JP6762179B2 - 浴中機器用部材 - Google Patents

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本発明は、浴中機器用部材に関する。
鋼板等の金属材の表面に、亜鉛等の金属を用いてめっきを施す場合、めっきに用いる金属が溶融している浴内に金属材を緊張した状態で連続的に移送する製造方法が用いられることが多い。この場合、金属材をスナウトから溶融金属浴槽に投入し、浴中でシンクロールの周囲を搬送しつつ、サポートロールによって浴槽から引き上げるという工程が採用されることが多い。
このようなシンクロールやサポートロールの軸や軸受は、常に溶融金属に曝された状態で摺動されるため、激しく摩耗していく。そのため、シンクロールやサポートロールの軸や軸受などといった浴中機器用部材には、優れた耐摩耗性が求められる。そこで、従来、浴中機器用部材の耐摩耗性を向上させるために、様々な技術が開発されてきた。
例えば、以下の特許文献1では、金属材料の表面に、コバルト(Co)基合金と、タングステンカーバイド、クロムカーバイド、チタンカーバイド、ニオブカーバイドの少なくとも1種類と、を含む被覆層を熱間静水圧(Hot Isostatic Pressing:HIP)処理により形成する技術が開示されている。
また、以下の特許文献2では、特定の粒径を有する球状のタングステンカーバイド硬質粒子を用いるとともに遠心鋳造法によるライニング方法を採用することで相手攻撃性を低減させた、遠心鋳造用炭化タングステン複合ライニング材が開示されている。
また、以下の特許文献3では、タングステンカーバイドのマトリックスとしてNi系自溶性合金を用い、熱間静水圧処理により部材を被覆することによって耐蝕耐摩耗性を向上させた耐蝕耐摩耗性摺動部材が開示されている。
特開平7−268648号公報 特開平7−290186号公報 特開2000−266055号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載されている遠心鋳造法では、製造される部材の特性に未だ改善の余地があった。
また、上記特許文献1及び特許文献3で用いられるHIP処理材は、緻密かつ均質な構造を有するため、溶射皮膜や肉盛に対して優れた耐摩耗性を示す一方で、空隙の発生につながるため各種カーバイド等の硬質粒子の添加量には限界がある。そのため、生産性向上を目的とした連続使用期間の長期化に伴って、マトリックスの溶損により硬質粒子の脱落や突出が生じ、摩耗量や摩擦力が急激に増加するという問題が顕在化した。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、耐蝕性を更に向上させることが可能な、浴中機器用部材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、連続溶融金属めっき材製造装置における、操業に伴い少なくとも一部に摩耗が発生しうる溶融金属浴中機器に用いられる浴中機器用部材であって、前記浴中機器用部材は、当該浴中機器用部材における前記摩耗が発生しうる部位の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層を有し、前記被覆層は、硬質粒子と、当該硬質粒子を保持するマトリックスと、からなり、前記マトリックスは、質量%で、C:0.5%以上〜3%以下、Cr:15%以上〜30%以下、W:7%以上〜21%以下を含有し、残部がCo及び不純物からなるコバルト基合金であり、金属部と、析出したW又はCrを少なくとも1つ含む炭化物と、からなり、前記硬質粒子は、前記コバルト基合金中に含有される、タングステンカーバイド、炭化二タングステン、クロムカーバイド、チタンカーバイド及びニオブカーバイドからなる群より選択される少なくとも1つの単体、又は、バインダー当該単体とからなる粒状物である浴中機器用部材が提供される。
前記マトリックスは、質量%で、C:1%以上〜2%以下を含有することが好ましい。
前記マトリックスは、質量%で、Si:0.5%以上〜4%以下、B:0.5%以上〜4%以下、Ni:5%以上〜30%以下の少なくとも何れかを更に含有してもよい。
前記マトリックス中に析出している炭化物は、CoC、CoC、WC、WC、Cr236、Cr3、Crを主体とする炭化物であってもよい。
前記マトリックス中に析出している炭化物の含有量は、前記被覆層の全体体積に対して5体積%以上〜80体積%以下であってもよい。
前記硬質粒子の粒径は、0.001mm以上〜1mm以下であってもよく、0.02mm以上〜0.5mm以下であってもよい。
前記硬質粒子の含有量は、前記被覆層の全体体積に対して15体積%以上〜70体積%以下であってもよく、前記被覆層の全体体積に対して25体積%以上〜55体積%以下であってもよい。
前記浴中機器用部材は、シンクロール又はサポートロールの支軸もしくは軸受用の部材であり、前記被覆層の厚みは、1mm以上〜(前記支軸又は前記軸受の肉厚寸法)−7mm以下であることが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、コバルト基合金に含まれる炭素量を所定の範囲とすることで、耐蝕性を更に向上させることが可能となる。
連続溶融亜鉛めっき鋼板製造装置の構成を模式的に示した説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る浴中機器用部材の構成を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る被覆層の断面撮像画像の一例を示した説明図である。 HIP装置の一例を模式的に示した説明図である。 HIP装置の一例を模式的に示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
以下では、本発明の第1の実施形態に係る浴中機器用部材について、詳細に説明する。本実施形態に係る浴中機器用部材は、連続溶融金属めっき材製造装置における溶融金属浴中機器に用いられるものである。
なお、以下では、溶融金属めっき材の一例として溶融亜鉛めっき鋼板に着目し、連続溶融亜鉛めっき材製造装置における溶融亜鉛浴中機器を例に挙げて説明を行うものとする。しかしながら、本発明の実施形態に係る浴中機器用部材が、溶融亜鉛浴中に配設される浴中機器用部材に限定されるわけではない。
<連続溶融亜鉛めっき鋼板製造装置について>
本実施形態に係る浴中機器用部材について説明するに先立ち、浴中機器用部材が利用される連続溶融亜鉛めっき鋼板製造装置の全体構成について、図1を参照しながら簡単に説明する。図1は、連続溶融亜鉛めっき鋼板製造装置の構成を模式的に示した説明図である。
連続溶融亜鉛めっき鋼板製造装置は、図1に模式的に示したように、溶融亜鉛浴槽1と、スナウト2と、シンクロール3と、一対のサポートロール4と、を主に備える。
溶融亜鉛浴槽1には、通板される鋼板Sの表面に対してめっきを施すための溶融金属である亜鉛が、溶融した状態で保持されている。スナウト2は、鋼板Sを溶融亜鉛浴槽1に連続的に投入するための設備であり、窒素等といった不活性ガスが充填されている。シンクロール3及びサポートロール4は、それぞれ支軸5,6を有しており、支軸6は、モータ等の駆動源(図示せず。)に連結されて、図中の矢印方向に定速で回転駆動される。
また、図1に示したような連続溶融亜鉛めっき鋼板製造装置には、他に、インゴット投入装置、ドロス回収装置、ロール架台等といった各種の設備(図示せず。)が設けられている。
本実施形態に係る浴中機器用部材は、シンクロール3やサポートロール4の支軸5,6や軸受(図示せず。)などといった、溶融亜鉛浴槽1の内部に配設される浴中機器の部材として用いられるものである。
<浴中機器用部材について>
次に、本実施形態に係る浴中機器用部材について、図2及び図3を参照しながら、詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る浴中機器用部材の構成を模式的に示した説明図である。図3は、本実施形態に係る被覆層の断面撮像画像の一例を示した説明図である。
本実施形態に係る浴中機器用部材10は、図2に模式的に示したように、母材11と、母材11の表面の少なくとも一部に形成される被覆層13と、を備える。
母材11は、特に限定されるものではなく、シンクロール3やサポートロール4に求められる強度等の特性に応じて、公知の鋼材の中から適宜選択される。このような母材11として、例えばSUS316L等といった各種のステンレス鋼板を挙げることができる。
被覆層13は、母材11のうち、例えば軸や軸受の摺動部分などのように、浴中機器用部材10として、耐蝕性や耐摩耗性が要求される部分に少なくとも形成されている。また、被覆層13は、母材11の表面全体に形成されていてもよい。この被覆層13は、例えばHIP処理等の公知の方法により、母材11の所望の部分に形成される。
この被覆層13は、図3に示したように、(a)コバルト(Co)を主成分とするコバルト基合金15と、(b)コバルト基合金15中に含有される硬質粒子17と、を含む。ここで、本実施形態に係るコバルト基合金15は、硬質粒子17を保持するためのマトリックスとして機能するものである。また、本実施形態に係る浴中機器用部材10では、マトリックスであるコバルト基合金15中に、後述する炭化物が析出・分散している。
以下で詳述するような被覆層13は、母材11の表面に、1mm以上〜(浴中機器用部材の肉厚寸法)−7mm以下の厚みでHIP処理により形成することが好ましい。被覆層13の厚み(図2に示した厚さd)が1mm未満である場合には、被覆層13の耐久性が不足して十分な信頼性が得られない可能性があるため、好ましくない。また、被覆層13の厚みが(浴中機器用部材の肉厚寸法)−7mm超過である場合には、HIP処理の際に生じる内部応力により母材11が変形又は破断する可能性があるため、好ましくない。
以下、この被覆層13について、詳細に説明する。
[コバルト基合金15について]
Coを主成分とするコバルト基合金15は、硬質粒子17のマトリックスとして機能する合金である。このマトリックスは、以下の成分を含むものである。ここで、以下の成分表記において、%は質量%で表した金属換算量を意味している。なお、以下に示す成分は、後述する析出物を含んだ値である。
C:0.5%以上〜3%以下
Cr:15%以上〜30%以下
W:7%以上〜21%以下
また、マトリックスは、上記成分に加え、更に、Si:0.5%以上〜4%以下、B:0.5%以上〜4%以下、Ni:5%以上〜30%以下の少なくとも何れか一方を含んでいてもよく、残部は、Coと不可避的不純物である。
○C:0.5%以上〜3%以下
炭素(C)は、被覆層13の耐溶損性を向上させるために用いられる元素である。C量を0.5質量%以上〜3質量%以下とすることによって、硬質粒子17の近傍を中心に炭化物を析出させることが可能となり、被覆層13の耐溶損性を向上させ、耐蝕性の向上を図ることができる。他方、C量が0.5%未満である場合には、コバルト基合金15への炭化物の析出量が不足し、耐溶損性の向上を図ることが困難となるため、好ましくない。また、C量が3質量%超過である場合には、被覆層13の靭性が低下して、HIP処理の際に割れが発生する可能性があるため、好ましくない。
コバルト基合金15に含まれるC量は、1質量%以上であることが好ましい。C量が1質量%以上となることで、図3に示したように、硬質粒子17の近傍のみならず、コバルト基合金15の全体にわたって、均一に分散するように炭化物を析出させることが可能となり、被覆層13の耐溶損性を更に向上させて、耐蝕性を更に向上させることが可能となる。また、このような耐溶損性及び耐蝕性の向上効果は、C量が2質量%を超過すると飽和する傾向にあるため、C量の上限値は、好ましくは2質量%である。
○Cr:15%以上〜30%以下
クロム(Cr)は、被覆層13の耐蝕性を向上させるために用いられる元素である。Cr量(Cr換算量)を15質量%以上とすることによって、被覆層13の耐蝕性の向上と、Cr236、Cr3、Crを主体とする炭化物を析出させることとが可能となる。他方、Cr量が30質量%超過となる場合には、被覆層13の靭性が低下し、HIP処理の際に割れが発生する可能性があるため、好ましくない。
○W:7%以上〜21%以下
タングステン(W)は、被覆層13の強度を向上させるために用いられる元素である。W量を7質量%以上〜21質量%以下とすることによって、コバルト基合金15にCoC、CoC、WC、WCを主体とする炭化物を効果的に析出させることが可能となり、被覆層13の耐摩耗性を向上させることができる。他方、W量が7質量%未満である場合には、上記のような耐摩耗性の向上効果を十分に得ることができず、好ましくない。また、W量が21質量%超過である場合には、被覆層13の靭性が低下し、HIP処理の際に割れが発生する可能性があるため、好ましくない。
○Ni:5%以上〜30%以下
ニッケル(Ni)は、被覆層13の靭性を向上させるために用いられる元素である。Ni量を5質量%以上とすることによって、被覆層13の靭性を向上させることが可能となる。他方、Ni量が5質量%未満である場合には、上記のような靭性の向上効果を十分に得ることができず、好ましくない。また、Ni量が30質量%超過である場合には、被覆層13の溶融金属(溶融亜鉛)に対する耐蝕性が著しく低下する可能性があるため、好ましくない。
○Si:0.5%以上〜4%以下
ケイ素(Si)は、添加することによってコバルト基合金15の融点を例えば1100℃以下に低下させることが可能な元素である。Si量を0.5質量%以上とすることによって、このような融点の低下効果を得ることが可能となり、HIP処理の際に被覆層13の緻密性を更に向上させることが可能となる。他方、Si量が4質量%超過となる場合には、被覆層13の靭性が低下して、HIP処理の際に割れが発生する可能性があるため、好ましくない。
○B:0.5%以上〜4%以下
ホウ素(B)は、添加することによってコバルト基合金15の融点を例えば1100℃以下に低下させつつ、コバルト基合金15にホウ化物を効果的に析出させることで被覆層13の耐摩耗性を向上させることができる元素である。B量を0.5質量%以上とすることによって、このような効果を得ることが可能となり、HIP処理の際に被覆層13の緻密性を更に向上させつつ、耐摩耗性の向上を実現することが可能となる。他方、B量が4質量%超過となる場合には、被覆層13の靭性が低下して、HIP処理の際に割れが発生する可能性があるため、好ましくない。
以上、本実施形態に係るコバルト基合金15について、詳細に説明した。
<硬質粒子17について>
マトリックスであるコバルト基合金15には、硬質粒子17が添加される。この硬質粒子17は、タングステンカーバイド、炭化二タングステン、クロムカーバイド、チタンカーバイド及びニオブカーバイドからなる群より選択される少なくとも1つの単体、又は、NiやCo等のバインダーを用いて、上記単体を造粒したものである。
上記硬質粒子17のうち、タングステンカーバイド(WC)、炭化二タングステン(WC)、及びチタンカーバイド(TiC)は、被覆層13の耐摩耗性を向上させる硬質粒子であり、クロムカーバイド(Cr236、Cr3、Cr)は、被覆層13の内部応力を緩和させる硬質粒子である。また、上記硬質粒子17のうち、ニオブカーバイド(NbC)は、被覆層13の潤滑性を向上させる硬質粒子である。このような特性を有する硬質粒子17は、単独で使用することも可能であるが、組み合わせて使用することで、これらの特性が互いに重畳されて発現することとなる。
硬質粒子17の平均粒径は、0.001mm以上〜1mm以下であることが好ましい。平均粒径が0.001mm未満の場合には、硬質粒子17同士が凝集してしまい、マトリックスであるコバルト基合金15と均一に混合できない可能性があり、好ましくない。また、平均粒径が1mm超過である場合には、被覆層13の内部にポアが残存する可能性があり好ましくない。
硬質粒子17の平均粒径は、より好ましくは、0.02mm以上〜0.5mm以下である。平均粒径を0.02mm以上〜0.5mm以下とすることで、硬質粒子17のマトリックス中への分散性を良好に維持しつつ、被覆層13の耐蝕性及び耐摩耗性を良好に発揮させることが可能となる。
なお、硬質粒子17の平均粒径は、例えば原料段階で分級後にレーザ回折式粒子径分布測定法により測定する。
また、このような硬質粒子17の含有量は、被覆層13の全体体積に対して15体積%以上〜70体積%以下であることが好ましい。硬質粒子17の含有量が15体積%未満である場合には、マトリックスであるコバルト基合金15の面積率が高くなって耐蝕性が低下するとともに、被覆層13の耐摩耗性が不十分となるため、好ましくない。また、硬質粒子17の含有量が70体積%超過である場合には、被覆層13の施工時に割れが発生する可能性があるため、好ましくない。
硬質粒子17の含有量は、より好ましくは、被覆層13の全体体積に対して25体積%以上〜55体積%以下である。硬質粒子17の含有量に関して、含有量が少ないほど耐亀裂性に優れ、含有量が多いほど耐摩耗性に優れるというように、耐亀裂性と耐摩耗性とはトレードオフの関係にある。硬質粒子17の含有量を25体積%以上〜55体積%以下とすることで、耐亀裂性及び耐摩耗性の双方を効率的に発揮させることが可能となる。
なお、硬質粒子17として複数種類の化合物を添加する場合には、合計の含有量が上記の範囲内とすることが好ましい。
以上、本実施形態に係る硬質粒子17について、詳細に説明した。
<マトリックス中に析出・分散している炭化物について>
上述のように、本実施形態に係る浴中機器用部材10では、マトリックス中に、W又はCrを少なくとも含む炭化物が析出・分散しており、本実施形態に係るマトリックスは、金属部と、析出したW又はCrを少なくとも1つ含む炭化物と、からなる。より詳細には、マトリックス中に析出している炭化物は、例えば、CoC、CoC、WC、WC、Cr236、Cr3、Crを主体とする炭化物である。
上記のような炭化物がマトリックス中に析出・分散することで、被覆層13の耐蝕性を向上させることが可能となる。その結果、被覆層13の溶損を抑制することが可能となり、摩耗量や摩擦力の増加を効果的に抑制することが可能となる。マトリックス中に析出している炭化物の含有量は、被覆層13の全体体積に対して、5体積%以上〜80体積%以下であることが好ましい。炭化物の含有量が5体積%以上〜80体積%以下であることにより、被覆層13の溶損を更に抑制することが可能となり、摩耗量や摩擦力の増加を更に効果的に抑制することが可能となる。
以上、本実施形態に係るマトリックス中に析出・分散している炭化物について説明した。
<被覆層13の製造方法について>
続いて、以上説明したような被覆層13の製造方法について、図4A及び図4Bを参照しながら簡単に説明する。図4A及び図4Bは、HIP装置の一例を模式的に示した説明図である。
HIP処理は、図4A及び図4Bに示したような装置(HIP装置)を使用して行われる。HIP装置は、図4Aに例示したように、装置内部に、被処理品を収容するための圧力容器と、Moヒータと、が設けられており、加熱炉として構成されている。また、HIP装置は、装置に設けられた高圧シリンダによって、圧力容器とその内部を所定の圧力条件とすることができる。更に、HIP装置には、圧力容器内のガスを排気するための真空ポンプと、Arガスを導入するガス供給配管と、が取り付けられており、Arガス雰囲気において、HIP処理を実施することができる。
HIP処理では、まず、図4Bに例示したように、基材として用いられる母材11と金属カプセルとの間に形成される空間に対してマトリックスであるコバルト基合金15と硬質粒子17とからなる材料粉末を封入し、圧力容器に収容する。その後、Arガス雰囲気において、圧力1000〜1500kgf/cm、温度1050〜1250℃で1〜3時間処理される。なお、1kgfは、約9.8Nである。
このような処理を行うことで、本実施形態に係る浴中機器用部材を製造することが可能となる。
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明の実施形態に係る浴中機器用部材について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係る浴中機器用部材のあくまでも一例であって、本発明の実施形態に係る浴中機器用部材が、下記に示す実施例に限定されるわけではない。
(実験例)
上述した浴中機器部材の製造方法に従って、複数種類の軸スリーブを製造し、各々の軸スリーブを連続溶融金属めっき装置で使用して、比摩耗量及び摩擦係数の上昇に伴う鋼板スリップ発生の有無を評価した。本実験例において使用したCo基合金及び硬質粒子は、以下の表に示した通りである。
なお、下記の表において、硬質粒子の粒子径及び1次粒子径は、原料段階で分級後にレーザ回折式粒子径分布測定法により測定した。比摩耗量は、使用前後における浴中機器用部材の軸径の変化から算出した。
得られた結果を、以下の表に示した。
Figure 0006762179
Figure 0006762179
表1から明らかなように、本発明の比較例では、比摩耗量が大きかったり、母材が変形したり、施工時に割れが発生したり、鋼板スリップが発生したりしたが、本発明の実施例では、比摩耗量が小さく、鋼板スリップは発生しなかった。この結果は、本発明の実施例では、比摩擦量や摩擦係数の上昇が極めて良く抑制されていることを示しており、本発明の実施例に係る軸スリーブの耐蝕性が優れていることを示している。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
11 母材
13 被覆層
15 コバルト基合金
17 硬質粒子

Claims (10)

  1. 連続溶融金属めっき材製造装置における、操業に伴い少なくとも一部に摩耗が発生しうる溶融金属浴中機器に用いられる浴中機器用部材であって、
    前記浴中機器用部材は、当該浴中機器用部材における前記摩耗が発生しうる部位の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層を有し、
    前記被覆層は、硬質粒子と、当該硬質粒子を保持するマトリックスと、からなり、
    前記マトリックスは、質量%で、C:0.5%以上〜3%以下、Cr:15%以上〜30%以下、W:7%以上〜21%以下を含有し、残部がCo及び不純物からなるコバルト基合金であり、金属部と、析出したW又はCrを少なくとも1つ含む炭化物と、からなり、
    前記硬質粒子は、前記コバルト基合金中に含有される、タングステンカーバイド、炭化二タングステン、クロムカーバイド、チタンカーバイド及びニオブカーバイドからなる群より選択される少なくとも1つの単体、又は、バインダー当該単体とからなる粒状物である、浴中機器用部材。
  2. 前記マトリックスは、質量%で、C:1%以上〜2%以下を含有する、請求項1に記載の浴中機器用部材。
  3. 前記マトリックスは、質量%で、
    Si:0.5%以上〜4%以下
    B:0.5%以上〜4%以下
    Ni:5%以上〜30%以下
    の少なくとも何れかを更に含有する、請求項1又は2に記載の浴中機器用部材。
  4. 前記マトリックス中に析出している炭化物は、CoC、CoC、WC、WC、Cr23、Cr、Crを主体とする炭化物である、請求項3に記載の浴中機器用部材。
  5. 前記マトリックス中に析出している炭化物の含有量は、前記被覆層の全体体積に対して5体積%以上〜80体積%以下である、請求項4に記載の浴中機器用部材。
  6. 前記硬質粒子の粒径は、0.001mm以上〜1mm以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の浴中機器用部材。
  7. 前記硬質粒子の粒径は、0.02mm以上〜0.5mm以下である、請求項6に記載の浴中機器用部材。
  8. 前記硬質粒子の含有量は、前記被覆層の全体体積に対して15体積%以上〜70体積%以下である、請求項1〜7の何れか1項に記載の浴中機器用部材。
  9. 前記硬質粒子の含有量は、前記被覆層の全体体積に対して25体積%以上〜55体積%以下である、請求項8に記載の浴中機器用部材。
  10. 前記浴中機器用部材は、シンクロール又はサポートロールの支軸もしくは軸受用の部材であり、
    前記被覆層の厚みは、1mm以上〜(前記支軸又は前記軸受の肉厚寸法)−7mm以下である、請求項1〜9の何れか1項に記載の浴中機器用部材。
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