JP2013194201A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂等の透明性を保持しながら、色調に優れ、かつ製品の大型化や薄肉化に対応すべく高い流動性及び高い難燃性を有する、環境負荷の小さい熱可塑性樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体を提供する。
【解決手段】(A)熱可塑性樹脂99.9〜70質量部及び(B)下記一般式(II)で表されるメトキシフェノール類0.1〜30質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物、及びその成形してなる成形体。
[式中、Raは水素原子、メトキシ基、アルキル基、ヒドロキシル基、−Z1−OHで表される基又は−Z2−CHOで表される基である。Rbは水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、−Z3−OHで表される基又は−Z4−CHOである。]
【選択図】なし
【解決手段】(A)熱可塑性樹脂99.9〜70質量部及び(B)下記一般式(II)で表されるメトキシフェノール類0.1〜30質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物、及びその成形してなる成形体。
[式中、Raは水素原子、メトキシ基、アルキル基、ヒドロキシル基、−Z1−OHで表される基又は−Z2−CHOで表される基である。Rbは水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、−Z3−OHで表される基又は−Z4−CHOである。]
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体に関する。さらに詳しくは、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂等の透明性を保持しながら、色調に優れ、高い流動性及び高い難燃性を有する環境負荷の小さい熱可塑性樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体に関する。
熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート樹脂、(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリアリレート樹脂等は、耐熱性及び耐衝撃性等の機械特性に優れることから、エンジニアリングプラスチックとして、OA機器分野、電気・電子機器分野、自動車分野などの種々の分野で幅広く使用されている。これらの利用分野の中には、OA機器分野及び電気・電子機器分野を中心として、難燃性を要求される分野がある。また、近年の製品の大型化や薄肉化に伴い、高い難燃性を有すると共に、流動性が高くて成形が容易な材料が必要となってきている。さらに、近年の環境意識の高まりにより、バイオマス由来の成分の使用が望まれるようになっている。
これまで、熱可塑性樹脂を難燃化するためにハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を配合する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。一方で、バイオマス由来の成分を使用した発明としては、ポリカーボネート樹脂とポリ乳酸とを含有する耐衝撃性等に優れたポリカーボネート樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)等がある。
これまで、熱可塑性樹脂を難燃化するためにハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を配合する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。一方で、バイオマス由来の成分を使用した発明としては、ポリカーボネート樹脂とポリ乳酸とを含有する耐衝撃性等に優れたポリカーボネート樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)等がある。
しかし、特許文献1に記載のようなハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を必須とするポリカーボネート樹脂組成物は、耐侯性や耐湿熱性、さらに色調などに劣る場合がある。さらに、ハロゲン系難燃剤を用いる場合には環境負荷の問題があり、またリン系難燃剤を用いる場合には、使用量が多いと耐熱性が低下したり、ポリカーボネート樹脂の加水分解を引き起こすなどの問題があるため、これらの配合量を低減し得るポリカーボネート樹脂組成物の開発が求められている。
また、特許文献2に記載のポリカーボネート樹脂組成物では、流動性は高いが、機能を付与させることが困難であり、かつポリカーボネート樹脂の持つ透明性や色調を低下させてしまうという問題がある。さらに、難燃性を付与するには、多くの石油系難燃剤を添加する必要があり、機械的特性やバイオマス度の低下が問題となる。
そこで、本発明の課題は、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂等の透明性を保持しながら、色調に優れ、かつ製品の大型化や薄肉化に対応すべく高い流動性及び高い難燃性を有する、環境負荷の小さい熱可塑性樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体を提供することにある。
また、特許文献2に記載のポリカーボネート樹脂組成物では、流動性は高いが、機能を付与させることが困難であり、かつポリカーボネート樹脂の持つ透明性や色調を低下させてしまうという問題がある。さらに、難燃性を付与するには、多くの石油系難燃剤を添加する必要があり、機械的特性やバイオマス度の低下が問題となる。
そこで、本発明の課題は、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂等の透明性を保持しながら、色調に優れ、かつ製品の大型化や薄肉化に対応すべく高い流動性及び高い難燃性を有する、環境負荷の小さい熱可塑性樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、(A)熱可塑性樹脂に、(B)メトキシフェノール類を特定の割合で配合することにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[9]を提供するものである。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[9]を提供するものである。
[1](A)熱可塑性樹脂99.9〜70質量部及び(B)メトキシフェノール類0.1〜30質量部(但し、(A)成分と(B)成分の合計が100質量部である。)を含有する熱可塑性樹脂組成物。
[2](A)成分と(B)成分の含有割合が、(A)成分99.9〜75質量部に対して(B)成分0.1〜25質量部(但し、(A)成分と(B)成分の合計が100質量部である。)である、上記[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3](A)成分と(B)成分の含有割合が、(A)成分97〜85質量部に対して(B)成分3〜15質量部である、上記[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)リン系化合物0.01〜30質量部を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記(A)成分が、ポリカーボネート樹脂、(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記(B)成分が下記一般式(II)で表される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[式中、Raは、水素原子、メトキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシル基、−Z1−OH(Z1は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)で表される基又は−Z2−CHO(Z2は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)で表される基である。Rbは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシル基、−Z3−OH(Z3は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)で表される基又は−Z4−CHO(Z4は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)である。]
[7]前記(B)成分が、グアヤコール及びシリンゴールから選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]前記(C)成分が、リン酸エステル及び亜リン酸エステルから選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
[2](A)成分と(B)成分の含有割合が、(A)成分99.9〜75質量部に対して(B)成分0.1〜25質量部(但し、(A)成分と(B)成分の合計が100質量部である。)である、上記[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3](A)成分と(B)成分の含有割合が、(A)成分97〜85質量部に対して(B)成分3〜15質量部である、上記[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)リン系化合物0.01〜30質量部を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記(A)成分が、ポリカーボネート樹脂、(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記(B)成分が下記一般式(II)で表される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]前記(B)成分が、グアヤコール及びシリンゴールから選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]前記(C)成分が、リン酸エステル及び亜リン酸エステルから選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂等の透明性を保持しながら、色調に優れ、高い流動性及び高い難燃性を有する環境負荷の小さい熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを成形してなる成形体を提供することができる。該成形体は、透明性及び色調に優れ、高い難燃性を有し、且つ環境負荷が小さい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物であれば、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤等の難燃剤の配合量を低減する又はそれらを配合しなくても、高い難燃性を有する。また、リン系難燃剤等の難燃剤を配合した場合には、難燃性向上に対する相乗効果が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物であれば、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤等の難燃剤の配合量を低減する又はそれらを配合しなくても、高い難燃性を有する。また、リン系難燃剤等の難燃剤を配合した場合には、難燃性向上に対する相乗効果が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂99.9〜70質量部及び(B)バニリン及びバニリン誘導体から選択される少なくとも一種0.1〜30質量部(但し、(A)成分と(B)成分の合計が100質量部である。)を含有する。
以下、(A)成分及び(B)成分、並びに本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有し得るその他の成分について説明する。
以下、(A)成分及び(B)成分、並びに本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有し得るその他の成分について説明する。
[(A)熱可塑性樹脂]
(A)成分の熱可塑性樹脂としては、特に制限がなく種々の熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐熱性及び耐衝撃性等の機械特性の観点から、ポリカーボネート樹脂、(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
(A)成分の熱可塑性樹脂としては、特に制限がなく種々の熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐熱性及び耐衝撃性等の機械特性の観点から、ポリカーボネート樹脂、(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
{ポリカーボネート樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂であっても脂肪族ポリカーボネート樹脂であってもよいが、耐衝撃性及び耐熱性の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。また、後述する芳香族二価フェノールと脂肪族フェノールとを併用することによって製造される、脂肪族−芳香族ポリカーボネート樹脂を用いてもよい。
(芳香族ポリカーボネート樹脂)
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、通常、芳香族二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、他の熱可塑性樹脂に比べて、耐熱性、難燃性及び耐衝撃性が良好であるため樹脂組成物の主成分とすることができる。
(A)熱可塑性樹脂としてのポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂であっても脂肪族ポリカーボネート樹脂であってもよいが、耐衝撃性及び耐熱性の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。また、後述する芳香族二価フェノールと脂肪族フェノールとを併用することによって製造される、脂肪族−芳香族ポリカーボネート樹脂を用いてもよい。
(芳香族ポリカーボネート樹脂)
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、通常、芳香族二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、他の熱可塑性樹脂に比べて、耐熱性、難燃性及び耐衝撃性が良好であるため樹脂組成物の主成分とすることができる。
芳香族二価フェノールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニル;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔いわゆる、ビスフェノールA〕等のビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等を挙げることができる。なかでも、ビスフェノールAが好ましい。芳香族二価フェノールとしては、一種を用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。さらに、多官能性芳香族化合物を芳香族二価フェノールと併用することによって得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂を(A)成分として用いてもよい。
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、ハロホーメート、炭酸エステル等が挙げられる。より具体的には、カルボニルハライドとしてはホスゲンが挙げられ、ハロホーメートとしては、芳香族二価フェノールのジハロホーメートが挙げられ、炭酸エステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。なかでも、ホスゲンが好ましい。
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、ハロホーメート、炭酸エステル等が挙げられる。より具体的には、カルボニルハライドとしてはホスゲンが挙げられ、ハロホーメートとしては、芳香族二価フェノールのジハロホーメートが挙げられ、炭酸エステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。なかでも、ホスゲンが好ましい。
(脂肪族ポリカーボネート樹脂)
脂肪族ポリカーボネート樹脂としては、通常、脂肪族二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される脂肪族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。
製造方法としては、前記芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法において、前記した芳香族二価フェノールの代わりに脂肪族二価フェノールを用いればよい。
脂肪族二価フェノールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリカーボネート樹脂としては、通常、脂肪族二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される脂肪族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。
製造方法としては、前記芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法において、前記した芳香族二価フェノールの代わりに脂肪族二価フェノールを用いればよい。
脂肪族二価フェノールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。
なお、本発明で用いるポリカーボネート樹脂の製造においては、必要に応じて末端停止剤を用いることができる。該末端停止剤としては、例えば、下記一般式(I)で表される一価フェノール化合物が挙げられる。
一般式(I)で表される一価フェノール化合物の具体例としては、フェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール及びp−tert−アミルフェノール等を挙げることができる。これらの一価フェノールは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。なお、一般式(I)で表される一価フェノール化合物は、aが1である場合、パラ置換体であることが好ましい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよい。ポリカーボネート樹脂に分岐構造を導入するためには、ポリカーボネート樹脂の製造の際に分岐剤を用いればよい。該分岐剤としては、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドキシフェニル)エタン、α,α’,α’’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4’’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等の官能基を三個以上有する化合物等を用いることができる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、樹脂組成物の物性面から、好ましくは10,000〜40,000、より好ましくは13,000〜30,000、さらに好ましくは15,000〜25,000である。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、樹脂組成物の物性面から、好ましくは10,000〜40,000、より好ましくは13,000〜30,000、さらに好ましくは15,000〜25,000である。
また、本発明において、ポリカーボネート樹脂として、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(好ましくは芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体)を用いるか、又はポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(好ましくは芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体)を含むものを用いることにより、難燃性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。該共重合体を構成するポリオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサンであることが難燃性の観点からより好ましい。
{(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としての「(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂」は、変性されていないポリフェニレンエーテル樹脂であってもよいし、変性ポリフェニレンエーテル樹脂であってもよいことを示す。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、芳香族ポリエーテル構造を有する重合体であり、好ましくは、下記式(A)
(式中、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を表す。)
で表される構造単位を主鎖に持つ重合体であって、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
R11としては、メチル基、エチル基が好ましい。R12およびR13が、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基である場合、メチル基、エチル基が好ましい。R14は水素原子が好ましい。
(A)熱可塑性樹脂としての「(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂」は、変性されていないポリフェニレンエーテル樹脂であってもよいし、変性ポリフェニレンエーテル樹脂であってもよいことを示す。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、芳香族ポリエーテル構造を有する重合体であり、好ましくは、下記式(A)
で表される構造単位を主鎖に持つ重合体であって、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
R11としては、メチル基、エチル基が好ましい。R12およびR13が、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基である場合、メチル基、エチル基が好ましい。R14は水素原子が好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂としては、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマー;2,6−ジアルキルフェノールと2,3,6−トリアルキルフェノールとから誘導されるコポリマーが挙げられる。
これらの中でも、2,6−ジメチルフェノールから誘導されるホモポリマーであるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルや、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとから誘導されるコポリマーが好ましい。
これらの中でも、2,6−ジメチルフェノールから誘導されるホモポリマーであるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルや、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとから誘導されるコポリマーが好ましい。
なお、ポリフェニレンエーテル樹脂としては、上述したポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸等やこれらの酸無水物、エステル、アミド、イミド等、さらにはアクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。)や、スチレン又はその誘導体とを、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態にて、80〜350℃の温度下で反応させることで得られる、公知の変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いることもでき、また変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いることが好ましい。さらには上述したポリフェニレンエーテル樹脂とこれらの変性ポリフェニレンエーテル樹脂の任意の割合の混合物を用いることもできる。
変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば日本GEプラスチックス株式会社製の「ノリル(登録商標)」シリーズ、旭化成ケミカルズ株式会社製の「ザイロン(登録商標)」シリーズなどの市販品を使用することができる。
変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば日本GEプラスチックス株式会社製の「ノリル(登録商標)」シリーズ、旭化成ケミカルズ株式会社製の「ザイロン(登録商標)」シリーズなどの市販品を使用することができる。
{ポリアリレート樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸化合物又はその誘導体と、ビスフェノール化合物又はその誘導体との重縮合体である。該芳香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。また、ビスフェノール化合物としては、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸、1,1−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジクロロジフェニルエーテル等が挙げられる。こられの中でも、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
ポリアリレート樹脂の固有粘度としては、通常、好ましくは0.4〜2dl/g、より好ましくは0.4〜1dl/gである。
(A)熱可塑性樹脂としてのポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸化合物又はその誘導体と、ビスフェノール化合物又はその誘導体との重縮合体である。該芳香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。また、ビスフェノール化合物としては、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸、1,1−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジクロロジフェニルエーテル等が挙げられる。こられの中でも、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
ポリアリレート樹脂の固有粘度としては、通常、好ましくは0.4〜2dl/g、より好ましくは0.4〜1dl/gである。
{ポリエステル樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのポリエステル樹脂(ポリアリレート樹脂を除く。)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸と1,3−ブロパンジオール或いは1,4−ブロパンジオールとの共重合体、テレフタル酸とイソフタル酸との共重合体、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を含む共重合体等が挙げられる。これらポリエステル樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。特に芳香族ポリエステルが好ましい。
(A)熱可塑性樹脂としてのポリエステル樹脂(ポリアリレート樹脂を除く。)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸と1,3−ブロパンジオール或いは1,4−ブロパンジオールとの共重合体、テレフタル酸とイソフタル酸との共重合体、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を含む共重合体等が挙げられる。これらポリエステル樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。特に芳香族ポリエステルが好ましい。
{スチレン系樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのスチレン系樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−tert−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体[例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SBS)、スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレントリブロック共重合体(SEBS)、ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)等]等が挙げられる。スチレン系樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
(A)熱可塑性樹脂としてのスチレン系樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−tert−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体[例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SBS)、スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレントリブロック共重合体(SEBS)、ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)等]等が挙げられる。スチレン系樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
{ポリアミド樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのポリアミド樹脂は、例えば、ラクタムの開環重合体、ジアミンと二塩基酸との重縮合体、ω−アミノ酸の重縮合体等が挙げられる。ポリアミド樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
{ポリオレフィン樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのポリオレフィン樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体及びこれらの共重合体等が挙げられ、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。これらポリオレフィン樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
{ポリイミド樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを原料として得られる通常のポリイミド樹脂を用いることができる。具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合してポリアミド酸を形成し、ついで脱水・環化反応することによって得られるポリイミド樹脂を用いることができる。
(A)熱可塑性樹脂としてのポリアミド樹脂は、例えば、ラクタムの開環重合体、ジアミンと二塩基酸との重縮合体、ω−アミノ酸の重縮合体等が挙げられる。ポリアミド樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
{ポリオレフィン樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのポリオレフィン樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体及びこれらの共重合体等が挙げられ、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。これらポリオレフィン樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
{ポリイミド樹脂}
(A)熱可塑性樹脂としてのポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを原料として得られる通常のポリイミド樹脂を用いることができる。具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合してポリアミド酸を形成し、ついで脱水・環化反応することによって得られるポリイミド樹脂を用いることができる。
[(B)メトキシフェノール類]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(B)成分として、メトキシフェノール類を含有する。「メトキシフェノール類」とは、少なくともメトキシ基が1つ以上置換しているフェノールのことである。メトキシ基の置換位置は、フェノールのヒドロキシル基に対してオルト位であることが好ましい。
(B)成分によって、ポリカーボネート樹脂の透明性が保持されたまま、ポリカーボネート樹脂組成物の色調、流動性及び難燃性が向上する。(B)成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
メトキシフェノール類としては、透明性、色調、流動性、難燃性及び環境負荷低減の観点から、下記一般式(II)で表されるものが好ましい。
[式中、Raは、水素原子、メトキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシル基、−Z1−OH(Z1は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)で表される基又は−Z2−CHO(Z2は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)で表される基である。Rbは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシル基、−Z3−OH(Z3は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)で表される基又は−Z4−CHO(Z4は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)である。]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(B)成分として、メトキシフェノール類を含有する。「メトキシフェノール類」とは、少なくともメトキシ基が1つ以上置換しているフェノールのことである。メトキシ基の置換位置は、フェノールのヒドロキシル基に対してオルト位であることが好ましい。
(B)成分によって、ポリカーボネート樹脂の透明性が保持されたまま、ポリカーボネート樹脂組成物の色調、流動性及び難燃性が向上する。(B)成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
メトキシフェノール類としては、透明性、色調、流動性、難燃性及び環境負荷低減の観点から、下記一般式(II)で表されるものが好ましい。
前記式(II)中、Ra及びRbが表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
Ra及びRbが表す−Z1−OH、−Z2−CHO、−Z3−OH、−Z4−CHOの中のZ1〜Z4、つまり炭素数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
以上のなかでも、Raとしては、水素原子、メトキシ基が好ましい。また、Rbとしては、水素原子が好ましい。より具体的には、メトキシフェノール類としては、グアヤコール(Ra及びRbが共に水素原子。別名:o−メトキシフェノール、CAS:90-05-1)、シリンゴール(Raがメトキシ基、Rbが水素原子。別名:2,6−ジメトキシフェノール、CAS:91-10-1)が好ましい。なお、メトキシフェノール類の製造方法の関係上、一部、メトキシ基がヒドロキシル基に置換された化合物が混入していることがあるが、そのような化合物が混入したメトキシフェノール類を用いることも本発明に含まれる。
Ra及びRbが表す−Z1−OH、−Z2−CHO、−Z3−OH、−Z4−CHOの中のZ1〜Z4、つまり炭素数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
以上のなかでも、Raとしては、水素原子、メトキシ基が好ましい。また、Rbとしては、水素原子が好ましい。より具体的には、メトキシフェノール類としては、グアヤコール(Ra及びRbが共に水素原子。別名:o−メトキシフェノール、CAS:90-05-1)、シリンゴール(Raがメトキシ基、Rbが水素原子。別名:2,6−ジメトキシフェノール、CAS:91-10-1)が好ましい。なお、メトキシフェノール類の製造方法の関係上、一部、メトキシ基がヒドロキシル基に置換された化合物が混入していることがあるが、そのような化合物が混入したメトキシフェノール類を用いることも本発明に含まれる。
メトキシフェノール類は、市販品を利用することができる。
また、メトキシフェノール類の製造方法に特に制限は無く、公知の方法、例えばカテコールをメチル化してグアヤコールを製造する方法(特開2006−83117号公報、段落[0011]参照)や、リグニンの熱分解(例えば、300〜700℃程度での熱分解)によって製造することができる。ここで、リグニンを含有する材料としては、パームヤシの樹幹や空房、バガス、稲わら、麦わら、トウモロコシ残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、ヤトロファ種皮や殻、木材チップ等が挙げられる。よって、これらから分離したリグニンを用いて熱分解してもよい。他にも、木材バイオマスからパルプを製造する際に得られるリグニンを用いて熱分解する方法等もあり、特にリグニンの入手方法が制限されるものではない。
また、メトキシフェノール類の製造方法に特に制限は無く、公知の方法、例えばカテコールをメチル化してグアヤコールを製造する方法(特開2006−83117号公報、段落[0011]参照)や、リグニンの熱分解(例えば、300〜700℃程度での熱分解)によって製造することができる。ここで、リグニンを含有する材料としては、パームヤシの樹幹や空房、バガス、稲わら、麦わら、トウモロコシ残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、ヤトロファ種皮や殻、木材チップ等が挙げられる。よって、これらから分離したリグニンを用いて熱分解してもよい。他にも、木材バイオマスからパルプを製造する際に得られるリグニンを用いて熱分解する方法等もあり、特にリグニンの入手方法が制限されるものではない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前述のとおり、(A)成分99.9〜70質量部及び(B)成分0.1〜30質量部(但し、(A)成分と(B)成分の合計が100質量部である。)を含有する。(B)成分の含有量が(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1質量部未満では、本発明の効果が得られない。一方、(B)成分の含有量が(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して30質量部を超えると、耐熱性が低下し、且つガスの発生が多いために成形品に外観不良が発生する。同様の観点から、(A)成分と(B)成分の含有割合は、好ましくは(A)成分99.9〜75質量部に対して(B)成分0.1〜25質量部であり、より好ましくは(A)成分97〜85質量部に対して(B)成分3〜15質量部(但し、いずれも(A)成分と(B)成分の合計が100質量部である。)である。
[(C)リン系化合物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、前記(A)成分と(B)成分の他に、さらに(C)成分としてリン系化合物を含有させてもよい。該リン系化合物を含有させることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性及び難燃性をさらに改善させることができる。特に、難燃性については、(B)成分との組み合わせによって相乗効果が得られるため好ましい。
リン系化合物としては、例えば、難燃性効果に優れる、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン等や、色調改善効果及び透明性改善効果に優れる亜リン酸エステル等が挙げられる。なかでも、リン酸エステル、亜リン酸エステルが好ましい。特に、難燃性効果の観点からはリン酸エステルを、そして色調及び透明性の観点からは、亜リン酸エステルを用いることが好ましい。以上の観点から、リン酸エステルと亜リン酸エステルとを併用することも好ましい。
リン酸エステルとしては、例えば、下記一般式(1)
(ここで、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子又は有機基を表す。Xは、二価以上の有機基を表す。pは、0又は1であり、qは、1以上の整数であり、rは、0以上の整数を表す。)
で示されるものが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、前記(A)成分と(B)成分の他に、さらに(C)成分としてリン系化合物を含有させてもよい。該リン系化合物を含有させることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性及び難燃性をさらに改善させることができる。特に、難燃性については、(B)成分との組み合わせによって相乗効果が得られるため好ましい。
リン系化合物としては、例えば、難燃性効果に優れる、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン等や、色調改善効果及び透明性改善効果に優れる亜リン酸エステル等が挙げられる。なかでも、リン酸エステル、亜リン酸エステルが好ましい。特に、難燃性効果の観点からはリン酸エステルを、そして色調及び透明性の観点からは、亜リン酸エステルを用いることが好ましい。以上の観点から、リン酸エステルと亜リン酸エステルとを併用することも好ましい。
リン酸エステルとしては、例えば、下記一般式(1)
で示されるものが好ましい。
一般式(1)において、R1〜R4が表す有機基としては、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基等が挙げられる。なかでも、置換又は無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
R1〜R4が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、各種プロピル基(各種とは、直鎖状及び分岐鎖状のあらゆる基が含まれることを示し、以下同様である。)、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基等が挙げられる。該アルキル基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等の環形成炭素数6〜12のアリール基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等の炭素数6〜12のアリールチオ基;これらの置換基同士が結合した置換基やこれらの置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子等を介して結合した基等も置換基として挙げられる。
R1〜R4が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、各種プロピル基(各種とは、直鎖状及び分岐鎖状のあらゆる基が含まれることを示し、以下同様である。)、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基等が挙げられる。該アルキル基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等の環形成炭素数6〜12のアリール基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等の炭素数6〜12のアリールチオ基;これらの置換基同士が結合した置換基やこれらの置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子等を介して結合した基等も置換基として挙げられる。
R1〜R4が表すシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等が挙げられる。該シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種オクチル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等の環形成炭素数6〜12のアリール基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等の炭素数6〜12のアリールチオ基;これらの置換基同士が結合した置換基やこれらの置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子等を介して結合した基等も置換基として挙げられる。
また、R1〜R4が表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。なかでも、環形成炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。該アリール基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等の炭素数6〜12のアリールチオ基;これらの置換基同士が結合した置換基やこれらの置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子等を介して結合した基等も置換基として挙げられる。
アリール基が有していてもよい置換基としては、上記のなかでも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アリール基が有していてもよい置換基としては、上記のなかでも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記一般式(1)において、二価以上の有機基Xとしては、二価の有機基が好ましく、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、置換又は無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、多核フェノール類から誘導される二価の有機基等が挙げられる。なかでも、置換又は無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、多核フェノール類から誘導される二価の有機基が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基等が挙げられ、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、ビフェニリレン基がより好ましい。該アリーレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
また、多核フェノール類から誘導される二価の有機基において、多核フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ジフェニルメタン等が挙げられる。該多核フェノール類としては、合計炭素数13〜30の多核フェノール類が好ましく、合計炭素数13〜24の多核フェノール類がより好ましく、合計炭素数13〜18の多核フェノール類がさらに好ましい。該有機基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
多核フェノール類から誘導される二価の有機基について、以下に具体例を示す。
アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基等が挙げられ、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、ビフェニリレン基がより好ましい。該アリーレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
また、多核フェノール類から誘導される二価の有機基において、多核フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ジフェニルメタン等が挙げられる。該多核フェノール類としては、合計炭素数13〜30の多核フェノール類が好ましく、合計炭素数13〜24の多核フェノール類がより好ましく、合計炭素数13〜18の多核フェノール類がさらに好ましい。該有機基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
多核フェノール類から誘導される二価の有機基について、以下に具体例を示す。
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリブチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等も具体的に好ましいものとして例示することができる。
リン酸エステルとしては、ハロゲン非含有リン酸エステルが好ましい。
好適に用いることができる市販のハロゲン非含有リン酸エステル化合物としては、例えば、大八化学工業株式会社製の、TPP〔トリフェニルホスフェート〕、TXP〔トリキシレニルホスフェート〕、PFR〔レゾルシノール(ジフェニルホスフェート)〕、PX200〔1,3−フェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート〕、PX201〔1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート〕、PX202〔4,4'−ビフェニリレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート〕、CR−741〔ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)〕等が挙げられる。
好適に用いることができる市販のハロゲン非含有リン酸エステル化合物としては、例えば、大八化学工業株式会社製の、TPP〔トリフェニルホスフェート〕、TXP〔トリキシレニルホスフェート〕、PFR〔レゾルシノール(ジフェニルホスフェート)〕、PX200〔1,3−フェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート〕、PX201〔1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート〕、PX202〔4,4'−ビフェニリレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート〕、CR−741〔ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)〕等が挙げられる。
また、亜リン酸エステルとしては、下記一般式(2)
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換または無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基又は置換又は無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基を示す。)
で表わされるものが好ましい。
式(2)中、R5及びR6が表すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基としては、R1〜R4の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。これらが有していてもよい置換基も、R1〜R4の場合と同じものが挙げられる。なお、該シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、いずれも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基がより好ましい。
で表わされるものが好ましい。
式(2)中、R5及びR6が表すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基としては、R1〜R4の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。これらが有していてもよい置換基も、R1〜R4の場合と同じものが挙げられる。なお、該シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、いずれも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基がより好ましい。
一般式(2)で表される亜リン酸エステルとしては、下記式(3)〔アデカスタブPEP−36:旭電化工業(株)製〕や、下記式(4)〜(7)で表される亜リン酸エステルが好ましく挙げられる。
なかでも、式(3)で表される亜リン酸エステル〔アデカスタブPEP−36:旭電化工業(株)製〕が好ましい。
さらに、上記以外の亜リン酸エステルとしては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト等が挙げられる。亜リン酸エステルとしては、ペンタエリスリトール構造を含むものやアルキルエステル構造を含むものが好ましい。
さらに、上記以外の亜リン酸エステルとしては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト等が挙げられる。亜リン酸エステルとしては、ペンタエリスリトール構造を含むものやアルキルエステル構造を含むものが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に(C)成分を含有させる場合、その含有量は、流動性及び難燃性の観点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.03〜25質量部、より好ましくは0.5〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜15質量部、特に好ましくは0.5〜10質量部である。
特に、リン酸エステルの場合には、難燃性の観点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。また、亜リン酸エステルの場合には、色調及び透明性の観点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.5質量部、より好ましくは0.03〜0.3質量部である。
特に、リン酸エステルの場合には、難燃性の観点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。また、亜リン酸エステルの場合には、色調及び透明性の観点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.5質量部、より好ましくは0.03〜0.3質量部である。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない程度において、適宜、その他の成分を含有させることができる。
その他の成分としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)等の添加剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物に上記その他の成分を含有させる場合、その含有量に特に制限は無いが、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、通常、それぞれ、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない程度において、適宜、その他の成分を含有させることができる。
その他の成分としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)等の添加剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物に上記その他の成分を含有させる場合、その含有量に特に制限は無いが、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、通常、それぞれ、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
[混練・成形]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分、さらには、必要に応じて(C)成分及び/又は前記その他の成分を所定量混練することにより得られる。混練方法としては、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラー等の通常用いられる機器で予備混合して、次いで、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等を用いて混練する方法が好ましく挙げられる。なお、混練の際の加熱温度は、通常、240〜300℃の範囲で適宜選択される。
こうして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、実施例に記載の方法に従って測定したヘーズは、2.1〜10%程度、より良いものでは2.1〜5.4%程度である。実施例に記載の方法に従って測定したイエローインデックス(YI)は、1.4〜3.2程度である。実施例に記載の方法に従って測定したメルトインデックス(MI)は、7〜55g/10分程度である。また、実施例に記載の方法に従って測定した酸素指数(LOI)は、27〜35%程度である。
上記のようにして得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを用い、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法等を利用して成形することにより、成形体を製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分、さらには、必要に応じて(C)成分及び/又は前記その他の成分を所定量混練することにより得られる。混練方法としては、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラー等の通常用いられる機器で予備混合して、次いで、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等を用いて混練する方法が好ましく挙げられる。なお、混練の際の加熱温度は、通常、240〜300℃の範囲で適宜選択される。
こうして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、実施例に記載の方法に従って測定したヘーズは、2.1〜10%程度、より良いものでは2.1〜5.4%程度である。実施例に記載の方法に従って測定したイエローインデックス(YI)は、1.4〜3.2程度である。実施例に記載の方法に従って測定したメルトインデックス(MI)は、7〜55g/10分程度である。また、実施例に記載の方法に従って測定した酸素指数(LOI)は、27〜35%程度である。
上記のようにして得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを用い、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法等を利用して成形することにより、成形体を製造することができる。
本発明の成形体としては、射出成形体(射出圧縮を含む)であることが好ましい。
本発明の成形体は、例えば、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等のOA機器、家庭電化製品、電気・電子機器のハウジングや各種部品等に用いられる。
本発明の成形体は、例えば、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等のOA機器、家庭電化製品、電気・電子機器のハウジングや各種部品等に用いられる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、各例で得られた樹脂組成物の性能試験は、次の通りに行った。
(1)ヘーズ:透明性
厚み3mmの射出成形板を用い、JIS K7105に準拠してヘーズを測定した。値が小さいほど、透明性に優れることを示す。なお、10%以下であると透明性に優れていると言える。
(2)イエローインデックス(YI):色調(着色性)
13ショット目以降の成形体を5枚作製し、日本電色工業株式会社製の分光測色計Σ90を用いて、測定面積30φ、C2光源の透過法で測定し、その平均値を求めた。値が大きいほど着色性が高く、色調が低下していることを示す。
(3)メルトインデックス(MI):流動性
測定条件樹脂温260℃、荷重21.18Nにおいて、ASTM規格D−1238に準拠して測定し、流動性の指標とした。値が大きいほど流動性に優れることを示す。なお、流動性が高いと、成形温度を高めずに大型製品や薄肉製品を製造することが可能となる。
(4)酸素指数(LOI):難燃性
ASTM規格D−2863に準拠して測定し、難燃性の指標とした。なお、酸素指数とは、試験片が燃焼を維持するのに必要な最低酸素濃度を空気中の容量%で示した値である。値が大きいほど、難燃性に優れることを示す。
なお、各例で得られた樹脂組成物の性能試験は、次の通りに行った。
(1)ヘーズ:透明性
厚み3mmの射出成形板を用い、JIS K7105に準拠してヘーズを測定した。値が小さいほど、透明性に優れることを示す。なお、10%以下であると透明性に優れていると言える。
(2)イエローインデックス(YI):色調(着色性)
13ショット目以降の成形体を5枚作製し、日本電色工業株式会社製の分光測色計Σ90を用いて、測定面積30φ、C2光源の透過法で測定し、その平均値を求めた。値が大きいほど着色性が高く、色調が低下していることを示す。
(3)メルトインデックス(MI):流動性
測定条件樹脂温260℃、荷重21.18Nにおいて、ASTM規格D−1238に準拠して測定し、流動性の指標とした。値が大きいほど流動性に優れることを示す。なお、流動性が高いと、成形温度を高めずに大型製品や薄肉製品を製造することが可能となる。
(4)酸素指数(LOI):難燃性
ASTM規格D−2863に準拠して測定し、難燃性の指標とした。なお、酸素指数とは、試験片が燃焼を維持するのに必要な最低酸素濃度を空気中の容量%で示した値である。値が大きいほど、難燃性に優れることを示す。
[実施例1〜9及び比較例1〜3]
表1に示す割合(単位:質量部)で各成分を配合し、押出機(機種名:VS40、田辺プラスチック機械株式会社製)に供給し、260℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを、80〜120℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(型式:IS100N、東芝機械株式会社製)を用い、シリンダー温度240〜260℃、金型温度40℃の条件で射出成形して試験片を得た。
得られた試験片を用いて上記方法に従って性能試験を行い、その結果を表1に示した。
表1に示す割合(単位:質量部)で各成分を配合し、押出機(機種名:VS40、田辺プラスチック機械株式会社製)に供給し、260℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを、80〜120℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(型式:IS100N、東芝機械株式会社製)を用い、シリンダー温度240〜260℃、金型温度40℃の条件で射出成形して試験片を得た。
得られた試験片を用いて上記方法に従って性能試験を行い、その結果を表1に示した。
(表1中の注釈の説明)
*1:(A)成分
芳香族ポリカーボネート樹脂;「タフロンFN1900A」(出光興産株式会社製、粘度平均分子量=19,500、ビスフェノールAから製造されたホモポリカーボネート樹脂)
*2:(B)成分
シリンゴール「2,6-Dimethoxyphenol、99%」(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)
*3:(B)成分
グアヤコール「Guaiacol」(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)
*4:(C)成分
リン酸エステル;「PX202」(大八化学工業株式会社製)
*5:(C)成分
リン酸エステル;「CR741」(大八化学工業株式会社製)
*6:(C)成分
亜リン酸エステル;「PEP36」(株式会社ADEKA製)
*1:(A)成分
芳香族ポリカーボネート樹脂;「タフロンFN1900A」(出光興産株式会社製、粘度平均分子量=19,500、ビスフェノールAから製造されたホモポリカーボネート樹脂)
*2:(B)成分
シリンゴール「2,6-Dimethoxyphenol、99%」(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)
*3:(B)成分
グアヤコール「Guaiacol」(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)
*4:(C)成分
リン酸エステル;「PX202」(大八化学工業株式会社製)
*5:(C)成分
リン酸エステル;「CR741」(大八化学工業株式会社製)
*6:(C)成分
亜リン酸エステル;「PEP36」(株式会社ADEKA製)
表1より、本発明の熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(比較例1)の透明性を保持しながら、色調、流動性及び難燃性に優れていることがわかる。特に、実施例1〜4では、リン系難燃剤等を使用しなくても難燃性に優れていることが証明されている。また、リン系化合物を含有させた場合(実施例5〜9)、難燃性がさらに改善されたことがわかる。特に、亜リン酸エステルを含有させた実施例8では、含有させなかった実施例1と比べて色調がさらに改善された。リン酸エステルと亜リン酸エステルとを併用した実施例9では、リン酸エステルのみを含有させた実施例5に比べ、色調がさらに改善された。
一方、(B)成分の配合量が多すぎる場合(比較例2)、ガスの発生により成形不能であった。また、(B)成分を含有しない熱可塑性樹脂組成物(ポリカーボネート樹脂組成物)の場合(比較例3)、(C)成分を含有させることによって難燃性を高めているものの、流動性に乏しく、かつ色調が悪化した。
一方、(B)成分の配合量が多すぎる場合(比較例2)、ガスの発生により成形不能であった。また、(B)成分を含有しない熱可塑性樹脂組成物(ポリカーボネート樹脂組成物)の場合(比較例3)、(C)成分を含有させることによって難燃性を高めているものの、流動性に乏しく、かつ色調が悪化した。
(表2中の注釈の説明)
*2〜*6:表1と同様である。
*7:(A)成分
変性ポリフェニレンエーテル:「ザイロン600H」(旭化成ケミカルズ株式会社製)
*8:(A)成分
ポリアリレート:「U−100」(ユニチカ株式会社製)
*2〜*6:表1と同様である。
*7:(A)成分
変性ポリフェニレンエーテル:「ザイロン600H」(旭化成ケミカルズ株式会社製)
*8:(A)成分
ポリアリレート:「U−100」(ユニチカ株式会社製)
表2より、本発明の変性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びポリアリレート樹脂組成物は、流動性が高く、また、リン系難燃剤等を使用しなくても難燃性に優れていることがわかる。特に、ポリアリレート樹脂組成物は、透明性が高く、色調にも優れていた。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の透明性を保持しながら、色調に優れ、高い流動性及び高い難燃性を有し、かつ環境負荷の小さいものであるため、これらの特性を必要とする分野、とりわけ電子・電気機器、情報・通信機器、OA機器、自動車分野、建材分野等に好適に使用することができる。
Claims (9)
- (A)熱可塑性樹脂99.9〜70質量部及び(B)メトキシフェノール類0.1〜30質量部(但し、(A)成分と(B)成分の合計が100質量部である。)を含有する熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分と(B)成分の含有割合が、(A)成分99.9〜75質量部に対して(B)成分0.1〜25質量部(但し、(A)成分と(B)成分の合計が100質量部である。)である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分と(B)成分の含有割合が、(A)成分97〜85質量部に対して(B)成分3〜15質量部である、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)リン系化合物0.01〜30質量部を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、ポリカーボネート樹脂、(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリアリレート樹脂から選択される少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、グアヤコール及びシリンゴールから選択される少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(C)成分が、リン酸エステル及び亜リン酸エステルから選択される少なくとも一種である、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
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JP2012065168A JP2013194201A (ja) | 2012-03-22 | 2012-03-22 | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 |
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JP2015127394A (ja) * | 2013-11-28 | 2015-07-09 | キヤノン株式会社 | ポリブチレンテレフタレートを有する難燃組成物 |
-
2012
- 2012-03-22 JP JP2012065168A patent/JP2013194201A/ja active Pending
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