JP2013185893A - 経路案内システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 道路ネットワークデータベースおよび描画データベース(地図ポリゴンデータ)を用意する。また道路標示を描く際の形状および位置を規定する道路標示規定データベースを用意する。経路案内システム10は、探索された経路上の交差点について、道路ネットワークデータ、道路標示規定データベースなどを参照して、横断歩道、道路白線などの道路標示を動的に生成し、交差点の拡大図を表示する。また、各車線には、進行方向矢印も描く。
このように、現実に道路標示を描く場合に用いる規定と同様の規定を記憶した道路標示規定データベースを参照して道路白線等のデータを生成することにより、画像データ等で用意しなくても道路標示を含むリアリティの高い交差点拡大図を表示することができる。
【選択図】 図1
Description
ユーザが案内された経路を誤りなく通行可能な経路案内を行うためには、右左折等する交差点およびそこでの進行方向を正確にユーザに伝えることが重要となる。また、道路によっては、右左折するために車線変更が必要となる場合があるため、案内された経路を安全に通行するためには、経路上の交差点での進行方向は、できる限り事前に伝えておくことが好ましい。
かかる観点から、特許文献1は、経路を表す地図とは別に、経路上の近接する2つの交差点について、それぞれ進行方向を表す矢印を示し、ユーザに事前に進行方向を知らせる技術を開示している。また、特許文献2も、経路を表す地図とは別に、経路上の複数の交差点について、交差点内の車線ごとの進行方向規制を表示し、ユーザに事前の車線変更の要否を知らせる技術を開示している。
従来、経路案内時に、交差点の拡大図を表示することも行われていた。しかし、この方法は、予め用意された画像データに基づいて交差点の拡大図を表示するものであり、かかる画像データを予め用意するための労力、および生成された画像データの容量の制約により、案内可能な交差点は、主要なものに限られるという課題があった。
こうした課題は、交差点に限らず、有料道路や高架道路への出入り口など、種々の分岐点で同様に生じ得る。
本発明は、かかる課題に考慮し、経路案内時に、経路上の交差点その他の分岐点について、直感的に認識可能な拡大図を提供することを目的とする。
道路をノードおよびリンクで表した道路ネットワークデータを格納する道路ネットワークデータベースと、
前記道路ネットワークデータベースに基づいて、指定された出発地から目的地に至る経路を探索する経路探索部と、
道路を描画するための地図ポリゴンデータを格納する描画データベースと、
車両通行帯境界線の形状および位置を規定する道路標示規定データを格納する道路標示規定データベースと、
前記探索された経路について、経路案内の対象とすべき案内分岐点を特定し、前記地図ポリゴンデータ、道路ネットワークデータおよび前記道路標示規定データに基づいて、前記車両通行帯境界線を描いた前記案内分岐点の拡大図を生成し、該拡大図を表示して前記経路を案内する経路案内部とを備える経路案内システムである。
もっとも、本発明の方法では、必ずしも車両通行帯境界線の位置および形状が、完全に現地の状態とは一致しない可能性がある。しかし、道路標示の位置および形状が現地の状態と多少異なるところがある場合でも、地図を見たユーザが現地の状態と直感的に照合しやすくなるという効果は、十分に得られるものである。
ここで、分岐点とは、交差点の他、有料道路や高架道路への出入り口など、複数の道路が接続され複数の経路を選択し得る地点の総称である。
道路標示規定データは、分岐点の形状に基づいて、車両通行帯境界線の太さ、線種、位置などを指定するデータであり、これに基づいて、車両通行帯境界線を描くための画像データをポリゴンデータやラスタデータ等の形式で生成させるためのデータである。道路標示規定データは、任意に設定可能であるが、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」などの法規に基づいて用意することが好ましい。こうすることで、現実の道路標示と同じ規定を用いて道路標示を描画することになるため、その精度を向上させることができる。もっとも、道路標示規定データは、法規に定められた内容だけでなく、その他の規定を含めることも可能である。
拡大図は、種々の態様で表示させることができる。例えば、拡大図と経路を表す地図とを並列に表示してもよいし、拡大図のみを表示するようにしてもよい。
ここで、分岐点領域は、種々の方法で設定可能である。例えば、道路単位で地図ポリゴンデータが用意されている場合には、道路の地図ポリゴンデータ同士が重なる部分を分岐点領域としてもよい。また、道路ネットワークデータのノードから道路の境界線までの距離に基づいて、分岐点の角に相当する点を求め、この点を結ぶことで分岐点領域を設定してもよい。
拡大図には、また、車両通行帯境界線の他、停止線、横断歩道、いわゆるゼブラゾーンや進行方向矢印なども併せて表示してもよい。道路標示規定データには、停止線等を描画するためのデータを記憶させてもよい。
こうすることにより、案内分岐点に接続されるリンクの形状が単純化されるため、道路標示規定データに基づく車両通行帯境界線の描画処理の負荷が軽減される。また、道路標示規定データの内容自体も簡略化することができる。
各リンクの形状を直線化する場合であっても、案内分岐点における各リンク間の角度は維持しておくことが好ましい。
前記拡大図として提供すべき案内分岐点を複数選択し、
前記経路に沿った順に、複数の拡大図を一覧できる形式で表示するものとしてもよい。
この態様は、複数の案内分岐点の拡大図を一覧表示するものである。こうすることにより、直近の分岐点だけでなく、ユーザは、先の分岐点の形状および進行方向を事前に知ることができる利点がある。ユーザは、この情報に基づいて、必要に応じて予め進路変更しておくことが可能となり、より安全に通行することが可能となる。
複数の案内分岐点は、種々の態様で提示可能である。例えば、表示画面内に複数のウィンドウを設け、ここに順次、案内分岐点の拡大図を表示するようにしてもよい。また、経路を案内する地図中の案内交差点に、吹き出しを設け、ここにそれぞれの拡大図を表示するようにしてもよい。
複数の拡大図は、全て同じ大きさで表示する必要はなく、例えば、直近の拡大図を大きく表示し、経路にそって遠方に位置する案内交差点ほど拡大図を小さく表示するようにしてもよい。
前記経路案内部は、
前記複数の案内分岐点間のリンクの形状を直線化することにより、前記複数の拡大図を案内分岐点間の道路で直線的に連結して表示するようにしてもよい。
複数の案内分岐点を、分離した状態で表示するのではなく、経路にそって連結した状態で表示する態様である。こうすることにより、ユーザは、直近の案内分岐点と、その先にある案内分岐点とを直感的に理解することができるようになる。案内分岐点間の経路を直線で単純化して示すことにより、ユーザに対して実際の道路の形状に影響されず道なりに進めばよいという安心感を与えることもできる利点がある。
さらに、複数の拡大図の間に、案内分岐点間の距離や、現在位置などの情報を表示するようにしてもよい。こうすることにより、ユーザは、次の案内交差点の位置をより正確に把握することができるようになる。
前記経路案内部は、
該拡大図間の間隔が対応する案内分岐点間の道のりに応じた間隔となるよう各拡大図を配置して表示するものとしてもよい。
こうすることにより、ユーザは、直近の案内分岐点およびその先の案内分岐点までの距離感を、直感的に把握することが可能となる。
各拡大図の間隔は、案内分岐点間の道のりに必ずしも比例させる必要はなく、間隔が道のりの関数で定まればよい。例えば、3次元の透視投影と同様、遠方に行くほど、縮尺を小さくして表示させてもよい。
また、各拡大図の表示サイズを異なるものとしてもよい。例えば、現在位置から遠方になるほど拡大図の表示サイズを小さくするものとしてもよい。こうすることにより、さらに、直感的に案内分岐点までの距離感を把握することが可能となる。
前記道路標示規定データベースは、前記車両通行帯に描かれるべき進行方向矢印の形状および位置を規定するためのデータも併せて格納しており、
前記経路案内部は、
前記道路標示規定データベースに基づいて、前記進行方向矢印を描いた前記拡大図を表示するものとしてもよい。
こうすることにより、さらに分岐点の拡大図のリアリティが向上するとともに、各車線に付された進行方向規制も直感的に把握することが可能となる。従って、ユーザは、必要に応じて事前に車線変更するなど、交差点の通行に備えることができ、より安全に通行することが可能となる。
矢印の形状を表すデータについては、ポリゴンデータやラスタデータなどの画像データの形式で用意しておいてもよい。こうすることにより、画像データを規定された位置に貼り付けることで容易に進行方向矢印を表示することができる。
また、本発明は、経路案内システムとしての構成の他、コンピュータによって経路案内を行う経路案内方法として構成してもよいし、経路案内をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして構成してもよい。また、かかるコンピュータプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体として構成してもよい。記録媒体は、CD−ROMやサーバなどのようにコンピュータと別体の媒体であってもよいし、コンピュータに内蔵のRAM、ROMやハードディスクなどの内部記憶装置であってもよい。
図1は、経路案内システム10の構成を示す説明図である。経路案内システム10は、ユーザにより指定された出発地から目的地に至る経路探索を行い、地図および交差点の拡大図を表示しながら経路を案内する装置である。交差点の拡大図には、車両通行帯境界線などの道路標示が描かれる。これらの道路標示は、予め画像データとして用意しておくのではなく、道路ネットワークデータベースなどを活用して、動的に生成される。本実施例において描かれる道路標示としては、車両通行帯境界線、停止線、いわゆるゼブラゾーン(以下、これらを道路白線と総称することもある)、横断歩道、および進行方向矢印が挙げられる。
地図データベース20は、道路ネットワークデータベース21と描画データベース22を有している。道路ネットワークデータベース21は、経路探索用にノードおよびリンクで表した道路ネットワークデータを格納している。道路ネットワークデータには、それぞれのリンクおよびノードに対して、道路種別、道路名称、車線数などを示す属性データも設定されている。描画データベース22は、地図を描画するための地図ポリゴンデータを格納している。地図ポリゴンデータには、例えば、道路、建物、湖沼等を描画するためのデータが含まれる。
道路標示規定データベース40は、道路標示の形状や位置を規定し、これらの画像を動的に生成するための情報である道路標示規定データを格納する。生成対象となる道路標示としては、停止線や車両通行帯境界線などの道路白線や、横断歩道、進行方向矢印などが含まれる。本実施例では、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(以下、本実施例において「法令」と呼ぶ)の規定内容に基づいて道路標示規定データを設定した。そのデータ構造および内容については後述する。
地図データベース20および道路標示規定データベース40は、経路案内システム10内のハードディスク等に格納しておいてもよいし、ネットワークで接続されたサーバから提供してもよい。また、DVDなどの記憶媒体で提供してもよい。
以下、各機能ブロックの内容を説明する。
コマンド入力部12は、ユーザの操作に基づき、経路探索および経路案内に関する種々のコマンドを入力する。入力されるコマンドとしては、例えば、経路探索の目的地の指定、経路案内時の地図の表示モードの指定などが挙げられる。
現在位置特定部13は、GPS(Global Positioning System)を利用して、経路案内システム10の現在位置を取得する。地図を参照して、GPSによって得られた緯度経度を修正する、いわゆるマップマッチングを行って、現在位置の検出精度を向上する機能を含めても良い。
経路探索部14は、道路ネットワークデータベース21を参照して、指定された出発地から目的地に至る経路を探索する。経路探索は、ダイクストラ法などの手法をとることができる。出発地としては、現在位置特定部13で検出される現在位置を用いることができるが、ユーザが指定可能としてもよい。
経路案内部15は、経路探索部14による経路探索結果に基づいて、経路案内を行う。本実施例では、経路を含む地図を表示するとともに、経路上にある交差点の拡大図を表示しながら経路案内するものとした。
案内表示制御部16は、経路案内に利用される地図および交差点の拡大図などの表示を行う。地図の表示は、描画データベース22に格納されている地図ポリゴンデータを読み出し、表示すればよい。交差点の拡大図は、予め画像データを格納しておくのではなく、道路標示表示部30によって、動的に生成する。
道路ネットワークグループ化処理部31は、道路標示データを生成する前処理として、幹線道路のように一連の道路として道路白線が描かれるべきリンクおよびノードをグループ化する。道路ネットワークデータでは、リンク同士の交点には、全てノードが設定されているため、幹線道路を構成する一連のリンクも、それぞれのノードで分断されているが、このように分断されたリンクをグループ化しておくことにより、道路標示データの生成においては、幹線道路などを一連の道路として扱うことが可能となる。
この処理は、必ずしも動的に行う必要はない。従って、予め道路ネットワークデータのグループ化を施しておき、道路ネットワークデータベースの各リンクに対する属性情報として、グループを表す識別記号などを格納しておくものとしてもよい。かかる態様による場合には、経路案内システム10の構成としては、道路ネットワークグループ化処理部31を省略することも可能である。
交差点領域設定部32は、地図ポリゴンデータおよび道路ネットワークデータを参照して、交差点領域を設定する。横断歩道や停止線など、道路標示は、交差点領域の境界を基準として位置が定まるものとが多いため、ここで設定される交差点領域は、道路標示の位置を決める基準としての意義を有している。交差点領域の設定方法については、後述する。
横断歩道処理部34は、横断歩道の形状を設定し、横断歩道を描画するためのデータを生成する。横断歩道は、必ずしも道路に直交するように描かれるとは限らず、交差点によっては、道路に斜めに交差するように描かれる場合がある。横断歩道処理部34は、交差点の形状を考慮して、このように斜めに交差する横断歩道を描画可能とするのである。
道路白線データ生成部36は、道路白線、停止線およびゼブラゾーンを描画するためのデータを生成する。右折用に車線数が増加する場合には、道路白線データ生成部36は、増加した車線が描かれる滞留区間や、滞留区間に滑らかに接続するためのすりつけ区間を描画するデータも生成する。
図2は、道路標示規定データベース40の内容例を示す説明図である。道路標示規定データベース40は、道路標示を描くためのデータを動的に生成するため、法令の規定内容に基づいて道路標示の形状や位置を規定するデータである。図2(a)には、道路標示規定データベース40を構成する各パラメータの符号および内容、数値を例示した。図2(b)には、道路上の標示と対応づけて各パラメータの意義を示した。ここで例示したパラメータの内容を以下、説明する。
車線幅WLNは、車両が走行する車線の幅であり、例えば、3.0mとすることができる。
車両通行帯最外側線幅、車両通行帯境界線幅WLLは、道路白線の幅(太さ)であり、例えば、0.15mとすることができる。
車両通行帯境界線長(破線)LLは、破線で描かれている道路白線の長さであり、例えば、5.0mとすることができる。
導流帯内白線幅(ゼブラ)ZWは、ゼブラゾーンを構成する白線の幅であり、例えば、0.45mとすることができる。
導流帯内白線間距離(ゼブラ)ZSは、ゼブラゾーンを構成する白線の間隔であり、例えば、1.0mとすることができる。
停止線幅WSLは、停止線の幅であり、例えば、0.45mとすることができる。
横断歩道、停止線間距離DSは、横断歩道と停止線との間隔であり、例えば、2.0mとすることができる。
停止線前車線変更禁止線DPCは、停止線に至るまでの間で、車線変更禁止のため道路白線が破線ではなく実線で描かれるべき区間の長さであり、例えば、30.0mとすることができる。
横断歩道線幅WCW、線間隔SCWは、横断歩道を構成する各白線の幅および間隔であり、例えば、共に0.45mとすることができる。
進行方向矢印位置DAは、車線に示される進行方向矢印を描く位置を停止線から矢印先端までの距離で表したものであり、例えば、2.0mとすることができる。直進の矢印、右左折の矢印など、矢印形状に応じて、異なる値を用いるようにしてもよい。
本実施例では、これらの数値は法令に基づいて設定した。道路標示規定データベース40には、この他にも、道路標示の位置および形状を定める種々のパラメータを設定可能である。また、必ずしも全てのパラメータが法令に基づいて設定されている必要はなく、現実の状態を精度良く再現するために、法令に規定されていないパラメータを定義してもよい。
次に、本実施例において道路標示を生成するための前処理に当たる道路ネットワークのグループ化について説明する。本実施例では、道路ネットワークグループ化処理部31によって、動的に処理を行う構成を例示しているが、以下で説明する処理を予め行っておき、その結果を道路ネットワークデータベース21に格納しておくことも可能である。以下では、まず処理の意義および概要を示した後、フローチャートを示す。
図3(a)は、幹線道路を構成するリンクL51、L52に、細街路のリンクL53がノードN50で交差している道路を示している。道路ネットワークデータでは、道路種別に関わらずリンクの交点には、必ずノードが設定されている。従って、幹線道路を構成するリンクL51、L52も、道路ネットワークデータ上は、複数のリンクに分断された状態で格納されることになり、ノードN50は交差点と認識されることになる。そして、ノードN50の周囲には、後述する処理方法によって交差点領域A50(ハッチングを付した部分)が設定される。道路白線は、交差点領域を避けて描かれるのが通常であるから、交差点領域A50が設定された結果、幹線道路については、道路白線LL51、LL52のように分断された道路白線が描かれることになる。
しかし、一般に幹線道路に細街路が交差している箇所については、幹線道路の道路白線は、図3(a)のように分断されることなく、連続して描かれるのが通常である。
そこで、ネットワークグループ化処理では、交差点領域A50のように、交差点領域が生成されるべきでないリンクおよびノードをグループと定義するのである。図3(a)の例では、D51方向に道路標示データを生成する処理においては、リンクL51、ノードN50、リンクL52をグループとして定義する。こうすれば、リンクL51、L52に対して道路標示データを生成する際には、これらのリンク、ノードは一連のものとして扱われるべきであると認識され、交差点領域A50が設定されるのを回避することができ、道路白線LL51、LL52を連続した状態で生成することができる。
逆に、D52方向に道路標示データを生成する処理においては、グループ化を行わない。こうすることにより、交差点領域A50が設定されるから、道路最外側線LL53、LL54は、交差点領域A50で分断された状態で生成することができる。
この交差点について、リンクL53の道路標示データを生成する場合を考える。リンクL53は、リンクL51、L52のいずれともグループと定義せずにおく。こうすれば、リンクL53の処理時には、ノードN50周りの交差点領域A50を設定することができ、交差点の直線に停止線や横断歩道を描くことができる。
このような場所で、グループ化を行わずに処理をすると、ノードN51を交差点と認識して、交差点領域A51が設定されることになる。ノードN51を処理しているときには、ノードN52、リンクL59の位置は考慮されないからである。交差点領域A51が設定されると、これを基準として横断歩道が設定されるから、分離帯M51に横断する形で横断歩道CW51が設定されてしまう。
そこで、ネットワークグループ化処理では、D53方向に処理を行う場合には、リンクL55、ノードN51、リンクL54をグループとして定義する。こうすることによって、ノードN51を除外して、ノードN52の周囲にのみ交差点領域を設定することができるため、不自然な横断歩道CW51ではなく、横断歩道CW52を生成することが可能となる。
また、D54方向に処理を行う場合には、リンクL55、ノードN52、リンクL56をグループとして定義する。こうすることによって、ノードN52を除外して、ノードN51の周囲にのみ交差点領域を設定することができるため、横断歩道CW53を生成することが可能となる。
その他のリンクL57、L58、L59に対しては、いずれもグループを定義せずに処理を行えば、それぞれ適切な位置に横断歩道を生成することが可能である。
以上、図3(a)、図3(b)で示したように、グループ化を行うことにより、交差点領域を設定するか否かを切り替えることができ、それぞれの交差点の状況を反映させた道路標示を生成することが可能となる。次に、グループ化の具体的処理について説明する。
経路案内システム10は、道路ネットワークデータを読み込み(ステップS1)、グループ化の処理対象となるノードを選択する(ステップS2)。そして、このノードに接続されているリンクを抽出する(ステップS3)。
次に、経路案内システム10は、抽出されたリンクについて、道なり条件の判定を行う(ステップS4)。道なり条件とは、ノードで分断された複数のリンクが、道路標示データの生成上は一連の道路として扱われるべきか否かを判断する条件であり、グループ化するための判断の基礎となる条件である。本実施例では、「道なり」か否かが、道路ネットワークデータに属性として、各リンクの上下方向に個別に設定されているものとした。
図中に示すリンクL1〜L3からなる三叉路を例示する。この中でリンクL1からリンクL2に向かう方向P12、およびリンクL2からリンクL1に向かう方向P21には、それぞれ「道なり」であると設定されており、その他の方向(リンクL1→L3など)は、「道なり」と設定されてはいないものとする。経路案内システム10は、この属性に基づいて、図中に示すように、各リンク間が道なりか否かの結果を抽出する。
道なりか否かは、属性で設定しておく他、道路種別、道路名称、車線幅、形状などで解析的に判断するようにしてもよい。例えば、道路名および道路種別が同一であるリンク同士は道なりと判断したり、リンク間のなす角度が180度から所定の範囲内の場合には道なりであると判断する方法などをとることができる。
ケース1は、ステップS4において、リンクLa→Lbの方向Pab,およびリンクLb→Laの方向Pbaの双方が道なりであると判断される場合である。
ケース2は、ステップS4において、リンクLa→Lbの方向Pabのみが道なりと判断されており、リンクLcとリンクLa、Lbは道なりでないと判断されている場合である。
このケース1、2は、現実の道路において、交差点として扱われていない箇所を調査した結果、設定されたものである。この条件によってグループ化を行えば、図3(a)、図3(b)で示したケースにおいて、それぞれ適切に道路白線を生成することができる。もっとも、グループ化の条件は、種々の設定が可能であり、ステップS5で示した以外の条件を用いることも可能である。
上述の条件におけるリンクLaを、リンクLbまたはリンクLcに置換すれば、これらのリンクに対するグループ化の条件を設定することができる。ステップS5では、経路案内システム10は、処理対象ノードに接続している全リンクに対して、それぞれグループ化の判定を行う。経路案内システム10は、以上の処理を、全ノードについて終えるまで繰り返し実行する(ステップS6)。
次に、経路案内システム10による経路案内について説明する。
図5は、経路案内処理のフローチャートである。処理を開始すると、経路案内システム10は、出発地、目的地を入力する(ステップS10)。目的地は、ユーザの操作によって種々の態様で設定することができる。出発地は、現在位置特定部13によって特定される現在位置を用いても良いし、ユーザが指定する地点を用いても良い。
次に、経路案内システム10は、指定された出発地から目的地までの経路探索を行う(ステップS12)。経路探索は、道路ネットワークデータ21を参照し、ダイクストラ法などの手法によって行うことができる。
こうして経路が得られると、経路案内システム10は、案内交差点データ生成処理を行う(ステップS20)。この処理は、案内交差点、即ち経路案内の際に交差点の拡大図を表示する対象となる交差点を抽出するための処理である。ここで、一旦、図5から離れ、案内交差点データ生成処理について説明する。
図6は、案内交差点データ生成処理のフローチャートである。この処理では、経路案内システム10は、経路探索結果を読み込み(ステップS22)、以下の条件a〜dに従って、案内交差点を抽出する(ステップS24)。これらの条件は、いずれも、案内された経路をユーザが通行する際に、誤りやすい交差点を抽出するための条件である。なお、実施例においては、有料道路への入り口などの分岐点も含む広義の用語として「交差点」を用いる。
条件a:右左折する交差点;
条件b:道なりでない経路に進む交差点;
条件c:有料道路、高架道路の出入り口;
条件d:
交差する側の道路の車線数が、進行中の経路の車線数以上の交差点;
例えば、交差点IS1は、直進する交差点であるが、条件d「交差する側の道路の車線数が、進行中の経路の車線数以上の交差点」に該当するため、案内交差点として抽出されている。ユーザが未知の地域を走行する際には幹線道路を選択しがちであるため、進行中の道路よりも幅広の道路を横断しようとするときには、誤って右左折する可能性があるからである。
交差点IS3は、有料道路のインターチェンジICに接続する道路であるため、条件cによって案内交差点とされている。
交差点IS4、IS5は、それぞれ右左折する交差点であるため、条件aによって案内交差点とされている。
交差点IS6は、Y字路であり、道なりに右方向に進むと、経路から外れることになるため、条件bによって案内交差点とされている。
案内交差点の抽出条件は、任意に設定可能であり、これらの一部を省略してもよいし、更に追加の条件を設けても良い。
経路案内システム10は、こうして得られた結果を、案内交差点データとして保存する(ステップS28)。案内交差点データの内容としては、図中の表に示したうち、交差点の識別情報および交差点間距離があればよい。抽出条件は保存を省略しても差し支えない。
本実施例では、経路案内に先立って、案内交差点を抽出し、交差点間距離を算出するものとしたが、これらの処理を、経路案内の過程で、逐次行うものとしてもよい。
図5に戻り、経路案内処理について説明する。経路案内システム10は、案内交差点データ生成処理(ステップS20)を終了すると、以下の手順で経路案内を実行する。
即ち、経路案内システム10は、現在位置を入力し(ステップS30)、案内表示モードに応じて(ステップS32)、交差点拡大表示処理(ステップS40)、次交差点表示処理(ステップS50)、デフォルメ表示処理(ステップS60)などの案内画面を表示しながら、目的地に到達するまで(ステップS70)、経路案内を行う。交差点拡大表示処理(ステップS40)とは、地図による経路案内とともに、案内交差点の拡大図を適宜、表示し、その通行を支援するための処理である。次交差点表示処理(ステップS50)とは、通過する直近の案内交差点の拡大図、およびその次に通貨予定の案内交差点の拡大図を表示する処理である。デフォルメ表示処理とは、通過する複数の案内交差点の拡大図を表示する際に、これらを直線的に配置した状態で表示する処理である。
以下、順に、各表示処理の内容について説明する。
図7は、交差点拡大表示処理のフローチャートである。図5のステップS40に相当する処理である。
図の右側に表示例を示した。この表示モードでは、画面1に経路を案内する地図を表示し、右側の画面2に次に通行する交差点の拡大図を表示する。交差点の拡大図を表示するタイミングは、種々の設定が可能である。例えば、案内交差点に所定距離まで近づいた時点で表示するようにしてもよいし、ある案内交差点を通過した時点で、次の案内交差点の拡大図を表示するようにしてもよい。以下では、案内交差点付近で、拡大図を表示するものとして処理例を説明する。
この処理では、経路案内システム10は、現在位置が案内交差点付近か否かを判断する(ステップS41)。現在位置から次に通行する案内交差点までの距離が、所定値以下か否かで判断すればよい。
交差点付近ではない場合は(ステップS41)、経路案内システム10は、画面全体に案内地図を表示する(ステップS42)。描画データベース22に格納されている地図ポリゴンデータを用いて地図を描画すればよい。ここでは2次元の地図を表示している例を示したが、3次元地図を表示させてもよい。
交差点付近の場合は(ステップS41)、経路案内システム10は、道路標示表示データ生成処理を実行する(ステップS100)。この処理は、交差点およびその付近の道路白線などの道路標示を描くためのポリゴンデータ(以下、「道路標示ポリゴン」という)を生成する処理である。処理内容については後述する。そして、経路案内システム10は、この道路標示ポリゴンを用いて、交差点の拡大案内表示を行う(ステップS43)。
図中の画面2に示す通り、本実施例では、交差点付近の拡大図において、車両通行帯境界線、停止線、横断歩道、進行方向矢印などが詳細に描画される。これらの道路標示は、全て道路標示表示データ生成処理(ステップS100)によって動的に生成された道路標示ポリゴンを用いて描かれているのである。拡大図には、また経路を表す矢印も表示される。
このようにリアリティのある交差点の拡大図が表示されることによって、ユーザは目前の交差点が案内交差点か否かを直感的に判断することができ、経路を誤りなく通行することが可能となる。また、拡大図では、車線数や進行方向矢印が表示されているため、ユーザは、右折等するために車線変更が必要となることを事前に把握でき、案内交差点を安全に通行することが可能となる。
図8は、次交差点表示処理のフローチャートである。図5のステップS50に相当する処理である。
図の右側に表示例を示した。この表示モードでは、画面1に経路を案内する地図を表示し、右側の画面2に次に通行する交差点の拡大図、画面3にその次に通行する交差点の拡大図を表示する。画面2、画面3は上下、逆の順序としてもよい。また、更に多くの画面を設け、多数の案内交差点の拡大図を表示可能としてもよい。また、画面1内の案内交差点に吹き出しを設けて、それぞれの拡大図を表示する態様をとることもできる。
そして、経路案内システム10は、道路標示表示データ生成処理を実行する(ステップS100)。この処理は、交差点およびその付近の道路白線などの道路標示を描くためのポリゴンデータ(以下、「道路標示ポリゴン」という)を生成する処理である。案内交差点の周辺について道路標示ポリゴンを生成する点は、交差点拡大表示処理(図7)において道路標示表示データ生成処理を実行する場合と同様であるが、ここでは、道路標示ポリゴンの生成対象となる案内交差点が2つになる点が異なる。
こうして道路標示ポリゴンが生成されると、経路案内システム10は、図中の画面2、画面3に示す通り、交差点の拡大図を表示する(ステップS53)。また、各案内交差点までの距離が、それぞれ画面2、画面3中に併せて表示される。
このように、複数の案内交差点を表示することにより、ユーザは、次の案内交差点を通行した後の経路も事前に把握しておくことが可能となる。ユーザは、例えば、先の案内交差点で右折することを考慮に入れて、直近の案内交差点を通行する際に、予め右車線に寄っておくなどの対応をとりやすくなる。従って、案内交差点を、より安全に通行することが可能となる。
また、本実施例では、画面2、画面3における距離の表示によって、各案内交差点までの距離感を把握することができる。従って、次の案内交差点までの距離感を考慮して、車線の選択などの準備を、行うことができ、ゆとりを持って通行することが可能となる。
図9は、デフォルメ表示処理のフローチャートである。図5のステップS60に相当する処理である。
図の右側に表示例を示した。この表示モードでは、画面1に経路を案内する地図を表示し、右側の画面2に複数の案内交差点の拡大図を表示する。ただし、次交差点表示処理(図8参照)とは異なり、複数の案内交差点は、その間の道路で接続された一連の経路として表示される点が、この表示モードの特徴である。このように案内交差点を分離せず、一連の経路として表示することにより、ユーザは、直近の案内交差点と、その先にある案内交差点とを経路上の連続した交差点として直感的に理解することができるようになる。
また、この表示モードでは、案内交差点間の道路は、直線で単純化して表示する。このように案内交差点間の経路を直線で単純化して示すことには、道路標示データを生成する処理が簡略化されるという利点もあるが、それだけではなく、ユーザに対して実際の道路の形状に影響されず道なりに進めばよいという安心感を与えることもできる利点もある。画面2に示すように、道路を直線化した拡大図を、本実施例では、デフォルメ案内表示と呼ぶ。
別の態様として、右左折する案内交差点までのデフォルメ案内表示をするとともに、次交差点表示(図8)のように、別画面で、その案内交差点から先のデフォルメ案内表示を行うようにしてもよい。
そして、経路案内システム10は、道路標示表示データ生成処理を実行する(ステップS100)。この処理は、他の表示モードにおける処理(図7、図8のステップS100)と同様であるが、この表示モードでは、交差点付近だけでなく、交差点間の道路についても道路標示データを生成する点が異なる。経路案内システム10は、この道路標示ポリゴンを用いて、デフォルメ案内表示(画面2)を行う(ステップS63)。
このように複数の案内交差点を表示することにより、次交差点表示モードと同様、ユーザが先の案内交差点の通行を意識して、進行することができ、より安全に案内交差点および経路の通行が可能となる利点がある。また、直線化した単純な状態で案内交差点が提示されるため、案内された経路の進行に際し、ユーザに過剰な情報が与えられることを回避でき、かえって経路を誤りなく進行可能となる利点もある。
図10は、道路標示表示データ生成処理のフローチャートである。交差点拡大表示処理(図7)、次交差点表示処理(図8)、およびデフォルメ表示処理(図9)で、それぞれ共通して用いられる処理であり、交差点の道路白線などを描くためのポリゴンデータを生成する処理である。
以下、それぞれの処理について説明する。
図11は、交差点領域設定処理のフローチャートである。交差点領域設定部32(図1参照)の機能に相当する処理である。
この処理では、経路案内システム10は、処理対象ノードを選択する(ステップS202)。この際、前述の道路ネットワークグループ化処理(図3、4)によって、グループ化されたリンク上のノードは処理対象から除かれる。
経路案内システム10は、描画データベース22から処理対象ノードの周囲の地図ポリゴンデータを読み込み、道路領域を取得する(ステップS204)。図中の右側に、処理の様子を例示した。ノードN70が処理対象ノードとなっている場合、そこに接続されるリンクL71〜L74に対応する道路の領域(図中の白い部分)を特定するのである。必ずしも道路自体の地図ポリゴンデータを取得する必要はなく、道路以外の背景部分の地図ポリゴンデータ(図中のハッチングの部分)を取得しても構わない。
右側に示すように、処理対象ノードN70の周囲にある道路領域は、リンクL71〜L74によって4つの領域I〜IVに分けられる。経路案内システム10は、この各領域I〜IVについて、交差点つまり処理対象ノードN70からの最近傍点を取得する(ステップS206)。図中に示すように、領域Iについては点P1、領域IIについては点P2、領域IIIについては点P3、領域IVについては点P4が、それぞれ最近傍点となる。
最近傍点が求まると、経路案内システム10は、これらを結び交差点領域を設定する(ステップS208)。図中において、点P1、P2、P3、P4を結ぶ太線で囲った部分が、交差点領域となる。経路案内システム10は、以上の処理を、全ノードについて終えるまで繰り返し実行する(ステップS210)。
こうして設定された交差点領域は、道路白線を描画する際の位置の基準等として活用される。
横断歩道は、必ずしも道路の縁線に直交するように描かれるものではなく、交差点領域の形状によっては、横断歩道を道路に対して斜めに描かれる場合がある。従って、まず交差点領域の形状に基づき、横断歩道を描く角度を決定した上で、横断歩道の描画データを生成することになる。この処理は、横断歩道処理部34(図1参照)の機能に相当する処理である。
以下では、まず横断歩道の交差角度の決定方法を説明した後、そのフローチャートを示す。
図12(a)は、リンクL81に直交する横断歩道WC81を設定する例である。図のように、道路が斜めに交差している交差点では、横断歩道WC81のように描くと、リンクL81の右側(リンクL84側)で交差点までの間隔が開いてしまい、不自然な状態となる。このような場合には、横断歩道は、図中で右上がりの状態に斜めに描くことが好ましい。
図12(b)〜(d)は、リンクL81に対して斜めに横断歩道WC82を設定する例である。図12(b)の横断歩道WC82は、リンクL81の左側に交差するリンクL83と平行な辺を有する平行四辺形によって描かれる。図12(c)の横断歩道WC83は、リンクL81の右側に交差するリンクL84と平行な辺を有する平行四辺形によって描かれる。図12(d)の横断歩道WC84は、リンクL83、L84上にノードNから等距離の点P83、P84をとり、これらの点P83、P84を結ぶ線分と平行な辺を有する平行四辺形によって描かれる。リンクL83、L84の間の角の二等分線を法線とする辺を有する平行四辺形と言うこともできる。
本実施例では、図12(b)〜図12(d)に示した3つの候補角度の中から、交差点に応じて、いずれか一つを選択し、横断歩道の交差角度を決定する。決定方法は、次のフローチャートに従って説明する。
経路案内システム10は、まず処理対象リンクを選択し、処理対象リンクに交差する交差リンクを取得する(ステップS302)。処理対象リンクに交差する全リンクを取得するものとしてもよいが、本実施例では、以下の条件1、条件2を満たすものに絞って取得するものとした。ここで、「A9*」は、処理対象リンクに交差するリンクL9*(*=1,2,…)と、処理対象リンクの間の角度である。
条件1:処理対象リンクの両側それぞれにおいて、|A9*−90°|が最小となること;
条件2:90°−TH≦A9*≦90°+TH;
条件1は、処理対象リンクに対して、最も90°に近い角度で交差するリンクを、処理対象リンクの両側で一つずつ選択するための条件となっている。また、条件2は、選択されたリンクと処理対象リンクとの角度が、直角から所定範囲内に入っているという条件である。これらの条件によって、処理対象リンクの両側において、直角に近い角度で交差するリンクを取得しようとしているのである。
処理対象リンクLobの右側には、リンクL92のみが存在する。従って、|A9*−90°|が最小という条件1では、他と比較するまでなく、リンクL92が選択される。
処理対象リンクLobの左側には、リンクL91、L93が存在する。これらのうち処理対象リンクLobに直角に近い角度で交差するのは、リンクL91である。従って、左側については、条件1によって、リンクL91が選択される。条件1に即した形で表現すれば、|A91−90°|<|A93−90°|ということになる。
左側交差角度を用いて横断歩道を描く場合には、図12(b)の状態となり、右側交差角度を用いて横断歩道を描く場合には、図12(c)の状態となる。
経路案内システム10は、次に平均交差角度を算出する(ステップS306)。平均交差角度とは、図中に示す通り、左右の交差リンクL91、L92の二等分線NL93と処理対象リンクLobとの角度AN93である。この角度を用いて横断歩道を描く場合には、図12(d)の状態となる。
以上の処理を、経路案内システム10は全リンクについて終了するまで、繰り返し実行する(ステップS310)。
図15〜図17は、道路白線生成処理のフローチャートである。この処理は、道路白線データ生成部36(図1参照)の機能に相当する処理内容である。
処理を開始すると、経路案内システム10は、処理対象となるリンクグループを取得する(ステップS402)。そして、リンクグループを直線化する(ステップS404)。図中に直線化の方法を示した。図の上側に示すように、リンクL111、L112、ノードN111〜N113からなるリンクグループを考える。このリンクグループは、道路形状に沿って折れ曲がった折れ線で規定されているとする。
直線化処理では、図の下側に示すように、各リンクL111、L112の長さを保ったまま、一次元の座標上にノードN111〜N113を写像するのである。写像した結果を直線化リンクL111s、L112s、直線化ノードN111s〜N113sと称することにする。
道路ネットワークデータは、道路の属性として道路幅Wrd、車線数の情報を有している。また、道路標示規定データ(図2参照)は、車線幅をパラメータとして有している。従って、これらのデータを用いて、車線幅×車線数を計算することにより、道路幅Wrdのうち、車線に利用される幅Dが決定される。この幅Dを道路幅Wrd内に均等に配置することにより、車両通行帯最外側線BL1、BL2の位置を決定することができる。また、幅Dを、上下線の各車線数で内分することによって中央線CLの位置を決定することができる。上下線の車線数は同一とは限らないから、中央線CLは、幅Dの中央に来るとは限らない。例えば、上り2車線、下り1車線の道路では、中央線は幅Dを2:1に内分した位置に設定されることになる。
図中に処理例を示した。D12方向に処理を行う場合を考える。経路案内システム10は、交差点領域設定処理(図11)で設定された交差点領域CSを配置する。そして、横断歩道角度決定処理(図13,14)で決定された横断歩道角度に基づいて、交差点領域の端点から基準線LCS0を引く。基準線LCS0と処理対象リンクL11sとの角度ACSが横断歩道角度に相当する。
次に、交差点領域から遠ざかる方向に基準線LCS0から所定の距離OSTだけずらした位置に所定幅LCWの平行四辺形で横断歩道領域CWを設定する。これらの距離OST、幅LCWは、道路標示規定データに設定しておけばよい。
経路案内システム10は、横断歩道領域CWの境界線で、車両通行帯最外側線BL2および中央線CLを切断する。また、中央線CLと横断歩道領域CWとの交点から、横断歩道・停止線間距離DSだけずらした位置に停止線SLを設定する。また、車両通行帯最外側線BL2および中央線CLに平行に、車線数に応じて、車両通行帯境界線を設定する。
下り線についても、同様の方法で道路標示を描くことができる。ここで説明した手順は、一例に過ぎず、他の方法・手順によって生成しても構わない。
必要滞留長Ls=1.5×N×S;
すりつけ長Lt=V×WLN/6;
N:1サイクル当たりの平均滞留台数;
S:平均車頭距離(前後の車両の先頭間の距離);
V:設計速度;
WLN:車線幅;
上述の各パラメータのうち、車線幅は、全ての道路に共通の値として道路標示規定データに格納しておけばよい。パラメータNおよびVは、道路に固有の値なので、道路ネットワークデータに属性として設定しておくことが好ましい。これらのデフォルト値を道路標示規定データに設定しておいてもよい。例えば、設計速度Vは、1車線の道路では30km/h、2〜3車線の道路では40km/h、4車線以上では50km/hというように、車線数に応じて設定することもできる。
パラメータSは、道路に固有の値と考え、道路ネットワークデータの属性に設定しておいてもよいし、全ての道路に共通の値として道路標示規定データに設定してもよい。
さらに、上述のパラメータが不十分で必要滞留長Ls、すりつけ長Ltを算出できない時のために、これらのデフォルト値を設定しておいてもよい。例えば、必要滞留長Lsは、停止線前車線変更禁止線の距離DPC(図2参照)と同じ値を用いることができる。
図中の上側に示すように、「必要滞留長LS0+すりつけ長Lt0」が基準値Lrdよりも大きい場合を考える。かかる場合には、図示するように、滞留区間およびすりつけ区間が道路からはみ出した形になってしまう。
本実施例では、このような場合には、すりつけ長を確保したまま、必要滞留長を短縮することで、両者の和が基準値Lrd以下となるよう調整する。図中の下側に調整結果を示した。この例では、すりつけ長Lt1は当初の長さLt0と同じであり、必要滞留長Ls1を当初の長さLs0よりも短くすることで、全体の長さを基準値Lrdに収めている。この態様では、必要滞留長Lsを、車一台分の長さなど、予め設定された限界まで短縮しても、全体の長さが基準値Lrdを超える場合には、すりつけ長Ltを短縮することになる。もっとも、必要滞留長、すりつけ長は種々の調整方法が可能であり、両者を一定の比率で短縮する方法などをとることもできる。
経路案内システム10は、上下線の道路標示データを中央線で結合した上で、上下線のすりつけ区間同士のすき間を導流体(ゼブラゾーン)に設定する(ステップS416)。図中に上下のすりつけ区間LSA、LSBの間隙に設定されたゼブラゾーンZZを例示した。ゼブラゾーンを構成する白線の幅および間隔は、道路標示規定データ(図2参照)に規定されている。
経路案内システム10は、以上の処理を、全グループに対して終了するまで繰り返し実行する。これらの処理によって、横断歩道を除く道路標示の生成が完了する。
かかる処理は、例えば、次の手順で行うことができる。まず、直線化されたリンクごとに、生成された道路標示データを分割する。そして、それぞれ分割された道路標示データを、元来の折れ線状の本来のリンクに配置する。この配置の結果、ポリゴン同士が重なる領域や、間隙になる領域が生じる。これらの領域については、各ポリゴン間をリンクの形状に応じて滑らかに補間などすればよい。
図18は、横断歩道データ生成処理のフローチャートである。経路案内システム10は、図16のステップS408で設定された横断歩道領域を読み込む(ステップS502)。
そして、この領域内に横断歩道ポリゴンデータを生成する(ステップS504)。横断歩道を構成する各白線PCW1〜PCW3の幅WCWおよび間隔SCWは、道路標示規定データに設定されたパラメータを用いる。横断歩道領域CWが平行四辺形となっている場合には、各白線PCW1〜PCW3の形状も、横断歩道領域CWの辺と平行な辺からなる平行四辺形となる。
経路案内システム10は、以上の処理を全横断歩道領域について終了するまで繰り返し実行する(ステップS506)。
横断歩道は、図16のステップS408で、横断歩道領域を設定した時点で、併せて描画することも可能である。
図19は、進行方向矢印データ生成処理のフローチャートである。進行方向矢印データ生成部38の機能に相当する。
経路案内システム10は、案内交差点の各車線について進行方向矢印の情報を読み込む(ステップS602)。進行方向矢印の情報は、例えば、各車線ごとに、退出角度αという形で格納することができる。図中に情報の格納例を示した。レーン3は、右折レーンであり、退出方向3は、交差点への進入方向を基準として270度の方向となる。従って、レーン3に対しては、矢印1(1つめの矢印を意味する)として、α=270°という情報が記録されている。レーン2は、直進レーンであり、退出方向2は0度となる。従って、レーン2に対しては、矢印1として、α=0°という情報が記録されている。レーン1は、直進および左折のレーンである。従って、矢印1として、直進を意味するα=0°という情報が記録され、矢印2(2つめの矢印を意味する)として、左折を意味するα=90°が記録されている。矢印1、矢印2のように複数の情報が記録されている場合は、レーン1のようにこれらを組み合わせた矢印が描かれることを意味している。
交差点形状によっては、退出角度は90°とは限らず、また、5叉路など特殊な形状の交差点も存在するため、図19中に示した態様によれば、多種多様な交差点形状に柔軟に対応可能であるという利点がある。
経路案内システム10は、以上の処理によって、交差点領域内の進行方向矢印のポリゴンデータを生成し、これらを表示する。
このように、本実施例の拡大図によれば、進行方向矢印を表示することにより、案内交差点のリアリティが向上し、現実の交差点と案内されている交差点とを直感的に対応させることができる。また、各車線の通行規制を拡大図で把握することができるため、ユーザは、事前に車線変更をしておくことが可能となり、通行の安全性を向上させることができる。
図20は、道路標示データの生成例を示す説明図である。図20(a)に本実施例による生成例を示し、図20(b)にはこれに対応する領域の航空写真を示した。
横断歩道CW16など、一見して、図20(a)と図20(b)とが対応していることを認識できる程度に、現実の状態を精度良く再現できていることが分かる。ゼブラゾーンZZ16は、現実の状態とは形状が異なっているが、この位置にゼブラゾーンZZ16が描かれていることにより、図20(a)と図20(b)との対応関係を比較的容易に認識することができる。
このように、本実施例によれば、現実の各地点と地図との対応関係を直感的に認識可能とする目的には十分に資する精度で、道路標示を再現することが可能である。本実施例によれば、このような道路標示を描くための道路標示データを、軽い処理負荷で生成することができる利点がある。
以上で説明した実施例の経路案内システム10によれば、道路標示を再現した交差点の拡大図を提供できるため、交差点のリアリティが向上し、ユーザが現実の交差点と案内されている交差点とを直感的に対応づけることが可能となる。また、経路案内システム10は、交差点の拡大図を予め画像データで用意しておく必要がないため、小さいデータ容量で、かかる表示を実現できる。
さらに、実施例の道路標示では、各レーンの進行方向矢印も表示し、次交差点表示(図8)やデフォルメ表示では、先の案内交差点も案内するため、ユーザの通行の安全性を向上させることも可能である。
11…主制御部
12…コマンド入力部
13…現在位置特定部
14…経路探索部
15…経路案内部
16…案内表示制御部
20…地図データベース
21…道路ネットワークデータベース
22…描画データベース
30…道路標示表示部
31…道路ネットワークグループ化処理部
32…交差点領域設定部
34…横断歩道処理部
36…道路白線データ生成部
38…進行方向矢印データ生成部
40…道路標示規定データベース
Claims (8)
- 地図を表示して経路を案内する経路案内システムであって,
道路をノードおよびリンクで表した道路ネットワークデータを格納する道路ネットワークデータベースと、
前記道路ネットワークデータベースに基づいて、指定された出発地から目的地に至る経路を探索する経路探索部と、
道路を描画するための地図ポリゴンデータを格納する描画データベースと、
車両通行帯境界線の形状および位置を規定する道路標示規定データを格納する道路標示規定データベースと、
前記探索された経路について、経路案内の対象とすべき案内分岐点を特定し、前記地図ポリゴンデータ、道路ネットワークデータおよび前記道路標示規定データに基づいて、前記車両通行帯境界線を描いた前記案内分岐点の拡大図を生成し、該拡大図を表示して前記経路を案内する経路案内部とを備える経路案内システム。 - 請求項1記載の経路案内システムであって、
前記経路案内部は、前記案内分岐点の領域内における前記リンクの形状を直線化して、前記車両通行帯境界線を描く経路案内システム。 - 請求項1または2記載の経路案内システムであって、
前記経路案内部は、
前記拡大図として提供すべき案内分岐点を複数選択し、
前記経路に沿った順に、複数の拡大図を一覧できる形式で表示する経路案内システム。 - 請求項3記載の経路案内システムであって、
前記経路案内部は、
前記複数の案内分岐点間のリンクの形状を直線化することにより、前記複数の拡大図を案内分岐点間の道路で直線的に連結して表示する経路案内システム。 - 請求項3または4記載の経路案内システムであって、
前記経路案内部は、
該拡大図間の間隔が対応する案内分岐点間の道のりに応じた間隔となるよう各拡大図を配置して表示する経路案内システム。 - 請求項1〜5いずれか記載の経路案内システムであって、
前記道路標示規定データベースは、前記車両通行帯に描かれるべき進行方向矢印の形状および位置を規定するためのデータも併せて格納しており、
前記経路案内部は、
前記道路標示規定データベースに基づいて、前記進行方向矢印を描いた前記拡大図を表示する経路案内システム。 - コンピュータによって、地図を表示して経路を案内する経路案内方法であって,
前記コンピュータは、
道路をノードおよびリンクで表した道路ネットワークデータを格納する道路ネットワークデータベースと、
道路を描画するための地図ポリゴンデータを格納する描画データベースと、
車両通行帯境界線の形状および位置を規定する道路標示規定データを格納する道路標示規定データベースとを備えており、
前記経路案内方法は、
前記道路ネットワークデータベースに基づいて、指定された出発地から目的地に至る経路を探索する工程と、
前記探索された経路について、経路案内の対象とすべき案内分岐点を特定する工程と、
前記地図ポリゴンデータ、道路ネットワークデータおよび前記道路標示規定データに基づいて、前記車両通行帯境界線を描いた前記案内分岐点の拡大図を生成する工程と、
該拡大図を表示して前記経路を案内する工程とを備える経路案内方法。 - コンピュータによって、地図を表示して経路を案内するためのコンピュータプログラムであって,
前記コンピュータは、
道路をノードおよびリンクで表した道路ネットワークデータを格納する道路ネットワークデータベースと、
道路を描画するための地図ポリゴンデータを格納する描画データベースと、
車両通行帯境界線の形状および位置を規定する道路標示規定データを格納する道路標示規定データベースとを備えており、
前記コンピュータプログラムは、
前記道路ネットワークデータベースに基づいて、指定された出発地から目的地に至る経路を探索する機能と、
前記探索された経路について、経路案内の対象とすべき案内分岐点を特定する機能と、
前記地図ポリゴンデータ、道路ネットワークデータおよび前記道路標示規定データに基づいて、前記車両通行帯境界線を描いた前記案内分岐点の拡大図を生成する機能と、
該拡大図を表示して前記経路を案内する機能とをコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
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