JP2013187045A - 絶縁電線及びそれを用いて形成されたコイル - Google Patents
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Abstract
【課題】高温の環境下で使用された場合において絶縁皮膜が劣化、損傷しにくく、高い部分放電開始電圧を有する絶縁電線及びそれを用いて形成されたコイルを提供する。
【解決手段】本発明の一態様において、導体10と、導体10の周囲に設けられた絶縁皮膜11と、を有する絶縁電線1を提供する。絶縁皮膜11は、導体10の周囲に形成された脂肪族を含有するポリイミドからなる第1絶縁皮膜11aと、第1絶縁皮膜11aの周囲に形成された脂肪族を含有しないポリイミドからなる第2絶縁皮膜11bとを含む。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の一態様において、導体10と、導体10の周囲に設けられた絶縁皮膜11と、を有する絶縁電線1を提供する。絶縁皮膜11は、導体10の周囲に形成された脂肪族を含有するポリイミドからなる第1絶縁皮膜11aと、第1絶縁皮膜11aの周囲に形成された脂肪族を含有しないポリイミドからなる第2絶縁皮膜11bとを含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、絶縁電線及びそれを用いて形成されたコイルに関し、特に、モータや変圧器等の電気機器のコイル用として好適な絶縁電線及びそれを用いて形成されたコイルに関する。
一般に、回転電機や変圧器などの電気機器のコイルには、コイルの用途・形状に合致した断面形状(例えば、丸形状や矩形状)を有する金属導体(導体)の周囲に、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等の樹脂を有機溶剤に溶解させた絶縁塗料を塗布・焼付けして得られる絶縁皮膜を1層又は2層以上形成してなる絶縁被覆層を備えた絶縁電線(エナメル線)が、広く用いられている。
回転電機や変圧器などの電気機器は、近年、インバータ制御にて駆動されるようになってきている。このようなインバータ制御を用いた電気機器では、インバータ制御により発生するインバータサージ(サージ電圧)が高い場合、電気機器のコイルを構成する絶縁電線に、このインバータサージ電圧に起因して部分放電が発生し、絶縁皮膜が劣化することや損傷することがある。
インバータサージ電圧による絶縁皮膜の劣化や損傷を防ぐための方法として、例えば、3つ以上の芳香環を有する芳香族ジアミン成分と、酸成分とを含有する芳香族イミドプレポリマーに、2つ以下の芳香環を有する芳香族ジイソシアネート成分を混合してなるポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を導体上に塗布し、焼付けして絶縁皮膜を形成した絶縁電線が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、このようなポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を用いることで、比誘電率の低い絶縁皮膜が得られ、部分放電開始電圧(PDIV:Partial Discharge Inception Voltage)の高い絶縁電線が得られるとされている。
近年では、モータの小型化、高出力化等が望まれているため、インバータ制御により発生するインバータサージ電圧の値が上昇する傾向にあり、従来よりも部分放電が発生しやすい環境下で絶縁電線が使用されることになる。このため、最近の絶縁電線には、従来よりも部分放電開始電圧を高くすることでインバータサージ電圧の値が上昇しても部分放電自体が発生しないことが望まれている。
一方、モータの小型化、高電圧駆動等のために、コイルを構成する絶縁電線の高占積率化が検討されている。このため、コイルの放熱性の低下や、コイルに流す電流の大電流化などの環境因子の変化によって、コイルを構成する絶縁電線が高温(例えば180℃以上)の環境下で使用されることになるが、このような高温の環境下において絶縁皮膜が劣化・損傷しにくい絶縁電線が望まれている。絶縁皮膜が劣化・損傷した場合では、高温の環境下において十分な部分放電開始電圧が得られないことがあった。
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決し、高温の環境下で使用された場合において絶縁皮膜が劣化、損傷しにくく、高い部分放電開始電圧を有する絶縁電線及びそれを用いて形成されたコイルを提供することにある。
(1)本発明の一態様によれば、上記目的を達成するため、導体と、前記導体の周囲に設けられた絶縁皮膜と、を有する絶縁電線が提供される。前記絶縁皮膜は、前記導体の周囲に形成された脂肪族を含有するポリイミドからなる第1絶縁皮膜と、前記第1絶縁皮膜の周囲に形成された脂肪族を含有しないポリイミドからなる第2絶縁皮膜とを含む。
(2)上記絶縁電線において、前記第2絶縁皮膜は、酸素透過率が1.0×10−14(mol/m2・s・Pa)未満であってもよい。
(3)上記絶縁電線において、前記第2絶縁皮膜の皮膜厚さは、前記絶縁被覆の全体の厚さに対して5%以上、20%以下であってもよい。
(4)また、本発明の他の態様によれば、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の絶縁電線を用いて形成されたコイルが提供される。
本発明によれば、高温の環境下で使用された場合において絶縁皮膜が劣化、損傷しにくく、高い部分放電開始電圧を有する絶縁電線及びそれを用いて形成されたコイルを提供することができる。
[実施の形態]
(絶縁電線)
図1は、本実施の形態に係る絶縁電線1の断面の一例を表す。本実施の形態に係る絶縁電線1は、導体10と、導体10の周囲に設けられた絶縁皮膜11とを有する。
(絶縁電線)
図1は、本実施の形態に係る絶縁電線1の断面の一例を表す。本実施の形態に係る絶縁電線1は、導体10と、導体10の周囲に設けられた絶縁皮膜11とを有する。
導体10は、銅等の導電材料からなる導体線である。銅としては、無酸素銅や低酸素銅などが主に用いられる。また、導体10は、多層構造を有してもよく、例えば、銅線の表面にニッケル等の金属めっきを施したものであってもよい。導体10の断面形状は、例えば、丸形状、又は四角形状である。なお、ここでいう四角形状とは、四角形の角部が丸みを有する四角形状も含むものとする。
絶縁皮膜11は、導体10の周囲に形成された第1絶縁皮膜11aと、第1絶縁皮膜の周囲に形成された第2絶縁皮膜11bを含む。
絶縁電線1は、導体10と絶縁皮膜11との間に、密着層等として機能する他の皮膜を有してもよい。密着層は、例えば、芳香族ポリイミドと密着向上剤からなる。
また、絶縁電線1は、絶縁皮膜11上に、潤滑性を付与するための潤滑性付与絶縁皮膜や、耐傷性を付与する耐傷性付与絶縁皮膜等を有してもよい。これらの潤滑性付与絶縁皮膜、および耐傷性付与絶縁皮膜は、絶縁塗料を塗布、焼付けすることによって形成することが好ましい。
また、絶縁電線1を用いて、例えばモータや発電機等の電気機器を構成するコイルを形成することができる。
(第1絶縁皮膜)
第1絶縁皮膜11aは、脂肪族を含有するポリイミドを主成分とする。製法は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとのイミド化反応により合成することが好ましい。脂肪族成分は酸二無水物由来でも、ジアミン由来でもいずれでも良い。第1絶縁皮膜11aの原料として、脂肪族を含有する原料を1つ又は複数用いることができる。
第1絶縁皮膜11aは、脂肪族を含有するポリイミドを主成分とする。製法は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとのイミド化反応により合成することが好ましい。脂肪族成分は酸二無水物由来でも、ジアミン由来でもいずれでも良い。第1絶縁皮膜11aの原料として、脂肪族を含有する原料を1つ又は複数用いることができる。
脂肪族を含有する原料としては、第1絶縁皮膜11aに特に高い部分放電開始電圧付与することができるため、脂肪族を含有するジアミンである2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)や、脂肪族を含有するテトラカルボン酸二無水物である2,2−ビス[4−(3,4ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸二無水物(BPADA)を用いることが好ましい。
脂肪族を含有するジアミンと併せて使用される、脂肪族を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸無水物(PMDA)、オキシジフタル酸無水物(ODPA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)等が挙げられ、これらのテトラカルボン酸二無水物を1つ又は複数用いることができる。なお、これらのテトラカルボン酸二無水物は、上記の脂肪族を含有するテトラカルボン酸二無水物と併せて使用することもできる。
また、脂肪族を含有するテトラカルボン酸二無水物と併せて使用される、脂肪族を含有しない芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−DPE)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS−M)、2,5−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル(P−TPE−Q)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)等が挙げられ、これらの芳香族ジアミンを1つ又は複数用いることができる。なお、これらの脂肪族を含有しない芳香族ジアミンは、上記の脂肪族を含有するジアミンと併せて使用することもできる。
また、第1絶縁皮膜11aは、導体との密着性を向上させるための密着向上剤を含んでもよい。
(第2絶縁皮膜)
第2絶縁皮膜11bは、脂肪族を含有しないポリイミドを主成分とする。製法は特に限定されないが、脂肪族を含有しないテトラカルボン酸二無水物と脂肪族を含有しないジアミンとのイミド化反応により合成することが好ましい。
第2絶縁皮膜11bは、脂肪族を含有しないポリイミドを主成分とする。製法は特に限定されないが、脂肪族を含有しないテトラカルボン酸二無水物と脂肪族を含有しないジアミンとのイミド化反応により合成することが好ましい。
脂肪族を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸無水物(PMDA)、オキシジフタル酸無水物(ODPA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)等が挙げられ、これらのテトラカルボン酸二無水物を1つ又は複数用いることができる。
脂肪族を含有しない芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−DPE)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS−M)、2,5−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル(P−TPE−Q)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)等が挙げられ、これらの芳香族ジアミンを1つ又は複数用いることができる。
本発明者らは、絶縁皮膜を構成する樹脂に脂肪族が含有される場合に、その脂肪族の部分で熱による劣化が起きやすく、長期の熱劣化に伴う部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧の低下につながることを見出すとともに、熱劣化を抑制する層として脂肪族を含有しないポリイミドからなる層が好適であることを見出した。
本実施の形態によれば、脂肪族を含有しない第2絶縁皮膜11bを脂肪族を含有する第1絶縁皮膜11aの外周に形成することにより、脂肪族を含有しない第2絶縁皮膜11bが脂肪族を含有する第1絶縁皮膜11aの脂肪族の部分の熱による劣化を起こし難くするため、絶縁電線1の長期の熱劣化に伴う部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧の低下を抑えることができる。第2絶縁皮膜11bを形成しない場合、常態(25℃の温度条件下)での部分放電開始電圧は高いが、長期の熱劣化に伴う部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧の低下が発生するおそれがある。
絶縁被覆11において、長期の熱劣化に伴う部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧の低下をより効果的に抑えるためには、第2絶縁皮膜11bの皮膜厚さが絶縁被覆11の全体の厚さに対して5%以上、20%以下であることが好ましい。
また、第2絶縁皮膜11bは、酸素透過率が1.0×10−14(mol/m2・s・Pa)未満であることが好ましい。酸素透過率が1.0×10−14(mol/m2・s・Pa)以上である場合、酸素が第2絶縁皮膜を透過しやすくなるため、第1絶縁皮膜11a側へ透過した酸素が第1絶縁皮膜11aの脂肪族の部分を劣化させる度合いを高める要因となり、これにより長期の熱劣化に伴う部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧の低下を招くおそれがある。
また、第2絶縁皮膜に、長期の熱劣化を発生させない範囲内で潤滑性付与可能な微粒子を分散させることも可能である。
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る絶縁電線1は、上述した構成の絶縁被覆11を有することにより、高温条件下(例えば、180℃以上)での高い部分放電開始電圧を有し、また、絶縁電線長期の熱劣化に伴う部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧の低下が抑制される。
本実施の形態に係る絶縁電線1は、上述した構成の絶縁被覆11を有することにより、高温条件下(例えば、180℃以上)での高い部分放電開始電圧を有し、また、絶縁電線長期の熱劣化に伴う部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧の低下が抑制される。
さらに、絶縁電線1は、高温の環境下においても高い部分放電開始電圧を有するため、小型化、高出力化したモータを構成するコイルを形成するのに好適である。
以下の実施例1〜3及び比較例に示す条件で絶縁塗料を作製し、それぞれの絶縁塗料を用いて絶縁電線の絶縁皮膜を作製した。その後、それぞれの絶縁電線に対して、部分放電開始電圧の測定及び絶縁破壊電圧の測定を、それぞれ常態及び長期熱劣化後の状態で行った。
(脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aの合成)
攪拌機、還流冷却管、窒素流入管、および温度計を備えたフラスコに、脂肪族を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物であるピロメリット酸無水物(PMDA、分子量:218)と、脂肪族を含有するジアミンである2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP、分子量:410)とを等しいモル量となるよう配合し、固形分濃度が15mass%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを配合した後、室温で12時間反応し、脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aを得た。
攪拌機、還流冷却管、窒素流入管、および温度計を備えたフラスコに、脂肪族を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物であるピロメリット酸無水物(PMDA、分子量:218)と、脂肪族を含有するジアミンである2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP、分子量:410)とを等しいモル量となるよう配合し、固形分濃度が15mass%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを配合した後、室温で12時間反応し、脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aを得た。
(脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Bの合成)
攪拌機、還流冷却管、窒素流入管、および温度計を備えたフラスコに、脂肪族を含有するテトラカルボン酸二無水物である2,2−ビス[4−(3,4ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸二無水物(BPADA、分子量:520)と、脂肪族を含有しない芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA、分子量:200)とを等しいモル量となるよう配合し、固形分濃度が15mass%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを配合した後、室温で12時間反応し、脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Bを得た。
攪拌機、還流冷却管、窒素流入管、および温度計を備えたフラスコに、脂肪族を含有するテトラカルボン酸二無水物である2,2−ビス[4−(3,4ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸二無水物(BPADA、分子量:520)と、脂肪族を含有しない芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA、分子量:200)とを等しいモル量となるよう配合し、固形分濃度が15mass%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを配合した後、室温で12時間反応し、脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Bを得た。
(脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cの合成)
攪拌機、還流冷却管、窒素流入管、および温度計を備えたフラスコに、脂肪族を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物であるピロメリット酸無水物(PMDA、分子量:218)と、脂肪族を含有しない芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA、分子量:200)とを等しいモル量となるように配合し、固形分濃度が15mass%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を配合した後、室温で12時間反応し、脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cを得た。
攪拌機、還流冷却管、窒素流入管、および温度計を備えたフラスコに、脂肪族を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物であるピロメリット酸無水物(PMDA、分子量:218)と、脂肪族を含有しない芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA、分子量:200)とを等しいモル量となるように配合し、固形分濃度が15mass%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を配合した後、室温で12時間反応し、脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cを得た。
(絶縁電線の作製)
〔実施例1〕
銅導体(実施の形態の導体10に対応)上に脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aを塗布、焼付けし、皮膜厚0.038mmの第1絶縁皮膜(実施の形態の第1絶縁皮膜11aに対応)を形成した後、更に脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cを塗布、焼付けを繰り返して、膜厚0.002mmの第2絶縁皮膜(実施の形態の第2絶縁皮膜11bに対応)を形成することで、合計膜厚0.040mmの絶縁皮膜を有する実施例1の絶縁電線(実施の形態の絶縁電線1に対応)を得た。
〔実施例1〕
銅導体(実施の形態の導体10に対応)上に脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aを塗布、焼付けし、皮膜厚0.038mmの第1絶縁皮膜(実施の形態の第1絶縁皮膜11aに対応)を形成した後、更に脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cを塗布、焼付けを繰り返して、膜厚0.002mmの第2絶縁皮膜(実施の形態の第2絶縁皮膜11bに対応)を形成することで、合計膜厚0.040mmの絶縁皮膜を有する実施例1の絶縁電線(実施の形態の絶縁電線1に対応)を得た。
〔実施例2〕
銅導体(実施の形態の導体10に対応)上に脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Bを塗布、焼付けし、皮膜厚0.032mmの第1絶縁皮膜(実施の形態の第1絶縁皮膜11aに対応)を形成した後、更に脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cを塗布、焼付けを繰り返して、膜厚0.008mmの第2絶縁皮膜(実施の形態の第2絶縁皮膜11bに対応)を形成することで、合計膜厚0.040mmの絶縁皮膜を有する実施例2の絶縁電線(実施の形態の絶縁電線1に対応)を得た。
銅導体(実施の形態の導体10に対応)上に脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Bを塗布、焼付けし、皮膜厚0.032mmの第1絶縁皮膜(実施の形態の第1絶縁皮膜11aに対応)を形成した後、更に脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cを塗布、焼付けを繰り返して、膜厚0.008mmの第2絶縁皮膜(実施の形態の第2絶縁皮膜11bに対応)を形成することで、合計膜厚0.040mmの絶縁皮膜を有する実施例2の絶縁電線(実施の形態の絶縁電線1に対応)を得た。
〔実施例3〕
銅導体(実施の形態の導体10に対応)上に脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aを塗布、焼付けし、皮膜厚0.032mmの第1絶縁皮膜(実施の形態の第1絶縁皮膜11aに対応)を形成した後、更に脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cを塗布、焼付けを繰り返して、膜厚0.008mmの第2絶縁皮膜(実施の形態の第2絶縁皮膜11bに対応)を形成することで、合計膜厚0.040mmの絶縁皮膜を有する実施例3の絶縁電線(実施の形態の絶縁電線1に対応)を得た。
銅導体(実施の形態の導体10に対応)上に脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aを塗布、焼付けし、皮膜厚0.032mmの第1絶縁皮膜(実施の形態の第1絶縁皮膜11aに対応)を形成した後、更に脂肪族を含有しないポリイミド樹脂塗料Cを塗布、焼付けを繰り返して、膜厚0.008mmの第2絶縁皮膜(実施の形態の第2絶縁皮膜11bに対応)を形成することで、合計膜厚0.040mmの絶縁皮膜を有する実施例3の絶縁電線(実施の形態の絶縁電線1に対応)を得た。
〔比較例〕
銅導体(実施の形態の導体10に対応)上に脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aを塗布、焼付けを繰り返して、膜厚0.040mmの第1絶縁皮膜(実施の形態の第1絶縁皮膜11aに対応)を有する比較例の絶縁電線を得た。
銅導体(実施の形態の導体10に対応)上に脂肪族含有ポリイミド樹脂塗料Aを塗布、焼付けを繰り返して、膜厚0.040mmの第1絶縁皮膜(実施の形態の第1絶縁皮膜11aに対応)を有する比較例の絶縁電線を得た。
(部分放電開始電圧の測定)
部分放電開始電圧測定は、次の手順で行った。得られた絶縁電線を500mmに切り出し、ツイストペアの絶縁電線の試料を10個作製し、端部から10mmの位置まで絶縁皮膜を削って端末処理部を形成した。そして、端末処理部に電極を接続し、25℃−湿度50%の雰囲気で、50Hzの電圧を10〜30V/sで昇圧させた。ツイストペアの絶縁電線に10pCの放電が毎秒50回発生するまで昇圧し、そのときの電圧の値を記録した。これを3回繰り返し、それぞれの値の平均値を部分放電開始電圧とした。
部分放電開始電圧測定は、次の手順で行った。得られた絶縁電線を500mmに切り出し、ツイストペアの絶縁電線の試料を10個作製し、端部から10mmの位置まで絶縁皮膜を削って端末処理部を形成した。そして、端末処理部に電極を接続し、25℃−湿度50%の雰囲気で、50Hzの電圧を10〜30V/sで昇圧させた。ツイストペアの絶縁電線に10pCの放電が毎秒50回発生するまで昇圧し、そのときの電圧の値を記録した。これを3回繰り返し、それぞれの値の平均値を部分放電開始電圧とした。
(絶縁破壊電圧の測定)
ツイストペアとし端末処理した絶縁電線を交流絶縁破壊電圧試験装置に接続し、空気中、50Hzにて電圧を0Vから20kVまで昇圧し、絶縁被覆樹脂が破壊された時点の電圧を絶縁破壊電圧とした。
ツイストペアとし端末処理した絶縁電線を交流絶縁破壊電圧試験装置に接続し、空気中、50Hzにて電圧を0Vから20kVまで昇圧し、絶縁被覆樹脂が破壊された時点の電圧を絶縁破壊電圧とした。
(長期耐熱性の評価)
作製した絶縁電線を220℃の温度に設定した恒温槽中に1000時間放置した後、恒温槽から取り出し、上述した試験方法と同様の方法によって部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧を測定し、変化を調べた。
作製した絶縁電線を220℃の温度に設定した恒温槽中に1000時間放置した後、恒温槽から取り出し、上述した試験方法と同様の方法によって部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧を測定し、変化を調べた。
(酸素透過率の測定)
23℃の温度下において、JIS K 7126に準拠した方法により酸素透過率を測定した。
23℃の温度下において、JIS K 7126に準拠した方法により酸素透過率を測定した。
実施例、および比較例に係る絶縁電線についての各種測定および評価の結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜3に係る絶縁電線は、常態および長期熱劣化後の状態において、高い部分放電開始電圧および絶縁破壊電圧を有する。すなわち、実施例1〜3に係る絶縁電線においては、長期の熱劣化に伴う部分放電開始電圧、絶縁破壊電圧の低下が抑えられている。
他方、比較例に係る絶縁電線は、常態においては高い部分放電開始電圧および絶縁破壊電圧を有するものの、長期熱劣化後は絶縁皮膜が著しく劣化してしまったため、部分放電開始電圧を測定することができず、また、絶縁破壊電圧も常態と比べて大きく低下する。
上記の実施例1〜3と比較例の結果の違いは、脂肪族を含有しないポリイミドからなる第2絶縁皮膜の有無に起因するものと考えられる。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 絶縁電線
10 導体
11 絶縁皮膜
11a 第1絶縁皮膜
11b 第2絶縁皮膜
10 導体
11 絶縁皮膜
11a 第1絶縁皮膜
11b 第2絶縁皮膜
Claims (4)
- 導体と、
前記導体の周囲に設けられた絶縁皮膜と、
を有し、
前記絶縁皮膜は、前記導体の周囲に形成された脂肪族を含有するポリイミドからなる第1絶縁皮膜と、前記第1絶縁皮膜の周囲に形成された脂肪族を含有しないポリイミドからなる第2絶縁皮膜とを含む、絶縁電線。 - 前記第2絶縁皮膜は、酸素透過率が1.0×10−14(mol/m2・s・Pa)未満である、請求項1に記載の絶縁電線。
- 前記第2絶縁皮膜の皮膜厚さは、前記絶縁被覆の全体の厚さに対して5%以上、20%以下である、請求項1に記載の絶縁電線。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁電線を用いて形成されたコイル。
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2012
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