以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係る給紙装置の構成例、その動作例及びその制御例について説明をする。本欄の記載は、特許請求の範囲に記載される技術的範囲や、用語の意味等を限定するものではない。
図1に示す給紙装置100は画像形成装置200に接続して使用可能なものである。給紙装置100は装置本体部103を有しており、装置本体部103内には、例えば、二つの給紙部101,102、制御部50及び搬送路80が備えられる。給紙装置100は、給紙部101又は給紙部102に積載された用紙Pを、制御部50による所定の制御モードに基づいて画像形成装置200に1枚ずつ送り出すようになされる。
給紙部101は、例えば、載置台10、吹き付け部20,20、昇降部30及び吸着搬送部40を備えている。載置台10は給紙部101内において、複数枚の用紙Pが積載され、上下方向に移動可能となされている。載置台10は、図示しない昇降機構が取り付けられ、積載された最上位の用紙Pが所定の位置に維持されるように昇降する。
載置台10の両側(左右の側)には、1対の吹き付け部20,20が設けられ、用紙Pの側縁に浮上エア1を吹き付けるように動作する。吹き付け部20,20の各々は、例えば、図2に示す用紙搬送方向I(=y)を基準にして、載置台10に積載された用紙Pの側面に配設され、用紙幅方向x(用紙搬送方向yと略直交する方向)において、載置台10の上方(xyに直交する上下方向z)に用紙Pを浮上させるための浮上エア1を両側(x=IIa,IIb)から送風する。
吹き付け部20,20の各々は、本体ダクト部21、摺動ダクト22及び昇降部30等を有している。本体ダクト部21は四角筒形(筺体)状を成し、載置台10に積載された用紙Pの側面に対峙する所定の位置に、所定の開口面積を有した窓部24を有している。
本体ダクト部21の内部には摺動ダクト22が内包される形態で組み合わされ、当該摺動ダクト22が本体ダクト部21の内壁に沿って摺接自在に動作する。摺動ダクト22の上端部分には、所定の張り出し長さを有したR形(庇)状の送風ガイド部位(以下でR状ガイド部23という)が設けられる。
R状ガイド部23は、例えば、摺動ダクト22を構成する、四角筒形状のダクト部材の上部の3辺を除去し、残留した1辺の部位を内側に略90°に折り曲げ加工して形成するとよい。R状ガイド部23は本体ダクト部21の窓部24から載置台10に積載された用紙Pの側へ張り出すように配設され、窓部24の枠部位と当該R状ガイド部23とにより、所定の開口幅の吹き付け口25が画定されている。
この例では、吹き付け部20,20の各々において、本体ダクト部21及び摺動ダクト22が用紙を浮上させる浮上エア1を吹き付け口25に導く。吹き付け口25の上辺に設けられたR状ガイド部23は、図2で白抜き矢印IIa,IIbに示したように、用紙Pの各々の側縁に浮上エア1を吹き付ける。これにより、載置台10の最上位に位置する用紙Pは、当該用紙Pの側縁に吹き付けられる浮上エア1によって、次の用紙Pと分離され浮上する。
吹き付け部20,20の各々の背面には切替部の一例を構成する昇降部30が設けられる。昇降部30は、吹き付け部20において、浮上エア1の吹き付け位置を規定する吹き付け口25を上下方向に切り替える。昇降部30は摺動ダクト22に係合され、当該摺動ダクト22を上下方向に摺動する。これにより、窓部24の枠部位とR状ガイド部23とにより画定される吹き付け口25を昇降させることができる。
載置台10に積載された用紙Pの上方には吸着搬送部40が配設される。吸着搬送部40は、一対の搬送ベルト41,41、及び、吸引ファン77を有しており、浮上した用紙Pが、吸引ファン77による吸引エアによって搬送ベルト41,41に吸着され、搬送ベルト41,41の回転によって搬送路80に送り出される(図1参照)。搬送路80は、複数のガイド部材や複数の搬送ローラーを備え、吸着搬送部40から送り出された用紙Pを画像形成装置200まで搬送する。
画像形成装置200は画像形成部90を有している。画像形成部90には、例えば、電子写真方式のタンデム型のカラープリンターが使用される。画像形成部90では、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色及び黒(BK)色用の画像データに基づいてカラーのトナー像が形成される。画像形成部90は、Y,M,C,BK色の像形成出力機能を各々分担する画像形成ユニットを備え、各作像色毎に帯電部によって一様に帯電された感光体ドラムに、画像データに基づいて静電潜像が、ポリゴンミラーを使用したレーザー走査型のプリントヘッドや、LEDアレイを使用した光書き込み部(LPH:LED Print Head)により形成される。
静電潜像は各作像色毎に現像装置によって現像される。このような帯電、露光、現像を行い、感光体ドラム上に形成されたカラートナー像が、中間転写ベルト上で重ね合わされ、ここに重ね合わされたカラートナー像が転写部によって用紙に転写される。用紙Pは、給紙装置100によって、給紙部101等から転写部へ搬送される。所定の用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置により定着される。これにより、画像データに基づくカラー画像を所定の用紙に形成することができる。
ここで図3を参照して、吸着搬送部40及びその周辺の構成例について説明をする。図3に示す吸着搬送部40は搬送ベルト41の他に吸着検知センサー11、駆動モーター(不図示)、駆動ローラー42、ガイドローラー43,44,45、吸引室46、レバー47及び吸引ファン77を有している。
駆動ローラー42、ガイドローラー43,44,45は、載置台10に積載された用紙Pの上方の所定位置に配置されている。駆動ローラー42は軸部42aを有しており、軸部42aには図示しない駆動用のモーターが係合される。搬送ベルト41は、駆動ローラー42、ガイドローラー43,44,45に掛け回されている。搬送ベルト41は、図2に示したように外周面に複数の孔部41aを有している。搬送ベルト41の内側には吸引ファン77が接続された吸引室46が設けられ、吸引ファン77により負圧が作られている。
給紙装置100によれば、載置台10に積載された用紙Pの上面近傍の側縁には、吹き付け部20の吹き付け口25から浮上エア1が吹き付けられる。図3においては、浮上エア1は図の奥から手前に向かって吹き出す。用紙Pの上方に位置するR状ガイド部23を持つ吹き付け口25は、昇降部30(図5に図示)によって、図3の白抜き上下矢印IIIで示すように昇降する。
吹き付け部20,20によって浮上した用紙Pの先端部は、吸引室46の負圧によって、搬送ベルト41の複数の孔部に吸着する。搬送ベルト41に吸着した用紙Pは、搬送ベルト41の回転により用紙搬送方向Iに進行し、吸引ファン70により作られる図中の矢印IVで示す負圧とガイドローラー44の曲率によって搬送ベルト41から分離され、搬送路80に送られる。
吸引室46の内部には吸着検知センサー11及びレバー47が設けられている。レバー47は一対の搬送ベルト41,41の間の領域から下方に飛び出る形態で、例えば、ガイドローラー45の軸部に回動自在に取り付けられている。レバー47は、吸引室46の内部の所定位置に取り付けられた吊架部材49(コイルバネ等)によって懸垂状に係合され、当該吊架部材49によって搬送ベルト41,41の下面側から飛び出す距離が規制されている。
吸着検知センサー11は吸着検知部の一例を構成し、吸着搬送部40に吸着された用紙Pを検知して吸着検知信号S11を制御部50に出力する。例えば、搬送ベルト41に用紙Pが吸着されるとレバー47が用紙Pによって押し上げられ、吸着検知センサー11がレバー47の押し上がりを検知する。
搬送路80の入り口には、送出検知部の一例を構成する送出検知センサー12が設けられ、吸着搬送部40から送り出される用紙Pを検知して送出検知信号S12を制御部50に出力する。
続いて、図4の(A)及び(B)を参照して、用紙浮上吸着搬送系の動作例について説明する。この例で、吹き付け部20における吹き付け口25の位置は、2つのポジションが準備され、ソレノイドや、モーター等の切り替え機構により、当該位置を切り替えるようになされる。
図4の(A)及び(B)に示すp1は、前記載置台上の最上位の用紙と前記吸着搬送部との間における吸着搬送部40に近い上部に位置する上位置であり、駆動ローラー42の軸部42aを水平方向に延長した基準位置p0から上下方向zに沿って、所定の距離aだけ垂下した位置に設定されている。同様に示すp2は、前記載置台上の最上位の用紙と前記吸着搬送部との間における最上位の用紙に近い下部に位置する下位置であり、上位置p1から上下方向zに沿って、所定の距離bだけ垂下した位置に設定されている(図5参照)。
この給紙装置100の用紙浮上吸着搬送系によれば、給紙部101,102に積載された用紙Pを、制御部50による第1及び第2制御モードに基づいて画像形成装置200に1枚ずつ送り出すようになされる。
ここに第1制御モードとは、上位置p1に吹き付け口25の位置を設定して載置台10上の最上位の用紙Pに浮上エア1を吹き付けて当該用紙Pを浮上させ、用紙Pを吸着搬送する制御をいう。
また、第2制御モードとは、吸着搬送過程の初期は、下位置p2に吹き付け口25の位置を設定して当該載置台10上の最上位の用紙Pに浮上エア1を吹き付けて当該用紙Pを浮上させ、後期は、吹き付け口25の位置を下位置p2から上位置p1に切り替えて、用紙Pを吸着搬送する制御をいう。
この第2制御モードでは、図4の(B)に示すように、当初、下位置p2にある吹き付け口25を最上位に位置する用紙Pの浮上にあわせて、図4の(A)に示したような上位置p1に上昇させることにより、当該用紙Pと次の用紙Pとの間に白抜き矢印IIa,IIbの方向から浮上エア1を吹き込み、当該用紙Pと次の用紙Pとを分離するようにしている。
すなわち、図4の(B)に示した用紙Pの側縁への浮上エア1の吹き付けによって浮上した最上位に位置する用紙Pは、吹き付け口25の上辺に設けられたR状ガイド部23によって側部の浮上が制限され、最上位に位置する用紙Pの中央部は吸引ファン77(図2,3参照)の吸引作用によって搬送ベルト41に吸着される。これにより、当該用紙Pと次の用紙Pとを分離性良く吸着できるようになる。
続いて、図5を参照して、昇降部30及びその周辺の構成例について説明をする。図5に示す昇降部30は、本体ダクト部21に対して摺動ダクト22を昇降することで、本体ダクト部21の窓部24の開口部において、吹き付け口25を昇降するようになされる。
昇降部30は、例えば、プーリー31,32、タイミングベルト33、複数のベルト挟持部34,34及び昇降用のモーター35を有している。本体ダクト部21の背面側(窓部24の反対側)の所定の位置には、1組のプーリー31,32が回動自在に取り付けられている。本体ダクト部21の背面側には、プーリー31,32の他に、当該プーリー31,32の間の領域であって、所定の長さのスリット部26が設けられる。スリット部26は、ベルト挟持部34の可動範囲に応じて開口される。
プーリー31,32にはタイミングベルト33が掛け回されている。タイミングベルト33にはベルト挟持部34の一端が取り付けられ固定されている。ベルト挟持部34の他端は突起状を有している。ベルト挟持部34の突起状部位は、スリット部26を貫いて摺動ダクト22の背面側に取り付けられ接合固定されている。
この例で、プーリー32には昇降用のモーター35が連結されている。モーター35にはステッピングモーターが使用される。本体ダクト部21には送風ファン60が接続されている。送風ファン60は、図中、破線の矢印で示すように本体ダクト部21を介して摺動ダクト22に浮上エア1を送り、摺動ダクト22に送られた浮上エア1は、摺動ダクト22の端部のR状ガイド部23で向きが略90°だけ変わり、吹き付け口25から、図中、実線の矢印の方向に吹き出るようになる。
吹き付け口25は、図中、実線と二点鎖線で示すように摺動ダクト22を昇降させる昇降部30によって昇降される。例えば、タイミングベルト33は、モーター35によってプーリー32が回転されることで、掛け回され、タイミングベルト33の掛け回りによって、ベルト挟持部34及びスリット部26を介して摺動ダクト22が昇降し、吹き付け口25が昇降することになる。
この例で、吹き付け口25を停止させる上位置p1及び下位置p2は、モーター35又はタイミングベルト33に、基準位置p0に対応する基準位置を設け、当該基準位置から上位置p1及び下位置p2までの距離a,bを移動させるパルス数を設定することにより決定される。なお、吹き付け口25を昇降させる技術手段は、本例に限定されるものではなく、公知の技術を用いて設計段階で決定されるものである。これらにより、給紙部101が動作するが、給紙部102も、給紙部101と同様に動作するので、その説明を省略する。
続いて、図6を参照して、給紙装置100の制御系の構成例について説明をする。図6に示す給紙装置100の制御系は、例えば、吸着検知センサー11、送出検知センサー12、載置台昇降駆動部13、昇降用のモーター35、ベルト駆動部42b、操作表示部48、制御部50、送風ファン60、吸引ファン77、用紙搬送部81及び異常検知センサー82を有している。
載置台昇降駆動部13は制御部50に接続され、載置台昇降駆動部13には、図示しない昇降用のモーターや、位置検知センサー等が設けられる。載置台昇降駆動部13は、載置台制御信号S13や、位置検知センサーから得られる位置検知信号に基づいて載置台10を上下方向zに昇降するようになされる。
制御部50には載置台昇降駆動部13の他に送風ファン60及び昇降用のモーター35が接続されている。送風ファン60及び昇降用のモーター35は吹き付け部20に設けられ、送風ファン60は送風制御信号S60に基づいて浮上エア1を発生し、図5に示した本体ダクト部21及び、摺動ダクト22に浮上エア1を送るように動作する。
昇降用のモーター35は昇降部30に設けられ、昇降制御信号S35に基づいて回転し、図5に示したプーリー32を駆動し、タイミングベルト33を掛け回すことにより摺動ダクト22を上下方向zに昇降する。
上述の制御部50には吸引ファン77が接続されている。吸引ファン77は、吸引制御信号S77に基づいて、図3に示した吸引室46の内部の空気を吸引し、当該吸引室46の内部を負圧にし、浮上エア1によって浮上した用紙Pを吸引するように動作する。
制御部50には吸引ファン77の他にベルト駆動部42bが接続されている。ベルト駆動部42bは吸着搬送部40に設けられ、図3に示した駆動ローラー42に連結され、ローラー制御信号S42に基づいて、図3に示した駆動ローラー42を回転する。この例では、ベルト駆動部42bが駆動ローラー42及び、ガイドローラー43,44,45に掛け回された搬送ベルト41を時計方向回りに回転する。
制御部50には吸着検知センサー11及び送出検知センサー12が接続される。吸着検知センサー11は吸着搬送部40に吸着された用紙Pを検知して吸着検知信号S11を制御部50に出力する。送出検知センサー12は、吸着搬送部40から搬送路80へ送り出される用紙Pを検知して送出検知信号S12を制御部50に出力する。
例えば、用紙Pが吸着搬送部40に吸着した後に、搬送路80へ送り出されて、用紙後端が送出検知センサー12を通過すると、当該送出検知センサー12はONからOFFに変化する。
制御部50はコンピュータシステムを構成し、吸着検知センサー11から用紙Pの吸着検知信号S11を入力し、吸着検知信号S11に基づいて吹き付け部20、昇降部30及び吸着搬送部40を制御する。制御部50は、例えば、発振器51、メモリ部52、中央演算処理装置(以下でCPU55という)、タイマー56、カウンター57及びタイミング発生部58を有している。
発振器51は、所定の動作周波数のクロック基準信号(以下でCLK信号という)を発生し、メモリ部52、CPU55、タイマー56、カウンター57及びタイミング発生部58等にCLK信号を供給する。
CPU55にはメモリ部52が接続されている。メモリ部52にはRAMや、ROM、固定磁気ディスク(HDD)等が使用される。メモリ部52には第1及び第2制御モードを実行するための制御プログラムが格納されている。第1又は第2制御モードの設定に対応して制御プログラムが読み出される。
例えば、第1及び第2制御モードを実行するプログラムが制御データD53に記述される。CPU55は、例えば、第1制御モードを実行中、吸着搬送部40が所定時間内に用紙Pを吸着したか否かを監視し、所定時間内に用紙Pを吸着していない場合は、吹き付け口25の位置を上位置p1から下位置p2に変更する。その後、CPU55は、吸着搬送部40が用紙Pを吸着すると、吹き付け口25の位置を下位置p2から上位置p1に戻すと共に、所定時間を越えて吸着された用紙Pの回数Aを計測し、この回数Aと閾値回数Bとを比較し、回数Aが閾値回数Bを越えた場合、第1制御モードから第2制御モードへ変更する。
この例では、更に、CPU55が第2制御モードの実行時、下位置p2に吹き付け口25の位置を設定して当該載置台10上の最上位の用紙Pに浮上エア1を吹き付けて当該用紙Pを浮上させる予備動作を実行し、予備動作に続く用紙Pを吸着して待機する吸着待機時間に吹き付け口25を下位置p2から上位置p1に切り替えるようになされる。
また、CPU55が第2制御モードの実行時、吸着検知センサー11から用紙Pの吸着検知情報を入力し、当該吸着検知情報に基づいて用紙Pの吸着を検知した場合に、吹き付け口25を下位置p2から上位置p1へ切り替える。
更にまた、CPU55は、第2制御モードの実行時、上述の送出検知センサー12からの送出検知信号S12に基づいて用紙Pの送り出しを検知した場合に、吹き付け口25を上位置p1から下位置p2へ切り替える。
CPU55にはタイマー56及びカウンター57が接続されている。タイマー56は、CLK信号に基づいてタイマー信号を発生し、CPU55に出力する。カウンター57は、CLK信号及びタイマー信号に基づいて、所定時間を越えて吸着される動作が連続して発生する用紙Pの回数A(頻度を示すカウント値)を計測する。
例えば、カウンター57は、予め設定された吹き付け部20の位置に関する制御モードが、浮上エア1が弱い側の第1制御モードであった場合に、用紙Pが吸着搬送部40に吸着されるまでの時間(吸着動作時間)が一定以上になる頻度(連続回数)をカウントする。因みに吸着動作時間が一定時間を超えるのは、浮上エア1が不足している可能性が高い場合である。
その用紙Pが吸着搬送部40に吸着されるまでの回数A(頻度)を計測することで、突発的な事象か、傾向的な事象かの判断材料とすることができ、傾向的な事象であると判断した場合は、浮上エア1を強くするように制御モードの変更を行うことで、給紙の安定性を向上できるようになる。
この例では、回数Aが閾値回数Bに到達した場合に、CPU55は制御モードを第1制御モードから、浮上エア1が強くなる第2制御モードへ変更するように吹き付け部20を制御する。
タイミング発生部58は制御データD53又は制御データD54、及び、CLK信号に基づいて、載置台制御信号S13、昇降制御信号S35、ローラー制御信号S42、送風制御信号S60及び吸引制御信号S77を発生する。載置台制御信号S13は載置台10を制御する信号であり、タイミング発生部58から載置台昇降駆動部13に出力される。
昇降制御信号S35は、吹き付け部20を制御する信号であり、タイミング発生部58から昇降用のモーター35に出力される。ローラー制御信号S42は、吸着搬送部40を制御する信号であり、タイミング発生部58からベルト駆動部42bに出力される。
送風制御信号S60は、吹き付け部20を制御する信号であり、タイミング発生部58から送風ファン60に出力される。吸引制御信号S77は吸着搬送部40を制御する信号であり、タイミング発生部58から吸引ファン77に出力される。
なお、CPU55には選択部の一例を構成する操作表示部48が接続される。操作表示部48は、第1制御モード又は第2制御モードを手動選択するように操作される。例えば、ユーザーは、用紙Pの浮上状態を確認して、浮上エア1の風量や、吹き付け口25の位置の設定を手動で行う。
この際に設定される給紙制御条件は、用紙側面から吹き付ける浮上エア1の風量、その摺動ダクト22の位置等の制御モード、用紙先端から吹き付ける先端エアの風量および図示しない先端エアダクトの位置等である。
この第1制御モード又は第2制御モードの手動選択操作によって、用紙Pの種類や、その坪量、そのサイズに対して、浮上エア1を強くするような制御モード変更を自由に設定できる。従って、制御モードを固定して対処する場合に比べて給紙の安定性を向上できるようになる。
制御部50には操作表示部48の他に用紙搬送部81が接続され、用紙搬送部81は、搬送路80において、図示しない搬送用のモーターを制御して搬送ローラーを回転し、用紙Pを画像形成装置200に向けて搬送したり、図示しないソレノイドを制御して搬送路切替機構を駆動し、給紙部101又は102を選択するようになされる。
制御部50には用紙搬送部81の他に、異常検知部の一例を構成する異常検知センサー82が接続される。異常検知センサー82は、吹き付け部20,20及び吸着搬送部40によって浮上および吸着搬送される用紙Pの異常、例えば、用紙Pが浮上しない等の異常を検知して異常検知信号S82を発生する。異常検知信号S82は異常検知センサー82から制御部50へ出力される。
この例では、CPU55が第1制御モードの実行中に、異常検知センサー82によって用紙Pが浮上しない等の浮上吸着搬送異常が検知された場合に、当該用紙Pの浮上、吸着および搬送の異常に対するジャム処理後のジョブ再開時に、用紙Pを浮上及び吸着搬送する制御を第1制御モードから第2制御モードへ切り替える。異常検知センサー82には用紙Pの浮上位置を検知する光学検知センサーや、給紙開始時刻に起動され、用紙pの浮上および吸着搬送に要する時間が所定の給紙時間を超えたか否かを検知するタイマー等が使用される。
この制御モードの切り替え機能によれば、用紙Pが傾向的な事象により所定時間を越えて吸着される場合において、ジョブ再開後、浮上エア1を強くするような制御モード変更が可能となる。従って、制御モードを固定して対処する場合に比べて給紙の安定性を向上できるようになる。
この例で、給紙装置100には通信手段を介して画像形成装置200が接続される。画像形成装置200は画像形成部90の他に異常検知センサー92及びCPU95を有している。異常検知センサー92は、画像形成部90や、図示しない搬送路、定着部等における用紙Pの異常を検知し、異常検知信号S92を発生し、CPU95へ出力される。CPU95は異常検知信号S92に基づき異常検知情報を生成する。
一方、給紙装置100の制御部50と画像形成装置200の制御部91とは、図示しない通信モデム、通信インターフェース等の通信手段を介して互いに情報交換が可能とされている。例えば、画像形成装置200で発生した異常検知情報が速やかに給紙装置100に通知される。給紙装置100では、CPU55が例えば、第1制御モードの実行時、画像形成装置200から異常検知情報を受信すると、用紙搬送部81に用紙搬送の停止を指示する。
この例では、用紙浮上吸着搬送系以外で搬送異常が検知された場合においても、用紙Pの搬送異常に対するジャム処理後のジョブ再開時に、用紙Pを吸着搬送する制御を第1制御モードから第2制御モードへ切り替えるようにしてもよい。また、操作表示部98を操作して第1制御モード又は第2制御モードを手動選択するようにしてもよい。
続いて、図7〜図10を参照して、給紙装置100の動作例及びその制御例について説明する。まず、図7の(A)〜(E)を参照して、給紙動作時の用紙Pの状態及びその吸着検知例について説明する。この例では、吸着搬送部40に吸着された用紙Pは、吸着検知センサー11によって検知され、吸着検知信号S11がCPU55に出力される。この例で、吸着検知センサー11のONの状態は、用紙Pが吸着搬送部40に吸着した状態を示し、吸着検知センサー11がOFFの状態は、用紙Pが吸着搬送部40に吸着していない状態を示している。
この例で、給紙装置100における給紙動作には、予備動作、吸着待機動作、送り出し動作及び搬送動作が含まれる。これらの動作はCLK信号に基づいてスケジュール管理される。ここで用紙の吸着開始時刻をt0とし、これらの動作切り替え時刻を例えば、t3,t5,t7としたとき、図中の予備動作時間T0は時間(t3−t0)に、吸着待機時間T1は時間(t5−t3)に、送り出し時間T2は時間(t7−t5)に、搬送時間T3は時間(t8−t7)に設定される。
図7の(A)に示すパターン(1)は、坪量が小さく軽い薄紙等の用紙Pの吸着検知状態であり、吸着開始時刻t0において用紙Pが直ちに吹き上げられて吸着し、吸着検知センサー11がONとなって吸着検知信号S11をハイレベルに立ち上げている。吸着検知信号S11は、吸着待機時間T1中も吸着搬送部40が用紙Pを吸着していることから、ハイレベルを維持する。
この例では、送り出し時間T2の時刻t6で、吸着搬送部40から搬送路80への用紙Pの送り出しを完了するので、吸着検知センサー11は用紙未検知状態となってOFFとなり、当該吸着検知信号S11が、ハイレベルからローレベルに立ち下がる。なお、吸着搬送部40から送り出された用紙Pは、搬送時間T3にて搬送路80により画像形成装置200へ搬送される。
図7の(B)に示すパターン(2)は、図7の(A)に示した用紙Pよりも、坪量が大きい普通紙等の用紙Pの吸着検知状態である。吸着検知センサー11が時刻t1で当該用紙Pを検知してONすることになる。
図7の(C)に示すパターン(3)は、図7の(B)に示した用紙Pよりも坪量が更に大きい用紙Pの吸着検知状態である。吸着検知センサー11が時刻t2で当該用紙Pを検知してONとなる。
図7の(D)に示すパターン(4)は、図7の(C)に示した用紙Pよりも、坪量が更に大きい用紙Pの吸着検知状態である。吸着検知センサー11が、予備動作時間T0を経過した後の吸着待機時間T1における時刻t4で、当該用紙Pを検知してONとなる。吸着待機時間T1中は、吸着搬送部40が用紙Pを吸着していることから、ハイレベルを維持している。
上記パターン(2)、(3)、(4)の例でも、パターン(1)と同様に、送り出し時間T2の時刻t6で、搬送路80への用紙Pの送り出しを完了するので、吸着検知センサー11は用紙未検知状態となってOFFし、当該吸着検知信号S11が、ハイレベルからローレベルに立ち下がる。
図7の(E)に示すパターン(5)は、図7の(D)に示した用紙Pよりも、坪量が更に大きい用紙Pの吸着検知状態である。用紙Pが浮上せず吸着状態を検知できない場合であり、吸着検知センサー11が、予備動作時間T0及び吸着待機時間T1を経過してもOFFであり、吸着検知信号S11がローレベルのままである。このため、ジャムによる給紙不良となる。
このように、パターン(1)〜(4)によれば、用紙Pが吸着検知センサー11に吸着するタイミングが異なる場合を示しているが、用紙Pの吸着タイミングは、吸着待機時間T1を経過するまでに吸着している。パターン(5)では、予備動作時間T0後の吸着待機時間T1を経過しても用紙Pが吸着せず、ジャム等の給紙不良となる。
続いて、図8の(A)〜(I)を参照して、第1及び第2制御モード時の吹き付け口25の位置の設定例について説明する。この例では、吹き付け口25の位置が昇降部30によって上位置又は下位置に切り替えられる。
<第1制御モード>
図8の(A)に示す第1制御モード[標準]時においては、予備動作時間T0、吸着待機時間T1、送り出し時間T2及び搬送時間T3の期間を通じて吹き付け口25の位置が上位置p1に設定される。
図8の(B)に示す第1制御モードのリカバリー#1時においては、吹き付け口25の位置は、予備動作時間T0では上位置p1に設定され、当該予備動作時間T0から吸着待機時間T1へ切り替わる時刻t3で下位置p2に切り替えられ、その後、当該吸着待機時間T1の時刻τ1で下位置p2から上位置p1に設定が戻される。
この制御は、予備動作時間T0に浮上エアを吹き付けて用紙Pの浮上を試みても当該用紙Pが浮上せず、吸着検知センサー11がOFFしたままの状態において、吹き付け口25の位置を上位置p1から下位置p2へ切り替えることで、載置台10上の用紙Pに近い位置で浮上エア1を吹き付けて強制浮上を行うものである。これにより、用紙Pは時刻τ1で浮上し、吸着検知センサー11がOFFからONに変わる。
図8の(C)に示す第1制御モードのリカバリー#2時における吹き付け口25の位置の設定例は、図8の(B)に示した用紙Pよりも坪量が大きい用紙Pの強制浮上を行うものであり、予備動作時間T0には、吹き付け口25の位置が上位置p1に設定され、当該予備動作時間T0と吸着待機時間T1との切り替え時刻t3で、吹き付け口25の位置が下位置p2に設定され、その後、当該吸着待機時間T1の時刻τ2で吹き付け口25の位置が下位置p2から上位置p1に設定が戻されるものである。
この制御は、予備動作時間T0に浮上エアを吹き付けて用紙Pの浮上を試みても当該用紙Pが浮上せず、吸着検知センサー11がOFFしたままの状態において、吹き付け口25の位置が上位置p1から下位置p2へ切り替えることで、載置台10上の用紙Pに近い位置で、図8の(B)に示した浮上エア1の吹き付け期間(τ1−t3)に対して約2倍の吹き付け期間(τ2−t3)、浮上エア1を吹き付けて強制浮上を行うものである。これにより、用紙Pは時刻τ2で浮上し、吸着検知センサー11はOFFからONに変わる。
図8の(D)に示す第1制御モードのリカバリー#3時における吹き付け口25の位置の設定例は、図8の(C)に示した用紙Pよりも、更に、坪量が大きい用紙Pの強制浮上を行うものである。予備動作時間T0には、吹き付け口25の位置が上位置p1に設定され、当該予備動作時間T0と吸着待機時間T1との切り替え時刻t3で、吹き付け口25の位置を下位置p2へ切り替え、その後、当該吸着待機時間T1の時刻τ3で吹き付け口25の位置が下位置p2から上位置p1に戻されるものである。
この制御は、予備動作時間T0に所定の浮上エアを吹き付けて用紙Pの浮上を試みても当該用紙Pが浮上せず、吸着検知センサー11がOFFしたままの状態において、吹き付け口25の位置を上位置p1から下位置p2へ切り替えることで、載置台10上の用紙Pに近い位置で、図8の(B)に示した浮上エア1の吹き付け期間(τ1−t3)に対して約3倍の吹き付け期間(τ3−t3)、浮上エア1を吹き付けて強制浮上を行うものである。これにより、用紙Pは時刻τ3で浮上し、吸着検知センサー11はOFFからONに変わる。
このように第1制御モードによれば、吹き付け口25の位置は、上位置p1に在るのが基本的である。しかし、吸着待機時間T1に吸着検知センサー11の状態を確認し、吸着検知センサー11がONしていない場合は、吹き付け口25の位置を一時的に下位置p2に変更する。その後、吸着検知センサー11がONした場合、吹き付け口25の位置を上位置p1に戻す。この動作により、用紙Pの浮上が不十分であった場合に、一時的に浮上力を強めて用紙の未吸着による給紙ジャム等の不具合を防止している。
<第2制御モード>
第2制御モードは、時間的なタイミングのみで、吹き付け口25の位置を切り替える制御モードと、吸着検知センサー11の出力によって、吹き付け口25の位置を切り替える制御モードとが準備されている。
図8の(E)に示す第2制御モード(T)では、搬送時間T3及び予備動作時間T0には、吹き付け口25の位置が下位置p2に設定され、当該予備動作時間T0と吸着待機時間T1との切り替え時刻t3で、吹き付け口25の位置が上位置p1に変更され、その後、送り出し時間T2の時刻t6で吹き付け口25の位置が上位置p1から下位置p2に戻される。
この第2制御モード(T)によれば、予備動作時間T0において、載置台10上の用紙Pに近い位置で、浮上エア1を吹き付ける。吸着検知センサー11は、用紙Pの吸着を検知してONした時点から送り出し時間T2の時刻t6に至る間、ハイレベルの吸着検知信号S11を発生する。
図8の(F)に示す第2制御モード(2−1)では、搬送時間T3及び予備動作時間T0には、吹き付け口25の位置が下位置p2に設定され、当該予備動作時間T0と吸着待機時間T1との切り替え時刻t3に、吸着検知センサー11が用紙Pの吸着を検知してONとなる場合である。吸着検知センサー11がONとなると、吹き付け口25の位置を上位置p1に変更し、その後、送り出し時間T2の時刻t6で吹き付け口25を上位置p1から下位置p2に戻す。
この第2制御モード(2−1)によれば、図8の(E)に示した第2制御モードと同様にして、予備動作時間T0において、載置台10上の用紙Pに近い位置で、浮上エア1が吹き付けられ、たまたま用紙Pが予備動作時間T0を終了する時刻t3に浮上し、吸着搬送部40に吸着されたため、(D)と同様になる。
図8の(G)に示す第2制御モード(2−2)では、搬送時間T3及び予備動作時間T0には、吹き付け口25の位置が下位置p2に設定され、吸着待機時間T1の時刻τ1に、吹き付け口25が上位置p1に変更され、その後、送り出し時間T2の時刻t6で吹き付け口25が上位置p1から下位置p2に戻される。
この第2制御モード(2−2)によれば、予備動作時間T0において、載置台10上の用紙Pに近い位置で、浮上エアを吹き付けても当該用紙Pが浮上せず、予備動作時間T0の経過後の時刻τ1に用紙Pが浮上し、吸着搬送部40に吸着された状態である。吸着検知センサー11が時刻τ1で用紙Pの吸着を検知してONし、ハイレベルの吸着検知信号S11が立ち上がった場合に、吹き付け口25が上位置p1に変更され、その後、送り出し時間T2の時刻t6で吹き付け口25が上位置p1から下位置p2に戻される。
図8の(H)に示す第2制御モード(2−3)では、搬送時間T3及び予備動作時間T0には、吹き付け口25の位置が下位置p2に設定され、吸着待機時間T1の時刻τ2に、吹き付け口25が上位置p1に変更され、その後、送り出し時間T2の時刻t6で吹き付け口25が上位置p1から下位置p2に戻される。
この第2制御モード(2−3)によれば、図8の(G)に示した第2制御モード(2−2)と同様となる。吸着検知センサー11が時刻τ2で用紙Pの吸着を検知してONし、ハイレベルの吸着検知信号S11が立ち上がった場合に、吹き付け口25が上位置p1に変更され、その後、送り出し時間T2の時刻t6で吹き付け口25が上位置p1から下位置p2に戻される。
図8の(I)に示す第2制御モード(2−4)では、搬送時間T3及び予備動作時間T0には、吹き付け口25が下位置p2に設定され、吸着待機時間T1の時刻τ3に、吹き付け口25が上位置p1に変更され、その後、送り出し時間T2の時刻t6で吹き付け口25が上位置p1から下位置p2に戻される。
この第2制御モード(2−4)によれば、図8の(G)(H)に示した第2制御モード(2−2),(2−3)と同様となる。予備動作時間T0において、載置台10上の用紙Pに近い位置で、浮上エアを吹き付けても、当該用紙Pが浮上せず、用紙Pが予備動作時間T0の経過後の時刻τ3に浮上して吸着搬送部40に吸着された状態である。吸着検知センサー11が時刻τ3で用紙Pの吸着を検知してONし、ハイレベルの吸着検知信号S11が立ち上がった場合に、吹き付け口25が上位置p1に変更され、その後、送り出し時間T2の時刻t6で吹き付け口25が上位置p1から下位置p2に戻される。
このように第2制御モード(T)によれば、予備動作時間T0では、吹き付け口25の位置が下位置p2に在り、吸着待機時間T1になると吹き付け口25の位置を上位置p1に変更するようになされる。
第2制御モード(2−1)〜(2−4)によれば、予備動作時間T0では吹き付け口25の位置が下位置p2に在り、吸着待機時間T1以降は、吸着検知センサー11がONするまで、下位置p2に在って、吸着検知センサー11がONすると、吹き付け口25の位置を上位置p1に変更するようになされる。
第2制御モード(T),(2−1〜2−4)によれば、送出検知センサー12がONして一定時間経過後には、吹き付け口25の位置が下位置p2に戻され、次の用紙Pの給紙動作における予備動作時間T0に移行するようになる。
続いて、図9及び図10を参照して、エアサクションベルト方式の給紙装置100の制御例について説明する。この制御例では、吹き付け口25の位置の制御モードの初期設定として、第1制御モードが選択される。すなわち、給紙装置100では、第1制御モード(標準)として示した動作が基本となる。
第1制御モードが選択されている場合であって、吹き付け口25を一時的に下位置p2に変更する頻度が一定頻度以上となった場合に、第1制御モードから第2制御モードへ切り替え制御するようにした。一定頻度は、連続回数であっても良いし、一定の割合であってもよい。
予備動作時間T0で吸着検知センサー11がONしていない場合は、吸着待機時間T1で第1制御モード(標準)をリカバリー(補完)する動作となる。この第1制御モードのリカバリー#1〜#3において、吸着検知センサー11の出力により吹き付け口25の位置が下位置p2から上位置p1へ戻るタイミングが異なっている。
また、吹き付け口25の位置を一時的に下位置p2に変更する頻度の計測中に、用紙Pの未吸着によるジャムが発生した場合には、ジャム処理後のジョブ再開時に、制御モードを第1制御モードから第2制御モードに切り替えるようにした。
なお、ユーザーは、給紙部101,102に用紙Pをセットし、用紙Pの種類や、そのサイズ、その坪量等の給紙条件を操作表示部48(98)を操作して選択すると、CPU55が浮上エア1の風量や、吹き付け口25の位置等の制御モードを自動設定するようになされる。
これらを制御条件にして、用紙Pが給紙トレイにセットされて給紙条件が設定された後、図9に示すフローチャートのステップST1でCPU55は第1制御モードに初期設定する。
そして、ステップST2でCPU55は、給紙開始信号の立ち上がり(ON)を待機する。給紙開始信号は、例えば、画像形成装置200から通信手段を介してCPU55が受信する。給紙開始信号がONすると、ステップST3でCPU55は予備動作を開始する。
このとき、吹き付け口25の位置は、先に設定された第1制御モードに従った上位置p1に設定される。また、図示しない先端エア吹き付け部が、先端エア吹き付け口の位置で浮上の補助を行う状態から、用紙Pを分離するのに効果的な位置に、先端エア吹き付け口の位置を変更するようになされる。
予備動作では、吹き付け部20の送風ファン60がONされ、吹き付け口25から用紙Pの側端へ送風され、予め設定した予備動作時間T0で浮上エアの吹き付け動作を終了する。載置台10上の用紙Pは、浮上エア1により上方へ上昇し、吸着搬送部40に吸着される。
予備動作が終了すると、ステップST4でCPU55は吸着待機動作に移行する。吸着待機時間は予めT1に設定されているため、タイマー56をスタートさせることで、CPU55は吸着待機時間T1を示すタイマー信号を得る。
また、吸着待機動作開始と同時にステップST5でCPU55は吸着検知センサー11の出力を確認する。吸着待機に入ると、一定時間、用紙Pが吸着された状態で保持される。この間、吸着検知センサー11がONして用紙Pが吸着されたことを検知すると、浮上エア1をOFFする(またはシャッターを閉じる)。これにより、複数枚の用紙Pが吸着されることを防いでいる。
吸着検知センサー11がONしている場合は、ステップST6に移行し、吸着待機時間T1の経過を待って吸着動作を終了する。そして、ステップST7でCPU55は用紙Pの送り出し制御を実行する。送り出し制御では、搬送ベルト41が駆動されて用紙Pが吸着搬送部40から搬送路80へ搬送される。
CPU55は用紙Pの送り出し開始後、ステップST8で送出検知センサー12の出力を確認する。このとき、送出検知センサー12は、用紙先端が到達したことや、用紙後端が通過したことを検知して送出検知信号S12をCPU55に出力する。
送出検知センサー12が用紙先端の到達を検知してONした場合は、ステップST9に移行し、送り出し時間Tcを設定するためにタイマー56をスタートさせる。送り出し時間Tcは用紙Pの紙サイズ(用紙搬送方向の長さ)によって異なる。用紙Pの先端が送出検知センサー12を通過した時点で、用紙Pが用紙搬送部81により画像形成装置200内へ搬送される。ステップST10でCPU55は送り出し時間Tcの経過を待って送り出し動作を終了する。
予め設定された送り出し時間Tcを経過すると、ステップST11でCPU55は次の用紙Pの給紙動作に移行する。この例では、用紙先端が送出検知センサー12で検知されてから一定時間経過後に、次の用紙Pの予備動作に移行し、指定枚数の給紙を完了するまで、上述の制御を繰り返すようになされる(標準の第1制御モードによる基本動作)。
上述の吸着待機動作後、ステップST5で吸着検知センサー11がONしない場合は、図10に示すステップST12に移行して、吹き付け口25を上位置p1から下位置p2に変更し、ステップST13でCPU55は吸着検知センサー11の出力を確認する。
吸着待機時間T1を経過する前に、吸着検知センサー11がONした場合は、ステップST14に移行して、吹き付け口25を下位置p2から上位置p1へ変更し、その後、上述したステップST6〜ステップST11の給紙動作を継続する。これと同時にステップST15でCPU55はカウンター57を起動して時間越え回数Aをカウントする(A=A+1)。
そして、ステップST16でCPU55は時間越えの回数Aと閾値回数Bとを比較してA=Bを判別する。ここに回数Aは、カウンター57から得られる計数値であって、吸着開始時点では用紙Pが吸着していなくて、吸着待機期間中に吸着された用紙Pの枚数である。閾値回数Bは、回数Aを評価するための制御分岐用の閾値設定数である。A≠Bの場合はステップST11に移行する。A=Bの場合はステップST17に移行して第1制御モードを第2制御モードに切り替えて、用紙Pを吸着搬送する制御を実行する。
なお、上述のステップST18でCPU55は吸着待機時間T1を経過しても、吸着検知センサー11がONしない場合は、ステップST19に移行して、ジャム表示動作を実行する。用紙Pが浮上しない等の異常が検知された場合、操作表示部48の表示部に「用紙Pが浮上していません」等のメッセージ内容が表示される。
そして、ステップST20でCPU55はジャム処理後の再開指示入力に基づいて制御を実行する。ジャム処理は操作者が実行し、ジャム処理後、操作表示部48を操作して再開指示を入力する。再開指示入力が無い場合は、ステップST19に戻って移行してジャム表示動作を継続する。
ステップST20で再開指示入力が有った場合は、ステップST17に移行して第1制御モードを第2制御モードに切り替える。更に、ステップST11に戻って、CPU55は上述した第2制御モードを継続するようになる。ステップST11でCPU55は指定枚数の給紙を完了した場合は、第2制御モードによる給紙制御を終了する。
このように、実施形態としての給紙装置100によれば、CPU55は、第1制御モードを実行中、吸着搬送部40が所定時間内に用紙Pを吸着したか否かを監視し、所定時間内に用紙Pを吸着していない場合は、吹き付け口25を一時的に上位置p1から下位置p2に変更する。CPU55は、吸着搬送部40が用紙Pを吸着すると、吹き付け口25を下位置p2から上位置p1に戻すと共に、所定時間を越えて吸着された用紙Pの時間越え回数Aを計測する。CPU55は、この時間越え回数Aと制御分岐用の閾値回数Bとを比較し、時間越え回数Aが閾値回数Bを越えた場合、用紙Pを吸着搬送する制御を第1制御モードから第2制御モードへ変更する。
この制御によって、用紙Pが突発的な事象により所定時間を越えて吸着された場合及び、用紙Pが傾向的な事象により所定時間を越えて吸着された場合に対応して流動的に制御モードを切り替えて給紙制御を実行できるようになる。従って、用紙がカールしている場合や、薄紙の場合には、吹き付け口25を下位置p2から上位置p1へ設定変更するので、浮上力を弱くでき、重送を防止できる。
しかも、用紙Pが傾向的な事象により所定時間を越えて吸着される場合において、浮上エア1を強くするような制御モード変更が可能となるので、制御モードを固定して対処する場合に比べて給紙安定性を向上できるようになる。これにより、高信頼度の給紙装置100等を提供できるようになる。
また、給紙装置100によれば、CPU55が第2制御モードの実行時、予備動作に続く吸着待機時間T1や、吸着検知信号S11に基づいて用紙Pの吸着を検知した時点等において、吹き付け口25を下位置p2から上位置p1に切り替える。
この切り替えによれば、用紙Pが傾向的な事象により所定時間を越えて吸着される場合における吸着待機時間中や、用紙吸着後等において、載置台10上の次位の用紙Pに吹き付けられる浮上エア1の風量を弱めることができる。この結果、重送を防止できる。しかも、制御モードを固定して対処する場合に比べて給紙安定性を向上できる。
また、給紙装置100によれば、CPU55が第2制御モードの実行時、送出検知信号S12に基づいて用紙Pの送り出しを検知した時点で、吹き付け口25の位置を下位置p2から上位置p1に切り替えるので、用紙Pが傾向的な事象により所定時間を越えて吸着される場合において、用紙送り出し後も、第2制御モードに基づく浮上エア1によって吸着搬送の維持が可能となる。従って、制御モードを固定して対処する場合に比べて給紙の安定性を向上できる。
更に、給紙装置100によれば、制御部50のカウンター57が、所定時間を越えて吸着される動作が連続して発生する用紙Pの時間越え回数Aを計測するので、用紙Pが突発的な事象により所定時間を越えて吸着された場合及び、用紙Pが傾向的な事象により所定時間を越えて吸着された場合に対応して流動的に制御モードを切り替えて給紙制御を実行できるようになる。
なお、上述の実施形態では、カウンター57が用紙Pの時間越え回数Aを計測する場合について説明したがこれに限られることはない。例えば、上述のカウンター57を使用して、所定時間内に吸着される給紙動作を含む所定の枚数の給紙動作に対し、所定時間を越えて吸着される動作が発生する割合を計数するようにしてもよい。このようにカウンター57を使用した場合であっても、用紙Pが突発的な事象により所定時間を越えて吸着された場合及び、用紙Pが傾向的な事象により所定時間を越えて吸着された場合に対応して流動的に制御モードを切り替えて給紙制御を実行できるようになる。