JP2013180570A - ハニカム構造体の製造方法、印字方法及び印字装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 読み取り性に優れた情報の印字が可能なハニカム構造体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 複数のセル10aがセル壁10cを隔てて長手方向に並設された構造を有するハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報30をレーザーマーカー40により印字する印字工程を有し、印字工程において、ハニカム構造体の所定部位の表面位置を測定し、その測定結果に基づいて、レーザーマーカー40から放射されるレーザー光Lの焦点位置を制御して情報30の印字を行なう、ハニカム構造体の製造方法。
【選択図】 図2
【解決手段】 複数のセル10aがセル壁10cを隔てて長手方向に並設された構造を有するハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報30をレーザーマーカー40により印字する印字工程を有し、印字工程において、ハニカム構造体の所定部位の表面位置を測定し、その測定結果に基づいて、レーザーマーカー40から放射されるレーザー光Lの焦点位置を制御して情報30の印字を行なう、ハニカム構造体の製造方法。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ハニカム構造体の製造方法、印字方法及び印字装置に関する。
従来、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスに含まれるカーボン粒子等の微細粒子を捕集するためのセラミックスフィルター(DPF:Diesel Particulate Filter)として、多孔質のセラミックスからなるハニカム構造体が用いられている。
このようなハニカム構造体の製造方法としては、セラミックス原料を成形し、焼成する方法が知られている。また、原料混合物として、更に、有機バインダ、造孔剤などの有機添加物を含むものを用い、この原料混合物のグリーンハニカム成形体を焼成してセラミックスハニカム構造体を製造する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、特開文献2には、製造したセラミックスハニカム構造体の端面又は側面に、該ハニカム構造体の端面に関する情報を表示することが開示されている。そして、特開文献2には、この表示に基づいて、排ガス浄化装置へのハニカム構造体の設置後に正しく組み立てられたかどうかをチェックすることが開示されている。
ハニカム構造体に情報を表示する方法の一つとして、レーザーマーカーにより印字する方法がある。レーザーマーカーによる印字方法は、ハニカム構造体の表面を溶融及び蒸発させることで刻印する方法である。ところで、ハニカム構造体は、外形形状が円柱や楕円柱である場合が多く、表面(側面)が湾曲している場合が多い。また、ハニカム構造体は、その製造過程で表面(側面)に凹凸(波打ち)が形成され易い。このように、ハニカム構造体の表面は必ずしも平坦ではない。
このような平坦でない表面にレーザーマーカーによる印字を行なった場合、印字深さが不均一となったり、部分的に印字が出来なかったりといった問題が生じる。その結果、印字された情報の読み取り性が低下するという問題が生じる。
本発明は、上述したような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、読み取り性に優れた情報の印字が可能なハニカム構造体の製造方法、印字方法及び印字装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された構造を有するハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報をレーザーマーカーにより印字する印字工程を有し、上記印字工程において、上記ハニカム構造体の上記所定部位の表面位置を測定し、その測定結果に基づいて、上記レーザーマーカーから放射されるレーザー光の焦点位置を制御して上記情報の印字を行なう、ハニカム構造体の製造方法を提供する。
本発明はまた、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された構造を有するハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報をレーザーマーカーにより印字する印字方法であって、上記ハニカム構造体の上記所定部位の表面位置を測定し、その測定結果に基づいて、上記レーザーマーカーから放射されるレーザー光の焦点位置を制御して上記情報の印字を行なう、印字方法を提供する。
上記製造方法及び印字方法によれば、レーザーマーカーによる情報の印字を、ハニカム構造体の所定部位の表面位置を測定し、その測定結果に基づいてレーザー光の焦点位置を制御して行なうことにより、ハニカム構造体の側面が湾曲している場合や、側面に凹凸を有する場合であっても、表面位置に合わせた印字を行うことができる。このように、印字を行なう部分の表面位置を予め測定することにより、レーザー光の焦点位置を、表面位置から一定の深さ位置となるように制御することができる。その結果、焦点のずれに起因した印字不良を抑制し、且つ、印字深さを均一にすることができ、読み取り性に優れた情報の印字を行なうことができる。上記製造方法及び印字方法で情報が印字されたハニカム構造体は、印字された情報に基づいて、製品毎の種々の情報の管理が可能となる。
本発明は更に、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された構造を有するハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報を印字する印字装置であって、上記ハニカム構造体の上記所定部位の表面位置を測定する測定器と、上記情報を印字するレーザーマーカーと、上記測定器で測定した上記表面位置に基づいて、上記レーザーマーカーから放射されるレーザー光の焦点位置を制御する制御手段と、を備える、印字装置を提供する。
上記印字装置によれば、上記各構成を備えるため、ハニカム構造体の側面が湾曲している場合や、側面に凹凸を有する場合であっても、焦点のずれに起因した印字不良を抑制し、且つ、印字深さを均一にすることができ、読み取り性に優れた情報の印字を行なうことができる。
本発明によれば、読み取り性に優れた情報の印字が可能なハニカム構造体の製造方法、印字方法及び印字装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報をレーザーマーカーにより印字する印字工程を含む。本発明において、情報を印字するハニカム構造体は、焼成前のもの(グリーンハニカム成形体)であってもよく、焼成後のもの(ハニカム焼成体)であってもよい。本実施形態では、情報を印字する対象であるハニカム構造体が、焼成前のグリーンハニカム成形体である場合を例にして説明する。
本実施形態において情報を印字するグリーンハニカム成形体は、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された構造を有する柱状のグリーンハニカム成形体である。このグリーンハニカム成形体は、図1(a)及び図1(b)に示すように、一端面から他端面まで延びる貫通孔からなるセル10aが、セル壁10cを隔ててハニカム状に多数形成された構造を有する柱体である。グリーンハニカム成形体100の外形形状は特に限定されないが、例えば、円柱、楕円柱、角柱(例えば、正三角柱、正方形柱、正六角柱、正八角柱等の正多角柱や、正多角柱以外の、3角柱、4角柱、6角柱、8角柱等)等である。また、各セル10aの断面形状も特に限定されず、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、六角形、八角形等の多角形等が挙げられる。セル10aには、径の異なるもの、断面形状の異なるものが混在してもよい。また、グリーンハニカム成形体100の軸方向の端面から見たセル10aの配置も、図1(b)では正方形配置であるが、これに限定されず、セル10aの中心軸が正三角形の頂点に配置される正三角形配置等にすることができる。
セル10aの径は特に限定されず、例えば、断面が正方形の場合、一辺0.5〜2.5mmとすることができる。セル10a同士を隔てるセル壁10cの厚みは、例えば、0.05〜0.5mmとすることができる。また、グリーンハニカム成形体100の外周部に形成された外壁10dの厚みは、例えば、0.3〜1.6mmとすることができる。
また、グリーンハニカム成形体100のセル10aが延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、30〜500mmとすることができる。また、グリーンハニカム成形体100の外径も特に限定されないが、例えば、30〜500mmとすることできる。
グリーンハニカム成形体100は、後で焼成することによりセラミックスとなるグリーン体(未焼成体)であり、多孔性のチタン酸アルミニウム系セラミックスとなるグリーン体であることが好ましい。具体的には、グリーンハニカム成形体100は、焼成によりチタン酸アルミニウム系セラミックスを形成するセラミックス原料を含むことが好ましい。なお、チタン酸アルミニウム系セラミックスは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。チタン酸アルミニウム系セラミックスを形成するセラミックス原料を含むグリーンハニカム成形体100は、レーザー光を吸収し易くレーザーマーカーによる印字に適しており、幅広い波長のレーザーで情報の印字を容易に且つ確実に行なうことができる。なお、グリーンハニカム成形体100は、焼成により炭化ケイ素系セラミックスやコージェライト系セラミックス等のチタン酸アルミニウム系セラミックス以外のセラミックスとなるグリーン体であってもよい。
グリーンハニカム成形体100は、好ましくは、セラミックス原料である無機化合物源粉末、及び、メチルセルロース等の有機バインダ、及び、必要に応じて添加される添加剤を含む。以下の実施形態では、セラミックス原料が焼成によりチタン酸アルミニウム系セラミックスを形成するものである場合について説明する。
セラミックス原料である無機化合物源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末、及び/又は、チタン酸アルミニウム粉末を含み、必要に応じて、さらに、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。有機バインダの量は、無機化合物源粉末の100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下である。また、有機バインダの下限量は、0.1質量部であることが好ましく、より好ましくは3質量部である。
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。造孔剤の添加量は、無機化合物源粉末の100質量部に対して、0〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは0〜25質量部である。
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。潤滑剤及び可塑剤の添加量は、無機化合物源粉末の100質量部に対して、0〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
分散剤としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。分散剤の添加量は、無機化合物源粉末の100質量部に対して、0〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量部である。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、無機化合物源粉末の100質量部に対して、10質量部〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは20質量部〜80質量部である。また、成形体全体の質量に対する溶媒の質量は特に限定されないが、成形後未乾燥品であれば、通常10〜30質量%程度である。また、マイクロウェーブ等による乾燥後であれば、通常0.1〜5質量%程度である。
このようなグリーンハニカム成形体100は例えば以下のようにして製造することができる。まず、無機化合物源粉末と、有機バインダと、溶媒と、必要に応じて添加される添加物とを用意する。そして、これらを混練機等により混合して原料混合物を得、得られた原料混合物をグリーンハニカム成形体の断面形状に対応する出口開口を有する押出機から押し出し、所望の長さに切り、必要に応じて乾燥することにより、グリーンハニカム成形体100を得ることができる。
本実施形態においては、このようなグリーンハニカム成形体100の側面の所定部位に、該グリーンハニカム成形体100に関する情報30をレーザーマーカーにより印字する。図2は、グリーンハニカム成形体100に情報30を印字するための本発明の印字装置の一実施形態を示す概略図である。図2に示すように、印字装置300は、グリーンハニカム成形体100の所定部位(情報30を印字する部位)の表面位置を測定する測定器50と、情報30を印字するレーザーマーカー40と、測定器50で測定した表面位置に基づいて、レーザーマーカー40から放射されるレーザー光Lの焦点位置を制御する制御手段60と、を備えている。制御手段60は、測定器50及びレーザーマーカー40とそれぞれ接続されている。また、制御手段60には、印字する情報30の入力や印字開始・停止の操作を行なう入力手段70が接続されている。また、グリーンハニカム成形体100は支持台80に支持されている。
入力手段70としては、例えば、タッチパネル式のディスプレイを用いることができる。タッチパネル式のディスプレイは、操作が簡単であるとともに、印字内容など各種情報の表示が可能であるため好ましい。入力手段70としてタッチパネル式のディスプレイを用いる場合、図2に示すように、例えば、印字内容71、印字開始ボタン72及び印字停止ボタン73等を画面に表示させておけば、印字する情報30の内容の設定及び確認、並びに、印字開始・停止の操作が容易となる。
測定器50としては、例えば、変位計(変位センサ)を用いることができる。変位計としては、磁界や光、音波を媒体とした非接触式の変位計、及び、ダイヤルゲージや差動トランスなどの接触式の変位計があるが、非接触式の変位計が好ましく、半導体レーザーを光源としたレーザー式変位計が特に好ましい。このような測定器50により、グリーンハニカム成形体100における情報30を印字する所定部分の表面位置を測定することができる。上記表面位置は、例えば、レーザーマーカー40からの距離、測定器50からの距離等として測定することができる。測定された上記表面位置に関するデータは、制御手段60に送信される。
レーザーマーカー40は、高エネルギー密度のレーザー光Lを照射し、その熱エネルギーによりグリーンハニカム成形体100の表面を溶融及び蒸発させることで情報30を刻印するものである。そのため、印字された情報30はその後の焼成により消失することがない。また、レーザーマーカー40によれば、グリーンハニカム成形体100に対して直接印字することができる。
レーザーマーカー40に使用するレーザーの種類は、特に限定されないが、例えば、CO2レーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、FAYbレーザー等が挙げられる。本実施形態においては、グリーンハニカム成形体100が焼成によりチタン酸アルミニウム系セラミックスとなるものであるため、レーザー光を吸収し易くレーザーマーカーによる印字に適しており、幅広い波長のレーザーで情報の印字を行なうことが可能である。
制御手段60としては、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)を用いることができる。PLCにより、入力手段70から送信された入力データ及び測定器50から送信された表面位置に関するデータを取り込み、それらのデータに基づいて、予めプログラムされた条件でレーザー光Lの焦点位置を制御することができる。
レーザー光Lの焦点位置の制御方法としては、例えば、レーザーマーカー40側で制御する方法、支持台80の移動により制御する方法、及び、それらの組み合わせが挙げられる。レーザー光Lの焦点位置をレーザーマーカー40側で制御する場合には、レーザーマーカー40内部のレンズ位置等を調整することにより、レーザー光Lの焦点位置を制御する。この場合、レーザーマーカー40からレーザー光Lの焦点位置までの距離が変化することになる。また、レーザーマーカー40自体の位置をグリーンハニカム成形体100に近づけたり遠ざけたりすることで、レーザー光Lの焦点位置を制御してもよい。一方、レーザー光Lの焦点位置を支持台80の移動により制御する場合には、支持台80の移動によりグリーンハニカム成形体100の位置をレーザーマーカー40に近づけたり遠ざけたりすることで、レーザーマーカー40からグリーンハニカム成形体100の表面までの距離を調整し、レーザー光Lの焦点位置を制御する。
レーザー光Lの焦点位置は、グリーンハニカム成形体100の表面位置から一定の深さ位置となるように制御する。これにより、焦点のずれに起因した印字不良を抑制でき、且つ、均一な印字深さで情報30を印字することができる。グリーンハニカム成形体100が表面に凹凸を有する場合、表面が湾曲している場合のいずれであっても、表面位置を予め測定器50で測定しておくことにより、表面位置に合わせてレーザー光Lの焦点位置を制御することが可能となる。また、上記のように表面状態によらず均一な印字深さで情報30の印字が行なえるため、ハニカム構造体の表面を研磨して滑らかにする必要がなく、さらに、様々な外形形状のハニカム構造体に対して精密な印字を行なうことが可能である。
情報30の印字位置は、グリーンハニカム成形体100の側面であれば特に限定されず、柱体のいずれか一方の端面に近い位置であってもよいし、両端面から中間の位置であってもよい。また、ハニカム構造体をDPFとして使用した場合に、排ガスの入口側の方が出口側よりも生じる熱衝撃が小さいことから、情報30の印字位置は、DPFとして使用する際の排ガスの入口側の端面に近い位置であることが好ましい。また、例えば、グリーンハニカム成形体100の外形形状が多角柱である場合、情報30の印字位置は多角柱のいずれの側面でもよく、各側面が接する角部に近い位置でも遠い位置でもよい。また、情報30は、グリーンハニカム成形体100の外壁10dの厚さ未満の深さで刻印される。
情報30は、例えば、数字、文字、記号、図形、模様、バーコード、2次元コード、それらの組み合わせ等により印字する。上記2次元コードとしては、例えば、PDF417等のスタック型の2次元コード、DataMatrix、MaxiCode、QRコード(登録商標)等のマトリックス型の2次元コード等が挙げられる。印字する情報30の数は特に限定されず、グリーンハニカム成形体100の側面の一箇所に情報30を印字してもよく、複数箇所に情報30を印字してもよい。
印字する情報30の向きは特に限定されないが、レーザーマーカーによる印字がし易く、且つ、印字された情報30の読み取りがし易いことから、図1(a)に示すように、情報30の長手方向とグリーンハニカム成形体100の長手方向とが一致するように印字することが好ましい。
印字する情報30としては、グリーンハニカム成形体100に関する種々の情報が挙げられ、具体的には、例えば、発注者、納入者、発注日、発注番号、商品名、大きさ、セル密度、製造年月日、原料、価格、製造条件や製造ライン、製造装置、ロット番号、製造番号等の製造履歴、寸法精度に関する情報、質量に関する情報、圧損、使用期限等の品質保持に必要となる情報等が挙げられる。これらの情報は、単独又は組み合わせて印字されてもよい。また、印字する情報30としては、製造番号のような各製品を識別できる情報のみを印字しておき、その識別情報から、その製品について蓄積された各種検査情報等を確認できるようにしておくことも好ましい。
本実施形態では、貫通孔を封口する前のグリーンハニカム成形体100に対して情報30の印字を行なった後、貫通孔を封口する工程を行なう。図3(a)及び(b)は、封口後のグリーンハニカム成形体110を示す模式図である。図3(b)に示すように、複数の貫通孔のうち一部の貫通孔は、グリーンハニカム成形体110の一方の端面(第一端面)において封口材10bで塞がれている。第一端面において、封口材10bで塞がれた貫通孔と開いた貫通孔とは、格子状に交互に配置されている。第一端面において封口材10bで塞がれた貫通孔は、第一端面と反対側の第二端面において開いている。第一端面において開いている貫通孔は、第二端面において封口材10bで塞がれている。よって、第二端面においても、封口材10bで塞がれた貫通孔と開いた貫通孔とは、格子状に交互に配置されている。グリーンハニカム成形体110においては、第一端面又は第二端面のいずれか一方の面において封口材10bで塞がれた貫通孔により、多数のセル10aが形成されている。なお、外壁10d近傍の貫通孔は、断面形状が歪になり、十分な開口面積が取れない場合がある。このような開口面積が不十分な貫通孔は、第一端面及び第二端面の両方の面において封口材10bで塞がれていることが望ましい。
封口材10bの材料は、焼成後、所望の場所で排ガス等の流体の通過を抑制できるものであれば特に限定されない。封口材10bとしては、通常、グリーンハニカム成形体のセル壁10cや外壁10dを構成する材料と同様の材料を用いることができるが、異なる材料を用いることもできる。また、封口材10bは、チタン酸アルミニウム系セラミックスの粉末を含むことが好ましい。セラミックス粉末には、ハニカム構造体の製造過程で得られるセラミックスの屑やハニカム構造体の破損品等を粉砕して得たセラミックスの粉末を再利用しても良い。封口材10bは、上述したような焼成によりチタン酸アルミニウム系セラミックスを形成するセラミックス原料を含んでもよく、含まなくてもよい。また、封口材10bは、上記のもののほか、有機バインダや造孔剤、溶媒等を含有してもよい。流体の通過を抑制する観点からは、封口材10bは造孔剤を含まない又は含んでいても少量であることが好ましい。
次に、上述した方法で製造された情報印字後のグリーンハニカム成形体110を焼成し、焼成後のハニカム構造体(ハニカム焼成体)を作製する。
焼成は、グリーンハニカム成形体110を仮焼き(脱脂)した後、焼成することにより行なわれる。図4(a)及び(b)は、焼成後のハニカム焼成体200を示す模式図である。ハニカム焼成体200は、流体が通過できる多孔質のセラミックスからなるセル壁20cにより区画された複数のセル20aを有する。封口材10bは、焼成を経てセル壁20cや外壁20dと一体化し、流体の通過を抑制する封口部20bを形成する。ハニカム焼成体200では、焼成前のグリーンハニカム成形体110の形状がほぼ維持され、レーザーマーカーにより印字された情報30も消失せずに維持される。
ハニカム焼成体200において、多数のセル20aには、第一端面又は第二端面の一方の面において封口部20bが形成されている。これにより、第一端面側から流体を供給した場合、流体は、第一端面側に封口部20bが形成されていないセル20a内に流入し、多孔質のセル壁20cを通過して第二端面側に封口部20bが形成されていないセル10a内に移動し、第二端面側から流出することとなる。
仮焼き(脱脂)は、グリーンハニカム成形体110中の有機バインダや、必要に応じて配合される有機添加物を、焼失、分解等により除去するための工程である。典型的な仮焼き工程は、焼成工程の初期段階、すなわちグリーンハニカム成形体110が焼成温度に至るまでの昇温段階(例えば、300〜900℃の温度範囲)に相当する。仮焼(脱脂)工程おいては、昇温速度を極力おさえることが好ましい。
グリーンハニカム成形体110の焼成温度は、通常、1300℃以上、好ましくは1400℃以上である。また、焼成温度は、通常、1650℃以下、好ましくは1550℃以下である。この温度範囲でグリーンハニカム成形体110を加熱することにより、グリーンハニカム成形体110中の無機化合物粉末やセラミックス粉末が確実に焼結する。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常、1℃/時間〜500℃/時間である。
焼成は通常、大気中で行なわれるが、用いる原料粉末、すなわちアルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、並びに、必要に応じて添加されるマグネシウム源粉末及びケイ素源粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼成してもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガスなどのような還元性ガス中で焼成してもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
焼成に要する時間は、グリーンハニカム成形体110がチタン酸アルミニウム系結晶に遷移するのに十分な時間であればよく、グリーンハニカム成形体110の量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、通常は10分〜24時間である。
なお、グリーンハニカム成形体110の仮焼きと焼成を個別に行ってもよく、連続して行ってもよい。仮焼き工程では、有機バインダその他の有機添加物の熱分解温度以上であり無機化合物粉末の焼結温度よりも低い温度でグリーンハニカム成形体110を加熱すればよい。焼成工程では、仮焼き工程後のグリーンハニカム成形体110を無機化合物粉末の焼結温度以上の温度で加熱すればよい。
また、本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、印字された情報30に対して少なくともその正面以外の方向から光を照射しつつ、カメラにより情報30を撮像することで情報30を読み取る読み取り工程を有する。情報30は、レーザーマーカーにより刻印されたものであるため、深さを有している。そのため、刻印された情報30に対し、その正面以外の方向から光を照射することで、刻印に陰影を生じさせることができ、刻印の輪郭をはっきりさせることができる。この状態でカメラにより情報を撮像することで、情報を容易に且つ精度良く読み取ることができる。また、読み取った情報に基づいて、製品毎の検査情報の管理や欠陥が発生した製造工程の把握が可能となる。かかる読み取り工程は、印字工程によりハニカム構造体に情報30が印字された後であればいつでも行うことができ、必要な時に必要な情報を何度でも取得することができる。読み取り工程は、印字工程後であれば、封口前のグリーンハニカム成形体100、封口後(焼成前)のグリーンハニカム成形体110、及び、焼成後のハニカム焼成体200のいずれに対しても行うことができる。
以下、焼成後のハニカム焼成体200に対して読み取り工程を行う場合を説明する。図5は、上記読み取り工程を行う際の装置の配置を示す概略図である。図5に示すように、情報30の読み取りは、照明装置150により情報30に対してその正面以外の方向から光を照射しながら、カメラ160により情報30を撮像することで行うことができる。
図6(a)は、照明装置150の斜視図であり、図6(b)は、図6(a)のI−I断面図である。図6(a)及び(b)に示すように、照明装置150は、中央部が開口した四角形の枠152と、枠152に沿って設けられた光源154とを備えるものである。光源154としては特に限定されないが、LEDを用いることが好ましい。
図5及び図6に示した照明装置150は、情報30の正面の領域が開口しており、その開口の上下左右に位置する光源154から、情報30に対して斜めに光を照射するものである。光の照射は、情報30の正面以外の少なくとも一方向から行えばよいが、刻印の陰影をよりはっきり生じさせ、読み取り性を向上させる観点から、情報30の正面の上下左右方向から光を照射することが好ましい。ここで、上下左右方向は、情報30の向きを基準とした方向を意味し、情報30が文字や数字等で構成されている場合、その文字や数字等の向きを基準とした方向を意味する。
照明装置150とハニカム焼成体200との距離Dは特に限定されないが、ハニカム焼成体200が照明装置150と接触して破損することを防止する観点から、5mm以上とすることが好ましく、刻印の陰影をはっきり生じさせる観点から、15mm以下とすることが好ましい。
図5及び図6に示した照明装置150のように、情報30に対して正面以外の方向から光を照射できる照明装置としては、角型LED照明等を用いることができる。
カメラ160としては特に限定されないが、CCDカメラを用いることが好ましい。カメラ160は、情報30の全体を撮像できるものが好ましい。
図5及び図6に示した構造を有する照明装置150を用いることで、情報30の正面以外の方向から光を照射しつつ、カメラ160により情報30を正面から撮像することができる。これにより、情報30を精度良く読み取ることができる。
カメラ160により撮像した画像は、読み取り精度向上のため、画像処理を行ってもよい。画像処理としては、例えば、シェーディング補正、強調処理(ゲイン、ノイズ除去)等を行うことができる。また、複数の画像処理を組み合わせて行ってもよい。刻印の場合、撮像した画像は明暗の画像となるが、光の照射により刻印に陰影を生じさせているため、暗側を強調処理することが読み取り精度向上のためには好ましい。したがって、撮像した画像についてシェーディング補正を行った後、暗側をゲイン5〜15倍、明側をゲイン2〜5倍に強調処理し、強調に伴ってノイズとなるハニカム焼成体200の表面の凹凸を消すために、4〜7階調のノイズ除去を行うことが好ましい。
上記画像処理を適宜行った後、撮像した画像からは、OCR(Optical Character Reader)を用いてパターンマッチング法により情報30を読み取ることができる。
以上、本発明のハニカム構造体の製造方法、印字方法及び印字装置の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、封口前のグリーンハニカム成形体に情報の印字を行なう場合を説明したが、封口後のグリーンハニカム成形体に情報の印字を行なってもよく、焼成後のハニカム焼成体に情報の印字を行なってもよい。また、封口前、封口後、及び焼成後のうちの複数の段階で、それぞれ異なる情報の印字を行なってもよい。
また、上記実施形態では、焼成前のグリーンハニカム成形体に対して封口を行なう場合を説明したが、封口は焼成後に行なってもよい。ただし、焼成前に封口を行なった方が、その後の焼成が一度で済むため好ましい。
ハニカム構造体の用途はDPFに限定されない。ハニカム構造体は、ガソリンエンジンなどの内燃機関の排気ガス浄化に用いられる排ガスフィルター又は触媒担体、ビールなどの飲食物の濾過に用いる濾過フィルター、石油精製時に生じるガス成分(例えば一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素等)を選択的に透過させるための選択透過フィルターなどのセラミックスフィルターなどに好適に適用することができる。なかでも、セラミックスフィルターなどとして用いる場合、チタン酸アルミニウム系セラミックスは、高い細孔容積および開気孔率を有することから、良好なフィルター性能を長期にわたって維持することができる。
以上説明したように、本発明によれば、ハニカム構造体の側面が湾曲している場合や、側面に凹凸を有する場合であっても、印字不良を抑制でき、且つ、印字深さを均一にすることができ、読み取り性に優れた情報の印字を行なうことができる。その結果、印字された情報に基づいて、各製造工程での製品毎の検査情報を製品とリンクさせて管理することができる。また、製品毎の情報は、各製造工程を行なう度に累積的に蓄積することもできる。さらに、製品毎の検査情報を上流の工程にフィードバックすることができ、製品の品質向上及び欠陥の低減を図ることが可能となる。このようにして、ハニカム構造体のトレーサビリティシステムを構築することができる。
10a,20a…セル、10b…封口材、20b…封口部、10c,20c…セル壁、10d,20d…外壁、30…情報、40…レーザーマーカー、50…測定器、60…制御手段、70…入力手段、80…支持台、100,110…グリーンハニカム成形体(ハニカム構造体)、200…ハニカム焼成体(ハニカム構造体)。
Claims (3)
- 複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された構造を有するハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報をレーザーマーカーにより印字する印字工程を有し、
前記印字工程において、前記ハニカム構造体の前記所定部位の表面位置を測定し、その測定結果に基づいて、前記レーザーマーカーから放射されるレーザー光の焦点位置を制御して前記情報の印字を行なう、ハニカム構造体の製造方法。 - 複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された構造を有するハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報をレーザーマーカーにより印字する印字方法であって、
前記ハニカム構造体の前記所定部位の表面位置を測定し、その測定結果に基づいて、前記レーザーマーカーから放射されるレーザー光の焦点位置を制御して前記情報の印字を行なう、印字方法。 - 複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された構造を有するハニカム構造体の側面の所定部位に、該ハニカム構造体に関する情報を印字する印字装置であって、
前記ハニカム構造体の前記所定部位の表面位置を測定する測定器と、
前記情報を印字するレーザーマーカーと、
前記測定器で測定した前記表面位置に基づいて、前記レーザーマーカーから放射されるレーザー光の焦点位置を制御する制御手段と、
を備える、印字装置。
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JP2012048385A JP2013180570A (ja) | 2012-03-05 | 2012-03-05 | ハニカム構造体の製造方法、印字方法及び印字装置 |
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- 2012-03-05 JP JP2012048385A patent/JP2013180570A/ja active Pending
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