JP2013177795A - 面状構造体の補強構造及び面状構造体の補強方法 - Google Patents

面状構造体の補強構造及び面状構造体の補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡素な構造でありながら施工性に優れ且つ地震や自重等に対する強度を向上させることの可能な面状構造体の補強構造及び面状構造体の補強方法を提供すること。
【解決手段】 構造躯体6を介して設けられ、内側に空間を形成する面状構造体4を補強する。端部が構造躯体6に接続される紐状部材5と、紐状部材5を面状構造体4の空間側の表面4aに保持する保持部材10とを備える。表面4aに紐状部材5を保持部材10を介して非直線形状に配置すると共に、紐状部材5をその紐状部材5の軸方向に摺動可能に保持部材10で保持する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、面状構造体の補強構造及び面状構造体の補強方法に関する。さらに、詳しくは、構造躯体を介して設けられ、内側に空間を形成する面状構造体の補強構造及び面状構造体の補強方法に関する。
従来、例えば天井を含む大面積の仕上材の補強方法として、例えば特許文献1に記載の如きものが知られている。この補強方法では、ワイヤーを天井下地材(野縁や野縁受け)に連結させるため、天井の下面側からの施工が煩雑となっていた。
特開2008−121371号公報
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡素な構造でありながら施工性に優れ且つ地震や自重等に対する強度を向上させることの可能な面状構造体の補強構造及び面状構造体の補強方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る面状構造体の補強構造の特徴は、構造躯体を介して設けられ、内側に空間を形成する面状構造体を補強する構成において、端部が前記構造躯体に接続される紐状部材と、前記紐状部材を前記面状構造体の前記空間側の表面に保持する保持部材とを備え、前記表面に前記紐状部材を前記保持部材を介して非直線形状に配置すると共に、前記紐状部材をその紐状部材の軸方向に摺動可能に前記保持部材で保持したことにある。ここで「非直線形状」とは、放物線、円弧、楕円弧、サイン曲線、双曲線、懸垂線など、およびこれらに実質的に近似する多角形をいう。
上記構成によれば、端部を構造躯体に固定した紐状部材を面状構造体の空間側表面に保持部材を介して配置すればよく、施工が極めて容易である。しかも、この紐状部材を面状構造体の空間側の表面で非直線形状に配置することで、紐状部材の端部を結ぶ軸に直交する方向に対し高い剛性を有し、地震や自重に対する強度を向上させることが可能となる。しかも、紐状部材をその紐状部材の軸方向に摺動可能に保持部材により面構造体下面へ密着するように保持したので、弾性剛性と幾何剛性の両方が発現し、紐状部材全体で荷重を支え、負担荷重を分散させることができる。よって、大きな荷重に対しても耐えることができ、補強強度(耐震性)を向上させることができる。
上記構成において、前記紐状部材は、弛みを除去した状態で前記構造躯体間に張設されているとよい。初期張力を導入することで、面状構造体の水平剛性を向上させて応答変位を減少させることができる。その結果、部材の変形や周辺部材との衝突による損傷を回避し、耐震性等の補強強度を向上させることができる。ここで、紐状部材の初期張力は、例えば、0Nより大で且つ1000N以下に設定される。初期張力の大きさで剛性の大きさを調整できる。
また、前記紐状部材には初期張力が付与されていてもよい。弛みなく配置することで、紐状部材の引っ張り方向に変位を拘束することができる。
前記非直線形状としては、放物線状であるとよい。当該形状により、面状構造体の平面に生じる荷重を紐状部材の全長にわたって均等に支えることができ、面状構造体の負担荷重を低減することができ、より強度を向上させることができる。係る場合、前記紐状部材のサグ深さは、前記構造躯体間の距離の1/4であることが好ましい。
前記保持部材は、等間隔に複数設けるとよい。これにより保持部材1個当たりの荷重負担を均等にすることができ、強度が向上する。
前記保持部材は、前記面状構造体の前記表面と密着する側の面の中央に、前記紐状部材を受け入れる凹部を有する構成にするとよい。これにより、地震時に紐状部材にテンションが掛かった場合に該紐状部材が面状構造体表面と保持部材との間に潜り込むことを防止することができ、より水平耐力を向上させることができる。
上記いずれかに記載の特徴構成は、例えば、前記構造躯体は柱であり、前記面状構造体は天井スラブ(天井面)に吊材により支持された天井下地材に設けた天井仕上材として適用することができる。
上記目的を達成するため、本発明に係る面状構造体の補強方法の特徴は、構造躯体を介して設けられ、内側に空間を形成する面状構造体を補強する方法において、前記面状構造体の前記空間側の表面に紐状部材を保持部材を介して非直線形状に配置すると共に前記紐状部材の端部を前記構造躯体に接続し、前記紐状部材をその紐状部材の軸方向に摺動可能に前記保持部材で保持することにある。
上記本発明に係る面状構造体の補強構造及び面状構造体の補強方法の特徴によれば、簡素な構造でありながら施工性に優れ且つ地震や自重等に対する強度を向上させることが可能となった。
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
本発明に係る面状構造体の補強構造を天井に適用した例を示す斜視図である。 保持部材近傍の一例を示す斜視図である。 図1に示す天井の見上げ図である。 押さえ金具の正面図であり、(a)は凹部がコの字形状の押さえ部材、(b)は凹部が略V字形状の他の押さえ部材、(c)は(b)の金具においてワイヤーが潜り込んだ状態を模式的に示す図である。 押さえ金具の平面図である。 押さえ金具近傍の天井の断面図である。 ワイヤー端部近傍の模式図である。 ダンパーの一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。 接続部材の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。 ワイヤー端部の連結部分の一例を示す図である。 構造躯体の固定金物の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。 ワイヤーに対する集中荷重を説明する図である。 ワイヤーに対する自重型荷重を説明する図である。 ワイヤーに対する等分布荷重を説明する図である。 ワイヤーの放物線形状を説明する図であり、(a)はy方向等分布荷重と釣り合う紐状部材との関係を示す図、(b)は微小ケーブル要素の釣り合いを示す図である。 放物線形状におけるサグを説明する図である。 ワイヤーの配置形状による差異を説明する図であり、(a)は直線状配置、(b)は放物線状配置を示す。 地震時に、天井仕上材に作用する地震力と、この地震力を負担するワイヤーの端部に加わる張力と分力の大きさの関係を示す説明図である。 ワイヤーに掛ける初期張力と、各押さえ金具における初期張力の方向変化およびその分力の大きさの変化を示す説明図である。 ワイヤーの配置形状のバリエーションの例を示す図である。 ワイヤーの他の配置形状の一例を示す図である。 ワイヤーのさらに他の配置形状の例を示す図である。 放物線の対称軸Xと変位の最大方向Xd1、又は、加速度の最大方向Xd2との関係を示し、(a)は平面的な天井の場合、(b)は斜めの勾配が付与された天井の場合である。
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。以下、本実施形態において、構造躯体を介して設けられ、その内部に空間を形成する面状構造体の補強構造として、天井の耐震補強構造を例に説明する。
本実施形態に係る天井の耐震補強構造1は、大略、図示省略する天井スラブ(天井面)と一体で該天井スラブを下支えする「構造躯体」としての柱6と、天井スラブとの間に天井裏空間を画成する天井下地材としての野縁受け2及び野縁3と、野縁3の下面に取り付けられた「面状構造体」としての天井仕上材4と、この天井仕上材4の下部に形成される室内空間に面する空間側表面(下面)4aに配置される「紐状部材」としてのワイヤー5と、天井仕上材4の表面4aに間隔を開けて止着されワイヤー5が天井仕上材4の表面4aに非直線形状に配置されるように該ワイヤー5を保持する「保持部材」としての複数の押さえ金具10とからなる。ワイヤー5の両端部は、構造躯体としての柱6に固定されている。非直線形状とは、ワイヤー5の両端を結ぶ直線に関して1山の曲線形状(放物線、円弧、楕円弧、サイン曲線、双曲線、懸垂線など)またはこの曲線形状と実質的に同等の多角形状であって、ワイヤー5の両端を結ぶ直線に対する垂直2等分線に軸対称である曲線形状または多角形状であればよい。この実施形態の図示例では、ワイヤー5は、大略放物線状を呈する多角形状に配置される。なお、この天井は、天井下地材としての野縁受け2及び野縁3が図示省略する天井スラブから吊材により吊持された吊り天井である。
ここで、野縁受け2及び野縁3には、例えばCチャンネル等が用いられる。また、本実施形態において、天井仕上材4には、石膏ボード(PB)41及び岩綿吸音板42とが用いられている。また、本実施形態において、ワイヤー5の径は6mmのものを用いる。
押さえ金具10は、図4,5に示すように、天井仕上材4の下面4a(前記室内空間側の表面)と密着する平坦部11と、この平坦部11の中央にワイヤー5を配置する凹部12とを備え、平坦部11には、凹部12の両側に取付金具10を天井仕上材4の下面4aに固定するための固定部材としてのビス13を貫通させる貫通孔14が複数設けられている。
ワイヤー5は、凹部12内に配置されるに過ぎず、押さえ金具10によって天井材4及び押さえ金具10に対し固定されていない。すなわち、ワイヤー5は、天井材4に対しワイヤー5の軸方向へ摺動可能に配置されている。
ここで、保持部材としての押さえ金具10は、面状構造体としての天井仕上材4の表面4aと密着する側の面の中央に、紐状部材としてのワイヤー5を受け入れる凹部12を有するように構成してある。すなわち、凹部12の幅W1及び深さD1はワイヤーの径とほぼ同寸法とし、凹部12の断面形状は略方形を呈する。これにより、図1,2,6に示す如く、ワイヤー5を天井仕上材4に配置した状態において、ワイヤー5の軸方向に直交する水平方向及び鉛直方向への移動が制限される。よって、振動した際にワイヤー5の移動による金具10の変形が防止され、地震時に紐状部材(ワイヤー5)にテンションが掛かった場合に該紐状部材(ワイヤー5)が面状構造体表面(天井仕上材4の下面4a)と保持部材(押さえ金具10)との間に潜り込むことを防止することができ、より水平耐力を向上させることができる。なお、ほぼ同寸法とは、ワイヤー5がその軸方向(凹部長手方向)に摺動可能な程度のクリアランスを有するものも含まれる。
また、押さえ金具10の凹部12の形状は、図4(a)に示す如き、略コの字形状が好ましい。発明者らの実験によれば、同図(b)に示す略V字形状の凹部12’と比較し、略コの字形状の凹部12の方が、より最大水平耐力が大きいことが判明した。略V字形状の凹部12’の場合、同図(c)に示すように、ワイヤー5に水平荷重が掛かると、ワイヤー5が天井仕上材4の表面4aと金具10との間に潜り込んでしまう場合があるためと考えられる。
また、凹部12内には、図6に一点鎖線で示す如く、底部に緩衝材としてゴム製プレート15を設けてもよい。これにより、凹部12内のワイヤー5の鉛直方向Zへの暴れやそれに伴う振動音の発生を防止する。
図7に示すように、ワイヤー5の両端部は、大略、ターンバックル51とダンパー52よりなる連結部材50及び固定金物60を介して「構造躯体」としての柱6に接続固定されている。ワイヤー5の端部は、グリップル53aやシンブル53b等の接続部材53を介してターンバックル51の一端と接続している。同図の例では、ダンパー52に油圧式のものを用いている。
なお、ダンパー52には、油圧系のものに限らず、例えば図8,9に示す如き高減衰ゴムを用いたダンパーと、その両端にアイナットを取り付け、図10に示す如く構成しても構わない。さらに、油圧系とスプリングとを並列にする、空気バネとダンパーを併用する、粘弾性ダンパーを使う、塑性ダンパーを使用するなど、種々の方法がある。
ターンバックル52の他端は、ダンパー52を介して固定金物60に接続されている。図11に示すように、固定金物60は、大略、取付板61と、略コの字状のボルト62よりなり、柱に固定されている。これにより、ワイヤー5は、柱6に連結固定される。
次に、多角形状の配置形状による地震に対する効果について、説明する。
本補強方法は、室内側の天井仕上材4の表面4aにワイヤー5を放物線上に沿わせながら金具10でワイヤー5を天井仕上材4に留め付け、ワイヤー5の端部を柱にアンカーすることで、地震力が入力された際ワイヤー5が天井全体の水平挙動を抑制する効果を狙うものである。
放物線というケーブル形状の意義について、図12〜14を参照しながら説明する。ワイヤー5等の紐状部材は圧縮力や曲げに対する抵抗力はないため、負担する力や分布によって紐状部材の形状を変えながら引張り力だけで支点に力を伝える。集中荷重と分布荷重において紐状部材が自然に力を支えているとき、どのような形状になるのか、その例を図12〜14に示す。
図12に示す如き集中荷重では、当然、荷重の作用する一点で折れ曲がるような直線を描く。他方、分布荷重では、紐状部材を垂れ下げたときの自重のような紐状部材に沿った単位長さ当たりの等分布荷重が作用した場合と、吊り橋を支える紐状部材のように水平面に対して等分布な荷重が作用した場合とでその形状は異なる。前者は図13に示す如きカテナリー(懸垂線)となり、後者は図14に示す如き放物線となる。
紐状部材によって天井を補強する際、地震によって生じる天井面の水平力は留め付け金具を介して紐状部材に伝わる。そのため、偏った力の分布が発生すると一つの金具に応力が集中し金具が外れてしまう可能性もある。そのため紐状部材全長にわたって荷重を均等に支え、負担荷重を分散させる必要がある。また、均等に分散された荷重を紐状部材の引張り力で支えたとき、その形状は放物線を描くのが最も自然な形であるということは上述した通りである(図14)。
図15及び(1)〜(6)式に示すように、水平方向に等分布の荷重を自然に支えている時のケーブルの形状を検討すると、放物線形状が水平方向に等分布の荷重を支持している。
x方向の釣り合いより、下記(1)(2)式が成り立つ。なお、Hは、水平方向張力成分(水平反力H)を示し、一定値である。また、Tは、ワイヤー5の軸方向の張力を示す。
x方向の釣り合いより、
Figure 2013177795
(Hは、水平方向張力成分を示し、一定値)
y方向の釣り合いより、(3)〜(6)式が成り立つ。よって、ワイヤー5は放物線形状に配置するとよいことが分かる。なお、qは、y方向等分布荷重(水平反力Hと支えている等分布荷重)を示す。
Figure 2013177795
よって、放物線となる。
例えば、図16に示す如く、部屋(空間)のスパンの両端にある柱で45°の角度で柱に交わる放物線は、(7)〜(10)式により、サグ深さSが柱間距離Lの四分の1となることが分かる。
ここで、押さえ金具10は、上述のワイヤー5の放物線配置に対して、部屋のスパンに等間隔に配置されることが望ましい。この場合、部屋のスパンに直交する方向の地震力Fを受けると、各押さえ金具10はqL’(L’は金具10ひとつあたりの負担幅)の等しい力を受ける。金具10の水平許容耐力Uからqの上限値U/L’が決まる。一方、(7)式よりx=L/2でのq=2H/Ly’の関係について考えると、qが一定なら、y’が大きいほど水平反力Hが小さくて済む。即ち、深い放物線ほど境界構造の負担が少ない。さらに(2)式より、q=2T/LsinθよりT=qL/(2sinθ)でqの上限値を代入すると、張力Tの上限値が分かる。
x=L/2で、y’=1より、
Figure 2013177795
(8)は、水平反力Hと支えている等分布荷重の関係を示す。
(10)より、サグがL/4。
ここで、例えば直線状の配置形状では、図17(a)に示すように、ほとんどの荷重は両端のケーブルのみが負担することとなる。他方、図17(b)に示すように、放物線形状の場合、ケーブル全長にわたって均等に支えるため、天井の負担荷重を均等に減らすことができ、地震荷重に対する天井の補強支持状況として好ましい状況となる。
直線ケーブルで天井を補強した場合、両端の金具より内側に位置するケーブルには、地震力と直交する方向への軸力が働いているため、その部分の金具にはほとんど荷重はかかっていない(図17(a))。そのため天井の水平挙動を抑えるための荷重は、そのほとんどを両端の金具が負担することになる。一部の金具に荷重が集中することで金具が外れてしまった場合、連鎖的に次々と金具が外れていくことも考えられる。金具が外れることでケーブルによる補強効果はなくなり、また金具の落下による被害の可能性も発生する。こういったことは避けなければならない。
一方、放物線形状にケーブルを這わせることで、ケーブル全長にわたって均等に支える為、金具一つひとつの負担荷重を均等に分散させることができる(図17(b))。また、そのことにより、金具の水平耐力をあらかじめ明らかにしておくことで、入力される水平力に対し、金具一つの負担荷重が水平耐力以下となるための、金具の個数の算出も可能になる。
ここで、ケーブル補強を施す前に行った静的載荷実験、スイープ加振実験、自由振動実験により、補強前の状態の天井の振動特性を把握した。その後、ケーブルを用いて補強を行った天井に対し、ケーブル導入張力をパラメータとし、スイープ加振実験、自由振動実験を行った。以下に、スイープ加振実験より得られた最大応答変位に関して、導入張力との関係を考察する。
図18は、紐状部材5が放物線となるように設けられていて、地震時に、天井仕上材4に作用する地震力と、この地震力を負担する、ワイヤー5の両端に加わる張力T、紐状部材5の各端部においてワイヤー5の両端間を結ぶ線に垂直方向の分力V及び前記結ぶ線方向に沿った分力Hの大きさの関係を示す説明図である。
紐状部材5の放物線形状を示す式は、次の(11)式で示される。
y=ax2…(11)
(11)式を微分すると、(12)式となる。
y’=2ax…(12)
(12)式のaの値は、x=L/2で、y=Dであるので(Dはサグの大きさ)、(13)式が求められる。
D=a・(L/2)2=aL2/4 …(13)
∴a=4D/L2
ここで、ワイヤー5に作用する力を算出する。
ワイヤー5によって負担する天井部分の単位長さ当たりで負担する力の大きさをρ、地震時の加速度をαとした場合、(14)式となる。
V=α・ρ・L/2…(14)
この式は、V=y’(x=L/2)・Hと等値でき、これにより、次の(15)(16)式が求められる。
H=V/(y’(x=L/2))=(α・ρ・L/2)(1/(2a/(L/2))
=αρ/2a=αρL2/8D…(15)
T=(V2+H21/2=((α・ρ・L/4)2+(αρL2/8D)21/2…(16)
図19は、ワイヤー5に掛ける初期張力Tと、この初期張力Tがワイヤー5に伝わり、各押さえ金具10において作用する初期張力Tの方向変化と、この方向変化した初期張力Tの分力VとHの大きさの変化を示す説明図である。V,H,Tは、上記式(14)〜(16)により求められる。弾性剛性については、ワイヤーが伸び縮みすることで発生し、ワイヤーのヤング係数と断面積を増やすことによって向上する。水平方向分力Hは軸対照的で打ち消しあい、垂直分力Vはy方向に移動するに従がって増大する。この結果、垂直方向の耐久力が向上することとなる。また、幾何剛性について考察すると、初期張力Tを加えることで向上し、ワイヤーが伸縮方向と異なる方向に変位した時に発生する。
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、上述の実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
上述の放物線の形状、方向、本数等は、上記実施形態の態様に限られるものではない。例えば、図20に示すように、様々な組み合わせが可能である。図20に列挙した配置形状もバリエーションの一例に過ぎず、天井構造や寸法等に応じて適宜選択される。また、図21に示すように、放物線形状の配置に他の配置形状のものを組み合わせることも可能である。さらに、例えば、図22に示すように、天井長手側にて端部を固定したワイヤーによる放物線と、天井短手側にて端部を固定したワイヤーによる放物線とを交差させた配置(略格子状)も可能である。このように、放物線の組み合わせ(重ね合わせ)は全て可能である。なお、図20〜22中、記号○は柱などの構造躯体の位置を示す。
天井の平面形状が非対称の場合は、その非対称な面内荷重につりあうよう放物線を変換した非対称のワイヤー形状が存在し、そのような形状にワイヤーを施工することで、対称な平面形状の天井の場合と同じ効果を得ることが可能である。
上記実施形態において、天井仕上材4に石膏ボード(PB)41と岩綿吸音板42とからなる積層体を用いた。しかし、天井仕上材の材料や構造はこれにかぎられるものではない。
上記実施形態において、ワイヤー5の径をφ6としたが、これに限られない。また、紐状部材としてワイヤー5を用いているが、ロープや綱等の引っ張り・圧縮強度を備えたものであればよい。
上記実施形態において、湾曲部の深さ(サグ深さS)を躯体間距離の1/4とした。但し、形状が直線に近似してくると、上記効果が薄くなる。他方上限は、天井材4に収まるものであればよい。
また、上記実施形態において、ワイヤー5にテンションを必ずしも掛ける必要はない。テンションを掛けずに配置した場合、地震時にのみワイヤー端部に応力が発生し、設計上は短期負荷となり、長期荷重の1.5倍までの荷重を負担させることができる。
紐状部材5が弛みを除去した状態で構造躯体6間に張設される場合は、例えば100N程度の張力が加えられる。
紐状部材5に初期張力が付与される場合は、図18,19の結果より、100〜300N程度の初期張力が付与されることが望ましい。さらに、300〜1000Nを加えてもよい。但し、これらの数値は、ワイヤー5張設部分のスパンが9m、天井のスパンが6mの天井部を用いた結果に基づく。天井スパンが広がれば、その天井スパンと初期張力とが正比例する関係、または、天井スパンの二乗に比例する関係にあると予想される。比例関係は、この天井スパンに直交する方向で、どの程度のピッチでワイヤーを設けるか、金物の数をどの程度にするかにもよって変動する。
本発明の構成によれば、天井の大きな揺れ(変位)を防ぐことができる。したがって、天井の固有周波数がより高い値となる。また、変位による加速度が大となる方向に対する抑制効果も有している。一方、形状的には、ワイヤーを張設する放物線の対称軸方向が最も抑制効果が高い。
これらの効果より、放物線の対称軸Xは、図23に示すように、変位の最大方向Xd1、又は、加速度の最大方向Xd2に配向することが望ましい。なお、変位の最大方向Xd1と加速度の最大方向Xd2とは、同一となる場合と、異なる場合とが存在する。
また、上記実施形態では、面状構造体として天井を例に説明した。しかし、面状構造体の設置方向は水平方向に限らず、垂直方向であってもよく、例えば面状構造体としての壁面にも適用可能である。さらに、図23のような斜めの勾配が付与された天井にも適用可能である。
上記実施形態において、ワイヤー5の両端部を構造躯体としての柱6に固定した。しかし、上記態様に限られるものではなく、柱6の他、梁や壁等の構造体に固定しても構わない。
本発明は、例えば、吊り天井の耐震補強方法及び吊り天井の耐震補強構造として利用することができる。また、天井以外の大面積の仕上材の補強構造及び補強方法としても利用することができ、壁面にも適用可能である。さらに、本方法及び構造は長周期の地震に対する耐久性も優れているが、耐震に限らず常時の重力に対しても有効である。
1:補強構造、2:野縁受け、3:野縁、4:天井仕上材(面状構造体)、4a:下面(空間側表面)、5:ワイヤー(紐状部材)、6:柱(構造躯体)、10:押さえ金具、11:平坦部、12:凹部、13:ビス(固定部材)、14:貫通孔、15:ゴム製プレート(緩衝材)、41:石膏ボード(プラスターボード、PB)、42:岩綿吸音板、50:連結部材、51:ターンバックル、52:ダンパー、53:接続部材、53a:グリップル、53b:シンブル、60:固定金物、61:取付板、62:ボルト、F:地震力

Claims (9)

  1. 構造躯体を介して設けられ、内側に空間を形成する面状構造体を補強する面状構造体の補強構造であって、
    端部が前記構造躯体に接続される紐状部材と、
    前記紐状部材を前記面状構造体の前記空間側の表面に保持する保持部材とを備え、
    前記表面に前記紐状部材を前記保持部材を介して非直線形状に配置すると共に、
    前記紐状部材をその紐状部材の軸方向に摺動可能に前記保持部材で保持した面状構造体の補強構造。
  2. 前記紐状部材は、弛みを除去した状態で前記構造躯体間に張設されている請求項1記載の面状構造体の補強構造。
  3. 前記紐状部材には初期張力が付与されている請求項1記載の面状構造体の補強構造。
  4. 前記非直線形状は、放物線状である請求項1〜3のいずれかに記載の面状構造体の補強構造。
  5. 前記紐状部材のサグ深さは、前記構造躯体間の距離の1/4である請求項4記載の面状構造体の補強構造。
  6. 前記保持部材は、等間隔に複数設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の面状構造体の補強構造。
  7. 前記保持部材は、前記面状構造体の前記表面と密着する側の面の中央に、前記紐状部材を受け入れる凹部を有する請求項1〜6のいずれかに記載の面状構造体の補強構造。
  8. 前記構造躯体は柱であり、前記面状構造体は天井スラブに吊材により支持された天井下地材に設けた天井仕上材である請求項1〜7のいずれかに記載の面状構造体の補強構造。
  9. 構造躯体を介して設けられ、内側に空間を形成する面状構造体を補強する面状構造体の補強方法であって、
    前記面状構造体の前記空間側の表面に紐状部材を保持部材を介して非直線形状に配置すると共に前記紐状部材の端部を前記構造躯体に接続し、前記紐状部材をその紐状部材の軸方向に摺動可能に前記保持部材で保持する面状構造体の補強方法。
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