JP2013182779A - 電池の状態制御方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、電池の過充電及び過放電の発生を回避しつつ、電池をより有効に活用できる電池の状態制御方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】電池のOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいて推定したSOCが所定の上限値に達した場合に、OCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定を行い、この疑似的なSOCの推定に基づいて電池の使用を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電池の使用を制御する電池の状態制御方法及び装置に関するものである。
例えばハイブリッド自動車の電源システムでは、二次電池(以下、単に電池と呼ぶ)に蓄電された電力が車両駆動力用電動機の駆動電源として用いられる。電池は、電動機が回生発電したときの発電電力や、エンジンの回転に伴って発電する発電機の発電電力によって充電される。このようなシステムでは、電池の劣化を招くような過酷な使用状態とならないようにするために、電池の満充電に対する残存容量(SOC:State of Charge)を推定し、この推定されたSOCに基づいて電池の状態制御が行われる。具体的には、推定されたSOCに基づき、電池からの出力を得る電動機の出力制限や、電池の充電要求又は充放電禁止指令の生成などが行われる。
従来用いられているSOCを推定する方法として、下記の引用文献1には、電池の開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)に基づいてSOCを推定する方法、及び電池の電流積算値に基づいてSOCを推定する方法が挙げられている。また、下記の特許文献2には、電池のOCVに基づいて電池のSOCを推定するとともに、推定されたSOCに対して電流積算値に基づいて補正を加える方法が挙げられている。
特開2000−150003号公報 特開2000−306613号公報
上記のような従来方法では、推定精度を向上させるために種々の方策が採られているが、依然として100%の精度でSOCを推定できるわけではない。このため、推定されたSOCに誤差が含まれるものとして、電池の状態制御が行われる。例えば、推定誤差が±10%程度であると考えられる場合には、本来であれば0%〜100%の範囲で電池を使用したいところを、安全を考慮して20%〜80%程度の範囲で電池を使用するようにしている。この安全の幅を大きく取ると、使用範囲はさらに狭くなる。すなわち、従来方法では、電池の過充電及び過放電の発生を回避するために、電池を有効に活用できていない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電池の過充電及び過放電の発生を回避しつつ、電池をより有効に活用できる電池の状態制御方法及び装置を提供することである。
本発明に係る電池の状態制御方法は、電池のOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいてSOCを推定するとともに、該SOCが所定範囲の上限値又は下限値に達した場合に、OCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定を行い、疑似的なSOCの推定に基づいて電池の使用を制御する。
また、本発明に係る電池の状態制御装置は、電池のOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいてSOCを推定するとともに、該SOCが所定範囲の上限値又は下限値に達した場合に、OCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定を行い、疑似的なSOCの推定に基づいて電池の使用を制御する制御装置本体を備える。
本発明の電池の状態制御方法及び装置によれば、SOCが所定範囲の上限値又は下限値に達した場合に、OCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定を行い、疑似的なSOCの推定に基づいて電池の使用を制御するので、電池の過充電及び過放電の発生を回避しつつ、電池をより有効に活用できる。
本発明の実施の形態1による電池の状態制御方法を実施するための電池の状態制御装置を示すブロック図である。 図1の電池が放電されている際に制御装置本体が行う電池状態制御動作を示すフローチャートである。 図1の電池が充電されている際に制御装置本体が行う電池状態制御動作を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による電池の状態制御方法を実施するための電池の状態制御装置を示すブロック図である。図において、例えばハイブリッド自動車又は電気自動車等の車両1には、少なくとも1つの電池10と、スイッチング手段11と、車載機器12と、制御装置本体13とが搭載されている。
電池10は、複数の電池セル(例えばリチウムイオン電池等)が互いに直列及び/又は並列に接続された組電池により構成されている。この電池10は、スイッチング手段11を介して車載機器12に接続されている。
スイッチング手段11は、例えばリレー等により構成されており、制御装置本体13からの制御指令に応じて開成及び閉成される。スイッチング手段11が閉成されることで電池10が車載機器12に電気的に接続され、スイッチング手段11が開成されることで電池10が車載機器12から切り離される。
車載機器12には、電力消費機器12aと発電機器12bと充電器12cとが含まれている。電力消費機器12aは、例えば車両1の駆動用電動機等により構成されており、電池10の電力を消費するものである。発電機器12bは、例えば車両1の回生ブレーキ時に発電する回生発電機やオルタネータ等により構成されており、電池10に電力を供給するものである。充電器12cは、例えば充電スタンド等の外部電源2から交流電力を受けてこれを直流電力に変換して電池10に供給するものである。電池10は、電力消費機器12aの動作に応じて放電されるとともに、発電機器12b及び充電器12cの動作に応じて充電される。制御装置本体13からの制御指令に応じて、電力消費機器12a、発電機器12b及び充電器12cの動作が制御される。
制御装置本体13は、例えば所定のプログラムに応じて動作するコンピュータ等により構成されており、本実施の形態の電池の状態制御装置を構成している。制御装置本体13は、周知のように電池10の開放電圧(OCV: Open Circuit Voltage)(V)及び電流積算値(A)の少なくとも一方に基づいて電池10の満充電に対する残存容量(SOC:State of Charge)(%)を推定する。
制御装置本体13には、電池10の劣化を招くような過酷な使用状態とならないようにするために、SOCの範囲が予め設定されている。この範囲内にSOCが収まっているときは、上述のように推定されたSOCに基づいて、電池10の使用を制御する。具体的には、当該SOCに基づいて、電池からの出力を得る電動機の出力制限や、電池の充電要求又は充放電禁止指令の生成などが行われる。このようなOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいて推定されたSOCに基づく制御を通常制御と呼ぶこととする。なお、SOCの範囲は20%〜80%程度に設定されている。本来であれば0%〜100%の範囲で電池10を使用したい場合でも、OCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づくSOCに含まれる推定誤差を考慮して、上記のような範囲とされている。
ここで、電池10の電圧指標としては、上述のようなOCVの他に、下記の式(1)により表すことができる閉回路電圧(CCV:Closed circuit voltage)(V)がある。但し、Iは充放電電流(A)であり、Rは内部抵抗(Ω)である。
CCV=OCV+I×R ・・・式(1)
電池10が放電されているときは、Iが負の値になるため、CCVはOCVよりも必ず小さくなる。すなわち、OCVとSOCとの関係を示す表や関数式等のOCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いれば、CCVに基づくSOC(以下、擬似的なSOCと呼ぶ)は、電池10の放電時には、OCVに基づくSOCよりも必ず低い値になる。また、電池10が充電されているときは、Iが正の値になるため、CCVはOCVよりも必ず大きくなる。すなわち、擬似的なSOCは、電池10の充電時には、OCVに基づくSOCよりも必ず高い値になる。
従って、CCVを用いてSOCの擬似的な推定を行うとともに、このSOCの擬似的な推定に基づいて電池の使用を制御すれば、例えば放電時の下限値を0%に設定するとともに充電時の上限値を100%に設定する等、本来使用したい電池10の使用範囲となるように上限値及び下限値を設定したとしても、OCVに基づくSOCに換算すれば必ず安全な値に留まっていることになる。
制御装置本体13は、OCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいて推定されたSOCが所定範囲の上限値(例えば80%等。以下、この上限値を第1上限値と呼ぶ)又は下限値(例えば20%等。以下、この下限値を第1下限値と呼ぶ)に達した場合に、OCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定を行い、この疑似的なSOCの推定に基づいて電池の使用を制御する。
放電時の動作
SOCは、電池10の放電に応じて降下する。
制御装置本体13は、電池10が放電されている場合、疑似的なSOCの推定を開始した後に、OCVに基づくSOCが第1下限値(例えば20%)より小さい第2下限値(例えば0%)になると推定されるOCVの下限電圧よりもCCVが大きい状態か否かを判定し、CCVが下限電圧よりも大きい状態ではないと判定した場合に、スイッチング手段11を開成させて、電池10の使用を中止する。すなわち、制御装置本体13は、疑似的なSOCが第2下限値よりも大きい状態ではないと判定した場合に、電池10の使用を中止する。CCVが下限電圧より大きい状態(疑似的なSOCが第2下限値よりも大きい状態)ではないと判定される場合に電池10の使用を中止するのは、この状態を超えて電池10を使用すると、電池10の過放電を招く可能性が高くなるためである。
一方で、制御装置本体13は、CCVが下限電圧よりも大きい状態であると判定した場合には、電池10の使用を継続する。これは、OCVに基づくSOCに換算すれば安全な値に留まっていると考えられるためである。これにより、OCVに基づくSOCを用いて第1下限値までしか電池10を使用しない場合に比べて、電池に蓄えられたより多くのエネルギを利用でき、電池をより有効に活用できる。なお、推定誤差を考慮して第1下限値が20%等に設定されている場合、第2下限値は本来使用したい範囲の下限である0%等に設定される。OCVに基づくSOCが0%になると推定されるOCVの下限電圧は、例えば3V等である。
また、制御装置本体13は、疑似的なSOCの推定を開始した後であって、CCVが下限電圧よりも大きい状態か否かを判定する前に、CCVが下限電圧と等しい状態か否かを判定し、CCVが下限電圧と等しい状態であると判定した場合に、電池の放電を制限した上でCCVが下限電圧よりも大きい状態か否かを判定する。電池の放電を制限するとは、例えば駆動用電動機の回転数を下げる等、電力消費機器12aの動作を抑制することである。
電池の放電を制限した場合、上記の式(1)においてIの絶対値が小さくなるため、通常であればCCVは高くなる。上述のようにCCVが下限電圧と等しい状態のときに電池の放電を制限すると、CCVが下限電圧よりも大きくなることが期待される。このため、電池の放電を制限した後であれば、CCVが下限電圧よりも大きい状態か否かの判定を行っても肯定的な判定結果が得られ、可能な限り電池10の使用を継続でき、電池エネルギをより活用できる。
一方で、電池の放電を制限してもCCVが下限電圧よりも大きい状態とならない場合には、制御装置本体13は、スイッチング手段11を開成させて、電池10の使用を中止する。これは、過放電とならない範囲で電池エネルギを十分に利用できたと考えられるためである。
さらに、制御装置本体13は、電池10が放電されている場合、疑似的なSOCの推定を開始する前に、CCVが上述の下限電圧よりも大きい状態か否かを判定し、CCVが下限電圧よりも大きい状態ではないと判定した場合に、電池の放電を制限した上でCCVが下限電圧よりも大きい状態か否かを改めて判定し、CCVが下限電圧よりも大きい状態ではないと改めて判定した場合に、電池10の使用を中止する。この場合には、電池10が過放電に近い状態のため、疑似的なSOCの推定を行っても過放電を防止しつつ電池10のエネルギをさらに利用することが難しいためである。
充電時の動作
放電時はSOCが降下されるためCCVを所定の下限値と比較することが行われていたが、充電時はSOCが上昇されるため、CCVは所定の上限値と比較される。
すなわち、制御装置本体13は、電池10が放電されている場合、疑似的なSOCの推定を開始した後に、OCVに基づくSOCが第1上限値(例えば80%)より大きい第2上限値(例えば100%)になると推定されるOCVの上限電圧よりもCCVが小さい状態か否かを判定し、CCVが上限電圧よりも小さい状態ではないと判定した場合に、スイッチング手段11を開成させて、電池10の使用を中止する。すなわち、制御装置本体13は、疑似的なSOCが第2上限値よりも小さい状態ではないと判定した場合に、電池10の使用を中止する。CCVが上限電圧より小さい状態(疑似的なSOCが第2上限値よりも小さい状態)ではないと判定される場合に電池10の使用を中止するのは、この状態を超えて電池10を使用すると、電池10の過充電を招く可能性が高くなるためである。
一方で、制御装置本体13は、CCVが上限電圧よりも小さい状態であると判定した場合、電池10の使用を継続する。これは、OCVに基づくSOCに換算すれば安全な値に留まっていると考えられるためである。これにより、OCVに基づくSOCを用いて第1上限値までしか電池10を充電しない場合に比べて、より有効に電池10の容量を利用でき、電池10のエネルギをより有効に利用できる。なお、推定誤差を考慮して第1上限値が80%等に設定されている場合、第2上限値は本来使用したい範囲の上限である100%等に設定される。OCVに基づくSOCが100%になると推定されるOCVの上限電圧は、例えば4.1V等である。
また、制御装置本体13は、疑似的なSOCの推定を開始した後であって、CCVが上限電圧よりも小さい状態か否かを判定する前に、CCVが上限電圧と等しい状態か否かを判定し、CCVが上限電圧と等しい状態であると判定した場合に、電池の充電を制限した上でCCVが上限電圧よりも小さい状態か否かを判定する。電池の充電を制限するとは、例えば回生発電機による発電を抑制するか、又は回生発電機で発電された電力を他の機器により消費させる等、発電機器12bの動作抑制又は電力消費機器12aでの電力消費を行うことである。
電池の充電を制限した場合、上記の式(1)においてIの絶対値が小さくなるため、通常であればCCVは低くなる。上述のようにCCVが上限電圧と等しい状態のときに電池の充電を制限することで、CCVが上限電圧よりも小さくなることが期待される。このため、電池の充電を制限した後であれば、CCVが上限電圧よりも小さい状態か否かの判定を行っても肯定的な判定結果が得られ、可能な限り電池10の使用を継続でき、電池容量をより活用できる。
一方で、電池の充電を制限してもCCVが上限電圧よりも小さい状態とならない場合には、制御装置本体13は、スイッチング手段11を開成させて、電池10の使用を中止する。これは、過充電とならない範囲で電池10を十分に充電できたと考えられるためである。
さらに、制御装置本体13は、電池10が充電されている場合、疑似的なSOCの推定を開始する前に、CCVが上述の上限電圧よりも小さい状態か否かを判定し、CCVが上限電圧よりも小さい状態ではないと判定した場合に、電池の充電を制限した上でCCVが上限電圧よりも小さい状態か否かを改めて判定し、CCVが上限電圧よりも小さい状態ではないと改めて判定した場合に、電池の使用を中止する。この場合には、電池10が過充電に近い状態のため、疑似的なSOCの推定を行っても、過充電を防止しつつ電池10をさらに充電することが難しいためである。
次に、フローチャートを用いて、制御装置本体13の動作の具体例を説明する。図2は、図1の電池10が放電されている際に制御装置本体13が行う電池状態制御動作を示すフローチャートである。図において、電池10の放電が検出されると、電池10のOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいてSOCが推定されるとともに、この推定されたSOCに基づいて通常制御が行われる(ステップS1)。その次に、SOCの推定結果が予め設定された範囲の下限値である20%(第1下限値)に達したか否かが判定され(ステップS2)、20%に達していないと判定されると、通常制御が継続される。
これに対して、SOCの推定結果が20%に達したと判定されると、CCVが3Vよりも大きいか否かが判定される(ステップS3)。この判定に用いられる3Vは、OCVに基づくSOCが0%(第2下限値)になると推定されるOCVの下限電圧である。このとき、CCVが3Vよりも大きいと判定されると、OCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定が開始される(ステップS4)。
疑似的なSOCの推定が開始されると、CCVが3Vに等しい状態か否かが判定される(ステップS5)。このとき、CCVが3Vに等しい状態ではないと判定されると、CCVが3Vよりも大きい状態か否かが判定される(ステップS6)。この判定時に、CCVが3Vよりも大きい状態であるとさらに判定されると、これらステップS5,S6の判定動作が繰り返し行われつつ、電池10の使用が継続される。すなわち、CCVが3Vよりも大きい状態であると判定される限り電池10の使用が継続され、OCVに基づくSOCを用いて20%までしか電池10を使用しない場合に比べて、電池10の過放電を回避しつつ、より有効に電池エネルギが利用される。
ステップS6の判定時に、CCVが3Vよりも大きい状態ではないと判定されると、スイッチング手段11が開成されて電池10が車載機器12から切り離されることで、電池10の使用が中止される(ステップS7)。このように電池10の使用が中止されることで、電池10が過放電となることが回避される。なお、電池10の使用が中止された後に、電池10の充放電状態が切替えられた場合には(電池10の充電が開始された場合には)、スイッチング手段11が閉成されて電池10が発電機器12bに電気的に接続される。
また、ステップS5の判定時に、CCVが3Vと等しい状態であると判定されると、電力消費機器12aの動作を抑制されることにより、電池10の放電が制限され(ステップS8)、その後にCCVが3Vよりも大きい状態か否かが判定される(ステップS6)。このように、CCVが3Vと等しい状態であると判定された際に、電池10の放電が制限された上でCCVが3Vよりも大きい状態か否かが判定されることで、電池10の使用を継続でき、電池エネルギをより活用できる。
一方で、ステップS3の判定時に、CCVが3Vよりも大きい状態ではないと判定されると、電力消費機器12aの動作を抑制されることにより電池10の放電が制限された上で(ステップS9)、CCVが3Vよりも大きい状態か否かが改めて判定される(ステップS10)。この判定時に、CCVが3Vよりも大きい状態ではないと改めて判定されると、スイッチング手段11が開成されて電池10が車載機器12から切り離されることで、電池10の使用が中止される(ステップS7)。このように電池10の使用が中止されるのは、疑似的なSOCの推定を開始しても、電池10をこれ以上活用することが難しいためである。
これに対して、ステップS10の判定時に肯定的に判定された場合には、疑似的なSOCの推定が開始され(ステップS4)、上述したステップS5,S6の判定が行われる。このように電池10の放電が制限されることでCCVが3Vよりも大きい状態となった場合には、疑似的なSOCの推定により電池10をより活用できるためである。
次に、図3は、図1の電池10が充電されている際に制御装置本体13が行う電池状態制御動作を示すフローチャートである。なお、図2に示す放電時の動作と同じ動作については、図2で用いた符号を用いて説明する。図において、電池10の充電が検出されると、電池10のOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいてSOCが推定されるとともに、この推定されたSOCに基づいて通常制御が行われる(ステップS1)。その次に、SOCの推定結果が予め設定された範囲の下限値である80%(第1上限値)に達したか否かが判定され(ステップS20)、80%に達していないと判定されると、通常制御が継続される。
これに対して、SOCの推定結果が80%に達したと判定されると、CCVが4.1V(OCVに基づくSOCが100%(第2上限値)になると推定されるOCVの上限電圧)よりも小さいか否かが判定される(ステップS21)。この判定に用いられる4.1Vは、OCVに基づくSOCが100%(第2上限値)になると推定されるOCVの上限電圧である。このとき、CCVが4.1Vよりも小さいと判定されると、OCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定が開始される(ステップS4)。
疑似的なSOCの推定が開始されると、CCVが4.1Vに等しい状態か否かが判定される(ステップS22)。このとき、CCVが4.1Vに等しい状態ではないと判定されると、CCVが4.1Vよりも小さい状態か否かが判定される(ステップS23)。この判定時に、CCVが4.1Vよりも小さい状態であるとさらに判定されると、これらステップS22,S23の判定動作が繰り返し行われつつ、電池10の使用が継続される。すなわち、CCVが4.1Vよりも小さい状態であると判定される限り電池10の使用が継続され、OCVに基づくSOCを用いて80%までしか電池10を使用しない場合に比べて、電池10の過充電を回避しつつ、より有効に電池エネルギが利用される。
ステップS23の判定時に、CCVが4.1Vよりも小さい状態ではないと判定されると、スイッチング手段11が開成されて電池10が車載機器12から切り離されることで、電池10の使用が中止される(ステップS7)。このように電池10の使用が中止されることで、電池10が過充電となることが回避される。なお、電池10の使用が中止された後に、電池10の充放電状態が切替えられた場合には(電池10の放電が開始された場合には)、スイッチング手段11が閉成されて電池10が電力消費機器12aに電気的に接続される。
また、ステップS22の判定時に、CCVが4.1と等しい状態であると判定されると、発電機器12bによる発電が抑制されるか、又は発電機器12bで発電された電力が他の機器により消費されることにより、電池10の充電が制限され(ステップS24)、その後にCCVが4.1Vよりも小さい状態か否かが判定される(ステップS23)。このように、CCVが4.1Vと等しい状態であると判定された際に、電池10の充電が制限された上でCCVが4.1Vよりも小さい状態か否かが判定されることで、電池10の使用を継続でき、電池容量をより活用できる。
一方で、ステップS21の判定時に、CCVが4.1Vよりも小さい状態ではないと判定されると、発電機器12bによる発電が抑制されるか、又は発電機器12bで発電された電力が他の機器により消費されることにより、電池10の充電が制限された上で(ステップS25)、CCVが4.1Vよりも小さい状態か否かが改めて判定される(ステップS26)。この判定時に、CCVが4.1Vよりも小さい状態ではないと改めて判定されると、スイッチング手段11が開成されて電池10が車載機器12から切り離されることで、電池10の使用が中止される(ステップS7)。このように電池10の使用が中止されるのは、疑似的なSOCの推定を開始しても、電池10をこれ以上活用することが難しいためである。
これに対して、ステップS26の判定時に肯定的に判定された場合には、疑似的なSOCの推定が開始され(ステップS4)、上述したステップS22,S23の判定が行われる。このように電池10の充電が制限されることでCCVが4.1Vよりも小さい状態となった場合には、疑似的なSOCの推定により電池10をより活用できるためである。
このような電池の状態制御方法及び装置では、電池10のOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいてSOCを推定するとともに、該SOCが所定範囲の第1上限値又は第1下限値に達した場合に、OCVとSOCとの関係を示す情報に対して、OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定を行い、疑似的なSOCの推定に基づいて電池10の使用を制御するので、電池10の過充電及び過放電の発生を回避しつつ、電池10をより有効に活用できる。
また、電池10が放電されている場合、疑似的なSOCの推定を開始した後に、OCVに基づくSOCが第1下限値より小さい第2下限値になると推定されるOCVの下限電圧よりもCCVが大きい状態か否かを判定し、CCVが下限電圧よりも大きい状態ではないと判定した場合に、電池10の使用を中止するので、より確実に電池10の過放電の発生を回避しつつ、電池エネルギをより有効に活用できる。
さらに、疑似的なSOCの推定を開始した後であって、CCVが下限電圧よりも大きい状態か否かを判定する前に、CCVが下限電圧と等しい状態か否かを判定し、CCVが下限電圧と等しい状態であると判定した場合に、電池10の放電を制限した上でCCVが下限電圧よりも大きい状態か否かを判定するので、可能な限り電池10の使用を継続でき、電池エネルギをより活用できる。
さらにまた、電池10が放電されている場合、疑似的なSOCの推定を開始する前に、OCVに基づくSOCが下限値より小さい第2下限値になると推定されるOCVの下限電圧よりもCCVが大きい状態か否かを判定し、CCVが下限電圧よりも大きい状態ではないと判定した場合に、電池10の放電を制限した上でCCVが下限電圧よりも大きい状態か否かを改めて判定し、CCVが下限電圧よりも大きい状態ではないと改めて判定した場合に、電池10の使用を中止するので、電池10が過放電に近い状態の時に疑似的なSOCの推定が開始されることを回避でき、より確実に電池10の過放電を防止できる。
また、電池10が充電されている場合、疑似的なSOCの推定を開始した後に、OCVに基づくSOCが上限値より大きい第2上限値になると推定されるOCVの上限電圧よりもCCVが小さい状態か否かを判定し、CCVが上限電圧よりも小さい状態ではないと判定した場合に、電池10の使用を中止するので、より確実に電池10の過充電の発生を回避しつつ、電池容量をより有効に活用できる。
さらに、疑似的なSOCの推定を開始した後であって、CCVが上限電圧よりも小さい状態か否かを判定する前に、CCVが上限電圧と等しい状態か否かを判定し、CCVが上限電圧と等しい状態であると判定した場合に、電池10の充電を制限した上でCCVが上限電圧よりも小さい状態か否かを判定するので、可能な限り電池10の使用を継続でき、電池容量をより活用できる。
さらにまた、電池10が充電されている場合、疑似的なSOCの推定を開始する前に、OCVに基づくSOCが上限値より大きい第2上限値になると推定されるOCVの上限電圧よりもCCVが小さい状態か否かを判定し、CCVが上限電圧よりも小さい状態ではないと判定した場合に、電池10の放電を制限した上でCCVが上限電圧よりも小さい状態か否かを改めて判定し、CCVが上限電圧よりも小さい状態ではないと改めて判定した場合に、電池10の使用を中止するので、電池10が過充電に近い状態の時に疑似的なSOCの推定が開始されることを回避でき、より確実に電池10の過充電を防止できる。
10 電池、13 制御装置本体

Claims (8)

  1. 電池のOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいてSOCを推定するとともに、該SOCが所定範囲の上限値又は下限値に達した場合に、前記OCVと前記SOCとの関係を示す情報に対して、前記OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定を行い、前記疑似的なSOCの推定に基づいて前記電池の使用を制御することを特徴とする電池の状態制御方法。
  2. 前記電池が放電されている場合、前記疑似的なSOCの推定を開始した後に、前記OCVに基づく前記SOCが前記下限値より小さい第2下限値になると推定される前記OCVの下限電圧よりも前記CCVが大きい状態か否かを判定し、前記CCVが前記下限電圧よりも大きい状態ではないと判定した場合に、前記電池の使用を中止することを特徴とする請求項1記載の電池の状態制御方法。
  3. 前記疑似的なSOCの推定を開始した後であって、前記CCVが前記下限電圧よりも大きい状態か否かを判定する前に、前記CCVが前記下限電圧と等しい状態か否かを判定し、前記CCVが前記下限電圧と等しい状態であると判定した場合に、前記電池の放電を制限した上で前記CCVが前記下限電圧よりも大きい状態か否かを判定することを特徴とする請求項2記載の電池の状態制御方法。
  4. 前記電池が放電されている場合、前記疑似的なSOCの推定を開始する前に、前記OCVに基づく前記SOCが前記下限値より小さい第2下限値になると推定される前記OCVの下限電圧よりも前記CCVが大きい状態か否かを判定し、
    前記CCVが前記下限電圧よりも大きい状態ではないと判定した場合に、前記電池の放電を制限した上で前記CCVが前記下限電圧よりも大きい状態か否かを改めて判定し、
    前記CCVが前記下限電圧よりも大きい状態ではないと改めて判定した場合に、前記電池の使用を中止する
    ことを特徴とすることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電池の状態制御方法。
  5. 前記電池が充電されている場合、前記疑似的なSOCの推定を開始した後に、前記OCVに基づく前記SOCが前記上限値より大きい第2上限値になると推定される前記OCVの上限電圧よりも前記CCVが小さい状態か否かを判定し、前記CCVが前記上限電圧よりも小さい状態ではないと判定した場合に、前記電池の使用を中止することを特徴とする請求項1記載の電池の状態制御方法。
  6. 前記疑似的なSOCの推定を開始した後であって、前記CCVが前記上限電圧よりも小さい状態か否かを判定する前に、前記CCVが前記上限電圧と等しい状態か否かを判定し、前記CCVが前記上限電圧と等しい状態であると判定した場合に、前記電池の充電を制限した上で前記CCVが前記上限電圧よりも小さい状態か否かを判定することを特徴とする請求項5記載の電池の状態制御方法。
  7. 前記電池が充電されている場合、前記疑似的なSOCの推定を開始する前に、前記OCVに基づく前記SOCが前記上限値より大きい第2上限値になると推定される前記OCVの上限電圧よりも前記CCVが小さい状態か否かを判定し、
    前記CCVが前記上限電圧よりも小さい状態ではないと判定した場合に、前記電池の放電を制限した上で前記CCVが前記上限電圧よりも小さい状態か否かを改めて判定し、
    前記CCVが前記上限電圧よりも小さい状態ではないと改めて判定した場合に、前記電池の使用を中止する
    ことを特徴とする請求項1、請求項5及び請求項6のいずれか1項に記載の電池の状態制御方法。
  8. 電池のOCV及び電流積算値の少なくとも一方に基づいてSOCを推定するとともに、該SOCが所定範囲の上限又は下限に達した場合に、前記OCVと前記SOCとの関係を示す情報に対して、前記OCVに代えてCCVを用いることで疑似的なSOCの推定を行い、前記疑似的なSOCの推定に基づいて前記電池の使用を制御する制御装置本体
    を備えていることを特徴とする電池の状態制御装置。
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