JP2013195170A - 気流状況予測装置、気流状況予測方法、拡散状況予測装置および拡散状況予測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】注目領域における気流状況および物質の拡散状況を精度良く、かつ、迅速に予測可能な技術を提供する。
【解決手段】気流状況予測装置20Aは、気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向及び風速を含む気流要素の観測結果及び観測点の位置情報を受け取り、受け取った気流要素の観測結果と、アクセス可能な記憶手段に保持され、気流要素に含まれる風向及び風速をそれぞれ異にした条件下で、注目領域内に存在する構造物の大きさ及び位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた気流要素の解析結果を注目領域内の位置及び条件と関連付けた気流DB12内の前記観測点の位置情報に対応する場所における気流要素の解析結果とを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて気流DB12内の各解析結果を重み付け結合する比較演算部26を具備する。
【選択図】 図9
【解決手段】気流状況予測装置20Aは、気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向及び風速を含む気流要素の観測結果及び観測点の位置情報を受け取り、受け取った気流要素の観測結果と、アクセス可能な記憶手段に保持され、気流要素に含まれる風向及び風速をそれぞれ異にした条件下で、注目領域内に存在する構造物の大きさ及び位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた気流要素の解析結果を注目領域内の位置及び条件と関連付けた気流DB12内の前記観測点の位置情報に対応する場所における気流要素の解析結果とを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて気流DB12内の各解析結果を重み付け結合する比較演算部26を具備する。
【選択図】 図9
Description
本発明は、気流状況予測装置、気流状況予測方法、拡散状況予測装置および拡散状況予測方法に関する。
大気中に有害な拡散物質が放出された場合、拡散物質からの避難や拡散物質の脅威除去活動を適切に行うためには、拡散物質の拡散挙動を迅速かつ精確に予測することが重要となる。
拡散物質の拡散挙動を迅速かつ精確に予測する技術の例として、例えば、風向と大気安定度が異なる複数の気流場データベース(以下、「DB」と省略する。)を備え、このDBから、拡散事象が発生した日時の気象データと大気安定度が近い条件のデータを内挿補間演算することにより求めて拡散事象発生時の気流場を予測し、この気流場に基づいて拡散状況を予測するシステムが、特許文献1(特許第4209354号公報)に提案されている。
特許文献1に記載される技術は、拡散事象発生時の気象データを入力し、入力された気象データに基づいて大気安定度を計算するとともに、構築しておいた気流場DBの中から「風向と大気安定度」が最も近い気流場データを選定し、この気流場データに基づいて拡散計算を行って拡散挙動を求める。
気流場DBの構築は、気象GPV(Grid Point Value)のような広域(数10km〜数100km間隔)気象データから、ネスティング手法により狭域(数km間隔)領域を取り出し、対象地点における気流データの鉛直分布を風向(16方位)・大気安定度(7段階)別に抽出した後、抽出したこれらのデータをRAMS(Regional Atmospheric Modeling Systems)等の気象モデルに対する初期条件および一様境界条件として取り込んで、複数の3次元気流場を求めることで行う。
特許文献1に記載される技術では、GPVデータは10分毎に提供されるので、この時系列データを上記同様に処理することで経時的な拡散状況の予測もできるとしている。
また、他の技術として、特許文献1に記載される技術と同様にGPVのような気象データを用いて時間内挿補間および空間内挿補間を施すことにより定めた10分毎の初期条件を与えてRAMS等による気象モデル計算を実施し、ネスティング手法により順次小さな領域の気象要素(風速、風向、乱流エネルギー、湿度、温度等)を求め、最終的に約100m間隔程度の気象要素を10分刻みの気象データとして算出した後、算出した気象データを注目領域内の観測点データにおける気象データとの差によって修正することで最終的な気流場を求める技術が特許文献2(特許第4404220号公報)に提案されている。
特許文献2に記載される技術は、最終的に得られた気流場データに基づき拡散計算が実施され拡散挙動が求められる。この手法ではネスティング手法によって算出された気象データを観測点の気象要素を用いることで修正するので、より精度の高い気流場データを提供できるとしている。
さらに、特許文献2に記載される技術よりも迅速に予測する技術として、特許文献2同様に、GPVのような気象データを用いて時間内挿補間および空間内挿補間を施すことにより定めた10分毎の初期条件を与えてRAMS等による気象モデル計算を実施し、ネスティング手法により順次小さな領域の気象要素(風速、風向、乱流エネルギー、湿度、温度等)を求め、最終的に約250m間隔程度の気象要素を10分刻みの気象データとして算出した後、これらのデータを注目領域内に5mの距離間隔で内挿補間することによって最終的な気流場を求める技術が特許文献3(特開2008−89418号公報)に提案されている。特許文献3に記載される技術では、最終的に得られた気流場データに基づき拡散計算が実施され拡散挙動が求められる。
しかしながら、特許文献1〜3に記載される技術は、いずれも拡散物質の放出点が特定されていることが必要であるほか、データベースを構築するまでに膨大な広域領域データを処理しなければならないという課題がある。一方、近年、市街地を対象とした有害物質の発災事象も確認されており、より汎用性が高い拡散物質の拡散挙動予測システムの構築が望まれている。
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、注目する狭域領域(例えば、数100m〜数km)を対象に気流状況および拡散状況を精度良く(数m間隔で)迅速に予測する気流状況予測装置、気流状況予測方法、拡散状況予測装置および拡散状況予測方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る気流状況予測装置は、上述した課題を解決するため、気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向および風速を含む気流要素の観測結果および観測点の位置情報を受け取り、受け取った気流要素の観測結果と、アクセス可能な記憶手段に保持され、気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた前記気流要素の解析結果を気流データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた気流データベース内の前記観測点の位置情報に対応する場所における前記気流データとを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記気流データベース内の各気流データを重み付け結合する比較演算部を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る拡散状況予測装置は、上述した課題を解決するため、拡散状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向および風速を含む気流要素の観測結果、物質の濃度を含む拡散要素の観測結果および観測点の位置情報を受け取り、受け取った前記気流要素の観測結果と、アクセス可能な記憶手段に保持され、前記気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた前記気流要素の解析結果を気流データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた気流データベース内の前記観測点に対応する場所における前記気流データ、および、受け取った前記拡散要素の観測結果と、アクセス可能な記憶手段に保持され、前記気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の拡散解析をして得られた前記拡散要素の解析結果を拡散データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた拡散データベース内の拡散データを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記拡散データベース内の各拡散データを重み付け結合する比較演算部を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る気流状況予測方法は、上述した課題を解決するため、コンピュータを用いて、気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の気流状況を予測する方法であり、前記コンピュータが気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向および風速を含む気流要素の観測結果および観測点の位置情報を受け取り、受け取った気流要素の観測結果と、前記コンピュータがアクセス可能な記憶手段に保持され、気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた前記気流要素の解析結果を気流データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた気流データベース内の前記観測点の位置情報に対応する場所における前記気流データとを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記気流データベース内の各気流データを重み付け結合する処理ステップを具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る拡散状況予測方法は、上述した課題を解決するため、コンピュータを用いて、気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の気流状況を予測する方法であり、前記コンピュータが拡散状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向および風速を含む気流要素の観測結果、物質の濃度を含む拡散要素の観測結果および観測点の位置情報を受け取り、受け取った前記気流要素の観測結果と、前記コンピュータがアクセス可能な記憶手段に保持され、前記気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた前記気流要素の解析結果を気流データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた気流データベース内の前記観測点に対応する場所における前記気流データ、および、受け取った前記拡散要素の観測結果と、前記コンピュータがアクセス可能な記憶手段に保持され、前記気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の拡散解析をして得られた前記拡散要素の解析結果を拡散データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた拡散データベース内の拡散データを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記拡散データベース内の各拡散データを重み付け結合する処理ステップを具備することを特徴とする。
本発明によれば、注目領域における気流状況および物質の拡散状況を精度良く、かつ、迅速に予測することができる。
以下、本発明の実施形態に係る気流状況予測装置、気流状況予測方法、拡散状況予測装置および拡散状況予測方法について、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る気流状況予測装置および拡散状況予測装置の構成例を説明する概略図である。
本発明の実施形態に係る気流状況予測装置は、拡散事象が発災した注目地点を含む所定の領域である注目領域の気流状況を予測する装置である。また、本発明の実施形態に係る拡散状況予測装置は、上記気流状況予測装置が予測した気流状況を用いて注目領域内で放出された拡散物質の拡散状況を予測する装置である。
本発明の実施形態に係る気流状況予測装置および拡散状況予測装置は、例えば、ハードウェアであるコンピュータ1と気流状況予測装置および当該気流状況予測装置を備えた拡散状況予測装置として機能させるプログラム(以下、「気流・拡散状況予測PG」と称する。)10と協働することによって当該機能が実現される。
コンピュータ1は、プロセッサの一例であるCPU(中央演算処理装置)2と、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置3と、ROM(Read Only Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置4と、キーボードやマウス等の入力装置5と、ディスプレイ、プリンタ等の出力装置6と、外部装置と通信を行う通信部7とを備える。
コンピュータ1は、通信部7を介してネットワーク上にある外部装置としての計算サーバー8に接続することができ、計算サーバー8に演算処理の少なくとも一部を実行させたり、実行結果を受け取ったりすることができる。
なお、コンピュータ1は、計算サーバー8以外の外部装置ともネットワーク接続することができる。例えば、コンピュータ1と現場の位置情報および観測結果の情報を送信する現場端末(観測装置)とをネットワーク接続することもできる。この場合、通信部7を介して現場の位置情報および観測結果の情報を受け取ることができる。
ROM等のCPU2がアクセス可能な補助記憶装置4には、気流・拡散状況予測PG10および気流・拡散状況予測PG10の実行に必要な地図等情報データベース(以下、データベースを「DB」と省略する。)11、気流DB12が記憶されており、気流・拡散状況予測PG10および気流・拡散状況予測PG10の実行に必要なデータをRAM等の主記憶装置3へロードし、このプログラムに従った処理を実行する。
このとき、CPU2は、気流・拡散状況予測PG10によって、気流状況予測処理手順および拡散状況予測処理手順を実行する手段として機能する。例えば、後述する図2に示される例では、CPU2は、気流計算部24、DB作成更新部25、比較演算部26、表示処理部27および拡散計算部31として機能する。また、RAM等の主記憶装置3は、CPU2が実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
地図等情報DB11は、例えば、数100m〜数km四方の大きさで設定される数値解析の対象となる領域(注目領域)の地図情報と、当該注目領域内に存在する建物等の大きさおよび位置情報(以下、「建物情報」と称する。)を少なくとも有する。地図等情報DB11が持つ地図情報および当該注目領域の建物情報は、位置情報と関連付けられており、位置情報を検索キーとして当該位置情報を含む所定範囲の地図情報および建物情報を検索することができる。地図情報および建物情報は、地図とともに解析結果を表示する表示情報を生成する際に用いられる。
気流DB12は、設定した注目領域について、流体力学モデル(CFDモデル)を用いた数値解析(気流解析)を、風向、風速を含む気流要素を変えた状況下で複数回行って得られた気流データ(気流解析結果)を有する。気流DB12が持つ気流データは、気流解析を行った状況(ケース:Case)と関連付けられており、この状況を検索キーとして当該状況に該当する気流データを検索することができる。
なお、気流DB12は、予め構築しておくことが好ましい。市街地を対象とした定常流体計算(数百万要素)1ケースに要する時間は、コンピュータ1のCPU2の処理能力にも依るが通常数時間程度であり、予め気流DB12を構築しておけば、気流DB12を構築するのに必要な定常流体計算の時間を省くことができるためである。
拡散DB13は、気流DB12の気流解析を行った各状況と対応する状況下で複数回行って得られた物質の拡散データ(拡散解析結果)を有する。拡散DB13が持つ拡散データは、気流解析を行った状況(ケース:Case)と関連付けられており、この状況を検索キーとして当該状況に該当する物質の拡散データを検索することができる。また、拡散DB13は、物質毎に作成されており、拡散状況を予測する物質に応じて使用するDBが選択される。
なお、拡散DB13は、気流解析のみならず拡散解析まで実行する際に、当該拡散解析を迅速に行う際に必要となる任意の構成要素である。より詳細には、コンピュータ1を後述する第2の拡散状況予測装置として機能させる際、すなわち、気流計算と拡散計算とを一気に行う場合に必要となるが、他の拡散状況予測装置および気流状況予測装置として機能させる際には不要となる。また、拡散DB13についても、気流DB12と同様に予め構築しておくことが好ましい。
次に、本発明の実施形態に係る気流状況予測装置および拡散状況予測装置の機能的な構成について説明する。
図2は本発明の実施形態に係る気流状況予測装置の一例である気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
気流状況予測装置20は、入力部21、出力部22、通信部23、気流計算部24、DB作成更新部25、比較演算部26、表示処理部27、記憶部28および制御部29を具備する。また、拡散状況予測装置50は、気流状況予測装置20が備える入力部21、出力部22、通信部23、気流計算部24、DB作成更新部25、比較演算部26、表示処理部27、記憶部28および制御部29に加えて、拡散計算部31を、さらに具備する。
入力部21は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される入力装置またはコンピュータ自身が備えるキーボードやマウス等の入力手段によって実現される。入力部21は、情報の入力を受け付け、受け付けた情報を制御部29に与える。
出力部22は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される表示装置またはコンピュータ自身が備えるディスプレイ等の表示手段、コンピュータとインターフェイスを介して接続されるプリンタ等の印字手段等によって実現される。出力部22は、表示要求を受け取ると、当該表示要求に応じた内容を画面表示する。また、出力部22は、印字要求を受け取ると、当該印字要求に応じた内容を印字出力する。
通信部23は、例えば、図1に示される計算機サーバー8等の外部機器とデータを送受信する機能を有する。通信部23は、制御部29から受け取ったデータを外部機器に送信する一方、外部機器から送られてきたデータを制御部29へ与える。
気流計算部24は、例えば、図3に示されるように、設定された数値流体解析(気流解析)を行う注目領域35に対して、気流解析を行い、注目領域35における三次元流速分布を計算する機能を有する。気流計算部24は、例えば、流体の質量、運動量の2つの保存式と、例えば、k−ε乱流モデルを用いて乱流エネルギーとエネルギー散逸率の輸送方程式とを解いて、1タイムステップ後の流体の流速、圧力、乱流エネルギー、エネルギー散逸率を注目領域35の各解析メッシュに対して計算し、これらの物理量の空間的な分布を導く。
注目領域35の解析メッシュ、注目領域35内に存在する建物情報、注目領域35の流体の流速と圧力の初期条件、および、境界条件等の気流解析を行う際の初期パラメータは、例えばユーザーの入力操作によって入力部21から入力されたり、気流計算部24が読み出し可能な記憶領域に保持される初期パラメータ情報を読み出したりすることで、気流計算部24に与えられる。
図3は、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50で設定する注目領域35の一例を説明する説明図である。ここで、図3に示されるN,E,S,Wの4つのアルファベットは、それぞれ、北、東、南、西の各方向を意味する。
注目領域35は、複数に分割された解析メッシュを有する3次元空間として、例えば、東西に500m程度、南北に500m程度、高さ500m程度等、数100m〜数km程度の範囲に設定される。気流計算部24が数値流体解析を行う際には、基準風向(例えば、8方向)および基準風速(例えば、注目領域内の代表点で計測された風速を統計処理し規定した低速側風速と高速側風速の2条件)の条件下で設定される注目領域35における三次元流速分布を計算する。
ここで、低速か高速かは、設定する閾(しきい)値よりも遅いか速いかで判断する。また、設定する閾値については、例えば、注目領域35に生じる風速を、近隣点におけるAMEDAS等の気象データから統計的に推計した数値を利用する。
また、気流計算部24が実行する数値流体解析(気流解析)は、注目領域35の内部に存在する建物の情報等を含めて実施することができる。注目領域35内部の建物情報は航空測量点情報などによって3次元のデータが別途入手することができるため、入手した建物情報を与えることで、注目領域35の内部に存在する建物の情報等を含めた気流解析を行うことができる。
DB作成更新部25は、DBを新規に作成するDB作成機能を有し、このDB作成機能を用いて、気流DB12および拡散DB13を新規に作成することができる。また、DB作成更新部25は、既存のDBを更新するDB更新機能を有し、このDB更新機能を用いて、既に作成済みの気流DB12および拡散DB13を更新することができる。
図4および図5は、それぞれ、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50が参照する気流DB12および拡散DB13の一例を示す説明図である。
気流DB12および拡散DB13は、例えば、16ケース(風向:8方向×風速:2段階=16通り)等の複数ケースで気流解析および拡散解析を行った場合、それぞれ、図4および図5に示されるように、気流解析および拡散解析を行った16ケースについて、注目領域35内の場所に対応する各解析メッシュでの気流データおよび拡散データを対応付けて格納する。
ここで、気流データとは、注目領域35内のある場所における気流要素の情報である。例えば、図4に示される気流DB12で説明すれば、風向1−1および風速1−1が場所P1におけるCase1での気流データである。また、拡散データとは、注目領域35内のある場所における拡散要素の情報である。例えば、図5に示される拡散DB13で説明すれば、濃度1−1が場所P1におけるCase1での拡散データである。
なお、DB作成更新部25が行うDBの更新には、内部に格納されるデータの変更のみならず、DBの拡張等のDB構成の変更も含むものとする。例えば、図4に示される気流DB12で説明すれば、例えば、風速1−1等のセル内の情報を変更する場合のみならず、行(場所)を増減したり、列(Case)を増減したりして、DB構成を変更する場合も、DBの更新とする。
比較演算部26は、入力部21または通信部23から取得する観測点の観測データと当該観測点における風向および風速の情報を含む気流データを気流DB12から取得する機能(DB照合機能)と、観測点における観測データと気流DB12が有する当該観測点における気流データとの一致度を計算する機能(一致度計算機能)と、観測データと気流データの一致度に応じて重み付け結合(重み付け演算平均化処理)する機能(重み付け演算平均化処理機能)とを有する。
図6は、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50が計算した各気流データ(または拡散データ)の一致度の計算結果の一例を示す説明図である。
比較演算部26は、観測点の情報を検索キーとして当該観測点における気流データを抽出すると、抽出した気流データと観測データとの一致度を計算する。例えば、図6に示されるような一致度の計算結果は、要因が自然数k個ある場合、次の式(1)を用いて計算することによって得ることができる。
上記式(1)の要因として、例えば、気流要素の風向および風速を取得して比較する場合には、上記式(1)から導出される次の式(2)や(3)等を用いて、観測点における観測データと気流DB12が有する当該観測点における気流データとの一致度を計算することができる。
また、比較演算部26は、観測点における観測データと気流DB12が有する当該観測点における気流データとの一致度を計算すると、観測データと気流データの一致度に応じて重み付け結合(重み付け演算平均化処理)を行い、注目領域35内における風速場の予測値を算出する。風速場の予測値については、次の式(6)を用いて計算することができる。
なお、上記比較演算部26の説明は、比較演算部26が注目領域35内における気流状況(風速場の予測値)を算出する場合を説明したものであるが、拡散状況(濃度場の予測値)についても同様に適用できる。
すなわち、後述する第2の実施例のように、観測点における観測データと拡散DB13が有する当該観測点における拡散データとの一致度を計算し、算出された一致度に応じて重み付け結合(重み付け演算平均化処理)を行う場合においては、上記式(3)のように拡散要素も要因として加味した式を適用し、さらに、上記式(6)の風速場を濃度場として適用すれば、濃度場の予測値について、上記式(6)を用いて計算することができる。
表示処理部27は、情報をディスプレイ等の表示手段に表示するための表示情報を生成する機能を有する。表示処理部27は、例えば、気流計算部24が行った気流計算結果の情報、拡散計算部31が行った拡散計算結果の情報および比較演算部26が行った一致度の計算結果等の情報を受け取ると、受け取った内容を表示するための表示情報を生成し、生成した表示情報を制御部29へ与える。どのように表示するかは、初期設定しておいても良いし、その都度、入力部21から設定しても良い。
図7および図8は、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50が予測した結果を出力部22としてのディスプレイ(表示手段)に表示する表示例を説明する説明図である。
ディスプレイには、例えば、図7に示されるように、注目領域内の地図上に観測点Pとともに気流計算結果または拡散計算結果(以下、「気流/拡散計算結果」と称する。)36を表示したり、図8に示されるように、気流/拡散計算結果36とともに一致度計算結果37を合わせて表示したりすることもできる。なお、ディスプレイに表示される情報の表示の形式は、図7,8に示されるものに限られない。例えば、一致度計算結果37は、図6に示されるように表として表示することもできる。
記憶部28は、データの読み出し(リード)および書き込み(ライト)が可能な記憶領域を備え、当該記憶領域にデータを保持する機能を有する。気流計算部24、DB作成更新部25、比較演算部26、表示処理部27、制御部29および拡散計算部31がアクセスしてデータの読み出しおよび書き込みを行う。
記憶部28には、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50がアクセスするデータとして、少なくとも、地図等情報DB11および気流DB12が保持される。なお、拡散状況予測装置50については、後述する第2の拡散状況予測手順を実行する場合には、さらに、拡散DB13が保持される。
制御部29は、気流状況予測装置20または拡散状況予測装置50の装置全体の処理を制御する手段であり、入力部21、出力部22、通信部23、気流計算部24、DB作成更新部25、比較演算部26、表示処理部27、記憶部28および拡散計算部31と相互にデータを授受し、これらを制御する機能を有する。
制御部29は、入力部21から情報を受け取ると、入力部21が受け付けた情報の種類に応じて、出力部22、通信部23、気流計算部24、DB作成更新部25、比較演算部26、表示処理部27、記憶部28および拡散計算部31の何れかに、入力を受け付けた情報に基づいて要求を与える。
制御部29は、通信部23から情報を受け取ると、通信部23から受け取る情報の種類に応じて、出力部22、気流計算部24、DB作成更新部25、比較演算部26、表示処理部27、記憶部28および拡散計算部31の何れかに受け取った情報を与える。
制御部29は、気流計算部24から気流計算結果を受け取ると、例えば、DB作成更新部25、比較演算部26または拡散計算部31等の次に使用する処理部に受け取った気流計算結果を与える。
制御部29は、比較演算部26から演算結果を受け取ると、当該演算結果を表示させる場合には表示処理部27に当該演算結果を与えて当該演算結果を表示する表示情報を生成させる。また、制御部29は、さらに拡散計算を行う場合には、拡散計算部31に当該演算結果を与えて拡散計算部31に拡散計算を実行させる。
制御部29は、表示処理部27が生成した表示情報を受け取ると、受け取った表示情報を表示要求とともに表示手段としての出力部22に与える。出力部22では、与えられた表示情報に基づく表示内容が表示される。
制御部29は、拡散計算部31から拡散計算の結果を受け取ると、表示処理部27へ拡散計算の結果を与えて、拡散計算の結果を画面表示するための表示情報を表示処理部27に生成させる。また、拡散DB13を作成または更新する場合には、受け取った拡散計算の結果をDB作成更新部25へ与える。
拡散状況予測装置50が具備する拡散計算部31は、気流状況予測装置20が算出した注目領域35の気流状況予測結果に基づき、注目領域35内の指定された少なくとも1つの拡散事象発災点から拡散する物質の濃度や濃度変動等の物質拡散情報(拡散データ)を計算し、拡散状況を予測する機能を有する。拡散事象発災点としては、事象に応じて種々想定可能であるが、想定される一例としては、発電所排気口がある。
ここで、拡散計算部31が物質の拡散状況を予測する際に適用可能な拡散解析の手法は、いわゆる当業者が気流場から濃度場を計算するために適用可能な方法から適宜選択することができる。拡散計算部31において適用可能な拡散解析の手法の例としては、スカラー輸送方程式を解いて拡散する物質の空間的な濃度情報を求める手法や、粒子追跡法を使用して空間的な濃度情報を求める手法がある。
このように構成される気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50によれば、例えば、数100m〜数km間隔等、従来(気象GPVの広域気象データは、数10km〜数100km間隔)よりも比較的狭域に設定される注目領域35について気流DB12を作成するため、従来よりもはるかに短時間でDBの作成を行うことができる。
また、気流状況予測装置20によれば、注目領域35内の複数の観測点において観測された風速および風向等の気流要素および拡散物質の濃度等の拡散要素の情報を観測点の位置情報を現場データとして与えることにより、与えられた現場データを検索キーとして、気流DB12との比較照合演算し、さらに、重み付け演算平均化処理を行って拡散事象発災時の気流状況(予測値)を求めるため、気流状況を精度良く(数m間隔で)迅速に予測することができる。
故に、気流状況予測装置20が精度良く迅速に予測した気流状況に基づいて拡散計算を実施するため、拡散状況予測装置50は、拡散物質からの避難や拡散物質の脅威除去活動を適切に行うために有効な拡散物質の濃度場の情報を精度良く迅速に予測することができる。
さらに、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50によれば、入力データとの一致度を、例えば、図8等にしめされるように、可視化して表示することができるので、観測点の選択や追加等の必要性を判断するための材料をユーザーに提供することができる。また、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50によれば、上記式(4),(5)等に示されるように、要素に応じて、別個独立の重み式を採用することができるので、各要素が気流状況および拡散状況に及ぼす影響度を考慮した予測値を計算することができ、計算の精度をより向上させることができる。
なお、図2に示される気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50は、一例であり、そのままに限定されるものではなく、具体的な実施の段階では、図示される全構成要素から幾つかの必須でない構成要素を削除したり、新たな構成要素を適宜付加したりしても良い。
次に、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50についての実施例である気流状況予測装置20A〜20Eおよび拡散状況予測装置50A〜50Eについて説明する。なお、以下の説明において、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50の構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
(第1の実施例)
図9は、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図9は、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
第1の気流状況予測装置20Aは、例えば、入力部21と、出力部22と、通信部23と、比較演算部26Aと、表示処理部27と、制御部29とを具備する。また、第1の拡散状況予測装置50Aは、例えば、第1の気流状況予測装置20Aに対して、拡散計算部31をさらに具備する。なお、比較演算部26Aは、上述したDB照合機能、一致度計算機能および重み付け演算平均化処理機能を有する比較演算部26の一例である。
また、上述する第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aは、注目領域内の建物情報の影響を加味した気流データを計算した結果である気流DB12と地図等情報DB11とを読み出し可能な記憶領域に保持している。
このような第1の気流状況予測装置20Aは、気流状況予測方法の一例として、例えば、後述する図10に示されるような処理ステップを備える第1の気流状況予測手順を実行する。また、第1の気流状況予測装置20Aを具備する第1の拡散状況予測装置50Aは、拡散状況予測方法の一例として、例えば、後述する図10に示されるような処理ステップを備える第1の拡散状況予測手順を実行する。
図10は第1の拡散状況予測装置50Aが実行する第1の拡散状況予測手順の処理ステップを示す流れ図(フローチャート)である。
なお、第1の拡散状況予測手順(ステップS1〜ステップS5)のうち、ステップS1〜ステップS3は第1の気流状況予測手順と重複するので、第1の気流状況予測手順の説明については、第1の拡散状況予測手順の説明をもって省略する。
第1の拡散状況予測手順(ステップS1〜ステップS5)は、入力部21から拡散状況予測の実行指令が制御部29に与えられ、当該実行指令に基づいて、制御部29が、少なくとも、比較演算部26A、表示処理部27、拡散計算部31を制御することで、処理ステップが開始される(START)。
事象発災時に注目領域内の複数の観測点の位置情報と、当該観測点で観測された風速・風向等の気流要素の観測結果の情報および濃度等の拡散要素の観測結果の情報(観測データ)とを比較演算部26Aが受け取る(ステップS1)。
観測点の点数は、例えば、現場で観測されている複数の観測点の一部または全部をユーザーが任意に指定(入力)することで入力部21に与えられる。また、指定した観測点の位置情報および観測データは、例えば、ユーザーが指定した観測点の位置情報および観測データを入力することで入力部21に与えられる。入力部21に与えられた情報は、制御部29へ与えられ、さらに、比較演算部26Aに与えられる。
入力部21から与えられた複数の観測点の位置情報および当該観測点の観測データを比較演算部26Aが受け取ると、ステップS1に続いて、比較演算部26Aは、観測点における観測データと気流DB12内の当該観測点における気流データとを比較する(ステップS2)。
ステップS2に続いて、比較演算部26Aは、ステップS2で比較した観測データと気流データとの一致度を計算して、当該一致度に応じて重み付き結合処理を行って、気流状況(風速場の予測値)を求める(ステップS3)。
ステップS3に続いて、拡散計算部31が、ステップS1〜ステップS3を実行することで得られた気流状況を用いて、注目領域における物質の拡散状況を計算して予測する(ステップS4)。物質の拡散状況の計算結果が出ると、表示処理部によって当該計算結果に係る表示情報が生成され、出力部としてのディスプレイに与えられる(ステップS5)。ステップS5が完了すると、第1の拡散状況予測手順は終了する(END)。
なお、上述した第1の拡散状況予測手順では、ステップS1において入力部21からデータを入力して制御部29に与えているが、制御部29に与えるデータは外部から通信部23を介して第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aに入力されても良い。
例えば、GPS等を用いて観測点の位置(絶対位置)情報を取得する機能(位置取得機能)と、所望の気流要素と拡散要素とを観測して観測データを取得する機能(観測データ取得機能)と、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aとのデータ通信機能とを有する観測装置(現場端末)がある場合、当該観測装置と第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aとをネットワークを介して接続して、当該観測装置から観測点の位置(絶対位置)情報および観測データを通信部23で直接受け取るようにすることもできる。
また、上述した第1の拡散状況予測手順では、拡散計算(ステップS4)を拡散計算部31が実行すると説明したが、必要に応じて、拡散計算(ステップS4)の一部または全部をネットワーク上に設置されている大規模流体計算用の計算サーバーを用いて実行しても良い。
さらに、気流DB12については、第1の気流状況予測装置20Aまたは第1の拡散状況予測装置50Aとして機能させるコンピュータの計算負荷を考慮すれば、事前に計算を行って作成しておくことが望ましいが、コンピュータの演算処理能力が許すのであれば、気流状況予測手順または拡散状況予測手順の実行段階で作成しても構わない。
さらにまた、第1の拡散状況予測手順において、物質の拡散状況の計算結果を表示させる際(ステップS5)に、ステップS2で比較した観測データと気流データとの一致度を併せて表示させることもできるが、表示される一致度が低い等、選択した観測点の場所や点数に問題がありそうな場合には、改めて観測点を選択して第1の拡散状況予測手順を実行することができる。
図11は、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aにおいて、追加する観測点(P5)について説明する説明図である。
第1の拡散状況予測手順を実行するにあたり、ステップS2で使用する気流DB12に格納される気流データは、気流解析時に注目領域をメッシュ状に分割して設定される各解析メッシュでの風向等の気流要素の情報なので、観測点の場所および点数については、気流要素の情報と関連付けられている解析メッシュの場所および点数の範囲内で任意に設定することができる。
例えば、図11に示される気流/拡散計算結果36に表示される観測点P1〜P4で観測された観測データを用いて第1の拡散状況予測手順を実行したが、さらに、注目領域内で観測を行った観測点での観測データを追加して第1の拡散状況予測手順を実行したい場合には、例えば、観測点P5等の注目領域内で観測を行った観測点の中から追加したい観測点の位置情報および当該観測点で観測された観測データを与えて、第1の拡散状況予測手順を実行することができる。
なお、気流予測や拡散予測に使用する観測点を変更したい場合には、ステップS1において、観測点を変更して、観測点の位置情報および当該観測点で観測された観測データを与えれば良い。
第1の気流状況予測装置20A、第1の拡散状況予測装置50A、第1の気流状況予測手順および第1の拡散状況予測手順によれば、与えられた現場データを検索キーとして、予め作成しておいた気流DB12との比較照合演算し、さらに、重み付け演算平均化処理を行って拡散事象発災時の気流状況(予測値)を求めるため、気流状況を精度良く(数m間隔で)迅速に予測することができる。
また、第1の拡散状況予測装置50Aおよび第1の拡散状況予測手順によれば、第1の気流状況予測装置20Aが精度良く迅速に予測した気流状況に基づいて拡散計算を実施するため、拡散物質からの避難や拡散物質の脅威除去活動を適切に行うために有効な拡散物質の濃度場の情報を精度良く迅速に予測することができる。
さらに、位置取得機能と、観測データ取得機能と、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aとのデータ通信機能とを有する観測装置(現場端末)を適用し、この観測装置から観測点の位置情報および観測データを通信部23で直接受け取るように構成すれば、実際に観測を行った観測点の中からユーザーが使用したい観測点を指定することで、指定した観測点の位置情報および観測データを取得して第1の気流状況予測手順および第1の拡散状況予測手順を実行することができる。
また、第1の気流状況予測装置20A、第1の拡散状況予測装置50A、第1の気流状況予測手順および第1の拡散状況予測手順において、実際に観測を行った観測点の中からユーザーが気流状況または拡散状況の予測に使用する観測点を指定することができるので、注目領域35が市街地等のように高低差のある建物(障害物)が存在し、当該障害物の影響を受けて気流状況および拡散状況が複雑に変化するような領域であっても、適切な観測点を選択して観測データを与えることができるので、局所的な流れに結果が左右されることなく、全体的な気流状況および拡散状況の予測精度の低下を回避することができる。
(第2の実施例)
図12は、第2の気流状況予測装置20Bおよび第2の拡散状況予測装置50Bの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図12は、第2の気流状況予測装置20Bおよび第2の拡散状況予測装置50Bの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
第2の気流状況予測装置20Bは、第1の気流状況予測装置20Aと実質的に同様の構成である一方、第2の拡散状況予測装置50Bについては、第1の拡散状況予測装置50Aに対して、拡散DB13をさらに保持する点と、拡散計算部31を備えていない点で第1の拡散状況予測装置50Aと相違する。
より詳細には、第1の拡散状況予測装置50Aでは、第1の気流状況予測装置20Aが得た各気流データを重み付け結合して得た結果を拡散計算部31に与えて拡散計算結果を得るのに対して、第2の拡散状況予測装置50Bでは、現場観測により取得したデータと気流DB12との比較および拡散DB13との比較を行って得られる各拡散データを比較演算部26Aが重み付け結合して拡散計算結果を得る点で相違する。
そこで、第2の実施例の説明では、第1の拡散状況予測装置50Aに対する相違点を中心に説明し、第1の気流状況予測装置20Aと実質的に相違しない構成要素および処理ステップについては同じ符号を付して省略する。
なお、上述する第2の拡散状況予測装置50Bおよび第2の拡散状況予測装置50Bは、地図等情報DB11、気流DB12および拡散DB13を読み出し可能な記憶領域に保持している。
第2の気流状況予測装置20Bは、例えば、入力部21と、出力部22と、通信部23と、比較演算部26Aと、表示処理部27と、制御部29とを具備する。また、第2の拡散状況予測装置50Bは、第2の気流状況予測装置20Bを具備し、第2の気流状況予測装置20Bの比較演算部26Aが拡散DB13を用いて拡散状況の予測を行う。
このように構成される第2の拡散状況予測装置50Bでは、物質の拡散状況を予測する拡散計算部31を具備することなく、第1の拡散状況予測装置50Aでは拡散計算部31が行っていた拡散状況の予測を、拡散DB13のデータを取得可能に構成することで、比較演算部26Aが拡散状況を予測できるようにしている。
第2の拡散状況予測装置50Bの比較演算部26Aは、取得した各観測点の観測データと、少なくとも拡散状況を予測する物質の濃度を求めた拡散DB13に格納される当該観測点の拡散データとを比較して一致度を求め、求めた一致度に応じて重み付け演算平均化処理を行い、拡散状況を予測する。
次に、拡散状況予測方法の一例として、第2の拡散状況予測装置50Bが行う第2の拡散状況予測手順について説明する。
図13は第2の拡散状況予測装置50Bが実行する第2の拡散状況予測手順の処理ステップを示す流れ図(フローチャート)である。
第2の拡散状況予測手順は、第1の拡散状況予測手順に対して、ステップS3およびステップS4の代わりにステップS11およびステップS12を具備する点で相違するが、その他の処理ステップについては実質的に同様である。そこで、第2の拡散状況予測手順の説明では、第1の拡散状況予測手順と実質的に相違しない処理ステップについては同じ符号(処理ステップ番号)を付して説明を省略する。また、第2の気流状況予測装置20Bが行う第2の気流状況予測手順は、第1の気流状況予測手順と実質的に同様なので、第1の気流状況予測手順の説明をもって、第2の気流状況予測手順の説明を省略する。
第2の拡散状況予測手順では、処理ステップが開始され(START)、事象発災時に注目領域内の複数の観測点の位置情報と、当該観測点で観測された観測データを比較演算部26Aが受け取ると(ステップS1)、比較演算部26Aは、観測点における観測データと気流DB12内の当該観測点における気流データとを比較する(ステップS2)。
ステップS2が完了すると、第2の気流状況予測手順の処理ステップは、ステップS11に進む。ステップS11では、比較演算部26Aが受け取った複数の観測点の位置情報および当該観測点における観測データのうち拡散物質の濃度等の拡散要素の観測データと、当該拡散物質についての拡散DB13内の当該観測点における拡散データとを比較する(ステップS11)。
ステップS11に続いて、比較演算部26Aは、ステップS2,ステップS11で比較した観測データと気流データおよび拡散データとの一致度を計算して、当該一致度に応じて重み付き結合処理を行って、拡散状況(濃度場の予測値)を計算する(ステップS12)。ステップS12で算出される一致度は、例えば、気流要素として風向と風速の要因があり、拡散要素として濃度の要因がある場合、上述した式(3)におけるFtを濃度(風向および風速以外の要因)として計算することができる。
第2の気流状況予測手順の処理ステップは、ステップS12が完了すると、ステップS12の計算結果に係る表示情報が生成され、出力部としてのディスプレイに与えられる(ステップS5)。ステップS5が完了すると全処理ステップを終了する(END)。
第2の気流状況予測装置20B、第2の拡散状況予測装置50B、第2の気流状況予測手順および第2の拡散状況予測手順によれば、第1の気流状況予測装置20A、第1の拡散状況予測装置50A、第1の気流状況予測手順および第1の拡散状況予測手順と同様の効果を得ることができるとともに、拡散要素についても観測点で計測し、当該観測点における観測データと拡散DB13に格納される拡散データとを比較して一致度を求め、当該一致度に応じた重み付け演算平均化処理を行うことで、拡散事象発災時の拡散状況(予測値)を求めることができる。
すなわち、第2の気流状況予測装置20B、第2の拡散状況予測装置50B、第2の気流状況予測手順および第2の拡散状況予測手順によれば、拡散DB13作成後は拡散解析を実行することなく、発災時に拡散する物質の拡散状況を精度良く(数m間隔で)迅速に予測することができる。従って、拡散DB13を事前に作成しておけば、拡散解析を行う他の拡散状況予測装置および拡散状況予測手順よりも少ない計算負荷で拡散状況を予測することができる。
なお、上述した第2の実施例は、取得した観測データと気流DB12との比較および拡散DB13との比較を第1の気流状況予測装置20Aの比較演算部26Aに実行させて各拡散データを得る第2の拡散状況予測装置50Bの一例であるが、第1の気流状況予測装置20Aの代わりに、後述する第3の気流状況予測装置20C等の比較演算部26(26A,26B)を具備する他の気流状況予測装置を適用することもできる。
(第3の実施例)
図14は、第3の気流状況予測装置20Cおよび第3の拡散状況予測装置50Cの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図14は、第3の気流状況予測装置20Cおよび第3の拡散状況予測装置50Cの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
第3の気流状況予測装置20Cおよび第3の拡散状況予測装置50Cは、例えば、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50A等の他の気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50に対して、比較演算部26Aの代わりに比較演算部26Bを備える点で相違するが、その他の点は実質的に相違しない。そこで、第3の実施例の説明では、比較演算部26Bおよび比較演算部26Bが実行する処理ステップを中心に説明し、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aと実質的に相違しない構成要素および処理ステップについては同じ符号を付して省略する。
第3の気流状況予測装置20Cは、例えば、入力部21と、出力部22と、通信部23と、比較演算部26Bと、表示処理部27と、制御部29とを具備する。また、第3の拡散状況予測装置50Cは、例えば、第3の気流状況予測装置20Cに対して、拡散計算部31をさらに具備する。比較演算部26Bは、比較演算部26Aに、観測データと気流DB12内の気流データとを比較した一致度に応じた重み付き結合処理する際の風向や領域を絞り込む機能(以下、単に「絞込機能」と称する。)をさらに付加した比較演算部26の一例である。
比較演算部26Bは、絞込機能を用いて、気流DB12に格納される気流データにおいて設定される風向のうち、例えば、観測された風向に対する方位角が45度を超える等の所定範囲外にある方向については、観測された風向と関係性が低いと判断して、気流状況予測手順および拡散状況予測手順の演算対象から除外することができる。風向の絞り込みの範囲は予め設定しておいても良いし、気流状況予測手順および拡散状況予測手順の実行時に設定しても良い。
図15は第3の気流状況予測装置20Cおよび第3の拡散状況予測装置50C(より詳細には比較演算部26B)が行う風向の絞り込みについて説明する説明図である。
図15に示される例で風向の絞り込みについて説明すれば、観測点において観測された風向(図15において二重丸で囲って図示)が北西(NW)であった場合、観測された北西と隣接する北(N)および西(W)を所定範囲内(図15において丸で囲って図示)とし、その他の方向を所定範囲外にある方向とする。
また、比較演算部26Bは、絞込機能を用いて、気流DB12に格納される気流データを得る際に設定した注目領域から、気流状況予測手順および拡散状況予測手順を実行する際に選択した観測点を全て含む所定の領域に絞り込み、絞り込んだ領域外については、気流状況予測手順および拡散状況予測手順の実行対象から除外することができる。
図16は比較演算部26Bが行う解析領域の絞り込みについて説明する説明図であり、図16(A)は解析領域を絞り込む前の注目領域の一例(注目領域35A)を示す説明図、図16(B)は解析領域を絞り込んだ後の注目領域の一例(注目領域35B)を示す説明図である。
なお、符号35Aは気流DB12に格納される気流データを得る際に設定した注目領域全体、35Bは絞り込んだ後の注目領域、P1〜P4はそれぞれ気流状況予測手順および拡散状況予測手順を実行する際に選択した観測点である。
図16(A)および図16(B)に示される例で解析領域の絞り込みについて説明すれば、気流状況および拡散状況の予測対象となる領域を、注目領域35Aから気流状況予測手順および拡散状況予測手順を実行する際に選択した観測点P1〜P4の全て含む注目領域35Bに絞り込み、注目領域35Bの外部については、気流状況予測手順および拡散状況予測手順の実行対象から除外する。
このように、第3の気流状況予測装置20Cおよび第3の拡散状況予測装置50Cでは、注目領域35Aを解析領域(解析空間)として当該解析空間内の全ての気流データに対して重み付き結合処理をするのは計算負荷が大きいことに鑑み、複数の観測点に近い観測領域を注目領域35Bとして当該注目領域35B内の気流データのみを使って重み付き結合処理を行うことで、計算負荷の軽減を図ることができる。
本発明の実施形態に係る気流状況予測装置および拡散状況予測装置では、注目領域35Aの一方向の長さとして、例えば、数100m〜数kmを想定している。従って、第3の気流状況予測装置20Cおよび第3の拡散状況予測装置50Cにおいて、解析領域絞り込み後の注目領域35Bの一方向の長さは、注目領域35Aによりも短い、例えば、数10m〜数100mを想定している。
ここで、図16に示される注目領域35Aの大きさが、東西方向に500m、南北方向に500m、高さ方向に500mであり、図16に示される注目領域35Bの大きさが東西方向に100m、南北方向に100m、高さ方向に100mであるものとすると、空間の大きさは1/125となるので、計算に必要な気流データの量も同程度削減できる。なお、注目領域35Bの範囲(大きさ)は予め設定しておいても良いし、気流状況予測手順および拡散状況予測手順の実行時に設定しても良い。
気流状況予測手順および拡散状況予測手順の実行対象から風向および解析領域の一部を除外(省略)可能な第3の気流状況予測装置20Cおよび第3の拡散状況予測装置50Cでは、第1の拡散状況予測手順において気流DB12と比較するケース数(ステップS2)、重み付け結合演算処理(ステップS3)の演算量および拡散計算(ステップS4)の演算量を減らすことができるので、計算負荷を低減することができる。計算負荷の低減は、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50がネットワークを介して計算機サーバーと接続できない状況にある場合(スタンドアローンの場合)に特に有効である。
次に、拡散状況予測方法の一例として、第3の拡散状況予測装置50Cが行う第3の拡散状況予測手順について説明する。
図17は第3の拡散状況予測装置50Cが実行する第3の拡散状況予測手順の処理ステップを示す流れ図(フローチャート)である。
第3の拡散状況予測手順は、第1の拡散状況予測手順に対して、ステップS21およびステップS22をさらに具備する点で相違するが、その他の処理ステップについては実質的に同様である。そこで、第3の拡散状況予測手順の説明では、第1の拡散状況予測手順と実質的に相違しない処理ステップについては同じ符号(処理ステップ番号)を付して説明を省略する。
また、第3の気流状況予測手順が第3の拡散状況予測手順のステップS4およびステップS5を除いて重複する点に鑑み、第3の拡散状況予測手順の説明をもって第3の気流状況予測手順の説明を省略する。
第3の拡散状況予測手順では、処理ステップが開始され(START)、事象発災時に注目領域内の複数の観測点の位置情報と、当該観測点で観測された観測データを比較演算部26Bが受け取る(ステップS1)。
ここで、風向を絞り込んで拡散状況の予測を行う場合には、比較演算部26Bが設定された絞り込み範囲の情報を取得して風向の選定(絞り込み)を行う(ステップS21)。そして、比較演算部26Bが観測点における観測データと気流DB12内の当該観測点における気流データと比較する(ステップS2)。観測データと比較の際に使用する気流DB12内の気流データは、絞り込んだ風向の範囲内のものとし、絞り込んだ風向の範囲外のものについては使用しない。
また、解析領域を絞り込んで拡散状況の予測を行う場合には、比較演算部26Bが設定された絞り込み範囲の情報を取得して解析領域の選定(絞り込み)を行う(ステップS22)。そして、比較演算部26Bが絞り込んだ解析領域内の各気流データについて重み付け結合する(ステップS3)。ステップS3以降については、第1の拡散状況予測手順と同様である。
なお、図17に示される第3の拡散状況予測手順の一例では、ステップS21およびステップS22の両方を具備しているが、ステップS21およびステップS22の何れか一方が省略されていても良い。また、第3の拡散状況予測手順において、ステップS21はステップS2よりも前、ステップS22はステップS3よりも前であれば、図17に示される順序に限らず、いつ実行されても良い。
第3の気流状況予測装置20C、第3の拡散状況予測装置50C、第3の気流状況予測手順および第3の拡散状況予測手順によれば、第1の気流状況予測装置20A、第1の拡散状況予測装置50A、第1の気流状況予測手順および第1の拡散状況予測手順と同様の効果を得ることができるとともに、さらに計算負荷を低減することができる。従って、第1の気流状況予測装置20A、第1の拡散状況予測装置50A、第1の気流状況予測手順および第1の拡散状況予測手順よりも、さらに迅速に気流状況および拡散状況を予測することができる。
なお、上述した第3の実施例は、第1の気流状況予測装置20Aの比較演算部26Aに絞込機能をさらに付加した例であるが、第1の気流状況予測装置20Aに適用が限定されるものではなく、比較演算部26(26A,26B)を具備する他の気流状況予測装置に対して適用することができる。
(第4の実施例)
図18は、第4の気流状況予測装置20Dおよび第4の拡散状況予測装置50Dの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図18は、第4の気流状況予測装置20Dおよび第4の拡散状況予測装置50Dの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
第4の気流状況予測装置20Dおよび第4の拡散状況予測装置50Dは、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aに対して、DB作成更新部25をさらに備える点で相違するが、その他の点は実質的に相違しない。そこで、第4の実施例の説明では、DB作成更新部25およびDB作成更新部25が実行する処理ステップを中心に説明し、第1の気流状況予測装置20Aおよび第1の拡散状況予測装置50Aと実質的に相違しない構成要素および処理ステップについては同じ符号を付して省略する。
第4の気流状況予測装置20Dは、例えば、入力部21と、出力部22と、通信部23と、DB作成更新部25と、比較演算部26Aと、表示処理部27と、制御部29とを具備する。また、第4の拡散状況予測装置50Dは、例えば、第4の気流状況予測装置20Dに対して、拡散計算部31をさらに具備する。DB作成更新部25は、DB作成機能およびDB更新機能を用いて、比較演算部26Aが読み出す気流DB12の作成および更新を行う。
図19は、第4の気流状況予測装置20Dおよび第4の拡散状況予測装置50DのDB作成更新部25が行う気流DB12の更新例について説明する説明図である。ここで、図19に示される符号38は拡散事象発災点、MP1,MP2はモニター観測点である。
例えば、図19に示されるように、注目領域内に常時観測されているモニター観測点MP1,MP2が存在する場合、モニター観測点MP1,MP2の情報を利用することができる。すなわち、モニター観測点MP1,MP2の観測結果を気流DB12に反映(更新)することができる。この場合、ユーザーがDB更新操作を行い、モニター観測点MP1,MP2の位置情報および観測データを与えることで、DB作成更新部25がモニター観測点MP1,MP2における気流データを更新する。
一方、注目領域35内にモニター観測点が存在しない場合についても、注目領域35の近隣にAMEDAS等の気象観測所が存在する場合には、当該観測所で観測された観測データを内挿または外挿(内外挿)して利用することもできる。この場合、DB作成更新部25にデータの内外挿機能を持たせておき、ユーザーがDB更新操作を行うことで、利用するモニター観測点の位置情報および観測データを与えることで、DB作成更新部25がデータの内外挿補間を行って得られた結果を気流データDB12に反映(更新)する。
次に、拡散状況予測方法の一例として、第4の拡散状況予測装置50Dが行う第4の拡散状況予測手順について説明する。
図20は第4の拡散状況予測装置50Dが実行する第4の拡散状況予測手順の処理ステップを示す流れ図(フローチャート)である。
第4の拡散状況予測手順は、第1の拡散状況予測手順に対して、ステップS31およびステップS32をさらに具備する点で相違するが、その他の処理ステップについては実質的に同様である。そこで、第4の拡散状況予測手順の説明では、第1の拡散状況予測手順と実質的に相違しない処理ステップについては同じ符号(処理ステップ番号)を付して説明を省略する。
また、第4の気流状況予測手順が第4の拡散状況予測手順のステップS4およびステップS5を除いて重複する点に鑑み、第4の拡散状況予測手順の説明をもって第4の気流状況予測手順の説明を省略する。
第4の拡散状況予測手順では、処理ステップが開始され(START)、事象発災時に注目領域内の複数の観測点の位置情報と、当該観測点で観測された観測データを比較演算部26Aが受け取る(ステップS1)。一方で、注目領域内に常時観測されているモニター観測点の観測データを利用する場合には、モニター観測点の位置情報および当該モニター観測点で観測された観測データ(モニター観測データ)をDB作成更新部25が受け取り(ステップS31)、受け取ったモニター観測点の位置情報と当該モニター観測点のモニター観測データとを関連付けて気流DB12に加えて、気流DB12を更新する(ステップS32)。
ステップS32が完了すると、第4の拡散状況予測手順は、ステップS2に進む。ステップS2以降の処理ステップは、ステップS32で更新された後の気流DB12を用いて実行される点を除き、第1の拡散状況予測手順のステップS2以降と同様である。
なお、図20に示される第4の拡散状況予測手順の一例では、ステップS31がステップS1の後に実行されているが、ステップS32よりも前であれば、図20に示される順序に限らず、いつ実行されても良い。
第4の気流状況予測装置20D、第4の拡散状況予測装置50D、第4の気流状況予測手順および第4の拡散状況予測手順によれば、第1の気流状況予測装置20A、第1の拡散状況予測装置50A、第1の気流状況予測手順および第1の拡散状況予測手順と同様の効果を得ることができるとともに、DB更新機能を有するDB作成更新部25が、注目領域35の内部に常時観測されているモニター観測点が存在する場合にはモニター観測点の観測データを気流DB12に反映(更新)することができるので、気流状況および拡散状況をより高い精度で予測することができる。
また、第4の気流状況予測装置20Dおよび第4の拡散状況予測装置50DのDB作成更新部25にデータの内外挿機能を持たせておけば、注目領域35の近隣にAMEDAS等の気象観測所が存在する場合に気象観測所の観測データを内外挿して得られる気流データを気流DB12に反映(更新)することができるので、気流状況および拡散状況をより高い精度で予測することができる。
なお、上述した第4の実施例は、第1の気流状況予測装置20Aに対してDB作成更新部25をさらに具備する例であるが、第1の気流状況予測装置20Aに適用が限定されるものではなく、第2の気流状況予測装置20B等の他の気流状況予測装置に対してDB作成更新部25をさらに具備した気流状況予測装置を構築することができる。
(第5の実施例)
図21は、第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図21は、第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eは、拡散事象発災時におけるAMEDAS等の観測データを反映させて、気流状況および拡散状況の予測を行う装置であり、例えば、注目領域35の風向として設定される方向以外の風向が観測された場合等、取得した観測データが気流DB12に用意されていないケースに相当するデータであっても、気流DB12を拡張可能に構成することによって、観測データとの比較照合、一致度の計算および重み付け結合を可能にしている。
第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eは、第4の気流状況予測装置20Dおよび第4の拡散状況予測装置50Dに対して、気流計算部24をさらに備える点で相違するが、その他の点は実質的に相違しない。そこで、第5の実施例の説明では、気流計算部24および気流計算部24が実行する処理ステップを中心に説明し、第4の気流状況予測装置20Dおよび第4の拡散状況予測装置50Dと実質的に相違しない構成要素および処理ステップについては同じ符号を付して省略する。
第5の気流状況予測装置20Eは、例えば、入力部21と、出力部22と、通信部23と、気流計算部24と、DB作成更新部25と、比較演算部26Aと、表示処理部27と、制御部29とを具備する。また、第5の拡散状況予測装置50Eは、例えば、第1の気流状況予測装置20Aに対して、拡散計算部31をさらに具備する。
第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eでは、追加された気流要素を境界条件として気流解析機能を有する気流計算部24が新たに気流解析を行い、DB作成更新部25がDB更新機能を用いて、気流計算部24が行った気流解析の結果を気流DB12に追加(拡張)して気流DB12を更新する。比較演算部26Aは、更新(拡張)後の気流DB12を用いて観測データとの比較照合、一致度の計算および重み付け結合(重み付け演算平均化処理)を行う。
なお、上述した第5の実施例では、第1の気流状況予測装置20Aに対して、気流計算部24およびDB作成更新部25をさらに具備する第5の気流状況予測装置20Eの例を説明しているが、第2の気流状況予測装置20B等の他の気流状況予測装置に対して気流計算部24およびDB作成更新部25をさらに具備した気流状況予測装置としても良い。
また、上述した第5の実施例では、第5の気流状況予測装置20Eが気流計算部24を具備しているが、必ずしも気流計算部24を具備していなくても良い。気流計算部24が計算する追加気流計算を外部で行い、DB作成更新部25が通信部23から受信した追加気流計算結果を気流DB12に反映させることを前提とするのであれば、気流計算部24を具備しない第5の気流状況予測装置20Eとすることもできる。
図22は、第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eにおいて、設定する基準風向(8方向)と拡散事象発災時の風向39と注目領域35との関係の一例を説明する説明図である。
図22に示される例は、注目領域近傍のAMEDAS等の観測点の気象情報によれば、拡散事象発災時において、注目領域35の風向39が略北北西(NNW)の風向であったことを示している。図22に示される例で説明すると、注目領域35の風向として設定される8方向以外の方向である略北北西(NNW)の風が観測されているため、観測データに対応するケースの気流データが気流DB12に存在していないことになる。すなわち、このままでは、観測データと気流データとの比較を行うことができない。
そこで、第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eでは、拡散事象発災時における気象情報に基づいて注目領域35を気流解析する際の境界条件を与え、与えた条件で気流解析を実施し、得られた結果を気流DB12に追加(拡張)することで、当初設定されていない基準風向以外の風が観測された場合であっても、観測データとの比較照合、一致度の計算および重み付け結合(重み付け演算平均化処理)を可能にしている。
なお、図21に示される第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eでは、装置内に気流解析を行う気流計算部24を具備しているが、実際に気流解析を行う際には、ネットワーク等で接続される外部の計算機サーバーを使用しても良い。気流解析に要する計算を処理能力の高い計算機サーバーで計算させることで、自装置内(スタンドアローン)で計算する場合よりも短時間で気流DB12を更新することができる。また、気流解析を行う際に必要となる注目領域35の建物情報は、例えば、入力部21から与えることができるが、地図等情報DB11から読み出して取得することもできる。
次に、拡散状況予測方法の一例として、第5の拡散状況予測装置50Eが行う第5の拡散状況予測手順について説明する。
図23は第5の拡散状況予測装置50Eが実行する第5の拡散状況予測手順の処理ステップを示す流れ図(フローチャート)である。
第5の拡散状況予測手順は、第4の拡散状況予測手順に対して、ステップS31の代わりにステップS41を具備する点で相違するが、その他の処理ステップについては実質的に同様である。そこで、第5の拡散状況予測手順の説明では、第4の拡散状況予測手順と実質的に相違しない処理ステップについては同じ符号(処理ステップ番号)を付して説明を省略する。
なお、第5の気流状況予測手順は、注目領域35の近傍のAMEDAS等の観測点の気象情報を反映させた気流状況および拡散状況の予測を行うことを前提として行うものとする。また、第5の気流状況予測手順が第5の拡散状況予測手順のステップS4およびステップS5を除いて重複する点に鑑み、第5の拡散状況予測手順の説明をもって第5の気流状況予測手順の説明を省略する。
第5の拡散状況予測手順では、処理ステップが開始され(START)、事象発災時に注目領域内の複数の観測点の位置情報と、当該観測点で観測された観測データを比較演算部26Aが受け取る(ステップS1)。このとき、注目領域35の近傍のAMEDAS等の観測点の気象情報として、観測点の風向が注目領域35の風向として設定される方向以外の方向である場合には、追加の気流計算が必要となる(ステップS41)。
第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eが、自装置内の気流計算部24またはネットワーク接続される外部の計算機サーバーを用いて、追加気流計算(ステップS41)を実行すると、追加気流計算の結果を気流DB12に追加して、気流DB12を更新(拡張)する(ステップS32)。ステップS32以降の処理ステップは、第4の拡散状況予測手順におけるステップS32以降の処理ステップと同様である。
第5の気流状況予測装置20E、第5の拡散状況予測装置50E、第5の気流状況予測手順および第5の拡散状況予測手順によれば、第4の気流状況予測装置20D、第4の拡散状況予測装置50D、第4の気流状況予測手順および第4の拡散状況予測手順と同様の効果を得ることができるとともに、新たに気流解析(追加気流計算)を行うことができるので、取得した観測データに対応するケースの気流データが気流DB12に格納されていない場合等、気流DB12の更新が必要であっても対応することができる。
すなわち、第5の気流状況予測装置20E、第5の拡散状況予測装置50E、第5の気流状況予測手順および第5の拡散状況予測手順によれば、取得した観測データに対応するケースの気流データが気流DB12に格納されていない場合であっても、追加気流計算を行い、得られた結果を気流DB12に反映(更新)した上で、観測データとの比較照合、一致度の計算および重み付け結合(重み付け演算平均化処理)を行うことができるので、気流状況および拡散状況をより高い精度で予測することができる。
なお、上述した第5の気流状況予測装置20E、第5の拡散状況予測装置50E、第5の気流状況予測手順および第5の拡散状況予測手順の例は、取得した観測データに対応するケースの気流データが気流DB12に格納されておらず、気流状況予測手順および拡散状況予測手順の実行に必要となる気流データのみを気流DB12に追加する例であるが、追加する気流データは、取得した観測データに対応するケースの気流データを含む限り幾つでも良い。
図24は、第5の気流状況予測装置20Eおよび第5の拡散状況予測装置50Eにおいて、設定する基準風向(8方向)、拡散事象発災時の風向39、気流DB12に気流データとして追加したい風向41および注目領域35の関係の一例を説明する説明図である。
図24に示される例は、注目領域近傍のAMEDAS等の観測点の気象情報によれば、拡散事象発災時において、注目領域35の風向39が略北北西(NNW)の風向であったことを示している。図24に示される例において、拡散事象発災時の風向39として注目領域35で観測された略北北西(NNW)の風向の他、例えば、観測された拡散事象発災時の風向39に近い風向等、気流DB12に追加したい風向41のケースが他にもある場合には、西北西(WNW)等、拡散事象発災時に観測された北北西以外の風向についても、気流解析を行い、解析結果を気流DB12に反映(追加)することができる。
また、第5の気流状況予測装置20E、第5の拡散状況予測装置50E、第5の気流状況予測手順および第5の拡散状況予測手順は、新たに行った気流解析(追加気流計算)の結果を気流DB12に反映したいのであれば、取得した観測データに対応するケースの気流データが気流DB12に格納されているか否かを問わずに適用できる。
以上、気流状況予測装置20、拡散状況予測装置50、気流状況予測手順および拡散状況予測手順によれば、与えられた現場データを検索キーとして、予め作成しておいた気流DB12との比較照合演算し、さらに、重み付け演算平均化処理を行って拡散事象発災時の気流状況(予測値)を求めるため、気流状況を精度良く(数m間隔で)迅速に予測することができる。
また、拡散状況予測装置50および拡散状況予測手順によれば、気流状況予測装置20が精度良く迅速に予測した気流状況に基づいて拡散計算を実施するため、拡散物質からの避難や拡散物質の脅威除去活動を適切に行うために有効な拡散物質の濃度場の情報を精度良く迅速に予測することができる。
さらに、位置取得機能と、観測データ取得機能と、気流状況予測装置20および拡散状況予測装置50とのデータ通信機能とを有する観測装置(現場端末)を適用し、この観測装置から観測点の位置情報および観測データを通信部23で直接受け取るように構成すれば、実際に観測を行った観測点の中からユーザーが使用したい観測点を指定することで、指定した観測点の位置情報および観測データを取得して気流状況予測手順および拡散状況予測手順を実行することができる。
また、気流状況予測装置20、拡散状況予測装置50、気流状況予測手順および拡散状況予測手順において、実際に観測を行った観測点の中からユーザーが気流状況または拡散状況の予測に使用する観測点を指定することができるので、注目領域35が市街地等のように高低差のある建物(障害物)が存在し、当該障害物の影響を受けて気流状況および拡散状況が複雑に変化するような領域であっても、適切な観測点を選択して観測データを与えることができるので、局所的な流れに結果が左右されることなく、全体的な気流状況および拡散状況の予測精度の低下を回避することができる。
上述した実施形態において記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体に書き込んで各種装置に適用したり、通信媒体により伝送して各種装置に適用することもできる。本装置を実現するコンピュータは、記憶媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…コンピュータ、2…CPU、3…主記憶装置、4…補助記憶装置、5…入力装置、6…出力装置、7…通信部、8…計算サーバー、10…気流・拡散状況予測PG(プログラム)、11…地図等情報DB(データベース)、12…気流DB(データベース)、13…拡散DB(データベース)、20(20A〜20E)…気流状況予測装置、21…入力部、22…出力部、23…通信部、24…気流計算部、25…DB作成更新部、26(26A,26B)…比較演算部、27…表示処理部、28…記憶部、29…制御部、31…拡散計算部、35,35A,35B…注目領域、36…気流/拡散計算結果、37…一致度計算結果、38…拡散事象発災点、39…拡散事象発災時の風向、41…気流DB(データベース)に追加したい風向、50(50A〜50E)…拡散状況予測装置、P1〜P5…観測点、MP1,MP2…モニター観測点。
Claims (15)
- 気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向および風速を含む気流要素の観測結果および観測点の位置情報を受け取り、受け取った気流要素の観測結果と、アクセス可能な記憶手段に保持され、気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた前記気流要素の解析結果を気流データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた気流データベース内の前記観測点の位置情報に対応する場所における前記気流データとを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記気流データベース内の各気流データを重み付け結合する比較演算部を具備することを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1記載の比較演算部は、前記一致度を計算する際に、前記気流要素の各々についてそれぞれ異なる重み付き手法を採用することを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1または2記載の比較演算部は、前記注目領域よりも狭い前記観測点の場所を全て包含する領域を設定し、設定した領域に対して、前記観測結果と前記観測点に対応する場所における前記気流データとの比較照合、一致度の計算、および、一致度に応じて前記気流データベース内の気流データの重み付け結合を行うことを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から3の何れか1項に記載の比較演算部は、前記気流データベースが持つ各気流データのうち前記観測点で観測された風向に対する方位角が所定角度以内にある風向を気流要素とする気流データを抽出し、抽出した気流データに対して、前記観測結果と前記観測点に対応する場所における前記気流データとの比較照合、一致度の計算、および、一致度に応じて前記気流データベース内の気流データの重み付け結合を行うことを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から4の何れか1項に記載の比較演算部は、前記観測点以外の観測点で観測された観測結果および当該観測点の位置情報を新たに受け取ると、受け取った観測点を含めた全観測点に対応する場所における前記気流データと比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記気流データベース内の各気流データを重み付け結合することを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から5の何れか1項に記載の気流状況予測装置に、前記気流データベースを作成する機能と、前記気流データを追加する機能と、前記気流データの内容を更新する機能とを有するDB作成更新部をさらに具備することを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から6の何れか1項に記載の前記気流データベースは、前記注目領域内で計測され統計処理された気流データを含むことを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から7の何れか1項に記載の前記気流データベースは、拡散事象発災時の気象データを境界条件として用いて気流解析して得られた気流データを含むことを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から8の何れか1項に記載の前記気流データベースは、当初の条件に加えて、前記風向および前記風速を新たに設定し、設定した条件下で行った前記注目領域内の気流データを含むことを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から9の何れか1項に記載の気流状況予測装置に、前記気流解析を行う気流計算部をさらに具備することを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から10の何れか1項に記載の気流状況予測装置に、外部の装置と情報を相互に伝送可能な通信部をさらに具備することを特徴とする気流状況予測装置。
- 請求項1から11の何れか1項に記載の気流状況予測装置が求めた前記注目領域の気流状況予測結果に基づいて、当該注目領域における物質の拡散状況を予測する拡散計算部をさらに具備することを特徴とする拡散状況予測装置。
- 拡散状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向および風速を含む気流要素の観測結果、物質の濃度を含む拡散要素の観測結果および観測点の位置情報を受け取り、受け取った前記気流要素の観測結果と、アクセス可能な記憶手段に保持され、前記気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた前記気流要素の解析結果を気流データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた気流データベース内の前記観測点に対応する場所における前記気流データ、および、受け取った前記拡散要素の観測結果と、アクセス可能な記憶手段に保持され、前記気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の拡散解析をして得られた前記拡散要素の解析結果を拡散データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた拡散データベース内の拡散データを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記拡散データベース内の各拡散データを重み付け結合する比較演算部を具備することを特徴とする拡散状況予測装置。
- コンピュータを用いて、気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の気流状況を予測する方法であり、前記コンピュータが気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向および風速を含む気流要素の観測結果および観測点の位置情報を受け取り、受け取った気流要素の観測結果と、前記コンピュータがアクセス可能な記憶手段に保持され、気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた前記気流要素の解析結果を気流データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた気流データベース内の前記観測点の位置情報に対応する場所における前記気流データとを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記気流データベース内の各気流データを重み付け結合する処理ステップを具備することを特徴とする気流状況予測方法。
- コンピュータを用いて、気流状況を予測する領域として設定された注目領域内の気流状況を予測する方法であり、前記コンピュータが拡散状況を予測する領域として設定された注目領域内の複数の観測点で観測された風向および風速を含む気流要素の観測結果、物質の濃度を含む拡散要素の観測結果および観測点の位置情報を受け取り、受け取った前記気流要素の観測結果と、前記コンピュータがアクセス可能な記憶手段に保持され、前記気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の気流解析をして得られた前記気流要素の解析結果を気流データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた気流データベース内の前記観測点に対応する場所における前記気流データ、および、受け取った前記拡散要素の観測結果と、前記コンピュータがアクセス可能な記憶手段に保持され、前記気流要素に含まれる風向および風速をそれぞれ異にした条件下で、前記注目領域内に存在する構造物の大きさおよび位置の情報を含めて前記注目領域内の拡散解析をして得られた前記拡散要素の解析結果を拡散データとして前記注目領域内の位置および前記条件と関連付けた拡散データベース内の拡散データを比較照合して一致度を計算し、算出された一致度に応じて前記拡散データベース内の各拡散データを重み付け結合する処理ステップを具備することを特徴とする拡散状況予測方法。
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