JP2013189403A - ジアセチレン誘導体の製造方法 - Google Patents

ジアセチレン誘導体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013189403A
JP2013189403A JP2012057386A JP2012057386A JP2013189403A JP 2013189403 A JP2013189403 A JP 2013189403A JP 2012057386 A JP2012057386 A JP 2012057386A JP 2012057386 A JP2012057386 A JP 2012057386A JP 2013189403 A JP2013189403 A JP 2013189403A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
compound represented
diacetylene derivative
diacetylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012057386A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Shigeta
雅之 重田
Genichi Konishi
玄一 小西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2012057386A priority Critical patent/JP2013189403A/ja
Publication of JP2013189403A publication Critical patent/JP2013189403A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】片末端に所定の官能基が導入されたジアセチレン誘導体を効率よく、ワンポットで製造することができる、ジアセチレン誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】塩基の存在下、一般式(1)で表される化合物とフェノール化合物とを混合して混合物を得た後、混合物と一般式Ar−Xで表される化合物およびパラジウム触媒とを混合して、一般式(4)で表されるジアセチレン誘導体を得る、ジアセチレン誘導体の製造方法。


【選択図】なし

Description

本発明は、ジアセチレン誘導体の製造方法に関する。
近年、非線形光学材料、感光材料、液晶材料などを形成するための化合物として、ジアセチレン類の研究が盛んに行われている。
ジアセチレン類を種々の用途に応用する際には、その両末端に種々の官能基を導入し、その特性を調整することが重要となる。特に、ジアセチレン構造の両末端に異なる種類の官能基を簡便に導入することができれば、その材料の特性のより精密な制御が可能になり、その応用の幅が大きく広がることが期待される。
従来、方末端のみに官能基を導入する方法としては、メチルリチウムを使用する方法が提案されている(非特許文献1)。該方法では、以下のスキーム1に示すように、まず、両末端にトリメチルシリル基を有するジアセチレン化合物に対して、メチルリチウムを反応させ、一旦片末端にH(水素原子)が導入されたジアセチレン中間体を生成する。次に、該ジアセチレン中間体に対して、所定の脱離基を有する化合物(Ar−X、Ar:所望の官能基、X:脱離基)を反応させ、方末端に所望の官能基(スキーム1中、Arに該当)を導入する。得られたジアセチレン誘導体にはトリメチルシリル基が残存しており、該基を介して片末端とは異なる種類の官能基を導入することができる。
Organic Letter 2010年 12巻 7号 1584〜1587頁
しかしながら、上記スキーム1に記載の方法では、メチルリチウムという反応性が非常に高く、取扱いが難しい試薬を使用しなくてはならず、必ずしも作業性・安全性が十分でなかった。また、メチルリチウムは高価な試薬であるため、スキーム1の方法は工業的な生産の点からも満足いく方法ではなかった。
さらに、水素原子が導入されたジアセチレン中間体は、その安定性が著しく悪く、単離精製作業が非常に困難であった。結果として、方末端のみに官能基が導入されたジアセチレン誘導体の収率が低いという問題もあった。
本発明は、上記実情に鑑みて、片末端に所定の官能基が導入されたジアセチレン誘導体を効率よく、ワンポットで製造することができる、ジアセチレン誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、所定のフェノール化合物を使用することにより、中間生成体を分離することなく、ワンポットで収率よく片末端に所定の官能基が導入されたジアセチレン誘導体を得ることができることを見出した。
つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 塩基の存在下、後述する一般式(1)で表される化合物と後述する一般式(2)で表されるフェノール化合物とを混合して混合物を得た後、混合物と後述する一般式(3)で表される化合物およびパラジウム触媒とを混合して、後述する一般式(4)で表されるジアセチレン誘導体を得る、ジアセチレン誘導体の製造方法。
(2) 上記混合物にさらに銅塩を混合する、(1)に記載のジアセチレン誘導体の製造方法。
(3) 一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表されるフェノール化合物とのモル比(一般式(1)で表される化合物のモル量/一般式(2)で表されるフェノール化合物のモル量)が、5/1〜0.9/1である、(1)または(2)に記載のジアセチレン誘導体の製造方法。
本発明によれば、片末端に所定の官能基が導入されたジアセチレン誘導体を効率よく、ワンポットで製造することができる、ジアセチレン誘導体の製造方法を提供することができる。
(A)実施例1で得られたジアセチレン誘導体の1H−NMRスペクトルを示す図である。(B)実施例1で得られたジアセチレン誘導体の13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例2で得られたジアセチレン誘導体の1H−NMRスペクトルを示す図である。 実施例3で得られたジアセチレン誘導体の1H−NMRスペクトルを示す図である。
以下に、本発明のジアセチレン誘導体の製造方法の好適態様について詳述する。
本発明の特徴点としては、所定のフェノール化合物とトリアルキルシリル基を両末端に有するジアセチレン化合物とを事前に混合している点が挙げられる。本発明者らは、本製造方法のメカニズムを以下のように推測する。まず、所定のフェノール化合物と塩基とを混合することにより発生したフェノキシドが、ジアセチレン化合物のシリル基に求核攻撃して、フェノール性水酸基にシリル基が転位したことによりアセチリドが発生し、このアセチリドと脱離基を有する化合物(一般式(3)で表される化合物)とがさらに反応し、所望の化合物が得られたと推測される。
本発明のジアセチレン誘導体の製造方法は、塩基の存在下、後述する一般式(1)で表される化合物と後述する一般式(2)で表されるフェノール化合物とを混合して混合物を得る第1の混合工程と、得られた混合物と後述する一般式(3)で表される化合物およびパラジウム触媒とを混合して、後述する一般式(4)で表されるジアセチレン誘導体を得る第2の混合工程とを備える。
以下において、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。
[第1の混合工程]
第1の混合工程は、塩基の存在下、後述する一般式(1)で表される化合物と後述する一般式(2)で表されるフェノール化合物とを混合して混合物を得る工程である。得られた混合物中においては、一般式(1)で表される化合物の片末端のトリアルキルシリル基が脱離して、一般式(2)で表されるフェノール化合物に転位したことにより、アセチリド中間体が生成していると推測される。
まず、本工程で使用される材料について詳述し、その後本工程の手順について詳述する。
(一般式(1)で表される化合物)
一般式(1)で表される化合物は、以下の化学式で表される。該化合物は、その両末端にトリアルキルシリル基を有しており、その一方の末端が後述する一般式(3)で表される化合物と反応する。
一般式(1)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。
アルキル基の炭素数としては、ジアセチレン誘導体の収率がより向上することに加えて、原料調達が容易(安価)である点より、炭素数1〜4が好ましく、炭素数1〜2がより好ましい。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、メチル基が好ましい。
(一般式(2)で表されるフェノール化合物)
一般式(2)で表されるフェノール化合物は、以下の化学式で表される。該化合物は、上記一般式(1)で表される化合物との間で、後述する一般式(3)で表される化合物と反応するアセチリド中間体を生成すると推測される。
一般式(2)中、R7は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、またはニトロ基を表す。これらの基は、塩基の存在下であっても安定である。なかでも、R7としてはジアセチレン誘導体の収率がより向上する点で、アルキル基が好ましい。
アルキル基の炭素数としては、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜4がより好ましい。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、tert−ブチル基などが挙げられ、tert−ブチル基が特に好ましい。一般的に、フェノールは潮解性があり、また融点が室温付近であることから、脱水反応に用いる際には取り扱いに注意が必要であるが、tert−ブチル基を導入することにより、化合物の融点が上昇し、秤量が簡便となる。
また、アルコキシ基中のアルキル部分の炭素数は特に制限されないが、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、炭素数1〜6が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルが挙げられる。
一般式(2)中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。なお、該芳香族基は、置換基を有さない場合は、n+1価である。
芳香族基としては、芳香族性を有している基であれば特に制限されず、具体的には芳香族炭化水素基または芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、炭素数6〜16が好ましく、炭素数6〜10がより好ましい。例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基、アントラセン環基、フェナントレン環基、テトラリン環基、アズレン環基、ピレン環基などが挙げられる。
芳香族複素環基が有する複素原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子などが挙げられ、含有される該複素原子の数は特に制限されない。
芳香族複素環基の炭素数としては、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、炭素数4〜10が好ましく、炭素数4〜8がより好ましい。芳香族複素環基としては、例えば、ピロール環基、インドール環基、イソインドール環基、カルバゾール環基、フラン環基、クマロン環基、イソベンゾフラン環基、チオフェン環基、ピラゾール環基、インダゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、イソオキサゾール環基、チアゾール環基、イソチアゾール環基、トリアゾール環基、オキサジアゾール環基、チアジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、アクリジン環基、フェナントリジン環基、ナフチリジン環基、フェナントロリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キノキサリン環基、キナゾリン環基、シンノリン環基、フェナジン環基、ペリミジン環基、トリアジン環基、テトラジン環基、プテリジン環基、フェノキサジン環基、フェノチアジン環基、オキサジアジン環基、チアジアジン環基、ピラン環基、クロメン環基、キサンテン環基、クロマン環基、イソクロマン環基などが挙げられる。
なお、芳香族基は、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が縮環した基であってもよい。
芳香族基は、置換基を有していてもよく、置換基の種類としては特に限定はなく任意の置換基を選択できる。なかでも、原料入手の容易性などから、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、アリール基、ベンジル基、アリールオキシ基等の芳香族環含有基、などの置換基が好ましい。また、これらの置換基の数や置換位置についてはその制限はない。
一般式(2)中、nは0〜3の整数を表す。なかでも、ジアセチレン誘導体の収率がより向上し、反応時間がより短縮できる点より、1が好ましい。
なお、nが0の場合、Arには水酸基のみが置換することになる。
(塩基)
本工程で使用される塩基の種類は特に制限されず、有機塩基と無機塩基とが挙げられる。
無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどが挙げられる。
有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5、4、0]−7−ウンデセン(DBU)、トリブチルアミン、ピリジンなどが挙げられる。
なかでも、収率がより優れる点で、炭酸塩が好ましい。
(溶媒)
本工程では、必要に応じて、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、反応の進行を著しく阻害しないものであればよく、例えば、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの鎖状または環状のアミド類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシド、水などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、二種以上混合して使用することもできる。
(工程の手順)
本工程では、塩基の存在下、後述する一般式(1)で表される化合物と後述する一般式(2)で表されるフェノール化合物とを混合する。
化合物を混合する手順は特に制限されないが、まず、塩基とフェノール化合物とを混合した後、得られた混合物にさらに一般式(1)で表される化合物を混合する手順が好ましい。該手順であれば、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する。
混合時の温度条件は特に制限されず、使用される化合物の種類に応じて最適な温度が選択される。なかでも、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、0〜80℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。
混合時間は特に制限されず、使用される化合物の種類に応じて最適な時間が選択される。なかでも、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、6〜72時間が好ましく、12〜36時間がより好ましい。
本工程の雰囲気は特に制限されないが、不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましく、不活性ガスとしては窒素またはアルゴンが特に好ましい。
本工程で使用される一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表されるフェノール化合物とのモル比(一般式(1)で表される化合物のモル量/一般式(2)で表されるフェノール化合物のモル量)は、5/1〜0.9/1が好ましく、1.3/1〜0.95/1がより好ましい。上記範囲内であれば、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する。
使用される塩基のモル量と一般式(2)で表されるフェノール化合物のモル量との比(塩基のモル量/一般式(2)で表される化合物のモル量)は、20/1〜1/1が好ましく、3/1〜2/1がより好ましい。上記範囲内であれば、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する。
なお、必要に応じて、本工程では溶媒を使用してもよい。
上記手順によって得られた混合物中には、後述する第2の混合工程で使用される一般式(3)で表される化合物と反応する、一般式(1)で表される化合物由来の中間生成体(ジアセチレン誘導体の中間体)が含まれる。
なお、本製造方法においては、第1の混合工程で得られた混合物には特に分離精製処理を施すことなく、後述する第2の混合工程を実施することができる。
[第2の混合工程]
第2の混合工程は、上述した第1の混合工程で得られた混合物と一般式(3)で表される化合物およびパラジウム触媒とを混合して、一般式(4)で表されるジアセチレン誘導体を得る工程である。本工程を実施することにより、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表されるフェノール化合物より得られるジアセチレン誘導体の中間体と、一般式(3)で表される化合物とがカップリング反応し、所望のジアセチレン誘導体を得ることができる。
まず、本工程で使用される材料について詳述し、その後本工程の手順について詳述する。
(一般式(3)で表される化合物)
一般式(3)で表される化合物は、以下の化学式で表される。該化合物は脱離基を有しており、一般式(1)で表される化合物の片末端に反応導入される。
一般式(3)中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。芳香族基の定義は、上述した一般式(2)中で説明した芳香族基の定義と同義であり、好適な範囲も同じである。なお、該Arは置換基を有していない場合は、1価の芳香族基である。
また、該Arは、置換基を有していてもよく、その種類は特に制限されない。なお、置換基の具体例としては、上述した通りである。
一般式(3)中、Xは、脱離基を表す。脱離基としては、置換反応(例えば、求核置換反応)において他の官能基または原子で置き換えることができる官能基または原子であれば、特に制限されない。例えば、クロロ基、ブロモ基およびヨード基;スルホン酸エステル基(例えば、メシレート、トリレート、ブロシレート、ノシレートなど);およびアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、トリフルオロアセトキシなど);アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基);アリールオキシ基(例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、4−ニトロフェニルなど);アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、イソブチルオキシカルボニルオキシ基など);アリールカルボニルオキシ基(例えば、フェニルカルボニルオキシ基など)が挙げられる。
(パラジウム触媒)
本工程で使用されるパラジウム触媒の種類は特に制限されず、入手可能な0価または2価のパラジウム金属や塩(錯体を含む)などのパラジウム化合物を用いることができ、これらは活性炭などに担持されていてもよい。
より具体的には、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウムなどが挙げられる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、および、ジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウムなどの錯化合物も挙げられる。
なかでも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が、ジアセチレン誘導体の収率がより優れる点で好ましく、入手容易であり収率がより優れる点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体がさらに好ましい。
なお、これらの第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩または錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルなどが挙げられる。
(銅塩)
本工程においては、必要に応じて、銅塩をさらに使用してもよい。銅塩をパラジウム触媒と併用することにより、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する。
使用される銅塩の種類は特に制限されず、例えば、塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)などのハロゲン化銅(II);酢酸銅(II)やトリフルオロ酢酸銅(II)などの有機酸銅塩(II);硝酸銅(II)や硫酸銅(II)などの無機酸銅塩;水酸化銅(II);酸化銅(II);塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)などのハロゲン化銅(I);酸化銅(I)などを挙げることができる。
(その他)
本工程においては、必要に応じて、トリフェニルホスフィンなどのリン系配位子をパラジウム触媒と併用してもよい。
また、必要に応じて、上述した溶媒を併用してもよい。
(工程の手順)
本工程では、上述した第1の混合工程で得られた混合物と一般式(3)で表される化合物およびパラジウム触媒とを混合する。
化合物を混合する手順は特に制限されないが、まず、第1の混合工程で得られた混合物とパラジウム触媒とを混合し、その後得られた混合物にさらに一般式(3)で表される化合物を混合する手順が好ましい。該手順であれば、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する。
混合時の温度条件は特に制限されず、使用される化合物の種類に応じて最適な温度が選択される。なかでも、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、0〜80℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。
混合時間は特に制限されず、使用される化合物の種類に応じて最適な時間が選択される。なかでも、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する点より、6〜72時間が好ましく、12〜36時間がより好ましい。
本工程の雰囲気は特に制限されないが、不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましく、不活性ガスとしては窒素およびアルゴンが特に好ましい。
使用される一般式(3)で表される化合物のモル量は、上述した一般式(1)で表される化合物のモル量に対して、モル比(一般式(3)で表される化合物のモル量/一般式(1)で表される化合物のモル量)が5/1〜1/1であることが好ましく、2/1〜1.2/1あることがより好ましい。上記範囲内であれば、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する。
使用されるパラジウム触媒のモル量は、上述した一般式(3)で表される化合物のモル量に対して、モル比(パラジウム触媒のモル量/一般式(3)で表される化合物のモル量)が1/2〜1/1000であることが好ましく、1/20〜2/100であることがより好ましい。上記範囲内であれば、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する。
銅塩を使用する場合、銅塩の使用量は、パラジウム触媒の使用量に対して、0.001〜0.5モル%であることが好ましく、0.02〜0.05モル%であることがより好ましい。上記範囲内であれば、ジアセチレン誘導体の収率がより向上する。
(一般式(4)で表されるジアセチレン誘導体)
上述した製造方法によって、以下の一般式(4)で表されるジアセチレン誘導体が得られる。該ジアセチレン誘導体では、一般式(1)で表される化合物の片末端に一般式(2)で表される化合物の脱離基を除いた部分が導入される。
一般式(4)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。アルキル基の定義は、上述の通りである。
また、Arは、置換基を有していてもよい1価の芳香族基を表す。芳香族基の定義は、上述の通りである。
反応終了後は、当業者公知の方法によって、目的化合物である該ジアセチレン誘導体を単離精製することができる。例えば、反応終了後に、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィなどにより目的化合物を精製すればよい。
得られた一般式(4)で表されるジアセチレン誘導体には、片末端にトリアルキルシリル基が残存しており、公知の方法(例えば、園頭カップリング反応)などによって、所望の官能基(例えば、ラジカル重合性基(例:ビニル基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基))を導入することができる。つまり、両末端に異なる官能基を有するジアセチレン誘導体を合成することができ、該ジアセチレン誘導体はその中間体として有用である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1:スキームA)
アルゴンガスで充填した丸底フラスコに、1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジイン(トリメチルシリルアセチレン(東京化成工業株式会社)を既知の方法で二量化することにより調製)(501mg,2.58mmol)、4−tert−ブチルフェノール(東京化成工業株式会社製)(144mg,0.957mmol)、炭酸カリウム(ナカライテスク株式会社製)(282mg,2.04mmol)、およびテトラヒドロフラン(THF)(5mL)を入れ、室温で2.5時間攪拌して、混合液を得た。
次に、得られた混合液中に、ヨードベンゼン(東京化成工業株式会社製)(175mg,0.856mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業株式会社製)(29mg,0.025mmol)、ヨウ化銅(I)(関東化学株式会社製)(5.3mg,0.028mmol)、およびトリフェニルホスフィン(7.9mg,0.030mmol)を加えて、80℃で加熱した。
11時間加熱してヨードベンゼンの消失をTLCにより確認した後、加熱を停止し、反応溶液を冷却した。その後、2M塩酸を反応溶液中に注ぎ込み、さらに酢酸エチルにより分液処理を行った。回収した有機層を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:初期ではヘキサンを使用して、その後ヘキサン/酢酸エチル=9/1を使用)により精製し、白色固体の1−フェニル−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジイン(133mg,収率:79%)を得た。
得られた1−フェニル−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジインの1H−NMR測定および13C−NMR測定を行った結果を図1に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3);δppm:0.23(s,9H),7.29−7.37(m,3H),7.49(dd,2H,J=1.7,8.3Hz)
13C−NMR(100MHz、CDCl3);δppm:−0.4,74.1,76.7,87.8,90.6,121.4,128.4,129.3,132.7
(実施例2:スキームB)
ヨードベンゼン(東京化成工業株式会社製)(175mg,0.856mmol)の代わりに、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(東京化成工業株式会社製)(242mg,0.856mmol)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って操作を行い、白色固体の1−(4−ブロモフェニル)−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジイン(173mg,収率:73%)を得た。
得られた1−(4−ブロモフェニル)−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジインの1H−NMR測定を行った結果を図2に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3);δppm:0.23(s,9H),7.34(d,2H,J=8.4Hz),7.45(d,2H,J=8.41Hz)
(実施例3:スキームC)
ヨードベンゼン(東京化成工業株式会社製)(175mg,0.856mmol)の代わりに、4−ヨードニトロベンゼン(東京化成工業株式会社製)(213mg,0.856mmol)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って操作を行い、白色固体の1−(4−ニトロフェニル)−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジイン(127mg、収率:61%)を得た。
得られた1−(4−ニトロフェニル)−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジインの1H−NMR測定を行った結果を図3に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3);δppm:1.29(s,9H),6.76(d,2H,J=6.6Hz),7.26(d,2H,J=6.6Hz)
(比較例1:スキームD)
非特許文献1に記載の以下のスキームDに従って、ジアセチレン誘導体の合成を行った場合、最終生成物である1−フェニル−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジインの収率は43%であった。
比較例1の収率は、本発明のジアセチレン誘導体の製造方法を実施した実施例1〜3での収率と比較して劣っていた。
(合成例)
以下のスキームEに従って、実施例2で得られた1−(4−ブロモフェニル)−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジインを用いて、ジアセチレンの方末端に官能基を導入した。
具体的には、アルゴンガスで充填した丸底フラスコに、1−(4−ブロモフェニル)−4−トリメチルシリル−1,3−ブタジイン(1.01g,3.64mmol)、4−tert−ブチルフェノール(東京化成工業株式会社製)(1.03g,6.86mmol)、炭酸カリウム(ナカライテスク株式会社製)(2.37g,17.1mmol)、およびテトラヒドロフラン(THF)(10mL)を入れ、室温で2.5時間攪拌して、混合液を得た。
次に、得られた混合液中に、4−(1−ヘキシルオキシ)ヨードベンゼン(4−ヨードフェノール(東京化成工業株式会社)を既知の方法でヘキシルエーテル化することにより調製)(1.26g,4.14mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業株式会社製)(45mg,0.039mmol)、ヨウ化銅(I)(関東化学株式会社製)(7.2mg,0.038mmol)、およびトリフェニルホスフィン(10.3mg,0.039mmol)を加えて、80℃で加熱した。
11時間加熱して1−(4−ブロモフェニル)−4−(4−(1−ヘキシルオキシ)フェニル)−1,3−ブタジインの消失をTLCにより確認した後、加熱を停止し、反応溶液を冷却した。その後、2M塩酸を反応溶液中に注ぎ込み、さらに酢酸エチルにより分液処理を行った。回収した有機層を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:初期ではヘキサンを使用して、その後ヘキサン/酢酸エチル=9/1を使用)により精製し、白色固体の1−(4−ブロモフェニル)−4−(4−(1−ヘキシルオキシ)フェニル)−1,3−ブタジイン(1.11g,収率:79%)を得た。
アルゴンガスで充填した丸底フラスコに、1−(4−ブロモフェニル)−4−(4−(1−ヘキシルオキシ)フェニル)−1,3−ブタジイン(517mg,1.354mmol)、塩化トリブチルスズ(東京化成工業株式会社製)(503mg,1.587mmol)、テトラキス(トリホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業株式会社製)(53.8mg,0.0466mmol)、およびトルエン(20mL)を入れ、110℃で加熱した。
11時間加熱して1−(4−ブロモフェニル)−4−(4−(1−ヘキシルオキシ)フェニル)−1,3−ブタジインの消失をTLCにより確認した後、加熱を停止し、反応溶液を冷却した。その後、2M塩酸を反応溶液中に注ぎ込み、さらに酢酸エチルにより分液処理を行った。回収した有機層を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:初期ではヘキサンを使用して、その後ヘキサン/酢酸エチル=9/1を使用)により精製し、白色固体の1−(4−ビニルフェニル)−4−(4−(1−ヘキシルオキシ)フェニル)−1,3−ブタジイン(406mg,収率:>99%)を得た。
得られた1−(4−ビニルフェニル)−4−(4−(1−ヘキシルオキシ)フェニル)−1,3−ブタジインの1H−NMR測定および13C−NMR測定を行った結果を図1に示す。
得られた1−(4−ビニルフェニル)−4−(4−(1−ヘキシルオキシ)フェニル)−1,3−ブタジインの1H−NMR測定を行った結果を図3に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3);δppm:0.91(t,3H,J=6.7Hz),1.31−1.35(m,4H),1.45(tt,2H,J=7.1,7.4Hz),1.78(tt,2H,J=6.9,7.1Hz),3.96(t,2H,J=6.9Hz),5.32(d,1H,J=10.7Hz),5.78(d,1H,J=17.6Hz),6.70(dd,1H,J=10.7,17.6Hz),6.84(d,2H,J=8.3Hz),7.37(d,2H,J=8.3Hz),7.44−7.48(m,4H)
上記のスキームのように、本発明の製造方法に従って得られるジアセチレン誘導体に残存するトリメチルシリル基には、所望の官能基を導入することができる。

Claims (3)

  1. 塩基の存在下、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表されるフェノール化合物とを混合して混合物を得た後、前記混合物と一般式(3)で表される化合物およびパラジウム触媒とを混合して、一般式(4)で表されるジアセチレン誘導体を得る、ジアセチレン誘導体の製造方法。
    (一般式(1)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。)
    (一般式(2)中、R7は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、またはニトロ基を表す。Arは、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。nは、0〜3の整数を表す。)
    (一般式(3)中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。Xは、脱離基を表す。)
    (一般式(4)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。Arは、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。)
  2. 前記混合物にさらに銅塩を混合する、請求項1に記載のジアセチレン誘導体の製造方法。
  3. 一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表されるフェノール化合物とのモル比(一般式(1)で表される化合物のモル量/一般式(2)で表されるフェノール化合物のモル量)が、5/1〜0.9/1である、請求項1または2に記載のジアセチレン誘導体の製造方法。
JP2012057386A 2012-03-14 2012-03-14 ジアセチレン誘導体の製造方法 Pending JP2013189403A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012057386A JP2013189403A (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ジアセチレン誘導体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012057386A JP2013189403A (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ジアセチレン誘導体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013189403A true JP2013189403A (ja) 2013-09-26

Family

ID=49390074

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012057386A Pending JP2013189403A (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ジアセチレン誘導体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013189403A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3315486B1 (en) Method for producing aromatic compound
JP5971656B2 (ja) シクロポリアリーレン化合物及びそれらの製造方法
US20130324768A1 (en) Carbon nanoring and method for producing a ring-shaped compound suitable as a starting material for production of the same
JP2011098957A (ja) ピリジルホスフィン化合物を有する金属錯体、及びアルキルメタクリレートの製造方法
CN114805013B (zh) 卤代联芳基化合物的合成方法
DK2526081T3 (en) METHOD OF PRODUCING aryl and HETEROARYLEDDIKESYREDERIVATER
JP2013189403A (ja) ジアセチレン誘導体の製造方法
JP7023176B2 (ja) 9-(1-ナフチル)-9h-カルバゾール誘導体の製造方法
JP2019014675A (ja) フェニルフェノール誘導体とこれを用いるジベンゾフラン誘導体の製造方法
JP6449014B2 (ja) 官能基含有又は非含有環状化合物及びこれらの製造方法
JP5536458B2 (ja) 6−ハロゲノ−3−アリールピリジン誘導体の製造方法
Toyota et al. Unexpected formation of 4, 7-dihalobenzo [b] thiophenes using Ohira-Bestmann reagent and reactivity of the halogen-substituted benzo [b] thiophenes in Suzuki-Miyaura coupling with phenylboronic acid
JP2008143857A (ja) ベンゾフルオレン誘導体の製造方法およびその中間体
JP2014169273A (ja) 環式芳香族化合物の製造方法
JP6275378B2 (ja) カルバゾール類の製造方法およびこの方法により製造されたカルバゾール類。
JP7023177B2 (ja) 9-(2-置換フェニル)-9h-カルバゾールの製造方法
JP4552405B2 (ja) ビアリール化合物類の製造方法
JP2013166725A (ja) フェノール類およびその製造方法。
JP2007153823A (ja) アレンカルボン酸エステル類の製造法
JP2021178811A (ja) 芳香族エーテル化合物又は芳香族スルフヒドリル化合物の製造方法
JP6760075B2 (ja) ブチロラクトン化合物及び製造方法
KR101183957B1 (ko) 신규한 아실 인듐 유도체 및 이의 제조방법, 이를 이용한 케톤 유도체의 신규한 제조방법
JP2008174519A (ja) テトラヒドロピランを溶媒とする対称ビフェニル化合物の製造方法
JP2012106964A (ja) 2‐シクロプロピル‐6‐ハロゲノメチル‐4‐トリフルオロメチルピリジン誘導体及びその製造方法
TW201904936A (zh) 製備(4-鹵基-2,6-二烷基苯基)丙二腈之方法