JP2013194195A - ポリマーが被覆された無機粒子の製造方法 - Google Patents

ポリマーが被覆された無機粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】核粒子として比重が樹脂粒子よりも大きい無機粒子が用いられ、ポリマーの被覆量が少量であるにもかかわらず、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れた、ポリマーが被覆された無機粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】カップリンク剤で処理された無機粒子および界面活性剤の存在下でモノマー成分を水性溶媒中で重合させることによってポリマーが被覆された無機粒子を製造する方法であり、無機粒子をカップリンク剤で処理する際にカップリング剤を無機粒子100質量部あたり0.01〜2質量部の割合で用い、モノマー成分を重合させる際に重合開始剤を用い、モノマー成分100質量部あたりの重合開始剤の量を0.001〜1質量部に調整するとともに、モノマー成分の重合を開始させる際に用いられる重合開始剤の量を重合開始剤全量の1〜10質量%に調整することを特徴とするポリマーが被覆された無機粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマーが被覆された無機粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、塗料、接着剤、トナー、化粧料、光学材料、電子材料などに有用なポリマーが被覆された無機粒子の製造方法に関する。
核となる粒子(以下、核粒子という)の表面がポリマーで被覆された粒子、いわゆるポリマー被覆粒子は、例えば、反射材、顔料、接着剤、トナー、化粧料などの用途に用いられている。近年、ポリマー(樹脂)被覆粒子は、金属メッキ粒子、異方導電性粒子、ボンド磁石用磁性粒子、液晶表示装置用スペーサー粒子などとして光学材料、電子材料などの技術分野で使用することが検討されている。
核粒子の表面をポリマー層で被覆するポリマー被覆粒子を製造する方法として、
(1)溶媒として、親水性の有機溶剤および水を含み、水の含有率が5〜40質量%である溶媒を用い、核粒子として、ラジカル重合に先立ち、重合性反応基を有するカップリング剤と混合しておいた核粒子を用い、モノマー成分として、親水性モノマーと疎水性モノマーとからなり、親水性モノマーの配合割合が0.6〜30質量%であるモノマー成分を用い、重合開始剤として水溶性重合開始剤を用い、溶媒中のモノマー成分の濃度が1.0質量%以上であることを特徴とするポリマー被覆粒子の製造方法(例えば、特許文献1参照)、
(2)溶媒として、親水性の有機溶剤および水を含み、水の含有率が70質量%以上である溶媒または水を用い、核粒子として、ラジカル重合に先立ち、重合性反応基を有する核粒子を用い、重合開始剤として水溶性重合開始剤を用いることを特徴とする樹脂被覆粒子の製造方法(例えば、特許文献2参照)、
(3)二重結合を含むシラン化合物で蛍光体の表面を表面処理する段階と、前段階で表面処理された蛍光体、モノマー及び重合開始剤を混合した後、前記蛍光体の表面から前記モノマーを重合させて前記蛍光体の表面に高分子膜を形成する段階とを含むことを特徴とする蛍光体の流動特性の制御方法(例えば、特許文献3参照)
などが提案されている。
前記(1)および(2)の製造方法ならびに前記(3)の制御方法は、いずれも、モノマー成分の重合率およびポリマーの被覆効率に優れるという利点を有する。
しかし、近年、核粒子として比重が樹脂粒子よりも大きい無機粒子が用いられたポリマー被覆無機粒子であって、分散媒(溶媒、モノマーなど)に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れ、少量のポリマーで効率よく被覆された無機粒子を製造することができる方法の開発が待ち望まれている。
特開2005−120365号公報 特開2005−342563号公報 特開2008−111112号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、核粒子として比重が樹脂粒子よりも大きい無機粒子が用いられ、ポリマーの被覆量が少量であるにもかかわらず、分散媒(溶媒、モノマーなど)に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れた、ポリマーが被覆された無機粒子を製造することができる方法を提供することを課題とする。
本発明は、無機粒子をカップリング剤と接触させることによって当該無機物粒子をカップリンク剤で処理した後、当該カップリンク剤で処理された無機粒子および界面活性剤の存在下でモノマー成分を水性溶媒中で重合させることによってポリマーが被覆された無機粒子を製造する方法であって、無機粒子をカップリング剤と接触させることによって当該無機粒子をカップリンク剤で処理する際にカップリング剤を無機粒子100質量部あたり0.01〜2質量部の割合で用い、モノマー成分を重合させる際に重合開始剤を用い、モノマー成分100質量部あたりの重合開始剤の量を0.001〜1質量部に調整するとともに、モノマー成分の重合を開始させる際に用いられる重合開始剤の量を重合開始剤全量の1〜10質量%に調整することを特徴とするポリマーが被覆された無機粒子の製造方法に関する。
本発明のポリマーが被覆された無機粒子の製造方法によれば、核粒子として比重が樹脂粒子よりも大きい無機粒子が用いられ、ポリマーの被覆量が少量であるにもかかわらず、分散媒(溶媒、モノマーなど)に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れた、ポリマーが被覆された無機粒子を製造することができるという優れた効果が奏される。
本発明のポリマーが被覆された無機粒子(以下、ポリマー被覆無機粒子という)の製造方法は、前記したように、無機粒子をカップリング剤と接触させることによって当該無機粒子をカップリンク剤で処理した後、当該カップリンク剤で処理された無機粒子および界面活性剤の存在下でモノマー成分を水性溶媒中で重合させることによってポリマー被覆無機粒子を製造する方法であり、無機粒子をカップリング剤と接触させることによって当該無機酸化物粒子をカップリンク剤で処理する際にカップリング剤を無機酸化物粒子100質量部あたり0.01〜2質量部の割合で用い、モノマー成分を重合させる際に重合開始剤を用い、モノマー成分100質量部あたりの重合開始剤の量を0.001〜1質量部に調整するとともに、モノマー成分の重合を開始させる際に用いられる重合開始剤の量を重合開始剤全量の1〜10質量%に調整することを特徴とする。
本発明においては、核粒子としては、無機粒子が用いられる。無機粒子としては、例えば、無機酸化物粒子、金属粒子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
無機酸化物粒子を構成する無機酸化物としては、例えば、ガラス、シリカなどをはじめ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズ、酸化クロム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ユーロピウムなどのランタニウム系希土類金属で賦活した金属酸化物、それらの複合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの無機酸化物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。無機酸化物粒子として、1種類の無機酸化物粒子を用いてもよく、2種類以上の無機酸化物粒子を併用してもよい。また、無機酸化物粒子として、シリカが被覆された銅粒子、アルミナが被覆された銅粒子、ジルコニアが被覆された銅粒子などの無機酸化物が被覆された金属粒子を用いることができる。無機酸化物粒子のなかでは、ガラス粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、イットリア粒子などの金属酸化物粒子が好ましい。
なお、無機酸化物粒子は、樹脂粒子、金属粒子などの粒子を核粒子とし、その表面が無機酸化物で被覆されている複合粒子であってもよい。前記樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記金属粒子を構成する金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミニウム、イリジウムなどの貴金属、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、モリブデン、アンチモン、タングステンなどの卑金属、これらの金属を含む合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
金属粒子に用いられる金属としては、例えば、金、銀、白金、イリジウムなどの貴金属、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、タングステン、ロジウム、パラジウム、亜鉛、ルビジウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、オスミウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの金属は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、金属粒子として、1種類の金属粒子を用いてもよく、2種類以上の金属粒子を併用してもよい。
なお、金属粒子は、無機酸化物粒子、樹脂粒子などの粒子を核粒子とし、その表面が金属で被覆されている複合粒子であってもよい。前記無機酸化物粒子を構成する無機酸化物としては、例えば、ガラス、シリカなどをはじめ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズ、酸化クロム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ランタニウム系希土類金属酸化物などの希土類金属酸化物、それらの複合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
無機粒子の形状としては、例えば、球状、楕円形状、破砕状、板状、柱状などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。無機粒子の形状は、ポリマー被覆無機粒子の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
無機粒子の平均粒子径は、無機粒子同士の凝集を防止する観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、さらに好ましくは300nm以上、さらに一層好ましくは500nm以上であり、撹拌による分散時における無機粒子の浮遊性を向上させる観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、さらに一層好ましくは10μm以下である。
また、本発明の製造方法によって得られるポリマー被覆無機粒子は、その粒子径が大きくても分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れている。したがって、従来、粒子径が大きいことから分散媒に長時間分散させることが困難であるとされている無機粒子、例えば、真比重が2以上、好ましくは2.5以上であり、平均粒子径が0.2μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上である無機粒子を用いることができる。したがって、本発明は、粒子径が大きい無機粒子が用いられているポリマー被覆無機粒子の分散安定性に優れるという利点を有する。
なお、無機粒子の平均粒子径は、例えば、水またはメタノールなどの親水性溶媒中に無機粒子を攪拌させることによって分散させたものを素早く採取し、(株)堀場製作所製、商品名:粒度分布測定装置LA910を用いて体積平均粒子径として求めることができる。なお、無機粒子として金属粒子を用いる場合、当該金属粒子のなかには、真比重が8を超えるものがある。このように真比重が高い金属の場合には、前記装置を用いて体積平均粒子径を測定しがたいことがある。そのような場合には、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて無機粒子を観察し、球状粒子についてはその直径、楕円形粒子についてはその単径と長径との中間値、不定形粒子については短辺と長辺との中間値を求め、当該粒子の粒子径分布を作成し、その粒子径分布に基づいて粒子径の平均値を求め、この平均値を金属粒子の平均粒子径とすることができる。
無機粒子には、カップリング剤による処理が施される。カップリング剤による無機粒子の処理は、例えば、無機粒子とカップリング剤とを混合する方法、無機粒子の表面にカップリング剤を噴霧する方法などにより、無機粒子とカップリング剤とを接触させることによって行なうことができる。
カップリング剤としては、重合性反応基を有するカップリング剤および重合性反応基を有しないカップリング剤が挙げられるが、無機粒子の表面にポリマーを強固に付着させる観点から、重合性反応基を有するカップリング剤が好ましい。
重合性反応基を有するカップリング剤としては、例えば、ビニル基を有するカップリング剤、アリル基を有するカップリング剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカップリンク剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニル基を有するカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ジメチルビニルメトキシシランなどのビニル基含有アルコキシシラン、ビニルトリフルオロシラン、ジメチルビニルフルオロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルビニルクロロシランなどのビニル基含有ハロゲン化シラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどのメタクリロイルオキシ基含有シラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのビニル基およびアミノ基含有シラン、イソプロピルジアクリロイルイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネートなどのアクリロイル基またはメタクリロイル基含有チタネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカップリング剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アリル基を有するカップリング剤としては、例えば、アリルジメチルピペリジノメチルシラン、アリルクロロジメチルシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメチルシランなどのアリル基含有シランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカップリング剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合性反応基を有しないカップリング剤としては、例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメトキシシランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカップリング剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カップリング剤は、使用されるモノマー成分の種類に応じて適宜選択して用いることが好ましい。例えば、モノマー成分とカップリング剤との反応性を高める観点から、(メタ)アクレートを主成分として含有するモノマー成分を用いる場合には、カップリング剤として(メタ)アクリロイルオキシ基含有シランが好ましく、スチレンを主成分とするモノマー成分を用いる場合には、ビニル基またはアリル基が直接ケイ素原子に結合しているカップリング剤が好ましい。
無機粒子100質量部あたりのカップリング剤の量は、無機粒子の比表面積などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、無機粒子の表面をポリマーで十分に被覆し、浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、0.01質量部以上、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、カップリンク剤の自己縮合を抑制し、浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、2質量部以下、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
カップリング剤による無機粒子の処理方法として、無機粒子とカップリング剤とを混合する方法を採用する場合、例えば、無機粒子を水性溶媒中で分散させ、得られた無機粒子の分散液にシランカップリング剤を添加する方法、シランカップリング剤を水性溶媒に添加した後、無機粒子を当該水性溶媒に添加する方法、無機粒子およびシランカップリング剤を水性溶媒中に同時に添加する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。
なお、無機粒子をカップリング剤で処理する際に用いる溶媒は、重合を行なう際に用いられる溶媒と同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。前記溶媒としては、カップリング剤の加水分解が速やかに進行し、無機粒子の表面に均一にカップリング剤で効率よく処理することができるものが好ましい。なお、無機粒子の表面に均一にカップリング剤で効率よく処理する観点から、前記溶媒にはカップリング剤の加水分解に必要な量の水が含まれていることが好ましい。
無機粒子をカップリング剤で処理する際に用いる溶媒としては、加水分解に必要な量の水が含まれていればよい。したがって、例えば、所望量の水を含むトルエンなどの疎水性有機溶媒をはじめ、水、アルコールなどの親水性溶媒などの種々の溶媒を用いることができる。
無機粒子をカップリング剤で処理する際に用いる溶媒としては、例えば、水をはじめ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アリルアルコールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどの脂肪族有機酸アルキルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテルなどの親水性有機溶媒をはじめ、疎水性有機溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。有機溶媒は、カップリング剤を加水分解させ、生成した水酸基を介して無機粒子に強固に付着させる観点から、微量の水を含んでいるのであれば、いずれの有機溶媒でモノマー使用することができる。しかし、多くの無機粒子の表面は親水性であることから、水単独、または水とメタノール、エタノールなどの低級アルコールとの混合溶媒が好ましい。
なお、前記溶媒のpHは、中性付近でもカップリング反応を迅速に進行する場合があるが、一般に、中性付近から外すことがカップリング剤の加水分解を促進させ、カップリング反応を迅速に進行させる観点から好ましい。したがって、前記溶媒のpHは、かかる観点から、例えば、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液を用いて溶媒のpHを7.5〜10程度に調整したり、あるいは酢酸などの酸溶液を用いて溶媒のpHを5.5〜3.5程度に調整することが好ましい。
水性有機溶媒の量は、特に限定されないが、水性溶媒中における無機粒子の分散性を向上させる観点およびシランカップリング剤による処理効率を高める観点から、無機粒子100質量部あたり20〜500質量部程度であることが好ましい。
無機粒子とカップリング剤と水性溶媒とを混合する際には、無機粒子とカップリング剤とが効率よく接触するようにする観点から、無機粒子とカップリング剤と水性溶媒との混合物が均一な組成を有するように当該混合物を撹拌することが好ましい。前記混合物を撹拌する方法については特に限定がなく、例えば、撹拌棒で撹拌してもよく、撹拌子を用いてマグネットスターラーなどで撹拌してもよく、あるいはスクリューなどの撹拌機を用いて撹拌してもよい。
また、無機粒子とカップリング剤と水性溶媒とを混合する際には、無機粒子にカップリング剤を効率よく付着させる観点から、前記混合物の温度を30〜80℃程度に調整することが好ましい。
以上のようにして無機粒子とカップリング剤とを接触させることにより、無機粒子をカップリング剤で処理することができる。
カップリング剤で処理された無機粒子を前記混合物から分離する方法としては、例えば、前記混合物を静置することにより、カップリング剤で処理された無機粒子を沈降させた後、その上澄み液をデカンテーションなどの手段によって除去し、湿潤固形物として沈降しているカップリング剤で処理された無機粒子をフィルターなどで濾別する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カップリング剤で処理された無機粒子は、残存しているカップリング剤、当該カップリング剤、当該カップリング剤の遊離オリゴマーなどを除去するために、必要により水性有機溶媒などで洗浄した後、減圧乾燥法、加熱乾燥法、噴霧乾燥法、熱風乾燥法などの乾燥方法によって乾燥させることにより、固形物として回収することができる。回収されたカップリング剤で処理された無機粒子が凝集している場合には、必要により、粉砕することにより、当該カップリング剤で処理された無機粒子を粉体として用いることができる。
次に、前記カップリンク剤で処理された無機粒子および界面活性剤の存在下でモノマー成分を水性溶媒中で重合させることにより、ポリマー被覆無機粒子が得られる。
モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、アリル酢酸、アリルアルコール、アリルクロライド、アリルアミド、アリルイソシアネート、メチルビニルメチルケトン、酢酸ビニル、ビニルクロライド、ビニルエチルエステル、ビニルエチルケトンなどの親水性モノマー;スチレン、ジビニルベンゼン、メチルスチレン、ヘキセン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタアクリレート、ペンチルチルアクリレート、ペンチルチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、アルキル基の炭素数が12または13のアルキルアクリレート、アルキル基の炭素数が12または13のアルキルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、べヘニルアクリレート、べヘニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、トリブチルシリルアクリレート、トリブチルシリルメタクリレート、トリイソプロピルシリルアクリレート、トリイソプロピルシリルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、トリフルオロプロピルアクリレートトリフルオロプロピルメタクリレート、式:
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基、R2は炭素数1〜5のアルキレン基、Xはビニル基または(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、nは6〜100の整数を示す)
で表わされる片末端に重合性反応基を有するジメチルポリシロキサンなどの疎水性モノマーが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、疎水性モノマーは、20℃の水に対する溶解度が1.60質量%以下であるモノマーを意味し、親水性モノマーとは、20℃の水に対する溶解度が1.60質量%を超えるモノマーを意味する。
モノマー成分における疎水性モノマーの含有率は、モノマー成分に用いられる疎水性モノマーおよび親水性モノマーの種類によって異なるので一概には決定することができない。しかし、疎水性分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、共重合させることによって得られるポリマーが充分な撥水性を示すようにする観点から、20℃の水に対するモノマー成分全体の溶解度が1.6質量%以下となるのに要する量で疎水性モノマーがモノマー成分に含まれていることが好ましく、モノマー成分における疎水性モノマーの含有率が90〜100質量%であることがより好ましく、98〜100質量%であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
モノマー成分は、一括して水性溶媒に添加してもよく、分割して水性溶媒に添加してもよい。また、モノマー成分は、後述する重合開始剤を水性溶媒に添加し、重合反応を開始するまでに水性溶媒に添加しておくことが好ましい。
モノマー成分を重合させる際に用いられる水性溶媒としては、水をはじめ、前記親水性有機溶媒が挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、水性溶媒には、後述する界面活性剤水溶液、重合開始剤水溶液などに含まれている水も含まれる。水性溶媒のなかでは、モノマー成分の重合性を高め、無機粒子の表面をポリマーで十分に被覆する観点から、水および水と親水性有機溶媒との混合溶媒が好まく、水および親水性有機溶媒の含有率が10質量%以下である水と親水性有機溶媒との混合溶媒がより好ましく、水単独がさらに好ましい。
なお、本発明の目的が阻害されない範囲内で、水性溶媒以外に疎水性有機溶媒を用いてもよいが、高分子量のポリマーを得る観点および無機粒子の表面上にポリマーを均一に被覆する観点から、疎水性有機溶媒をなるべく使用しないことが好ましい。疎水性有機溶媒としては、例えば、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、へキサン、シクロへキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、石油エーテル、テルペン、ヒマシ油、大豆油、パラフィン、ケロシンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カップリンク剤で処理された無機粒子100質量部あたりの水性溶媒の量は、当該カップリンク剤で処理された無機粒子が均一に分散するようにする観点および生産効率を向上させる観点から、通常、20〜500質量部程度であることが好ましい。
カップリンク剤で処理された無機粒子および界面活性剤の存在下でモノマー成分を水性溶媒中で重合させる際には、カップリンク剤で処理された無機粒子および界面活性剤を水性溶媒に添加し、カップリンク剤で処理された無機粒子が水性溶媒中で均一に分散するように撹拌することが好ましい。
本発明においては、このようにカップリンク剤で処理された無機粒子を界面活性剤およびモノマー成分の存在下で無機粒子を分散させながら水性溶媒中で重合させるという操作が採られているので、核粒子として比重が比較的高い無機粒子が用いられているにもかかわらず、均質なポリマー被覆無機粒子を得ることができ、当該ポリマー被覆無機粒子は、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく、優れた浮遊性を有するという優れた効果が奏される。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられ、これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの界面活性剤のなかでは、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、イオン性基を有する高分子界面活性剤などのイオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネート、ナトリウムアルキルジフェニルエーテルジスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩;ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレートスルホネート塩、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩;アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩などのアリル基を有する硫酸エステルまたはその塩;アリルオキシメチルアルコキシエチルポリオキシエチレンの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
両性界面活性剤としては、例えば、ベタインエステル型界面活性剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
無機粒子100質量部あたりの界面活性剤の量は、モノマー成分の重合安定性を向上させる観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、モノマー成分を効率よく無機粒子に付着させる観点から、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。
界面活性剤は、そのままの状態で用いてもよく、あるいは水に溶解させ、例えば、濃度が5〜30質量%程度の水溶液として用いてもよい。
モノマー成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤を効率よく使用する観点から、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
モノマー成分を重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。また、モノマー成分の重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜8時間程度である。
モノマー成分を前記カップリンク剤で処理された無機粒子および界面活性剤の存在下で水性溶媒中にて重合させる際には重合開始剤が用いられる。
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロメライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などの水溶性アゾ重合開始剤;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)などの油溶性アゾ重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤のなかでは、水溶性重合開始剤が好ましく、2,2−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)などの水溶性アゾ重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素および過酸化アンモニウムがより好ましい。
モノマー成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応のモノマー成分の残存量を低減させる観点から、0.01質量部以上、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、1質量部以下、好ましくは0.6質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
本発明においては、モノマー成分の重合を開始させる際に用いられる重合開始剤の量を重合開始剤全量の1〜10質量%に調整する点に、本発明の特徴の1つがある。本発明では、このようにモノマー成分の重合の初期段階で微量の重合開始剤が存在しているので、生成するポリマーの分子量が高くなり、核粒子として比重が比較的高い無機粒子が用いられているにもかかわらず、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得ることができる。なお、前記モノマー成分の重合の初期段階は、モノマー成分の重合開始時からモノマー成分の重合を開始時から10分間程度までの時間であることが、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から好ましい。
なお、前記カップリンク剤で処理された無機粒子、モノマー成分および界面活性剤を含有する水性溶媒に、多量の重合開始剤を重合の初期段階で一括して添加した場合には、低分子量のポリマーが生成するため、分散媒における浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得ることができない。
モノマー成分の重合を開始させる際に用いられる重合開始剤の量を重合開始剤全量の1〜10質量%に調整する方法としては、例えば、モノマー成分100質量部あたり重合開始剤を0.0001〜0.001質量部、好ましくは0.0005〜0.001質量部の量で前記水性溶媒にあらかじめ添加する方法、モノマー成分100質量部あたり重合開始剤0.001〜0.01質量部、好ましくは0.005〜0.01質量部を使用し、この重合開始剤を2〜5回程度に分割してモノマー成分に添加する方法、モノマー成分100質量部あたり重合開始剤0.001〜0.01質量部、好ましくは0.005〜0.01質量部を使用し、この重合開始剤をモノマー成分の重合を開始時から10分間程度までの時間をかけて連続的に添加する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
モノマー成分の重合を開始させる際に用いられる重合開始剤の量は、モノマー成分の重合反応効率を高める観点から、重合開始剤全量の1質量%以上、好ましくは3質量%以上
であり、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、重合開始剤全量の10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
重合開始剤は、その添加量の微調整が容易であることから、水溶液の状態で用いることが好ましい。重合開始剤水溶液における重合開始剤の濃度は、モノマー成分の重合初期段階で重合開始剤を少量で容易に使用することができるように調整することが好ましい。重合開始剤水溶液における重合開始剤の濃度は、通常、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5質量%である。
モノマー成分を重合させている間には、カップリンク剤で処理された無機粒子、モノマー成分および界面活性剤を含有する水性溶媒にさらに重合開始剤を分割して添加してもよい。重合開始剤を分割して添加する方法としては、例えば、重合開始剤水溶液を0.3〜5mLの量で3〜15分間ごとに前記水性溶媒に添加する方法、重合開始剤の水溶液の液滴を60〜90分間かけて前記水性溶媒に連続的にまたは間欠的に滴下する方法、重合開始剤の量を5〜30分割しておき、分割された各重合開始剤を5〜15分間ごとに前記水性溶媒に添加する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。これらの方法のなかでは、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、重合開始剤水溶液を0.3〜5mLの量で3〜15分間ごとに前記水性溶媒に添加する方法が好ましい。
以上のようにしてモノマー成分を重合させることにより、分子鎖が長いポリマーで無機粒子の表面が被覆されたポリマー被覆無機粒子を含有する反応混合物が得られる。
得られたポリマー被覆無機粒子に含まれるポリマーの重量平均分子量は、当該ポリマーが無機粒子に固定化されているため、直接的に測定することが困難であるが、ポリマー被覆無機粒子を溶媒(例えば、イソホロンなど)に分散させると、ポリマー被覆無機粒子に完全には固定化されていないポリマーが当該溶媒に遊離する。したがって、この遊離したポリマーの分子量をポリマー被覆無機粒子が有するポリマーの分子量の指標とすることができる。
なお、本明細書にいう「ポリマー被覆無機粒子をイソホロンに分散させ、遊離したポリマーの重量平均分子量」は、ポリマー被覆無機粒子をイソホロンに分散させることによって得られた分散体を用いてゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定された分子量分布曲線において、当該分子量分布曲線のピークに位置する分子量(重量平均分子量)を意味する。
ポリマー被覆無機粒子をイソホロンに分散させ、遊離したポリマーは、例えば、溶媒、モノマーなどの分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、2万〜200万、好ましくは5万〜100万の重量平均分子量を有することが望ましい。
得られたポリマー被覆無機粒子は、例えば、反応混合物を静置することによって沈降させ、上澄み液をデカンテーションによって除去することによって回収することができるほか、反応混合物をフィルターで濾過することによって回収することができる。本発明は、反応混合物からポリマー被覆無機粒子を回収する方法によって限定されるものではない。
回収されたポリマー被覆無機粒子は、そのままの状態で用いることができるが、未反応のモノマー成分、重合開始剤、界面活性剤などがポリマー被覆無機粒子に付着していることがあるので、必要により、前記水性溶媒などで洗浄することが好ましい。また、ポリマー被覆無機粒子は、湿潤状態でも用いることができるが、乾燥させて用いることが好ましい。湿潤状態にあるポリマー被覆無機粒子を乾燥させる場合、例えば、減圧乾燥法、加熱乾燥法、熱風乾燥法、噴霧乾燥法などの乾燥方法でポリマー被覆無機粒子を乾燥させることができる。
また、得られたポリマー被覆無機粒子は、水または水性液で洗浄し、水溶性不純物を除去した後、ポリマー被覆無機粒子の表面に存在しているポリマーの良溶媒で洗浄することにより、ポリマー被覆無機粒子に結合していないポリマーを除去することが好ましい。
なお、ポリマー被覆無機粒子を良溶媒で洗浄した際に、ポリマー被覆無機粒子に存在しているポリマー同士が絡み合い、ポリマー被覆無機粒子を乾燥させたときに、ポリマー被覆無機粒子が塊状物になることがある。その場合には、例えば、解砕機や粉砕機などを用いて当該塊状物を粉砕し、例えば、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下の粒子径を有する粉体とすることにより、分散媒に容易に分散させることができる。その際には、例えば、ペイントシェーカー、ボールミルなど分散機を用いて前記粉体にせん断応力を加えて分散媒中に分散させることにより、ポリマー被覆無機粒子の浮遊性に優れた分散体を得ることができる。
したがって、本発明の製造方法によって得られたポリマー被覆無機粒子は、必ずしも各粒子がそれぞれ凝集せずに分散している必要がなく、ポリマー被覆無機粒子同士が凝集していてもよい。
なお、ポリマー被覆無機粒子を乾燥させた場合、当該ポリマー被覆無機粒子同士が凝集することがあるが、その場合には、例えば、カッターミル、フラッシュミル、ピンミルなどの粉砕機を用いてその凝集物を粉砕させることが好ましい。
また、ポリマー被覆無機酸化物粒子がその用途に適した粒子径を有するようにするために、必要により、ポリマー被覆無機酸化物粒子をメッシュにかけることにより、ポリマー被覆無機酸化物粒子の粒子径を制御してもよい。
ポリマー被覆無機酸化物粒子におけるポリマーの被覆率は、熱分析によって求めることができる。より具体的には、ポリマー被覆無機粒子におけるポリマーの被覆率は、例えば、熱分析装置として熱重量測定装置〔(株)島津製作所社製、品番:TGA−50〕を用い、昇温速度10℃/分、空気雰囲気下で100℃から500℃に昇温し、式:
〔ポリマーの被覆率〕
=〔(100℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量)−(500℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量)〕÷〔100℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量〕×100
に基づいて求めることができる。
ポリマー被覆無機粒子におけるポリマーの被覆率は、ポリマー被覆無機粒子の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、その用途などに応じて適宜決定することができる。本発明のポリマー被覆無機粒子の製造方法によって得られたポリマー被覆無機粒子におけるポリマーの被覆率は、通常、1〜10質量%程度である。
また、ポリマー被覆無機粒子に被覆されているポリマー層の厚さは、特に限定されないが、通常、10〜100nm程度の範囲内にある。したがって、ポリマー被覆無機粒子の直径は、乾燥状態では無機粒子の直径と当該ポリマー層の全厚さとの和にほぼ等しい。しかし、ポリマー被覆無機粒子を分散媒中に分散させた場合には、ポリマー被覆無機粒子のポリマー鎖が長くなるとともに、分散媒を含んでポリマー被覆無機粒子の外部方向に拡がるので、分散媒中ではポリマー被覆無機粒子の粒子径は、見かけ上、実際の粒子径よりも大きくなり、浮遊性が向上するものと考えられる。
以上のようにして得られたポリマー被覆無機粒子は、核粒子として比重が比較的高い無機粒子が用いられており、さらにポリマー被覆無機粒子におけるポリマー量が無機粒子の15質量%以下、好ましくは10質量%以下と少量であるにもかかわらず、分散媒に分散させたときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れるという優れた性質を有する。
本発明の製造方法によって得られたポリマー被覆無機粒子は、分散媒に分散させることによって用いることができる。
ポリマー被覆無機粒子を分散させるのに好適な分散媒としては、例えば、疎水性有機溶媒、疎水性モノマー、常温で流動性を有する樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの分散媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。分散媒のなかでは、ポリマー被覆無機粒子の分散性を向上させる観点から、疎水性有機溶媒および疎水性モノマーが好ましい。
疎水性有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソホロン、ジアセトンアルコール、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ペンテン油、トルエン、キシレン、テルペン油、ベンゼン、シクロヘキサノン、ケロシンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの疎水性有機溶媒のなかでは、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソホロン、ジアセトンアルコール、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ペンテン油、トルエン、キシレンおよびテルペン油が好ましく、酢酸ブチル、ヘキシレングリコール、セロソルブアセテート、イソホロン、ジアセトンアルコール、ジエチルケトン、ブチルセロソルブアセテート、メチルイソブチルケトンおよびジイソブチルケトンがより好ましい。
疎水性モノマーとしては、例えば、スチレン、ジビニルスチレンなどの芳香族系モノマー、ペンテンなどの長鎖を有するモノマー、疎水性(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
常温で流動性を有する樹脂としては、例えば、常温で流動性を有する、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド、シリコーン−エポキシ複合樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、アミノ樹脂、ポリエステルなどの疎水性樹脂が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
以上のことから、本発明の製造方法によって得られたポリマー被覆無機粒子は、例えば、塗料、顔料、接着剤、トナー、化粧料などの用途に用いることが期待されるほか、電気表示装置用粒子などとして用いることにも期待されるものである。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.55g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Aを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体A100g、アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Aが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロへキシルメタクリレート6gおよび2−エチルへキシルアクリレート4gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物と酢酸エチル100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Aに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Aを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Aにおけるポリマーの被覆率を熱重量測定装置〔(株)島津製作所社製、品番:TGA−50〕で測定した。なお、ポリマーの被覆率は、昇温速度10℃/分、空気雰囲気下で100℃から500℃に昇温し、式:
〔ポリマーの被覆率〕
=〔(100℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量)−(500℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量)〕÷〔100℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量〕×100
に基づいて求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Aにおけるポリマーの被覆率は、5.7質量%であった。
実施例2
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕1.1g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Bを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体B100g、20アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Bが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロへキシルメタクリレート7gおよびメチルメタクリレート3gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物とアセトン100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Bに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Bを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Bにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Bにおけるポリマーの被覆率は、7.4質量%であった。
実施例3
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕1.1g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Cを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体C100g、アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.2gおよび水200gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Cが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロへキシルメタクリレート10gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物と酢酸エチル100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Cに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Cを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Cにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Cにおけるポリマーの被覆率は、8.6質量%であった。
実施例4
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.22g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Dを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体D100g、20質量%に希釈したアニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.5gおよび水200gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Cが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロへキシルメタクリレート5gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.025gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物とアセトン100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Cに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Dを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Dにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Dにおけるポリマーの被覆率は、2.5質量%であった。
実施例5
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.55g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Eを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体E100g、アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Eが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロヘキシルメタクリレート1.0gおよびメチルメタクリレート10gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.05gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物とアセトン100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Eに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Eを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Eにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Eにおけるポリマーの被覆率は、3.3質量%であった。
実施例6
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.33g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Fを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体F100g、アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水200gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Cが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロヘキシルメタクリレート6gおよび2−エチルヘキシルアクリレート4gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.02gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物と酢酸エチル100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Fに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Fを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Fにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Fにおけるポリマーの被覆率は、6.5質量%であった。
実施例7
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−50−K、平均粒子径:1.1μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.55g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Gを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体G100g、アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Cが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロヘキシルメタクリレート2.2gおよび2−エチルヘキシルアクリレート1.1gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.007gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに2.5mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物とアセトン100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Gに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Gを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Gにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Gにおけるポリマーの被覆率は、3.1質量%であった。
実施例8
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−50−K、平均粒子径:1.1μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.55g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Hを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体H100g、アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Cが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロヘキシルメタクリレート4.5gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.05gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物と酢酸エチル100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Hに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Hを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Hにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Hにおけるポリマーの被覆率は、4.3質量%であった。
実施例9
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−50−K、平均粒子径:1.1μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕1.54g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Iを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体I100g、アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水200gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体Cが均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロヘキシルメタクリレート2.5gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.05gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物と酢酸エチル100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Iに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Iを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Iにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Iにおけるポリマーの被覆率は、2.2質量%であった。
比較例1
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.55g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体を得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体100g、20%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液5gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロへキシルメタクリレート12gおよび2−エチルヘキシルアクリレート8gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.20gを水10mLに溶解させた水溶液をフラスコ内に一括して添加し、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、沈降物を洗浄するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物と酢酸エチル100gとを混合し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去することにより、塊状の湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに載せ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をバットから取り出したところ、この乾燥物は、塊状であるため、カッターミルで粉砕することができなかった。
比較例2
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕3.3g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Jを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体J100g、20%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロへキシルメタクリレート6gおよび2−エチルへキシルアクリレート4gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、沈降物を洗浄するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物と酢酸エチル100gとを混合し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をバットから取り出したところ、塊状を有するため、カッターミルで粉砕することができなかった。
比較例3
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.55g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Kを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体K100g、20%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロへキシルメタクリレート6gおよび2−エチルへキシルアクリレート4gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.75gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、沈降物を洗浄するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物と酢酸エチル100gとを混合し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Kを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Kにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして測定したところ、ポリマーの被覆率は0.02質量%であった。
比較例4
攪拌装置を備えた300mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、メタノール110gおよび酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕110gを入れ、酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように15分間攪拌した。
次に、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.055g、25質量%アンモニア水溶液1.1gおよび水5.5gを前記フラスコ内に仕込み、このフラスコを50℃の温浴に入れ、フラスコの内容物を酸化アルミニウム粒子が均一に分散するように4時間撹拌した。前記フラスコを約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール100gを添加し、攪拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、70℃の温度で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕することにより、前処理粉体Lを得た。
300mL容のセバラブルフラスコ内に、前記で得られた前処理粉体L100g、アニオン性界面活性剤として20質量%ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.8gおよび水300gを添加した後、フラスコの内容物を前処理粉体が均一に分散するように30分間攪拌した。その後、フラスコ内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気にし、シクロへキシルメタクリレート7gおよびメチルメタクリレート3gを添加し、攪拌しながら窒素ガス気流下で70℃に昇温した。
次に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた水溶液を初期および10分間ごとに1mLずつフラスコ内に滴下しながら重合反応を行なった。滴下終了後、70℃の温度で3時間攪拌しながら重合反応を行なった後、フラスコの内温を50℃以下に冷却し、約10時間放置した。フラスコの内容物が沈降物と上澄みとに分離しているので、デカンテーションによって上澄み液を除去した。
次に沈降物、水100gおよびイソプロピルアルコール50gを混合し、界面活性剤、残存している重合開始剤などの水溶性不純物、残存しているモノマーなどを除去するために攪拌し、しばらく静置した後、デカンテーションによって上澄み液を除去した。その後、得られた沈降物とアセトン100gとを混合し、しばらく静置した後、前処理粉体Lに付着していないポリマーを除去するためにデカンテーションによって上澄み液を除去することにより、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製のバットに広げ、50℃の真空乾燥機で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた固結乾燥物をバットから取り出し、カッターミルで粉砕し、さらに乳鉢で粉砕し、スパチュラで擦ることにより目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆無機粒子Lを得た。
前記で得られたポリマー被覆無機粒子Lにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Lにおけるポリマーの被覆率は、0.2質量%であった。
比較例5
ポリマー被覆無機粒子の代わりに、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕を用いた。
比較例6
ポリマー被覆無機粒子の代わりに、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−50−K、平均粒子径:1.1μm〕を用いた。
次に、各実施例または各比較例で得られたポリマー被覆無機粒子および比較例5で得られた未処理粉体の物性を以下の方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
〔ポリマー被覆粒子の撥水持続性〕
20℃の水約5mLを入れた10mL容のキャップ付きガラス製スクリュー管内にポリマー被覆粒子約20mgを入れ、そのままの状態で16時間放置した後、ポリマー被覆粒子の浮沈状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:ポリマー被覆粒子が水面に完全に浮いており、ビーカーを水平方向に5mm程度揺すってもポリマー被覆粒子は沈降しない。
〇:ポリマー被覆粒子が水面に完全に浮いており、ビーカーを水平方向に5mm程度揺するとポリマー被覆粒子がわずかに沈降する。
△:ポリマー被覆粒子が水中に沈降していることが認められる。
×:ポリマー被覆粒子の大半が水中に完全に沈降していることが認められる。
〔疎水性有機溶媒における浮遊性〕
イソホロン100gを200mL容の蓋付きのガラス瓶に入れ、このガラス瓶にポリマー被覆無機粒子10gを入れ、さらにガラスビーズ10gを入れた後、ペイントシェーカーで15分間ガラス瓶を振動させることにより、ポリマー被覆無機粒子のイソホロン分散体を得た。
前記で得られたイソホロン分散体80gを100mL容のガラス製サンプル管に入れ、厳重にキャップをし、25℃の恒温水槽に入れて静置して目視にて観察し、液面に厚さが1cmの透明層が現れるのに要する時間を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:24時間経過しても厚さが1cmの透明層が現れない(浮遊性に優れている)。
○:1時間以上24時間未満の経過時間で厚さが1cmの透明層が現れる(浮遊性が良好)。
△:1時間未満の経過時間で厚さが1cmの透明層が現れる(浮遊性が不良)。
×:透明層の測定ができない。
〔ポリマー被覆粒子の平均粒子径および粒度分布〕
ポリマー被覆無機粒子および原料用いられた無機粒子をそれぞれ少量採取し、イソホロンに分散させた後、得られた分散体を用いて(株)堀場製作所製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(品番:HORIBA LA−910)を用いて各平均粒子径を求めた。原料として用いられた無機粒子の粒度分布とポリマー被覆粒子の粒度分布とを対比し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(粒度分布の評価基準)
B:ポリマー被覆粒子の平均粒子径のピークが、原料として用いられた無機粒子の平均粒子径のピークの数100μmの範囲内に存在する。
S:ポリマー被覆粒子の平均粒子径のピークが、原料として用いられた無機粒子の平均粒子径のピークの1〜2.5倍の範囲内に存在する(但し、前記Bは除く)。
表1に示された結果から、各実施例で得られたポリマー被覆無機粒子は、いずれも、撥水持続性および浮遊性に優れており、分散媒に分散させても、沈降しがたいことがわかる。
したがって、各実施例で得られたポリマー被覆無機粒子は、例えば、塗料、顔料、接着剤、トナー、化粧料などの用途に用いることが期待されるほか、電気表示装置用粒子などとして用いることにも期待されるものである。

Claims (4)

  1. 無機粒子をカップリング剤と接触させることによって当該無機物粒子をカップリンク剤で処理した後、当該カップリンク剤で処理された無機粒子および界面活性剤の存在下でモノマー成分を水性溶媒中で重合させることによってポリマーが被覆された無機粒子を製造する方法であって、無機粒子をカップリング剤と接触させることによって当該無機粒子をカップリンク剤で処理する際にカップリング剤を無機粒子100質量部あたり0.01〜2質量部の割合で用い、モノマー成分を重合させる際に重合開始剤を用い、モノマー成分100質量部あたりの重合開始剤の量を0.001〜1質量部に調整するとともに、モノマー成分の重合を開始させる際に用いられる重合開始剤の量を重合開始剤全量の1〜10質量%に調整することを特徴とするポリマーが被覆された無機粒子の製造方法。
  2. 無機粒子100質量部あたりの界面活性剤の量が0.01〜0.5質量部である請求項1に記載のポリマーが被覆された無機粒子の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法によって得られたポリマーが被覆された無機粒子。
  4. ポリマーが被覆された無機粒子をイソホロンに分散させ、遊離したポリマーが2万〜200万の重量平均分子量を有する請求項3に記載のポリマーが被覆された無機粒子。
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