JP2013181763A - X線検査装置及びx線検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくともX線源12及び検出器14を有し、試料100中の検査対象101を検出するX線検査装置1であって、検査対象の2次元のX線透過画像を取得する画像取得手段60と、X線透過画像を2次元の方向の少なくとも一方に1ピクセル以上シフトさせたシフト画像を生成するシフト画像生成手段60と、X線透過画像とシフト画像とを差分して検査対象を強調する差分画像を生成する差分画像生成手段60と、差分画像を表示する画像表示手段69と、を有する。
【選択図】図1
Description
ところで、製造現場では、短時間で大量の検査対象を検査する必要があるため、単純な透過像によるX線検査が広く用いられている。そして、このような単純X線(透過X線)画像の画質を向上させる技術として、X線画像にコントラスト処理を施した後、画像の濃淡に基づいて画像の飛び出し量を与え、陰影像を立体化(3次元化)する技術が開示されている(特許文献1)。
又、このようにX線透過画像が不鮮明であると、操作者の熟練の度合によって検査結果が変わってしまう。
このX線検査装置によれば、X線透過画像をシフトさせることにより、空間的に大きな周期で変化している画像信号と、空間的に小さな周期で変化している画像信号を切り分ける効果が得られる。そして、その後に生成される差分画像においては、空間的に大きな周期で変化している画像信号と、空間的に小さな周期で変化している画像信号とで、差分の度合いを異ならせることが可能になる。
従って、空間的に大きな周期で変化している大きな信号(例えば一方向に傾いている背景)の中に、空間的にサイズが小さな微小な信号(検査対象)が隠れていても、大周期の背景信号を減少させる一方で、検査対象となる微小信号の減少を抑制し、この信号を強調することができ、検査対象(試料中の異物や欠陥)の画像をバックグラウンドから明瞭に識別して視認性を向上させることができる。
このX線検査装置によれば、シフト量を最適な値に設定し、検査対象の画像の視認性をさらに向上させることができる。
このX線検査装置によれば、空間的な周期をもつ構造(画像)を有する検査対象に対し、シフト量を最適な値に設定し、検査対象の画像の視認性をさらに向上させることができる。
前記シフト画像生成過程は、前記検査対象の空間周波数νに対し、1ピクセル以上、1/(2ν)以下の範囲で前記X線透過画像をシフトさせることが好ましい。
図1は本発明の実施形態に係るX線検査装置1の構成を示すブロック図である。
X線検査装置1は、X線源12と透過X線検出器(検出器)14とを有するX線検査部10と;得られた2次元のX線透過画像を画像処理する画像処理装置60と;試料100をX線源12の照射位置との間で相対的に移動させる移動機構(コンベア)30と;を備えている。複数の試料100が移動機構30上に載置されて次々にX方向に沿ってX線源12上に移動し、大量の試料100を検査するようになっている。
なお、試料100は、欠陥(検査対象)101を含んでいる。試料100としては、例えば各種製品、農産物等があり、検査対象は例えば、製品や農産物の欠陥や異物である。試料100が果実である場合、検査対象101は例えば虫食い、傷み、等に起因する欠陥である。
画像処理装置60は、中央演算処理装置(CPU)61、RAM62、ROM63、ハードディスクなどの記憶装置64、キーボード等の入力装置(シフト量設定手段)67、及びモニター等の表示装置(画像表示手段)69を備えている。画像処理装置60は、詳しくは後述する画像取得手段、シフト画像生成手段、差分画像生成手段、シフト量設定手段、画像表示手段として機能し、記憶装置64等に格納されたコンピュータプログラムをCPU61で実行することにより、これらの機能を実現する。画像処理装置60は又、X線源12からのX線の照射、透過X線検出器14による検出等の全体の処理も行っている。
なお、X線源から放射され、試料100を含む検査対象101を透過したX線の一部又は全部を補足できる位置に検出器が配置されていれば、その配置はX線源の上下方向に限るものではなく、左右、斜め、いかなる方向でもかまわない。
X線源12は、所定のX線管球からなる。X線管球は例えば、管球内のフィラメント(陰極)から発生した熱電子がフィラメント(陰極)とターゲット(陽極)との間に印加された電圧により加速され、ターゲット(W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)など)に衝突して発生したX線を1次X線としてベリリウム箔などの窓から出射するものである。
透過X線検出器14は、複数個の半導体検出素子(固体撮像素子等)を有し、固体撮像素子が2次元アレイ状に並ぶエリアセンサである。各固体撮像素子としては、例えば電荷結合素子(CCD)やCMOSイメージセンサが挙げられる。そして、試料100を透過した透過X線12Xは、所定の蛍光板で蛍光(可視光画像)に変換されて透過X線検出器14で受光されるようになっている。
なお、X線源12から試料100の全体にX線が照射され、その透過X線12Xをエリアセンサである透過X線検出器14で検出することで、試料100の面方向(X−Y方向)の2次元画像が一度に得られるが、例えば透過X線検出器14としてラインセンサを用い、試料100を一方向にスキャンして2次元画像を取得してもよい。
まず、画像取得手段(画像処理装置)60は、試料100(検査対象101)の2次元(X−Y方向)のX線透過画像I0を取得する。具体的には、例えば透過X線検出器14を構成する個々の固体撮像素子に透過X線12Xを蛍光に変換した画像が受光され、試料100の2次元情報が取得される。ここで、検査対象101の最小幅をWとする。なお、シフト量がX方向及びY方向とで同じ場合、最小幅Wは、検査対象101のX方向及びY方向のそれぞれの最小幅のうち小さい方の幅に相当する。また、シフト量がX方向とY方向とで相違する場合、X方向のシフト量dxについてはX方向の最小幅Wxを設定し、Y方向のシフト量dyについてはY方向の最小幅をWyを設定する。
次に、差分画像生成手段(画像処理装置)60は、X線透過画像I0とシフト画像ISとを差分した差分画像IDを生成する。そして、画像表示手段69は差分画像IDを表示する。
又、差分画像IDの生成は例えば、X線透過画像I0とシフト画像ISの同一座標の画素値を比較する(通常は、信号強度の差分を計算する)ことで行うことができる。
従って、空間的に大きな周期で変化している大きな信号(例えば一方向に傾いている背景)の中に、空間的にサイズが小さな微小な信号(検査対象)が隠れていても、大周期の背景信号を減少させる一方で、検査対象となる微小信号の減少を抑制してこの信号を強調することができ、背景の中に埋もれている信号の視認性を改善する。
これにより、従来のX線検査装置のように、検査を行う際の経験や技量の差を小さくできる。又、CTよりも短時間で検査を行うことが可能であり、ほぼリアルタイムで検査結果が得られるので、早く大量かつ、正確に検査することが求められる産業用のX線検査装置に有効である。
一方、視認性とは、主体が観察者、検査者、使用者であり、必要な画像信号を分かりやすくし、不必要な画像信号をできるだけ目立たなくさせることである。
そして、画質を向上させると、場合によってはS/Nが向上し、視認性も向上する場合もあるが、これは、他の視認性に影響する背景信号などの不必要で大きな信号が少ない場合に限られる。従って、単なる画質の向上ではなく、本発明のような画像のシフト処理及び差分画像の生成が必要になる。
差分画像IDにおいて、検査対象である欠陥101を明瞭に視認できることがわかる。なお、図3の画像の撮像条件は、X線源12の加速電圧及び加速電流を80kV、300μAとし、1回当りの撮像時間を1秒として16回撮像した。又、撮影倍率2.06倍とした。又、図3の例では、シフト量をX,Y方向ともにそれぞれ5ピクセルとした。
シフト量が1ピクセル(pix)(図4(a))及び2ピクセル(図4(b))の場合、コントラストが低く、欠陥を認識できるものの、明瞭に視認することが難しい。一方、シフト量が20ピクセル(図4(e))の場合、コントラストが高過ぎ、画像の輪郭が僅かに潰れているが、欠陥を視認することは可能である。なお、図示しないが、これ以上のシフト量では、欠陥101の視認レベルの変化よりも、むしろ桃の幼果100の形状の変化が認められた。
そして、シフト量が5ピクセル(図4(c))及び10ピクセル(図4(d))が最も欠陥101の視認性が高く、20ピクセルでも十分に欠陥を視認できる。
又、図4(a)及び(b)のようにシフト量が小さい場合、欠陥101の視認性は悪いものの認識可能であることが判る。シフト量の下限値は、桃のサイズ又は対象とする欠陥のサイズによって変化し、シフト時の背景の信号変化量が大きい場合に小さくなる傾向がある。
又、後述するテストチャートのように背景が無い(小さい)場合、シフト量は小さくても効果がある。
そして、本発明で行う差分画像は、元の画像を空間周波数の点では劣化させる方向に働く。従来の画像処理は、S/Nや空間周波数を上げることを目的としており、本発明はこれとは全く異なる。つまり、空間周波数が劣化しても(低くなっても)、背景の邪魔を排除できれば、視認性が向上するという大きな効果が得られる。そのとき、視認性と空間周波数の劣化のバランスをどのように調整するかが問題となるが、その1つの指針がシフト量dの上限値と考えられる。微小信号も残しつつ、背景を最大限減少させ、必要な空間周波数もできるだけ維持しつつ、視認性を上げるためには、シフト量dの上限値を簡単に算出できることが好ましい。
そして、シフト量dの決定は、実用的には、上限値で通常運用し、更に効果を高めたい場合に、この上限を目安にしてどれだけシフト量を小さくできるかを試行錯誤で合わせ込むことになる。従って、シフト量dの上限値を簡便に規定できると、作業効率が大幅に向上するので好ましい。
又、シフト量dの上限値の算出式(図4の例では、検査対象の最小幅Wに対し、W/2、後述する図5の例では検査対象の空間周波数νに対し、1/(2ν))を記憶装置64に格納しておき、操作者が入力装置67から最小幅Wや空間周波数νを入力すると、画像処理装置60がシフト量dの上限値を算出して表示するようにしてもよい。このようにすると、上述のようにシフト量dの目安がすぐにわかるので作業効率が向上する。
テストチャート100は、解像度や鮮鋭度の測定に用いられる一般的な仕様のものである。
図5は、テストチャート100、及びその中の線分画像101を示すX線透過画像I0である(シフト量=0)。線分画像101は図5の上下方向にそれぞれ間隔(ピッチ)が異なる平行線群からなり、例えば2.0(LP/mm)の数字の部分に位置する線分画像101aは、1mmの上下間隔内に、2つのラインペア(線対、LP)が存在する、つまり、各線の上限の幅及び線同士の間隔が1/2/2=0.25mmであることを示す。そして、図5の下方の線分画像(つまり、数字が大きい)になるにつれ、ピッチが小さくなり、ラインペアの分離はし難くなる。
また、このテストチャート100の背景には、色目の濃淡や複雑な線画等がない。このような場合、空間周波数を用いてシフト量の上限値を算出すると、視認性がさらに向上するので好ましい。
なお、図5〜図10は、撮影倍率を3.3倍とし、1ピクセル=15μmに相当する。
同様に、図9は、図5の画像をX,Y方向ともにそれぞれ8ピクセルシフトしたシフト画像を生成して得られた差分画像を示す。又、図10は、図9のパターン部分のプロファイルを示す。
図8より、シフト量を4ピクセルとした場合、線分画像のピッチが8.0LP/mmまでは縦軸の値(画素値;(Gray value)が減少しないことがわかる。
一方、図10より、シフト量を8ピクセルと大きくした場合、線分画像のピッチが8.0LP/mmの線構造が消失することがわかる。
ここで、線分画像101のように空間的な周期をもつ構造(画像)は空間周波数νで定義することができる。空間周波数νは、単位長に含まれる構造の繰り返し数(周期)で表され、上記した8.0LP/mmの線分画像の場合、ν=8(/mm)となり、1/ν=125μmとなる。
そして、図5〜図10の例では、1ピクセル=15μmに相当し、シフト量が4ピクセルは60μmに相当するので、空間周波数ν以下の検査対象の視認性を高くするには、シフト量dの上限を、1/(2ν)に設定することが好ましい。
又、シフト量dの調整は、操作者がキーボード等の入力装置(シフト量設定手段)67を走査してシフト量dを入力することで行うことができる。シフト画像生成手段60は、入力されたシフト量dに基づいてシフト画像を生成する。なお、シフト量dはX,Y方向で別々に設定してもよく、両方向で同一の値としてもよい。
10 X線検査部
12 X線源
12X 透過X線
14 (透過X線)検出器
60 画像処理装置(画像取得手段、シフト画像生成手段、差分画像生成手段)
67 入力装置(シフト量設定手段)
69 表示装置(画像表示手段)
100 試料
101 検査対象(欠陥や異物)
W 検査対象の最小幅
Claims (6)
- 少なくともX線源及び検出器を有し、試料中の検査対象を検出するX線検査装置であって、前記検査対象の2次元のX線透過画像を取得する画像取得手段と、前記X線透過画像を前記2次元の方向の少なくとも一方に1ピクセル以上シフトさせたシフト画像を生成するシフト画像生成手段と、前記X線透過画像と前記シフト画像とを差分して前記検査対象を強調する差分画像を生成する差分画像生成手段と、前記差分画像を表示する画像表示手段と、を有するX線検査装置。
- 前記シフト画像のシフト量dを設定するシフト量設定手段をさらに備え、
前記シフト量設定手段は、前記検査対象の最小幅Wに対し、前記シフト量dを1ピクセル以上、W/2以下に設定する請求項1記載のX線検査装置。 - 前記シフト画像のシフト量dを設定するシフト量設定手段をさらに備え、
前記シフト量設定手段は、前記検査対象の空間周波数νに対し、前記シフト量dを1ピクセル以上、1/(2ν)以下に設定する請求項1記載のX線検査装置。 - 少なくともX線源及び検出器を用い、試料中の検査対象を検出するX線検査方法であって、前記検査対象の2次元のX線透過画像を取得する画像取得過程と、前記X線透過画像を前記2次元の方向の少なくとも一方に1ピクセル以上シフトさせたシフト画像を生成するシフト画像生成過程と、前記X線透過画像と前記シフト画像とを差分して前記欠陥及び/又は異物を強調する差分画像を生成する差分画像生成過程と、前記差分画像を表示する画像表示過程と、を有するX線検査方法。
- 前記シフト画像生成過程は、前記検査対象の最小幅Wに対し、1ピクセル以上、W/2以下の範囲で前記X線透過画像をシフトさせる請求項4に記載のX線検査方法。
- 前記シフト画像生成過程は、前記検査対象の空間周波数νに対し、1ピクセル以上、1/(2ν)以下の範囲で前記X線透過画像をシフトさせる請求項4に記載のX線検査方法。
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