部との混合溶媒に、シグマアルドリッチ製N719(ジ−テトラブチルアンモニウム−シス−ビス(イソチオシアナート)ビス(2,2´−ビピリジル−4,4´−ジカルボキシラート)ルテニウム(II))を0.3mモル/Lになるように溶かしたものを用いた。発電蓄電層81において、色素30は、Y膜を介してWO粒子20の表面に定着していた。
また、他のガラス基板51bの表面に透明導電膜52とPt対極53とがこの順番で形成された非発電側複合体92を作製した。Pt対極53は、透明導電膜52の表面にスパッタリングにより厚さ80nmの白金層を形成したものである。
次に、発電蓄電層81の厚さ方向の厚さが60μmで、電解質組成物注入口が4箇所開けられた筒状のスペーサ樹脂56を、発電蓄電層81の周囲を囲むように配置した。その後、110℃に加熱した発電側複合体91と非発電側複合体92とを張り合わせた。
電解質組成物注入口から電解質組成物(電解液)70をシリンジで注入し、注入口をUV硬化性の樹脂で封止した。電解液組成は、アセトニトリル溶媒中に、ヨウ化リチウムを0.5モル/L、ヨウ素を0.05モル/L、t−ブチルピリジンを0.58モル/L、EtMeIm(CN)(1−ethyl−3−methylimidazolium dicyanamide)を0.6モル/L溶解させたものを用いた。
これにより、第2の色素増感太陽電池1Bが得られた。
(第2の色素増感太陽電池の評価)
実施例16と同様にして第2の色素増感太陽電池1Bを評価した。
表5に、第2の色素増感太陽電池1Bの発電効率および蓄電容量を示す。
[実施例17〜30]
実施例1の電池用電極材料ペーストに代えて実施例2〜15の電池用電極材料ペーストを用いた以外は、実施例16と同様にして第2の色素増感太陽電池1Bを作製し、評価した。
表5に、第2の色素増感太陽電池1Bの発電効率および蓄電容量を示す。
[比較例2]
実施例1の電池用電極材料ペーストに代えて比較例1の酸化チタンペーストを用いた以外は、実施例16と同様にして、色素増感太陽電池を作製した。
得られた色素増感太陽電池は、図2に示される第2の色素増感太陽電池1Bにおいて、蓄電層83を構成するWO粒子20およびMgO粒子40を、TiO粒子に代えたものであった。
得られた色素増感太陽電池について、実施例16の第2の色素増感太陽電池1Bと同様にして、評価した。
表5に、色素増感太陽電池の発電効率および蓄電容量を示す。
[実施例31]
(蓄電池の作製)
図3に示される蓄電池2を作製した。
はじめに、厚み1.1mm、シート抵抗5Ω/□のガラス基板51aの片面に透明導電膜52が形成された発電側複合体91を用い、透明導電膜52の表面に、実施例1の電池用電極材料ペーストを、スクリーン印刷法により印刷塗布した。このペーストが塗布されたガラス基板51aを、電気炉を用いて大気中で、昇温速度10℃/minで25℃から450℃まで昇温した後、450℃で30分焼成した。焼成後は、透明導電膜52の表面にWO粒子20同士がネッキングして形成された多孔質体からなる蓄電層83が形成された。多孔質体の空隙率は65%、厚みは15μmであった。
次に、蓄電層83の厚さ方向の厚さが60μmで、電解質組成物注入口が4箇所開けられた筒状のスペーサ樹脂56を、蓄電層83の周囲を囲むように配置した。その後、110℃に加熱した電極54と非発電側複合体92とを張り合わせた。
電解質組成物注入口から電解質組成物(電解液)70をシリンジで注入し、注入口をUV硬化性の樹脂で封止した。電解液組成は、アセトニトリル溶媒中に、ヨウ化リチウムを0.5モル/L、ヨウ素を0.05モル/L、t−ブチルピリジンを0.58モル/L、EtMeIm(CN)(1−ethyl−3−methylimidazolium dicyanamide)を0.6モル/L溶解させたものを用いた。
これにより、蓄電池2が得られた。
(蓄電池の評価)
得られた蓄電池2の、蓄電性能を測定した。外部電源を使用し、0.74Vで640秒充電を行い、その後接続した510Ωの抵抗へ流れる電流値から蓄電容量を算出した。
表5に、蓄電池2の蓄電容量を示す。
[実施例32〜45]
実施例1の電池用電極材料ペーストに代えて実施例2〜5の電池用電極材料ペーストを用いた以外は、実施例31と同様にして蓄電池2を作製し、評価した。
表5に、蓄電池2の蓄電容量を示す。
[比較例3]
実施例1の電池用電極材料ペーストに代えて比較例1の酸化チタンペーストを用いた以外は、実施例31と同様にして、蓄電池を作製した。
得られた蓄電池は、図3に示される蓄電池2において、蓄電層83を構成するWO粒子20およびMgO粒子40を、TiO粒子に代えたものであった。
得られた蓄電池について、実施例11と同様にして、評価した。
表5に、蓄電池の蓄電容量を示す。
上記実施例および比較例の結果から、本発明の電池用電極材料を用いた色素増感太陽電池および蓄電池は、蓄電効率が高いことが分かった。
また、上記実施例および比較例では、本発明の電池用電極材料を用いた色素増感太陽電池および蓄電池は、発電蓄電層または蓄電層の機械的強度、導電性および密着性のうち1種以上の効果が向上していることが確認された。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 色素増感太陽電池
1A 第1の色素増感太陽電池
1B 第2の色素増感太陽電池
2 蓄電池
5 太陽電池
7 太陽電池−蓄電池複合装置
10 TiO(光電変換材料)
20 WO(第1の粉末,第1の粉末の粒子)
30 色素
40 第2の粉末(第2の粉末の粒子)
51、51a、51b ガラス基板
52 透明導電膜
53 Pt対極
54 電極
55 メッシュ状電極
56 スペーサ
57 導線
59 空間
61、62、63、64 電子の流れる向き
70 電解液(電解質組成物)
75 光
81 発電蓄電層
82 発電層
83 蓄電層
91 発電側複合体
92 非発電側複合体

Claims (12)

  1. 酸化タングステン粉末からなる第1の粉末と、
    金属酸化物、金属ホウ化物、金属フッ化物、金属炭化物、炭酸塩、炭素、および金属から選ばれる少なくとも1種の物質からなる第2の粉末と、の混合粉末からなることを特徴とする電池用電極材料。
  2. 前記第2の粉末の平均粒径は、前記第1の粉末の平均粒径の0.1〜200倍であることを特徴とする請求項1記載の電池用電極材料。
  3. 前記第1の粉末の平均粒径は1〜300nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池用電極材料。
  4. 前記混合粉末は、前記第1の粉末の質量を100質量部としたとき、前記第2の粉末を40質量部以下含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電池用電極材料。
  5. 前記第2の粉末が、
    リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、鉄、ニッケル、マンガン、銅、アルミニウム、インジウム、シリコン、錫、鉛、ビスマス、アンチモン、インジウム、タンタルおよびランタノイドから選ばれる元素の酸化物;
    前記元素のホウ化物;
    前記元素のフッ化物;
    前記元素の炭化物;
    前記元素の複合酸化物;
    前記元素の炭酸塩;
    炭素;ならびに
    前記元素の1種以上を含む金属
    より選ばれる少なくとも1種の物質からなる粉末であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電池用電極材料。
  6. 前記第1の粉末は、ラマン分光分析法を行ったとき、
    ピークが波数268〜274cm−1の範囲内に存在する第1のピークと、
    ピークが波数630〜720cm−1の範囲内に存在する第2のピークと、
    ピークが波数800〜810cm−1の範囲内に存在する第3のピークと、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電池用電極材料。
  7. 色素増感太陽電池用または蓄電池用に用いられることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電池用電極材料。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電池用電極材料を含むことを特徴とする電池用電極材料ペースト。
  9. 500℃での熱分解率が99.0%以上のバインダを含むことを特徴とする請求項8に記載の電池用電極材料ペースト。
  10. ペーストの粘度が800〜10000cpsであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電池用電極材料ペースト。
  11. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電池用電極材料を用いたことを特徴とする色素増感太陽電池。
  12. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電池用電極材料を用いたことを特徴とする蓄電池。
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