JP2013184726A - トグル構造を備えるキャップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トグル構造を備える合成樹脂から一体に成形されたキャップであって:a)トグル構造は、屈曲可能な結合片3aとその両側に配置される一対の支持部材3bを有し;b)結合片3aは、両端部がキャップ本体1の外周面及びオーバーキャップの天板部に連結され、オーバーキャップの天板部2aの周縁内方で連結する端部のみで天板部2aと連結し、該端部近傍に断面厚みが薄い領域を有し、かつ、前記断面厚みが薄い領域に、天板部2aの外表面に連なる側の面に凹部を有し;及び、c)トグル構造の合成樹脂が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する;前記のキャップ。
【選択図】図6
Description
a)トグル構造は、キャップ本体に対してオーバーキャップを回動自在に支持する屈曲可能な結合片と、オーバーキャップの回動軸に沿い結合片の両側に配置される一対の支持部材とを有する;
b)結合片は、
b−1)両端部を備え、該両端部は、キャップ本体の外周面及びオーバーキャップの天板部にそれぞれ連結され、
b−2)オーバーキャップの天板部の周縁の内方で連結する端部のみにおいて、オーバーキャップの天板部と連結し、
b−3)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、
かつ、
b−4)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に凹部を有する;及び、
c)トグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなる;
ことを特徴とするトグル構造を備えるキャップが提供される。なお、本発明において、「合成樹脂から一体に成形された」とは、合成樹脂に加えて、合成樹脂の成形に際して通常使用される添加剤や配合剤等を含有する樹脂材料から一体に成形されたことを意味する。
(1)キャップ本体、オーバーキャップ及びトグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなる前記のトグル構造を備えるキャップ。
(2)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、以下の(A1)、(A2)及び(A3):
(A1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(A2)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(A3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する前記のトグル構造を備えるキャップ。
(3)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A1)の式で表される脂肪酸アミドと、前記の(A2)または(A3)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である前記のトグル構造を備えるキャップ。
(4)前記の(A2)の式で表される脂肪酸アミドにおけるmが、m=n+1またはm=n−1である前記のトグル構造を備えるキャップ。
(5)前記の(A3)の式で表される脂肪酸アミドにおけるkが、k=nである前記のトグル構造を備えるキャップ。
(6)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A1)の式で表される脂肪酸アミドと、以下の(A11):
(A11)H2N−CO−(−CH2−)j−CH=CH−(−CH2−)j−CH3(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠nである。);
の式で表される脂肪酸アミドとの混合物である前記のトグル構造を備えるキャップ。
(7)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物を含有する前記のトグル構造を備えるキャップ。
(8)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を含有する合成樹脂が、更に飽和脂肪酸アミドを含有する前記のトグル構造を備えるキャップ。
(9)合成樹脂が、ポリオレフィンを含有する前記のトグル構造を備えるキャップ。
(10)ポリオレフィンが、プロピレン系樹脂である前記のトグル構造を備えるキャップ。
(11)結合片が、略L字形の輪郭形状を有する前記のトグル構造を備えるキャップ。
(12)結合片が、湾曲した輪郭形状を有する前記のトグル構造を備えるキャップ。
(13)凹部が、直線状の溝である前記のトグル構造を備えるキャップ。
(14)直線状の溝が、前記他の領域より断面厚みが薄い領域の断面厚みに対して、5〜30%の比率の範囲の深さを有する溝である前記のトグル構造を備えるキャップ。
(15)トグル構造が、2以上の結合片を有する前記のトグル構造を備えるキャップ
(16)閉蓋状態で熱固定されてなる前記のトグル構造を備えるキャップ。
a)トグル構造は、キャップ本体に対してオーバーキャップを回動自在に支持する屈曲可能な結合片と、オーバーキャップの回動軸に沿い結合片の両側に配置される一対の支持部材とを有する;
b)結合片は、
b−1)両端部を備え、該両端部は、キャップ本体の外周面及びオーバーキャップの天板部にそれぞれ連結され、
b−2)オーバーキャップの天板部の周縁の内方で連結する端部のみにおいて、オーバーキャップの天板部と連結し、
b−3)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、
かつ、
b−4)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に凹部を有する;及び、
c)トグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなる;
ことを特徴とするトグル構造を備えるキャップであることによって、オーバーキャップを安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好であるとともに、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、トグル構造を備えるキャップを提供することができる、という効果を奏する。
本発明のトグル構造を備えるキャップは、容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体(1)、キャップ本体(1)の天部を覆うオーバーキャップ(2)、及び、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造(3)を備える、合成樹脂から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップである。なお、本発明を図面(図1〜7)を参照しつつ説明するに当たっては、図面中の番号及び記号は、先に従来技術の説明において使用したものと同じものを用いる。また、図面は、本発明を理解するために、縮尺や形状を、強調または省略して記載している場合がある。
容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体(1)は、容器の口頚部に、嵌合または螺合により、直接取り付けられるカップ状の部材である。キャップ本体(1)は、通常、図3、4及び6に示すように、容器の口頚部を囲む略円筒状の部分と、該容器の口頚部の先端面(上端)に当接する天板部分とを、更に有してもよい。キャップ本体(1)の天板部分の中央部には開口部が形成されており、この開口部が、容器の内容物を注出するための注出口(4)を形成する。キャップ本体(1)の天板部分には、注出口(4)を囲むようにして略円筒状部材を突設してもよく、これにより、容器の内容物を注出することが容易となる。なお、容器の内容物の腐敗防止の観点から、必要に応じて、容器の内容物が接触する天板部分の内面に、酸素ガスバリヤー性の単層または多層のシートまたはフィルム(図示せず)を配設してもよい。キャップ本体(1)の内周面に、容器の口頚部外周面と螺合するためのネジ部(1a)を設け、外周面には、滑り防止のためのローレット加工(刻み加工)を施してもよい。
キャップ本体(1)の天部を覆うオーバーキャップ(2)は、キャップ本体(1)の天板部分を覆い、前記注出口(4)を閉じるためのものであり、トグル構造(3)を介して、キャップ本体(1)に対して揺動可能に取り付けられている。図2〜4に示すように、オーバーキャップ(2)の内面(図3に示す閉蓋状態においてキャップ本体(1)側となる面)には、閉蓋時にキャップ本体(1)の天板部分に形成した開口部に嵌合され、容器の内容物が注出口(4)から漏出することを防止する円筒状の部材を設けてもよい。また、所望により、オーバーキャップ(2)を閉蓋状態で維持するために、係止手段を設けてもよい。係止手段の形状は、特に限定されず、例えば、図示するように、キャップ本体(1)の上部に設けた段部とオーバーキャップ(2)の内周面とが、弾性変形を利用する係止関係となるようにしてもよいし、また、キャップ本体(1)の天板部分の外周部に係止リングを設け、オーバーキャップ(2)の内周面とが、弾性変形を利用する係止関係となるようにしてもよい。
本発明のトグル構造を備えるキャップは、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造(3)を備えるものである。該トグル構造(3)自体は、蓋の開閉機構として使用することが本出願前に知られたものであり、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を回動自在に支持する屈曲可能な結合片(3a)と、オーバーキャップ(2)の回動軸に沿い結合片(3a)の両側に配置される一対の支持部材(3b)とを有するものである。
本発明におけるトグル構造(3)が有する結合片(3a)は、
両端部(3a1、3a2)を備え、該両端部(3a1、3a2)は、キャップ本体(1)の外周面及びオーバーキャップ(2)の天板部(2a)にそれぞれ連結され、
オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の周縁の内方で連結する端部(3a1)のみにおいて、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結し、
オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a1)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、かつ、
オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a1)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に凹部(3a11)を有するものである。
結合片(3a)の幅は、オーバーキャップ(2)の径に対して、通常0.1〜0.5、好ましくは0.15〜0.4、より好ましくは0.2〜0.35の比率の範囲で定めることができる。結合片(3a)の幅が小さすぎると、オーバーキャップ(2)の揺動に捩れが生じて、きちんと蓋が閉まらず、内容物がこぼれることがあったり、トグル構造(3)を備えるキャップの耐久性が低下したりすることがある。結合片(3a)の幅が大きすぎると、オーバーキャップ(2)を開閉するために揺動を開始するときの抵抗力や転回点(思案点)を過ぎた後の引張力が大きくなり、スナップ性やクリック感が悪くなることがある。また、トグル構造(3)が、2以上の結合片(3a)を有することもでき、この場合は、2以上の結合片(3a)の幅の合計が、上記の範囲に入るようにすればよい。
結合片(3a)の厚みは、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結することができる限り、特に制限がないが、先に述べたオーバーキャップ(2)を開閉するために揺動を開始するときの抵抗力や転回点(思案点)を過ぎた後の引張力、及び、結合片(3a)の強度、成形加工上の観点などから、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の厚みに対して、通例0.1〜2の比率、好ましくは0.15〜1.5、より好ましくは0.2〜1.2の比率となるように定めればよい。キャップの取り扱い性や成形加工上の観点からは、結合片(3a)の大半を占める部位、すなわち、結合片(3a)の主要部の厚みは、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の厚みに対して0.8〜1.1程度、特に好ましくは0.9〜1.05程度とすることが好ましい。なお、結合片(3a)の主要部とは、結合片(3a)の両端部(3a1、3a2)の間に延在する領域であって、後に詳述するように、両端部(3a1、3a2)、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域、及び、前記オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に有する凹部(3a11)以外の領域を意味する。
結合片(3a)の厚みは、部分的に異なるようにしてもよい。特に、後に詳述する結合片(3a)が、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a1)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有することによって、キャップ本体(1)に対するオーバーキャップ(2)の閉蓋状態と開蓋状態との間での揺動を、一層容易なものとすることができる。オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a1)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域における結合片(3a)の厚みは、結合片(3a)の主要部(「他の領域」に相当する。)の厚みに対して、通常30〜95%、好ましくは40〜90%、より好ましくは50〜85%の厚みとなるようにすればよい。オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a1)の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域における結合片(3a)の厚みが小さすぎると、該端部(3a1)の強度が不足し、キャップの耐久性が低下することがある。他方、前記他の領域より断面厚みが薄い領域における結合片(3a)の厚みが大きすぎると、キャップ本体(1)に対するオーバーキャップ(2)の閉蓋状態と開蓋状態との間での揺動がしにくくなることがある。
本発明におけるトグル構造(3)が有する結合片(3a)は、両端部(3a1、3a2)の間に延在し、屈曲可能であれば、特に、両端部(3a1、3a2)の間に延在する輪郭形状に制限はなく、図示するように略L字型の輪郭形状を有する結合片のほか、湾曲した輪郭形状を有する結合片などを使用することができる。略L字型の輪郭形状における折れ曲がり部の位置や、湾曲した輪郭形状における曲率半径が最も小さい部分の位置を調整することによって、オーバーキャップ(2)の開蓋状態の仰角、スナップ性や操作性を更にある程度調整できることがある。
さらに、本発明におけるトグル構造(3)が有する結合片(3a)は、前記オーバーキャップ(2)の天板部(2a)に連結する端部(3a1)の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に凹部(3a11)を有することにより、オーバーキャップ(2)を安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分に大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好なものとすることができる。スナップ性、耐久性及び操作性が良好な開蓋状態の仰角は、好ましくは150〜180°、より好ましくは152〜177°、更に好ましくは155〜175°の範囲となるようにすればよい。なお、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面とは、図3に示す閉蓋状態のキャップにおいてオーバーキャップ(2)の天板部(2a)の上側の面を意味し、図4または図6に示す開蓋状態のキャップにおいてオーバーキャップ(2)の天板部(2a)の下側の面を意味する。
結合片(3a)の、キャップ本体(1)の外周面に連結されている他の端部(3a2)は、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動する際に、揺動を妨げないよう屈曲することができる限り、該端部(3a2)の近傍に、結合片(3a)の主要部の厚みより断面厚みが薄い領域を有する必要は必ずしもないが、断面厚みが薄い領域を有することによって、オーバーキャップ(2)の開蓋状態の仰角、スナップ性や操作性を更にある程度調整できることがある。
本発明におけるトグル構造(3)が有する支持部材(3b)は、オーバーキャップ(2)の回動軸に沿い結合片(3a)の両側に配置される一対の支持部材(3b)である。支持部材(3b)は、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動させることができ、また、結合片(3a)の回動や屈曲を妨げることがなければ、その形状、大きさや厚みに特に限定はなく、キャップ本体(1)及び/またはオーバーキャップ(2)からそれぞれの一部として延在するものでもよい。
本発明のトグル構造を備えるキャップは、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造(3)を備える、合成樹脂から一体に成形されたキャップである。なお、先に述べたとおり、「合成樹脂」とは、合成樹脂に加えて、添加剤や配合剤等を含有する樹脂材料を意味する。
本発明のトグル構造を備えるキャップは、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)を備える、合成樹脂から一体に成形されたキャップである。該合成樹脂としては、従来、合成樹脂製のキャップ、特にキャップや、合成樹脂製成形容器において通常使用される合成樹脂を採用することができる。具体的には、エチレン系樹脂やプロピレン系樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリグリコール酸やポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン66やナイロン612等のポリアミド;ポリカーボネート;などを主たる樹脂成分として含有する合成樹脂を採用することができる。好ましくは、合成樹脂が、ポリオレフィンを主たる樹脂成分として含有するものである。
本発明のトグル構造を備えるキャップを形成する合成樹脂として、好ましく使用されるポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のオレフィン系単量体(以下、単に「オレフィン」ということがある。)の単独重合体または共重合体である。好ましくは、エチレン系樹脂またはプロピレン系樹脂であり、耐繰返し疲労性を重視するときには、プロピレン系樹脂を用いることができる。
エチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体、または、エチレンを主成分とするエチレン共重合体であり、該共重合体は、エチレンと他のオレフィン及び/または他の不飽和単量体との共重合体である。好ましいエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びメタロセン触媒エチレン系ポリオレフィン等がある。
本発明において、特に好ましく使用されるプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、または、プロピレンを主成分とするプロピレン共重合体であり、該共重合体は、プロピレンと、エチレン等の他のオレフィン(α−オレフィン)及び/または他の不飽和単量体との共重合体である。好ましいプロピレン系樹脂としては、チーグラー触媒プロピレンホモ重合体またはチーグラー触媒プロピレンランダム共重合体、メタロセン触媒プロピレンホモ重合体またはメタロセン触媒プロピレンランダム共重合体、メタロセン触媒プロピレン系ブロック共重合体等がある。
本発明のトグル構造を備えるキャップは、トグル構造(3)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなる。すなわち、本発明のトグル構造を備えるキャップは、少なくともトグル構造(3)は、前記の合成樹脂に加えて、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、トグル構造(3)を形成する合成樹脂の全質量に対して、100〜4500ppm含有する。キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)及びトグル構造(3)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなるものとすることが好ましい。不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)(以下、「(A)の不飽和脂肪酸アミド」ということがある。)とは、脂肪酸アミドの分子構造中に少なくとも1結合の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドであって、該炭素二重結合のすべてが不飽和cis構造の炭素二重結合である不飽和脂肪族アミドである。
不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有する(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、以下の式(A1)〜(A3):
(A1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(A2)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(A3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミド化合物が挙げられる。(以下、(A1)の式で表される脂肪酸アミドを、「式(A1)の脂肪酸アミド」ということがあり、更に単に「式(A1)」ということがある。(A2)または(A3)の式で表される脂肪酸アミドについても同様である。)
cis−8,9−hexadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(n=6に相当)
cis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(n=7に相当)
cis−10, 11−eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(n=8に相当)
cis−11, 12− ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)9−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(n=9に相当)
cis−12, 13− tetraeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)10−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(n=10に相当)
cis−6,7−tetradecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)4−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(m=6に相当)
cis−7,8−hexadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)5−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(m=7に相当)
cis−8,9−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(m=8に相当)
cis−9,10−eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(m=9に相当)
cis−10, 11− ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(m=10に相当)
cis−12,13− eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)10−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(k=6に相当)
cis−13,14−docosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)11−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(k=7に相当)
cis−14,15− tetracosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)12−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(k=8に相当)
cis−15,16−hexacosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)13−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(k=9に相当)
cis−16,17− octacosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)14−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(k=10に相当)
また、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物である(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を4結合有する以下の化合物が挙げられる。
(A)の不飽和脂肪酸アミドとしては、前記式(A1)〜(A3)の脂肪酸アミド、または、前記の分子構造中に2結合〜4結合の不飽和cis構造の炭素二重結合を有する脂肪酸アミド等から選ばれる1種類の不飽和脂肪酸アミドを使用すれば、十分所期の効果を奏することができるが、2種以上の(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物を使用してもよい。該(A)の不飽和脂肪酸アミドの混合物としては、前記の式(A1)の脂肪酸アミドを含有するものであることが好ましい。
式(A2)が、cis−6,7−tetradecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)4−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(m=6=n−1に相当)、または、cis−8,9−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(m=8=n+1に相当)である組み合わせの混合物などが好ましく使用でき、更に、cis−10, 11−ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(m=10)との組み合わせの混合物も使用できる。
本発明のトグル構造を備えるキャップにおいて、少なくともトグル構造(3)に含有される(A)の不飽和脂肪酸アミドは、市販品を使用してもよいし、市販品が混合物であったり、不純物を含有する場合は、抽出等の操作により、所望の不飽和脂肪酸アミドを分離して得てもよい。また、例えば、前記の式(A2)の脂肪酸アミド、すなわち、(A2)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)は、以下の方法により製造することができるので、合成品として得てもよい。
(式a)CH3O−CO−(−CH2−)m−1−OH
(式b)[CH3O−CO−(−CH2−)m−1−PPh3]++Br−
(式c)CH3O−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3
(式d)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3
m(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)を変更することにより、この合成経路を用いて所望の炭素数を有する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを得ることができる。
本発明の合成樹脂から一体に成形されたトグル構造を備えるキャップのキャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)においては、少なくともトグル構造(3)が、(A)の不飽和脂肪酸アミドを100〜4500ppm含有することが必須であることの外、必要に応じて、その他の配合剤として、補強材、充填剤、抗酸化剤、光劣化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、または核剤などの添加剤を配合することができる。補強材または充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ等を使用することができる。これら添加剤の配合量は、合成樹脂100質量部に対して、通常0.01〜100質量部の範囲で添加剤の目的に応じて最適な範囲の量を選定すればよい。例えば、補強材または充填剤は、通常10〜100質量部、好ましくは15〜80質量部、より好ましくは20〜60質量部配合することができる。添加剤の種類によっては、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部の配合でよいことがある。
本発明のトグル構造を備えるキャップは、オーバーキャップを安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分に大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好であって、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、合成樹脂から一体に成形された、トグル構造を備えるキャップである。
トグル構造を備えるキャップが、オーバーキャップ(2)を安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分に大きいものであることは、3名の被験者(年齢18〜60歳)が、閉蓋状態のキャップにおいて、オーバーキャップ(2)を把持して、開蓋状態となるように揺動させるよう手で操作を行い、転回点(思案点)を過ぎた位置で手を離した後、オーバーキャップ(2)が開蓋状態で静止したときの、オーバーキャップ(2)の閉蓋状態の位置を0°としたときの開蓋角度を測定することによって評価する。3名の被験者が操作したときの開蓋角度を、キャップの「開蓋状態の仰角」とする。開蓋状態の仰角が、150〜180°であることが好ましく、152〜177°であることがより好ましく、155〜175°であることが更に好ましい。
トグル構造を備えるキャップが、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好なものであることは、例えば図14に略示するように、以下の方法により評価することができる。すなわち、ホッパー(図示しない)に、1万個のあらかじめ閉蓋状態としたキャップ(c)を投入し、該ホッパーから、縦40mm、横40mmの正方形の断面を持ち、長さ500mmの角柱状導管(シュート)に、閉蓋状態のキャップ(c)を、2個/秒の供給速度で連続的に投入し、受渡装置(D)を用いてキャッパー装置に移送する。この一連の移送工程において、シュートでのシュート詰まりが発生した回数(1万個中)を数える。測定は3回行い、その平均値をシュート詰まり回数として、以下の基準で、シュート詰まり評価を行う。シュート詰まり評価が「○」であれば、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好であるといえる。
<シュート詰まり評価>
シュート詰まり評価 ○: シュート詰まり回数が、0〜2回
シュート詰まり評価 ×: シュート詰まり回数が、3回以上
トグル構造を備えるキャップのスナップ性は、以下のクリック感評価による判定によって行うことができる。すなわち、合成樹脂から一体成形されたキャップを、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返す試験を、5名の被験者(年齢18〜60歳)が行い、快いクリック感が持続すると感じられるかどうかを感性評価する。過半数の被験者が、快いクリック感が持続すると評価したトグル構造を備えるキャップを、クリック感が良好であると判定する。
本発明のトグル構造を備えるキャップの製造方法は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂及び不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)、必要に応じて、その他の材料を含有する樹脂材料を、キャップ本体(1)、オーバーキャップ(2)、及び、トグル構造(3)を備えるキャップに対応したキャビティ形状の金型を使用して、射出成形、圧縮成形、注型成形、真空成形、圧空成形、粉末成形その他の樹脂の成形方法によって製造することができる。
合成樹脂の密度及びMFR(温度190℃、荷重21.18N)は、JIS K6922−2に準拠して測定した。また、多分散度(Mw/Mn)は、JIS K7252に準拠して測定した。
トグル構造を備えるキャップの開蓋状態の仰角の評価は、3名の被験者(年齢18〜60歳)が、閉蓋状態のキャップにおいて、オーバーキャップ(2)を把持して、開蓋状態となるように揺動させるよう手で操作を行い、転回点(思案点)を過ぎた位置で手を離した後、オーバーキャップ(2)が開蓋状態で静止したときの、オーバーキャップ(2)の閉蓋状態の位置を0°としたときの開蓋角度を測定することによって行った。3名の被験者が操作したときの開蓋角度を、キャップの「開蓋状態の仰角」とした。
トグル構造を備えるキャップが、容器へのキャップの取り付け工程においてキャップ供給の移送性が良好であることは、以下の方法によって評価した。すなわち、ホッパーに、1万個のあらかじめ閉蓋状態としたトグル構造を備えるキャップを投入し、該ホッパーから、縦40mm、横40mmの正方形の断面を持ち、長さ500mmの角柱状導管(シュート)に、閉蓋状態のトグル構造を備えるキャップ(c)を、2個/秒の供給速度で連続的に投入し、受渡装置(D)を用いてキャッパー装置に移送する。この一連の移送工程において、シュートでのシュート詰まりが発生した回数(1万個中)を数えた。測定は3回行い、その平均値をシュート詰まり回数として、以下の基準で、シュート詰まり評価を行った。
<シュート詰まり評価>
シュート詰まり評価 ○: シュート詰まり回数が、0〜2回
シュート詰まり評価 ×: シュート詰まり回数が、3回以上
一体成形されたキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を、閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返す試験を、5名の被験者(年齢18〜60歳)が行い、快いクリック感が持続すると感じられるかどうかを感性評価し、過半数の被験者が、快いクリック感が持続すると評価したトグル構造を備えるキャップを、クリック感が良好であると判定した。
チーグラー触媒プロピレンホモ重合体〔プライムポリマー株式会社製のプライムポリプロ(登録商標)、密度0.90g/cm3、MFR(温度190℃、荷重21.18Nで測定)33g/10分、多分散度(Mw/Mn)=3〕に対して、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)として、cis-13,14-docosenoamide 〔H2N−CO−(−CH2−)11−CH=CH−(−CH2−)7−CH3;式(A3)の不飽和脂肪酸アミド〕(98質量%) 及びcis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3;式(A1)の不飽和脂肪酸アミド〕 (2質量%)の混合物を、チーグラー触媒プロピレンホモ重合体に対して、4000ppmとなるように配合して、(A)の不飽和脂肪酸アミドを含有する樹脂組成物を得た。
1)キャップ本体(1): 外径37mm、内径33mm、高さ27mmの略円筒形。注出口の開口径10mm
2)オーバーキャップ(2): 外径37mm、内径35mm、高さ9mmの略円筒形。天板部(2a)は、径37mm、厚み1mmの円板状、幅8mmで周縁から9mm内方に至る略長方形の切欠部(スリット)が形成されている。
3)トグル構造(3)
結合片(3a): 幅8mm、主要部の厚み1mm、長さ15mmで端部(3a1)から6mmの位置で略直角に折れ曲がる略L字形の輪郭形状である。オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結する直線状の形状を有する端部(3a1)近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域として、平均厚みが550μm〔すなわち、結合片(3a)の主要部の厚みに対して、55%の厚みに相当する。〕の領域を有し、かつ、この他の領域(具体的には、主要部)より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に有する凹部(3a11)として、深さ110μm〔すなわち、主要部より断面厚みが薄い領域の厚み(550μm)に対して20%の溝深さに相当する。〕の断面半円状の直線状の溝が形成されている。
支持部材(3b): 結合片(3a)の両側に各々幅2mm、厚み500μmの略直方体形状
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、cis−9,10−octadecenoamide〔式(A1)の不飽和脂肪酸アミド〕 (85質量%)及びcis−8,9- hexadecenoamide 〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)6−CH3;式(A11)の不飽和脂肪酸アミド〕(15質量%)の混合物に変更し、130ppmとなるように配合した変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、cis-13,14-docosenoamide 〔式(A3)の不飽和脂肪酸アミド〕の単独使用に変更し、3500ppmとなるように配合した変更、及び、結合片(3a)のオーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結する直線状の形状を有する端部(3a1)近傍において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる側の面に有する凹部(3a11)として、深さ90μm〔結合片(3a)の端部(3a1)近傍において、他の領域(具体的には、主要部)より断面厚みが薄い領域の断面厚み(550μm)に対して約16%の溝深さに相当する。〕の断面半円状の直線状の溝を設けた形状の変更を除いて、実施例2と同様にして、射出成形によって、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
実施例1のチーグラー触媒プロピレンホモ重合体に代えて、チーグラー触媒プロピレンランダム共重合体〔サンアロマー株式会社製の、密度0.90g/cm3、MFR(温度190℃、荷重21.18Nで測定)30g/10分、多分散度(Mw/Mn)=3〕を使用した合成樹脂の変更、及び、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を3500ppmとなるようにした配合の変更を除いて、実施例1と同様にして、射出成形によって、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、cis−9,10−octadecenoamide〔式(A1)〕 (50質量%)及びcis−10,11−ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕;式(A2)の不飽和脂肪酸アミド〕(50質量%)の混合物に変更し、500ppmとなるようにした配合の変更、並びに、結合片(3a)のオーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結する直線状の形状を有する端部(3a1)近傍において、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)の外表面に連なる面に有する凹部(3a11)として、深さ90μm〔結合片(3a)の端部(3a1)近傍において、他の領域(具体的には、主要部)より断面厚みが薄い領域の断面厚み(550μm)に対して約16%の溝深さに相当する。〕の断面半円状の直線状の溝を設けた形状の変更を除いて、実施例4と同様にして、射出成形によって、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、cis-13,14-docosenoamide 〔式(A3)の不飽和脂肪酸アミド〕の単独使用に変更し、2000ppmとなるようにした配合の変更、並びに、射出成形によって成形されたトグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して行う熱固定を行わなかった変更を除いて、実施例4と同様にして、射出成形によって、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
一体成形後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
成形されたトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、快いクリック感が持続し、クリック感が良好であると判定された。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、cis−9,10−octadecenoamide〔式(A1)の不飽和脂肪酸アミド〕 (85質量%)及びcis−8,9−hexadecenoamide〔式(A11)の不飽和脂肪酸アミド〕(15質量%)の混合物に変更し、5500ppmとなるようにした配合の変更、並びに、オーバーキャップ(2)の天板部(2a)と連結する直線状の端部(3a1)近傍の領域において、深さ110μmの断面半円状の直線状の溝を設けなかった(すなわち、溝深さ0μm)形状の変更を除いて、実施例4と同様にして、射出成形によって、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
熱固定後のトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、やや強めのクリック感が感じられた。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を、trans−9,10−octadecenoamide〔式(A1)の不飽和脂肪酸アミドのtrans構造に相当する。〕(単独使用)に変更し、2000ppmとなるようにした配合の変更、並びに、射出成形によって成形されたトグル構造を備えるキャップを、金型から取り出した後、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、キャップを閉蓋状態として、温度40℃で1週間熱処理して行う熱固定を行わなかった変更を除いて、比較例1と同様にして、射出成形によって、トグル構造を備えるキャップを一体成形した。
一体成形後のトグル構造を備えるキャップについて、開蓋状態の仰角を求めた。結果を表1に示す。
成形されたトグル構造を備えるキャップについて、キャップ本体(1)に対してオーバーキャップ(2)を閉蓋状態から開蓋状態に揺動させ、次いで、開蓋状態から閉蓋状態に揺動させる操作を50回繰り返したところ、やや強めのクリック感が感じられた。また、このトグル構造を備えるキャップについて、シュート詰まり評価を行った結果を、表1に示す。
a)トグル構造は、キャップ本体に対してオーバーキャップを回動自在に支持する屈曲可能な結合片と、オーバーキャップの回動軸に沿い該結合片の両側に配置される一対の支持部材とを有する;
b)結合片は、
b−1)両端部を備え、該両端部は、キャップ本体の外周面及びオーバーキャップの天板部にそれぞれ連結され、
b−2)オーバーキャップの天板部の周縁の内方で連結する端部のみにおいて、オーバーキャップの天板部と連結し、
b−3)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、
かつ、
b−4)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に凹部を有する;及び、
c)トグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなる;
ことを特徴とするトグル構造を備えるキャップであることによって、オーバーキャップを安定した開蓋状態に維持することができ、開蓋状態の仰角が十分大きく、かつ、スナップ性、耐久性及び操作性が良好であるとともに、容器へのキャップの取り付け工程において、キャップ供給における移送性が良好である、トグル構造を備えるキャップを提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。
1a: ネジ部
2: オーバーキャップ
2a: オーバーキャップの天板部
3: トグル構造
3a: 結合片
3a1、3a2: 端部
3a11: 凹部
3b: 支持部材
4: 注出口
D: キャップ支持装置(受渡装置)
b: 容器
c: キャップ
d: キャップ供給手段
e: キャッパー
f: グリッパー
h: 水平方向のオフセット
v: 鉛直方向のオフセット
Claims (17)
- 容器の口頚部に取り付けられるキャップ本体、キャップ本体の天部を覆うオーバーキャップ、及び、キャップ本体に対してオーバーキャップを閉蓋状態と開蓋状態との間で揺動可能に連結するトグル構造を備える、合成樹脂から一体に成形されたキャップであって、以下のa)〜c):
a)トグル構造は、キャップ本体に対してオーバーキャップを回動自在に支持する屈曲可能な結合片と、オーバーキャップの回動軸に沿い結合片の両側に配置される一対の支持部材とを有する;
b)結合片は、
b−1)両端部を備え、該両端部は、キャップ本体の外周面及びオーバーキャップの天板部にそれぞれ連結され、
b−2)オーバーキャップの天板部の周縁の内方で連結する端部のみにおいて、該オーバーキャップの天板部と連結し、
b−3)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍において、他の領域より断面厚みが薄い領域を有し、
かつ、
b−4)オーバーキャップの天板部に連結する端部の近傍における他の領域より断面厚みが薄い領域において、オーバーキャップの天板部の外表面に連なる側の面に凹部を有する;及び、
c)トグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなる;
ことを特徴とするトグル構造を備えるキャップ。 - キャップ本体、オーバーキャップ及びトグル構造が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を100〜4500ppm含有する合成樹脂からなる請求項1記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、以下の(A1)、(A2)及び(A3):
(A1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(A2)H2N−CO−(−CH2−)m−2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(A3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる一つの式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する請求項1または2記載のトグル構造を備えるキャップ。 - 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A1)の式で表される脂肪酸アミドと、前記の(A2)または(A3)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である請求項3記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 前記の(A2)の式で表される脂肪酸アミドにおけるmが、m=n+1またはm=n−1である請求項4記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 前記の(A3)の式で表される脂肪酸アミドにおけるkが、k=nである請求項4記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、前記の(A1)の式で表される脂肪酸アミドと、以下の(A11):
(A11)H2N−CO−(−CH2−)j−CH=CH−(−CH2−)j−CH3(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠nである。);
の式で表される脂肪酸アミドとの混合物である請求項4記載のトグル構造を備えるキャップ。 - 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)が、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物を含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(A)を含有する合成樹脂が、更に飽和脂肪酸アミドを含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 合成樹脂が、ポリオレフィンを含有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載のトグル構造を備えるキャップ。
- ポリオレフィンが、プロピレン系樹脂である請求項10記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 結合片が、略L字形の輪郭形状を有する請求項1乃至11のいずれか1項に記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 結合片が、湾曲した輪郭形状を有する請求項1乃至11のいずれか1項に記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 凹部が、直線状の溝である請求項1乃至13のいずれか1項に記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 直線状の溝が、前記他の領域より断面厚みが薄い領域の断面厚みに対して、5〜30%の比率の範囲の深さを有する溝である請求項14記載のトグル構造を備えるキャップ。
- トグル構造が、2以上の結合片を有する請求項1乃至15のいずれか1項に記載のトグル構造を備えるキャップ。
- 閉蓋状態で熱固定されてなる請求項1乃至16のいずれか1項に記載のトグル構造を備えるキャップ。
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