JP5624779B2 - 電気刺激システム - Google Patents
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Description
これらの刺激発生装置は、電気的刺激を伝達する電極リードを生体内の刺激対象と密着させるため、電極リードを生体に埋め込んで使用される場合がある。
一般に、電極リードは、生体組織に電気的刺激を与え、もしくは生体組織に生じる電気的興奮を検出するための少なくとも1つの電極部と、刺激発生装置と電気的に接続するための電気コネクタと、電極部と刺激発生装置との間に設けられ電気的刺激を伝達するためのリードボディとを有している。
例えば、特許文献1には、心臓が徐脈を発生したときに心臓を刺激して心拍数を上昇させ、心臓が頻脈または細動を発生したときに迷走神経を刺激して心拍数を低下させる、埋め込み式の心臓治療装置が開示されている。この心臓治療装置では、心臓刺激電極が、心筋内または心房内に配置され、神経刺激電極が、頚部の迷走神経に巻きつけて配置されている。
具体的には、神経組織は細く、隣接して血管が存在することが多く、神経組織に電極を取り付けるときには、神経組織と血管とを結合する組織を部分的に剥離し、この分離した部分に電気刺激を行う電極部を取り付ける必要がある。この際に、神経組織を傷つけないよう慎重に装着することが求められる。
また、電極部を神経組織に直接接触させて電気刺激を印加する場合、柔軟な線状組織である神経組織に対して硬質の電極部を確実に接触させる必要があり、ある程度、神経組織を押圧せざるをえない。このとき、押圧力が大きすぎると神経組織が圧迫されて良好な治療効果を発揮させることができなくなったり、神経組織にダメージが発生したりするおそれがある。
本発明の第1の実施形態に係る電気刺激システムについて説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る電気刺激システムの上大静脈への装着時に様子を示す模式的な断面図である。図1(b)は、図1(a)におけるA部を拡大した模式的な斜視図である。図2は、図1(b)におけるB−B断面図である。図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係る電気刺激システムに用いる被覆導線部材および電気刺激ブロックの模式的な正面図である。図3(b)、(c)は、それぞれ図3(a)におけるC視図およびD−D断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る電気刺激システムに用いる被覆導線部材および電気刺激ブロックの軸方向に沿う部分断面図である。図5(a)は、本発明の第1の実施形態の電気刺激システムに用いる回転部材の模式的な正面図である。図5(b)は、図5(a)におけるE部の拡大図である。図5(c)は、図5(b)におけるF視図である。
なお、各図面は、模式図のため形状や寸法は誇張されている(以下の図面も同じ)。
電気刺激システム1は、体内に埋め込まれるかまたは体外に設置される電気刺激装置200に、電気刺激リード2を接続し、電気刺激リード2をその先端に設けられた電気刺激ブロック部3とともに、例えば上大静脈V1などの血管内に挿入し、電気刺激ブロック部3から血管外の神経組織、例えば迷走神経VNなどを電気刺激するものである。
近年、心不全の治療法の分野において、慢性心不全の増悪時に、その予後が悪化することが明らかになりつつあり、自律神経に対して直接的に電子的介入を加える神経刺激装置を用いることにより、循環調節異常を是正できることが知られるようになった。
本実施形態の電気刺激システム1は、このような心臓H近傍の神経組織を電気刺激する治療に、特に好適に用いることができるものである。
以下では、一例として、図1(a)、(b)、図2に示すように、電気刺激システム1の電気刺激ブロック部3を上大静脈V1から挿入して、迷走神経VNが近接する血管の内壁部に配置し、迷走神経VNに電気刺激を与える場合の例で説明する。
また、以下では、血管に挿入する部材の軸方向に沿う位置関係を表す場合に、誤解のおそれがなければ、挿入方向における先端側を、単に先端側、先端側と反対側を基端側と称する場合がある。また先端、先端部等の語句も同様の位置関係の意味に用いる場合がある。
なお、電気刺激システム1は、血管の近傍に位置する神経組織であれば、どの神経組織に対しても電気刺激を与えることができ、迷走神経VNの電気刺激治療用途に限定されるものではない。
電気刺激装置200の電気刺激条件としては、電気刺激パルス電圧の大きさ、周波数、パルス幅、刺激終了時間、刺激開始時間、刺激継続時間、電気刺激停止等を挙げることができる。
コネクタ4は、電気刺激装置200の表面に設けられた接続端子200a(図1(a)参照)に接続される端子部であり、電気刺激リード2の血管に対する挿入方向の基端側に設けられている。
コネクタ4のコネクタタイプとしては、電気刺激装置200の接続端子200aの形状に合った適宜のコネクタタイプを採用することができる。
本実施形態では、電気刺激装置200が体内設置の場合に用いられるIS1コネクタを採用している。すなわち、コネクタ4は、負電極用コネクタピン4aおよび正電極用コネクタピン4bと、1対のゴムリング4cとを備える。ゴムリング4cは、負電極用コネクタピン4aおよび正電極用コネクタピン4bを互いに絶縁するとともに、接続端子200bとの接続時に水密を保つものである。
負電極用コネクタピン4aおよび正電極用コネクタピン4bは、いずれもステンレス製である。また、ゴムリング4cは生体適合性を有するシリコーンゴムによって形成されている。
コネクタ4の他のコネクタタイプとしては、電気刺激装置200が体外設置の場合に用いられる防水コネクタを挙げることができる。
また、導線2bは、正電極用コネクタピン4bと後述する電気刺激ブロック部3の正電極5bとを電気的に接続する線状またはコイル状の電気導電体である。導線2bは、導線2aと同様の形状、材質を採用することができる。本実施形態では、一例として、ニッケルコバルト合金からなる撚り線を採用している。
負電極用コネクタピン4a、正電極用コネクタピン4bにそれぞれ接続された導線2a、2bは、図4に示すように、互いを絶縁する状態で被覆する被覆チューブ2dに挿通され、被覆チューブ2dが接続された被覆部材2cの基端部に導かれ、さらに被覆部材2cの内部に挿通されている。
被覆チューブ2dの材質は、例えば、ポリウレタン樹脂を採用することができる。
被覆部材2cの断面形状における外形は。上大静脈V1などの血管の内壁と滑らかに接触し周方向に回転移動できる平滑な湾曲面によって形成される。例えば、円形、楕円形、長円形などの形状やこれらに近似する形状を採用することができる。
本実施形態では、被覆部材2cの断面形状は円形であり、その外径は、上大静脈V1に挿入時に血流を阻害しないように、上大静脈V1の内径よりも十分小さい径に設定される。また、後述するように上大静脈V1に挿通可能な外径を有する回転部材7の内部に挿通可能な径とされる。例えば、被覆部材2cの直径は、φ1mm〜φ2.5mmに設定することが好ましい。本実施形態では、被覆部材2cの直径は、φ2mmとしている。
被覆部材2cの材質は、電気絶縁性、可撓性、および血管内における生体適合性を有する材質で構成され、本実施形態ではポリウレタン樹脂が採用されている。
また、被覆部材2cの外表面には血栓防止コーティングが施されていてもよい。
本実施形態では、支持体3aは、被覆部材2cと同径の円柱状の外形を有し、被覆部材2cと同じ絶縁材料によって、被覆部材2cと一体に成形されている。
負電極5a、正電極5bは、図3(a)、(b)に示すように、支持体3aの側面において、それぞれ側面視矩形状の電極面が露出されている。負電極5a、正電極5bの支持体3aの側面における配置位置は、支持体3aの軸方向に互いに間をあけて1列に整列して配置されている。本実施形態では、支持体3aの先端側から負電極5a、正電極5bの順に配置されている。また、負電極5a、正電極5bの各電極面の軸方向の長さは、一例としてそれぞれ2mmとされ、負電極5a、正電極5bの軸方向の隙間(離間間隔)は、一例として5mmに設定されている。
また、支持体3aの内部側の形状は、支持体3aに固定できる形状であれば、特に限定されない。例えば、図3(c)には、内部形状が略平板状とされ、電極面を含む断面形状がD字状とされた形状を採用できる。また、内部形状は支持体3aの中心軸O3に向かって凸のV字状であってもよいし、コ字状などであってもよい。また、支持体3aに対して径方向外側への引き抜き抵抗が大きくなるように、図示下側に突出する逆T字状、矢印状や、外周部に雄ネジ形状や多重の環状形状を設けてもよい。
また、正電極5bも負電極5aと同様な形状を備える。
血管内壁Vsの曲率半径と、電極面の円弧の半径との比にもよるが、例えば、電極面の円弧の中心角(以下、電極露出角度と称する)が、180°よりも大きいと他の周辺組織に電気が漏れやすくなる。このため、電極面を血管の径方向外側に向けることができるように半円もしくは劣弧形状とすることが好ましい。
本実施形態では、上大静脈V1付近の迷走神経VNを刺激するため、電気が漏れることにより、例えば近くの横隔神経等を刺激してしまうおそれもある。
また、優弧あるいは半円に近い劣弧では、負電極5a、正電極5bと血液とが接触しやすくなるため、血液を経由して電気エネルギーが流れ、迷走神経VNに対向する血管組織に印加される電気エネルギーが少なくなり、迷走神経VNを刺激しにくくなる。
このため、本実施形態では、電極露出角度は120°以下であることが好ましい。
一方、あまりに電極露出角度が小さすぎると、周方向において電気刺激を与えられる範囲が狭くなりすぎ、電気刺激のために大きな電圧が必要となる。
このため、電極露出角度は、30°以上であることが好ましい。
本実施形態では、一例として、支持体3aの外半径が1mmの場合に、負電極5aの電極面は、半径が1mm、電極露出角度は90°を採用している。
また固定フック6R、6Lは、図3(b)、(c)に示すように、支持体3aの軸方向に整列された負電極5a、正電極5bの各電極面に共通する軸方向中心線および支持体3aの中心軸O3を含む面に対して、面対称となるように形成、配置されている。固定フック6Rは、電極部5の電極面を上方向に配置して支持体3aの基端側から先端側を見たときに右側に、固定フック6Lは同じく左側に位置する。
ただし、血管に挿入する際に小さく折り畳むことができる可撓性があり、血管内で血管の内壁を付勢できる形状が復元できる弾性材料であれば、より好ましい。このような材質の例としては、外力によって容易に弾性変形し外力が除かれると変形前の状態に復帰する形状可逆性を有する超弾性合金、例えば、ニッケルチタン系合金を挙げることができる。本実施形態では、一例として、このようなニッケルチタン系合金からなる直径φ0.3mmの超弾性ワイヤーをコ字状に成形した部材を採用している。
また、固定フック6R、6Lは、特に図示しないが、超弾性ワイヤーの外周面に、ポリウレタンチューブ被覆又はフッ素樹脂系チューブ被覆が被せられている。このため、超弾性ワイヤーは、血管内の血液や血管内壁Vsに直接は接触しないようになっている。また、ポリウレタン樹脂やフッ素樹脂は血管内壁Vsに対する摩擦抵抗小さいため、血管内壁Vsに沿って円滑に摺動させることができる。
また、被覆部材2cと同様に、これらのチューブにも血栓防止コーティングが処理されていることがより好ましい。
円弧状アーム部6aは、支持体3aの側面において負電極5aよりも先端側から固定軸端6d(凸部)が突出されている。そして円弧状アーム部6aは、この固定軸端6dから径方向外側に向けて斜めに迫り出され、負電極5aの電極面の反対側に向かって湾曲され、軸方向からみて略円弧状の線状体を構成している。
また、固定軸端6dの周方向の位置は、負電極5aの周方向の端部から周方向外側に離れる位置に設定される。このため、図3(c)に示すように、負電極5aの電極面を上側に向けた図示では、固定軸端6dは、負電極5aの電極面よりも下側の側面から迫り出されている。
また、円弧状アーム部6aの円弧状の曲率半径は、図2の二点鎖線で示すように、上大静脈V1の血管内壁Vsの半径よりも大きい設定とされる。
円弧状アーム部6aの長さは、上大静脈V1での電気刺激ブロック部3の設置位置における血管内壁Vsの周長の1/4以上としている。
また、固定軸端6eの周方向の位置および円弧状アーム部6cの湾曲形状は、支持体3aの軸方向から見て、円弧状アーム部6aと重なる位置および形状に設けられている。
このため、固定軸端6eの周方向の位置は、固定軸端6dと同様に、正電極5bの電極面を上側に向けた図示では、固定軸端6eは、正電極5bの電極面よりも下側の側面から迫り出されていることになる。なお、図2には、この位置関係を90°左側に回転させた様子が示されている。
したがって、電気刺激ブロック部3が上大静脈V1内に挿入されると、固定フック6R、6Lは、図2に示すように、血管内壁Vsに沿って弾性変形し、変形量に応じて血管内壁Vsを径方向外側に付勢できるようになっている。
また、本実施形態では、被覆部材2cと支持体3aとの外径は等しいため、固定軸端6eは、被覆部材2cの外周よりも外側の位置に突出された凸部を構成している。
また、各円弧状アーム部6a、6cの長さを合わせると血管内壁Vsの中心軸OVに対して直交する断面における周長の1/2以上であるため、血管内壁Vsの付勢時には、固定フック6R、6Lは、血管内壁Vsの円弧状の湾曲形状に沿う形状に変形される。このため、固定フック6R、6Lおよびこれと接続された支持体3aは、血管内壁Vsに沿って配置され、上大静脈V1内の血液の流れが阻害されにくくなっている。この結果、電気刺激ブロック部3を血管内に留置しても、血栓の発生を抑制することができる。
回転部材7の概略構成は、図5(a)、(b)、(c)に示すように、略円筒管状の管状部7aと、管状部7aの先端に設けられた一対の係合溝7d(係合部)と、電気刺激ブロック部3、電気刺激リード2を挿入するため管状部7aの基端に設けられ、不図示の血液漏れ防止弁が内装された挿入口部7bとを備える。
また、管状部7aの内部を貫通する貫通孔7cの内径は、被覆部材2cの外径よりも大径とされ、かつ電気刺激ブロック部3の固定フック6R、6Lを折り畳んだ状態で挿通できるようになっている。すなわち、少なくとも支持体3aの外径に固定フック6R、6Lの線径の2倍を加えた径よりも大きな内径を有する。
係合溝7dのV字状の大きさは、開口部が固定フック6R、6Lの固定軸端6eの線径よりも大きく、溝深さが少なくとも固定軸端6eの線径の半分よりも深くなるように設定される。これにより、各係合溝7dは、各固定軸端6eを管状部7aの周方向に係合できるようになっている。
また、本実施形態では、各係合溝7dの周方向の位置は、円周を不等分に分割する位置に設定される。このため、各係合溝7dの中心を結ぶ仮想線は、管状部7aの先端の円周において中心軸O7を通らない弦を構成している。
これにより、各係合溝7dを各固定軸端6eに係合すると、図2に示すように、貫通孔7cの中心軸O7に対して、支持体3aの中心軸O3を電極部5側に偏心させた状態に係合することができるようになっている。本実施形態では、支持体3aの電極部5側の側面が先端における貫通孔7cに内接できる程度に偏心されている。
なお、固定軸端6eが設けられる位置により、支持体3aの電極部5側の側面を先端における貫通孔7cに内接できる場合には、各係合溝7dを貫通孔7cの直径方向に対向させた配置としてもよい。
例えば、係合溝7dを設けた場合に回転部材7として用いることができるイントロデューサーの例としては、ラジフォーカス(登録商標)イントロデューサIIH(商品名:テルモ(株)製)等を挙げることができる。
図6(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態に係る電気刺激システムの電気刺激ブロック挿入工程を示す工程説明図である。図7は、本発明の第1の実施形態に係る電気刺激システムの電極位置合わせ工程を示す工程説明図である。図8(a)、(b)は、図7におけるG−G断面における動作説明図である。
本工程では、術者は、図6(a)に示すように、頸部の皮膚Sを切開して、上大静脈V1に回転部材7を挿入するための切開部CLを形成する。
次に、術者は、図6(b)に示すように、切開部CLに管状部7aを先端側から挿入し、回転部材7の先端を上大静脈V1内で心臓H側に向かって移動させ、電気刺激を行う迷走神経VNが近接する血管部分の近くに配置する。
このとき、回転部材7の挿入口部7bには血液漏れ防止弁が内装されているため、これらの挿入過程において、体外への血液流出を低減できるとともに、血管への挿入を短時間で実現できる。
電気刺激ブロック部3が回転部材7から出ると、固定フック6R、6Lを折り畳んでいた貫通孔7cからの外力が固定フック6R、6Lに作用しなくなるため、固定フック6R、6Lが自然状態の形状に戻ろうとする。
固定フック6R、6Lの自然状態の形状は、上大静脈V1の血管内壁Vsの内径より大きい(図2の二点鎖線参照)。このため、固定フック6R、6Lは、血管内壁Vsに沿って当接され、血管内壁Vsを径方向外側に向かって付勢する。
また、固定フック6R、6Lの各円弧状アーム部6a、6cは、血管内壁Vsの中心軸OVに直交する断面では、血管内壁Vsの周長の1/2以上の長さを有するため、支持体3aにおける電極部5を確実に径方向外側に付勢する。このため、電極部5が血管内壁Vsに付勢され、各電極面が血管内壁Vsに密着される。これにより、電気刺激リード2の基端側を回転させても電極部5の周方向の位置が変わらない状態に電気刺激ブロック部3が固定される。
以上で電気刺激ブロック挿入工程が終了する。
まず、術者は、電気刺激ブロック部3の位置を固定して、図7に示すように、回転部材7を電気刺激ブロック部3側に繰り出し、回転部材7の先端が円弧状アーム部6cに当接したら、回転部材7を自転させて、各係合溝7dを固定フック6R、6Lの固定軸端6eに係合させる。これにより、回転部材7を自転させると、回転力が固定軸端6eを介して電気刺激ブロック部3に伝達され、固定フック6R、6Lと血管内壁Vsとの間の摩擦力に抗して電気刺激ブロック部3の位置を回転移動できるようになる。この回転移動中も、固定フック6R、6Lからは血管内壁Vsへの付勢力が作用するため、電気刺激ブロック部3は、電極部5も含めて血管内壁Vsに周方向に沿った状態を保ちつつ、回転移動される。
電極部5が対向位置にあるかどうかは、例えば、電気刺激リード2のコネクタ4を電気刺激装置200に接続して電気刺激パルスを印加しながら、図示しない体外心電図等を用いて、心拍数をモニターすることによって判定することができる。電極部5が迷走神経VNに対向した位置にくると、心拍数の低下がみられるため、最も心拍数が低下する位置を探索すればよい。
なお、電極部5を交感神経に対して調整する場合は、逆に心拍数が上昇する位置を求めればよい。
なお、電気刺激ブロック部3を体内に埋め込む場合または長時間留置する場合には、回転部材7は、従来のイントロデューサーと同様に、例えば引き裂くなどして、血管外あるいは体外に抜去する。
以上で、電極位置合わせ工程が終了する。
また、回転部材7によって電気刺激ブロック部3を位置合わせして、刺激対象に正確に対向させることができるため、刺激対象に対する電極間距離を最短化することができる。この結果、電気刺激を低電圧で行うことができ、刺激したくない部分、例えば横隔神経や心臓等への無用な刺激を低減することができる。
また、電気刺激ブロック部3を回転部材7内に折り畳んで、血管内に挿入できるため、血管の断面より大きな電気刺激ブロック部3を従来のイントロデューサーと同程度の負荷で挿入することができる。このため、例えば、血管挿入時に血液の流れを阻害したり、血管内壁を傷つけたりするおそれがない。
これらの変形例は、いずれも上記第1の実施形態の電気刺激システムに用いる回転部材7の係合溝7dの形状のみを変えた変形例である。
係合溝7dは、固定軸端6eを回転させるため回転力を伝達する辺が、軸方向に斜めに交差する辺からなる場合の例であったが、回転部材の係合部は、固定軸端6eを収容する大きさであって、回転方向に交差して回転力を伝達する辺を有する切欠きであれば、特に限定されない。以下、これらの変形例を、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る電気刺激システムの回転部材の変形例(第1〜第3変形例)の主要部を示す正面視の部分拡大図である。
第1変形例の回転部材7Aは、図9(a)に示すように、上記第1の実施形態の回転部材7の各係合溝7dに代えて、それぞれ矩形状溝7e(係合部)を備える。
矩形状溝7eは、固定軸端6eの線径よりも大きい溝幅と、固定軸端6eの線径の1/2よりも大きい溝深さを有する側面視矩形状とされた切欠きである。
本変形例によれば、溝幅が軸方向に一定であるため、固定軸端6eが溝底まで侵入しない状態でも、電気刺激ブロック部3に回転力を伝達させることができる。このため、回転中に軸方向に回転部材7Aの位置がずれても回転させ続けることができる。また、固定軸端6eを支持体3aの軸方向に付勢することなく回転させることができるので、術者の負荷が減るとともに、電気刺激ブロック部3の血管内壁Vsの軸方向に移動させてしまうおそれを低減することができる。
第2変形例の回転部材7Bは、図9(b)に示すように、上記第1の実施形態の回転部材7の各係合溝7dに代えて、それぞれ半円状溝7f(係合部)を備える。
半円状溝7fは、固定軸端6eに着脱可能に嵌合できるような固定軸端6eの線径よりもわずかに大きい直径を有する半円状の切欠きである。
本変形例によれば、固定軸端6eと着脱可能に嵌合できるため、固定軸端6eへの回転力の伝達効率が高まり、効率的な作業を行うことができる。
第3変形例の回転部材7Cは、図9(c)に示すように、上記第1の実施形態の回転部材7の各係合溝7dに代えて、それぞれT字状溝7j(係合部)を備える。
T字状溝7jは、先端側に開口され軸方向に延びる平行溝上の軸方向スリット7gと、軸方向スリット7gの基端側から周方向の両外側にそれぞれ屈曲して設けられた周方向溝7hとを備える側面視T字状の切欠きである。
軸方向スリット7gの開口幅および周方向溝7hの軸方向幅は、いずれも固定軸端6eの線径より大きな幅に設定されている。
本変形例によれば、固定軸端6eを軸方向スリット7gの範囲内に合わせて、先端側に挿入して、奥側に突き当てた後、回転部材7Cを回転させることにより、固定軸端6eが回転方向と反対側に延びる周方向溝7h内に移動する。これにより、回転中に固定軸端6eの軸方向の位置が、周方向溝7hの軸方向の溝幅の範囲で規制された状態で、固定軸端6eを周方向に回転させることができる。
このため、回転中の電気刺激ブロック部3の軸方向の位置を安定させることができる。また、術者が回転部材7Cを軸方向に操作することによって、電気刺激ブロック部3を軸方向に移動させることができるため、血管内壁Vsにおける電気刺激ブロック部3の軸方向の位置も容易に行うことができる。
次に、本実施形態の電気刺激システムの第4変形例について説明する。
図10(a)は、本発明の第1の実施形態に係る電気刺激システムの回転部材および電極付勢部材の変形例(第4変形例)の主要部を示す模式的な斜視図である。図10(b)は、図10(a)におけるJ視の側面図である。
回転部材7Dは、回転部材7の係合溝7dを3箇所以上に設けたものである。図10(a)には、一例として、周方向に等間隔をあけて4箇所に設けられた場合の例を示している。
電気刺激ブロック部3Dは、電気刺激ブロック部3の固定フック6R、6Lに代えて、固定フック6R、6Lと同様に面対称な形状を有する固定フック16R、16L(電極付勢部材)を備える。
固定フック16R(16L)の形状は、固定フック6R(6L)の固定軸端6e、円弧状アーム部6cに代えて、固定軸端6eと同様の位置から径方向外側に向けて斜めに突出された固定軸端16e(凸部)と、固定軸端16eの先端から支持体3aの軸方向に沿って基端側に延ばされた軸方向アーム部16dと、軸方向アーム部16dとR形状の屈曲部を介して接続され、支持体3aの軸方向から見て円弧状アーム部6aと重なるように延ばされた円弧状アーム部16cとを備える。円弧状アーム部16cとフック先端部6bとは側面視でR形状の屈曲部を介して接続されている。
固定軸端16eの長さは、支持体3aと軸方向アーム部16dとの間に、回転部材7Dの管状部7aの先端側の板厚よりわずかに広い隙間が形成される程度の長さに設定されている。
その際、固定軸端16eには、基端側に向けて、支持体3aとの間に、管状部7aの先端側の板厚よりわずかに広い隙間を形成する軸方向アーム部16dが接続されているため、回転部材7Dの先端が、各固定軸端16eに近づくにつれて、1対の軸方向アーム部16dに挟まれて案内される。
このため、貫通孔7cの内径が支持体3aの内径に比べて大きく、径方向に大きなガタがある場合にも、固定軸端16eの近傍では、軸方向アーム部16dによって、回転部材7Dの先端の位置がセンタリングされていく。このため、係合溝7dを固定軸端16eに係合させることがより容易となる。
また、一旦、回転部材7Dと電気刺激ブロック部3Dとが係合された後、周方向に外れようとすると、軸方向アーム部16dによって周方向の反対側に付勢されるため、回転部材7Dが周方向に外れにくくなる。
また、回転部材7Dの先端には、係合溝7dが4箇所設けられているため、固定軸端16eの位置に最も近い2箇所の係合溝7dを係合すればよい。このため、平均的には、第1の実施形態に比べて少ない回転量で回転部材7Dを固定軸端16eに係合することができる。
本変形例では、これらが相俟って、回転部材7Dと電気刺激ブロック部3Dとの係合を円滑かつ迅速に行うことができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る電気刺激システムについて説明する。
図11(a)は、本発明の第2の実施形態に係る電気刺激システムの上大静脈への装着時に様子を示す模式的な断面図である。図11(b)は、図11(a)におけるK部を拡大した模式的な斜視図である。図12は、図11(b)におけるL−L断面図である。図13(a)は、本発明の第2の実施形態に係る電気刺激システムの模式的な正面図である。図13(b)は、本発明の第2の実施形態に係る電気刺激システムに用いる電気刺激ブロックの軸方向に沿う断面図である。
電気刺激リード12およびこの先端に設けられた電気刺激ブロック部13は、上記第1の実施形態と同様に、上大静脈V1内に挿入され、迷走神経VNに同様の電気刺激を与えるものである。
ペーシングリード18は、従来心臓治療に用いられているタイプの構成を共通に用いることができるが、以下では、一例として、図13(a)に示すように、基端側から、コネクタ18a、リード部18b、正電極18c、羽根型部材18e、および負電極18dをこの順に備える場合の例で説明する。
リード部18bは、コネクタ18aの正極、負極にそれぞれ接続され、例えば、ニッケルコバルト合金製の撚り線などからなる一対の導線を互いに絶縁するとともに各導線の外周面を絶縁被覆するもので、例えば、2本のルーメンを有するポリウレタンチューブを採用することができる。ポリウレタンチューブの外表面には血栓防止コーティングが処理されていてもよい。
また、リード部18bの外径は、本実施形態では約φ1mmである。
負電極18dの表面には、ポーラス白金コーティング、ポーラスイリジウムコーティング、酸化イリジウムコーティング、または窒化チタンコーティングが施され、コーティングを施さない場合に比べて、電極表面積が増加されている。
このようにして電極表面積を調整することにより、負電極18dから電気的刺激を与え、もしくは電気的興奮を検出するために、負電極18dと正電極18cとの間の生体インピーダンスを適切な値に調整している。
また、本実施形態では、羽根型部材18eの突出方向の先端の外接円径はφ2mmを超えない寸法とされている。
また、特に図示はしないが、電気刺激装置210には、電気刺激リード12に電気刺激を送る回路、ペーシングリード18に電気刺激を送る回路、および正電極18c、負電極18dを通して伝達される心臓Hの電気的興奮を検出する回路を有している。
心拍数計測部は、負電極18dの電位に対する正電極18cの電位を検出することにより、心臓Hの電気活動によって変化する電位変化、すなわち、心電信号を得ることができるようになっている。また、心拍数計測部は、得られた心電信号の波形に基づいて、例えば、心電信号の電位の大きさまたは変化率が所定の閾値より大きくなる時刻の時間間隔から、心拍数を計測することができるようになっている。
一方、電気刺激リード12には、上記第1の実施形態の電気刺激リード2と同様に負電極5aと正電極5bとが設けられており(図13(a)、(b)参照)、心臓Hが頻脈または細動の状態になって心拍数が上昇したときには、比較的エネルギーの小さい電気刺激パルス電圧を負電極5aと正電極5bとの間に供給できるようになっている。これにより、上大静脈V1の近傍を通る迷走神経VNを刺激して、心拍数を低下させる。
電気刺激リード12とペーシングリード18の各電気刺激の条件は異なるが、条件の種類としては、電気刺激パルス電圧の大きさ、周波数、パルス幅、刺激終了時間、刺激開始時間、刺激継続時間、電気刺激停止等が挙げられる。
管状被覆部材12aは、被覆部材2cの径方向の中心部において、軸方向に貫通された中空部12bを設けたものである。
管状被覆部材12aの外径は、回転部材7の貫通孔7cに挿通可能な大きさであり、本実施形態ではφ2mmとされている。
また、本実施形態では、中空部12bは、コネクタ18aを除くペーシングリード18を挿通可能な内径を有する円筒孔を採用している。本実施形態では、中空部12bの内径はφ1.5mmとされている。
電気刺激リード12の基端側に接続された被覆チューブ2dから導入される導線2a、2bは、管状被覆部材12aの肉厚の範囲を挿通され、互いに絶縁されるとともに、管状被覆部材12aの外周面にも、中空部12bの内周面にも露出されることなく、軸方向に挿通されている。
管状支持体13aは、管状被覆部材12aの先端側に設けられ、電極部5および固定フック6R、6Lを側面側に支持するとともに、管状被覆部材12aから延出された導線2a、2bを互いに絶縁を保った状態で内部に挿通させて、電極部5に導くものであり、中心部に中空部12bと連通する同径の中空部13bを備える。
本実施形態では、管状支持体13aは、管状被覆部材12aと同径の円柱状の外形を有し、管状被覆部材12aと同じ絶縁材料によって、管状被覆部材12aと一体に成形されている。
電極部5および固定フック6R、6Lは、管状支持体13aに対して支持体3aに対するのと同様な位置に設けられている。
また、導線2a、2bは、図13(b)に示すように、管状被覆部材12aと同様に、管状支持体13aに肉厚の範囲に挿通され、それぞれ負電極5a、正電極5bに電気的に接続されている。
さらに、本実施形態の電気刺激ブロック挿入工程では、上大静脈V1内に挿入された電気刺激リード12、電気刺激ブロック部13における中空部12b、13bにペーシングリード18を挿通させることによって、ペーシングリード18の先端部を右心室H1に挿入し、正電極18c、負電極18dを右心室H1の内壁に近接あるいは接触させることができる。
ただし、本実施形態では、ペーシングリード18を備えているため、電気刺激リード12に電気刺激パルスを印加しながら、ペーシングリード18を用いて、心拍数をモニターすることにより、電極部5が迷走神経VNに対向した位置に来たかどうかを判定することができる。
この調整を容易とするために、心拍数に応じて、電気刺激装置210が発音するようにしておき、心拍数の変化を例えば音の高低や音色などで表すようにしてもよい。この場合、術者は、音を聞くことで、心拍数の変化を確認することができるため、効率よく作業を進めることができる。また、心拍数を液晶モニタなどに数値やグラフなどとして表示できるようにしてもよい。
そして、コネクタ4、18aを電気刺激装置210に接続することによって、電気刺激リード12を通して、迷走神経VNを電気刺激したり、ペーシングリード18を通して、心臓Hに電気的刺激を与えたり、電気的興奮を検出したりすることができる。
また、本実施形態では、ペーシングリード18を電気刺激リード12に内装することで一体化して血管内に挿入することができる。このため、血管挿入口の数を削減し、また、血管内に多数のリードが平行して配置されることによる血流阻害を低減することができる。
なお、本実施形態では、ペーシングリード18を右心室H1に設置する例を示しているが、右心房H3に設置する他のリードと一体化したり、左心室H2表層の冠状状静脈に設置する他のリードと電気刺激リード12とを一体化したりすることも可能である。この場合、これらのリードが設置された各組織の心電モニターに基づいて、神経組織の電気刺激を実施することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る電気刺激システムについて説明する。
図14(a)は、本発明の第3の実施形態に係る電気刺激システムの軸方向に沿う模式的な部分断面図である。図14(b)は、本発明の第3の実施形態に係る電気刺激システムに用いる回転部材先端の模式的な斜視図である。
電気刺激ブロック部23は、上記第1の実施形態の電気刺激ブロック部3の支持体3aに代えて、支持体3aの基端側において中空部22bに連通する位置に角溝部23bが設けられた支持体23aを備える。
角溝部23bは、中空部22bの1つの直径に沿って細長い角断面を有し、先端側に延ばされている。
また、支持体23aには、上記第1の実施形態の支持体3aと同様に、電極部5および固定フック6R、6L(図14(a)は断面図のため、固定フック6Rは図示略)を備えている。ただし、本実施形態では、固定軸端6eは、固定フック6R、6Lの固定端としての機能のみを有し、回転部材を係合する凸部の機能は有していない。
軸部27bの長さは、ハンドル部27cを体外に配置した状態でも板状部27aが角溝部23b内に挿入できる程度の長さとされる。
軸部27bの材質は、例えば、ニッケルチタン製の超弾性ワイヤーを採用することができる。例えば、中空被覆部材22aの外径がφ2mm程度の電気刺激リード22の場合、外径が、0.3mm〜φ1mm程度の超弾性ワイヤーが好適である。これにより、良好なトルク伝達性を得ることができる。
本実施形態では、軸部27bは、中空部22bの内部を挿通されるため、血液や血管内壁Vsなどには接触しないため、生体適合性を有しない材質を採用することができる。また、生体適合性を付与するための被覆処理などは省略することができる。
また、本実施形態では、回転操作を行いやすいように、ハンドル部27cを設けているが、軸部27bの軸径などによって、ハンドル部27cがなくても容易に回転操作ができる場合には省略してもよい。
このとき、術者は、回転部材27を直進操作させることにより、上大静脈V1内で電気刺激ブロック部23および電気刺激リード22を上大静脈V1の軸方向に沿って移動させることができる。このため、血管内で固定フック6R、6Lが開いた状態の電気刺激ブロック部3を軸方向に移動させるために必要となる電気刺激リード22の座屈剛性は、中空被覆部材22aと回転部材27との合成された剛性が満足していればよい。このように電気刺激リード22の剛性は、一部を回転部材27に負担させることができるため、回転部材27がない場合に比べて中空被覆部材22aの小径化を図ることが可能となる。
本実施形態の電極位置合わせ工程では、術者がハンドル部27cを回転させることによって、回転部材27の板状部27aに係合された角溝部23bを介して支持体23aにトルクを伝達し、これにより電気刺激ブロック部23を周方向に回転させる。
電極位置合わせ工程が終了したら、回転部材27、および必要に応じてイントロデューサー体内から除去し、上記第1の実施形態と同様にして電気刺激工程を行う。
血管断面形状は多様な形状を有しており、円形とかけ離れた異形断面形状を有する血管もある。また、神経組織の位置によっては、血管内の挿入長さが長くなってしまう場合がある。
一方、イントロデューサーは、電気刺激リード22の外径と大きな隙間を有するような大きな内径を有するため、上記第1の実施形態のように、イントロデューサーを回転部材として用いると、回転時に血管内の摩擦抵抗が大きくなって回転調整がしにくくなる場合もある。
本実施形態では、このような場合でも、回転部材27は、血管内壁Vsとは接触しないため、中空部22bとの摩擦を受けるのみで、血管の形状等に影響されることなく安定して回転調整を行うことができる。また、血管内で回転する電気刺激リード22もイントロデューサーより小径のため摩擦抵抗も少なくて済む。
このため、挿入時の患者負荷や、電気刺激ブロック部23の設置時間の短縮することができるため、患者のQOL(Quality of Life)の向上を図ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る電気刺激システムについて説明する。
図15は、本発明の第4の実施形態に係る電気刺激システムの軸方向に沿う模式的な部分断面図である。図16は、本発明の第4の実施形態に係る電気刺激システムの上大静脈への装着時に様子を示す模式的な斜視図である。
不図示のシリンジは、シリンジ接続コネクタ32eに接続して、例えば、生理食塩水などの流体を注入するものである。また、シリンジ接続コネクタ32eには、逆止弁が設けられており、シリンジから生理食塩水が注入された後、シリンジが引き抜かれても、注入された生理食塩水が逆流しないようになっている。
被覆部材32cは、被覆部材2cと同径、同材質で形成された線状部材の内部に流体供給チューブ32dの内部の管路と連通する流路32fを軸方向に延ばして設けたものである。なお、図15には図示していないが、被覆部材32cには、被覆部材2cと同様、コネクタ4に電気的に接続された導線2a、2bが挿通されている。
支持体33aは、被覆部材32cの先端側に設けられ、側面に支持体3aと同様にして、負電極5a、正電極5bからなる電極部5が形成された軸状部材である。
また、正電極5bよりも基端側の側面には、上記第1の実施形態の各固定軸端6eと同様な位置に、径方向外側に突出された円筒突起33bがそれぞれ設けられている。
本実施形態では、支持体33aは、被覆部材32cと同径の円柱状の外形を有し、被覆部材32cと同じ絶縁材料によって、被覆部材32cと一体に成形されている。また、円筒突起33bも一体に形成されている。
また、特に図示しないが、支持体3aにおけるのと同様に、負電極5a、正電極5bには、電気刺激リード32の内部に挿通された導線2a、2bがそれぞれ電気的に接続されている。
流体充填部36cの形状は、流路32fを通して供給される流体が内部に満たされたときに、円筒状に膨らむようになっている。また流体を充填しない状態では、薄い円筒状であり、適宜折り畳んで変形させることができるようになっている。
円筒状バルーン36の膨張時の形状は、外周面36aの径(外径)が、電気刺激ブロック部33が配置される上大静脈V1において、電極部5を血管内壁Vsに密着させられる大きさとされる。
また、内周面36bの径(内径)は、特に限定されないが、血流を阻害しないためにできるだけ大きいことが好ましい。すなわち、流体充填部36cの膨張時の厚さが薄いことが好ましい。また、電気刺激リード32と平行して、他のリードを挿入する場合には、この他のリードを挿通可能な内径とする。
円筒状バルーン36の膨張時の形状は、挿入する血管の直径にもよるが、例えば、外径φ10mmの場合に内径φ9mm、外径φ20mmの場合に内径φ19mmなどの薄肉円筒状であることが好ましい。
このような配置によれば、円筒状バルーン36が1つであっても、負電極5a、正電極5bを略均等に血管内壁Vsに押圧することができる。このため、負電極5a、正電極5bの血管内壁Vsからの浮き上がりを防止することができる。
ただし、円筒状バルーン36は、負電極5a、正電極5bを覆うような軸方向の範囲に設けられていてもよく、基端側の端部が正電極5bよりもさらに基端側に配置されていてもよい。
また、円筒状バルーン36は複数のものを、例えば、負電極5aおよび正電極5bのそれぞれに対向する位置に分けて配置し、流路32fを分岐させてそれぞれの流体充填部36cに連通させてもよい。
また、回転部材7に係合される凸部が電極付勢部材と異なる部材からなる場合の例になっている。
次に、回転部材7の先端から電気刺激ブロック部33を延出させて、シリンジ接続コネクタ32eに接続されたシリンジから生理食塩水を注入する。生理食塩水は流路32fを通して円筒状バルーン36の流体充填部36cに供給され、円筒状バルーン36が円筒形状に膨張する。このとき、生理食塩水の注入量は、上大静脈V1内で、電気刺激ブロック部33を直進または回転させることができるように、血管内壁Vsに対する付勢力があまり働かない程度の注入量にとどめておく。
このような状態に円筒状バルーン36が膨張することで、円筒状バルーン36は、血管内壁Vsに沿う円筒状に配置され、中心部が開口するため血流の流れを阻害しにくい状態になる。
また、円筒状バルーン36に注入される生理食塩水が少ないため、円筒状バルーン36は柔軟性、可撓性を有しており、血管内に凹凸や蛇行などがあっても、円滑に挿入することができる。
これにより、図16に示すように、血管を挟んで迷走神経VNと電極部5とを対向させることができる。
電気刺激ブロック部33の周方向の位置が位置合わせされたら、シリンジからさらに生理食塩水を注入し、円筒状バルーン36の膨張量が最大になるようにする。これにより、円筒状バルーン36の外周面36aが、血管内壁Vsおよび電極部5の裏側の支持体33aの側面が付勢され、電極部5と血管内壁Vsとが密着されるとともに、電気刺激ブロック部33の血管内壁Vsに対する位置が固定される。そして、回転部材7を基端側に後退させ、円筒突起33bとの係合を解除する。
シリンジ接続コネクタ32eは、逆止弁を有するため、生理食塩水の注入を停止し、シリンジを外しても、円筒状バルーン36の形状が維持される。
次に、上記第1の実施形態と同様にして必要に応じて回転部材7を抜去し、さらに電極刺激工程を行う。
なお、円筒状バルーン36の外周にステント等に用いられる金属製網組構造を設けてもよい。この場合、血管内での位置決め後の位置をより強固に安定させることができる。
また、電極付勢部材の側面視の形状はコ字状等の形状には限定されず、例えば、波形状、円弧状、櫛歯状などであってもよい。
また、電極付勢部材は、線状の弾性部材には限定されず、血管内壁と面接触する弾性部材であってもよい。
この場合、被覆導栓部材の中空部を電気刺激ブロック内にも貫通させた構造とすれば、第2の実施形態と同様にペーシングリード等を挿通させることができる。
2、12、22、32 電気刺激リード(被覆導線部材)
2a、2b 導線
2c 被覆部材(被覆体)
3、3D、13、23、33 電気刺激ブロック部(電気刺激ブロック)
3a、23a 支持体
4 コネクタ(端子部)
5 電極部(電極対)
5a 負電極
5b 正電極
6L、6R、16R、16L 固定フック(電極付勢部材)
6a、6c、16c 円弧状アーム部(円弧部)
6e、16e 固定軸端(凸部)
7、7A、7B、7C、7D、27 回転部材
7d 係合溝(係合部、溝部)
7e 矩形状溝(係合部、溝部)
7f 半円状溝(係合部、溝部)
7j T字状溝(係合部、溝部)
12a 管状被覆部材(被覆体)
12b、13b、22b 中空部
13a 管状支持体
18 ペーシングリード
22a 中空被覆部材(被覆体)
23b 角溝部(溝部)
27a 板状部(係合部)
32c 被覆部材(被覆体)
32f 流路
33b 円筒突起(凸部)
36 円筒状バルーン(円筒状のバルーン)
200、210 電気刺激装置
H 心臓
OV 中心軸(血管の中心線)
V1 上大静脈
VN 迷走神経
Vs 血管内壁
Claims (7)
- 電気刺激装置に接続される端子部、該端子部と電気的に接続された導線対、および該導線対を絶縁する被覆体を有し、血管内に挿通可能に設けられた被覆導線部材と、
該被覆導線部材の先端側に設けられ、前記導線対と電気的に接続された電極対および該電極対を前記血管の内壁に付勢する電極付勢部材を有する電気刺激ブロックと、
前記電気刺激ブロックに着脱可能に係合される溝部または凸部が設けられた係合部を有し、前記係合部を介して前記血管内に配置された前記電気刺激ブロックを前記血管の中心線回りに回転させる回転部材と、
を備えることを特徴とする電気刺激システム。 - 前記電気刺激ブロックには、前記被覆導線部材の外周よりも外側の位置に凸部が突出され、
前記回転部材は、
前記被覆導線部材を内部に挿通可能とする管状に形成され、先端に前記電気刺激ブロックの前記凸部と回転の周方向に係合可能に設けられた溝部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気刺激システム。 - 前記電気刺激ブロックには、前記被覆導線部材の外周よりも内側の位置に溝部が形成され、
前記回転部材は、
前記被覆導線部材の内部に挿通可能な軸状または管状に形成され、先端に前記電気刺激ブロックの前記溝部と回転の周方向に係合可能に設けられた凸部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気刺激システム。 - 前記被覆導線部材および前記電気刺激ブロックは、互いに連通する中空部を有する中空構造を備え、
前記中空部に心臓内に留置されるペーシングリードが内装され、
前記被覆導線部材および前記電気刺激ブロックは、前記ペーシングリードの外周面に対して少なくとも周方向に回転自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気刺激システム。 - 前記電極付勢部材は、
自然状態で前記血管の内径よりも大径の円弧部を有する弾性部材を備えることを特徴とする請求項1〜4に記載の電気刺激システム。 - 前記弾性部材は、形状可逆性を有する超弾性ワイヤーからなることを特徴とする請求項5に記載の電気刺激システム。
- 前記電極付勢部材は、
流体圧によって外径の拡大および縮小が可能な円筒状のバルーンからなることを特徴とする請求項1〜4に記載の電気刺激システム。
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