JP2013184252A - 靭性にすぐれたcBN焼結体切削工具 - Google Patents

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【課題】高負荷な切削条件が要求される高硬度鋼の断続切削加工を行った場合においても、工具刃先の欠けや欠損が生じにくく、長期に亘って、すぐれた切削性能を維持するcBN焼結体切削工具を提供する。
【解決手段】立方晶窒化硼素と結合相とを含む焼結体を工具基体とする立方晶窒化硼素焼結体切削工具において、立方晶窒化硼素の粒界面から結合相方向に100nm以内の領域に存在する結合相組織が、Tiの窒化物、炭化物、炭窒化物、硼化物、Alの窒化物、硼化物、酸化物およびこれらの2種以上の固溶体の中から選ばれる1種または2種以上と不可避不純物で構成され、かつ、体積平均径MVが10〜80nm以下の微細組織であることにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、立方晶窒化硼素(以下、cBNで示す)を主成分として、これを超高圧、高温下にて焼結成形してなるcBN焼結体切削工具に関し、特に、合金鋼、軸受鋼等の焼入れ材からなる高硬度鋼の断続切削加工において、欠けや欠損の発生を抑制し得るとともに、すぐれた切削性能を長期の使用に亘って維持し得るcBN焼結体切削工具に関するものである。
従来、高硬度鋼の切削工具としては、cBN焼結体を工具基体としたcBN焼結体切削工具等が知られており、断続切削加工における工具寿命の向上を目的として種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1に示されているように、cBNを25〜47体積%含み、Tiの炭窒化物および硼化物を合計で40〜70体積%含み、前記Tiの炭窒化物中の炭素と窒素の体積比が60:40〜30:70であり、Alの硼化物および窒化物を合計で2〜20体積%含み、前記cBNの粒子が結合相を介して相互に接合されたcBN焼結体を工具基体としたcBN焼結体切削工具(従来切削工具という)は、cBN焼結体に含まれるTiの炭窒化物および硼化物が、cBN粒子を強固に結合する結合相としての機能を有することに加え、耐熱性にすぐれ鉄との反応性が低いため、焼結体の耐摩耗性および耐欠損性が向上するとされている。
また、特許文献2に示されているように、複合焼結体が、立方晶窒化硼素と結合材とを含み、該立方晶窒化硼素は、該複合焼結体中に25体積%以上80体積%以下含まれ、該結合材は、Ti系化合物群を含み、該Ti系化合物群は、少なくともTiを含む化合物を1種以上含むものであって、かつ互いに異なった平均粒径を有する2種以上の粒子成分から構成されることによって、耐衝撃チッピング性と耐クレーター摩耗性との両者を十分に向上させて工具寿命をさらに長くした複合焼結体を提供することが開示されている。
特開平10−114575号公報 特開2011−207688号公報
しかし、従来切削工具を用いて高硬度鋼の切削を行った場合、通常の条件で切削を行った場合には特に支障はないものの、より高負荷な切削条件が要求される断続切削加工を行った場合には、靭性が不十分であるため工具刃先の欠けや欠損が生じやすく、長期の使用に亘って十分な切削性能を維持できないという問題点があった。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、高負荷な切削条件が要求される高硬度鋼の断続切削加工を行った場合においても、工具刃先の欠けや欠損が生じにくく、長期に亘って、すぐれた切削性能を維持するcBN焼結体切削工具を提供することにある。
そこで、本発明者らは、合金鋼、軸受鋼等の焼入れ材からなる高硬度鋼の断続切削加工において、すぐれた切削性能を長期の使用に亘って維持すべく、工具刃先の欠けや欠損の発生を抑制することができるcBN焼結体切削工具について鋭意研究を行った。その結果、工具刃先の欠けや欠損の原因は、切削時に刃先表面に生じた微小なクラック、あるいは断続切削時の刃先に加わる衝撃により、cBN焼結体内部に生じた微小なクラックが、主にcBN粒近傍の結合相内の粒子界面(粒界)、あるいはcBN粒と結合相との界面を伝播していくという仮説を立てた。その仮説をもとに、cBN粒の周囲に予め微細組織の結合相を形成しcBN焼結体を作製し、cBN粒近傍の結合相組織を微細にしたところ、cBN焼結体内部に生じた微小なクラックの伝播を抑制することができるという事実を見出した。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 立方晶窒化硼素と結合相とを含む焼結体を工具基体とする立方晶窒化硼素焼結体切削工具において、
前記立方晶窒化硼素の粒界面から結合相方向に100nm以内の領域に存在する結合相組織が、Tiの窒化物、炭化物、炭窒化物、硼化物、Alの窒化物、硼化物、酸化物およびこれらの2種以上の固溶体の中から選ばれる1種または2種以上と不可避不純物で構成され、かつ、体積平均径MVが10〜80nmの微細組織であることを特徴とする立方晶窒化硼素焼結体切削工具。
(2) 前記焼結体中の立方晶窒化硼素の含有割合が、50〜80体積%であることを特徴とする(1)に記載の立方晶窒化硼素焼結体切削工具。」
を特徴とするものである。
以下、本発明について説明する。
本発明の立方晶窒化硼素焼結体切削工具は、立方晶窒化硼素と結合相とを含む焼結体を工具基体とするが、その焼結体は、次のような特徴を有している。
(a)立方晶窒化硼素(cBN)の粒界面から結合相方向に100nm以内の領域に存在する結合相組織が、Tiの窒化物、炭化物、炭窒化物、硼化物、Alの窒化物、硼化物、酸化物およびこれらの2種以上の固溶体の中から選ばれる1種または2種以上と不可避不純物で構成されている。
このとき、cBN粒の表面に予め粒状TiN層を形成することにより、cBN粒界面から結合相方向に100nm以内の領域を微細組織とすることができることを見出した。
また、この微細組織を構成する物質は、cBN粒子に強固に結合するため結合相としての機能を有することに加えて、強度や耐熱性にすぐれるため、焼結体の耐摩耗性を向上させる機能を有する。
(b)結合相組織のうち、cBN粒の粒界面から結合相方向に100nm以内の領域に存在する結合相組織の体積平均径MVを10〜80nmの微細組織とすることによって、cBN粒近傍の結合相内の粒界あるいはcBN粒と結合相との界面をクラックが伝搬することを抑制できる。微細組織とする領域をcBN粒の粒界面から結合相方向に100nm以内の領域に限定した理由は、100nmより厚い領域の結合相を微細組織にすると、結合相内において粒界が占める割合が多くなるため、工具として使用した場合、耐摩耗性が低減するため好ましくないからである。
(c)微細組織の体積平均径MVを10〜80nmに限定した理由は、80nmより大きいと粒界が少なくなり、cBN粒近傍の結合相の粒界をクラックが伝搬するのを抑制する効果が低減する。一方、10nm未満の微粒組織を作るためには、粒状TiN層を厚くしなくてはならないが、焼結体とした場合に、cBN粒近傍に空隙が増え、クラックを伝搬するのを抑制する効果が低減するため好ましくない。したがって、工具として使用した場合、十分な靭性向上効果を得るためには、微細組織の体積平均径MVを10〜80nmとすることが好ましい。
ここで、体積平均径MV(Mean Volume Diameter)とは、次のように定義される値である。
複数の粒子の集合体を仮定する。
この中には、粒子径の小さい順から、 d1,d2,・・・,di,・・,dkの粒子径を持つ粒子がそれぞれn1,n2,・・・,ni,・・,nk個あるとする。
また、粒子1個当りの体積をv1,v2,・・・,vi,・・・,vkとする。
粒子径 個数 体積
d1 n1 v1
d2 n2 v2
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
di ni vi
・ ・ ・
・ ・ ・
dk nk vk
このとき、体積平均径MVは、
MV=(v1・d1+v2・d2+・・・+vi・di+・・・+vk・dk)/(v1+v2+・・・+vi+・・・+vk)
=Σ(vi・di)/Σ(vi)
つまり、MVは、体積で重みづけされた平均径である。
(d)前述のように、結合相組織のうち、cBN粒の粒界面から結合相方向に100nm以内の領域に存在する結合相組織の体積平均径MVを10〜80nmの微細組織とすることが、欠けや欠損を抑制するという本発明の効果を発現するための必須の構成であるが、さらに、焼結体中のcBN粒の含有割合が、工具の切削性能に与える影響について鋭意研究をした結果、50体積%未満であるとcBN焼結体の強度が低下するため工具として使用した場合、十分な刃先強度が維持できず高負荷切削時に耐欠損性が低下する傾向があること、および、80体積%より大きくなる場合には、cBN焼結体中の結合材の含有量が少なくなるため工具として使用した場合、耐摩耗性が低下する傾向があることを見出した。したがって、本発明を実施する上で、よりすぐれた切削性能を希求する場合には、焼結体中のcBN粒の含有割合としては、50〜80体積%の範囲とすることが好ましい。
(f)さらに、本発明者らは、前記のような組織構造を持つcBN焼結体を再現性よく作製する方法として、次のような方法を見出した。すなわち、cBN粒に予め粒状厚み100nm以内のTiN層を形成しておくことによって、cBN粒近傍の結合相組織を微細組織にすることができる。しかも、粒状TiN層の厚みが薄い場合には、微粒組織の体積平均径MVは大きくなり、逆に、粒状TiN層の厚みが厚い場合には、微粒組織の体積平均径MVは小さくなりことを見出した。これらの知見に基づき、前述した組織構造を持つcBN焼結体を再現性よく、体積粒子径MVの大きさを制御可能に製造することが可能である。このことは、切削工具を製造するに際し、全製造量に対する期待された性能を発揮する製品の割合、すなわち歩留まりが向上することを意味しており、本発明を実用化する上できわめて技術的意義のあることである。
以上のように、本発明は、cBNや結合相の成分や含有量を適切に調整して耐摩耗性や耐欠損性の改善を図ったり、cBN粒を取り巻く結合相を一様に1種または2種以上の粒径を有する粒子成分から構成したりするというような従来技術の延長上にあるのではなく、cBNの粒界面から結合相方向に100nm以内という限定された領域内を、体積平均径MVが10〜80nmという粒径を制御された微細組織にするという全く新規な着想により、cBN焼結体内部に生じた微小なクラックの伝播を抑制することに成功し、その結果、高負荷な切削条件が要求される高硬度鋼の断続切削加工という下においても、工具刃先の欠けや欠損の発生を抑制することができ、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を維持することができるという他に類を見ない特徴を有している。
本発明の立方晶窒化硼素焼結体切削工具は、cBN粒近傍の結合相組織を微細組織にすることによって、cBN焼結体内部に生じた微小なクラックの伝播を抑制することができるので、高負荷な切削条件が要求される高硬度鋼の断続切削加工を行った場合においても、工具刃先の欠けや欠損が生じにくく、長期に亘って、すぐれた切削性能を維持することができる。
本発明の立方晶窒化硼素焼結体切削工具の組織構造の概念図である。
つぎに、本発明の立方晶窒化硼素焼結体切削工具(以下、単にcBN切削工具と云う)を実施例により具体的に説明する。
表2に本発明の実施例として作製した本発明インサート1〜9および比較のために作製した比較インサート10〜18を示す。
まず、本発明インサート1〜9に用いたcBN焼結体の作製方法を示す。
1)原料cBN粉末への粒状TiNの形成
1−1)平均粒径3μmのcBN粉末上にALD(Atomic Layer Deposition)法によってTiNを成膜した。
ALD法により、cBN粒末上に2種の原料ガスAとBを用いてコーティングする場合、流動層炉内にcBN粒子を装入し、所定温度に昇温し、原料ガスA流入工程、Arガスパージ工程、原料ガスB流入工程、Arガスパージ工程を1サイクルとして、このサイクルを目標層厚になるまで繰り返すことにより、所望の膜厚のTiN膜を得る。
本実施例の場合、具体的には、原料ガスとして、TiClとNHを使用し、温度400℃の条件で厚み10、20、35、50、55、75、100nmのTiN層で被覆された7種類のcBN粉末を得た。
ここで、表2に示した本発明インサート1〜9を作製するために使用したcBN粉は、それぞれ、TiN層の厚みが、本発明インサート1は55nm、本発明インサート2は100nm、本発明インサート3は100nm、本発明インサート4は75nm、本発明インサート5は50nm、本発明インサート6は35nm、本発明インサート7は55nm、本発明インサート8は20nm、本発明インサート9は10nmのものを使用した。
1−2)1−1)で得られた、TiN層で被覆されたcBN粉末7種類を真空中1Pa以下、温度1000℃、保持時間30分の条件で熱処理し、cBN粒上のTiN層を粒状TiNの集合体にした。
2)cBN焼結体の作製
2−1)結合材用の原料粉末としてTiN、TiC、Alを準備した。
2−2)1−2)で得られた粒状TiN層で被覆されたcBN粉末と2−1)にて準備した結合材用の原料粉末を表1に示した配合割合になるように秤量し、超硬製容器内で均一に湿式混合した。
2−3)得られた混合粉末を乾燥後、同条件下で油圧プレスにて成形圧1MPaで成形し成形体を得た。
2−4)成形体を真空中1Pa以下、温度1000℃、保持時間30分の条件で熱処理し、脱ガスした。
2−5)成形体と超硬合金基材を積層し、圧力5.5GPa、温度1400℃、保持時間30分の条件で超高圧高温処理し、本発明インサート1〜9用のcBN焼結体を得た。
つぎに、比較のために、同じく表2に示したような比較インサート10〜18に用いるcBN焼結体を作製した。以下に、その作製方法を示す。
3)原料cBN粉末への粒状TiNの形成
3−1)平均粒径3μmのcBN粉末上にALD(Atomic Layer Deposition)法によってTiNを成膜した。
原料は、TiClとNHを使用し、温度400℃の条件で厚み200nmのTiN層で被覆されたcBN粉末を得た。
3−2)3−1)で得られたTiN層で被覆されたcBN粉末を真空中1Pa以下、温度1000℃、保持時間30分の条件で熱処理し、cBN粒上のTiN層を粒状TiNの集合体にし、比較インサート17、18用のcBN粉末を得た。
3−3)TiN層を有していないcBN粉末を真空中1Pa以下、温度1000℃、保持時間30分の条件で熱処理を行い、比較インサート10〜16用のcBN粉末を得た。
4)cBN焼結体の作製
4−1)結合材用の原料粉末としてTiN、TiC、Al粉を準備する。
4−2)3−2)で得られた粒状TiN層で被覆されたcBN粉末(比較インサート17、18用)と3−3)で得られた粒状TiN層を有していないcBN粉末(比較インサート10〜16用)を4−1)にて準備した結合材用の原料粉末と表1に示した配合割合になるように秤量し、超硬製容器内で均一に湿式混合した。
4−3)得られた混合粉末を乾燥後、同条件下で油圧プレスにて成形圧1MPaで成形し成形体を得た。
4−4)成形体を真空中1Pa以下、温度1000℃、保持時間30分の条件で熱処理し、脱ガスした。
4−5)成形体と超硬合金基材を積層し、圧力5.5GPa、温度1400℃、保持時間30分の条件で超高圧高温処理し、比較インサート10〜18用のcBN焼結体を得た。
cBN粒子の含有割合の測定方法
上記で得た各cBN焼結体の断面組織を走査電子顕微鏡にて観察し、二次電子像を得る。得られた画像内のcBN粒子の部分を画像処理によりを抜き出し、画像解析によってcBN粒子が占める面積を算出する。得られたcBN粒子が占める面積を画像の総面積で除して面積比率を算出する。この面積比率をcBNの体積%とみなし、cBN粒子の含有割合を測定した。
上記については、走査電子顕微鏡の5,000倍と10,000倍において各3視野を上記方法にて処理した値の平均値を測定結果とした。その結果を表2に示す。
5)cBN焼結体の分析
2)および4)にて作製した焼結体の断面を研磨後、FIB(Focused Ion Beam)を用いて薄片加工し、TEM(Transmission Electron Microscopy)により体積平均径MVを求めるのに使用するため透過電子像を取得する。また、cBN粒界面から結合相に対して100nm以内を構成する結合相内の粒子の成分を特定するため、透過電子像を見た同視野にてEDX(Energy Dispersive X−ray Spectrometry)により元素マッピング像を取得する。
薄片の厚さは、30nm〜130nmが好ましい。30nmより薄いとハンドリングが困難であるためであり、130nmより厚いと像の解析が困難になるため好ましくない。観察倍率は、×200k〜×600k程度であって、結合相内の粒子が20個以上分かる倍率とする。透過電子像は、厚み方向に含まれる情報を投影する事から、2次元の画像から測定した各粒径Dから算出した体積平均径MVを平均径とする。
cBN粒界面から結合相方向に100nm以内を構成する結合相内の粒子の成分特定方法:
後述する体積平均径MVの算出に使用する同じ観察場所において、元素マッピング像を取得し、cBN粒界面から結合相に対して100nm以内を構成する結合相内の粒子の成分を特定する。
体積平均径MVの算出方法:
結合相内の粒子が20個以上分かる倍率の透過電子像からcBN粒界面から結合相に対して100nm以内を構成する結合相内の粒子の粒径Dmn[単位:nm]を20個以上測定する。
(m:観察場所数、n:測定粒子数)
・測定する粒径Dmnは粒子の最長軸の直径とする。
・100nmの範囲内に粒の一部分が含まれる粒も算出に含める。
・体積Vmnの算出は、測定した各粒径Dmnより、次式より算出する。
体積Vmn=(4/3)π(Dmn/2)
・体積平均径MVmは、次式より算出する。
MVm=(v1・d1+v2・d2+・・・+vi・di+・・・+vm・dm)/(v1+v2+・・・+vi+・・・+vm)
・少なくとも5カ所以上観察し、各画像のMVmの平均値を算出し、その値をcBN粒界面100nm以内を構成する組織の体積平均径MVとする。
MV=(MV1+MV2+・・・+MVm)/m
以上のようにして、cBN粒界面から100nm以内の結合相組織内の構成粒子を特定するとともに、体積平均径MVを算出した。その結果を表2に示す。
6)インサートの作製
6−1)前記のようにして作製したcBN焼結体を各々ワイヤ放電加工機で所定寸法に切断する。
6−2)6−1)にて切断したcBN焼結体を、Co:5質量%、TaC:5質量%、WC:残りの組成およびISO規格CNGA120408のインサート形状を持ったWC基超硬合金製インサート本体のろう付け部(コーナー部)に質量%で、Cu:26%、Ti:5%、Ag:残りからなる組成を有するAg系ろう材を用いてろう付けする。
6−3)上下面および外周研磨にホーニング処理を施すことによりISO規格CNGA120408のインサート形状を持った本発明インサート1〜9および比較インサート10〜18を作製した。
前記のようにしてできた本発明インサート1〜9および比較インサート10〜18について、クロム鋼材SCr420(HRC58−62)を用いて、表3のような切削条件にて断続切削試験を行い、欠損を生じるまでの切削時間を確認した。その結果を表2に示す。
表2に示される結果から、本発明インサートは、立方晶窒化硼素と結合相とを含む焼結体を工具基体としており、立方晶窒化硼素の粒界面から結合相方向に100nm以内の領域に存在するTiの窒化物、炭化物、炭窒化物、硼化物、Alの窒化物、硼化物、酸化物およびこれらの2種以上の固溶体の中から選ばれる1種または2種以上と不可避不純物で構成され、かつ、体積平均径MVが10〜80nmの微細組織であることによって、高負荷な切削条件が要求される高硬度鋼の断続切削加工においても、欠損が生じにくいため、長期に亘りすぐれた切削性能を発揮した。
これに対して、本発明で規定する結晶相組織を有していない比較インサートでは、いずれも、焼結体内部で発生した微小クラックの伝搬により短時間で欠損等が発生するため、短時間で使用寿命に至ることは明らかである。
本発明の立方晶窒化硼素焼結体切削工具は、高負荷な切削条件が要求される高硬度鋼の断続切削加工において、すぐれた切削性能を長時間に亘って維持することが可能である。

Claims (2)

  1. 立方晶窒化硼素と結合相とを含む焼結体を工具基体とする立方晶窒化硼素焼結体切削工具において、
    前記立方晶窒化硼素の粒界面から結合相方向に100nm以内の領域に存在する結合相組織が、Tiの窒化物、炭化物、炭窒化物、硼化物、Alの窒化物、硼化物、酸化物およびこれらの2種以上の固溶体の中から選ばれる1種または2種以上と不可避不純物で構成され、かつ、体積平均径MVが10〜80nmの微細組織であることを特徴とする立方晶窒化硼素焼結体切削工具。
  2. 前記焼結体中の立方晶窒化硼素の含有割合が、50〜80体積%であることを特徴とする請求項1に記載の立方晶窒化硼素焼結体切削工具。
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