JP2013181004A - オキソ反応触媒寿命改良法 - Google Patents

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    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
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    • C07C45/50Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reaction with carbon monoxide by oxo-reactions

Abstract

【課題】 ロジウム−リン化合物錯体を触媒とするガス循環法ヒドロホルミル化反応において、触媒を反応器から抜き出すことなく、製造の効率を維持して24ケ月以上の連続操業運転できる方法を提供する。
【解決手段】 長期高負荷高効率連続運転を達成するために反応器の操業条件を下記のようにする。
1)反応効率を上げるため、反応器気相部分のオレフィン分圧を上昇させ、一酸化炭素分圧を低下させる。
2)触媒毒を徹底除去する。
3)低い反応温度の長期継続を実施する。
4)反応システムとしては、オレフィンの分圧を上昇させることになり、反応器一基では排ガスへの原料オレフィンの損失が多くなるので、排ガス中のオレフィンを更に反応させる反応器を設置する本発明の反応系反応効率・触媒効率を上昇させる。
5)一番重要な触媒管理には長年の操業実績を分析し、独自に開発した長期触媒管理法を用いて触媒管理を適切に維持していく。
【選択図】 図1

Description

ロジウムは、全世界で年間十数トンしか産出しない貴重でかつ高価な貴金属である。従ってロジウムを使用する工業では、出来るだけ長期間且つ損失を防止して利用することが肝要である。
本発明はオレフィンを一酸化炭素及び水素でロジウム−リン化合物錯体の存在においてヒドロホルミル化する反応系の触媒寿命を改良する方法に関する。
更に詳細には、本発明は、経済的かつ効果的な方法で二つの反応系を用い、製品アルデヒドの経済的な生産効率を保持しつつ、且つ、反応系から触媒液をブリード(bleed、抜き出し)することなく、ガス循環ロジウム−リン化合物錯体触媒ヒドロホルミル化法の触媒寿命を従来の2倍以上にできる方法に関する。
この方法の採用により、煩雑で且つトラブル発生の多い操業中の反応器から触媒を抜き出し、更に反応器に戻すような触媒の取り扱いを避けることができる。その結果、長期高負荷高効率連続運転を達成でき、その経済効果の大きさは計り知れない。
オレフィンを一酸化炭素及び水素でロジウム−リン化合物錯体触媒及び遊離リン配位子の存在下、反応圧力3MPa以下においてヒドロホルミル化することによってアルデヒドを製造する方法は、低圧オキソヒドロホルミル化プロセスとしてよく知られている。また、ロジウム触媒寿命、反応速度及び効率を有意に損失させないためにいろいろな連続プロセスが開発されており、ガス循環ロジウム−リン化合物錯体ヒドロホルミル化プロセス(以下、ガス循環法と略す)や液循環ロジウム−リン化合物錯体触媒ヒドロホルミル化プロセス(以下、液循環法と略す)、二相反応・抽出法などが紹介されている(非特許文献1および非特許文献2)。
(ガス循環法)
ガス循環法は、ディビー(英国)とダウ(米国)との協力により開発されたプロセス(特許文献1および特許文献2)である。
ガス循環法では、反応及び分離条件の組み合わせにおいて制限を受ける。ストリッピングは高温(低い選択性、低い直鎖性、パラフィンの生成)と低圧(低い活性)、高いガス速度の組み合わせが必要である。しかも、このガス循環法は、本質的に反応で生成する高沸点化合物(アルデヒドの三量体、四量体など)の揮発度により制限を受ける。気相を通じ、高沸点化合物が除去される速度が、少なくとも高沸点化合物の生成速度と同じでなければならない。もし、高沸点化合物の生成速度が、気相を通じての除去速度より大きくなると下記のトラブルが発生する。
1)高沸点化合物が蓄積し、反応器液面の上昇をきたす。その結果、製造運転を中止し、活性な触媒を含有する高沸点化合物を系外に抜き出す必要が生ずる。
2)低圧または高温条件にて運転しても、触媒のパフォーマンスが許容できない状況に立ち至り、製造運転を中止、触媒を含む高沸点化合物を抜き出す必要が生ずる。
たとえば、オレフィン原料としてプロピレンを用いるガス循環法では、効率的な生産効率(N/I比=10以上、プロピレンの収率=94%以上)を維持して、連続運転できるのは1〜3ケ月である。
(液循環法)
液循環法は、ディビー(英国)とダウ(米国)との共同開発プロセス(特許文献3)や三菱化学のプロセス(特許文献4)などがある。
液循環法では、生成物は反応器から液相で取り出され、反応器とは別に設置された特殊な蒸発器で注意深く触媒から蒸発される。反応と生成物/触媒の分離を同時に実施しないことにより、反応器の反応条件を最適にできる可能性がある。ワンパスでのオレフィンの高転化率を必要とするので、連続した多くの反応器を用いることが要求される。反応条件は、ガス循環法と殆ど同等であるが、わずかに反応温度や触媒濃度を低下出来る。
液体生成物は減圧され、高温のまま蒸発器に移送される。そこで、ロジウム触媒保護のため、短い時間で生成物のアルデヒドが蒸留される。高沸点化合物に溶解しているロジウム触媒は、生成物と分離され、反応器にリサイクルされる。大気圧での蒸留は比較的高い温度となり、ロジウムの被覆やクラスター化、アルデヒドのオリゴマー化による高沸点化合物の生成が発生する。減圧蒸留は低い温度につながるが、酸素の侵入によりリン化合物配位子やアルデヒドが酸化される結果となり、これが触媒活性低下を生ずる。
液循環法では、蒸発器において上述の如くロジウムの被覆・クラスター化、高沸点化合物生成、あるいは、リン化合物配位子の酸化により触媒活性低下を生じる。その結果、高沸点化合物の蓄積が避けられず、高沸点化合物の抜き出しと不活性触媒の除去が必要となる。
上述のことを含めて、高沸点化合物中に溶解したロジウム触媒の連続的再循環法が不利な面があることも実質的な反復使用によりわかってきた。それらを纏めると下記の如くである。
1)触媒の定常的移動は触媒損失を招くこと。
2)触媒の一部は、反応器の外部にあるので、かなりの触媒容積を必要とすること。
3)高沸点化合物の生成速度が有意の水準に保持され、しかも、それを除去する必要があるため、触媒の安定性に影響を及ぼし、一酸化炭素の圧力調整が困難になること。
4)熱液を系を通して定常的に移動させるので再循環の性質として熱損失を生じ、且つ、少量の酸素漏洩(有害である。)をする傾向にあること。
(二相反応・抽出法)
二相反応・抽出法は、ルーアヘミー(ドイツ)とローヌプーラン(フランス)の両社によって開発されたプロセス(特許文献5)である。
基本原理は、反応器とセパレターの両方に二つの液相が用いられる。第一の相は粗生成物の相、第二の相は、ロジウム触媒と過剰の配位子を含んだ相であり、それにより効果的に触媒と生成物を分離できる。第二の相は、一般的には水系(極性)、水溶性配位子から構成される。最良の配位子はトリフェニルホスフィンメタスルホナート(以下、TPPTSと略す)である。二相のヒドロホルミル化反応器に非極性プロピレンを水相に拡散させ、再び非極性アルデヒドなどの高沸点化合物を水相から分離する。事実上、抽出が反応器内で行われる。
高沸点化合物の副生が先述のガス循環法・液循環法においては、問題を引き起こす主要要因のひとつであった。一方、有機相への抽出により、ロジウムを損失する可能性がある。
反応器内部には気体/液体(水相)、並びに、液体/液体(水相)の両面での相間移動に制限があり、この制限があるために、反応器は攪拌される。それにも関わらず物質移動に制限があり、反応は液/液(水相)界面に限定されていると考えられる。その結果、反応条件として、プロピレンの低溶解性を解決させるため、反応温度を上昇させ、且つ、ロジウム濃度も上述のガス循環法や液循環法よりも高くする必要がある。
反応温度は、125℃以上、反応圧力は約6MPaである。ロジウム濃度は300ppm程度であるが、反応器内の水相/有機相の比率が約6と高く、反応器全体に高いロジウム濃度を与える必要がある。
二相の反応液は冷却なしで反応器からデカンターへ移され、その中で過剰な未反応合成ガスは分離される。残存する二液は単純な沈降により分離される。触媒を含む水相は反応器に再循環される。上述のように、反応温度が125℃以上と高いために触媒の失活による触媒のロスが発生する確率が高い。
また、使用する遊離リン化合物配位子TPPTSの合成は簡単ではなく、高価なものになってしまう。
更に、反応圧力が6MPa以上と高いために設備投資額が嵩むことに繋がる。
本プロセスは、高沸点化合物が副生するという問題を解決できる糸口を提供したが、その他の面では、ロジウムの高効率使用に繋がってはいない。
米国特許明細書3527809号 特開昭52−125103号 米国特許明細書第4247486号 特開昭50−58008号 仏国特許明細書第2314910号
"Rhodium catalyzed hydroformylation"、(Kluwer Academic Publishers社出版、2000) "Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology"、4th Edition、Vol、pp 902〜919(1996)
本発明の目的は、オレフィンを一酸化炭素及び水素でロジウム−リン化合物錯体の存在においてヒドロホルミル化する反応系の触媒寿命を改良することである。液循環法においても、反応で生成する高沸点化合物や失活触媒の抜き出し等の煩雑な作業が必要となる。その作業のための装置の停止期間や触媒再活性化のための作業に要する期間は長い。また、二相反応・抽出法では、反応器で副生する高沸点化合物の処理には成功しているが、やはり触媒の損失が多くなる。
一方、ガス循環法による連続運転においては、生成されるアルデヒドのうち経済価値の高い直鎖アルデヒドと経済価値の若干劣る分岐アルデヒドの比率(N/I比)を10以上に維持し、且つ、高負荷運転を継続していくには触媒活性の低下を補うための対策が必要である。効果的な対応策として下記の項目が挙げられる。
(1)反応温度の上昇
(2)反応器気相部分のプロピレン分圧の上昇
(3)反応器気相部分の一酸化炭素分圧の低下
(4)ロジウム触媒の追加
(5)リン化合物配位子の追加
連続運転スタート後、6ケ月でこれらの対応策を組み合わせても高負荷の保持は難しくなる。しかも、反応器気相部分のプロピレン分圧を上昇させることは排ガス中へプロピレンの損失を生じ、プロピレンの効率悪化に繋がる。6ケ月経過後は、反応温度も高くなり、反応器中での高沸物も増加し、12ケ月で反応器を停止して、触媒・高沸物の抜き出しを実施しないと高負荷の運転は実施できないのが実情である。
本発明の目的はガス循環法プラントの商業運転中に反応で生成する高沸点化合物や触媒を抜き出すという煩雑な操作を実施することなく、2年以上の連続期間にロジウム触媒を抜き出すことなく、製品アルデヒドのN/I比を10以上とし、原料オレフィンのフィード量を反応系の設計値の95%以上とし、そして原料オレフィンのアルデヒドへの効率を94%以上にできる運転(以下長期高負荷高効率連続運転と定義する。)の方法を提供することである。この方法の採用により、煩雑で且つトラブル発生の多い操業中の反応器から触媒を抜き出し、更に反応器に戻すような触媒の取り扱いを避けることができる。その結果、長期高効率高負荷連続運転を達成でき、その経済効果の大きさは計り知れない。
上記課題を解決する為に以下の項目を実施すれば、ロジウムの損失を防ぎ、2年間以上の長期高負荷高効率連続運転が可能となる。
本発明は、以下の項(1)〜(18)から構成される。
(1) オレフィン、一酸化炭素及び水素を、可溶性ロジウム−リン化合物錯体触媒、遊離リン配位子及びアルデヒドとその縮合副生物の存在下に反応させてアルデヒド生成物を生成させ、しかも未反応オレフィン及び前記のアルデヒド生成物、水素、一酸化炭素及びアルカン副生物より成る気体排出物を第一反応系から排出させるガス循環ロジウム錯体触媒ヒドロホルミル化法において、第二の反応系に前記気体排出物を一酸化炭素及び水素より成る気体とともに供給反応させ、連続運転を達成する方法。本法によればロジウムの損失を最低限に抑え、供給されたオレフィンを従来以上に有効に利用でき、長期高効率高負荷連続運転を達成できる。
(2) 第一反応系は、1から5基の反応器で構成され、第二の反応系は1から2基の反応器で構成される(1)に記載の方法。
(3) 遊離リン配位子、及びロジウム−1−リン化合物錯体触媒のリン配位子がトリオルガノホスフィン化合物であり、より好ましくは、工業的に大量生産され、比較的安価で入手できるトリフェニルホスフィンである(1)から(2)のいずれか1項に記載の方法。
(4) 第二反応系の触媒容積と第一反応系の触媒容積との比が0.05:1から〜1.0:1.0の範囲であり、より好ましくは、第二反応系の触媒容積と第一反応系の触媒容積との比が0.1:1から1.0:1.0の範囲である(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法。この比率範囲内からであれば設備投資額を最適にできる。
(5) 第一及び第二の反応系のヒドロホルミル化反応は、50℃から145℃の反応温度において行い、より好ましくは第一及び第二の反応系のヒドロホルミル化反応は、80℃から110℃の反応温度において行う(1)から(4)のいずれか1項に記載の方法。この温度範囲内であれば、反応速度も速く、且つ、副反応も少ない。
(6) 第一及び第二の反応系におけるロジウム濃度がロジウムとして計算して10から900ppmの範囲であり、より好ましくは第一及び第二の反応系におけるロジウム濃度がロジウム金属として計算して、50〜500ppmの範囲である(1)から(5)のいずれか1項に記載の方法。この濃度範囲内であれば、反応速度も速く、且つ、クラスター化を最小にできる。
(7) ロジウム1モルに対して、1から200モルの遊離配位子を存在させる(1)から(6)のいずれか1項に記載の方法。特に100から200モルの範囲であれば、N/I比を10以上に維持でき、産業上有用である。
(8) 第一及び第二の反応系のそれぞれのオレフィン、一酸化炭素及び水素の合計圧力が3MPa以下であり、かつ、水素と一酸化炭素とのモル比が1:100から100:1の範囲であり、より好ましくは、第一及び第二の反応系のそれぞれのオレフィン、一酸化炭素及び水素の合計圧力が2.3MPa以下であり、しかも、水素と一酸化炭素とのモル比がヒドロホルミル化反応速度を速くできる1:1から3:1の範囲である(1)から(7)のいずれか1項に記載の方法。
(9) 第一及び第二の反応系のヒドロホルミル化反応におけるアルデヒド生成物と高沸点化合物との比が5:1から100:1の範囲である(1)から(8)のいずれか1項に記載の方法。
(10) 第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧変化により、式(I)式に従って反応効率が変化するので、目標とする反応効率を維持するためにプロピレン分圧の調整を実施する(1)から(9)のいずれか1項に記載の方法。
<プロピレン分圧と反応効率との関係式>
反応効率(%)=[プロピレン分圧(kPa)]×[A]+[B]・・・式(I)
[A]:(−0.0070)から(−0.0100)の範囲、より好ましくは(−0.0080)から(−0.0090)の範囲
[B]:80から100の範囲、より好ましくは90から100の範囲
(11) 反応温度を変化させる場合の第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧予測には、式(II)を用いて実施する(1)から(10)のいずれか1項に記載の方法。
<反応温度1℃上昇によるプロピレン分圧の降下予測式>
分圧の変化(kPa)=[変更前分圧(kPa)]×[C]+[D]・・・式(II)
[C]:0.02から0.06の範囲、より好ましくは0.03から0.05の範囲
[D]:0.05から0.09の範囲、より好ましくは0.06から0.08の範囲
(12) ロジウム触媒を追加した場合の第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧予測には、(III)式を用いて実施する(1)から(11)のいずれか1項に記載の方法。
<ロジウムを1グラム追加した時のプロピレン分圧の降下予測式>
分圧の降下(kPa)=[ロジウム濃度(ppm)]×[E]―[F]×[ロジウム濃度(ppm)]+[G]・・・式(III)
[ロジウム濃度(ppm)]は、ロジウム追加前の第一反応系内反応液のロジウム濃度を示す。
[E]:0.00005から0.0004の範囲、より好ましくは0.0001から0.0003の範囲
[F]:0.05から0.30の範囲、より好ましくは0.10から0.20の範囲
[G]:10から50の範囲、より好ましくは20から40の範囲
(13) 運転日数が変化した場合の第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧予測には、(IV)式を用いて実施する(1)から(12)のいずれか1項に記載の方法。
<運転日数10日当たりのプロピレン分圧の上昇予測式>
分圧の上昇(kPa)=[運転日数]×「H」+[I]・・・式(IV)
[H]:0.001から0.03の範囲、より好ましくは0.005から0.02の範囲
[I]:1から30の範囲、より好ましくは5から15の範囲
(14) 運転負荷を変化させた場合の第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧予測には、式(V)を用いて実施する(1)から(13)のいずれか1項に記載の方法。
<運転負荷を1%変更することによる分圧の変化予測式>
分圧の変化(kPa)=[変更前分圧(kPa)]×[J]+[K]・・・式(V)
[J]:0.005から0.010の範囲、より好ましくは0.008から0.0095の範囲
[K]:0.001から0.009の範囲、より好ましくは0.005から0.007の範囲
(15) 式(I)から式(V)式の関係式を用い、長期高負荷高効率連続運転のための最適運転条件計算を実施し、この計算結果に基づいて下記の如く本発明の反応系を運転する方法で(1)から(14)のいずれか1項に記載の方法。
1)ロジウム触媒は、計画した運転期間中に使用する全重量の10重量%から70重量%の範囲で、運転開始時に第一及び第二反応系に分割投入する。
2)連続運転の前期は、触媒活性が低下してきた際、反応液の組成により触媒活性への影響の少ない100℃までは一回の反応温度上昇操作は1℃から5℃の範囲で反応温度を上昇させる。
3)100℃を超える場合は、予測される触媒活性低下に応じて残りの触媒を2回から10回に分割し、所定量の触媒を補給していく。
4)更に触媒活性が低下してくる連続運転の後期は、一回の反応温度上昇操作は1℃から5℃の範囲で反応温度を上昇させる。
(16) 両反応系内での一酸化炭素、水素及びオレフィンの分圧は、式(I)から式(V)の関係式を用い、長期高負荷高効率連続運転の最適運転条件計算を実施し、この計算結果に基づき、下記の範囲とする。即ち、一酸化炭素は17.5から55kPaの範囲、水素は175から265kPaの範囲、オレフィンは350から790kPaの範囲とする(1)から(15)のいずれか1項に記載の方法。
(17) 両反応系内に原料として供給される一酸化炭素、水素及びオレフィンに含有されるロジウム触媒の触媒毒となる、硫黄化合物は酸化亜鉛充填塔を通過させ、塩素化合物は銅含浸活性炭充填塔を通過させ、且つ三重結合炭化水素化合物、共役ジエン結合炭化水素はパラジウム充填塔にて水添して飽和炭化水素に変換して、触媒毒を除去した原料を使用する(1)から(16)のいずれか1項に記載の方法。
(18) オレフィンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、およびイソブテンから選択される少なくとも1つである(1)から(17)のいずれか1項に記載の方法。
オレフィンを一酸化炭素及び水素でロジウムーリン化合物錯体の存在においてヒドロホルミル化によりアルデヒドを製造する反応系、更に詳細には、ガス循環法において、本発明の反応系を用い、本発明の長期高負荷高効率連続運転方法に従って反応系を運転することにより下記の効果を達成できる。
(1)従来法では、経済的なオレフィンの反応効率を維持しながら、触媒を抜き出すことなく連続運転できる期間は12ケ月以内であった。本発明の採用により2年間以上の連続運転を達成できる。その結果、年間の運転日数が増加でき、製品アルデヒドを増産できる。
(2)オレフィンがプロピレンの場合、従来法では、プロピレンの反応効率を94%以上維持できるのは運転開始後1から3ケ月であった。本発明の採用より、2年間以上、プロピレンの反応効率を94%以上に維持できる。その結果、製品ブチルアルデヒドの製造コスト削減を達成でき、省資源に繋がる。
(3)失活した触媒は、反応系から低沸点物質を蒸発してロジウム含有高沸点溶液を得て、この溶液から触媒を回収する。触媒回収工程にて、約10%の触媒損失がある。失活触媒抜き出し回数の減少により、ロジウム触媒損失量を半減できる。
以下、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
ガス循環法による連続運転においては、製造するアルデヒドのうち経済価値の高い直鎖アルデヒドと副生する分岐アルデヒドの比率(N/I比)を10以上に維持し、且つ高負荷運転を継続していくには触媒活性の低下を補うための対策として、反応器のオレフィン分圧の上昇、一酸化炭素分圧の低下を図った。その結果、高負荷は維持できても排ガス中へのオレフィンの損失が多くなり、オレフィン効率が大幅に悪化する。そこで、オレフィンの効率を維持するために、本発明の反応系を用いて管理することによって、この問題を解決できることを見出した。
(ロジウム触媒の損失)
ロジウム触媒の損失には、主として下記の三つのルートがある。
1)ロジウム被覆またはクラスター化による損失:
貴金属のひとつであるロジウムはゼロ価金属として被覆する傾向が強い。それはコロイド凝集体をなすか、あるいは、反応器壁表面上の膜をさす。この被覆が生ずる機構は、ロジウムクラスターが他の粒子あるいは壁との凝着によって、十分な大きさに達するまで成長していく。ロジウム被覆は、低いロジウム濃度、高いリガンド/ロジウム比、低い温度によって抑制される。ロジウム被覆は、反応器内部だけでなく、反応器の外部の蒸留条件下でも起こる(高温度、一酸化炭素圧力の低下)。このことが液循環法の安定運転の大きな懸念事項である。
2)生成物中への同伴による損失:
気相あるいは液相生成物中へのロジウム触媒の同伴、または、液相生成物中へのいくらかの溶解によるものである。このロジウムの回収は難しい。このことも液循環法のロジウム損失の要因である。
3)触媒リサイクル・ループからの抜き出し:
一般には、下記の要因による。
(i)反応系内の高沸点化合物の蓄積(触媒と高沸点化合物との十分な分離が不可能になった時。)
(ii)リガンド劣化物、外部からの触媒毒(硫黄分、ジエンなど)による触媒失活により触媒抜き出しが必要となった時。
これらの触媒損失の要因を出来るだけ排除して長期高負荷高効率連続運転を達成することが長年、望まれてきた。
(長期触媒管理法)
ロジウム触媒のクラスターを抑制するためには、低い触媒濃度、高いリン化合物錯体/ロジウム比、低い反応温度条件によって、ある程度、抑制できることは良く知られている。これらの公知の報告を考慮して、更に、長年の操業実績を分析し、独自に開発した長期触媒管理法を用いて触媒管理を適切に維持していくことにより、触媒を抜き出すことなく、高負荷・高反応効率を維持しながら24ケ月以上の連続運転が実施できる長期高負荷高効率連続運転の実施方法を発明した。
この長期触媒管理法は下記の如く実施する。
反応効率を高く(オレフィン原料がプロピレンの場合は、製品アルデヒドの直鎖/分岐比(N/I比)10以上、プロピレンの効率を94%以上に保持)保持しながら長期高負荷高効率連続運転を下記のごとく実施する。
具体的には第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧を予測し、この分圧が上昇した場合に最適の対応策(反応温度・触媒の追加等)を実施する方法である。
プロピレン分圧は高いほど反応速度を増すが、本発明の反応系から有効なプロピレン成分を損失することになるので、反応温度の上昇や触媒の追加等の操作を実施し、プロピレン分圧を下げる操作を実施する。
プロピレン分圧を予測するために、長期にわたる運転実績、運転デ−タから下記の関係式を導き出した。
(I) 反応効率
<プロピレン分圧と反応効率との関係式>
反応効率(%)=[プロピレン分圧(kPa)]×[A]+[B]・・・式(I)
[A]:(−0.0070)から(−0.0100)の範囲、より好ましくは(−0.0080)から(−0.0090)の範囲
[B]:80から100の範囲、より好ましくは90から100の範囲
(II) 反応温度
<反応温度1℃上昇によるプロピレン分圧の降下予測式>
分圧の変化(kPa)=[変更前分圧(kPa)]×[C]+[D]・・・式(II)
[C]:0.02から0.06の範囲、より好ましくは0.03から0.05の範囲
[D]:0.05から0.09の範囲、より好ましくは0.06から0.08の範囲
(III) ロジウム濃度
<ロジウムを1グラム追加した時のプロピレン分圧の降下予測式>
分圧の降下(kPa)=[ロジウム濃度(ppm)]×[E]−[F]×[ロジウム濃度(ppm)]+[G]・・・式(III)
[ロジウム濃度(ppm)]は、ロジウム追加前の第一反応系内反応液のロジウム濃度を示す。
[E]:0.00005から0.0004の範囲、より好ましくは0.0001から0.0003の範囲
[F]:0.05から0.30の範囲、より好ましくは0.10から0.20の範囲
[G]:10から50の範囲、より好ましくは20から40の範囲
(IV) 運転日数
<運転日数10日当たりのプロピレン分圧の上昇予測式>
分圧の上昇(kPa)=[運転日数]×「H」+[I]・・・式(IV)
[H]:0.001から0.03の範囲、より好ましくは0.005から0.02の範囲
[I]:1から30の範囲、より好ましくは5から15の範囲
(V) 運転負荷
<運転負荷を1%変更することによる分圧の変化予測式>
分圧の変化(kPa)=[変更前分圧(kPa)]×[J]+[K]・・・式(V)
[J]:0.005から0.010の範囲、より好ましくは0.008から0.009の範囲
[K]:0.001から0.009の範囲、より好ましくは0.005から0.007の範囲
これらの関係式を用い、長期高負荷高効率連続運転のための最適運転条件計算を実施し、この計算結果に基づいて、下記の如く本発明の反応系を運転する。
具体的な触媒の管理は下記の手法で実施する。
1)反応開始期に加える触媒を出来るだけ低いロジウム濃度とする。
2)所定期間の前半期において高効率を保持するために、反応器気相中のプロピレン分圧を高くし、且つ一酸化炭素分圧を低くする。
3)触媒活性の低下に応じて、反応温度が100℃以下の範囲では、一回の反応温度上昇操作で1℃から5℃の範囲で反応温度を上昇させる。反応温度が100℃までは、ロジウム触媒のクラスター化に殆ど影響しない。反応温度を上昇させると反応速度が速くなるのでプロピレン分圧を低下させる。
4)反応温度が100℃に達すると、触媒活性の低下に応じて、所定量の有機リン化合物とロジウム触媒を交互に2回から10回に分割して追加する。
5)所定期間の後半期において、触媒活性の低下に応じて、高効率を保持するために、一回の反応温度上昇操作で、反応温度を1℃から5℃の範囲で反応温度を上昇させる。
本長期触媒管理法に従い、触媒・操業条件を管理すると提案しているマトリックス反応システムを採用したガス循環法プラントの商業運転中に反応で生成する高沸点化合物や触媒を抜き出すという煩雑な操作を実施することなく、2年間以上の長期高負荷高効率連続運転の方法を達成できる。
(触媒毒の侵入の防止強化)
外部から持ち込まれる触媒毒は、原料のオレフィン及び合成ガス(H/CO=1/1)に起因する。これらの原料から持ち込まれる触媒毒がロジウム触媒の活性低下の大きな要因の一つとなる。そこで、これらの外部要因を排除するため、高純度の原料確保と原料精製系の強化によって、これらの原料中の触媒毒含有量削減を達成する必要がある。
下記のごとく、原料中の触媒毒を除去精製することにより、触媒毒の反応系への混入を極力防止する。
合成ガス(H/CO=1/1) プロピレン
硫黄化合物 検出限界0.1molppm以下 検出限界0.1molppm以下
塩素化合物 検出限界0.1molppm以下 検出限界0.1molppm以下
(分析方法)
硫黄化合物:ガスクロマトグラフ法にて分析。検出限界は0.1molppmである。
塩素化合物:ガス吸収法にてサンプリングし、得た溶液を吸光分析法にて分析。検出限界は0.1molppm以下である。
(リン化合物配位子の劣化)
リン化合物配位子のトリフェニルホスフィンは、酸化反応やP−C結合の開裂によって劣化が生ずる。
1)酸化反応:
リン化合物配位子は、非常に酸化されやすく、熱力学的には水や二酸化炭素でさえトリフェニルホスフィンを対応するオキシドに酸化する。反応溶液中のフリーのトリフェニルホスフィンは、遷移金属触媒の接触作用でオキシドに酸化してしまう。これを防ぐには、原料アルケン中の酸素やペルオキシドの除去が絶対に必要となる。
2)トリフェニルホスフィン内のP−C結合の開裂:
P−C結合開裂反応は遷移金属とトリフェニルホスフィン配位子を含む系では望ましくない副反応である。それにより触媒活性の低下につながる。反応の中間機構で生成するホスフィド基がロジウムプロピル基から発する還元的脱離を生じ、ジフェニルプロピルホスフィンを生ずる。このホスフィン化合物は、トリフェニルホスフィンより強い配位力を有する電子供与性化合物であるため、触媒活性の低下につながる。
これらの有機リン化合物配位子の劣化による反応への悪影響を排除し、長期高負荷高効率連続運転を達成できることが望まれる。
リン化合物配位子の劣化による影響を防止するために、先に述べた如く、原料からの酸素の混入を防止して、長期高負荷高効率連続運転を達成できるようにした。その結果、リン化合物配位子としてトリフェニルホスフィンを用いた場合、長期高負荷高効率連続運転を終了する直前で、トリフェニルホスフィンオキシド及びジフェニルプロピルホスフィンの濃度は下記の如くに管理できた。
トリフェニルホスフィンオキシド 0.35重量%以下
ジフェニルプロピルホスフィン 1.5重量%以下
この濃度以下であれば、製品のN/I比への影響も少なく、高効率高負荷運転を維持できる。
(分析方法)
トリフェニルホスフィノキシド:ガスクロマトグラフ法。検出限界は、0.01重量%である。
ジフェニルプロピルホスフィン:ガスクロマトグラフ法。検出限界は、0.1重量%である。
(概略フローシート)
本発明の反応系の好適なフローシートを図1に示す。オレフィンとしてプロピレンを用いる場合を例示した。
図1について説明する。
原料のプロピレン、及び、合成ガスは、精製塔1及び2で、夫々触媒毒を除去される。精製されたプロピレンは、第一反応系反応器3にフィードされる。反応生成物のブチルアルデヒドは、未反応ガスと一緒に反応器から蒸発し、触媒分離器4で蒸発物中に含まれる極微量のロジウム触媒を分離して、第一反応系反応器3に戻される。蒸発したブチルアルデヒド、未反応プロピレン、合成ガスの混合物は、凝縮器5で冷却される。更に、気液分離器6で液体ブチルアルデヒドと気体の未反応プロピレンと合成ガスに分離される。気体のプロピレン、合成ガスは、第一反応系循環ブロアー7を経て第一反応系及び第二反応系に所定量ずつ分配されて循環される。凝縮したブチルアルデヒドは、向流塔8の塔頂部にフィードし、反応系に供給される精製合成ガスの所定量を向流塔8の下部から供給し、ブチルアルデヒドに溶解しているプロピレンを除去する。向流塔8の下部から粗ブチルアルデヒドが抜き出される。
第一反応系循環ブロアー7から上述の所定量を第二反応系反応器9にフィードする。また、精製塔で精製された合成ガスの所定量を第二反応系反応器9にフィードする。第二反応系反応器9で生成するブチルアルデヒドは、反応器内のガスと一緒に蒸発され、蒸発物中に含まれる極微量のロジウム触媒を触媒分離器10で分離して第二反応系反応器9に戻される。ブチルアルデヒドを含む蒸発物は凝縮器11でブチルアルデヒドが凝縮される。更に、気液分離器12で液体ブチルアルデヒドと気体の未反応プロピレンと合成ガスに分離される。気体のプロピレン、合成ガスは、第二反応系循環ブロアー13にて、第二反応系反応器9に循環される。
管路14から第二反応系の排ガスを放出する。放出ガスの組成を分析しながら、プロピレンの高効率を保持できるように放出量を調整する。
以下、本発明にかかる長期高負荷高効率連続運転を実施する方法を実施例に基づいてさらに詳しく説明する。しかしながら本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
本発明の反応系の第一の反応系は、図1のごとく200リットルの円筒型反応器で構成される。また、第二の反応系は30リットルの円筒型反応器で構成される。オレフィンとしては、プロピレンを用いる場合を実施例で示す。
1)最適運転条件計算方法
過去の実績から考案した長期触媒管理法に基づき第一の反応系の反応器に関し、2年間の長期高負荷高効率連続運転の最適運転条件を計算する。最適運転条件計算の結果は表1のごとくである。
表1 最適運転条件計算結果
Figure 2013181004
運転負荷は、本発明の反応系にフィードされるプロピレン量が0.21kmol/hの時を100%負荷と設定したものであり、0.21kmol/h(as 100%)を基準とした相対分率である。
プロピレン反応効率は、フィードされたプロピレンが製品ブチルアルデヒドに変換された比率を表す。プロピレン分圧は、反応器気相部分のプロピレン圧力を示す。一酸化炭素分圧は、反応器気相部分の一酸化炭素圧力を示す。
2)連続運転実績
最適運転条件計算結果に基づき、実際に2年間運転した実績は、下記のごとくである。最適運転条件計算結果とほとんど差異がなく運転できた。
<第一反応系運転実績>
運転実績を表2に纏めた。
表2 第一反応系の運転実績
Figure 2013181004
(分析方法)
プロピレン分圧:ガスクロマトグラフ法により反応器気相部分のプロピレン濃度を分析し、反応器全圧に対する比率より求める。
一酸化炭素分圧:赤外線分析法により反応器気相部分の一酸化炭素濃度を分析し、反応器全圧に対する比率より求める。
ロジウム濃度:反応器から採取したサンプルに酸化剤を加え燃焼させ、得られた灰分を王水で処理しロジウムを溶解させてから電子吸光法により濃度を分析する。測定限界は、0.1ppmである。
運転負荷は、本発明の反応系にフィードされるプロピレン量が0.21kmol/hの時を100%負荷と設定したものであり、0.21kmol/h(as 100%)を基準とした相対分率である。
プロピレン反応効率は、フィードされたプロピレンが製品ブチルアルデヒドに変換された比率を表す。プロピレン分圧は、反応器気相部分のプロピレン圧力を示す。一酸化炭素分圧は、反応器気相部分の一酸化炭素圧力を示す。
<第二反応系運転実績>
運転実績を表3に纏めた。
表3 第二反応系の運転実績
Figure 2013181004

運転負荷は、本発明の反応系にフィードされるプロピレン量が0.21kmol/hの時を100%負荷と設定したものであり、0.21kmol/h(as 100%)を基準とした相対分率である。
プロピレン反応効率は、フィードされたプロピレンが製品ブチルアルデヒドに変換された比率を表す。プロピレン分圧は、反応器気相部分のプロピレン圧力を示す。一酸化炭素分圧は、反応器気相部分の一酸化炭素圧力を示す。
本発明の反応システムによるプロピレンの反応効率を纏めると表4のごとくになる。
表4.本発明の反応系によるプロピレンの反応効率
Figure 2013181004
[比較例1]
本発明の反応系の第一の反応系のみの従来法で運転した。反応系は、図1のごとく200リットルの円筒型反応器で構成される。
一年間運転した実績は、表5のごとくである。
触媒追加、反応温度アップ等で触媒活性の低下をカバーしていくが、運転日数の増加と共に反応効率は低下する。運転開始後1年程度で反応温度及び反応系内の触媒濃度が高くなり、反応を停止して、触媒を抜き出した。
運転負荷は、反応系にフィードされるプロピレン量が0.185kmol/hの時を100%負荷と設定したものであり、0.185kmol/h(as 100%)を基準とした相対分率である。
プロピレン反応効率は、フィードされたプロピレンが製品ブチルアルデヒドに変換された比率を表す。プロピレン分圧は、反応器気相部分のプロピレン圧力を示す。一酸化炭素分圧は、反応器気相部分の一酸化炭素圧力を示す。
表5 従来法での運転実績
Figure 2013181004
実施例1の表4と比較例1の表5とのプロピレン効率を比較すると表6のごとくである。
表6 本発明の反応系及び触媒管理法による改良後と改良前の従来法におけるプロピレン反応効率の比較
Figure 2013181004

プロピレン反応効率は、フィードされたプロピレンが製品ブチルアルデヒドに変換された比率を表す。上記の比較表より本発明の反応系及び触媒管理法の採用による経済効果が著しいことがわかる。
本発明が工業的に用いられるのは、オレフィン原料としてプロピレンを用いる場合が90%以上である。プロピレンのヒドロホルミル化反応から10:1の比率でノルマルブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒトが製造される。ノルマルブチルアルデヒドからは、下記の誘導体が製品として量産されている。
製品名 用途
アクリル酸ブチル ポリマー原料
アクリル酸2−エチルヘキシル ポリマー原料
酢酸ノルマルブチル 溶剤
エチレングリコールモノブチルエーテル 溶剤
ノルマルブタノール 溶剤
ジ(2−エチルヘキシル)フタレート 可塑剤
また、イソブチルアルデヒドからは、下記の誘導体が製品として量産されている。
製品名 用途
イソブタノール 溶剤
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート 造膜助剤
これらの製品は、工業的に重要な製品である。これら製品の原料となるブチルアルデヒドの製造に本発明は利用される。
長期高負荷高効率連続運転プラント概略図
1 精製塔
2 精製塔
3 第一反応系反応器
4 触媒分離器
5 凝縮器
6 気液分離器
7 第一反応系循環ブロアー
8 向流塔
9 第二反応系反応器
10 触媒分離器
11 凝縮器
12 気液分離器
13 第二反応系循環ブロアー
14 管路

Claims (18)

  1. オレフィン、一酸化炭素及び水素を、可溶性ロジウム−リン化合物錯体触媒、遊離リン配位子及びアルデヒドとその縮合副生物の存在下に反応させてアルデヒド生成物を生成させ、しかも未反応オレフィン及び前記のアルデヒド生成物、水素、一酸化炭素及びアルカン副生物を含有する気体排出物を第一反応系から排出させるガス循環ロジウム錯体触媒ヒドロホルミル化法において、第二の反応系に前記気体排出物を一酸化炭素及び水素からなる気体とともに供給反応させ、連続運転を達成する方法。
  2. 第一反応系は、1から5基の反応器で構成され、第二の反応系は1から2基の反応器で構成される請求項1に記載の方法。
  3. 遊離リン配位子、及びロジウム−1−リン化合物錯体触媒のリン配位子が、トリオルガノホスフィン化合物である請求項1または2に記載の方法。
  4. 第二の反応系の触媒容積と第一の反応系の触媒容積との比が0.05:1から1.0:1.0の範囲である請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 第一及び第二の反応系のヒドロホルミル化反応が、50℃から145℃の反応温度において行われる請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 第一及び第二の反応系における可溶性ロジウム−リン化合物錯体触媒中のロジウム濃度がロジウムとして計算して10から900ppmの範囲である請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. ロジウム1モルに対して、1から200モルの遊離配位子を存在させる請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 第一及び第二の反応系のそれぞれのオレフィン、一酸化炭素及び水素の合計圧力が3MPa以下であり、かつ、水素と一酸化炭素とのモル比が1:100から100:1の範囲である請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 第一及び第二の反応系のヒドロホルミル化反応におけるアルデヒド生成物と高沸点化合物との比が5:1から100:1の範囲である請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧変化により、式(I)に従って反応効率が変化するので、目標とする反応効率を維持するためにプロピレン分圧の調整を実施する請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
    <プロピレン分圧と反応効率との関係式>
    反応効率(%)=[プロピレン分圧(kPa)]×[A]+[B]・・・式(I)
    この式(I)において、[A]は、(−0.0070)から(−0.0100)の範囲であり、[B]は、80から100の範囲である。
  11. 反応温度を変化させる場合の第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧予測には、式(II)を用いて実施する請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
    <反応温度1℃上昇によるプロピレン分圧の降下予測式>
    分圧の変化(kPa)=[変更前分圧(kPa)]×[C]+[D]・・・式(II)
    この式(II)において、[C]は、0.02から0.06の範囲であり、[D]は、0.05から0.09の範囲である。
  12. ロジウム触媒を追加した場合の第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧予測には、式(III)を用いて実施する請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
    <ロジウムを1グラム追加した時のプロピレン分圧の降下予測式>
    分圧の降下(kPa)=[ロジウム濃度(ppm)]×[E]―[F]×[ロジウム濃度(ppm)]+[G]・・・式(III)
    この式(III)において、[ロジウム濃度(ppm)]は、ロジウム追加前の第一反応系内反応液のロジウム濃度を示し、[E]は、0.00005から0.0004の範囲であり、[F]は、0.05から0.30の範囲であり、[G]は、10から50の範囲である。
  13. 運転日数が変化した場合の第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧予測には、式(IV)を用いて実施する請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
    <運転日数10日当たりのプロピレン分圧の上昇予測式>
    分圧の上昇(kPa)=[運転日数]×「H」+[I]・・・式(IV)
    この式(IV)において、[H]は、0.001から0.03の範囲であり、[I]が、1から30の範囲である。
  14. 運転負荷を変化させた場合の第一反応系の反応器気相部分のプロピレン分圧予測には、式(V)を用いて実施する請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
    <運転負荷を1%変更することによる分圧の変化>
    分圧の変化(kPa)=[変更前分圧(kPa)]×[J]+[K]・・・式(V)
    この式(V)において、[J]は、0.005から0.010の範囲であり、[K]は0.001から0.009の範囲である。
  15. 請求項10記載の式(I)、請求項11記載の式(II)、請求項12記載の(III)式、請求項13記載の式(IV)、および請求項14記載の式(V)の関係式を用い、最適運転条件計算を実施し、下記1)から4)に基づいて本発明の反応系を運転する請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
    1)ロジウム触媒は、計画した運転期間中に使用する全重量に対して10重量%から70重量%の範囲で、運転開始時に第一及び第二反応系に分割投入する。
    2)連続運転の前期は、触媒活性が低下してきた際、100℃までは一回の反応温度上昇操作は1℃から5℃の範囲で反応温度を上昇させる。
    3)100℃を超える場合は、予測される触媒活性低下に応じて残りの触媒を2回から10回に分割して、所定量の触媒を補給していく。
    4)更に触媒活性が低下してくる連続運転の後期は、一回の反応温度上昇操作は1℃から5℃の範囲で反応温度を上昇させる。
  16. 第一および第二の反応系内での、一酸化炭素の分圧が17.5kPaから55kPaの範囲であり、水素の分圧が175kPaから265kPaの範囲であり、オレフィンの分圧が350kPaから790kPaの範囲である請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 第一および第二の反応系内に原料として供給される一酸化炭素、水素及びオレフィンに含有されるロジウム触媒の触媒毒となる、硫黄化合物は酸化亜鉛充填塔を通過させ、塩素化合物は銅含浸活性炭充填塔を通過させ、且つ三重結合炭化水素化合物、共役ジエン結合炭化水素パラジウム充填塔にて水添して飽和化合物に変換して、触媒毒を除去した原料を使用する請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
  18. オレフィンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、およびイソブテンから選択される少なくとも1つである請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
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