JP2011056181A - 除細動電極及び除細動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に体内に留置でき、心臓に対する負荷が少ない除細動電極を提供する。
【解決手段】生体内に留置される第2電極21は、自然状態において環状形状をなし、外力を加えることにより直線状に変形可能な絶縁性の基材22と、導電性を有し、少なくとも一部が環状形状の内周面に露出するように基材22に取り付けられた印加部23と、基材22に設けられ、外力を加える部材を着脱可能な外力作用部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】生体内に留置される第2電極21は、自然状態において環状形状をなし、外力を加えることにより直線状に変形可能な絶縁性の基材22と、導電性を有し、少なくとも一部が環状形状の内周面に露出するように基材22に取り付けられた印加部23と、基材22に設けられ、外力を加える部材を着脱可能な外力作用部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、体内に留置される除細動電極及び同除細動電極を備える除細動システムに関する。
心臓の不整脈のうち、心室細動は、心臓からの血液の拍出が即座に停止し、全身への血液の供給不足により、死に至る可能性が高いものである。
心室細動を除去して心臓の動きを正常化するためには、高エネルギーのショックを心臓に加え、個々の組織区域の無秩序な収縮を鎮めるとともに、心筋において秩序を保って組織的に広がる活動電位を再構築し、心臓組織の同期的な収縮を回復させる手段が用いられる。
これを体内で行うものが植込み型除細動器(ICD:Implantable Cardioverter Defibrillator)であり、多くの場合、右心室側に設置されたRV−Def電極と左胸皮下に設置された除細動器本体との間で、高エネルギーショックを行う。このときには、一般に20〜40ジュール(J)程度の高いエネルギーが細動除去に必要である。
心室細動を除去して心臓の動きを正常化するためには、高エネルギーのショックを心臓に加え、個々の組織区域の無秩序な収縮を鎮めるとともに、心筋において秩序を保って組織的に広がる活動電位を再構築し、心臓組織の同期的な収縮を回復させる手段が用いられる。
これを体内で行うものが植込み型除細動器(ICD:Implantable Cardioverter Defibrillator)であり、多くの場合、右心室側に設置されたRV−Def電極と左胸皮下に設置された除細動器本体との間で、高エネルギーショックを行う。このときには、一般に20〜40ジュール(J)程度の高いエネルギーが細動除去に必要である。
特許文献1には、ICDの一例が記載されている。図に示すように、このICD100においては、開胸手術による危険性を回避するために、上大静脈110経由で心臓111付近に到達させたリード101の端部に設けられた電極102の形状をループ状に変形し、当該ループが心臓111の周りを囲むように留置する。これにより、電極102を心臓111に対して位置決めしている。
一般にICDにおいては、効率的に電気エネルギーを心臓に伝えるため、電極と心臓を密着させる必要がある。特許文献1に記載のICD100では、心臓を取り巻くように、すなわち、心臓を締め付けるように電極102が留置される。心臓は絶えず拍動しているため、このような設置態様をとる場合は、電極102の柔軟性が非常に重要となる。疾病を抱えた心臓は、外部からの物理的な力によって容易に不整脈を発生させることがあるため、心臓の拍動に影響を与えない程度の柔軟性を備えるように電極を構成するのは実際には容易ではない。
また、心嚢膜と心臓との間に電極が設置される場合、心臓の拍動により心臓表面と電極とが擦りあうことによる心臓表面の炎症も懸念される。
さらに、特許文献1のICD100では、電極102が上大静脈110経由で心嚢膜内に挿入されるため、静脈に形成された開口部からの血液漏れを防止するための手技が重要となり、全体として難度の高い手技が必要となるという問題がある。
さらに、特許文献1のICD100では、電極102が上大静脈110経由で心嚢膜内に挿入されるため、静脈に形成された開口部からの血液漏れを防止するための手技が重要となり、全体として難度の高い手技が必要となるという問題がある。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、容易に体内に留置でき、心臓に対する負荷が少ない除細動電極を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、容易に留置でき、心臓に対する負荷が少ない除細動システムを提供することである。
本発明の他の目的は、容易に留置でき、心臓に対する負荷が少ない除細動システムを提供することである。
本発明の第1の態様である除細動電極は、生体内に留置される除細動電極であって、自然状態において環状形状をなし、外力を加えることにより直線状に変形可能な絶縁性の基材と、導電性を有し、少なくとも一部が前記環状形状の内周面に露出するように前記基材に取り付けられた印加部と、前記基材に設けられ、前記外力を加える部材を着脱可能な外力作用部とを備えることを特徴とする。
前記外力作用部は、前記基材の長手方向に延びるように形成された空洞又は溝であってもよい。
また、前記基材及び前記印加部の少なくとも一方に滑り止め処理が施されてもよい。
また、前記基材及び前記印加部の少なくとも一方に滑り止め処理が施されてもよい。
本発明の第2の態様である除細動システムは、本発明の除細動電極と、除細動のための電気エネルギーを発生させる除細動器と、前記除細動電極と前記除細動器とを接続するリードとを備えることを特徴とする。
本発明の除細動システムは、前記除細動電極を複数備え、少なくとも1つの除細動電極は、前記自然状態において他の除細動電極と異なる前記環状形状をなすものでもよい。
本発明の除細動電極及び除細動システムによれば、容易に体内に留置でき、心臓に対する負荷を少なくすることができる。
本発明の第1実施形態について、図1から図7を参照して説明する。本実施形態の除細動システム1は、本発明の除細動電極を備えるものであり、患者の胸腔内に留置されて、心室細動時に心臓に電気エネルギーを作用させる。
一般に、心臓表面に取り付けられる一対の心外膜除細動電極は左右方向(体幹の長手方向と直交する方向)に並ぶようにしか取り付けることができない。しかし、心筋細胞の走行方向等から、心臓に対して上下方向に除細動の電気エネルギーを作用させるほうが、より少ないエネルギーで除細動を行うことができることが知られている。本発明の除細動システムは、このような電極の配置を可能にする。
一般に、心臓表面に取り付けられる一対の心外膜除細動電極は左右方向(体幹の長手方向と直交する方向)に並ぶようにしか取り付けることができない。しかし、心筋細胞の走行方向等から、心臓に対して上下方向に除細動の電気エネルギーを作用させるほうが、より少ないエネルギーで除細動を行うことができることが知られている。本発明の除細動システムは、このような電極の配置を可能にする。
図1に示すように、除細動システム1は、除細動のための電気エネルギーを発生する除細動器2と、心臓に留置される電極部10と、電極部10と除細動器2とを接続するリード3とを備えている。
除細動器2は公知の構成を有し、電源としての電池、電気エネルギーを蓄えるコンデンサ、心電図を検出する回路、心電図にもとづいて心臓の状態を判定する回路、コンデンサからのエネルギーを放出する除細動駆動回路等の各種構成を内部に備える。
図2は、電極部10の構成を簡略化して示す図である。電極部10は、上大静脈110から右心室112までの右心系の心臓内に留置される第1電極11と、本発明の除細動電極であり、図1に示すように、心嚢膜113と横隔膜114との接続部位(以下、「くびれ部」と称する。)115に留置される第2電極21とを備えている。
第1電極11は、一般にRVリードと呼ばれるものであり、図2及び図3に示すように、先端部付近に心電図を検出したり、心臓のペーシングを行ったりする際に使用されるチップ電極12及びリング電極13が設けられている。第1電極11の基端には、チップ電極12、リング電極13及び後述する印加部と図示しない電極内リードによって電気的に接続され、除細動器2に接続されるIS1コネクタ14及び一対のDF1コネクタ15が設けられている。また、中間部には、RV-def電極17及びSVC-def電極16の2つの印加部が設けられている。RV-def電極17は、第1電極11が留置された状態において概ね右心室112に、SVC-def電極16は第1電極11が留置された状態において概ね、右心房116及び上大静脈110に位置する位置に形成されている。
RV-def電極17及びSVC-def電極16は、いずれも生体適合性に優れた白金系材料(好ましくは、白金イリジウム合金の単線)の導線をコイル状に整形し、電極内リードの外周を被覆する樹脂製のチューブ18に巻きつけられて形成されている。
本実施形態では、SVC−def電極16の軸方向の長さが、常市販されているものの1.3〜2倍の長さ(7〜12cm)に形成され、図3に示すように、所定の曲率を維持するように整形されている。なお、第1電極11は内部に軸方向に伸びる図示しない空洞を有しており、直線状の公知のスタイレットを内部に通すことにより、直線状(略直線状を含む)に形状を変更することができる。
チップ電極12及びリング電極13はIS1コネクタ14と接続され、RV−def電極17とSVC−def電極16は、それぞれ一対のDF1コネクタ15の各々と接続されるのが一般的である。
チップ電極12及びリング電極13はIS1コネクタ14と接続され、RV−def電極17とSVC−def電極16は、それぞれ一対のDF1コネクタ15の各々と接続されるのが一般的である。
第1電極11は、鎖骨下静脈に形成した開口部より、先端側(チップ電極12が設けられた側)から静脈内に挿入され、X線透視下で右心系の心臓内の所望の位置に設置される。静脈から延出した基端側の各コネクタ14、15は皮下に植え込まれる除細動器2に接続される。
図4は、第2電極21を示す図である。第2電極21は、円弧状に形成された絶縁性の基材22と、外面の一部を露出させるように基材22に取り付けられた導電性の印加部23とを備えている。
基材22は、図5に示すように、長手方向に直交する断面が概ね矩形に形成され、外力が作用しない自然状態において、図4に示すように一部が開放された環状形状となるように形成されている。この環状形状は、留置部位や組織の形状に応じてその曲率や開放部の幅D1等が適宜設定されてよい。曲率を留置部位に合わせて変更することにより、留置後の緩みが少なく、生体の動作等による逸脱や脱落を防止することができる。また、生体組織と印加部23の密着性も確実なものとなり、除細動に必要な電気エネルギーを効率的に心臓に対して印加することができる。また、留置部位の曲率よりも僅かに小さな曲率とすることにより、より安定して留置することができる。
基材22は、所定の大きさ以上の外力を加えることによって直線状に変形させることができ、当該外力を取り除くと、再び自然状態における環状形状にその形状を復帰させる。このような構成を実現する基材としては、各種ゴムやエラストマー等の弾性部材が挙げられ、その中でも生体適合性に優れたシリコーンゴムを好適に採用することができる。
例えば、シリコーンゴムのゴム硬度はショアA:40〜60度が直線から環状形状に確実に自然復帰でき、かつ、心臓方向に強い付勢力を与えない好適なゴム硬度である。
また、ゴム硬度はショアA:40度以下の材料を用い、基材22内部に環状形状に形状記憶された超弾性合金素材のワイヤを入れ、留置後の緩みを少なくすることもできる。このとき、基材22表面は非常に柔らかく、生体組織の様々な形状に密接しやすくなる。
基材22は、図5に示すように、内部に長手方向に延びる空洞(外力作用部)24を有する。空洞24は、少なくとも一部が基材22の外周面に開口している。空洞24には、第2電極21の留置時にスタイレットが挿入されるが、この操作については後述する。
例えば、シリコーンゴムのゴム硬度はショアA:40〜60度が直線から環状形状に確実に自然復帰でき、かつ、心臓方向に強い付勢力を与えない好適なゴム硬度である。
また、ゴム硬度はショアA:40度以下の材料を用い、基材22内部に環状形状に形状記憶された超弾性合金素材のワイヤを入れ、留置後の緩みを少なくすることもできる。このとき、基材22表面は非常に柔らかく、生体組織の様々な形状に密接しやすくなる。
基材22は、図5に示すように、内部に長手方向に延びる空洞(外力作用部)24を有する。空洞24は、少なくとも一部が基材22の外周面に開口している。空洞24には、第2電極21の留置時にスタイレットが挿入されるが、この操作については後述する。
印加部23は、導体を含んで形成され、図5に示すように、基材22が自然状態において形成する環状形状の内周面上に、一部を埋没させるように取り付けられている。印加部23には、リード3がレーザー等の溶接手段によって強固に接続されている。
基材22及び印加部23の寸法も、留置部位等に応じて適宜設定されてよい。本実施形態では、上述のくびれ部115に留置されることに鑑みて、基材22の断面寸法を5ミリメートル(mm)×6mmの矩形状とし、印加部23を幅4mm、厚さ0.1mmの薄板状に形成している。導体としては、除細動時の電気エネルギーを確実に伝達し、生体適合性に優れた白金系材料が用いられ、特に白金イリジウムが好適である。
なお、本発明において、「環状形状」とは、図4に示すような円環様のものに限られず、図6(a)や図6(b)に示すような多角形様のものも含む。このほか、円環様の環状形状の一部が直線状に形成されたり、多角形様の環状形状の一部が曲線状に形成されたりしたようなものでも、一部が切れて開放されていれば、本発明における「環状形状」に含まれる。
リード3は除細動器2から電極部10に電気的な絶縁を保って電気エネルギーを伝達できるものであればその構成は特に限定されない。本実施形態では、リード3として、例えば、外径φが2mmのポリウレタンチューブ内に、中心に銀41%含有の芯線を有するMP35N合金線がコイル状に巻かれた構成となっている。MP35N合金がコイル形状に整形されているため、強い引張り強度と繰返し曲げ強度が実現されている。
上記のように構成された本実施形態の除細動システム1の体内留置時の動作について説明する。
まず使用者は、上述のように、静脈経由で第1電極11を右心系の心臓内に留置する。第1電極11の留置は、後述する第2電極21の留置の前後いずれに行われても構わない。
まず使用者は、上述のように、静脈経由で第1電極11を右心系の心臓内に留置する。第1電極11の留置は、後述する第2電極21の留置の前後いずれに行われても構わない。
次に、第2電極21の留置手順について説明する。
使用者は、図7に示すように、患者の胸壁Thに切開等の手段で孔120を形成し、公知のトロッカー121を孔120に挿入する。
次に、使用者は、第2電極21の基材22の基端に形成された開口24Aから空洞24内に直線状のスタイレット(部材)122を挿入し、基材22に外力を加えて第2電極21を直線状(略直線状を含む)に変形させる。そして、トロッカー121経由で第2電極21を胸腔内にデリバリーする。
使用者は、図7に示すように、患者の胸壁Thに切開等の手段で孔120を形成し、公知のトロッカー121を孔120に挿入する。
次に、使用者は、第2電極21の基材22の基端に形成された開口24Aから空洞24内に直線状のスタイレット(部材)122を挿入し、基材22に外力を加えて第2電極21を直線状(略直線状を含む)に変形させる。そして、トロッカー121経由で第2電極21を胸腔内にデリバリーする。
第2電極21をくびれ部115付近に移動させて印加部23をくびれ部115に対向させた状態で、使用者はスタイレット122を徐々に第2電極21から引き抜いていく。すると、基材22は、スタイレット122が空洞24内に存在しなくなった部位から徐々に自然状態の環状形状に復帰し、くびれ部115に巻きつくようにして留置される。この状態において、印加部23は、くびれ部115の生体組織に接触しており、電気エネルギーの印加が可能な状態となる。
第2電極21は、一部が切れた環状形状に形成されているので、心臓111が拍動により径方向の寸法を変化させても、基材22の弾性変形と開放部の幅D1の変化とによって、心臓111の形状及び寸法の変化に柔軟に追随する。したがって、第2電極21によって心臓111を締め付けるような力が発生することはなく、心臓111に対する負荷は極めて小さい。
電極部10の留置後、使用者は、電極部10と除細動器2とをリード3で接続し、除細動器2を皮下等の所定の位置に植え込んで一連の留置手技を終了する。
このように留置された除細動システム1においては、第1電極11のSVC−def電極16及び第2電極21が、心臓111の上下に配置されるので、図2に矢印で示すように、心臓の刺激伝導系の伝達経路に沿って除細動の電気エネルギーを作用させることができる。その結果、より少ない電気エネルギーで除細動を行うことができ、患者の負担を低減することができる。
また、本発明の除細動電極である第2電極21は、一時的に直線状に変形可能であるため、トロッカー121等を経由して、小さい侵襲で患者の体内にデリバリーすることができる。そして、自然状態では環状形状に復帰するため、縫合糸やステイプル等の心嚢膜を損傷するような固定手段を用いなくても、くびれ部115に巻き回すだけで心嚢膜113等を傷つけずに容易に留置することができる。したがって、心嚢膜113の損傷に伴う心嚢膜と心臓との癒着等を好適に防ぎ、安全に留置して治療に使用することができる。
また、第2電極21が留置されるくびれ部115は、心臓111の近傍ではあるものの、図2に示すように、直接心臓111を締め付けない位置関係にあるので、上述した心臓111の変形に対する良好な追随に加え、さらに心臓への負荷を小さくすることができる。
さらに、印加部23が環状形状の内周面に取り付けられているので、留置時に良好に心嚢膜113等の生体組織に接触して電気エネルギーが印加される。また、環状形状の外周面側は絶縁性の基材22に被覆されているので、印加する電気エネルギーを心臓111に向けて効率よく印加し、漏洩によるエネルギー損失を防ぐことができる。
以上より、本発明の除細動電極である第2電極21を備える本実施形態の除細動システム1は、容易かつ安全に留置でき、少ないエネルギー量で除細動を行うことが可能な、患者の負荷の少ない構成とすることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図8から図11を参照して説明する。本実施形態の除細動システム31は、電極部の構成において上述の第1実施形態の除細動システム1と異なっている。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図8は、除細動システム31の概略構成を示す図である。除細動システム31の電極部32は、第1電極11に代えて、本発明の除細動電極であり、心臓111の外部に留置される第1電極40を備えている。
図9は、自然状態における第1電極40を示す図である。第1電極40は、第2電極21と同様、基材22と印加部23とを備え、自然状態において環状形状をなすが、形成される環状形状の径方向における最大寸法は、第2電極21よりも小さく設定されている。
第1電極40の基材22には、長手方向両端に環状形状の内周側に折り返された係止部41が形成されている。係止部41は、第1電極40の留置時に心臓や心臓につながる血管等に係止され、第1電極40が心臓111から脱落することを防止する。
上記のように構成された除細動システム31の留置時の動作について説明する。まず使用者は第1実施形態と同様の操作で胸壁に孔を形成し、トロッカー121(不図示)を挿入する。
次に使用者は、第1電極40及び第2電極21を心臓111の外部に留置するが、このうち、第2電極21の留置工程の内容は、第1実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。なお、第2電極21の留置は、第1電極40の留置の前後いずれに行われてもよい。
第1電極40の留置手順について説明する。
使用者は、第1電極40の基材22に形成された空洞24にスタイレット122(不図示)を挿入して、図10に示すように第1電極40を直線状に変形させ、トロッカー121経由で体内にデリバリーする(第1ステップ)。
使用者は、第1電極40の基材22に形成された空洞24にスタイレット122(不図示)を挿入して、図10に示すように第1電極40を直線状に変形させ、トロッカー121経由で体内にデリバリーする(第1ステップ)。
使用者は、大動脈131の起始部131A付近(図8参照)まで第1電極40を移動させる(第2ステップ)。続いて使用者は、スタイレット122を徐々に空洞24から抜去して第1電極40を環状形状に復帰させながら、第1電極40が形成する環状形状が心臓につながる大血管の周囲を囲むように留置する(第3ステップ)。
心臓111には、図11に示すように、大静脈V1、肺動脈V2、肺静脈V3、及び大動脈131の4本の大血管がつながっている。第3ステップにおいては、第1電極40の留置後の挙動を安定させる観点からは、4本の大血管の内少なくとも2本の周囲を囲むように第1電極40が留置されるのが好ましく、3本の大血管の周囲を囲むように留置されるのがより好ましい。もちろん、4本の大血管すべての周囲を囲むように第1電極40が留置されてもよい。なお、図8及び図11は、いずれも3本の大血管を囲むように留置された場合を示している。
3本の大血管の周囲を囲むように第1電極40を留置する場合、大静脈V1、肺動脈V2、及び大動脈131の3本の周囲を囲むように留置すると、第1電極40が安定しやすく、好ましい。このとき、両端に設けられた係止部41を大血管に係止させることで、より確実に第1電極40を留置することができる。
係止部41の係止位置は適宜選択することができる。例えば、一方を上大静脈の背側に係止し、他方を肺動脈幹の下方に位置する心膜横洞の一部に係止する方法や、一方を上大静脈と大動脈弓との間に位置する心膜横洞Tp(図8参照)の一部に係止し、他方を肺動脈幹の下方に位置する心膜横洞Tpの一部に係止する方法を好適な例として挙げることができる。係止箇所として心膜横洞Tpの一部を利用すると、心嚢膜113に孔をあける必要がなく、患者の負担を小さくできるというメリットがある。
電極部32のすべての電極を留置した後、使用者は第1実施形態と同様の操作で除細動器2を皮下等の所定位置に埋め込み、一連の留置手技を終了する。
このように留置された除細動システム31においては、第1電極40及び第2電極21が、心臓111の上下に配置されるので、図11に矢印で示すように、心臓の刺激伝導系の伝達経路に沿って除細動の電気エネルギーを作用させることができる。その結果、数J程度のより少ない電気エネルギーで除細動を行うことができ、患者の負担を低減することができる。
また、電極部32の第1電極40と第2電極21は、いずれも心臓111の外側に留置されるので、留置経路として静脈等の血管を用いる必要がない。したがって、静脈に小孔を形成することによる出血や、静脈や心臓内に留置されることによる血栓の発生等のリスクが全くなく、極めて安全に電極部32の留置を行うことができる。
さらに、第1電極40は、心臓111につながる大血管の周囲に留置されるため、心臓111に電気エネルギーを印加できる位置関係にあるものの、直接心臓111の動きを妨げることはない。したがって、心臓の拍動にとって物理的障害となることによる不整脈等の惹起のリスクを生じることなく、安全に留置及び使用可能な除細動システムを構成することができる。
なお、第1電極40が周囲を囲む大血管は、いずれも径が大きく、血流量も多い。これに加えて、動脈系の血管(肺動脈V2及び大動脈131)には高い圧力がかかっているため、第1電極40の留置はこれら大血管の血行動態に対してほとんど影響を与えず、この点でも安全に留置及び使用可能であると言える。
なお、第1電極40が周囲を囲む大血管は、いずれも径が大きく、血流量も多い。これに加えて、動脈系の血管(肺動脈V2及び大動脈131)には高い圧力がかかっているため、第1電極40の留置はこれら大血管の血行動態に対してほとんど影響を与えず、この点でも安全に留置及び使用可能であると言える。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
まず、第1電極40や第2電極21等の心臓の外部に留置される電極においては、基材及び印加部のいずれについても様々な変形が可能である。以下にそのような変形例の一部を示す。なお、以下に示す変形例では、便宜的に第2電極21の変形例21Aないし21として説明するが、同様の構造は、当然第1電極40にも適用することができる。
図12(a)は、変形例の第2電極21Aを示す断面図であり、図を見やすくするため、図示しないスタイレット等により直線状に変形された状態を示している。図12(b)は、図12(a)のB−B線における断面図である。第2電極21Aの印加部51は金属素線がコイル状に巻かれて形成されている。
印加部51を形成する金属素線としては、生体適合性に優れた白金系材料(好ましくは、白金イリジウム合金)の撚り線が用いられ、心嚢膜の絶え間ない形状変化に対応するため、例えば素線径φ0.0254ミリメートル(mm)の白金イリジウム素線が7本を1束として、7束が撚られている。その結果、金属素線は、7素線×7束=49素線の撚り線となっている。金属素線の外径はφ0.27mm程度であり、強靭な屈曲耐久性を有する。
金属素線はφ3mm程度のコイル形状に整形され、一部が基材22に埋設されている。但し、環状形状の内側においては、印加部51が露出している。
金属素線はφ3mm程度のコイル形状に整形され、一部が基材22に埋設されている。但し、環状形状の内側においては、印加部51が露出している。
第2電極21Aにおいては、印加部51がコイル状に形成されているため、弾性を有する。したがって、印加部51を所定の形状に癖付けたり、金属素線の巻き回されるピッチを調節したりすることによって、第2電極21Aの自然状態における環状形状や、当該環状形状への復元力等を自由に調節することができる。
また、コイル状の印加部51の内腔を、スタイレット等が挿通される空洞として利用することができるので、基材22の形状を簡素にすることができ、製造しやすい構成とすることができる。
さらに、印加部51を構成する金属素線が多線撚り線となっているため、長寿命化を図ることができ、長期間の留置についても安全性を高めることができる。
さらに、印加部51を構成する金属素線が多線撚り線となっているため、長寿命化を図ることができ、長期間の留置についても安全性を高めることができる。
図13(a)は、変形例の第2電極21Bを示す図であり、図12(a)同様、直線状に変形された状態を示している。図13(b)は、図13(a)のC−C線における断面図である。第2電極21Bにおいては、印加部52が長円のループ状に形成されている。印加部52も印加部51と同一の金属素線で形成されている。印加部52がループ状に形成されているので、電極としての分極特性が改善され、電極内でのインピーダンスの分布を均一化させることができる。
図14は、変形例の第2電極21Cを示す図である。印加部53は、環状形状の内周に露出する面が凹凸を有する波型に形成されている。第2電極21等が設置される生体表面は凹凸が多いが、印加部53のような形状を採用することによって、それらの凹凸にも確実に接触できる電極とすることができる。
このような印加部53は、生体適合性に優れた白金系材料(好ましくは、白金イリジウム合金)からなる薄板部材(例えば、軸線に直交する方向の断面が4mm×0.05mmの矩形に形成されたもの)を波型に成形することにより製造することができる。波型の波高距離は、例えば約2〜3mm程度が望ましい。また、生体の凹凸が大きい場合には、印加部53に加えて基材22の環状形状の内周面が波型に形成されてもよい。
図15は、変形例の第2電極21Dを示す図である。基材54は、第1実施形態の第2電極21の基材22よりも長く形成されており、自然状態において、図15に示すように閉じた環状形状となる。基材がこのように形成されても、一部が切れて開放可能であるので、問題なくくびれ部115等に留置することができる。
また、基材54を有するような第2電極21D等を心膜横洞の全長にわたって挿通すると、大血管の周囲を切れ目なく囲むように留置することができる。この場合、心膜横洞の奥にも第2電極21D等の一部が配置され、生体の動作によってもずれにくい構成を実現することができる。
図16は、変形例の第2電極21Eを示す図である。基材55には、第2電極21Eの留置後、心嚢膜113等に対する位置ずれを防止するための滑り止め部56が形成され、滑り止め処理が施されている。滑り止め部56は、第2電極21Eが形成する環状形状の軸線方向両側かつ環状形状の内側に突出するように複数形成されている。これにより、基材55と心嚢膜113等との接触面積が増大し、設置された第2電極21E等が心嚢膜113等に対して滑りにくくなり、位置ずれが好適に防止される。滑り止め部56の形状は適宜設定することができるが、例えば幅2mm程度、突出量3mm程度に設定されてもよい。
第2電極21Eの印加部57は、基材55の長手方向に延び、かつ互いに平行な3本のライン状電極57A、57B、及び57Cからなる。各ライン状電極57A、57B、及び57Cは、基材55の内部に配置された接続部材58により一体に接続され、リード3を通じて均等に電気エネルギーが供給される。印加部57を3本のライン状電極57A、57B、及び57Cから構成することにより、滑り止め処理が施されているため、心嚢膜113等との接触面積が増大し、より留置後にずれにくい電極とすることができる。
なお、図17に示す変形例の第2電極21Fのように、複数の円盤状電極57Dから印加部57が形成されることにより、滑り止め処理が施されてもよい。このようにしても、印加部57と心嚢膜113等との接触面積が増大し、留置後にずれにくい電極とすることができる。この場合も、接続部材58Aにより複数の円盤状電極57Dを一体に接続すると、リード3を通じて均等に電気エネルギーが供給されるとともに、配線の引き回しも簡素にすることができ、故障のしにくい電極を構成することができる。
さらに、印加部のうち、心嚢膜113等に接触される面に公知の粗面処理を施したり、ローレット等を形成したりして、表面積を増大させることによって留置後のずれを抑制してもよいし、基材及び印加部の一方のみにこのような滑り止め処理が行われてもよい。
さらに、印加部のうち、心嚢膜113等に接触される面に公知の粗面処理を施したり、ローレット等を形成したりして、表面積を増大させることによって留置後のずれを抑制してもよいし、基材及び印加部の一方のみにこのような滑り止め処理が行われてもよい。
このほか、白金イリジウムの単線やメッシュ等を用いて印加部を形成することも可能である。印加部は、直線状に形状変更されても、自身の復元力或いは基材の復元力若しくはその両方により環状形状に復帰することが可能であれば、これらに限られるものではない。
また、本実施形態では、第1電極40等の留置時に、スタイレットが基材の空洞に挿入されて直線状に変形される例を説明したが、第1電極40等を直線状に変形させるための方法はこれには限定されない。
例えば、図18に示す変形例のように、基材22の両端に弾性変形可能な係止部(外力作用部)61を形成し、図19に示すように係止部61を直線状のスタイレット122に着脱可能に係止することによって基材に22に外力を加え、第1電極40等を直線状に変形させてもよい。この場合、係止部61の形状は、図18に示すような一対の爪状に限られず、貫通孔や、基材22の軸線方向に延びるポケット状の凹部であってもよい。
さらに、基材に外力を加える部材として、直線状のスタイレットに代えて、図20に示すような湾曲形状に変形可能なスタイレット131も使用可能である。
スタイレット131は、直線状に形成された管状の第1部材132と、第1部材132よりも低い剛性を有し、所定の湾曲形状(基本形状)に形成された第2部材133とを備える。第1部材132は第2部材133よりも剛性が高いため、第2部材133を第1部材132の内腔に収容すると、スタイレット131は、図20に示すように直線状となる。
スタイレット131は、直線状に形成された管状の第1部材132と、第1部材132よりも低い剛性を有し、所定の湾曲形状(基本形状)に形成された第2部材133とを備える。第1部材132は第2部材133よりも剛性が高いため、第2部材133を第1部材132の内腔に収容すると、スタイレット131は、図20に示すように直線状となる。
このようなスタイレット131を用いる場合、まずスタイレット131を直線状にして空洞に挿入し、第1電極40等を体内にデリバリーする。その後、第2部材133を第1部材132に対して相対的に前進させると、図21に示すように、第2部材133が第1部材132に収容される前の基本形状に復帰する。こうして、第1電極40等の一部を第2部材133と同様の形状に変形させ、留置作業を容易にすることができる。
第2部材133の基本形状は、例えば心膜横洞に挿入しやすくする、大血管に係止させやすくする等の目的に応じて適宜設定されてよい。このような第2部材133は、公知の各種の超弾性合金等を用いて製造することができる。
このほか、スタイレットの先端に接続されたワイヤが基端まで延び、当該ワイヤを操作することにより先端を所望の方向及び角度に湾曲させることができる、公知の湾曲可能なスタイレットによって外力が加えられてもよい。また、留置時の操作性は若干落ちるが、スタイレット等を使用せずに第1電極40等をトロッカーに挿入し、トロッカーの内壁によって基材に外力を加え、第1電極40等を直線に近い形状に変形させながら体内にデリバリーすることも可能である。
また、基材に形成される空洞も、上述の各実施形態で説明した長手方向の端部に開口が形成されたものに代えて、環状形状の外周側に開口が形成されたり、ほぼ全長にわたって当該外周側が開口された溝状に形成されたりしてもよい。本発明の除細動電極における外力作用部をこのように構成しても、スタイレット等の部材を挿入することによって、好適に直線状に変形させて体内にデリバリーすることが可能である。
さらに、上述の各実施形態で説明した各構成の具体的態様は、必要な変更を適宜行いつつ、相互に組み合わせることが可能である。
1、31 除細動システム
2 除細動器
3 リード
21、21A、21B、21C、21D、21E、21F 第2電極(除細動電極)
22、54、55 基材
23、51、52、53、57 印加部
24 空洞(外力作用部)
40 第1電極(除細動電極)
61 係止部(外力作用部)
122、131 スタイレット(部材)
2 除細動器
3 リード
21、21A、21B、21C、21D、21E、21F 第2電極(除細動電極)
22、54、55 基材
23、51、52、53、57 印加部
24 空洞(外力作用部)
40 第1電極(除細動電極)
61 係止部(外力作用部)
122、131 スタイレット(部材)
Claims (5)
- 生体内に留置される除細動電極であって、
自然状態において環状形状をなし、外力を加えることにより直線状に変形可能な絶縁性の基材と、
導電性を有し、少なくとも一部が前記環状形状の内周面に露出するように前記基材に取り付けられた印加部と、
前記基材に設けられ、前記外力を加える部材を着脱可能な外力作用部と、
を備えることを特徴とする除細動電極。 - 前記外力作用部は、前記基材の長手方向に延びるように形成された空洞又は溝であることを特徴とする請求項1に記載の除細動電極。
- 前記基材及び前記印加部の少なくとも一方に滑り止め処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の除細動電極。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の除細動電極と、
除細動のための電気エネルギーを発生させる除細動器と、
前記除細動電極と前記除細動器とを接続するリードと、
を備えることを特徴とする除細動システム。 - 前記除細動電極を複数備え、少なくとも1つの除細動電極は、前記自然状態において他の除細動電極と異なる前記環状形状をなすことを特徴とする請求項4に記載の除細動システム。
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---|---|---|---|
JP2009212027A JP2011056181A (ja) | 2009-09-14 | 2009-09-14 | 除細動電極及び除細動システム |
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---|---|
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JP (1) | JP2011056181A (ja) |
-
2009
- 2009-09-14 JP JP2009212027A patent/JP2011056181A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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---|---|---|---|
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