JP2013177132A - 制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】スマートキーシステムにおいて、車両からキーへ送信された信号から、正規の所有者が有するキーと車両との間でクロックの誤差を補正するような仕組みを持たせることにより、リレーアタックが行われているか否かを判定して、リレーアタックによる被害を効果的に抑制できる制御システムを提供する。
【解決手段】車両からスマートキーへ送信するポーリング信号から、スマートキーの側で車両が装備するクロックのクロック周波数を検出し、車両側クロックによる所定周波数の信号としてスマートキーの識別信号を返信する。車両では受信した識別信号の照合を行うとともに、識別信号の周波数が車両側クロックからみて適正値かなども判定して、判定結果が肯定的な場合にのみ車両のドア開錠やエンジン始動を許可する。リレーアタックが行われている場合には、犯罪者の中継器が介在することにより、キー側で適切に車両側クロックを生成できない。
【選択図】図5

Description

本発明は、制御システムに関する。
車両のスマートキーシステム(スマートエントリーシステム、スマートスタートシステム)が普及している。現状のスマートエントリーシステムにおいては、例えばユーザがドアハンドル接触やエンジンスタートスイッチの押下といった操作を行うと、リクエスト信号が送信され、スマートキーから返信されたIDとマスターIDとで照合がとれた時点でドア開錠やエンジン始動が実行される。
例えば下記特許文献1には、スマートキーシステムにおいて、乗員に運転継続の意思があるか否かを判定する手段を装備して、携帯機が車両から離間し、携帯機の不所持者に運転継続の意思がある場合には内燃機関の再始動を許可し、車両の盗難をより確実に防止するシステムが開示されている。
特開2007−153190号公報
スマートキーシステムにはリレーアタックと呼ばれる盗難の手法が知られている。それは図6に示されている。この手法では、車両から所有者が離れている状況において、車両と所有者との間に盗難者A、Bが位置する。所有者はスマートキーを携帯しているとする。盗難者A、Bは電波中継器を所持している。
この状態で、まず車両から発信されたリクエスト信号を盗難者A、Bが中継して所有者の場所まで伝達する。通常リクエスト信号の到達範囲は車両周辺に限定されているが、盗難者A、Bの中継により所有者の所までリクエスト信号を届かせることができる。車両の所有者が携帯するスマートキーは、リクエスト信号を受信したら、自身が記憶しているスマートキー固有のIDコードをRF信号として返信する。
返信されたRF信号は車両まで到達する。車両は受信したRF信号に対してマスターIDとの間で照合処理を実行する。RF信号は所有者の持つスマートキーから送信された信号なので、当然照合は成功となる。これにより車両はドアの開錠許可状態となる。こうして盗難者は車両に侵入することが可能となる。
さらに、盗難者Aが車両に搭乗した後に、同様の手順を繰り返すと、車室内照合が成功して、車両はエンジン始動が許可される。こうして盗難者が車両を走行させることが可能となる。以上がリレーアタックの概要である。
こうしたリレーアタックに対する効果的な対策が当然必要である。発明者は、一般に通信においては各通信装置が固有のクロック(を生成するための水晶発信子)を備えており、各クロックは厳密には誤差(各水晶発信子が有する固有の誤差、さらには温度条件の違いを原因とする誤差)を有すること、したがって送受信される信号の遅延時間も装置ごとのクロック誤差に起因する誤差を含む点に着目した。
正規の所有者が有するキーと車両との間でクロックの誤差を補正するような仕組みを持たせれば、リレーアタックが行われていない場合は、キーから返信された信号は車両のクロックから見て一定の時間で車両に到達する。しかしリレーアタックが行われている場合、盗難者のもつ中継器によって発生する遅延や、中継器のもつクロックの誤差で、車両のクロックの情報がキーまで伝達されず、キーから返信された信号の遅延時間は車両のクロックから見て所定の遅延時間からずれを生じていると考えられる。したがって、この違いにより、リレーアタックが行われているか否かを検出することができる。このような手法によるリレーアタック対策は従来技術にはない。
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、スマートキーシステムにおいて、車両からキーへ送信された信号を用いて、正規の所有者が有するキーと車両との間でクロックの誤差を補正するような仕組みを持たせることにより、リレーアタックが行われているか否かを判定して、リレーアタックによる被害を効果的に抑制できる制御システムを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を達成するために、本発明に係る制御システムは、使用者が携帯可能であり、無線通信機能を有する第1通信部を備えた携帯機と、車両に備えられて、計時機能を有するクロックと、車両に備えられて、前記第1通信部との無線通信機能を有し、前記クロックに基づいたタイミングの信号を送信する第2通信部と、前記第2通信部から前記第1通信部へ向けて識別信号の返信を要求する指令信号を送信する送信手段と、前記第1通信部に備えられて、受信した前記指令信号から前記クロックの周波数である車両側クロック周波数を検出する検出手段と、前記第1通信部に備えられて、前記検出手段により検出された前記車両側クロック周波数を基準とした所定タイミングで前記識別信号を送信する送信手段と、前記第2通信部に備えられて、受信した信号と前記携帯機固有の識別信号とを照合する照合手段と、前記第2通信部に備えられて、受信した信号が前記車両側クロック周波数を基準とした所定タイミングの信号である適正信号であるか否かを判定する判定手段と、前記照合手段による照合が成功し、かつ前記判定手段によって受信した信号が前記適正信号であると判定された場合に、前記車両に対する所定の操作を許可する許可手段と、を備え、前記判定手段は、前記第2通信部が受信した信号の受信開始時間から受信終了時間までの時間長が予め定められた適正範囲にはいっており、前記第2通信部が受信した信号の受信開始時間の前記指令信号の送信からの時間遅れが予め定められた適正範囲にはいっている場合に前記適正信号であると判定することを特徴とする。
これにより本発明に係る制御システムでは、車両から送信された指令信号を用いて、携帯機内部に車両側クロックを生成して、その車両側クロックのもとで識別信号を作成して返信する。そして車両の側では、受信した識別信号が携帯機固有の識別信号であるかを照合するとともに、受信した識別信号の遅延時間が適正値であるか否かも判定して、両判定結果がともに肯定的な場合にのみ車両の所定操作を許可する。リレーアタックがおこなわれている場合には、介在する中継器が遅延を発生させたり、独自のクロックで作動しているので、車両のクロックが携帯機まで適切に伝達されないこととなって、返信される識別信号の遅延時間は車両側クロックから見れば適正でなくなる。したがって本発明の制御システムによれば効果的にリレーアタックによる被害が抑制できる。さらに、車両の側では受信した識別信号の信号長及び時間遅れが適正範囲内か否かを判定する。したがって、リレーアタックの場合には返信された識別信号の周波数が車両側クロックから見れば適性でなく、したがってその信号長も適正な長さからずれていることとなり、さらにリレーアタックの場合には犯罪者の中継器が介在することにより時間遅れが適性な遅れよりも大きくなるので、効果的にリレーアタックが検出できる。
また前記所定の操作は、車両のドアの開錠操作であるとしてもよい。
これによりユーザによる車両のドアの開錠操作において、車両から送信された指令信号を用いて、携帯機内部に車両側クロックを生成して、その車両側クロックのもとでのタイミングで識別信号を返信し、車両の側では、受信した識別信号が携帯機固有の識別信号であるかを照合するとともに、受信した識別信号の遅延時間が適正値であるか否かも判定して、両判定結果がともに肯定的な場合にのみ車両のドア開錠操作を許可する。リレーアタックがおこなわれている場合には、返信される識別信号の遅延時間は車両側クロックから見れば適正でなくなるので、効果的にリレーアタックによる車両のドア開錠被害が抑制できる。
また前記所定の操作は、車両の駆動部の始動操作であるとしてもよい。
これによりユーザによる車両の駆動部(エンジン、モータ)の始動操作において、車両から送信された指令信号を用いて、携帯機内部に車両側クロックを生成して、その車両側クロックのもとでのタイミングで識別信号を返信し、車両の側では、受信した識別信号が携帯機固有の識別信号であるかを照合するとともに、受信した識別信号の遅延時間が適正値であるか否かも判定して、両判定結果がともに肯定的な場合にのみ車両の駆動部の始動操作を許可する。リレーアタックがおこなわれている場合には、返信される識別信号の遅延時間は車両側クロックから見れば適正でなくなるので、効果的にリレーアタックによる車両の駆動部始動被害が抑制できる。
本発明の制御システムの1実施例における構成図。 スマートエントリーシステムの場合の処理手順を示すフローチャート。 スマートスタートシステムの場合の処理手順を示すフローチャート。 遅延時間の適正値の記憶処理を示すフローチャート。 リレーアタックが行われていない場合と、行われている場合とにおける遅延時間と認証コード長の例を示す図。 リレーアタックの概要を示す図。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。まず図1は、本発明に係る車両の制御システム1(システム、制御装置)の装置構成の概略図である。図1に示されたシステム1は、車両2に備えられた照合制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)4、及びユーザが携帯可能なキー3(スマートキー、電子キー、携帯機)を備える。車両2は自動車であれば何ら限定されず、例えばガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車や、電気自動車、ハイブリッド車でもよい。
照合ECU4は、車室外LF送信部40、車室内LF送信部41、RF受信部42、水晶発信子45を備える。車室外LF送信部40は、例えば車両2のドアハンドルの部位に装備されて、LF(長波)帯域の電磁波によって車両2の車室外にリクエスト信号を送信する。
車室内LF送信部41は、車室内に装備されて、LF(長波)帯域の電磁波によって車両2の車室内にリクエスト信号を送信する。RF受信部42は、例えば車室内に装備されて、車外、車室内から送信されたRF信号を受信する。水晶発信子45は、照合ECU4における基準クロックを生成するために装備されている。
水晶発信子45に電力を供給することにより、水晶発信子45は所定の発信周波数で発信する。照合ECU4は、この発信周波数を基準にして、基準時間(基準クロック)を生成し、それを基にした所定周波数のLF信号(基本的に正弦波の電磁波)を、車室外LF送信部40や車室内LF送信部41から送信する。
照合ECU4は通常のコンピュータの構造を有するとし、各種演算や情報処理を司るCPU、CPUの作業領域としての一時記憶部であるRAM、各種情報を記憶するための不揮発性のメモリ43を備える。メモリ43には、後述するマスターID44が記憶されているとする。
車両2のドア5には、ロック機構50、タッチセンサ51、ロックボタン52が装備されている。ロック機構50により、ドアが施錠あるいは開錠される。タッチセンサ51は、車両2のドアハンドルに装備されて、ユーザがドアハンドルを握ったことを検出するセンサである。
ロックボタン52は、スマートキーシステムにおけるドアの施錠ボタンであり、ドアハンドル付近に備えられて、車室外照合が成功の場合にユーザが押下するとドアが施錠されるボタンである。
なおドア5は車両2に装備された複数のドア(運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席右側、左側ドアなど)を指すとし、その個々のドアにロック機構50、タッチセンサ51、ロックボタン52が装備されているとすればよい。
また車両2は、車室内の運転席近傍にエンジンスタートスイッチ61を備える。エンジンスタートスイッチ61はスマートスタートシステムにおけるエンジン始動のためのスイッチであり、車室内照合が成功の状態でユーザが押下するとエンジンが始動するスイッチである。以上の各部は車内通信(CAN通信)により接続されて情報の受け渡しが可能となっている。
キー3はスマートキーシステムに関わる電子キーであり、ユーザが携帯可能で、LF受信部30、RF送信部31、制御部32、メモリ33、クロック生成部35、水晶発信子36を備える。メモリ33には、当該キー3に固有の識別信号34(IDコード、ID)が記憶されている。
LF受信部30は、上述のリクエスト信号を受信する。RF送信部31は、リクエスト信号の受信を受けて、当該キー3固有のIDコード34をRF信号として送信する。制御部32は、通常のコンピュータと同様の構造を有するとし、各種情報処理のためのCPUや、CPUの作業領域としての一時記憶部のRAMなどを備えるとする。制御部32によってLF受信部30、RF送信部31、制御部32、メモリ33、クロック生成部35、水晶発信子36などのキー3の各装備が制御される。
車両側で水晶発信子45の発信周波数を基準にして車両側のクロックを生成しているのと同様に、キー3の制御部32は、水晶発信子36によりキー3側のクロックを生成する。すなわち水晶発信子36に電力を供給することにより、水晶発信子36は所定の発信周波数で発信する。制御部32は、この発信周波数を基準にして、キー側の基準時間(基準クロック)を生成する。
クロック生成部35は、本発明の主要部に関係する装備であり、上で述べた制御部32により生成されたキー3側クロックとは別に、車両側から送信されたLF信号を用いて車両側のクロックをキー3内に取得する。(これはキー3側クロックの補正ともみなせる。)キー3では、後述するように、クロック生成部35によって生成された車両側クロックに基づいて所定周波数のRF信号(基本的に正弦波の電磁波)形成して、RF送信部31から送信する。
以上のとおり本システムは、車両のドアの開錠方法として、いわゆるスマートエントリーシステムを備える。標準的(従来)のスマートエントリーシステムでは、ユーザによるドアハンドルを握るドア開錠のための操作をタッチセンサ51が検出すると、車室外LF送信部40からキー3へ向けて識別信号(ID34)の返信を指令するLF波によるリクエスト信号が送信される。
例えば1回のドアハンドルの接触検出につき所定個数のリクエスト信号が送信されるとする。キー3はリクエスト信号を受信するとID34を含むRF波の信号をRF送信部31から返信する。照合ECU4は、RF受信部42で受信した信号とマスターID44とを照合して、照合成功ならば、車両のドア5を開錠する、あるいは開錠許可状態とする。本発明では、これに本発明独自の判定条件を付加する。
以上の構成のもとで、システム1は、車両2におけるスマートエントリーシステムにおけるリレーアタックによるドア開錠を防止する処理を実行する。その処理手順は図2に示されている。図2(及び後述の図3、図4)の処理手順は予めプログラム化して例えばメモリ43に記憶しておき、照合ECU4が呼び出して自動的に実行するとすればよい。図2における右側の処理は、車両2の所有者の正規のキー3による処理である。
図2の処理では、まずS10で照合ECU4は、ユーザによるドアハンドルへの接触をタッチセンサ51が検出したか否かを判定する。タッチセンサ51が接触を検出した場合(S10:YES)はS20に進み、接触を検出していない場合(S10:NO)はS10を繰り返して待ち状態となる。S20に進んだら照合ECU4は、LF信号(リクエスト信号)を車室外LF送信部40から送信する。このLF信号の周波数は予め定められており、水晶発信子45により生成された車両側クロックによる基準時間のもとで生成された信号である。
キー3は、S20で送信されたLF信号をS100でLF受信部30により受信する。そして、キー3はS110で、S100で受信したLF信号から車両側のクロックの情報を取得する。具体的には、S100で受信した信号の周波数を計測する。当然、そこでの周波数の計測、算出においてはキー側のクロックによるキー側の基準時間が用いられる。
このようにして算出された周波数f1と、予め定められたLF信号の周波数f0との間のずれが、車両2のクロックとキー3のクロックの間のずれを反映している。これによりキー3側のクロックにおける1秒が車両のクロックにおける何秒であるのかが算出できる。具体的には、キー3側のクロックにおける1秒は車両のクロックにおけるf0/f1秒である。以上の方法によりクロック生成部35ではキー3側のクロックを補正して、キー3内に車両2側のクロックを生成する。
続いてキー3はS120で、車両2側のクロックに基づいて、所定周波数のRF信号を生成する。そのRF信号にはID34を含ませる。そしてRF送信部31から送信する。
図5には、S120で送信されるRF信号の例が示されている。この例では、車両2から送信するLF信号は(リクエスト信号の開始を示す)WAKE UPコード、(車両のコードである)認証コードから構成され、それに続けてキー制御用クロック信号が送信されている。このキー制御用クロック信号はキー側から認証コード(RF信号)が発信されている間、送信されている。つまり図5におけるキー制御用クロック信号は、車両2とキー3のクロックにずれがないと仮定した場合に、車両2が受信するRF信号が終了する時間まで送信している。
続いてS30で照合ECU4は、RF信号を受信したか否かを判定する。RF信号を受信した場合(S30:YES)はS40に進み、RF信号を受信していない場合(S30:NO)はS70に進む。
S40に進んだら照合ECU4は、RF受信部42で受信したRF信号の遅延時間と返信コード長とを検出する。ここで、遅延時間はRF信号が車両に到着する時刻の遅れ幅のことであり、図5におけるT1(あるいはT2)の値を指す。また返信コード長は、返信コード(RF信号)開始時間から終了時間までの長さのことであり、図5におけるT3(あるいはT4)の値である(なお図5におけるキー側送信信号は車両2で受信された信号を示すとする)。そしてS50で、S40で検出した遅延時間と返信コード長とが適正な値であるか否かを判定する。
ここで所定の条件とは、リレーアタックが行われていない場合に満たされる条件のことである。リレーアタックが行われている場合、車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在するので、遅延時間は大きくなる。この例が図5に示されている。
また返信コード長に関しては、上記のとおり本発明のシステムでは、キー3側のクロックを補正して、キー3内で車両のクロックを生成しているので、リレーアタックが行われていない場合、(理想状態においては)キー制御用クロック信号の終了と同時に認証コードの受信も終了している。
しかしリレーアタックが行われていると、一般に犯罪者のもつ中継器のクロックが車両のクロックとの間にずれを有すると考えられ、キー3は犯罪者の中継器のクロックを対象にして自身のクロックを補正することとなる。したがって、返信コード長はクロックのずれに伴い、長くなったり短くなったりする。したがってリレーアタックが行われている場合には、キー制御用クロック信号の終了と同時に認証コードの受信は終了しない。
以上の理由から、S50で照合ECU4は、遅延時間が適切な範囲にあるか、及び認証コード長が適切な範囲にあるか、を判定する。遅延時間及び認証コード長の適切な範囲は、予め求めておけばよい。照合ECU4は、遅延時間及び認証コード長のいずれか(あるいは両方)が適切な範囲内にある場合(S50:YES)はS60に進み、遅延時間及び認証コード長のいずれか(あるいは両方)が適切な範囲外にある場合(S50:NO)はS70に進む。
S60に進んだら照合ECU4は、S30で受信が確認されたRF信号とマスターID44との間で照合を行い、照合が成功したか否かを判定する。照合が成功した場合(S60:YES)はS80に進み、照合が不成功であった場合(S60:NO)はS70に進む。S80で照合ECU4は、ロック機構50にドアの開錠を指令する。
S70に進んだら照合ECU4は、経過時間が所定時間を超えたか否かを判定する。ここで経過時間とはS20でLF信号を送信してからの経過時間とする。経過時間が所定時間を超えている場合(S70:YES)は図2の処理を終了し、まだ所定時間を超えていない場合(S70:NO)は再びS30に戻ってRF信号の受信を待つ。
以上のとおり図2の処理では、車両2側から送信されたLF信号を用いてキー3内のクロックを補正して、キー3内で車両側のクロックを生成する。そして、キー3は車両側クロックに基づいて所定周波数のRF信号を生成して車両へ返信する。
したがって車両2の正規の所有者によるドア開錠の場合(つまりS10において検知された接触が正規の所有者によるものである場合)には、車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在しないので、キー3内に車両側クロックが適切(正確)に生成できて、それにもとづいて車両側クロックのもとでの所定タイミング(所定周波数、所定信号長、所定遅延時間のうち少なくとも1つ)のRF信号が適切に生成できる(これを適正信号とする)。したがってRF信号の信号長(返信コード長、認証コード長)は適切であり、また車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在しないので、RF信号の遅延時間も適切な範囲内となる。したがって車両のドアは開錠される。
一方、リレーアタックが行われている場合(つまりS10において検知された接触が盗難者によるものである場合)には、車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在するので、キー3内に車両側クロックが生成できず、したがってRF信号の信号長(返信コード長、認証コード長)は適切な範囲とは異なる長さとなると考えられる。また車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在するので、RF信号の遅延時間も適切な範囲よりも大きな遅れとなる。したがって以上よりリレーアタックが検出できて、車両のドアは開錠されず、リレーアタックによる被害が防止できる。以上が図2の処理である。
次に図3を説明する。図2がスマートエントリー(スマートキーを用いたドア開錠)におけるリレーアタック対策の処理手順であったのに対して、図3はスマートスタート(スマートキーを用いた駆動部(エンジン、あるいはモータ)始動)におけるリレーアタック対策の処理手順である。図3の各処理のうちで図2と同じ符号の部分は、図2と同じ処理を行う。以下で図2と異なる部分を説明する。
図3の処理では、図2のS10がS15に置き換えられる。S15で照合ECU4は、エンジンスタートスイッチ61に対するユーザによるオン操作が行われたか否かを判定する。エンジンスタートスイッチ61に対するオン操作が行われた場合(S15:YES)はS20へ進み、エンジンスタートスイッチ61に対するオン操作が行われていない場合(S15:NO)はS10を繰り返してオン操作を待つ。図3では、図2のS80がS85に置き換えられる。S85で照合ECU4は、エンジンを始動する。
図3の処理においても、図2と同様の原理が働いて、リレーアタックによるエンジン始動は抑制される。すなわち車両2の正規の所有者によるエンジン始動の場合(つまりS10におけるエンジンスタートスイッチのオン操作が正規の所有者によるものである場合)には、車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在しないので、キー3内に車両側クロックが適切に生成できて、RF信号の信号長(返信コード長、認証コード長)は適切であり、また車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在しないので、RF信号の遅延時間も適切な範囲内となる。したがって車両のエンジンは始動される。
一方リレーアタックが行われている場合(つまりS10におけるエンジンスタートスイッチのオン操作が盗難者によるものである場合)には、車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在するので、キー3内に車両側クロックが生成できず、RF信号の信号長(返信コード長、認証コード長)は適切な長さではなく、また車両2とキー3との間に犯罪者の中継器が介在するので、RF信号の遅延時間も適切な遅れより大きくなる。したがって返信コード長も遅れ時間も適切な値でなくなり、車両のエンジンは始動されない。したがってリレーアタックによる被害が抑制できる。以上が図3の処理である。
次に図4を説明する。上記遅延時間の適正な範囲は個別のキー3ごとの機差があると考えられる。したがって、それを計測する手順があれば、その情報をもとにして、図2、図3の処理で用いられる遅延時間の適正範囲を適切に設定できる。
リレーアタックが行われておらず、正規の所有者がドア開錠操作をした場合に、上記遅れ時間の具体的な数値を計測するための処理手順が図4に示されている。図4の処理は、新たにキー3を車両2に登録する際に実行すればよい。図4の処理で図2(あるいは図3)と同一の符号の手順では、同一の処理を実行する。以下で図2(図3)と異なる部分を説明する。
図4の処理ではまず、キー3を車室外の所定位置に置く。所定位置とは、ドアハンドルに接触できる位置にいるユーザによって携帯された状況での位置とすればよい。そして、例えば作業員、販売員、ユーザなどによってキー3の登録処理の開始の指令入力がなされると、S20で車両2の車室外LF送信部40からLF信号が送信される。
以下、キー3側でS100からS120の処理が実行され、車両側でS30が実行されると、図4では、S30で肯定判断(YES)の場合にS45に進む。S45では、遅延時間を検出する。次にS65に進み、受信したRF信号内にID34が確認できたか否かを判定する。
ID34が確認できた場合(S65:YES)はS90に進み、何らかの原因でID34が確認できなかった場合(S65:NO)は図4の処理を終了する(再度図4の処理を最初から行うこととすればよい)。S90に進んだら、S45で検出した遅延時間を(例えばメモリ43に)記憶する。続いてS95で、S65で確認されたID34をメモリ43にマスターID44として記憶する。以上が図4の処理手順である。S45で記憶した遅延時間を上述のS50での判定に用いればよい。こうした処理により個別のキー3ごとの適切な遅延時間が取得できる。
1 制御システム
2 車両
3 キー(携帯機)
4 照合ECU

Claims (3)

  1. 使用者が携帯可能であり、無線通信機能を有する第1通信部を備えた携帯機と、
    車両に備えられて、計時機能を有するクロックと、
    車両に備えられて、前記第1通信部との無線通信機能を有し、前記クロックに基づいたタイミングの信号を送信する第2通信部と、
    前記第2通信部から前記第1通信部へ向けて識別信号の返信を要求する指令信号を送信する送信手段と、
    前記第1通信部に備えられて、受信した前記指令信号から前記クロックの周波数である車両側クロック周波数を検出する検出手段と、
    前記第1通信部に備えられて、前記検出手段により検出された前記車両側クロック周波数を基準とした所定タイミングで前記識別信号を送信する返信手段と、
    前記第2通信部に備えられて、受信した信号と前記携帯機固有の識別信号とを照合する照合手段と、
    前記第2通信部に備えられて、受信した信号が前記車両側クロック周波数を基準とした所定タイミングの信号である適正信号であるか否かを判定する判定手段と、
    前記照合手段による照合が成功し、かつ前記判定手段によって受信した信号が前記適正信号であると判定された場合に、前記車両に対する所定の操作を許可する許可手段と、
    を備え、
    前記判定手段は、前記第2通信部が受信した信号の受信開始時間から受信終了時間までの時間長が予め定められた適正範囲にはいっており、前記第2通信部が受信した信号の受信開始時間の前記指令信号の送信からの時間遅れが予め定められた適正範囲にはいっている場合に前記適正信号であると判定することを特徴とする制御システム。
  2. 前記所定の操作は、車両のドアの開錠操作である請求項1に記載の制御システム。
  3. 前記所定の操作は、車両の駆動部の始動操作である請求項1に記載の制御システム。
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