JP2013176815A - 立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体およびこれを工具基体とする切削工具、表面被覆切削工具 - Google Patents

立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体およびこれを工具基体とする切削工具、表面被覆切削工具 Download PDF

Info

Publication number
JP2013176815A
JP2013176815A JP2012041358A JP2012041358A JP2013176815A JP 2013176815 A JP2013176815 A JP 2013176815A JP 2012041358 A JP2012041358 A JP 2012041358A JP 2012041358 A JP2012041358 A JP 2012041358A JP 2013176815 A JP2013176815 A JP 2013176815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cbn
sintered body
phase
cutting tool
boron nitride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012041358A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5804448B2 (ja
Inventor
Noriji Yumoto
憲志 油本
Yasusuke Miyashita
庸介 宮下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2012041358A priority Critical patent/JP5804448B2/ja
Publication of JP2013176815A publication Critical patent/JP2013176815A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5804448B2 publication Critical patent/JP5804448B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

【課題】靭性にすぐれたcBN基超高圧焼結体およびこれを工具基体とする耐欠損性、耐摩耗性にすぐれた切削工具、被覆切削工具を提供する。
【解決手段】 cBN粒子と結合相とTiB相を含有するcBN基超高圧焼結体、あるいは、これを工具基体とする切削工具、被覆切削工具において、cBN粒子の平均粒径は0.5〜3.5μm、含有量は40〜75vol%であり、また、結合相中には、平均粒径が50〜500nmの微細なTi硼化物相が分散分布しており、さらに、焼結体中のTiB相の生成量をY(vol%)、cBN粒子の含有量をX(vol%)としたとき、XとYは、(−0.05X+4.5)≦Y≦(−0.2X+18)なる関係を満足し、かつ、焼結体中で、cBN粒子に接していないTiB相の含有割合は、焼結体に含有される全TiB相の15〜65vol%を占める。
【選択図】 図3

Description

本発明は、靭性にすぐれた立方晶窒化ほう素(以下、「cBN」で示す)基超高圧焼結体(以下、cBN焼結体という)、および、これを工具基体とする切削工具あるいは表面被覆切削工具(切削工具と表面被覆切削工具を総称して、以下、「cBN工具」という)に関する。
従来から、cBN焼結体は、すぐれた耐久性、熱安定性、熱伝導性を有し、衝撃抵抗、摩擦係数にも優れることが知られており、さらに、鉄系材料との親和性が低いことから、これらの特性を生かし、鋼、鋳鉄等の鉄系被削材の切削工具材料として用いられている。
例えば、特許文献1に示すように、高硬度鋼、チル鋳鉄などを高速連続切削するための耐摩耗性、耐欠損性および耐チッピング性に優れたcBN焼結体として、 Ti系化合物を含有する原料粉末をボールミルで粉砕・混合した後、cBN粉末と配合・混合して成形体を作製し、これを、焼結することによって、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物のうちの1種または2種以上をマトリックスとし、このマトリックス中に、平均粒径4〜20μmのcBN10〜50容量%未満、平均粒径0.2μm以下のWC0.1〜1.0容量%、平均粒径0.2μm以下のAl3〜10容量%、平均粒径0.5μm以下のAlN3〜7容量%、平均粒径0.5μm以下のTiB1〜5容量%を均一に分散させたcBN焼結体を得ることが提案されている。
また、例えば、特許文献2に示すように、Ti系化合物を含有する原料粉末から成形体を作製し、これを破砕・粉砕した後、所定粒径かつ所定量のcBN粉末混合物をスラリーに添加し、該cBN含有スラリーを、粉砕混合、乾燥して圧粉体を成形し、これを焼結することによって、焼結体のマトリックス相に含有されるTiBの(101)ピークのXRDピーク高さを、cBNの(111)ピークのピーク高さの12%よりも小さくし、耐欠損性・耐破損性を向上させるようにしたcBN焼結体が提案されている。
さらに、例えば、特許文献3に示すように、cBN焼結体の耐欠損性と耐摩耗性を向上させるために、Ti系化合物を含有する原料粉末を、所定粒径が得られるように粉砕条件を制御して粉砕した後、cBNの原料粉末と均一に混合して成形体を作製し、これを焼結することによって、25〜80vol%のcBNと、粒径が0.1μm以下の少なくともTi化合物(例えば、TiB)を含み、結合材の10〜60面積%を占める第1微粒成分と、粒径が0.1μmより大で0.25μm以下の第2微粒成分とを含み、第1微粒成分と第2微粒成分の合計割合が、結合材の90面積%以上を占めるcBN焼結体が提案されている。
特開平8−81270号公報 特表2008−528413号公報 特開2011−207689号公報
上記特許文献1〜3に示されるcBN焼結体は、いずれも高硬度のTi硼化物(以下、TiBで示す)相を結合相中に分散させることによってcBN焼結体の耐摩耗性向上を図るものであるが、従来は、結合相中に分散分布させるTiB相の生成サイズ、生成形態を制御することができないため、cBN焼結体中において、cBN粒子と結合相の界面に、帯状、膜状にTiB相が生成したり、或いは、結合相中に大きな塊としてTiB相が形成されることがあった。
そして、このような場合には、cBN粒子と結合相の界面での付着力低下、また、熱膨張率の違いにより、それらが起点となって、クラックが発生・進展しやすく、cBN焼結体の靭性低下の原因となっていた。
特に、cBN焼結体を切削工具として用いた場合には、切削加工時にcBN焼結体に高負荷、衝撃等が作用するため、靭性低下による欠損、破損は大きな問題となっていた。
本発明は、上記の課題を解決するものであって、靭性にすぐれたcBN焼結体を提供することを第1の目的とするものである。
また、本発明は、高負荷、衝撃等が作用する切削加工条件に供された場合であっても、長期の使用に亘り、耐欠損性、耐摩耗性にすぐれたcBN工具を提供することを第2の目的とするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するため、cBN焼結体およびこれを工具基体とするcBN工具について、結合相に含有されるTiB相の生成量、分散分布形態に着目し、鋭意研究を進めたところ、次のような知見を得たのである。
従来、cBN焼結体の製造に際しては、焼結体の中間相を構成するTi系化合物等を含有する原料粉末を粉砕し、その後、cBN粉末を添加して混合・粉砕して成形体を作製し、これを焼結することにより、cBN焼結体を得ていた。
しかし、本発明者らは、上記cBN焼結体の製造工程において、焼結体の中間相を構成するTi系化合物等を含有する原料粉末を混合した後、cBN粉末を添加するに先立って、六方晶窒化ほう素(以下、「hBN」で示す)粉末を添加して混合・粉砕し、次いで、得られた原料粉末とcBN粉末とを混合して成形−焼結したところ、得られたcBN焼結体は、結合相中には塊状のTiB相の形成がなく、微細なTiB相が分散分布していること、また、cBN粒子表面への帯状・膜状のTiB相の形成も少ないこと、そしてこのような焼結組織が形成されていることによって靭性が向上すること、さらに、このような組織を有するcBN焼結体をcBN工具として供した場合でも、欠損・破損の発生はなく、長時間の使用に亘って、すぐれた耐欠損性と耐摩耗性を発揮することを見出したのである。
このような靭性の向上、耐摩耗性の向上の原因について、さらに検討を進めたところ、本発明者らは、焼結体の中間相を構成するTi系化合物等を含有する混合原料粉末にcBN粉末を添加するに先立って、hBN粉末を添加して混合し粉砕することによって、結合相中には微細なhBN粒子が均一に分布し、さらに、これを、cBN粉末と混合して焼結することによって、微細なhBN粒子はTi金属成分と反応して微細なTiB相なり、その結果、焼結後のcBN焼結体の結合相中には、微細なTiB相が均一に分散分布する焼結組織が形成されることを見出したのである。
そして、このような焼結組織を有するcBN焼結体をcBN工具として用いた場合には、切削加工時に高負荷、衝撃等が作用したとしても、粗大なTi硼化物相、cBN粒子と結合相との界面での付着力低下に起因するクラックの発生・進展が抑制されるために、耐欠損性が向上することを見出したのである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 立方晶窒化ほう素(cBN)粒子と結合相とTi硼化物(TiB)相を含有する立方晶窒化ほう素(cBN)基超高圧焼結体において、立方晶窒化ほう素(cBN)粒子の平均粒径は0.5〜3.5μm、その含有量は40〜75vol%であり、また、結合相中には、平均粒径が50〜500nmの微細なTi硼化物(TiB)相が分散分布しており、さらに、焼結体中のTi硼化物(TiB)相の生成量をY(vol%)、立方晶窒化ほう素(cBN)粒子の含有量をX(vol%)としたときに、XとYは、
(−0.05X+4.5)≦Y≦(−0.2X+18)
の関係を満足し、かつ、焼結体中で、立方晶窒化ほう素(cBN)粒子に接していないTi硼化物(TiB)相の含有割合は、焼結体に含有される全Ti硼化物(TiB)相の15〜65vol%であることを特徴とする立方晶窒化ほう素(cBN)基超高圧焼結材料。
(2) 前記(1)に記載の立方晶窒化ほう素(cBN)基超高圧焼結体を工具基体とする立方晶窒化ほう素(cBN)基超高圧焼結体製切削工具。
(3) 前記(2)に記載の立方晶窒化ほう素(cBN)基超高圧焼結体製切削工具において、工具基体の表面に、Tiの窒化物層及びTiとAlの複合窒化物層のうちの1層または2層以上からなる硬質被覆層を蒸着形成したことを特徴とする表面被覆立方晶窒化ほう素(cBN)基超高圧焼結体製切削工具。」
を特徴とするものである。
本発明について、以下に説明する。
<cBN粒子>
この発明では、cBN焼結体におけるcBN粒子の平均粒径は0.5〜3.5μm、その含有量は40〜75vol%とする。
cBN粒子の平均粒径が0.5μm未満では、例えば、高硬度鋼等の高速切削加工に供した場合、長期の使用に亘って十分な耐欠損性を発揮することができず、一方、cBN粒子の平均粒径が3.5μmを超えると、仕上げ面精度の低下を招く恐れがあるため、cBN粒子の平均粒径は0.5〜3.5μmと定めた。
また、cBNの含有割合が40vol%未満では、cBN工具としての硬さが十分ではなく、高硬度鋼等の高速切削加工において摩耗の進行が増大するからであり、一方、cBNの含有割合が75体積%を超えると、結合相の含有割合が相対的に減少し、同時に、結合相中に分散分布するTiB相の量も減少し、cBN焼結体の靭性向上効果が低減することから、cBN焼結体に占めるcBN粒子の含有割合は、40〜75vol%と定めた。
<TiB相>
cBN焼結体の結合相中に分散分布されるTiB相は、本発明のcBN焼結体の製造方法(後記)で述べるように、結合相を形成するための原料粉末中のTi化合物(例えば、TiN,TiCN等)粉末と微粒hBN粉末との反応により形成されることから、その反応性を高めるためには、Ti化合物粉末とhBN粉末は、いずれも混合・粉砕によって微粉化されていることが望ましい。
しかし、結合相中のTiB相の平均粒径が50nm未満となる程度にまで微粉化された場合には、hBN粉末からの酸素、水分等の不純物の混入が多くなるため、かえって靭性が低下する恐れがあり、一方、あまり微粉化を行わず、結合相中のTiB相の平均粒径が500nmを超えるような大きさの場合には、粗大TiB相が形成されることになり、さらに、TiB相の中心部分に未反応のhBNが残留することによって、靭性の低下をきたすとともにクラック発生の原因にもなることから、cBN焼結体の結合相中に分散分布されるTiB相の平均粒径は50〜500nmとすることが必要である。
また、上記で形成されたTiB相は、全て結合相中に分散分布しており、かつ、cBN粒子に接していない前記TiB相の含有割合は、焼結体に含有される全TiB相の15〜65vol%であること、が必要である。
前記TiB2相の含有割合が、焼結体に含有される全TiB2相の15vol%より少ない場合、結合相中に分散分布するTiB2相量が減少するために、結合相の靱性を改善する効果がみられず、一方、65vol%よりも多い場合、結合相中に分散分布するTiB2相量が多すぎるために、結合相の脆性が高くなり、靱性が低下する。
図1に、従来のcBN焼結体におけるTiB相の分散分布状況を示す。
図1(a)は、二次電子像であり、(b)は、Bのマッピング像であり、(c)は、Tiのマッピング像であって、図1の(b)、(c)の重なり部分がTiB相の生成領域となっていることから、図1に示される従来のcBN焼結体においては、cBN粒子と結合相との界面に、TiB相が帯状・膜状に形成されていることが分かる。
図2には、本発明のcBN焼結体におけるTiB相の分散分布状況を示す。
図1と同様に、図2(a)は、二次電子像であり、(b)は、Bのマッピング像であり、(c)は、Tiのマッピング像であって、図2の(b)、(c)の重なり部分からみれば、図2の本発明cBN焼結体においては、TiB相は、結合相中に分散分布しており、かつ、cBN粒子と結合相との界面にも帯状・膜状のTiB相が形成されており、cBN粒子と接していないTiB相の含有割合は、焼結体に含有される全TiB相の15〜65vol%であることが分かる。
図3は、本発明cBN焼結体の焼結組織を模式図で示したものである。
図3において、cBN粒子と結合相との界面には、帯状・膜状のTiB相が形成されており、かつ、cBN粒子に接していないTiB相は、微細組織(平均粒径が50〜500nm)として結合相中に分散分布している。
そして、本発明では、このようなTiB相の分散状態を規定することによって、硬質TiB相の分散による結合相の靭性の向上、さらに、微細な分散相(TiB相)の存在による他の結合相成分(例えば、TiN、TiC、TiCN等)の粒成長抑制による靭性の向上を図ることができる。
また、この発明では、TiB相の生成量(Y(vol%))は、cBN粒子の含有量(X(vol%))との関係で規定することが必要である。
図4に、実験的に定めたcBN粒子の含有量(X(vol%))とTiB相の生成量(Y(vol%))との関係を示すが、
(−0.05X+4.5)≦Y≦(−0.2X+18)
を満足する領域において、本発明のcBN焼結体はすぐれた靭性を備えたものとなる。
なお、cBN粒子の含有量X(vol%)については、X=40〜75(vol%)にする必要があることは前述のとおりであるので、上記の不等式において、Xは、40≦X(vol%)≦75である。
上記の不等式において、Y<(−0.05X+4.5)となった場合、即ち、cBN含有量Xに比してTiB相の生成量Yが相対的に少ない場合、には、結合相中に分散分布するTiB相量が減少するために、結合相の靭性を改善する効果が見られず、一方、Y>(−0.2X+18)となった場合、即ち、cBN含有量Xに比してTiB相の生成量Yが相対的に大きくなった場合、には、結合相の脆性が高くなるためcBN焼結体としての靭性が低下する。
したがって、この発明では、TiB相の生成量(Y(vol%))と、cBN粒子の含有量(X(vol%))は、
40≦X(vol%)≦75の範囲内において、
(−0.05X+4.5)≦Y≦(−0.2X+18)
の関係を満足することが必要であり、このような場合にはじめて、cBN焼結体の靭性を高めることができ、また、このcBN焼結体をcBN工具として供した場合に、耐欠損性にすぐれ、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するcBN工具を提供することができるのである。
<cBN焼結体の製造法>
この発明の、靭性にすぐれたcBN焼結体を作製するための手順の一例を次に示す。
(a)まず、結合相を構成する成分の原料粉末を用意する。
原料粉末としては、Ti化合物粉末(例えば、TiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末、TiAl粉末、TiAl粉末、TiAlN粉末、TiAl粉末、TiAl粉末等)を用意し、或いはこれに加えて、従来から知られている結合相形成原料粉末(WC粉末、Al粉末、Al粉末、AlN粉末等)を、さらに、添加含有させることができる。
(b)これらの原料粉末を、例えば、超硬合金で内張りされたボールミル内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後に回転ボールミルにより粉砕および混合を行う。
(c)次いで、平均粒径1〜5μmのhBN粉末を、全粉末に対して1〜10重量%となるように添加し、同じくボールミル内で、48〜72時間、粉砕および混合を行い、hBN粉末を、500nm以下の微粒のhBNに粉砕し、結合相中に均一に分散させる。
(d)次いで、上記粉砕・混合を行ったhBN粉末と結合相形成用原料粉末に対して、平均粒径1〜5μmのcBN粉末を添加し、さらに、ボールミル内で24時間、混合を行う。
(e)次いで、得られた焼結体原料粉末を、所定圧力で成形して成形体を作製し、これを900〜1300℃で仮焼結し、その後、超高圧焼結装置に装入して、圧力:5GPa、温度:1200〜1400℃の範囲内の所定の温度で焼結することにより、本発明のcBN焼結体を作製する。
本発明は、上記工程(c)を特徴とするものであり、この工程(c)を設けてcBN焼結体を作製することによって、結合相中に微細なTiB相が分散分布させることができ、これによって、cBN焼結体の靭性向上を図ることができるのである。
なお、TiB相の平均粒径(50〜500nm)、生成量(Y(vol%))、結合相内での分散分布割合(全TiB相の15〜65vol%)は、いずれも、上記工程(c)におけるhBNの添加量、粉砕・混合条件によって制御することができる。
<cBN工具>
この発明の、靭性にすぐれたcBN焼結体を工具基体とするcBN基超高圧焼結体製切削工具は、例えば、高硬度鋼の高速切削加工においても、耐欠損性にすぐれ、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮する。
また、この発明のcBN焼結体を工具基体とし、この上に、TiN層及びTiとAlの複合窒化物層のうちの1層、あるいは、2層、さらには、これらの層を交互に積層した複層層からなる硬質被覆層を、物理蒸着等により蒸着形成した表面被覆cBN基超高圧焼結体製切削工具は、例えば、高硬度鋼の高速切削加工においても、さらに一段とすぐれた耐欠損性、耐摩耗性を発揮する。
上記のとおり、本発明のcBN焼結体、cBN工具においては、特に、cBN焼結体の結合相におけるTiB相の平均粒径、生成量、分散状態を規定することによって、靭性にすぐれたcBN焼結体を得ることができる。
さらに、本発明のcBN焼結体を工具基体とするcBN工具(cBN基超高圧焼結体製切削工具、表面被覆cBN基超高圧焼結体製切削工具)は、高硬度鋼の高速切削加工においてもすぐれた耐欠損性を示し、長期の使用に亘って、すぐれた耐摩耗性を発揮する。
従来のcBN焼結体におけるTiB相の分散分布状況を示し、(a)は、二次電子像であり、(b)は、オージェ電子分光分析によるB元素のマッピング像であり、(c)は、オージェ電子分光分析によるTi元素のマッピング像である。 本発明のcBN焼結体におけるTiB相の分散分布状況を示し、(a)は、二次電子像であり、(b)は、オージェ電子分光分析によるB元素のマッピング像であり、(c)は、オージェ電子分光分析によるTi元素のマッピング像である。 本発明のcBN焼結体の焼結組織を模式図として示したものである。 本発明におけるcBN粒子の含有量(X(vol%))とTiB相の生成量(Y(vol%))との関係を示すグラフである。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
(a)まず、表1に示すように、焼結体の結合相を構成する所定の成分および配合割合からなる原料粉末を用意した。
(b)次いで、上記原料粉末を、超硬合金で内張りされたボールミル内に、超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後に回転ボールミルにより粉砕および混合を行った。
(c)次いで、表2に示す平均粒径のhBN粉末を、全粉末重量に対して同じく表2に示す添加割合となるように添加含有させ、同じくボールミル内で、同じく表2に示す時間、粉砕および混合を行った。
(d)次いで、上記粉砕・混合を行ったhBN粉末と結合相形成用原料粉末に対して、表2に示す平均粒径のcBN粉末を、全粉末重量に対して同じく表2に示す添加割合となるように添加含有させ、同じくボールミル内で、24時間混合を行った。
(e)次いで、得られた焼結体原料粉末を、成形圧100MPaで直径:50mm×厚さ:1.5mmの寸法にプレス成形し、ついでこの成形体を、圧力:10−4Pa以下の真空雰囲気中、900〜1300℃の範囲内の所定温度に保持して仮焼結し、その後、超高圧焼結装置に装入して、圧力:5GPa、温度:1200〜1400℃の範囲内の所定の温度で焼結することにより、本発明のcBN焼結体1〜12(本発明品1〜12という)を作製した。


比較のため、本発明品1〜12と同様な方法、または、上記工程(c)を行わない方法で、比較例のcBN焼結体1〜12(比較品1〜12という)を作製した。
上記で得た本発明品1〜12と比較品1〜12について、結合相中のTiB相の平均粒径、生成量、cBN粒子に接していないTiB相の含有割合を測定した。
また、cBN粒子についても、平均粒径とその含有割合を測定した。
TiB相の平均粒径の測定方法を下記に示す。
オージェ電子分光分析によるTi元素のマッピング像のコントラスト強度をRGBのBlueに変換し、B元素のマッピング像のコントラスト強度をRGBのRedに変換し、画像処理により合成する。合成画像を画像解析にて、RGBの閾値をR:30〜255、G:0、B:30〜255(閾値範囲:0〜255)に設定し二値化することで、画面中の全TiB相を検出した後、さらにcBN粒子に接していないTiB相を抜き出す。抜き出したTiB相の粒子の最長径をその粒子の粒径とし、それら平均値をTiBの平均粒径とした。
TiB相の生成量の測定方法を下記に示す。
前記cBN粒子に接していないTiB相を抜き出した後、画像解析によりその総面積を算出し、画像総面積で除して面積比率を算出することにより、その面積比率を体積%とみなし、結合相中のTiB相の生成量を測定した。
cBN粒子に接していないTiB相の含有割合の測定方法を下記に示す。
前記cBN粒子に接していないTiB相抜き出した後、画像解析によりその総面積を算出した値を、前記画面中の全TiB相を画像解析によりその総面積を算出した値で除して面積比率を算出することにより、その面積比率を体積%とみなし、cBN粒子に接していないTiB相の含有割合を測定した。
上記3項目については、オージェ電子分光分析の20,000倍、100,000倍の画像の各3視野を上記方法にて処理した値の平均値を測定結果とした。
cBN粒子の平均粒径の測定方法を下記に示す。
走査電子顕微鏡にて観察した二次電子像を、画像処理によりcBN粒子を抜き出し、そのcBN粒子の最長径をその粒子の粒径とし、それら平均値をcBN粒子の平均粒径とした。
cBN粒子の含有割合の測定方法を下記に示す。
前記cBN粒子を抜き出した後、画像解析によりその総面積を算出した値を、画像総面積で除して面積比率を算出することにより、その面積比率を体積%とみなし、cBN粒子の含有割合を測定した。
上記2項目については、走査電子顕微鏡の5,000倍、10,000倍の画像の各3視野を上記方法にて処理した値の平均値を測定結果とした。
さらに、上記各焼結体について、ビッカース硬さ測定を行い、その機械的特性を評価した。
表3、表4に、それぞれの測定結果を示す。


なお、上記の測定は、具体的には、以下のとおり行った。
ビッカース硬さは、ビッカース硬さ試験機を用いて、試験荷重1kgf、ロードタイム15secの条件で圧子打ち込み、その後、打ち込まれた圧痕を測定し、下記式よりビッカース硬さを算出した。


F:荷重(N) d:圧痕の対角線の長さ(mm)

ビッカース硬さ測定は各サンプル3回実施し、その平均値を表3、表4に示す。
表3、表4に示される結果から、本発明品1〜12は、本発明で規定する焼結組織を備えることにより、比較品1〜12に比して、硬さが向上していることが分かる。
次に、上記で作製した本発明品1〜12、比較品1〜12を、ワイヤー放電加工機で所定寸法に切断し、Co:5質量%、TaC:5質量%、WC:残りの組成およびISO規格CNGA120408のインサート形状をもったWC基超硬合金製インサート本体のろう付け部(コーナー部)に、質量%で、Cu:26%、Ti:5%、Ag:残りからなる組成を有するAg合金のろう材を用いてろう付けし、上下面および外周研磨、ホーニング処理を施すことによりISO規格CNGA120408のインサート形状をもつ本発明のcBN基超高圧焼結体製切削工具(本発明チップという)1〜12、比較例のcBN基超高圧焼結体製切削工具(比較チップという)1〜12を製造した。
なお、本発明チップ1,3,5,6,11、および、比較チップ1,3,5,6,11については、さらに、物理蒸着により、表5に示される硬質被覆層を、同じく表5に示される層厚で被覆形成することにより、本発明の表面被覆cBN基超高圧焼結体製切削工具(本発明被覆チップという)1,3,5,6,11、比較例の表面被覆cBN基超高圧焼結体製切削工具(比較被覆チップという)1,3,5,6,11を製造した。

次いで、上記の本発明チップ1〜12、本発明被覆チップ1,3,5,6,11、比較チップ1〜12、比較被覆チップ1,3,5,6,11について、以下の切削条件で切削加工試験を実施し、欠損に至るまでの工具寿命(sec)を測定した。
《切削条件》
被削材:浸炭焼き入れ鋼(JIS・SCM415、硬さ:HRC62)の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、切削速度:150m/min、切り込み:0.2mm、送り:0.2mm/rev
の条件での、高硬度鋼の乾式高速切削加工試験。
各チップの刃先が欠損した時間を工具寿命とした。
表6に、上記切削加工試験の測定結果を示した。

表6に示される結果から、本発明チップ、本発明被覆チップは、比較チップ、比較被覆チップに比して、欠損を発生することもなく、工具寿命が延命化されたことから、本発明チップ、本発明被覆チップは、比較チップ、比較被覆チップに比して、靱性が向上したことが分かる。
上述のように、この発明のcBN焼結体は、靭性にすぐれ、また、機械的特性にもすぐれていることから、耐摩耗部材、摺動部材等の分野への幅広い応用が期待できる。
また、本発明のcBN焼結体からなるcBN工具は、欠損、破損を発生することなく長期の使用に亘って、すぐれた耐欠損性、耐摩耗性を発揮し、工具寿命の延命化が図られるものであるから、切削加工装置の高性能化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、低コスト化に十分満足に対応できるものである。












Claims (3)

  1. 立方晶窒化ほう素粒子と結合相とTi硼化物相を含有する立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体において、立方晶窒化ほう素粒子の平均粒径は0.5〜3.5μm、その含有量は40〜75vol%であり、また、結合相中には、平均粒径が50〜500nmの微細なTi硼化物相が分散分布しており、さらに、焼結体中のTi硼化物相の生成量をY(vol%)、立方晶窒化ほう素粒子の含有量をX(vol%)としたときに、XとYは、
    (−0.05X+4.5)≦Y≦(−0.2X+18)
    の関係を満足し、かつ、焼結体中で、立方晶窒化ほう素粒子に接していないTi硼化物相の含有割合は、焼結体に含有される全Ti硼化物相の15〜65vol%であることを特徴とする立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料。
  2. 請求項1に記載の立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体を工具基体とする立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体製切削工具。
  3. 請求項2に記載の立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体製切削工具において、工具基体の表面に、Tiの窒化物層及びTiとAlの複合窒化物層のうちの1層または2層以上からなる硬質被覆層を蒸着形成したことを特徴とする表面被覆立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体製切削工具。





























JP2012041358A 2012-02-28 2012-02-28 立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体およびこれを工具基体とする切削工具、表面被覆切削工具 Active JP5804448B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012041358A JP5804448B2 (ja) 2012-02-28 2012-02-28 立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体およびこれを工具基体とする切削工具、表面被覆切削工具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012041358A JP5804448B2 (ja) 2012-02-28 2012-02-28 立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体およびこれを工具基体とする切削工具、表面被覆切削工具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013176815A true JP2013176815A (ja) 2013-09-09
JP5804448B2 JP5804448B2 (ja) 2015-11-04

Family

ID=49269025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012041358A Active JP5804448B2 (ja) 2012-02-28 2012-02-28 立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体およびこれを工具基体とする切削工具、表面被覆切削工具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5804448B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2021010471A1 (ja) * 2019-07-18 2021-09-13 住友電気工業株式会社 立方晶窒化硼素焼結体および切削工具

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4289987A1 (en) 2021-02-02 2023-12-13 Mitsubishi Materials Corporation Sintered cbn
JPWO2022176569A1 (ja) 2021-02-20 2022-08-25

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07328814A (ja) * 1994-06-06 1995-12-19 Mitsubishi Materials Corp 耐摩耗性のすぐれた立方晶窒化硼素基超高圧焼結材料製切削工具
JPH0881270A (ja) * 1994-09-13 1996-03-26 Mitsubishi Materials Corp 立方晶窒化ホウ素含有セラミックス焼結体および切削工具
JPH11268956A (ja) * 1998-03-24 1999-10-05 Mitsubishi Materials Corp 耐チッピング性のすぐれた立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料製切削チップ
JP2011194511A (ja) * 2010-03-19 2011-10-06 Mitsubishi Materials Corp 高靭性立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料と切削工具

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07328814A (ja) * 1994-06-06 1995-12-19 Mitsubishi Materials Corp 耐摩耗性のすぐれた立方晶窒化硼素基超高圧焼結材料製切削工具
JPH0881270A (ja) * 1994-09-13 1996-03-26 Mitsubishi Materials Corp 立方晶窒化ホウ素含有セラミックス焼結体および切削工具
JPH11268956A (ja) * 1998-03-24 1999-10-05 Mitsubishi Materials Corp 耐チッピング性のすぐれた立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料製切削チップ
JP2011194511A (ja) * 2010-03-19 2011-10-06 Mitsubishi Materials Corp 高靭性立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料と切削工具

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2021010471A1 (ja) * 2019-07-18 2021-09-13 住友電気工業株式会社 立方晶窒化硼素焼結体および切削工具
CN114096501A (zh) * 2019-07-18 2022-02-25 住友电气工业株式会社 立方晶氮化硼烧结体以及切削工具
CN114096501B (zh) * 2019-07-18 2023-07-25 住友电气工业株式会社 立方晶氮化硼烧结体以及切削工具

Also Published As

Publication number Publication date
JP5804448B2 (ja) 2015-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6032409B2 (ja) 立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体を工具基体とする切削工具、表面被覆切削工具
JP6032387B1 (ja) 立方晶窒化硼素焼結体および被覆立方晶窒化硼素焼結体
JP6637664B2 (ja) 立方晶窒化硼素焼結体切削工具
JP5305056B1 (ja) 立方晶窒化ほう素基焼結体製切削工具
JP5614460B2 (ja) cBN焼結体工具および被覆cBN焼結体工具
JP6082650B2 (ja) 立方晶窒化硼素焼結体および被覆立方晶窒化硼素焼結体
JP6853951B2 (ja) cBN焼結体および切削工具
JP6290872B2 (ja) cBN材料の製造方法
WO2011129422A1 (ja) 被覆cBN焼結体
WO2013069657A1 (ja) 立方晶窒化硼素焼結体
WO2012053507A1 (ja) 立方晶窒化硼素焼結体、及び立方晶窒化硼素焼結体工具
JP5804448B2 (ja) 立方晶窒化ほう素基超高圧焼結体およびこれを工具基体とする切削工具、表面被覆切削工具
JP6968341B2 (ja) 微細構造組織を有する立方晶窒化ほう素基焼結体および切削工具
JP7015979B2 (ja) cBN焼結体および切削工具
JP2020131293A (ja) 立方晶窒化ほう素基焼結体製切削工具
JP2020050559A (ja) cBN焼結体および切削工具
JP7377463B2 (ja) cBN焼結体および切削工具
JP2019107768A (ja) 立方晶窒化硼素焼結体切削工具
JP2022142894A (ja) cBN焼結体
JP2020001990A (ja) cBN焼結体および切削工具
JP2019167256A (ja) 立方晶窒化ほう素基焼結体及びこれからなる切削工具
JPH08197307A (ja) 高強度および高靭性を有する立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料製切削工具
JP2002326108A (ja) 高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する超硬合金製切削ドリル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150709

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150810

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5804448

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150823