JP2005050063A - 流体の数値計算方法及び装置及び制御プログラム及び記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率的で数値拡散が少なく、状態方程式の関数形によらない汎用的な数値計算手法として利用することができる流体の数値計算方法及び装置及び制御プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】CPU116により保存形式の方程式を計算する際に、流束をその物理的性質に応じて分離し、風上差分と中心差分型の蛙跳び差分法を併用して時間発展を行う。
【選択図】 図8
【解決手段】CPU116により保存形式の方程式を計算する際に、流束をその物理的性質に応じて分離し、風上差分と中心差分型の蛙跳び差分法を併用して時間発展を行う。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮性を有する流体等の流体の数値計算方法及び装置及びその計算方法をコンピュータにて実行するための制御プログラム及びその制御プログラムを格納した記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧縮性を有する流体の数値解析手法は、大きくは、風上化を意識する解法と、格子系を工夫することにより風上化を意識しない解法とに分類することができる。
【0003】
近年、効率的で安定性の高い圧縮性流体の風上化解法として、AUSM(Advection Upstream Splitting Method)スキームが提案されている(非特許文献1)。このAUSMスキームにおいては、非線形性の原因となる圧力を別扱いし、マッハ数に応じた圧力評価を行うために、状態方程式の関数形に応じた音速の評価を行っている。
【0004】
また、風上化を意識しない解法としては、中心差分スキーム(セントラルスキーム)(非特許文献2)や、CE/SEスキームが提案されている(非特許文献3)。中心差分スキームにおいては双対格子系を、CE/SEスキームにおいては時空間における保存則を考慮するために、複数の格子系を採用し計算を行う。
【0005】
【非特許文献1】
M. S. Liu and C. J. Steffen, Jr:A New Flux Splitting Scheme, Journal of Computational Physics, 107, 23−39(1993)
【非特許文献2】
H. Nessyahu, E. Tadmor, “Non−oscillatory central differencing for hyperbolic conservation laws” Journal of Computational Physics, 87, 408−463(1990)
【非特許文献3】
S. C. Chang “The Method of Space−Time Conservation Element and Solution Element −A New Approach for Solving the Navier−Stokes and Euler Equations” Journal of Computational Physics, 119, 295−324(1995)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
AUSMスキームは、状態方程式の関数形に応じた音速の評価を行う必要があり、中心差分スキームやCE/SEスキームは、計算負荷が大きく、数値拡散が生じ易い複数の格子系を採用する必要がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する事情に鑑みてなされたもので、その目的は、効率的で数値拡散が少なく、状態方程式の関数形によらない汎用的な数値計算手法として利用することができる流体の数値計算方法及び装置及び制御プログラム及び記憶媒体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の流体の数値計算方法は、保存形式の方程式を計算する際に、流束をその物理的性質に応じて分離し、風上差分と中心差分型の蛙跳び差分法を併用して時間発展を行うことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために本発明の流体の数値計算方法は、保存形式の圧縮性流体方程式を計算する際に、流束を移流部分と圧力依存部分とに分離し、前記移流部分に関しては流速に基づく風上差分を用いて時間発展を行い、前記圧力依存部分については中心差分型の蛙跳び差分法を用いて時間発展を行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために本発明の流体の数値計算装置は、保存形式の方程式を計算する際に、流束をその物理的性質に応じて分離し、風上差分と中心差分型の蛙跳び差分法を併用して時間発展を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明の流体の数値計算装置は、保存形式の圧縮性流体方程式を計算する際に、流束を移流部分と圧力依存部分とに分離し、前記移流部分に関しては流速に基づく風上差分を用いて時間発展を行い、前記圧力依存部分については中心差分型の蛙跳び差分法を用いて時間発展を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために本発明の制御プログラムは、前記流体の数値計算方法をコンピュータにて実行するためのプログラムコードから成ることを特徴とする。
【0013】
更に、上記目的を達成するために本発明の記憶媒体は、前記制御プログラムを格納したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態を図面に基づき説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を図1乃至図6に基づき説明する。
【0016】
下記式▲1▼は、一次元の場合の圧縮性を有する流体の基本方程式であり、Uは保存量の密度・運動量密度・単位体積当たりの全エネルギー、Fは流束である。ここで流束とは、下記式▲3▼で表される単位時間・単位体積当たりの量である。この方程式▲1▼は、保存量の時間変化と流束の収支の和が保存することを表している。
【0017】
また、下記式▲2▼は、保存量の密度・運動量密度・単位体積当たりの全エネルギーUを求めるための計算式である。
【0018】
更に、下記式▲3▼は、流束Fを求めるための計算式である。
【0019】
図1は、本実施形態の特徴を示す図である。ここでは中心差分格子を採用しているが、流束を評価する際に、上記式▲3▼のように移流部分と圧力依存部分と散逸部分とに分割し、移流部分に関しては評価点における流速の方向に応じた風上差分を適用し、圧力依存部分に関しては中心差分によって計算した値を用いる。また、散逸部分については陽解法若しくは陰解法によって評価する。
【0020】
図2は、一次元の場合の通常格子と中心差分格子とを示す図であり、同図においてfluxはフラックス(流束)である。
【0021】
図2の通常格子においてはセル中心とセル境界の位置は固定しているのに対し、中心差分格子においては双対格子系であり、セル中心とセル境界の位置が、1時間ステップ毎に半メッシュ移動するようになっている。また、通常格子においてはセル中心に保存量を定義し、セル境界において流束を評価する。また、中心差分格子においては保存量の定義位置と流束の評価位置とが同じである。
【0022】
以下、本実施形態に係る圧縮性流体の数値計算方法による計算手順について、図3及び図4に基づき説明する。
【0023】
図3及び図4は、本実施形態に係る圧縮性流体の数値計算方法による計算手順を示すフローチャートである。
【0024】
まず、ステップS301において、保存量Uの初期設定を時刻n及び時刻n−1について行う(図4のステップS401)。
【0025】
次に、ステップS302において、時刻nの内部エネルギー密度εを計算する(図4のステップS402)。
【0026】
次に、ステップS303において、時刻nの圧力pを計算する(図4のステップS403)。
【0027】
次に、ステップS304において、時刻nにおける流束Kと時刻n+1における流束の移流部分を計算する(図4のステップS404)。
【0028】
移流部分の計算のための風上差分には、一次の風上差分だけでなく、高解像度スキーム(TVD(Total Variation Diminishing)、ENO(Essentially Non Oscillatory)、PP(Positively Preserving)スキーム等)を用いることができる。
【0029】
次に、ステップS305(図4のステップS405)において、保存量Uの更新を行い、時刻n+1の値を求める。ここで、流束の圧力依存部分に関しては中心差分を、移流部分については風上差分を、散逸部分に関しては時刻n−1(陽解法)の値か、時刻n+1(陰解法)の値のいずれかを用いる。
【0030】
本手法は、流束の圧力依存部分に関しては中心差分を適用するため、AUSMスキームのように圧力評価のための音速を計算する必要がなく、状態方程式によらない汎用的な計算手法として利用することができる。
【0031】
また、計算の安定条件が厳しく、数値振動が生じるような場合には、人工粘性項等を付与させることにより、計算の安定条件を満たすことが可能である。
【0032】
図8は、本実施形態に係る圧縮性流体の数値計算方法を実行する計算機(流体の数値計算装置)の構成を示すブロック図である。
【0033】
図8に示すように、この計算機は、複数のCPU116やメモリ118等からなる演算処理部、ハードディスク117やフロッピー(登録商標)ディスク110からなる記憶装置部、キーボード115やマウス114等からなる入力部、そしてディスプレイ112等からなる出力表示部等で構成されているシステムである。
【0034】
この計算機は、図3及び4に示したフローチャートに対応するプログラムをメモリ118上にロードし、必要な計算領域を確保し、適当な方法で入力された領域形状や格子点座標及び物理量に基づき所定の演算処理を行い、その結果得られた領域上での物理量の値をハードディスク117等に書き込んで記憶させたり、ディスプレイ112上に表示させる。
【0035】
図5は、圧縮性流体の代表的なベンチマークテストである衝撃波管問題を、本手法と中心差分スキームの一つであるCWENOスキームで計算した結果の一例を示す図である。
【0036】
図6は、図5の一部を拡大した図である。
【0037】
図5及び図6において、実線は解析解を、黒丸実線は本手法の計算結果を、三角点線はCWENOスキームの計算結果を示している。
【0038】
図5及び図6にて明確なように、本手法の方が数値拡散が少なく、高い解像度が得られていることが分る。
【0039】
以上詳述したように本実施の形態によれば、風上化解法の利点と非風上化解法の利点を採用し、効率的で数値拡散が少なく、状態方程式の関数形によらない汎用的な数値計算手法として利用することができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、計算スキームの変更無しに、理想気体の状態方程式のみならず、van der Waals状態方程式等を扱うことができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図7に基づき説明する。
【0042】
下記式▲4▼は、二次元の場合の圧縮性流体の基本方程式であり、Uは保存量の密度・x方向運動量密度・y方向運動量密度・単位体積当たりの全エネルギー、Fはx方向流束、Gはy方向流束である。ここでx方向流束とは、下記式で表される単位時間・単位体積当たりの量である。この方程式▲4▼は、保存量の時間変化と流束の収支の和が保存することを表している。
【0043】
また、下記式▲5▼は、保存量の密度・運動量密度・単位体積当たりの全エネルギーUを求めるための計算式である。
【0044】
また、下記式▲6▼は、x方向流束Fを求めるための計算式である。
【0045】
更に、下記式▲7▼は、y方向流束Gを求めるための計算式である。
【0046】
図7は、二次元の場合の通常格子と中心差分格子の一例を示す図であり、同図(a)は通常格子を、同図(b)は中心差分格子を示す。
【0047】
この二次元は、上述した第1の実施形態における一次元の場合と同様に、通常格子においてはセル中心とセル境界の位置は固定しているのに対し、中心差分格子ではセル中心とセル境界の位置が、1時間ステップ毎に半メッシュ(x方向だけでなく、y方向にも)移動するようになっている。
【0048】
また、この二次元は、一次元の場合と同様に、通常格子においてはセル中心に保存量を定義し、セル境界において流束を評価するが、中心差分格子においては保存量の定義位置と流束の評価位置とが同じである。
【0049】
本発明を二次元の場合に適用するには、流束を評価する際に、上記式▲6▼、▲7▼のようにx方向流束とy方向流束とを移流部分と圧力依存部分と散逸部分とに分割し、移流部分に関しては評価点における流速の方向に応じた風上差分を適用し、圧力依存部分に関しては中心差分によって計算した値を用いれば良い。また、散逸部分については陽解法若しくは陰解法によって評価する。
【0050】
これらの手続きは、y方向の成分が付け加わったことを除けば、上述した第1の実施形態における一次元の場合と同様である。また、流体方程式系に、重力等の外力が付け加わった場合や、三次元の場合にも本手法は利用できる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、効率的で数値拡散が少なく、状態方程式の関数形によらない汎用的な数値計算手法として利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法における通常格子とセントラル格子の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法における計算手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法における計算手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法による計算結果と中心差分スキームによる計算結果の比較例を示す図である。
【図6】図5の一部を拡大した図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る流体の数値計算方法における二次元の通常格子と中心差分格子の概念図である。
【図8】本実施形態に係る圧縮性流体の数値計算方法を実行する計算機(流体の数値計算装置)の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
110 フロッピー(登録商標)ディスク
112 ディスプレイ
114 マウス
115 キーボード
116 CPU
117 ハードディスク
118 メモリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮性を有する流体等の流体の数値計算方法及び装置及びその計算方法をコンピュータにて実行するための制御プログラム及びその制御プログラムを格納した記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧縮性を有する流体の数値解析手法は、大きくは、風上化を意識する解法と、格子系を工夫することにより風上化を意識しない解法とに分類することができる。
【0003】
近年、効率的で安定性の高い圧縮性流体の風上化解法として、AUSM(Advection Upstream Splitting Method)スキームが提案されている(非特許文献1)。このAUSMスキームにおいては、非線形性の原因となる圧力を別扱いし、マッハ数に応じた圧力評価を行うために、状態方程式の関数形に応じた音速の評価を行っている。
【0004】
また、風上化を意識しない解法としては、中心差分スキーム(セントラルスキーム)(非特許文献2)や、CE/SEスキームが提案されている(非特許文献3)。中心差分スキームにおいては双対格子系を、CE/SEスキームにおいては時空間における保存則を考慮するために、複数の格子系を採用し計算を行う。
【0005】
【非特許文献1】
M. S. Liu and C. J. Steffen, Jr:A New Flux Splitting Scheme, Journal of Computational Physics, 107, 23−39(1993)
【非特許文献2】
H. Nessyahu, E. Tadmor, “Non−oscillatory central differencing for hyperbolic conservation laws” Journal of Computational Physics, 87, 408−463(1990)
【非特許文献3】
S. C. Chang “The Method of Space−Time Conservation Element and Solution Element −A New Approach for Solving the Navier−Stokes and Euler Equations” Journal of Computational Physics, 119, 295−324(1995)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
AUSMスキームは、状態方程式の関数形に応じた音速の評価を行う必要があり、中心差分スキームやCE/SEスキームは、計算負荷が大きく、数値拡散が生じ易い複数の格子系を採用する必要がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する事情に鑑みてなされたもので、その目的は、効率的で数値拡散が少なく、状態方程式の関数形によらない汎用的な数値計算手法として利用することができる流体の数値計算方法及び装置及び制御プログラム及び記憶媒体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の流体の数値計算方法は、保存形式の方程式を計算する際に、流束をその物理的性質に応じて分離し、風上差分と中心差分型の蛙跳び差分法を併用して時間発展を行うことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために本発明の流体の数値計算方法は、保存形式の圧縮性流体方程式を計算する際に、流束を移流部分と圧力依存部分とに分離し、前記移流部分に関しては流速に基づく風上差分を用いて時間発展を行い、前記圧力依存部分については中心差分型の蛙跳び差分法を用いて時間発展を行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために本発明の流体の数値計算装置は、保存形式の方程式を計算する際に、流束をその物理的性質に応じて分離し、風上差分と中心差分型の蛙跳び差分法を併用して時間発展を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明の流体の数値計算装置は、保存形式の圧縮性流体方程式を計算する際に、流束を移流部分と圧力依存部分とに分離し、前記移流部分に関しては流速に基づく風上差分を用いて時間発展を行い、前記圧力依存部分については中心差分型の蛙跳び差分法を用いて時間発展を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために本発明の制御プログラムは、前記流体の数値計算方法をコンピュータにて実行するためのプログラムコードから成ることを特徴とする。
【0013】
更に、上記目的を達成するために本発明の記憶媒体は、前記制御プログラムを格納したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態を図面に基づき説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を図1乃至図6に基づき説明する。
【0016】
下記式▲1▼は、一次元の場合の圧縮性を有する流体の基本方程式であり、Uは保存量の密度・運動量密度・単位体積当たりの全エネルギー、Fは流束である。ここで流束とは、下記式▲3▼で表される単位時間・単位体積当たりの量である。この方程式▲1▼は、保存量の時間変化と流束の収支の和が保存することを表している。
【0017】
また、下記式▲2▼は、保存量の密度・運動量密度・単位体積当たりの全エネルギーUを求めるための計算式である。
【0018】
更に、下記式▲3▼は、流束Fを求めるための計算式である。
【0019】
図1は、本実施形態の特徴を示す図である。ここでは中心差分格子を採用しているが、流束を評価する際に、上記式▲3▼のように移流部分と圧力依存部分と散逸部分とに分割し、移流部分に関しては評価点における流速の方向に応じた風上差分を適用し、圧力依存部分に関しては中心差分によって計算した値を用いる。また、散逸部分については陽解法若しくは陰解法によって評価する。
【0020】
図2は、一次元の場合の通常格子と中心差分格子とを示す図であり、同図においてfluxはフラックス(流束)である。
【0021】
図2の通常格子においてはセル中心とセル境界の位置は固定しているのに対し、中心差分格子においては双対格子系であり、セル中心とセル境界の位置が、1時間ステップ毎に半メッシュ移動するようになっている。また、通常格子においてはセル中心に保存量を定義し、セル境界において流束を評価する。また、中心差分格子においては保存量の定義位置と流束の評価位置とが同じである。
【0022】
以下、本実施形態に係る圧縮性流体の数値計算方法による計算手順について、図3及び図4に基づき説明する。
【0023】
図3及び図4は、本実施形態に係る圧縮性流体の数値計算方法による計算手順を示すフローチャートである。
【0024】
まず、ステップS301において、保存量Uの初期設定を時刻n及び時刻n−1について行う(図4のステップS401)。
【0025】
次に、ステップS302において、時刻nの内部エネルギー密度εを計算する(図4のステップS402)。
【0026】
次に、ステップS303において、時刻nの圧力pを計算する(図4のステップS403)。
【0027】
次に、ステップS304において、時刻nにおける流束Kと時刻n+1における流束の移流部分を計算する(図4のステップS404)。
【0028】
移流部分の計算のための風上差分には、一次の風上差分だけでなく、高解像度スキーム(TVD(Total Variation Diminishing)、ENO(Essentially Non Oscillatory)、PP(Positively Preserving)スキーム等)を用いることができる。
【0029】
次に、ステップS305(図4のステップS405)において、保存量Uの更新を行い、時刻n+1の値を求める。ここで、流束の圧力依存部分に関しては中心差分を、移流部分については風上差分を、散逸部分に関しては時刻n−1(陽解法)の値か、時刻n+1(陰解法)の値のいずれかを用いる。
【0030】
本手法は、流束の圧力依存部分に関しては中心差分を適用するため、AUSMスキームのように圧力評価のための音速を計算する必要がなく、状態方程式によらない汎用的な計算手法として利用することができる。
【0031】
また、計算の安定条件が厳しく、数値振動が生じるような場合には、人工粘性項等を付与させることにより、計算の安定条件を満たすことが可能である。
【0032】
図8は、本実施形態に係る圧縮性流体の数値計算方法を実行する計算機(流体の数値計算装置)の構成を示すブロック図である。
【0033】
図8に示すように、この計算機は、複数のCPU116やメモリ118等からなる演算処理部、ハードディスク117やフロッピー(登録商標)ディスク110からなる記憶装置部、キーボード115やマウス114等からなる入力部、そしてディスプレイ112等からなる出力表示部等で構成されているシステムである。
【0034】
この計算機は、図3及び4に示したフローチャートに対応するプログラムをメモリ118上にロードし、必要な計算領域を確保し、適当な方法で入力された領域形状や格子点座標及び物理量に基づき所定の演算処理を行い、その結果得られた領域上での物理量の値をハードディスク117等に書き込んで記憶させたり、ディスプレイ112上に表示させる。
【0035】
図5は、圧縮性流体の代表的なベンチマークテストである衝撃波管問題を、本手法と中心差分スキームの一つであるCWENOスキームで計算した結果の一例を示す図である。
【0036】
図6は、図5の一部を拡大した図である。
【0037】
図5及び図6において、実線は解析解を、黒丸実線は本手法の計算結果を、三角点線はCWENOスキームの計算結果を示している。
【0038】
図5及び図6にて明確なように、本手法の方が数値拡散が少なく、高い解像度が得られていることが分る。
【0039】
以上詳述したように本実施の形態によれば、風上化解法の利点と非風上化解法の利点を採用し、効率的で数値拡散が少なく、状態方程式の関数形によらない汎用的な数値計算手法として利用することができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、計算スキームの変更無しに、理想気体の状態方程式のみならず、van der Waals状態方程式等を扱うことができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図7に基づき説明する。
【0042】
下記式▲4▼は、二次元の場合の圧縮性流体の基本方程式であり、Uは保存量の密度・x方向運動量密度・y方向運動量密度・単位体積当たりの全エネルギー、Fはx方向流束、Gはy方向流束である。ここでx方向流束とは、下記式で表される単位時間・単位体積当たりの量である。この方程式▲4▼は、保存量の時間変化と流束の収支の和が保存することを表している。
【0043】
また、下記式▲5▼は、保存量の密度・運動量密度・単位体積当たりの全エネルギーUを求めるための計算式である。
【0044】
また、下記式▲6▼は、x方向流束Fを求めるための計算式である。
【0045】
更に、下記式▲7▼は、y方向流束Gを求めるための計算式である。
【0046】
図7は、二次元の場合の通常格子と中心差分格子の一例を示す図であり、同図(a)は通常格子を、同図(b)は中心差分格子を示す。
【0047】
この二次元は、上述した第1の実施形態における一次元の場合と同様に、通常格子においてはセル中心とセル境界の位置は固定しているのに対し、中心差分格子ではセル中心とセル境界の位置が、1時間ステップ毎に半メッシュ(x方向だけでなく、y方向にも)移動するようになっている。
【0048】
また、この二次元は、一次元の場合と同様に、通常格子においてはセル中心に保存量を定義し、セル境界において流束を評価するが、中心差分格子においては保存量の定義位置と流束の評価位置とが同じである。
【0049】
本発明を二次元の場合に適用するには、流束を評価する際に、上記式▲6▼、▲7▼のようにx方向流束とy方向流束とを移流部分と圧力依存部分と散逸部分とに分割し、移流部分に関しては評価点における流速の方向に応じた風上差分を適用し、圧力依存部分に関しては中心差分によって計算した値を用いれば良い。また、散逸部分については陽解法若しくは陰解法によって評価する。
【0050】
これらの手続きは、y方向の成分が付け加わったことを除けば、上述した第1の実施形態における一次元の場合と同様である。また、流体方程式系に、重力等の外力が付け加わった場合や、三次元の場合にも本手法は利用できる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、効率的で数値拡散が少なく、状態方程式の関数形によらない汎用的な数値計算手法として利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法における通常格子とセントラル格子の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法における計算手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法における計算手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る流体の数値計算方法による計算結果と中心差分スキームによる計算結果の比較例を示す図である。
【図6】図5の一部を拡大した図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る流体の数値計算方法における二次元の通常格子と中心差分格子の概念図である。
【図8】本実施形態に係る圧縮性流体の数値計算方法を実行する計算機(流体の数値計算装置)の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
110 フロッピー(登録商標)ディスク
112 ディスプレイ
114 マウス
115 キーボード
116 CPU
117 ハードディスク
118 メモリ
Claims (6)
- 保存形式の方程式を計算する際に、流束をその物理的性質に応じて分離し、風上差分と中心差分型の蛙跳び差分法を併用して時間発展を行うことを特徴とする流体の数値計算方法。
- 保存形式の流体方程式を計算する際に、流束を移流部分と圧力依存部分とに分離し、前記移流部分に関しては流速に基づく風上差分を用いて時間発展を行い、前記圧力依存部分については中心差分型の蛙跳び差分法を用いて時間発展を行うことを特徴とする流体の数値計算方法。
- 保存形式の方程式を計算する際に、流束をその物理的性質に応じて分離し、風上差分と中心差分型の蛙跳び差分法を併用して時間発展を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする流体の数値計算装置。
- 保存形式の流体方程式を計算する際に、流束を移流部分と圧力依存部分とに分離し、前記移流部分に関しては流速に基づく風上差分を用いて時間発展を行い、前記圧力依存部分については中心差分型の蛙跳び差分法を用いて時間発展を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする流体の数値計算装置。
- 請求項1または2記載の流体の数値計算方法をコンピュータにて実行するためのプログラムコードから成ることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な制御プログラム。
- 請求項5記載の制御プログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。
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