JP2013175421A - 高分子電解質膜、高分子電解質膜の製造方法、膜電極接合体および燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜、高分子電解質膜の製造方法、膜電極接合体および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】内部で発生するラジカルや過酸化物を失活させることで分子量低下を抑制し、高耐久化可能な高分子電解質膜、高分子電解質膜の製造方法、長期安定性に優れた膜電極接合体および燃料電池を提供する。
【解決手段】2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む含硫黄芳香族化合物15aと、高分子電解質の基材12Xと、を含む高分子電解質膜15であって、含硫黄芳香族化合物は、膜厚方向に濃度変化を有して含有されている高分子電解質膜。
【選択図】図5

Description

本発明は、高分子電解質膜、高分子電解質膜の製造方法、膜電極接合体および燃料電池に関するものである。
近年、一次電池、二次電池、または固体高分子形燃料電池(以下、場合により「燃料電池」という)の開発が数多く検討されている。
燃料電池は、膜電極接合体(以下、「MEA」と称することがある)の両面に発電燃料となるガスを供給するためのガス拡散層を有するセル(燃料電池セル)を基本構成としている。ここで、膜電極接合体とは、イオン伝導性を有する高分子(以下、高分子電解質)を含む高分子電解質膜の両面に、発電燃料である水素と酸素の酸化還元反応を促進する触媒を含む触媒層と呼ばれる電極を形成したものである。
膜電極接合体に用いられる高分子電解質膜としては、現在、主としてフッ素系高分子電解質が検討されており(例えば、特許文献1参照)、このようなフッ素系高分子電解質としては、例えば、ナフィオン(デュポン社の登録商標)が知られている。また、フッ素系高分子電解質は非常に高価であり、高い信頼性が求められる燃料電池に適用するには耐熱性や膜強度が低いことが知られている。そのため、フッ素系高分子電解質に代替する材料として、炭化水素系の高分子電解質についても検討が成されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−113136号公報 特開2003−31232号公報
しかしながら、上記特許文献に示された高分子電解質膜は、長期運転を行った場合の運転安定性(以下、「長期安定性」と呼ぶ)が低いことが指摘されている。この長期安定性を妨げる要因としては、様々の原因が推定されている。その1つとして、電池稼動時に発生する過酸化物(例えば、過酸化水素等)または該過酸化物から発生するラジカルによる膜の劣化が指摘されている。具体的には、膜の劣化は、フッ素系高分子電解質膜であれば、排水中に含まれるフッ素イオンの溶出量、炭化水素系高分子電解質膜であれば、高分子電解質の分子量の低下として観察されることがある。
それゆえ、高分子電解質膜の過酸化物やラジカルに対する耐久性(以下、「ラジカル耐性」と呼ぶことがある)を向上させることが、固体高分子形燃料電池の長期安定性に繋がる1つの対策とされている。なお、以下の説明においては、「過酸化物から発生するラジカル」を単に「ラジカル」と称することがある。
ラジカル耐性が不十分な高分子電解質膜を用いた燃料電池は、電池の起動・停止を繰り返すような長期運転を行なうと、高分子電解質膜が著しく劣化して、イオン伝導性が低下し、結果として燃料電池自体の発電性能が低下し易い。
この課題に対し、高分子材料分野では、従来から例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤が、加工時の溶融劣化や、経時的に生じる酸化劣化を抑制する目的で広範に用いられている。しかしながら、ラジカル耐性の向上を求めて、このような酸化防止剤を燃料電池用高分子電解質膜に用いたとしても、固体高分子形燃料電池の長期安定性の改善には不十分であった。
したがって、良好なラジカル耐性を有し、燃料電池の長期安定性を可能とする膜電極接合体の実現が切望されていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、高耐久化がなされた高分子電解質膜およびその製造方法を提供することを目的の一つとする。さらには、上述の高分子電解質膜を有し、長期安定性に優れた膜電極接合体を提供すること、およびこの膜電極接合体を有し、長期安定性に優れた燃料電池を提供することをあわせて目的の一つとする。
上記の課題を解決するため、本発明の一形態は、2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む含硫黄芳香族化合物と、高分子電解質と、を含む高分子電解質膜であって、前記含硫黄芳香族化合物は、膜厚方向に濃度変化を有して含有されている高分子電解質膜を提供する。
本発明の一形態においては、少なくとも前記含硫黄芳香族化合物を含む層と、前記高分子電解質を含み前記含硫黄芳香族化合物を含まない層と、が厚み方向に2以上積層して形成されていることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記含硫黄芳香族化合物を含む層がさらに、イオン伝導性基を有する高分子電解質を含有することが望ましい。
本発明の一形態においては、前記含硫黄芳香族化合物が、一方の面から膜厚方向に連続的に漸次減少する濃度変化を有して含有されていることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記含硫黄芳香族化合物の硫黄原子が2価または4価であることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記含硫黄芳香族化合物が、硫黄原子を含む6員環を有する複素環芳香族化合物であることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記含硫黄芳香族化合物が、複素環と芳香環とが縮環した骨格を有する複素環芳香族化合物であることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記含硫黄芳香族化合物が、高分子電解質膜の全質量に対して、0.001質量%以上50質量%以下含有されることが望ましい。
また、本発明の一形態は、2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む含硫黄芳香族化合物と、高分子電解質と、を含む高分子電解質膜の製造方法であって、前記高分子電解質を形成材料とする膜状の基材の一面に、前記含硫黄芳香族化合物と前記高分子電解質の貧溶媒とを含む組成物を塗布する塗布工程と、少なくとも前記貧溶媒を除去する乾燥工程と、を有する高分子電解質膜の製造方法を提供する。
本発明の一形態においては、前記組成物は、前記高分子電解質の良溶媒をさらに含み、前記乾燥工程では、前記良溶媒を合わせて除去することが望ましい。
本発明の一形態においては、前記組成物において、前記貧溶媒と前記良溶媒との比が1:99〜99:1であることが望ましい。
本発明の一形態は、上述の高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持するアノード触媒層およびカソード触媒層と、を有する膜電極接合体を提供する。
本発明の一形態においては、前記高分子電解質膜に含まれる含硫黄芳香族化合物の濃度の極大値を示す位置が、前記高分子電解質膜の厚み方向の中心よりも前記カソード触媒層側にあることが望ましい。
本発明の一形態は、上述の膜電極接合体を有する燃料電池を提供する。
本発明によれば、高耐久化がなされた高分子電解質膜を得ることができる。また、このような高分子電解質膜を用いることで、長期安定性に優れた膜電極接合体を得ることができる。さらに、このような膜電極接合体を用いることで、長期安定性に優れた燃料電池とすることができる。そして、このような高耐久化を実現することが可能な高分子電解質膜を容易に製造することができる。
本発明の好適な一実施態様の燃料電池のセルについての縦断面図である。 第1実施態様の膜電極接合体および高分子電解質膜についての断面図である。 第1実施形態の高分子電解質膜の製造工程を示す工程図である。 第1実施形態の高分子電解質膜の製造工程を示す工程図である。 第2実施態様の高分子電解質膜についての断面図である。 第2実施形態の高分子電解質膜の製造工程を示す工程図である。
[第1実施形態]
<燃料電池>
図1は、本発明の第1実施形態の高分子電解質膜と、高分子電解質膜を含む膜電極接合体と、当該膜電極接合体を有する燃料電池のセルについての縦断面図である。図1では、燃料電池10は、高分子電解質膜12と、これら挟む一対の触媒層(アノード触媒層14a、カソード触媒層14b)とから構成された膜電極接合体(MEA)20を備えている。高分子電解質膜12については後に詳述する。
燃料電池10は、膜電極接合体20の両側に、これを挟むようにガス拡散層16a,ガス拡散層16bおよびセパレータ18a,セパレータ18b(セパレータ18a,セパレータ18bは、アノード触媒層14aおよびカソード触媒層14bの側に、燃料ガス等の流路となる溝(図示せず)が形成されていると好ましい)を順に備えている。なお、膜電極接合体20およびガス拡散層16a,ガス拡散層16bとからなる構造体は、一般的に、膜電極−ガス拡散層接合体(MEGA)と呼ばれることがある。
アノード触媒層14aおよびカソード触媒層14bは、燃料電池10における電極層として機能する層である。アノード触媒層14aおよびカソード触媒層14bには、電極触媒(以下、触媒と称することがある)とパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂等のプロトン伝導性を有する電解質とを含む。
ここで、アノード触媒層14aおよびカソード触媒層14bに用いられる触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金または白金系合金の微粒子を触媒として用いることが好ましい。白金または白金系合金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられることもある。
ガス拡散層16aおよびガス拡散層16bは、アノード触媒層14a、カソード触媒層14bへの原料ガスの拡散を促進する機能を有する層である。このガス拡散層16a,ガス拡散層16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されることが好ましい。前記多孔質材料としては、多孔質性のカーボン不織布、カーボンペーパーが、原料ガスをアノード触媒層14a、カソード触媒層14bへ効率的に輸送することができるために好ましい。
セパレータ18aおよびセパレータ18bは、電子伝導性を有する材料で形成されている。前記電子伝導性を有する材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレスが挙げられる。
このようにして製造された燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
<膜電極接合体>
以下、本実施形態の膜電極接合体20について、さらに説明する。図2は、膜電極接合体20の構成と、高分子電解質膜12の膜内の様子と、を示す模式図である。上述のように、膜電極接合体20は、高分子電解質膜12を挟むアノード触媒層14a、カソード触媒層14bを有している。
<高分子電解質>
高分子電解質膜12の母材を構成する高分子電解質としては、以下に示すように、炭化水素系高分子電解質と、フッ素系高分子電解質とを挙げることができる。
高分子電解質は、フッ素系高分子電解質と炭化水素系高分子電解質を組み合わせて含有してもよいが、この場合、高分子電解質の全量(100質量%)に対して、炭化水素系高分子電解質が、51質量%以上であると好ましく、70質量%以上であるとより好ましく、85質量%以上であるとさらに好ましく、90質量%以上であると特に好ましく、最も好ましくは100質量%である。
また、母材を構成する高分子電解質以外の成分としては、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤が挙げられる。
(炭化水素系高分子電解質)
まず、本発明の一実施態様における高分子電解質組成物に用いることができる炭化水素系高分子電解質について説明する。
ここで、炭化水素系高分子電解質とは、この高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してハロゲン原子が15質量%以下である高分子電解質を意味する。かかる炭化水素系高分子電解質は、前記のフッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有するため、より好ましい。特に好適な炭化水素系高分子電解質とは実質的にハロゲン原子を含有していない炭化水素系高分子電解質であり、このような炭化水素系高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりする恐れがない。
なお、ここでいう「炭化水素系高分子電解質」とは複素原子を含んでもよい。
また、炭化水素系高分子電解質は、イオン交換基を有する高分子であることが好ましい。その理由は、高分子電解質組成物にイオン交換基を有する高分子電解質が含まれると、高分子電解質組成物を用いて形成する後述の高分子電解質膜や触媒層のイオン伝導性が良好になるためである。
上述のイオン交換基として、酸性のイオン交換基(すなわち、カチオン交換基)または塩基性のイオン交換基(すなわち、アニオン交換基)が挙げられる。高いプロトン伝導性を得る観点から、イオン交換基はカチオン交換基であることが好ましい。カチオン交換基を有する高分子電解質を用いることにより、一層発電性能に優れた燃料電池が得られる。カチオン交換基としては、例えば、スルホ基(−SO3H)、カルボキシ基(−COOH)、ホスホノ基(−PO32)、スルホニルイミド基(−SO2NHSO2−)、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、カチオン交換基としては、スルホ基またはホスホノ基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。なお、これらのイオン交換基は、部分的に、または全てが、金属イオンや4級アンモニウムイオン等で交換されて塩を形成していてもよいが、燃料電池用部材として使用する際には、実質的に全てが遊離酸の形態であることが好ましい。前記イオン交換基が遊離酸の形態であると、後述する積層フィルムの製造において、高分子電解質溶液の調製がより容易になるという利点もある。
これらのイオン交換基は、高分子電解質の主鎖もしくは側鎖の何れか一方に、または両方に導入されていてもよいが、主鎖へ導入されているのが好ましい。
前記高分子電解質がイオン交換基を有する場合、前記イオン交換基の導入量は、高分子電解質単位質量当たりのイオン交換基数であるイオン交換基容量で表すことができる。
ここで「イオン交換基容量」とは、高分子電解質膜や触媒層を構成する高分子電解質の、乾燥樹脂1g当たりに含有するイオン交換基の当量数で定義される値[ミリ当量/g乾燥樹脂](以下、meq/g)である。
また、「乾燥樹脂」とは高分子電解質を、水の沸点以上の温度に保持し、質量減少がほとんどなくなり質量の経時変化がほぼ一定値に収束した樹脂をいう。
本実施形態で用いる高分子電解質は、イオン交換基の導入量が、イオン交換容量で表して0.5meq/g以上6.0meq/g以下であると好ましく;1.0meq/g以上6.0meq/g以下であるとより好ましく;2.0meq/g以上5.5meq/g以下であると、更に好ましく;2.7meq/g以上5.0meq/g以下であると最も好ましい。イオン交換容量がこの範囲であると、得られる高分子電解質膜や触媒層のプロトン伝導性や耐水性がより良好となり、いずれも燃料電池の使用される高分子電解質膜や触媒層としての機能が優れるので好ましい。
以下、好適なイオン交換基を有する高分子電解質に関し詳述する。このような高分子電解質の具体例としては、例えば、下記の(A)〜(F)で表される高分子電解質が挙げられる。
(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(B)主鎖が脂肪族炭化水素からなり、主鎖の一部の水素原子がフッ素原子で置換された高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(C)主鎖が芳香環を有する高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(D)主鎖が、シロキサン基やフォスファゼン基等の無機の単位構造を有する高分子にイオン交換基が導入された高分子電解質;
(E)高分子電解質(A)〜(D)の調製に使用する高分子の主鎖を構成する構造単位から選ばれる2種以上の構造単位を組み合わせた共重合体に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(F)主鎖や側鎖に窒素原子を含む炭化水素系高分子に、硫酸やリン酸等の酸性化合物をイオン結合により導入した高分子電解質
なお、以下の例示においては、イオン交換基がスルホ基である高分子電解質を主として例示するが、このスルホ基を別のイオン交換基に置き換えた高分子電解質でもよい。
前記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸等が挙げられる。
前記(B)の高分子電解質としては、特開平9−102322号公報に記載された炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合によって製造された高分子を主鎖とし、スルホ基を有する炭化水素鎖を側鎖とし、共重合様式がグラフト重合であるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)が挙げられる。また、米国特許第4,012,303号公報または米国特許第4,605,685号公報に記載された方法により得られる炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合体に、α,β,β−トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホ基を導入して固体高分子電解質としたスルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFEも挙げることができる。
前記(C)の高分子電解質は、主鎖に酸素原子等のヘテロ原子を含む高分子電解質であってもよい。このような高分子電解質としては、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれに、スルホ基が導入された高分子電解質が挙げられる。具体的には、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982号公報参照)等が挙げられる。前記(C)の高分子電解質は、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されている化合物であってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)が挙げられる。このような高分子電解質は、特開平9−110982号公報、およびJ.Appl.Polym.Sci.,18,1969(1974)にも記載されている。
前記(D)の高分子電解質としては、例えば、ポリフォスファゼンにスルホ基が導入された高分子電解質等が挙げられる。これらは、Polymer Prep.,41,No.1,70(2000)に記載された方法に準じて容易に製造することができる。
前記(E)の高分子電解質は、スルホ基が導入されたランダム共重合体、スルホ基が導入された交互共重合体、またはスルホ基が導入されたブロック共重合体のいずれであってもよい。
前記(F)の高分子電解質としては、例えば、特表平11−503262号公報に記載されたようなリン酸を導入させたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
さらに、本発明の一実施態様における高分子電解質組成物に使用する高分子電解質としては、イオン交換基を有する構造単位とイオン交換基を有しない構造単位とからなる共重合体が、好ましい。このような共重合体であると、得られる高分子電解質を用い、後述の方法にて作成される高分子電解質膜や触媒層が良好なプロトン伝導性と耐水性を発現し、燃料電池用として有利であるという利点がある。なお、かかる共重合体に関し、2種の構造単位の共重合様式は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合または交互共重合のいずれであってもよく、これらの共重合様式を組合わせてもよい。
燃料電池用として良好な耐熱性を有する高分子電解質膜や触媒層を得るためには、前記炭化水素系高分子電解質であって、中でも、主鎖に芳香環を有する炭化水素系高分子電解質(すなわち、上記(C)で表される炭化水素系高分子電解質)が好ましく;さらには主鎖を構成する芳香環を有し、且つ前記芳香環に直接結合または他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質が好ましい。特に、主鎖を構成する芳香族を有し、さらに芳香環を有する側鎖を有してもよく、主鎖を構成する芳香環か側鎖の芳香環の、どちらかの芳香環に直接結合したイオン交換基を有する芳香族系高分子電解質が好ましい。
特に好ましい芳香族系高分子電解質としては、分子構造内にイオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位と、を有する高分子電解質が例示される。
上述のイオン交換基を有する構造単位としては、下記式(11a)〜(14a)で示される構造を例示することができる。
Figure 2013175421
(式中、Ar11〜Ar19は、それぞれ同一または相異なり側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し;Z、およびZ’はそれぞれ同一または相異なり−CO−で示される基(カルボニル基)、または−SO2−で示される基(スルホニル基)のいずれかを表し;X、X’およびX”はそれぞれ同一または相異なり−O−で示される基(酸素原子)、または−S−で示される基(チオ基)のいずれかを表し;Yは直接結合または下記式(15)で表される基を表し;p’は0、1または2を表し、q’、およびr’はそれぞれ同一または相異なり1、2または3を表す。)
また、上述のイオン交換基を有しない構造単位としては、下記式(11b)〜(14b)で示される構造を例示することができる。
Figure 2013175421
(式中、Ar11〜Ar19は、それぞれ同一または相異なり側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し;Z、およびZ’はそれぞれ同一または相異なりカルボニル基、またはスルホニル基のいずれかを表し;X、X’およびX”はそれぞれ同一または相異なり酸素原子、またはチオ基のいずれかを表し;Yは直接結合または下記式(15)で表される基を表し;p’は0、1または2を表し、q’、およびr’はそれぞれ同一または相異なり1、2または3を表す。)
Figure 2013175421
(式中、R1およびR2はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し;R1とR2とが連結して環を形成していてもよく;R1とR2とが連結して形成される環を有する式(15)の基としては、シクロヘキシリデン基などの炭素数5〜20の2価の環状炭化水素基が挙げられる。)
イオン交換基を有する構造単位を示す式(11a)〜(14a)において、Ar1〜Ar9は、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族炭化水素基;1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮合環系芳香族炭化水素基;ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フラザン、フェノキサジン、インドリン、イソインドリン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、およびベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる1種の化合物から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価のヘテロ芳香族基;および下記式(N−01)〜(N−07)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む2価のヘテロ芳香族基等が挙げられる。
Figure 2013175421
式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9としては、好ましくは、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族炭化水素基;1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮合環系芳香族炭化水素基であり;より好ましくは2価の単環性芳香族炭化水素基である。
また、式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9で表される芳香族基の芳香環上の水素原子は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基で置換されていてもよい。
式(11a)〜(13a)におけるZおよびZ’は、それぞれ同一または相異なり、カルボニル基またはスルホニル基を表わし、耐久性の観点からスルホニル基が好ましい。
式(11a)〜(13a)におけるX、X’およびX”は、それぞれ同一または相異なり、酸素原子またはチオ基を表し、耐久性の観点から酸素原子が好ましい。
式(12a)におけるYは、直接結合または上記式(15)で表される基を表し、好ましくは直接結合である。
式(12a)におけるpは、0、1または2を表し、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
式(13a)におけるq、rはそれぞれ同一または相異なり1、2または3を表わし、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9で表される芳香族基は、芳香環に少なくとも一つのイオン交換基を有する。前記イオン交換基の具体例および好ましい例は前述のものと同様なものを挙げることができる。これらのイオン交換基は、高分子電解質の主鎖、側鎖の何れか一方、または両方に導入されていてもよいが、主鎖の芳香環へ導入されているのが好ましい。前記イオン交換基として、上述のように酸性のイオン交換基が好ましく、酸性のイオン交換基の中でも、スルホ基またはホスホノ基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。
また、式(14a)で表されるイオン交換基を有する構造単位の例の一つとして、下記式(14a−1)で表される構造単位を挙げることができる。
Figure 2013175421
(上記式(14a−1)中、Ar110、Ar120、Ar130は、それぞれ独立に、2価の芳香族基を示し、その芳香環上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく;Y000は、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2u000−(u000は1〜10の整数である)、−C(CF32−または直接結合を示し;Z000は、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−(CH2k000−(k000は1〜10の整数である)または−C(CH32−を示し;R110は、直接結合、−O(CH2p000−、−O(CF2p000−、−(CH2p000−または−(CF2p000−を示し(p000は、1〜12の整数を示す);R120、R130は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子または炭化水素基を示し;ただし、上記式中に含まれる全てのR120およびR130のうち少なくとも1個は水素原子であり;x100は、0〜4の整数であり;x200は、1〜5の整数であり;a000は、0〜1の整数であり、b000は、0〜3の整数を示す。)
式(14a−1)におけるAr110、Ar120およびAr130は、2価の芳香族基を表す。このような2価の芳香族基としては、式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9と同様の2価の芳香族基が挙げられる。
120、R130は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子または炭化水素基を示す。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、またはセシウム、が挙げられる。
炭化水素基としては、複素環基を有していてもよく、このような炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基等の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、複素環基を有する炭化水素基等が挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。なお、R120、R130は、水素原子であることが好ましい。
上記式(14a−1)で表される構造単位は、さらに下記式(14a−2)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2013175421
(式(14a−2)中、Y001は−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2h−(ここでのhは1〜10の整数である)、および−C(CF32−からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を示し;Z001は直接結合または、−(CH2g−(ここでのgは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−、−CO−および−SO2−からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を示し;Ar001は−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し;pは1〜12の整数を示し;m001は0〜10の整数を示し;n001は0〜10の整数を示し;k001は1〜4の整数を示す。)
上記式(14a−2)で表されるイオン交換基を有する構造単位の具体例としては、後述の式(4a−13)〜(4a−20)で表される構造単位を挙げることができる。
一方、イオン交換基を有しない構造単位を示す式(11b)〜(14b)において、Ar11〜Ar19は、互いに独立に2価の芳香族基を表す。このような2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族炭化水素基;1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮合環系芳香族炭化水素基;ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フラザン、フェノキサジン、インドリン、イソインドリン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、およびベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる1種の化合物から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価のヘテロ芳香族基;および下記式(N−01)〜(N−07)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む2価のヘテロ芳香族基等が挙げられる。
Figure 2013175421
式(11b)〜(14b)におけるAr11〜Ar19としては、好ましくは、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族炭化水素基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮合環系芳香族炭化水素基であり、より好ましくは2価の単環性芳香族炭化水素基である。
式(11b)〜(13b)におけるZおよびZ’は、それぞれ同一または相異なり、カルボニル基またはスルホニル基を表わし、耐久性の観点からスルホニル基が好ましい。
式(11b)〜(13b)におけるX、X’およびX”は、それぞれ同一または相異なり、酸素原子またはチオ基を表し、耐久性の観点から酸素原子が好ましい。
式(12b)におけるYは、直接結合または上記式(15)で表される基を表し、好ましくは直接結合である。
式(12b)におけるp’は、0、1または2を表し、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
式(13a)におけるq’およびr’はそれぞれ同一または相異なり1、2または3を表わし、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
また、Ar11〜Ar19で表される芳香族基の芳香環上の水素原子は、フッ素原子、ホルミル基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基で置換されていてもよい。なお、ここでいう「置換基を有していてもよい」の置換基とは前記イオン交換基を包含するものではない。
ここで、前述の2価の芳香族基(式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9で表される芳香族基および式(11b)〜(14b)におけるAr11〜Ar19で表される芳香族基)の置換基を以下に例示する。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、イコシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルコキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基;およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基;およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリールオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の炭素数2〜20のアシル基;およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が21以下であるアシル基が挙げられる。
前記置換基は、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の芳香環を有するアシル基等の芳香環を有する置換基であると、ポリマーの耐熱性が良好となる傾向があり、より実用的な燃料電池用部材が得られるため好ましい。
芳香環を有するアシル基を置換基として有する重合体を含む高分子電解質においては、前記アシル基を有する2つの構造単位が隣接し、前記2つの構造単位にあるアシル基同士が結合したり、アシル基同士が結合した後に転位反応を生じたりすることにより、構造が変化する場合がある。また、このような構造変化が生じたか否かは、例えば13C−核磁気共鳴スペクトルの測定により確認することができる。
なお、本発明においての炭化水素系高分子電解質の好ましい要素の一つとして、この高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してハロゲン原子が15質量%以下である高分子電解質であることが挙げられる。かかる炭化水素系高分子電解質は、前記のフッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有するため、より好ましい、特に好適な炭化水素系高分子電解質とは実質的にハロゲン原子を含有していない炭化水素系高分子電解質であり、このような炭化水素系高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりする恐れがない。
前記炭化水素系高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位、および、イオン交換基を有しない構造単位を有し、イオン交換基を有する構造単位が密な相が膜厚方向に連続相を形成できれば、よりプロトン伝導性に優れる高分子電解質膜や触媒層が得られるといった利点があるので好ましい。
本発明において、好適な高分子電解質は、前記式(11a)〜(14a)で表される構造単位からなる、イオン交換基を有する構造単位と、前記式(11b)〜(14b)で表される構造単位からなる、イオン交換基を有しない構造単位とを有する高分子電解質である。このような高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位と、のそれぞれに対応するモノマーまたはオリゴマーを出発物質とする共重合体として得ることができる。さらに好適なイオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位との組み合わせとしては、下記の表1の<A>〜<M>に示す組み合わせが挙げられる。
Figure 2013175421
本発明において好適に用いられる高分子電解質の構造としては、更に好ましくは、<B>、<C>、<D>、<G>、<H>、<I>、<J>、<L>または<M>であり;より更に好ましくは<G>、<H>、<L>または<M>であり;殊更に好ましくは<G>、<H>、または<L>であり;特に好ましくは<G>または<L>である。
好適な共重合体の例として、以下に示すイオン交換基を有する構造単位の群から選ばれる1種または2種以上の構造単位と、以下に示すイオン交換基を有しない構造単位の群から選ばれる1種または2種以上の構造単位と、からなる共重合体を挙げることができる。なお、イオン交換基を有する繰り返し単位におけるイオン交換基は、好適なスルホ基により例示している。もちろん、スルホ基に代えて上述のイオン交換基のいずれかを採用してもよい。
また、これら構造単位同士は直接結合している形態でもよく、適当な原子または原子団で連結している形態でもよい。ここでいう構造単位同士を結合する原子または原子団の典型的な例としては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらを組み合わせてなる2価の基を挙げることができる。
(イオン交換基を有する構造単位)
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(イオン交換基を有しない構造単位)
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(式(4b−15)〜(4b−32)中、r000は0または1以上の整数を示し;r000は、好ましくは100以下であり、より好ましくは1以上80以下である。)
前記例示の中でも、イオン交換基を有する構造単位を表す式としては、式(4a−1)、(4a−2)、(4a−3)、(4a−4)、(4a−5)、(4a−6)、(4a−7)、(4a−8)、(4a−9)、(4a−10)、(4a−11)および(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましい。同様に、式(4a−10)、(4a−11)および(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、式(4a−11)または(4a−12)が特に好ましい。
このような構造単位を含むセグメントを有する高分子電解質、特に、このような構造単位を繰り返し単位として含むセグメント(イオン交換基を有するセグメント)を有する高分子電解質は、このセグメントがポリアリーレン構造となるために化学的安定性も比較的良好となる傾向がある。
また、イオン交換基を有しない構造単位を表す式としては、式(4b−1)、(4b−2)、(4b−3)、(4b−4)、(4b−5)、(4b−6)、(4b−7)、(4b−8)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−11)、(4b−12)、(4b−13)および(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましい。同様に、式(4b−2)、(4b−3)、(4b−10)、(4b−13)および(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく;式(4b−2)、(4b−3)および(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が特に好ましい。
本発明に係る高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位とを有する高分子電解質であり、この2種の構造単位の共重合様式は、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、またはグラフト共重合の何れでもよく、これらの共重合様式の組み合わせでもよい。好ましくは、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合であり;より好ましくは、ランダム共重合、ブロック共重合であり;特に好ましくはブロック共重合である。
ブロック共重合体としては、主としてイオン交換基を有する構造単位からなるセグメント(イオン交換基を有するセグメント)および、主としてイオン交換基を有しない構造単位からなるセグメント(すなわち、イオン交換基を実質的に有しないセグメント)とを有する共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体では、イオン交換基を有するセグメントが密な相が膜厚方向に連続相を形成することで、よりプロトン伝導性に優れる高分子電解質膜や触媒層が得られるといった利点がある。また、好適なイオン交換基を有するセグメントを構成する構造単位とイオン交換基を実質的に有しないセグメントを構成する構造単位の組み合わせとしては、下記の表2の<A>〜<M>に示すセグメントの組み合わせを挙げることができる。
Figure 2013175421
更に好ましくは、<B>、<C>、<D>、<G>、<H>、<I>、<J>、<L>、または<M>であり;より更に好ましくは<G>、<H>、<L>または<M>であり;殊更に好ましくは<G>、<H>または<L>であり;特に好ましくは<G>、または<L>である。
前記例示の中でも、イオン交換基を有するセグメントを構成する繰り返し単位に用いられる構造単位を表す式としては式(4a−1)、(4a−2)、(4a−3)、(4a−4)、(4a−5)、(4a−6)、(4a−7)、(4a−8)、(4a−9)、(4a−10)、(4a−11)および(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく;式(4a−10)、(4a−11)および(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく;式(4a−11)または(4a−12)が特に好ましい。
本発明に係る上記ブロック共重合体の好ましい形態の一つとして、イオン交換基を有するセグメントの主鎖が、実質的に複数の芳香環が直接連結してなるポリアリーレン構造を有することが挙げられる。そのようなセグメントの構造単位として、好ましくは前述の式(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)、(4a−13)、(4a−14)、(4a−15)、(4a−16)、(4a−17)、(4a−18)、(4a−19)および(4a−20)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく、式(4a−10)、(4a−11)および(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、式(4a−11)または(4a−12)が特に好ましい。
このような構造単位からなる繰り返し単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を有するセグメント)を有する高分子電解質、特に、このような繰り返し単位からなるセグメントを有する高分子電解質は、優れたイオン伝導性を発現できるものであり、このセグメントがポリアリーレン構造となるために化学的安定性も比較的良好となる傾向がある。
ここで「ポリアリーレン構造」とは、主鎖を構成している芳香環同士が実質的に直接結合で結合されている形態であり、具体的には、前記芳香環同士の結合の総数を100%としたとき、直接結合の割合が80%以上の構造であると好ましく、90%以上の構造であるとより好ましく、95%以上の構造であると更に好ましい。なお、直接結合で結合されている形態以外の形態とは、芳香環同士が2価の原子または2価の原子団を介して結合している形態である。
イオン交換基を有しないセグメントを構成する繰り返し単位に用いられる構造単位を表す式としては、式(4b−1)、(4b−2)、(4b−3)、(4b−4)、(4b−5)、(4b−6)、(4b−7)、(4b−8)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−11)、(4b−12)、(4b−13)および(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく;式(4b−2)、(4b−3)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−13)および(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく;式(4b−2)、(4b−3)、(4b−13)および(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がよりさらに好ましく;式(4b−2)、(4b−3)および(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が特に好ましい。
また、イオン交換基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有しないセグメントとは、直接結合している形態でもよく、適当な原子または原子団で連結している形態でもよい。ここでいうセグメント同士を結合する原子または原子団の典型的な例としては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらを組み合わせてなる2価の基を挙げることができる。
好適なブロック共重合体の例として、上記に示すイオン交換基を有する構造単位の群から選ばれる1種または2種以上の構造単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を有するセグメント)と、主として上記に示すイオン交換基を有しない構造単位の群から選ばれる1種または2種以上の構造単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を実質的に有しないセグメント)と、からなるブロック共重合体を挙げることができる。
ここで、「イオン交換基を有するセグメント」とは、イオン交換基が、前記セグメントを構成する構造単位1個あたりで平均0.5個以上含まれているセグメントであることを意味し、構造単位1個あたりでイオン交換基が平均1.0個以上含まれているとより好ましい。
一方、「イオン交換基を実質的に有しないセグメント」とは、イオン交換基が、前記セグメントを構成する構造単位1個あたりで平均0.5個未満であるセグメントであることを意味し、構造単位1個あたりでイオン交換基が平均0.1個以下であるとより好ましく;平均0.05個以下であるとさらに好ましい。
典型的には、イオン交換基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有しないセグメントとが、直接結合で結合されているか、適当な原子または原子団で結合された形態のブロック共重合体である。
上記式(11a)〜(14a)で表される構造単位から選ばれる1種以上の構造単位からなるセグメントの重合度は2以上であり、3以上が好ましく;5以上がより好ましく;10以上が更に好ましい。また、かかるセグメントの重合度は1000以下が好ましく;500以下が好ましい。この重合度が2以上、好ましくは5以上であれば、燃料電池用の高分子電解質として、十分なプロトン伝導度を発現し、この重合度が1000以下であれば、製造がより容易である利点がある。
即ち、かかるセグメントの重合度は、2以上、1000以下が好ましく;5以上、1000以下がよりに好ましく;5以上、500以下が更に好ましく;10以上、500以下が最も好ましい。
また、式(11b)〜(14b)で表される構造単位から選ばれる1種以上の構造単位からなるセグメントの重合度は1以上であり、2以上が好ましく;3以上がより好ましい。また、かかるセグメントの重合度は100以下が好ましく;90以下がより好ましく;80以下が更に好ましい。重合度がこのような範囲内であれば、燃料電池用の高分子電解質として、十分な機械強度を有し、製造が容易であるので好ましい。
即ち、かかるセグメントの重合度は、1以上、100以下が好ましく;2以上、90以下がより好ましく;3以上、80以下が更に好ましい。
また、本発明で用いられる炭化水素系高分子電解質の分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5000〜1000000であることが好ましく;10000〜800000であることがより好ましく;10000〜600000であることがより更に好ましく;中でも15000〜400000であることが特に好ましい。このような範囲の分子量の高分子電解質を用いることにより、後述の方法にて作成される高分子電解質膜は、その膜の形状を安定的に維持できる傾向がある。前記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
(フッ素系高分子電解質)
また、本発明の一実施形態における高分子電解質組成物に用いることができるフッ素系高分子電解質としては、通常知られたフッ素系高分子電解質を例示することができる。例えば、上述の炭化水素系高分子電解質中の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素系高分子電解質を用いることができる。具体的には、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、またはパーフルオロカルボン酸ポリマーが挙げられる。他にも、Nafion(デュポン社登録商標)、旭化成製のAciplex(旭化成登録商標)、旭硝子製のFlemion(旭硝子登録商標)等のフッ素系高分子電解質や、上述した特開2003−113136号公報に記載されているフッ素系高分子電解質等も用いることが可能である。
なお、「フッ素系高分子電解質」とは、当該高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してフッ素原子が15質量%を超える高分子電解質を意味する。
<劣化防止剤>
次に、本実施形態の高分子電解質膜12が有する劣化防止剤について説明する。以下説明する劣化防止剤は、電池稼動時に発生する過酸化物または当該過酸化物から発生するラジカルを失活させる機能を有する、または触媒層にある白金が高分子電解質膜内で析出することを防止する機能を有するものであり、高分子電解質膜12の厚さ方向に濃度変化を有して分散している。
本実施形態では、高分子電解質膜12に用いることができる劣化防止剤として、2つ以上の炭素原子と結合した硫黄原子を有し、かつ該硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄芳香族化合物を用いる。その理由は定かではないが、2つの炭素原子と結合した硫黄原子を有し、かつ該硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄芳香族化合物を劣化防止剤として用いることにより、特に、白金が高分子電解質膜内で析出するのを効率的に防止することが可能であるためと推察される。
また、燃料電池作動中に発生する過酸化物成分は、その周囲にある高分子電解質膜を構成する高分子電解質やその他の添加剤等の影響を受けて、様々な形態で存在する。ここで、本実施形態の高分子電解質膜12に用いることができる劣化防止剤が、複数種の孤立電子対を有する原子を有していると、2種以上の原子による相乗効果が効率的に発現して、様々な形態で存在している過酸化物成分を分解、捕捉または不活性化すると考えられる。
含硫黄芳香族化合物としては、単分子の化合物であってもよく、主鎖または側鎖に劣化防止剤として機能する硫黄原子を含む含硫黄芳香族化合物を有する基が付された高分子の化合物であってもよい。以下の説明では、便宜的に、単分子の含硫黄芳香族化合物を「低分子成分」と称することがある。同様に、高分子の含硫黄芳香族化合物を「高分子成分」と称することがある。以下、用いることができる含硫黄芳香族化合物について、順に説明する。
[低分子成分]
まず、低分子成分について説明する。
上述の低分子成分は、高分子電解質組成物を調製する際、溶液への溶解性または分散性が高いものが好ましい。この観点から、低分子成分の分子量としては1300以下のものが好ましい。また、劣化防止剤がこのような分子量の範囲にある場合、高分子電解質膜の水蒸気透過性を低下させることなく、高耐久性を付与できる傾向にあり好ましい。
(第1の低分子成分)
本実施形態の高分子電解質膜12では、劣化防止剤として用いる2つ以上の炭素原子と結合した硫黄原子であって、かつ該硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄芳香族化合物として、同一分子内に、該硫黄原子以外に、窒素原子、リン原子の何れかの原子を有し、これらの原子がいずれも孤立電子対を有する化合物(第1の低分子成分)を選択することも可能である。このような化合物は、燃料電池作動中に発生する過酸化物成分を分解したり、捕捉したりして、不活性化したり、することにより、高分子電解質膜等のラジカル耐性を良好にする。
第1の低分子成分に使用される好適な化合物として、下記式(30x)で表わされる芳香族化合物が挙げられる。
Figure 2013175421
式(30x)中、A0は2つの炭素原子−硫黄原子結合と孤立電子対を有する硫黄原子を含む官能基を有する基である。
0は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数6〜10のアリール基またはハロゲン原子のいずれかで示される基を表し、nは1以上の整数を表す。Z0が複数個存在する場合は、それらは、互いに同一でも異なっていてもよい。
なお、A0およびZ0の少なくとも一つは、窒素原子を含む官能基またはリン原子を含む官能基のいずれか一つ以上を有し、かつ少なくとも一つ以上の芳香族基を有する。
上記の硫黄原子を含む官能基としては、チオ基や、後述する硫黄原子を含む複素環を有する基、および窒素原子および硫黄原子を有する複素環を有する基が挙げられる。
上記の窒素原子を含む官能基としては、アミノ基(−NR2,Rは水素原子であるか、任意の有機基であり、2つのRは同じであっても異なっていてもよく、2つのRが結合して環を形成してもよい。)、イミノ基(=NH)や、後述する窒素原子を含む複素環を有する基、および窒素原子および硫黄原子を有する複素環を有する基が挙げられる。
上記のリン原子を含む官能基としては、ホスフィノ基のような3価のリン原子を有する官能基が挙げられる。
上記の窒素原子を含む複素環としては、ピロリジン環、ピペリジン環、ピロリン環、ピロール環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリミジン環、ピラジン環に代表される窒素原子を1個以上有する複素環が挙げられる。
上記の硫黄原子を含む複素環としては、チオラン環、チオフェン環に代表される硫黄原子を1個以上有する複素環が挙げられる。
また、窒素原子および硫黄原子を有する複素環としては、チアジン環、チアゾール環、フェノチアジン環に代表される複素環が例示される。
上記Z0の具体的な基を以下にあげると、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、これらは直鎖、分岐鎖でもよく環を形成していてもよい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられ、これらは直鎖、分岐鎖でもよく環を形成していてもよい。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基が挙げられ、これらは直鎖、分岐鎖でもよく環を形成していてもよい。アリール基としては典型的にはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、前記に例示したアルキル基において、炭素原子に結合している水素原子の一部または全部が、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子に置き換わった基が挙げられる。
より具体的に第1の低分子成分として好適な化合物を例示する。
窒素原子を含む官能基と、硫黄原子を含む官能基とをともに有するA0としては、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、メチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(メチルチオ)ベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、2,5−ジメチルベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾン、6−メチルメルカプトプリン、2−メチルチオアニリン、4−メチルチオアニリン、1,8−ビス(2−ピリジル)−3,6−ジチアオクタン、S−メチルチオバルビツル酸、2−エチル−3−(メチルチオ)ピラジン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、ビス(2−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、2−(2−チエニル)ピリジン等から芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基が挙げられる。
硫黄原子を含む官能基と、リン原子を含む官能基とをともに有するA0としては、トリ(2−チエニル)ホスフィン、下記式(30y)で表される化合物から芳香環の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基等が挙げられる。
Figure 2013175421
これらの中でも、窒素原子を含む官能基と、硫黄原子を含む官能基とをともに有する化合物が好ましく、チオ基と、アミノ基とイミノ基とのいずれか一方または両方と、を有する化合物がより好ましい。例示した化合物の中では、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、2−(メチルチオ)ベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾン、6−メチルメルカプトプリン、2,6−ジメルカプトプリン、2−メチルチオアニリン、4−メチルチオアニリン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、ビス(2−アミノフェニルスルフィド)等が好適に用いられる。
第1の低分子成分の好ましい例としては、孤立電子対を有する硫黄原子が複素環内に含まれる複素環化合物である。かかる複素環化合物としては、孤立電子対を有する原子を1個含む複素環を分子内に複数個有するような化合物でもよいし、孤立電子対を有する原子を2個以上含む複素環を含むような化合物でもよい。
ここで、孤立電子対を有する硫黄原子を1個以上含む複素環としては、チオラン環、チオフェン環に代表される硫黄原子を1個以上有する複素環が例示される。
また、異種の孤立電子対を有する原子を2個以上含む複素環としては、チアジン環、チアゾール環、フェノチアジン環に代表される窒素原子および硫黄原子を有する複素環が例示される。
なお、これらの複素環は、共鳴により電子が非局在化する場合があるが、該複素環がその共鳴構造のうち1つでも硫黄原子が孤立電子対を有する構造を有するのであれば、そのような複素環は、孤立電子対を有する原子を含むものとする。そして、当該複素環を含む複素環化合物は第1の低分子成分として好適に使用することができる。
特に第1の低分子成分として好適な複素環化合物としては、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、2−(メチルチオ)ベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾン、6−メチルメルカプトプリンが挙げられ、中でも、フェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、6−メチルメルカプトプリン等が挙げられる。
(フェノチアジン系低分子成分)
また、第1の低分子成分の複素環化合物として、特に式(101)で表されるフェノチアジン系低分子成分が有用である。フェノチアジン系低分子成分は、白金に対する親和度(以下、白金親和度。後述)が10%以上である化合物である。本発明者等は、長期安定性に優れた高分子電解質膜を得る手段として、触媒層を形成する白金の高分子電解質膜内への析出を抑制する方法に関して種々検討したところ、白金親和度が特定の範囲である化合物が、高分子電解質膜内での白金析出を十分抑制し得ることを見出した。
Figure 2013175421
ここで、白金親和度とは、白金との親和性の大きさを表す指標であり、特にイオン化した白金と結合または吸着による親和性を示すものである。
白金親和度を求める方法に関し、ある特定の化合物(化合物A)の白金親和度を求めることを例に取って具体的に説明する。まず、化合物A10mgに対し、H2PtCl6水溶液(白金濃度として10ppmの白金標準溶液)5mlを添加して測定サンプルを調製する。この測定サンプルを室温(約23℃)下で2時間放置する。放置後に、用いた白金の総質量に対する、化合物Aと結合または吸着した白金の総質量の割合を求める。ここでは、化合物Aが白金と結合または吸着によって生成した生成物が、該測定サンプル中で析出する場合について記す。すなわち、使用した白金標準溶液における白金の濃度をX、放置後の測定サンプルにおける液相の白金の濃度をYとしたとき、白金親和度(Z)は以下の式で算出できる。
[数1]
(Z)={(X−Y)/X}×100
このようにして求められる白金親和度が10%以上の化合物を、高分子電解質と合わせて使用することにより、長期安定性に優れた高分子電解質膜を得ることができる。該白金親和度は高いほど良好であり、20%以上であれば好ましく、30%以上であれば、より好ましく、50%以上であれば、さらに好ましい。白金はイオン化(帯電)すると、[PtCl62-や[Pt(OH)62-等の適当なアニオンがイオン結合または配位結合してなる溶存種を形成することが知られている。白金親和度が上述の範囲に含まれる化合物は、このようなイオン化した白金の電子を受け取ることにより、白金と結合し得る化合物と見ることができる。本発明者等は、フェノチアジン類の白金親和度が10%以上となることを見出している。
式(101)中、A環およびB環は同一または異なって、ベンゼン環またはナフタレン環を表す。一般には、フェノチアジン系化合物とは、A環およびB環がともにベンゼン環である場合を指すが、本発明においては、A環およびB環の一方または両方がナフタレン環である場合も、「フェノチアジン系化合物」と呼ぶことにする。
A環に結合するRx、B環に結合するRyは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数6〜10のアリール基またはハロゲン原子を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、これらは直鎖、分岐鎖でもよく環を形成していてもよい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられ、これらは直鎖、分岐鎖でもよく環を形成していてもよい。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基が挙げられ、これらは直鎖、分岐鎖でもよく環を形成していてもよい。アリール基としては典型的にはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
zは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜10のアリール基を表す。アルキル基、アリール基の例示は、RxやRyの場合と同じである。ハロゲン化アルキル基としては、上述のアルキル基において、炭素原子に結合している水素原子の一部または全部が、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子に置き換わった基が挙げられる。
a1およびa2は同一または異なって、0〜2の整数を表わす。a1が2である場合、2つのRxは同一でも異なっていてもよく、a2が2である場合、2つのRyは同一でも異なっていてもよい。
(第2の低分子成分)
また、本実施形態の高分子電解質膜12では、劣化防止剤として下記式(30)で示される複素環内に硫黄原子を含む複素環化合物(以下、含硫黄複素環化合物と称することがある)を用いることができる。
Figure 2013175421
(式(30)中、A1は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子、および窒素原子を含む環を有する芳香族基である。該芳香族基は、置換基を有していてもよい。または、A1は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む環を有し且つ該環に直接結合した窒素原子を含む置換基を有する芳香族基を表す。該芳香族基は、該環に直接結合した窒素原子を含む置換基以外の置換基を有していてもよい。
1は下記式(30−1)〜(30−10)のいずれかで示される基を表し、nは1以上の整数を表す。Z1が複数個存在する場合は、それらは、互いに同一でも異なっていてもよい。
Figure 2013175421
(式(30−1)中、Ar01は置換基を有していてもよい炭素数11〜50の芳香族基を表す。式(30−2)〜(30−10)中、Ar02は置換基を有していてもよい炭素数1〜50の芳香族基を表す。Yは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。aは0〜2の整数を表し、bは0〜3の整数を表し、cは0〜2の整数を表す。Ar02が複数個存在する場合は、それらは、互いに同一でも異なっていてもよい。Yが複数個存在する場合は、それらは、互いに同一でも異なっていてもよい。))
上記式(30)中、nは1以上の整数を表わし、nの値の範囲として、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、よりさらに好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜2である。
式(30)中、A1は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子、および窒素原子を有するn価の芳香族基を表す。該芳香族基は、置換基を有していてもよい。または、A1は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む環を有し且つ該環に直接結合した窒素原子を含む置換基を有するn価の芳香族基を表す。該芳香族基は、該環に直接結合した窒素原子を含む置換基以外の置換基を有していてもよい。該硫黄原子は2価または4価であることが好ましく、該硫黄原子を含む基としては、チオ基、−S+=で示される基またはスルフィニル基(−SO−で示される基)が挙げられる。好ましくは、チオ基またはスルフィニル基であり、より好ましくはチオ基である。
該芳香族基が有してもよい置換基としては、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が挙げられる。
前記ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれる2つのアルキル基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基として、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、o−フェノキシフェニル基、m−フェノキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、o−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、p−アミノフェニル基、ビフェニル基などの単環性アリール基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基などの縮環系アリール基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基などのヘテロアリール基などが挙げられる。
好ましくは、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、o−フェノキシフェニル基、m−フェノキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、o−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、p−アミノフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基、3−チエニル基、2−チエニル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれる2つのアリール基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、フェニルスルホニル基、o−メチルフェニルスルホニル基、m−メチルフェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基、o−メトキシフェニルスルホニル基、m−メトキシフェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、o−エトキシフェニルスルホニル基、m−エトキシフェニルスルホニル基、p−エトキシフェニルスルホニル基、o−フェノキシフェニルスルホニル基、m−フェノキシフェニルスルホニル基、p−フェノキシフェニルスルホニル基、o−クロロフェニルスルホニル基、m−クロロフェニルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、o−ニトロフェニルスルホニル基、m−ニトロフェニルスルホニル基、p−ニトロフェニルスルホニル基、o−アミノフェニルスルホニル基、m−アミノフェニルスルホニル基、p−アミノフェニルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基;3−ピリジルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基、4−ピリジルスルホニル基、1−ピロリルスルホニル基、2−ピロリルスルホニル基、3−ピロリルスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基、1−イミダゾリルスルホニル基、2−イミダゾリルスルホニル基、4−イミダゾリルスルホニル基、2−チアゾリルスルホニル基、4−チアゾリルスルホニル基、5−チアゾリルスルホニル基、1−ピラゾリルスルホニル基、3−ピラゾリルスルホニル基、4−ピラゾリルスルホニル基などが挙げられる。
好ましくは、フェニルスルホニル基、o−メチルフェニルスルホニル基、m−メチルフェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基、o−メトキシフェニルスルホニル基、m−メトキシフェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、o−エトキシフェニルスルホニル基、m−エトキシフェニルスルホニル基、p−エトキシフェニルスルホニル基、o−フェノキシフェニルスルホニル基、m−フェノキシフェニルスルホニル基、p−フェノキシフェニルスルホニル基、o−ニトロフェニルスルホニル基、m−ニトロフェニルスルホニル基、p−ニトロフェニルスルホニル基、o−アミノフェニルスルホニル基、m−アミノフェニルスルホニル基、p−アミノフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基;3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基として、具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基などが挙げられる。
該環に直接結合した窒素原子を含む置換基としては、アミノ基、1−ピロリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、1−インドリル基、9−カルバゾリル基、1−ベンゾイミダゾリル基、1−インダゾリル基、10−フェノキサジル基、10−フェノチアジル基、上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、上記の置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基などが挙げられる。
式(30)におけるA1として、具体的には、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾン、2−(3−チエニル)ピリジン、3−アミノ−2−チオフェンカルボン酸メチル、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体(10−フェニルフェノチアジン、10−(3−フルオロフェニル)フェノチアジン、N−ベンゾイルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、エトプロパジンなど)、3−フェノチアゾン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17、から芳香環上の水素原子をn個取り去って得られるn価の基が挙げられる。なお、A1はイオン性であってもよく、電気的中性を満たすように任意の対イオンを有してよい。好ましいA1としては上記nの値の範囲を取り得るようなA1が挙げられる。
好ましいA1としては、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族基が挙げられる。具体的には、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾン、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体(10−フェニルフェノチアジン、10−(3−フルオロフェニル)フェノチアジン、N−ベンゾイルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、エトプロパジンなど)、3−フェノチアゾン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17、から芳香環上の水素原子をn個取り去って得られるn価の基が挙げられる。
より好ましいA1としては、窒素原子を含む6員環を有する複素環芳香族基または硫黄原子を含む6員環を有する複素環芳香族基が挙げられる。該芳香族基は、置換基を有してもよく、その具体例としては上述のものが挙げられる。
さらに好ましくは、硫黄原子と窒素原子とを含む6員環を有する複素環芳香族基が挙げられる。該芳香族基は、置換基を有してもよく、その具体例としては上述のものが挙げられる。具体的には、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体(10−フェニルフェノチアジン、10−(3−フルオロフェニル)フェノチアジン、N−ベンゾイルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、エトプロパジンなど)、3−フェノチアゾン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17から芳香環上の水素原子をn個取り去って得られるn価の基が挙げられる。
上記式(30)中、Z1は下記式(30−1)〜(30−10)のいずれかで示される基を表わす。
Figure 2013175421
(式(30−1)中、Ar01は置換基を有していてもよい炭素数11〜50の芳香族基を表す。
式(30−2)〜(30−10)中、Ar02は置換基を有していてもよい炭素数1〜50の芳香族基を表す。
Yは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。
aは0〜2の整数を表し、bは0〜3の整数を表し、cは0〜2の整数を表す。
Ar02が複数個存在する場合は、それらは、互いに同一でも異なっていてもよい。
Yが複数個存在する場合は、それらは、互いに同一でも異なっていてもよい。)
上記式(30−1)中、Ar01は置換基を有していてもよい炭素数11〜50の芳香族基を表す。好ましくは、炭素数11〜40の芳香族基であり、より好ましくは炭素数11〜25の芳香族基である。具体的には、ビフェニル、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン、ジベンゾチオフェン、アクリジン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾン、フェナジン、アリール基で置換されたフェノチアジン(2−フェニルフェノチアジン、N−フェニルフェノチアジン、N−(4−ビフェニルイル)フェノチアジンなど)から芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基が挙げられる。
上記のアリール基で置換されたフェノチアジンにおけるアリール基としては、上述のものと同様なものが挙げられる。
Ar01で表される芳香族基が有していてもよい置換基としては、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が挙げられる。
前記ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれる2つのアルキル基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基として、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、o−フェノキシフェニル基、m−フェノキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、o−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、p−アミノフェニル基、ビフェニル基などの単環性アリール基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基などの縮環系アリール基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、1−フェノチアジル基、2−フェノチアジル基、3−フェノチアジル基、4−フェノチアジル基、10−フェノチアジル基などのヘテロアリール基などが挙げられる。
好ましくは、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、o−フェノキシフェニル基、m−フェノキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、o−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、p−アミノフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基、3−チエニル基、2−チエニル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれる2つのアリール基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、フェニルスルホニル基、o−メチルフェニルスルホニル基、m−メチルフェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基、o−メトキシフェニルスルホニル基、m−メトキシフェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、o−エトキシフェニルスルホニル基、m−エトキシフェニルスルホニル基、p−エトキシフェニルスルホニル基、o−フェノキシフェニルスルホニル基、m−フェノキシフェニルスルホニル基、p−フェノキシフェニルスルホニル基、o−クロロフェニルスルホニル基、m−クロロフェニルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、o−ニトロフェニルスルホニル基、m−ニトロフェニルスルホニル基、p−ニトロフェニルスルホニル基、o−アミノフェニルスルホニル基、m−アミノフェニルスルホニル基、p−アミノフェニルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基、4−ピリジルスルホニル基、1−ピロリルスルホニル基、2−ピロリルスルホニル基、3−ピロリルスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基、1−イミダゾリルスルホニル基、2−イミダゾリルスルホニル基、4−イミダゾリルスルホニル基、2−チアゾリルスルホニル基、4−チアゾリルスルホニル基、5−チアゾリルスルホニル基、1−ピラゾリルスルホニル基、3−ピラゾリルスルホニル基、4−ピラゾリルスルホニル基などが挙げられる。
好ましくは、フェニルスルホニル基、o−メチルフェニルスルホニル基、m−メチルフェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基、o−メトキシフェニルスルホニル基、m−メトキシフェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、o−エトキシフェニルスルホニル基、m−エトキシフェニルスルホニル基、p−エトキシフェニルスルホニル基、o−フェノキシフェニルスルホニル基、m−フェノキシフェニルスルホニル基、p−フェノキシフェニルスルホニル基、o−ニトロフェニルスルホニル基、m−ニトロフェニルスルホニル基、p−ニトロフェニルスルホニル基、o−アミノフェニルスルホニル基、m−アミノフェニルスルホニル基、p−アミノフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基として、具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基などが挙げられる。
上記式(30−2)〜(30−10)中、Ar02は置換基を有していてもよい炭素数1〜50の芳香族基を表す。好ましくは、炭素数3〜40の芳香族基であり、より好ましくは炭素数3〜25の芳香族基である。具体的には、ベンゼン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、アニリン、ビフェニルなどの単環性芳香族化合物から芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレンなどの縮環系芳香族化合物から芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基、ピリジン、ピロール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、アクリジン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾン、フェナジン、アリール基で置換されたフェノチアジン(2−フェニルフェノチアジン、N−フェニルフェノチアジン、N−(4−ビフェニルイル)フェノチアジンなど)などのヘテロ原子を含む芳香族化合物より芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基などが挙げられる。
上記のアリール基で置換されたフェノチアジンにおけるアリール基としては、Ar01で例示したものと同様なものが挙げられる。
Ar02で表される芳香族基が有していてもよい置換基としては、上記のAr01で表される芳香族基が有していてもよい置換基と同様なものを例示することができる。
上記式(30−3)、(30−5)〜(30−7)中、Yは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表し、炭素数1〜20のアルキル基としては、上述のものと同様なものが挙げられる。
上記式(30−3)、(30−5)〜(30−7)中、aは0〜2の整数を表し、bは0〜3の整数を表し、cは0〜2の整数を表す。好ましくは、aについては0または2であり、bおよびcについてはそれぞれ0である。より好ましくはa、bおよびcはそれぞれ0である。
1としては、好ましくは、式(30−1)〜(30−4)、(30−8)、(30−10)で表される基であり、より好ましくは、式(30−1)、(30−2)、(30−4)、(30−8)、(30−10)で表される基であり、特に好ましくは、式(30−1)、(30−2)、(30−10)で表される基である。
上記Ar01が、下記式(31)で示されることが好ましい。
Figure 2013175421
(式(31)中、A2は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子、および窒素原子を含む環を有する炭素数11〜50芳香族基である。該芳香族基は、置換基を有していてもよい。または、A2は硫黄原子を含む環を有し且つ該環に直接結合した窒素原子を含む置換基を有する炭素数11〜50の芳香族基を表す。該芳香族基は、該環に直接結合した窒素原子を含む置換基以外の置換基を有していてもよい。
0は直接結合または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリーレン基を表す。Y1は直接結合、カルボニル基またはスルホニル基を示す。)
上記Ar02が、下記式(31*)で示されることが好ましい。
Figure 2013175421
(式(31*)中、A2は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子、および窒素原子を含む環を有する炭素数11〜50複素環芳香族基である。該芳香族基は、置換基を有していてもよい。または、A2は硫黄原子を含む環を有し且つ該環に直接結合した窒素原子を含む置換基を有する炭素数11〜50の芳香族基を表す。該芳香族基は、該環に直接結合した窒素原子を含む置換基以外の置換基を有していてもよい。
1は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリーレン基を表す。
1は直接結合、カルボニル基またはスルホニル基を示す。)
2は硫黄原子と窒素原子とを含む環を有する炭素数11〜50芳香族基である。A2の好ましい炭素数は11〜30であり、より好ましくは11〜20である。より好ましいA2としては窒素原子を含む6員環を有する芳香族基または硫黄原子を含む6員環を有する芳香族基が挙げられ、さらに好ましくは硫黄原子と窒素原子とを含む6員環を有する芳香族基が挙げられる。該芳香族基は、置換基を有してもよく、その具体例としてはAr011で表される芳香族基が有していてもよい置換基が挙げられる。
2の具体的な例として、フェノチアジン、炭素数11〜50のフェノチアジン誘導体(10−フェニルフェノチアジン、10−(3−フルオロフェニル)フェノチアジン、N−ベンゾイルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、エトプロパジンなど)、3−フェノチアゾン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17から芳香環上の水素原子を1個取り去って得られる1価の基が挙げられる。
1は直接結合、カルボニル基またはスルホニル基を示す。好ましくは、直接結合である。
式(31)中、G0は直接結合または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリーレン基を表す。式(31*)中、G1は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリーレン基を表す。
0およびG1としては、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、アニリン、ビフェニルなどの単環性芳香族化合物から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価の基、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレンなどの縮環系芳香族化合物から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価の基、ピリジン、ピロール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、アクリジン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジンなどのヘテロ原子を含む芳香族化合物より芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価の基などが挙げられる。
前記炭素数3〜20のアリーレン基が有してもよい置換基としては、−(Y1−A2)で示される基、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基を表す。これらの具体例としては、上述のものが挙げられる。
ここでの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基の具体例としては、上記Ar01で表される芳香族基が有していてもよいこれらの置換基として例示した基と同様なものをそれぞれ挙げることができる。
上記式(31)で示される基の具体例として、以下式(31−1)〜(31−19)で表される基などが挙げられる。。
Figure 2013175421
(上記式(31−1)〜(31−19)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。)
好ましい含硫黄複素環芳香族化合物として、下記式(32)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(32)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
01〜R08はそれぞれ同一または相異なり上記式(30−1)〜(30−10)で示される基、水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
09は上記式(30−1)で示される基、式(30−2)で示される基、式(30−10)で示される基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を示す。
式(32)で示される化合物は、式(30−1)〜(30−10)で示される基から選ばれる少なくとも1つの基を有する。)
Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。より好ましくはチオ基である。
01〜R08における式(30−1)〜(30−10)で示される基として、その具体的および好ましい例は上記式(1)中のZ1で表される式(30−1)〜(30−10)で表される基として例示した基と同様な基が挙げられる。
01〜R08で表される、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基は、上記Ar01上の置換基で例示したものと同様なものが挙げられる。
09における上記式(30−1)、(30−2)、(30−10)で示される基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基としては、上記式(30)中のZ1で表される基として例示した基と同様なものが挙げられる。
式(32)で示される化合物は、式(30−1)〜(30−10)で示される基から選ばれる少なくとも1つの基を有する。式(32)で示される化合物が有する式(30−1)〜(30−10)で示される基の数としては、好ましくは1〜8個であり、より好ましくは1〜5個であり、さらに好ましくは1〜3個であり、特に好ましくは1個である。
式(32)で示される含硫黄複素環芳香族化合物として、下記式(32−1)〜(32−40)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(上記式(32−1)〜(32−40)中、Eは上記と同義である。)
上記式(32)で表される化合物の中でも、好ましい含硫黄複素環芳香族化合物として、下記式(33)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(33)中、A3はフェノチアジンまたはフェノチアジン−5−オキサイドから水素原子を1つ取り去って得られる1価の基を表す。
2は直接結合または置換基を有していてもよい炭素数3〜30のアリーレン基を表す。2つあるA3は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。)
2の具体例および好ましい例としては、上記G1で例示した置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリーレン基と同様なものが挙げられる。
式(33)で示される含硫黄複素環芳香族化合物として、下記式(32−18)〜(32−23)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2013175421
(上記式(32−18)〜(32−23)中、Eは上記と同義である)
また、本発明では高分子電解質組成物に有用な含硫黄複素環芳香族化合物として、下記式(34)が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(34)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。2つあるEは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
10、R11はそれぞれ同一または相異なり水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を示す。
12〜R25はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。)
式(34)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表し、好ましくはチオ基である。
式(34)中、R10およびR11はそれぞれ同一または相異なり水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を示す。
また、ここでの置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基に関して、好ましい炭素数は1〜4であり、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1である。
10およびR11として、好ましくは、水素原子、および置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基をあげることができ、より好ましくは水素原子、および置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
10およびR11における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基の具体例としては、上記Ar01で表される芳香族基が有していてもよい置換基として例示したものと同様なものが挙げられる。
12〜R25における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基としては、上記Ar01で表される芳香族基が有していてもよい置換基として例示したものと同様なものが挙げられる。
12〜R25における好ましい基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
また、本発明では高分子電解質組成物に有用な含硫黄複素環芳香族化合物として、下記式(35)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(35)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。2つあるEは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
26〜R41はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
3はフッ素原子を有する炭素数3〜30のアリーレン基を表し、該アリーレン基は、置換基を有してもよい。)
式(35)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表し、好ましくはチオ基である。
26〜R41における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基としては、上記Ar01上の置換基で例示した基と同様なものが挙げられる。
3はフッ素原子を有する炭素数3〜30のアリーレン基を表し、該アリーレン基は、置換基を有してもよい。好ましい炭素数としては3〜20であり、より好ましくは3〜12であり、特に好ましくは3〜6である。G3の具体例としては、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、テトラフルオロベンゼン、メトキシフルオロベンゼン、ジ(フルオロフェニル)エーテル、フルオロアニリンなどの単環性芳香族化合物から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価の基、フルオロビフェニレン、トリフルオロメチルフルオレン、トリフルオロメチルアントラセン、などの縮環系芳香族化合物から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価の基、フルオロピリジン、フルオロピロール、フルオロフラン、フルオロベンゾフラン、フルオロジベンゾフラン、フルオロチオフェン、フルオロベンゾチオフェン、フルオロジベンゾチオフェン、フルオロイミダゾール、フルオロベンゾイミダゾール、フルオロチアゾール、フルオロベンゾチアゾール、フルオロピラゾール、フルオロベンゾピラゾール、フルオロアクリジン、フルオロチアントレン、フルオロフェノキサチイン、フルオロフェノキサジン、フルオロフェノチアジン、フルオロフェナジンなどのヘテロ原子を含む芳香族化合物より芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価の基などが挙げられる。該アリーレン基が有してもよい置換基の具体例としては、上記G1で示されるアリーレン基が有してもよい置換基と同様であり、その好ましい例も同様である。
上記式(30)で表される含硫黄複素環芳香族化合物を製造するための方法について以下に説明する。例えば、上記式(34)で表される含硫黄複素環芳香族化合物の製造方法としては、下記の製造方法が挙げられる。
(34−i)ハロゲノ基を有するフェノチアジン誘導体、ハロゲノ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体、アルキルスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン誘導体、アルキルスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体、アリールスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン誘導体およびアリールスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体からなる群より選ばれる2種のカップリング反応(ここで、ハロゲノ基の例としてクロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。)
(34−ii)ハロゲノ基を有するフェノチアジン誘導体、ハロゲノ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体、アルキルスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン誘導体、アルキルスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体、アリールスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン誘導体、アリールスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体の群からなる群より選ばれる1種と、フェノチアジン構造を有するボロン酸誘導体、フェノチアジン−5−オキサイド構造を有するボロン酸誘導体からなる群より選ばれる1種とのカップリング反応(ここで、ハロゲノ基の例としてクロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。)
具体的には下記式(34−100)〜(34−400)で表される反応が挙げられる。
Figure 2013175421
上記反応では溶媒を用いることができ、使用可能な溶媒としては種々の溶媒を用いることができる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)などの非プロトン性極性溶媒、またはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル、2H,3H-デカフルオロペンタン、エイコサフルオロノナン、ヘプタコサフルオロトリブチルアミン、ヘキサフルオロベンゼン、オクタデカフルオロオクタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロトリエチルアミン、1H,1H,10H,10H-ヘキサデカフロオロ-1,10-デカンジオール、1H,1H-ノナフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブタノール、ヘプタフルオロ酪酸メチルなどのフッ素系溶媒、水などが挙げられる。
また、上記(34−ii)の反応においては、反応を促進させる為、反応に塩基を用いることもできる。塩基としては種々の塩基を用いることができ、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、アンモニア、などの無機塩基、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基などが挙げられる。
また、例えば、上記式(35)で表される含硫黄複素環芳香族化合物の製造方法としては、下記の製造方法が挙げられる。
(35−i)ジハロゲン化芳香族化合物と、フェノチアジン誘導体、フェノチアジン−5−オキサイド誘導体のいずれかとのN−アリール化カップリング反応(ここで、ハロゲノ基の例としてクロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。)
(35−ii)フェノチアジン構造またはフェノチアジン−5−オキサイド構造を有する基をもつジハロゲン化芳香族化合物と、フェノチアジン構造を有するボロン酸誘導体またはフェノチアジン−5−オキサイド構造を有するボロン酸誘導体のいずれかとのカップリング反応(ここで、ハロゲノ基の例としてクロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。)
(35−iii)ハロゲノ基を有するフェノチアジン誘導体、ハロゲノ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体のいずれかと、芳香族ボロン酸誘導体とのカップリング反応(ここで、ハロゲノ基の例としてクロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。)
具体的には下記式(35−100)〜(35−400)で表される反応が挙げられる。
Figure 2013175421
上記反応では溶媒を用いることができ、使用可能な溶媒としては種々の溶媒を用いることができる。具体的には上記式(34)で表される含硫黄複素環芳香族化合物の製造方法で例示した溶媒などが挙げられる。
また、上記(35−i)〜(35−iii)の反応においては、反応を促進させる為、反応に塩基を用いることもできる。具体的には上記式(34)で表される含硫黄複素環芳香族化合物の製造方法で例示した塩基などが挙げられる。
なお、上記の含硫黄複素環芳香族化合物の中でも、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を含まないものであると、燃料電池を腐食させる原因となりうる塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンの発生源とならないため、好適に用いることができる。
本発明の高分子電解質組成物における含硫黄複素環芳香族化合物の配合量は、高分子電解質が有しているイオン伝導性等の特性を著しく損なうことない範囲で選択される。含硫黄複素環芳香族化合物の配合量は、好適には、高分子電解質100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であり、0.1質量部以上20質量部以下であるとさらに好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であるとさらに好ましく、1質量部以上6質量部以下であると特に好ましい。含硫黄複素環芳香族化合物の配合量がこの範囲であると、燃料電池の長期安定性を達成できるだけでなく、高分子電解質の特性を十分に発揮でき、高分子電解質膜の発電性能等が十分に発揮される。
また、本発明の含硫黄複素環芳香族化合物は、高分子電解質組成物を調製する際、溶液への溶解性または分散性が高いものが好ましい。この観点から、含硫黄複素環芳香族化合物の好ましい分子量の範囲としては150以上1600以下であり、より好ましくは150以上1300以下であり、よりさらに好ましくは230以上1300以下であり、ことよりさらに好ましくは、250以上1000以下であり、特に好ましくは、300以上800以下である。
分析により含硫黄複素環芳香族化合物の分子量を求める場合は、GPC法により測定される該数平均分子量を用いることができる。
以下にGPC測定条件を示す。
(測定条件)
・カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−M
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
・検出:示差屈折率法
・標準物質:東ソー社製 標準ポリスチレン A300、A1000、A2500、A5000、F1、F2、F10、F40、F128、F288
なお、GPC法での分析が困難な場合については、代わりに質量分析法を用いることができる。
(第3の低分子成分)
また、本実施形態の高分子電解質膜12では、劣化防止剤として下記の化合物[A]〜[D]からなる群より選ばれる一種以上の化合物を用いることができる。
まず、含硫黄芳香族化合物[A]について説明する。
含硫黄芳香族化合物[A]:下記式(36)で表される含硫黄芳香族化合物。
Figure 2013175421
(式(36)中、Y2は硫黄原子を含む2価の基を表す。
1〜C4はそれぞれ炭素原子を表す。
環Ar22は、C1およびC2を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。
環Ar23は、C3およびC4を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。
Ar22が有していてもよい置換基、およびAr23が有していてもよい置換基はそれぞれ、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、メチル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基および置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基からなる群より選ばれる1種以上の基である。
1およびX2は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、メチル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基または置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基を表す。)
上記式(36)中、Y2は硫黄原子を含む2価の基を表す。Y2として、好ましくは、2価または4価の硫黄原子を含む2価の基であり、より好ましくは、チオ基、スルフィニル基が挙げられ、さらに好ましくは硫黄原子である。
上記式(36)中、C1〜C4は炭素原子を表す。C1−C2結合およびC3−C4結合は、それぞれ、芳香環Ar22、Ar23中の炭素―炭素結合である。
環Ar22は、C1およびC2を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。環Ar23は、C3およびC4を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。該芳香環の好ましい炭素数としては、4〜30であり、より好ましくは4〜25であり、特に好ましくは6〜20である。
上記の炭素数4〜50の芳香環として、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド、ベンゾフェノン、ビフェニル、などの単環性芳香環、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレンなどの縮環系芳香環、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフランなどのヘテロ原子を環内に含む芳香環などが挙げられる。
上記炭素数4〜50の芳香環は置換基を有してもよく、該置換基は、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、メチル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基から選ばれる基である。
上記炭素数4〜50の芳香環上の置換基として好ましくは、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基および置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基から選ばれる基である。
より好ましくは、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基から選ばれる基である。
よりさらに好ましくは、シアノ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基から選ばれる基である。
特に好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基から選ばれる基である。
上記X1およびX2は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、メチル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基または置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基である。
好ましくは、水素原子、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、水素原子、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子、シアノ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基である。
特に好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基である。
上記のハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基である。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基として、フェニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、o−フェノキシフェニル、m−フェノキシフェニル、p−フェノキシフェニル、o−クロロフェニル、m−クロロフェニル、p−クロロフェニル、ビフェニルなどの単環性アリール基、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル、2−アントラシル、4−アントラシル基などの縮環系アリール基、2−チエニル、3−チエニル、2−フリル、3−フリル基などのヘテロアリール基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールオキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数5〜21のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアリールスルホニル基として、フェニルスルホニル、o−メチルフェニルスルホニル、m−メチルフェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル、o−フェノキシフェニルスルホニル、m−フェノキシフェニルスルホニル、p−フェノキシフェニルスルホニル、o−クロロフェニルスルホニル、m−クロロフェニルスルホニル、p−クロロフェニルスルホニルなどの単環性アリールスルホニル基、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル、1−アントラシルスルホニル、2−アントラシルスルホニル、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基、2−チエニルスルホニル、3−チエニルスルホニルなどのヘテロアリールスルホニル基が挙げられる。
上記式(36)で表される含硫黄芳香族化合物[A]の例としては、フェニルスルフィド、ビス(2−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、フェニルp−トリルスルフィド、5,5’−チオジサリチル酸、2,2’−チオビス(4,6−ジクロロフェノール)ジナトリウム、2,2’−チオビス(4,6−ジクロロフェノール)、4,4’−チオビスベンゼンチオール、4−クロロフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、p−トリルスルホキシド、1,1’−チオビス(2−ナフトール)、1,1’−チオビス(2−ナフタレン)、ビス(2−ナフチル)スルホキシドなどが挙げられる。
次に、含硫黄芳香族化合物[B]について説明する。
含硫黄芳香族化合物[B]:下記式(37)で表される含硫黄複素環芳香族化合物。
Figure 2013175421
(式(37)中、Y2は上記と同義である。
2は、直接結合、下記式(37−1)〜(37−9)のいずれかで示される2価の基を表す。
5〜C8はそれぞれ炭素原子を表す。
環Ar24は、C5およびC6を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。
環Ar25は、C7およびC8を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。)
Figure 2013175421
(式(37−1)〜(37−9)中、E1は水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基または炭素数4〜50の芳香族基を表す。))
上記式(37)中、Y2は式(36)におけるY2と同義であり、その好ましい例も式(36)におけるY2の具体例、好ましい例と同様である。
上記式(37)中、C5〜C8は炭素原子を表す。C5−C8結合およびC7−C8結合は、それぞれ、芳香環Ar24,Ar25中の炭素―炭素結合である。
環Ar24は、C5およびC6を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。環Ar25は、C7およびC8を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。該芳香環の好ましい炭素数としては、4〜30であり、より好ましくは4〜25であり、特に好ましくは6〜20である。
上記の炭素数4〜50の芳香環として、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド、ベンゾフェノン、ビフェニル、などの単環性芳香環、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレンなどの縮環系芳香環、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンなどのヘテロ原子を環内に含む芳香環などが挙げられる。
上記炭素数4〜50の芳香環は置換基を有してもよく、該置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基である。
非脂肪族炭化水素系高分子電解質への分散、相溶性を向上させ、酸化防止剤自体の耐久性を高めるために、ここでの上記炭素数4〜50の芳香環上の置換基として好ましくは、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
より好ましくは、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
特に好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられる。好ましい炭素数としては1〜6であり、より好ましくは1〜4であり、よりさらに好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。その好ましい例は前述のアルキル基の好ましい例示の群より選ばれるアルキル基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。その好ましい例は前述のアルキル基の好ましい例示の群より選ばれるアルキル基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基として、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−フェノキシフェニル基、m−フェノキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、ビフェニル基などの単環性アリール基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基などの縮環系アリール基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フリル基、3−フリル基などのヘテロアリール基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。その好ましい例は前述のアリール基の好ましい例示の群より選ばれるアリール基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。その好ましい例は前述のアリール基の好ましい例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。その好ましい例は前述のアルキル基の好ましい例示の群より選ばれるアルキル基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。その好ましい例は前述のアリール基の好ましい例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、フェニルスルホニル基、o−メチルフェニルスルホニル基、m−メチルフェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基、o−メトキシフェニルスルホニル基、m−メトキシフェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、o−フェノキシフェニルスルホニル基、m−フェノキシフェニルスルホニル基、p−フェノキシフェニルスルホニル基、o−クロロフェニルスルホニル基、m−クロロフェニルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基、2−チエニルスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−フリルスルホニル基、3−フリルスルホニル基などのヘテロアリールスルホニル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基において、好ましい炭素数としては1〜6であり、より好ましくは1〜4であり、よりさらに好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1である。具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基などが挙げられる。
上記式(37)中、Z2は、直接結合、上記式(37−1)〜(37−9)のいずれかで示される2価の基を表す。好ましくは直接結合、式(37−1)〜(37−3)、(37−7)〜(37−9)であり、より好ましくは直接結合、式(37−2)、(37−3)、(37−7)、(37−8)であり、特に好ましくは直接結合、式(37−2)、(37−3)、(37−7)である。
上記式(37−1)〜(37−9)中、E1は水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基または置換基を有してもよい炭素数4〜50の芳香族基を示し、好ましくは置換基を有してもよい炭素数4〜50の1価の芳香族基である。該芳香族基の炭素数としては好ましくは4〜30であり、より好ましくは4〜20であり、特に好ましくは4〜12である。
1における炭素数4〜50の1価の芳香族基としては、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチインなどの芳香族化合物に由来する芳香族基が挙げられ、E1で示される炭素数4〜50の1価の芳香族基としては、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチインから芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基が挙げられる。
該炭素数4〜50の1価の芳香族基は、置換基を有してもよく、該置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基が挙げられる。
非脂肪族炭化水素系高分子電解質への分散、相溶性を向上させ、酸化防止剤自体の耐久性を高めるために、該炭素数4〜50の1価の芳香族基上の置換基として好ましくは、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
より好ましくは、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
特に好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
ここでのハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基の具体例およびその好ましい例としては、上記環Ar24または環Ar25における炭素数4〜50の芳香環上の置換基と同じものが挙げられる。
上記式(37)で表される含硫黄芳香族化合物[B]の具体例としては、下記式(B−001)〜(B−018)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2013175421
次に、含硫黄芳香族化合物[C]について説明する。
含硫黄芳香族化合物[C]:下記式(38)で表される含硫黄複素環芳香族化合物。
Figure 2013175421
(式(38)中、Y2およびZ2はそれぞれ上記と同義である。
9〜C12はそれぞれ炭素原子を表す。
3〜X6は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
2が直接結合の場合、X4およびX5は互いに結合することにより、C10およびC11を含む環を形成していてもよい。)
式(38)中、Y2およびZ2は式(36)におけるY2および式(37)におけるZ2と同義であり、その具体例、好ましい例も式(36)におけるY2および式(37)におけるZ2の具体例、好ましい例と同様なものが挙げられる。
上記式(38)中、C9〜C12は炭素原子を表す。C9−C10結合およびC11−C12結合は、2重結合である。
式(38)中、X3〜X6は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
3〜X6はそれぞれ、好ましくは、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、水素原子、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
特に好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
ここでの、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基の具体例およびその好ましい例としては、上記環Ar24または環Ar25における炭素数4〜50の芳香環上の置換基の具体例およびその好ましい例と同じものが挙げられる。
また、Z2が直接結合の場合、X4およびX5は互いに結合することにより、環を形成してもよい。該環としては、C10およびC11を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の環状基が好ましく、該環は芳香族性を有することが好ましい。
より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数6〜20の環が挙げられ、特に好ましくは置換基を有していてもよい炭素数6〜12の環が挙げられる。なお、ここでの芳香族性とは、「モリソンボイド有機化学(中)第6版(東京化学同人)」に記載のように、環状基の環内に4n+2(nは任意の整数を示す)個のπ電子を含むものである。
4およびX5が互いに結合することにより形成される環状基を下記式(501)の形で示すと、下記式(501−1)〜(501−4)で表される基などを該環状基として例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
該環状基上の置換基としては、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基である。具体例およびその好ましい例は、上記Ar24またはAr25で表される炭素数4〜50の芳香環が有してもよい基の具体例、その好ましい例と同様なものが挙げられる。
上記式(38)で表される含硫黄芳香族化合物[C]の具体例としては、下記式(C−001)〜(C−021)などが挙げられる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
次に、含硫黄芳香族化合物[D]について説明する。
含硫黄芳香族化合物[D]:下記式(39)で表される含硫黄芳香族化合物。
Figure 2013175421
(式(39)中、Y2およびZ2は上記と同義である。
13〜C16はそれぞれ炭素原子を表す。
環Ar26は、C15およびC16を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。
7およびX8は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。)
上記式(39)中、Y2およびZ2は式(36)におけるY2および式(37)におけるZ2と同義であり、その具体例、好ましい例も式(36)におけるY2および式(37)におけるZ2の具体例、好ましい例と同様なものが挙げられる。
上記式(39)中、C13〜C16は炭素原子を表す。C13−C14結合は、2重結合である。なお、C15−C16結合は、芳香環中の炭素―炭素結合である。
環Ar26は、C15およびC16を含み、置換基を有していてもよい炭素数4〜50の芳香環を表す。環Ar26の具体例およびその好ましい例は、上記の環Ar24または環Ar25の例と同様なものが挙げられる。
上記炭素数4〜50の芳香環は置換基を有してもよく、該置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基である。具体例およびその好ましい例は、上記環Ar24または環Ar25における炭素数4〜50の芳香環が有してもよい基として説明したものと、同様なものが挙げられる。
上記式(39)中、X7およびX8は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基である。X7およびX8の具体例およびその好ましい例は、上記X3〜X6と、同様なものが挙げられる。
上記式(39)で表される含硫黄芳香族化合物[D]の具体例としては、下記式(D−001)〜(D−006)が挙げられる。
Figure 2013175421
上記含硫黄芳香族化合物[A]〜[D]のうち、好ましくは含硫黄複素環芳香族化合物[B]〜[D]であり、より好ましくは含硫黄芳香族化合物[B]、[D]であり、特に好ましくは含硫黄芳香族化合物[B]である。
好ましい含硫黄芳香族化合物[B]として、下記式(40)で表される含硫黄複素環芳香族化合物が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(40)中、Y2およびZ2は上記と同義である。
42〜R49は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。)
上記式(40)中、Y2およびZ2は式(36)におけるY2および式(37)におけるZ2と同義であり、その具体例、好ましい例も式(36)におけるY2および式(37)におけるZ2の具体例、好ましい例と同様なものが挙げられる。
上記式(40)中、R42〜R49は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
42〜R49は、好ましくは、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、水素原子、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
特に好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
ここでの、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基の具体例およびその好ましい例としては、上記環Ar24または環Ar25における炭素数4〜50の芳香環上の置換基と同じものが挙げられる。
上記式(40)で表される含硫黄芳香族化合物の具体例としては、上記式(B−001)〜(B−004)、(B−007)〜(B−013)などが挙げられる。
特に好ましい含硫黄芳香族化合物の例としては、上記式(40)で表される含硫黄芳香族化合物のY2およびZ2が上記式(37−7)または式(37−8)の何れかであるチアントレン系化合物が挙げられる。チアントレン系化合物に関して、上記式(40)中のR42〜R49の具体例および好ましい例は、上記環Ar24または環Ar25における炭素数4〜50の芳香環が有してもよい基として説明したものと、同様なものが挙げられる。
チアントレン系化合物の具体例としては、上記式(B−001)、(B−007)、(B−009)などが挙げられる。
本実施形態の高分子電解質組成物における第3の低分子成分の配合量は、高分子電解質が有しているイオン伝導性等の特性を著しく損なうことない範囲で選択される。好適には、高分子電解質100質量部に対して、第3の低分子成分が0.01質量部以上30質量部以下であり、0.1質量部以上20質量部以下であるとより好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であるとさらに好ましい。
また、本発明の第3の低分子成分は、高分子電解質組成物を調製する際、溶液への溶解性または分散性が高いものが好ましい。この観点から、好ましい分子量の範囲としては1300以下であり、80以上1300以下がより好ましく、160以上1300以下がさらに好ましく、170以上1000以下がよりさらに好ましく、200以上800以下が特に好ましい。このような範囲に分子量を有する含硫黄芳香族化合物は高分子電解質組成物の調製時における溶液への溶解性または分散性が高いため好ましい。
分析により含硫黄芳香族化合物の分子量を求める場合は、GPC法により測定される該数平均分子量を用いることができる。GPC測定条件は、上記(第2の低分子成分)において示したGPC測定条件と同じである。
なお、GPC法での分析が困難な場合については、代わりに質量分析法を用いることができる。
本実施形態の高分子電解質組成物における低分子成分の配合量は、高分子電解質が有しているイオン伝導性等の特性を著しく損なうことない範囲で選択される。低分子成分の配合量の下限は、高分子電解質膜の全質量に対して、好ましくは0.001質量部以上であり、より好ましくは0.01質量部以上であり、さらに好ましくは0.05質量部以上であり、よりさらに好ましくは0.1質量部以上であり、ことさらに好ましくは0.5質量部以上であり、特に好ましくは1質量部以上である。
低分子成分の配合量の上限は、高分子電解質膜の全質量に対して、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下であり、さらに好ましくは20質量部以下であり、よりさらに好ましくは10質量部以下であり、特に好ましくは6質量部以下である。
低分子成分の配合量が、このような範囲であると燃料電池の長期安定性を達成できるだけでなく、高分子電解質の特性を十分に発揮でき、高分子電解質膜の発電性能等が十分に発揮される。
低分子成分の配合量が、この範囲であると燃料電池の長期安定性を達成できるだけでなく、高分子電解質の特性を十分に発揮でき、高分子電解質膜の発電性能等が十分に発揮される。
詳しくは、低分子成分の配合量が高分子電解質の全質量に対して、0.01質量%以上であると、運転中に生じ得るラジカルや過酸化物を効果的に失活させることができる。また、6質量%以下であると、高分子電解質膜の水蒸気透過度を低下させることがない。
なお、「水蒸気透過度」は、高分子電解質膜における水素イオンの透過率の指標である。燃料電池の運転中、高分子電解質膜内を移動する水素イオンは、主としてH3+の形となっているため、水蒸気透過度が高い高分子電解質膜は、燃料電池の運転中に水素イオンを効果的に透過させることができる性質を有すると考えられる。
[高分子成分]
次に、高分子成分について説明する。
本発明の実施形態における高分子成分の分子量は特に限定はされないが、1300超であると好ましい。高分子成分の分子量がこの範囲にあると、高分子成分を用いて高分子電解質膜とした場合、高分子電解質膜からポリアリーレン系化合物が流出しにくくなるため、好ましい。
(第1の高分子成分)
次に、高分子成分について説明する。
本実施形態の高分子電解質膜12では、劣化防止剤として下記式(41)で示される基および下記式(42)で示される基からなる群より選ばれる1種以上の基を有するポリアリーレン系化合物(第1の高分子成分)を用いることができる。
Figure 2013175421
(式(41)中、A01は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む6員環を有する2価の複素環芳香族基を表す。該2価の複素環芳香族基は、置換基を有していてもよい。
01は直接結合または下記式(41−1)〜(41−10)のいずれかで示される2価の基を表す。
01は、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。)
Figure 2013175421
(式(42)中、A01は式(1)におけるA1と同義である。
02およびY03はそれぞれ同一または相異なり直接結合または下記式(41−1)〜(41−3)、(41−5)〜(41−7)、(41−9)および(41−10)のいずれかで示される2価の基を表す。)
Figure 2013175421
(式(41−1)中、Ar001は置換基を有していてもよい炭素数3〜20の2価の芳香族基を表す。式(41−3)および(41−5)〜(41−7)中、R01は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20の1価の芳香族基を表わす。)
本発明のポリアリーレン系化合物は、主鎖を構成している芳香環同士が実質的に直接結合で結合されている形態であり、ポリマー主鎖を構成している芳香環同士の結合の総数に対する直接結合が多いほど、燃料電池用電解質としての耐久性の向上がより高度に図れる傾向があるため好ましい。具体的にいうと、前記ポリアリーレン系化合物中、直接結合の数が3個以上の構造であると好ましく、10個以上の構造であるとより好ましく、50個以上の構造であるとさらに好ましく、100個以上の構造であると特に好ましい。なお、直接結合以外の結合とは、芳香環同士が2価の原子または2価の原子団で結合している形態である。2価の原子としては、例えば、酸素原子、チオ基などが挙げられ、2価の原子団としては、例えば、−C(CH32−で示される基、−C(CF32−で示される基、−CH=CH−で示される基、スルホニル基、カルボニル基などが挙げられる。ここで、「ポリマー主鎖」とは、本発明においては、ポリマーを形成する最も長い鎖のことをいう。この鎖は共有結合により相互に結合した炭素原子から構成されていて、その際、この鎖は、窒素原子、酸素原子等により中断されていてもよい。また、「ポリマーの主鎖を構成している芳香環」とは、芳香族環の有する結合手のうち、2本がポリマーの主鎖の一部を構成している芳香環のことをいう。
上記式(41)におけるA01は、2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を有する。硫黄原子の構造については、チオ基、−S+=で示される基、またはスルフィニル基が挙げられる。好ましくは、チオ基またはスルフィニル基であり、特に好ましくはチオ基である。
上記A01は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む6員環を有する2価の複素環芳香族基を表す。具体的には、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体(10−フェニルフェノチアジン、10−(3−フルオロフェニル)フェノチアジン、N−ベンゾイルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、エトプロパジンなど)、3−フェノチアゾン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17、8−メルカプトキノリン、2−メルカプトピリジンN−オキシド、2−(メチルチオ)ピリジン、2−エチル−3−(メチルチオ)ピラジン、2−メチルメルカプト−3−メチルピラジン、2−(メチルチオ)ピラジン、2−メルカプトピリミジン、6‐メルカプトプリン、3−(メチルチオ)ピリダジン、2−チオニルピリジン、4−(メチルスルフィニル)ピリジン、4−(メチルスルフィニル)ピリジン、4−ピリジルフェニルスルホキシドから芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価の基が挙げられる。
上記に例示したA01の中でも好ましくは、A01が窒素原子と硫黄原子とを含む6員環を有する2価の複素環芳香族基であることが好ましく、縮合環構造を有するものがさらに好ましい。A01で表される2価の複素環芳香族基としては、具体的には、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体(10−フェニルフェノチアジン、10−(3−フルオロフェニル)フェノチアジン、N−ベンゾイルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、エトプロパジンなど)、3−フェノチアゾン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価の基が挙げられる。
また、上記A01で表される、2価の複素環芳香族基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が挙げられる。
好ましくは、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基である。
より好ましくは、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
特に好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
2価の複素環芳香族基が有していてもよい置換基としてのハロゲノ基の例としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれる2つのアルキル基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基として、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、o−フェノキシフェニル基、m−フェノキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、o−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、p−アミノフェニル基、ビフェニル基などの単環性アリール基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基などの縮環系アリール基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、2−ピラゾリル基などのヘテロアリール基などが挙げられる。
好ましくは、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、o−フェノキシフェニル基、m−フェノキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、o−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、p−アミノフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基、3−チエニル基、2−チエニル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。その好ましい例は前述のアリール基の好ましい例示の群より選ばれるアリール基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる。その好ましい例は前述のアリール基の好ましい例示の群より選ばれるアリール基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれる2つのアリール基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基などが挙げられる。その好ましい例は前述のアリール基の好ましい例示の群より選ばれるアリール基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。その好ましい例は前述のアリール基の好ましい例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。その好ましい例は前述のアリール基の好ましい例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、フェニルスルホニル基、o−メチルフェニルスルホニル基、m−メチルフェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基、o−メトキシフェニルスルホニル基、m−メトキシフェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、o−エトキシフェニルスルホニル基、m−エトキシフェニルスルホニル基、p−エトキシフェニルスルホニル基、o−フェノキシフェニルスルホニル基、m−フェノキシフェニルスルホニル基、p−フェノキシフェニルスルホニル基、o−クロロフェニルスルホニル基、m−クロロフェニルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、o−ニトロフェニルスルホニル基、m−ニトロフェニルスルホニル基、p−ニトロフェニルスルホニル基、o−アミノフェニルスルホニル基、m−アミノフェニルスルホニル基、p−アミノフェニルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基、4−ピリジルスルホニル基、1−ピロリルスルホニル基、2−ピロリルスルホニル基、3−ピロリルスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基、1−イミダゾリルスルホニル基、2−イミダゾリルスルホニル基、4−イミダゾリルスルホニル基、2−チアゾリルスルホニル基、4−チアゾリルスルホニル基、5−チアゾリルスルホニル基、1−ピラゾリルスルホニル基、3−ピラゾリルスルホニル基、4−ピラゾリルスルホニル基などが挙げられる。
好ましくは、フェニルスルホニル基、o−メチルフェニルスルホニル基、m−メチルフェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基、o−メトキシフェニルスルホニル基、m−メトキシフェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、o−エトキシフェニルスルホニル基、m−エトキシフェニルスルホニル基、p−エトキシフェニルスルホニル基、o−フェノキシフェニルスルホニル基、m−フェノキシフェニルスルホニル基、p−フェノキシフェニルスルホニル基、o−ニトロフェニルスルホニル基、m−ニトロフェニルスルホニル基、p−ニトロフェニルスルホニル基、o−アミノフェニルスルホニル基、m−アミノフェニルスルホニル基、p−アミノフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基として、具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基などが挙げられる。
上記式(41)におけるB01は、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
01で表される、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基および置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基の具体例と好ましい例としては、上記A01で表されるこれらの基として例示された基と同様なものが挙げられる。
01で表される基のうち好ましい基としては、水素原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基である。
より好ましくは水素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基である。
よりさらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基である。
特に好ましくは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
上記式(41)におけるY01は、直接結合または下記式(41−1)〜(41−10)のいずれかで示される2価の基を表わす。
Figure 2013175421
(式(41−1)中、Ar001は置換基を有していてもよい炭素数3〜20の2価の芳香族基を表す。式(41−3)および(41−5)〜(41−7)中、R01は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20の芳香族基を表わす。)
上記炭素数3〜20の2価の芳香族基の具体例としては、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、アニリン、ビフェニル、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン、ピリジン、ピロール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、アクリジン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジンから芳香環上の水素原子を2つ取り去って得られる2価の基が挙げられる。
好ましくは、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、アニリン、ビフェニル、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノチアジンから芳香環上の水素原子を2つ取り去って得られる2価の基である。
Ar001で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基の具体例と好ましい例としては、上記のA01で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基と同様な基を例示することができ、その好ましい例も同様な基が挙げられる。
上記R01は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の芳香族基から選ばれる基を表わす。
01で表される、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例としては、上記のA01で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基の例示であげたものと同様な基が挙げられる。
01における、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の芳香族基の具体例と好ましい例としては、上記のA01で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基の例示であげた置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例と同様なものが挙げられる。
上記式(41)におけるY01として、好ましくは直接結合、式(41−1)〜(41−4)、(41−8)〜(41−10)で示される基であり、より好ましくは直接結合、式(41−1)、(41−2)、(41−4)、(41−10)で示される基であり、特に好ましくは直接結合、式(41−1)、(41−2)、(41−10)で示される基である。
上記式(42)におけるY02およびY03は、それぞれ同一または相異なり、直接結合または上記式(41−1)〜(41−3)、(41−5)〜(41−7)、(41−9)および(41−10)のいずれかで示される2価の基を表す。上記Y02およびY03として、好ましくは直接結合、式(41−1)〜(41−3)、(41−9)、(41−10)で示される2価の基であり、より好ましくは直接結合、式(41−1)、(41−2)、(41−9)、(41−10)で示される2価の基であり、特に好ましくは直接結合、式(41−1)、(41−2)、(41−10)で示される2価の基である。
上記式(41)の好ましい例として、下記式(43)および下記式(44)で示される基が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(43)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
01、B01はそれぞれ上記式(41)におけるY01およびB1と同義である。
001は直接結合、カルボニル基またはスルホニル基を表す。
001〜R006はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基を表す。
007は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基を表わす。)
Figure 2013175421
(式(44)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
04は直接結合または上記式(41−1)、(41−2)、(41−5)〜(41−7)および(41−10)のいずれかで示される2価の基を表す。
008〜R014はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基を表す。
007は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基を表わす。
01は上記式(41)におけるB01と同義である。)
上記式(43)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表わし、好ましくはチオ基である。
上記式(43)中、Y01は式(41)におけるY01で表される基と同様な基を表し、その好ましい例も式(41)におけるY01の好ましい例と同様である。
上記式(43)中、R001〜R006はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基を表す。
007は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基を表わす。
具体的にR001〜R006で表される、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基の具体例と好ましい例としては、上記のA01で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基の例示であげたものと同様な基が挙げられる。
001〜R006で表される基のうち好ましい基としては、水素原子、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が挙げられる。
より好ましくは、水素原子、フルオロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
特に好ましくは、水素原子、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
007は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基を表わす。具体的にR007で表される、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の具体例と好ましい例としては、上記のA01で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基の例示であげたものと同様な基が挙げられる。
007で表される基のうち好ましい基としては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基が挙げられ、該アリール基の具体的な好ましい例は上記のA01で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基の例示と同様である。
式(44)中、EおよびB01は式(43)におけるEおよびB1と同様な基を表し、これらの好ましい例式(43)におけるEおよびB1の好ましい例と同様である。
式(44)中、Y04は直接結合または下記式(41−1)、(41−2)、(41−5)〜(41−7)および(41−10)のいずれかで示される2価の基を表す。好ましくは、式(41−1)、(41−2)、(41−10)で示される2価の基が挙げられる。
式(44)中、R008〜R014は式(43)におけるR001〜R006と同様な基を表わし、これらの好ましい例も式(3)におけるR001〜R006で表される基の好ましい例と同様である。
上記式(43)で示される基の具体例としては、下記式(43−001)〜(43−030)で表される基が挙げられる。
Figure 2013175421
上記式の中でも好ましくは式(43−001)〜(43−008)、(43−010)〜(43−023)、(43−025)〜(43−030)であり、より好ましくは、式(43−001)、(43−003)、(43−004)、(43−006)、(43−008)、(43−010)〜(43−023)、(43−030)であり、特に好ましくは、式(43−001)、(43−003)、(43−006)、(43−008)、(43−011)、(43−015)〜(43−020)、(43−030)が挙げられる。
上記式(44)で示される基の具体例としては、下記式(44−001)〜(44−031)で表される基が挙げられる。
Figure 2013175421
上記式の中でも好ましくは式(44−001)、(44−003)〜(44−010)、(44−012)〜(44−019)、(44−021)〜(44−028)であり、より好ましくは式(44−001)、(44−003)、(44−004)、(44−006)、(44−007)、(44−010)、(44−012)、(44−013)、(44−015)、(44−016)、(44−019)、(44−021)、(44−022)、(44−021)、(44−024)、(44−025)、(44−028)である。
上記式(42)で表される基の好ましい例として、下記式(45)および下記式(46)で示される基が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(45)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
001は直接結合、カルボニル基またはスルホニル基を表す。
001〜R006はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
007は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基を表わす。
02およびY03はそれぞれ上記式(42)におけるY02およびY03と同義である。)
Figure 2013175421
(式(46)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
03は上記式(42)におけるY03と同義である。
04は直接結合または上記式(41−1)、(41−2)、(41−5)〜(41−7)および(41−10)のいずれかで示される2価の基を表す。
008〜R014はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基を表す。)
上記式(45)中、E、Y02、Y03、Y001およびR001〜R007の具体例と好ましい例は上記と同様である。
上記式(46)中、E、Y03、Y04およびR008〜R014の具体例と好ましい例は上記と同様である。
上記式(45)で表される基の具体例としては、下記式(45−001)〜(45−028)で表される基が挙げられる。
Figure 2013175421
上記式の中でも好ましくは式(45−001)〜(45−008)、(45−010)〜(45−021)、(45−026)〜(45−028)であり、より好ましくは、式(45−001)〜(45−008)、(45−010)、(45−011)、(45−015)〜(45−017)、(45−021)、(45−027)、(45−028)である。
上記式(46)で表される基の具体例としては、下記式(46−001)〜(46−038)で表される基が挙げられる。
Figure 2013175421
上記式の中でも好ましくは式(46−001)〜(46−008)、(46−011)〜(46−019)、(46−024)〜(46−027)、(46−032)〜(46−034)、(46−038)であり、より好ましくは、式(46−001)〜(46−003)、(46−007)、(46−008)、(46−011)、(46−012)、(46−016)〜(46−019)、(46−024)〜(46−026)、(46−032)〜(46−034)、(46−038)
が挙げられる。
上記のポリアリーレン系化合物は、上記式(41)で示される基および上記式(42)で示される基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する構造単位を有することが好ましく、下記式(47)で示される構造単位、下記式(48)で示される構造単位および下記式(49)で示される構造単位からなる群より選ばれる1種以上の構造単位を有していることがより好ましい。
Figure 2013175421
(式(47)中、E、Y02、Y03、Y001、およびR001〜R007は上記と同様な基を表す。)
Figure 2013175421
(式(48)中、E、Y03、Y04、およびR008〜R014は上記と同様な基を表す。)
Figure 2013175421
(式(49)中、EおよびY001は、上記と同様な基を表す。
015〜R022はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
Ar002は置換基を有していてもよい炭素数3〜30の3価の芳香族基を表す。)
上記式(47)中、E、Y02、Y03、Y001、およびR001〜R007の具体例と好ましい例は上記と同様である。
上記式(47)で表される構造単位の具体例としては、上記式(45−001)〜(45−028)で表される基を有する構造単位が挙げられる。上記式の中でも好ましくは式(45−001)〜(45−008)、(45−010)〜(45−021)、(45−026)〜(45−028)であり、より好ましくは、式(45−001)〜(45−008)、(45−010)、(45−011)、(45−015)〜(45−017)、(45−021)、(45−027)、(45−028)である。
上記式(48)中、E、Y03、Y04、およびR008〜R014の具体例と好ましい例は上記と同様である。
上記式(48)で表される構造単位の具体例としては、上記式(46−001)〜(46−038)で表される基を有する構造単位が挙げられる。上記式の中でも好ましくは式(46−001)〜(46−008)、(46−011)〜(46−019)、(46−024)〜(46−027)、(46−032)〜(46−034)、(46−038)であり、より好ましくは、式(46−001)〜(46−003)、(46−007)、(46−008)、(46−011)、(46−012)、(46−016)〜(46−019)、(46−024)〜(46−026)、(46−032)〜(46−034)、(46−038)が挙げられる。
上記式(49)中、EおよびY001の具体例と好ましい例は上記と同様である。
上記式(49)中、R015〜R022はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表し、その具体例および好ましい例は上記R001〜R006で例示したものと同様なものが挙げられる。
上記式(49)中、Ar002は置換基を有していてもよい炭素数3〜30の3価の芳香族基を示す。かかる3価の芳香族基は、好ましくは炭素数3〜20であり、より好ましくは炭素数3〜12であり、特に好ましくは炭素数6である。
Ar002の具体例としては、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、アニリン、ビフェニルなどの単環性芳香族化合物から芳香環上の水素原子を3つ取り去って得られる3価の基、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレンなどの縮環系芳香族化合物から芳香環上の水素原子を3つ取り去って得られる3価の基、ピリジン、ピロール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、アクリジン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジンなどのヘテロ原子を含む芳香族化合物より芳香環上の水素原子を3つ取り去って得られる3価の基などが挙げられる。
好ましくは、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、アニリン、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノチアジンより芳香環上の水素原子を3つ取り去って得られる3価の基などが挙げられる。
Ar002で表される3価の芳香族基が有していてもよい置換基としては、上記A01で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基と同様なものを例示することができ、その好ましい例も同様である。
上記式(49)で表される構造単位の具体例として、下記式(49−001)〜(49−018)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2013175421
これらの中でも好ましくは式(49−001)〜(49−003)、(49−005)〜(49−009)、(49−011)〜(49−015)、(49−017)、(49−018)であり、より好ましくは式(49−001)、(49−003)、(49−005)、(49−007)、(49−009)、(49−011)〜(49−013)、(49−015)、(49−017)、(49−018)で表される構造単位が挙げられる。
また、上記ポリアリーレン系化合物は上記の構造単位以外にも、構造単位を有していてもよい。構造単位の例としては、イオン交換基を有する構造単位、イオン交換基を有しない構造単位が挙げられる。イオン交換基を有する構造単位としては、上述の式(11a)〜(14a)が挙げられ、イオン交換基を有しないとしては、上述の式(11b)〜(14b)が挙げられる。式(11a)〜(14a)の具体例として式(4a−1)〜(4a−20)が挙げられ、式(11b)〜(14b)の具体例としては、式(4b−1)〜(4b−32)が挙げられる。
イオン交換基を有する構造単位としては、式(4a−1)、(4a−2)、(4a−3)、(4a−4)、(4a−5)、(4a−6)、(4a−7)、(4a−8)、(4a−9)、(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく、式(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、式(4a−11)または(4a−12)で表される構造単位が特に好ましい。
イオン交換基を有しない構造単位としては、式(4b−1)、(4b−2)、(4b−3)、(4b−4)、(4b−5)、(4b−6)、(4b−7)、(4b−8)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−11)、(4b−12)、(4b−13)、(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく、式(4b−2)、(4b−3)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−13)、(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、式(4b−2)、(4b−3)、(4b−13)、(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がよりさらに好ましく、式(4b−2)、(4b−3)、(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が特に好ましい。
また、式(11a)〜(14a)で表される構造単位および式(11b)〜(14b)で表される構造単位を併せ持つ場合、その組み合わせの好ましい例は上述の<A>〜<M>に示すに示す構造単位の組み合わせが挙げられる。更に好ましくは、<B>、<C>、<D>、<G>、<H>、<I>、<J>、<L>または<M>であり、より更に好ましくは<G>、<H>、<L>または<M>であり、<G>、<H>、<L>が特に好ましい。
上記ポリアリーレン系化合物は、上記式(41)で示される基および上記式(42)で示される基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する構造単位からなる化合物、上記式(41)で示される基および上記式(42)で示される基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する構造単位と、上記イオン交換基を有しない構造単位とからなる化合物、上記式(41)で示される基および上記式(42)で示される基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する構造単位と、上記イオン交換基を有しない構造単位と、イオン交換基を有する構造単位とからなる化合物であることが好ましく、上記式(41)で示される基および上記式(42)で示される基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する構造単位からなる化合物、上記式(41)で示される基および上記式(42)で示される基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する構造単位と、上記イオン交換基を有しない構造単位とからなる化合物であることがより好ましく、上記式(41)で示される基および上記式(42)で示される基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する構造単位からなる化合物であることがさらに好ましい。また、上記ポリアリーレン系化合物は、合成の効率と容易さの観点から、イオン交換基を有しないことが好ましい。
上記式(43)で表される基からなる構造単位と、上記のイオン交換基を有する構造単位および/またはイオン交換基を有しない構造単位とを併せ持つポリアリーレン系化合物について、上記式(43−001)で表される基の場合を例に取って構造単位の組み合わせを以下の式(3−001−1)〜(3−001−15)に示す。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
上記式(44)で表される基からなる構造単位と、上記のイオン交換基を有する構造単位および/またはイオン交換基を有しない構造単位とを併せ持つポリアリーレン系化合物について、上記式(44−001)で表される基の場合を例に取って構造単位の組み合わせを以下の式(4−001−1)〜(4−001−15)に示す。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
@0064
上記式(45)で表される基からなる構造単位と、上記のイオン交換基を有する構造単位および/またはイオン交換基を有しない構造単位とを併せ持つポリアリーレン系化合物について、上記式(45−001)で表される基の場合を例に取って構造単位の組み合わせを以下の式(5−001−1)〜(5−001−15)に示す。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
上記式(46)で表される基からなる構造単位と、上記のイオン交換基を有する構造単位および/またはイオン交換基を有しない構造単位とを併せ持つポリアリーレン系化合物について、上記式(46−001)で表される基の場合を例に取って構造単位の組み合わせを以下の式(6−001−1)〜(6−001−15)に示す。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
上記式(49)で示される構造単位と、上記のイオン交換基を有する構造単位および/またはイオン交換基を有しない構造単位とを併せ持つポリアリーレン系化合物について、上記式(49−001)で表される基の場合を例に取って構造単位の組み合わせを以下の式(7−001−1)〜(7−001−15)に示す。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
また、上記式(49)で示される構造単位と、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基を含む構造単位とを有するポリアリーレン系化合物も好ましい。この場合、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基を含む構造単位としては、下記式(490)で示される構造単位が好ましい。
Figure 2013175421
(式(490)中、rは1〜4の整数を表す。
01はイオン交換基またはイオン交換前駆基を表す。
033は水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。)
01が示すイオン交換前駆基とは、加水分解反応や酸や塩基との反応によりイオン交換基へと変換可能な基である。このようなイオン交換基として、酸性のイオン交換基(カチオン交換基)または塩基性のイオン交換基(アニオン交換基)が挙げられる。高いプロトン伝導性を得る観点から、イオン交換基はカチオン交換基であることが好ましく、カチオン交換基を有する高分子電解質を用いることにより、一層発電性能に優れた燃料電池が得られる。カチオン交換基としては、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホスホノ酸基(−P(O)(OH)2)、ヒドロキシホスホリル基(−P(O)(OH)−)、スルホニルイミド基、フェノール性水酸基が挙げられる。これらの中でも、カチオン交換基としては、スルホ基またはホスホノ基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。イオン交換前駆基の代表例としてはスルホ前駆基、ホスホノ前駆基、カルボキシ前駆基等が挙げられる。スルホ前駆基とは、加水分解反応や酸や塩基との反応を経て、スルホ基となる基のことであり、ホスホノ前駆基とは、加水分解反応や酸や塩基との反応を経て、ホスホノ基となる基のことであり、カルボキシ前駆基とは、加水分解反応や酸や塩基との反応を経て、カルボキシ基となる基のことである。これらの中でも、スルホ前駆基、ホスホノ前駆基が好ましく、スルホ前駆基がより好ましい。
スルホ前駆基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
スルホン酸エステル基:スルホン酸ネオペンチル基、スルホン酸t−ブチル基など;
スルフィン酸エステル基:スルフィン酸ネオペンチル基、スルフィン酸t−ブチル基など;
メルカプト基:メチルメルカプト基、エチルメルカプト基、プロピルメルカプト基など;
スルホン酸塩基:スルホン酸ナトリウム基、スルホン酸カリウム基、スルホン酸リチウム基、スルホン酸アンモニウム基、スルホン酸モノメチルアンモニウム基、スルホン酸モノエチルアンモニウム基、スルホン酸モノ−n−プロピルアンモニウム基、スルホン酸モノ−n−ブチルアンモニウム基、スルホン酸ジメチルアンモニウム基、スルホン酸ジエチルアンモニウム基、スルホン酸ジ−n−プロピルアンモニウム基、スルホン酸ジ−n−ブチルアンモニウム基、スルホン酸トリメチルアンモニウム基、スルホン酸トリエチルアンモニウム基、スルホン酸トリ−n−プロピルアンモニウム基、スルホン酸トリ−n−ブチルアンモニウム基、スルホン酸テトラメチルアンモニウム基、スルホン酸テトラエチルアンモニウム基、スルホン酸テトラ−n−プロピルアンモニウム基、スルホン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム基など。
ホスホノ前駆基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ホスホン酸ジエステル基:ホスホン酸ジエチル基、ホスホン酸ジ−n−ブチル基、ホスホン酸ジ−t−ブチル基、ホスホン酸ジメチル基、ホスホン酸ジイソプロピル基、ホスホン酸ジフェニル基など;
ホスホン酸モノエステル基:ホスホン酸モノエチル基、ホスホン酸モノ−t−ブチル基、ホスホン酸モノメチル基、ホスホン酸モノジイソプロピル基など;
ホスホン酸モノエステル塩基:ホスホン酸エチル−ナトリウム基、ホスホン酸エチル−カリウム基、ホスホン酸エチル−リチウム基、ホスホン酸エチル−アンモニウム基、ホスホン酸エチル−モノメチルアンモニウム基、ホスホン酸エチル−モノエチルアンモニウム基、ホスホン酸エチル−モノ−n−プロピルアンモニウム基、など;
ホスホン酸塩基:ホスホン酸ナトリウム基、ホスホン酸カリウム基、ホスホン酸リチウム基、ホスホン酸アンモニウム基、ホスホン酸−モノメチルアンモニウム基、ホスホン酸−モノエチルアンモニウム基、など。
これらはモノカチオン塩でもジカチオン塩でも或いはそれらの混合物であってもよい。
カルボキシ基前駆基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
カルボン酸エステル基:カルボン酸ネオペンチル基、カルボン酸t−ブチル基など;
カルボン酸塩基:カルボン酸ナトリウム基、カルボン酸カリウム基、カルボン酸リチウム基、カルボン酸アンモニウム基、カルボン酸−モノメチルアンモニウム基、カルボン酸−モノエチルアンモニウム基、カルボン酸−モノ−n−プロピルアンモニウム基、カルボン酸−モノ−n−ブチルアンモニウム基、カルボン酸−ジメチルアンモニウム基、カルボン酸−ジエチルアンモニウム基、カルボン酸−ジ−n−プロピルアンモニウム基、カルボン酸−ジ−n−ブチルアンモニウム基、カルボン酸−トリメチルアンモニウム基、カルボン酸−トリエチルアンモニウム基、カルボン酸−トリ−n−プロピルアンモニウム基、カルボン酸−トリ−n−ブチルアンモニウム基、カルボン酸−テトラメチルアンモニウム基、カルボン酸−テトラエチルアンモニウム基、カルボン酸−テトラ−n−プロピルアンモニウム基、カルボン酸−テトラ−n−ブチルアンモニウム基、など。
rは1〜4の整数を表し、好ましくは1〜3であり、より好ましくは2または1である。
033で表される、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基の具体例と好ましい例としては、上記のA1で表される2価の芳香族基が有していてもよいこれらの置換基の例示であげたものと同様な基が挙げられる。
033で表される基のうち好ましい基としては、水素原子、フルオロ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が挙げられる。
より好ましくは、水素原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
特に好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
また、下記式(410)で示される構造単位と、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基を含む構造単位と、を有するポリアリーレン系化合物も好ましい。この場合、イオン交換基並びにイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基を含む構造単位としては、下記式(411)で示される構造単位が好ましい。
Figure 2013175421
(式(410)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
001は直接結合、カルボニル基またはスルホニル基を表す。
001〜R006はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
007は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基を表わす。)
上記式(410)中、E、Y001、およびR001〜R007の具体例と好ましい例は上記と同様である。
Figure 2013175421
(式(411)中、rは1〜4の整数を表す。
01はイオン交換基またはイオン交換前駆基を表す。
033は水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。)
r、Q01およびR033の具体例およびその好ましい例は、それぞれ、式(9)におけるr、Q01およびR033の具体例およびその好ましい例と同様である。
本発明のポリアリーレン系化合物を製造するための方法について以下に説明する。例えば、上記式(49)で表される構造単位を有するポリアリーレン系化合物の製造方法としては、下記式(50)で表されるモノマーを用いた重合反応が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(50)中、E、Y001、R015〜R022およびAr002はそれぞれ上記と同様な基を表す。
01およびX02はそれぞれ同一または相異なりクロロ基、ブロモ基、ヨード基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基または下記式(50−1)〜(50−3)のいずれかで示される基を表す。)
Figure 2013175421
(式(50−1)中、R100は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。式(50−2)中、R200は水素原子または炭素数1〜20のアルキレン基を表す。式(50−2)中、M100はリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはセシウムイオンを表す。)
また、下記式(50*)で表される構造単位を有するポリアリーレン系化合物の製造方法としては、下記式(1000)で表されるモノマーを用いた重合反応が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(50*)中、E、Y001、R001〜R007はそれぞれ上記と同様な基を表す。)
Figure 2013175421
(式(1000)中、E、Y001、R001〜R007はそれぞれ上記と同様な基を表す。X01およびX02はそれぞれ同一または相異なりクロロ基、ブロモ基、ヨード基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基または下記式(50−1)〜(50−3)のいずれかで示される基を表す。)
Figure 2013175421
(式(50−1)中、R100は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。式(50−2)中、R200は水素原子または炭素数1〜20のアルキレン基を表す。式(50−3)中、M100はリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはセシウムイオンを表す。)
また、上記重合反応において、式(50)および式(1000)で示されるモノマーに加え、上記のX01およびX02基を有する芳香族化合物を併せて反応させることで、該芳香族化合を共重合させることも可能である。
さらに、イオン交換基を有するポリアリーレン系化合物の製造方法の一つとして、上記X01およびX02基と、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基とを有するモノマーを用いれば、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基を有するポリアリーレン系化合物を得ることもできる。なお、これらのイオン交換前駆基は、加水分解反応、酸または塩基との反応などによりイオン交換基に変換することができる。
イオン交換基として、酸性のイオン交換基(すなわち、カチオン交換基)または塩基性のイオン交換基(すなわち、アニオン交換基)が挙げられる。高いプロトン伝導性を得る観点から、イオン交換基はカチオン交換基であることが好ましく、カチオン交換基を有する高分子電解質を用いることにより、一層発電性能に優れた燃料電池が得られる。カチオン交換基としては、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホスホノ酸基、ヒドロキシホスホリル基、スルホニルイミド基、フェノール性水酸基が挙げられる。これらの中でも、カチオン交換基としては、スルホ基またはホスホノ基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。
イオン交換前駆基の代表例としてはスルホ前駆基、ホスホノ前駆基、カルボキシ前駆基等が挙げられる。スルホ前駆基とは、加水分解反応や酸や塩基との反応を経て、スルホ基となる基のことであり、ホスホノ前駆基とは、加水分解反応や酸や塩基との反応を経て、ホスホノ基となる基のことであり、カルボキシ前駆基とは、加水分解反応や酸や塩基との反応を経て、カルボキシ基となる基のことである。これらの中でも、スルホ前駆基、ホスホノ前駆基が好ましく、スルホ前駆基がより好ましい。
01およびX02基と、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基とを有するモノマーとしては、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、アニリン、ビフェニル、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン、ピリジン、ピロール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、アクリジン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジンが、X01およびX02基と、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基とで置換された化合物が挙げられる。
好ましくは、ベンゼン、トルエン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、アニリン、ビフェニル、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノチアジンが、X01およびX02基と、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基とで置換された化合物が挙げられる。
01およびX02基と、イオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基とを有するモノマーの好ましい例としては、下記式(1100)および下記式(1200)が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(1100)中、rは1〜4の整数を表す。
01はイオン交換基またはイオン交換前駆基を表す。
033は水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
01およびX02は上記式(1000)におけるX01およびX02と同様な基を表す。)
Figure 2013175421
(式(1200)中、rおよびsはそれぞれ同一または相異なり1〜4の整数を表す。
01およびQ02はそれぞれ同一または相異なりイオン交換基またはイオン交換前駆基を表す。
033およびR044はそれぞれ同一または相異なり水素原子、水酸基、フルオロ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表す。
01およびX02は上記式(1000)におけるX01およびX02と同様な基を表す。)
上記式(1100)または上記式(1200)で表されるモノマーを用いることで、上記式(490)または式(411)で表されるイオン交換基およびイオン交換前駆基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する構造単位をポリアリーレン系化合物に導入することができる。
式(1100)および式(1200)中のr並びに式(1200)中のsはそれぞれ同一または相異なり1〜4の整数を表す。好ましくは1〜3であり、より好ましくは2または1である。
具体的に式(1100)および式(1200)のR033並びに式(1200)中のR044における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基の具体例と好ましい例は、上記のA1で表される2価の芳香族基が有していてもよい置換基の例示であげたものと同様なものが挙げられる。
033、R044における好ましい基としては、水素原子、フルオロ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が挙げられる。
より好ましくは、水素原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
特に好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
具体的に式(1100)および式(1200)中のQ01並びに式(1200)中のQ02におけるイオン交換基の例および好ましい例は前述のものと同様なものが挙げられる。
具体的に式(1100)および式(1200)中のQ01並びに式(1200)中のQ02におけるイオン交換前駆基の例および好ましい例は前述のものが挙げられる。
重合反応の例として、下記式(50−100)〜(50−2100)で表される反応が挙げられる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
上記反応では溶媒を用いることができ、使用可能な溶媒としては種々の溶媒を用いることができる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)などの非プロトン性極性溶媒、またはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル、2H,3H-デカフルオロペンタン、エイコサフルオロノナン、ヘプタコサフルオロトリブチルアミン、ヘキサフルオロベンゼン、オクタデカフルオロオクタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロトリエチルアミン、1H,1H,10H,10H-ヘキサデカフロオロ-1,10-デカンジオール、1H,1H-ノナフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブタノール、ヘプタフルオロ酪酸メチルなどのフッ素系溶媒、水などが挙げられる。
上記のポリアリーレン系化合物は、イオン交換基を有する高分子に配合して高分子電解質として用いることが好ましい。上記のポリアリーレン系化合物がイオン交換基を有する場合は、ポリアリーレン系化合物を単独で高分子電解質として用いることも可能である。イオン交換基を有する高分子としては、イオン交換基を有する炭化水素系高分子や、イオン交換基を有するフッ素系高分子を用いることができ、好ましくはイオン交換基を有する炭化水素系高分子が挙げられる。イオン交換基を有する炭化水素系高分子の中でもより好ましくは、イオン交換基を有する芳香族炭化水素系高分子が挙げられ、例えば、上記の(C)主鎖が芳香環を有する高分子に、イオン交換基が導入された高分子、が挙げられる。上記のイオン交換基を有する高分子の具体例および好ましい例としては、上記の<イオン交換基を有する高分子>に項に例示のものが挙げられる。
上記のポリアリーレン系化合物を、イオン交換基を有する高分子に配合する場合、その配合量は、イオン交換基を有する高分子が有しているイオン伝導性等の特性を著しく損なうことない範囲で選択される。好適には、イオン交換基を有する高分子100質量部に対して、ポリアリーレン系化合物が0.01質量部以上30質量部以下であり、0.1質量部以上20質量部以下であるとさらに好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であるとよりさらに好ましく、1質量部以上6質量部以下であると特に好ましい。
本発明のポリアリーレン系化合物の数平均分子量としては800を超えるものが好ましく、より好ましくは1300超〜800000未満であり、より好ましくは1500超〜50000未満であり、よりさらに好ましくは1500超〜30000未満であり、特に好ましくは1600超〜8000未満である。800を超えるもの、より好ましくは1300を超えるものであると、ポリアリーレン系化合物を、イオン交換基を有する高分子に配合して高分子電解質膜とした場合、高分子電解質膜からポリアリーレン系化合物が流出しにくくなるため、好ましい。
ポリアリーレン系化合物がイオン交換基を有する場合、好ましくは1300超〜1000000未満であり、より好ましくは1600超〜900000未満であり、よりさらに好ましくは10000超〜800000未満であり、特に好ましくは100000超〜700000未満である。
ポリアリーレン系化合物の数平均分子量が1300を超えるものであると、かかるポリアリーレン系化合物を、イオン交換基を有する高分子に配合して高分子電解質膜とした場合、高分子電解質膜からポリアリーレン系化合物が流出しにくくなるため、好ましい。該数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするGPC法により測定される。GPC測定条件は、上記(第2の低分子成分)において示したGPC測定条件と同じである。
(第2の高分子成分)
また、本実施形態の高分子電解質膜12では、劣化防止剤として下記式(51)で示される構造単位と、下記式(52)で示される構造単位および下記式(53)で示される構造単位からなる群より選ばれる1種以上の構造単位とを有するフッ素系ポリマー(第2の高分子成分)を用いることができる。
Figure 2013175421
(式(51)中、Xa1〜Xa3はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
Rf1は炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基または炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基を表す。
01は下記式(51−a)〜(51−h)で示される基のいずれかを表す。)
Figure 2013175421
(式(51−a)〜(51−h)中、Y05は直接結合、カルボニル基またはスルホニル基を表す。Ar003は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む芳香族基を表す。該炭化水素系芳香族基は置換基を有していてもよい。))
Figure 2013175421
(式(52)中、Xa4〜Xa6はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
Rf2は直接結合、炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基または炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基を表す。
01はイオン交換基またはイオン交換前駆基を表す。)
Figure 2013175421
(式(53)中、Xa7〜Xa9はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
Rf3は直接結合、炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基または炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基を表す。
02はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。)
本発明のフッ素系ポリマーは、ラジカル耐性の観点から、ポリマーの主鎖を構成する炭素原子が、C−H結合形成していないことが好ましく、C−F結合を形成していることが好ましい。ポリマー主鎖を構成する炭素原子が形成するC−H結合およびC−F結合の合計数を100%としたとき、C−F結合の割合が、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがよりさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。ここで、ポリマーの主鎖とは、ポリマーを形成する最も長い鎖のことをいい、上記Z01を含まない。この鎖は共有結合により相互に結合した炭素原子から構成されていて、その際、この鎖は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等により中断されていてもよい。
まず、式(51)の構造について説明する。
上記式(51)中、Rf1は炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基または炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基を表す。好ましいRf1としては、炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基が挙げられる。Rf1の具体例としては、以下の構造を例示できる。
Figure 2013175421
上記式(51)で示される構造単位としては、下記式(54)で示される構造単位が好ましい。
Figure 2013175421
(式(54)中、X07〜X16はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
01は前記と同義である。a1、d1およびg1はそれぞれ独立に0または1を表し、b1、e1およびh1はそれぞれ独立に1〜8の整数を表し、c1およびf1はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。)
a1〜h1の総和は、3〜20であることが好ましい。そのような構造として下記式(54−1)〜(54−10)を挙げることができる。より好ましくはa1〜h1の総和が5〜10であり、そのような構造として下記式(54−2)〜(54−7)、(54−9)、(54−10)を例示することができる。
Figure 2013175421
01は下記式(51−a)〜(51−h)で示される基のいずれかを表す。
Figure 2013175421
(式(51−a)〜(51−h)中、Y05は直接結合、カルボニル基またはスルホニル基を表す。
Ar003は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む含硫黄芳香族基を表す。)
好ましいZ01の構造としては、式(51−a)〜(51−d)、(51−g)(51−h)であり、より好ましくは式(51−a)〜(51−c)、(51−g)であり、特に好ましくは式(51−a)〜(51−c)である。
01がチオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を含有することが好ましく、チオ基および−SO−からなる群より選ばれる1種以上の基を含有するものがより好ましい。Z01は硫黄原子以外にもヘテロ原子を含んでもよく、中でも15、16族のヘテロ原子を含むものが好ましい。該含硫黄芳香族基中の硫黄原子以外の15、16族のヘテロ原子としては、窒素原子、リン原子、砒素原子、アンチモン原子、ビスマス原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子が挙げられ、好ましくは、窒素原子、リン原子、酸素原子、セレン原子であり、より好ましくは、窒素原子、セレン原子であり、更に好ましくは窒素原子である。
式(51−a)〜(51−h)中、Ar003は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む含硫黄芳香族基を示す。該芳香族基は硫黄原子以外にもヘテロ原子を含んでもよい。該芳香族基としては、炭素数3〜50の芳香族基がより好ましい。具体的には、ジフェニルスルフィド、ベンゼンジチオールなどの単環性芳香族化合物の芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、チオキサントン、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、フェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、10−ベンゾイルフェノチアジン、エトプロパジン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17、などのヘテロ芳香族化合物の芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基などを挙げることができる。
上記炭化水素系芳香族基上の置換基としては、水酸基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基から選ばれる基を表す。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基として、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基として、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基などのアルキル基の群から選ばれる1つのアルキル基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基として、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基などのアルキル基の群から選ばれる2つのアルキル基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基として、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、o−フェノキシフェニル基、m−フェノキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、o−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、p−アミノフェニル基などの単環性アリール基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基などの縮環系アリール基、1−ピリジル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、1−チエニル基、2−チエニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基などのヘテロアリール基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基として、フェニルオキシ基、o−メチルフェニルオキシ基、m−メチルフェニルオキシ基、p−メチルフェニルオキシ基、o−メトキシフェニルオキシ基、m−メトキシフェニルオキシ基、p−メトキシフェニルオキシ基、o−エトキシフェニルオキシ基、m−エトキシフェニルオキシ基、p−エトキシフェニルオキシ基、o−フェノキシフェニルオキシ基、m−フェノキシフェニルオキシ基、p−フェノキシフェニルオキシ基、o−クロロフェニルオキシ基、m−クロロフェニルオキシ基、p−クロロフェニルオキシ基、o−ニトロフェニルオキシ基、m−ニトロフェニルオキシ基、p−ニトロフェニルオキシ基、o−アミノフェニルオキシ基、m−アミノフェニルオキシ基、p−アミノフェニルオキシ基などの単環性アリールオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラシルオキシ基、2−アントラシルオキシ基、4−アントラシルオキシ基などの縮環系アリールオキシ基、1−ピリジルオキシ基、2−ピリジルオキシ基、4−ピリジルオキシ基、1−ピロリルオキシ基、2−ピロリルオキシ基、1−チエニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、1−イミダゾリルオキシ基、2−イミダゾリルオキシ基、4−イミダゾリルオキシ基、2−チアゾリルオキシ基、4−チアゾリルオキシ基、5−チアゾリルオキシ基、1−ピラゾリルオキシ基、3−ピラゾリルオキシ基、4−ピラゾリルオキシ基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれる1つのアリール基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれる2つのアリール基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基として、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールスルホニル基として、フェニルスルホニル基、o−メチルフェニルスルホニル基、m−メチルフェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基、o−メトキシフェニルスルホニル基、m−メトキシフェニルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基、o−エトキシフェニルスルホニル基、m−エトキシフェニルスルホニル基、p−エトキシフェニルスルホニル基、o−フェノキシフェニルスルホニル基、m−フェノキシフェニルスルホニル基、p−フェノキシフェニルスルホニル基、o−クロロフェニルスルホニル基、m−クロロフェニルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、o−ニトロフェニルスルホニル基、m−ニトロフェニルスルホニル基、p−ニトロフェニルスルホニル基、o−アミノフェニルスルホニル基、m−アミノフェニルスルホニル基、p−アミノフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基、1−ピリジルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基、4−ピリジルスルホニル基、1−ピロリルスルホニル基、2−ピロリルスルホニル基、1−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基、1−イミダゾリルスルホニル基、2−イミダゾリルスルホニル基、4−イミダゾリルスルホニル基、2−チアゾリルスルホニル基、4−チアゾリルスルホニル基、5−チアゾリルスルホニル基、1−ピラゾリルスルホニル基、3−ピラゾリルスルホニル基、4−ピラゾリルスルホニル基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基として、具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基などが挙げられる。
Ar003は2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む含硫黄芳香族基を表し、硫黄原子以外のヘテロ原子を含んでもよく、中でも15、16族のヘテロ原子を含むものが好ましい。15、16族のヘテロ原子としては、上述のものが挙げられ、窒素原子、リン、酸素原子、硫黄原子、セレン原子を含むものが好ましく、窒素原子、リン原子、酸素原子、硫黄原子を含むものがより好ましく、窒素原子、硫黄原子を含むものがさらに好ましく、硫黄を含むものが特に好ましい。硫黄原子を含むものの中でもチオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有するAr003が好ましく、チオ基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有するものがより好ましい。より好ましいものとしては、Ar003が環内にチオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する複素環基であり、特に好ましくは、Ar003が該環内にチオ基を有する基である。該環状構造としては5員環および6員環が好ましく、特に好ましくは6員環である。なお、Ar003はイオン性であってもよく、電気的中性を満たすように任意の対イオンを有してよい。
チオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有するAr003の例として、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、チオキサントン、ジフェニルスルフィド、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾン、10−ベンゾイルフェノチアジン、エトプロパジン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17、2−(メチルチオ)ベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンズチアゾリル−2−ヒドラゾンから芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基を挙げることができる。
チオ基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有するAr003の具体的としては、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、チオキサントン、ジフェニルスルフィド、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾン、10−ベンゾイルフェノチアジン、エトプロパジン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(メチルチオ)ベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンズチアゾリル−2−ヒドラゾン、6−メチルメルカプトプリンから芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基を挙げることができる。
複素環の環状構造内にチオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基を有するAr003の具体的としては、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、チオキサントン、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾン、10−ベンゾイルフェノチアジン、エトプロパジン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾンから芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基を挙げることができる。
またAr003として、チオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有し、且つ、窒素原子を有するAr003が好ましい。より好ましいものとしては、Ar003がチオ基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有し、且つ、窒素原子を有する基であり、特に好ましくは、Ar003がチオ基を有し、且つ、窒素原子を有する基である。チオ基、−S+=で示される基、スルフィニル基および窒素原子は、Ar003の環状構造内に含まれる複素環構造であることが好ましい。該環状構造としては5員環および6員環が好ましく、特に好ましくは6員環である。
好ましい窒素原子の形態としては、アミノ基(−NR2,Rは水素原子であるか、任意の有機基であり、2つのRは同じであっても異なっていてもよく、2つのRが結合して環を形成してもよい。)、イミノ基(=NR、Rは水素原子であるか、任意の有機基である。)、窒素原子を含む複素環を有するようなピリジル基やイミダゾリル基中の=N−結合が挙げられる。
チオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有し、且つ、窒素原子を有するAr003の具体例としては、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾン、10−ベンゾイルフェノチアジン、エトプロパジン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17、2−(メチルチオ)ベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾン、6−メチルメルカプトプリンから芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基を挙げることができる。
環状構造内にチオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有し、且つ、環状構造内に窒素原子を有するAr003の具体例としては、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾン、10−ベンゾイルフェノチアジン、エトプロパジン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾンから芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基を挙げることができる。
6員環構造内にチオ基、−S+=で示される基およびスルフィニル基からなる群より選ばれる1種以上の基を有し、且つ、6員環構造内に窒素原子を有するAr003の具体例としては、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾン、10−ベンゾイルフェノチアジン、エトプロパジン、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17から芳香環上の水素原子を1つ取り去って得られる1価の基を挙げることができる。
Ar003は、下記式(57)で示される含硫黄複素環芳香族基であることが好ましい。
Figure 2013175421
(式(57)中、R023〜R030はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基を表わす。)
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基の具体例としては、上記の例で示したものとそれぞれ同様なものを挙げることができる。
式(57)の好ましい構造として、具体的には次の構造式(57−1)〜(57−5)を例示できる。好ましくは式(57−1)、(57−3)〜(57−5)であり、より好ましくは式(57−1)、(57−2)であり、特に好ましくは式(57−1)である。
Figure 2013175421
以上、式(51)の構造について詳しく述べたが、式(51)の好適な構造を具体的に例示すると、以下の通りである。
Figure 2013175421
上記具体例の中でも、原料が比較的容易に入手できるという観点から、式(100−1)〜(100−6)をより好ましく用いることができる。
次いで、式(52)の構造について説明する。
式(52)のRf2は直接結合、炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基または炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基を表す。好ましいRf2としては、炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基が挙げられる。Rf2の具体例としては、上述の式(51−1)〜(51−26)の構造を例示できる。
式(52)のイオン交換基としては、スルホ基およびその塩の基、ホスホノ基およびその塩の基、カルボキシ基およびその塩の基、スルホンイミド基その塩等が挙げられる。これらイオン交換基の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩などのアルカリ金属塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩などのテトラアリールホスホニウム塩などを挙げることができる。これらの中でも、スルホ基およびその塩の基、ホスホノ基およびその塩の基、カルボキシ基およびその塩の基、スルホンイミド基その塩の基の何れかが好ましい。更に好ましくは、スルホ基およびその塩の基であり、最も好ましくはスルホ基である。スルホ基であると、後述するように、当該フッ素系ポリマーを電解質膜として使用する場合、高いプロトン伝導性を確保でき、高い燃料電池性能を得ることができる。
式(52)のイオン交換前駆基としては、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基の前駆体が挙げられ、具体的には、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基中の−OH基部分をアルコキシ基、アリーロキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲノ基で置換されたものが挙げられる。
該アルコキシ基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基であり、直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられる。
該アリーロキシ基としては、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリーロキシ基であり、フェニルオキシ基、o−メチルフェニルオキシ基、m−メチルフェニルオキシ基、p−メチルフェニルオキシ基、o−メトキシフェニルオキシ基、m−メトキシフェニルオキシ基、p−メトキシフェニルオキシ基、o−エトキシフェニルオキシ基、m−エトキシフェニルオキシ基、p−エトキシフェニルオキシ基、o−フェノキシフェニルオキシ基、m−フェノキシフェニルオキシ基、p−フェノキシフェニルオキシ基、o−クロロフェニルオキシ基、m−クロロフェニルオキシ基、p−クロロフェニルオキシ基、o−ニトロフェニルオキシ基、m−ニトロフェニルオキシ基、p−ニトロフェニルオキシ基、o−アミノフェニルオキシ基、m−アミノフェニルオキシ基、p−アミノフェニルオキシ基などの単環性アリールオキシ基などが挙げられる。
上記式(52)で示される構造単位としては、下記式(55)で示される構造単位が好ましい。
Figure 2013175421
(式(55)中、X17〜X26はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
01は前記と同義である。
a2、d2およびg2はそれぞれ独立に0または1を表し、b2、e2およびh2はそれぞれ独立に1〜8の整数を表し、c2およびf2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。)
a2〜h2の総和は、3〜20であることが好ましい。そのような構造として下記式(55−1)〜(55−7)を挙げることができる。中でも、a2〜h2の総和が5〜10であることが好ましく、そのような構造として式(55−2)〜(55−5)、(55−7)を挙げることができる。
Figure 2013175421
式(55)に含有されるE01は、上述のものが挙げられ、その好ましい例も同様である。
次いで、式(53)の構造について説明する。
式(53)のRf3は直接結合、炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基または炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基を表す。好ましいRf3としては、炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基が挙げられる。Rf3の具体例としては、上述の式(51−1)〜(51−26)の構造を例示できる。
式(53)の構造単位を有することにより、ポリマー中には、親水的な部分であるイオン交換基またはイオン交換前駆基に加えて、式(53)の構造単位に由来する疎水的な部位が存在することとなる。これによりポリマーの耐水性が向上し、燃料電池に用いる部材として好適なものとなる。
具体的に、式(53)で表される構造単位として、次の式(53−1)〜(53−17)の構造を例示できる。
Figure 2013175421
上記式(53)で示される構造単位としては、下記式(56)で示される構造単位が好ましい。
Figure 2013175421
(式(56)中、X60〜X69はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
02は前記と同義である。
a3、d3およびg3はそれぞれ独立に0または1を表し、b3、e3およびh3はそれぞれ独立に1〜8の整数を表し、c3およびf3はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。)
a5〜h5の総和は3〜20であることが好ましい。そのような構造として上記式(53−3)〜(53−16)を挙げることができる。より好ましくはa5〜h5の総和は5〜10であり、そのような構造として上記式(53−4)〜(53−8)、(53−11)〜(53−16)を挙げることができる。
以上のような上記式(51)で示される構造単位と、上記式(52)で示される構造単位および上記式(53)で示される構造単位からなる群より選ばれる1種以上の構造単位と、を有するフッ素系ポリマーとしては、例えば、式(200−1)〜(200−49)で表される構造単位の組合せを有するものを例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
好ましくは式(200−1)〜(200−6)、(200−17)〜(200−46)であり、より好ましくは式(200−1)〜(200−6)、(200−23)〜(200−46)であり、更に好ましくは式(200−23)〜(200−46)である。
<フッ素系ポリマー前駆体およびフッ素系ポリマーの製造方法>
本発明のフッ素系ポリマーは、下記式(58)で示される構造単位と、下記式(59)で示される構造単位および下記式(60)で示される構造単位からなる群より選ばれる1種以上の構造単位とを有することを特徴とするフッ素系ポリマー前駆体を原料として製造することができる。
Figure 2013175421
(式(58)中、X30〜X42はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
1はクロロ基、ブロモ基またはヨード基を表す。
a3、d3およびg3はそれぞれ独立に0または1を表し、b3、e3およびh3はそれぞれ独立に1〜8の整数を表し、c3,f3,およびh3はそれぞれ独立に0〜8の整数を表し、a3〜h3の整数の総和は5〜10である。)
Figure 2013175421
(式(59)中、X43〜X55はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
03はイオン交換基またはイオン交換前駆基を表す。
a4、d4およびg4はそれぞれ独立に0または1の整数を表し、b4、e4およびh4はそれぞれ独立に1〜8の整数を表し、c4、f4およびh4はそれぞれ独立に0〜8の整数を表し、a4〜h4の整数の総和は5〜10である。)
Figure 2013175421
(式(60)中、X56、X57、X58はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
Rf4は、直接結合、炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基または炭素数1〜100のパーフルオロアルキレン基と−O−とからなる2価の基を表す。
04はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。)
ここで、X30〜X32およびX43〜X45が全てフッ素原子であることが好ましい。
03はイオン交換基またはイオン交換前駆基を表すが、具体的には式(52)のものと同様なものを挙げることができ、その好ましい例も同様である。
Rf4の具体例としては、前記式(53)中のRf3と同じ構造を示すことができ、その好ましい例も同様なものが挙げられる。
上述の通り、本発明のフッ素系ポリマー前駆体としては、例えば、次の式(300−1)〜(300−30)の構造を例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
好ましくは、式(300−1)〜(300−8)、(300−13)〜(300−20)、(300−25)〜(300−30)であり、より好ましくは式(300−13)〜(300−20)、(300−25)〜(300−30)である。
上述のフッ素系ポリマーの製造方法として、以下の方法が挙げられる。
(製法1)前記式(51)で示される構造単位を与える下記式(61)で示されるモノマーと、前記式(52)で示される構造単位を与える下記式(62)で示されるモノマーと、前記式(53)で示される構造単位を与える下記式(63)示されるモノマーと、からなる群から選ばれる1種以上のモノマーを共重合する方法(共重合法)。
Figure 2013175421
(式(61)中、Xa1〜Xa3、Rf1およびZ01は前記と同義である。)
Figure 2013175421
(式(62)中、Xa4〜Xa6、Rf2およびE01は前記と同義である。)
Figure 2013175421
(式(63)中、Xa7〜Xa9、Rf3およびE02は前記と同義である。)
(製法2)前記式(51)中のZ01基になり得る化合物および/または前記式(52)中のE01基になり得る化合物と反応して、Z01基および/またはE01基に変換し得る官能基含有構造単位を含むフッ素系ポリマー前駆体と、前記式(51)中のZ01基になり得る化合物および/または前記式(52)中のE01基になり得る化合物とを高分子反応させる方法(高分子反応法)。
本発明のフッ素系ポリマーの製造方法として、好ましくは高分子反応法が挙げられる。好ましい高分子反応法としては、前記式(51)中のZ01基になり得る化合物と反応してZ01基に変換し得る官能基含有構造単位を含むフッ素系ポリマー前駆体と、前記式(51)中のZ01基になり得る化合物とを高分子反応させる方法である。
上記の高分子反応法におけるフッ素系ポリマー前駆体中のZ01基および/またはE01基に変換し得る官能基としては、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、フルオロカルボニル基、クロロカルボニル基、ブロモカルボニル基、ヨードカルボニル基、フルオロスルホニル基、クロロスルホニル基、ブロモスルホニル基、ヨードスルホニル基が挙げられる。これらの官能基を含有する構造単位と前記式(52)で示される構造単位を持つフッ素系ポリマー前駆体が好ましく用いられる。
フッ素系ポリマー前駆体の具体的な好ましい例の一つとして、前述のフッ素系ポリマー前駆体が挙げられる。
高分子反応法における前記式(51)中のZ01基になり得る化合物としては、下記式(64−a)〜(64−g)などが挙げられる。
Figure 2013175421
(式(64−a)〜(64−g)中、Ar003は芳香族基を表す。)
Ar003の具体例およびその好ましい例は上述と同様である。
高分子反応法の具体例として、上記のフッ素系ポリマー前駆体と上記式(64−a)〜(64−g)を反応させる方法が挙げられる。
上記反応では溶媒を用いることができ、溶媒としては種々の溶媒を用いることができる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)などの非プロトン性極性溶媒、またはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル、2H,3H-デカフルオロペンタン、エイコサフルオロノナン、ヘプタコサフルオロトリブチルアミン、ヘキサフルオロベンゼン、オクタデカフルオロオクタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロトリエチルアミン、1H,1H,10H,10H-ヘキサデカフロオロ-1,10-デカンジオール、1H,1H-ノナフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブタノール、ヘプタフルオロ酪酸メチルなどのフッ素系溶媒、水などが挙げられる。
また、反応を促進させる為、反応を塩基性条件とすることもできる。塩基としては種々の塩基を用いることができ、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、アンモニア、などの無機塩基、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水素化物、ブチルリチウム、メチルリチウムなどの有機金属などが挙げられる。また、塩基成分として、上記の式(2−b)、(2−c)を塩基として用いることもできる。
具体的な高分子反応法の反応の一例を以下に示す。
Figure 2013175421
加水分解可能なイオン交換前駆体基やイオン交換基の塩の基は、加水分解、酸処理などにより酸型のイオン交換基へと誘導することができる。一例を以下に示す。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
上述のフッ素系ポリマー前駆体の製造方法としては、前記式(58)で示される構造単位を与える下記式(65)で示されるモノマーと、前記式(59)で示される構造単位を与える下記式(66)で示されるモノマーと、前記式(60)で示される構造単位を与える下記式(67)示されるモノマーと、からなる群から選ばれる1種以上のモノマーを共重合する方法が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(65)において、X30〜X42、Q1、a3〜h3は前記と同義であり、その好ましい例も同様である。)
Figure 2013175421
(式(66)において、X43〜X55、E03、a3〜h3は前記と同義であり、その好ましい例も同様である。)
Figure 2013175421
(式(67)において、X56〜X58、Rf4、E04は前記と同義であり、その好ましい例も同様である。)
前記式(65)で示されるフッ素モノマーとしては以下のものを例示することができる。
CF2=CFOCF2CF21
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF21
CF2=CFO(CF251
CF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF21
CF2=CFCF2OCF2CF21
CF2=CFCF21
CF2=CFCF2CF21
CF=CF(CF23OCF2CF21
前記式(66)で示されるフッ素モノマーとしては以下のものを例示することができる。
CF2=CFO(CF23OCF(CF3)COF
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2
CF2=CFO(CF25COF
CF2=CFO(CF25COOCH3
CF2=CFOCF2CF(CF2)O(CF22COOCH3
CF2=CFO(CF23OCF(CF3)COOCH3
CF2=CFCF2OCF2CF2COF
CF2=CFCF2OCF2CF2COOCH3
前記式(67)で示されるフッ素モノマーとしては以下のものを例示することができる。
CF2=CFOCF2OCF3
CF2=CFOCF2CF2(OCF25OCF3
CF2=CFOCF2CF2(OCF24OCF3
CF2=CFOCF2CF2(OCF23OCF3
CF2=CFOCF2CF2(OCF22OCF3
CF2=CFO(CF23OCF3
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF3
CF2=CFOCF2CF2CF3
CF2=CFCF2OCF2OCF3
CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF25OCF3
CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF24OCF3
CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF23OCF3
CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF22OCF3
CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2OCF3
CF2=CFCF2O(CF23OCF3
CF2=CFCF2OCF3
CF2=CF2
CF2=CF(CF3
フッ素系ポリマー前駆体の製造におけるモノマーの種類は2つ以上用いればよく、その共重合比は任意の広い範囲で選択できる。
該共重合法としては、たとえばラジカル共重合法、アニオン共重合法、カチオン共重合などの方法が採用できる。また、重合形態としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合およびバルク重合などが採用できる。得られるフッ素系ポリマー前駆体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体であってもよい。
ラジカル重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、たとえば有機または無機ラジカル重合開始剤、熱、光、または電離放射線などの活性エネルギー線によって開始される。重合の形態も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。また、分子量は重合に用いるモノマーの濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度などによって制御される。共重合体組成は仕込みモノマーの組成により制御可能である。
上述のような高分子成分を高分子電解質に配合する場合、その配合量は、高分子電解質が有しているイオン伝導性等の特性を著しく損なうことない範囲で選択される。好適な配合量の下限は、高分子電解質膜の全質量に対して、高分子成分が0.01質量部以上であり、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上であり、特に好ましくは1質量部以上である。
好適な配合量の上限は、高分子電解質膜の全質量に対して、高分子成分が50質量部以下であり、好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下であり、さらに好ましくは10質量部以下であり、特に好ましくは6質量部以下である。このような範囲であると燃料電池の長期安定性を達成できるだけでなく、高分子電解質の特性を十分に発揮でき、高分子電解質膜の発電性能等が十分に発揮される。
(第3の高分子成分)
次に、第3の高分子成分について説明する。
また、本実施形態の高分子電解質膜12では、劣化防止剤として下記式(71)で表される第1の構造単位と、下記式(72)で表される第2の構造単位とを有する含硫黄重合体(第3の高分子成分)を用いることができる。
Figure 2013175421
(式(71)中、Ara01およびAra02はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。Ea01は直接結合、チオ基、スルフィニル基またはオキシ基を表す。Ea02はチオ基またはスルフィニル基を表す。)
Figure 2013175421
(式(72)中、Ara03およびAra04はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。Ea03は直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基または下記式(73)で表される基を表す。Ya01は直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基または下記式(73)で表される基を表す。)
Figure 2013175421
(式(73)中、Ra1およびRa2はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、Ra1とRa2とが連結して環を形成していてもよい。)
(含硫黄重合体)
まず、本実施形態の高分子電解質組成物に用いられる含硫黄重合体について説明する。
上記式(71)で表される第1の構造単位において、Ara01およびAra02はそれぞれ同一または相異なり、置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。該アリーレン基の好ましい炭素数としては、3〜20であり、より好ましくは5〜12であり、特に好ましくは6〜10である。
上記の炭素数3〜50のアリーレン基として、ベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル等の単環性芳香環、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン等の縮環系芳香環、およびフラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン等のヘテロ原子を環内に含む芳香環、から芳香環上の水素原子を2つ取り去って得られる2価の基が挙げられる。
好ましくは、ベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル等の単環性芳香環、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン等の縮環系芳香環から芳香環上の水素原子を2つ取り去って得られる2価の基である。
より好ましくは、ベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル等の単環性芳香環から芳香環上の水素原子を2つ取り去って得られる2価の基である。
上記炭素数3〜50のアリーレン基は置換基を有してもよく、該置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
上記炭素数3〜50のアリーレン基が有していてもよい置換基は、好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
特に好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
前記ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基またはクロロ基が挙げられ、より好ましくはフルオロ基である。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の直鎖状アルキル基;イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐鎖状アルキル基;トリフルオロメチル基等の前述の直鎖状アルキル基や分岐鎖状アルキル基上の水素原子を1以上のハロゲン原子で置換した基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。
なお、直鎖状アルキル基の例示として炭素数12のもの(ドデシル基)まで示し、炭素数13〜20までのアルキル基については省略している。また、分岐鎖状アルキル基の例示として、炭素数4のもの(ブチル基)について示し、他の炭素数のアルキル基については省略している。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でヒドロキシ基の水素原子を置換した基等が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基として、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、ビフェニル基等の単環性アリール基;1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基等の縮環系アリール基;2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基等のヘテロアリール基等が挙げられる。なお、例示した単環性アリール基においては、フェニル基上の置換基の結合位置が、オルト位(o−)、メタ位(m−)、パラ位(p−)のいずれのものも採用することができる。
好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でヒドロキシ基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基が、スルホニル基に1つ結合した1価の基が挙げられる。具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基等が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基が、スルホニル基に1つ結合した1価の基が挙げられる。
具体的には、フェニルスルホニル基、メチルフェニルスルホニル基、メトキシフェニルスルホニル基、エトキシフェニルスルホニル基、フェノキシフェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基等の単環性アリールスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基等の縮環系アリールスルホニル基;3−フリルスルホニル基、2−フリルスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基等のヘテロアリールスルホニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、好ましくは、フェニルスルホニル基、メチルフェニルスルホニル基、メトキシフェニルスルホニル基、エトキシフェニルスルホニル基、フェノキシフェニルスルホニル基等の単環性アリールスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基等の縮環系アリールスルホニル基が挙げられる。
式(71)中のEa01は、直接結合、チオ基、スルフィニル基またはオキシ基を表す。Ea01として、好ましくは直接結合、チオ基またはスルフィニル基であり、より好ましくは直接結合またはチオ基であり、特に好ましくはチオ基である。
式(71)中のEa02は、チオ基またはスルフィニル基を表し、好ましくはチオ基である。
上記式(72)で表される第2の構造単位において、Ara03およびAra04はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。Ara03およびAra04における置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基としては、上記Ara01およびAra02における置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基と同様なものをあげることができ、その好ましい例も同様である。
式(72)中のEa03は、直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基または下記式(73)で表される基を表す。好ましくは、チオ基、スルフィニル基またはオキシ基であり、より好ましくはチオ基またはオキシ基であり、特に好ましくはチオ基である。
Figure 2013175421
(式(73)中、Ra1およびRa2はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、Ra1とRa2とが連結して環を形成していてもよい。)
式(73)中のRa1およびRa2は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、Ra1とRa2とが連結して環を形成していてもよい。
a1およびRa2における置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基における置換基と同様なものをあげることができ、その好ましい例も同様である。
式(73)中のRa1とRa2とは連結して環を形成していてもよい。Ra1とRa2とが連結して形成される環を有する式(72)の基としては、シクロヘキシリデン基等の炭素数5〜20の2価の環状炭化水素基が挙げられる。
式(72)中のYa01は、直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基または上記式(73)で表される基を表す。
a01は好ましくは直接結合、カルボニル基、スルホニル基または上記式(73)で表される基であり、より好ましくは直接結合、カルボニル基またはスルホニル基であり、よりさらに好ましくはカルボニル基またはスルホニル基であり、特に好ましくはスルホニル基である。
このような含硫黄重合体のより好ましいものとして、上記式(72)で示される構造単位の数に対して上記式(71)で示される構造単位の数の比が0.1〜100の範囲であると好ましく、より好ましくは0.3〜10であり、よりさらに好ましくは0.4〜2であり、特に好ましくは0.6〜1.5である。このような範囲にあると、後述する高分子電解質組成物溶液で用いられる溶媒に対し、含硫黄重合体の溶解性、分散性が良好となる傾向にある。
また、本実施形態の含硫黄重合体は、第2の構造単位が下記式(74)で表される構造単位であると好ましい。
Figure 2013175421
(式(74)中、Ra01〜Ra08は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
a04は直接結合、チオ基、スルフィニル基またはオキシ基を表す。
a01は直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、または上記式(73)で表される基を表す。)
式(74)中のRa01〜Ra08は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
a01〜Ra08における、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基が挙げられる。
好ましいRa01〜Ra08としては、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
式(74)中のEa04は、直接結合、チオ基、スルフィニル基またはオキシ基を表す。好ましくはチオ基、スルフィニル基またはオキシ基であり、より好ましくはチオ基またはオキシ基であり、特に好ましくはチオ基である。
式(74)中のYa01は、直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基または上記式(73)で表される基を表す。好ましくは直接結合、カルボニル基、スルホニル基または上記式(73)で表される基であり、より好ましくは直接結合、カルボニル基またはスルホニル基であり、よりさらに好ましくはカルボニル基またはスルホニル基であり、特に好ましくはスルホニル基である。
上記式(74)で示される構造単位として、下記式(74−1)〜(74−19)で表される構造単位を例示することができる。
Figure 2013175421
また、本実施形態の含硫黄重合体は、第1の構造単位が下記式(75)で表される構造単位であると好ましい。
Figure 2013175421
(式(75)中、Ra09〜Ra16は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
a05およびEa06はそれぞれチオ基またはスルフィニル基を表す。)
式(75)中、Ra09〜Ra16は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
a09〜Ra16におけるハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記Ra01〜Ra08において例示したものと同様なものが挙げられる。
好ましいRa09〜Ra16としては、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、水素原子、メルカプト基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
上記式(75)中、Ea05およびEa06はそれぞれチオ基またはスルフィニル基を表し、好ましくはチオ基である。
上記式(75)で示される構造単位として、下記式(75−1)〜(75−16)で表される構造単位を例示することができる。
Figure 2013175421
また、本実施形態の含硫黄重合体は、下記式(76)で表される構造を有するとより好ましい。
Figure 2013175421
(式(76)中、Ra17〜Ra32は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。Ea07は、チオ基、スルフィニル基、またはオキシ基を表す。Ya03は、カルボニル基またはスルホニル基を表す。Ea08およびEa09はそれぞれチオ基またはスルフィニル基を表わす。)
式(76)中のRa17〜Ra32は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
a17〜Ra32における、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基が挙げられる。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
さらに好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
式(76)中のEa07は、チオ基、スルフィニル基、またはオキシ基を表す。好ましくはチオ基またはオキシ基であり、より好ましくはチオ基である。
式(76)中のYa03は、カルボニル基またはスルホニル基を表す。好ましくはスルホニル基である。
式(76)中のEa08およびEa09は、それぞれチオ基またはスルフィニル基を表わす。好ましくはチオ基である。
上記式(76)で示される構造単位として、下記式(76−1)〜(76−16)で表される構造単位を例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
本実施形態の含硫黄重合体は、下記式(77)で表される構造単位を末端基として有すると好ましい。
Figure 2013175421
(式(77)中、Ra33〜Ra40は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。Ea10は、チオ基、スルフィニル基、またはオキシ基を表す。Ya04は、カルボニル基、スルホニル基、−C(CH32−で示される基、または−C(CF32−で示される基を表す。Ea11は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。)
式(77)中のRa33〜Ra40は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
a33〜Ra40における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基が挙げられる。
好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
より好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
式(77)中のEa10は、チオ基、スルフィニル基またはオキシ基を表す。好ましくはチオ基またはオキシ基であり、より好ましくはオキシ基である。
式(77)中のYa04は、カルボニル基、スルホニル基、−C(CH32−で示される基、または−C(CF32−で示される基を表す。好ましくはカルボニル基またはスルホニル基であり、より好ましくはスルホニル基である。
式(77)中のEa11は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
a11における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基が挙げられる。
好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子またはヒドロキシ基である。
特に好ましくは、ヒドロキシ基である。
本実施形態の含硫黄重合体は、上記式(77)で示される構造単位を末端基として有することにより、後述する高分子電解質組成物溶液で用いられる溶媒に対する含硫黄重合体の溶解性、分散性を調整することができる。
上記式(77)で示される構造単位として、下記式(77−1)〜(77−8)で表される構造単位を例示することができる。
Figure 2013175421
上記式(76)で示される構造単位と上記式(77)で示される構造単位の好ましい組み合わせとして、下記式(78−1)〜(78−5)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2013175421
(上記式(78−1)〜(78−5)中、nはそれぞれ繰り返し単位数を表す。)
上記含硫黄重合体の数平均分子量としては1300を超えるものが好ましく、より好ましくは1300超〜1000000未満であり、さらに好ましくは1300超〜10000未満であり、よりさらに好ましくは1300超〜5000未満であり、ことさらに好ましくは1400超〜4000未満であり、特に好ましくは1600超〜3000未満である。1300を超えるものであると、含硫黄重合体を、高分子電解質に配合して高分子電解質膜とした場合、高分子電解質膜から含硫黄重合体が流出しにくくなるため、好ましい。
含硫黄重合体の数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするGPC法により測定される。GPC測定条件は、上記(第2の低分子成分)において示したGPC測定条件と同じである。
次に、上記含硫黄重合体を製造するための方法について説明する。含硫黄重合体の製造方法としては、下記(9−1)〜(9−5)の製造方法が挙げられる。
(9−1)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、または上記式(73)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーと、チオ基またはスルフィニル基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジチオールモノマーとの重合反応。
(9−2)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、または上記式(73)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーと、チオ基またはスルフィニル基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジオールモノマーとの重合反応。
(9−3)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、または上記式(73)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジオールモノマーと、チオ基またはスルフィニル基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーとの重合反応。
(9−4)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、または上記式(73)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーと、単環性芳香族ジチオールモノマーまたは縮環性芳香族ジチオールモノマーとの重合反応。
(9−5)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、または上記式(73)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーと、硫黄または硫化水素との重合反応。
上記芳香族ジハロゲン化物、芳香族ジチオール、芳香族ジオールにおけるアリーレン基としては、上記Ara01およびAra02における置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基と同様なものをあげることができ、その好ましい例も同様である。
上記芳香族ジハロゲン化物におけるハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基、クロロ基が挙げられる。
上記(9−4)の反応における単環性芳香族ジチオールとしては、1,2−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、5−ブロモ−1,3−ベンゼンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、4,4’−ビフェニルジチオールなどが挙げられ、縮環性芳香族ジチオールとしては1,5−ナフタレンジチオールなどが挙げられる。
また、上記(9−1)〜(9−5)の反応においては、反応を促進させる為、反応系内に塩基を共存させることもできる。塩基としては種々の塩基を用いることができ、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、アンモニア、などの無機塩基、トリエチルアミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイドなどの有機塩基などが挙げられる。
上記(9−1)〜(9−5)の反応では溶媒を用いることができ、特に限定するものではないが、使用可能な溶媒としては、例えば、ヘキサン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒、またはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒などが挙げられる。
上記(9−1)〜(9−5)の反応の中でも好ましくは(9−1)、(9−4)、(9−5)であり、より好ましくは(9−1)、(9−4)であり、特に好ましくは(9−1)である。
上記(9−1)の反応として、下記式(79−1−1)〜(79−1−12)で表される反応を例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(上記式(79−1−1)〜(79−1−12)中、nはそれぞれ繰り返し単位数を表す。)
また、上記式(77)で表される末端基は、上記(9−1)〜(9−5)の反応で得られる含硫黄重合体と、上記式(77)で表される構造を有する化合物と、を反応させることで導入することができる。上記(9−1)〜(9−5)の反応で得られる含硫黄重合体は、末端にハロゲノ基、メルカプト基、またはヒドロキシ基を有している。そのため、上記式(77)で表される構造を有する化合物であって、これらの官能基と反応し得るものと、上記(9−1)〜(9−5)の反応で得られる含硫黄重合体と、を反応させることにより、末端が上記式(77)で表される基で修飾された含硫黄重合体を得ることができる。上記含硫黄化合物の末端に含まれるハロゲノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基の残存量は、上記(9−1)〜(9−5)の反応において、末端に導入したい基を有するモノマーを、もう一方のモノマーに対して小過剰用いることで制御することができる。
上記末端基の導入反応としては下記(10−1)〜(10−4)が挙げられる。
(10−1)末端にハロゲノ基を有する含硫黄重合体と、上記式(77)で表される構造を備えヒドロキシ基を有する芳香族化合物と、の反応。
(10−2)末端にハロゲノ基を有する含硫黄重合体と、上記式(77)で表される構造を備えメルカプト基を有する芳香族化合物と、の反応。
(10−3)末端にメルカプト基を有する含硫黄重合体と、上記式(77)で表される構造を備えハロゲノ基を有する芳香族化合物と、の反応。
(10−4)末端にヒドロキシ基を有する含硫黄重合体と、上記式(77)で表される構造を備えハロゲノ基を有する芳香族化合物と、の反応。
上記ハロゲノ基を有する芳香族化合物、ヒドロキシ基を有する芳香族化合物、メルカプト基を有する芳香族化合物の好ましい例としては、下記式(80)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(80)中、Ra33〜Ra40、Ya04、Ea11はそれぞれ、上記式(77)中のそれらと同義である。Ea12はハロゲノ基、ヒドロキシ基、またはメルカプト基を表す。)
上記Ea12はハロゲノ基、ヒドロキシ基、またはメルカプト基を表す。好ましくはヒドロキシ基、メルカプト基が挙げられ、より好ましくはヒドロキシ基が挙げられる。
上記Ea12におけるハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基、クロロ基が挙げられる。
また、上記(10−1)〜(10−4)の反応においては、反応を促進させる為、反応系内に塩基を共存させることもできる。塩基としては種々の塩基を用いることができ、例えば上記(9−1)〜(9−5)の反応における塩基などが挙げられる。
上記(10−1)〜(10−4)の反応では溶媒を用いることができ、特に限定するものではないが、使用可能な溶媒としては、例えば上記(9−1)〜(9−5)の反応における溶媒などが挙げられる。
上記(10−1)〜(10−4)の反応の中でも好ましくは(10−1)、(10−2)であり、より好ましくは(10−1)である。
上記(10−1)の反応として、下記式(81−1−1)〜(81−1−8)で表される反応を例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(上記式(81−1−1)〜(81−1−8)中、nはそれぞれ繰り返し単位数を表す。)
(オリゴマー成分)
次に、オリゴマー成分について説明する。
本発明の実施形態における「オリゴマー成分」は、含硫黄複素環芳香族化合物の分子構造が有する繰り返し単位数に着目した概念である。このような成分は燃料電池の長期安定性を達成できるだけでなく、高分子電解質膜の発電性能が十分に発揮される。
本発明の実施形態におけるオリゴマー成分に使用される好適な化合物として、下記式(71)で示される含硫黄複素環芳香族化合物が挙げられる。
Figure 2013175421
(式(91)中、A0001およびA0002は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物から水素原子を1つ取り去って得られる1価の芳香族環含有基である。
0003は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物から水素原子を2つ取り去って得られる2価の芳香族環含有基である。pは1以上4以下の整数を表す。)
なお、本明細書において「芳香族基」とは、基の母体化合物である芳香族化合物が有する水素原子のうち、芳香族化合物に含まれる芳香族性を示す基に結合する水素原子を取り去って得られる基を指す。
また、本明細書において「芳香族環含有基」とは、上記芳香族基を構造内に含む基を指す。
上記式(91)で示される含硫黄複素環芳香族化合物は、有機溶媒への溶解性または分散性が高いものが好ましい。この観点から、含硫黄複素環芳香族化合物の好ましい分子量としては分子量1300以下であり、より好ましくは550以上1300以下であり、よりさらに好ましくは570以上1200以下であり、ことさらに好ましくは570以上1000以下であり、特に好ましくは590以上800以下である。
分析により含硫黄複素環芳香族化合物の分子量を求める場合、上記式(91)においてpが1〜3の場合は、質量分析法を用いる。
また、上記式(91)においてpが4の場合は、GPC法により測定される数平均分子量を、含硫黄複素環芳香族化合物の分子量として用いる。GPC測定条件は、上記(第2の低分子成分)において示したGPC測定条件と同じである。
式(91)中、A0001およびA0002は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物から水素原子を1つ取り去って得られる1価の芳香族環含有基である。
このような芳香族環含有基としては、A0001およびA0002のもととなる芳香族化合物が、複素環のほかに芳香族性を有する環を有し、複素環に含まれる硫黄原子と、芳香族性を有する環と、が直接結合しているものであり、このような芳香族化合物から、水素原子を1つ取り去って得られる1価の芳香族環含有基であることが好ましい。
また、A0001およびA0002のもととなる芳香族化合物が、複素環と芳香族性を有する環とが縮環した多環式芳香族化合物であり、このような多環式芳香族化合物から、水素原子を1つ取り去って得られる1価の芳香族環含有基であることがより好ましい。
また、A0001およびA0002のもととなる芳香族化合物が、複素環に2以上の芳香族性を有する環が縮環した三環式以上の多環式芳香族化合物であり、このような多環式芳香族化合物から、水素原子を1つ取り去って得られる1価の芳香族環含有基がさらに好ましい。
なお、上述した芳香族環含有基において、芳香族化合物から取り去る水素原子は、芳香族性を有する環に結合するものが好ましい。
式(91)中のA0001およびA0002としては、例えば、フェノチアジン系化合物、チアゾール系化合物などから選ばれる化合物から、芳香環に結合する水素原子を1つ取り去って得られる1価の芳香族基を例示することができる。
上記フェノチアジン系化合物とは、フェノチアジン、以下の式(91A)で示される骨格を有する化合物、式(91B−1)または式(91B−2)で示される共鳴構造を有する骨格を有する化合物、または式(91C)で示される骨格を有する化合物のことを指す。なお、以下の式(91A)で示される骨格を有する化合物のことを、「フェノチアジン誘導体」と称することがある。
Figure 2013175421
(式中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。)
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(式中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。Dは酸素原子または硫黄原子を表す。)
式(91)中のA0001およびA0002のもととなるフェノチアジン系化合物として、具体的には、フェノチアジン、10−フェニルフェノチアジン、10−(3−フルオロフェニル)フェノチアジン、N−ベンゾイルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、エトプロパジン、(以上、上記式(91A)の骨格を有する化合物)、アズールB、アズールII、メチレンブルー、ベーシックグリーン5、チオニンクロライド、チオニンアセテート、ベーシックブルー17(以上、上記式(91B−1)または式(91B−2)の骨格を有する化合物)、3−フェノチアゾン(以上、上記式(91C)の骨格を有する化合物)などが挙げられる。これらの化合物は、それぞれ置換基を有していてもよい。
このようなフェノチアジン系化合物として、好ましくは、フェノチアジン、10−フェニルフェノチアジン、10−(3−フルオロフェニル)フェノチアジン、N−ベンゾイルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、エトプロパジン、チオニンクロライド、チオニンアセテート、3−フェノチアゾンである。
より好ましくは、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−エチルチオフェノチアジン、2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾンである。
特に好ましくは、フェノチアジン、10−メチルフェノチアジン、フェノチアジン−5−オキサイド、3−フェノチアゾンである。
これらの化合物は、それぞれ置換基を有していてもよい。
上記チアゾール系化合物とは、チアゾール環を有する化合物であり、具体的には、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、3−エチルベンゾチアゾリウムブロミド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド、2−フェニルベンゾチアゾール、2−(メチルチオ)ナフト[1,2−d]チアゾール、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらの化合物は、それぞれ置換基を有していてもよい。
上記式(91)中のA0001およびA0002は、置換基を有していてもよい。
0001およびA0002が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基が挙げられる。
好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基である。
より好ましい置換基としては、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基である。
特に好ましい置換基としては、シアノ基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基である。
前記ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの直鎖状アルキル基;イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの分岐鎖状アルキル基;トリフルオロメチル基などの前述の直鎖状アルキル基や分岐鎖状アルキル基上の水素原子を1以上のハロゲン原子で置換した基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基が挙げられる。
なお、直鎖状アルキル基の例示として炭素数12のもの(ドデシル基)まで示し、炭素数13〜20までのアルキル基については省略している。また、分岐鎖状アルキル基の例示として、炭素数4のもの(ブチル基)について示し、他の炭素数のアルキル基については省略している。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基で水酸基の水素原子を置換した基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれる2つのアルキル基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基として、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、ニトロフェニル基、アミノフェニル基、ビフェニル基などの単環性アリール基;1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基などの縮環系アリール基;3−ピリジル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基などのヘテロアリール基などが挙げられる。なお、例示した単環性アリール基においては、フェニル基上の置換基の結合位置が、オルト位(o−)、メタ位(m−)、パラ位(p−)のいずれのものも採用することができる。
好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ニトロフェニル基、アミノフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基、3−チエニル基、2−チエニル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基で水酸基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でアミノ基の1つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれる2つのアリール基でアミノ基の2つの水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基が、スルホニル基に1つ結合した1価の基が挙げられる。具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基などが挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基が、スルホニル基に1つ結合した1価の基が挙げられる。
具体的には、フェニルスルホニル基、メチルフェニルスルホニル基、メトキシフェニルスルホニル基、エトキシフェニルスルホニル基、フェノキシフェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基、ニトロフェニルスルホニル基、アミノフェニルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基;3−ピリジルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基、4−ピリジルスルホニル基、1−ピロリルスルホニル基、2−ピロリルスルホニル基、3−ピロリルスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基、1−イミダゾリルスルホニル基、2−イミダゾリルスルホニル基、4−イミダゾリルスルホニル基、2−チアゾリルスルホニル基、4−チアゾリルスルホニル基、5−チアゾリルスルホニル基、1−ピラゾリルスルホニル基、3−ピラゾリルスルホニル基、4−ピラゾリルスルホニル基などのヘテロアリールスルホニル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、好ましくは、フェニルスルホニル基、メチルフェニルスルホニル基、メトキシフェニルスルホニル基、エトキシフェニルスルホニル基、フェノキシフェニルスルホニル基、ニトロフェニルスルホニル基、アミノフェニルスルホニル基などの単環性アリールスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基などの縮環系アリールスルホニル基;3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でカルボキシ基の水素原子を置換した基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でカルボキシ基の水素原子を置換した基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でジヒドロキシボリル基の水素原子を置換した基、および4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でジヒドロキシボリル基の水素原子を置換した基、およびカテコラトボリル基が挙げられる。
式(91)中、A0003は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物から水素原子を2つ取り去って得られる2価の芳香族環含有基である。
このような芳香族環含有基としては、A0003のもととなる芳香族化合物が、複素環のほかに芳香族性を有する環を有し、複素環に含まれる硫黄原子と、芳香族性を有する環と、が直接結合しているものであり、このような芳香族化合物から、水素原子を2つ取り去って得られる2価の芳香族環含有基であることが好ましい。
また、A0003のもととなる芳香族化合物が、複素環と芳香族性を有する環とが縮環した多環式芳香族化合物であり、このような多環式芳香族化合物から、水素原子を2つ取り去って得られる2価の芳香族環含有基であることがより好ましい。
また、A0003のもととなる芳香族化合物が、複素環に2以上の芳香族性を有する環が縮環した三環式以上の多環式芳香族化合物であり、このような多環式芳香族化合物から、水素原子を2つ取り去って得られる2価の芳香族環含有基がさらに好ましい。
なお、上述した芳香族環含有基において、芳香族化合物から取り去る水素原子は、芳香族性を有する環に結合するものが好ましく、上述の三環式以上の多環式芳香族化合物においては、複素環に縮環した芳香族性を有する環のうち異なる環から、水素原子を1つずつ取り去って得られる2価の芳香族環含有基がさらに好ましい。この場合、A0003は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物を母体とする2価の芳香族基となる。
式(91)中のA0003としては、例えば、チアゾール系化合物やフェノチアジン系化合物から、芳香環に結合する水素原子を少なくとも1つ取り去り、且つ合計で2つ取り去って得られる2価の芳香族基を例示することができる。ここでのチアゾール系化合物およびフェノチアジン系化合物とは、上記のA0001およびA0002におけるチアゾール系化合物およびフェノチアジン系化合物と同様なものを例示することができ、その好ましい例も同様である。
0003は置換基を有していてもよい。A0003が有してもよい置換基としては、上記のA0001およびA0002における置換基と同様なものを例示することができ、その好ましい例も同様である。
式(91)中、pは1以上4以下の整数を表す。好ましいpの範囲としては1以上3以下であり、より好ましくは1または2である。
上記含硫黄複素環芳香族化合物は、下記式(92)で表されるものが好ましい。
Figure 2013175421
(式(92)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
0001〜R0006はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基を表す。
0001は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基を示す。
2およびB3は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物から水素原子を1つ取り去って得られる1価の芳香族環含有基である。
4およびB5は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物から水素原子を2つ取り去って得られる2価の芳香族環含有基である。
qおよびsは0以上3以下の整数を表わし、rは1以上4以下の整数を表わし、q、rおよびsの総和は1以上4以下である。)
式(92)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表し、好ましくはチオ基である。
式(92)中、R0001〜R0006はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基を表す。
0001は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基を示す。
0001〜R0006におけるハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基としては、A0001およびA0002が有してもよい置換基の例示であげたものと同様なものをあげることができ、その好ましい例も同様である。
式(92)中、Z0001は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基を表す。
0001における、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基としては、A0001およびA0002が有してもよい置換基の例示であげたものと同様なものが挙げられる。
0001における、置換基を有していてもよいアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは炭素数2〜5のアルキル基である。
0001における、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基としては、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基の例示の群より選ばれるアルコキシ基で、ホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
0001における、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基としては、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基の例示の群より選ばれるアリールオキシ基で、ホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
0001としては、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基である。
0001としてより好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
式(92)中、B2およびB3は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物から水素原子を1つ取り去って得られる1価の芳香族環含有基である。B2およびB3としては、上記のA0001およびA0002と同様なものを例示することができ、その好ましい例も同様である。
上記B2およびB3は、置換基を有していてもよい。B2およびB3が有してもよい置換基としては、上記のA0001およびA0002における置換基と同様なものを例示することができ、その好ましい例も同様である。
式(92)中、B4およびB5は、硫黄原子と窒素原子とを含む複素環を有する芳香族化合物から水素原子を2つ取り去って得られる2価の芳香族環含有基である。B4およびB5としては、上記のA0003と同様なものを例示することができ、その好ましい例も同様である。
上記B4およびB5は、置換基を有していてもよい。B2およびB3が有してもよい置換基としては、上記のA0003における置換基と同様なものを例示することができ、その好ましい例も同様である。
式(92)中、qおよびsは0以上3以下の整数を表わし、上記rは1以上4以下の整数を表わし、q、rおよびsの総和は1以上4以下であり、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1以上2以下であり、特に好ましくは1である。qおよびsは、好ましくは0以上2以下であり、より好ましくは0以上1以下である。rは、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1以上2以下である。
上記式(92)で示される含硫黄複素環芳香族化合物として、下記式(92−1)〜(92−16)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
なお、上記式(92−1)〜(92−19)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
さらに、上記含硫黄複素環芳香族化合物は、下記式(93)で示されるものが好ましい。
Figure 2013175421
(式(93)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表す。
0007〜R0026はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基を表す。
0002〜Z0004はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基を示す。
tは1以上4以下の整数を表す。)
式(93)中、Eはチオ基またはスルフィニル基を表し、好ましくはチオ基である。
式(93)中、R0007〜R0026はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、ハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルホ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基を表す。
式(93)中、R0007〜R0026における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のモノアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基としては、A0001およびA0002が有してもよい置換基の例示であげたものと同様なものが挙げられる。
0007〜R0026における好ましい基としては、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基が挙げられる。
より好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のアリール基が挙げられる。
特に好ましくは、合成が容易であることから水素原子である。
式(93)中、Z0002〜Z0004はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基を表す。
0002〜Z0004における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基としては、Z0001の例示であげたものと同様なものが挙げられる。
0002〜Z0004における好ましい基は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアリールオキシカルボニル基である。
より好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基である。
特に好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基である。
0007〜R0026における基とZ0002〜Z0004における基の組み合わせとしては、好ましくは下記第1の組み合わせであり、より好ましくは下記第2の組み合わせであり、さらに好ましくは下記第3の組み合わせである。
第1の組み合わせは、R0007〜R0026における基が、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、ジヒドロキシボリル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜40のジアルコキシボリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜40のジアリールオキシボリル基からなる群より選ばれる基であり、Z0002〜Z0004における基が、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる基である組み合わせである。
第2の組み合わせは、R0007〜R0026における基が、水素原子であり、Z0002〜Z0004における基が、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる基である組み合わせである。
第3の組み合わせは、R0007〜R0026における基が、水素原子であり、Z0002〜Z0004における基が、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる基である組み合わせである。
式(93)中、tは1以上4以下の整数を表す。好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1または2である。
上記式(93)で示される含硫黄複素環芳香族化合物として、上記式(92−3)〜(92−12)で表される化合物を例示することができる。
さらに、上記式(93)で示される含硫黄複素環芳香族化合物において、Z02〜Z04を有する含硫黄複素環芳香族基の連結位置が、下記式(94)で示される含硫黄複素環芳香族化合物の連結位置であると好ましい。
Figure 2013175421
(式(94)中、E、R0007〜R0026、Z0002〜Z0004、tは、それぞれ式(93)で示したものと同様であり、その好ましい例も同様である。)
上記式(94)で示される含硫黄複素環芳香族化合物として、具体的には下記式(94−1)〜(94−32)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
Figure 2013175421
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さらに、上記式(94)で示される含硫黄複素環芳香族化合物において、Z02〜Z04を有する含硫黄複素環芳香族基の連結位置が、下記式(95)で示される含硫黄複素環芳香族化合物の連結位置であると好ましい。
Figure 2013175421
(式(95)中、E、R0007〜R0026、Z0002〜Z0004、tはそれぞれ式(93)で示したものと同様であり、その好ましい例も同様である。)
上記式(95)で示される含硫黄複素環芳香族化合物として、具体的には上記式(94−5)〜(94−8)、(94−13)〜(94−16)、(94−21)〜(94−24)、(94−29)〜(94−32)で表される化合物を例示することができる。
次に、上記式(91)で表される含硫黄複素環芳香族化合物を製造するための方法について説明する。例えば、上記式(93)で表される含硫黄複素環芳香族化合物の製造方法としては、下記の製造方法が挙げられる。
第1に、(a)芳香環上にハロゲノ基を有するフェノチアジン誘導体、(b)芳香環上にハロゲノ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体、(c)芳香環上にアルキルスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン誘導体、(d)芳香環上にアルキルスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体、(e)芳香環上にアリールスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン誘導体、および(f)芳香環上にアリールスルホニルオキシ基を有するフェノチアジン−5−オキサイド誘導体、からなる群より選ばれる2種の化合物のクロスカップリング反応を用いた製造方法が挙げられる。
第2に、上記(a)〜(f)の化合物からなる群から選ばれる1種の化合物と、(g)フェノチアジン構造を有し、フェノチアジンが有する芳香環にホウ素が結合したボロン酸およびボロン酸エステル、(h)フェノチアジン−5−オキサイド構造を有し、フェノチアジン−5−オキサイドが有する芳香環にホウ素が結合したボロン酸およびボロン酸エステル、からなる群より選ばれる1種の化合物とのクロスカップリング反応(鈴木カップリング)を用いた製造方法が挙げられる。
ここで、上述した(a),(b)の化合物が有するハロゲノ基の例としては、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。
また、「フェノチアジン−5−オキサイド誘導体」とは、フェノチアジン−5−オキサイドの骨格を有する化合物(フェノチアジン−5−オキサイドの置換体)を指す。
具体的には下記式(94−100)〜(94−700)で表される反応が挙げられる。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
上記反応では溶媒を用いることができ、使用可能な溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル溶媒;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)などの非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル;2H,3H-デカフルオロペンタン、エイコサフルオロノナン、ヘプタコサフルオロトリブチルアミン、ヘキサフルオロベンゼン、オクタデカフルオロオクタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロトリエチルアミン、1H,1H,10H,10H-ヘキサデカフロオロ-1,10-デカンジオール、1H,1H-ノナフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブタノール、ヘプタフルオロ酪酸メチルなどのフッ素系溶媒;水などが挙げられる。
また、上記第2のクロスカップリング反応においては、反応を促進させる為、反応系内に塩基を共存させることもできる。塩基としては種々の塩基を用いることができ、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、アンモニア、などの無機塩基、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基などが挙げられる。
なお、高分子電解質膜に含まれるオリゴマー成分として、上記の含硫黄複素環芳香族化合物の中でも、分子構造内に塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を含まないものが好ましい。分子構造内に、これらの原子を含まない化合物は、例えば、燃料電池の形成材料の一部として用いたときに、燃料電池を腐食させる原因となりうる塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンの発生源とならないため、好適に用いることができる。
本実施形態の高分子電解質膜において、上述のオリゴマー成分の配合量は、高分子電解質を構成する高分子電解質が有しているイオン伝導性等の特性を著しく損なうことない範囲で選択される。オリゴマー成分の配合量は、好適には、高分子電解質100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であり、0.1質量部以上20質量部以下であるとより好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であるとさらに好ましく、1質量部以上6質量部以下であると特に好ましい。オリゴマー成分の配合量がこの範囲であると、燃料電池の長期安定性を達成できるだけでなく、高分子電解質の特性を十分に発揮でき、高分子電解質膜の発電性能等が十分に発揮される。
<高分子電解質膜の製造方法>
次に、図3から図5を参照しながら、本実施形態の高分子電解質膜の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、上述のような高分子電解質を含む組成物(高分子電解質組成物)を用い、高分子電解質膜12の基材12Xを製造する。高分子電解質膜の製造方法としては、通常知られた種々の方法を採用することができるが、本実施形態においては、以下のキャスト製膜法を採用して製造することとして説明する。
<キャスト製膜>
本実施形態の膜電極接合体に用いることができる基材12Xは、好ましくは、以下の(i)〜(iv)の工程を含むキャスト製膜法を用いて製造される。
(i)上述のような高分子電解質組成物を、該高分子電解質組成物を溶解し得る有機溶媒に溶解し、高分子電解質組成物溶液を調製する工程;
(ii)前記(i)で得られた高分子電解質組成物溶液を、比較的平滑な表面を有する支持基材上に流延塗工し、該支持基材上に高分子電解質組成物の流延膜を形成する工程;
(iii)前記(ii)で支持基材上に形成された流延膜から、前記有機溶媒を除去して、該支持基材上に高分子電解質膜を形成する工程;
(iv)前記(iii)の工程を行った後、支持基材と高分子電解質膜とを分離する工程
ここで、前記キャスト製膜法に関する各工程(i)〜(iv)に関し順次説明する。
<工程(i)>
まず、工程(i)では高分子電解質組成物溶液を調製する。この高分子電解質組成物溶液調製に使用する有機溶媒としては、使用する1種または2種以上の高分子電解質組成物を溶解し得るものが選ばれる。また、高分子電解質組成物に加えて、他の高分子や添加剤などの成分を用いる場合は、これら他の成分も共に溶解し得るものが好ましい。
該有機溶媒は、使用する高分子電解質組成物を溶解し得る溶媒であり、具体的には、この高分子電解質組成物を、25℃で1質量%以上の濃度で溶解し得る有機溶媒を意味する。好適には、高分子電解質組成物を5〜50質量%の濃度で溶解し得る有機溶媒を用いることが好ましい。
また、この有機溶媒は、次の工程(ii)において支持基材上に高分子電解質組成物の流延膜を形成した後に、加熱処理により除去し得る程度の揮発性が必要である。ただし、該有機溶媒は少なくとも1種、101.3kPa(1気圧)における沸点が150℃以上である有機溶媒を含むことが好ましい。高分子電解質組成物を溶解し得る有機溶媒として沸点が150℃以下の有機溶媒のみを用いると、後述する工程(iii)で流延膜から有機溶媒を除去して高分子電解質膜を形成しようとする場合に、形成した高分子電解質膜に凹凸状の外観不良が発生するおそれがある。これは、沸点が150℃以下である有機溶媒では、前記流延膜から急激に有機溶媒が揮発してしまうためである。
高分子電解質組成物溶液の調製に好適な有機溶媒を例示すると、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)などの非プロトン性極性溶媒、またはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。
これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の有機溶媒を混合して用いることもできる。中でも、非プロトン性極性溶媒を含む有機溶媒が好ましく、実質的に非プロトン性極性溶媒からなる有機溶媒が特に好ましい。ここでいう実質的に非プロトン性極性溶媒からなる有機溶媒とは、企図せず含有される水分などの存在を排除するものではない。該非プロトン性極性溶媒は、支持基材に対して親和性が比較的小さく、該支持基材に非プロトン性極性溶媒が吸収され難いという利点もある。また、上述の好適な高分子電解質であるブロック共重合体の溶解性が高いという点では、該非プロトン性極性溶媒の中でも、DMSO、DMF、DMAc、NMP、GBLまたはこれらから選ばれる2種以上の混合溶媒が好ましい。
<工程(ii)>
次に、工程(ii)について説明する。図3(a)は、工程(ii)を示す説明図である。
この工程は、工程(i)で得られた高分子電解質組成物溶液12Sを支持基材P上に流延塗工し、流延膜12Aを形成する工程である。該流延塗工の方法としては、ローラーコート法、スプレイコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法などの各種手段を用いることができるが、好ましくは、一定間隔の隙間(クリアランス)が設けられたダイと呼ばれる金型により、所定の幅および厚みに賦型する手段が挙げられる。図3(a)では、ダイ100から高分子電解質組成物溶液12Sを吐出して流延膜12Aを形成することとして示している。
このようにして支持基材P上に形成された流延膜12Aは、塗工時に高分子電解質組成物溶液12S中の有機溶媒の一部が揮発するために膜の形状を有するものとなる。この際の流延膜12Aの膜厚は、3μm〜50μmになるようにしておくことが好ましい。このような膜厚の流延膜12Aを得るには、使用する高分子電解質組成物溶液12Sの高分子電解質組成物濃度、塗工装置の塗出量などを適宜調整すればよい。また、該支持基材Pが連続的に走行する基材である場合は、その支持基材Pの走行速度等で調節することもできる。
工程(ii)で使用する支持基材Pとしては、流延塗工に供する高分子電解質組成物溶液12Sに対して十分な耐久性を有し、後述する工程(iii)での処理条件に対しても耐久性を有する材質からなるものが選択される。この場合の耐久性とは、高分子電解質組成物溶液12Sによって支持基材P自身が実質的に溶け出さないことや、工程(iii)の処理条件により、支持基材P自身が膨潤や収縮を起こさず寸法安定性がよいことなどを意味するものである。
このような支持基材Pとしては、たとえばガラス板;SUS箔、銅箔等の金属箔;ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のプラスチックフィルムを挙げることができる。また、このプラスチックフィルムには、上述したような耐久性を著しく損なわない範囲で、そのフィルム表面に対し、UV処理、離型処理、エンボス処理などの表面処理を行ってもよい。以下においては、支持基板Pがプラスチックフィルムであることとして説明を行う。
<工程(iii)>
次に、工程(iii)に関し説明する。図3(b)は工程(iii)を示す説明図である。
この工程は工程(ii)において支持基材P上に形成された流延膜12Aに含有される有機溶媒S1を除去して、該支持基材P上に基材12Xを形成する工程である。このような除去には、乾燥または洗浄溶媒による洗浄が推奨される。図3(b)では、有機溶媒S1が蒸発することにより乾燥し、除去されることとして図示している。このような乾燥と洗浄とを組み合わせて、前記有機溶媒を除去することがより一層好ましく、乾燥と洗浄とを組み合わせる場合には、まず乾燥を行って、支持基材P上に形成された延膜に含有される有機溶媒S1のほとんどを除去した後、洗浄溶媒による洗浄を行うことが特に好ましい。
ここでは、工程(iii)として好適な方法である乾燥と洗浄とを、この順で実施することについて詳述する。工程(ii)を経て得られた支持基材P上に形成された流延膜12Aから有機溶媒を乾燥除去するには、加熱、減圧、通風などの処理を採用することができるが、生産性が良好である点と、操作が容易である点で加熱処理が好ましい。この場合、流延膜12Aが形成された支持基材P(以下、場合により「第1の積層フィルム」という)を、直接加熱、温風接触などにより加熱処理する。
流延膜12A中の高分子電解質組成物を著しく損なわない点で、温風処理が特に好ましい。たとえば、第1の積層フィルムが長尺状であり、かかる長尺状の第1の積層フィルムを連続的に処理する場合は、乾燥炉中に該第1の積層フィルムを通過させればよい。このときの乾燥炉は、40℃〜150℃の範囲、好ましくは50℃〜140℃に温度設定された温風を、第1の積層フィルムの通過方向に対し垂直方向と対向方向とのいずれか一方または両方に沿って送風する。こうすることにより、支持基材P上にある流延膜12Aから有機溶媒S1等の揮発成分が乾燥(蒸発)除去され、支持基材P上に基材12Xが形成された第2の積層フィルムを形成する。
このようにして得られた第2の積層フィルムの基材12X中には、まだ若干量の有機溶媒が含有されているため、この有機溶媒を洗浄溶媒で洗浄する。洗浄溶媒で洗浄することにより、外観等に優れる基材12Xが得られ易い。高分子電解質組成物溶液の調製において好適な有機溶媒である、DMSO、DMF、DMAc、NMPもしくはGBL、またはこれらの組合せからなる混合溶媒を使用した場合、洗浄溶媒には純水、特に超純水を使用することが好ましい。
上述のように、第1の積層フィルムが長尺状であって連続的に走行している場合、乾燥炉を通過して連続的に形成された第2の積層フィルムは、たとえば洗浄溶媒を充填した洗浄槽中を通過させることにより洗浄することができる。また、乾燥炉を通過して連続的に形成された第2の積層フィルムを適当な巻芯に巻き取って巻取り体として後、この巻取り体を、洗浄処理を担う洗浄装置へと移し変え、移し変えた巻取り体から第2の積層フィルムを洗浄槽へと送り出す形式で洗浄を行うこともできる。こうすることで、第2の積層フィルムにある基材12Xの有機溶媒含有量はより一層低減することが可能である。
<工程(iv)>
次に工程(iv)に関し説明する。図3(c)は工程(iv)を示す説明図である。工程(iv)においては、工程(iii)において形成された第2の積層フィルムから支持基材Pを剥離などによって除去することにより高分子電解質膜12の基材12Xを得る。
得られる基材12Xは、好適なキャスト製膜法により得られたものであるため、実質的に無多孔質のものとなる。なお、ここでいう実質的に無多孔質とは、ボイドなどの微小貫通孔が高分子電解質膜12に形成されていないことを意味する。ただし、この高分子電解質膜12は、燃料電池作動を阻害しない程度の少数量のボイドまたは小さい径のボイドであれば、当該ボイドを有するような膜であってもよい。
なお、工程(iii)と工程(iv)との間に、得られた第2の積層フィルムを塩酸や硫酸などの強酸に接触させる酸処理工程が含まれることとしてもよい。
また、上述のキャスト製膜法による高分子電解質膜12の製造においては、主として支持基材Pが連続的に走行している場合を説明したが、無論、枚葉の支持基材Pを用いても、高分子電解質膜12を得ることができる。この場合、枚葉の支持基材P上に塗工された高分子電解質溶液は、適当な乾燥炉中に保管することで、有機溶媒を除去することができるし、このようにして得られた枚葉の第2の積層フィルムは、洗浄溶媒を備えた洗浄槽に浸漬等することで洗浄処理を行うことができる。
また、洗浄後の第2の積層フィルムは、支持基材Pを除去した後、残存または付着している洗浄溶媒を乾燥除去させてもよいし、洗浄後の第2の積層フィルムをそのまま加熱等することで残存または付着している洗浄溶媒を乾燥除去した後、支持基材Pを除去してもかまわない。
次に、図4に示すように、上述の基材12Xを用いて、高分子電解質膜12および膜電極接合体20を製造する。
まず、図4(a)に示すように、基材12Xの一方の表面に、上述の劣化防止剤を含む劣化防止剤溶液13Sを塗工し、劣化防止剤の流延膜13Aを形成する。流延塗工の方法としては、ローラーコート法、スプレイコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法などの各種手段を用いることができるが、スプレイコート法が好ましい。図4(a)では、スプレイコート法により劣化防止剤溶液13Sを塗布して流延膜13Aを形成することとして示している。
ここで、劣化防止剤溶液13Sの溶媒は、基材12Xを形成する高分子電解質の溶解度を基準として選択される。詳しくは、劣化防止剤溶液13Sの溶媒は、基材12Xを構成する高分子電解質に対して貧溶媒となっている。溶媒が混合溶媒である場合、基材12Xを構成する高分子電解質に対して貧溶媒である少なくとも1種の溶媒が用いられ、貧溶媒となるように物性が調整されている。
なお、本明細書において、高分子電解質の貧溶媒とは、該高分子電解質を25℃において0.1質量%以上の濃度で溶解し得ない溶媒を言う。これに対し、高分子電解質の良溶媒とは、該高分子電解質を25℃において0.1質量%以上の濃度で溶解し得る溶媒を言う。具体的には、所定量の25℃の溶媒に対して所定量の高分子電解質を溶解させて溶液を調整し、当該溶液を乾固させて乾燥質量を測定することにより、溶媒に対する高分子電解質の溶解度を測定する。劣化防止剤溶液13Sの溶媒は、用いる高分子電解質と劣化防止剤との種類に応じ、各々溶解度を測定することにより適宜選択することができる。
例えば、上述の式(34−100)で合成することができる低分子成分は、N−メチル−2−ピロリドン、DMSO、THFに可溶である。一方、これらの溶媒のうちN−メチル−2−ピロリドン、DMSOは、上述の高分子電解質の良溶媒であるが、THFは上述の高分子電解質の貧溶媒である。したがって、劣化防止剤溶液13Sの溶質として上述の式(34−100)で合成される低分子成分を用いる場合は、溶媒としてTHFを用いるとよい。
また、劣化防止剤溶液13Sの溶質が低分子成分である場合、劣化防止剤溶液13Sには、上述の高分子電解質も溶解させる。これにより、劣化防止剤溶液13S内の高分子電解質が低分子成分のバインダーとして機能し、良好に基材12Xの表面に劣化防止剤を配置することが可能となる。一方、劣化防止剤溶液13Sの溶質が高分子成分である場合、劣化防止剤溶液13Sには、上述の高分子電解質が含まれることとしてもよく、含まれないこととしてもよい。劣化防止剤溶液13Sに溶解させる高分子電解質は、基材12Xと同じ種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
劣化防止剤溶液13Sが低分子成分および、上述の高分子電解質を含む場合、その低分子成分と高分子電解質の混合比は、低分子成分/高分子電解質=0.01〜100質量比であることが好ましく、0.01〜10質量比であることがさらに好ましく、0.01〜1質量比であることが特に好ましい。
劣化防止剤溶液13Sの固形分濃度は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。固形分量をこの範囲にすることにより前記基材12X上に積層される劣化防止剤の量を調整しやすい傾向にある。
次に、図4(b)に示すように、流延膜13Aに含有される有機溶媒S2を除去して、基材12Xの表面に劣化防止剤層13Aを形成する。基材12Xと劣化防止剤層13Aとを合わせて、本実施形態の高分子電解質膜12を構成する。該流延塗工の方法としては、ローラーコート法、スプレイコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法が、または一定間隔の隙間(クリアランス)が設けられたダイと呼ばれる金型により、所定の幅および厚みに賦型する手段などの各種手段を用いることができるが、好ましくは、グラビア法が挙げられる。
以上のようにして、目的とする高分子電解質膜12が得られる。
次に、図4(c)に示すように、カーボンに担持された白金または白金系合金を、パーフルオロアルキルスルホン酸樹脂の溶剤と共に混合してペースト化したもの(触媒インク14S)を、高分子電解質膜12の一方の表面に塗布・乾燥することにより、アノード触媒層14aが得られる。同様に、高分子電解質膜12の他方の表面に触媒インク14Sを塗布・乾燥することにより、カソード触媒層14bを形成し、本実施形態の膜電極接合体20を製造する。
本実施形態の高分子電解質膜12および膜電極接合体20は、以上のようにして製造することができる。
以上のような構成の高分子電解質膜12によれば、内部で生じるラジカルを劣化防止剤層で効果的に失活させることができ、高耐久化を図ることができる。
また、以上のような構成の膜電極接合体によれば、高分子電解質の長期安定性を図ることで高耐久化がなされた膜電極接合体とすることができる。
さらに、以上のような構成の膜電極接合体を有する燃料電池では、高分子電解質膜中でのラジカルを効果的に失活させることができ、長期安定化を図ることができる。
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る高分子電解質膜15の説明図である。本実施形態の高分子電解質膜15は、第1実施形態の高分子電解質膜12と一部共通しており、劣化防止剤の分布(濃度分布)が異なっている。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態の高分子電解質膜15は、高分子電解質の基材12Xの内部に、劣化防止剤が含有された領域15aが存在する構成となっている。領域15aでは、基材12Xの厚み方向に劣化防止剤の濃度が変化しており、一方の面15xから他方の面15yに向けて漸次濃度が低下するように、劣化防止剤が分散している。
図5では、劣化防止剤の含有量の大小を網掛けの濃度で示しており、網掛けが濃い部分が劣化防止剤の含有量が多く、網掛けが薄い部分が劣化防止剤の含有量が少ないことを示している。なお、本明細書においては、濃度変化の下限として、劣化防止剤の含有量が0質量%(劣化防止剤を含まない)であることを含む。
このような構成の高分子電解質膜15は、図6のようにして製造する。
まず、図6(a)に示すように、高分子電解質の基材12Xの一方の面に、上述の劣化防止剤を含む劣化防止剤溶液15Sを塗布し、劣化防止剤の塗膜15Aを形成する。
ここで、本実施形態の劣化防止剤溶液15Sの溶媒は、基材12Xを形成する高分子電解質の溶解度を基準として選択される。詳しくは、劣化防止剤溶液15Sの溶媒は、基材12Xを構成する高分子電解質に対して貧溶媒である少なくとも1種の溶媒と、高分子電解質に対して良溶媒である少なくとも1種の溶媒と、を混合させた混合溶媒を用いることができる。
なお、本実施形態の劣化防止剤溶液15Sの溶媒として、上述の混合溶媒と同程度の溶解度を有する単一の貧溶媒を用いることとしてもよい。
また、劣化防止剤溶液15Sは、溶媒が用いる劣化防止剤を完全に溶解した溶液状態であることが好ましいが、少なくとも一部の劣化防止剤が溶解していれば、劣化防止剤が完全に溶解した溶液状態である必要はなく、スラリー状態で用いることとしても構わない。
上述のような混合溶媒においては、貧溶媒と良溶媒との比を調整することにより、基材12Xの一面に塗布した劣化防止剤溶液15Sの、基材12Xを形成する高分子電解質に対する溶解度を、基材12Xには完全には浸透しないような溶解度に調整することができる。これにより、基材12Xの表面に塗布した劣化防止剤溶液15Sは、塗膜15A側から濃度が漸次低下するように基材12Xの内部に浸透する。図6(a)では、劣化防止剤溶液15Sの浸透の様子を矢印で示している。
劣化防止剤溶液15Sに用いられる混合溶媒の貧溶媒と良溶媒との比は、貧溶媒:良溶媒=1:99〜100:0の幅で調整することができる。混合溶媒が良溶媒を含む場合には、例えば、貧溶媒:良溶媒=1:99〜99:1の幅で調整することができる。また、貧溶媒と良溶媒との比は、貧溶媒:良溶媒=25:75〜97:3の幅で調整することが好ましく、貧溶媒:良溶媒=50:50〜95:5の幅で調整することがさらに好ましく、貧溶媒:良溶媒=60:40〜90:10の幅で調整することが特に好ましい。
劣化防止剤溶液15Sの固形分濃度は、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。固形分量をこの範囲にすることにより前記基材12X中の劣化防止剤の量を調整しやすい傾向になる。
劣化防止剤溶液15Sは、基材12Xに対して0.5質量%〜1.0質量%相当の劣化防止剤が配置されるように塗布される。劣化防止剤溶液15Sは基材12Xの表面に均一に塗工され、例えば、10μmの厚みの基材12Xに、50nm〜100nm程度の劣化防止剤層を形成するように塗膜15Aを形成する。塗布の方法としては、所望の量の劣化防止剤が配置可能であれば方法は種々の方法を選択することができる。
次いで、図6(b)に示すように、劣化防止剤溶液15Sに含有される有機溶媒S3を除去して、基材12Xの内部に劣化防止剤が含有された領域15aを形成する。
ここで、領域15aの大きさ(膜厚方向の広がり)は、基材12Xに対する劣化防止剤溶液15Sの浸透の仕方を制御することにより適宜調整することができる。劣化防止剤溶液15Sの浸透の仕方は、上述の劣化防止剤溶液15Sに用いられる混合溶媒の貧溶媒と良溶媒との比の他、劣化防止剤溶液15Sの塗布時の温度、劣化防止剤溶液15Sの乾燥時の温度、などによっても制御することができる。
劣化防止剤溶液15Sの塗布時の温度としては、劣化防止剤溶液15Sの溶媒の融点以上沸点未満であれば塗布が可能であるが、劣化防止剤溶液15Sに溶解した劣化防止剤の溶解度との関係で、劣化防止剤溶液15Sが飽和する温度より高い温度であると好ましい。劣化防止剤溶液15Sの塗布時の温度が高い方が、劣化防止剤溶液15Sが基材12Xに浸透しやすく、塗布時の温度が低い方が、劣化防止剤溶液15Sが基材12Xに浸透しにくい。
また、劣化防止剤溶液15Sの乾燥時の温度も同様に、高いほど劣化防止剤溶液15Sが基材12Xに浸透しやすく、低いほど劣化防止剤溶液15Sが基材12Xに浸透しにくい。
これらの条件を変更することにより、劣化防止剤溶液15Sの浸透の仕方を制御し、領域15aの大きさを調整する。
以上のようにして、内部に劣化防止剤の濃度変化を有する高分子電解質膜15が得られる。
<劣化防止剤の濃度変化の検出>
ここで、高分子電解質膜12の内部における劣化防止剤の濃度変化は、(1)高分子電解質膜12内に分布する劣化防止剤の量を、高分子電解質膜12の複数の位置で測定する第1ステップ、(2)劣化防止剤の量を厚さ方向で比較することにより、厚さ方向における劣化防止剤の量の変化を検出する第2ステップ、(3)濃度変化の有無を判定する第3ステップ、により検出することができる。以下、各ステップに分けて具体的に説明する。
(第1ステップ)
第1ステップでは、劣化防止剤の量の測定を行う。測定方法は、劣化防止剤および該基材の各々の組成もしくは各組成の組み合わせ、または測定領域の大きさに応じて適宜選択する。
第1ステップで用いることができる測定方法の具体例としては、光学顕微鏡観察法、電子顕微鏡観察法などの顕微鏡観察法、赤外分光法、紫外・可視分光法、ラマン分光法などの分光法、X線光電子分光法、二次イオン質量分析法などの表面分析法、エネルギー分散X線分光法、電子プローブマイクロアナライザー法、オージェ電子分光法などの元素分析法、CCDアレイカメラ撮影法などの多位置撮像法などが挙げられる。
第1ステップでは、上述の測定方法により、劣化防止剤の量を直接測定することとしてもよい。また、劣化防止剤の量に対応する値を検出することで、間接的に測定するとしても構わない。以下の説明においては、このように測定される劣化防止剤の量、および劣化防止剤の量に対応する値、を合わせて測定値Cとする。
例えば、分光法や表面分析法によれば、得られる検出信号の強度から高分子電解質膜12に含まれる劣化防止剤の量を直接得ることができる。また、例えば高分子電解質膜12の写真の画像解析を用いて測定する方法では、サンプルを撮像した後、画像データに含まれる輝度データや色データなどのデータの中から、劣化防止剤の量と対応する値に着目することで、劣化防止剤の量を間接的に測定することができる。
また、上述の測定方法においては、劣化防止剤に対してラベル化剤を用い、劣化防止剤を検出する信号を強めることができる。ラベル化剤は、劣化防止剤の種類や測定方法等に応じて適宜選択することができる。このようなラベル化剤としては、例えば、電子顕微鏡観察法に用いられる電子染色剤や、紫外・可視分光法に用いられる蛍光ラベル化剤などが挙げられる。
以下、光学顕微鏡観察法による測定方法について説明する。光学顕微鏡観察法による測定においては、高分子電解質膜の断面の画像を撮像し、画像解析により、画像データから劣化防止剤の含有量に対応する値を抽出することにより、測定値Cを得る。
劣化防止剤と高分子電解質との色が明確に異なり、かつ該高分子電解質膜の厚さが1μmより十分厚い場合、高分子電解質膜の断面の光学顕微鏡観察法を好適に用いることができる。前記高分子電解質膜の断面としては、該高分子電解質膜の表面に対して垂直である断面を用いることもできる。また、該高分子電解質膜の表面に対して傾斜した断面を用いることもできる。傾いた断面を用いることにより厚さ方向の分解能が挙げられる。
光学顕微鏡観察法による測定方法においては、まず、高分子電解質膜表面に垂直な方向に切り出した薄片状の試料を作成する。この際、高分子電解質膜を保護層である包埋樹脂で挟み込んだ試料を作成することもできる。
次いで、透過型光学顕微鏡を用いて、前記試料の表面(前記高分子電解質膜表面に交差する面)の透過型光学顕微鏡による画像(以下、光学顕微鏡画像と称する)を得る。
次いで、得られる光学顕微鏡画像の画像データを解析することにより、劣化防止剤の量に対応する値を測定する。具体的には、光学顕微鏡画像上の複数位置における劣化防止剤に起因した着色の程度に基づいて、該画像上の各位置に対応した劣化防止剤の測定値Cを求める。
光学顕微鏡画像上の色と、劣化防止剤の量に対応する値と、を適切に対応させるためには、光学顕微鏡画像の画質を適切に確保することが好ましい。具体的には、写真を撮像する試料の厚さ(前記高分子電解質膜の表面と平行な方向の厚さ)や、光学顕微鏡の対物レンズと接眼レンズの倍率などの観測条件を適切に選択することが好ましい。前記試料の厚さは1μm以上5μm以下が好ましく、2μm以上3μm以下であることがより好ましい。前記対物レンズの倍率は10倍以上100倍以下であることが好ましく、20倍以上100倍以下であることがより好ましく、50倍以上100倍以下であることが特に好ましい。前記接眼レンズの倍率は5倍以上30倍以下であることが好ましく、10倍以上30倍以下であることがより好ましい。
(画像データの解析)
光学顕微鏡画像の画像データの解析においては、光学顕微鏡画像上の各位置の画像情報に基づいて前記試料中の劣化防止剤の分布を求めるために、まず、光学顕微鏡画像を一定の単位領域の繰り返しに分割し、次に、各単位領域にその単位領域の有する画像情報に応じた測定値Cを付与する。このような画像処理は、コンピュータを用いた電子的な画像処理によって容易に行うことができる。
(トリミング)
まず、画像処理においては、得られた光学顕微鏡画像から解析に適した任意の領域を切り出すこと(トリミング処理)が好ましい。このようにして切り出した光学顕微鏡画像(以下、トリミング画像と称する)は、少なくとも高分子電解質膜の一方の表面と、該表面と対向する他方の表面と、に挟まれる部分を含んでいるものとする。また、高分子電解質膜に隣接する層を含んでいてもよい。前記高分子電解質膜に隣接する層としては、例えば、高分子電解質の形状を支える支持材層、光学顕微鏡画像を得る観察を実施するために必要な保護層などが挙げられる。
また、トリミング画像は、一辺が、該高分子電解質膜の少なくとも1つの表面と略平行であることが好ましい。この高分子電解質膜の表面と略平行な辺を、基準辺と称する。このようなトリミング画像では、高分子電解質膜の厚さ方向が、基準辺と直交する方向となる。
さらに、トリミング画像では、基準辺と基準辺に対向する辺(以下、対向辺と称する)とが平行であることが好ましい。すなわち、トリミング画像の形状は、基準辺と対向辺とが平行な台形または平行四辺形であることが好ましく、長方形であることがより好ましい。
(領域分割)
次に、トリミング画像を一定の単位領域の繰り返しに分割する。例えば、格子状の単位領域で分割する方法を採用することができる。単位領域の大きさは、後述の解析によって得られる測定値Cの誤差を小さくするという観点からはできるだけ細かいことが好ましいが、一方で、単位領域が細かくなるほど後述の解析に要する時間が増大する傾向にある。そこで、単位領域の一辺の長さは、試料の実寸に換算して、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることが特に好ましい。
次に、トリミング画像の画像データに基づいて、設定された単位領域毎に測定値Cを算出する。例えば、透明な高分子電解質内に赤色に呈色する劣化防止剤が分散している高分子電解質膜を想定すると、トリミング画像において赤色が濃い箇所では赤色が薄い箇所よりも劣化防止剤が多く含まれているはずである。そのため、赤色の強度を劣化防止剤の量に対応する値として用いて評価する。
すなわち、トリミング画像がカラー画像である場合、画像データから各単位領域の像を形成する赤に関する強度情報を抜き出して測定値Cとする。なお、各単位領域の赤に関する強度について赤〜白の階調表示(例えば、赤:0、白:255の256階調)で絶対評価し、各階調値を測定値Cとして採用してもよい。また、カラー画像である上記トリミング画像をグレー階調に変換して、黒〜白の階調表示(例えば、黒:0、白:255の256階調)で評価し、各階調値を測定値Cとして採用することもできる。
さらに、トリミング画像を画像編集ソフトウエアに読み込み、該高分子電解質膜以外の部分、例えば支持材層または保護層の部分を概ね消去しておく。消去した部分は、赤〜白の階調表示においては白表示(階調値:255)となる。
(第2ステップ)
第2ステップでは、第1ステップで得られた測定値Cを厚さ方向で比較することにより、厚さ方向における測定値Cの変化を検出する。
すなわち、高分子電解質膜の厚さ方向における基準辺からの距離zと、距離zにおける測定値Cと、の関係から、高分子電解質膜内の劣化防止剤の濃度は、距離zを変数とする濃度関数Czとして表すことができる。濃度関数Czは、例えば、厚さ方向に隣接する2つの単位領域間の濃度変化を示す複数の関数である。高分子電解質膜の全体の濃度変化については、複数の濃度関数Czの全体で表すことができる。なお、距離zとしては、基準辺から厚さ方向に配列した単位領域の数を用いることができる。
濃度関数Czを求める場合、同じ距離zにおける複数の位置の測定値Cを平均し、算出される平均値を測定値Cの代表値として採用するとよい。該代表値は、同じ距離zにおける50点以上の単位領域の測定値Cの平均値を用いることが好ましく、100点以上の平均値であることがより好ましい。
また、濃度関数Czを求める際、統計学的手法により算出した近似値を用いる、いわゆるスムージング処理を行うことが好ましい。
スムージング処理のための統計学的手法としては、移動平均法、補間法等を採用することができる。
移動平均法としては、単純移動平均法、加重移動平均法、指数平滑移動平均法等が挙げられるが、単純移動平均法を採用することがより好ましい。単純移動平均法を用いる場合においては、平均をとる範囲は、スムージング操作を行う前の濃度関数Czにおける典型的変化の範囲より十分に小さく、かつ、得られたデータが十分に滑らかになるように、適宜選択することが好ましい。
補間法としては、スプライン補間法、ラグランジュ補間法、線形補間法等が挙げられるが、スプライン補間法、ラグランジュ補間法を採用することがより好ましい。
(第3ステップ)
第3ステップにおいては、第2ステップで得られた濃度関数Czを用い、所定の基準に基づいて、劣化防止剤の濃度変化の有無を判定する。濃度変化の有無は、下記のようにして定義する高分子電解質膜の内部(膜内部領域)と、高分子電解質膜の外部(膜外部標準領域)と、について、濃度関数Czの距離zによる微分値を比較することにより行う。
(膜内部領域)
高分子電解質膜の膜内部領域は、以下の手順により定義する。
まず、高分子電解質膜以外の部分を消去したトリミング画像に対して、各濃度関数Czの距離zによる微分値dCz/dzを算出する。dCz/dzを算出する方法としては、特に制限は無いが、差分法や多項式補間関数による微分などの方法を用いることができる。
このとき、dCz/dzの数値として有効な範囲を規定し、それ以外の部分をノイズとして除去することで以降の処理を簡略化することとしてもよい。具体的には、dCz/dzの絶対値のうち最大値を基準として、該最大値と、距離zによる個別の微分値と比較し、個別の微分値が、最大値に対して所定の比率(ノイズ除去比率)未満となるものについては、ノイズとして除去することができる。上記比率(以下、ノイズ除去比率とする)としては、1/5から1/100の間の数値が好ましく、1/10から1/50の間の数値がさらに好ましい。
次に、以下の手法により、高分子電解質膜を縁取る領域(遷移領域)を規定する。透過型光学顕微鏡による画像であるトリミング画像では、高分子電解質膜の縁の部分が黒く影となり、境界部分が不明確であるため、評価対象とする領域を明確にするためである。
すなわち、基準辺から高分子電解質膜の内側に向かってdCz/dzを算出したときに、dCz/dzの絶対値が初めて0でない値を取る位置を求め、該位置よりも基準辺側に1つ手前の単位領域の位置を基準辺側の仮境界とする。
さらに、該仮境界から高分子電解質膜の内側に向かってdCz/dzを算出したときに、dCz/dzの絶対値が最初の極大値をもってからdCz/dzが最初に符号を変える点、または0になる点を高分子電解質膜の基準辺側の仮表面とする。
このようにして定まる基準辺側の仮境界と基準辺側の仮表面との間の領域を、基準辺側の遷移領域とする。
同様の操作を対向辺から高分子電解質膜の内側に向かっても行い、対向辺側の仮境界、仮表面および遷移領域を決定する。
このようにして定まる2つの仮表面の間に挟まれた領域を、高分子電解質膜の膜内部領域とし、劣化防止剤の濃度変化の評価対象とする。
<膜外部標準領域の定義>
トリミング画像において、上記方法で定義した膜内部領域と遷移領域を除く領域を膜外部領域とする。さらに、膜外部領域に相当する光学顕微鏡画像において、観察断面のきず、画像情報を示す目盛り、文字などのノイズ原因になるものが少ない領域に相当する領域を膜外部標準領域とする。膜外部標準領域についても、上記方法と同様の方法にて、測定値C,濃度関数Cz、微分値dCz/dzを算出する。
<劣化防止剤の濃度変化有無の判定>
トリミング画像において、以上のようにして求めた、膜外部標準領域での微分値dCz/dzの絶対値の最大値と、膜内部領域での微分値dCz/dzの絶対値の最大値と、を比較して濃度変化の有無を判定する。具体的には、膜内部領域での微分値dCz/dzの絶対値の最大値が、膜外部標準領域での微分値dCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である場合、該高分子電解質膜は、厚さ方向に劣化防止剤の濃度変化を内部に有すると判定する。なお、膜外部標準領域において、微分値dCz/dzは小さくなるものの0にはならないため、上記基準により濃度変化を判定することができる。
光学顕微鏡観察法による測定方法では、以上のようにして、劣化防止剤の濃度変化を確かめることができる。
なお、ステップ1が他の測定方法の場合であっても、同様の考え方によりステップ2、ステップ3を行うことにより、第1ステップで得られた測定値Cを厚さ方向で比較することにより、厚さ方向における測定値Cの変化を検出し、さらに、得られる濃度関数Czを用い、所定の基準に基づいて、劣化防止剤の濃度変化の有無を判定する。ステップ1が異なる場合においては、それぞれの方法に適した方法により、膜内部領域を規定し、該膜内部領域の劣化防止剤の量の変化(微分値dCz/dz)と、膜外部標準領域での微分値dCz/dzと、を比較して濃度変化を確かめることができる。
以上のような構成の高分子電解質膜15によれば、内部で生じるラジカルを劣化防止剤が含有された領域15aで効果的に失活させることができ、高耐久化を図ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<水準1>
本実施例においては、以下の方法により測定を行った。
[分子量測定]
膜電極接合体を構成する高分子電解質の分子量測定は、GPC法を用いた。
測定に際しては、後述の高分子電解質Fを除いて、高分子電解質4mgを下記移動層溶媒8mLに溶解して、下記条件で測定を行い、ポリスチレン換算を行うことによって高分子電解質の重量平均分子量および数平均分子量を算出した。その際、下記表3の測定条件でGPC測定を行った。
(測定条件1)
Figure 2013175421
[イオン交換容量の測定]
測定に供するポリマーをキャスト製膜法により成膜したポリマー膜を得、得られたポリマー膜を適当な質量になるように裁断した。裁断したポリマー膜の乾燥質量を加熱温度110℃に設定されたハロゲン水分率計を用いて測定した。次いで、このようにして乾燥させたポリマー膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、ポリマー膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定を行い、中和点を求めた。そして、裁断したポリマー膜の乾燥質量と中和に要した塩酸の量から、ポリマーのイオン交換容量(単位:meq/g)を算出した。
[高分子電解質膜における劣化防止剤の分散状態の確認]
(光学顕微鏡観察用の試料作成)
2つのエポキシ樹脂ブロック(約14mm×4mm×2mm)の広い面に接着剤(セメダイン社製、ロックタイト)を塗り、約4mm×1mmに切った高分子電解質膜の2つの表面にそれぞれを貼り合わせ室温で4〜16時間乾燥させた。
乾燥後、精密切断機(BUEHLER社製、アイソメット modelNo.11−1280−170)で前記高分子電解質膜の厚さ方向に平行な面を切り出した後、ミクロトーム(Leica社製、REICHERT−NISSEI ULTRACUT S)を用いて約2μmの厚さ(前記高分子電解質膜の表面方向)の切片状の試料を作成し、スライドガラスに回収した。なお、この回収作業時に水等の液体は用いなかった。
さらに、スライドガラスに回収した前記切片状の試料の上から別のスライドガラスを重ね、粘着テープ(スリーエム社製、ScotchBrandTape)で固定した。
(光学顕微鏡観察)
上述のようにして作成した試料を光学顕微鏡(OLYMPUS社製、BX60)の透過モードを用い、500倍(接眼レンズ10倍、対物レンズ50倍)の拡大像を、CCDカメラ(SONY社製、CCD−IRIS)と、を用いて撮像し、得られたデジタル画像を光学顕微鏡画像とした。光学顕微鏡画像を、画像取り込み装置(NEC社製、SmartVision)を用いてパーソナルコンピュータに取り込み、以下の画像処理を行った。
(画像のトリミング)
得られた光学顕微鏡画像を、画像処理ソフトウエア(AdobeSystems社製、商品名「Adobe Photoshop Elements7」)を用いて、高分子電解質膜の表面と平行な辺を有する矩形状のトリミング画像を切り出した。本実施例においては、作業の便宜上、ディスプレイに光学顕微鏡画像を表示したときに、高分子電解質膜の厚さ方向が画面縦方向になるように回転させた後、このようなトリミング画像を2つの電子ファイルとして保存した。これら2つの電子ファイルは同じ内容であり、一方を光学顕微鏡画像A、他方を光学顕微鏡画像Bとした。
(画像処理)
光学顕微鏡画像Aを画像処理ソフトウエアに読み込み、高分子電解質膜以外の部分を消去した後、グレースケール表示としてtiff形式で保存した。一方、光学顕微鏡画像Bについては、高分子電解質膜以外の部分を消去することなく、グレースケール表示としてtiff形式で保存した。
(測定値Cの付与)
続いて、光学顕微鏡画像AおよびBに対して、画素毎にその濃淡の程度に応じて測定値Cの抽出を行った。具体的には、画素が純黒である場合を0、純白である場合を255とし、各画素に対してその濃淡の程度に応じて0から255までの整数を測定値Cとした。このような操作は、画像解析ソフト(リガク社製、商品名「Rigaku R−AXIS Display Software Ver.1.18」)を用いて行った。
(濃度関数Czの付与)
上記処理により得られた光学顕微鏡画像AおよびBの測定値Cを用い、濃度関数Czを付与した。上記各画像の縦方向(該高分子電解質膜1の厚さ方向に平行方向)の各位置において、測定値Cの平均値を算出し、各位置に対する算出した平均値との関係から、濃度関数Czとして付与した。さらに単純移動平均法(前後各5区間、計11区間)を用いて濃度関数Czの平滑化を行った。
(仮境界、仮表面の位置の設定)
上記方法により光学顕微鏡画像Aから得られた濃度関数Czを用いて、仮境界、仮表面および膜内部領域との位置を決めた。このとき、ノイズ除去比率を1/10とした。
(膜外部標準領域の設定)
上記方法により光学顕微鏡画像Aから設定した仮境界より膜の外側に相当する光学顕微鏡画像Bにおいて、観察断面のきず、画像情報を示す目盛り、文字などのノイズ原因になるものが少ない領域に相当する前期光学顕微鏡画像Bから得られた濃度関数Czの領域を膜外部標準領域に設定した。
(劣化防止剤の濃度変化有無の判定)
上記方法により光学顕微鏡画像Bから得られた濃度関数Czの微分値dCz/dzを用いて、劣化防止剤の濃度変化の有無を判定した。すなわち、光学顕微鏡画像Bから得られたdCz/dzのうち、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値が、膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上であれば劣化防止剤の濃度変化があると判定した。
[低分子成分Aの合成]
下記式(2000)に従って、低分子成分Aを合成した。
Figure 2013175421
アルゴン雰囲気下、2−クロロフェノチアジン4.4g(18.8mmol)、2,2’−ビピリジル7.7g(49.5mmol)にテトラヒドロフラン(THF)72gを加え溶解させ、溶液を50℃まで昇温した。このTHF溶液に、さらにビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)13.4g(48.9mmol)を加え、50℃に保温しながら1時間撹拌した。
その後、室温まで冷却し、得られた黒色のTHF溶液を酢酸エチル200mLで希釈した後、6mol/L塩酸水溶液150mLを用いて分液洗浄を行い、さらに、25%アンモニア水溶液150mLを用いて分液洗浄を行った。得られた油層にTHF200mLを加えることで均一な黄色溶液を得た。
次いで、得られた黄色溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、固体が析出するまで濃縮した後、n−ヘキサン500mL中に再沈殿させ、濾過、乾燥させることで、粗生成物3.0gを得た。
得られた粗生成物をTHFとアセトンの混合溶液を用いて再結晶精製することで、目的物である低分子成分A1.8g(収率48.5%、黄色固体)を得た。なお、取扱いは遮光下で行った。
1H−NMR(DMSO−d6、δ(ppm)):6.69(d、2H)、6.76(t、2H)、6.86(s、2H)、6.92−7.03(m、8H)、8.69(s、2H)
マススペクトル(DART、m/z):397(M+H+
(実施例1)
[高分子電解質Aの合成]
下記の手法に準じて、下記式(A−2)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(A−3)で示されるイオン性基を実質的に有しないセグメントを含む、高分子電解質Aを合成した。
GPC分子量(測定条件1): Mn=340000、Mw=706000
IEC: 4.6meq/g
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
(合成方法)
2,2−ジメチルプロパノール22.4gをピリジン72.5gに溶解させた。これに、0℃で、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸クロリド50gを加えた後、室温にて1時間攪拌し、反応させた。
反応混合物に、トルエン300mLおよび2mol%塩酸250mLを加え、30分間撹拌した後、静置し、有機層を分離した。
分離した有機層を水150mL、10質量%炭酸カリウム水溶液150mL、水150mLで順次洗浄した後、減圧条件下で、溶媒を留去し、濃縮液105gを得た。
濃縮液を0℃まで冷却し、析出した固体を濾過により分離した。分離した固体を乾燥させることにより、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)の白色固体49.3g(収率:81.4%)を得た。
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm)):0.97(s,9H),3.78(s,2H),7.52−7.53(c,2H),8.07(d,1H)
マススペクトル(m/z):297(M+
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、窒素雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル10.2g(54.7mmol)、炭酸カリウム8.32g(60.2mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド96g、トルエン50gを加え、バス温155℃で2.5時間還流することで系内の水分を共沸脱水した。
生成した水とトルエンを留去した後、室温まで放冷し、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン22.0g(76.6mmol)を加えた。得られた溶液を、バス温160℃で保温しながら14時間撹拌し反応させた。
放冷後、反応液を、メタノール1000gと35質量%塩酸200gとの混合溶液に加え、析出した沈殿を濾過した後、イオン交換水で中性になるまで洗浄し乾燥させた。
得られた粗生成物27.2gをN,N−ジメチルアセトアミド97gに溶解し、不溶物を濾過した後、メタノール1100gと35質量%塩酸100gとの混合溶液に加え、析出した沈殿を濾過した。
得られた沈殿物を、イオン交換水で中性になるまで洗浄し乾燥させて、下記式(A−1)で表されるイオン交換基を実質的に有しないセグメントを誘導する前駆体25.9gを得た。
GPC分子量(測定条件1): Mn=1700、Mw=3200
Figure 2013175421
(nは繰り返し単位数を表す。)
次に、アルゴン雰囲気下、フラスコに無水臭化ニッケル2.12g(9.71mmol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)96gを加え、バス温70℃で攪拌した。無水臭化ニッケルが溶解したのを確認した後、バス温を50℃に冷却し、2,2’−ビピリジル1.82g(11.7mmol)を加え、ニッケル含有溶液を調製した。
一方で、アルゴン雰囲気下、フラスコに上記式(A−1)で表されるポリマー4.02g、NMP384gを加え、50℃に調整した。得られた溶液に、亜鉛粉末3.81g(58.2mmol)、メタンスルホン酸とNMPとの混合溶液(メタンスルホン酸10質量%+NMP90質量%)1.05g、および4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)24.0g(45.9mmol)を加え、50℃で30分間撹拌した。次いで、これに上述のニッケル含有溶液を加え、50℃で6時間重合反応を行い、黒色の重合溶液を得た。
得られた重合溶液を、13質量%塩酸3360gに投入し、室温で30分間撹拌した。生じた沈殿を濾過した後、当該沈殿を13質量%塩酸3360gに加え、室温で30分間撹拌した後、再度濾過した。濾別された粗ポリマーをイオン交換水で濾液のpHが4を越えるまで洗浄した。
得られた粗ポリマーに、イオン交換水840gと、メタノール790gを加え、バス温90℃で1時間加熱撹拌した。粗ポリマーを濾過し、乾燥することで、スルホン酸前駆基(スルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)基)を有するポリマー23.9gを得た。
次に、以下のようにしてスルホン酸前駆基をスルホ基に変換した。
上述のようにして得られたスルホン酸前駆基を有するポリマー23.9g、イオン交換水47.8g、無水臭化リチウム15.9g(183mmol)およびNMP478gをフラスコに入れ、バス温126℃で保温しながら12時間撹拌し、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液を13質量%塩酸3340gに投入し、1時間攪拌した。析出した粗ポリマーを濾過し、メタノールと35質量%塩酸との混合溶液(メタノール50質量%+塩酸50質量%)2390gで洗浄する操作を3回繰り返した。
その後、得られた粗ポリマーを、濾液のpHが4を越えるまでイオン交換水で洗浄した。続いて、得られたポリマーを大量のイオン交換水に加え、90℃以上に昇温して約10分間保温し濾過する洗浄操作を、5回繰り返した。
得られたポリマーを乾燥することにより、下記式(A−2)で示される繰り返し単位と、下記式(A−3)で示されるセグメントとを含む高分子電解質Aを得た。収量は17.25gであった。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(nは繰り返し単位数を表す。)
[高分子電解質膜1の作製]
上述のように重合して得られた高分子電解質Aをジメチルスルホキシドに溶解して、濃度が6.5質量%の高分子電解質溶液を調製した。
得られた高分子電解質溶液を、スロットダイを用いて、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基板と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して成膜した。
得られた膜を2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで、高分子電解質膜の基材1Aを作製した。基材1Aの膜厚は10μmであった。
上述のように合成した低分子成分A0.05gをTHF20gに溶解し、市販の20質量%ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、溶媒:水と低級アルコールの混合物)0.63g、エタノール3.2gを加え、室温にて6時間攪拌することで、劣化防止剤溶液1を得た。
得られた劣化防止剤溶液1を基材1Aの片面の中央部における3cm×3cmの領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は60℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで劣化防止剤層を形成し、3cm×3cmの領域に固形分が0.37mg配置された高分子電解質膜1を得た。
[高分子電解質膜1の評価]
得られた高分子電解質膜1を用い、燃料電池セルを組み立てた後、燃料電池セルの運転を行い、高分子電解質膜1の安定性を評価した。燃料電池セルの組み立て、および高分子電解質膜1の耐久性評価は、以下の記載の方法により行った。
[燃料電池セルの組み立て]
(触媒インクの作成)
市販の5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、溶媒:水と低級アルコールの混合物)6.30gに、白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、エヌ・イー・ケムキャット製、白金含有量;50質量%)1.00g投入し、さらにエタノール43.45g、水6.43gを加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクを得た。
(膜電極接合体の作製)
一方の表面に劣化防止剤層を形成した高分子電解質膜1について、劣化防止剤層を有さない表面の中央部における3cm×3cmの領域に、スプレー法にて上記の触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は75℃に設定した。同様にして重ね塗りをした後、溶媒を除去してアノード触媒層を形成させた。アノード触媒層として14.2mgの固形分(白金目付け:0.6mg/cm2)が塗布された。
続いて、劣化防止剤層の上に同様に触媒インクを塗布して、カソード触媒層を形成させ膜電極接合体を得た。カソード触媒層として14.2mgの固形分(白金目付け:0.6mg/cm2)が塗布された。
(燃料電池セルの組み立て)
上述のようにして得られたMEAの両外側に、ガス拡散層としてカーボンクロスと、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータとを配し、さらにその外側に集電体およびエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効電極面積9cm2の燃料電池セルを組み立てた。
[燃料電池セルの耐久性評価1]
作製した燃料電池セルを95℃に保ちながら、アノード触媒層側には低加湿状態の水素(25mL/分、背圧0.1MPaG)を供給し、カソード触媒層側には低加湿状態の空気(63mL/分、背圧0.05MPaG)を供給して、開回路と一定電流での負荷変動試験を行った。各原料ガスの加湿は水の入ったバブラーにガスを通すことで行い、水素バブラーの水温は45℃、空気用バブラーの水温は55℃とした。
この条件で燃料電池セルを500時間継続して作動させた。
[耐久性評価後の膜の分子量測定]
耐久性評価を行った燃料電池セルから膜電極接合体を取り出し、エタノール/水の混合溶液(エタノール含有量:90質量%)に投入して超音波処理することで、アノード触媒層およびカソード触媒層を取り除いた。
次いで、試験前後における高分子電解質膜1をそれぞれ4mg秤量し、各高分子電解質膜1に対し、ジメチルスルホキシド8mLを添加して溶解させた後、25質量%テトラメチルアンモニウム水酸化物メタノール溶液10μLに浸漬し、100℃で2時間反応させた。
放冷後、得られた反応液に含まれる高分子の重量平均分子量を、GPCを用いて測定した。GPCの測定条件は測定条件1とした。
測定結果から、負荷変動試験前と試験後との親水セグメントの重量平均分子量、および負荷変動試験前と試験後との高分子電解質全体の重量平均分子量の維持率を算出した。この維持率が高いほど、高分子電解質の劣化が小さいことを示している。
[水蒸気透過度の測定]
高分子電解質膜1の両側に、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータ(ガス流通面積1.3cm2)を配し、さらにその外側に集電体およびエンドプレートを順に配置した。なお、高分子電解質膜1とカーボン製セパレータとの間には、セパレータのガス流通部と同じ1.3cm2の開口部を有するシリコン製ガスケットを配置した。これらをボルトで締め付けることで、水蒸気透過性測定用のセルを組み立てた。
セルの温度を85℃とし、セルの片側に、相対湿度20%の水素ガスを流量1000mL/minにて、またもう一方の側には相対湿度約0%の空気を流量200mL/minにて流した。なお、背圧は両側とも0.04MPaGに設定した。空気出口側に露点計を設置し、出口ガスの露点を計測することにより、出口空気中に含まれる水分量を測定し、水蒸気透過度[mol/cm2/sec]を算出した。
(実施例2)
基材1Aの片面の中央部における3cm×3cmの領域に、固形分が1.23mg配置された高分子電解質膜2を用いること以外は、実施例1と同様に評価した。
(比較例1)
実施例1の高分子電解質膜1の代わりに、劣化防止剤溶液を塗布していない基材1Aを用いること以外は、実施例1と同様に評価した。
(参考例1)
上述のように重合して得られた高分子電解質Aをジメチルスルホキシドに溶解して、濃度が6.5質量%の高分子電解質溶液を調製した。この高分子電解質溶液に、電解質質量に対し1.0質量%になるように低分子成分Aを添加した。
得られた高分子電解質溶液を、スロットダイを用いて、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基板と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して成膜した。
得られた膜を2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで、膜内に低分子成分Aが均一に含有された高分子電解質膜3を作製した。高分子電解質膜3の膜厚は10μmであった。また、高分子電解質膜3における低分子成分Aの含有量は、高分子電解質膜3の全質量に対し0.2質量%であった。
また、高分子電解質膜3の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦39.6μm×横38.0μm(単位領域数198×190)を切り出して、低分子成分Aの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=15.0μm、26.0μm、仮表面の位置をz=18.0μm、23.0μmとした。さらに、膜外部標準領域を32.4μm〜39.4μmとした。
膜内部領域(z=18.2μm〜22.8μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域はなく、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の4.5倍であった。
そして、実施例1の高分子電解質膜1の代わりに、高分子電解質膜3を用いること以外は、実施例1と同様に評価した。
(参考例2)
上述のように重合して得られた高分子電解質Aをジメチルスルホキシドに溶解して、濃度が6.5質量%の高分子電解質溶液を調製し、電解質質量に対し3.0質量%になるように低分子成分Aを添加すること以外は、参考例1と同様にして高分子電解質膜4を作製した。高分子電解質膜3における低分子成分Aの含有量は、高分子電解質膜4の全質量に対し1.1質量%であった。
また、高分子電解質膜4の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦47.4μm×横32.0μm(単位領域数237×160)を切り出して、低分子成分Aの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=16.4μm、27.6μm、仮表面の位置をz=19.2μm、24.6μmとした。さらに、膜外部標準領域をz=33.6μm〜44.4μmとした。
膜内部領域(z=2.0μm〜7.0μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域はなく、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の2.7倍であった。
そして、実施例1の高分子電解質膜1の代わりに、高分子電解質膜4を用いること以外は、実施例1と同様に評価した。
上記実施例1,2、比較例1および参考例1,2について、初期状態からの重量平均分子量維持率および水蒸気透過度を以下の表4に示す。
Figure 2013175421
実験の結果、本発明の高分子電解質膜を用いた膜電極接合体(実施例1,2)は、劣化防止剤を用いない基材を用いた膜電極接合体(比較例1)と比べ、連続発電(すなわち、連続した酸化還元反応)において高分子電解質膜の劣化が小さく、安定であることが分かった。
また、実施例1は参考例1,2と比べると、分子量の維持率は同等であるが、水蒸気透過度が改善しており、高い水素イオンの透過度が期待できることが分かった。
<水準2>
(実施例3)
高分子電解質Aの貧溶媒であるTHFと、良溶媒であるジエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合溶媒(THF90質量%+ジエチレングリコールモノエチルエーテル10質量%)に低分子成分Aを1.0質量%添加し、室温で1時間攪拌して溶解させ、劣化防止剤溶液2を得た。
一方、高分子電解質Aを、ジエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解して、濃度が5.5質量%の高分子電解質溶液を調製した。
得られた高分子電解質溶液を、スロットダイを用いて、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基板と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して成膜した。得られた膜を支持基材であるPETフィルムに積層された状態で2N硫酸に浸漬後、イオン交換水で洗浄し、更に風乾した。PETフィルム上に形成された膜の膜厚は10μmであった。
得られた支持基材であるPETフィルムに積層された電解質膜の上に、グラビアコーターを用い、室温にて劣化防止剤溶液2を塗布し、80℃で乾燥させた。
次いで、得られた膜を2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで、高分子電解質膜5を作製した。高分子電解質膜5における低分子成分Aの含有量は、高分子電解質膜5の全質量に対し0.3質量%であった。
そして、実施例1の高分子電解質膜1の代わりに、高分子電解質膜5を用いること以外は、実施例1と同様に評価した。
合わせて、高分子電解質膜5について、上述の方法による劣化防止剤の分散状態の確認と、下記の方法による外観の評価とを行った。
劣化防止剤の分散状態の確認にあたり、まず、高分子電解質膜5の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦49.8μm×横49.8μm(単位領域数249×249)を切り出して、低分子成分Aの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=12.8μm、27.8μm、仮表面の位置をz=15.6μm、24.8μmとした。さらに、膜外部標準領域をz=32.8μm〜41.6μmとした。
膜内部領域(z=15.8μm〜24.6μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域は、z=15.8μm〜16.8μmであり、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の12.9倍であった。
[外観評価]
得られた高分子電解質膜5について、外観を評価した。目視評価により劣化防止剤溶液2を塗布した面の波打ちの様子を確認した。評価においては、劣化防止剤溶液を塗布しない基材の表面の状態を基準とした。波打ちが多くなり外観が劣化すると、高分子電解質膜5の表面に均一な厚さのアノード触媒層、カソード触媒層を形成し難くなり、結果として、作製される燃料電池の安定性が低下することが予想される。そのため、外観評価は、燃料電池の長期安定性を評価する指標の一つとして用いることができる。
(実施例4)
グラビアコーターを用いて塗布する劣化防止剤溶液2の量を変更して高分子電解質膜6を形成すること以外は、実施例3と同様に評価した。
高分子電解質膜6における低分子成分Aの含有量は、高分子電解質膜6の全質量に対し0.6質量%であった。
また、高分子電解質膜6の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦48.0μm×横32.2μm(単位領域数240×161)を切り出して、低分子成分Aの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=15.8μm、30.6μm、仮表面の位置をz=18.4μm、27.2μmとした。さらに、膜外部標準領域をz=34.6μm〜46.8μmとした。
膜内部領域(z=18.6μm〜27.0μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域は、z=18.6μm〜19.2μmであり、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の9.8倍であった。
(実施例5)
高分子電解質Aの貧溶媒であるTHFに低分子成分Aを1質量%添加し、室温で1時間攪拌して溶解させ、劣化防止剤溶液3を得た。グラビアコーターを用いて劣化防止剤溶液3を塗布して高分子電解質膜7を形成すること以外は、実施例3と同様に評価した。
評価の結果、高分子電解質膜7における低分子成分Aの含有量は、高分子電解質膜7の全質量に対し0.3質量%であった。
また、高分子電解質膜7の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦42.8μm×横22.6μm(単位領域数214×113)を切り出して、低分子成分Aの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=5.8μm、20.6μm、仮表面の位置をz=8.8μm、17.8μmとした。さらに、膜外部標準領域をz=32.6μm〜39.4μmとした。
膜内部領域(z=9.0μm〜17.6μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域は、z=9.0μm〜11.0μmであり、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の17.6倍であった。
(比較例2)
高分子電解質Aの良溶媒であるNMPに低分子成分Aを1.0質量%添加し、室温で1時間攪拌して溶解させ、劣化防止剤溶液4を得た。グラビアコーターを用いて劣化防止剤溶液4を塗布して高分子電解質膜8を形成すること以外は、実施例3と同様に評価した。
上記実施例3〜5および比較例1,2および参考例2について、初期状態からの重量平均分子量維持率および水蒸気透過度を以下の表5に示す。
Figure 2013175421
測定の結果、貧溶媒を用いた実施例3〜5では、劣化防止剤が高分子電解質膜の全体に広がることなく、塗布面側に偏った濃度分布を有していることがわかった。
また、劣化防止剤が塗布面に偏っている実施例3は、実施例3よりも多くの劣化防止剤が高分子電解質膜全体に広がっている参考例2と比べると、分子量の維持率は同等であるが、水蒸気透過度が改善しており、高い耐久性と共に、高い水素イオンの透過度が期待できることが分かった。また、良好な外観を呈することも分かった。
<水準3>
[燃料電池セルの耐久性評価2]
作製した燃料電池セルを95℃に保ちながら、アノード触媒層側には低加湿状態の水素(25mL/分、背圧0.1MPaG)を供給し、カソード触媒層側には低加湿状態の空気(63mL/分、背圧0.05MPaG)を供給して、開回路試験を行った。各原料ガスの加湿は水の入ったバブラーにガスを通すことで行い、水素バブラーの水温は95℃、空気用バブラーの水温は30℃とした。
この条件で燃料電池セルを100時間継続して作動させた。
(実施例6)
基材1Aの代わりにナフィオンXL(登録商標)膜を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて高分子電解質膜9を得た。実施例1と同様の方法にて高分子電解質膜9を用いて膜電極接合体および、燃料電池セルを作製し、上記耐久性評価2を実施した。
上記開回路試験において発生した排水を、セル中のガス排出口から空気極側と燃料極側から共に採取し、これをイオンクロマトグラフィーにかけ、フッ素イオンおよび硫酸イオンの溶出量を測定した。イオンクロマトグラフィーの測定条件を以下に示す。
(イオンクロマトグラフィー測定条件)
・機器:Dionex社製 DX−500
・カラム:Dionex社製 IonPac AS−17C
・溶離液:10mMの水酸化カリウム(KOH)水溶液
・溶離液の流速:1.0ml/分
(実施例7)
[ポリマー成分Aの合成]
下記式(700)に従って、ポリマー成分Aを合成した。
Figure 2013175421
(nは繰り返し単位を表す)
ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル0.98g、トリフェニルホスフィン2.35g、ヨウ化ナトリウム0.22g、亜鉛粉末2.93g、2、7−ジクロロフェノチアジン(J.Phem.Chem.B.2008、112、11694記載の方法に基づいて合成した)2.02g、市販品の2−クロロフェノチアジン3.50gにNMP76g加えて、60℃で3時間撹拌した。2N塩酸/メタノール混合液(体積比1/1)471gに、上記で得られた反応混合物87gを加え、1時間撹拌後、濾過して得られた固体を2N塩酸/メタノール混合液(体積比1/1)163gで1回、水400gで4回洗浄し、メタノール300gでリパルプ洗浄を3回行い、ポリマー成分Aを3.32g(収率:74%)を得た。
GPC分子量(測定条件1):Mw=2,000、Mn=1,900
マススペクトル:(MALDI−TOFMS m/z:1379)
実施例6の低分子成分Aの代わりにポリマー成分Aを用い、THFの代わりに、THFとNMPとの混合溶媒(THF95質量部+NMP5質量部)を用いて高分子電解質10を得たこと以外はすべて実施例6と同様の方法にて評価した。
(実施例8)
実施例6の低分子成分Aの代わりに、チアントレンを低分子成分Bとして用い高分子電解質11を得たこと以外はすべて実施例6と同様の方法にて評価した。
(比較例3)
実施例6の高分子電解質膜9の代わりにナフィオンXLを用いること以外は、実施例6と同様に評価した。
上記実施例6〜8および比較例3について、水蒸気透過度およびイオン溶出速度を以下の表6にまとめて示す。
Figure 2013175421
表6より、実施例6〜8は排水中のフッ化物イオンおよび硫酸イオンの溶出速度が比較例3より小さいものであり、電解質の劣化を抑制していることがわかる。これより、本発明の含硫黄芳香族化合物はフッ素系高分子電解質に対しても安定化剤として大変有用であることが判明した。
<水準4>
[オリゴマー成分Aの合成]
下記式(701)に従って、前駆体2を合成した。
Figure 2013175421
Org. Lett. 2004, 6, 3493に記載の合成法に準じて、前駆体1を合成し用意した。
アルゴン置換したフラスコに、撹拌子、前駆体1(1.00g)、乾燥THF(20ml)を加え、ドライアイス−メタノール浴(−78℃)で冷却した。ここに、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.62mol/L,2.83ml)を加え、30分間攪拌した。その後、フラスコ内に2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(1.02g)を加え、30分間攪拌した。
この後、ドライアイス−メタノール浴からフラスコを外し、室温まで自然昇温させた後、水60mlを加えた。反応混合物を酢酸エチルで分液抽出し、得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え、濾過した。濾液を濃縮し、目的物を含む固体を1.21g得た。この固体を酢酸エチルに溶解させ、再結晶させることで、目的の前駆体2(0.5g)を得た。
1H−NMR(CDCl3、δ(ppm)):1.33(s、24H)、1.48(s、9H)、7.51(d、J=8.1Hz、2H)、7.66(m、2H)7.77(m、2H)
一方、下記式(702)に従って、前駆体3を合成した。
Figure 2013175421
アルゴン置換したフラスコに、撹拌子、前駆体1(1.00g)、乾燥THF(20ml)を加え、ドライアイス−メタノール浴(−78℃)で冷却した。ここに、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.62mol/L,1.36ml)を加え、30分間攪拌した。この後、ここに水0.5mlを加え、30分間攪拌した。この後、ドライアイス―メタノール浴からフラスコを外し、室温まで昇温させ、水60mlを加えた。
反応混合物を酢酸エチルで分液抽出し、得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムを加え、濾過した。濾液を濃縮し、目的の前駆体3(0.81g)を得た。
1H−NMR(DMSO‐d6、δ(ppm)):1.44〜(s、9H)、7.24−7.72(m、7H)
上記前駆体2、前駆体3を用い、下記式(703)に従って、オリゴマー成分1を合成した。
Figure 2013175421
シュレンク管に、炭酸カリウム(0.32g)、1,2−ジメトキシエタン(6ml)、水(4ml)を加え、ここにアルゴンを15分間バブリングさせた。ここに前駆体2(0.254g)、前駆体3(0.725g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.32g)を加え、85℃で2時間攪拌した。ここに、テトラブチルアンモニウムブロマイド(200mg)、トルエン(6ml)を加え、更に85℃で10時間攪拌した。ビーカーに水(5ml)を加え、ここに得られた反応混合物を加え攪拌した。
この混合物を酢酸エチルで分液抽出し、得られた有機層を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムを加え、濾過した。濾液を濃縮し、目的物を含む固体を0.457g得た。この固体をアセトニトリルで洗浄し、オリゴマー成分1(0.165g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6、δ(ppm)):1.45(s、18H)、1.47(s、9H)、7.23−7.82(m、20H)
次いで、下記式(704)に従って、目的とするオリゴマー成分Aを合成した。
Figure 2013175421
フラスコに、クロロホルム(15ml)、トリフルオロ酢酸(5ml)を加え、アルゴンを5分間バブリングさせた。このフラスコにオリゴマー成分1(0.155g)を加え、室温で1.5時間攪拌した。この後、脱気水で有機層を洗浄した。有機層に8mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層をpH9にした後、濃縮した。得られた残渣を水で洗浄し、真空乾燥させた。別途フラスコに、THF(30ml)、メタンスルホン酸(8ml)を加え、アルゴンを5分間バブリングさせた。このフラスコに上記の真空乾燥させた残渣を加え、室温で2時間攪拌した。この後、脱気水50mlを加え、8mol/L水酸化ナトリウム水溶液および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応溶液の水層をpH7にした。中和物の有機層を分液し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、濃縮した。得られた残渣を水、次いでメタノールで洗浄することで目的のオリゴマー成分A(0.092g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6、δ(ppm)):6.66−7.21(m、20H)、8.63(s、2H)、8.67(s、1H)
マススペクトル:(MALDI−TOFMS m/z:593)
[高分子電解質Bの合成]
下記の手法に準じて、スミカエクセルPES5200P(住友化学株式会社製、重量平均分子量73,000)を用い、下記式(707)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(708)で示されるイオン性基を実質的に有しないセグメントを含む、高分子電解質Bを合成した。
GPC分子量(測定条件1): Mn=119000、Mw=260000
IEC: 2.6meq/g
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
(合成方法)
冷却装置を備えたガラス製反応容器に、窒素雰囲気下で、ニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)5.05g、2,2’−ビピリジン2.87gおよびNMP40mLを加え、70℃で30分撹拌し、ニッケル含有溶液を調製した。冷却装置を備えたガラス製反応容器に、窒素雰囲気下で、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)9.09g、亜鉛粉末2.4gおよびNMP40mLを加え、70℃に調整した。これに、前記ニッケル含有溶液を注ぎ込み、70℃で重合反応を行った。重合反応開始から1.5時間を経過した時点で、下記式(705)で示されるスミカエクセルPES5200P(住友化学株式会社製;Mw=73,000)3.06gをNMP40mLに溶解させて得られた溶液(内温70℃)を、反応混合物に加え、さらに、70℃で6.5時間重合反応を行った。
反応終了後、反応混合物をメタノール300mL中に加え、次いで、6mol/L塩酸300mLを加え、1時間撹拌した。析出した固体を濾過により分離し、乾燥し、灰白色の下記式(706)で示されるセグメントと、下記式(707)で示されるセグメントとを含むポリアリーレン8.75gを得た。収率:87%。
GPC分子量(測定条件1):Mw=192,000、Mn=49,000
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm)):0.80−1.05(br),3.80−3.89(br),7.25(d),7.97(d),7.00−8.50(c)
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
上述の式(705)で示されるセグメントと、上記式(706)で示されるセグメントとを含むポリアリーレン8gを、臭化リチウム・1水和物4.8gとNMP90mLとの混合溶液に加え、120℃で24時間反応させた。反応混合物を、6mol/L塩酸500mL中に注ぎ込み、1時間撹拌した。析出した固体を濾過により分離した。分離した固体を乾燥させることで、下記式(707)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(708)で示されるイオン性基を実質的に有しないセグメントを含む、灰白色の高分子電解質Bを3.7g得た。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
IRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルを測定し、2,2−ジメチルプロポキシスルホニル基が定量的にスルホン酸基に変換されていることを確認した。
1H−NMR((CD32SO2、δ(ppm)):7.25(d),7.97(d),7.00−8.50(c)
[高分子電解質Cの合成]
下記の手法に準じて、下記式(711)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(712)で示されるイオン性基を実質的に有しないセグメントを含む、高分子電解質Cを合成した。
GPC分子量(測定条件1): Mn=152000、Mw=319000
IEC: 2.5meq/g
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
(合成方法)
冷却装置を備えたガラス製反応容器に、窒素雰囲気下で、臭化ニッケル151mg、2,2’−ビピリジン162mg、スミカエクセルPES3600P(住友化学株式会社製;Mw=40,000、Mn=24,000:上記分析条件で測定)1.09g、およびN,N−ジメチルアセトアミド50mLを室温で加え、65℃に昇温してニッケル含有溶液を調製した。これに、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)1.9gを加え、さらに亜鉛粉末450mg加え、60℃で4時間重合反応を行い、下記式(709)で示されるセグメントと下記式(710)で示されるセグメントとを含むポリアリーレンを含む反応液を得た。
GPC分子量(測定条件1):Mw=164,000、Mn=65,000
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
上記反応液100質量部にトルエン50質量部、THF50質量部、酢酸4質量部、15質量%塩化ナトリウム水50質量部、80℃で2時間攪拌した。その後、30分静置したところ、分液し、上層(有機層)はやや灰色懸濁液、下層(水層)は薄青色透明液となった。析出物はなく界面は良好であった。水層を分離後、上層を133質量部得た。
得られた有機層を減圧下で濃縮し、トルエンとTHFを留去後、N,N−ジメチルアセトアミドを加えて、ポリアリーレンを含む溶液を80質量部得た。この溶液に、30質量%臭化リチウム水を11質量部加えて、120℃で8h加熱し、脱保護反応を行った。
得られた反応混合物を塩酸に注ぎ込みポリアリーレンを析出させて、液を分離後、析出した析出ポリアリーレンを塩酸洗浄、水洗浄、メタノール洗浄した。分離した固体を減圧乾燥させることで、下記式(711)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(712)で示されるイオン性基を実質的に有しないセグメントを含む、薄黄色ゲル状固体の高分子電解質Cを3.3質量部得た。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
1H−NMRスペクトルを測定し、高分子電解質Cでは、2,2−ジメチルプロポキシスルホニル基が定量的にスルホン酸基に変換されていることを確認した。
(実施例9)
高分子電解質Bをジメチルスルホキシドに約10質量%の濃度になるように溶解させ、高分子電解質溶液を調製した。得られた高分子電解質溶液を、スロットダイを用いて支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基材と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して成膜した。
得られた膜を2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで、高分子電解質膜の基材1Bを得た。基材1Bの膜厚は20μmであった。
合成したオリゴマー成分Aを0.03g秤量し、THF12gに溶解した後、市販の20質量%ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、溶媒:水と低級アルコールの混合物)1.26g、エタノール1.92gを加え、室温にて6時間攪拌することで、オリゴマー成分Aと高分子電解質であるナフィオンとを含む劣化防止剤溶液5を得た。
得られた劣化防止剤溶液5を基材1Bの片面の中央部における5cm×5cm(5cm×5cmの基材1B:50mg)の領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は60℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで、劣化防止剤層を形成した。これにより、5cm×5cmの領域に固形分が4.5mg配置された高分子電解質膜12を得た。
(MEAの作製)
高分子電解質膜12の、劣化防止剤層を有さない表面の中央部における5cm×5cmの領域に、スプレー法にて触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は75℃に設定した。同様にして重ね塗りをした後、溶媒を除去して触媒層(アノード触媒層)を形成させた。アノード触媒層として6.6mgの固形分(白金目付け:0.1mg/cm2)が塗布された。続いて、劣化防止剤層の上に同様に触媒インクを塗布して、カソード触媒層を形成させて、膜電極接合体を得た。カソード触媒層として13.2mgの固形分(白金目付け:0.2mg/cm2)が塗布された。
そして、実施例1の高分子電解質膜1の代わりに、高分子電解質膜12を用いること以外は、実施例1と同様に評価した。ただし、試験時間は200時間とした。また、組み立てた燃料電池セルについて、電流密度−電圧の発電評価を行った。
(比較例4)
高分子電解質膜12の代わりに高分子電解質膜の基材1Bを用いたこと以外は、実施例9と同様に評価した。
(実施例10)
高分子電解質CをNMPとエチレングリコールとの混合溶媒(NMP70質量%+エチレングリコール30質量%)に約10質量%の濃度になるように溶解させ、得られた高分子電解質溶液を、スロットダイを用いて、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基材と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して成膜した。
得られた膜を2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで、高分子電解質膜の基材1Cを得た。基材1Cの膜厚は20μmであった。
基材1Bを基材1Cに変更したこと以外は、実施例9と同様にして、基材1Cの表面5cm×5cm(5cm×5cmの基材1C:50mg)の領域に、劣化防止剤層が4.5mg配置された高分子電解質膜13を得た。
そして、実施例9の高分子電解質膜12の代わりに、高分子電解質膜13を用いること以外は、実施例9と同様に評価した。
(実施例11)
劣化防止剤溶液5の代わりに劣化防止剤溶液1を同重量用いたこと以外は、実施例9と同様にして、基材1Bの5cm×5cmの領域に劣化防止剤層が4.5mg配置された高分子電解質膜14を得た。
そして、実施例9の高分子電解質膜12の代わりに、高分子電解質膜14を用いること以外は、実施例9と同様に評価した。
(比較例5)
高分子電解質膜12の代わりに、劣化防止剤溶液を塗布していない基材1Cを用いたこと以外は、実施例9と同様に評価した。
上記実施例9〜11および比較例4,5について、初期状態からの重量平均分子量維持率を以下の表7に示す
また、実施例9〜11および比較例4,5で組み立てた燃料電池セルについて、電流密度−電圧の発電評価の結果を以下の表8に示す。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
評価の結果、表7に示すように、オリゴマー成分Aを用いて調製された高分子電解質膜(実施例9〜11)は、添加しないもの(比較例4,5)と比較して、負荷変動試験前後でも高分子電解質の分子量が高く維持されていた。
また、表8に示す「実施例9」の結果と「比較例4」の結果の比較から、オリゴマー成分Aを用いて調製された高分子電解質膜(実施例9)は、オリゴマー成分Aを加えていない高分子電解質膜(比較例4)とほぼ同等の発電特性を示した。
同様に、表8に示す「実施例10」の結果と「比較例5」の結果の比較から、オリゴマー成分Aを用いて調製された高分子電解質膜(実施例10)は、オリゴマー成分Aを加えていない高分子電解質膜(比較例5)とほぼ同等の発電特性を示した。
これより、オリゴマー成分Aを含む高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜では、燃料電池の発電特性が低下しにくいことが判明した。
(実施例12)
基材1Bの代わりにナフィオンXLを用いたこと以外は、実施例9と同様の方法にて、片面の中央部における5cm×5cmの領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は60℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで、劣化防止剤層を形成した。これにより、5cm×5cmの領域に固形分が4.5mg配置された高分子電解質膜15を得た。
比較例3のナフィオンXLの代わりに高分子電解質膜15を用いること以外は、実施例6と同様に評価した。
上記実施例12および比較例3について、イオン溶出速度を以下の表9に示す
また、実施例12および比較例3で組み立てた燃料電池セルについて、電流密度−電圧の発電評価の結果を以下の表10に示す。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
評価の結果、表9に示すように、オリゴマー成分Aを用いて調製された高分子電解質膜は、添加しないものと比較して、フッ化物イオンの溶出速度が低減されており、優れた長期安定性を有することが判明した。
また、表10に示す「実施例12」と「比較例3」の結果の比較から、オリゴマー成分Aを用いて調製された高分子電解質膜(実施例12)は、オリゴマー成分Aを加えていない高分子電解質膜(比較例3)とほぼ同等の発電特性を示した。
これより、オリゴマー成分Aを含む高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜では、燃料電池の発電特性が低下しにくいことが判明した。
<水準5>
[高分子電解質Dの合成]
特開2010−272363号公報の[実施例A3]に記載された方法を参考にして、下記式(713)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(714)で示されるイオン性基を実質的に有しないセグメントを含む、高分子電解質Dを合成した。
GPC分子量(測定条件1):Mw=648000、Mn=226000
IEC=4.3meq/g
Figure 2013175421
Figure 2013175421
この高分子電解質Dをエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解して、濃度が3.05質量%の溶液を調製した。得られた高分子電解質溶液を、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基材と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して製膜した。
得られた膜を2N硫酸に浸漬後、イオン交換水で洗浄し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで高分子電解質膜の基材1Dを得た。基材1Dの膜厚は20μmであった。
(実施例13)
得られた基材1Dの片面の中央部における3cm×3cmの領域に、スプレー法にて劣化防止剤溶液1を塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は60℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで劣化防止剤層を形成し、3cm×3cmの領域に固形分が0.74mg配置された高分子電解質膜16を得た。
そして、実施例6の高分子電解質膜9の代わりに、高分子電解質膜16を用いること以外は、実施例6と同様に評価した。
(比較例6)
高分子電解質膜16の代わりに、劣化防止剤溶液を塗布していない基材1Dを用いたこと以外は、実施例13と同様に評価した。
上記実施例13および比較例6について、水蒸気透過度および初期状態からの重量平均分子量維持率を、以下の表11に示す。
Figure 2013175421
表11より、実施例13は比較例6と比べると、分子量が低下することなく高い耐久性を示した。また水蒸気透過度をほぼ維持しており、高い水素イオンの透過度が期待できることが分かった。
<水準6>
[高分子電解質Eの合成]
特開2005−197236号公報の[合成例6]に記載された方法を参考にして、下記式(715)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(716)で示されるイオン性基を実質的に有しないセグメントを含む、高分子電解質Eを合成した。
GPC分子量(測定条件1):Mw=253000、Mn=102000
IEC=2.0meq/g
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでkは繰返し単位数を示す。)
この高分子電解質Eを、NMPとメタノールとの混合溶媒(NMP60質量%+メタノール40質量%)に約20質量%の濃度になるように溶解させ、併せてここに含硫黄複素環芳香族化合物5(ブロック共重合体C/含硫黄複素環芳香族化合物5の質量比=100質量%/5質量%)を溶解させることで高分子電解質溶液を調製した。
得られた高分子電解質溶液を、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基材と流延膜とを80℃で40分予備乾燥した後、120℃で40分乾燥した。得られる乾燥塗膜を大量の蒸留水に一晩浸漬した後、風乾し、PET基材から剥離することで高分子電解質膜の基材1Eを得た。基材1Eの膜厚は20μmであった。
(実施例14)
得られた基材1Eの片面の中央部における3cm×3cmの領域に、スプレー法にて劣化防止剤溶液1を塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は60℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで劣化防止剤層を形成し、3cm×3cmの領域に固形分が0.74mg配置された高分子電解質膜17を得た。
そして、実施例6の高分子電解質膜9の代わりに、高分子電解質膜17を用いること以外は、実施例6と同様に評価した。ただし、試験時間は200時間とした。
(比較例7)
高分子電解質膜17の代わりに、劣化防止剤溶液を塗布していない基材1Eを用いたこと以外は、実施例14と同様に評価した。
上記実施例14および比較例7について、水蒸気透過度および初期状態からの重量平均分子量維持率を以下の表12に示す。
Figure 2013175421
表12より、実施例14は比較例7と比べると、分子量の維持率は同等であるが、水蒸気透過度が改善しており、高い水素イオンの透過度が期待できることが分かった。
<水準7>
[高分子電解質Fの合成]
下記の手法に準じて、下記式(718)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(719)で示されるイオン性基を実質的に有しないセグメントを含む、高分子電解質Fを合成した。分子量測定におけるGPC測定条件は、下記測定条件2とした。
GPC分子量(測定条件2):Mw=5.06×105、Mn=9.48×104
IEC=4.7meq/g
(測定条件2)
・高分子電解質濃度:500ppm(NMPに溶解)
・カラム:Shodex社製 Asahipak GF−7M HQ
・カラム温度:60℃
・移動相溶媒:DMF/水=95/5(LiBrを20mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
・検出:示差屈折率
・標準物質:ポリエチレンオキサイド−ポリエチレングリコール
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
(合成方法)
まず、特開2010−272363号公報の[実施例B1]に記載された方法を参考にして、下記式(717)で表される共役芳香族化合物を得た。分子量測定におけるGPC測定条件は、下記測定条件3とした。
GPC分子量(測定条件3):Mw=10,000、Mn=16,000
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
(測定条件3)
GPC測定装置:株式会社島津製作所製 CTO−10A
カラム:カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−M
検出波長:300nm
カラム温度:40℃
流量:0.5mL/分
移動相溶媒:臭化リチウム含有N,N−ジメチルホルムアミド(臭化リチウム濃度:10mmol/dm3
標準物質:ポリスチレン
次いで、冷却装置を備えたガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、室温で、上記式(iii)で示される共役芳香族化合物14.6gを、NMP468gに溶解させ、バス温100℃で減圧条件下、溶媒110gを留去した。50℃に冷却後、THF543g、ビピリジン20.2g、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’,6,6’−テトラスルホン酸テトラキス(2,2−ジメチル−1−プロピル)36.2gを加えた。次いで、これにニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)32.2gを加え、70℃に加熱し、同温度で2時間攪拌した。
得られた反応混合物をメタノール2407gに注ぎ込み析出物を濾過し、濾過して得られたケーキをメタノールで3回、17%塩酸で2回洗浄し、さらに濾液のpHが4を超えるまで水洗を行なった。次に、冷却器を備えたフラスコに、ケーキと、ケーキと水との合計重量が944gになるように水を加え、さらに、メタノール944gを加え、バス温90℃で1時間加熱攪拌した。ケーキを濾過し、メタノールで2回洗浄し乾燥させた。
乾燥したケーキをNMP1203gに溶解させた後、35%塩酸を30.9g加え120℃で20時間攪拌した。
得られた混合物をアセトン2885gに注ぎ込み、結晶を析出させた後、得られたケーキをアセトンで1回、13.2%塩酸で3回、熱水で5回、水で1回洗浄し、乾燥することにより、下記式(718)で示される繰り返し単位と、下記式(719)で示されるセグメントとを含む高分子電解質Fを得た。収量は27.0gであった。
Figure 2013175421
Figure 2013175421
(ここでnは繰返し単位数を示す。)
この高分子電解質FをDMSOに溶解して、濃度が7質量%の溶液を調製した。得られた高分子電解質溶液を、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基材と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して製膜した。
得られた膜を2N硫酸に浸漬後、イオン交換水で洗浄し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで高分子電解質膜の基材1Fを得た。基材1Fの膜厚は10μmであった。
(実施例15)
得られた基材1Fの片面の中央部における5cm×5cmの領域に、スプレー法にて劣化防止剤溶液1を塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は60℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで劣化防止剤層を形成し、5cm×5cmの領域に固形分が4.5mg配置された高分子電解質膜18を得た。
そして、実施例9の高分子電解質膜12の代わりに、高分子電解質膜18を用いること以外は、実施例9と同様に評価した。ただし、試験時間は500時間とした。
(比較例8)
高分子電解質膜18の代わりに、劣化防止剤溶液を塗布していない基材1Fを用いたこと以外は、実施例15と同様に評価した。
上記実施例15および比較例8について、水蒸気透過度および初期状態からの重量平均分子量維持率を以下の表13に示す。
Figure 2013175421
表13より、実施例15は比較例8と比べると、分子量の維持率が高く、高い耐久性を有していることが分かった。
(実施例16)
THFと、ジエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合溶媒(THF90質量%+ジエチレングリコールモノエチルエーテル10質量%)に低分子成分Aを0.25質量%添加し、室温で1時間攪拌して溶解させ、劣化防止剤溶液6を得た。
得られた劣化防止剤溶液6を基材1Bの片面の中央部における5cm×5cmの領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は80℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで劣化防止剤層を形成し、5cm×5cmの領域に固形分が0.2mg配置した。次いで、2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾し、高分子電解質膜19を得た。高分子電解質膜19における低分子成分Aの含有量は、高分子電解質膜19の全質量に対し0.4質量%であった。
そして、比較例4の基材1Bの代わりに、高分子電解質膜19を用いること以外は、比較例4と同様に評価した。
合わせて、高分子電解質膜19について、上述の方法による劣化防止剤の分散状態の確認と、下記の方法による外観の評価とを行った。
また、高分子電解質膜19の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦52.6μm×横49.8μm(単位領域数263×249)を切り出して、低分子成分Aの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=15.8μm、42.8μm、仮表面の位置をz=20.2μm、39.6μmとした。さらに、膜外部標準領域をz=44.4μm〜46.2μmとした。
膜内部領域(z=20.4μm〜39.4μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域は、z=39.2μm〜39.4μmであり、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の6.3倍であった。
上記実施例16および比較例4について、水蒸気透過度および初期状態からの重量平均分子量維持率を以下の表13に示す。
Figure 2013175421
表14より、実施例16比較例4と比べると、水蒸気透過度は同等であるが、分子量の維持率が高く、高い耐久性を有していることが分かった。
(実施例17)
上述の高分子電解質Aをジメチルスルホキシドに溶解して、濃度が6.5質量%の高分子電解質溶液を調製した。
得られた高分子電解質溶液を、スロットダイを用いて、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基板と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して成膜した。
得られた膜を2N硫酸に浸漬せずに、イオン交換水で水洗し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで、高分子電解質膜の基材2Aを作製した。基材2Aの膜厚は10μmであった。
基材1Bの代わりに基材2Aを使用したこと以外はすべて実施例16と同様にして、片面の中央部における5cm×5cmの領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は80℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで劣化防止剤層を形成し、5cm×5cmの領域に固形分が0.8mg配置した。次いで、2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾し、高分子電解質膜20を得た。高分子電解質膜20における低分子成分Aの含有量は、高分子電解質膜20の全質量に対し1.7質量%であった。
高分子電解質膜20について、上述の方法による劣化防止剤の分散状態の確認を行った。
また、高分子電解質膜20の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦36.6μm×横38.6μm(単位領域数183×193)を切り出して、低分子成分Aの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=17.0μm、30.8μm、仮表面の位置をz=20.0μm、27.8μmとした。さらに、膜外部標準領域をz=1.0μm〜9.2μmとした。
膜内部領域(z=20.2μm〜27.6μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域は、z=26.8μm〜27.6μmであり、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の14.1倍であった。
(実施例18)
THFと、NMPとの混合溶媒(THF90質量%+NMP10質量%)に低分子成分Aを0.25質量%添加し、室温で1時間攪拌して溶解させ、劣化防止剤溶液7を得た。
劣化防止剤溶液6の代わりに劣化防止剤溶液7を使用したこと以外はすべて実施例17と同様にして、片面の中央部における5cm×5cmの領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は80℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで劣化防止剤層を形成し、5cm×5cmの領域に固形分が0.8mg配置した。次いで、2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾し、高分子電解質膜21を得た。高分子電解質膜21における低分子成分Aの含有量は、高分子電解質膜21の全質量に対し1.5質量%であった。
高分子電解質膜21について、上述の方法による劣化防止剤の分散状態の確認を行った。
また、高分子電解質膜21の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦36.4μm×横42.0μm(単位領域数182×210)を切り出して、低分子成分Aの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=9.8μm、23.8μm、仮表面の位置をz=12.8μm、20.8μmとした。さらに、膜外部標準領域をz=28.0μm〜32.0μmとした。
膜内部領域(z=13.0μm〜20.6μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域は、z=16.4μm〜20.4μmであり、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の9.3倍であった。
(比較例9)
NMPに低分子成分Aを0.25質量%添加し、室温で1時間攪拌して溶解させ、劣化防止剤溶液8を得た。
劣化防止剤溶液6の代わりに劣化防止剤溶液8を使用したこと以外はすべて実施例17と同様にして、片面の中央部における5cm×5cmの領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は80℃に設定した。さらに重ね塗りを行ったが、基材2Aが大きく膨潤したため、良好な高分子電解質膜を得ることができなかった。
(比較例10)
低分子成分Aの代わりに非芳香族系の含硫黄化合物である過酸化物分解剤3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクデシルエステル(BASF社製、IRGANOX PS 802FL)を0.05gをTHF20gに溶解し、市販の20質量%ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、溶媒:水と低級アルコールの混合物)0.63g、エタノール3.2gを加え、室温にて6時間攪拌することで、劣化防止剤溶液9を得た。
得られた劣化防止剤溶液9を基材1Bの片面の中央部における3cm×3cmの領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は60℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで劣化防止剤層を形成し、3cm×3cmの領域に固形分が0.37mg配置された高分子電解質膜22を得た。
実施例11の高分子電解質膜14の代わりに高分子電解質膜22を用いたこと以外は、実施例11と同様に評価した。
上記実施例11および比較例4,10について、水蒸気透過度および初期状態からの重量平均分子量維持率を以下の表15に示す。
Figure 2013175421
表15より、非芳香族系の含硫黄化合物である過酸化物分解剤を用いた比較例10では、劣化防止剤を用いていない比較例4と同程度の分子量維持率しか示さなかった。
[オリゴマー成分Bの合成]
(前駆体4の合成)
下記式(720)に準じて、前駆体4を合成した。
Figure 2013175421
攪拌機を備えた20Lフラスコの中の雰囲気をアルゴンで置換し、ここに2−クロロフェノチアジン(500g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(597.6g)、酢酸カリウム(251.9g)、1,4−ジオキサン(5000g)を加えた。この混合物にアルゴンを1時間バブリングした後(流量:9〜10L/分)、酢酸パラジウム(9.6g)、下記式(P001)で表されるホスフィン(40.8g)を加え、100℃で3時間反応させた。
Figure 2013175421
100Lフラスコに水(15000g)を加え、ここに上記の反応溶液を加えた後、酢酸エチル(10000g)で2回抽出を行った。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム(7500g)で洗浄し、次いで水(7500g)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム(2500g)で脱水した。この混合物を濾過し、無水硫酸ナトリウムを酢酸エチル(5000g)で洗浄して濾液と合わせ、減圧濃縮した。
濃縮した反応混合物にトルエン(7500g)、活性白土(1500g)を加え、1時間攪拌した。この混合物を濾過し、活性白土をトルエン(2500g)で洗浄して濾液と合わせ、減圧濃縮した。
得られた反応混合物にトルエン(2500g)を加え、60℃に加熱して溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、n−ヘキサン(2500g)を15分かけて滴下した後、氷冷した。生成した固形分を濾取し、n−ヘキサン(5000g)で洗浄した後、40℃で48時間乾燥させることで、前駆体4(521.8g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6、δ(ppm)):1.24(s、12H)、6.59−6.61(m、1H)、6.69−6.73(m、1H)、6.86−6.89(m、2H)、6.93−7.01(m、3H)、8.50(s、1H)
(オリゴマー成分Bの合成)
下記式(721)に準じて、オリゴマー成分Bを合成した。
Figure 2013175421
J.Phys.Chem.B 2008、112、11694に記載の合成法に準じて、前駆体5を準備した。フラスコの中の雰囲気をアルゴンで置換し、フラスコ内に前駆体5(2.77g)、リン酸カリウム(6.77g)、ジメチルアセトアミド(200ml)を加えた。この混合物にアルゴンを15分間バブリングした後、前駆体4(10.1g)、酢酸パラジウム(0.04g)、下記式(P002)で示されるホスフィン(0.15g)を加え、90℃で4時間反応させた。
得られた反応溶液を室温まで冷却した後、水(2L)に注加して1時間攪拌し、生成した沈殿を濾取し、水で洗浄した。得られた沈殿をTHF(1000ml)に溶解させ、活性白土(13g)を加え1時間攪拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた固形分をトルエン(1200ml)、メタノール(900ml)の順に洗浄したのち、40℃真空下で乾燥させることで、オリゴマー成分B(3.49g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6、δ(ppm)):6.67−7.23(m、20H)、8.60(s、2H)、8.85(s、1H)
マススペクトル:(FD−MS m/z:593)
Figure 2013175421
(実施例19)
THFと、ジエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合溶媒(THF90質量%+ジエチレングリコールモノエチルエーテル10質量%)に、合成したオリゴマー成分Aを0.075質量%添加し、室温で溶解させ、劣化防止剤溶液10を得た。
得られた劣化防止剤溶液10を基材1Bの片面の中央部における5cm×5cm(5cm×5cmの基材1B:50mg)の領域に、スプレー法にて塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は60℃に設定した。さらに重ね塗りを行い、溶媒を除去することで、劣化防止剤層を形成した。これにより、5cm×5cmの領域に劣化防止剤層が0.2mg配置された高分子電解質膜23を得た。
実施例11の高分子電解質膜14の代わりに高分子電解質膜23を用いたこと以外は、実施例11と同様に評価した。
(実施例20)
高分子電解質膜23の作成におけるオリゴマー成分Aの代わりにオリゴマー成分Bを同重量用いて、劣化防止剤溶液11を調製し、該溶液を用いて同様な手法で劣化防止剤層が5cm×5cmの領域に0.2mg配置された高分子電解質膜24を作成した。
高分子電解質膜24について、上述の方法による劣化防止剤の分散状態の確認を行った。
高分子電解質膜24の断面について撮影した光学顕微鏡画像縦37.8μm×横30.6μm(単位領域数189×153)を切り出して、低分子成分Bの濃度分布を解析した。光学顕微鏡画像Aの解析から仮境界の位置をz=5.6μm、34.6μm、仮表面の位置をz=8.6μm、31.8μmとした。さらに、膜外部標準領域をz=36.6μm〜37.6μmとした。
膜内部領域(z=8.8μm〜31.6μm)におけるdCz/dzの絶対値が膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の5倍以上である領域は、z=30.8μm〜31.6mであり、膜内部領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値は膜外部標準領域におけるdCz/dzの絶対値の最大値の8.6倍であった。
実施例11の高分子電解質膜14の代わりに高分子電解質膜24を用いたこと以外は、実施例11と同様に評価した。
上記実施例19,20および比較例4について、初期状態からの重量平均分子量維持率を以下の表16に示す。
Figure 2013175421
評価の結果、表16に示すように、実施例19でのオリゴマー成分Aを用いて調製された高分子電解質膜、および実施例20でのオリゴマー成分Bを用いて調製された高分子電解質膜は、劣化防止剤を添加しないもの(比較例4)と比較して、負荷変動試験前後でも高分子電解質の分子量が高く維持されており、優れた長期安定性を有することが判明した。
これらの結果により、本発明の有用性が確かめられた。
10…燃料電池、12,15…高分子電解質膜、13A…劣化防止剤層、14a…アノード触媒層、14b…カソード触媒層、15A…領域、16a,16b…ガス拡散層、18a,18b…セパレータ、20…膜電極接合体(MEA)

Claims (14)

  1. 2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む含硫黄芳香族化合物と、高分子電解質と、を含む高分子電解質膜であって、
    前記含硫黄芳香族化合物は、膜厚方向に濃度変化を有して含有されている高分子電解質膜。
  2. 少なくとも前記含硫黄芳香族化合物を含む層と、前記高分子電解質を含み前記含硫黄芳香族化合物を含まない層と、が厚み方向に2以上積層して形成されている請求項1に記載の高分子電解質膜。
  3. 前記含硫黄芳香族化合物を含む層がさらに、イオン伝導性基を有する高分子電解質を含有する請求項2に記載の高分子電解質膜。
  4. 前記含硫黄芳香族化合物が、一方の面から膜厚方向に連続的に漸次減少する濃度変化を有して含有されている請求項1から3のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
  5. 前記含硫黄芳香族化合物の硫黄原子が2価または4価である請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
  6. 前記含硫黄芳香族化合物が、硫黄原子を含む6員環を有する複素環芳香族化合物であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
  7. 前記含硫黄芳香族化合物が、複素環と芳香環とが縮環した骨格を有する複素環芳香族化合物である請求項1から6のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
  8. 前記含硫黄芳香族化合物が、高分子電解質膜の全質量に対して、0.001質量%以上50質量%以下含有される請求項1から7のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
  9. 2つ以上の炭素原子と結合しかつ孤立電子対を有する硫黄原子を含む含硫黄芳香族化合物と、高分子電解質と、を含む高分子電解質膜の製造方法であって、
    前記高分子電解質を形成材料とする膜状の基材の一面に、前記含硫黄芳香族化合物と前記高分子電解質の貧溶媒とを含む組成物を塗布する塗布工程と、
    少なくとも前記貧溶媒を除去する乾燥工程と、を有する高分子電解質膜の製造方法。
  10. 前記組成物は、前記高分子電解質の良溶媒をさらに含み、
    前記乾燥工程では、前記良溶媒を合わせて除去する請求項9に記載の高分子電解質膜の製造方法。
  11. 前記組成物において、前記貧溶媒と前記良溶媒との比が1:99〜99:1である請求項10に記載の高分子電解質膜の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持するアノード触媒層およびカソード触媒層と、を有する膜電極接合体。
  13. 前記高分子電解質膜に含まれる含硫黄芳香族化合物の濃度の極大値を示す位置が、前記高分子電解質膜の厚み方向の中心よりも前記カソード触媒層側にある請求項12に記載の膜電極接合体。
  14. 請求項12または13に記載の膜電極接合体を有する燃料電池。
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