JP2013193238A - 画像処理方法および画像処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】成形加工による形状変形時の色濃度変化を抑えた画像処理方法、および画像処理システムを提供すること。
【解決手段】LUT内に複数の伸び量に対応するテーブル値を用意することにより、画像形成後の変形によって生じる画像の色調変化を抑える色補償を効率的に行う。また、従来のLUT、すなわち伸び量が0%のテーブル値と、伸び量が0%でないテーブル値とを備えて、伸び量0%からLUTに含まれる最大の伸び量までの間で適切に色補償をするようにした。
【選択図】図7
【解決手段】LUT内に複数の伸び量に対応するテーブル値を用意することにより、画像形成後の変形によって生じる画像の色調変化を抑える色補償を効率的に行う。また、従来のLUT、すなわち伸び量が0%のテーブル値と、伸び量が0%でないテーブル値とを備えて、伸び量0%からLUTに含まれる最大の伸び量までの間で適切に色補償をするようにした。
【選択図】図7
Description
本発明は、画像処理方法および画像処理システムに関する。
従来、変形が施される媒体に該変形前に形成される画像を処理する画像処理方法として、格子が形成されたテスト版下としての成形加工前のデータと、テスト版下で印刷されたものに成形加工が施された三次元形状をスキャニングして得られた成形加工後のデータとに基づいて、成形加工による形状の変形具合の特徴をつかみ、つかんだ特徴に基づいて三次元形状物に成形した場合にデザイナーが要求する意匠になるような版下の作成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、成形前後の絵柄の歪みを算出して写像関数として記録し、写像関数に基づいて絵柄の歪みを相殺するように変形させた印刷絵柄を作成し、成形前後のフィルム濃度変化を濃度変化関数として記録し、濃度変化関数に基づいて印刷絵柄の濃度を補正する絵柄フィルムの作成方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上述の特許文献1の画像処理方法では、成形加工による形状の変形については考慮されているが、成形加工による色の変化については考慮されていないという課題があった。
また、上述の特許文献2の画像処理方法装置では、成形加工による色の濃度変化について考慮されているものの、成形対象が変わるたびに成形前後のフィルム濃度変化を濃度変化関数として記録したりする必要があるため、データ処理が煩雑なものとなってしまう虞があった。
また、上述の特許文献2の画像処理方法装置では、成形加工による色の濃度変化について考慮されているものの、成形対象が変わるたびに成形前後のフィルム濃度変化を濃度変化関数として記録したりする必要があるため、データ処理が煩雑なものとなってしまう虞があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、煩雑なデータ処理を行うことなく、色濃度変化へ精度良く対応可能な画像処理方法、および画像処理システムを提供することを目的とする。
[適用例1]本適用例に係る画像処理方法は、変形が施される媒体に該変形前に形成される画像を処理する画像処理方法であって、前記変形前に前記媒体に塗布する機能性液体の量を、変形によって生じる前記画像の色調変化を反映させるためのLUT(ルックアップテーブル)から算出し、前記LUTは、変形後の伸び量が0%のテーブル値と、前記変形後の伸び量が0%でない一つ以上のテーブル値を含んで構成されることを特徴とする。
本適用例によれば、LUT内に複数の伸び量に対応するテーブル値を用意することにより、画像形成後の変形によって生じる画像の色調変化を抑える色補償を、媒体各部の伸び量に応じて適切に、且つ、効率的にできるようになる。
また、従来のLUT、すなわち伸び量が0%のテーブル値と、伸び量が0%でないテーブル値とを備えるため、伸び量0%からLUTに含まれる最大の伸び量までの間で、適切な色補償をすることが可能になる。
また、従来のLUT、すなわち伸び量が0%のテーブル値と、伸び量が0%でないテーブル値とを備えるため、伸び量0%からLUTに含まれる最大の伸び量までの間で、適切な色補償をすることが可能になる。
[適用例2]上記適用例に記載の画像処理方法において、前記変形前に前記媒体に塗布する前記機能性液体の量を前記LUTから算出する際に、前記LUT内に所望の伸び量に対応する値がある場合はそのまま変換し、所望の伸び量が無い場合には所望の伸び量近傍の少ない側のLUTを用いて変換した第1テーブル値と、所望の伸び量近傍の大きい側のLUTを用いて変換した第2テーブル値を取得し、前記第1テーブル値と前記第2テーブル値を用いて所望の伸び量に対する変換色データを求めることを特徴とする。
本適用例によれば、LUT内に所望の伸び量に対応する値が無い場合であっても、所望の伸び量近傍の伸び量の少ない側のLUTを用いて変換した第1テーブル値と、所望の伸び量近傍の伸び量の大きい側のLUTを用いて変換した第2テーブル値を取得し、第1テーブル値と第2テーブル値を用いて所望の伸び量に対する変換データを求めることができる。したがって、二つの伸び量のLUTだけを参照して所望の色値を補間により求めることができるので、計算の複雑化を避けながら、効率的で高精度に記録媒体の変形後の色変化を低減させることができる。
[適用例3]上記適用例に記載の画像処理方法において、前記LUTは、伸び量と汎用の表色系の値と塗布する機能性液体量の対応関係を含んでいることが好ましい。
本適用例によれば、LUTが汎用の表色系の値と塗布する機能性液体量の対応関係を含んでいるため、測色計等の機器で得られた数値と塗布する機能性液体、いわゆるインクとの対応が明確になり、これによって、目標色にするためのインク量を的確に算出することができる。
[適用例4]上記適用例に記載の画像処理方法において、塗布する前記機能性液体は、インクジェット方式により前記媒体へ塗布されることが好ましい。
本適用例によれば、機能性液体をインクジェット方式により媒体へ吐出させて描画するため、版下が不要となり、作業効率が向上するので、成形物の色合せに掛かる時間を短縮ことができる。
また、インクジェット法を使用することにより、本発明による画像処理方法の媒体の伸び量に応じた色補償を精緻に調整して行うことができるので、描画後に成形する媒体において、より広い範囲の色の表現が可能になる。
また、インクジェット法を使用することにより、本発明による画像処理方法の媒体の伸び量に応じた色補償を精緻に調整して行うことができるので、描画後に成形する媒体において、より広い範囲の色の表現が可能になる。
[適用例5]本適用例に係る画像処理システムは、変形が施される媒体に該変形前に形成される画像データを処理して媒体への画像記録を行う画像処理システムであって、変形前の前記媒体に塗布する機能性液体の量と複数の伸び量に対応するLUTを格納する手段と、前記LUTを参照して所望の伸び量に対応する機能性液体の量を算出する手段と、前記機能性液体の量を算出する手段により算出された値に基づき画像形成データを変更する手段と、を有し、前記機能性液体の量を算出する手段は、前記LUT内に所望の伸び量に対応する値がある場合はそのまま変換し、所望の伸び量が無い場合には所望の伸び量近傍の少ない側のLUTを用いて変換した第1テーブル値と、所望の伸び量近傍の大きい側のLUTを用いて変換した第2テーブル値を取得し、前記第1テーブル値と前記第2テーブル値を用いて所望の伸び量に対する変換データを求める手段を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、LUT内に所望の伸び量に対応する値が無い場合であっても、所望の伸び量近傍の伸び量の少ない側のLUTを用いて変換した第1テーブル値と、所望の伸び量近傍の伸び量の大きい側のLUTを用いて変換した第2テーブル値を取得し、第1テーブル値と第2テーブル値を用いて所望の伸び量に対する変換データを求めるため、二つの伸び量のLUTだけを参照して所望の色値を補間により求めることで、計算工程簡略化と色の精度を向上させられ、その結果変形後の色変化を低減させた画像を形成することができる。
[適用例6]上記適用例に記載の画像処理システムにおいて、前記LUTは、伸び量と汎用の表色系の値と塗布する機能性液体量の対応関係を含むことが好ましい。
本適用例によれば、LUTが汎用の表色系の値と塗布する機能性液体量の対応関係を含んでいるため、測色計等の機器で得られた数値と塗布する機能性液体、いわゆるインクとの対応が明確になり、これによって、目標色を出すためのインク量で画像を形成することができる。
次に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
(1)画像処理システム
図1は、本発明の画像処理システムの一実施形態である加飾成形システム10の概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態の加飾成形システム10は、樹脂製のシート(例えばポリフィルム)などの媒体Sがロール状に巻かれてなるロール36から媒体Sを引き出して画像形成用の形成剤としてのインクを吐出することにより画像を形成(印刷)するプリンター20と、画像が形成(印刷)された後の媒体Sを所望の三次元形状に立体成形する成形装置40と、プリンター20と通信可能に接続され媒体Sに形成すべき画像を入力して印刷データに処理して出力する画像処理装置の機能を有する汎用のパソコン(PC)50とを備えている。なお、本発明の画像処理システムとしては、PC50とプリンター20とが相当する。
(1)画像処理システム
図1は、本発明の画像処理システムの一実施形態である加飾成形システム10の概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態の加飾成形システム10は、樹脂製のシート(例えばポリフィルム)などの媒体Sがロール状に巻かれてなるロール36から媒体Sを引き出して画像形成用の形成剤としてのインクを吐出することにより画像を形成(印刷)するプリンター20と、画像が形成(印刷)された後の媒体Sを所望の三次元形状に立体成形する成形装置40と、プリンター20と通信可能に接続され媒体Sに形成すべき画像を入力して印刷データに処理して出力する画像処理装置の機能を有する汎用のパソコン(PC)50とを備えている。なお、本発明の画像処理システムとしては、PC50とプリンター20とが相当する。
プリンター20は、装置全体を制御するコントローラー21と、インクを媒体Sに吐出する印刷機構25と、ロール36から媒体Sを引き出しながら搬送する搬送機構32とを備えている。コントローラー21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー23と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM24などを備えている。このコントローラー21は、PC50からの印刷データを受信すると共に印刷処理を実行するよう印刷機構25や搬送機構32を制御する。印刷機構25は、キャリッジベルト31によりキャリッジ軸30に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ26と、インクに圧力をかけノズル27からインク滴を吐出する印刷ヘッド28と、各色のインクを収容したカートリッジ29とを備えている。印刷ヘッド28は、キャリッジ26の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけてこの圧電素子を変形させながらインクを加圧する方式により、印刷ヘッド28の下面に設けられたノズル27から各色のインクを吐出して媒体S上にドットを形成するものである。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。カートリッジ29は、本体側に装着され、シアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),ブラック(k)のcmykの各色のインクを個別に収容しており、この収容したインクを図示しないチューブを介して印刷ヘッド28へ供給する。搬送機構32は、駆動モーター33により駆動されて媒体Sを搬送する搬送ローラー35などを備えている。
成形装置40は、媒体Sの上方側に配置される上型部41と、媒体Sの下方側に配置される下型部42とを備えている。上型部41や下型部42には、図示しない金型がセットされており、上下の金型で媒体Sを挟み込むことにより媒体Sを三次元形状に成形する。なお、成形装置40による変形方式は、加熱方式であってもよいし、加圧方式であってもよい。また、この成形装置40にセットされる金型は、複数種の異なる金型を交換可能なものとした。なお、媒体Sは、成形前あるいは成形後に、プリンター20と成形装置40との間に配置された切断機37により所定長さに切断される。
PC50は、装置全体の制御を司るコントローラー51と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量外部記憶装置であるHDD55と、プリンター20などの外部機器とのデータの入出力を行うネットワークインターフェイス(I/F)56と、ユーザーが各種指令を入力するキーボードやマウスなどの入力装置57と、各種情報を表示するディスプレイ58とを備えている。コントローラー51は、各種制御を実行するCPU52や各種制御プログラムを記憶するフラッシュメモリー53、データを一時的に記憶するRAM54などを備えている。このPC50は、ディスプレイ58に表示されたカーソルなどをユーザーが入力装置57を介して入力操作すると、その入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラー51やHDD55、I/F56、入力装置57、ディスプレイ58などは、バス59によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。
このPC50のHDD55には、図示しないアプリケーションプログラムや変形画像処理プログラム60、印刷ドライバー70などが格納されている。変形画像処理プログラム60は、媒体Sの成形に伴う変形により成形品(成形後の媒体S)の表面に形成されている画像(文字や模様などを含む)に生じる形状ずれや色ずれを補正するために用いられるプログラムである。この変形画像処理プログラム60は、各種データを入力するデータ入力部61と、入力されたデータから処理に必要な値を算出する算出部62と、三次元の画像(絵柄)モデルを編集する3D絵柄編集部63と、成形に伴う形状ずれを補償する形状補償部64と、成形に伴う色ずれを補償する色補償部65と、処理したデータを出力するデータ出力部67とを有している。データ入力部61は、複数の四角形を要素とするグリッドが構成された媒体Sの成形前後のグリッドの各格子点の位置情報をそれぞれ入力したり媒体Sに形成される対象の画像を入力したりする機能を有している。算出部62は、データ入力部61により入力された成形前後のグリッドの各格子点の位置情報に基づいて各格子点の歪み方向や歪み量を算出したりグリッドの各四角形の成形前後の面積変化を算出したりする機能を有している。3D絵柄編集部63は、データ入力部61により入力された各格子点の位置情報を基に成形前の媒体Sに形成した画像の編集や成形後の媒体Sに形成した画像の編集を実行する機能を有している。形状補償部64は、媒体Sの成形時の変形によって生じる画像の形状の変化を反映させて目的の形状に補正する形状補償を実行する機能を有している。色補償部65は、媒体Sの成形時の変形によって生じる画像の色合いの変化を反映させるために色補償変換ルックアップテーブル(LUT)66を用いて目的の色合いに補正する色補償を実行する機能を有している。なお、色補償変換LUT66については後述する。データ出力部67は、形状ずれや色ずれが補償された補正後の画像データを印刷ドライバー70や図示しないアプリケーションプログラムなどへ出力する機能を有している。これらのデータ入力部61や算出部62、3D絵柄編集部63、形状補償部64、色補償部65、データ出力部67は、それぞれ、データ入力モジュールや算出モジュール、3D絵柄編集モジュール、形状補償モジュール、色補償モジュール、データ出力モジュールとして変形画像処理プログラム60に組み込まれている。そして、これらの各モジュールがコントローラー51により実行されることにより、それぞれ上述した機能を発現するものとした。また、印刷ドライバー70は、アプリケーションプログラム側から受けた印刷ジョブをプリンター20で直接印刷処理可能な印刷データへ変換してプリンター20へ出力(送信)するプログラムである。この印刷ドライバー70は、変形画像処理プログラム60で作成された印刷データをプリンター20へ出力する機能を有している。
ここで、色補償処理で用いられる色補償変換LUT66について説明する。この色補償変換LUT66は、媒体Sの成形時の変形に伴う色変化が反映された変形後の色値と、成形に伴う媒体Sの変形の度合いと、成形前の媒体Sに形成(印刷)される変形前の色値との関係を定めた対応関係テーブルとして、色補償変換LUT作成システム80において作成されるものである。図2は、色補償変換LUT作成システム80の構成の概略の一例を示す構成図である。色補償変換LUT作成システム80は、汎用のインク色のデータや媒体Sの伸び量のデータ,変形後の測色データなど処理に必要な各種データを入力するデータ入力部82と、入力されたデータを用いて色補償変換LUT66を作成する演算処理部(LUT作成処理部)84と、作成された色補償変換LUT66を出力するLUT出力部86とを有している。ここで、色補償変換LUT66では、成形前の媒体Sに形成される変形前の色値として、汎用の色規格で用いられる原色の組合せを用いるものとした。特に、この原色の組合せとしては、JapanColor認証制度の色規格に準拠したシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)のCMYKの各色成分(本実施形態では、プリンター20のインク色と区別するために大文字で表記)の組合せを用いるのが好ましい。次に、色補償変換LUT作成システム80を用いて行なわれる色補償変換LUT66の作成工程について説明する。図3は、色補償変換LUTの作成工程の一例を示す説明図である。
図3において、この色補償変換LUTの作成工程では、まず、実成形に用いられる媒体Sと同じ素材の複数のテストシート(媒体S)を準備してそれぞれのテストシートに複数のカラーパッチを印刷する印刷処理を行なう(工程S100)。このカラーパッチの印刷に用いられるデータは、上述した汎用のCMYK値の組合せにより定めるものとし、具体的には、印刷後に成形を行なわない通常の印刷において最大濃度のドットを形成するのに必要なインクの吐出量を100%として、CMYKの各色成分を0%から通常の印刷範囲を超えて500%までの範囲内で変化させた組合せを用いるものとした。ここで、CMYKの組合せとして各色成分が100%を超える組合せを用いるのは、印刷後に媒体Sの成形を行なって、画像が大きく引き延ばされることによる各色の濃度低下が、通常の印刷範囲のインク吐出量で補いきれない場合が起きるからである。なお、こうして定めた汎用のCMYK値の組合せを印刷前に印刷装置で用いられるインクの各色の組合せに変換するものとし、例えば、上述したプリンター20を用いて印刷処理を行なう場合には、印刷前にCMYK値の組合せからインクの各色の組合せとしてのcmykop値に変換する。次に、カラーパッチが印刷された複数のテストシートをそれぞれ異なる伸び量Δeをもって変形させる変形処理を行なう(工程S110)。この伸び量Δeは、変形後のテストシートの面積を変形前の面積で除したものから1を引いたものであり、変形前後の面積の差分を割合で表している。成形装置40により複数種の異なる金型をそれぞれ用いて媒体Sの各種成形がなされた場合の媒体Sの変形範囲を十分にカバーできる程度の範囲を定めて行なう。本実施形態では、0%(変形なし)から250%の間を50%刻みとした計6通りの伸び量Δeを用意する。ただし、テストシートの変形が必要なのは、50%から250%までの5通りである。工程S100では、5枚のテストシートを準備して印刷するものとした。また、工程S110の変形は、成形装置40にセットされる実成形用の金型を用いて行なわれるものではなく、定められた伸び量Δeをもって各テストシート全体を均一に変形させることが可能な装置を用いるものとした。こうして変形処理を行なったあと、0%(変形なし)と変形後の各テストシートの計6通りのすべてのカラーパッチをそれぞれ測色する測色処理を行なう(工程S120)。この測色処理は、例えば、分光光度計などを用いて、色相,彩度,明度を表すL*a*b*表色系の色座標の値(以下、Lab値とする)を求めることにより行なう。
こうして印刷処理と変形処理と測色処理とを行なうと、汎用のインク色データとしてのCMYK値と、伸びデータとしての伸び量Δeと、測色データとしてのLab値とを処理に必要なデータとして色補償変換LUT作成システム80のデータ入力部82に入力する入力処理を行なう(工程S130)。次に、演算処理部84により、伸び量Δe毎に変形前のCMYK値から変形後のLab値への変換を対応付ける処理を行なう(工程S140)。こうして対応付けられた伸び量Δe毎のCMYK値からLab値への変換に基づいて、変形後のLab値と伸び量Δeとから変形前のCMYK値を逆変換により導出するための対応関係をルックアップテーブル形式で作成する作成処理を行なって(工程S150)、作成したルックアップテーブル形式の対応関係を色補償変換LUT66としてLUT出力部86から出力して(工程S160)、本工程を終了する。ここで、工程S150の作成処理では、Lab値の各値をそれぞれ所定値(例えば、値10)ずつ変化させた色に対するCMYK値を各伸び量Δe毎にそれぞれ求める処理を行なう。このとき、工程S140でLab値の各値をそれぞれ所定値ずつ変化させた色に対するCMYK値が対応付けられていない場合には、近似の値から補間処理により求めるものとした。この作成工程により作成された色補償変換LUT66の一例を図4に示す。なお、図4では、色補償変換LUT66の一部分のみを図示した。図示するように、色補償変換LUT66では、変形後のLab値と伸び量Δeとが与えられると変形前の汎用のCMYK値を導出することができ、伸び量Δeが大きくなるほどCMYK値が大きくなる傾向に設定する。また、色相を表すことができるLab値を用いた対応関係として色補償変換LUT66を作成したから、後述する色補償処理において色相の変化を含めて色の変化の影響をより精度よく反映させることができる。このように、変形後の色値としてのLab値と、変形の度合いとしての伸び量Δeと、変形前の色値としてのCMYK値との対応関係を定めた色補償変換LUT66が作成され、こうして作成された色補償変換LUT66がPC50のHDD55に記憶されることになる。
通常の印刷時には、印刷ドライバー70が入力画像を分解し、変換対象となる各色に対して参照したCMYK値を相当のインク液滴量に変換し、これを元に各ノズル27から吐出される印刷データを作成する。このとき参照されるのは0%伸びの色補償変換LUT66だけである。したがって成形しない、すなわち媒体Sを伸ばさない印刷にも対応できるようになっている。
(2)画像処理方法
次に、上記のように構成された本実施形態の加飾成形システム10の画像処理方法について、まず、形状補償処理について説明する。図5は、変形画像処理プログラム60により実行される形状補償処理の様子を示す説明図である。この形状補償処理では、コントローラー51のCPU52は、まず、縦横に等間隔の複数の格子点を有する四角形(正方形)を要素とするグリッド92を平面状の媒体に構成した画像を作成する(図5(a))。なお、図示の都合上、グリッド92の格子点は実際よりも少ない(間引いた)状態で図示し、格子点の間隔はプリンター20のドットの形成間隔(例えば、720dpiや1440dpiなど)よりも広いものとした。また、これらの各格子点の初期位置(変形前の位置)の位置情報は保持されるものとした。次に、目的の製品の形状に成形されるように媒体を変形させる処理を行ない、変形前後のグリッド92の各格子点の位置情報を入力して変形後の各格子点の三次元座標位置や各格子点の歪み方向や歪み量,各要素の変形度合いなどを算出する。なお、各要素の変形度合いとしては、四角形の伸び量などが用いられるが、その詳細については後述する。そして、これらの算出結果に基づいて、各要素の変形度合いなどを反映させて成形後の立体物の三次元の画像モデルを作成し、作成した三次元の画像モデルをディスプレイ58へ表示処理する(図5(b))。次に、使用者の入力操作によって三次元の画像モデル上で絵柄の位置が指定されると、指定された位置に絵柄としての印刷対象の画像を配置し(図5(c))、二次元変換指示が入力されると、三次元での座標値を二次元の座標値に変換して変換後の画像を表示する(図5(d))。このようにして、成形後に目的とする絵柄となる形状の画像が成形前の媒体上に形成され、成形前に媒体Sに印刷すべき版下データを作成することができる。なお、図5(d)の版下データの画像が媒体Sに印刷されて成形された結果の実成形品を図5(e)に示す。こうして作成された版下データには、以下に説明する色補償処理が施される。
次に、上記のように構成された本実施形態の加飾成形システム10の画像処理方法について、まず、形状補償処理について説明する。図5は、変形画像処理プログラム60により実行される形状補償処理の様子を示す説明図である。この形状補償処理では、コントローラー51のCPU52は、まず、縦横に等間隔の複数の格子点を有する四角形(正方形)を要素とするグリッド92を平面状の媒体に構成した画像を作成する(図5(a))。なお、図示の都合上、グリッド92の格子点は実際よりも少ない(間引いた)状態で図示し、格子点の間隔はプリンター20のドットの形成間隔(例えば、720dpiや1440dpiなど)よりも広いものとした。また、これらの各格子点の初期位置(変形前の位置)の位置情報は保持されるものとした。次に、目的の製品の形状に成形されるように媒体を変形させる処理を行ない、変形前後のグリッド92の各格子点の位置情報を入力して変形後の各格子点の三次元座標位置や各格子点の歪み方向や歪み量,各要素の変形度合いなどを算出する。なお、各要素の変形度合いとしては、四角形の伸び量などが用いられるが、その詳細については後述する。そして、これらの算出結果に基づいて、各要素の変形度合いなどを反映させて成形後の立体物の三次元の画像モデルを作成し、作成した三次元の画像モデルをディスプレイ58へ表示処理する(図5(b))。次に、使用者の入力操作によって三次元の画像モデル上で絵柄の位置が指定されると、指定された位置に絵柄としての印刷対象の画像を配置し(図5(c))、二次元変換指示が入力されると、三次元での座標値を二次元の座標値に変換して変換後の画像を表示する(図5(d))。このようにして、成形後に目的とする絵柄となる形状の画像が成形前の媒体上に形成され、成形前に媒体Sに印刷すべき版下データを作成することができる。なお、図5(d)の版下データの画像が媒体Sに印刷されて成形された結果の実成形品を図5(e)に示す。こうして作成された版下データには、以下に説明する色補償処理が施される。
次に、色補償変換LUT66を用いた色補償処理について説明する。図6は、コントローラー51のCPU52により実行される色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、形状補償処理がなされた後に色補償の実行指示が入力されたときに実行される。なお、色補償の実行指示は、例えば、形状補償処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の色補償実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。
この色補償処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、変形加工前後のグリッド92の各格子点の位置情報を取得する(工程S200)。この位置情報の取得は、上述した形状補償処理で説明した変形前後の格子点の三次元座標をそれぞれ取得することにより行なう。次に、取得した各格子点の位置情報からグリッド92の各要素の変形度合いとしての各四角形の伸び量Δeを算出する(工程S210)。ここで、グリッド92の各格子点と各四角形とを図8に示す。なお、図8では、グリッド92の一部を拡大して示しており、図8中の対象画像(文字A)は、上述した形状補償処理後の画像(図5(d)参照)が配置されたものである。各四角形の伸び量Δeの算出は、工程S200で取得した各格子点の変形前後の位置情報から変形前後の四角形の面積をそれぞれ算出して、変形後の四角形の面積を変形前の面積で除することにより行なう。なお、変形前の各四角形の面積はすべて同一であるため一定値を用いてもよい。こうして算出される各四角形の伸び量Δeの一例を図9に示す。なお、要素ナンバー(要素No.)は、グリッド92の左上の四角形を起点として左から右へ、上から下へと順に付すものとした。続いて、グリッド92の各四角形の重心の位置を頂点とするメッシュ94をグリッド92上に作成する(工程S220)。このグリッド92上に作成されるメッシュ94の一例を図10に示す。図示するように、形状補償処理後の画像が配置されたグリッド92上に、グリッド92の各四角形のそれぞれにメッシュ94の各頂点(白丸で図示)が1つずつ含まれると共に各頂点がグリッド92の各格子点から外れた四角形の重心に位置するよう、メッシュ94を作成する。また、このメッシュ94の頂点が、本発明の色補正点に相当する。そして、このメッシュ94の各頂点のLab値を取得する(工程S230)。このLab値は変形加工後に呈すべき色であり、その取得は、入力された画像のRGB値やCMYK値などの色の情報に基づいて各頂点に対応する位置の形状補償処理後の画像の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。あるいは、図5(d)や図8,図10のような形状補償処理後の画像を含む図示しない編集画面をディスプレイ58上に表示して入力装置57を用いた画像の色の指定を受け付け、受け付けた色に基づいて各頂点に対応する位置の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。
こうしてメッシュ94の各頂点のLab値やグリッド92の各四角形の伸び量Δeを取得すると、処理対象のメッシュ94の頂点を設定して(工程S240)、処理対象の頂点のLab値と処理対象の頂点に対応するグリッド92の四角形の伸び量Δeとをそれぞれ読み込む(工程S250)。なお、処理対象の頂点は、メッシュ94の左上隅の頂点を起点として左から右へ、上から下へと順に設定する。処理対象範囲の選び方としては、後述するように印刷や表示をする際にメッシュ94の色値を補間処理するため、対象画像の外側まで完全に包みきる範囲にわたって処理対象とする。そして、表示や印刷に際しては、補間処理で塗りつぶされた処理対象範囲のメッシュ94を、対象画像の輪郭でクリップ(切り取り)して、表示あるいは印刷する。また、処理対象の頂点に対応するグリッド92の四角形は、処理対象の頂点に重心が一致する四角形に定める。上述したように、グリッド92の各四角形にメッシュ94の各頂点が一つずつ含まれており、メッシュ94の頂点とグリッド92の四角形とが一対一で対応しているから、処理対象の頂点に対応するグリッド92の四角形の伸び量Δeをそのまま読み込むことができる。また、上述したように、本実施形態では、各四角形の重心に各頂点が位置するようメッシュ94を作成している。ここで、四角形の重心の近傍には、四角形の各頂点の近傍などに比して、四角形の各部分に生じる大小様々な変形のうち平均的な度合いの変形が作用するといえるため、その四角形の伸び量Δeに近い変形が生じていると考えることができる。このため、メッシュ94の頂点を重心とするグリッド92の四角形の伸び量Δeを読み込むことにより、メッシュ94の頂点における変形の度合いをより正確に反映させたものを読み込むことができる。
次に、読み込んだメッシュ94の頂点のLab値を変形後の色値として用いると共に頂点に対応するグリッド92の四角形の伸び量Δeを用いて色補償変換LUT66から得られる変形前の色値としてのCMYK値を処理対象の頂点のCMYK値に設定する(工程S260)。ここで、読み込んだLab値と伸び量Δeとが色補償変換LUT66に登録されている場合には、色補償変換LUT66から対応する値を導出して処理対象の頂点のCMYK値に設定する。
一方、読み込んだLab値や伸び量Δeが色補償変換LUT66に登録されていない場合には、色補償変換LUT66から近似するCMYK値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の頂点のCMYK値に設定する。このときの処理の一例を図7に示す。この処理ルーチンが実行されると、CPU52は、グリッド92の各四角形の伸び量Δeを参照する(工程S400)。この伸び量Δeが、50%刻みになっているテーブルの規定伸び量と一致しているか判断する(工程S410)。
伸び量Δeが50の倍数であれば(工程S410でYES)、規定伸び量のテーブルが存在するので、色補償変換LUT66から近似するCMYK値を抽出して補間処理により色値を求める(工程S420)。
伸び量Δeが50の倍数ではない場合(工程S410でNO)、読み込んだ伸び量Δeを下回る規定伸び量を第1テーブルとし(工程S430)、さらに、読み込んだ伸び量Δeを上回る規定伸び量を第2テーブルとする(工程S440)。具体的には、伸び量が76%であった場合、第1テーブルには50%を、第2テーブルには100%を適用する。
その後、色補償変換LUT66の中からこの二つの伸び量テーブルだけを使用し、伸び量Δeのときの色値を補間処理により求める(工程S450)。このように伸び量を先に限定して二つのテーブル間で補間処理をしているが、伸び量を限定せず変化後のLab値に対する補間処理を行うと、伸び量の近接したテーブル間で補間がなされない可能性があり、そういった場合には精度を低下させる一因となる。これは伸び量に対する色の変化特性が、単調変化で無い場合があることによる。
そして、最後に各頂点のCMYK値を設定する(工程S460)。
伸び量Δeが50の倍数であれば(工程S410でYES)、規定伸び量のテーブルが存在するので、色補償変換LUT66から近似するCMYK値を抽出して補間処理により色値を求める(工程S420)。
伸び量Δeが50の倍数ではない場合(工程S410でNO)、読み込んだ伸び量Δeを下回る規定伸び量を第1テーブルとし(工程S430)、さらに、読み込んだ伸び量Δeを上回る規定伸び量を第2テーブルとする(工程S440)。具体的には、伸び量が76%であった場合、第1テーブルには50%を、第2テーブルには100%を適用する。
その後、色補償変換LUT66の中からこの二つの伸び量テーブルだけを使用し、伸び量Δeのときの色値を補間処理により求める(工程S450)。このように伸び量を先に限定して二つのテーブル間で補間処理をしているが、伸び量を限定せず変化後のLab値に対する補間処理を行うと、伸び量の近接したテーブル間で補間がなされない可能性があり、そういった場合には精度を低下させる一因となる。これは伸び量に対する色の変化特性が、単調変化で無い場合があることによる。
そして、最後に各頂点のCMYK値を設定する(工程S460)。
こうしてCMYK値を設定すると、すべての頂点のCMYK値を設定したか否かを判定し(工程S270)、未設定の頂点があるときには、工程S240に戻り各頂点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。
また、すべての頂点のCMYK値を設定したときには、各頂点のCMYK値をそれぞれ通常の印刷範囲の値に圧縮し(工程S280)、各頂点のCMYK値を用いてメッシュ94の内部(各四角形内)のCMYK値を補間処理によりそれぞれ演算する(工程S290)。
さらに、各頂点や内部のCMYK値が定められたメッシュ94を形状補償処理後の画像の輪郭で切り出して(工程S300)、切り出したメッシュ94のCMYK値を色補償データとしてHDD55に保存して(工程S310)、本ルーチンを終了する。
ここで、色補償変換LUT66ではCMYK値を500%までの値としているため、各頂点に設定されたCMYK値をそれぞれ1/5にすることで通常の印刷範囲(0〜100%)に圧縮するものとした。このように、本実施形態では、汎用のインク色であるCMYK値を用いるため、通常の印刷範囲に圧縮することで、作成された色補償データを画像編集ツールなどのアプリケーションソフト上で広く用いることができるものとなる。なお、この色補償データをもって印刷する際には、例えば、メッシュ94の各頂点のCMYK値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間すると共に汎用のインク色であるCMYK値をプリンター20のインク色であるcmykop値に変換した値を5倍して圧縮前の数値範囲に戻すことにより印刷用のデータを作成する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。
また、すべての頂点のCMYK値を設定したときには、各頂点のCMYK値をそれぞれ通常の印刷範囲の値に圧縮し(工程S280)、各頂点のCMYK値を用いてメッシュ94の内部(各四角形内)のCMYK値を補間処理によりそれぞれ演算する(工程S290)。
さらに、各頂点や内部のCMYK値が定められたメッシュ94を形状補償処理後の画像の輪郭で切り出して(工程S300)、切り出したメッシュ94のCMYK値を色補償データとしてHDD55に保存して(工程S310)、本ルーチンを終了する。
ここで、色補償変換LUT66ではCMYK値を500%までの値としているため、各頂点に設定されたCMYK値をそれぞれ1/5にすることで通常の印刷範囲(0〜100%)に圧縮するものとした。このように、本実施形態では、汎用のインク色であるCMYK値を用いるため、通常の印刷範囲に圧縮することで、作成された色補償データを画像編集ツールなどのアプリケーションソフト上で広く用いることができるものとなる。なお、この色補償データをもって印刷する際には、例えば、メッシュ94の各頂点のCMYK値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間すると共に汎用のインク色であるCMYK値をプリンター20のインク色であるcmykop値に変換した値を5倍して圧縮前の数値範囲に戻すことにより印刷用のデータを作成する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。
このように、形状補償はグリッド92を用いて処理するのに対し、図6の色補償処理ルーチンにおいては、グリッド92とは別にメッシュ94を作成しメッシュ94の各頂点を色補正点として用いて処理するのである。これにより、グリッド92の各四角形の伸び量Δeを各四角形の重心に位置するメッシュ94の各頂点にそれぞれ反映させることができる。上述したように、四角形の重心の近傍には四角形の各頂点の近傍に比して伸び量Δeに近い変形が生じると考えることができるから、伸び量Δeを各四角形の頂点(グリッド92の各格子点)に反映させるものなどに比して、伸び量Δeをより正確に反映させて色補償を行なうことができる。したがって、媒体Sのグリッド92の個々の要素(四角形)の面積変化に伴う色の変化の影響をより精度よく反映させてメッシュ94の各頂点のCMYK値を設定することができ、ひいては、媒体S全体の変形による色の変化の影響を精度よく反映させて色補償データを作成することができる。また、色補償データは、形状補償に用いられるグリッド92とは別のメッシュ94に基づいて作成されるから、形状補償のデータとは別個に取り扱うことができ、画像の形状と画像の色とを別々に修正することができるなどユーザーの使い勝手を向上させることができる。形状補償はグリッド92を用いて処理し、色補償はグリッド92とは別に作成したメッシュ94を用いて処理するのはこうした理由による。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のPC50に内蔵されたHDD55が本発明の「LUT格納手段」に相当し、3D絵柄編集部63が「画像形成データ変更手段」に相当し、算出部62と色補償部65とが「機能性液体(インク)量算出手段」に相当し、補助ルーチンの工程S400〜S460の処理を実行するコントローラー51と色補償部65とが「変換データ算出手段」に相当する。なお、本実施形態では、PC50の動作を説明することにより本発明の画像処理方法の一例も明らかにしている。
以上詳述した本実施形態のPC50によれば、四角形の伸び量Δeが、50%刻みになっているテーブルの規定伸び量と一致していない場合であっても、色補償変換LUT66の中から、伸び量Δeを下回る規定伸び量を第1テーブルとし、伸び量Δeを上回る規定伸び量を第2テーブルとした二つの伸び量テーブルだけを使用して補間処理することにより、伸びに対応した色値の特性が単調性を持たない場合であっても、精度よく色補正をすることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、メッシュ94の各頂点がグリッド92の各四角形の重心に位置するものとしたが、これに限られず、グリッド92の各四角形内にメッシュ94の各頂点が含まれるものであればよい。また、グリッド92の各四角形にメッシュ94の頂点を1つずつ含むものとしたが、これに限られず、グリッド92の各四角形にメッシュ94の頂点を複数含むものとしてもよいし、グリッド92の各四角形のうちいくつかの四角形にメッシュ94の頂点を含まないものとしてもよい。このように、メッシュ94の頂点を必要とされる色補正の精度などに応じて適正な位置に定めるものとすればよいから、より適切に色の補正を行なうことができる。
また、上述した実施形態では、色補正点をメッシュ94の頂点として定めるものとしたが、これに限られず、色補正点をメッシュ状に構成することなく各点毎に独立した点として定めるものとしてもよい。
また、上述した実施形態では、プリンター20がインク色としてcmykopの6色を有するものとしたが、これに限られず、複数のインク色を有するものであればよく、例えば、cmykの4色を有するものとしてもよいし、cmykの4色にライトシアンやライトマゼンタを加えた6色を有するものとしてもよいし、6色以上の複数色を有するものなどとしてもよい。
また、上述した実施形態では、色補償変換LUT66の変形前の色値をJapanColor認証制度の色規格に準拠した原色の組合せを用いるものとしたが、これに限られず、他の汎用の色規格で用いられる原色の組合せを用いるものとしてもよいし、プリンター20が有する複数のインク色の組合せを用いるものとしてもよい。
また、上述した実施形態では、媒体Sのグリッド92は各要素が正方形となるよう構成するものとしたが、これに限られず、各要素が三角形や矩形,菱形などの多角形となるものであればどのように構成するものとしてもよい。
また、上述した実施形態では、各格子点のCMYK値を通常の印刷範囲に圧縮して色補償データを作成するものとしたが、これに限られず、各格子点のCMYK値を圧縮することなく用いて色補償データを作成するものとしてもよい。ただし、汎用性をもたせるためには、本実施形態のように圧縮するものが好ましい。
また、上述した実施形態では、色補償変換LUT66の変形後の色値としてLab表色系の値を用いるものとしたが、これに限られず、RGB表色系やXYZ表色系などの他の表色系の値を用いるものなどとしてもよい。
また、上述した実施形態では、色補償変換LUT66の変形の度合いとして伸び量Δeを用いるものとしたが、これに限られず、変形の度合いを示すものであれば伸び率などの他の指標を用いるものとしてもよい。また、伸び量Δeとしては、0%以上に拡大される範囲を用いたが、0%未満に縮小されるマイナスの範囲を含めるものとしてもよい。
また、上述した実施形態では、形状補償処理において成形後の各格子点の三次元座標(位置情報)をソフトウェアプログラムにより取得するものとして説明したが、これに限られず、グリッドを形成した媒体Sを実際に成形した成形品における各格子点の位置を測定することにより各格子点の三次元座標を取得するものとしてもよい。その場合、形状補償処理は以下のような手順で行うことができる。例えば、目的の製品と同じ材質の媒体Sにグリッドを形成し、各格子点の位置を二次元座標として記録する。次に、この媒体Sを実成形品と同じ成形条件(温度や圧力など)で成形装置40により成形する。続いて、成形後の媒体Sの各格子点の位置を三次元測定器などにより測定し、測定した各格子点の位置を三次元座標として記録して、変形前後の座標を対応付けて位置情報とすることができる。このとき、測定した各格子点の三次元座標を入力装置57で入力することにより、位置情報を取得するものとしてもよい。
また、上述した実施形態では、ルックアップテーブルとして作成された色補償変換LUT66を用いて色補償処理を行なうものとしたが、これに限られず、変形後の目的色の色値と、変形の度合いと、変形前の色値との対応関係式を予めHDD55に記憶しておき演算により変形前の色値を算出するものなどとしてもよい。
また、上述した実施形態では、着色剤としてインクを用いるものとしたが、これに限られず、媒体S上に画像を形成可能なものであればよく、例えば、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液),ジェルのような流状体,トナーなどの粉体などとしてもよい。
また、上述した実施形態では、工程S110においてテストシートの変形が必要なのは50%から250%までの5通りであるとしたが、これに限られず、例えば、加熱成形をする場合にインクへの熱影響があるのであれば、0%(変形なし)のテストシートに成形時相当の熱を印加してから測色してもよい。
10…画像処理システムとしての加飾成形システム、20…プリンター、21…コントローラー、22…CPU、23…フラッシュメモリー、24…RAM、25…印刷機構、26…キャリッジ、27…ノズル、28…印刷ヘッド、29…カートリッジ、30…キャリッジ軸、31…キャリッジベルト、32…搬送機構、33…駆動モーター、35…搬送ローラー、36…ロール、37…切断機、40…成形装置、41…上型部、42…下型部、50…PC、51…コントローラー、52…CPU、53…フラッシュメモリー、54…RAM、55…HDD、56…I/F、57…入力装置、58…ディスプレイ、59…バス、60…変形画像処理プログラム、61…データ入力部、62…算出部、63…3D絵柄編集部、64…形状補償部、65…色補償部、66…色補償変換LUT、67…データ出力部、70…印刷ドライバー、80…色補償変換LUT作成システム、82…データ入力部、84…演算処理部、86…LUT出力部、92…グリッド、94…メッシュ。
Claims (6)
- 変形が施される媒体に該変形前に形成される画像を処理する画像処理方法であって、
前記変形前に前記媒体に塗布する機能性液体の量を、変形によって生じる前記画像の色調変化を反映させるためのLUT(ルックアップテーブル)から算出し、
前記LUTは、変形後の伸び量が0%のテーブル値と、前記変形後の伸び量が0%でない一つ以上のテーブル値を含んで構成されることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1記載の画像処理方法であって、
前記変形前に前記媒体に塗布する前記機能性液体の量を前記LUTから算出する際に、
前記LUT内に所望の伸び量に対応する値がある場合はそのまま変換し、所望の伸び量が無い場合には所望の伸び量近傍の少ない側のLUTを用いて変換した第1テーブル値と、所望の伸び量近傍の大きい側のLUTを用いて変換した第2テーブル値を取得し、前記第1テーブル値と前記第2テーブル値を用いて所望の伸び量に対する変換色データを求めることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1または2記載の画像処理方法であって、
前記LUTは、伸び量と汎用の表色系の値と塗布する機能性液体量の対応関係を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理方法であって、
塗布する前記機能性液体は、インクジェット方式により前記媒体へ塗布されることを特徴とする画像処理方法。 - 変形が施される媒体に該変形前に形成される画像データを処理して媒体への画像記録を行う画像処理システムであって、
変形前の前記媒体に塗布する機能性液体の量と複数の伸び量に対応するLUTを格納する手段と、
前記LUTを参照して所望の伸び量に対応する機能性液体の量を算出する手段と、
前記機能性液体の量を算出する手段により算出された値に基づき画像形成データを変更する手段と、を有し、
前記機能性液体の量を算出する手段は、前記LUT内に所望の伸び量に対応する値がある場合はそのまま変換し、所望の伸び量が無い場合には所望の伸び量近傍の少ない側のLUTを用いて変換した第1テーブル値と、所望の伸び量近傍の大きい側のLUTを用いて変換した第2テーブル値を取得し、前記第1テーブル値と前記第2テーブル値を用いて所望の伸び量に対する変換データを求める手段を備えることを特徴とする画像処理システム。 - 請求項5記載の画像処理システムであって、
前記LUTは、伸び量と汎用の表色系の値と塗布する機能性液体量の対応関係を含むことを特徴とする画像処理システム。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019073626A1 (ja) * | 2017-10-10 | 2019-04-18 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 化粧用シートおよびその製造方法、画像処理装置、および画像処理方法 |
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2012
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JPWO2019073626A1 (ja) * | 2017-10-10 | 2020-11-26 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 化粧用シートおよびその製造方法、画像処理装置、および画像処理方法 |
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