JP2013197433A - ソレノイド - Google Patents

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悟多 熊坂
Masaaki Iijima
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Abstract

【課題】 制御精度を向上することができるソレノイドを提供すること。
【解決手段】 通電により磁力を発生するコイル6と、軸方向に移動可能に設けられた磁性体のプランジャ7と、コイル6およびプランジャ7と共に磁気回路を構成し、コイル6が発生する磁力をプランジャ7の軸方向の対向位置へ導いて、プランジャ7を軸方向に吸引して移動させる磁気吸引力を発生する磁性体のステータ(固定コア80)と、磁気回路を構成する磁路構成部材(カバー82)に設けられ、磁気回路内の他の部分よりも先に磁気飽和する磁気絞り部9と、を備え、磁気絞り部9は、プランジャ7のストロークが所定値Zでコイル6への通電量が所定値β以上のとき、磁気飽和することで、プランジャ7が所定値Zに対して過渡的に往復移動することにより発生する磁気吸引力の変化を所定範囲内とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ソレノイドに関する。
従来、通電により磁力を発生するコイルと、軸方向に移動可能に設けられた磁性体のプランジャと、プランジャと共に磁気回路を構成し、コイルが発生する磁力をプランジャの軸方向の対向位置へ導いて、プランジャを軸方向に吸引して移動させる磁気吸引力を発生する磁性体のステータと、磁気回路を構成する磁路構成部材に設けられ、コイルへの通電量が所定値以上のとき、磁気回路内の他の部分よりも先に磁気飽和する磁気絞り部と、を備えたソレノイドが知られている。例えば、特許文献1に記載のソレノイドは、油圧制御弁に適用され、磁気絞り部により、プランジャが移動限界付近にあるときに、プランジャに作用するステータ側への振幅力を小さくすることで、プランジャと共に移動する弁体が弁座に対して当接・離間を繰り返すことに起因する油圧制御弁の制御精度の低下を抑制することを図っている。
特開平11−287348号公報
しかし、特許文献1に記載のソレノイドは、コイルへの通電量に応じてプランジャの位置を変化させて使用する構成であるため、プランジャを所定の位置で使用する場合にはソレノイドの制御精度を充分に向上することができないおそれがある。本発明の目的とするところは、制御精度を向上することができるソレノイドを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のソレノイドは、磁気絞り部により、コイルへの通電量が所定値以上のとき、プランジャが所定の位置に対して過渡的に往復移動することによる磁気吸引力の差を所定範囲内とする。
よって、磁気吸引力が比較的大きい領域で、プランジャが過渡的に往復移動することによる磁気吸引力の差を抑制し、これにより制御精度を向上することができる。
実施例1のポンプが適用されるCVTのブロック図である。 実施例1のポンプ部と制御部の断面図である。 実施例1のソレノイドのストロークと磁気吸引力及び総磁束との関係を表す特性図である。 ソレノイドの磁界と磁束との関係を表す特性図であり、実施例1と従来例の使用域を示す。 従来例のソレノイドのストロークと磁気吸引力及び総磁束との関係を表す特性図である。 ポンプ部と制御部の断面図であり、磁気絞り部の変形例を示す。
以下、本発明のソレノイドを実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
実施例1は、ソレノイドと弁装置とを組み合わせた電磁弁の要部を参照して説明するものであり、電磁弁の具体的な一例として電磁油圧制御弁を示すものである。
〔ベーンポンプの概要〕
電磁弁は、可変容量型のベーンポンプ1(以下、単に「ポンプ1」という。)の容量を可変に制御するために用いられる。ポンプ1は自動車の油圧機器に作動油を供給する油圧供給源として用いられる。具体的には、ポンプ1は、無段変速機、特にベルト式の連続可変トランスミッション(CVT100)の油圧供給源として使用される。ポンプ1は内燃機関(エンジン)のクランクシャフトにより駆動され、作動流体を吸入・吐出する。作動流体として作動油、具体的にはATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)を用いる。 図1は、ポンプ1が作動油を供給する機器の一例として、CVT100を示すブロック図である。コントロールバルブ110内には、CVTコントロールユニット130により制御される各種のバルブ111〜123が設けられている。ポンプ1から吐出された作動油は、コントロールバルブ110を介してCVT100の各部(プライマリプーリ101、セカンダリプーリ102、フォワードクラッチ103、リバースブレーキ104、トルクコンバータ105、潤滑・冷却系等106等)に供給される。
ポンプ1は、吐出容量(1回転当たりに吐出する流体量。以下、ポンプ容量という。)を可変にできる可変容量型であり、作動油を吸入・吐出するポンプ部2と、吐出容量を制御する制御部とを、一体のユニットとして有している。図2は、ポンプ1の一部の断面を示す図であり、ハウジング部材40を除くポンプ部2を回転軸Oに垂直な平面で切った断面を示すと共に、制御部を電磁弁3の軸を通る平面で切った部分断面を示す。説明の便宜上、電磁弁3の軸が延びる方向にx軸を設け、弁体(スプール41)がソレノイド5から離れる側をx軸正方向とする。
ポンプ部2は主な構成要素として、クランクシャフトにより駆動される駆動軸20と、駆動軸20により回転駆動されるロータ21と、ロータ21の外周に形成された複数のスリット210のそれぞれに突没可能に収容されたベーン22と、ロータ21を囲んで配置される円環状のカムリング23と、カムリング23を囲んで配置される円環状のアダプタリング24と、カムリング23およびロータ21の軸方向側面に配置され、カムリング23、ロータ21およびベーン22とともに複数のポンプ室rを形成するプレート部材(ハウジング部材40)とを有している。アダプタリング24の内周には、カムリング23が揺動自在に収容される。アダプタリング24のx軸正方向側には、スプリング27が圧縮状態で設置され、アダプタリング24に対してカムリング23をx軸負方向側に常時付勢する。アダプタリング24とカムリング23の間には、両者を係止するピン25が設置される。カムリング23は、アダプタリング24に対して、ピン25が設けられた転動面240で支持され、転動面240を支点に揺動自在に設置される。回転軸Oを挟んでピン25の略反対側のアダプタリング24の内周にはシール部材26が設置される。カムリング23が揺動する際には、アダプタリング24の内周の転動面240がカムリング23の外周面に当接するとともに、シール部材26がカムリング23の外周面に摺接する。ロータ21は、カムリング23の内周側に設置される。ロータ21には、複数の溝(スリット210)が放射状に形成されている。ベーン22は、略矩形状の板部材(羽根)であり、各スリット210に出没可能に収容されている。
ロータ21とカムリング23とこれらを挟むプレート部材との間の空間は、複数のベーン22によって、複数(11個)のポンプ室(容積室)rに区画される。ロータ21は図2の時計回り方向に回転する。カムリング23の中心軸が回転軸Oに対して(x軸負方向側に)偏心した状態では、x軸正方向側からx軸負方向側に向かうにつれて、ロータ21の外周面とカムリング23の内周面との間のロータ径方向での距離(ポンプ室rの径方向寸法)が大きくなる。この距離の変化に応じ、ベーン22がスリット210から出没することで、各ポンプ室rが隔成されるとともに、x軸負方向側のポンプ室rのほうが、x軸正方向側のポンプ室rよりも、容積が大きくなる。このポンプ室rの容積の差異により、回転軸Oに対して図2の上側では、ロータ21が回転する(ポンプ室rがx軸正方向側に向かう)につれてポンプ室rの容積が縮小する一方、回転軸Oに対して図2の下側では、ロータ21が回転する(ポンプ室rがx軸負方向側に向かう)につれて、ポンプ室rの容積が拡大する。ポンプ室rは回転軸Oの周りを時計回り方向に回転しつつ周期的に拡縮する。ポンプ室rが回転方向に拡大する吸入領域で、吸入ポート29からポンプ室rに作動油を吸入し、ポンプ室rが回転方向に縮小する吐出領域で、ポンプ室rから吐出ポート28へ上記吸入した作動油を吐出する。
ポンプ1の制御部3は、制御室R1,R2と電磁弁3と油圧回路とを有している。アダプタリング24の内周面とカムリング23の外周面との間の空間は、その軸方向両側がハウジング部材40(プレート部材)により封止される一方、転動面240(とカムリング23の外周面との当接部)とシール部材26とにより、2つの制御室R1,R2に液密に隔成されている。カムリング23の外周側において、カムリング23の偏心量δが増大する方向であるx軸負方向側には第1制御室R1が隔成され、偏心量δが減少する方向であるx軸正方向側には第2制御室R2が隔成されている。油圧回路は、ハウジング部材40内において各部を接続する作動油の通路30等を有している。また、ハウジング部材40には、x軸方向に延びる略円筒状のバルブ収容孔400が形成されており、バルブ収容孔400には電磁弁3の弁体が収容される。以下、ハウジング部材40においてバルブ収容孔400が形成された部位をバルブハウジング40という。ポンプ部2の吐出ポート28と吐出通路34とを結ぶ通路32上には、メータリングオリフィス(以下、オリフィスという)320が設けられている。吐出ポート28からの通路30は、オリフィス320よりも上流側(吐出ポート28側)で上流側油路31と通路32に分岐し、上流側油路31は後述の上流側ポート310に接続される。通路32は、オリフィス320よりも下流側で下流側油路33と吐出通路34に分岐し、下流側油路33は後述の下流側ポート330に接続され、吐出通路34はCVT100に接続される。
バルブ収容孔400のx軸負方向側の端部には、オリフィス320の上流側の吐出圧が供給される上流側ポート310が形成されている。この上流側ポート310にx軸正方向側に第1制御通路38が開口する。第1制御通路38は、アダプタリング24を径方向に貫く貫通孔を介して、ポンプ部2の第1制御室R1に連通する。一方、バルブ収容孔400のx軸正方向側の端部には、オリフィス320の下流側の吐出圧(すなわち、CVT100に吐出される圧)が供給される下流側ポート330が形成されている。この下流側ポート330にx軸負方向側に第2制御通路39が開口する。第2制御通路39は、アダプタリング24を径方向に貫く貫通孔を介して、ポンプ部2の第2制御室R2に連通する。
〔電磁弁の概要〕
電磁弁3は、ポンプ1の容量を可変に制御するための電磁油圧制御弁であり、弁装置としての制御弁4とソレノイド5とを一体に有する。
(制御弁の構成)
制御弁4は、弁体を作動させる(変位させる)ことで、第1制御室R1及び第2制御室R2への作動油の流入・流出を制御する。制御弁4は、スプール弁であり、バルブ収容孔400内にx軸方向に変位(ストローク)可能に収容されたスプール41と、バルブ収容孔400内にスプール41のx軸正方向側に圧縮状態で設置され、スプール41をx軸負方向側(ソレノイド5側)に常時付勢する戻しバネとしてのスプリング43とを有している。スプリング43のx軸正方向端は、バルブ収容孔400のx軸正方向側のねじ部401に螺着されたリテーナ42に保持されている。制御弁4の作動(スプール41の変位)は、ポンプ部2の吐出流量に応じてスプール41の両側に作用する油圧(第1,第2油圧)の差により制御されると共に、CVTコントロールユニット130からの指令に基づき、スプリング43の荷重方向と反対方向にソレノイド5からスプール41に作用する推力により制御される。スプール41は、ポート遮断用(ないしポート開度可変用)の第1ランド部410及び第2ランド部411を備えている。第1ランド部410はスプール41のx軸負方向側に設けられ、第2ランド部411はスプール41のx軸正方向側の端部に設けられている。なお、第1ランド部410の外周には円周溝44が設けられ、第2ランド部411の外周には円周溝45が設けられている。バルブ収容孔400の内部は、第1ランド部410とバルブ収容孔400のx軸負方向端部とにより第1圧力室35が画成され、第2ランド部411とバルブ収容孔400のx軸正方向端部とにより第2圧力室36が画成され、第1ランド部410と第2ランド部411によりドレン室37が画成される。スプール41の変位に関わらず、第1圧力室35には上流側ポート310が常に開口し、第2圧力室36には下流側ポート330が常に開口する。ドレン室37は、図外のドレン通路と常時連通し、低圧に保たれている(大気圧に開放されている)。
スプール41がx軸方向に変位することで、バルブ収容孔400における各通路の開口部(作動油の給排孔)が各ランド部410,411によって塞がれる面積(通路の開口面積)が変化し、これにより各通路の連通状態ないし遮断状態が切り替えられる。各開口部は以下のように配置されている。すなわち、スプール41がx軸負方向側に最大変位した状態で、第1制御通路38の開口部(第1制御室R1)は、第1ランド部410により第1圧力室35との連通が遮断される一方、ドレン室37と連通する。同じ状態で、第2制御通路39の開口部(第2制御室R2)は、第2ランド部411によりドレン室37との連通が遮断される一方、第2圧力室36と連通する。スプール41がx軸正方向側に変位するにつれて、第1制御通路38の開口部(第1制御室R1)は、ドレン室37との連通が遮断される一方、変位量が所定以上になると第1圧力室35と連通し、さらなるx軸正方向側への変位量の増大に応じて、第1ランド部410により塞がれる面積が減少する。また、第2制御通路39の開口部(第2制御室R2)は、スプール41がx軸正方向側に変位するにつれて、第2ランド部411により塞がれる面積が増大し、変位量が所定以上になると第2圧力室36との連通が遮断される。スプール41がx軸正方向側に最大変位した状態で、第1制御通路38の開口部(第1制御室R1)は、第1ランド部410によりドレン室37との連通が遮断される一方、第1圧力室35と連通する。同じ状態で、第2制御通路39の開口部(第2制御室R2)は、第2ランド部411により第2圧力室36との連通が遮断される一方、ドレン室37と連通する。
(ソレノイドの構成)
ソレノイド5は、コイル6とプランジャ7とステータ8とを有する。コイル6は、例えば樹脂製のボビンに電線を多数巻回した筒状の電磁コイルであり、通電により磁力を発生する磁力発生手段である。コイル6は、通電時に磁力線を発生し、磁界を形成することで、ステータ8にプランジャ7を磁気吸引させる。プランジャ7は、軟磁性体の金属材料により形成された可動コアであり、コイル6の内周側にx軸方向に移動(ストローク)可能に支持される。プランジャ7は、コイル6への通電により形成される磁気回路の磁束による推力(x軸正方向への磁気吸引力)を受けて、所定範囲内で軸方向に移動可能に配置されている。プランジャ7の軸心には棒状の部材であるロッド70が圧入等により固定されている。ロッド70は、プランジャ7の軸心に貫通形成された孔に貫通して設置され、プランジャ7の軸方向両端から突出している。ロッド70のx軸正方向端部はスプール41のx軸負方向端部412に当接可能に設けられている。ロッド70は、コイル6に供給される駆動電流に応じてプランジャ7に作用するx軸正方向の磁気吸引力をスプール41に伝達し、スプール41を付勢する。また、ロッド70は、スプール41に作用するスプリング43のx軸負方向の付勢力をプランジャ7に伝達する。
なお、ロッド70をプランジャ7に圧入等により固着するのではなく、ロッド70の軸方向端部がプランジャ7の軸方向端部に当接することとしてもよい。また、ロッド70の軸方向端部がスプール41に当接するのではなく、ロッド70がスプール41と一体に設けられることとしてもよい。実施例1では、スプリング43の復帰負荷によりスプール41がプランジャ7側へ付勢されるため、ロッド70の軸方向端部がスプール41に当接する構成とし、かつソレノイド5におけるスプリング等の付勢手段を省略した。これに対し、プランジャ7とステータ8(固定コア80)の対向距離が離れる方向へプランジャ7を付勢するスプリング等をステータ8とプランジャ7との間に設けることとしてもよい。
ステータ8は、軟磁性体の金属材料により形成されている。ステータ8は、コイル6が形成する磁界により、磁力線の通路である磁気回路(磁路)をプランジャ7と共に形成する磁路構成部材である。ステータ8は、コイル6が発生する磁力をプランジャ7のx軸方向の対向位置へ導いて、プランジャ7をx軸正方向側に吸引して移動させる磁気吸引力を発生する。ステータ8は、コイル6やプランジャ7を収容するケーシング(ソレノイドハウジング)でもあり、複数の部材から構成され、コイル6のx軸正方向側に内嵌する固定コア(第1ヨーク)80と、コイル6のx軸負方向側に内嵌するヨーク(第2ヨーク)81と、コイル6の外周を覆う筒状のカバー(第3ヨーク)82とを有する。また、固定コア80とヨーク81は非磁性体の部材83に嵌合し、固定されている。
固定コア80は、略円盤形状のフランジ部800と、x軸正方向に伸びる略円筒形状に形成されてコイル6の内周側に嵌合する円柱部801とを一体に有する。なお、フランジ部800と円柱部801を別部材としてもよい。フランジ部800は、バルブハウジング40とコイル6のx軸正方向端部との間に挟まれるように配置される。円柱部801の軸心を貫通して孔が形成され、孔にはロッド70が貫通して設置され、摺動自在に収容される。円柱部801のプランジャ7側(x軸負方向側)に突出する端部には、プランジャ7のx軸方正向端部が進入可能な有底の凹部802が開口する。凹部802が形成された上記端部は、プランジャ収容部803を構成する。凹部802の内径は、プランジャ7の外径よりも大きな寸法に設定されている。凹部802のx軸正方向側底面には、非磁性体のギャップワッシャ84が設けられている。プランジャ収容部803の外周には、テーパ面804が形成されている。すなわち、凹部802の周壁を構成する端部(プランジャ収容部803)は、当該端部のx軸負方向側の開口縁に近づくに従って断面積が減少するテーパ状であり、そのテーパ角は所定角度に設定されている。プランジャ収容部803は、凹部802のx軸正方向側の底部に向かうにつれてその径方向断面積が増大することで、磁気吸引力調整部を構成する。なお、凹部802の内周面または/およびプランジャ7の軸方向端部の外周面にテーパ面を形成することで、磁気吸引力調整部を構成することとしてもよい。
プランジャ7のx軸正方向端面と凹部802のx軸正方向側底部との間にはx軸方向で隙間(メインギャップ)が設けられ、この軸方向隙間はギャップワッシャ84の厚み以上でプランジャ7のx軸方向移動に応じて増減する。また、プランジャ7の外周面と凹部802(周壁)の内周面との間には所定の径方向隙間(第1サイドギャップ)が設けられている。円柱部801は、メインギャップ及び第1サイドギャップを介して、フランジ部800とプランジャ7との間で磁束を導く。
ヨーク81は、フランジ部810と円筒部811とを一体に有する。なお、フランジ部810と円筒部811を別部材としてもよい。フランジ部810はコイル6のx軸負方向端部に押圧されるように設置され、円筒部811はコイル6の内周側に嵌合する。円筒部811のx軸正方向端と固定コア80の円柱部801(プランジャ収容部803)のx軸負方向端との間には所定のx軸方向隙間が設けられている。円筒部811にはx軸正方向側に開口する有底孔812が形成され、有底孔812にはプランジャ7が摺動自在に収容される。プランジャ7の外周面と有底孔812の内周面との間には所定の径方向隙間(第2サイドギャップ)が設けられている。円筒部811は、第2サイドギャップを介して、フランジ部810とプランジャ7との間で磁束を導く。有底孔812の底部には小径の有底孔が形成され、小径有底孔にはロッド70のx軸負方向端部が摺動自在に収容される。
カバー82は、コイル6の外周を覆い、かつx軸方向両端部の内周で固定コア80とヨーク81のフランジ部800,810の外周に接するように設置される。カバー82は、例えばカシメ固定により、コイル6と固定コア80とヨーク81とを一体に固定する。カバー82は、x軸方向両端の接触部を介して、固定コア80とヨーク81のフランジ部800,810間で磁束を導く。カバー82の外周面には、カバー82を部分的に薄く加工した肉薄部として、溝部、具体的には(軸心を取り囲む)周方向に延びる環状の溝90が設けられている。カバー82には、カバー外周面を取り囲むように、環状のスライド部材91が設置される。スライド部材91は磁性体の金属材料により形成されたヨーク部材(第4ヨーク)であり、その軸方向一方側(x軸正方向側)は先端に向かうにつれて軸直方向で切った断面積が徐々に小さくなるテーパ状に形成されている。スライド部材91は、カバー82の溝90に隣接して設置され、そのx軸正方向端部と溝90とのx軸方向での重なりが調節可能に設けられている。
なお、コイル6には、制御弁4を制御する制御装置(CVTコントロールユニット130)と接続線を介して電気的な接続を行うコネクタが設けられている。
制御弁4は、後述のように制御対象であるポンプ1の吐出量(制御流量)のフィードバックを受けてメカ的に制御されると共に、ソレノイド5の電磁力により電子的に制御可能に設けられている。ソレノイド5は、CVTコントロールユニット130からの指令に基づき通電されることにより、通電量(指令電流)に応じた推力でプランジャ7をx軸正方向側に駆動する。具体的には、PWM方式を用いて、駆動電圧のパルス幅を変化させることにより、ソレノイド5のコイル6に所望の実効電流を通電し、プランジャ7の駆動力を連続的に変化させる。CVTコントロールユニット130はソレノイド制御手段を構成し、所定周期でコイル6に駆動信号(駆動電圧)を出力し、駆動信号の一周期当たりのコイル6への通電時間を可変とすることでコイル6に供給する電流値を制御する。プランジャ7(ロッド70)のx軸正方向端部がスプール41のx軸負方向端部412に当接し、ソレノイド5の電磁力によりスプール41をスプリング43の荷重方向と反対方向(x軸正方向側)に付勢することで、スプール41の変位を制御可能に設けられている。ソレノイド5への指令電流は、CVT100の要求に応じ、ポンプ1に要求される吐出流量が大きいときは小さな電流値に設定され、ポンプ1に要求される吐出流量が小さいときは大きな電流値に設定される。ソレノイド5に通電される電流値が大きいほど、ソレノイド5がスプール41をx軸正方向側に駆動する力が大きくなる。
[作用]
次に、実施例1の作用を説明する。まず、ソレノイド5の作用を説明する。
(径方向磁気吸引力調整による吸引力の変化抑制)
コイル6、プランジャ7、及びステータ8により磁気回路(磁力線の通路)が構成される。すなわち、コイル6が形成する磁界により、「カバー82−固定コア80(フランジ部800−円柱部801)−メインギャップ及び第1サイドギャップ−プランジャ7−第2サイドギャップ−ヨーク81(円筒部811−フランジ部810)−カバー82」を通路として磁束を導く磁気回路が形成される。固定コア80(プランジャ収容部803)のx軸負方向端は、磁気回路におけるステータ8とプランジャ7との間の磁束の受け渡し部を構成する。図3は、実施例1のソレノイド5における、プランジャ7の固定コア80側(x軸正方向側)へのストローク(移動距離ないし変位量)に対する、プランジャ7に作用する固定コア80側(x軸正方向側)への磁気吸引力、及び磁気回路における総磁束との関係を示す特性図である。総磁束の大きさは、磁気回路における磁気抵抗の逆数(パーミアンス)に比例する。コイル6への通電オフ時、スプリング43の荷重によって、スプール41に当接するロッド70と共に、プランジャ7がヨーク81側(x軸負方向側)へ変位して停止する。この停止状態で、プランジャ7の固定コア80側(x軸正方向側)への変位量(移動距離ないしストローク)は最小(ゼロ)であり、メインギャップは最大である。
コイル6への通電オン時、メインギャップ及び第1サイドギャップに磁気力が生じ、その磁気力のx軸方向成分によってプランジャ7が固定コア80側(x軸正方向側)に磁気吸引される。この磁気吸引力により、プランジャ7が固定コア80側へ移動するに応じて、プランジャ7のストロークが増大すると共に、メインギャップが減少する。プランジャ7のストロークが所定値α以下では、メインギャップの減少に応じて、磁気力の軸方向成分(磁気吸引力)が増大する。所定値αは、プランジャ7のx軸正方向端部が固定コア80のプランジャ収容部803(凹部802)のx軸負方向端と一致する位置と略等しい。一方、プランジャ7の移動量が所定値α以上になると、プランジャ7の移動と共に、プランジャ7と凹部802とがx軸方向で重なる範囲が増大する。これにより、プランジャ収容部803(凹部802)内でのプランジャ7の移動と共に磁気抵抗が減少し、磁気回路を通る総磁束量が増加する。
プランジャ収容部803は、凹部802の底部に向かうにつれてその径方向断面積が増大する形状とすることにより、径方向断面積が小さいプランジャ収容部803のx軸負方向側から磁気飽和し、プランジャ7の変位量に応じて径方向とx軸方向の吸引力の割合を調整することができる。よって、図3に示すように、プランジャ7のストロークが所定値α以上の範囲では、ストローク変化に対して磁気回路を通る総磁束量は増加するが、軸方向磁気吸引力の変化は抑制される。すなわち、ストロークが変化しても、安定した磁気吸引力を発生することができる。これに対し、プランジャ収容部803の径方向断面積が一定の場合、プランジャ収容部803内でのプランジャ7の移動と共に、第1サイドギャップでの磁気抵抗が大幅に減少し、第1サイドギャップを介した通過磁束量が増大する分、メインギャップを介した通過磁束量は減少してしまう。すなわち、プランジャ収容部803内でのプランジャ7の移動と共に、軸方向の磁気吸引力は減少してしまう。
このように、プランジャ収容部803は、プランジャ7のストロークが所定値α以上のときにプランジャ7の移動に応じて径方向とx軸方向の吸引力の割合を変化させる磁気吸引力調整部を構成し、プランジャ7のストロークによる磁気吸引力の変化を抑制する。なお、プランジャ7のストロークに応じて径方向とx軸方向の吸引力の割合を変化させるための磁気吸引力調整部として、ステータ8(固定コア80の円柱部801)の端部ではなく、プランジャ7のx軸正方向端部に例えばテーパ部を設けることとしてもよい。また、ステータ8とプランジャ7の両方に磁気吸引力調整部を設けることとしてもよい。
(磁束飽和によるヒステリシス低減)
カバー82の外周面に設けられた溝90は、磁気回路内の他の部分よりも先に磁気飽和する磁気絞り部9を構成する。磁気絞り部9は、プランジャ7のストロークが所定値Zでコイル6への通電量が所定値β以上のとき、磁気飽和する。なお、所定値Zは、上記所定値αよりも大きく設定される。すなわち、溝90は、カバー82における磁気回路を部分的に絞る絞り部(磁気絞り)を構成し、溝90が設けられた部位(絞り部)は、磁気回路内の他の部分よりも早く磁束密度が増大し飽和磁束密度に到達する。磁気絞り部9は、コイル6への通電量が所定値β以上のときに、磁気回路内の他の部分よりも早く磁化が飽和することで、磁気回路を通る総磁束量を制限する。言換えると、実施例1のソレノイド5は、磁束の使用域として、コイル6への通電量が所定値β以上では、通電量の変化に対する磁気回路を通る総磁束量の変化が比較的小さい磁気飽和領域を使用する。図4はソレノイドの特性図であり、磁界(通電量)と磁束との関係を示す。図4に示すように、磁束は、磁界の強さに応じてS字曲線状に変化し、磁界の強さが所定以上の範囲では飽和する。従来のソレノイドでは、図4に示すように、飽和領域を使用せず、磁界の強さが所定以下であり特性が線形に近い領域のみを使用する。このように飽和領域を使用しない従来のソレノイドでは、プランジャのストロークに応じて磁気回路を通る総磁束量が大きく変化するため、プランジャが所定位置から総磁束量が増加する方向に移動し、元の所定位置まで戻った場合(往復移動)、残留磁束により総磁束量が増加する。つまりプランジャが往復移動することにより吸引力が増加する、所謂ヒステリシスが発生する。これに対し、実施例1では、磁気絞り部9(溝90)により磁気飽和させた領域を使用することで、プランジャ7のストローク変化に対する磁気回路を通過する総磁束量の変化が小さくなる。つまり、プランジャ7が往復移動することにより発生する吸引力の増加量が所定範囲内となる。この所定範囲は、要求されるソレノイド5の制御精度に応じて適宜設定することができる。
図5は、磁気吸引力調整部を備えるが磁気絞り部を有しない従来のソレノイドにおける、図3と同様の特性図である。コイル6への通電量が所定値β以上のとき、プランジャ7のストロークに応じて磁気回路を通過する総磁束量の増加代が大きくなるため、プランジャ7が往復移動することによる磁気吸引力の差も大きくなる。したがって、ソレノイド5の制御精度が低下するおそれがある。これに対し、実施例1では、プランジャ7のストロークが所定値Zで、コイル6への通電量が所定値β以上のとき、磁気絞り部9により磁束を絞ることで、プランジャ7が往復移動することによる磁気回路を通る総磁束量の変化を抑制できる。すなわち、通電量が所定値β以上となる高電流域では飽和領域を用い、磁気飽和させることでプランジャ7のストローク変化に対する磁気回路を通る総磁束量の変化分を小さくする。よって、高電流域すなわち磁気吸引力が比較的大きい領域で、プランジャ7が往復移動することによる磁気吸引力の変化ないし差(以下、これをヒステリシスという。)を抑制し、これによりソレノイド5の制御精度を向上することができる。磁気回路を通る総磁束量の変化量が小さくとも、磁気吸引力調整部で径方向とx軸方向の吸引力の割合を調整することにより、プランジャ7のストローク変化による磁気吸引力の変化を抑制することができる。図5と図3を比べると、実施例1のソレノイド5のほうが従来のものよりも上記ヒステリシスが低減されることがわかる。すなわち、同じストロークで同じ量だけ往復移動した場合の磁気吸引力の差が、従来よりも実施例1のほうが小さい。
(磁気絞り調整による個体ばらつき低減)
スライド部材91は、磁気絞り部9における磁束の上限を調整するための磁気絞り調整機構を構成する。すなわち、磁気絞り部9は磁気飽和時に材料の磁化特性や寸法のばらつき影響を受けやすく、ソレノイド5の各個体間で、材料の磁化特性や寸法がばらつくことによって、コイル6への通電量と、この通電量に応じて発生する磁気吸引力との関係がばらつくおそれがある。すなわち、同じ実効電流に対するプランジャ7の磁気吸引力が、個体によって異なってしまう。特性がソレノイド5の個体間でばらつくと、ソレノイド5への制御指令(コイル6への通電量)と制御結果(磁気吸引力)との関係がずれてしまい、ソレノイド5の制御精度を向上できないおそれがある。これに対し、磁気絞り調整機構により、磁気絞り部9で飽和する磁束密度(磁束密度の上限)を各個体で調整可能とすることで、ソレノイド5の特性を所望に調整し、この特性が個体間でばらつくことを抑制できる。また、磁気絞り調整機構を磁気絞り部9に設けることにより、効果的に調整することができる。よって、ソレノイド5の制御精度を向上することができる。
具体的には、磁気絞り調整機構は、磁性体のヨーク部材としてのスライド部材91であり、磁気絞り部9としてのカバー82の溝90に重なるように配置される。スライド部材91は、溝90とのx軸方向での重なりが調節可能に設けられている。重なりを調節することで、溝90が設けられた部位(磁気絞り部9)における磁束の絞り量(磁気飽和度)が調整される。具体的には、スライド部材91の軸方向先端(テーパ部の先端)とこれにx軸方向で対向する溝90の角部との間のギャップを通路として磁束が導かれ、この磁束分だけ磁気絞り部9による絞り量が減少する。スライド部材91を軸方向に移動(スライド)させることで、絞り量の減少量が変化する。このように磁気絞り部9には絞り量調整機構が設けられており、スライド部材91は磁気絞り調整機構を構成する。スライド部材91にテーパ部を設けたことで、絞り量をより細かく調整することができる。
なお、磁気絞り部9としての溝90は、実施例1の位置に限らず、カバー82の適当な位置に設けることができる。また、カバー82に限らず、ソレノイド5を構成する他の部材に磁気絞り部9を設けることとしてもよい。また、溝に限らず、孔により磁気絞り部9を設けることとしてもよい。例えば、プランジャ7に孔または溝を形成することで(例えばプランジャ7に軸方向に孔を形成することで)、またはカバー82に孔を形成することで(例えばカバー82に孔を径方向に貫通形成することで)、またはヨーク81の円筒部811の先端側ないし基端側の外周面に環状溝を設けることで、または固定コア80やヨーク81のフランジ部800,810に環状溝を設けることで、磁気絞り部9を構成することとしてもよい。これら溝の幅や深さ、ないし孔の寸法や形状は、コイル6への通電量が所定値β以上になると、磁気回路を通る総磁束量が飽和状態となるように予め設定する。
また、ステータ8を構成する複数の部材同士の接続部の接触面積を調整することで磁気絞り部9を構成することとしてもよい。この場合、複数の部材同士の接続部の接触範囲を容易に調整可能なように、ネジ部により磁気絞り調整機構を構成することとしてもよい。図6は、図2と同様の断面図であり、カバー82に溝90を設ける代わりに、カバー82(のx軸正方向端部)と固定コア80(フランジ部800の外周)との接続部Aの接触面積を減少させることで磁気絞り部9を構成した例を示す。なお、カバー82(のx軸負方向端部)とヨーク81(フランジ部810の外周)との接続部Bの接触面積を調整させることで磁気絞り部9を構成してもよい。また、接続部AやBをネジにより螺合させ、調整を容易にできるように設けてもよい。
次に、ソレノイド5をポンプ1に適用したことによる作用を説明する。
(容量可変作用)
まず、ソレノイド5が非作動時の状態について説明する。スプール41には、スプリング43により初期セット荷重がx軸負方向側に付与されており、ポンプ作動初期の比較的吐出流量が少ない状態では、オリフィス320の前後差圧はさほど大きくなく、スプリング43の荷重によってスプール41はx軸負方向側に付勢されるため、第1ランド部410は第1圧力室35と第1制御通路38とを遮断し、第2ランド部411は第2圧力室36と第2制御通路39とを連通する。これにより、第1制御室R1には吐出圧は供給されず、第2制御室R2に吐出圧が供給されるため、カムリング23は偏心状態となってポンプ吐出流量は回転数に応じて増大する(固定容量域)。ポンプ1の吐出流量が増大すると、オリフィス320の上流側と下流側との間の差圧が大きくなり、上流側が下流側よりも高圧となる。このとき、第1圧力室35でスプール41の第1ランド部410にx軸正方向側に作動させる力が、スプリング43の初期セット荷重及び第2圧力室36で第2ランド部411に作用するx軸負方向側の力との合計を上回ると、スプール41がx軸正方向側に移動する。スプール41の移動により、第1ランド部410が第1圧力室35と第1制御通路38とを連通し、第2ランド部411が第2圧力室36と第2制御通路39とを遮断する。これにより、第1制御室R1にはオリフィス320より上流側の高い吐出圧が供給され、第2制御室R2には吐出圧の供給がされなくなるから、カムリング23の偏心量が小さくなり、ポンプ回転数が上昇してもポンプ吐出流量は増大しない。ポンプ吐出流量が減少しすぎると、オリフィス320の上流側と下流側との差圧が小さくなるから、再度カムリング23が偏心し、適宜吐出流量の増大が図られる(吐出流量制御域)。
ソレノイド5が非作動状態にあっては、スプリング43の初期セット荷重に対向する力が油圧(第1圧力室35と第2圧力室36の差圧)のみである。吐出流量が大きくならないと、オリフィス320の上下において十分な差圧が確保できない。よって、比較的高い吐出流量を達成した後、一定の流量を維持する。次に、ソレノイド5に所定の磁気吸引力(スプール41を付勢してx軸正方向側に推進させる推力)を発生させるべく通電すると、スプリング43の初期セット荷重を小さく変更したのと同じ作用が得られるため、非作動時よりも早いタイミングでスプール41が切り替わる。よって、オリフィス320の上下において大きな差圧が無くとも、僅かな差圧でスプール41が作動し、比較的低い吐出流量を達成した後、一定の流量を維持する。すなわち、ソレノイド5の発生する推力によって吐出流量を制御することができる。CVTコントロールユニット130では、アクセル開度、エンジン回転数、車速といった走行状況に応じてCVT100のライン圧を適宜制御する。よって、吐出流量が多く要求されたときは、ソレノイド5への通電をオフし又は通電量(磁気吸引力)を小さくし、吐出流量が少なく要求されたときは、ソレノイド5への通電量(磁気吸引力)を大きくする。
このように、ポンプ1は、ソレノイド5の磁気吸引力に応じて吐出流量を変更する。流量を定常的に制御するときの弁体(スプール41)の制御位置は第1制御通路38と第2制御通路39の位置によって決まる或る狭い範囲となるが、ポンプ1の停止状態から制御流量が変化する過渡状態を含めた全ての作動状態の中では、弁体(スプール41)の位置は上記狭い範囲に対して大幅に大きな範囲で移動する。定常的に流量を制御している状態(プランジャ7が所定の位置)では、ソレノイド5の磁気吸引力とオリフィス320の上下で発生する差圧がスプリング43のセット荷重と等しくなるように、カムリング23の位置(偏心の大きさ)を制御し、流量を制御するが、上記の通り弁体(スプール41)の制御位置はソレノイド5の磁気吸引力で大きく変化はしない。例えば、ポンプ1の流量を急激に減少させるために、短時間で通電量を増加させた場合、弁体(スプール41)が過渡的に上記定常制御位置から大きく移動し、その後本来の定常制御位置まで戻る場合がある(過渡的に往復移動)。このような場合、ソレノイド5は、プランジャ7が往復移動することにより磁気吸引力(弁体の推力)の差(ヒステリシス)を生じる。これにより、ポンプ1の吐出流量がばらつくおそれがある。これに対し、実施例1の電磁弁3は、磁気絞り部9によりソレノイド5の磁気吸引力のヒステリシスを低減することにより吐出流量(制御流量)のばらつきを抑制し、もってエネルギ効率の改善を図ることができる。
ポンプ1が作動油を供給する機器(CVT100)は、自動車の車両に搭載される。実施例1のようにエンジンによりポンプ1を駆動する場合は、エンジンの作動量を少なくすることで、燃費を向上することができる。なお、ポンプ1が作動油を供給する機器は、実施例1では車両の自動変速機であることとしたが、自動変速機以外の油圧機器、例えば車両の操舵機構に操舵補助力を付与するパワーステアリング装置等であってもよい。この場合も、作動頻度が高い低流量領域でポンプ1の流量のばらつきを抑制することで、エネルギ効率や燃費を向上することができる。
実施例1の機器(CVT100)は、車両の自動変速機である。すなわち、ポンプ1は、自動変速機において使用される作動油を供給する。ソレノイド5は、自動変速機の要求に応じ、要求された吐出流量が大きいときは小さな通電量となり、要求された吐出流量が小さいときは大きな通電量となる。よって、自動変速機の作動時に必要とされる作動油の流量が平均的に少ない場合には、自動変速機の作動頻度が高い領域でポンプ吐出流量のばらつきを抑制することで、エネルギ効率を全体として向上することができる。具体的には、自動変速機(CVT100)は、変速比を無段階的に連続して可変とする無段変速機である。変速比を固定とする固定変速比モードを備えたCVT100や、低負荷ないし高速走行時(オーバードライブ時)に変速比を固定する構成のCVT100等のように、走行モードにおいて、ポンプ1からの流量を多く必要とする変速の場面が少なく、必要とされる作動油の流量が平均的に少ないものにあっては、上記効果を得ることができる。より具体的には、実施例1の無段変速機(CVT100)は、駆動側プーリと、被駆動側プーリと、これらのプーリに掛け渡されたベルトとを備え、ベルトを挟み込む上記プーリへ供給される作動油の圧力を変化させ、プーリにおけるベルトの巻き付き半径を変更することで変速を行うベルト式である。よって、変速の場面では、プーリがベルトを挟み込む圧力を発生させる(変更する)ための作動油量が必要となるため、ポンプ1が吐出流量を多くする必要がある。一方、変速以外の場面では、車両の駆動力源(エンジン等)とCVT100とを断接する発進クラッチの作動油のリーク量を補償したり、プーリの作動油のリーク量を補償したりするための作動油量しか必要とされないため、ポンプ1の吐出流量が少なくて済む。
[効果]
以下、実施例1から把握されるソレノイド5の効果を列挙する。
(1)通電により磁力を発生するコイル6と、軸方向に移動可能に設けられた磁性体のプランジャ7と、コイル6およびプランジャ7と共に磁気回路を構成し、コイル6が発生する磁力をプランジャ7の軸方向の対向位置へ導いて、プランジャ7を軸方向に吸引して移動させる磁気吸引力を発生する磁性体のステータ(固定コア80)と、磁気回路を構成する磁路構成部材(カバー82)に設けられ、磁気回路内の他の部分よりも先に磁気飽和する磁気絞り部9と、を備え、磁気絞り部9は、プランジャ7のストロークが所定値Zでコイル6への通電量が所定値β以上のとき、磁気飽和することで、プランジャ7が所定値Zに対して過渡的に往復移動することにより発生する磁気吸引力の変化を所定範囲内とする。
よって、磁気吸引力が比較的大きい領域で、プランジャ7が過渡的に往復移動することにより発生する磁気吸引力の変化(ヒステリシス)を抑制し、これにより制御精度を向上することができる。
(2)磁気絞り部9における通過磁束量を調整するための磁気絞り調整機構(スライド部材91)を設けた。
よって、ソレノイド5の個体間の特性ばらつきを抑制し、制御精度を向上することができる。
(3)プランジャ7のストロークが第2の所定値α以上のときに、プランジャ7の移動に応じて磁気吸引力の方向を変化させることで、プランジャ7の移動による軸方向の磁気吸引力の変化を抑制する磁気吸引力調整部(プランジャ収容部803)を設けた。
よって、安定した磁気吸引力を発生し、制御性を向上することができる。
(4)作動油を流量可変に供給する可変容量型のポンプ1であって、通電により磁気吸引力を発生して弁体(スプール41)を作動させ、ポンプ1が供給する作動油の流量(吐出流量)を通電量の増大に応じて少なく制御する電磁弁3を備え、流量を制御するときに弁体(スプール41)は所定の位置(流量制御位置)にあり、通電量が急増した場合に弁体(スプール41)が過渡的に所定の位置(流量制御位置)を超えてオーバーストロークし再び所定の位置(流量制御位置)に戻ったとき、ソレノイド5にて磁気吸引力のヒステリシスを低減する。
よって、吐出流量(制御流量)のばらつきを抑制し、もってエネルギ効率の改善を図ることができる。
〔他の実施例〕
以上、本発明のソレノイドを実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、ソレノイドを備えた電磁弁は、油圧機器に作動油を供給するポンプの作動を制御するのでなく、油圧機器の油圧や流量の切り替えを制御するものであってもよい。例えば、自動変速機の油圧アクチュエータの作動油圧や流量の制御弁であってもよい。
ソレノイドを備えた電磁弁は、油圧制御弁に限らず、オイル以外の作動流体(水や空気等)の切り替えや断続、流量調整を行うものであってもよい。
制御弁の種類はスプール弁に限らず、例えばボール弁を用いてもよい。
ソレノイドは制御弁との組合せに限定されるものではなく、制御弁を駆動するものに代えて、他の被駆動体(直線的な移動を行わせる部材)を駆動するものに本発明を適用してもよい。
1 ベーンポンプ
2 ポンプ部
3 電磁弁
4 制御弁
5 ソレノイド
6 コイル
7 プランジャ(磁路構成部材)
8 ステータ(磁路構成部材)
80 固定コア
803 プランジャ収容部(磁気吸引力調整部)
82 カバー
9 磁気絞り部
91 スライド部材(磁気絞り調整機構)
100 CVT
130 CVTコントロールユニット(ソレノイド制御手段)

Claims (4)

  1. 通電により磁力を発生するコイルと、
    軸方向に移動可能に設けられた磁性体のプランジャと、
    前記コイルおよび前記プランジャと共に磁気回路を構成し、前記コイルが発生する磁力を前記プランジャの軸方向の対向位置へ導いて、前記プランジャを軸方向に吸引して移動させる磁気吸引力を発生する磁性体のステータと、
    前記磁気回路を構成する磁路構成部材に設けられ、前記磁気回路内の他の部分よりも先に磁気飽和する磁気絞り部と、を備え、
    前記磁気絞り部は、前記プランジャが所定の位置で前記コイルへの通電量が所定値以上のとき、磁気飽和することで、前記プランジャが前記所定の位置に対して過渡的に往復移動することにより発生する磁気吸引力の変化を所定範囲内とする
    ことを特徴とするソレノイド。
  2. 請求項1に記載のソレノイドにおいて、
    前記磁気絞り部における通過する磁束量を調整するための磁気絞り調整機構を設けたことを特徴とするソレノイド。
  3. 請求項1または2に記載のソレノイドにおいて、
    前記プランジャが第2の所定の位置以上のときに、前記プランジャの移動に応じて磁気吸引力の方向を変化させることで、前記プランジャの移動による軸方向の磁気吸引力の変化を抑制する磁気吸引力調整部を設けたことを特徴とするソレノイド。
  4. 作動流体を流量可変に供給する可変容量型のポンプであって、
    通電により磁気吸引力を発生して弁体を作動させ、前記ポンプが供給する作動流体の流量を通電量の増大に応じて少なく制御する電磁弁を備え、
    流量を制御するときに前記弁体は所定の位置にあり、通電量が急増した場合に前記弁体が過渡的に所定の位置を超えて大きく移動し再び前記所定の位置に戻る可変容量型ポンプにおいて、
    請求項1ないし3のいずれかに記載のソレノイドを前記電磁弁に使用する
    ことを特徴とする可変容量型ポンプ。
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