JP2013182764A - X線装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 X線装置1は、X線管装置17と、撮影時には回転陽極20に交流電圧を印加して所定の回転数まで回転駆動させ、制動させる際には直流電圧を印加するスタータ回路16と、回転陽極20を駆動、制動、または惰性運転させるための制御信号を生成する制御回路18とを有する。制御回路18は、撮影終了後、撮影時の回転数から回転陽極20を惰性運転させ、回転数がX線管の共振周波数fpの近傍の間だけ回転陽極20を制動するよう制御する。
【選択図】図1
Description
従来の回転陽極型X線管を用いたX線装置では、一般撮影時は誘導モータを駆動すべく交流電圧を印加し、回転数を例えば180Hz程度まで上昇させる。撮影終了後は、陽極側のステータに直流電圧を印加し、X線管の陽極側の誘導モータを停止させる。これは、回転陽極に直流電圧をかけずに放置すると、撮影時の高速回転から回転数が低下してきたときに陽極の回転数が共振周波数を通過し、この際、回転陽極に共振が起こりX線管のベアリングを傷めることがあるからである。
これを防止するために、従来は、撮影が終了すると回転陽極に直流電圧を印加し、共振周波数近傍の周波数を出来るだけ短い時間で通過させている。
まず、図1を参照して、第1の実施の形態のX線装置1の構成について説明する。
X線管装置17は、固定子コイル19、回転陽極20(ターゲット)、X線管21を備える。
インバータ回路14は、昇圧チョッパ回路13から供給された電圧を交流出力に変換し、高電圧発生回路15に出力する。高電圧発生回路15はインバータ回路14から供給された交流出力を高圧の直流出力に変換してX線管装置17に印加する。
(A)交流電圧をかける(駆動)
(B)直流電圧をかける(制動)
(C)電圧を印加しない(惰性運転)
一般的なX線撮影装置では、操作者の操作により、まず「透視ボタン」(不図示)が押下されると、制御回路18は「駆動(60Hz)」の制御信号をスタータ回路16へ送信する。これによって回転陽極20が駆動されて60Hzの回転数で回転する。60Hz程度の回転数では透視撮影の映像が得られる程度のX線が照射される。操作者が透視撮影の映像を見ながら良いタイミング(被検者の体がぶれていないタイミング等)で、「撮影ボタン」(不図示)が押下されると、制御回路18は「駆動(180Hz)」の制御信号をスタータ回路16へ送信する。これによって回転陽極20が高速で駆動されて180Hzの回転数で回転するようになる。180Hz程度の回転数では一般撮影の映像が得られる強いX線が照射される。
本発明では、回転数180Hzの撮影が終了すると、制御回路18は「惰性運転」の制御信号をスタータ回路16へ送信する。これによって回転陽極20に対する電圧の印加は停止する。回転陽極20は惰性で回転を継続するが、徐々に回転数が下がることとなる。これにより、ある程度の回転数は維持されているので、撮影終了から次の撮影の開始までの時間を短縮させ、速やかに対応できるようになる。
本発明では、回転陽極20の回転数が共振周波数fp近傍まで落ちるとそのタイミングで制動をかけて(直流電圧印加)、共振周波数fp近傍を短時間で通過させる。共振周波数fp近傍の通過後は、再度惰性運転に戻る。これにより共振によるX線管のベアリング等の破損を防ぎ、X線管装置17を保護できる。また、制動、駆動を行う時間が従来と比較して短時間ですむため、消費電力を節約できる。
第1の実施の形態では、制御回路18は、撮影(回転数180Hz)が終了すると、まず(C)惰性運転の制御信号をスタータ回路16に送信し、回転陽極20への電圧の印加を停止させる。また、検出回路3によって検出される回転陽極20の回転数を監視し、回転数が共振周波数fp近傍であるか否かを判定し、共振周波数fp近傍である場合は、スタータ回路16に対して(B)制動の指示を出力する。回転陽極20へは制動用の直流電圧が印加される。回転陽極20の回転数が共振周波数fp近傍を通過した場合は、制御回路18は、(C)惰性運転の制御信号を送信し、回転陽極20への電圧の印加を停止させる。
回転陽極20の回転数fαが閾値fA以上であれば(ステップS103;Yes)、そのまま惰性運転を継続する。
回転陽極20の回転数fαが閾値fAより小さくなると(ステップS103;No)、制御回路18はスタータ回路16に対して制動を指示する(ステップS104)。スタータ回路16は回転陽極20に対して直流電圧を印加する。
制御回路18は、回転陽極20の回転数fαが閾値fB以上であるか否かを判定する(ステップS105)。閾値fBは低速運転の周波数(60Hz)より大きく、共振周波数fpより数Hz程度小さい値とする。回転陽極20の回転数fαが閾値fB以上であれば(ステップS105;Yes)、制動を継続する。その後、回転陽極20の回転数fαが閾値fBより小さくなると(ステップS105;No)、制御回路18は制動を停止する(ステップS106)。制御回路18は回転陽極20の回転数fαが60Hz(低速運転の周波数)になったか否かを監視し(ステップS107)、60Hz(低速運転の周波数)まで回転数が下がっていないときは惰性運転を継続する。60Hz(低速運転の周波数)まで回転数fαが下がると(ステップS107;Yes)、制御回路18はスタータ回路16に対して回転数60Hzを維持するよう駆動(間欠駆動)を指示する(ステップS108)。これにより、低速運転(60Hz)状態を維持する。
一般撮影中、すなわち制御回路18が駆動を指示している間は、回転陽極20の回転数(周波数)は180Hzに維持されている。その後、制御回路18によって惰性運転が指示されると、徐々に回転数が下がる。そして、回転陽極20の回転数が共振周波数fp近傍の閾値fA程度まで下がると、制御回路18はスタータ回路16に制動を指示する。スタータ回路16は直流電圧を印加し、回転陽極20に制動をかける。制動により急速に回転陽極20の回転数が下がる。そして回転陽極20の回転数が共振周波数fp近傍を下回ると(閾値fBより小さくなると)、制御回路18はスタータ回路16に再度惰性運転を指示し、低速の60Hzまで徐々に回転数が下がる。
一般撮影中、すなわち制御回路18が駆動を指示している間は、回転陽極20の周波数は180Hz付近である。その後、撮影が終了すると、制御回路18によって惰性運転が指示される。スタータ回路16は電圧の印加を停止する。これにより回転陽極20の回転数は徐々に下がる。その後、撮影の指示が再び入力されると、制御回路18はスタータ回路16に駆動を指示し、回転陽極20の回転が加速する。惰性運転により緩やかに回転数が落ちた状態から再度加速するため、迅速に高速(180Hz)まで回転数を上昇させることができる。撮影が終了すると、制御回路18によって惰性運転が指示され、スタータ回路16は電圧の印加を停止する。回転陽極20の回転数は徐々に下がる。
次に、図5〜図7を参照して、第2の実施の形態のX線装置1について説明する。
図5に示すように、第2の実施の形態のX線装置2は、交流電源11、ダイオードモジュール12、昇圧チョッパ回路13、インバータ回路14、高電圧発生回路15、スタータ回路16、X線管装置17、制御回路18、タイマ4、及び記憶部5を備える。なお、交流電源11、ダイオードモジュール12、昇圧チョッパ回路13、インバータ回路14、高電圧発生回路15、スタータ回路16、X線管装置17は、第1の実施の形態と同一であるため、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
記憶部5は、少なくとも、撮影が終了して回転陽極20が惰性運転を始めてから、回転陽極20の回転数がX線管装置17の共振周波数fpの近傍に到達するまでの推定到達時間と、撮影が終了して回転陽極20が惰性運転を始めてから、回転陽極20の回転数がX線管装置17の共振周波数fpの近傍を通過するまでの推定通過時間と、を予め記憶している。具体的には、以下の推定時間t1,t2,t3を記憶している。
t1:撮影終了後、惰性運転をした場合に、共振周波数fpの近傍の周波数に到達するまでに要する時間(推定到達時間)、
t2:撮影終了後、惰性運転をした場合に、共振周波数fpの近傍を通過するまでに要する時間(推定通過時間)、
t3:撮影終了後、惰性運転及び共振周波数通過中の制動を行った場合に、60Hzまで回転数が下がるまでに要する時間
なお、撮影終了後、撮影の指示が入力された場合は、時間t1,t2,t3に従った回転制御動作を終了し、回転陽極20の駆動を指示し、高速回転(180Hz)で駆動する。
X線装置2において、一般撮影が終了した状態では回転陽極20が高速回転されている(図7の「スタータ駆動」)。また、制御回路18は、記憶部5から、時間t1,t2、t3を取得しているものとする。
一般撮影が終了すると(ステップS201)、制御回路18はタイマ4による計時を開始する(ステップS202)。また、スタータ回路16に対して惰性運転の指示を送り、交流出力を停止させる(ステップS203)。制御回路18は、実経過時間tを監視し、時間t1となるまで(ステップS204;No)、そのまま惰性運転を継続する。
その後、実経過時間tが時間t2となると(ステップS206;Yes)、制御回路18は制動を停止する(ステップS207)。時間t2は、上述したように、回転数が共振周波数fpの近傍を通過するまでの推定時間である。制御回路18はスタータ回路16に対して惰性運転の指示を送る。
その後、タイマ4が回転陽極20の回転数fαが実経過時間tが時間t3になると(ステップS208;Yes)、制御回路18はスタータ回路16に対して駆動(間欠駆動)を指示する(ステップS209)。時間t3は、上述したように回転数が60Hz(低速運転の周波数)になるまでの推定時間である。これにより、回転数が60Hz程度に維持され、低速運転状態となる。
したがって、第1の実施の形態と同様に、撮影終了後に回転陽極20を惰性運転させるとともに、回転陽極20の回転数が共振周波数fpを通過する間だけ制動をかけることができる。これにより、共振によるX線管の破損を防ぎつつ、次の撮影には迅速に所定の回転数に到達させることができる。
これにより、次の撮影の開始までできるだけ回転数を下げずに維持させつつ、共振周波数fpまで回転数が下がる場合には回転陽極20を制動させ、素早く共振周波数fpを通過させることができる。よって共振によるX線管の破損を防ぎつつ、次の撮影時には迅速に所定の回転数に到達させることができる。
3・・・検出回路
4・・・タイマ
5・・・記憶部
11・・・交流電源
12・・・ダイオードモジュール
13・・・昇圧チョッパ回路
14・・・インバータ回路
15・・・高電圧発生回路
16・・・スタータ回路
17・・・X線管装置
18・・・制御回路
19・・・固定子コイル
20・・・ターゲット(回転陽極)
21・・・X線管
fp・・・共振周波数
fα・・・陽極回転周波数
fA、fB・・・共振周波数fp近傍の閾値
t・・・撮影終了後の実経過時間
t1・・・回転数が共振周波数fpの近傍に到達するまでの推定時間
t2・・・回転数が共振周波数fpの近傍を通過するまでの推定時間
t3・・・回転数が60Hz(低速運転の周波数)になるまでの推定時間
Claims (3)
- 回転陽極型のX線管装置を有するX線装置であって、
固定子コイルに、
前記回転陽極を駆動させる際には交流電圧を印加し、
前記回転陽極を制動させる際には直流電圧を印加し、
前記回転陽極を惰性運転させる際には電圧の印加を停止する
スタータ部と、
前記スタータ部を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、撮影が終了すると、前記回転陽極を前記惰性運転させ、更に、前記回転陽極の回転数が前記X線管装置の共振周波数の近傍の間は、前記回転陽極を前記制動させることを特徴とするX線装置。 - 前記回転陽極の回転数を検出する検出部、を更に具備し、
前記制御部は、前記検出部により検出される前記回転陽極の回転数が前記X線管装置の共振周波数の近傍の間は、前記回転陽極を前記制動させることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。 - 撮影が終了して前記回転陽極が前記惰性運転を始めてから、前記回転陽極の回転数が前記X線管装置の共振周波数の近傍に到達するまでの推定到達時間と、撮影が終了して前記回転陽極が前記惰性運転を始めてから、前記回転陽極の回転数が前記X線管装置の共振周波数の近傍を通過するまでの推定通過時間とを予め記憶する記憶部、を更に具備し、
前記制御部は、撮影が終了して前記回転陽極が前記惰性運転を始めてからの経過時間を計時し、前記経過時間が前記推定到達時間から前記推定通過時間までの間は、前記回転陽極を前記制動させることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
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