JP2013189584A - 色材組成物および色材分散剤 - Google Patents

色材組成物および色材分散剤 Download PDF

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一弘 岡村
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Abstract

【課題】優れた色材の分散性と速乾性とを両立することができる色材組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
ビニルピロリドン系重合体と色材とを含有し、該ビニルピロリドン系重合体はK値が9以上、15未満である色材組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、色材組成物に関する。
顔料等の色材粒子の多くは、粒子間の凝集力に比べて水や有機溶剤等との親和力が弱いため、かかる色材粒子を含む色材組成物は色材粒子間で凝集し易い。そこで、色材組成物を種々の用途に用いて、色材が有する機能を有効に発揮させるために、色材組成物中に分散剤を含有させて色材粒子を分散させる技術が開発されている。
ここで、ポリビニルピロリドンやポリビニルカプロラクタム等のN−ビニルラクタム構造を有する重合体は、色材の分散性に比較的優れているため、分散剤として広く用いられている。
例えば特許文献1には、下記式で表される構成単位を有する重合体と、色材とを含有することを特徴とする色材組成物が開示されている。
Figure 2013189584

[式中、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、あるいは−R−O−R−(R、Rは同一もしくは異なっていてもよく、メチレン基、エチレン基、あるいはプロピレン基を表す)を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。]
特開2010−209258号公報
色材組成物を例えばインクとして使用する場合、色材の分散性が重要であるが、近年の筆記用具やプリンター等の高付加価値化、高性能化の要求から、インクの速乾性、すなわち速やかに乾燥する性能が要求されてきている。
上記のように、種々のN−ビニルラクタム系重合体を含む色材組成物が提案されているものの、優れた色材の分散性と良好な速乾性とを有する色材組成物は存在しなかった。
よって、本発明は、優れた色材の分散性と速乾性とを両立することができる色材組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、特定のビニルピロリドン系重合体と、色材とを含む色材組成物が、優れた色材の分散性と速乾性とを有することを見出し、上記本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる色材組成物は、色材組成物であって、該色材組成物は、ビニルピロリドン系重合体と、色材とを含有し、該ビニルピロリドン系重合体は、K値が9以上、15未満である、色材組成物である。
本発明の色材組成物は、優れた色材の分散性と速乾性とを両立することができる。従って、インク用途等に好ましく使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ビニルピロリドン系重合体]
本発明においてビニルピロリドン系重合体とは、下記構造式(1)で表わされる構造単位(構造単位(1)とも言う)を含む重合体をいう。
Figure 2013189584

上記構造単位は、例えばN−ビニルピロリドンを重合することにより形成することができる。
本発明においてビニルピロリドン系重合体とは、上記構造式(1)で表わされる構造単位のみを含んでいても良いが、その他の構造単位を含んでいてもよい。その他の構造単位としては、N−ビニルピロリドン以外の単量体(その他の単量体とも言う)を重合して形成される構造単位や、それらを変性して形成される構造単位が例示される(上記その他の単量体を重合して形成される構造単位とそれらを変性して形成される構造単位をあわせて構造単位(2)とも言う)。
上記その他の単量体としては、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−4−ブチルピロリドン、N−ビニル−4−プロピルピロリドン、N−ビニル−4−エチルピロリドン、N−ビニル−4−メチルピロリドン、N−ビニル−4−メチル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−4−メチル−5−プロピルピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−5−プロピルビロリドン、N−ビニル−5−ブチルピロリドン、N−ビニル−4−メチルカプロラクタム、N−ビニル−6−メチルカプロラクタム、N−ビニル−6−プロピルカプロラクタム、N−ビニル−7−ブチルカプロラクタム等のN−ビニルピロリドン以外の環状のラクタム環を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ金属塩、アクリル酸のアンモニウム塩、メタクリル酸のアンモニウム塩等のカルボキシル基含有単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリル酸のアルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸のアルキルエステル;ジエチルアミノエチルアクリレート等のアクリル酸のアミノアルキルエステル;メタクリル酸のアミノアルキルエステル;アクリル酸とグリコールとのモノエステル;ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸とグリコールとのモノエステル;アクリル酸のアミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体;メタクリル酸のアミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体;ジエチルアミノエチルアクリレートとメチルサルフェートとの第4級アンモニウム化合物;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸のアンモニウム塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩等のスルホン酸基含有単量体;酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルバゾール、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリコールジアリルエーテルなどが挙げられる。
本発明の色材組成物に含まれるビニルピロリドン系重合体(本発明のビニルピロリドン系重合体とも言う)の上記構造単位(1)と上記構造単位(2)の含有量は、本発明の色材組成物の色材の分散性と速乾性が向上することから、モル比で上記構造単位(1)/上記構造単位(2)が100/0〜50/50であることが好ましく、100/0〜80/20であることがより好ましく、100/0〜90/10であることがさらに好ましく、100/0であることが特に好ましい。
本発明のビニルピロリドン系重合体は、本発明の色材組成物の色材の分散性と速乾性が向上することから、フィケンチャー法によるK値が9以上、15未満であることを特徴としている。好ましくは9以上、14以下であり、より好ましくは9以上、13以下である。
フィケンチャー法によるK値は、以下の測定方法によって求めることができる。K値が20未満である場合には5%(g/100ml)溶液の粘度を測定し、K値が20以上の場合は1%(g/100ml)溶液の粘度を測定する。試料濃度は乾燥物換算する。K値が20以上の場合、試料は1.0gを精密に計りとり、100mlのメスフラスコに入れ、室温で蒸留水を加え、振とうしながら完全に溶かして蒸留水を加えて正確に100mlとする。この試料溶液を恒温槽(25±0.2℃)で30分放置後、ウベローデ型粘度計を用いて測定する。溶液が2つの印線の間を流れる時間を測定する。数回測定し、平均値をとる。相対粘度を測定するために、蒸留水についても同様に測定する。2つの得られた流動時間をハーゲンバッハ−キュッテ(Hagenbach−Couette)の補正に基づいて補正する。
Figure 2013189584

上記式中、Zは濃度Cの溶液の相対粘度(ηrel)、Cは濃度(%:g/100ml)である。
相対粘度ηrelは次式により得られる。
ηrel=(溶液の流動時間)÷(水の流動時間)。
本発明のビニルピロリドン系重合体は、重合体の主鎖にリン原子を有することが好ましい。具体的には、重合体の主鎖末端にホスホン酸(塩)基を有する形態や、重合体の主鎖末端やそれ以外の箇所にホスフィン酸(塩)基を有する形態が例示される。ここで塩とは、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩を表わす。なおホスホン酸基は、−P(=O)(OM)で表わされ、ホスフィン酸基は、−PH(=O)(OM)、−P(=O)(OM)−、で表される(但し、該一般式中、Mは同一若しくは異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム塩、有機アミン塩を表わす。)。
重合体の主鎖にリン原子を有するビニルピロリドン系重合体は、例えばN−ビニルピロリドンを必須とし、所望に応じてその他の単量体とを含む単量体を、次亜リン酸(塩)、亜リン酸(塩)、これらの水和物のいずれか1以上の化合物の存在下で重合することにより製造することができる。この場合、次亜リン酸(塩)、亜リン酸(塩)、これらの水和物は重合反応において、主として連鎖移動剤として作用して分子内に取り込まれる。
[ビニルピロリドン系重合体の製造方法]
本発明のビニルピロリドン系重合体は、N−ビニルピロリドンを必須とし、所望に応じてその他の単量体とを含む単量体を重合する工程(重合工程ともいう)を含む方法により製造することが好ましい。上記重合工程におけるN−ビニルピロリドンとその他の単量体の使用量の比は、モル比でN−ビニルピロリドン/その他の単量体が100/0〜50/50であることが好ましく、100/0〜80/20であることがより好ましく、100/0〜90/10であることがさらに好ましく、100/0であることが特に好ましい。
本発明のビニルピロリドン系重合体は、N−ビニルピロリドンを必須とし、所望に応じてその他の単量体とを含む単量体を重合開始剤の存在下で重合することにより製造することが好ましい。重合開始剤は、アゾ系重合開始剤および/または水溶性有機過酸化物であることが好ましい。
ここで、アゾ系重合開始剤とは、アゾ結合を有し熱などによりラジカルを発生する化合物を言う。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法において使用可能なアゾ系重合開始剤としては、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)[2,2’−アゾビスプロパン]二塩酸塩、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)[2,2’−アゾビスプロパン]二硫酸塩、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が例示される。
上記アゾ系重合開始剤の中でも、低分子量のN−ビニルラクタム系重合体を効率よく製造できることから、また、本発明の色材組成物の色材の分散性や速乾性が良好になることから、10時間半減温度が30℃以上、90℃以下であるものが好ましく、より好ましくは10時間半減温度が40℃以上、70℃以下であるものである。
上記アゾ系重合開始剤の中でも、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)[2,2’−アゾビスプロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩が、N−ビニルラクタム系重合体(組成物)の高温における色調が良好となることから特に好ましい。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法において使用可能な水溶性有機過酸化物としては、ターシャリーブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ターシャリーヘキシルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド等のアルキルヒドロペルオキシド;ターシャリーブチルペルオキシアセテート、ジスクシノイルペルオキシド、過酢酸等が例示される。上記有機過酸化物の中でも、低分子量のN−ビニルラクタム系重合体を効率よく製造できることから、また、本発明の色材組成物の色材の分散性や速乾性が良好になることから、アルキルヒドロペルオキシドであることが好ましく、ターシャリーブチルヒドロペルオキシドであることが特に好ましい。
上記有機過酸化物は、10時間半減温度が30℃以上、180℃以下であるものが好ましく、より好ましくは10時間半減温度が40℃以上、170℃以下であるものである。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法において使用する重合開始剤は、上記アゾ系重合開始剤、上記水溶性有機過酸化物から選択される1種または2種以上を使用することが好ましいが、これらに代えて、またはこれらと併用してその他の重合開始剤を使用しても構わない。そのような開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素等が例示される。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法において使用する重合開始剤の使用量(複数種使用する場合はその総量)は、特に言及する場合を除き、全単量体成分1モルに対して、15g以下、より好ましくは0.1〜12gであることが好ましい。
上記重合開始剤の中でも、低K値(低分子量)のビニルピロリドン系重合体を効率よく製造でき、かつ、本発明の色材組成物の色材の分散性や速乾性が良好になることから、アゾ系重合開始剤を使用する場合には全単量体1モルに対して、6.0g以下とすることが好ましく、5.0g以下とすることが更に好ましく、4.0g以下とすることが特に好ましく、3.0g以下とすることが更に特に好ましい。アゾ系重合開始剤を使用する場合の使用量の下限は、全単量体1モルに対して、0.1g以上が好ましく、0.2g以上が更に好ましい。
一方、水溶性有機過酸化物を使用する場合には全単量体1モルに対して、12g以下とすることが好ましく、10g以下とすることが更に好ましく、8.0g以下とすることが特に好ましく、6.0g以下とすることが更に特に好ましい。
ビニルピロリドン系重合体の製造方法において、重合開始剤の反応系(重合釜)への添加方法としては、特に限定はされないが、全使用量に対し、重合中に実質的に連続的に添加する量が必要所定量の50質量%以上であることが好ましく、特に好ましくは80質量%以上であり、全量を連続的に添加することが最も好ましい。重合開始剤を連続的に添加する場合、その滴下速度は変えてもよい。
なお、本発明において「重合中」とは、重合開始時点以降、重合終了時点以前を表す。本発明において、「重合開始時点」とは重合装置に単量体の少なくとも一部および開始剤の少なくとも一部の両方が添加された時点を指す。本発明において、「重合終了時点」とは、単量体を連続的(逐次的)に添加する重合方法においては、単量体の全量の重合装置への添加が終了した時点を指し、単量体を全量一括添加する重合方法の場合には、実質的に重合反応が完了した(重合率が一定になった)時点を指す。
重合開始剤は、水などの溶媒に溶解せずにそのまま添加しても良いが、水などの溶媒に溶解して反応系(重合釜)へ添加することが好ましい。
本発明のビニルピロリドン系重合体は、N−ビニルピロリドンを必須とし、所望に応じてその他の単量体とを含む単量体を連鎖移動剤の存在下で重合することにより製造することが好ましい。連鎖移動剤の存在下で重合することにより、低K値(低分子量)のN−ビニルラクタム系重合体を効率よく製造できる。
使用可能な連鎖移動剤として、具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール化合物;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩、及びこれらの水和物等;亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びその塩等の重亜硫酸塩(水に溶解して重亜硫酸塩を発生する化合物を含む)等の、低級酸化物およびその塩などが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
連鎖移動剤の添加量は、特に言及する場合を除き、全単量体成分1モルに対して、0.05〜20g、より好ましくは0.1〜15gである。0.05g未満であると、分子量の制御ができないおそれがあり、逆に、20gを超えると、連鎖移動剤が残留し、重合体純分が低下するおそれがある。
上記連鎖移動剤の中でも、本発明のビニルピロリドン系重合体の主鎖末端にリン原子が導入されることに起因して、本発明の色材組成物の色材の分散性や速乾性が良好になることから、次亜リン酸(塩)および/または亜リン酸(塩)を使用することが好ましい。すなわち、本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法は、N−ビニルラクタムを重合する工程において、次亜リン酸(塩)および/または亜リン酸(塩)の存在下で重合を行うことが好ましい。得られる本発明の色材組成物の色材の分散性や速乾性が向上する傾向にあることから、次亜リン酸(塩)および/または亜リン酸(塩)を使用する場合は、その使用量を全単量体1モルに対して、酸型で換算して(すなわち、次亜リン酸塩は次亜リン酸として、亜リン酸塩は亜リン酸として計算する。また、水和物である場合は水和物ではないものとして計算する。例えば、次亜リン酸ナトリウム・一水和物であれば、次亜リン酸として計算する。)15g以下とすることが好ましく、12g以下とすることが更に好ましく、10g以下とすることが特に好ましく、使用量の下限は、全単量体1モルに対して、0.5g以上が好ましく、1.0g以上が更に好ましい。
次亜リン酸(塩)および/または亜リン酸(塩)の使用量が全単量体1モルに対して、上記上限を超えると、連鎖移動に寄与しない次亜リン酸(塩)および/または亜リン酸(塩)(重合体末端に取り込まれない次亜リン酸(塩)および/または亜リン酸(塩))が増加し、無機陰イオン量が増加することに起因して、例えば色材組成物の色材の分散性が低下する傾向にある。連鎖移動効率が良いことから、次亜リン酸(塩)が特に好ましい。なお、次亜リン酸(塩)とは、次亜リン酸または次亜リン酸塩であり、その水和物も含む。次亜リン酸塩としては、次亜リン酸の金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩である。
上記連鎖移動剤は、重合開始前に反応容器(重合釜)に添加しても良いが(初期仕込みという)、全部またはその一部を重合中に反応容器(重合釜)に添加しても良い。なお、本発明において「重合開始前」とは、上記重合開始時点より前を表し、「重合終了後」とは、上記重合終了時点より後を表す。
連鎖移動剤を連続的に添加する場合、その滴下速度は変えてもよい。
重合開始剤の分解触媒等として作用する還元性化合物として、重金属イオン(あるいは重金属塩)を使用しても良い。本発明で重金属とは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。重金属の中でも鉄が好ましく、上記還元性化合物として、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸銅(I)および/またはその水和物、硫酸銅(II)および/またはその水和物、塩化銅(II)および/またはその水和物等の重金属塩等を用いることが好ましい。
上記重金属イオンを使用する場合、その使用量は、重合反応完結時における重合反応液の全質量に対して好ましくは0.1〜10ppmであることが好ましい。重金属イオンの含有量が0.1ppm未満であると、重金属イオンによる効果が十分に発現しないおそれがある。一方、重金属イオンの含有量が10ppmを超えると、得られる重合体の色調の悪化を来たすおそれがある。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法は、重合工程において、重合反応の促進やN−ビニルラクタムの加水分解の防止等を目的として、無機塩基を用い得る。無機塩基は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記無機塩基は、重合反応の反応系において、塩基性pH調節剤としても機能し得る。
上記無機塩基の添加は、任意の適切な方法で行うことができ、例えば、重合初期より反応容器内に仕込んでおいてもよいし、重合中に反応容器中に逐次添加してもよい。
上記無機塩基としては、任意の適切な無機塩基を採用し得る。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;等が例示される。上記無機塩基は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。炭酸塩は重合系のpHが安定しない場合があるため、上記の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。
上記無機塩基を使用する場合の合計量は、N−ビニルラクタムに対して、0.02質量%以上であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。上記範囲であれば、反応中のpHの低下に伴うN−ビニルラクタムの加水分解や着色を抑制する効果が得られる。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法は、重合反応の促進やN−ビニルラクタムの加水分解の防止等を目的として、アンモニアおよび/またはアミン化合物を用い得る。アンモニアおよび/またはアミン化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記アンモニアおよび/またはアミン化合物は、重合反応において、助触媒として機能し得る。すなわち、アンモニアおよび/またはアミン化合物が反応系に含まれると、含まれない場合と比較して、重合反応の進行がより一層促進され得る。上記アンモニアおよび/またはアミン化合物は、重合反応の反応系において、塩基性pH調節剤としても機能し得る。
上記アンモニアおよび/またはアミン化合物の添加は、任意の適切な方法で行うことができ、例えば、重合初期より反応容器内に仕込んでおいてもよいし、重合中に反応容器中に逐次添加してもよい。
上記アンモニアは、常温にて気体状の単体としてそのまま用いても良いし、水溶液(アンモニア水)として用いても良い。
上記アミン化合物としては、任意の適切なアミン化合物を採用し得る。具体的には、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンが挙げられる。上記アミン化合物は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記第1級アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、アリルアミン、イソプロピルアミン、ジアミノプロピルアミン、エチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−メトキシプロピルアミンが挙げられる。上記第1級アミンは、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記第2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルイソプロピルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−エチルプロピルアミン、N−エチルイソプロピルアミン、N−エチルブチルアミン、N−エチルイソブチルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチルビニルアミン、N−メチルアリルアミンなどの脂肪族第2級アミン;N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N−メチルトリメチレンジアミン、N−エチルトリメチレンジアミン、N,N’−ジメチルトリメチレンジアミン、N,N’−ジエチルトリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどの脂肪族ジアミンおよびトリアミン;N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、N−メチルフェニチルアミン、N−エチルフェネチルアミンなどの芳香族アミン;N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−イソプロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−イソブチルエタノールアミンなどのモノアルカノールアミン;ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミンなどのジアルカノールアミン;ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、モルホリン、チオモルホリンなどの環状アミン;が挙げられる。上記第2級アミンは、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの第2級アミンのうち、ジアルカノールアミンおよびジアルキルアミンが好ましく、ジアルカノールアミンがより好ましく、中でもジエタノールアミンが特に好適である。
上記第3級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミンなどのトリアルカノールアミンが挙げられる。上記第3級アミンは、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの第3級アミンのうち、トリアルカノールアミンが好ましく、中でもトリエタノールアミンが特に好適である。
上記アンモニアおよびアミン化合物を使用する場合の合計量は、N−ビニルラクタムに対して、0.02重量%以上であることが好ましく、0.05〜1重量%であることがより好ましい。上記範囲であれば、反応速度が向上する傾向にあり、反応中のpHの低下に伴うN−ビニルラクタムの加水分解や着色を抑制する効果が得られる。
なお、上記重金属塩として銅塩を用い、さらに上記アンモニアを用いる場合、銅のアンミン錯塩が形成し得る。銅のアンミン錯塩としては、例えば、ジアンミン銅塩([Cu(NHSO・HO、[Cu(NH]Clなど)、テトラアンミン銅塩([Cu(NH]SO・HO、[Cu(NH]Clなど)が挙げられる。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法は、N−ビニルラクタムを必須とする単量体成分を水性溶媒中で重合する工程(重合工程)を含むことが好ましい。本発明において水性溶媒とは、水または水を含む混合溶媒を表す。水を含む混合溶媒としては、全溶媒に対して50質量%が水である混合溶媒または水であることが好ましく、80質量%以上が水であることが更に好ましい。水のみを使用することが特に好ましい。水のみを使用する場合には、有機溶剤の残存が回避できる点で好適である。
ここで重合の際に使用可能な上記水を含む混合溶媒において、水とともに使用できる溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;グリセリン;ポリエチレングリコール;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法における重合工程は、好ましくは、重合終了後の固形分濃度(溶液の内、不揮発分の濃度であり、後述する測定方法で測定される)が、重合溶液100質量%に対して10〜70質量%となるように行うことが好ましく、15〜60質量%が更に好ましく、20〜55質量%が特に好ましい。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法において、重合の際の温度は好ましくは70℃以上であり、より好ましくは75〜110℃であり、さらに好ましくは80〜105℃である。重合時の温度が上記範囲であれば、残存単量体成分が少なくなり、重合体の分散性が向上する傾向にある。なお、重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間または昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温または降温)させてもよい。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法において、重合時のpHとしては、不純物あるいは副生成物を抑制の観点から、4以上が好ましく、6以上が好ましく、11以下が好ましい。
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法において、重合時間(上記重合開始時点から重合終了時点の間)は、30分以上、5時間以下であることが好ましい。重合時間が長くなると、重合液の着色が大きくなる傾向にある。
上記重合終了時点後、重合液に残存する単量体を低減する目的等で、熟成工程(重合後、加温・保温条件下で保持する工程をいう)を設けても良い。熟成時間は通常、1分以上、4時間以内である。熟成時間中に、更に重合開始剤を添加すれば、重合液に残存する単量体を低減できることから好ましい。
重合において、単量体の添加終了時間より、開始剤の滴下終了時間を遅らすことが、重合液に残存する単量体を低減することができることから好ましい。より好ましくは1〜120分遅らせることであり、5〜60分遅らせることが更に好ましい。
反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよいが、得られる重合体の分子量の点では、常圧下、または、反応系内を密閉し、加圧下で行うことが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点では、常圧(大気圧)下で行うことが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
[重合工程以外の工程]
本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法は、上記重合工程を必須としているが、必要に応じて、精製工程、脱塩工程、濃縮工程、希釈工程、乾燥工程等を含んでいても良い。
乾燥工程は、粉体化などを行なう工程であり、一般的方法で行えばよく、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥、ベルト式乾燥などにより、粉末に移行させることができる。
また、反応液(重合液)を陽イオン交換樹脂で処理することにより、得られるN−ビニルラクタム溶液の色調を改善することができる。陽イオン交換樹脂で処理する工程は、重合中(重合工程と並行して)または重合後に行うことができる。
上記重合反応中における陽イオン交換樹脂による処理は、任意の適切な方法で処理し得る。好ましくは、上記単量体成分の重合反応が行われている反応容器中へ陽イオン交換樹脂を添加することにより行うことができる。具体的には、例えば、重合反応が行われている反応容器中へ陽イオン交換樹脂を添加して微細に懸濁させ、その後に濾過する形態が挙げられる。
上記陽イオン交換樹脂による処理の時間は、任意の適切な時間を採用し得る。好ましくは1分〜24時間であり、より好ましくは3分〜12時間であり、さらに好ましくは5分〜2時間である。処理時間が短すぎると本発明の効果が十分に発現できないおそれがある。処理時間が長すぎると生産性が悪くなるおそれがある。
[色材]
本発明で用いる色材としては、従来公知の染顔料を使用することができるが、耐久性の点から顔料(有機顔料、無機顔料)が好ましい。
有機顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、多環式顔料(キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、アントラキノン系、キノフタロン系、金属錯体系、ジケトピロロピロール系等)、染料レーキ系顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、白色・体質顔料(酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、クレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、有彩顔料(黄鉛、カドミニウム系、クロムバーミリオン、ニッケルチタン、クロムチタン、黄色酸化鉄、ベンガラ、ジンククロメート、鉛丹、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロム、バナジン酸ビスマス等)、黒色顔料(カーボンブラック、ボーンブラック、グラファイト、鉄黒、チタンブラック等)、光輝材顔料(パール顔料、アルミ顔料、ブロンズ顔料等)、蛍光顔料(硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム等)が挙げられる。
染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノフタロン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、ピロドン系染料、ピラゾロン系染料、アクリド系染料等が挙げられる。
これらの顔料、及び染料は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる色材は、その目的及び用途に応じて、適切な数平均粒子径を有するものを使用すればよい。例えば、透明性が必要な場合には、数平均粒子径が0.1μm以下の小さい色材を用いることが好ましい。また、隠蔽性が必要な場合には、数平均粒子径が0.5μm以上の大きい色材を用いることが好ましい。なお、色材の数平均粒子径は、例えば、株式会社島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000Jを用いて測定することができる。
本発明で用いる色材は、その目的及び用途に応じて、ロジン処理、界面活性剤処理、樹脂系分散剤処理、顔料誘導体処理、酸化皮膜処理、シリカコーティング、ワックスコーティング等の表面処理が施されていてもよい。
以下に、使用できる顔料の具体例を色別に、染料の具体例を構造別にC.I.No.(カラーインデックスナンバー)により示すが、本発明で用いる色材はこれらに限定されるものではない。なお、以下に挙げる「C.I.」はカラーインデックスを、数字はカラーインデックスナンバーを意味する。
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、9、10、12、13、14、15、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、49、53、55、60、61、61:1、62、62:1、63、65、73、74、75、77、81、83、87、93、94、95、97、98、99、100、101、104、105、106、108、109、110、111、113、114、116、117、119、120、123、124、126、127、127:1、128、129、130、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、152、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、209、209:1、212、213、214、215、219等が挙げられる。
橙色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ1、2、3、4、5、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、31、34、36、38、39、40、43、46、48、49、51、60、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79、81等が挙げられる。
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、49:1、49:2、50:1、52、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、54、57、57:1、57:2、58、58:4、60、60:1、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、89、90:1、95、101、101:1、104、105、108、108:1、109、112、113、114、122、123、136、144、146、147、149、150、151、164、166、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、181、182、183、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、211、213、214、216、220、221、224、226、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、248、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、279等が挙げられる。
紫色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、13、14、15、16、17、19、23、25、27、29、31、32、36、37、38、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。
青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17、17:1、19、24、24:1、25、26、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79、80等が挙げられる。
緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等が挙げられる。
褐色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン5、6、23、24、25、32、41、42等が挙げられる。
黒色顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉄、チタンブラック、C.I.ピグメントブラック1、6、7、9、10、11、12、13、20、31、32、34等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト1、2、4、5、6、7、11、12、18、19、21、22、23、24、26、27、28等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、アシッドオレンジ7、アシッドレッド37、アシッドレッド180、アシッドブルー29、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド83、ダイレクトイエロー12、ダイレクトオレンジ26、ダイレクトグリーン28、ダイレクトグリーン59、リアクティブイエロー2、リアクティブレッド17、リアクティブレッド120、リアクティブブラック5、ディスパースオレンジ5、ディスパースレッド58、ディスパースブルー165、ベーシックブルー41、ベーシックレッド18、モルダントレッド7、モルダントイエロー5、モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド52、ソルベントレッド60、ソルベントレッド111、ソルベントレッド138、ディスパースレッド1、ディスパースレッド4、ディスパースレッド11、ディスパースレッド15、ディスパースレッド60、ソルベントブルー12、ソルベントブルー21、ソルベントブルー35、ソルベントブルー36、ディスパースブルー1、ディスパースブルー3、ディスパースブルー5、ディスパースブルー6、ディスパースブルー60、ソルベントバイオレット11、ソルベントバイオレット13、ソルベントバイオレット14、ソルベントバイオレット31、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、ディスパースバイオレット6、ディスパースバイオレット8、ディスパースバイオレット17、ソルベントグリーン3、ソルベントグリーン26、ソルベントグリーン28、ディスパースグリーン6:1、パットブルー、アシッドブルー40、アシッドグリーン25、リアクティブブルー19、リアクティブブルー49、ディスパースオレンジ119等が挙げられる。
フタロシアニン系染料としては、例えば、C.I.ベーシックブルー5等が挙げられる。
キノンイミン系染料としては、例えば、C.I.ベーシックブルー3、ベーシックブルー9等が挙げられる。
キノフタロン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、ソルベントイエロー114、ソルベントイエロー128、ソルベントイエロー129、ディスパースイエロー49、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー149、ディスパースイエロー160等が挙げられる。
ニトロ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1、アシッドオレンジ3、ディスパースイエロー1、ディスパースイエロー9、ディスパースイエロー33、ディスパースイエロー42等が挙げられる。
ピロドン系染料としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー231等が挙げられる。
ピラゾロン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー93等が挙げられる。
アクリド系染料としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー122等が挙げられる。
本発明の色材組成物における色材の含有量は、その目的及び用途に応じて適宜設定すればよいが、色材の分散安定性を考慮すると、重合体1質量部に対して0.01〜5000質量部が好ましく、0.1〜2000質量部がより好ましく、1〜1000質量部がさらに好ましく、10〜500質量部が最も好ましい。かかる範囲内において、色材が安定に分散した色材組成物を得ることができる。
本発明の色材組成物は、上記ビニルピロリドン系重合体及び色材以外に、他の重合体や、下記の溶媒や添加剤を含んで構成されてもよい。
本発明の色材組成物に含まれ得る溶媒としては極性溶媒が挙げられる。かかる極性溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒の双方を用いることができ、水性溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、へキシレングリコール等が挙げられる。有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、互いに溶解するのであれば併用してもよい。有機溶媒にはクレゾール、フェノール、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を混合することもできる。
本発明の色材組成物には、必要に応じて例えば、有機シラン、充填剤、摩滅剤、誘電体、潤滑剤等の各種公知の添加物が、本発明の効果が損なわれない範囲で含まれてもよい。
[本発明の色材組成物の用途]
本発明の色材組成物の用途としては、以下の用途が挙げられる。例えば、導電性用途としては、複写機やプリンターの帯電防止コーティング剤、電荷保持体、トナー転写用部材、定着ベルト、中間転写ベルト、被膜型抵抗体、導電ペースト、電池用電極材料、帯電防止性樹脂、コンデンサ用導電性接着層、導電性摺動部材、回路基板用基材、耐熱半導電性材料、自己温度制御通電発熱体、サーマルヘッド用発熱抵抗体、記録用通電発熱シート、電線ケーブルの被覆体、面状発熱体などが挙げられる。電磁波吸収用途としては、電磁波遮蔽シート、フレキシブル配線シート、電磁波吸収シート、熱線吸収シート、紫外線吸収シートなどが挙げられる。遮光用途としては、紫外線遮光性材料、カラーフィルター用ブラックマトリックスなどが挙げられる。摺動用途として、低騒音歯車の表面処理剤、摩擦材用成型体などが挙げられる。その他にも、太陽電池用基板、光センサー用基板、光スイッチ用基板等の光変換装置の基板、プリント配線用基板、サーマルヘッド基板などの電子機器の基板、インクジェットインク、平版印刷用保護層、熱転写シート用バインダーなど種々の用途に適用できる。
[本発明の色材分散剤]
本発明の色材分散剤は、上記本発明のビニルピロリドン系重合体を含む。本発明の色材分散剤は、本発明のビニルピロリドン系重合体を1質量%以上、100質量%以下含むことが好ましい。
本発明の色材分散剤は、溶媒を含んでいてもよく、溶媒の含有量は例えば0質量%以上、99質量%以下であることが好ましい。溶媒としては、水、水を50質量%以上含む親水性の混合溶媒が好ましい。上記水を50質量%以上含む親水性の混合溶媒において水とともに使用できる溶剤としては、上記水を含む混合溶媒において水とともに使用できる溶剤と同様の溶剤が例示される。
本発明の色材分散剤は、上記の他、残存原料や重合開始剤や連鎖移動剤等の残渣、副生成物を含んでいても良い。残存原料や重合開始剤や連鎖移動剤等の残渣、副生成物の合計は、色材分散剤の固形分100質量%に対して0質量%以上、5質量%以下であることが好ましい。
本発明の色材分散剤は、保存安定性が向上することから、10質量%水溶液としたときのpHが2.0〜9.0であることが好ましい。さらに好ましくはpHが2.5〜7.0であり、特に好ましくはpHが3.0〜5.0である。
なお、本発明の色材分散剤に含まれるビニルピロリドン系重合体の形態、好ましい形態は、本発明の色材組成物に含まれるビニルピロリドン系重合体の形態、好ましい形態と同じである。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
また、本発明の重合体の重量平均分子量、数平均分子量、未反応の単量体の定量、重合体組成物、重合体水溶液の固形分量は、下記の方法に従って測定した。
<重合体水溶液、重合体組成物の固形分測定方法>
窒素雰囲気下、150℃に加熱したオーブンで重合体組成物2.0gを1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
<単量体の分析>
単量体の分析は、以下の条件で、液体クロマトグラフィーを用いて分析した。
装置:資生堂「NANOSPACESI−2」
カラム:資生堂「CAPCELLPAK C18 UG120」、20℃
溶離液:LC用メタノール(和光純薬工業株式会社製)/超純水=1/24(質量比)、1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム0.4質量%添加
流速:100μL/min。
<重合体の分子量の測定>
上記のK値の測定法により測定した。
<重合体主鎖のリン原子の分析>
重合体主鎖のリン原子の分析は、31P−NMRの測定により行なった。
31P−NMRの測定条件:
測定する重合体を室温で減圧乾燥し、得られた固形分を重水(アルドリッチ社製)に10重量%となるように溶解し、Varian社製UnityPlus−400(400MHz、パルスシーケンス:s2pu1、測定間隔:10.000秒、パルス:45.0度、捕捉時間:0.800秒、積算回数:128回)にて測定した。
<色材分散性>
下記実施例等で得られた重合体組成物を、1質量%固形分濃度の水溶液(水溶液Pとする)とし、イオン交換水/色材(カーボンブラック、洗濯科学協会より入手)/水溶液Pが、100/0.2/0.2(質量比)となるようにガラス容器内で混合し、その後、超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製 VS−N100L)にて、ガラス容器内の混合物に5分間超音波を照射した。その後、室温にて4時間静置し、色材(カーボンブラック)の沈降状態を目視で観察した。
評価基準は、○=ほとんど沈降物なし、△=約半分の色材(カーボンブラック)が沈降、×=大部分が沈降、とした。
<速乾性>
(1)下記実施例等で得られた重合体組成物を、固形分20質量%に調整した水溶液100質量部にカーボンブラック0.6質量部を加えることにより色材組成物を作成した。
(2)PPC用紙(日本製紙株式会社製リボンスタンダード)を5cm×7cmに裁断し、質量(=Xg)を測定した。
(3)(2)のPPC用紙に(1)で調製した色材組成物をスポイトで5滴(約0.06g)落とし、質量(=Yg)を測定した。
(4)50℃に加熱したオーブンで色材組成物をのせたPPC用紙を20分間放置して乾燥処理を行った。
(5)乾燥後の質量(=Zg)を測定し、次式にしたがい乾燥後の色材組成物の固形分濃度(%)を算出した。したかどうかを目視で判断した。
評価基準は、○=色移りなし、△=少し色移りあり、×=かなり色移りあり、とした。

乾燥後の色材組成物の固形分濃度(%)=
((Y−X)×(20+0.6)/(100+0.6)/(Z−X))×100

評価基準は、下記の通りとした。
○=乾燥後の色材組成物の固形分濃度が90%以上。
△=乾燥後の色材組成物の固形分濃度が70%以上90%未満。
×=乾燥後の色材組成物の固形分濃度が70%未満。
[実施例1]
マックスブレンド(住友重機械工業株式会社の登録商標)型の攪拌翼、ガラス製の蓋を備えたSUS304製反応容器に、イオン交換水339.0質量部、ジエタノールアミン1.0質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物(以下「SHP」と称する)60質量部(酸型換算(次亜リン酸換算)37.4質量部)を仕込み、90℃に昇温した。N−ビニルピロリドン(以下、「NVP」と称する)500質量部を180分かけて、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製、以下「V−50」と称する)10質量部とイオン交換水90質量部からなる重合開始剤水溶液を210分かけて、反応容器に添加した。さらに「V−50」0.5質量部とイオン交換水4.5質量部からなるブースター水溶液を、それぞれ重合開始から210分後、240分後に一括で添加した。さらにpH調整剤として、10質量%マロン酸水溶液8.0質量部を、重合開始から210分後に添加することにより、重合体(1)を含む固形分56.8質量%の重合体組成物(1)を得た。
重合体組成物(1)を用いて上記色材分散性、および速乾性を測定した。その結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1の重合体組成物(1)に代えて比較重合体(1)(ポリビニルピロリドンK−30、株式会社日本触媒製)を用いて、色材分散性、及び速乾性を測定した。その結果を表1に示した。
[比較例2]
実施例1の重合体組成物(1)に代えて比較重合体(2)(ポリビニルピロリドンK−85、株式会社日本触媒製)を用いて、色材分散性、及び速乾性を測定した。その結果を表1に示した。
Figure 2013189584

表1の結果から、本発明の色材組成物は、従来の色材組成物と比較して良好な色材の分散性及び速乾性を示すことが明らかとなった。

Claims (2)

  1. 色材組成物であって、
    該色材組成物は、ビニルピロリドン系重合体と、色材とを含有し、
    該ビニルピロリドン系重合体は、K値が9以上、15未満である、
    色材組成物。
  2. K値が9以上、15未満のビニルピロリドン系重合体を含む色材分散剤。
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