JP2013194890A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パッドピンによりブレーキパッドを保持する構成とした場合であっても、抜け止めピンを用いる事無く信頼性の高い抜け止め構造を実現することのできるディスクブレーキ装置を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するためのディスクブレーキ装置は、フローティング型のディスクブレーキ装置10であって、ロータ100のアウタ側に配置される爪部26のボス28に配置されてアウタ側ブレーキパッド42を保持するパッドピン66と、パッドピン66により保持されたアウタ側ブレーキパッド42のロータ配置側への移動を抑制する摺動規制部58を備えたキャリパスプリング52と、を備え、パッドピン66は、アウタ側ブレーキパッド42と係合する係合部66bと、ボス28に保持される嵌入部66a、および係合部66bと嵌入部66aとの間でアウタ側ブレーキパッド42の動きを規制する段差部66cとを有することを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、ディスクブレーキ装置に係り、特にパッドピンを用いてブレーキパッドの保持を図るフローティング型のディスクブレーキ装置に関する。
ディスクブレーキ装置は従来より、ロータとサポート、キャリパ、およびブレーキパッドを基本として構成されている。このような基本構成を有するディスクブレーキ装置には、特許文献1、特許文献2に開示されているように、ブレーキパッドをパッドピンを介してキャリパに保持する構成とするものがある。
このような構成を採用しているディスクブレーキ装置では、キャリパに対するパッドピンの抜け止めを、抜け止めピンを介して成すようにすることが一般的である。
特開2004−132449号公報 特開2006−308001号公報
確かに、抜け止めピンを用いたパッドピンの抜け止めは、従来より採用されてきた方式であり、信頼性が高い。しかし、抜け止めピンを採用するためには、パッドピンの先端近傍に、パッドピンの長手方向中心軸と直交する方向の小径孔を形成する必要がある。また、パッドピンの抜け止めのためのみに抜け止めピンを採用することによる部品点数の増加、組付けのための工数増加や、製造のためのコストアップなどの懸念が持たれている。
そこで本発明では、パッドピンによりブレーキパッドを保持する構成とした場合であっても、別部品となる抜け止めピンを用いる事無く信頼性の高い抜け止め構造を実現することのできるディスクブレーキ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るディスクブレーキ装置は、フローティング型のディスクブレーキ装置であって、ロータのアウタ側に配置されるキャリパ構成要素に配置されてアウタ側ブレーキパッドを保持するパッドピンと、前記パッドピンにより保持された前記アウタ側ブレーキパッドのロータ配置側への移動を抑制する摺動規制部を備えたキャリパスプリングと、を備え、前記パッドピンは、前記アウタ側ブレーキパッドと係合する係合部と、前記キャリパ構成要素に保持される嵌入部、および前記係合部と前記嵌入部との間で前記アウタ側ブレーキパッドの動きを規制する段差部とを有することを特徴とする。
上記のような特徴を有するディスクブレーキ装置において前記パッドピンは、前記係合部を構成する小径部と、前記嵌入部を構成する大径部とから成り、前記小径部と前記大径部との間に段差部が構成されるようにすると良い。
パッドピンの構成をこのような構成とすることによれば、簡易な構成で、ブレーキパッドを利用した抜け止めを図ることができる。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキ装置において前記パッドピンは、前記係合部と前記嵌入部との間に設けられた鍔により、前記段差部を構成することもできる。
パッドピンの構成をこのような構成とすることによれば、嵌入部が、キャリパ構成要素側に、必要以上に深く嵌め入れられてしまう虞が無い。また、簡易な構成で、ブレーキパッドを利用した抜け止めを図ることができる。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキ装置において前記パッドピンは、前記キャリパ構成要素における前記ロータ対向面側に開口部を有する袋穴に前記嵌入部を配置する構成とすることができる。
嵌入部を配置する要素が袋穴であれば、段差部は、少なくともアウタ側ブレーキパッドとの間に設けられていれば、パッドピンの脱落を防止することができる。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキ装置において鍔を有する前記パッドピンは、前記キャリパ構成要素に設けられた貫通孔に、前記嵌入部を配置する構成とすることもできる。
パッドピンに鍔を設ける構成としている場合には、段差部は、アウタ側ブレーキパッドと鍔との間、およびキャリパ構成要素と鍔との間の双方に設けられることとなり、この段差部によって引掛りを持つ。よって、嵌入部を配置する箇所が貫通孔であっても、パッドピンが貫通孔を通り抜けて脱落する虞が無い。
さらに、上記のような特徴を有するディスクブレーキ装置において前記キャリパスプリングは、前記キャリパの少なくとも一部に係合する係合部と、前記キャリパの内周面に押圧力を付与しつつ当接する当接部と、を有するようにすると良い。
キャリパスプリングの構成をこのようなものとすることによれば、キャリパスプリングを安定的に保持することができる。
上記のような特徴を有するディスクブレーキ装置によれば、パッドピンによりブレーキパッドを保持する構成とした場合であっても、別部品となる抜け止めピンを用いる事無く信頼性の高い抜け止め構造を実現することができる。
実施形態に係るディスクブレーキ装置の正面図である。 実施形態に係るディスクブレーキ装置の背面図である。 実施形態に係るディスクブレーキ装置の左側面図である。 実施形態に係るディスクブレーキ装置の平面図である。 図1におけるA−A断面を示す図である。 図1におけるB−B断面を示す図である。 図3におけるC−C断面を示す図である。 図3におけるD−D断面を示す図である。 実施形態に係るパッドピンの構成を示す斜視図である。 実施形態に係るディスクブレーキ装置の背面、左側面、平面を示す斜視図である。 実施形態に係るディスクブレーキ装置の背面、左側面、底面を示す斜視図である。 キャリパスプリングの構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)の左側面図、(C)は斜視図を示す。 ボスに設ける保持部を貫通孔とした場合の例を示す図である。 保持部を貫通孔とした場合に使用するパッドピンの構成の一例を示す斜視図である。 適用可能なパッドピンの他の構成例を示す図である。
以下、本発明のディスクブレーキ装置に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1〜図11を参照して、本実施形態に係るディスクブレーキ装置について説明する。なお、本実施形態に係るディスクブレーキ装置は、いわゆるフローティング型のディスクブレーキ装置である。また、図面において、図1は、実施形態に係るディスクブレーキ装置の正面図である。図2は、実施形態に係るディスクブレーキ装置の背面図である。図3は、実施形態に係るディスクブレーキ装置の左側面図である。図4は、実施形態に係るディスクブレーキ装置の平面図である。図5は、図1におけるA−A断面を示す図であり、図6は、同図B−B断面を示す図である。また、図7は、図3におけるC−C断面を示す図であり、図8は、同図D−D断面を示す図である。図9は、実施形態に係るパッドピンの構成を示す斜視図である。また、図10は、実施形態に係るディスクブレーキ装置の背面、左側面、平面を示す斜視図であり、図11は、ディスクブレーキ装置の背面、左側面、底面を示す斜視図である。
本実施形態に係るディスクブレーキ装置10は、ロータ100と、サポート12、キャリパ22、およびブレーキパッド(インナ側ブレーキパッド36、アウタ側ブレーキパッド42)を基本として構成されている。ロータ100は、図示しない車両における車輪(不図示)と共に回転する摩擦板であり、詳細を後述するブレーキパッドにより挟持される。なお、図面においては、ロータ100の外形線の一部のみを2点鎖線で示している。
サポート12は、ディスクブレーキ装置10を図示しない車両に固定するための要素である。本実施形態に係るサポート12は、図1に示すように、ロータ100の半径方向内周側に位置するメインフレーム12aと、ロータ100の円周方向(回出側)に位置するトルク受け部12bから成るほぼL型を成し、従来のC型形状をしているサポートを採用する場合に比べ、ディスクブレーキ装置10の小型化、軽量化を図ることができる。
サポート12には図7に示すように、固定孔14と、ガイドピン配置孔16、ロックピン配置孔18、および摺動溝20が設けられている。固定孔14は、サポート12を車両に固定するための貫通孔である。固定孔14は、少なくとも2個設けられる。少なくとも2点で固定することにより、車両固定部に対してサポート12が回転してしまうことを防ぐことができるからである。
ガイドピン配置孔16は、詳細を後述するキャリパ22を摺動させるためのガイドピン62を配置するための貫通孔である。実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、ガイドピン62によりアウタ側ブレーキパッド42の制動トルクを受けるため、後述するロックピン64よりも大径なピンが配置される。よって、ガイドピン配置孔16も、ロックピン配置孔18よりも大径となる。このような形態のガイドピン配置孔16は、トルク受け部12bに設けられる。
ロックピン配置孔18は、ガイドピン62と同様に、キャリパ22を摺動させるためのロックピン64を配置するための貫通孔である。ロックピン64は、ガイドピン62と異なり、直接トルクを受けることが無いため、ガイドピン62よりも小径とされている。このため、ロックピン配置孔18も、ガイドピン配置孔16よりも小径となる。このような形態のロックピン配置孔18は、メインフレーム12aに設けられる。
摺動溝20は、詳細を後述するインナ側ブレーキパッド36を摺動させるための溝であり、ロータ軸方向に沿って形成される。摺動溝20には、インナ側ブレーキパッド36のプレッシャプレート38に形成された耳部38aが嵌入されることで、ブレーキパッドの支持と、ロータ軸方向への摺動が可能となる。摺動溝20は、トルク受け部12bと、メインフレーム12aの双方に、少なくとも1つずつ設けられる。インナ側ブレーキパッド36をサポート12に対して安定支持するためである。なお、摺動溝20には、摺動抵抗を低減するためのパッドクリップが設けられている。
キャリパ22は、詳細を後述するブレーキパッドに対して押圧力を付与する稼動部である。実施形態に係るキャリパ22は、キャリパ本体24と爪部26、ブリッジ部30、およびアーム部32,34を基本として構成されている。キャリパ本体24は、図5に示すように、シリンダ室24aとピストン24bを備え、ロータ100のインナ側に配置される。シリンダ室24aは、ピストン24bを押し出すための作動油が供給される部位である。ピストン24bは、シリンダ室24aに収容されており、シリンダ室24aから押し出されることで、インナ側ブレーキパッド36を押圧する。ピストン24bは、シリンダ室24aに作動油が供給されることで、シリンダ室24aから押し出される。このため、シリンダ室24aには、図示しない作動油供給口が設けられている。
爪部26は、キャリパ本体24に対向して設けられる反力受けであり、ロータ100のアウタ側に配置されるキャリパ構成要素である。詳細を後述するアウタ側ブレーキパッド42におけるプレッシャプレート44を、ピストン24bの作用によって生ずる反力により押圧する。また、実施形態に係るキャリパ22には、爪部26のインナ側に、パッドピン66が突出するように配置されている。このため、爪部26におけるロータ回入側にはボス28が設けられ、当該ボス28に、パッドピン66を配置するための保持部28aが形成されている。図6に示す例では、保持部28aは、爪部26のインナ側に開口を有する袋穴としている。
実施形態に係るパッドピン66は、図9に示すように、大径な嵌入部66aと小径な係合部66bから成り、嵌入部66aと係合部66bとの間には、段差部66cが設けられている。パッドピン66を構成する嵌入部66aは、爪部26のボス28に設けられた保持部28aに嵌入される要素である。一方、係合部66bは、詳細を後述するアウタ側ブレーキパッドにおける係合部48(図8参照)に係合する要素である。段差部66cは、嵌入部66aがアウタ側ブレーキパッド42における係合部48を挿通しない程度以上の高さを有する。このため、段差部66cは、アウタ側ブレーキパッドが嵌入部66a側へ移動することを規制することとなる。
また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、パッドピン66を片持ち支持する構成とし、かつパッドピン66がロータ100を跨ぐことの無い構成としている。このような構成とすることにより、パッドピン66がロータ100と干渉する虞が無く、設計自由度が向上すると共に、キャリパ22の小型化に適することとなる。
ブリッジ部30は、上述したキャリパ本体24と爪部26とを連結する部位である。ロータ100のインナ側に配置されるキャリパ本体24と、ロータ100のアウタ側に配置される爪部26とを連結するブリッジ部30は、ロータ100の半径方向外周側を跨ぐようにして配置される。
アーム部32,34は、キャリパ22とサポート12を連結するための要素である。アーム部32,34は、キャリパ本体24を起点として、ロータ100の半径方向内周側と、ロータ100の円周方向(回出側)の双方へ向けて延設されている。ロータ100の半径方向内周側に延設されたアーム部34の先端には、サポート12に固定されたロックピン64を収容、摺動させるための袋穴が形成された摺動部34aが設けられている。一方、ロータ100の円周方向に延設されたアーム部32の先端には、サポート12に固定されたガイドピン62を収容、摺動させるための袋穴が形成された摺動部32aが設けられている。なお、サポート12とアーム部34,32との間には、それぞれロックピン64とガイドピン62の摺動部を覆うブーツ34b,32bが設けられている。
ブレーキパッドは、ロータ100の摺動面を挟持して摩擦力を生じさせる摩擦部材である。ブレーキパッドには、ロータ100のインナ側に配置されるインナ側ブレーキパッド36と、ロータ100のアウタ側に配置されるアウタ側ブレーキパッド42がある。
インナ側ブレーキパッド36は、サポート12により支持されて、ロータ軸方向へ摺動するブレーキパッドである。実施形態に係るインナ側ブレーキパッド36は、プレッシャプレート38と、ライニング40を基本として構成されている。インナ側ブレーキパッド36におけるプレッシャプレート38には、ロータ回出側、すなわちサポート12のトルク受け部12bに対向する辺と、ロータ半径方向内周側、すなわちサポート12のメインフレーム12aに対向する辺に、それぞれ耳部38aと呼ばれる凸部が形成されている。
耳部38aが、サポート12の摺動溝20に嵌入することで、インナ側ブレーキパッド36の支持と摺動が成されることとなる。なお、トルク受け部12b側に配置された耳部38aには、制動時のトルクが印加されることとなる。
アウタ側ブレーキパッド42は、サポート12に固定されたガイドピン62と、キャリパ22に固定されたパッドピン66により支持されて、キャリパ22の移動に共動してロータ軸方向へ移動するブレーキパッドである。実施形態に係るアウタ側ブレーキパッド42も、上述したインナ側ブレーキパッド36と同様に、プレッシャプレート44と、ライニング50を基本として構成されている。インナ側ブレーキパッド36とアウタ側ブレーキパッド42との相違点としては、プレッシャプレート44の形態にある。
実施形態に係るアウタ側ブレーキパッド42は上述したように、ガイドピン62とパッドピン66により支持される。このため、アウタ側ブレーキパッド42を構成するプレッシャプレート44には、ガイドピン62とパッドピン66に対する係合部46,48を形成するための延設部44aが設けられている。2つの係合部46,48のうち、ガイドピン62に対する係合部46は、ガイドピン62を挿通可能な貫通孔として形成されている。一方、パッドピン66に対する係合部48は、平面視で、二股状に形成された凹部とされている。このように、パッドピン66側の係合部48を半円形の凹部とすることで、制動時にパッドピン66に、引きアンカとしての負荷が掛かる虞が無い。
実施形態に係るディスクブレーキ装置10ではキャリパ22に、アウタ側ブレーキパッド42がロータ100の配置方向へ移動することを抑えるためのキャリパスプリング52が設けられている。キャリパスプリング52は図12に示すように、基部54と、挟持部56、当接部60、および摺動規制部58を主体として構成されている。なお、図12において図12(A)はキャリパスプリングの正面構成を示す図であり、(B)は(A)における左側面を示す図であり、(C)は斜視図である。
基部54は、キャリパ22におけるブリッジ部30に沿って配置される板片であり、詳細を後述する挟持部56、当接部60、および摺動規制部58は、それぞれ基部54を基点として延設されている。
挟持部56は、キャリパスプリング52をキャリパ22に固定するための1つの要素である。挟持部56は、基部54におけるロータアウタ側端部に設けられ、折り曲げ形成によりクリップ状に構成された対向する一対の挟持片を有する。これにより、爪部26に形成された薄肉部を挟持することが可能となり、キャリパスプリング52をキャリパ22に固定することができる。
当接部60は、基部54のロータインナ側において、ロータ100の回入側と回出側のそれぞれに向けて、かつロータ100の半径方向外周側へ突出するように延設されるバネ片である。このような配置形態とされる当接部60は、キャリパ22のブリッジ部30に対して、ロータ100の半径方向外周側へ向けた押圧力を付与する。これにより詳細を後述する摺動規制部58が、ロータ100の配置方向へ逃げることを防止することができ、キャリパスプリング52を安定して配置することが可能となる。
摺動規制部58は、アウタ側ブレーキパッド42がロータ100の配置側へ移動することを抑制する役割を担う板片である。本実施形態では、摺動規制部58は、基部54における挟持部56と当接部60の間に、ロータ100の回入側と回出側、かつロータ半径方向内周側へ向けて延設されている。このように延設された摺動規制部58は、アウタ側ブレーキパッド42におけるプレッシャプレート44のロータ100配置側に位置することとなる。アウタ側ブレーキパッド42と摺動規制部58との間には、僅かな隙間があっても良いが、基本的には、摺動規制部58がプレッシャプレート44のロータ配置側側面に当接することが望ましい。摺動規制部58がプレッシャプレート44のロータ配置側側面に当接することで、アウタ側ブレーキパッド42がガイドピン62やパッドピン66を介してロータ軸方向へ摺動することを抑制することができるからである。
このような構成とすることによれば、アウタ側ブレーキパッド42は、組付け状態においては、キャリパスプリング52における摺動規制部58の作用により、ロータ軸方向におけるロータ100の配置側へ移動する虞が無い。また、アウタ側ブレーキパッド42がロータ軸方向へ移動する虞が無いため、パッドピン66の嵌入部66aが保持部28aから抜け出る虞も無い。さらに、アウタ側ブレーキパッド42の係合部48は、パッドピン66の段差部66cに引掛ることとなるため、係合部48を介して嵌入部66aがロータ配置側へ移動する虞も無い。
よって、パッドピンに、抜け止めピンや、抜け止めピンを組み付けるための貫通孔の形成などを行う事無く、パッドピン66の抜け止めを図ることができる。このようなパッドピン66の抜け止めは、ブレーキパッドを構成する各要素の係合状態の組み合わせにより、各要素の動きを規制するものであり、信頼性も高い。また、抜け止めピンの配置や、抜け止めピンを組み付けるための貫通孔の形成を行う必要がないため、ディスクブレーキ装置を構成するための部品点数を減らすことができると共に、製造、組付けに要する工程数も減らすことができ、生産コストを抑制することも可能となる。
このような構成のディスクブレーキ装置10では、キャリパ本体24におけるシリンダ室24aに作動油が供給されると、シリンダ室24aに収容されたピストン24bがロータ100の配置方向へ突出する。ピストン24bが突出すると、サポート12に保持されたインナ側ブレーキパッド36は、プレッシャプレート38をピストン24bにより押圧されて、ロータ100の配置方向へ摺動する。
ピストン24bの押圧によりインナ側ブレーキパッド36のライニング40がロータ100の摺動面に当接すると、その反力を受けたキャリパ本体24が、ロータ100から離間する方向へ摺動する。キャリパ本体24の摺動により、ロータ100を介してキャリパ本体24と対向配置されている爪部26は、ブリッジ部30によりキャリパ本体24と連結されているため、ロータ100側へ近接するように移動する。
爪部26がロータ100側へ移動すると、キャリパスプリング52、ガイドピン62、パッドピン66を介して爪部26に保持されているアウタ側ブレーキパッド42は、そのライニング50をロータ100の摺動面へ当接させることとなる。
このような動作により、インナ側ブレーキパッド36とアウタ側ブレーキパッド42によりロータ100を挟持すると、摩擦力の作用により、インナ側ブレーキパッド36とアウタ側ブレーキパッド42は、ロータ100に供回りする力を受ける。ロータ100の回出方向へ移動しようとするインナ側ブレーキパッド36は、サポート12におけるトルク受け部12bにより、移動を規制され、制動力を生じさせる。一方、アウタ側ブレーキパッド42は、ガイドピン62により移動を規制されることで、制動力を生じさせる。
上記実施形態では、爪部26に形成するボス28に設ける保持部28aは、袋穴である旨記載した。しかしながら、保持部28aの形態としては、図13に示すように貫通孔であっても良い。このような形態とする場合には、パッドピン66が、保持部28aを構成する貫通孔を介して爪部26におけるロータアウタ側へ抜け出ることを防止する必要がある。このため、保持部28aを貫通孔とする場合には、パッドピン66の形態を図14に示すような形態とすることが望ましい。
すなわち、係合部66bと嵌入部66aとの間に鍔を設け、この鍔によって段差部66cを構成するというものである。鍔は、係合部66b、嵌入部66aの双方よりも大径となる。このため、保持部28a(貫通孔)からロータアウタ側へ抜け出ることも、アウタ側ブレーキパッド42の係合部48からロータ配置側へ抜け出ることも無くなる。よって、上述したディスクブレーキ装置10と同様な効果を奏することが可能となる。
なお、上記実施形態では、パッドピン66については、その断面形状は円形であるように記載した。しかしながら、パッドピン66の断面形状は、矩形、五角形、および六角形等の多角形としても良い。
また、上記実施形態では、パッドピン66における段差部66cは、ロータ100の摺動面と平行な面を構成するものであるように図面に記載している。しかしながら、パッドピン66における段差部66cは、図15に示すようなテーパ面であっても良い。その機能に差は無いからである。
10………ディスクブレーキ装置、12………サポート、12a………メインフレーム、12b………トルク受け部、14………固定孔、16………ガイドピン配置孔、18………ロックピン配置孔、20………摺動溝、20a………パッドクリップ、22………キャリパ、24………キャリパ本体、24a………シリンダ室、24b………ピストン、26………爪部、28………ボス、28a………保持部、30………ブリッジ部、32………アーム部、32a………摺動部、32b………ブーツ、34………アーム部、34a………摺動部、34b………ブーツ、36………インナ側ブレーキパッド、38………プレッシャプレート、38a………耳部、40………ライニング、42………アウタ側ブレーキパッド、44………プレッシャプレート、44a………延設部、46………係合部、48………係合部、50………ライニング、52………キャリパスプリング、54………基部、56………挟持部、58………摺動規制部、60………当接部、62………ガイドピン、64………ロックピン、66………パッドピン、66a………嵌入部、66b………係合部、66c………段差部、100………ロータ。

Claims (6)

  1. フローティング型のディスクブレーキ装置であって、
    ロータのアウタ側に配置されるキャリパ構成要素に配置されてアウタ側ブレーキパッドを保持するパッドピンと、
    前記パッドピンにより保持された前記アウタ側ブレーキパッドのロータ配置側への移動を抑制する摺動規制部を備えたキャリパスプリングと、を備え、
    前記パッドピンは、前記アウタ側ブレーキパッドと係合する係合部と、前記キャリパ構成要素に保持される嵌入部、および前記係合部と前記嵌入部との間で前記アウタ側ブレーキパッドの動きを規制する段差部とを有することを特徴とするディスクブレーキ装置。
  2. 前記パッドピンは、前記係合部を構成する小径部と、前記嵌入部を構成する大径部とから成り、前記小径部と前記大径部との間に段差部が構成されることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
  3. 前記パッドピンは、前記係合部と前記嵌入部との間に設けられた鍔により、前記段差部を構成することを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
  4. 前記パッドピンは、前記キャリパ構成要素における前記ロータ対向面側に開口部を有する袋穴に前記嵌入部を配置する構成としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置。
  5. 前記パッドピンは、前記キャリパ構成要素に設けられた貫通孔に、前記嵌入部を配置する構成としたことを特徴とする請求項3に記載のディスクブレーキ装置。
  6. 前記キャリパスプリングは、前記キャリパの少なくとも一部に係合する係合部と、
    前記キャリパの内周面に押圧力を付与しつつ当接する当接部と、を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置。
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US10913433B2 (en) 2017-12-08 2021-02-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Disc brake
CN112392877A (zh) * 2019-08-16 2021-02-23 英国美瑞特重型车制动系统有限公司 用于盘式制动器的引导组件

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