JP2013198874A - ガス吸着フィルム - Google Patents

ガス吸着フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2013198874A
JP2013198874A JP2012069029A JP2012069029A JP2013198874A JP 2013198874 A JP2013198874 A JP 2013198874A JP 2012069029 A JP2012069029 A JP 2012069029A JP 2012069029 A JP2012069029 A JP 2012069029A JP 2013198874 A JP2013198874 A JP 2013198874A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foam
gas
weight
meth
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012069029A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Hirao
昭 平尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2012069029A priority Critical patent/JP2013198874A/ja
Publication of JP2013198874A publication Critical patent/JP2013198874A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

【課題】ガス吸着剤を含み、ガスを効率的に吸着し得るガス吸着フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明のガス吸着フィルムは、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を有する発泡体を有し、該発泡体中にガス吸着剤を含み、該球状気泡の平均孔径が20μm未満であり、該貫通孔の平均孔径が5μm以下であり、該発泡体の表面に平均孔径が20μm以下の表面開口部を有する。好ましい実施形態においては、上記発泡体の気泡率が、30%以上である。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガス吸着フィルムに関する。
近年、生活環境の変化に伴い生活空間に存在する硫化水素、アンモニア、メルカプタン、アミン及びアルデヒド等の有害ガスに対する関心が高まっている。これらの有害ガスを除去するために、例えば、活性炭、ゼオライト等のガス吸着剤が使用されている。このようなガス吸着剤は、表面の微細孔によりガスを吸着するので、表面積を増やすため粒子化される。粒子化させたガス吸着剤は、通常、透気性のある容器または袋に封入したり、透気性のある2枚のシート材の間に挟持し固定化して使用される(例えば、特許文献1、2)。しかし、このような場合、ガス吸着剤粒子間に十分な隙間がないため、ガス吸着剤粒子間における透気性が悪く、ガス吸着効率が悪いという問題がある。
特開平10−286459号公報 特開2000−246827号公報
本発明の課題は、ガス吸着剤を含み、ガスを効率的に吸着し得るガス吸着フィルムを提供することにある。
本発明のガス吸着フィルムは、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を有する発泡体を有し、該発泡体中にガス吸着剤を含み、該球状気泡の平均孔径が20μm未満であり、該貫通孔の平均孔径が5μm以下であり、該発泡体の表面に平均孔径が20μm以下の表面開口部を有する。
好ましい実施形態においては、上記発泡体の気泡率が、30%以上である。
好ましい実施形態においては、本発明のガス吸着フィルムは、基材をさらに有する。
好ましい実施形態においては、本発明のガス吸着フィルムは、透気度が200秒以下である。
好ましい実施形態においては、本発明のガス吸着フィルムは、常態せん断接着力が、1N/cm以上である。
本発明によれば、ガス吸着剤を含む発泡体を有するガス吸着フィルムが提供される。本発明によれば、該発泡体が、微細な連続気泡構造、具体的には、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を有することにより、ガス吸着剤を該発泡体中に容易に含有させることができる。また、発泡体が、上記のような連続気泡構造を有することにより、透気性を確保してガス吸着剤とガスとの接触効率を高め、ガス吸着効率の高いガス吸着フィルムを提供することができる。また、上記発泡体は、気泡率が高いため、ガス吸着剤の含有割合が高いガス吸着フィルムを提供することができる。すなわち、本発明によれば、ガス吸着剤の含有割合とガスに対する接触効率とを高いレベルで両立し得るガス吸着フィルムを提供することができる。
本発明のガス吸着フィルムの好ましい実施形態を示す概略断面図である。 本発明のガス吸着フィルムの別の好ましい実施形態を示す概略断面図である。 本発明のガス吸着フィルムを構成する、厳密に制御された微細な連続気泡構造を有する発泡体の断面SEM写真の写真図であって、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を明確に表す写真図である。
≪≪A.ガス吸着フィルム≫≫
本発明のガス吸着フィルムは、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を有する発泡体を含む。代表的な構造としては、発泡体10からなるガス吸着フィルム100(図1)や、発泡体10aと発泡体10bの間に基材20(後述する)を含むガス吸着フィルム100(図2)が挙げられる。なお、図1および図2においては、ガス吸着フィルムの表面の保護のために剥離フィルム30が設けられているが、該剥離フィルムは設けられていなくても良い。
本発明のガス吸着フィルムは、発泡体中にガス吸着剤を含む。ガス吸着剤は、上記連続気泡構造(球状気泡中および/または貫通孔)中に含まれていてもよく、発泡体を構成する材料中に含まれていてもよく、連続気泡構造中と発泡体を構成する材料中との両方に含まれていてもよい。
本明細書において「球状気泡」とは、厳密な真球状の気泡でなくても良く、例えば、部分的にひずみのある略球状の気泡や、大きなひずみを有する空間からなる気泡であっても良い。
上記発泡体が有する球状気泡の平均孔径は、20μm未満であり、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。上記発泡体が有する球状気泡の平均孔径の下限値は特に限定されず、例えば、好ましくは0.01μmであり、より好ましくは0.1μmであり、さらに好ましくは1μmである。上記発泡体が有する球状気泡の平均孔径が上記範囲内に収まることにより、上記発泡体の球状気泡の平均孔径を精密に小さく制御でき、ガス吸着性を有する発泡体が得られ、また、間隙を設けつつも高密度にガス吸着剤が含有されたガス吸着フィルムを提供することができる。また、粘着性および耐熱性に優れたガス吸着フィルムを提供することができる。
上記発泡体は、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を有している。この連続気泡構造は、ほとんどまたは全ての隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造であっても良いし、該貫通孔の数が比較的少ない半独立半連続気泡構造であっても良い。このような連続気泡構造を有する発泡体はガス吸着性を有し、また、このような発泡体を用いることにより、十分な透気性を確保してガス吸着剤とガスとの接触効率を高めることができる。また、上記のような連続気泡構造を有する発泡体を用いることにより、本発明のガス吸着フィルムは十分な粘着力を有し得る。これは、ガス吸着フィルムを被着体に押圧すると、球状気泡および貫通孔が圧縮されて発泡体表面から空気が外部に抜け、これにより生じる外部との大気圧差に起因して、吸着性が発揮されるためと推測される。また、本発明のガス吸着フィルムの粘着力は吸着力を利用しているので、糊残りなく剥離することが可能である。
隣接する球状気泡間に有する貫通孔は、ガス吸着フィルムの物性(例えば、透気性)に影響する。例えば、貫通孔の数が多いほど、ガス吸着フィルムの透気性が高くなる傾向がある。図3に、上記発泡体の断面SEM写真の写真図であって、隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を明確に表す写真図を示す。なお、図3においては、発泡体の連続気泡構造を理解しやすくするため、ガス吸着剤を含んでいない状態の発泡体を図示している。
隣接する球状気泡間に有する貫通孔の平均孔径は、5μm以下であり、好ましくは4μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。隣接する球状気泡間に有する貫通孔の平均孔径の下限値は特に限定されず、例えば、好ましくは0.001μmであり、より好ましくは0.01μmである。隣接する球状気泡間に有する貫通孔の平均孔径が上記範囲内に収まることにより、ガス吸着剤の含有割合を高めることができ、かつ、十分な透気性を確保してガス吸着剤とガスとの接触効率を高めることができる。
上記発泡体は、表面に表面開口部を有する。この表面開口部の平均孔径は、20μm以下であり、好ましくは20μm未満であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下であり、特に好ましくは4μm以下であり、最も好ましくは3μm以下である。表面開口部の平均孔径の下限値は特に限定されず、例えば、好ましくは0.001μmであり、より好ましくは0.01μmである。上記発泡体が表面開口部を有し、且つ、該表面開口部の平均孔径が上記範囲内に収まることにより、十分な透気性を確保してガス吸着剤とガスとの接触効率を高めることができ、また、ガス吸着剤が発泡体から離脱することを防ぐことができる。
上記発泡体の密度(見掛け密度)は、好ましくは0.15g/cm〜0.6g/cmであり、より好ましくは0.15g/cm〜0.5g/cmであり、さらに好ましくは0.15g/cm〜0.45g/cmであり、特に好ましくは0.15g/cm〜0.4g/cmである。上記発泡体の密度が上記範囲内に収まることにより、本発明のガス吸着フィルムに含まれる発泡体の密度の範囲を広く制御した上で、ガス吸着効率に優れたガス吸着剤を提供することができる。本明細書において、「見掛け密度」とは、ガス吸着剤が発泡体の連続気泡構造中に含まれる場合は、該ガス吸着剤を除いて算出される見掛け密度(すなわち、ガス吸着剤含浸前の発泡体の見掛け密度)であり、ガス吸着剤が発泡体を構成する材料中に含まれる場合は、該材料中のガス吸着剤を含む発泡体の見掛け密度である。
上記発泡体は、気泡率が、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。上記発泡体の気泡率が上記範囲内に収まることにより、間隙を設けつつも高密度にガス吸着剤が含有されたガス吸着フィルムを提供することができる。また、上記発泡体の気泡率が上記範囲内に収まることにより、十分な粘着力を発現でき、また、高い耐熱性を有するガス吸着フィルムを提供することができる。なお、本明細書において、「気泡率」とは、下記式から算出される値をいう。下記式において「相対密度」とは、ガス吸着剤が発泡体の連続気泡構造中に含まれる場合は、該ガス吸着剤を除いて算出される見掛け密度(すなわち、ガス吸着剤含浸前の発泡体の見掛け密度)を、該発泡体を構成する材料自体(エマルションを製造する際の油相成分(後述)のみを重合して得られた重合体)の密度で除して得られる値であり、ガス吸着剤が発泡体を構成する材料中に含まれる場合は、該材料中のガス吸着剤を含む発泡体の見掛け密度を、該発泡体を構成する材料自体(エマルションを製造する際の油相成分(後述)のみを重合して得られた重合体)の密度で除して得られる値である。
気泡率=(1−相対密度)×100
上記発泡体は、好ましくは、親水性ポリウレタン系重合体を含む。上記発泡体が親水性ポリウレタン系重合体を含むことにより、気泡構造が精密に制御されており、気泡率が高く、精密に制御された多数の微細な表面開口部を有する発泡体を得ることができる。
本発明のガス吸着フィルムに含まれる発泡体の詳細や、それに含まれる親水性ポリウレタン系重合体の詳細については、後述の製造方法の説明において言及する。
本発明に用いられるガス吸着剤は、上記発泡体中に含まれ、気体物質を吸着する機能を有する。上記ガス吸着剤は、固体であってもよく、液体であってもよく、液体を含む固体であってもよい。固体のガス吸着剤としては、例えば、活性炭、活性炭素繊維、天然もしくは合成ゼオライト、活性アルミナ、活性白土、セピオライト、酸化鉄などの鉄系化合物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ、シリカ−酸化亜鉛複合物、シリカ−アルミナ−酸化亜鉛複合物、複合フィロケイ酸塩、アパタイト、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。液体のガス吸着剤としては、例えば、イオン液体(陽イオンと陰イオンのみで構成される溶融塩)等の物理吸収液が挙げられる。
上記ガス吸着剤が固体である場合、ガス吸着剤は、好ましくは粒子状または粉体である。ガス吸着剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm〜500μmであり、より好ましくは0.5μm〜300μmであり、さらに好ましくは1μm〜250μmであり、特に好ましくは10μm〜100μmである。ガス吸着剤粒子の平均粒径がこのような範囲であれば、ガス吸着剤は発泡体を構成する材料中で良好に分散し得る。また、ガス吸着効率の高いガス吸着フィルムを提供することができる。
上記ガス吸着剤が固体である場合、上記ガス吸着剤は、好ましくは微細孔を有する。上記ガス吸着剤の微細孔の孔半径は、好ましくは1Å〜100Åであり、より好ましくは5Å〜50Åである。ガス吸着剤の微細孔の孔半径がこのような範囲であれば、ガス吸着効率の高いガス吸着フィルムを提供することができる。ガス吸着剤として、微細孔を有する粒子または粉体に化学吸着剤を固定化したガス吸着剤を用いてもよい。
上記ガス吸着剤が固体である場合、上記ガス吸着剤の比表面積は、好ましくは50m/g〜600m/gであり、より好ましくは100m/g〜300m/gである。ガス吸着剤の比表面積がこのような範囲であれば、ガス吸着効率の高いガス吸着フィルムを提供することができる。
上記ガス吸着剤が液体である場合または液体を含む場合、当該液体としては、例えば、Selexol法の呼称で知られるポリエチレングリコールをジメチルエステル化した吸収液が挙げられる。また、当該液体として、陽イオンと陰イオンのみで構成される溶融塩(以下、イオン液体ともいう)を用いることもできる。イオン液体を用いれば、二酸化炭素吸収量に優れるガス吸着フィルムを提供することができる。イオン液体を構成する陽イオンとしては、例えば、アルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、アルキルピロリジニウムイオン、アルキルホスホニウムイオン、アルキルイミダゾリウムイオンが挙げられる。これらの陽イオンは、アルキル鎖に不飽和アルキル部位を有していてもよく、また、アミノ基、エーテル基、エステル基、カルボニル基等の官能基を有していてもよい。イオン液体を構成する陰イオンとしては、例えば、PF 、BF 、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(CFCFSO、(CFCO)、(CFSO)N(COCF、FSONSOF等が挙げられる。イオン液体の具体例としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)アミド([BMIM][TfN])が挙げられる。
上記ガス吸着剤の含有割合は、特に限定されないが、上記発泡体の見掛け体積に対して、好ましくは3体積%〜90体積%であり、より好ましくは10体積%〜80体積%であり、さらに好ましくは10体積%〜70体積%である。ガス吸着剤のガス吸着フィルムにおける含有割合がこのような範囲であれば、十分な透気性を確保してガス吸着剤とガスとの接触効率を高めることができる。
一つの実施形態においては、本発明のガス吸着フィルムの透気度は、好ましくは200秒以下、より好ましくは100秒以下、さらに好ましくは80秒以下である。このような範囲であれば、十分な透気性を確保することができる。このように優れた透気性を有していれば、発泡体を構成する材料中にガス吸着剤が存在する場合(例えば、固体(または液体を含む固体)のガス吸着剤が発泡体を構成する材料中に含有されている場合)において、ガス吸着剤とガスとの接触効率を高めることができる。本明細書において、「透気度」とは、JIS L−1096で規定されるガーレー法によって測定される。
本発明のガス吸着フィルムは、常態せん断接着力が、好ましくは1N/cm以上であり、より好ましくは3N/cm以上であり、さらに好ましくは5N/cm以上であり、さらに好ましくは7N/cm以上であり、特に好ましくは9N/cm以上であり、最も好ましくは10N/cm以上である。常態せん断接着力が上記範囲内に収まることにより、本発明のガス吸着フィルムは十分な粘着力を発現し得る。
本発明のガス吸着フィルムは、180°ピール試験力が、好ましくは1N/25mm以下であり、より好ましくは0.8N/25mm以下であり、さらに好ましくは0.5N/25mm以下であり、特に好ましくは0.3N/25mm以下である。180°ピール試験力が上記範囲内に収まることにより、本発明のガス吸着フィルムは、上記のように粘着力が高いにもかかわらず、容易に剥離が可能であるという優れた効果を発現し得る。
本発明のガス吸着フィルムは、50%圧縮荷重が、好ましくは300N/cm以下であり、より好ましくは200N/cm以下であり、さらに好ましくは150N/cm以下であり、特に好ましくは100N/cm〜150N/cmである。
本発明のガス吸着フィルムは、引張強度が、好ましくは0.1MPa以上であり、より好ましくは0.15MPa以上であり、さらに好ましくは0.2MPa以上である。引張強度が上記範囲内に収まることにより、本発明のガス吸着フィルムは非常に優れた機械的物性を有し得る。
本発明のガス吸着フィルムは、125℃で14日間保存したときの引張強度変化率が、好ましくは±20%未満であり、より好ましくは±18%以下である。125℃で14日間保存したときの引張強度変化率が上記範囲内に収まることにより、本発明のガス吸着フィルムは非常に優れた耐熱性を有し得る。
本発明のガス吸着フィルムは、任意の適切な形状を採り得る。本発明のガス吸着フィルムにおける、厚さ、長辺および短辺等の長さは、任意の適切な値を採り得る。
本発明のガス吸着フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材を含有していても良い。本発明のガス吸着フィルムに基材が含有される形態としては、例えば、ガス吸着フィルムの内部に基材の層が設けられている形態が挙げられる。このような基材としては、例えば、繊維織布、繊維不織布、繊維積層布、繊維編布、樹脂シート、金属箔膜シート、無機繊維などが挙げられる。基材は、好ましくは、透気性を有する。ガス吸着剤とガスとの接触を妨げることがないからである。
繊維織布としては、任意の適切な繊維から形成される織布を採用し得る。このような繊維としては、例えば、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維などの天然繊維;再生繊維、合成繊維、半合成繊維、人造無機繊維などの人造繊維;などが挙げられる。合成繊維としては、例えば、熱可塑性繊維を溶融紡糸した繊維などが挙げられる。また、繊維織布は、メッキやスパッタリングなどによってメタリック加工されていても良い。
繊維不織布としては、任意の適切な繊維から形成される不織布を採用し得る。このような繊維としては、例えば、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維などの天然繊維;再生繊維、合成繊維、半合成繊維、人造無機繊維などの人造繊維;などが挙げられる。合成繊維としては、例えば、熱可塑性繊維を溶融紡糸した繊維などが挙げられる。また、繊維不織布は、メッキやスパッタリングなどによってメタリック加工されていても良い。より具体的には、例えば、スパンボンド不織布が挙げられる。
繊維積層布としては、任意の適切な繊維から形成される積層布を採用し得る。このような繊維としては、例えば、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維などの天然繊維;再生繊維、合成繊維、半合成繊維、人造無機繊維などの人造繊維;などが挙げられる。合成繊維としては、例えば、熱可塑性繊維を溶融紡糸した繊維などが挙げられる。また、繊維積層布は、メッキやスパッタリングなどによってメタリック加工されていても良い。より具体的には、例えば、ポリエステル繊維積層布が挙げられる。
繊維編布としては、例えば、任意の適切な繊維から形成される編布を採用し得る。このような繊維としては、例えば、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維などの天然繊維;再生繊維、合成繊維、半合成繊維、人造無機繊維などの人造繊維;などが挙げられる。合成繊維としては、例えば、熱可塑性繊維を溶融紡糸した繊維などが挙げられる。また、繊維編布は、メッキやスパッタリングなどによってメタリック加工されていても良い。
樹脂シートとしては、任意の適切な樹脂から形成されるシートを採用し得る。このような樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。樹脂シートは、メッキやスパッタリングなどによってメタリック加工されていても良い。
金属箔膜シートとしては、任意の適切な金属の箔膜から形成されるシートを採用し得る。
無機繊維としては、任意の適切な無機繊維を採用し得る。このような無機繊維としては、具体的には、例えば、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維などが挙げられる。
本発明のガス吸着フィルムは、基材中に空隙が存在する場合、該空隙の一部または全部に発泡体と同じ材料が存在していても良い。
基材は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
≪≪B.ガス吸着フィルムの製造方法≫≫
≪B−1.発泡体の製造方法≫
本発明のガス吸着フィルムが有する発泡体は、任意の適切な方法で製造し得る。上記発泡体は、好ましくは、W/O型エマルションを賦形および重合することによって製造し得る。このような製造方法によれば、連続気泡構造が厳密に制御された発泡体を得ることができる。
上記発泡体の製造方法としては、例えば、連続的に連続油相成分と水相成分を乳化機に供給して発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションを調製し、続いて、得られたW/O型エマルションを重合して含水重合体を製造し、続いて、得られた含水重合体を脱水する、「連続法」が挙げられる。上記発泡体の製造方法としては、また、例えば、連続油相成分に対して適当な量の水相成分を乳化機に仕込み、攪拌しながら連続的に水相成分を供給することで発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションを調製し、得られたW/O型エマルションを重合して含水重合体を製造し、続いて、得られた含水重合体を脱水する、「バッチ法」が挙げられる。
W/O型エマルションを連続的に重合する連続重合法は生産効率が高く、重合時間の短縮効果と重合装置の短縮化とを最も有効に利用できるので好ましい方法である。
上記発泡体は、より具体的には、好ましくは、
発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションを調製する工程(I)と、
得られたW/O型エマルションを賦形する工程(II)と、
賦形されたW/O型エマルションを重合する工程(III)と、
得られた含水重合体を脱水する工程(IV)と、
を含む製造方法によって製造することができる。ここで、得られたW/O型エマルションを賦形する工程(II)と賦形されたW/O型エマルションを重合する工程(III)とは少なくとも一部を同時に行っても良い。
<B−1−1.W/O型エマルションを調製する工程(I)>
上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションは、連続油相成分と該連続油相成分と不混和性の水相成分を含むW/O型エマルションである。W/O型エマルションは、より具体的に説明すると、連続油相成分中に水相成分が分散したものである。
上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションにおける、水相成分と連続油相成分との比率は、W/O型エマルションを形成し得る範囲で任意の適切な比率を採り得る。上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションにおける、水相成分と連続油相成分との比率は、該W/O型エマルションの重合によって得られる発泡体の構造的、機械的、および性能的特性を決定する上で重要な因子となり得る。具体的には、上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションにおける、水相成分と連続油相成分との比率は、該W/O型エマルションの重合によって得られる発泡体の密度、気泡サイズ、気泡構造、および多孔構造を形成する壁体の寸法などを決定する上で重要な因子となり得る。
上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルション中の水相成分の比率は、下限値として、好ましくは20重量%であり、より好ましくは30重量%であり、さらに好ましくは35重量%であり、特に好ましくは40重量%であり、最も好ましくは50重量%であり、上限値として、好ましくは95重量%であり、より好ましくは90重量%であり、さらに好ましくは80重量%であり、特に好ましくは75重量%であり、最も好ましくは65重量%である。上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルション中の水相成分の比率が上記範囲内にあれば、本発明の効果を十分に発現し得る。該水相成分の比率は、用いられるガス吸着剤、およびガス吸着剤の含有形態に応じて、適切に設定され得る。例えば、水を坦持したガス吸着剤を発泡体を得るために用い得るW/O型エマルション中に含有させて、発泡体を得る場合、発泡体を得るために用い得るW/O型エマルション中の水相成分の比率は、好ましくは20重量%〜95重量%であり、より好ましくは30重量%〜85重量%であり、さらに好ましくは35重量%〜75重量%であり、特に好ましくは35重量%〜65重量%である。このような範囲にあれば、本発明の効果を十分に発現し得る。
上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションは、ガス吸着剤を含んでいてもよい。ガス吸着剤を含むW/O型エマルションは、例えば、連続油相成分として、ガス吸着剤を含む連続油相成分を用いることにより得ることができる。詳細は、後述する。
上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれ得る。このような添加剤としては、例えば、粘着付与樹脂;タルク;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸やその塩類、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、亜鉛華、ベントナイン、カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム粉などの充填剤;顔料;染料;などが挙げられる。このような添加剤は、1種のみ含まれていても良いし、2種以上が含まれていても良い。
上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションを製造する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションを製造する方法としては、例えば、連続油相成分と水相成分を連続的に乳化機に供給することでW/O型エマルションを形成する「連続法」や、連続油相成分に対して適当な量の水相成分を乳化機に仕込み、攪拌しながら連続的に水相成分を供給することでW/O型エマルションを形成する「バッチ法」などが挙げられる。
上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションを製造する際、エマルション状態を得るための剪断手段としては、例えば、ローターステーターミキサー、ホモジナイザー、ミクロ流動化装置などを用いた高剪断条件の適用が挙げられる。また、エマルション状態を得るための別の剪断手段としては、例えば、動翼ミキサーまたはピンミキサーを使用した振盪、電磁撹拌棒などを用いた低剪断条件の適用による連続および分散相の穏やかな混合が挙げられる。
「連続法」によってW/O型エマルションを調製するための装置としては、例えば、静的ミキサー、ローターステーターミキサー、ピンミキサーなどが挙げられる。撹拌速度を上げることで、または、混合方法でW/O型エマルション中に水相成分をより微細に分散するようデザインされた装置を使用することで、より激しい撹拌を達成しても良い。
「バッチ法」によってW/O型エマルションを調製するための装置としては、例えば、手動での混合や振盪、被動動翼ミキサー、3枚プロペラ混合羽根などが挙げられる。具体的には、プライミクス社製「T.K.アジホモミクサー(商品名)」や「T.K.コンビミックス(商品名)」などは、減圧下で目的とするW/O型エマルションを製造可能であり、得られるW/O型エマルションは気泡の混入が大幅に低減される。
連続油相成分を調製する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。連続油相成分を調製する方法としては、代表的には、例えば、親水性ポリウレタン系重合体とエチレン性不飽和モノマーを含む混合シロップを調製し、続いて、該混合シロップに、重合開始剤、架橋剤、ならびに必要に応じてガス吸着剤またはその他の任意の適切な成分を配合し、連続油相成分を調製することが好ましい。
親水性ポリウレタン系重合体を調製する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。親水性ポリウレタン系重合体を調製する方法としては、代表的には、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとジイソシアネート化合物とをウレタン反応触媒の存在下で反応させることにより得られる。
<B−1−1−1.水相成分>
水相成分としては、実質的に連続油相成分と不混和性のあらゆる水性流体を採用し得る。取り扱いやすさや低コストの観点から、好ましくは、イオン交換水などの水である。
水相成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれ得る。このような添加剤としては、例えば、重合開始剤、水溶性の塩などが挙げられる。水溶性の塩は、W/O型エマルションをより安定化させるために有効な添加剤となり得る。このような水溶性の塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。このような添加剤は、1種のみ含まれていても良いし、2種以上が含まれていても良い。水相成分に含まれ得る添加剤は、1種のみでも良いし、2種以上でも良い。
<B−1−1−2.連続油相成分>
連続油相成分は、好ましくは、親水性ポリウレタン系重合体とエチレン性不飽和モノマーを含む。連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採り得る。
親水性ポリウレタン系重合体は、該親水性ポリウレタン系重合体を構成するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール単位中のポリオキシエチレン比率、または、配合する水相成分量にもよるが、例えば、好ましくは、エチレン性不飽和モノマー70重量部〜90重量部に対して親水性ポリウレタン系重合体が10重量部〜30重量部の範囲であり、より好ましくは、エチレン性不飽和モノマー75重量部〜90重量部に対して親水性ポリウレタン系重合体が10重量部〜25重量部の範囲である。また、例えば、水相成分100重量部に対し、好ましくは、親水性ポリウレタン系重合体が1重量部〜30重量部の範囲であり、より好ましくは、親水性ポリウレタン系重合体が1重量部〜25重量部の範囲である。親水性ポリウレタン系重合体の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果を十分に発現し得る。
(親水性ポリウレタン系重合体)
親水性ポリウレタン系重合体は、好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール由来のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位を含み、該ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中の5重量%〜25重量%がポリオキシエチレンである。
上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中のポリオキシエチレンの含有割合は、上記のように、好ましくは5重量%〜25重量%であり、下限値として、より好ましくは10重量%であり、上限値として、より好ましくは25重量%であり、さらに好ましくは20重量%である。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中のポリオキシエチレンは、連続油相成分中に水相成分を安定に分散させる効果を発現するものである。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中のポリオキシエチレンの含有割合が5重量%未満の場合、連続油相成分中に水相成分を安定に分散させることが困難になるおそれがある。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位中のポリオキシエチレンの含有割合が25重量%を超える場合、HIPE条件に近づくにつれてW/O型エマルションからO/W型(水中油型)エマルションに転相するおそれがある。
従来の親水性ポリウレタン系重合体は、ジイソシアネート化合物と疎水性長鎖ジオール、ポリオキシエチレングリコールならびにその誘導体、低分子活性水素化合物(鎖伸長剤)を反応させることによって得られるが、このような方法で得られる親水性ポリウレタン系重合体中に含まれるポリオキシエチレン基の数は不均一であるため、このような親水性ポリウレタン系重合体を含むW/O型エマルションは乳化安定性が低下するおそれがある。一方、上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションの連続油相成分に含まれる親水性ポリウレタン系重合体は、上記のような特徴的な構造を有することにより、W/O型エマルションの連続油相成分に含ませた場合に、乳化剤等を積極的に添加せずとも、優れた乳化性および優れた静置保存安定性を発現することができる。
親水性ポリウレタン系重合体は、好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとジイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる。この場合、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとジイソシアネート化合物との比率は、NCO/OH(当量比)で、下限値として、好ましくは1であり、より好ましくは1.2であり、さらに好ましくは1.4であり、特に好ましくは1.6であり、上限値として、好ましくは3であり、より好ましくは2.5であり、さらに好ましくは2である。NCO/OH(当量比)が1未満の場合は、親水性ポリウレタン系重合体を製造する際にゲル化物が生成しやすくなるおそれがある。NCO/OH(当量比)が3を超える場合は、残存ジイソシアネート化合物が多くなってしまい、上記発泡体を得るために用い得るW/O型エマルションが不安定になるおそれがある。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、例えば、ADEKA株式会社製のポリエーテルポリオール(アデカ(登録商標)プルロニックL−31、L−61、L−71、L−101、L−121、L−42、L−62、L−72、L−122、25R−1、25R−2、17R−2)や、日本油脂株式会社製のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(プロノン(登録商標)052、102、202)などが挙げられる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体や三量体、ポリフェニルメタンポリイソシアネートなどが挙げられる。芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。ジイソシアネートの三量体としては、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられる。ジイソシアネート化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
ジイソシアネート化合物は、ポリオールとのウレタン反応性などの観点から、その種類や組み合わせ等を適宜選択すれば良い。ポリオールとの速やかなウレタン反応性や水との反応の抑制などの観点からは、脂環族ジイソシアネートを使用することが好ましい。
親水性ポリウレタン系重合体の重量平均分子量は、下限値として、好ましくは5000であり、より好ましくは7000であり、さらに好ましくは8000であり、特に好ましくは10000であり、上限値として、好ましくは50000であり、より好ましくは40000であり、さらに好ましくは30000であり、特に好ましくは20000である。
親水性ポリウレタン系重合体は、末端にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有していても良い。親水性ポリウレタン系重合体の末端にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有することにより、本発明の効果がより一層発現され得る。
(エチレン性不飽和モノマー)
エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであれば、任意の適切なモノマーを採用し得る。エチレン性不飽和モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルを含む。エチレン性不飽和モノマー中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は、下限値として、好ましくは80重量%であり、より好ましくは85重量%であり、上限値として、好ましくは100重量%であり、より好ましくは98重量%である。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、好ましくは、炭素数が1〜20のアルキル基(シクロアルキル基、アルキル(シクロアルキル)基、(シクロアルキル)アルキル基も含む概念)を有するアルキル(メタ)アクリレートである。上記アルキル基の炭素数は、好ましくは4〜18である。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルの意味であり、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートの意味である。
炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な極性モノマーをさらに含む。当該極性モノマーを含むことにより、本発明の効果がより一層発現され得る。エチレン性不飽和モノマー中の極性モノマーの含有割合は、下限値として、好ましくは0重量%であり、より好ましくは2重量%であり、上限値として、好ましくは20重量%であり、より好ましくは15重量%である。極性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;などが挙げられる。
(重合開始剤)
連続油相成分には、好ましくは、重合開始剤が含まれる。
重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、レドックス重合開始剤などが挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、過酸化物、ペルオキシ炭酸、ペルオキシカルボン酸、過硫酸カリウム、t−ブチルペルオキシイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(例として、チバ・ジャパン社製、商品名;ダロキュア−2959)、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン(例として、チバ・ジャパン社製、商品名;ダロキュア−1173)、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例として、チバ・ジャパン社製、商品名;イルガキュア−651)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(例として、チバ・ジャパン社製、商品名;イルガキュア−184)などのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;その他のハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキサイド(例として、チバ・ジャパン社製、商品名;イルガキュア−819);などを挙げることができる。
重合開始剤は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいてもよい。
重合開始剤の含有割合は、連続油相成分全体に対し、下限値として、好ましくは0.05重量%であり、より好ましくは0.1重量%であり、上限値として、好ましくは5.0重量%であり、より好ましくは1.0重量%である。重合開始剤の含有割合が連続油相成分全体に対して0.05重量%未満の場合には、未反応のモノマー成分が多くなり、得られる発泡体中の残存モノマー量が増加するおそれがある。重合開始剤の含有割合が連続油相成分全体に対して5.0重量%を超える場合には、得られる発泡体の機械的物性が低下するおそれがある。
なお、光重合開始剤によるラジカル発生量は、照射する光の種類や強度や照射時間、モノマーおよび溶剤混合物中の溶存酸素量などによっても変化する。そして、溶存酸素が多い場合には、光重合開始剤によるラジカル発生量が抑制され、重合が十分に進行せず、未反応物が多くなることがある。したがって、光照射の前に、反応系中に窒素等の不活性ガスを吹き込み、酸素を不活性ガスで置換、または、減圧処理によって脱気しておくことが好ましい。
(架橋剤)
連続油相成分には、好ましくは、架橋剤が含まれる。
架橋剤は、典型的には、ポリマー鎖同士を連結して、より三次元的な分子構造を構築するために用いられる。架橋剤の種類と含有量の選択は、得られる発泡体に所望される構造的特性、機械的特性、および流体処理特性に左右される。架橋剤の具体的な種類および含有量の選択は、発泡体の構造的特性、機械的特性、および流体処理特性の望ましい組み合わせを実現する上で重要となる。
上記発泡体を製造する上では、好ましくは、架橋剤として、重量平均分子量の異なる少なくとも2種類の架橋剤を用いる。
上記発泡体を製造する上では、より好ましくは、架橋剤として、「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」と「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」とを併用する。ここで、多官能(メタ)アクリレートとは、具体的には、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する多官能(メタ)アクリレートであり、多官能(メタ)アクリルアミドとは、具体的には、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する多官能(メタ)アクリルアミドである。
多官能(メタ)アクリレートとしては、ジアクリレート類、トリアクリレート類、テトラアクリレート類、ジメタクリレート類、トリメタクリレート類、テトラメタクリレート類などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリルアミドとしては、ジアクリルアミド類、トリアクリルアミド類、テトラアクリルアミド類、ジメタクリルアミド類、トリメタクリルアミド類、テトラメタクリルアミド類などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは、例えば、ジオール類、トリオール類、テトラオール類、ビスフェノールA類などから誘導できる。具体的には、例えば、1,10−デカンジオール、1,8−オクタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ブタン−2−エンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性物などから誘導できる。
多官能(メタ)アクリルアミドは、例えば、対応するジアミン類、トリアミン類、テトラアミン類などから誘導できる。
重合反応性オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、コポリエステル(メタ)アクリレート、オリゴマージ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましくは、疎水性ウレタン(メタ)アクリレートである。
重合反応性オリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは1500以上、より好ましくは2000以上である。重合反応性オリゴマーの重量平均分子量の上限は特に限定されないが、例えば、好ましくは10000以下である。
架橋剤として、「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」と「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」とを併用する場合、「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」の使用量は、連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して、下限値として、好ましくは40重量%であり、上限値として、好ましくは100重量%であり、より好ましくは80重量%である。「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」の使用量が連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して40重量%未満の場合、得られる発泡体の凝集力が低下してしまうおそれがあり、じん性と柔軟性の両立が困難になるおそれがある。「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」の使用量が連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して100重量%を超える場合、W/O型エマルションは乳化安定性が低下してしまい、所望の発泡体が得られないおそれがある。
架橋剤として、「重量平均分子量が800以上である多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリルアミド、および重合反応性オリゴマーから選ばれる1種以上」と「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」とを併用する場合、「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」の使用量は、連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して、下限値として、好ましくは1重量%であり、より好ましくは5重量%であり、上限値として、好ましくは30重量%であり、より好ましくは20重量%である。「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」の使用量が連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して1重量%未満の場合、耐熱性が低下してしまい、含水重合体を脱水する工程(IV)において収縮によって気泡構造が潰れてしまうおそれがある。「重量平均分子量が500以下である多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上」の使用量が連続油相成分中の親水性ポリウレタン系重合体およびエチレン性不飽和モノマーの合計量に対して30重量%を超える場合、得られる発泡体のじん性が低下してしまい、脆性を示してしまうおそれがある。
架橋剤は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいてもよい。
(ガス吸着剤)
一つの実施形態においては、連続油相成分には、ガス吸着剤が含まれる。ガス吸着剤としては、上記A項で説明したガス吸着剤が用いられ得る。連続油相成分に含まれるガス吸着剤は、好ましくは固体であり、より好ましくは微細孔を有する粉体である。ガス吸着剤を含む連続油相成分(すなわち、ガス吸着剤を含むW/O型エマルション)を用いて発泡体を製造すれば、発泡体を構成する材料中にガス吸着剤を含むガス吸着フィルムを得ることができる。このようなガス吸着フィルムにおいては、ガス吸着剤が発泡体中に安定して保持される。
連続油相成分がガス吸着剤を含む場合、該連続油相成分中のガス吸着剤の含有割合は、上記連続油相成分100重量部に対し、下限値として、好ましくは10重量部であり、より好ましくは20重量部であり、さらに好ましくは30重量部であり、特に好ましくは40重量部であり、上限値として、好ましくは500重量部であり、より好ましくは400重量部であり、さらに好ましくは300重量部であり、特に好ましくは100重量部である。
(連続油相成分中のその他の成分)
連続油相成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分が含まれ得る。このようなその他の成分としては、代表的には、好ましくは、触媒、酸化防止剤、光安定剤、有機溶媒などが挙げられる。このようなその他の成分は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
触媒としては、例えば、ウレタン反応触媒が挙げられる。ウレタン反応触媒としては、任意の適切な触媒を採用し得る。具体的には、例えば、ジブチル錫ジラウリレートが挙げられる。
触媒の含有割合は、目的とする触媒反応に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。
触媒は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
酸化防止剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。
酸化防止剤は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいてもよい。
有機溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な有機溶媒を採用し得る。
有機溶媒の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。
有機溶媒は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいてもよい。
光安定剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な光安定剤を採用し得る。
光安定剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。
光安定剤は、1種のみを含んでいても良く、2種以上を含んでいてもよい。
<B−1−2.W/O型エマルションを賦形する工程(II)>
工程(II)において、W/O型エマルションを賦形する方法としては、任意の適切な賦形方法を採用し得る。例えば、走行するベルト上にW/O型エマルションを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状に賦形する方法が挙げられる。また、熱可塑性樹脂フィルムの一面に塗工して賦形する方法が挙げられる。
工程(II)において、W/O型エマルションを賦形する方法として、熱可塑性樹脂フィルムの一面に塗工して賦形する方法を採用する場合、塗工する方法としては、例えば、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーターなどを用いる方法が挙げられる。
<B−1−3.賦形されたW/O型エマルションを重合する工程(III)>
工程(III)において、賦形されたW/O型エマルションを重合する方法としては、任意の適切な重合方法を採用し得る。例えば、加熱装置によってベルトコンベアーのベルト表面が加温される構造の、走行するベルト上にW/O型エマルションを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状に賦形しつつ加熱によって重合する方法や、活性エネルギー線の照射によってベルトコンベアーのベルト表面が加温される構造の、走行するベルト上にW/O型エマルションを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状に賦形しつつ活性エネルギー線の照射によって重合する方法が挙げられる。
加熱によって重合する場合、重合温度(加熱温度)は、下限値として、好ましくは23℃であり、より好ましくは50℃であり、さらに好ましくは70℃であり、特に好ましくは80℃であり、最も好ましくは90℃であり、上限値としては、好ましくは150℃であり、より好ましくは130℃であり、さらに好ましくは110℃である。重合温度が23℃未満の場合は、重合に長時間を要し、工業的な生産性が低下するおそれがある。重合温度が150℃を越える場合は、得られる発泡体の孔径が不均一となるおそれや、発泡体の強度が低下するおそれがある。なお、重合温度は、一定である必要はなく、例えば、重合中に2段階や多段階で変動させてもよい。
活性エネルギー線の照射によって重合する場合、活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線などが挙げられる。活性エネルギー線としては、好ましくは、紫外線、可視光線であり、より好ましくは、波長が200nm〜800nmの可視〜紫外の光である。W/O型エマルションは光を散乱させる傾向が強いため、波長が200nm〜800nmの可視〜紫外の光を用いればW/O型エマルションに光を貫通させることができる。また、200nm〜800nmの波長で活性化できる光重合開始剤は入手しやすく、光源が入手しやすい。
活性エネルギー線の波長は、下限値として、好ましくは200nmであり、より好ましくは300nmであり、上限値として、好ましくは800nmであり、より好ましくは450nmである。
活性エネルギー線の照射に用いられる代表的な装置としては、例えば、紫外線照射を行うことができる紫外線ランプとして、波長300nm〜400nm領域にスペクトル分布を持つ装置が挙げられ、その例としては、ケミカルランプ、ブラックライト(東芝ライテック(株)製の商品名)、メタルハライドランプなどが挙げられる。
活性エネルギー線の照射を行う際の照度は、照射装置から被照射物までの距離や電圧の調節によって、任意の適切な照度に設定され得る。例えば、特開2003-13015号公報に開示された方法によって、各工程における紫外線照射をそれぞれ複数段階に分割して行い、それにより粘着性能を精密に調節することができる。
紫外線照射は、重合禁止作用のある酸素が及ぼす悪影響を防ぐために、例えば、熱可塑性樹脂フィルム等の基材の一面にW/O型エマルションを塗工して賦形した後に不活性ガス雰囲気下で行うことや、熱可塑性樹脂フィルム等の基材の一面にW/O型エマルションを塗工して賦形した後にシリコーン等の剥離剤をコートしたポリエチレンテレフタレート等の紫外線は通過するが酸素を遮断するフィルムを被覆させて行うことが好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、一面にW/O型エマルションを塗工して賦形できるものであれば、任意の適切な熱可塑性樹脂フィルムを採用し得る。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムやシートが挙げられる。また、該フィルムは、一方またはその両面に剥離処理されていてもよい。
不活性ガス雰囲気とは、光照射ゾーン中の酸素を不活性ガスにより置換した雰囲気をいう。したがって、不活性ガス雰囲気においては、できるだけ酸素が存在しないことが必要であり、酸素濃度で5000ppm以下であることが好ましい。
<B−1−4.得られた含水重合体を脱水する工程(IV)>
工程(IV)では、得られた含水重合体を脱水する。工程(III)で得られた含水重合体中には水相成分が分散状態で存在する。この水相成分を脱水により除去して乾燥することにより、発泡体が得られる。
工程(IV)における脱水方法としては、任意の適切な乾燥方法を採用し得る。このような乾燥方法としては、例えば、真空乾燥、凍結乾燥、圧搾乾燥、電子レンジ乾燥、熱オーブン内での乾燥、赤外線による乾燥、またはこれらの技術の組み合わせ、などが挙げられる。
≪B−2.ガス吸着剤の含浸≫
一つの実施形態においては、上記のようにして得られた発泡体の連続気泡構造中に、ガス吸着剤を含浸させてガス吸着フィルムを得ることができる。ガス吸着剤としては、上記A項で説明したガス吸着剤が用いられ得る。発泡体に含浸させるガス吸着剤は、好ましくは液体であり、より好ましくはイオン液体等の物理吸収液である。本発明のガス吸着フィルムに含まれる発泡体は、微細な連続気泡構造を有するため、液体のガス吸着剤を容易に含浸させ、保持することができる。
≪B−3.本発明のガス吸着フィルムが基材を含有する場合≫
本発明のガス吸着フィルムが基材を含有する場合、本発明のガス吸着フィルムの製造方法の好ましい実施形態の一つとして、W/O型エマルションを基材の一面に塗工し、不活性ガス雰囲気下あるいはシリコーン等の剥離剤をコートした紫外線透過性のフィルムにより被覆して酸素が遮断された状態において、加熱または活性エネルギー線の照射を行うことによってW/O型エマルションを重合させて含水重合体とし、得られた含水重合体を脱水することで、基材/発泡層の積層構造としたガス吸着フィルムとする形態が挙げられる。この場合においても、ガス吸着剤を含むW/O型エマルションが用いられ得る。また、発泡層にガス吸着剤を含浸させてもよい。
本発明のガス吸着フィルムの製造方法の好ましい別の実施形態の一つとして、W/O型エマルションをシリコーン等の剥離剤をコートした紫外線透過性のフィルムの一面に塗布したものを2枚準備し、該2枚のうちの1枚のW/O型エマルション塗布シートの塗布面に基材を積層し、積層した該基材の他方の面に、もう1枚のW/O型エマルション塗布シートの塗布面を合わせるように積層した状態において、加熱または活性エネルギー線の照射を行うことによってW/O型エマルションを重合させて含水重合体とし、得られた含水重合体を脱水することで、発泡層/基材/発泡層の積層構造としたガス吸着フィルムとする形態が挙げられる。この場合においても、ガス吸着剤を含むW/O型エマルションが用いられ得る。また、発泡層にガス吸着剤を含浸させてもよい。
W/O型エマルションを基材またはシリコーン等の剥離剤をコートした紫外線透過性のフィルムの一面に塗工する方法としては、例えば、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーターなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、常温とは23℃を意味する。
(分子量測定)
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により重量平均分子量を求めた。
装置:東ソー(株)製「HLC−8020」
カラム:東ソー(株)製「TSKgel GMHHR−H(20)」
溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:ポリスチレン
(平均球状気泡径、平均貫通孔径、平均開口径の測定)
得られた発泡体をミクロトームカッターで厚み方向に切断したものを測定用試料とした。測定用試料の切断面を低真空走査型電子顕微鏡(日立製、S−3400N)で800倍〜5000倍にて撮影した。得られた画像を用いて任意範囲の球状気泡、貫通孔および表面開口について大きいものから約30個までの孔の長軸長さを測定し、その測定値の平均値を平均径とした。
(発泡体の密度の測定)
実施例で得られた構成材料中にガス吸着剤を含む発泡体、および比較例で得られた発泡体を得られた発泡体を100mm×100mmの大きさに5枚切りだして試験片とし、重量を体積で除して見掛け密度を求めた。得られた見掛け密度の平均値を発泡体の密度とした。
(気泡率の測定)
エマルションを製造する際の油相成分のみを重合し、得られた重合体シートを100mm×100mmの大きさに5枚切りだして試験片とし、重量を体積で除して密度を求めた。得られた密度の平均値を、発泡体を構成する材料の密度とした。発泡体の気泡率は、発泡体(実施例で得られた構成材料中にガス吸着剤を含む発泡体、および比較例で得られた発泡体)の見掛け密度を上記発泡体を構成する材料の密度で除した相対密度を用いて、下記式のように算出した。
気泡率=(1−相対密度)×100
(透気度の測定)
得られたガス吸着フィルムの透気度を透気度試験機(テスター産業社製、透気度試験機ガーレー式デンソーメーターPA)を用いて測定した。ここで、透気度とは、JIS P8117(1980)に準拠して測定されるもので、いわゆるガーレー透気度として表示され、空気100ccが透過する時間をいう。
(50%圧縮荷重の測定)
得られたガス吸着フィルムを25mm×25mmに打ち抜いた後、5枚積層し、測定用サンプルとした。測定にはテンシロンを使用し、常温下で、測定用サンプルに対して厚さ方向に初期厚みの50%まで速度10mm/分で圧縮し、厚みが50%圧縮された時点の最大値を測定した。サンプルはn=2で測定し、その平均値を50%圧縮荷重とした。
(脱臭性能評価)
得られたガス吸着フィルムを10×10cmに切り出し、試験片とした。
1000ccのテドラーバッグ内に試験片1枚と臭気性ガス500ccとを封入し、室温雰囲気下で1時間放置した。
1時間放置後、テドラーバッグ内の臭気を下記の基準で評価した。なお、1000ccのテドラーバッグ内にガスを500cc封入し、試験片は封入しなかったサンプルをブランクとした。また、臭気ガスとして、トルエンガス(20ppm)および酢酸ガス(50ppm)の2種類の臭気性ガスを用い、それぞれの臭気性ガスに対する脱臭性能を評価した。
5;においは感じられない
4;においは感じられるが、封入した臭気性ガスのにおいは感じられない
3;封入した臭気性ガスのにおいをわずかに感じる
2;封入した臭気性ガスのにおいをはっきり感じるが、ブランクよりは弱い
1;封入した臭気性ガスのにおいをはっきり感じるが、ブランクよりはやや弱い
0;封入した臭気性ガスのにおいをブランクと同程度感じる
〔製造例1〕:混合シロップ1の調製
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、エチレン性不飽和モノマーとしてアクリル酸2−エチルヘキシル(東亜合成(株)製、以下「2EHA」と略す)からなるモノマー溶液173.2重量部と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしてアデカ(登録商標)プルロニックL−62(分子量2500、ADEKA(株)製、ポリエーテルポリオール)100重量部と、ウレタン反応触媒としてジブチル錫ジラウレート(キシダ化学(株)製、以下「DBTL」と略す)0.014重量部とを投入し、攪拌しながら、水素化キシリレンジイソシアネート(武田薬品(株)製、タケネート600、以下「HXDI」と略す)12.4重量部を滴下し、65℃で4時間反応させた。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.6であった。その後、2ヒドロキシエチルアクリレート(キシダ化学(株)製、以下「HEA」と略す)5.6重量部を滴下し、65℃で2時間反応させ、親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップを得た。得られた親水性ポリウレタン系重合体の重量平均分子量は1.5万であった。得られた親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ100重量部に対して2EHAを27.3重量部、n−ブチルアクリレート(東亜合成社製、以下「BA」と略す)51.8重量部、イソボルニルアクリレート(例えば、大阪有機化学工業(株)製、以下「IBXA」と略す)を17.6重量部、極性モノマーとしてアクリル酸(例えば、東亜合成(株)製、以下「AA」と略す)を10.5重量部加え、親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ1とした。
〔製造例2〕:混合シロップ2の調製
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、エチレン性不飽和モノマーとしてIBXAからなるモノマー溶液173.2重量部と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしてアデカ(登録商標)プルロニックL−62(分子量2500、ADEKA(株)製、ポリエーテルポリオール)100重量部と、ウレタン反応触媒としてDBTLを0.014重量部とを投入し、攪拌しながら、HXDIを12.4重量部を滴下し、65℃で4時間反応させた。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.6であった。その後、HEAを5.6重量部を滴下し、65℃で2時間反応させ、親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップを得た。得られた親水性ポリウレタン系重合体の重量平均分子量は1.5万であった。得られた親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ100重量部に対して2EHAを24.7重量部、IBXAを69.3重量部、極性モノマーとしてAAを10.5重量部加え、親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ2とした。
〔実施例1〕
製造例1で得られた親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ1の100重量部に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKエステルA−HD−N」)(分子量226)20重量部、反応性オリゴマーとして、ポリテトラメチレングリコール(以下、「PTMG」と略す)とイソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略す)から合成されるポリウレタンの両末端がHEAで処理された、両末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンアクリレート(以下、「UA」と略す)(分子量3720)45重量部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASF社製、商品名「ルシリンTPO」)0.52重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・ジャパン社製、商品名「イルガノックス1010」)0.85重量部、ガス吸着剤として粒状活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製、商品名「白鷲DO−5」、平均粒径60μm)300重量部を均一混合し、連続油相成分(以下、「油相」と称する)とした。一方、上記油相100重量部に対して水相成分(以下、「水相」と称する)としてイオン交換水177.8重量部を常温下、上記油相を仕込んだ乳化機である攪拌混合機内に連続的に滴下供給し、安定なW/O型エマルションを調製した。なお、水相と油相の重量比は64/36であった。
得られたW/O型エマルションを常温で1時間静置保存した後、光照射後の厚さが0.3mmとなるように離型処理された基材上に塗布し連続的に成形した。さらにその上に厚さ38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを被せた。このシートにブラックライト(15W/cm)を用いて光照度5mW/cm(ピーク感度最大波350nmのトプコンUVR−T1で測定)の紫外線を照射し、厚さ0.3mmの高含水架橋重合体を得た。次に上面フィルムを剥離し、上記高含水架橋重合体を130℃にて20分間に亘って加熱することによって、厚さ0.3mmの発泡体を含むガス吸着フィルムを得た。
結果を表1に示した。
〔実施例2〕
製造例1で得られた親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ1に代えて、製造例2で得られた親水性ポリウレタン系重合体/エチレン性不飽和モノマー混合シロップ2を用い、ガス吸着剤として粒状活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製、商品名「白鷲DO−5」、平均粒径60μm)に代えて、粒状活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製、商品名「白鷲E−25KN」、平均粒径26μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ガス吸着フィルムを得た。
結果を表1に示した。
〔比較例1〕
ガス吸着剤を添加せずに油相を調製した以外は、実施例1と同様にしてガス吸着フィルムを得た。なお、W/O型エマルションにおける水相と油相の重量比は75/25であった。
結果を表1に示した。

本発明のガス吸着フィルムは、ガス、臭気等を効率的に吸着し得るガス吸着材として有用である。
100 ガス吸着フィルム
10 発泡体
10a 発泡体
10b 発泡体
20 基材
30 剥離フィルム

Claims (5)

  1. 隣接する球状気泡間に貫通孔を有する連続気泡構造を有する発泡体を有し、
    該発泡体中にガス吸着剤を含み、
    該球状気泡の平均孔径が20μm未満であり、
    該貫通孔の平均孔径が5μm以下であり、
    該発泡体の表面に平均孔径が20μm以下の表面開口部を有する、
    ガス吸着フィルム。
  2. 前記発泡体の気泡率が、30%以上である、請求項1に記載のガス吸着フィルム。
  3. 基材をさらに有する、請求項1または2に記載のガス吸着フィルム。
  4. 透気度が200秒以下である、請求項1から3のいずれかに記載のガス吸着フィルム。
  5. 常態せん断接着力が、1N/cm以上である、請求項1から4のいずれかに記載のガス吸着フィルム。



JP2012069029A 2012-03-26 2012-03-26 ガス吸着フィルム Pending JP2013198874A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012069029A JP2013198874A (ja) 2012-03-26 2012-03-26 ガス吸着フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012069029A JP2013198874A (ja) 2012-03-26 2012-03-26 ガス吸着フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013198874A true JP2013198874A (ja) 2013-10-03

Family

ID=49519530

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012069029A Pending JP2013198874A (ja) 2012-03-26 2012-03-26 ガス吸着フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013198874A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5481324B2 (ja) 発泡粘着体
TWI564155B (zh) Composite sheet
JP5642489B2 (ja) 耐熱性低熱伝導発泡体
WO2012029537A1 (ja) 発泡体、発泡体の製造方法、および機能性発泡体
WO2012026368A1 (ja) W/o型エマルション、発泡体、および機能性発泡体
JP2013124279A (ja) 保護材
JP6027422B2 (ja) 仮固定材
JP5877656B2 (ja) 発泡体シート
JP5695863B2 (ja) 発泡体の製造方法
WO2013111717A1 (ja) 発泡拡散反射体
JP2013114137A (ja) 印刷層付発泡体
WO2013089086A1 (ja) 表示用貼付物
WO2013011882A1 (ja) 発泡体シート
JP2013112768A (ja) 衝撃吸収発泡体
JP5749986B2 (ja) 複合シート
JP5513309B2 (ja) 発泡体シート
JP2012082258A (ja) 吸液性連続多孔体
JP2012097250A (ja) 高気密性発泡体
JP2013147521A (ja) 近赤外光反射材
JP2013198874A (ja) ガス吸着フィルム
JP5496024B2 (ja) 発泡拡散反射体
JP5613496B2 (ja) W/o型エマルション
JP2013144789A (ja) 滑り止め材
WO2013121907A1 (ja) 発泡拡散反射体
JP2013014717A (ja) 無機粒子含有発泡体