JP2013196885A - 希土類元素の使用量の少ない蛍光ランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の蛍光ランプと比較して、蛍光ランプの輝度としては十分に高い輝度であり、かつ希土類元素(レアアース)の使用量の少ない蛍光ランプを提供することを課題とする。
【解決手段】光透過性管状外囲器、該光透過性管状外囲器の内壁に配置される蛍光膜、並びに該光透過性管状外囲器に封入される水銀及び希ガスを有し、該水銀の放電によって放射される波長180nm〜380nmの紫外線により該蛍光膜を発光させることで、光透過性管状外囲器から光を出射する蛍光ランプであって、前記蛍光膜は、少なくとも青色、緑色、赤色の3色の蛍光体を含み、かつ緑色蛍光体は少なくともCeとTbを付活剤とするものであり、かつ300〜400nmに、メインピークに対し10〜30%の強度を有するピークを持つ蛍光体であり、青色又は赤色蛍光体は300〜400nmの発光を励起源として可視光を発光する蛍光体を用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
【選択図】図7
【解決手段】光透過性管状外囲器、該光透過性管状外囲器の内壁に配置される蛍光膜、並びに該光透過性管状外囲器に封入される水銀及び希ガスを有し、該水銀の放電によって放射される波長180nm〜380nmの紫外線により該蛍光膜を発光させることで、光透過性管状外囲器から光を出射する蛍光ランプであって、前記蛍光膜は、少なくとも青色、緑色、赤色の3色の蛍光体を含み、かつ緑色蛍光体は少なくともCeとTbを付活剤とするものであり、かつ300〜400nmに、メインピークに対し10〜30%の強度を有するピークを持つ蛍光体であり、青色又は赤色蛍光体は300〜400nmの発光を励起源として可視光を発光する蛍光体を用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
【選択図】図7
Description
本発明は、蛍光ランプに関し、より詳しくは、賦活剤として用いられる希土類の量を大きく削減できる蛍光ランプに関する。
蛍光ランプに用いられる蛍光体のうち、緑の蛍光体としては、一部の色再現範囲広げたバックライト用ランプを除くと、LaPO4:(Ce),Tb(以後LAP蛍光体という)が主に使用されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、緑色蛍光体としてLaPO4:Tb3+が用いられており、光束低下の少ない蛍光ランプ及びバックライト装置を提供できるとされている。
近年、希土類元素(レアアース)に関しては、その用途の広がり、産地の偏りなどから価格が高騰し、少しでもレアアースの使用量を減らすべく、検討がされている。
照明やTVのバックライト等に使用される蛍光体でもこの動きは盛んであり、特に賦活剤として使用されるテルビウム(Tb)とユーロピウム(Eu)においてその要求が高い。
照明やTVのバックライト等に使用される蛍光体でもこの動きは盛んであり、特に賦活剤として使用されるテルビウム(Tb)とユーロピウム(Eu)においてその要求が高い。
その中でも特に、緑色蛍光体であるLAP蛍光体においてレアアース低減要求が高い。LAP蛍光体は、蛍光ランプ用の蛍光体として、実質的に標準蛍光体として使用されているが、この蛍光体のTbの使用量は蛍光体1モル中に0.1〜0.2モルであり、その使用量が非常に多いことが課題になっている。しかしながら、単純にLAP蛍光体においてTb量を減らせば、輝度が低下するため、結局緑色蛍光体の使用量が増えることとなる。
本発明は、このような課題を解決するものであり、蛍光ランプの輝度としてLAP蛍光体を用いた蛍光ランプと実質同一で、かつ希土類元素(レアアース)の使用量の少ない蛍光ランプを提供することを課題とする。
本発明は、このような課題を解決するものであり、蛍光ランプの輝度としてLAP蛍光体を用いた蛍光ランプと実質同一で、かつ希土類元素(レアアース)の使用量の少ない蛍光ランプを提供することを課題とする。
そこで本発明者らは、蛍光体の輝度としては通常のLAP蛍光体に劣っていても、蛍光ランプの輝度としては実質従来のLAP蛍光体を用いた蛍光ランプと同等の輝度を得ることができる可能性を種々探った結果、緑と同時に300〜400nmの近紫外線から紫の発光をする蛍光体を用いることにより、Tb及びEuの使用量の合計という観点から見ても、7割から8割程度に減らすことができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、
(1)光透過性管状外囲器、該光透過性管状外囲器の内壁に配置される蛍光膜、並びに該光透過性管状外囲器に封入される水銀及び希ガスを有し、該水銀の放電によって放射される波長180nm〜380nmの紫外線により該蛍光膜を発光させることで、光透過性管状外囲器から光を出射する蛍光ランプであって、
前記蛍光膜は、少なくとも青色、緑色、赤色の3色の蛍光体を含み、
かつ緑色蛍光体は少なくともCeとTbを付活剤とするものであり、かつ300〜400nmに、メインピークに対し10〜30%の強度を有するピークを持つ蛍光体であり、
青色又は赤色蛍光体は300〜400nmの発光を励起源として可視光を発光する蛍光体を用いたことを特徴とする蛍光ランプ、
(2)該緑色蛍光体が、一般式(10)で表される緑色蛍光体を含む(1)に記載の蛍光ランプ、
(La1−x−yCexTby)PO4・・・(10)
(ただし0.2≦x≦0.45、0.04≦y≦0.13を満たす。)
(3)該青色蛍光体が一般式(20)で表される青色蛍光体である、(1)または(2)に記載の蛍光ランプ、
BaMgAl10O17:Eux1,Mny1・・・(20)
(ただし0.001≦x1≦0.3、0≦y1≦0.2を満たす。)
(4)該赤色蛍光体がY2O3:Euである(1)ないし(3)のいずれかに記載の蛍光ランプ、
に存する。
(1)光透過性管状外囲器、該光透過性管状外囲器の内壁に配置される蛍光膜、並びに該光透過性管状外囲器に封入される水銀及び希ガスを有し、該水銀の放電によって放射される波長180nm〜380nmの紫外線により該蛍光膜を発光させることで、光透過性管状外囲器から光を出射する蛍光ランプであって、
前記蛍光膜は、少なくとも青色、緑色、赤色の3色の蛍光体を含み、
かつ緑色蛍光体は少なくともCeとTbを付活剤とするものであり、かつ300〜400nmに、メインピークに対し10〜30%の強度を有するピークを持つ蛍光体であり、
青色又は赤色蛍光体は300〜400nmの発光を励起源として可視光を発光する蛍光体を用いたことを特徴とする蛍光ランプ、
(2)該緑色蛍光体が、一般式(10)で表される緑色蛍光体を含む(1)に記載の蛍光ランプ、
(La1−x−yCexTby)PO4・・・(10)
(ただし0.2≦x≦0.45、0.04≦y≦0.13を満たす。)
(3)該青色蛍光体が一般式(20)で表される青色蛍光体である、(1)または(2)に記載の蛍光ランプ、
BaMgAl10O17:Eux1,Mny1・・・(20)
(ただし0.001≦x1≦0.3、0≦y1≦0.2を満たす。)
(4)該赤色蛍光体がY2O3:Euである(1)ないし(3)のいずれかに記載の蛍光ランプ、
に存する。
本発明により、希土類元素、特にTb使用量の少ない蛍光ランプを提供することができる。
本発明の蛍光ランプは、特定の特性を有する蛍光体を使用したことにより希土類元素の使用量が少ないことを除くと、従来公知の蛍光ランプと同様の構成をとることができる。
すなわち、光透過性管状外囲器、該光透過性管状外囲器の内壁に配置される蛍光膜、並びに該光透過性管状外囲器に封入される水銀及び希ガスを有し、該水銀の放電によって放射される波長180nm〜380nmの紫外線により該蛍光膜を発光させることで、光透過性管状外囲器から光を出射する蛍光ランプである。
すなわち、光透過性管状外囲器、該光透過性管状外囲器の内壁に配置される蛍光膜、並びに該光透過性管状外囲器に封入される水銀及び希ガスを有し、該水銀の放電によって放射される波長180nm〜380nmの紫外線により該蛍光膜を発光させることで、光透過性管状外囲器から光を出射する蛍光ランプである。
光透過性管状外囲器の材料としては、光を透過する材料からなる限り特段限定されず、各種透明樹脂、半透明樹脂、ガラスなどを用いることができる。特に紫外線を外部に放出しないことからガラス製であることが好ましい。光を透過する材料は、光透過性管状外囲器の少なくとも一部に含むことでよいが、光透過性管状外囲器全体が光透過性材料からなることが好ましい。
光透過性管状外囲器の形状は管状であれば特段限定されず、直管状、それを変形あるいは複数の直管を接合したような形状、電球状など、蛍光ランプの外囲器として任意の形状を取ることができる。
光透過性管状外囲器の内壁には蛍光膜が配置されており、蛍光膜は、紫外線により励起され蛍光を発する蛍光体を含む。蛍光膜はどのような方法で外囲器の内壁に配置されてもよいが、一般には、有機系又は水系の溶媒中に必要に応じバインダーとなる物質と共に蛍光体を分散、混合してスラリーとし、該蛍光体を含むスラリーを外囲器の内壁に塗布し、乾燥して溶媒を除去し、必要に応じ加熱、燃焼させることによりバインダー物質を除去して蛍光膜を形成することができる。
蛍光膜の厚さは特に限定されないが、通常10μm以上100μm以下であり、蛍光膜に含まれる蛍光体の重量平均粒径の2〜5倍程度が好ましい。蛍光膜をこのような厚さとすることで、蛍光膜からの光取り出し効率を上げることができる。
前記蛍光膜は、少なくとも青色、緑色、赤色の3色の蛍光体を含み、かつ緑色蛍光体として、少なくともCeとTbを付活剤とするものであり、かつ300〜400nmに、メインピークに対し10〜30%の強度を有するピークを持つ蛍光体を含み、青色又は赤色蛍光体として、300〜400nmの発光を励起源として可視光を発光する蛍光体を含有する。
このような構成により、Tbの発光能力を最大限に利用し、かつ使用し切れなかった励起光のエネルギーを、他の蛍光体に効果的に伝えることにより、蛍光ランプとして効率的に光ることができるようになる。
このような構成により、Tbの発光能力を最大限に利用し、かつ使用し切れなかった励起光のエネルギーを、他の蛍光体に効果的に伝えることにより、蛍光ランプとして効率的に光ることができるようになる。
かかる緑色蛍光体として、特に好ましくは、下記一般式(10)で表される緑色蛍光体である。
(La1−x−yCexTby)PO4・・・(10)
(ただし0.2≦x≦0.45、0.04≦y≦0.13を満たす。)
(La1−x−yCexTby)PO4・・・(10)
(ただし0.2≦x≦0.45、0.04≦y≦0.13を満たす。)
この一般式(10)で表される蛍光体は、通常、LAP蛍光体といわれる蛍光体であるが、通常使用される組成に比べると、Tb量とCe量の比が、Ce量が多く変更されている。本蛍光体は、180〜380nmの励起光、特に水銀線のメインピークである254nmの励起では、Tbのみではこの励起光のエネルギーを吸収できないため、一旦Ceが励起光のエネルギーを吸収し、それがTbに伝達されて緑色の発光をする。その際、Tbが多すぎるとTb同士の間でのエネルギーのやり取りが行われる結果、発光に結びつかない形でエネルギーが失われることが多く生じて、輝度が低下する。一方発光物質であるTbが少なすぎても輝度が低下する。これまでの蛍光ランプに使用されていたLAP蛍光体は、このバランスを考慮して、CeとTbの比をおよそ2:1とし、Tb濃度を15%程度(y=0.15)としていた。本発明者らは、希土類使用量を低下させることを主目的として、Tb同士のエネルギーのやりとりによる損失を最小限に抑え、かつTbが受け取れきれなかったエネルギーを、Ceが他の蛍光体が使用できる300〜400nmの紫外線から紫の光で発光することにより、無駄なく使用するものである。
このような目的から、本発明に用いられる一般式(10)の蛍光体のより好ましい組成範囲は、0.25≦x≦0.45、0.04≦y≦0.11である。
このような目的から、本発明に用いられる一般式(10)の蛍光体のより好ましい組成範囲は、0.25≦x≦0.45、0.04≦y≦0.11である。
蛍光膜中には、可視光と紫外線を反射する物質を含有させることもできる。このような物質を含有させると、蛍光体量を減らすことが可能になる場合がある。可視光と紫外線を反射する物質としてはY2O3、Al2O3、TiO2、MgOなどがあげられる。
また、蛍光膜中に複数の蛍光体を用いる場合には、内壁への塗布方法によっては、蛍光体の形状や比重等の違いに起因する媒体中での挙動の差異により、異なる種類の蛍光体が
分離し、同じ蛍光ランプ中で場所による色度点が異なってしまう問題を生じることがある。この場合にも、上述の可視光と紫外線を反射する物質を含有させることにより、その分離を軽減することができ、有用である。
また、蛍光膜中に複数の蛍光体を用いる場合には、内壁への塗布方法によっては、蛍光体の形状や比重等の違いに起因する媒体中での挙動の差異により、異なる種類の蛍光体が
分離し、同じ蛍光ランプ中で場所による色度点が異なってしまう問題を生じることがある。この場合にも、上述の可視光と紫外線を反射する物質を含有させることにより、その分離を軽減することができ、有用である。
また、蛍光膜と外囲器の内壁の間に、可視光を透過させる一方、紫外線は反射する物質を含む膜やフィルターを設けて、外囲器で吸収されてしまう紫外線を、蛍光膜に戻すことも好ましい。これにより、外部への可視光取り出し効率を上げることができる。
本発明の蛍光ランプは、光透過性管状外囲器内に水銀と希ガスを封入してなる。水銀の使用量は公知の蛍光ランプに用いられる水銀量から決定すればよく、蛍光ランプの大きさ、想定寿命等により任意に設定できる。
本発明の蛍光ランプに用いられる希ガスとしては特に限定されないが、アルゴン、ネオン、クリプトンなどを使用すればよく、一般にはアルゴンである。
本発明の蛍光ランプに用いられる希ガスとしては特に限定されないが、アルゴン、ネオン、クリプトンなどを使用すればよく、一般にはアルゴンである。
本発明の蛍光ランプは、更に電極(内部電極でも外部電極でもよい)を備え、封入された水銀と希ガス内に放電を起こさせ、水銀の放電によって放射される波長180〜380nmの紫外線により蛍光膜に含まれる蛍光体を励起し発光させる。
本発明に用いられる緑以外の蛍光体としては、好ましくは青色蛍光体が一般式(20)で表される青色蛍光体である。
BaMgAl10O17:Eux1,Mny1・・・(20)
(ただし0.001≦x1≦0.3、0≦y1≦0.2である。)
また、一般式(30)で表される、いわゆるSCA蛍光体でも良い。
(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu・・・(30)
この2種の蛍光体は、300〜400nmの発光を励起源として効率よく可視光を発光するため好ましい。
また、同時に使用される赤色蛍光体としては、発光効率の点からY2O3:Euが好ましく、また、肉用等の赤の演色性の高いものが必要な場合には、多少発光効率は下がるが、YVO4:Euを併用すると好ましい。
BaMgAl10O17:Eux1,Mny1・・・(20)
(ただし0.001≦x1≦0.3、0≦y1≦0.2である。)
また、一般式(30)で表される、いわゆるSCA蛍光体でも良い。
(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu・・・(30)
この2種の蛍光体は、300〜400nmの発光を励起源として効率よく可視光を発光するため好ましい。
また、同時に使用される赤色蛍光体としては、発光効率の点からY2O3:Euが好ましく、また、肉用等の赤の演色性の高いものが必要な場合には、多少発光効率は下がるが、YVO4:Euを併用すると好ましい。
(本発明の蛍光ランプの製造方法)
本発明の蛍光ランプは、公知の通常の蛍光ランプ(蛍光灯)と同様に製造すればよい。すなわち、その概略を記載すると、まず最初に光透過性管状外囲器を必要に応じ洗浄、乾燥させ、その後、本発明に使用される蛍光体を溶媒に混合した塗布スラリーを光透過性管状外囲器の内壁に塗布、乾燥する。塗布スラリー中には、バインダーとして、ニトロセルロース等を含ませ、塗布乾燥後に、蛍光体が、光透過性管状外囲器内壁から剥離することを防ぐ。
また、そのほかにも、結着剤等を含んでよいのは前述のとおりである。
これを光透過性管状外囲器が変形しない範囲の温度で焼成し、バインダーを除去し、光透過性管状外囲器の内壁側に蛍光膜を形成する。
その後、その一端を必要に応じ電極を設けた後に封止し、水銀を光透過性管状外囲器内にいれ、いったん真空に引いた後、希ガスを必要量封入し、まだ封止していない側に電極をつけ、封止することにより、本発明の蛍光ランプを得ることができる。
本発明の蛍光ランプは、公知の通常の蛍光ランプ(蛍光灯)と同様に製造すればよい。すなわち、その概略を記載すると、まず最初に光透過性管状外囲器を必要に応じ洗浄、乾燥させ、その後、本発明に使用される蛍光体を溶媒に混合した塗布スラリーを光透過性管状外囲器の内壁に塗布、乾燥する。塗布スラリー中には、バインダーとして、ニトロセルロース等を含ませ、塗布乾燥後に、蛍光体が、光透過性管状外囲器内壁から剥離することを防ぐ。
また、そのほかにも、結着剤等を含んでよいのは前述のとおりである。
これを光透過性管状外囲器が変形しない範囲の温度で焼成し、バインダーを除去し、光透過性管状外囲器の内壁側に蛍光膜を形成する。
その後、その一端を必要に応じ電極を設けた後に封止し、水銀を光透過性管状外囲器内にいれ、いったん真空に引いた後、希ガスを必要量封入し、まだ封止していない側に電極をつけ、封止することにより、本発明の蛍光ランプを得ることができる。
(一般式(10)の蛍光体の製造方法)
本発明に用いられる一般式(10)で表される蛍光体の製造方法としては、その組成が所望のモル比になるようにして、公知の製造方法で製造すればよい。この様な製造方法としては、たとえば特開2009−51727号公報に記載の製造方法などを挙げることができる。
その他の一般式(20)や(30)で表される青色蛍光体、あるいは赤色蛍光体につい
ては、公知のものであり、市販されているので、それを用いればよい。
これらの蛍光体は、必要に応じ任意の比率で混合される。
本発明に用いられる一般式(10)で表される蛍光体の製造方法としては、その組成が所望のモル比になるようにして、公知の製造方法で製造すればよい。この様な製造方法としては、たとえば特開2009−51727号公報に記載の製造方法などを挙げることができる。
その他の一般式(20)や(30)で表される青色蛍光体、あるいは赤色蛍光体につい
ては、公知のものであり、市販されているので、それを用いればよい。
これらの蛍光体は、必要に応じ任意の比率で混合される。
本発明の蛍光ランプは、特定の蛍光体を使用することにより、ランプとしての色座標、色温度にかかわらず、希土類の使用量を減らすことができるが、好ましくはCIE表色系において、0.23≦x≦0.48、及び0.24≦y≦0.43の範囲の光を出射する蛍光ランプである。また、色温度で表せば好ましくは2500K以上、より好ましくは、4000K以上の蛍光ランプに好適に使用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
LAP蛍光体の製造方法としては、蛍光体母体を構成する希土類元素の各酸化物と燐酸水素二アンモニウムなどの燐酸塩化合物とを付活剤元素を含む化合物と共に所定量混合し、焼成して固体間反応を行う乾式製造法と燐酸などの燐酸イオンを含有する溶液を、付活剤元素を含む溶液と共に混合して溶液中で蛍光体の前躯体である希土類燐酸塩の沈殿を生成させ、この前躯体を固液分離して焼成する湿式製造法があるが、組成的に均一な希土類燐酸塩蛍光体を得るには湿式製造法の方が適しており、今回はこの方法を用いて製造した。
LAP蛍光体の製造方法としては、蛍光体母体を構成する希土類元素の各酸化物と燐酸水素二アンモニウムなどの燐酸塩化合物とを付活剤元素を含む化合物と共に所定量混合し、焼成して固体間反応を行う乾式製造法と燐酸などの燐酸イオンを含有する溶液を、付活剤元素を含む溶液と共に混合して溶液中で蛍光体の前躯体である希土類燐酸塩の沈殿を生成させ、この前躯体を固液分離して焼成する湿式製造法があるが、組成的に均一な希土類燐酸塩蛍光体を得るには湿式製造法の方が適しており、今回はこの方法を用いて製造した。
(実施例1)
前記湿式法で得られた希土類燐酸塩(Tb0.090Ce0.273La0.637)PO4組成の前駆体1000gにアルミナ(Al2O3)5g、四硼酸リチウム(Li2B4O7)10g及び硼酸(H3BO3)100gをそれぞれ秤取して十分に混合しアルミナルツボに入れて、2%の水素を含有する窒素ガス雰囲気下にて1200℃で2時間焼成し、得られた焼成物を粉砕、洗浄、乾燥及び篩い分けの各処理を順次行い、組成式が(Tb0.090Ce0.273La0.637)PO4のLAP蛍光体を得た。
このTb量は後に示す、現在蛍光ランプに一般的に使用されている標準的組成である比較例1のLAP蛍光体に対し、Tbの濃度がほぼ67%となる。
前記湿式法で得られた希土類燐酸塩(Tb0.090Ce0.273La0.637)PO4組成の前駆体1000gにアルミナ(Al2O3)5g、四硼酸リチウム(Li2B4O7)10g及び硼酸(H3BO3)100gをそれぞれ秤取して十分に混合しアルミナルツボに入れて、2%の水素を含有する窒素ガス雰囲気下にて1200℃で2時間焼成し、得られた焼成物を粉砕、洗浄、乾燥及び篩い分けの各処理を順次行い、組成式が(Tb0.090Ce0.273La0.637)PO4のLAP蛍光体を得た。
このTb量は後に示す、現在蛍光ランプに一般的に使用されている標準的組成である比較例1のLAP蛍光体に対し、Tbの濃度がほぼ67%となる。
(実施例2)
前記湿式法で得られた希土類燐酸塩の組成を(Tb0.067Ce0.366La0.567)PO4とした以外は、実施例1と同様にして、組成式が(Tb0.067Ce0.366La0.567)PO4のLAP蛍光体を得た。
このTb量は標準品である比較例1の50%の濃度となる。
前記湿式法で得られた希土類燐酸塩の組成を(Tb0.067Ce0.366La0.567)PO4とした以外は、実施例1と同様にして、組成式が(Tb0.067Ce0.366La0.567)PO4のLAP蛍光体を得た。
このTb量は標準品である比較例1の50%の濃度となる。
(実施例3)
前記湿式法で得られた希土類燐酸塩の組成を(Tb0.045Ce0.389La0.566)PO4とした以外は、実施例1と同様にして、組成式が(Tb0.045Ce0.389La0.566)PO4のLAP蛍光体を得た。
このTb量は標準品である比較例1の33%の濃度となる。
前記湿式法で得られた希土類燐酸塩の組成を(Tb0.045Ce0.389La0.566)PO4とした以外は、実施例1と同様にして、組成式が(Tb0.045Ce0.389La0.566)PO4のLAP蛍光体を得た。
このTb量は標準品である比較例1の33%の濃度となる。
(比較例1)
前記湿式法で得られた希土類燐酸塩の組成を(Tb0.136Ce0.294La0.570)PO4とした以外は、実施例1と同様にして、組成式が(Tb0.136Ce0.294La0.570)PO4のLAP蛍光体を得た。本組成は一般的な蛍光灯に用いられているLAP組成の代表的な組成である。
前記湿式法で得られた希土類燐酸塩の組成を(Tb0.136Ce0.294La0.570)PO4とした以外は、実施例1と同様にして、組成式が(Tb0.136Ce0.294La0.570)PO4のLAP蛍光体を得た。本組成は一般的な蛍光灯に用いられているLAP組成の代表的な組成である。
(蛍光体の輝度と発光スペクトル)
得られたそれぞれの蛍光体に対して、253.7nmの紫外線を照射して励起した時の
発光輝度を測定した。比較例1で作成したLAP蛍光体の発光輝度を100としたとき、実施例1の蛍光体は91、実施例2の蛍光体は88、実施例3の蛍光体は78となった。
それぞれの発光スペクトルを実施例1の蛍光体については図1に、実施例2の蛍光体については図2に、実施例3の蛍光体については図3に、比較例1の蛍光体については図4に示す。
これらの図より、Tb量を減らすことで545nm付近のメインピークの発光強度は低下するが、300nm〜400nmの発光強度は逆にTb量が少ないほうが増加している。この300nm〜400nmの発光により青成分としてのBaMgAl10O17:Eu,Mn及び赤成分としてのY2O3:Eu蛍光体を励起するのに用いられ、青発光と赤発光の発光強度を増加させ、ランプとしての相対光束も増加させると期待される。この時の300〜400nmの近紫外発光ピーク/545nm付近のメインピーク比は比較例1の蛍光体が7.6%、実施例1の蛍光体が15.7%、実施例2の蛍光体が17.8%、実施例3の蛍光体が27.8%であった。
得られたそれぞれの蛍光体に対して、253.7nmの紫外線を照射して励起した時の
発光輝度を測定した。比較例1で作成したLAP蛍光体の発光輝度を100としたとき、実施例1の蛍光体は91、実施例2の蛍光体は88、実施例3の蛍光体は78となった。
それぞれの発光スペクトルを実施例1の蛍光体については図1に、実施例2の蛍光体については図2に、実施例3の蛍光体については図3に、比較例1の蛍光体については図4に示す。
これらの図より、Tb量を減らすことで545nm付近のメインピークの発光強度は低下するが、300nm〜400nmの発光強度は逆にTb量が少ないほうが増加している。この300nm〜400nmの発光により青成分としてのBaMgAl10O17:Eu,Mn及び赤成分としてのY2O3:Eu蛍光体を励起するのに用いられ、青発光と赤発光の発光強度を増加させ、ランプとしての相対光束も増加させると期待される。この時の300〜400nmの近紫外発光ピーク/545nm付近のメインピーク比は比較例1の蛍光体が7.6%、実施例1の蛍光体が15.7%、実施例2の蛍光体が17.8%、実施例3の蛍光体が27.8%であった。
(青色蛍光体との混合時の発光スペクトル)
実施例1のLAP蛍光体と、BAM:Eu,Mn蛍光体を、重量比で1:1に混合し、単独の場合と同様に発光スペクトルを測定した。その結果を図5に示す。
図5には、同時に実施例1のLAP蛍光体と、比較例1のLAP蛍光体の発光スペクトルも参考のため、同時に示す。300nmから400nmの発光が、実施例1のLAP蛍光体では高かったものが、BAM:Eu,Mn蛍光体の1:1混合品ではピーク自身がほとんど消失しており、BAM:Eu,Mn蛍光体にこの部分の発光が吸収されていることがわかる。参考のため、図6にここで使用したBAM:Eu、Mnの励起スペクトルを示す。図6より、300nm〜400nmの光はBAM蛍光体をよく励起することが判り、そして図5より、実際に300nm〜400nmの光が吸収されていることがわかる。
実施例1のLAP蛍光体と、BAM:Eu,Mn蛍光体を、重量比で1:1に混合し、単独の場合と同様に発光スペクトルを測定した。その結果を図5に示す。
図5には、同時に実施例1のLAP蛍光体と、比較例1のLAP蛍光体の発光スペクトルも参考のため、同時に示す。300nmから400nmの発光が、実施例1のLAP蛍光体では高かったものが、BAM:Eu,Mn蛍光体の1:1混合品ではピーク自身がほとんど消失しており、BAM:Eu,Mn蛍光体にこの部分の発光が吸収されていることがわかる。参考のため、図6にここで使用したBAM:Eu、Mnの励起スペクトルを示す。図6より、300nm〜400nmの光はBAM蛍光体をよく励起することが判り、そして図5より、実際に300nm〜400nmの光が吸収されていることがわかる。
(白色蛍光ランプとした場合のシミュレーション結果)
この実施例1のLAP蛍光体を緑成分とし、青成分としてBaMgAl10O17:Eu,Mn,赤成分としてY2O3:Eu蛍光体を用いて5000Kの昼白色の蛍光ランプを作成した場合のランプ特性をシュミレーションした結果を表1に示す。
この実施例1のLAP蛍光体を緑成分とし、青成分としてBaMgAl10O17:Eu,Mn,赤成分としてY2O3:Eu蛍光体を用いて5000Kの昼白色の蛍光ランプを作成した場合のランプ特性をシュミレーションした結果を表1に示す。
その白色としての相対光束は比較例1の蛍光体を緑成分とした時を100として97と僅かに低い結果であった。そのランプの演色性を示すRaは表2に示すように87と比較例1の蛍光体を使用した場合とほぼ同等であった。
またこの時緑成分中のTb使用量は、蛍光体としての使用量が増えるものの、蛍光体中のTb量は少ないため、比較例1の蛍光体を用いた場合の71%まで減らすことができている。また、緑、青、赤3色の蛍光体の中のTb量と、Eu量の合計の重量としては比較例1の蛍光体を用いた場合の82%まで減らすことができた。
また実施例2のLAP蛍光体を緑成分とし、上述と同様に5000Kの昼白色の蛍光ランプを作成した場合のランプ特性をシュミレーションした結果は、相対光束としては比較例1の蛍光体を緑成分とした時を100として96と僅か低い結果であった。そのランプの演色性を示すRaは表2に示すように87と比較例1の蛍光体を使用した場合とほぼ同等であった。またこの時緑成分中のTb使用量は比較例1の蛍光体を用いた場合の55%まで減らすことができており、緑、青、赤3色中のTb+Euトータルの使用量としては比較例1の蛍光体を用いた場合の72%まで減らすことができた。
実施例3の蛍光体を緑成分とし、上述と同様に5000Kの昼白色の蛍光ランプを作成した場合のランプ特性をシュミレーションした結果は、相対光束としては比較例1の蛍光体を緑成分とした時を100として91とやや低い結果であった。そのランプの演色性を示すRaは表2に示すように87と比較例1の蛍光体を使用した場合とほぼ同等であった。またこの時緑成分中のTb使用量は比較例の蛍光体を用いた場合の39%まで減らすことができており、緑、青、赤3色中のTb+Euトータルの使用量としては比較例1の蛍光体を用いた場合の62%まで減らすことができることがわかる。
(実際の白色蛍光ランプとした場合の結果)
実施例1のLAP蛍光体を緑成分とし、青成分としてBaMgAl10O17:Eu,Mn、赤成分としてY2O3:Eu蛍光体を用いて実際に色温度5000KのFL−40S昼白色蛍光ランプを膜厚4mg/cm2で作成した。比較のため、比較例1のLAP蛍光体を緑成分とした以外は同様にして色温度5000KのFL−40S昼白色蛍光ランプを作成した。その初期特性を表3に示す。
実施例1のLAP蛍光体を緑成分とし、青成分としてBaMgAl10O17:Eu,Mn、赤成分としてY2O3:Eu蛍光体を用いて実際に色温度5000KのFL−40S昼白色蛍光ランプを膜厚4mg/cm2で作成した。比較のため、比較例1のLAP蛍光体を緑成分とした以外は同様にして色温度5000KのFL−40S昼白色蛍光ランプを作成した。その初期特性を表3に示す。
白色としての相対光束は比較例1の蛍光体を緑成分とした時を100として100と同等の結果であった。そのランプの演色性を示すRaも、88.7と比較例1の蛍光体を使
用した場合の89.0とほぼ同等であった。その寿命特性は図7、8、9に示す。
3300時間経過まで実施例1の蛍光体は比較例1の蛍光体と同等の相対光束、発光色x、yを示した。
またこの時の緑成分中のTb使用量は比較例1の蛍光体を用いた場合の70.6%まで減らすことができ、緑、青、赤3色中のTb+Eu合計の重量としては比85%まで減少させることが出来た。この結果は、前述のシミュレーションの結果とよく一致しており、わずかな結果のずれは、3色の蛍光体の粒径バランス等が影響しているためと推測される。
用した場合の89.0とほぼ同等であった。その寿命特性は図7、8、9に示す。
3300時間経過まで実施例1の蛍光体は比較例1の蛍光体と同等の相対光束、発光色x、yを示した。
またこの時の緑成分中のTb使用量は比較例1の蛍光体を用いた場合の70.6%まで減らすことができ、緑、青、赤3色中のTb+Eu合計の重量としては比85%まで減少させることが出来た。この結果は、前述のシミュレーションの結果とよく一致しており、わずかな結果のずれは、3色の蛍光体の粒径バランス等が影響しているためと推測される。
これらの結果より実施例1の蛍光体はTb量を減らすことで545nm付近のメインピークの発光強度は比較例1の蛍光体より低下するが、300nm〜400nmの近紫外発光が逆に比較例1の蛍光体より増加し、これが青成分としてのBaMgAl10O17:Eu,Mn、赤成分としてのY2O3:Eu蛍光体を励起するのに用いられ、青発光と赤発光の発光強度を増加させ、ランプとしての相対光束も増加させることが実証された。
またTb量を通常蛍光ランプに使用される蛍光体から33%減らしたLAP蛍光体はランプ特性を同等に保ちながらトータルの希土類Tb+Eu使用量を15〜18%程度減少させることが実現できた。
本発明は蛍光ランプに関し、特に詳しくは、希土類元素、特にTbとEuの使用量を減らすことのできる蛍光ランプを得ることができる。
Claims (4)
- 光透過性管状外囲器、該光透過性管状外囲器の内壁に配置される蛍光膜、並びに該光透過性管状外囲器に封入される水銀及び希ガスを有し、該水銀の放電によって放射される波長180nm〜380nmの紫外線により該蛍光膜を発光させることで、光透過性管状外囲器から光を出射する蛍光ランプであって、
前記蛍光膜は、少なくとも青色、緑色、赤色の3色の蛍光体を含み、
かつ緑色蛍光体は少なくともCeとTbを付活剤とするものであり、かつ300〜400nmに、メインピークに対し10〜30%の強度を有するピークを持つ蛍光体であり、
青色又は赤色蛍光体は300〜400nmの発光を励起源として可視光を発光する蛍光体を用いたことを特徴とする蛍光ランプ。 - 該緑色蛍光体が、一般式(10)で表される緑色蛍光体を含む請求項1に記載の蛍光ランプ。
(La1−x−yCexTby)PO4・・・(10)
(ただし0.2≦x≦0.45、0.04≦y≦0.13を満たす。) - 該青色蛍光体が一般式(20)で表される青色蛍光体である、請求項1または2に記載の蛍光ランプ。
BaMgAl10O17:Eux1,Mny1・・・(20)
(ただし0.001≦x1≦0.3 0≦y1≦0.2を満たす。) - 該赤色蛍光体がY2O3:Euである請求項1ないし3のいずれかに記載の蛍光ランプ。
Priority Applications (1)
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JP2012062021A JP2013196885A (ja) | 2012-03-19 | 2012-03-19 | 希土類元素の使用量の少ない蛍光ランプ |
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- 2012-03-19 JP JP2012062021A patent/JP2013196885A/ja active Pending
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