JP2013198690A - 電極ユニットおよび組織刺激システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極ユニット2は、互いに離間して配置された先端留め具31および基端留め具32と、弾性材料で軸状に形成されて端部が留め具にそれぞれ接続され、両留め具を通る軸線C1に沿う軸線方向の中間部分が軸線から離間するように湾曲するとともに中間部分が軸線周りに互いに離間して配置された複数の支持部33と、支持部の中間部分における軸線とは反対側に設けられた一対の刺激電極34と、先端部が一対の刺激電極に電気的に接続され、一対の刺激電極が設けられた支持部に沿って基端側に延びる配線部35と、先端側の開口36aが先端留め具および基端留め具の少なくとも一方の近傍に配置され、基端側が配線部に沿って延びる送液管36とを備える。
【選択図】図1
Description
これらの刺激発生装置は、電気的刺激を伝達する電極リード(電極ユニット)を生体内の刺激対象と密着させるため、電極リードを生体に埋め込んで使用される場合がある。
例えば、特許文献1(図1)には、心臓が徐脈を発生したときに心臓を刺激して心拍数を上昇させ、心臓が頻脈または細動を発生したときに迷走神経を刺激して心拍数を低下させる、埋め込み式の心臓治療装置が開示されている。この心臓治療装置では、心臓刺激電極が心筋内または心房内に配置され、神経刺激電極が頸部の迷走神経に巻きつけた状態に配置されている。
具体的には、神経組織は細く、隣接して血管が存在することが多く、神経組織に電極部を取り付けるときには、神経組織と血管とを結合する組織を部分的に剥離し、この分離した部分に電気刺激を行う電極部を取り付ける必要がある。この際に、神経組織を傷つけないよう慎重に装着することが求められるとともに、特許文献1の電極構造は侵襲性が比較的大きいため、一時的な刺激用途や、取り付け短時間が求められる緊急用途には適さないと推測される。
また、電極部を神経組織に直接接触させて電気刺激を印加する場合、柔軟な神経組織に対して硬質の電極部を確実に接触させる必要があり、ある程度、神経組織を押圧せざるをえない。このとき、押圧力が大きすぎると神経組織が圧迫されて良好な治療効果を発揮させることができなくなったり、神経組織にダメージが発生したりするおそれがある。
本発明の電極ユニットは、互いに離間して配置された先端留め具および基端留め具と、弾性材料で軸状に形成されて端部が前記先端留め具および前記基端留め具にそれぞれ接続され、前記先端留め具および前記基端留め具を通る軸線に沿う軸線方向の中間部分が前記軸線から離間するように湾曲するとともに前記中間部分が前記軸線周りに互いに離間して配置された複数の支持部と、少なくとも1つの前記支持部の前記中間部分における前記軸線とは反対側に設けられた一対の刺激電極と、先端部が一対の前記刺激電極に電気的に接続され、一対の前記刺激電極が設けられた前記支持部に沿って基端側に延びる配線部と、先端側の開口が前記先端留め具および前記基端留め具の少なくとも一方の近傍に配置され、基端側が前記配線部に沿って延びる送液管と、を備えることを特徴としている。
また、上記の電極ユニットにおいて、少なくとも1つの前記支持部の前記中間部分における前記軸線側に設けられた一対の測定電極と、先端部が一対の前記測定電極に電気的に接続され、一対の前記測定電極が設けられた前記支持部に沿って基端側に延びる第二の配線部と、を備えることがより好ましい。
また、上記の電極ユニットにおいて、前記支持部に設けられた一対の前記刺激電極は、前記軸線に直交する方向に一対の前記刺激電極に対向するように見たときに、一対の前記刺激電極を通る基準線が前記軸線に対して交差するように配置されていることがより好ましい。
また、上記の電極ユニットにおいて、複数の前記支持部は、前記軸線周りに等角度ごとに配置されていることがより好ましい。
また、上記の電極ユニットにおいて、前記先端留め具には開口部が形成され、前記送液管の前記開口が前記開口部に連通していることがより好ましい。
また、本発明の組織刺激システムは、上記に記載の電極ユニットと、前記配線部の基端に着脱可能とされ、一対の前記刺激電極間に電気的刺激を発生させるための刺激発生部と、前記送液管の基端に着脱可能とされ、前記送液管の管路に抗凝固剤を供給するための薬液供給部と、を備えることを特徴としている。
以下、本発明に係る組織刺激システムの第1実施形態を、図1から図10を参照しながら説明する。この組織刺激システムは、患者の血管内に一定期間留置させ、血管の管壁を通して周囲の神経組織に電気的刺激を印加するためのものである。
図1および図2に示すように、本実施形態の組織刺激システム1は、本発明の電極ユニット2と、電極ユニット2に着脱可能とされた電気刺激装置(刺激発生部)20およびシリンジピストンポンプ(薬液供給部)25とを備えている。
ワイヤ部33は、図3に示すように、中心に設けられたワイヤ41と、ワイヤ41の外周面を覆う内部被膜42と、内部被膜42の外周面を覆う外部被膜43とを有している。
ワイヤ41としては、形状記憶合金や超弾性ワイヤなど、重力以外の外力が作用していない自然状態のワイヤ41に外力を作用させて変形させた後で、その外力を解除したときに塑性変形することなく元の形状に戻る材料のものを好適に用いることができる。ワイヤ41の外径は、例えば、0.3〜0.5mmに設定される。
被膜42、43は、ポリウレタンなどの樹脂で、厚さが50〜500μmとなるように形成されている。このように構成することで外部被膜43の外周面が滑らかとなり、この外周面上に血栓が生じるのが防止される。
外部被膜43には、先端留め具31および基端留め具32を通る直線状の軸線C1(図1参照。)を規定したときに、外部被膜43の軸線C1方向の中間部分における軸線C1とは反対側に、一対の透孔43aが軸線C1方向に並べて形成されている。透孔43aは図4に示す側面視で、軸線C1方向に長いほぼ楕円形状に形成されている。透孔43aの大きさは、例えば、長径が1.8mm、短径が0.5mmとなっている。一対の透孔43aの中心部の軸線C1方向の距離は、3〜5mm程度に設定されている。
それぞれの刺激電極34の内周面には、配線部35を構成する電気配線35aが電気的に接続されている。電気配線35aとしては、耐屈曲性を有するニッケルコバルト合金(35NLT25%Ag材)からなる撚り線を、電気的絶縁材(例えば、厚さ20μmのETFE(ポリテトラフルオロエチレン)等)で被覆したものを好適に用いることができる。
電気配線35aは、外部被膜43内に配置されて外部被膜43に沿って延び、基端留め具32内を通してさらに基端側に延びている。
本実施形態では、4本のワイヤ部33は、軸線C1周りに等角度ごとに配置されている。すなわち、ワイヤ部33は、軸線C1方向の中間部分が軸線C1から離間するように湾曲するとともに、この中間部分が軸線C1周りに互いに離間するように配置されている。4本のワイヤ部33は、球面上に配置される。
4本のワイヤ部33、および留め具31、32で、電極部38を構成する。
自然状態における電極部38の外径D1は、20〜40mm程度となる。この外径D1は、電極部38が留置される血管の内径よりも大きく設定される。
ワイヤ部33は留め具31、32に、溶接、接着、またはカシメなどで接合されている。
基端留め具32には、管状のリード本体45の先端部が取り付けられている。リード本体45はポリウレタンなどで形成されていて、その大きさは、例えば、外径が2〜3mm、長さが500mm程度となる。リード本体45内に前述の配線部35および送液管36が挿通されている。送液管36の基端側は、リード本体45の側面から突出するように構成されていて、送液管36の基端部には、ルアーロックを備えるコネクタ46が取り付けられている。リード本体45における送液管36が突出する部分は、血管内に電極部38を留置する時に患者の体外に位置する部分となる。
コネクタ48は、負電極用コネクタピン48aおよび正電極用コネクタピン48bと、一対のゴムリング48cとを備える。ゴムリング48cは、負電極用コネクタピン48aおよび正電極用コネクタピン48bを互いに絶縁するとともに、電気刺激装置20に接続した時に水密を保つためのものである。負電極用コネクタピン48aおよび正電極用コネクタピン48bは、いずれもステンレス鋼で形成されている。また、ゴムリング48cは、生体適合性を有するシリコーンゴムによって形成されている。コネクタ48としては、IS1型以外にも、電気刺激装置20が体外に設置される場合に用いられる防水コネクタを用いることができる。
図1に示すように、電気刺激装置20が有するコネクタ21と、前述のコネクタ48とにより、配線部35の基端部に電気刺激装置20が着脱可能となっている。そして、両コネクタ21、48を接続したときに、電気刺激装置20は、それぞれのワイヤ部33に設けられた一対の刺激電極34間に、前述のバイフェージック波形を印加することができる。その際に、一対の刺激電極34のうち一方の刺激電極34がプラス側電極として作用し、他方の刺激電極34がマイナス側電極として作用する。
なお、本組織刺激システム1は、体内にシステム全体を植え込む長期神経刺激システムとは異なり、短期神経刺激を行うことに適している。
外頚静脈P2に電極部38を導入すると、図8に示すように、外頚静脈P2の内壁に押されることで、それぞれのワイヤ部33が軸線C1側に弾性的に変形して電極部38全体として縮径するとともに、軸線C1方向に延びる。これにより、電極部38の外径D2は、自然状態における外径D1より小さくなる。
図9に示すように、この上大静脈P3に隣接して迷走神経(神経組織)P6が併走している。
術者は、リード本体45を操作して、電極部38における上大静脈P3の長手方向の位置を調節するとともに、リード本体45を軸線C1回りに回転させながら患者Pに取り付けた心電計などにより心拍数を測定する。一対の刺激電極34が迷走神経P6に近づいて対向するように配置され、一対の刺激電極34から迷走神経P6に伝達される電気的刺激が大きくなったときに、患者Pの心拍数が最も低下する。術者は、心拍数が最も低下するように、すなわち、一対の刺激電極34が迷走神経P6側に向くように、電極部38の軸線C1回りの向きを調節する。
上大静脈P3における電極部38が配置された部分では、図9中に矢印A1で示すように血液が流れる。このため、開口36aから放出された抗凝固剤は、血液とともにワイヤ部33に沿うように先端留め具31側に移動し、ワイヤ部33や留め具31、32で血液が凝固して血栓が生じるのが抑えられる。
なお、抗凝固剤の供給を開始する時期はこれに限ることなく、上大静脈P3に電極部38を配置したときに抗凝固剤の供給を開始するなど、適宜設定することができる。
電極ユニット2を引き戻すと、血管やイントロデューサーの内径に応じて電極部38の外径が変化するため、小さな傷口からも抜去することができ、電極ユニット2を患者Pの体外に容易に取り出すことができる。電極ユニット2の抜去のために、外科的な再手術は必要としない。
この後で、開口P1を縫合するなど適切な処置を行い、一連の手技を終了する。
電気刺激装置20により発生させたバイフェージック波形群を配線部35を介して一対の刺激電極34間に印加しつつ、電極ユニット2を軸線C1回りに回転させて患者Pの心拍数を測定する。このようにすることで、刺激電極34が迷走神経P6側に向いて迷走神経P6に効果的に電気的刺激を印加できるように、電極部38の向きを調節することができる。刺激電極34が血液に接触するのを抑え、一対の刺激電極34間に印加した電圧が、血液側に漏洩するのを抑制することができる。
このように、上大静脈P3内に配置された一対の刺激電極34から上大静脈P3の管壁を介して迷走神経P6に電気的刺激を印加することで、迷走神経P6に直接的接触することなく間接的に電気的刺激を与えることができる。これにより、低侵襲で処置を行うことができる。
生体内の血管形状は部位により様々な形状をなしているが、本実施の形態のワイヤ部33は軸線C1周りに等角度ごとに配置されているため、様々な血管形状に呼応して変形し、確実に、刺激電極34を血管の内壁に当接させ、血液に電気が漏洩するのを抑えることができる。
なお、上記作用効果は低下するが、ワイヤ部33を軸線C1周りに不均等角度ごとに配置されている場合でも、電極部38の操作性を幾分改善し、血管形状によっては対応できることは言うまでもない。
さらに、本実施の形態においてはワイヤ部33を4本形成した場合を示したが、2本以上あれば、血管内で電極部38を任意の位置に固定できることは言うまでもない。ワイヤ部33の形成本数が多いほど、より安定した操作性が実現でき、様々な血管形状に対応した固定が実現しやすくなる。
本組織刺激システムを用いることにより、急性心筋梗塞時の再灌流治療後に発生する不整脈及びリモデリング現象を低減することができる。迷走神経P6を電気的に刺激し、再灌流治療後に一定期間、継続的に心拍数を低下させることにより、心臓の負荷を減少させ、心臓リモデリングを低減することができる。
このように構成することで、シリンジピストンポンプ25から抗凝固剤を供給したときに側部開口36cからも抗凝固剤が放出される。したがって、ワイヤ部33や留め具31、32に血栓が発生するのをより確実に抑えることができる。
なお、送液管36に形成される側部開口36cの数に制限はなく、複数でもよいことは言うまでも無い。
次に、本発明の第2実施形態について図11から図13を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図11および図12に示すように、本実施形態の組織刺激システム3で用いられる電極ユニット4は、第1実施形態の電極ユニット2において送液管36の開口36aの位置が変更されているとともに、ガイドシース50を備えている。
ガイドシース50は、前述のETFE等で形成することができ、その厚さは、術者が周方向に容易に引き裂くことができるように設定されている。ガイドシース50を引き裂きやすいように、ガイドシース50の外面に長手方向に延びる溝を形成してもよい。
ガイドシース50を装着した電極ユニット4を、開口P1から右鎖骨下静脈P7を通して経静脈的に導入する。ガイドシース50の先端側には湾曲部51が設けられているため、右鎖骨下静脈P7に導入した電極部38を内頸静脈P4側に向けることができる。電極ユニット4を押し込んで電極部38を内頸静脈P4内に留置してから、ガイドシース50を引き裂いて除去する。
この後で、第1実施形態と同様に、電極部38の軸線C1回りの向きを調節する。本実施形態においても、一対の刺激電極34を迷走神経P6側に対向させて血管内壁に当接させることにより、患者Pの心拍数が顕著に低下する。
電極ユニット4にガイドシース50を備えることで、右鎖骨下静脈P7に導入した電極部38を内頸静脈P4側に容易に向けることができ、手技を容易にすることができる。
なお、基端留め具32近傍に抗凝固剤を放出する開口をさらに形成することにより、血栓が生じるのをさらに効果的に抑えられることは言うまでも無い。
電極ユニット4Aをこのように構成することで、電極ユニット4Aを内頸静脈P4に留置したときに、開口部31aから抗凝固剤を放出することで、先端留め具31とワイヤ部33との接続部に発生する血栓も効果的に低減することができる。
以上のように、電極部が設置される血管の血流に合わせ、血栓が生じやすい部分に積極的に抗凝固剤を放出する開口を形成することにより、血栓が生じるのを効果的に抑えられる。よって、抗凝固剤を放出する開口はこれらに限定されるものではなく、例えば、先端留め具31には、基端留め具32側に開口する開口部を設けてもよい。
次に、本発明の第3実施形態について図16から図18を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図16に示すように、本実施形態の組織刺激システム5で用いられる電極ユニット6は、第1実施形態の電極ユニット2の各構成に加えて、一対の刺激電極34が設けられたワイヤ部33とは異なるワイヤ部33に設けられた一対の測定電極61と、先端部が一対の測定電極61に電気的に接続された第二の配線部62とを備えている。
測定電極61は、図17に示すように円筒形状に形成され、刺激電極34とは軸線C1方向に位置をずらして配置されている。測定電極61は、透孔43bを塞ぐことで外部に露出している。それぞれの測定電極61の内周面には、第二の配線部62を構成する電気配線62aが電気的に接続されている。測定電極61、第二の配線部62は、刺激電極34、配線部35と同様に構成されているため、説明を省略する。
制御部は、心臓が徐脈の状態になって心拍数が低下したときには、電気刺激供給部が出力する電気的刺激のエネルギーを低下又は供給停止させる。これにより、心臓の心拍数低下が抑えられ、心拍数が上昇する。一方で、心臓が頻脈の状態になって心拍数が上昇したときには、電気刺激供給部が出力する電気的刺激のエネルギーを増加させる。これにより、静脈の近傍を通る迷走神経を刺激して、心拍数を低下させる。
さらに、一対の測定電極61および第二の配線部62を備えることで、一対の測定電極61間の電位差から患者Pの心拍数を計測し、患者Pが所定の心拍数になるように迷走神経P6に印加する電気的刺激のエネルギーを調節することができる。
電気刺激装置は患者Pが徐脈になりすぎることを監視でき、異常時にはアラームを出すとともに、電気刺激条件を自動で変更し、心拍数が一定の割合で低下した状態を常時維持できる。また、患者Pの生体活動により、心拍数が変化しても、所定量の心拍低下効果、言い換えれば心臓負担の軽減効果を常時維持することができる。
患者Pの体表面に心電図パッドを設置して測定する一般的な心電信号に比較して、本実施形態の血液を経由して取得する心電波形は、生体活動によるノイズの影響を受けづらく、心拍数を安定して計測することができる。
また、本実施の形態では刺激電極34と測定電極61をそれぞれ異なるワイヤ部33に形成したが、一つのワイヤ部33に刺激電極34と測定電極61を形成してもよい。この際、一対の刺激電極34を挟むように、先端留め具31側と基端留め具32側に測定電極61を形成し、測定電極61の電極間隔を長くするほうが、心電図波形を良好に取得することが可能である。
次に、本発明の第4実施形態について図19および図20を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図19および図20に示すように、本実施形態の組織刺激システム7で用いられる電極ユニット8は、第1実施形態の電極ユニット2の先端留め具31に、軸線C1上で貫通する先端貫通孔31bが形成されている。
本実施形態の組織刺激システム7は、送液管36の管路36b、および先端貫通孔31bにスタイレット(軸状部材)Sが挿通されて用いられる。先端貫通孔31bにスタイレットSを挿通したときに、先端留め具31より前方にスタイレットSが充分に突出するように用いる。スタイレットSにおける先端貫通孔31bに挿通される部分S1の外面の断面は、前述の先端貫通孔31bの断面よりわずかに小さな楕円形に形成されている。スタイレットSは、一定の可撓性を有するとともに、自身の中心軸線回りのトルクを伝達できる程度の剛性を有するものとなっている。スタイレットSの先端部は略半球状に形成されていて、血管内壁を傷つける恐れがないものを用いることが好ましい。
すなわち、患者Pの体外において、送液管36の管路36b、および先端留め具31の先端貫通孔31bにスタイレットSを挿通しておく。そして、対象となる血管内に電極部38を留置する。スタイレットSは可撓性を有するので、血管内において、電極ユニット8とともにスタイレットSを容易に湾曲させることができる。また、電極部38を留置するときに、電極部38が軸線C1方向に延びることでスタイレットSに対して先端留め具31が前方に移動する。しかし、先端留め具31より前方にスタイレットSを充分に突出させていたため、スタイレットSから先端留め具31が脱落することはない。
なお、電極部38の向きを調節した後で、スタイレットSは送液管36から引き抜かれ、抗凝固剤を供給するための流路が確保される。
さらに、術者が作用させる回転力を、スタイレットSを介して電極部38に効果的に伝達することができ、電極部38の軸線C1回りの向きを短時間で調節することができる。
たとえば、図21に示す電極ユニット11のように、4本のワイヤ部33のうちの一部のワイヤ部33を、軸線C1から離間するように湾曲する程度が他のワイヤ部33よりも小さくなるように構成してもよい。
また、図22に示すように、電極ユニット12が備えるワイヤ部33の数に制限はなく、複数であればいくつでもよい。ワイヤ部33の数を多くすることで、電極ユニット12を血管内に安定して留置することができる。内径の大きい血管に留置する時はワイヤ部33の数を多くし、内径の小さい血管に留置する時はワイヤ部33の数を少なくすることが好ましい。
ワイヤ部33は軸線C1周りに等角度ごとに配置されていなくてもよく、軸線C1周りに血管の管壁を支持できるように配置されていればよい。
以上のように構成された電極ユニット13を血管内に留置すると、基準線C3は、軸線C1すなわち血管の長手方向に対して傾斜して配置されることになるが、これは、血管に対して迷走神経P6が斜めに併走している場合に有効である。
また、血管に対して迷走神経P6が平行に併走している場合、斜めに併走している場合のいずれにおいても、一対の刺激電極34が迷走神経P6をまたぐように配置することができ、一対の刺激電極34で迷走神経P6を確実に刺激することができる。
また、刺激電極34が形成されないワイヤ部73の軸線C1側に前述の測定電極61を形成してもよいことは言うまでもない。
また、図25に示す電極ユニット14では、4本のワイヤ部75の内2本に、対となる刺激電極34が1個ずつ形成されている。一対の刺激電極34を通る基準線C3は前述のように、軸線C1に対して交差するように配置されており、同様に、血管に対して迷走神経P6が斜めに併走している場合に有効である。
また、留め具31、32、ワイヤ部、リード本体の外面などに、血液の凝固を防止するためのコーティングを施すことは、当然に有効である。
2、2A、4、4A、6、8、11、12、13、14 電極ユニット
31 先端留め具
31a 開口部
32 基端留め具
33、73、75 ワイヤ部(支持部)
34 刺激電極
35 配線部
36、56 送液管
36a、56a 開口
36c 側部開口
50 ガイドシース
51 湾曲部
52 チャンネル
61 測定電極
62 第二の配線部
C1 軸線
C2 中心軸線
C3 基準線
S スタイレット(軸状部材)
Claims (9)
- 互いに離間して配置された先端留め具および基端留め具と、
弾性材料で軸状に形成されて端部が前記先端留め具および前記基端留め具にそれぞれ接続され、前記先端留め具および前記基端留め具を通る軸線に沿う軸線方向の中間部分が前記軸線から離間するように湾曲するとともに前記中間部分が前記軸線周りに互いに離間して配置された複数の支持部と、
少なくとも1つの前記支持部の前記中間部分における前記軸線とは反対側に設けられた一対の刺激電極と、
先端部が一対の前記刺激電極に電気的に接続され、一対の前記刺激電極が設けられた前記支持部に沿って基端側に延びる配線部と、
先端側の開口が前記先端留め具および前記基端留め具の少なくとも一方の近傍に配置され、基端側が前記配線部に沿って延びる送液管と、
を備えることを特徴とする電極ユニット。 - 前記送液管の長手方向の中間部には、前記送液管の管路に連通する側部開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
- 少なくとも1つの前記支持部の前記中間部分における前記軸線側に設けられた一対の測定電極と、
先端部が一対の前記測定電極に電気的に接続され、一対の前記測定電極が設けられた前記支持部に沿って基端側に延びる第二の配線部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。 - 前記支持部に設けられた一対の前記刺激電極は、前記軸線に直交する方向に一対の前記刺激電極に対向するように見たときに、一対の前記刺激電極を通る基準線が前記軸線に対して交差するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
- 前記先端留め具には前記軸線上で貫通する先端貫通孔が形成され、
前記先端貫通孔の内面における前記軸線に直交する断面は、円形以外の形状に形成され、
前記送液管の管路および前記先端貫通孔に挿通された軸状部材をその中心軸線回りに回動させたときに前記軸状部材が前記先端貫通孔の内面に係合することを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。 - 複数の前記支持部は、前記軸線周りに等角度ごとに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
- 前記先端留め具には開口部が形成され、
前記送液管の前記開口が前記開口部に連通していることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。 - 前記先端留め具、前記基端留め具および前記軸線側に弾性的に変形した複数の前記支持部が挿通可能なチャンネルが形成され、先端部に自然状態で湾曲した湾曲部が設けられたガイドシースを備えることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
- 請求項1に記載の電極ユニットと、
前記配線部の基端に着脱可能とされ、一対の前記刺激電極間に電気的刺激を発生させるための刺激発生部と、
前記送液管の基端に着脱可能とされ、前記送液管の管路に抗凝固剤を供給するための薬液供給部と、
を備えることを特徴とする組織刺激システム。
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