JP2013190723A - 電気光学素子、その製造方法および電気光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スラブ導波路構造を備えた電気光学素子、その製造方法および電気光学装置を提供すること。
【解決手段】 スラブ光導波路型の電気光学素子100は、であって、第1クラッド102に隣接して形成され、電気光学材料にプリズム形状の分極率変調を与える上部電極101と、第1クラッド102に隣接し、上部電極101と反対の下層側に形成され、第1クラッド102以下の屈折率を有する第2クラッド103と、第2クラッド103に隣接し、電気光学材料を含むコア104と、を含み、第2クラッド103は、コア104の誘電率/導電率の値と略等しい誘電率/導電率の値を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 スラブ光導波路型の電気光学素子100は、であって、第1クラッド102に隣接して形成され、電気光学材料にプリズム形状の分極率変調を与える上部電極101と、第1クラッド102に隣接し、上部電極101と反対の下層側に形成され、第1クラッド102以下の屈折率を有する第2クラッド103と、第2クラッド103に隣接し、電気光学材料を含むコア104と、を含み、第2クラッド103は、コア104の誘電率/導電率の値と略等しい誘電率/導電率の値を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電気光学素子技術に関し、より詳細には、スラブ導波路構造を備えた電気光学素子、その製造方法および電気光学装置に関する。
光が透過する物質に電場をかけると屈折率が変化する現象は電気光学効果として知られており、光変調、スイッチング、偏波などの用途に利用されている。このうち、電場の強さに比例して屈折率が変化する効果は、ポッケルス効果と呼ばれ、その屈折率変化量は、下記式(1)で与えられる。
上記式(1)中、rijは電気光学定数(ポッケルス定数)、Vは、印加電圧、dは、電圧を印加する電極間隔である。電気光学効果は、電界の変化に対する応答速度が極めて速く、光通信で用いられる強度変調器や、レーザ発振のパルス動作を得るためのQスイッチ素子、光の進行方向を制御する光ビームスキャナの用途に好ましく用いられている。
電気光学効果による屈折率変化量の電圧依存性は比較的小さく、例えば典型的な電気光学材料であるニオブ酸リチウムを用いた場合、Δn=0.001程度の屈折率変化を与えるためには6kV/mm程度の電界を結晶に印加する必要がある。電気光学素子の実用性をより拡張するためには、低電圧でかつ幅広い周波数帯域で応答することが求められる。そのためには式(1)において、電極間隔dを小さくすることが有効である。
従来の代表的な導波路型電気光学素子の例として、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)のような光学結晶にチタンを局所的に拡散し、拡散部分だけ屈折率を上昇させることで光導波路構造を形成した不純物拡散による光導波路も知られている。この様な構造を有するスラブ導波路型電気光学素子では、電極は、基板表面の不純物を拡散した光導波領域の近傍に形成される。
その他、電気光学素子の構造として、研磨等によって電気光学材料を薄膜化し、薄膜の上面および底面に電極を形成する方法も知られている。この電気光学素子では、印加される電界の方向は、基板面とは垂直とされ、電気光学材料が有する本来の性能を保ったまま導波路構造を実現できるので、低電圧動作のために有効である。
スラブ導波路型構造を有する電気光学素子は、コア内部に光を伝搬させるため、コアと電極との間にコアよりも屈折率の低い、クラッド(層)を挿入する必要がある。典型的なクラッド材料としては、SiO2を挙げることができる。コア、クラッドによって形成されたスラブ光導波路に電圧を印加した場合、コアに印加される電圧は、下記式(2)で与えられる。
上記式(2)中、Vは、スラブ光導波路に印加する印圧、Vcoは、コア層に印加される電圧、dcoおよびdclは、コアおよびクラッドの薄膜、εcoおよびεclはコアおよびクラッド層の誘電率である。上記式(2)から分かるように、クラッドを設けることで、電気光学結晶に印加される電圧は低下する。したがって、電気光学材料に印加される電圧を高くして高速な動作を可能とするためには、クラッドの厚さを薄くすることが好ましい。
しかしながら、クラッドの厚さが薄いと、高電圧で電気光学素子を動作させたときにクラッドが絶縁破壊する場合もある。電気光学素子に電圧を印加した場合に、クラッドに印加される電界強度は下記式(3)で与えられる。
上記式(3)中、EclおよびEcoは、それぞれクラッド層およびコア層に印加される電界強度である。例えば、コアを、ニオブ酸リチウムとし、クラッドをSiO2とした電気光学素子では、εco/εclは、7程度となり、このことは、クラッドには、電気光学材料の7倍もの高電界が印加されることを意味する。例えば、厚さ10μmの二オブ酸リチウムに100Vの電圧を印加して動作させる電気光学素子では、ニオブ酸リチウムに印加される電界強度は10kV/mm、SiO2クラッドには、70kV/mmが印加される。一般的な石英ガラスの絶縁破壊電圧は40kV/mmのため、クラッドが絶縁破壊を起こしてしまうことになる。このため、クラッドが厚いとコアへの電圧降下が大きくなるので、電気光学特性を劣化させる、反面、クラッドが薄いと、クラッドの絶縁破壊を起こしやすいといったトレードオフの関係があることが知られていた。
さらに、電極がオーミック・コンタクトされた電気光学材料に直流電圧を印加すると、電極から電気光学材料に電子注入が発生することが知られている。電気光学材料内に電子が注入されると、電気光学材料内に電界傾斜が生じ、その結果、電気光学材料内に電子注入により屈折率分布が生じる。上述した電子注入は、電子による散乱によって電気光学材料内を伝搬する光ビームの形状プロファイルを劣化させてしまうといった現象を生じさせることも知られている。光ビームの形状プロファイルの劣化は、電気光学素子を光変調器として用いた場合、消光比の低下を生じさせ、光偏向素子として用いた場合は、出射ビームそのもののビーム形状の劣化や、解像度の劣化などの現象を生じさせることになる。
この理由から、電荷注入抑制層として抵抗率の高い絶縁材料をクラッド材料として用いることが多く、その代表的な材料がSiO2である。一方、電気光学結晶内に比較的短波長の光、特に青色や緑色の光を伝搬させることが要求される場合もあり、短波長の光ビームの入射により、電気光学結晶内で発生する内部光電効果によって、結晶内にキャリアが発生することも知られている。内部光電効果は、禁止帯よりもシャローなトラップサイトである電気光学結晶内部の不純物や格子欠陥に起因する不純物準位から電子が光励起されることに起因する。内部光電効果によって発生した電子は、外部電界方向にドリフトし、電子濃度に依存して拡散することが知られている。
従来から、上述した電気光学的素子の電子散乱による特性劣化を防止することが試みられており、例えば、特開2010−26079号公報(特許文献1)では、電気光学結晶としてKTNをコアとし、TiBaO3を電子注入阻止層とする電気光学素子において、電極からの電子注入をさらに抑制するための光デバイスの構成、動作方法およびその製造方法が開示されている。また、特開2011−48067号公報(特許文献2)には、電気光学材料にプリズム形状に分極率変調を行うことが記載されている。
特許文献1は、電子注入阻止層を提供する点で電子注入を抑制することはできるものの、内部光電効果によって発生した電子の散乱に起因して生じるビーム歪などの光特性劣化という問題を解決するものではない。また、特許文献2は、スラブ導波路型電気光学素子の光ビームの形状プロファイルを改善することを課題とするものではない。
本発明は、上述した従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明は、導波路型電気光学素子のコアに対する電子注入を抑制することにより、良好な光制御性を有し、かつ光ビームの形状プロファイルの劣化を防止した電気光学素子、その製造方法、および電気光学装置を提供することを目的とする。
本発明は、スラブ導波路のコアおよびクラッドの電気的特性を制御することにより、キャリア注入に起因する光ビームの形状プロファイルの劣化を防止するとともに、偏向角を拡張する電気光学素子を提供するものである。本発明のスラブ光導波路型の電気光学素子は、
第1クラッドに隣接して形成され、電気光学材料にプリズム形状の分極率変調を与える上部電極と、
前記第1クラッドに隣接する前記上部電極と反対の下層側に形成され、前記第1クラッド以下の屈折率を有する第2クラッドと、
前記第2クラッドに隣接し、電気光学材料を含むコアと、
を含み、
前記第2クラッドは、前記コアの誘電率/導電率の値と略等しい誘電率/導電率の値である。
第1クラッドに隣接して形成され、電気光学材料にプリズム形状の分極率変調を与える上部電極と、
前記第1クラッドに隣接する前記上部電極と反対の下層側に形成され、前記第1クラッド以下の屈折率を有する第2クラッドと、
前記第2クラッドに隣接し、電気光学材料を含むコアと、
を含み、
前記第2クラッドは、前記コアの誘電率/導電率の値と略等しい誘電率/導電率の値である。
本発明の前記第2クラッドは、SiO2,Ta2O5,HfO2,TiBaO3、またはこれらの混合組成を含む群から選択される誘電体とすることができる。前記上部電極は、連続したプリズム形状とされており、電圧印加に応答して前記コアの対応領域の分極を前記プリズム形状に変調することができる。さらに、前記上部電極は、前記光ビームの伝播方向に沿って細長のストリップ形状に形成され、前記コアは、前記上部電極に対応する位置で連続したプリズム形状の分極反転を記憶することができる。
本発明の前記コアは、前記分極反転を記憶する領域の形状は、複数の正三角形とされ、前記正三角形の入射側から第n+1番目(n:自然数)の分極反転を記憶した領域の面積は、第n番目の当該領域の面積よりも大きく形成することができる。前記電気光学材料は、ニオブ酸リチウム、酸化マグネシウム添加二オブ酸リチウム、タンタル酸リチウムを含む群から選択される少なくとも1つから選択することができる。
さらに本発明は、上記構成の電気光学素子の製造方法および前記電気光学素子を含む電気光学装置を提供する。
以下、本発明を実施形態をもって説明するが、本発明は実施形態に限定されるものではない。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の電気光学素子の概略図を示す。図1に示す電気光学素子100は、スラブ導波路として構成されており、コア104の上下に第1クラッド102、第2クラッド103、下部第2クラッド105および下部第1クラッド106が形成されていて、半導体レーザといったレーザビームが、図示する実施形態では、紙面左手側から入射され、紙面右手側から出力される構成となっている。
図1は、第1実施形態の電気光学素子の概略図を示す。図1に示す電気光学素子100は、スラブ導波路として構成されており、コア104の上下に第1クラッド102、第2クラッド103、下部第2クラッド105および下部第1クラッド106が形成されていて、半導体レーザといったレーザビームが、図示する実施形態では、紙面左手側から入射され、紙面右手側から出力される構成となっている。
第1クラッド102の紙面上側には、上部電極101が形成されており、電気光学素子100の最下層に形成された下部電極107との間で、電気光学素子100に電圧を印加し、コア104内を伝搬するレーザビームを光変調させている。コア104は、電気光学材料を含んで構成することができる。電気光学材料としては、本実施形態では、例えば、LiNbO3,LiTaO3,KTP,SBN,KTN,KTN、またはこれらのいかなる混合組成物などを挙げることができる。これらの電気光学材料は、例えば、CVD(Cemical Vapor Deposision)、PVD(Physical Vapor Deposition)、熱溶融法、単結晶育成法、水熱合成法などこれまで知られたいかなる方法でも形成できる。
上述した電気光学材料のうち、LiNbO3,LiTaO3は、比較的汎用性が高いこと、ロバスト性が高いこと、および安定した材料であるため本実施形態で好ましく利用することができる。コア104に使用する電気光学材料は、強誘電体であり、外部電場を加えなくても自発分極を有しており、自発分極の向きが一方向に揃った分域(ドメイン)として参照される領域を有する。また、自発分極の向きが180°異なるドメインの境界は、ドメイン壁として参照される領域を形成する。コア104の層厚は特に限定はないが、数μm〜数100μmとすることが、スラブ導波路型電気光学素子を構成する場合には好ましい。
クラッドとしては、適切な屈折率を有するSiO2,Ta2O5,HfO2,TiBaO3などを使用することができ、クラッドは、有機金属化合物などを使用したCVD(Cemical Vapor Deposision)、PVD(Physical Vapor Deposition)、ゾル−ゲル法など、これまで知られたいかなる薄膜堆積法を使用して形成することができる。クラッドの膜厚は、厚すぎると電気光学特性を劣化させ、薄いと絶縁破壊を生じさせることから、100nm〜数10μm程度、好ましくは、500nm〜10μmとすることができる。
本実施形態の上部電極101は、導電性金属または導電性金属酸化物といった導電材料から構成することができる。上部電極101は、導電材料を、スパッタや蒸着などの方法により第1クラッド102上に形成することができる。上部電極101の形状は、図1に示した実施形態では、三角形のプリズム電極として構成されている。図1に示した形状の上部電極101とすることで、上部電極101の下側にあるコア104に誘起される各分極反転領域での屈折角が加算された値として偏向角を増大させることができ、特に光偏向素子として好ましい特性を付与できる。また、上部電極101および下部電極107の膜厚は特に制限はないが、材料の消費量や生産性の点から、1μm〜数百μmの範囲で適宜に最適化することができる。
図2は、図1に示した電気光学素子100を使用して光変調を行う場合の光偏向素子200実施形態を示す。図2に示した光偏向素子200は、上部電極101および下部電極107の間には、高周波電源203からの変調された電圧が印加されている。光偏向素子200のスラブ型導波路210には、紙面左手側から光ビームが入射光201として入射されている。コア104は、電気光学効果により生成した屈折率分布により光ビームが偏向され、コア104を通過して行くにつれて偏向角が増大された後、出力光202として光学素子から放出される。
図2に示した光学素子における光変調の作用について、以下に簡単に説明する。上部電極101と、下部電極107との間に直流または交流電圧を印加すると、結晶内部に1次の電気光学効果(EO:Electro-Optic Effect)が発現し、結晶内の屈折率が変化する。図2に示すように上側電極形状をプリズム形状として電圧を印加することにより、結晶内に擬似的なプリズムを形成することができ、その結果としてコアを伝播する光は、結晶内部で屈折する。
EO効果を利用した光ビーム偏向素子は、電気光学材料の上側面および下側面に電界を形成するための上部電極101および下部107を対向配置する。対向電極に電圧を印加し、電極に挟まれた電気光学材料の領域で、結晶の分極軸に沿って平行な電界を形成する。電界は、電気光学材料の誘電率を電気光学効果により誘電率を変化させ、その結果としてコア104の内部の電圧印加領域で屈折率が変化する。ポッケルス効果による屈折率変化を利用する場合、電気光学材料の屈折率変化量Δnは下記式(4)で与えられる。
上記式(4)中、nは、電気光学材料の屈折率、rijは、電気光学定数、Vは、印加電圧、dは、結晶厚である。図2に示した実施形態では、光ビームがコア104内を伝播する領域上の上部電極101は、連続した複数の三角形の形状として形成されている。プリズム形状に形成した上部電極101に電圧を印加すると、電圧印加に対応して屈折率が変化する領域もプリズム形状に制御でき、この結果、スラブ導波路として構成されたコア104の内部に光学プリズムの機能を生成することができる。
入射する光ビームは、コア104内を伝搬するにつれてプリズム形状の屈折率変化領域を通過し、図2中、X軸方向に偏向する。このときの偏向角θは、電気光学材料の屈折率変化量に比例した量となり、下記式(5)で与えられる。
上記式(5)中、Lは、複数のプリズム部全体の長さ、Dは、プリズム幅である。上記式(4)および(5)から、偏向された入射光が、電気光学素子100から出射される際の偏向角θは、印加電圧Vに比例することが示される。このことから、本実施形態の電気光学素子は、電気光学素子への印加電圧および電極形状を制御することにより、入射光の偏向角θを制御することができる。
図2に示す本実施形態の電気光学素子は、コア104に光損傷耐性の高い酸化マグネシウム添加二オブ酸リチウム(LiNbO3)を用いており、可視光域でも充分な偏向効率を有する。また図2に示す光偏向素子200のコア104への酸化マグネシウムのドープ量は、約4.5mol%〜5.5mol%の範囲が好ましく、酸化マグネシウムのドープ量を、約5mol%とすることで最も好ましい電気光学的特性を得ることができた。
スラブ導波路型電気光学素子は、外部からのキャリア注入と内部光電効果により、光照射・電圧印加の動作条件下で光ビームの形状が歪むという問題点があることが知られている。内部光電効果は、LiNbO3などの電気光学結晶の不純物や格子欠陥による浅くトラップされたキャリアの存在がその理由となることが知られている。この様なキャリアは、禁止帯中における不純物準位、欠陥準位として出現し、入射光として比較的短波長の光ビームが照射されると、トラップされたキャリアが光励起され、自由電子として放出されることによって発生する。
本実施形態で使用する電気光学材料のLiNbO3の場合、キャリアは、主に電子であることが知られている。内部光電効果によって自由電子が発生すると、印加電界によって自由電子がドリフト運動し、キャリアの再トラップもランダムに発生することで内部電界の不均一さが発生する。この様な内部電界の不均一性は、屈折率にランダムな揺らぎを発生させてしまい、伝搬する光ビームを散乱し、この結果として光ビームの形状プロファイルの乱れを生じさせる。
一方、外部電子注入は、電極からコア104の伝導帯への電子の注入により生じることが知られている。電子注入機構としては、主としてショットキー注入と、トンネル注入とが想定できる。ショットキー注入は、金属内の電子に所定のポテンシャルエネルギーを与えることで、誘電体・電極間のエネルギー障壁を越えて電子が伝導帯に注入されるものである。一方、トンネル注入とは、電子エネルギーに比べてエネルギー障壁の高い場合に、印加電界により障壁厚さが薄くなり、ついには電子が障壁をトンネル効果で通過することにより、電子が伝導帯に注入される現象である。
上述したショットキー注入やトンネル注入の発生は、コア104と、クラッドとの間の電子密度に関係する。このため、本実施形態では、コア104と、コア104に直隣接する第2クラッド103のとの間の界面に集中するキャリアの濃度を制御することによってキャリア注入を抑制することで、コア104と、第2クラッド103との界面にキャリアが集中することを抑制する。本実施形態では、キャリア注入を抑制するために、コア104と、第2クラッド103の誘電率/導電率の値を一致させるように、第2クラッド103の誘電率および導電率を制御するものである。
ここで、誘電体に下記式(6)で与えられるガウスの法則と、下記式(7)で与えられる電流の連続式(7)を適用すると、その解として電荷密度ρを求めることができる。
上記式(8)式で示されるように、電荷密度ρは、誘電率εと、導電率σとの比(誘電率/導電率)の値の勾配が存在する領域で発生する。界面における電荷密度ρは、ショットキー注入およびトンネル注入でも主要な要因といえるので、キャリア注入は、コア104および第2クラッド103との界面における誘電率/導電率の比を一定とすることで、該界面におけるキャリアの蓄積を抑制することが可能となることが示される。
ここで、コア104と、第2クラッド103との間の光伝播領域に電荷分布を発生させず、コア104と、第2クラッド103との界面に電荷を蓄積させないようにするためには、コア104の誘電率を、εLN、導電率をσLN、第2クラッド103の誘電率をεl、導電率をσlとして、下記式(9)が成り立つクラッド材料を使用すれば良い。
本実施形態では、光学素子のコア104として波長特性を考慮し、酸化マグネシウムを添加したLiNbO3を用いており、その誘電率は、誘電率εLN=28.7ε0であり、導電率σLN=1×10−14(Ω・cm)−1である。本実施形態では、鋭意検討した結果、第2クラッド103として、Ta2O5を使用し、スパッタ成膜における堆積温度、堆積速度、スパッタ電力を制御して膜密度などを制御することにより、誘電率ε1=23ε0、導電率σl=0.8×10−14(Ω・cm)−1のTa2O5膜を形成し、第2クラッド103とした。
この他、第2クラッド103のための材料としては、SiO2,Ta2O5,HfO2,TiBaO3などの材料も使用でき、スパッタ条件などによって膜質などを制御して導電率および誘電率を制御することで、上記式(9)を概ね満足させることができればどのような材料またはそれらの混合物でも使用することができる。
一方、本実施形態の第1クラッド102は、主として電界密度を低下させることで、第1クラッド102の絶縁破壊を防止するとともに、上部電極101からの電荷注入を抑制するために用いることができ、高抵抗率膜から形成することが好ましい。
上記目的のため、第1クラッド102は、第2クラッド103以上の誘電率を有する無機材料または有機材料といった誘電体材料を使用することができ、これまで知られたいかなる成膜方法で形成することができる。説明する本実施形態では、成膜性の点でスピンコート法といった簡便な膜生成プロセスを使用することができることから、ネガ型の永久レジスト(SU−8:化薬マイクロケム株式会社製)を用いた。本実施形態では、第1クラッド102は、コア104上に第2クラッド103を形成した後、スピンコート法を使用して製膜し、成膜後ベーク処理を施して形成した。説明する特定の実施形態では、形成した第1クラッド102は、抵抗率ρ=1×1016(Ω・cm)であった。
本実施形態の電気光学素子100のための上部電極101を形成する導電材料としては、導電材料を使用することができ、例えば、Au,Pt,Ti,Al,Ni,Crなどの金属材料の他、ITOなどの金属酸化物を挙げることができ、これらのうち、電子親和力の高いPt,Ni,Alなどを好ましく使用することができる。第1クラッド102は、上部電極101からの電子注入阻止層として機能し、上部電極101と、第1クラッド102とは、ショットキー接続させることが可能となるので、電子注入を抑制できる。
さらに上部電極101は、本実施形態にしたがい、連続したプリズムの形状として形成する。上部電極101は、スパッタ、蒸着、メッキなどの金属堆積法を使用することができ、適宜マスクによるパターン形成方法やフォトリソグラフィー技術を使用して、図1および図2に示す連続プリズム形状にパターニングできる。また、下部第2クラッド105、下部第1クラッド106および下部電極107については、コア104を挟んで上側の構成および材料と同一の構成を使用することができる。また、下部電極107は、パターン形成することもできるが、パターンを形成することなく下層面全面を被覆する膜として形成し、使用することもできる。
本実施形態の電気光学素子100は、上記第1クラッド102、第2クラッド103、およびコア104を用いることにより、電気光学結晶内への電子注入を抑制することで、コア104内の屈折率不均一性を抑制でき、スラブ導波路として機能するコア104内を伝搬する光ビームの形状プロファイルを劣化すること無く、大きな偏向角を提供する良好な光偏向素子を提供することが可能となる。
<第2実施形態>
図3を使用して本発明の第2の実施形態を説明する。電気光学材料は、その分極軸を制御することが可能である。分極軸を制御することにより、コア内部にプリズム特性を形成させることができる。図3は、コア304内部に分極軸を制御したプリズムドメインを形成した実施形態を示す。図3に示す実施形態では、コア304を挟んで上側に第1クラッド302、第2クラッド303、下部第2クラッド305および下部第1クラッド306が形成されている。第1クラッド302の上面には、電子親和力の高いPt,Ni,Alといった材料で形成される上部電極301が形成されている。第2実施形態の上部電極301は、特にパターン形成はされておらず、第1クラッド302上にストリップ形状で形成されている。
図3を使用して本発明の第2の実施形態を説明する。電気光学材料は、その分極軸を制御することが可能である。分極軸を制御することにより、コア内部にプリズム特性を形成させることができる。図3は、コア304内部に分極軸を制御したプリズムドメインを形成した実施形態を示す。図3に示す実施形態では、コア304を挟んで上側に第1クラッド302、第2クラッド303、下部第2クラッド305および下部第1クラッド306が形成されている。第1クラッド302の上面には、電子親和力の高いPt,Ni,Alといった材料で形成される上部電極301が形成されている。第2実施形態の上部電極301は、特にパターン形成はされておらず、第1クラッド302上にストリップ形状で形成されている。
第2実施形態では、コア304内部に複数のプリズム形状を並べた分極反転領域を形成することで、光学素子に対して光偏向特性を付与する。このため、コア304内の分極反転プリズム領域の全体を覆う形状の上部電極301により素子に電圧を印加して、電気光学材料にプリズム状の屈折率変化領域を形成することができる。以下、より詳細に第2の実施形態を説明する。
図4は、図3の電気光学素子300の上面図400を示す。図4に示すように電気光学素子300には、紙面左手側の偏向素子端面から光ビームが入射される。入射光は、コア304内に形成されたプリズム領域によってその伝播方向がX軸方向に偏向されて、伝播にしたがって屈折角が累積されて、紙面右手側の偏向素子端面から出力光が偏向ビームとして出力される。分極反転に対応した分極方向は、図4中、符号301aおよび301bで反転しており、符号301aおよび符号301bの領域を区別するためのハッチングで色分けされた部分に付された方向とされている。図4に示した実施形態では、分極率をその界面で正反対とするようにプリズム形状を形成できるので、屈折率変化量は、第1実施形態で説明したプリズム状電極の屈折率変化量の2倍となり、電気光学素子300からの出射角θは、下記式(10)で示す通り、理論上では第1実施形態の2倍とすることができる。
上部電極301は、コア304にわたってプリズムドメインを形成し、電界生成を効果的とするために光ビームの伝播方向に沿って細長の長方形のストリップ形状とすることが好ましい。また、本実施形態では、上部電極301の下側に延びるように、屈折率反転領域301a、301bを延長することで、屈折角変調を増大させることができる。
以下、図5を使用して電気光学材料に分極反転を生成した電気光学材料の製造プロセスを詳細に説明する。分極反転を形成するプロセスは、図5(a)で、電気光学基板500を用意し、図5(b)に示すように電気光学基板500上にスピンコーティングなどの適切な方法により約2μmの膜厚のフォトレジスト層501を成膜する。次いで、図5(c)に示すように、フォトレジスト層501をパターニングしてプリズム形状パターン502を形成する。
その後、図5(d)に示すように、プリズム形状パターン502上および電気光学基板500の裏面にそれぞれ導電性材料、例えばAlなどをスパッタ法または蒸着法により適切な膜厚で製膜し、抗電界を生成するための電極を形成し、電源から抗電界以上の電界を印加して、電気光学基板の分極特性をパターン形状に反転させる。
さらにその後、図5(e)に示すように導電性材料を適切な剥離液、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸などで除去し、プリズム状の分極反転を記憶させた電気光学基板を製造する。この電気光学基板500を、本実施形態のコア104、304として適用することで、効率的な電気光学的特性を得ることができる。
電気光学基板500としては、説明する実施形態では、株式会社山寿セラミクス製φ3“Z板、t=300μmを使用することができ、フォトレジスト膜の形成は、スピンコーティングで膜厚数μm、好ましくは、膜厚を約2μmとすることができる。また、フォトレジスト膜は、電気光学基板500の+Z面に形成する。その後、フォトレジスト層501を、プリズム形状のうち、光が入出射する正三角形の2辺をドメイン壁とするようにパターニングする。
その後、図5(d)に示すように、直接電界印加法で、抗電界に対応する電圧を分極反転基板に印加して、正三角形の分極反転領域を作製する。直接電界印加では、特定の実施形態ではレジスト境界から外側に30μm程度まで分極反転領域が広がる結果が得られた。そのため、レジストパターンは、所望のプリズムドメインよりも外側に拡張する分を見越して小さく作製するのが望ましい。
また、図5(d)の直接電界印加法によりプリズムドメイン領域を精度良く作製するために、始めにスパイク電界をかけて、反転核を均一に発生させておき、続けて一定電界をかけることで反転核のドメイン壁を広げてゆくことが好ましい。説明する実施形態では、始めに9kV/mmのスパイク電界を5ms印加し、その後、5.5kV/mmの一定電界を5sec印加することで、プリズムドメイン領域のプリズムドメイン境界辺を直線状に形成でき、頂角がシャープなプリズムドメイン領域が形成される。
<第3実施形態>
図6は、本実施形態の第3実施形態の電気光学素子600の実施形態を示す。図6に示した実施形態では、コア304中に分極反転領域を形成する点では第2の実施形態と同様であり、またその製造方法も同様の方法を使用することができる。第3実施形態ではプリズム形状は、図5とは異なり、プリズム形状601a,b,cがそれぞれ入射側から出力側に向かって段階的に大きくなるように形成されている。またプリズム形状601a,b,cの分極反転は、領域601dとは正反対になるように形成されている。図6の実施形態では、分極反転領域のサイズを入射側から段階的に大きくしていく(ホーン型)に形成することにより、図4の実施形態に比較してさらに偏向角を大きくすることができる。
図6は、本実施形態の第3実施形態の電気光学素子600の実施形態を示す。図6に示した実施形態では、コア304中に分極反転領域を形成する点では第2の実施形態と同様であり、またその製造方法も同様の方法を使用することができる。第3実施形態ではプリズム形状は、図5とは異なり、プリズム形状601a,b,cがそれぞれ入射側から出力側に向かって段階的に大きくなるように形成されている。またプリズム形状601a,b,cの分極反転は、領域601dとは正反対になるように形成されている。図6の実施形態では、分極反転領域のサイズを入射側から段階的に大きくしていく(ホーン型)に形成することにより、図4の実施形態に比較してさらに偏向角を大きくすることができる。
図6の屈折率反転領域としてプリズム形状を形成した場合、Yi Chiu,et al, Journal of Lightwave Technology, VOL 17,No.1 Jan 1999(非特許文献1)によると、進行距離z、入射側プリズム幅D0、最大屈折変化量Δnmax、屈折率n0とすれば、プリズム幅D(z)は、下記式(11)で決定することができる。
例えば、本実施形態で、D0=0.5mm、Δnmax=3.83×10−3、屈折率n=2.203、プリズム長L=20mmとして、上記式(10)および(11)からプリズム幅D(z)を逐次計算によって計算し、出射側プリズム幅を、1.56mmとした。
なお、上記式(10)および(11)によって求めたプリズム幅は、図6の2つの包絡線602a,bの距離として表すことができる。ホーン型の分極反転領域を作製する場合には、この包絡線を使用し、正三角形の分極反転領域を入射側から正三角形のサイズを順次決めていき、図6に示すように、隙間無く分パターニングしながら分極反転領域を形成していくのが好ましい。
<第4実施形態>
図7を使用して、本実施形態の電気光学素子700を、その製造プロセスと共に説明する。図7に示す電気光学素子700は、スラブ導波路型電気光学素子として機能し、低電圧で駆動させることができるように、CMPプロセスなどによってコア704を薄膜研磨して形成することができ、研磨薄膜化したコア704と、第1クラッド702および第2クラッド703を含む上部クラッド層720と、下部第2クラッド705および下部第1クラッド706とを含む下部クラッド層721とを備えている。なお、各クラッドについては、これまで説明した実施形態と同様の材料および製造プロセスを使用して形成することができる。また、図7に示した電気光学素子700には、導電性ビア710が形成されていて下部電極707への導電経路を提供している。
図7を使用して、本実施形態の電気光学素子700を、その製造プロセスと共に説明する。図7に示す電気光学素子700は、スラブ導波路型電気光学素子として機能し、低電圧で駆動させることができるように、CMPプロセスなどによってコア704を薄膜研磨して形成することができ、研磨薄膜化したコア704と、第1クラッド702および第2クラッド703を含む上部クラッド層720と、下部第2クラッド705および下部第1クラッド706とを含む下部クラッド層721とを備えている。なお、各クラッドについては、これまで説明した実施形態と同様の材料および製造プロセスを使用して形成することができる。また、図7に示した電気光学素子700には、導電性ビア710が形成されていて下部電極707への導電経路を提供している。
導電性ビア710は、これまで知られたいかなる方法・形状で作成することができ、説明する実施形態では、ダイシングソーによる機械的穿孔方法を使用し、数10μm程度の開口、特定の実施形態では、上部開口径が約30μmのV字形状の開口を形成する。その後、形成した開口を導電材料、例えば、Cu、Ti、Alなどにより充填することで形成した。上述した方法以外にも、選択的エッチング処置としてRIE(Reactive Ion Etching)などのドライエッチング法やエキシマアブレーションなどのプロセスも好適に使用することができる。上記構成により、支持基板の面積をコア層の面積よりも大きくすることなく下部電極の取り出しが可能となり、導波路型電気光学素子の小型化が可能となる。
図7に示す実施形態では、好ましい材料の構成として、以下の構成を挙げることができる。下部第2クラッド705、下部第1クラッド706および下部電極707は、導波光の光損失を低減させるため、コア704の下面にコア704よりも屈折率の低い材料を使用して形成するのが好ましい。図7に示した実施形態では、下部クラッド層721は、下部第1クラッド705としてTa2O5を1μmの膜厚となるようにスパッタ法で製膜し、さらに下部第2クラッド706としてSU−8を1μm製膜し、その後、続けて下部電極707として、膜厚200nmのTiを堆積させ、下部電極707とする。
図7に示す電気光学素子700は、さらに下部電極707を成膜後、適切な接着剤層708を用いて下部電極707と、支持基板709との接着を行うことで機械的な剛性を付与する。接着剤層708は、面精度を1μm以下とするように均一な厚みとして形成することが好ましい。支持基板709は、コア104に用いる材料と熱膨張係数が同程度の材料を使用することが応力歪みによる影響を回避する上で好ましい。熱膨張係数が異なる材料を用いると、接着後に熱膨張が発生した際、コア704に内部応力による歪みが生じて、クラックが発生する原因になる可能性があるからである。
図7に示す実施形態では、接着剤としては、UV硬化性の樹脂接着剤を使用し、支持基板709として、厚さ300μmのニオブ酸リチウム基板を用い、これらを、接着剤層708を介して接着した。その後、支持基板709上に固定したコア704の表面を、300μmから10μmまで研磨して、厚さ10μmのコア704とした。ニオブ酸リチウムのX軸方向の熱膨張率は、1.54×10−5/Kなので、支持基板709としては、熱膨張率が1.46×10−5/KのSUS303を使用することもできる。さらに他の実施形態では、接着剤層708による支持基板709の貼付け以外にも、支持基板709に金属材料を用い、下部電極707と、支持基板709とを直接接合して形成することもできる。
図7に示す電気光学素子700では、研磨後、上部クラッドと上部電極を作製する。製膜方法は下部クラッド、下部電極と同様にスパッタ堆積法を使用することができる。上部電極701は、第1クラッド702上の全面に作製するよりも、光偏向器として機能させる場合には、できるだけ細長いストリップとして形成することが望ましい。電気光学素子700を光偏向器として機能させる場合、電極の静電容量と駆動動作周波数とはトレードオフの関係になるため、静電容量が小さいほど低電力での高周波動作を可能とすることができる。特定の実施形態では、第2クラッド703として誘電率/比抵抗を制御したTa2O5を使用し、膜厚1μmとしてスパッタ法で製膜し、第1クラッド702を第1実施形態と同様にして形成した。その後さらに上部電極701を、Tiを使用して約200μm厚でスパッタ法により製膜した。
<第5実施形態>
図8は、図7で説明した電気光学素子700を含む電気光学装置を、光偏向デバイス800として実装する場合の実施形態を示す。光偏向デバイス800は、光源として機能する半導体レーザ801と、入射光学系802と、実施形態4で説明した構成の光学素子803と、出射光学系804と、駆動装置805とを含んで構成されている。
図8は、図7で説明した電気光学素子700を含む電気光学装置を、光偏向デバイス800として実装する場合の実施形態を示す。光偏向デバイス800は、光源として機能する半導体レーザ801と、入射光学系802と、実施形態4で説明した構成の光学素子803と、出射光学系804と、駆動装置805とを含んで構成されている。
光源は、ロバスト性を有し、比較的安価な半導体レーザを使用した。入射光学系802は、光学素子803が導波路型の場合は、光利用効率が高く結合させるために、導波路と入射レンズとの間の開口数(NA)を一致させた。出射光学系(カップリングレンズ)804は、出射光をコリメートするために使用され、凸レンズまたは特定の用途に応じて、偏向角を拡大するため組合わせレンズ光学系やシリンドリカルレンズ系を使用することもできる。駆動装置は、半導体レーザ801および光学素子803を駆動させるための駆動回路、バッテリー、信号発生器とを含んでおり、光偏向装置の解像点数と駆動周波数、光出射パワーを制御する。
以上の構成の電気光学素子700を形成した後、光偏向デバイスを作成し、動作を確認したところ正常に電流が流れて動作し、ビーム歪が抑制され、入出射光ともに同じビームプロファイルとなって光偏向されていることが確認された。
以上の様に、本発明によれば、スラブ型光導波路の構成を備える電気光学素子における電子注入に起因する光特性劣化を防止する、電気光学素子、その製造方法、および電気光学装置を提供することができる。
これまで本発明を図面に示した実施の形態をもって説明してきたが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、別の実施の形態、変更例、本発明に対する他の構成要件の付加など、当業者により想到できる構成の相違であって、本願の作用効果を奏するものについても含むものである。
100 電気光学素子
101 上部電極
102 第1クラッド
103 第2クラッド
104 コア
105 下部第2クラッド
106 下部第1クラッド
107 下部電極
101 上部電極
102 第1クラッド
103 第2クラッド
104 コア
105 下部第2クラッド
106 下部第1クラッド
107 下部電極
Yi Chiu,et al, Journal of Lightwave Technology, VOL 17,No.1 Jan 1999
Claims (8)
- スラブ光導波路型の電気光学素子であって、
第1クラッドに隣接して形成され、電気光学材料にプリズム形状の分極率変調を与える上部電極と、
前記第1クラッドに隣接し、前記上部電極と反対の下層側に形成され、第1クラッド以下の屈折率を有する第2クラッドと、
前記第2クラッドに隣接し、電気光学材料を含むコアと、
を含み、
前記第2クラッドは、前記コアの誘電率/導電率の値と略等しい誘電率/導電率の値である、電気光学素子。 - 前記第2クラッドは、SiO2,Ta2O5,HfO2,TiBaO3、またはこれらの混合組成を含む群から選択される誘電体である、請求項1に記載の電気光学素子。
- 前記上部電極は、連続したプリズム形状とされており、電圧印加に応答して前記コアの対応領域の分極を前記プリズム形状に変調する、請求項1または2に記載の電気光学素子。
- 前記上部電極は、光ビームの伝播方向に沿って細長のストリップ形状に形成され、前記コアは、前記上部電極に対応する位置で連続したプリズム形状の分極反転を記憶する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気光学素子。
- 前記コアは、前記分極反転を記憶する領域の形状は、複数の正三角形とされ、nを自然数とすると、前記正三角形の入射側から第(n+1)番目の分極反転を記憶した領域の面積は、第n番目の当該領域の面積よりも大きい、請求項4に記載の電気光学素子。
- 前記電気光学材料は、ニオブ酸リチウム、酸化マグネシウム添加二オブ酸リチウム、タンタル酸リチウムを含む群から選択される少なくとも1つから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気光学素子。
- スラブ導波路型の電気光学素子の製造方法であって、
電気光学材料を含むコアを形成するステップと、
前記コアに隣接し、前記コアとの界面に電荷を蓄積しない誘電率/導電率の値を有する誘電体クラッドを形成するステップと、
前記誘電体クラッドに隣接し、前記コアから見て反対側に誘電体クラッド以上の屈折率の高誘電率クラッドを形成するステップと、
前記高誘電率クラッドの表面に、前記スラブ型導波路における光ビームの伝播方向に並んだプリズム形状に分極率を制御するための上部電極を形成するステップと
を含む、製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気光学素子と、
前記電気光学素子により偏向される光ビームを生成する光源と、
前記電気光学素子に関して前記光ビームを入射出するための光学系と、
前記電気光学素子および前記光源を駆動するための駆動装置と
を含む、電気光学装置。
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