JP2013221036A - ポリマーが被覆された無機粒子の製造方法 - Google Patents

ポリマーが被覆された無機粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】核粒子として比重が樹脂粒子よりも大きい無機粒子が用いられ、ポリマーの被覆量が少量であるにもかかわらず、分散媒(溶媒、モノマーなど)に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れた、ポリマーが被覆された無機粒子を製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】無機粒子の表面にポリマーが被覆された無機粒子を製造する方法であって、カップリング剤として重合性基を有する加水分解性カップリング剤を用い、当該カップリング剤を水性媒体中で加水分解させたカップリング剤溶液と無機粒子とを混合し、得られた混合物中で界面活性剤の存在下でモノマー成分を重合させることを特徴とするポリマーが被覆された無機粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマーが被覆された無機粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、本願発明は、塗料、接着剤、トナー、化粧料、光学材料、電子材料などに有用なポリマーが被覆された無機粒子の製造方法に関する。
核となる粒子(以下、核粒子という)の表面がポリマーで被覆された粒子、いわゆるポリマー被覆粒子は、例えば、反射材、顔料、接着剤、トナー、化粧料などの用途に用いられている。近年、ポリマー(樹脂)被覆粒子は、金属メッキ粒子、異方導電性粒子、ボンド磁石用磁性粒子、液晶表示装置用スペーサー粒子などとして光学材料、電子材料などの技術分野で使用することが検討されている。
核粒子の表面をポリマー層で被覆するポリマー被覆粒子を製造する方法として、
(1)溶媒として、親水性の有機溶剤および水を含み、水の含有率が5〜40質量%である溶媒を用い、核粒子として、ラジカル重合に先立ち、重合性反応基を有するカップリング剤と混合しておいた核粒子を用い、モノマー成分として、親水性モノマーと疎水性モノマーとからなり、親水性モノマーの配合割合が0.6〜30質量%であるモノマー成分を用い、重合開始剤として水溶性重合開始剤を用い、溶媒中のモノマー成分の濃度が1.0質量%以上であることを特徴とするポリマー被覆粒子の製造方法(例えば、特許文献1参照)、
(2)溶媒として、親水性の有機溶剤および水を含み、水の含有率が70質量%以上である溶媒または水を用い、核粒子として、ラジカル重合に先立ち、重合性反応基を有する核粒子を用い、重合開始剤として水溶性重合開始剤を用いることを特徴とする樹脂被覆粒子の製造方法(例えば、特許文献2参照)、
(3)二重結合を含むシラン化合物で蛍光体の表面を表面処理する段階と、前段階で表面処理された蛍光体、モノマー及び重合開始剤を混合した後、前記蛍光体の表面から前記モノマーを重合させて前記蛍光体の表面に高分子膜を形成する段階とを含むことを特徴とする蛍光体の流動特性の制御方法(例えば、特許文献3参照)
などが提案されている。
前記(1)および(2)の製造方法ならびに前記(3)の制御方法は、いずれも、モノマー成分の重合率およびポリマーの被覆効率に優れるという利点を有する。
しかし、近年、核粒子として比重が樹脂粒子よりも大きい無機粒子が用いられたポリマー被覆無機粒子であって、分散媒(溶媒、モノマーなど)に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れ、少量のポリマーで効率よく被覆された無機粒子を製造することができる方法の開発が待ち望まれている。
特開2005−120365号公報 特開2005−342563号公報 特開2008−111112号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、核粒子として比重が樹脂粒子よりも大きい無機粒子が用いられ、ポリマーの被覆量が少量であるにもかかわらず、分散媒(溶媒、モノマーなど)に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れた、ポリマーが被覆された無機粒子を製造することができる方法を提供することを課題とする。
本発明は、無機粒子の表面にポリマーが被覆された無機粒子を製造する方法であって、カップリング剤として重合性基を有する加水分解性カップリング剤を用い、当該カップリング剤を水性媒体中で加水分解させたカップリング剤溶液と無機粒子水分散体とを混合し、得られた混合物中で界面活性剤の存在下でモノマー成分を重合させることを特徴とするポリマーが被覆された無機粒子の製造方法に関する。
本発明のポリマーが被覆された無機粒子の製造方法によれば、核粒子として比重が樹脂粒子よりも大きい無機粒子が用いられ、ポリマーの被覆量が少量であるにもかかわらず、分散媒(溶媒、モノマーなど)に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れた、ポリマーが被覆された無機粒子を製造することができるという優れた効果が奏される。
本発明のポリマーが被覆された無機粒子(以下、ポリマー被覆無機粒子という)の製造方法は、前記したように、無機粒子の表面にポリマーが被覆された無機粒子を製造する方法であり、カップリング剤として重合性基を有する加水分解性カップリング剤を用い、当該カップリング剤を水性媒体中で加水分解させたカップリング剤溶液と無機粒子水分散体とを混合し、得られた混合物中で界面活性剤の存在下でモノマー成分を重合させることを特徴とする。
本発明においては、核粒子としては、無機粒子が用いられる。無機粒子としては、例えば、無機酸化物粒子、金属粒子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
無機酸化物粒子を構成する無機酸化物としては、例えば、ガラス、シリカなどをはじめ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズ、酸化クロム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ユーロピウムなどのランタニウム系希土類金属で賦活した金属酸化物、それらの複合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの無機酸化物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。無機酸化物粒子として、1種類の無機酸化物粒子を用いてもよく、2種類以上の無機酸化物粒子を併用してもよい。また、無機酸化物粒子として、シリカが被覆された銅粒子、アルミナが被覆された銅粒子、ジルコニアが被覆された銅粒子などの無機酸化物が被覆された金属粒子を用いることができる。無機酸化物粒子のなかでは、ガラス粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、イットリア粒子などの金属酸化物粒子が好ましい。
また、無機粒子は、蛍光体粒子であってもよい。蛍光体としては、例えば、Y23:Eu、Y3Al512、(Y,Gd)BO3:Eu、Y2SiO5:Eu、Y3Al512:Eu、YVO4:Eu、Zn3(PO42:Mn、Y22S:Eu、Sr2Si7Al3ON13:Eu、La22S:Euなどの赤色蛍光体;CaMgSi26:Eu、Y2SiO5:Ce、BaMgAl1017:Eu、BaMgAl1423:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO46Cl2:Eu、Y2SiO5:Ce、(Zn,Cd)S:Ag、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu,Sr10(PO46Cl2:Euなどの青色蛍光体;Y2SiO5:Tb、BaMgAl1017:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、LaPO4:(Ce,Tb)、Y3(Al,Ga)512:Tbなどの緑色蛍光体;YAG:Ce、Ca−α−SiAlON:Eu、AlN:Eu,Si、(Ba,Sr,Mg)2SiO4:Eu,Mnなどの黄色〜橙色蛍光体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、無機酸化物粒子は、樹脂粒子、金属粒子などの粒子を核粒子とし、その表面が無機酸化物で被覆されている複合粒子であってもよい。前記樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記金属粒子を構成する金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミニウム、イリジウムなどの貴金属、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、モリブデン、アンチモン、タングステンなどの卑金属、これらの金属を含む合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
金属粒子に用いられる金属としては、例えば、金、銀、白金、イリジウムなどの貴金属、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、タングステン、ロジウム、パラジウム、亜鉛、ルビジウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、オスミウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの金属は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、金属粒子として、1種類の金属粒子を用いてもよく、2種類以上の金属粒子を併用してもよい。
なお、金属粒子は、無機酸化物粒子、樹脂粒子などの粒子を核粒子とし、その表面が金属で被覆されている複合粒子であってもよい。前記無機酸化物粒子を構成する無機酸化物としては、例えば、ガラス、シリカなどをはじめ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズ、酸化クロム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ランタニウム系希土類金属酸化物などの希土類金属酸化物、それらの複合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
無機粒子の形状としては、例えば、球状、楕円形状、破砕状、板状、柱状などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。無機粒子の形状は、ポリマー被覆無機粒子の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
無機粒子の平均粒子径は、無機粒子同士の凝集を防止する観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、さらに好ましくは300nm以上、さらに一層好ましくは500nm以上であり、撹拌による分散時における無機粒子の浮遊性を向上させる観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、さらに一層好ましくは10μm以下である。
また、本発明の製造方法によって得られるポリマー被覆無機粒子は、その粒子径が大きくても分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れている。したがって、従来、粒子径が大きいことから分散媒に長時間分散させることが困難であるとされている無機粒子、例えば、真比重が2以上、好ましくは2.5以上であり、平均粒子径が0.2μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上である無機粒子を用いることができる。したがって、本発明は、粒子径が大きい無機粒子が用いられているポリマー被覆無機粒子の分散安定性に優れるという利点を有する。
なお、無機粒子の平均粒子径は、例えば、水またはメタノールなどの親水性溶媒中に無機粒子を攪拌させることによって分散させたものを素早く採取し、(株)堀場製作所製、商品名:粒度分布測定装置LA910を用いて体積平均粒子径として求めることができる。なお、無機粒子として金属粒子を用いる場合、当該金属粒子のなかには、真比重が8を超えるものがある。このように真比重が高い金属の場合には、前記装置を用いて体積平均粒子径を測定しがたいことがある。そのような場合には、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて無機粒子を観察し、球状粒子についてはその直径、楕円形粒子についてはその単径と長径との中間値、不定形粒子については短辺と長辺との中間値を求め、当該粒子の粒子径分布を作成し、その粒子径分布に基づいて粒子径の平均値を求め、この平均値を金属粒子の平均粒子径とすることができる。
本発明においては、カップリング剤として、重合性基を有する加水分解性カップリング剤が用いられる。
重合性基を有する加水分解性カップリング剤(以下、単に「カップリング剤」ともいう)としては、例えば、ビニル基を有する加水分解性カップリング剤、アリル基を有する加水分解性カップリング剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカップリンク剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニル基を有するカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ジメチルビニルメトキシシランなどのビニル基含有アルコキシシラン、ビニルトリフルオロシラン、ジメチルビニルフルオロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルビニルクロロシランなどのビニル基含有ハロゲン化シラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどのメタクリロイルオキシ基含有シラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのビニル基およびアミノ基含有シラン、イソプロピルジアクリロイルイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネートなどのアクリロイル基またはメタクリロイル基含有チタネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカップリング剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アリル基を有するカップリング剤としては、例えば、アリルジメチルピペリジノメチルシラン、アリルクロロジメチルシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメチルシランなどのアリル基含有シランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカップリング剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カップリング剤は、使用されるモノマー成分の種類に応じて適宜選択して用いることが好ましい。例えば、モノマー成分とカップリング剤との反応性を高める観点から、(メタ)アクレートを主成分として含有するモノマー成分を用いる場合には、カップリング剤として(メタ)アクリロイルオキシ基含有シランが好ましく、スチレンを主成分とするモノマー成分を用いる場合には、ビニル基またはアリル基が直接ケイ素原子に結合しているカップリング剤が好ましい。
無機粒子100質量部あたりのカップリング剤の量は、無機粒子の比表面積などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、無機粒子の表面をポリマーで十分に被覆し、浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、0.01質量部以上、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、カップリンク剤の自己縮合を抑制し、浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、2質量部以下、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
カップリング剤は、水性媒体中で加水分解させた後に、無機粒子と混合する。カップリング剤の加水分解の際に用いられる水性媒体としては、例えば、水をはじめ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アリルアルコールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどの脂肪族有機酸アルキルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテルなどの親水性有機溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水性溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの水性媒体のなかでは、カップリング剤を加水分解させ、生成した水酸基を介して無機粒子に強固に付着させる観点から、水および水と親水性有機溶媒との混合溶媒が好ましく、水および親水性有機溶媒の含有率が10質量%以下である水と親水性有機溶媒との混合溶媒がより好ましい。また、重合時のミセルの安定性を向上させる観点から、水単独の使用がさらに好ましい。
なお、カップリング剤を加水分解させる際には、加水分解の効率を向上させる観点から、例えば、酢酸、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などのpH調整剤を用いて前記水性媒体が酸性または塩基性を呈するように調整することが好ましい。前記水性媒体のpHは、シランカップリング剤の加水分解を効率よく行なう観点から、通常、3〜6.5程度または7.5〜10程度であることが好ましく、シランカップリング剤の加水分解縮合によって生成するオリゴマーの生成を抑制する観点から、3〜6.5程度であることがより好ましい。
カップリング剤を加水分解させる際の水性媒体の量(S1)は、特に限定されないが、水性媒体中における無機粒子の分散性を向上させる観点およびシランカップリング剤による処理効率を高める観点から、カップリング剤1質量部あたり50〜1000質量部程度であることが好ましく、50〜200質量部程度であることがより好ましい。このカップリング剤を加水分解させる際の水性媒体の量(S1)は、無機粒子を分散する水性分散媒の量(S2)に対して少量であることが好ましい。無機粒子を分散する水性分散媒の量(S2)とカップリング剤を加水分解させる際の水性媒体の量(S1)との比(S2/S1)は、好ましくは1/2以下、より好ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/4以下である。
また、加水分解されたカップリング剤溶液と無機粒子分散液とを混合する際には、無機粒子にカップリング剤を効率よく付着させる観点から、前記混合物の温度を0〜80℃程度に調整することが好ましい。
加水分解されたカップリング剤溶液を調製する際には、水性媒体に所定量のカップリング剤を添加し、得られた混合物を十分に撹拌することが好ましい。カップリング剤は、そのままの状態では液滴として沈降しやすいことから、攪拌によって水性媒体に分散させ、カップリング剤と水性媒体とを接触させることが好ましい。撹拌方法としては、例えば、撹拌子を用いてマグネットスターラーなどで撹拌する方法、スクリューなどの撹拌機を用いて撹拌する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。この撹拌により、室温でも比較的速やかにカップリング剤が加水分解し、水性媒体に溶解する。この撹拌に要する時間は、特に限定されないが、通常、5分間〜5時間程度であればよい。
なお、水性媒体が水のみである場合やメタノールなどのアルコールを含む水性媒体である場合には、撹拌時間は、オリゴマーの生成量を抑制する観点から、あまり長くならないようにすることが好ましい。また、水性媒体におけるアルコールの含有量は、ミセルの安定性を向上させる観点から、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。
次に、加水分解されたカップリング剤溶液と無機粒子とを混合する際には、加水分解されたカップリング剤溶液と無機粒子とが効率よく均一に接触させる観点から、無機粒子分散液を撹拌しながら、当該無機粒子分散液に加水分解されたカップリング剤溶液を添加することが好ましい。このとき、無機物粒子分散液には、あらかじめ乳化剤が分散されていてもよく、あるいは加水分解されたカップリング剤溶液と無機物粒子分散液とを混合した後に乳化剤を分散させてもよい。無機粒子分散液に加水分解されたカップリング剤溶液を添加する方法としては、例えば、無機粒子分散液に加水分解されたカップリング剤溶液を一括して添加する方法、無機粒子分散液に加水分解されたカップリング剤溶液を滴下して添加する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、添加後の攪拌時間は、特に限定されないが、好ましくは20分間〜16時間程度、より好ましくは30〜120分間程度である。撹拌方法としては、例えば、撹拌子を用いてマグネットスターラーなどで撹拌する方法、スクリューなどの撹拌機を用いて撹拌する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、カップリンク剤を加水分解させずにそのままの状態で無機粒子および界面活性剤と混合した後に、カップリング剤を加水分解させた場合には、カップリング剤がミセルの内部に取り込まれるため、カップリング剤およびその外側の水とが接触がしがたくなって加水分解が容易に進行しなくなるため、モノマー成分を重合させても生成するポリマーは、無機粒子に結合されがたいことから、洗浄の際に除去されるので、分散媒における浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得ることができない。
以上のようにして加水分解されたカップリング剤溶液と無機粒子とを界面活性剤の存在下で混合することにより、加水分解されたカップリング剤溶液中の加水分解されたカップリング剤およびそのオリゴマーが無機粒子表面に付着し、カップリング剤で被覆された無機粒子の分散体が得られる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられ、これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの界面活性剤のなかでは、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、イオン性基を有する高分子界面活性剤などのイオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネート、ナトリウムアルキルジフェニルエーテルジスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩;ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレートスルホネート塩、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩;アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩などのアリル基を有する硫酸エステルまたはその塩;アリルオキシメチルアルコキシエチルポリオキシエチレンの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
両性界面活性剤としては、例えば、ベタインエステル型界面活性剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
無機粒子100質量部あたりの界面活性剤の量は、モノマー成分の重合安定性を向上させる観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、モノマー成分を効率よく無機粒子に付着させる観点から、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。
界面活性剤は、そのままの状態で用いてもよく、あるいは水などの前記水性媒体に溶解させ、例えば、濃度が5〜30質量%程度の溶液として用いてもよい。
次に、例えば、加水分解されたカップリング剤溶液と無機粒子と界面活性剤と水性媒体とを混合した後、得られた混合物中にモノマー成分を添加し、当該モノマー成分を重合させることにより、ポリマー被覆無機粒子を調製することができる。
モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、アリル酢酸、アリルアルコール、アリルクロライド、アリルアミド、アリルイソシアネート、メチルビニルメチルケトン、酢酸ビニル、ビニルクロライド、ビニルエチルエステル、ビニルエチルケトンなどの親水性モノマー;スチレン、ジビニルベンゼン、メチルスチレン、ヘキセン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルチルアクリレート、ペンチルチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、アルキル基の炭素数が12または13のアルキルアクリレート、アルキル基の炭素数が12または13のアルキルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、べヘニルアクリレート、べヘニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、トリブチルシリルアクリレート、トリブチルシリルメタクリレート、トリイソプロピルシリルアクリレート、トリイソプロピルシリルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、トリフルオロプロピルアクリレートトリフルオロプロピルメタクリレート、式:
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基、R2は炭素数1〜5のアルキレン基、Xはビニル基または(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、nは6〜100の整数を示す)
で表わされる片末端に重合性反応基を有するジメチルポリシロキサンなどの疎水性モノマーが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、疎水性モノマーは、20℃の水に対する溶解度が1.60質量%以下であるモノマーを意味し、親水性モノマーとは、20℃の水に対する溶解度が1.60質量%を超えるモノマーを意味する。
モノマー成分における疎水性モノマーの含有率は、モノマー成分に用いられる疎水性モノマーおよび親水性モノマーの種類によって異なるので一概には決定することができない。しかし、疎水性分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、共重合させることによって得られるポリマーが充分な撥水性を示すようにする観点から、20℃の水に対するモノマー成分全体の溶解度が1.6質量%以下となるのに要する量で疎水性モノマーがモノマー成分に含まれていることが好ましく、モノマー成分における疎水性モノマーの含有率が90〜100質量%であることがより好ましく、98〜100質量%であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
モノマー成分は、加水分解されたカップリング剤溶液と無機粒子と界面活性剤と水性媒体との混合物に一括して添加してもよく、あるいは分割して添加してもよい。また、モノマー成分は、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、重合開始剤を添加する前に前記混合物に添加しておくことが好ましい。
モノマー成分を重合させる際には、水性溶媒を用いることが好ましい。水性溶媒としては、例えば、水などの前記水性溶媒が挙げられる。なお、水性溶媒には、界面活性剤水溶液、重合開始剤水溶液などに含まれている水性媒体も含まれる。水性溶媒のなかでは、モノマー成分の重合性を高め、無機粒子の表面をポリマーで十分に被覆する観点から、水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒が好ましく、親水性有機溶媒の含有率が10質量%以下である水と親水性有機溶媒との混合溶媒がより好ましく、水のみがさらに好ましい。
なお、本発明の目的が阻害されない範囲内で、水性溶媒以外に疎水性有機溶媒を用いてもよい。疎水性有機溶媒としては、例えば、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、へキサン、シクロへキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、石油エーテル、テルペン、ヒマシ油、大豆油、パラフィン、ケロシンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
無機粒子100質量部あたりの水性溶媒の量は、当該カップリンク剤で処理された無機粒子が均一に分散するようにする観点および生産効率を向上させる観点から、少量であることが好ましく、無機粒子の真比重によって異なるが、通常、10〜500質量部程度であることがより好ましい。
モノマー成分を水性溶媒中で重合させる際には、無機粒子が均一に分散するようにするために、前記混合物を撹拌することが好ましい。
モノマー成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤を効率よく使用する観点から、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
モノマー成分を重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。また、モノマー成分の重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜8時間程度である。
モノマー成分を重合させる際には、重合開始剤を前記混合物に一括して添加してもよく、分割して添加してもよい。重合開始剤を分割して添加した場合には、ポリマー被覆無機粒子におけるポリマーの付着量が多くなり、核粒子として比重が比較的高い無機粒子が用いられているにもかかわらず、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得ることができる。
なお、本発明の目的が阻害されない範囲内であれば、重合反応を開始させる前に、重合開始剤を前記混合物に適量で添加してもよい。
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などの水溶性アゾ重合開始剤;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)などの油溶性アゾ重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤のなかでは、水溶性重合開始剤が好ましく、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレートなどの水溶性アゾ重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムおよび過酸化水素がより好ましい。
モノマー成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応のモノマー成分の残存量を低減させる観点から、0.01質量部以上、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、1質量部以下、好ましくは0.6質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
なお、重合開始剤は、その添加量の微調整が容易であることから、水溶液の状態で用いることが好ましい。重合開始剤水溶液における重合開始剤の濃度は、特に限定されないが、通常、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5質量%である。
重合開始剤を分割して添加する方法としては、例えば、重合開始剤水溶液を0.3〜5mLの量で3〜15分間ごとに前記混合物に添加する方法、重合開始剤水溶液の液滴を60〜90分間かけて前記混合物に連続的にまたは間欠的に滴下する方法、重合開始剤を5〜30分割しておき、分割された各重合開始剤を3〜15分間ごとに前記混合物に添加する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。これらの方法のなかでは、分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、重合開始剤水溶液を0.3〜5mLの量で3〜15分間ごとに前記混合物に添加する方法が好ましい。
以上のようにしてモノマー成分を重合させることにより、分子鎖が長いポリマーで無機粒子の表面が被覆されたポリマー被覆無機粒子を含有する反応混合物が得られる。
得られたポリマー被覆無機粒子は、例えば、反応混合物を静置することによって沈降させ、上澄み液をデカンテーションによって除去することによって回収することができるほか、反応混合物をフィルターで濾過することによって回収することができる。本発明は、反応混合物からポリマー被覆無機粒子を回収する方法によって限定されるものではない。
回収されたポリマー被覆無機粒子は、そのままの状態で用いることができるが、未反応のモノマー成分、重合開始剤、界面活性剤などがポリマー被覆無機粒子に付着していることがあるので、必要により、前記水性溶媒などで洗浄することが好ましい。また、ポリマー被覆無機粒子は、湿潤状態でも用いることができるが、乾燥させて用いることが好ましい。湿潤状態にあるポリマー被覆無機粒子を乾燥させる場合、例えば、減圧乾燥法、加熱乾燥法、熱風乾燥法、噴霧乾燥法などの乾燥方法でポリマー被覆無機粒子を乾燥させることができる。前記乾燥は、仮接合状態にあるカップリング剤と無機粒子表面との間の接合を脱水によって共有結合化させるので、好ましい。
また、得られたポリマー被覆無機粒子は、水または水性液で洗浄し、水溶性不純物を除去した後、ポリマー被覆無機粒子の表面に存在しているポリマーの良溶媒で洗浄することにより、ポリマー被覆無機粒子に結合していないポリマーを除去することが好ましい。
なお、ポリマー被覆無機粒子を良溶媒で洗浄した際に、ポリマー被覆無機粒子に存在しているポリマー同士が絡み合い、ポリマー被覆無機粒子を乾燥させたときに、ポリマー被覆無機粒子が塊状物になることがある。その場合には、例えば、解砕機や粉砕機などを用いて当該塊状物を粉砕し、例えば、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下の粒子径を有する粉体とすることにより、分散媒に容易に分散させることができる。その際には、例えば、ペイントシェーカー、ボールミルなど分散機を用いて前記粉体にせん断応力を加えて分散媒中に分散させることにより、ポリマー被覆無機粒子の浮遊性に優れた分散体を得ることができる。
したがって、本発明の製造方法によって得られたポリマー被覆無機粒子は、必ずしも各粒子がそれぞれ凝集せずに分散している必要がなく、ポリマー被覆無機粒子同士が凝集していてもよい。
なお、ポリマー被覆無機粒子を乾燥させた場合、当該ポリマー被覆無機粒子同士が凝集することがあるが、その場合には、例えば、カッターミル、フラッシュミル、ピンミルなどの粉砕機を用いてその凝集物を粉砕させることが好ましい。
また、ポリマー被覆無機酸化物粒子がその用途に適した粒子径を有するようにするために、必要により、ポリマー被覆無機酸化物粒子をメッシュにかけることにより、ポリマー被覆無機酸化物粒子の粒子径を制御してもよい。
ポリマー被覆無機酸化物粒子におけるポリマーの被覆率は、熱分析によって求めることができる。より具体的には、ポリマー被覆無機粒子におけるポリマーの被覆率は、例えば、熱分析装置として熱重量測定装置〔(株)島津製作所社製、品番:TGA−50〕を用い、昇温速度10℃/分、空気雰囲気下で100℃から500℃に昇温し、式:
〔ポリマーの被覆率〕
=〔(100℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量)−(500℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量)〕÷〔100℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量〕×100
に基づいて求めることができる。
ポリマー被覆無機粒子におけるポリマーの被覆率は、ポリマー被覆無機粒子の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、その用途などに応じて適宜決定することができる。本発明のポリマー被覆無機粒子の製造方法によって得られたポリマー被覆無機粒子におけるポリマーの被覆率は、通常、1〜10質量%程度である。
得られたポリマー被覆無機粒子に含まれるポリマーの重量平均分子量は、当該ポリマーが無機粒子に固定化されているため、直接的に測定することが困難であるが、ポリマー被覆無機粒子を溶媒(例えば、イソホロンなど)に後述のようにして分散させると、ポリマー被覆無機粒子に完全には固定化されていない遊離ポリマーおよび当該分散の際の剪断応力によってポリマーの一部が切断され、当該切断されたポリマーが溶媒に遊離する。したがって、この遊離したポリマーの分子量をポリマー被覆無機粒子が有するポリマーの分子量の指標とすることができる。
なお、本明細書にいう「ポリマー被覆無機粒子をイソホロンに分散させ、遊離したポリマーの重量平均分子量」は、ポリマー被覆無機粒子をイソホロンに分散させることによって得られた分散体を用いてゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定された分子量分布曲線において、当該分子量分布曲線のピークに位置する分子量(重量平均分子量)を意味する。
ポリマー被覆無機粒子をイソホロンに分散させ、遊離したポリマーは、例えば、溶媒、モノマーなどの分散媒に添加したときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れたポリマー被覆無機粒子を得る観点から、2万〜200万、好ましくは5万〜100万の重量平均分子量を有することが望ましい。
また、ポリマー被覆無機粒子に被覆されているポリマー層の厚さは、特に限定されないが、通常、10〜100nm程度の範囲内にある。したがって、ポリマー被覆無機粒子の直径は、乾燥状態では無機粒子の直径と当該ポリマー層の全厚さとの和にほぼ等しい。しかし、ポリマー被覆無機粒子を分散媒中に分散させた場合には、ポリマー被覆無機粒子のポリマー鎖が長くなるとともに、分散媒を含んでポリマー被覆無機粒子の外部方向に拡がるので、分散媒中ではポリマー被覆無機粒子の粒子径は、見かけ上、実際の粒子径よりも大きくなり、浮遊性が向上するものと考えられる。
以上のようにして得られたポリマー被覆無機粒子は、核粒子として比重が比較的高い無機粒子が用いられており、さらにポリマー被覆無機粒子におけるポリマー量が無機粒子の15質量%以下、好ましくは10質量%以下と少量であるにもかかわらず、分散媒に分散させたときに経時とともに沈降しがたく浮遊性に優れるという優れた性質を有する。
本発明の製造方法によって得られたポリマー被覆無機粒子は、分散媒に分散させることによって用いることができる。
ポリマー被覆無機粒子を分散させるのに好適な分散媒としては、例えば、疎水性有機溶媒、疎水性モノマー、常温で流動性を有する樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの分散媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。分散媒のなかでは、ポリマー被覆無機粒子の分散性を向上させる観点から、疎水性有機溶媒および疎水性モノマーが好ましい。
疎水性有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソホロン、ジアセトンアルコール、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ペンテン油、トルエン、キシレン、テルペン油、ベンゼン、シクロヘキサノン、ケロシンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの疎水性有機溶媒のなかでは、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソホロン、ジアセトンアルコール、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ペンテン油、トルエン、キシレンおよびテルペン油が好ましく、酢酸ブチル、ヘキシレングリコール、セロソルブアセテート、イソホロン、ジアセトンアルコール、ジエチルケトン、ブチルセロソルブアセテート、メチルイソブチルケトンおよびジイソブチルケトンがより好ましい。
疎水性モノマーとしては、例えば、スチレン、ジビニルスチレンなどの芳香族系モノマー、ペンテンなどの長鎖を有するモノマー、疎水性(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
常温で流動性を有する樹脂としては、例えば、常温で流動性を有する、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド、シリコーン−エポキシ複合樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、アミノ樹脂、ポリエステルなどの疎水性樹脂が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
以上のことから、本発明の製造方法によって得られたポリマー被覆無機粒子は、例えば、塗料、顔料、接着剤、トナー、化粧料などの用途に用いることが期待されるほか、発光ダイオード(LED)などの電気表示装置用粒子などとして用いることにも期待されるものである。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水200g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm、比重:3.9〕100gおよび20質量%に希釈した界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gを添加し、撹拌することによって強制的に分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、酢酸0.02gおよび水40gを添加し、蓋をしてスターラーチップで撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.50gを添加し、常温で240分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に20分間かけて滴下した後、さらに60分間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート6.0gおよび2−エチルへキシルアクリレート4.0gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらに酢酸エチル200gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、さらにもう一度酢酸エチル100gを加えてスパチュラで攪拌した後、吸引濾過し、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、80℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物を乳鉢で粉砕した後、目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Aを得た。
ポリマー被覆粒子Aにおけるポリマーの被覆率を熱重量測定装置〔(株)島津製作所製、品番:TGA−50〕で測定した。なお、ポリマーの被覆率は、昇温速度10℃/分、空気雰囲気下で100℃から500℃に昇温し、式:
〔ポリマーの被覆率〕
=〔(100℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量)−(500℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量)〕
÷〔100℃でのポリマー被覆無機粒子Aの質量〕
×100
に基づいて求めた。その結果、ポリマー被覆無機粒子Aにおけるポリマーの被覆率は、6.9質量%であった。
実施例2
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水300g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕100gおよび20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gを添加し、撹拌することによって分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、酢酸0.05gおよび水40gを添加し、撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕1.0gを添加し、常温で20分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に2分間かけて滴下した後、さらに16時間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート10.0gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.072gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが150μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Bを得た。
ポリマー被覆粒子Bにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は5.6質量%であった。
実施例3
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水300g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕100gおよび20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gを添加し、撹拌することによって分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、酢酸0.027gおよび水40gを添加し、撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.5gを添加し、常温で20分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に20分間かけて滴下した後、さらに翌日まで17時間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート6.0gおよび2−エチルへキシルアクリレート4.0gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で50℃に昇温した。重合開始剤として2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート〔和光純薬工業(株)製、品番:VA−046B〕0.150gをメタノール10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、50℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を30℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。この時点で湿体の一部を採取し、洗浄をせずに、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子を得た。このポリマー被覆粒子におけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は5.9質量%であった。
残りの湿体をさらに酢酸エチル100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Cを得た。
ポリマー被覆粒子Cにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は4.0質量%であった。
実施例4
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水200g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕100gおよび20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gを添加し、撹拌することによって分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、酢酸0.05gおよび水40gを添加し、撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.50gを添加し、常温で60分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に20分間かけて滴下した後、さらに60分間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート6.0gおよび2−エチルへキシルアクリレート4.0gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.020gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに2.5mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらにエタノール100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが150μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Dを得た。
ポリマー被覆粒子Dにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は6.9質量%であった。
実施例5
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水200g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕100gおよび20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.8gを添加し、撹拌することによって分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、25%アンモニア水4gおよび水40gを添加し、撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.50gを添加し、常温で10分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に2分間かけて滴下した後、さらに60分間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート10.0gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.10gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが150μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Eを得た。
ポリマー被覆粒子Eにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は7.6質量%であった。
実施例6
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水200g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−50−K、平均粒子径:1.1μm〕100gおよび20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gを添加し、撹拌することによって分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、酢酸0.02gおよび水12gを添加し、撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕1.0gを添加し、常温で10分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に2分間かけて滴下した後、さらに16時間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート3.3gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.017gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらに酢酸エチル100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Fを得た。
ポリマー被覆粒子Fにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は3.2質量%であった。
実施例7
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水200g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−50−K、平均粒子径:1.1μm〕100gおよび20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.8gを添加し、撹拌することによって分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、酢酸0.05gおよび水40gを添加し、撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕1.0gを添加し、常温で60分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に5分間かけて滴下した後、さらに60分間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート2.5gおよびメチルメタクリレート1.5gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.05gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらに酢酸エチル100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Gを得た。
ポリマー被覆粒子Gにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は3.8質量%であった。
実施例8
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水300g、YAG系蛍光体〔Dalian Luming Light Co.,Ltd社製、品番:LMY−4749CC、平均粒子径:5.0μm、比重:4.7〕100gおよび20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gを添加し、撹拌することによって分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、酢酸0.05gを添加し、撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.50gを添加し、常温で20分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に2分間かけて滴下した後、さらに180分間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート10.0gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらに酢酸エチル100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Hを得た。
ポリマー被覆粒子Hにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は7.1質量%であった。
比較例1
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水240g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕100g、20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gおよびシランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.50gを添加し、撹拌することによって分散させた。
次に、撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に25%アンモニア水溶液30gを20分間かけて滴下することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させることができる量のアルカリを添加した後、さらに60分間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート6.0gおよび2−エチルへキシルアクリレート4.0gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらに酢酸エチル100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが300μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Iを得た。
ポリマー被覆粒子Iにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は0.0質量%であった。これは、カップリング剤が十分に加水分解しなかったことに基づくものと考えられ、疎水性のカップリング剤が界面活性剤によって形成されたミセル中に閉じ込められた状態にあるため、アルカリとの加水分解反応が十分に進行しなかったことに基づくものと推定される。
比較例2
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水240g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕100g、20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.4gを添加し、撹拌することによって分散させた。
次に、シクロへキシルメタクリレート6.0g、2−エチルへキシルアクリレート4.0gおよび架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.5gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.050gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を10分間ごとに1mLずつ滴下した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらに酢酸エチル100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒子Jを得た。
ポリマー被覆粒子Jにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は8.5質量%であった。
比較例3
撹拌装置を備えた500mL容の4つ口セパラブルフラスコ内に、水200g、酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕100gおよび20質量%界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールLA−10〕水溶液0.8gを添加し、撹拌することによって分散させた。
他方、100mL容のガラス瓶に、酢酸0.05gを添加し、撹拌しながら、シランカップリング剤としてメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KBM503〕0.50gを添加し、常温で60分間撹拌することにより、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた水溶液を調製した。
前記で得られた水溶液を撹拌下で前記セパラブルフラスコ内に20分間かけて滴下した後、さらに60分間撹拌した。
次に、シクロへキシルメタクリレート6.0gおよび2−エチルへキシルアクリレート4.0gを前記セパラブルフラスコ内に添加し、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.10gを水10mLに溶解させた重合開始剤溶液を約1分間で全量添加した後、70℃で3時間撹拌することにより、重合反応を行なった。フラスコの内容物を50℃以下に冷却し、約10時間静置したところ、フラスコの底部に固形分が沈降していた。フラスコ内の上澄み液をデカンテーションによって除去した。
次に、フラスコ内にメタノール150gを添加し、しばらく撹拌した後、静置し、上澄み液をデカンテーションによって除去した。さらにアセトン100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらにメタノール100gをフラスコ内に添加し、撹拌下で前記と同様にしてデカンテーションによって上澄み液を除去した。さらに酢酸エチル100gをフラスコ内に添加し、撹拌した後、円形定量濾紙(JIS P3801 5種C、保留粒子径:1μm)を用いて吸引濾過を行ない、湿潤固形物を得た。得られた湿潤固形物をステンレス鋼製の皿に拡げ、60℃で約10時間減圧乾燥させた。その後、得られた乾燥物をフラスコから取り出し、乳鉢で粉砕した後、目開きが100μmの篩を通過させることにより、ポリマー被覆粒Kを得た。
ポリマー被覆粒子Kにおけるポリマーの被覆率を実施例1と同様にして求めたところ、ポリマーの被覆率は1.3質量%であった。
比較例4
ポリマー被覆無機粒子の代わりに、未処理粉体の酸化アルミニウム粒子〔昭和電工(株)製、品番:A−42−2、平均粒子径:4.7μm〕を用いた。
次に、各実施例または各比較例で得られたポリマー被覆無機粒子および比較例4で用いられた未処理粉体の物性として、浮遊性および粒度分布の安定性を以下の方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
〔ポリマー被覆粒子の撥水持続性〕
20℃の水約5mLを入れた10mL容のキャップ付きガラス製スクリュー管内にポリマー被覆粒子約20mgを入れ、そのままの状態で16時間放置した後、ポリマー被覆粒子の浮沈状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:ポリマー被覆粒子が水面に完全に浮いており、ビーカーを水平方向に5mm程度揺すってもポリマー被覆粒子は沈降しない。
〇:ポリマー被覆粒子が水面に完全に浮いており、ビーカーを水平方向に5mm程度揺するとポリマー被覆粒子がわずかに沈降する。
△:ポリマー被覆粒子が水中に沈降していることが認められる。
×:ポリマー被覆粒子の大半が水中に完全に沈降していることが認められる。
〔疎水性有機溶媒における浮遊性〕
イソホロン100gを200mL容の蓋付きのガラス瓶に入れ、このガラス瓶にポリマー被覆無機粒子10gを入れ、さらにガラスビーズ10gを入れた後、ペイントシェーカーで15分間ガラス瓶を振動させることにより、ポリマー被覆無機粒子のイソホロン分散体を得た。
前記で得られたイソホロン分散体80gを100mL容のガラス製サンプル管に入れ、厳重にキャップをし、25℃の恒温水槽に入れて静置して目視にて観察し、液面に厚さが1cmの透明層が現れるのに要する時間を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:24時間経過しても厚さが1cmの透明層が現れない(浮遊性に優れている)。
○:1時間以上24時間未満の経過時間で厚さが1cmの透明層が現れる(浮遊性が良好)。
△:1時間未満の経過時間で厚さが1cmの透明層が現れる(浮遊性が不良)。
×:透明層の測定ができない。
〔ポリマー被覆粒子の平均粒子径および粒度分布〕
ポリマー被覆無機粒子および原料用いられた無機粒子をそれぞれ少量採取し、イソホロンに分散させた後、得られた分散体を用いて(株)堀場製作所製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(品番:HORIBA LA−910)を用いて各平均粒子径を求めた。原料として用いられた無機粒子の粒度分布とポリマー被覆粒子の粒度分布とを対比し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(粒度分布の評価基準)
B:ポリマー被覆粒子の平均粒子径のピークが、原料として用いられた無機粒子の平均粒子径のピークの数100μmの範囲内に存在する。
S:ポリマー被覆粒子の平均粒子径のピークが、原料として用いられた無機粒子の平均粒子径のピークの1〜2.5倍の範囲内に存在する(但し、前記Bは除く)。
表1に示された結果から、各実施例で得られたポリマー被覆無機粒子は、いずれも、撥水持続性および浮遊性に優れており、分散媒に分散させても、沈降しがたいことがわかる。
したがって、各実施例で得られたポリマー被覆無機粒子は、例えば、塗料、顔料、接着剤、トナー、化粧料などの用途に用いることが期待されるほか、電気表示装置用粒子などとして用いることにも期待されるものである。

Claims (4)

  1. 無機粒子の表面にポリマーが被覆された無機粒子を製造する方法であって、カップリング剤として重合性基を有する加水分解性カップリング剤を用い、当該カップリング剤を水性媒体中で加水分解させたカップリング剤溶液と無機粒子水性分散液とを混合し、得られた混合物中で界面活性剤の存在下でモノマー成分を重合させることを特徴とするポリマーが被覆された無機粒子の製造方法。
  2. 加水分解されたカップリング剤溶液と無機粒子、界面活性剤および水性媒体の混合物とを混合した後、得られた混合物中でモノマー成分を重合させる請求項1に記載のポリマーが被覆された無機粒子の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法によって得られたポリマーが被覆された無機粒子。
  4. ポリマーが被覆された無機粒子をイソホロンに分散させ、遊離したポリマーが2万〜200万の重量平均分子量を有する請求項3に記載のポリマーが被覆された無機粒子。
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