(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る水処理システム1について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る水処理システム1は、例えば、淡水から純水を製造する純水製造システムに適用される。
図1は、第1実施形態に係る水処理システム1の全体構成図である。図2は、第1制御部10において、流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図3は、第2制御部20において、流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図4は、第2制御部20において、温度フィードフォワード回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図1に示すように、第1実施形態に係る水処理システム1は、第1加圧ポンプ2と、第1インバータ3と、前処理ユニットとしての硬水軟化装置4と、第2加圧ポンプ5と、第2インバータ6と、膜分離装置としてのRO膜モジュール7と、前処理水排出手段としてのリリーフ弁8と、を備える。
また、水処理システム1は、第1制御部10と、第2制御部20と、第3制御部30と、第1排水弁11〜第3排水弁13と、第1流量検出手段としての第1流量センサ15と、温度検出手段としての温度センサ16と、第2流量検出手段としての第2流量センサ17と、を備える。図1(及び後述の図5)では、電気的な接続の経路を破線で示す。
また、水処理システム1は、原水ラインL1と、前処理水ラインL2と、透過水ラインL3と、濃縮水ラインL4と、前処理水排出手段としての前処理水排出ラインL8と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
原水ラインL1は、原水W1を、硬水軟化装置4へ供給するラインである。原水ラインL1の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。また、原水ラインL1の下流側の端部は、硬水軟化装置4における原水W1の入口側に接続されている。
第1加圧ポンプ2は、原水ラインL1を流通する原水W1を吸入し、硬水軟化装置4へ向けて圧送する装置である。第1加圧ポンプ2は、原水ラインL1において、硬水軟化装置4の上流側に設けられている。第1加圧ポンプ2には、第1インバータ3から周波数が変換された駆動電力が供給される。第1加圧ポンプ2は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
第1インバータ3は、第1加圧ポンプ2に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路である。第1インバータ3は、第1制御部10と電気的に接続されている。第1インバータ3には、第1制御部10から電流値信号が入力される。第1インバータ3は、入力された電流値信号に対応する駆動周波数の駆動電力を第1加圧ポンプ2に出力する。
硬水軟化装置4は、原水W1に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を、陽イオン交換樹脂床(不図示)においてナトリウムイオン(又はカリウムイオン)に置換して、前処理水W2を製造する設備である。
前処理水ラインL2は、硬水軟化装置4で製造された前処理水W2をRO膜モジュール7に送出するラインである。前処理水ラインL2の上流側の端部は、硬水軟化装置4における前処理水W2の出口側に接続されている。また、前処理水ラインL2の下流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側入口ポートに接続されている。
第1流量センサ15は、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2の流量を検出する機器である。第1流量センサ15は、接続部J1において前処理水ラインL2に接続されている。接続部J1は、硬水軟化装置4と第2加圧ポンプ5との間に配置されている。第1流量センサ15は、第1制御部10と電気的に接続されている。第1流量センサ15で検出された前処理水W2の流量(以下、「検出流量値」ともいう)は、第1制御部10へ検出信号として送信される。
温度センサ16は、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2の温度を検出する機器である。温度センサ16は、接続部J2において前処理水ラインL2に接続されている。接続部J2は、硬水軟化装置4と第2加圧ポンプ5との間(接続部J1と第2加圧ポンプ5の間)に配置されている。温度センサ16は、第2制御部20と電気的に接続されている。温度センサ16で検出された前処理水W2の温度(以下、「検出温度値」ともいう)は、第2制御部20へ検出信号として送信される。
第2加圧ポンプ5は、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2を吸入し、RO膜モジュール7に圧送する装置である。第2加圧ポンプ5は、前処理水ラインL2において、RO膜モジュール7の上流側に設けられている。第2加圧ポンプ5には、第2インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。第2加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(駆動周波数)に応じた回転速度で駆動される。
第2インバータ6は、第2加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路である。第2インバータ6は、第2制御部20と電気的に接続されている。第2インバータ6には、第2制御部20から電流値信号が入力される。第2インバータ6は、入力された電流値信号に対応する駆動周波数の駆動電力を第2加圧ポンプ5に出力する。
前処理水排出ラインL8は、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2の一部をシステム外に排出するラインである。前処理水排出ラインL8の上流側は、接続部J3において前処理水ラインL2に接続されている。接続部J3は、硬水軟化装置4と第2加圧ポンプ5との間に配置されている。前処理水排出ラインL8の下流側は、例えば、原水タンク又は排水ピット(いずれも不図示)に接続又は開口している。原水タンクは、第1加圧ポンプ2の上流側に設けられるタンクである。
また、前処理水排出ラインL8には、リリーフ弁(常閉式の圧力作動弁)8が設けられている。リリーフ弁8は、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2の流量値が、後述するRO膜モジュール7で分離される透過水W3の流量値と濃縮水W4の流量値(排出流量)との合計値を超過し、且つ所定の圧力値を超過する場合に開弁して、余剰の前処理水W2を前処理水排出ラインL8から排出させる。
後述のように、第1制御部10は、RO膜モジュール7で分離された透過水W3の流量値と濃縮水W4の流量値との合計値の1.05倍の流量値を、後述する流量フィードバック水量制御の第1目標流量値(前処理水W2の目標流量値)とする。そのため、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2の流量値は、RO膜モジュール7で分離される透過水W3の流量値と濃縮水W4の流量値との合計値よりもやや多めの流量値となる。このように、第1制御部10は、過剰とならない範囲において、RO膜モジュール7で必要とされる流量以上の前処理水W2をRO膜モジュール7に供給し、第2加圧ポンプ5でキャビテーション等の不具合が起こらないように水量制御する。リリーフ弁8は、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2の流量が、透過水W3の流量値と濃縮水W4の流量値との合計値を超過し、且つ所定の圧力値を超過する場合に開弁して、余剰となった前処理水W2の一部を前処理水排出ラインL8に流通させる。なお、所定の圧力値とは、リリーフ弁8の作動圧力として予め設定される値である。
RO膜モジュール7は、第2加圧ポンプ5から圧送された前処理水W2を、溶存塩類が除去された透過水W3と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W4とに分離する設備である。RO膜モジュール7は、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO膜モジュール7は、これらRO膜エレメントにより前処理水W2を処理して、透過水W3及び濃縮水W4を製造する。
透過水ラインL3は、RO膜モジュール7で製造された透過水W3を需要箇所へ送出するラインである。透過水ラインL3の上流側の端部は、RO膜モジュール7の二次側ポートに接続されている。透過水ラインL3の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
第2流量センサ17は、透過水ラインL3を流通する透過水W3の流量を検出する機器である。第2流量センサ17は、接続部J4において透過水ラインL3に接続されている。接続部J4は、RO膜モジュール7の二次側ポートと透過水W3の需要箇所の装置等(不図示)との間に配置されている。また、第2流量センサ17は、第2制御部20と電気的に接続されている。第2流量センサ17で検出された透過水W3の流量(検出流量値)は、第2制御部20へ検出信号として送信される。
濃縮水ラインL4は、RO膜モジュール7から濃縮水W4を送出するラインである。濃縮水ラインL4の上流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側出口ポートに接続されている。また、濃縮水ラインL4の下流側は、分岐部J5及びJ6において、第1排水ラインL11、第2排水ラインL12及び第3排水ラインL13に分岐している。
第1排水ラインL11には、第1排水弁11が設けられている。第2排水ラインL12には、第2排水弁12が設けられている。第3排水ラインL13には、第3排水弁13が設けられている。第1排水弁11〜第3排水弁13は、濃縮水ラインL4から装置外へ排出される濃縮水W4の排水流量を調節する弁である。
第1排水弁11は、第1排水ラインL11を開閉することができる。第2排水弁12は、第2排水ラインL12を開閉することができる。第3排水弁13は、第3排水ラインL13を開閉することができる。
第1排水弁11〜第3排水弁13は、それぞれ定流量弁機構(不図示)を備える。定流量弁機構は、第1排水弁11〜第3排水弁13において、それぞれ異なる流量値に設定されている。例えば、第1排水弁11は、開状態において、RO膜モジュール7の回収率が80%となるように排水流量が設定されている。第2排水弁12は、開状態において、RO膜モジュール7の回収率が75%となるように排水流量が設定されている。第3排水弁13は、開状態において、RO膜モジュール7の回収率が70%となるように排水流量が設定されている。
濃縮水ラインL4から排出される濃縮水W4の排水流量は、第1排水弁11〜第3排水弁13を選択的に開閉することにより、段階的に調節できる。例えば、第2排水弁12のみを開状態とし、第1排水弁11及び第3排水弁13を閉状態とする。この場合には、RO膜モジュール7の回収率を75%とすることができる。また、第1排水弁11及び第2排水弁12を開状態とし、第3排水弁13のみを閉状態とする。この場合には、RO膜モジュール7の回収率を70%とすることができる。従って、本実施形態において、濃縮水W4の排水流量は、第1排水弁11〜第3排水弁13を選択的に開閉することにより、回収率を50%〜80%までの間で、5%毎に段階的に調節できる。
第1排水弁11〜第3排水弁13は、それぞれ第2制御部20と電気的に接続されている。第1排水弁11〜第3排水弁13における弁体の開閉は、第2制御部20からの駆動信号により制御される。
第1制御部10は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。第1制御部10において、マイクロプロセッサのメモリには、硬水軟化装置4を制御(運転)するための各種プログラムが記憶される。また、マイクロプロセッサのメモリには、例えば、前処理水W2の第1検出流量値Qp1(後述)に関するデータ、前処理水W2の第1目標流量値Qp1´(後述)に関するデータ、RO膜モジュール7における透過水W3の第2目標流量値Qp2´(後述)及び濃縮水W4の目標排水流量値Qd´(後述)に関するデータ等が記憶される。
第1制御部10は、第3制御部30と電気的に接続されている。第1制御部10は、上述した透過水W3の第2目標流量値Qp2´及び濃縮水W4の目標排水流量値Qd´に関するデータを、第3制御部30を介して取得する。
第1制御部10において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って処理を実行する。また、マイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニット(以下、「ITU」ともいう)が組み込まれている。
第1制御部10は、前処理水W2の流量フィードバック水量制御として、第1流量センサ15の検出流量値が第1目標流量値Qp1´となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより第1加圧ポンプ2を駆動するための駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する電流値信号を第1インバータ3に出力する。第1目標流量値Qp1´は、RO膜モジュール7で分離された透過水W3の第2目標流量値Qp2´と濃縮水W4の目標排水流量値Qd´との合計値に基づいて設定される流量値である。水処理システム1において、前処理水W2の流量は、第1目標流量値Qp1´となるように制御される。
本実施形態において、第1制御部10は、第2目標流量値Qp2´と目標排水流量値Qd´との合計値の1.05倍の流量値を、流量フィードバック水量制御における第1目標流量値Qp1´として設定する。第1制御部10による流量フィードバック水量制御については後述する。
第2制御部20は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。第2制御部20において、マイクロプロセッサのメモリには、RO膜モジュール7を制御(運転)するための各種プログラムが記憶される。また、マイクロプロセッサのメモリには、例えば、前処理水W2の検出温度値Tに関するデータ、透過水W3の第2目標流量値Qp2´に関するデータ、濃縮水W4の目標排水流量値Qd´に関するデータ等が記憶される。
第2制御部20は、第3制御部30と電気的に接続されている。第2制御部20は、上述した第2目標流量値Qp2´及び目標排水流量値Qd´に関するデータを、第3制御部30を介して第1制御部10へ送信する。
第2制御部20において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って処理を実行する。また、マイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するITUが組み込まれている。
第2制御部20は、透過水W3の流量フィードバック水量制御として、第2流量センサ17の第2検出流量値Qp2が予め設定された第2目標流量値Qp2´となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより第2加圧ポンプ5を駆動するための駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する電流値信号を第2インバータ6に出力する。水処理システム1において、透過水W3の流量は、第2目標流量値Qp2´となるように制御される。第2制御部20による流量フィードバック水量制御については後述する。
また、第2制御部20は、前処理水W2の温度に基づいて、透過水W3の回収率制御(以下、「温度フィードフォワード回収率制御」ともいう)を実行する。具体的には、第2制御部20は、(i)予め取得された前処理水W2のシリカ濃度、及び温度センサ16の検出温度値Tから決定したシリカ溶解度に基づいて、濃縮水W4におけるシリカの許容濃縮倍率を演算し、(ii)当該許容濃縮倍率の演算値及び透過水W3の第2目標流量値Qp2´から目標排水流量値Qd´を演算し、(iii)濃縮水W4の実際排水流量が当該排水流量の演算値(目標排水流量値Qd´)となるように、第1排水弁11〜第3排水弁13を制御する。
温度フィードフォワード回収率制御は、上述した流量フィードバック水量制御と並行して実行される。第2制御部20による温度フィードフォワード回収率制御については後述する。
第3制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。第3制御部30は、第1制御部10及び第2制御部20と電気的に接続されている。第3制御部30は、第2制御部20から送信されたデータを第1制御部10へ受け渡す中継盤としての機能を備える。具体的には、第3制御部30は、第2制御部20から第2目標流量値Qp2´及び濃縮水W4の目標排水流量値Qd´に関するデータを取得し、当該データを第1制御部10に送信する。
次に、第1実施形態に係る水処理システム1の動作について説明する。
まず、第1制御部10による硬水軟化装置4の流量フィードバック水量制御を、図2を参照して説明する。図2に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図2に示すステップST101において、第1制御部10は、前処理水W2の第1目標流量値Qp1´を設定する。具体的には、第1制御部10は、RO膜モジュール7における透過水W3の第2目標流量値Qp2´及び濃縮水W4の目標排水流量値Qd´に関するデータを、第3制御部30を介して取得する。そして、第1制御部10は、取得した透過水W3の第2目標流量値Qp2´と濃縮水W4の目標排水流量値Qd´との合計値の1.05倍となる流量値を、前処理水W2の第1目標流量値Qp1´として設定する。
ステップST102において、第1制御部10は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST102において、第1制御部10により、ITUによる計時が100msに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、第1制御部10により、ITUによる計時が100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST102へ戻る。
ステップST103(ステップST102:YES判定)において、第1制御部10は、第1流量センサ15で検出された前処理水W2の第1検出流量値Qp1を、フィードバック値として取得する。
ステップST104において、第1制御部10は、ステップST103で取得した第1検出流量値Qp1と、ステップST101で設定した第1目標流量値Qp1´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Unを演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期Δt(100ms)毎に操作量の変化分ΔUnを演算し、これを前回の制御周期時点の操作量Un−1に加算することで現時点の操作量Unを決定する。
ステップST105において、第1制御部10は、現時点の操作量Un、及び第1加圧ポンプ2の最大駆動周波数F´(50Hz又は60Hzの設定値)に基づいて、第1加圧ポンプ2の駆動周波数F[Hz]を演算する。
ステップST106において、第1制御部10は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(4〜20mA)に変換する。
ステップST107において、第1制御部10は、変換した電流値信号を第1インバータ3へ出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
なお、ステップST107において、第1制御部10が電流値信号を第1インバータ3へ出力すると、第1インバータ3は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を第1加圧ポンプ2に供給する。そして、第1加圧ポンプ2は、第1インバータ3から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。その結果、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2の流量は、RO膜モジュール7で分離された透過水W3の流量値と濃縮水W4の流量値との合計値の1.05倍の流量値となる。
次に、第2制御部20によるRO膜モジュール7の流量フィードバック水量制御を、図3を参照して説明する。図3に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図3に示すステップST201において、第2制御部20は、透過水W3の第2目標流量値Qp2´を取得する。この第2目標流量値Qp2´は、例えば、システム管理者がユーザインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。第2目標流量値Qp2´は、例えば、水処理システム1の通常運転時における需要箇所の平均的な消費水量に基づいて設定することができる。
ステップST202において、第2制御部20は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST202において、第2制御部20により、ITUによる計時が100msに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST203へ移行する。また、ステップST202において、第2制御部20により、ITUによる計時が100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST202へ戻る。
ステップST203(ステップST202:YES判定)において、第2制御部20は、第2流量センサ17で検出された透過水W3の第2検出流量値Qp2を、フィードバック値として取得する。この第2検出流量値Qp2は、第2制御部20のメモリ(不図示)に記憶されると共に、透過水W3の流量値として、第3制御部30を介して第1制御部10に送信される。
ステップST204において、第2制御部20は、ステップST203で取得した第2検出流量値Qp2と、ステップST201で設定した第2目標流量値Qp2´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Unを演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期Δt(100ms)毎に操作量の変化分ΔUnを演算し、これを前回の制御周期時点の操作量Un−1に加算することで現時点の操作量Unを決定する。
ステップST205において、第2制御部20は、現時点の操作量Un、及び第2加圧ポンプ5の最大駆動周波数F´(50Hz又は60Hzの設定値)に基づいて、第2加圧ポンプ5の駆動周波数F[Hz]を演算する。
ステップST206において、第2制御部20は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(4〜20mA)に変換する。
ステップST207において、第2制御部20は、変換した電流値信号を第2インバータ6へ出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。
なお、ステップST207において、第2制御部20が電流値信号を第2インバータ6へ出力すると、第2インバータ6は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を第2加圧ポンプ5に供給する。そして、第2加圧ポンプ5は、第2インバータ6から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。その結果、透過水ラインL3を流通する透過水W3の流量は、後述する回収率の変動に係わらず、第2目標流量値Qp2´となるように制御される。
次に、第2制御部20によるRO膜モジュール7の温度フィードフォワード回収率制御を、図4を参照して説明する。図4に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、上述したRO膜モジュール7の流量フィードバック水流制御と共に繰り返し実行される。
図4に示すステップST301において、第2制御部20は、透過水W3の第2目標流量値Qp2´を取得する。この第2目標流量値Qp2´は、図3に示すフローチャートのステップST201において設定された値である。
ステップST302において、第2制御部20は、前処理水W2のシリカ(SiO2)濃度Csを取得する。このシリカ濃度Csは、例えば、装置管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。前処理水W2のシリカ濃度は、事前に前処理水W2を水質分析することにより得ることができる。なお、前処理水ラインL2において、不図示の水質センサにより前処理水W2のシリカ濃度を計測してもよい。
ステップST303において、第2制御部20は、温度センサ16から前処理水W2の検出温度値Tを取得する。
ステップST304において、第2制御部20は、取得した検出温度値Tに基づいて、水に対するシリカ溶解度Ssを決定する。
ステップST305において、第2制御部20は、前のステップで取得又は決定したシリカ濃度Cs及びシリカ溶解度Ssに基づいて、濃縮水W4におけるシリカの許容濃縮倍率Nsを演算する。シリカの許容濃縮倍率Nsは、下記の式(1)により求めることができる。
Ns=Ss/Cs (1)
例えば、シリカ濃度Csが20mgSiO2/L、25℃におけるシリカ溶解度Ssが100mgSiO2/Lであれば、許容濃縮倍率Nsは“5”となる。
ステップST306において、第2制御部20は、前のステップで取得した第2目標流量値Qp2´及び許容濃縮倍率Nsに基づいて、回収率が最大となる排水流量値(目標排水流量値Qd´)を演算する。目標排水流量値Qd´は、下記の式(2)により求めることができる。
Qd´=Qp´/(Ns−1) (2)
ステップST307において、第2制御部20は、濃縮水W4の実際排水流量QdがステップST306で演算した目標排水流量値Qd´となるように、第1排水弁11〜第3排水弁13の開閉を制御する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST301へリターンする)。
なお、ステップST307において演算された目標排水流量値Qd´は、第2制御部20のメモリ(不図示)に記憶されると共に、濃縮水W4の流量値として、第3制御部30を介して第1制御部10に送信される。
上述した第1実施形態に係る水処理システム1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
第1実施形態に係る水処理システム1において、第1制御部10は、第1流量センサ15から出力された第1検出流量値Qp1が、RO膜モジュール7で分離された透過水W3の第2目標流量値Qp2´と濃縮水W4の目標排出流量値Qd´との合計値に基づく第1目標流量値Qp1´となるように第1加圧ポンプ2の駆動周波数Fを演算し、当該駆動周波数Fの演算値に対応する電流値信号を第1インバータ3に出力する。
これによれば、RO膜モジュール7において、透過水W3の流量を一定に保ったままで回収率を増減させた場合でも、前処理水W2の供給流量、すなわち第1検出流量値Qp1をRO膜モジュール7における回収率の増減に追随させることができる。そのため、前処理水W2の供給流量が最大となる条件で第1加圧ポンプ2を駆動する必要がなく、第1加圧ポンプ2を前処理水W2の流量に応じた電力で駆動することができる。従って、水処理システム1によれば、第1加圧ポンプ2における無駄な電力の消費を削減することができる。
また、第1制御部10は、硬水軟化装置4において、上述のような流量フィードバック水量制御を実行する。このため、水処理システム1は、RO膜モジュール7において回収率を増減させた場合においても、安定した流量の前処理水W2をRO膜モジュール7へ供給することができる。
また、第1制御部10は、透過水W3の第2目標流量値Qp2´と濃縮水W4の目標排出流量値Qd´との合計値の1.05倍の流量値を、流量フィードバック水量制御の第1目標流量値Qp1´とする。そのため、硬水軟化装置4において、負圧の発生等による破損や不具合の発生を抑制することができる。
なお、透過水W3の第2目標流量値Qp2´と濃縮水W4の目標排出流量値Qd´との合計値の1倍の流量値を、流量フィードバック水量制御の第1目標流量値Qp1´とした場合においても同様の効果を得ることができる。すなわち、水処理システム1において、流量フィードバック水量制御の第1目標流量値Qp1´は、好ましくは、透過水W3の第2目標流量値Qp2´と濃縮水W4の目標排水流量値Qd´との合計値の1〜1.05倍の流量値に設定される。
また、第1実施形態に係る水処理システム1は、前処理水排出手段としての前処理水排出ラインL8及びリリーフ弁8を備える。このため、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2の流量値が、透過水W3の第2目標流量値Qp2´と濃縮水W4の目標排出流量値Qd´との合計値を超過する場合でも、硬水軟化装置4の耐圧以上の背圧が発生することがないように、余剰の前処理水W2を、リリーフ弁8を介して前処理水排出ラインL8から系外に排出できる。従って、水処理システム1は、より安定した流量の前処理水W2をRO膜モジュール7へ供給することができる。
また、水処理システム1は、前処理水排出ラインL8及びリリーフ弁8を備えるため、RO膜モジュール7に前処理水W2を圧送する第2加圧ポンプ5の一次側に減圧弁を設ける必要がない。
また、第1実施形態に係る水処理システム1において、第2制御部20は、RO膜モジュール7の運転中に、第2流量センサ17の第2検出流量値Qp2が予め設定された第2目標流量値Qp2´となるように、第2加圧ポンプ5を駆動するための駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する電流値信号を第2インバータ6に出力する流量フィードバック水量制御を実行する。このため、水処理システム1は、RO膜モジュール7の運転中に回収率を増減させた場合においても、安定した流量の透過水W3を需要箇所へ供給することができる。
また、第1実施形態に係る水処理システム1において、第2制御部20は、上述した温度フィードフォワード回収率制御を実行する。このため、水処理システム1は、RO膜モジュール7における透過水W3の回収率を最大としつつ、RO膜モジュール7におけるシリカ系スケールの析出をより確実に抑制することができる。
また、第1実施形態に係る水処理システム1において、第2制御部20は、RO膜モジュール7における透過水W3の第2目標流量値Qp2´及び濃縮水W4の目標排水流量値Qd´に関するデータをメモリに保持(記憶)する。また、水処理システム1は、第2制御部20から第2目標流量値Qp2´及び濃縮水W4の目標排水流量値Qd´に関するデータを取得し、当該データを第1制御部10に送信する第3制御部30を備える。そのため、硬水軟化装置4とRO膜モジュール7とを直結した水処理システム1において、より確実なデータの転送を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る水処理システム1Aの構成について、図5を参照して説明する。なお、第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、第2実施形態では、第1実施形態と重複する説明を適宜に省略する。
図5は、第2実施形態に係る水処理システム1Aの全体構成図である。第2実施形態に係る水処理システム1Aは、第1実施形態における温度センサ16(図1参照)の代わりに、硬度測定手段としての硬度センサ18を備える。また、第2実施形態に係る水処理システム1Aは、第1実施形態における第2制御部20(図1参照)の代わりに、第2制御部20Aを備える。その他の構成は、第1実施形態に係る水処理システム1と同じである。
硬度センサ18は、前処理水ラインL2を流通する前処理水W2のカルシウム硬度(炭酸カルシウム換算値)を測定する機器である。硬度センサ18は、接続部J2において前処理水ラインL2に接続されている。接続部J2は、硬水軟化装置4と第2加圧ポンプ5との間(接続部J1と第2加圧ポンプ5の間)に配置されている。硬度センサ18は、第2制御部20Aと電気的に接続されている。硬度センサ18で測定された前処理水W2のカルシウム硬度(以下、「測定硬度値」ともいう)は、第2制御部20Aへ検出信号として送信される。
第2制御部20Aは、CPU及びメモリ含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。第2制御部20Aは、第1実施形態の第2制御部20と同じく速度形デジタルPIDアルゴリズムによる流量フィードバック水量制御(図3参照)を実行する。
また、本実施形態の第2制御部20Aは、前処理水W2の硬度に基づいて、透過水W3の回収率制御(以下、「水質フィードフォワード回収率制御」ともいう)を実行する。具体的には、第2制御部20Aは、(i)予め取得された炭酸カルシウム溶解度、及び硬度センサ18の測定硬度値Ccに基づいて、濃縮水W4における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算し、(ii)当該許容濃縮倍率の演算値、及び透過水W3の第2目標流量値Qp2´から目標排水流量値Qd´を演算し、(iii)濃縮水W4の実際排水流量が当該排水流量の演算値(目標排水流量値Qd´)となるように、第1排水弁11〜第3排水弁13を制御する。
水質フィードフォワード回収率制御は、第2制御部20Aにおける流量フィードバック水量制御(第1実施形態の第2制御部20による流量フィードバック水量制御と同じ)と並行して実行される。
次に、第2制御部20Aによる水質フィードフォワード回収率制御について説明する。図6は、第2制御部20Aにおいて、水質フィードフォワード回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図6に示すステップST401において、第2制御部20Aは、透過水W3の第2目標流量値Qp2´を取得する。この第2目標流量値Qp2´は、図3に示すフローチャートのステップST201において設定された値である。
ステップST402において、第2制御部20Aは、硬度センサ18で測定された原水W1の測定硬度値Ccを取得する。
ステップST403において、第2制御部20Aは、水に対する炭酸カルシウム溶解度Scを取得する。この炭酸カルシウム溶解度Scは、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。なお、水に対する炭酸カルシウム溶解度は、通常の運転温度(5〜35℃)では、ほぼ一定値と看做すことができる。
ステップST404において、第2制御部20Aは、前のステップで取得した測定硬度値Cc、及び炭酸カルシウム溶解度Scに基づいて、濃縮水W4における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncを演算する。炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncは、下記の式(3)により求めることができる。
Nc=Sc/Cc (3)
例えば、測定硬度値Ccが3mgCaCO3/L、25℃における炭酸カルシウム溶解度Scが15mgCaCO3/Lであれば、許容濃縮倍率Ncは“5”となる。
ステップST405において、第2制御部20Aは、前のステップで取得又は演算した第2目標流量値Qp2´、及び許容濃縮倍率Ncに基づいて、回収率が最大となる排水流量(目標排水流量値Qd´)を演算する。目標排水流量値Qd´は、下記の式(4)により求めることができる。
Qd´=Qp´/(Nc−1) (4)
ステップST406において、第2制御部20Aは、濃縮水W4の実際排水流量QdがステップST405で演算した目標排水流量値Qd´となるように第1排水弁11〜第3排水弁13の開閉を制御する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。
上述した第2実施形態に係る水処理システム1Aにおいて、第2制御部20Aは、上述した水質フィードフォワード回収率制御を実行する。このため、水処理システム1Aは、透過水W3の回収率を最大としつつ、RO膜モジュール7における炭酸カルシウム系スケールの析出をより確実に抑制することができる。
なお、第2実施形態に係る水処理システム1Aは、第1実施形態に係る水処理システム1により得られる効果(温度水質フィードフォワード回収率制御による効果を除く)に加えて、上述した水質フィードフォワード回収率制御による効果を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。なお、以下の説明において、第1実施形態で実施可能な変形形態は、一部の例外を除いて第2実施形態においても実施可能である。
例えば、第1実施形態では、前処理ユニットとして、硬水軟化装置4を設けた構成について説明した。これに限らず、前処理ユニットは、除鉄除マンガン装置、砂濾過装置、活性炭濾過装置等の各種濾過装置でもよいし、これら濾過装置と硬水軟化装置との組み合わせであってもよい。
また、第1実施形態では、温度フィードフォワード回収率制御において、前処理水ラインL2に温度センサ16を設け、前処理水W2の温度を検出する例について説明した。これに限らず、例えば、透過水ラインL3又は濃縮水ラインL4に温度センサを設け、RO膜モジュール7で得られた透過水W3又は濃縮水W4の温度を検出してもよい。この場合に、第2制御部20は、透過水W3又は濃縮水W4から取得した検出温度値Tに基づいて、水に対するシリカ溶解度Ssを決定する(図4:ステップST304参照)。
第1実施形態では、RO膜モジュール7で分離された透過水W3の第2目標流量値Qp2´と目標排水流量値Qd´との合計値の1.05倍の流量値を、硬水軟化装置4における流量フィードバック水量制御の第1目標流量値Qp1´として設定する例について説明した。この例に限らず、流量フィードバック水量制御の第1目標流量値Qp1´は、第2目標流量値Qp2´と目標排水流量値Qd´との合計値よりも過剰に多くならない範囲の流量値に設定されればよい。第1目標流量値Qp1´は、好ましくは、第2目標流量値Qp2´と目標排水流量値Qd´との合計値の1〜1.05倍の流量値に設定される。
第1実施形態では、RO膜モジュール7における透過水W3の第2目標流量値Qp2´(設定値)を硬水軟化装置4の第1目標流量値Qp1´の設定に用いる例について説明した(図2:ステップST101参照)。このような設定値に限らず、例えば、第2検出流量値Qp2(フィードバック値)を硬水軟化装置4の第1目標流量値Qp1´の設定に用いてもよい。なお、透過水W3の流量値として、第1実施形態のように設定値を用いた場合には、変動を伴うフィードバック値を用いた場合に比べて、前処理水W2の流量を安定させることができる。
また、第1実施形態では、ROモジュール7における濃縮水W4の目標排水流量値Qd´(演算値)を硬水軟化装置4の第1目標流量値Qp1´の設定に用いる例について説明した(図2:ステップST101参照)。このような演算値に限らず、例えば、濃縮水ラインL4を流通する濃縮水W4の検出流量値(流量センサによるフィードバック値)を硬水軟化装置4の第1目標流量値Qp1´の設定に用いてもよい。なお、濃縮水W4の流量値として、第1実施形態のように演算値を用いた場合には、変動を伴うフィードバック値を用いた場合に比べて、前処理水W2の流量を安定させることができる。
また、第1実施形態において、濃縮水ラインL4に流量センサを設け、流量フィードバック回収率制御を行うように構成してもよい。この場合は、濃縮水W4の検出流量値Qdが、前処理水W2のシリカ濃度Cs、及び温度センサ16の検出温度値Tに基づいて演算した目標排水流量値Qd´となるように、第1排水弁11〜第3排水弁13を制御する。
第1実施形態では、温度フィードフォワード回収率制御において、前処理水W2に含まれるシリカの許容濃縮倍率Ns及び透過水W3の第2目標流量値Qp2´に基づいて、回収率が最大となる排水流量を算出する例について説明した。また、第2実施形態では、水質フィードフォワード回収率制御において、前処理水W2に含まれる炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Nc及び透過水W3の第2目標流量値Qp2´に基づいて、回収率が最大となる排水流量を算出する例について説明した。これに限らず、次のような手法を採用してもよい。すなわち、前処理水W2に含まれる炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncとシリカの許容濃縮倍率Nsとを比較し、小さい側の許容濃縮倍率を選択する。そして、選択した許容濃縮倍率及び透過水W3の目標流量値に基づいて、回収率が最大となる排水流量を算出する。
また、第2実施形態において、濃縮水ラインL4に流量センサを設け、流量フィードバック回収率制御を行うように構成してもよい。この場合は、濃縮水W4の検出流量値Qdが、前処理水W2の炭酸カルシウム溶解度Sc、及び硬度センサ18の測定硬度値Ccに基づいて演算した目標排水流量値Qd´となるように、第1排水弁11〜第3排水弁13を制御する。
更に、第1実施形態において、濃縮水ラインL4を流通する濃縮水W4の一部を、前処理水ラインL2において、第2加圧ポンプ5よりも上流側に還流させる濃縮水還流ラインを設けた構成としてもよい。濃縮水還流ラインを設けることにより、RO膜の膜表面における流速を高めることができるため、ファウリングの発生を抑制することができる。
第1実施形態では、各回収率制御において、第1排水弁11〜第3排水弁13を選択的に開閉することにより、濃縮水W4の排水流量を段階的に調節する例について説明した。これに限らず、排水ラインを分岐せずに1本とし、このラインに比例制御弁を設けた構成としてもよい。その場合には、第2制御部20から電流値信号(例えば、4〜20mA)を比例制御弁に送信して弁開度を制御することにより、濃縮水W4の排水流量を調節することができる。
また、比例制御弁を設けた構成において、排水ラインに流量センサを設けた構成としてもよい。流量センサで検出された流量値を、第2制御部20にフィードバック値として入力する。これにより、濃縮水W4の実際排水流量をより正確に制御することができる。
また、第1実施形態では、第2制御部20から第2目標流量値Qp2´及び濃縮水W4の目標排水流量値Qd´に関するデータを取得し、当該データを第1制御部10に送信する第3制御部30を備えた構成について説明した。これに限らず、第3制御部30を介さずに、第2制御部20から第2目標流量値Qp2´及び目標排水流量値Qd´に関するデータを第1制御部10に送信する構成としてもよい。
また、第1実施形態において、第1制御部10の機能を、第2制御部20で実行するように構成してもよいし、第2制御部20の機能を、第1制御部10で実行するように構成してもよい。