JP2013178171A - 自動分析装置 - Google Patents

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博寿 田原
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Abstract

【課題】サンプルの粘性に起因する吸引/吐出量の確度低下の防止とスループットの低下防止とをともに達成すること。
【解決手段】自動分析装置は、サンプルを保持するサンプル容器4と、試薬を所持する試薬容器8と、サンプルと試薬とを反応させるための反応容器12と、サンプルをサンプル容器から吸引し、反応容器に分注する分注部15と、反応容器の反応液を測定する測定部14と、分注部によるサンプルの吸引期間における分注部内の特定箇所の圧力変化に基づいてサンプルの粘度を推定するサンプル粘度推定部43とを具備する。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、自動分析装置に関する。
自動分析装置において、HBA1Cの測定では全血、血球といった粘性の高いサンプルを吸引する。こういった粘性の高いサンプルを吸引する場合、図6に示すように、予定吸引量に対する実際の吸引量の割合を表す確度が粘度に依存して低下する傾向がある。この傾向は吐出時も同様であり、予定した量を反応管に吐出できていないという事態も生じる。Hba1c測定では、全血、血球といった高粘性のサンプルを吸引し、また吐出する際には、シリンジによる吸引/吐出動作を低速度で行ったり、吸引/吐出後の待ち時間を十分に確保して、確度の低下を回避している。
しかし、上記回避手法はスループットの低下を招来するという問題を有している。
特開平6−174731号公報
目的は、サンプルの粘性に起因する吸引/吐出量の確度低下の防止とスループットの低下防止とをともに達成することにある。
本実施形態に係る自動分析装置は、サンプルを保持するサンプル容器と、試薬を所持する試薬容器と、前記サンプルと前記試薬とを反応させるための反応容器と、前記サンプルを前記サンプル容器から吸引し、前記反応容器に分注する分注部と、前記反応容器の反応液を測定する測定部と、前記分注部による前記サンプルの吸引期間における前記分注部内の特定箇所の圧力変化に基づいて前記サンプルの粘度を推定するサンプル粘度推定部とを具備する。
本実施形態に係る自動分析装置の外観図である。 本実施形態に係る自動分析装置のサンプル吸引/吐出に係る部分の構成を示す図である。 図2の圧力変化計算部により計算される吸引時の圧力変化を示す図である。 図2の詰まり判定部による吸引時の詰まり判定に関する説明図である。 図2の吐出量修正部による制御上の吐出量の修正に関する説明図である。 サンプルの粘性に起因する確度低下を示す図である。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る自動分析装置を説明する。図1、図2に示すように、当該自動分析装置は、サンプル保管部1は、サンプルディスク3を備える。サンプルディスク3には、複数のサンプル容器4が保持される。複数のサンプル容器4には、複数の被検体から採取された血液等のサンプル(試料)が収容される。複数のサンプル容器4は、サンプルディスク3に同心円状に配列される。サンプルディスク3は、回転可能に支持される。目的とするサンプル容器4がサンプル吸引位置で停止されるためにサンプルディスク3は回転制御される。
サンプルディスク3の近傍には分注部15が配置される。分注部15はプローブアーム17を有する。プローブアーム17は、旋回可能に支持される。プローブアーム17の先端には、サンプリングプローブ16が取り付けられる。サンプリングプローブ16は、プローブアーム17の旋回により、サンプルディスク3上のサンプル吸引位置と、反応ディスク11上のサンプル分注位置との間を往復する。プローブアーム17には流路48が設けられる。流路48の一方はプローブアーム17に接続される。流路48の他方はシリンジ46に接続される。シリンダ46はシリンダ51とシリンダ51内をシリンジ駆動部49により往復移動するピストン52とからなり、サンプリングプローブ16を介してサンプル吸引位置にあるサンプル容器4のサンプルが吸引される。吸引されたサンプルは、プローブアーム17の旋回を伴って、サンプル分注位置にある反応管12に分注(吐出)される。
分注部15の流路48には圧力センサ56が設けられる。圧力センサ56は、サンプル吸引期間中に流路48を流通するサンプルの圧力を極短時間検出し、サンプル吸引毎にこの圧力検出を繰り返し行う。圧力センサ56の出力にはインタフェース33を介してコンピュータ部19に接続される。
コンピュータ部19は、分析処理全体の動作制御を担う分析制御部31とともに圧力変化/粘度記憶部39を有する。圧力変化/粘度記憶部39は、圧力センサ56で繰り返し検出された圧力のデータを記憶する。なお圧力の時間変化を「圧力プロファイル」と証する。圧力変化計算部35は、圧力プロファイルを用いて吸引期間における圧力変化を計算する。例えば、図3に示すように圧力変化計算部35は、サンプルの吸引開始時点t0の圧力と、吸引期間内であって吸引開始時点t0から所定時間Δtの経過時点t1の圧力との差ΔP、又は変化率を検出する。ここでは圧力差ΔPとして説明する。所定時間Δtは、吸引期間幅の半分の時間に初期的に設定されるが、操作者の指示に従って任意に時間に変更され得る。検出された圧力変化ΔPのデータは圧力変化/粘度記憶部39に記憶される。
粘度推定部43は、圧力変化計算部35で計算された圧力変化ΔPに基づいてサンプルの粘度を推定する。図3に示すように、粘度vが高いほど圧力変化ΔPが大きく、粘度vが低いほど圧力変化ΔPが小さくなる傾向がある。粘度vと圧力変化ΔPとの関係は予め測定され、複数の粘度v(又は粘度vを反映した値)と複数の圧力変化ΔPとの対応表のデータが粘度推定部43内の例えばROMに記憶される。この対応表に対して、検出された圧力変化ΔPを照会することにより、サンプルの実際の粘度を、対応表を使って特定された粘度vに推定する。推定された粘度vのデータは、サンプルを識別する識別番号(IDコード)を関連付けられて、圧力変化/粘度記憶部39に記憶される。
詰まり判定部44は、吸引期間における圧力プロファイル(圧力時間変化)に基づいて分注部15内の詰まりの発生の有無を判定する。図4には詰まりの発生を伴う圧力プロファイルを、詰まりの発生のない圧力プロファイルと比較して示している。分注部15の流路48、サンプリングプローブ16等の何れかの箇所で詰まりが発生した時(t11、t21)、流路15内の圧力は不連続性を示す。つまり、詰まり発生時点(t11、t21)で陰圧が急激に低下する。この陰圧の急激な低下を判定する手法は任意であるが、ここでは圧力プロファイル上の複数の離散点で各傾きを計算し、隣り合う離散点どうし、又は所定数離れた離散点どうしで傾きの変動、つまり変化量を計算し、その変化量が所定の閾値を超過しているときに、分注部15内での詰まりの発生を判定する。圧力変化計算部35で計算された圧力変化ΔPがサンプルの粘性に起因するものであるのか、あるいは詰まりに起因するものであるのかを識別することができる。
これら圧力変化ΔP、粘度v、及び詰まりの判定結果は、分析制御部31の制御のもと分析動作期間中において図示しないディスプレイに即時的に表示される。オペレータが粘性異常や詰まりの発生の有無等の状況を逐次確認することが可能である。
サンプルの粘性は吸引確度を低下させ、それとともに分注(吐出)に際しても同様に確度低下を引き起こす。つまり、分注に際しても、予定される分注量でサンプルを反応管12に分注する事ができない。なお、予定される分注量を「予定分注量」と称し、反応管12に実際に分注される分注量を「実際分注量」と称する。「予定分注量」とは、分注に際して分析制御部31がシリンジ駆動部49に対して発生する吐出制御信号により指示された制御上の分注量(制御分注量)として定義される。
吐出量修正部47では、サンプルの粘性に起因して実際分注量が予定分注量(制御分注量)に達しない不具合を回避するために、吐出制御信号により指示された制御分注量を修正する。つまりサンプルの粘性に起因して低下する分注量に応じて、制御分注量を上方修正することにより、サンプルの粘性に寄らず実際に予定量を分注することができる。例えばROMで提供される粘度/修正量記憶部45には、粘度vと制御分注量との複数の組に対する複数の修正量(又は修正された制御分注量)の対応表のデータが予め記憶される。吐出量修正部47は粘度/修正量記憶部45を、計算された粘度vと分注制御部31から発生される予定分注量とにより照会することにより、サンプル粘性による分注量の低下を補償するために加えられるべき修正量(又は制御分注量に修正量を加えられた修正制御分注量)を決定する。吐出量修正部47は修正制御分注量を反映した吐出制御信号をシリンジ駆動部49に供給する。それにより本来の予定分注量に等価な分注量を確保することができる。
なお、サンプルの粘性により予定した量を吸引できず、それに対して吐出量だけを修正することによると、吸引量を吐出量が超過してしまう事態も想定されるが、実際には吸引に際しては予定吸引量にダミー吸引量を加えた量を吸引するものであり、ダミー吸引量を吐出することによりそのような事態を回避することができるものである。
上記の通りサンプルの粘度に応じて制御分注量を修正することでサンプルの粘性の影響を回避したが、制御分注量を修正せずに、分析結果を補正することで分注量の低下を補償することも可能である。つまり、サンプル量に対する試薬の割合が高くなるものであるが、この割合による分析結果の変動を予め測定し、その変動に応じた補正量又は補正係数を分析値に加算又は乗算することで対処することも可能である。
実際には、分析項目、サンプル粘度、サンプル量、試薬量、試薬種類等を様々に組み合わせてそれら組み合わせ毎に補正量又は補正係数を事前に特定することが必要とされる。またサンプル量に対する試薬の割合が高くなることを、サンプル粘度に応じて試薬を減量することにより補償することも可能である。
図5に示すように、実際の分析過程では、「サンプル吸引」の工程と「サンプル分注」の工程とが交互に繰り返される。上記の通り、分注量の修正は、各サンプル分注工程の直前に実行されるサンプル吸引工程において推定されたサンプル粘度に基づいて行われる。それにより分注量の修正の精度を向上させることができる。
このように本実施形態によると、粘性の高い試料を短時間吸引し、待ち時間がない運用でも、サンプル粘性の影響を回避しながらもスループットの低下を抑制することができる。また、高粘性による陰圧と詰まりによる陰圧を識別することで、測定の信頼性を上げることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…サンプル保管部、3…サンプルディスク、4…サンプル容器、15…分注部、17…プローブアーム、16…サンプリングプローブ、11…反応ディスク、48…流路、46…シリンジ、56…圧力センサ、19…コンピュータ部、31…分析制御部、39…圧力変化/粘度記憶部、35…圧力変化計算部、43…粘度推定部、44…詰まり判定部、47…吐出量修正部、45…粘度/修正量記憶部、49…シリンジ駆動部。

Claims (5)

  1. サンプルを保持するサンプル容器と、
    試薬を所持する試薬容器と、
    前記サンプルと前記試薬とを反応させるための反応容器と、
    前記サンプルを前記サンプル容器から吸引し、前記反応容器に分注する分注部と、
    前記反応容器の反応液を測定する測定部と、
    前記分注部による前記サンプルの吸引期間における前記分注部内の特定箇所の圧力変化に基づいて前記サンプルの粘度を推定するサンプル粘度推定部とを具備することを特徴とする自動分析装置。
  2. 前記サンプル粘度推定部は、吸引開始時の圧力と前記吸引期間内であって前記吸引開始時から所定時間経過時点の圧力との差に基づいて前記サンプルの粘度を推定することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
  3. 前記吸引期間における圧力変化に基づいて前記分注部内の詰まりの有無を判定する詰まり判定部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
  4. 前記詰まり判定部は、前記圧力変化に関する傾きの変動に基づいて前記分注部内の詰まりの有無を判定することを特徴とする請求項3記載の自動分析装置。
  5. 前記推定された前記サンプルの粘度に基づいて前記分注部から前記反応容器に分注する分注量を修正する分注量修正部さらに備えることを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
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