JP2013181683A - 風量制御装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便に、かつ、省スペースで、風量制御装置を製造する。
【解決手段】ファンモータの回転速度とファンモータへの印加電圧との関係が設定関係と一致するように、ファンモータへの印加電圧を制御するように構成され、固有情報保持手段が保持している固有情報に基づいて、設定関係がファンモータのモータ特性に対応する設定関係となるように、前記設定関係を補正する補正処理を実行するように構成されている風量制御装置の製造方法であって、固有情報保持工程において、ファンモータに所定の検査電圧を印加してファンモータをオープンループで駆動し、所定の給排気抵抗の通風路に対してファンによって通風作動させたときのファンモータの回転速度を出力回転速度として測定し、前記出力回転速度から前記固有情報への変換を規定する、予め定めた変換関係に基づいて、前記固有情報を決定する。
【選択図】図8

Description

本発明は、ファンを所定の通風量で通風作動させるためのファンモータと、そのファンモータへの印加電圧を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記所定の通風量に対応して予め設定された前記ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との設定関係に基づいて、前記ファンモータの回転速度が前記目標回転速度になるように、前記ファンモータへの印加電圧を制御するように構成されている風量制御装置の製造方法に関する。
上記のような風量制御装置として、ファンに装着されるファンモータの目標回転速度と印加電圧との固有の関係であるモータ特性に応じた固有情報を保持する固有情報保持手段が設けられ、制御手段が、固有情報保持手段が保持している固有情報に基づいて、ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との設定関係がファンに装着されるファンモータのモータ特性に対応する設定関係となるように、設定関係を補正する初期補正処理を実行するように構成されており、ファンモータの特性にバラツキがある場合であっても、風量を所望の風量に制御する風量制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の風量制御装置においては、最大モータトルク用の最大関係S2、センターモータトルク用の中間関係S3、最小モータトルク用の最小関係S4の夫々に相当する補正式が設定され、最大関係S2、中間関係S3、最小関係S4の夫々に対応する抵抗値が設定されており、そして、制御部Hは、固有情報(抵抗器29の抵抗値)を読み込んで、その固有情報(抵抗値)と最大関係S2、中間関係S3、最小関係S4の夫々に対応する固有情報(抵抗値)との偏差に基づいて補正幅を決定し、その補正幅と最大関係S2、中間関係S3、最小関係S4の夫々に対応する補正式とに基づいて、換気ファン12に装着されるファンモータ12aのモータ特性に対応するように設定関係を補正するようにしている。
また、固有情報保持手段に保持すべき固有情報を決定するために、
(1)出荷検査において、設定風量(例えば、100m3 /h)になるように、検査対象のファンモータへの印可電圧を制御した状態で、実際の風量を測定し、その測定した風量が設定風量からどの程度ばらついているかの度合いに応じて抵抗値を定めて、その定められた抵抗値の抵抗器を検査対象のファンモータに備えるように構成されている。
なお、上記の出荷検査における、「設定風量(例えば、100m3 /h)になるように、検査対象のファンモータへの印可電圧を制御した状態」とは、「標準特性のファンモータが取り付けられたファンによって所定風量(例えば、100m3 /h)を通風したときの、この標準特性のファンモータの目標回転速度とこの標準特性のファンモータへの印加電圧との設定関係である標準設定関係を求めておき、この標準設定関係を満足するように、検査対象のファンモータへの印加電圧と検査対象のファンモータの回転数との関係を維持するように制御した状態」であると考えられる。
特許第4695307号公報
特許文献1の風量制御装置を製造するためには、ファンモータの検査を行い、検査対象のファンモータの特性に応じた固有情報を固有情報保持手段に保持する工程が必要であり、特許文献1に記載の出荷検査において検査対象のファンモータの特性に応じた固有情報を固有情報保持手段に保持するには、該工程において検査装置によって、検査対象のファンモータが取り付けられたファンによって検査工程用の通風路に通風したときの風量、および、検査対象のファンモータに印加する電圧、および、検査対象のファンモータの回転速度の3つの物理量を測定する必要がある。そして、風量を的確に測定するためには、検査工程用の通風路において通風の乱れが生じないようにする必要があるので、検査工程用の通風路の小型化が困難であり、また、該工程において検査するファンモータの機種数に応じた数の検査装置が必要であることから、該工程には相当のスペースが必要であり、該工程がより簡便で、かつ、該工程が省スペースに構成できるように、ファンモータの特性に応じた固有情報を固有情報保持手段に保持する工程における出荷検査方法の改善が望まれていた。
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、簡便に、かつ、省スペースで、風量制御装置を製造することが可能になる風量制御装置の製造方法を提供する点にある。
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ファンを所定の通風量で通風作動させるためのファンモータと、そのファンモータへの印加電圧を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記所定の通風量に対応して予め設定された前記ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との設定関係に基づいて、前記ファンモータの回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との関係が前記設定関係と一致するように、前記ファンモータへの印加電圧を制御するように構成され、前記ファンに装着される前記ファンモータの前記目標回転速度と前記印加電圧との固有の関係であるモータ特性に応じた固有情報を保持する固有情報保持手段が設けられ、前記制御手段が、前記固有情報保持手段が保持している前記固有情報に基づいて、前記設定関係が前記ファンに装着される前記ファンモータの前記モータ特性に対応する設定関係となるように、前記設定関係を補正する補正処理を実行するように構成されている風量制御装置の製造方法であって、前記固有情報保持手段に固有情報を保持させるための固有情報保持工程において、前記ファンモータに所定の検査電圧を印加して前記ファンモータをオープンループで駆動し、所定の給排気抵抗の通風路に対して前記ファンによって通風作動させたときの前記ファンモータの回転速度を出力回転速度として測定し、前記出力回転速度から前記固有情報への変換を規定する、予め定めた変換関係に基づいて、前記固有情報を決定し、この決定した固有情報を前記固有情報保持手段に保持させる点を特徴とする。
すなわち、前記固有情報保持手段に固有情報を保持させるための固有情報保持工程におけるファンモータの検査工程は、検査対象のファンモータに所定の検査電圧を印加して検査対象のファンモータをオープンループで駆動し、所定の給排気抵抗の通風路に対して検査対象のファンモータが取り付けられたファンによって通風作動させたときの検査対象のファンモータの回転速度を出力回転速度として測定する、つまり、検査対象のファンモータに印加する電圧、および、検査対象のファンモータの回転速度の2つの物理量を測定するだけで、予め定めた前記出力回転速度から固有情報への変換を規定する変換関係に基づいて、固有情報を決定することができので、この決定した固有情報を前記固有情報保持手段に保持させるだけでの簡便な工程とすることが可能となる。
また、検査対象のファンモータが取り付けられたファンによって検査工程用の通風路に通風したときの風量は測定する必要がないから、検査工程用の通風路において通風の乱れが生じないようにする挌別の配慮は必要ないので、検査工程用の通風路の小型化が可能であり、省スペースで、風量制御装置を製造することが可能になる。
要するに、請求項1の発明によれば、簡便な工程で、また、省スペースで風量制御装置を製造することが可能になる。
請求項2に記載の発明は、前記固有情報保持工程において前記ファンモータの周囲温度を測定し、前記周囲温度が標準周囲温度であるときの前記変換関係と、前記周囲温度が前記標準周囲温度から変化したときの、前記周囲温度に対する前記出力回転速度の温度特性と、に基づいて前記固有情報を決定する点を特徴とする
すなわち、前記固有情報保持工程における検査工程において、検査対象のファンモータの周囲温度を測定し、この周囲温度が標準周囲温度であるときの前記変換関係と、この周囲温度が変化したときの、この周囲温度に対する前記出力回転速度の温度特性と、に基づいて固有情報を決定する。
これにより、検査対象のファンモータの周囲温度が標準周囲温度と異なる場合であっても、検査対象のファンモータの周囲温度に対する前記出力回転速度の温度特性に基づいて、固有情報保持手段に保持すべき固有情報を補正することができるから、検査対象のファンモータの周囲温度によらず、的確に固有情報を決定することができて、安定した性能の風量制御装置の製造が可能となる。
要するに、請求項2の発明によれば、請求項1の発明による効果に加えて、製造時の周囲温度によらず安定した性能の風量制御装置の製造が可能となる。
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、簡便な工程で、また、省スペースで風量制御装置を製造することが可能になる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、製造時の周囲温度によらず安定した性能の風量制御装置の製造が可能となる。
浴室暖房換気装置の概略平面図 浴室暖房換気装置の概略側面図 リモコンを示す図 制御部とファンモータとの配線を示す図 標準特性のファンモータの回転速度と印加電圧との設定を示すグラフ 種々特性のファンモータの回転速度と印加電圧との設定を示すグラフ ファンモータのPQ特性と通風路の負荷特性との関係を示すグラフ 標準回転速度Nstと抵抗器29の値との関係を示す図
先ず、本発明にかかる製造方法によって製造される風量制御装置を浴室暖房換気装置に適用した例について、図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、この浴室暖房換気装置は、浴室Aの天井部に設置されて浴室Aの乾燥や換気を行う浴室ユニットBと、浴室A、トイレC、および、脱衣室Dを換気するための換気ファン12を備えた換気ユニットE、浴室ユニットB内に設けられ、浴室ユニットBおよび換気ユニットEの運転を制御する制御手段に相当する制御部H、その制御部Hに対して運転指令などを指令するリモコンRなどから構成されている。
浴室ユニットBは、下方側が開口し、一側面に換気空気排出用の排気用接続口2を備えたケーシング1と、吸込み部3および吹出し部4を備えてケーシング1の下方側を閉じるように配置されるグリル板5などを備えて構成されている。
そして、ケーシング1の内部には、吸込み部3と吹出し部4とを接続する循環路6が区画形成され、吸込み部3から吹出し部4に至る循環路6の経路の途中で、循環路6に連通するように、排気用接続口2が形成され、その排気用接続口2を開閉する開閉体20が設けられている。
なお、開閉体20は、電磁石20bに対して通電状態と非通電状態に切り換えることによって、シャッタ体20aを開閉させて、開閉作動されるように構成されている。
また、循環路6内に、吸込み部3に吸気作用するとともに、吸込み空気を吹出し部4および排気用接続口2に送るように通風作用する循環ファン7、循環路6を通流する空気を加熱する熱交換器8が設けられている。
前記熱交換器8には、外部熱源機(図示せず)から温水を循環供給する温水循環路9が接続され、その温水循環路9に、熱交換器8への温水の供給を断続する熱動弁10が設けられている。
前記換気ユニットEは、換気ファン用ケーシング11内に換気ファン12を収納して構成され、換気ファン用ケーシング11には、一側面に2個の他室用吸気口13が形成され、他側面に排気口14が形成されている。
そして、換気ファン12が、ファンモータ12aの駆動により、換気用ファンケーシング11内に吸気作用させるとともに、吸引空気を排気口14から排出するように、換気ファン12の吐出口を排気口14に接続するようにしている。
他室吸気口13の夫々には、他室用吸気口13の開口量を調整するダンパ15を上下移動操作自在に設けられ、筒状のダクト接続部16を介して、トイレCおよび脱衣室Dの夫々に接続される吸気ダクト17を接続するように構成されている。
排出口14には、筒状のダクト接続部18を介して、屋外に延設される排気ダクト19を接続するように構成されている。
このようにして、ファンモータ12aを駆動させて、換気ファン12を通風作動させて、浴室ユニットBを介して浴室A内の空気を換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して換気するとともに、吸気ダクト17を通してトイレCおよび脱衣室D内の空気を換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して換気するように構成されている。
制御部Hは、リモコンRからの指令に基づいて、開閉体20を開閉制御するとともに、循環ファン7および換気ファン12の通風作動を制御するなどして、浴室A内を乾燥する乾燥運転、浴室A内の空気を循環させる涼風運転、浴室A内を暖房する暖房運転、浴室A内やトイレCおよび脱衣室D内を通常設定換気量にて換気する通常換気運転、浴室A内やトイレCおよび脱衣室D内を24時間設定換気量にて換気する24時間換気運転などの各種の運転を実行するように構成されている。
図3に示すように、リモコンRには、乾燥運転を指令する乾燥運転スイッチ21、涼風運転を指令する涼風運転スイッチ22、暖房運転を指令する暖房運転スイッチ23、通常換気運転を指令する通常換気運転スイッチ24、24時間換気運転を指令する24時間換気運転スイッチ25、表示部26などが設けられている。
乾燥運転は、循環ファン7を作動させ、かつ、浴室A内の温度が乾燥用の設定温度範囲に維持されるように、熱動弁10の開閉を制御して熱交換器8に温水を循環供給するとともに、開閉体20を開作動させた状態で、設定風量となるように換気ファン12を作動させて、浴室A内から吸引した空気の一部を、排気用接続口2を通して換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して屋外に排出させながら、熱交換器8により加熱された循環空気を吹出し部4から浴室A内に吹出すようにしている。
涼風運転は、循環ファン7を作動させるとともに、開閉体20を開作動させた状態で、設定風量となるように換気ファン12を作動させて、浴室A内から吸引した空気の一部を、排気用接続口2を通して換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して屋外に排出させながら、吸込み部3から吸引された循環空気を吹出し部4から浴室A内に吹出すようにしている。
暖房運転は、循環ファン7を作動させ、かつ、浴室A内の温度が暖房用の設定温度範囲に維持されるように、熱動弁10の開閉を制御して熱交換器8に温水を循環供給させるとともに、開閉体20を閉作動させて、浴室A内から吸引した空気の全量を熱交換器8により加熱し、その加熱された循環空気を吹出し部4から浴室A内に吹出すようにしている。
通常換気運転は、開閉体20を開作動させた状態で、通常設定換気量となるように換気ファン12を作動させて、浴室A内から吸引した空気および吸気ダクト17を通してトイレCおよび脱衣室D内から吸引した空気を換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して換気するようにして、浴室A、トイレC、および、脱衣室Dを同時に換気するようにしている。
ちなみに、上述の暖房運転中など、浴室Aの換気を行いたくないときには、リモコンRにて指令して、開閉体20を閉作動させた状態で、換気ファン12を作動させて、トイレCおよび脱衣室Dのみ換気するようにしている。
24時間換気運転は、24時間設定換気量となるように換気ファン12を作動させて、浴室A内から吸引した空気および吸気ダクト17を通してトイレCおよび脱衣室D内から吸引した空気を換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して換気するようにして、24時間継続して、浴室A、トイレC、および、脱衣室Dを同時に換気するようにしている。
ちなみに、上述の暖房運転中など、浴室Aの換気を行いたくないときには、リモコンRにて指令して、開閉体20を閉作動させた状態で、換気ファン12を作動させて、トイレCおよび脱衣室Dのみ換気するようにしている。
つぎに、本発明にかかる製造方法によって製造される風量制御装置が適用された浴室暖房換気装置における、制御部Hによる換気ファン12の制御について説明する。
換気ファン12に装着されるファンモータ12aと制御部Hとは、図4に示すように、コネクタ27を介して、電線28にて接続され、制御部Hは、その電線28を通して、ファンモータ12aの回転速度の情報を得るとともに、ファンモータ12aに電圧を与えるように構成されている。
そして、制御部Hは、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電圧との関係に基づいて、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量に対応するファンモータ12aの目標回転速度になるように、ファンモータ12aへの印加電圧を制御するように構成されている。
ここで、制御部Hがファンモータ12aへの印加電圧を制御するための、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電圧との設定関係について説明する。
例えば、設定風量がQ1(例えば100m3 /h)であるとする。
図7は、換気ファン12に装着されるファンモータ12aに印加する電圧がV1、V2、V3、V4、V5(V1<V2<V3<V4<V5)であるときの換気ファン12の静圧Pと風量Qとの関係を示すPQ特性(V1〜V5で指示される曲線)、および、換気ファン12によって通風する通風路の通風抵抗がL1、L2、L3、L4、L5(通風抵抗L1<L2<L3<L4<L5)であるときの通風路における圧力損失Pと通風量Qとの関係を示すPQ特性(L1〜L5で示される右上がりの曲線)を示している。
図7において、破線は風量がQ1(例えば100m3 /h)で一定である線を表しており、通風路の通風抵抗が種々異なる場合であっても、通風路の通風抵抗に応じてファンモータ12aへの印加電圧を調節することで下記に示すように、換気ファン12によって通風する通風量をQ1に合致させることができる。
(1)通風路の通風抵抗がL1のときには、風路の通風抵抗がL1のときの通風路のPQ特性の曲線と破線との交点、つまり、数字1の丸で囲んだ点において、通風路の通風抵抗がL1のときの通風路のPQ特性の曲線と、換気ファン12のPQ特性の曲線とが交差すれば、通風抵抗がL1の通風路にQ1の通風量で通風されることになるから、ファンモータ12aへの印加電圧をV1に調節することで通風量はQ1となる。
(2)同様に、風路の通風抵抗がL2のときにはファンモータ12aへの印加電圧をV2に調節することで、また、風路の通風抵抗がL3のときにはファンモータ12aへの印加電圧をV3に調節することで、また、風路の通風抵抗がL4のときにはファンモータ12aへの印加電圧をV4に調節することで、また、風路の通風抵抗がL5のときにはファンモータ12aへの印加電圧をV5に調節することで、通風量はQ1となる。
一方、ファンモータ12aに印加する電圧がV1のときにQ1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N1は換気ファン12固有の値であり、同様に、ファンモータ12aに印加する電圧がV2のときにQ1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N2、および、ファンモータ12aに印加する電圧がV3のときにQ1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N3、および、ファンモータ12aに印加する電圧がV4のときにQ1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N4、および、ファンモータ12aに印加する電圧がV5のときにQ1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N5も、夫々換気ファン12固有の値である。
したがって、Q1の通風量で通風されている場合には、ファンモータ12aの回転速度Nとファンモータ12aに印加する電圧Vとの関係は、N=N1のときにはV=V1、N=N2のときにはV=V2、N=N3のときにはV=V3、N=N4のときにはV=V4、N=N5のときにはV=V5となる関係が成立する。
換言すれば、N=N1のときにはV=V1、N=N2のときにはV=V2、N=N3のときにはV=V3、N=N4のときにはV=V4、N=N5のときにはV=V5となる関係を満たすように、ファンモータ12aに印加する電圧Vを調節することで、通風路の通風抵抗が未知であってもQ1の通風量で通風できることになる。
ここで、一般に、浴室暖房換気装置などの換気装置によって通風換気される通風路の通風抵抗は上記L1〜L5のように離散的な値をとるのではなく、種々の値をとり得るものであるから、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量毎に、ファンモータ12aの回転速度Nとファンモータ12aに印加する電圧Vとの設定関係を求めておき、ファンモータ12aの回転速度Nとファンモータ12aへの印加電圧Vとの関係がこの設定関係を満足するように、ファンモータ12aへの印加電圧Vを制御すれば、浴室暖房換気装置によって通風換気される通風量が通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量に調節されることになる。
これを換言すると、前述の、制御部Hは、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電圧との関係に基づいて、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量に対応するファンモータ12aの目標回転速度になるように、ファンモータ12aへの印加電圧を制御するように構成すればよい、ということになる。
本実施形態における浴室暖房換気装置においては、図5に示すように、前記制御部Hには、標準温度Ts(例えば、24℃)におけるファンモータ12aの目標回転速度Nとファンモータ12aへの印加電圧Vとの関係として、設定関係S1が予め求めて設定してある。
そして、制御部Hは、後述する補正処理の実行によって、換気ファン12に装着されるファンモータ12aのモータ特性に対応するように、設定関係S1を補正するように構成されている。
すなわち、制御部Hは、補正処理の実行により、設定関係S1を補正した補正関係を求めて、その求めた補正関係に基づいて、ファンモータ12aの回転速度が目標回転速度Nになるように、ファンモータ12aへの印加電圧を制御するように構成されている。
上記補正処理について説明する。
前記換気ファン12に装着されるファンモータ12aのモータ特性に応じた固有情報を保持する固有情報保持手段が設けられ、前記制御部Hは、浴室暖房換気装置を設置したときに、固有情報保持手段に保持されている固有情報に基づいて、換気ファン12に装着されるファンモータ12aのモータ特性に対応するように、設定関係を補正する補正処理を実行するように構成されている。
すなわち、図4に示すように、固有情報保持手段としての抵抗器29が設けられ、出荷検査のときに、設定風量(例えば、100m3 /h)になるように、ファンモータ12aへの印加電圧を制御した状態で、実際の風量を測定し、その測定した風量が設定風量からどの程度ばらついているかの度合いに応じて抵抗値を定める工程を合理化した、後で詳述する工程によって抵抗値を定めて、その定められた抵抗値の抵抗器29をファンモータ12aに装着されるように構成されている。
そして、ファンモータ12aに備えられた抵抗器29を、ファンモータ12aと同一のコネクタ27を介して、制御部Hと接続されると、制御部Hが、換気ファン12にファンモータ12aを装着した状態で、抵抗器29の抵抗値を読み込んで、換気ファン12に装着されるファンモータ12aのモータ特性に対応するように、設定関係を補正するようにしている。
詳述すると、制御部Hには、図6に示すように、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電圧との関係として、最大モータトルク用の最大関係S2、センターモータトルク用の中間関係S3、最小モータトルク用の最小関係S4の夫々に相当する補正式が設定され、最大関係S2、中間関係S3、最小関係S4の夫々に対応する抵抗値が設定されている。
そして、制御部Hは、抵抗器29の抵抗値を読み込んで、その抵抗値と最大関係S2、中間関係S3、最小関係S4の夫々に対応する抵抗値との偏差に基づいて補正幅を決定し、その補正幅と最大関係S2、中間関係S3、最小関係S4の夫々に対応する補正式とに基づいて、換気ファン12に装着されるファンモータ12aのモータ特性に対応するように設定関係を補正するようにしている。
このようにして、制御部Hが、換気ファン12に装着されるファンモータ12aにおけるバラツキ度合いに基づいて、設定関係を補正し、そのファンモータ12aのモータ特性に対応した状態で、ファンモータ12aへの印加電圧を制御することによって、換気ファン12に装着されるファンモータ12aがどのファンモータでもあっても、所望の風量を得ることができることになる。
また、固有情報保持手段としての抵抗器29をファンモータ12aに備え、ファンモータ12aと同一のコネクタ27を介して制御部Hと接続するように構成しているので、ファンモータ12aを交換するときには、ファンモータ12aとそのファンモータ12aに対応する抵抗器29を交換するだけでよく、その交換作業の容易化を図ることも可能となる。
なお、前記制御部Hは、外気温度検出手段による外気温度と所定の温度との偏差に基づいて、設定関係を補正した補正関係を求めて、その求めた補正関係に基づいて、ファンモータ12aへの印加電圧を制御する外気温補正を行うように構成されているが、本書においてその詳細な説明は省略する。
つぎに、本発明にかかる製造方法によって製造される風量制御装置を適用した浴室暖房換気装置における、換気ファン12の製造工程について説明する。
換気ファン12の製造工程においては、換気ファン12に装着されるファンモータ12aのモータ特性に応じた固有情報を求め、求めた固有情報を固有情報保持手段に保持する必要がある。その場合、該製造工程において検査装置によって、検査対象のファンモータ12aが取り付けられたファンによって検査工程用の通風路に通風したときの風量、および、検査対象のファンモータ12aに印加する電圧、および、検査対象のファンモータ12aの回転速度の3つの物理量を測定する方法を採用すると、風量を的確に測定するためには、検査工程用の通風路において通風の乱れが生じないようにする必要があるので、検査工程用の通風路の小型化が困難であり、また、該製造工程において製造検査するファンモータ12aの機種数に応じた数の検査装置が必要であることから、該製造工程には相当のスペースが必要であり、該製造工程がより簡便で、かつ、該製造工程が省スペースに構成できるように、以下に説明する製造方法を採用している。
この換気ファン12の製造工程においては、以下の手順で換気ファン12の検査が実行される。
(1)検査用通風路に換気ファン12が取り付けられる。
(2)換気ファン12に装着されるファンモータ12aに一定の検査電圧Vt(本実施形態では直流30V)が印加されて検査用通風路に通風される。
(3)換気ファン12の周囲温度Taが測定される。
(4)周囲温度Taにおける換気ファン12の回転速度Na〔rpm〕が測定される。
(5)周囲温度Taにおける換気ファン12の回転速度がNa〔rpm〕である場合における、標準温度Ts(本実施形態では24℃)においてこの換気ファン12に検査電圧Vt(本実施形態では直流30V)を印加してファンモータ12aをオープンループで定電圧駆動して検査用通風路に通風した時の、標準温度Tsに対応して換算した標準回転速度Nst〔rpm〕を、式1を用いた演算によって求める。
Nst〔rpm〕=Na+1.54028×(24−Ta)・・・・・・(式1)
因みに、上述の式1は検査用通風路に換気ファン12が取り付けられた状態でファンモータ12aに検査電圧Vt(本実施形態では直流30V)が印加されてファンモータ12aがオープンループで定電圧駆動されて検査用通風路に通風されたときの、換気ファン12の回転速度の温度係数が1.54028であり、温度が1℃上昇することで換気ファン12の回転速度が1.54028rpm上昇することによるものである。因みに、温度が1℃低下したときには換気ファン12の回転速度は1.54028rpm低下する。
(6)図8に示す予め定めた変換関係と、式1によって求めた標準回転速度Nstとに基づいて、換気ファン12に装着されているファンモータ12aに対応する抵抗器29の値を決定し、ファンモータ12aに装着される。
なお、図8における、標準回転速度Nstと抵抗器29の値との関係は、本実施形態における一例を示すものであり、換気ファン12の特性に応じて適宜設定されるものである。
図8において、標準回転速度Nstを示す目盛り線と抵抗器29の値を示す目盛り線との交点に付した黒丸は、その点が含まれることを表し、標準回転速度Nstを示す目盛り線と抵抗器29の値を示す目盛り線との交点に付した白丸は、その点が含まれないことを表す。
すなわち、本実施形態において具体的には、
(A)標準回転速度Nstが1301.0rpm以下で1291.8rpmより大きい場合は、抵抗器29の値は、前述の最大関係S2に対応する抵抗値である17.4kΩに決定され、
(b)標準回転速度Nstが1291.8rpm以下で1282.6rpmより大きい場合は、抵抗器29の値は、前述の最大関係S2と中間関係S3との間の関係に対応する抵抗値である15.4kΩに決定され、
(c)標準回転速度Nstが1282.6rpm以下で1273.4rpmより大きい場合は、抵抗器29の値は、前述の最大関係S2と中間関係S3との間の関係に対応する抵抗値である14.0kΩに決定され、
(d)標準回転速度Nstが1273.4rpm以下で1264.2rpmより大きい場合は、抵抗器29の値は、前述の最大関係S2と中間関係S3との間の関係に対応する抵抗値である12.7kΩに決定され、
(e)標準回転速度Nstが1264.2rpm以下で1250.6rpm以上の場合は、抵抗器29の値は、前述の中間関係S3に対応する抵抗値である11.0kΩに決定され、
(f)標準回転速度Nstが1250.6rpm未満で1241.6rpm以上の場合は、抵抗器29の値は、前述の中間関係S3と最小関係S4との間の関係に対応する抵抗値である6.04kΩに決定され、
(g)標準回転速度Nstが1241.6rpm未満で1232.6rpm以上の場合は、抵抗器29の値は、前述の中間関係S3と最小関係S4との間の関係に対応する抵抗値である3.65kΩに決定され、
(h)標準回転速度Nstが1232.6rpm未満で1223.6rpm以上の場合は、抵抗器29の値は、前述の中間関係S3と最小関係S4との間の関係に対応する抵抗値である2.15kΩに決定され、
(i)標準回転速度Nstが1223.6rpm未満で1214.6rpm以上の場合は、抵抗器29の値は、前述の中間関係S3と最小関係S4との間の関係に対応する抵抗値である0.487kΩに決定され、
ファンモータ12aに装着される。
なお、標準回転速度Nstが1301.0rpmより大きい、または、1214.6rpm未満である場合は、検査された換気ファン12が規格外であると判定され、ファンモータ12aには0Ωの抵抗器29(すなわち短絡線)が実装され、万が一浴室暖房換気装置に規格外の換気ファン12が実装された場合にも、換気ファン12が規格外であることの判定が制御部Hによって行えるようにしてある。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、標準回転速度Nstが1301.0rpmより大きい、または、1214.6rpm未満である場合は、検査された換気ファン12が規格外であると判定され、ファンモータ12aには0Ωの抵抗器29(すなわち短絡線)が実装される例を示したが、規格外であると判定されたときに、標準回転速度Nstが1301.0rpmより大きい場合と、標準回転速度Nstが1214.6rpm未満である場合とを識別できるように、別の値の抵抗器29を実装してもよく、また、規格外であると判定されたときに抵抗器29を実装しないように構成してもよい。
(2)上記実施形態では、固有情報保持手段としての抵抗器29をファンモータ12aに備えるように構成したが、制御部Hに固有情報保持手段としての記憶手段を備えるように構成して実施することも可能である。
(3)上記実施形態では、24℃を標準温度Tsとしたが、標準温度Tsは24℃に限るものではなく、例えば、20℃や15℃など適宜変更が可能である。
(4)上記実施形態では、換気運転として、通常換気運転と24時間換気運転の2種類の換気運転を実行可能な浴室暖房換気装置を例示したが、通常換気運転および24時間換気運転のどちらか一方のみ運転するものでもよい。
また、上記実施形態では、浴室Aに加えて、トイレCおよび脱衣室Dを換気可能な浴室暖房換気装置を例示したが、浴室Aのみを換気可能に構成して実施するなど適宜対応可能である。
(5)上記実施形態では、本発明にかかる風量制御装置のファンを浴室用の換気ファンであるとして、浴室暖房換気装置に適応した例を示したが、例えば、本発明によって製造される風量制御装置のファンを、単なる換気ファンであるとして、居間などを換気する換気装置や、換気ファンに限らず、その他各種のファンであるとして、各種の装置に適応することが可能である。
12 換気ファン
12a ファンモータ
29 固有情報保持手段
H 制御手段
Na 検査工程の周囲温度における換気ファンの回転速度
Nst 標準周囲温度に換算した換気ファンの回転速度(標準回転速度)
Ta 周囲温度
Ts 標準温度
Vt 検査電圧

Claims (2)

  1. ファンを所定の通風量で通風作動させるためのファンモータと、そのファンモータへの印加電圧を制御する制御手段とが設けられ、
    前記制御手段が、前記所定の通風量に対応して予め設定された前記ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との設定関係に基づいて、前記ファンモータの回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との関係が前記設定関係と一致するように、前記ファンモータへの印加電圧を制御するように構成され、
    前記ファンに装着される前記ファンモータの前記目標回転速度と前記印加電圧との固有の関係であるモータ特性に応じた固有情報を保持する固有情報保持手段が設けられ、
    前記制御手段が、前記固有情報保持手段が保持している前記固有情報に基づいて、前記設定関係が前記ファンに装着される前記ファンモータの前記モータ特性に対応する設定関係となるように、前記設定関係を補正する補正処理を実行するように構成されている風量制御装置の製造方法であって、
    前記固有情報保持手段に固有情報を保持させるための固有情報保持工程において、
    前記ファンモータに所定の検査電圧を印加して前記ファンモータをオープンループで駆動し、所定の給排気抵抗の通風路に対して前記ファンによって通風作動させたときの前記ファンモータの回転速度を出力回転速度として測定し、
    前記出力回転速度から前記固有情報への変換を規定する、予め定めた変換関係に基づいて、前記固有情報を決定し、この決定した固有情報を前記固有情報保持手段に保持させることを特徴とする風量制御装置の製造方法。
  2. 前記固有情報保持工程において前記ファンモータの周囲温度を測定し、
    この周囲温度が標準周囲温度であるときの前記変換関係と、
    前記周囲温度が前記標準周囲温度から変化したときの、前記周囲温度に対する前記出力回転速度の温度特性と、に基づいて前記固有情報を決定することを特徴とする請求項1に記載の風量制御装置の製造方法。
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