JP2013177373A - ブロモメチルシクロアルカン類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決の手段】シクロアルキルメタノール類を臭化水素を用いて臭素化することにより、ブロモメチルシクロアルカン類を製造する方法において、イオン液体の存在下に反応を行なう。
【選択図】なし
Description
従って、ブロモメチルシクロアルカン類を簡便かつ効率よく得ることができ、工業的に利用できる製造方法が求められていた。
また、上記のように、ハロゲン化水素とアルコールとを反応させハロゲン化アルキルを製造する際にイオン液体の存在下に行なう方法(特許文献5)が報告されているが、反応温度が100℃を上回る高温条件で行なう必要があり、さらに、実施例において異性化反応が進行しやすいシクロアルキルメタノール等の炭素鎖が側鎖を有する環状アルコールの臭化水素による臭素化の例は記載されていない。
特許文献5の製造方法に準じて、臭化水素とシクロプロパンメタノールを反応させた結果、著しい異性化反応の進行が認められた(本発明の比較例2および比較例3)。よって、特許文献5の製造方法は、ブロモメチルシクロアルカン類に適応することができないことが明らかとなった。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるシクロプロピルメタノール類および下記一般式(2)で示されるシクロブチルメタノール類から選ばれるシクロアルキルメタノール類を、臭化水素を用いて臭素化することにより、それぞれ、これらのシクロアルキルメタノール類に対応する、下記一般式(3)で示されるブロモメチルシクロプロパン類および下記一般式(4)で示されるブロモメチルシクロブタン類から選ばれるブロモメチルシクロアルカン類を製造する方法において、イオン液体の存在下、反応温度が−30℃〜+50℃の範囲で反応を行なうことを特徴とするブロモメチルシクロアルカン類の製造方法に関する。
その際、通常用いられる臭化水素量は、シクロアルキルメタノール類に対して1倍モル以上用いるのが好ましく、1.1〜3.0倍モルの使用がさらに好ましい。しかし、3.0倍モルを超える量の臭化水素の使用は経済的に好ましくないこともある。
本発明に用いるイオン液体は、1種でもよく、2種以上の併用とすることもできる。
また、反応時間は、シクロアルキルメタノール類、イオン液体および臭化水素の量、さらに反応温度などで異なるが、通常、5分〜72時間、好ましくは10分〜48時間の範囲である。
この場合、溶媒の使用量は、シクロアルキルメタノール類100重量部に対し、通常、1,000重量部以下、好ましくは100重量部以下である。
本発明における蒸留とは、一般的な有機化学物質の製造プロセスにおいて採用できる蒸留操作一般を指し、その条件は任意に設定できる。すなわち蒸留条件において、圧力は減圧でも大気圧でもよいが、好ましくは減圧蒸留である。さらに、蒸留塔に充填物を充填することが好ましい。
本発明では、以上のようにして、一般式(1)で示されるシクロプロピルメタノール類を臭素化することにより、一般式(3)で示されるブロモメチルシクロプロパン類が得られ、また、一般式(2)で示されるシクロブチルメタノール類を臭素化することにより、一般式(4)で示されるブロモメチルシクロブタン類が得られる。
[FT−NMR]
装置:日本電子(株) JNM−AL400またはJNM−ECX500
1H および 13C NMR のサンプル調製:内部標準物質として約0.03% のテトラメチルシラン含む重クロロホルム(アクロス社製、99.85%)約0.7 mlに試料を均一に溶解し、分析サンプルとした。
[GC−MS測定]
装置:(株)島津製作所 QP−5000
カラム:キャピラリカラム(DB−1/0.25mm×30m/膜圧0.25μm)
[ガスクロマトグラフィー測定]
装置:(株)島津製作所 GC−14B
カラム:キャピラリカラム(DB−5/0.25mm×30m/膜圧0.25μm)
検出器: FID(水素炎イオン化検出器)
シクロプロピルメタノール 1.09g(15.1mmol)、イオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.73g(15.1mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温25℃で臭化水素ガス 1.35g(16.7mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は99.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は91.0モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々5.0モル%(NMR)と3.0モル%(NMR)であった。
実施例1のイオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミドを1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムブロミド 4.16g(15.1mmol)に変えた他は、実施例1に記載の方法に準じて反応を行なった結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は88.0モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々8.0モル%(NMR)と4.0モル%(NMR)であった。
メチルイミダゾール 1.03g(12.5mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら臭化水素ガスを1.08g(13.4mmol)吹き込み、イオン液体である1−メチルイミダゾリウムヒドロブロミドを調製した。得られたイオン液体にシクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)を加え、撹拌しながら内温25℃で臭化水素ガス 1.08g(13.4mmol)を20分かけて吹き込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は88.3モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々8.6モル%(NMR)と3.1モル%(NMR)であった。
実施例1のイオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミドを添加せず、実施例1に記載の方法に準じて反応を行なった結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は70.8モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々22.8モル%(NMR)と5.5モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 1.09g(15.1mmol)、イオン液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド 2.89g(15.1mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温80℃で臭化水素ガス1.35g(16.7mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は97.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は51.0モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々24.0モル%(NMR)と22.0モル%(NMR)であった。
メチルイミダゾール 2.46g(30.0mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら93℃の温度で臭化水素ガスを3.44g(42.5mmol)吹き込み、イオン液体である1−メチルイミダゾリウムヒドロブロミドを調製し、内温を100℃に加熱した。100℃に加熱したイオン液体にシクロプロピルメタノール 1.08g(15.0mmol)を加え、撹拌しながら同温度で臭化水素ガス 1.41g(17.5mmol)を20分かけて吹き込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は66.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は8.0モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々10.0モル%(NMR)と8.0モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(12.1mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温0℃で臭化水素ガス 2.02g(25.0mmol)を33分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は85.7モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々10.3モル%(NMR)と1.6モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(12.1mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温−18℃で臭化水素ガス 2.02g(25.0mmol)を33分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は56.8モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は49.5モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々5.4モル%(NMR)と1.6モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(12.1mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温40℃で臭化水素ガス 1.19g(14.8mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は90.2モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々6.3モル%(NMR)と1.2モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(12.1mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温50℃で臭化水素ガス 1.19g(14.8mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は90.2モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々6.6モル%(NMR)と1.3モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(12.1mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温80℃で臭化水素ガス 1.19g(14.8mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は78.9モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々14.6モル%(NMR)と2.6モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体である1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(13.7mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温25℃で臭化水素ガス 1.19g(14.8mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は91.8モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々5.8モル%(NMR)と1.1モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体である1−ペンチル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(13.7mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温25℃で臭化水素ガス 1.19g(14.8mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は92.9モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々5.7モル%(NMR)と1.4モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体である1−ヘプチル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(11.5mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温25℃で臭化水素ガス 1.19g(14.8mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は91.6モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々6.8モル%(NMR)と1.6モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体であるn−テトラデシル−トリヘキシル−ホスホニウムブロミド 3.00g(5.3mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温25℃で臭化水素ガス 1.19g(14.8mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は86.7モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々9.5モル%(NMR)と2.5モル%(NMR)であった。
シクロプロピルメタノール 0.91g(12.6mmol)、イオン液体であるN−ヘキシルピリジニウムブロミド 3.00g(12.3mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温25℃で臭化水素ガス 1.19g(14.8mmol)を20分かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロプロピルメタノールの転化率は100.0モル%、目的とするブロモメチルシクロプロパンの組成は93.5モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロブタンと4−ブロモ−1−ブテンの組成は、各々5.2モル%(NMR)と1.3モル%(NMR)であった。
シクロブチルメタノール 0.92g(10.7mmol)、イオン液体である1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムブロミド 3.00g(12.1mmol)を温度計及び磁気撹拌子を装着したフラスコに入れ、撹拌しながら内温50℃で臭化水素ガス 51.65g(638.4mmol)を14時間かけて吹込み反応させた。得られた反応液を分析した結果、シクロブチルメタノールの転化率は96.9モル%、目的とするブロモメチルシクロブタンの組成は87.5モル%(NMR)であった。また、反応異性化生成物であるブロモシクロペンタンと5−ブロモ−1−ペンテンの組成は、各々9.4モル%(NMR)と0.0モル%(NMR)であった。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で示されるシクロプロピルメタノール類および下記一般式(2)で示されるシクロブチルメタノール類から選ばれるシクロアルキルメタノール類を、臭化水素を用いて臭素化することにより、それぞれ、これらのシクロアルキルメタノール類に対応する、下記一般式(3)で示されるブロモメチルシクロプロパン類および下記一般式(4)で示されるブロモメチルシクロブタン類から選ばれるブロモメチルシクロアルカン類を製造する方法において、イオン液体の存在下、反応温度が−30℃〜+50℃の範囲で反応を行なうことを特徴とするブロモメチルシクロアルカン類の製造方法。
- 上記イオン液体を構成するカチオンがアンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンおよびピリジニウムカチオンから選ばれる1種類以上のカチオンを含む、請求項1に記載のブロモメチルシクロアルカン類の製造方法。
- 上記イオン液体を構成するカチオンがイミダゾリウムカチオンである請求項2に記載のブロモメチルシクロアルカン類の製造方法。
- 上記イオン液体を構成するカチオンがホスホニウムカチオンである請求項2に記載のブロモメチルシクロアルカン類の製造方法。
- 上記イオン液体を構成するアニオンが臭化物イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、メタンスルホン酸イオン、トシル酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロメチル硫酸イオンから選ばれる1種類以上のアニオンを含む、請求項1に記載のブロモメチルシクロアルカン類の製造方法。
- 上記イオン液体を構成するアニオンが臭化物イオンである、請求項5に記載のブロモメチルシクロアルカン類の製造方法。
- イオン液体が融点70℃以下のイオン液体である、請求項1〜6いずれかに記載のブロモメチルシクロアルカン類の製造方法
- イオン液体がn−テトラデシル−トリヘキシルホスホニウムブロミド、n−ヘキサデシル−トリブチルホスホニウムブロミド、1−メチルイミダゾリウムヒドロブロミド、1−エチルイミダゾリウムヒドロブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロミド、N−ヘキシルピリジニウムブロミドから選ばれる1種類以上を使用する、請求項1〜7いずれかに記載のブロモメチルシクロアルカン類の製造方法
- 臭化水素が臭化水素ガスである、請求項1〜8いずれかに記載のブロモメチルシクロアルカン類の製造方法。
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