JP5969364B2 - Wc基超硬合金及び切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、WC基超硬合金及び切削工具に関する。特に、破壊靭性を改善し、耐欠損性を向上させたWC基超硬合金及び切削工具に関する。
従来、切削工具の基体として、WC粒子を主たる硬質相とし、これをコバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの鉄族金属を主成分とする結合相により結合したWC基超硬合金が利用されている(例えば、特許文献1〜3)。切削工具に求められる代表的な特性としては、耐摩耗性(例えば、耐クレータ摩耗性)、強度(例えば、坑折力)、靱性(例えば、耐欠損(耐チッピング)性)が挙げられる。特許文献1では、表面が微粒のWC粒子で構成され内部が粗粒のWC粒子で構成されたWC基超硬合金が記載され、表面のWC粒子を微細化し内部のWC粒子を粗粒化することで、強度と靱性を高めることを提案している。
近年、切削加工の高能率化が求められ、高速、高送り、高切込といった高負荷切削条件での加工が増加しており、加工中の工具刃先の温度上昇が著しく、また、加工中の工具刃先への負荷が増大している。そのため、切削工具において、耐欠損性の向上に対する要求が一層強くなっている。特許文献2では、チタン化合物ウイスカーを添加したWC基超硬合金が記載され、チタン化合物ウイスカーを硬質相中に存在させることで、耐欠損性を高めることを提案している。特許文献3では、WC基超硬合金からなる切削工具基体の表面に、特定の複合窒化物層からなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具が記載され、硬質被覆層が耐欠損性を発揮することで、工具に耐欠損性を付与することを提案している。
特開平7−197265号公報 特開平5−302136号公報 特開2008−100320号公報
しかしながら、従来の切削工具の基体(WC基超硬合金)は、耐欠損性の点で不十分であり、高能率加工の要求に応えるためには、更なる改善が望まれる。一般に、WC基超硬合金において、耐欠損性と耐摩耗性とはトレードオフの関係にあり、両者の特性を両立させることは難しい。例えば、WC基超硬合金の耐欠損性を高める手段として、超硬合金におけるWC粒子を粗粒にすることで、超硬合金自体の破壊靭性を高めることが考えられるが、WC粒子を粗粒にすると、硬度(耐摩耗性)が低下する。
また、特許文献2に記載するように、チタン化合物ウイスカーを添加することにより、耐欠損性を高めることも考えられるが、この場合、チタン化合物ウイスカーが存在することによって、耐欠損性以外の特性に悪影響を及ぼす虞がある。また、原料にチタン化合物ウイスカーを用いるため、コスト高を招く。一方、特許文献3に記載するように、耐欠損性を発揮する硬質被覆層により切削工具全体として耐欠損性を高めることも考えられる。しかし、硬質被覆層においても、耐欠損性と耐摩耗性との間にはトレードオフの関係があるし、硬質被覆層が摩耗して基体が露出すると、以後は、耐欠損性を確保できない。したがって、超硬合金自体の破壊靭性(耐欠損性)を高めることが重要な課題の一つになっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、破壊靭性を改善し、耐欠損性を向上させたWC基超硬合金を提供することにある。また、別の目的は、このWC基超硬合金を基体に用いた切削工具を提供することにある。
{WC基超硬合金}
本発明のWC基超硬合金は、WC粒子を主たるを硬質相とし、この硬質相が鉄族金属を主成分とする結合相により結合されてなる。表面側に平均粒径が1μm以下のWC粒子を硬質相とする微粒層と、内部側に平均粒径が2μm以上のWC粒子を硬質相とする粗粒層とを備え、微粒層の厚さが、200μm以上1000μm以下である。そして、微粒層中の結合相の含有量をa、粗粒層中の結合相の含有量をbとするとき、a<15質量%であり、かつ、0.6<a/b≦1.0を満たす。
本発明のWC基超硬合金によれば、表面側の微粒層と内部側の粗粒層との積層構造であり、微粒層の厚さ、微粒層及び粗粒層中の結合相の各含有量が所定の範囲内であることで、破壊靭性を改善し、耐欠損性を向上させることができる。
微粒のWC粒子を硬質相とする表面側の微粒層は、耐摩耗性に優れる反面、破壊靭性が低く耐欠損性に劣る。そこで、粗粒のWC粒子を硬質相とする破壊靭性の高い粗粒層を内部側に配置することで、耐欠損性を向上させることができる。また、粗粒のWC粒子を硬質相とする粗粒層は微粒のWC粒子を硬質相とする微粒層に比較して熱伝導率が高く、内部側に粗粒層を配置することで、加工中に刃先表面で発生した熱を内部側に放熱し易くして、耐熱性を改善する。これにより、温度上昇に伴う硬度や破壊靭性の低下が抑制される。微粒層におけるWC粒子の粒径は、0.9μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましい。WC粒子を微粒にし過ぎると靱性が著しく低下する(即ち加工中に欠損(チッピング)が発生し易くなる)ことから、微粒層におけるWC粒子の粒径の下限としては、0.1μm以上が好ましく、0.5μm超がより好ましい。一方、粗粒層におけるWC粒子の粒径は、3μm以上が好ましく、3.5μm以上がより好ましい。WC粒子を粗粒にし過ぎると強度(抗折力)が著しく低下する(即ち加工中に切削応力により破損が発生し易くなる)ことから、粗粒層におけるWC粒子の粒径の上限としては、5μm以下が好ましく、4μm未満がより好ましい。
微粒層の厚さが200μm未満では、加工中に微粒層が摩耗して粗粒層が露出し易く、微粒層による耐摩耗性の確保が困難である。一方、微粒層の厚さが1000μm超では、粗粒層による耐欠損性の向上効果が得られ難い。微粒層の厚さの下限は、250μm超が好ましく、270μm以上がより好ましく、上限は、600μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましい。
さらに、粗粒層中の結合相の含有量bが微粒層中の結合相の含有量aに比較して同等以上(即ちa/b≦1.0)、特に多い(即ちa/b<1.0)ことで、内部側の粗粒層の熱膨張係数を表面側の微粒層よりも高くすることができる。これにより、超硬合金作製時(焼結後)において微粒層に圧縮方向の残留応力を付与することができ、耐欠損性がより向上する。一方、微粒層及び粗粒層中の結合相の含有量の比(a/b)が0.6以下では、焼結後に両者の熱膨張係数差による残留応力に起因して亀裂や剥離が発生する虞がある。その他、微粒層及び粗粒層中の結合相の含有量の比(a/b)が0.6以下となるように調整した場合、焼結中に両層間で結合相の移動が生じ易く、移動が生じると、所望の特性が得られないなど性能低下を引き起こす虞がある。加えて、表面側の微粒層、特に微粒層と粗粒層との界面付近に結合相が凝集して粗大な結合相の塊が生成され易く、これが欠損の起点となり易いため、耐欠損性が著しく低下する虞がある。また、微粒層中の結合相の含有量aが15質量%以上では、硬度(耐摩耗性)が低下し、表面側に微粒層を配置する効果が小さく、加えて、結合相の含有量が増加すると、硬度低下による刃先の塑性変形によって切削抵抗が高くなり、欠損に至り易い。微粒層中の結合相の含有量aを15質量%以上とすると、粗粒層中の結合相の含有量bが多くなり過ぎ、必要な剛性を確保できない虞がある。微粒層中の結合相の含有量aは、耐摩耗性を確保する観点から、10質量%未満が好ましく、8質量%未満がより好ましく、7質量%未満が更により好ましい。一方、WC粒子の熱伝導率は結合相(鉄族金属)よりも高く、粗粒層中の結合相の含有量bは、耐熱性を高める観点から、10質量%未満が好ましい。微粒層及び粗粒層中の結合相の含有量の比(a/b)の下限は、0.7超が好ましく、0.75以上がより好ましく、上限は、1.0未満が好ましく、0.9以下がより好ましい。なお、微粒層及び粗粒層中の結合相の含有量の下限は、結合相としての機能を実現するため、いずれも2質量%以上が好ましく、靱性を確保する観点から、4質量%以上がより好ましい。超硬合金(微粒層及び粗粒層)におけるWC粒子の含有量は、WC粒子が少な過ぎると超硬合金としての性質を維持できないため、75〜98質量%が好ましい。
本発明のWC基超硬合金の一形態としては、周期表IVa、Va、VIa族の金属元素群から選択される少なくとも1種の元素、又は、金属元素群から選択される元素の炭化物、窒化物及び炭窒化物のうち少なくとも1種の化合物を添加物として含有してもよい。この場合、粗粒層中の添加物の含有量が10質量%以下であり、かつ微粒層中の添加物の含有量に対して0.4質量%以上多いことが挙げられる。
上記の添加物としては、元素:V、Cr、Ti、Ta、化合物:VC、Cr2C3、TiC、TaC、NbC、(Ta,Nb)C、TiCNなどが挙げられ、これらの元素や化合物は、焼結時においてWC粒子の粒成長を抑制する機能を有するものが多い。また、微粒層及び粗粒層中の添加物の含有量を調整することで、両者の熱膨張係数を変化させたり、その成分の一部が結合相に固溶するなどして、両者の結合相の融点を変化させることができる。具体的には、微粒層中の添加物の含有量に対して粗粒層中の添加物の含有量を0.4質量%以上多くすることが好ましい。例えば、微粒層中の添加物の含有量を1質量%未満とし、粗粒層中の添加物の含有量を1質量%以上とするなど、微粒層中の添加物の含有量に比較して粗粒層中の添加物の含有量を多くすることで、内部側の粗粒層の熱膨張係数を高くし、表面側の微粒層に圧縮方向の残留応力を付与することが可能である。しかし、粗粒層中の添加物の含有量が10質量%超では、両者の熱膨張係数差が大きくなり過ぎて焼結後に亀裂や剥離が発生したり、また、粗粒層の熱伝導率が低下して耐熱性が低下するなどの虞がある。微粒層中の添加物の含有量は、5質量%以下が好ましく、5質量%未満がより好ましく、1質量%未満が更により好ましい。一方、粗粒層中の添加物の含有量は、10質量%未満がより好ましく、6質量%未満が更により好ましい。微粒層と粗粒層との添加物の含有量の差は、5質量%未満が好ましい。
本発明のWC基超硬合金の一形態としては、微粒層の熱膨張係数をx、粗粒層の熱膨張係数をyとするとき、−1.0×10-6/K<x−y<0を満たすことが挙げられる。
微粒層と粗粒層との熱膨張係数の差(x−y)が所定の範囲内であることで、微粒層に圧縮残留応力を付与して耐欠損性の向上を図りながら、焼結後に亀裂や剥離が発生することを抑制できる。微粒層と粗粒層との熱膨張係数は、例えば、結合相や添加物の含有量を増やすことで、高くすることができる。両者の熱膨張係数の差(x−y)は、−0.1×10-6/K以下がより好ましい。
本発明のWC基超硬合金の一形態としては、微粒層中のWC粒子の平均円形度をf、粗粒層中のWC粒子の平均円形度をgとするとき、0.6<f/g<1.0を満たすことが挙げられる。
WC粒子の円形度が高い、つまりWC粒子の形状が球形に近いほど、超硬合金自体の熱伝導率が高くなる傾向がある。これは、WC粒子が角張った形状ではなく、球形に近い丸みを帯びた形状であることで、熱伝導率の高いWC粒子同士の接触面積が増えることにより熱伝導性が向上することに起因すると考えられる。また、WC粒子の円形度が低い、つまりWC粒子が角張った形状であるほど、亀裂の進展抵抗が高くなる傾向がある。これは、超硬合金の表面から内部に向かって亀裂がWC粒子を迂回しながら結合相中を進展するため、WC粒子が角張った形状であることで単位体積当たりの結合相の表面積が増えることにより、亀裂の進展が抑制され耐欠損性が向上することに起因する。そこで、微粒層中のWC粒子の平均円形度fよりも粗粒層中のWC粒子の平均円形度gの方が高く、微粒層及び粗粒層中のWC粒子の平均円形度の比(f/g)が所定の範囲内であることで、表面側の微粒層の耐欠損性を高めながら、内部側の粗粒層の熱伝導率を高めることができ、耐熱性及び耐熱亀裂性がより向上する。両者の平均円形度の比(f/g)は、0.9以下がより好ましく、0.8以下が更により好ましい。また、粗粒層中のWC粒子の平均円形度gは、0.6以上が好ましく、0.7以上がより好ましい。
本発明のWC基超硬合金の一形態としては、微粒層中の結合相と粗粒層中の結合相との融点の差が±50℃以下であることが挙げられる。
微粒層及び粗粒層中の結合相の融点の差が所定の範囲内であることで、焼結中に結合相が相互に移動することを抑制でき、両者の結合相の含有量の比が変動することを防止し易い。ここで、焼結中に両層間で結合相の移動が生じた場合、上述したように、所望の特性が得られないなど性能低下を引き起こしたり、微粒層と粗粒層との界面付近に結合相が凝集した粗大な塊が生成され耐欠損性が著しく低下するなどの虞がある。
本発明のWC基超硬合金の一形態としては、微粒層の残留応力が−1.0GPa以上−0.1GPa以下であることが挙げられる。
微粒層の残留応力(引張方向が正、圧縮方向が負)が所定の範囲内であることで、耐欠損性の向上を図りながら、負の残留応力(圧縮残留応力)が大き過ぎることによる微粒層と粗粒層との界面での亀裂の発生を抑制することができる。微粒層の残留応力は、−0.5GPa以上がより好ましい。
{切削工具}
本発明の切削工具は、上記した本発明のWC基超硬合金からなる基体を備える。
本発明の切削工具によれば、上記した本発明のWC基超硬合金からなる基体を備えることで、破壊靱性が高く、優れた耐欠損性を発揮することができる。切削工具の具体例としては、刃先交換型切削チップ、バイト、エンドミル、ドリルなどが挙げられる。
切削工具において、基体の少なくとも一部、特に、刃先及びその近傍が微粒層と粗粒層との積層構造であり、すくい面側に微粒層が配置されていることが好ましい。基体全体が積層構造であってもよいし、例えば切削工具が切削チップの場合、刃先及びその近傍のみが積層構造で構成され、刃先及びその近傍以外の座面や取付孔近傍などの切削に関与しない部位が粗粒層又は微粒層のみで構成されていてもよい。基体全体が積層構造であれば製造し易い。具体的な積層構造としては、例えば、微粒層と粗粒層とが積層され、表面に微粒層、裏面に粗粒層が配置された断面二層構造や、粗粒層を挟むように微粒層が積層され、両面に微粒層が配置された断面三層構造が挙げられる。また、基体が直方体といった多角形体の場合、隣接する少なくとも2面に微粒層が配置された構造や、粗粒層を内包するように全面に微粒層が配置された構造であってもよい。
本発明の切削工具の一形態としては、基体の表面に硬質膜が被覆されていることが挙げられる。
基体表面に硬質膜が被覆されていることで、耐摩耗性の向上など特性を改善することができる。この硬質膜は、少なくとも刃先及びその近傍(具体的には、切削に作用する領域と切屑が接触する領域)に被覆することが好ましく、基体表面の全面に被覆してもよい。硬質膜は、単層でも多層でもよく、合計厚さは1〜20μmとすることが好ましい。硬質膜は、熱CVD法などの化学的蒸着法(CVD法)や、カソードアークイオンプレーティング法などの物理的蒸着法(PVD法)により形成することが可能である。CVD法は、成膜温度が比較的高いため、基体との密着性に優れる膜が得られるものの、成膜中の熱応力によって引張応力が残留して膜表面に亀裂が発生し易く、使用中にこの亀裂が基体にまで伝搬して、工具の耐欠損性を低下させる虞がある。また、成膜中の加熱により基体自体も損傷する虞がある。これに対してPVD法は、成膜温度が比較的低いため、成膜中に膜表面に亀裂が発生し難いことから、亀裂による欠損や成膜中の基体の損傷の虞が少なく、かつ、得られた膜は、圧縮残留応力が付与されるため、耐欠損性に優れると共に、高硬度で耐摩耗性に優れる。
一般に、PVD法により形成した硬質膜は、CVD法により形成した硬質膜と比較して、基体との密着性に劣る傾向がある。そこで、基体との密着性を高めるために、硬質膜を形成する前処理として、基体表面にイオンボンバーメント処理を施して、基体表面をクリーニングすることが好ましい。特に、金属(例、Ti)をイオン化した金属イオンボンバーメント処理よりも、希ガス(例、Ar)をイオン化したガスイオンボンバーメント処理の方が、クリーニング性が高く、密着性をより高められる点で好ましい。
イオンボンバーメント処理によるクリーニング条件としては、例えば、処理時間:10〜60分、バイアス電圧:−500〜−1500Vとすることが挙げられる。一方、PVD法による成膜条件としては、例えば、基体温度:400〜600℃、バイアス電圧:−10〜−200V、雰囲気圧力:0.5〜5Paとすることが挙げられる。
本発明のWC基超硬合金は、表面側の微粒層と内部側の粗粒層との積層構造であり、微粒層の厚さ、微粒層及び粗粒層中の結合相の各含有量が所定の範囲内であることで、破壊靭性を改善し、耐欠損性を向上させることができる。本発明の切削工具は、上記した本発明のWC基超硬合金を基体に用いたことで、破壊靭性が高く、優れた耐欠損性を発揮することができる。
本発明のWC基超硬合金は、硬質相となるWC粒子や結合相となる鉄族金属などの原料粉末の用意→原料粉末の混合→成形→焼結という工程により製造することができる。例えば、WC粒子の平均粒径や原料粉末の混合比などが異なる微粒層用混合粉末と粗粒層用混合粉末とを作製し、表面側に微粒層用混合粉末、内部側に粗粒層用混合粉末を積層して一体に成形した後、得られた積層成形体を焼結することで製造できる。または、微粒層用混合粉末を成形した微粒層成形体と、粗粒層用混合粉末を成形した粗粒層成形体とを作製し、表面側に微粒層成形体、内部側に粗粒層成形体を積層した状態で一体に焼結することで製造できる。特に、微粒層用混合粉末と粗粒層用混合粉末とを一体に成形した積層成形体を焼結すると、微粒層と粗粒層とが密着し、微粒層と粗粒層とを強固に接合させ易い。
微粒層には、原料粉末として、WC粒子の平均粒径が1μm以下のWC粉末を用い、粗粒層には、WC粒子の平均粒径が2μm以上のWC粉末を用いることが挙げられる。WC粉末は、市販のものや、市販のものを所定の粒径となるように粉砕したものを用いることができる。また、WC粉末は、粒成長抑制剤が添加されたものを用いてもよい。
WC粒子の円形度は、原料粉末の混合条件によって影響を受け易い。具体的には、混合時間が長くなると、原料粉末のWC粒子が粉砕されて、角張った形状のWC粒子が生成され易く、WC粒子の円形度が低下する傾向がある。そこで、混合時間を短くすることで、WC粒子が粉砕されることを抑制し、WC粒子の粒径や円形度を維持し易くなる。
また、混合工程で解砕も同時に行うのではなく、解砕と混合とを分けて行い、解砕・混合工程において、原料粉末に投入される総エネルギー量を少なくすることによっても、WC粒子が粉砕されることを抑制することができる。具体的には、原料粉末をエタノールやアセトンなどの有機溶媒中に分散させたスラリーを撹拌して、スラリー中で凝集した粉末を解砕する解砕工程と、解砕工程を経たスラリーを撹拌して、原料粉末を混合する混合工程とのうち、少なくとも一方で、アトライター又は衝突型ジェットミルを使用しないことが挙げられる。そして、両工程において原料粉末に投入される総エネルギー量を所定値以下とするため、[解砕工程・混合工程]での撹拌手段の組み合わせを、[弱撹拌・強撹拌]、[強撹拌・弱撹拌]、[弱撹拌・弱撹拌]のいずれかとする。「強撹拌」とは、フィッシャー径が0.4μmのWC粒子からなる1kgの粉末を、フィッシャー径が0.2μmのWC粒子からなる粉末となるまで撹拌したときに、撹拌のために投入された積算電力値が2.0kWh/kg以上をいい、「弱撹拌」とは積算電力値がそれ未満をいう。アトライターや衝突型ジェットミルは単位時間当たりのエネルギー量が非常に大きく、上記した積算電力値を短時間で容易に超えるため、強撹拌手段に分類される。これに対して、単孔型ジェットミルや超音波ホモジナイザー、サイクロンミルなどのメディアレスの場合は弱撹拌手段に分類される。また、メディアを用いる撹拌手段であっても、ボールミルやビーズミルは単位時間当たりのエネルギー量がアトライターなどに比較して小さく、弱撹拌手段に分類される。但し、ボールミルなどであっても長時間に及ぶと、強撹拌に該当する可能性があるが、ここでは解砕工程と混合工程とに分けることにより、各工程での処理時間は短い。そのため、ここでは、ボールミルなどは弱撹拌手段に分類される。
[実施例]
表面側に微粒のWC粒子を硬質相とする微粒層と、内部側に粗粒のWC粒子を硬質相とする粗粒層とを備え、微粒層と粗粒層とが積層されたWC基超硬合金を基体に用いた切削工具を作製し、その評価を行った。
{実施例1}
(試料の作製)
微粒層用の原料粉末として、平均粒径が0.8μmのWC粉末(硬質相)と、Co粉末(結合相)と、Cr3C2粉末(添加物)とを用意した。これら粉末を質量割合でWC粉末:Co粉末:Cr3C2粉末=93.6:6:0.4となるように配合し、これをボールミルで10〜72時間、湿式混合して造粒し、微粒層用混合粉末を作製した。また、粗粒層用の原料粉末として、平均粒径が3.5μmのWC粉末と、Co粉末と、Cr3C2粉末とを用意した。これら粉末を質量割合でWC粉末:Co粉末:Cr3C2粉末=91.8:7:1.2となるように配合し、これをボールミルで10〜72時間、湿式混合して造粒し、粗粒層用混合粉末を作製した。なお、ここでいう「平均粒径」とは、WC粉末におけるWC粒子の体積基準での累積分布の50%に相当する粒径(D50)のことである。
次に、粗粒層用混合粉末を金型に給粉した後、その上から微粒層用混合粉末を金型に給粉し、100MPaの圧力でプレス成形して、積層成形体を作製した。この例では、ISO規格SNGN120408の切削チップ形状にプレス成形した。この積層成形体を真空雰囲気で1400℃×60分間焼結して、微粒層と粗粒層とが断面二層構造となるように積層されたWC基超硬合金チップを作製した。
そして、微粒層用及び粗粒層用の混合粉末の給粉量を変更して、微粒層の厚さを変化させたWC基超硬合金チップを作製し、表1、2に示す試料No.1-1〜1-5を得た。
比較として、微粒層用混合粉末のみを用いた以外は同様にして、微粒層のみからなる単層構造の、即ち微粒のWC粒子を硬質相とするWC基超硬合金チップを作製し、これを試料No.1-0とした。
(試料の評価)
得られた各試料について、微粒層及び粗粒層におけるWC粒子の平均粒径、微粒層の厚さ、微粒層及び粗粒層中の結合相と添加物の各含有量を測定した。また、微粒層及び粗粒層の熱膨張係数、微粒層及び粗粒層中のWC粒子の平均円形度、微粒層及び粗粒層中の結合相の融点、微粒層の残留応力を測定した。但し、単層構造の試料No.1-0については、表面から深さ300μmの部位を微粒層、残る部位を粗粒層と仮定し、微粒層の厚さ以外を測定した。
〈微粒層及び粗粒層におけるWC粒子の平均粒径〉
微粒層及び粗粒層におけるWC粒子の平均粒径は、超硬合金チップを切断し、その断面をラッピングしてSEM(Scanning Electron Microscope)により撮像し、そのSEM像を画像解析することにより測定した。この例では、微粒層及び粗粒層の各切断面について、倍率5000倍のSEM像(計3視野)を画像解析ソフト(株式会社マウンテック製Mac-View)に取り込み、1視野につき無作為に抽出した30個以上のWC粒子について粒径(等面積円相当径)を測定し、その平均値とした。なお、各試料において、WC粒子の平均粒径は、原料粉末のWC粒子の平均粒径と略同じであった。
〈微粒層の厚さ〉
微粒層の厚さは、超硬合金チップの切断面を光学顕微鏡やSEMなどを用いて表面(微粒層)側から観察し、超硬合金中のWC粒子の平均粒径が2μm以上となるまでの表面からの距離を測定することにより求めた。この例では、任意の3箇所について測定し、その平均値とした。
〈微粒層及び粗粒層中の結合相と添加物の各含有量〉
微粒層及び粗粒層中の結合相(Co)と添加物(Cr)の各含有量は、微粒層及び粗粒層の各切断面を、EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)により分析することにより求めた。その他、ICP‐AES(Inductivery Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry)やEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)などにより測定することも可能である。なお、各試料において、微粒層及び粗粒層中の結合相(Co)と添加物(Cr)の各含有量はいずれも、原料粉末(Co粉末及びCr3C2粉末)の配合割合と略同じであった。
以上のようにして測定した各試料の測定結果(微粒層及び粗粒層におけるWC粒子の平均粒径(μm)、微粒層の厚さ(μm)、微粒層及び微粒層中の結合相の含有量a,b(質量%)、結合相の含有量の比(a/b)、微粒層及び微粒層中の添加物の含有量(質量%))を表1に示す。
〈微粒層及び粗粒層の熱膨張係数〉
微粒層及び粗粒層の熱膨張係数は、微粒層と粗粒層のそれぞれの部位から縦×横×厚さが4mm×10mm×0.1〜2mm程度の試験片を切り出し、各試験片について熱機械分析装置(TMA;Thermal Mechanical Analysis)を用いて測定することにより求めた。具体的には、厚さが厚い試験片(厚み1mm以上程度)に関しては、TMAの圧縮プローブを用いて試料に圧縮荷重をかけながら測定を行った。一方、圧縮プローブでの測定が難しい厚さが薄い試験片(厚み1mm以下)に関しては、TMAの引張プローブを用いて試料に引張荷重をかけながら測定を行った。
〈微粒層及び粗粒層中のWC粒子の平均円形度〉
微粒層及び粗粒層中のWC粒子の平均円形度は、上記したWC粒子の平均粒径の測定と同様に、微粒層及び粗粒層の各切断面をSEMにより撮像し、そのSEM像を画像解析することにより測定した。具体的には、微粒層及び粗粒層の各切断面について、倍率5000倍のSEM像(計3視野)を画像解析ソフト(株式会社マウンテック製Mac-View)に取り込み、1視野につき無作為に抽出した30個以上のWC粒子について円相当周長(円相当周長とは、等面積円相当径をRとするとき、πRで求められる周長のこと)と周長の実測値を測定し、円相当周長を実測の周長で除して円形度を求め、その平均値とした。
〈微粒層及び粗粒層中の結合相の融点〉
微粒層及び粗粒層中の結合相の融点は、微粒層と粗粒層のそれぞれの部位から縦×横×厚さが2mm×2mm×0.1mm程度の試験片を切り出し、各試験片についてTG‐DTA(Thermal Gravity-Differential Thermal Analysis)により測定することにより求めた。その他、DSC(Differential Scanning Calorimeter)などにより測定することも可能である。
〈微粒層の残留応力〉
微粒層の残留応力は、超硬合金チップの切断した断面を鏡面研磨し、800℃×1時間の熱処理を行った後、Cu‐Kα線を用いたXRD(X-Ray Diffraction)により測定した。微粒層の残留応力は、微粒層の厚さ中央部で、側面から1mmの位置で測定した。
以上のようにして測定した各試料の測定結果(微粒層及び粗粒層の熱膨張係数x,y(×10-6/K)、熱膨張係数の差(x−y)、微粒層及び粗粒層中のWC粒子の平均円形度f,g、平均円形度の比(f/g)、微粒層及び粗粒層中の結合相の融点(℃)とその差、微粒層の残留応力(GPa))を表2に示す。
〈耐欠損性〉
さらに、各試料を表面(微粒層)側がすくい面となるようにチップホルダーに取り付けて、以下の条件で断続切削試験を行い、各試料の耐欠損性を評価した。この例では、欠損に至るまでの時間を測定した。
〈切削条件〉
被削材:SCM435(4本溝入り)
切削速度:100m/min
送り量:0.4mm/rev
切込量:2.0mm
切削状態:湿式
Figure 0005969364
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耐欠損性評価の結果から、微粒層の厚さが200〜1000μmの範囲内である試料No.1-2〜1-4は、その範囲外である試料No.1-1,1-5及び単層構造の試料No.1-0に比較して、欠損までの時間が長く(13分以上)、耐欠損性に優れることが分かる。中でも、微粒層の厚さが300〜600μmの試料No.1-2,1-3は、欠損までの時間が14分以上、特に16分以上であり、試料No.1-4よりも耐欠損性に優れていた。
{実施例2}
微粒層用又は粗粒層用の原料粉末に用いるWC粉末の平均粒径を変更した以外は実施例1の試料No.1-2と同様にして、微粒層又は粗粒層におけるWC粒子の平均粒径を変化させたWC基超硬合金チップを作製し、表3,4に示す試料No.2-1〜2-4を得た。そして、得られた各試料について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3,4に示す。
Figure 0005969364
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耐欠損性評価の結果から、微粒層におけるWC粒子の平均粒径が1μm以下で、かつ、粗粒層におけるWC粒子の平均粒径が2μm以上の範囲内である試料No.2-1,2-4は、その範囲外である試料No.2-2,2-3に比較して、欠損までの時間が長く、耐欠損性に優れることが分かる。中でも、粗粒層におけるWC粒子の平均粒径が3μm以上の試料No.2-1は、試料No.2-4よりも耐欠損性に優れていた。
{実施例3}
微粒層用又は粗粒層用の混合粉末におけるCo粉末(結合相)の配合割合を変更した以外は実施例1の試料No.1-2と同様にして、微粒層又は粗粒層中の結合相(Co)の含有量を変化させたWC基超硬合金チップを作製し、表5,6に示す試料No.3-1〜3-6を得た。そして、得られた各試料について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表5,6に示す。
Figure 0005969364
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耐欠損性評価の結果から、微粒層中の結合相の含有量が15質量%未満で、かつ、微粒層及び粗粒層中の結合相の含有量の比(a/b)が0.6超1.0以下の範囲内である試料No.3-1,3-2,3-4,3-5は、その範囲外である試料No.3-3,3-6に比較して、欠損までの時間が長く、耐欠損性に優れることが分かる。また、結合相の含有量の比(a/b)が0.6以下の試料No.3-3について、切断面を光学顕微鏡で観察したところ、表面側の微粒層に結合相の塊が多数確認された。このことから、試料No.3-3は、結合相の塊が欠損の起点となって耐欠損性が低下したものと考えられる。一方、微粒層中の結合相の含有量が15質量%超の試料No.3-6では、硬度低下による刃先の塑性変形によって切削抵抗が増大したことが、欠損の原因と考えられる。さらに、微粒層及び粗粒層中の結合相の含有量を変化させることで、両者の熱膨張係数が変化することや、両者の熱膨張係数を異ならせることで、微粒層の残留応力が変化することが分かる。例えば、表面側の微粒層と内部側の粗粒層の熱膨張係数の差を大きくすれば、微粒層に付与される残留応力が大きくなる傾向がある。
{実施例4}
微粒層用又は粗粒層用の混合粉末の混合時間を変更した以外は実施例1の試料No.1-2と同様にして、微粒層又は粗粒層中のWC粒子の平均円形度を変化させたWC基超硬合金チップを作製し、表7,8に示す試料No.4-1〜4-3を得た。そして、得られた各試料について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表7,8に示す。
Figure 0005969364
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耐欠損性評価の結果から、微粒層及び粗粒層中のWC粒子の平均円形度の比(f/g)が0.6超1.0未満の範囲内である試料No.4-1,4-2は、その範囲外である試料No.4-3に比較して、欠損までの時間が長く、耐欠損性に優れることが分かる。また、平均円形度の比(f/g)が0.8以下の試料No.4-1,4-2は、欠損までの時間が20分以上であり、試料No.1-2よりも耐欠損性に優れていた。
{実施例5}
微粒層用又は粗粒層用の混合粉末におけるCr3C2粉末(添加物)の配合割合を変更した以外は実施例1の試料No.1-2と同様にして、微粒層又は粗粒層中の添加物(Cr)の含有量を変化させたWC基超硬合金チップを作製し、表9,10に示す試料No.5-1〜5-5を得た。そして、得られた各試料について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表9,10に示す。
Figure 0005969364
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耐欠損性評価の結果から、粗粒層中の添加物の含有量が10質量%以下の範囲内である試料No.5-1,5-2,5-4,5-5は、耐欠損性に優れることが分かる。中でも、微粒層中の添加物の含有量に比較して粗粒層中の添加物の含有量が多い(具体的には0.4質量%以上多い)試料No.5-1,5-2及び試料No.1-2は、試料No.5-4,5-5よりも耐欠損性に優れていた。一方、粗粒層中の添加物の含有量が10質量%超の試料No.5-3は、焼結後に亀裂が発生したため、耐欠損性の評価を行っていない。この亀裂は、微粒層と粗粒層の熱膨張係数差に起因する残留応力が大きいため、発生したものと考えられる。さらに、微粒層及び粗粒層中の添加物の含有量を変化させることで、両者の熱膨張係数や結合相の融点が変化することや、両者の熱膨張係数を異ならせることで、微粒層の残留応力が変化することが分かる。例えば、表面側の微粒層の熱膨張係数よりも内部側の粗粒層の熱膨張係数を高くすれば、微粒層に負の残留応力(圧縮残留応力)が付与される傾向があり、逆にすれば、微粒層に正の残留応力(引張残留応力)が付与される傾向がある。また、添加元素の含有量の増加に伴い、結合相の融点が低下する傾向がある。
{実施例6}
微粒層用又は粗粒層用の原料粉末における添加物として、Cr3C2粉末に変えてTaC粉末又はTiC粉末を用いた以外は実施例1の試料No.1-2と同様にして、微粒層及び粗粒層中にTa又はTiを添加物として含有するWC基超硬合金チップを作製し、表11,12に示す試料No.6-1(添加物:TaC),6-2(添加物:TiC)を得た。そして、得られた各試料について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表11,12に示す。
Figure 0005969364
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耐欠損性評価の結果から、添加物としてTa又はTiを含有する試料No.6-1,6-2は、Crを含有する試料No.1-2と同様に、耐欠損性に優れることが分かる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
本発明のWC基超硬合金は、切削工具の基体に好適に利用することが可能である。また、本発明の切削工具は、例えば鋼材の断続切削加工に好適に利用することが可能である。

Claims (8)

  1. WC粒子を主たる硬質相とし、この硬質相が鉄族金属を主成分とする結合相により結合されたWC基超硬合金であって、
    表面側に平均粒径が0.8μm以下のWC粒子を硬質相とする微粒層と、
    内部側に平均粒径が2.6μm以上のWC粒子を硬質相とする粗粒層とを備え、
    前記微粒層の厚さが、300μm以上1000μm以下であり、
    前記微粒層中の前記結合相の含有量をa、前記粗粒層中の前記結合相の含有量をbとするとき、a≦13質量%であり、かつ、0.63≦a/b≦0.87を満たすWC基超硬合金。
  2. 周期表IVa、Va、VIa族の金属元素群から選択される少なくとも1種の元素、又は、前記金属元素群から選択される元素の炭化物、窒化物及び炭窒化物のうち少なくとも1種の化合物を添加物として含有し、
    前記粗粒層中の前記添加物の含有量が8質量%以下であり、かつ前記微粒層中の前記添加物の含有量に対して0.8質量%以上多い請求項1に記載のWC基超硬合金。
  3. 前記微粒層の熱膨張係数をx、前記粗粒層の熱膨張係数をyとするとき、−0.8×10 -6 /K≦x−y≦−0.1×10 -6 /Kを満たす請求項1又は請求項2に記載のWC基超硬合金。
  4. 前記微粒層中の前記WC粒子の平均円形度をf、前記粗粒層中の前記WC粒子の平均円形度をgとするとき、0.67≦f/g≦0.84を満たす請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のWC基超硬合金。
  5. 前記微粒層中の結合相と前記粗粒層中の結合相との融点の差が−20℃以上50℃以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のWC基超硬合金。
  6. 前記微粒層の残留応力が−1.3GPa以上−0.1GPa以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のWC基超硬合金。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のWC基超硬合金からなる基体を備える切削工具。
  8. 前記基体の表面に硬質膜が被覆されている請求項7に記載の切削工具。
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