JP4831831B2 - 固体高分子型燃料電池、及びその製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池に関する。
2つの電極(燃料極と酸化極)により電解質膜の挟まれた構造(高分子電解質膜電極接合体;以下、MEAと記載する)、を有する固体高分子型燃料電池が知られている。この固体高分子型燃料電池では、燃料極側に燃料が、酸化極側に酸化剤ガスが夫々供給される。そして、電解質膜を介して燃料成分と酸化剤ガス成分が電気化学的に反応し、発電が行われる。燃料としては例えば水素を含むガスが用いられ、酸化剤ガスとしては例えば酸素を含むガスが用いられる。
電気化学反応を促進させるために、一般的に、電極の電解質膜側に触媒層が設けられる。この触媒層を形成するための技術が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、触媒担持カーボンと、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液とイソプロパノールとを混合し、スプレードライヤ装置で乾燥させることにより、触媒担持カーボンの粒子を得るとの記載がある。
ところで、このような固体高分子型燃料電池を、長時間、又は苛酷な条件下で使用すると、穴が開いたり破れたりするなど、電解質膜が劣化してしまう事がある。この理由は、以下のようなものであると考えられている。図1は、電解質膜の劣化の様子を示す説明図である。図1に示されるように、燃料極には水素が供給され、酸化極には酸素が供給される。ここで、供給された水素及び酸素の一部は、電解質膜を透過して反対側の電極へリークすることがある。このような場合、水素と酸素が、反応(H+O→H)して、過酸化水素等が副生成物として生成してしまう。生成した過酸化水素は、更に(H+H+e→・OH+HO)という反応により、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成する場合がある。ヒドロキシラジカルは反応性が高いので、電解質膜と反応して、電解質膜を分解し劣化させてしまうものと考えられている。
従って、電気化学反応の際の副生成物による電解質膜の劣化を防止する事のできる技術の提供が望まれる。
上記と関連して、過酸化物を分解するための技術が、特許文献2〜5に記載されている。
すなわち、特許文献2には、固体高分子電解質膜の劣化を抑えることを目的として、固体高分子電解質膜中に、Ce、Ti、Mn、Ag、Ybのうち少なくとも一種の金属のイオンを含有させる事が記載されている。
また、特許文献3には、電解質膜として、スルホン酸基を有する高分子化合物からなる陽イオン交換膜であって、25℃、水溶液中での標準電極電位が1.14〜1.763Vの範囲にある酸化・還元反応を行うカチオンを含むものを使用することが記載されている。ここで、上記カチオンとしては、例えば、セリウムイオン、マンガンイオンが使用できる、と記載されている。
また、特許文献4には、酸素極にセリウム含有酸化物を含有したMEAについての記載がある。この特許文献4には、酸素極にセリウム含有酸化物を含有させる事で、セリウム含有酸化物が過酸化水素を酸化分解する触媒として作用し、過酸化水素を無害化すると記載されている。
また、特許文献5には、電解質及び/又は電極に、難溶性の炭酸塩を含む過酸化物分解触媒を固定させる事が記載されている。
しかしながら、過酸化物を分解する物質を含有させた場合、燃料電池としての起電力が低下してしまうことがあった。
特許第3564975号 公報 特開2006−164966号 公報 特開2006−99999号 公報 特開2004−327074号 公報 特開2006−134678号 公報
従って、本発明の目的は、起電力の低下を抑制した上で、電解質膜の劣化も抑制することのできる固体高分子型燃料電池、及びその製造方法を提供することにある。
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数の形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
本発明にかかる固体高分子型燃料電池は、電解質膜(10)と、電解質膜(10)の両面にそれぞれ接合された2つの電極(60、70)と、を具備する。2つの電極(60、70)の各々は、触媒層(20、30)を有する。2つの電極(20、30)のうちの少なくとも一方の触媒層は、ラジカル捕捉触媒層(27、37)を有する。ラジカル捕捉触媒層(27、37)は、第1樹脂(24)と、第1樹脂(24)中に分散された第1凝集体(22)とを含んでいる。第1凝集体(22)は、触媒作用を有する第2凝集体(21)と、第2凝集体(21)を覆う第2樹脂(23)とを含んでいる。第2樹脂(23)には、ラジカル捕捉剤(29)が分散されている。ここで、第1樹脂(24)は、プロトン伝導性を有していることが好ましい。また、ラジカル捕捉触媒層(27、37)は、電解質膜(10)に密着していることが好ましい。
このような構成に依れば、第2凝集体(21)の周囲が、ラジカル捕捉剤(29)を含む第2樹脂(23)で覆われているので、第2凝集体(21)上で過酸化水素が発生したとしても、その過酸化水素は即座にラジカル捕捉剤(29)により捕捉される。従って、電解質膜(10)の劣化が抑制される。また、ラジカル捕捉剤(29)は、ラジカル捕捉触媒層(27、37)中の第2凝集体(21)の周囲に配置されているだけであるので、プロトン(H)は第1樹脂(24)中を自由に移動することができる。すなわち、触媒層中を、プロトンが自由に移動することができるので、プロトンを要する電気化学反応も抑制されず、発電反応が抑制されない。この結果、起電力の低下を抑制した上で、過酸化水素による電解質膜(10)の劣化も抑制させることができる。
上記の固体高分子型燃料電池において、触媒層(20、30)は、更に、ラジカル捕捉触媒層(27、37)上に形成されたラジカル非捕捉触媒層(28、38)を有していることが好ましい。ここで、ラジカル非捕捉触媒層(28、38)は、プロトン伝導性を有する第3樹脂(31)を有している。
このように、ラジカル捕捉触媒層(27、37)上に、更に非捕捉触媒層(28、38)が形成されていれば、ラジカル非捕捉触媒層(28、38)中では電気化学反応が促進される。ここで、過酸化水素が生成したとしてもラジカル捕捉触媒層に阻まれて電解質膜まで到達しない。従って、電解質膜(10)の劣化を抑制した上で、起電力の低下をより効果的に抑制することができる。
上記の固体高分子型燃料電池において、ラジカル捕捉剤(29)は、Ce、Ti、Mn、Ag、及びYbからなる集合から選ばれる少なくとも一の金属元素を含有していることが好ましい。また、ラジカル捕捉剤(29)の含有量は、前記2つの電極の合計で、0.1nmol/cm〜500μmol/cmの含有量であることが好ましく、0.01μmol/cm〜2μmol/cmの含有量であることがさらに好ましい。
本発明にかかる触媒層形成用凝集体(22)は、固体高分子型燃料電池の触媒層を形成するための触媒層形成用凝集体である。この触媒層形成用凝集体(22)は、触媒作用を有する第2凝集体(21)と、第2凝集体(21)を覆う第2樹脂(23)とを含んでいる。第2樹脂(23)には、ラジカル捕捉剤(29)が含有されている。
本発明にかかる固体高分子型燃料電池の製造方法は、触媒粒と、第2樹脂溶液と、ラジカル捕捉剤とを含む混合物を生成する第1混合工程(ステップS10)と、第1混合工程(S10)で生成された混合物を、スプレードライ法により乾燥させて、第1凝集体(22)を生成する乾燥工程(ステップS20)と、第1凝集体(22)を触媒層形成用の凝集体として、電解質膜電極接合体(100)を形成するMEA形成工程(ステップS30)と、を具備する。MEA形成工程(S30)は、第1凝集体(22)を、プロトン伝導性を有する第1樹脂溶液中に混合させる第2混合工程(ステップS301、S305、S308、S311)を有している。
上述のように、乾燥工程(S20)において、スプレードライ法を用いて混合物を乾燥させれば、触媒粒が凝集して第2凝集体(21)となり、更にこの第2凝集体(21)の表面が均一に第2樹脂(23)で被覆された第1凝集体(22)を生成させることができる。
上記の固体高分子型燃料電池の製造方法は、その一形態において、MEA形成工程(S30)が、更に、第2混合工程(S301)で形成された混合物を、電極用基材上に塗布して乾燥させるラジカル捕捉層形成工程(S302)と、ラジカル捕捉層形成工程(S302)の後に、その電極用基材を電解質膜(10)に接合させる接合工程(S303)と、を有していることが好ましい。
上記の固体高分子型燃料電池の製造方法は、他の一形態において、MEA形成工程(S30)が、更に、第3触媒凝集体群(31)を含む第3樹脂(32)溶液を、電極用基材上に塗布して乾燥させるラジカル非捕捉触媒層形成工程(S304)と、前記ラジカル非捕捉触媒層形成工程の後に実施され、第2混合工程(S305)で形成された混合物を、電極用基材上に塗布して乾燥させるラジカル捕捉層形成工程(ステップS306)と、を有していることが好ましい。
上記の固体高分子型燃料電池の製造方法は、他の一形態において、MEA形成工程(S30)が、更に、第2混合工程(S308)で形成された混合物を、電解質膜上に塗布して乾燥させるラジカル捕捉層形成工程(ステップS309)と、ラジカル捕捉層形成工程(S309)の後に、その電極用基材を電解質膜に接合させる接合工程(ステップS310)と、を有することが好ましい。
上記の固体高分子型燃料電池の製造方法は、他の一形態において、MEA形成工程(S30)が、更に、第2混合工程(S311)で形成された混合物を、電解質膜(10)上に塗布して乾燥させるラジカル捕捉層形成工程(ステップS312)と、ラジカル捕捉層形成工程(S312)の後に、第3触媒凝集体群(31)を含む第3樹脂溶(32)液を、電解質膜(10)上に塗布して乾燥させるラジカル非捕捉触媒層形成工程(ステップS313)と、ラジカル非捕捉層形成工程(S313)の後に、電極用基材を電解質膜(10)に接合させる接合工程(ステップS314)と、を有することが好ましい。
本発明にかかる触媒層形成用凝集体(22)の製造方法は、固体高分子型燃料電池の触媒層を形成するために用いられる触媒層形成用凝集体の製造方法である。この製造方法は、触媒粒と、第2樹脂溶液と、ラジカル捕捉剤とを含む混合物を生成する第1混合工程(ステップS10)と、第1混合工程(S10)で生成された混合物を、スプレードライ法により乾燥させて、第1凝集体(22)を生成する乾燥工程(S20)と、を具備する。
本発明に依れば、起電力の低下を抑制した上で、電解質膜の劣化も抑制することのできる固体高分子型燃料電池、及びその製造方法が提供される。
(第1の実施形態)
以下に、図面を参照しつつ、第1の実施形態について説明する。固体高分子型燃料電池は、電解質膜電極接合体100を有している。図2は、その電解質膜電極接合体100の断面図である。尚、固体高分子型燃料電池は、電解質膜電極接合体100に対して燃料、酸化剤ガスが供給されるように構成されているが、これらの機構の図示は省略されている。
電解質膜電極接合体100は、電解質膜10と、電解質膜10の両面にそれぞれ接合された燃料極60及び酸化極70とを有している。
電解質膜10としては、プロトン伝導性を有する高分子膜が用いられる。このようなプロトン伝導性を有する高分子膜としては、例えば、スルホン酸基などのプロトン伝導性基を有することでプロトン伝導性の付与された樹脂を用いることができる。このようなものとしては、例えばナフィオン(商品名、デュポン社製)を用いることができる。また、ナフィオン以外にも、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリイミドなどの高分子の一部をスルホン化してイオン交換体としたもの、等も用いることができる。また、これらの単独使用や、これらの複数種の共重合物又は混合物を使用することができる。特に、ポリフェニレンスルホキシド(PPSO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルフィドスルホン(PPS/SO)を適用したものであると、その特性や汎用性等の観点から好ましく、さらに、PPSを適用するとより好ましい。
燃料極60は、触媒層20と、触媒層20上に形成されたガス拡散層40とを有している。燃料極60は、触媒層20側で電解質膜10に接合されている。酸化極も、燃料極60と同様に、触媒層30とガス拡散層50とを有している。そして、触媒層30側で電解質膜10に接合されている。
ガス拡散層40、50は、触媒層20に均一に燃料又は酸化剤を供給するためのものである。ガス拡散層40としては、例えば撥水化されたカーボンペーパーが用いられる。
触媒層20は、水素(プロトン)と酸素との電気化学的反応の場であり、樹脂中に触媒が分散された構造を有している。
このような固体高分子型燃料電池において、本発明では、触媒層20、30の構成に工夫が施されている。図3は、燃料極60側の触媒層20の構成を示す模式図である。。尚、以下に述べる工夫は、酸化極70側の触媒層30に対しても同様に施されているが、酸化極70側の触媒層30に関する説明は省略する。
図3に示されるように、触媒層20は、第1樹脂24中に第1凝集体22が分散した構造を有している。
第1樹脂24は、プロトン伝導性を有している。具体的には、パーフルオロスルホン酸樹脂が挙げられる。そのパーフルオロスルホン酸樹脂としては、ナフィオン(商品名、デュポン社製)が挙げられる。
第1樹脂24中に分散された第1凝集体22は、触媒作用を有する第2凝集体21が、第2樹脂23によって被覆されたものである。
図4は、第1凝集体22の構成を説明する模式図である。図4に示されるように、第2凝集体21を被覆する第2樹脂23中には、ラジカル捕捉剤29が分散されている。すなわち、ラジカル捕捉剤29が第2樹脂23によって第2凝集体21の周囲に固定されている。尚、第1樹脂24のうち、第1凝集体22以外の領域には、このようなラジカル捕捉剤29は存在しない。
ラジカル捕捉剤29は、ラジカルを捕捉する機能を有する化合物である。ラジカル捕捉剤29としては、Ce、Ti、Mn、Ag、及びYbからなる集合から選ばれる少なくとも一の金属元素を含有した金属化合物が好適である。このなかでも、Ceを含む金属化合物は、ラジカル捕捉能が高く、より好適である。Ceを含む金属化合物としては、硝酸セリウム、酸化セリウムが例示される。また、これらの金属化合物は、金属のイオンを生じる化合物、又は金属イオンを含有するイオン化合物であることがより好適である。
第2樹脂23自体の材料は、第1樹脂24と同じようにプロトン伝導性を有する樹脂が用いられ、具体的には、パープルオロスルホン酸樹脂が挙げられる。このパーフルオロスルホン酸樹脂としては、ナフィオン(商品名、デュポン社製)が挙げられる。
第2凝集体21は、触媒粒が凝集したものである。触媒粒は、触媒25が担体26に担持されたものである。触媒25としては、例えば、白金触媒や白金合金触媒(例示;Pt−Ru、Pt−Co、Pt−Ni)を用いることができる。担体26としては、例えばカーボンが挙げられる。このような触媒粒としては、例えば、カーボン(担体26)に白金(触媒25)が担持されたカーボン担持白金触媒が挙げられる。そのカーボン担持白金触媒としては、例えば、TEC10E50E(商品名、田中貴金属社製)等が挙げられる。
上述のような構成を有する固体高分子型燃料電池では、発電動作時に、燃料極60側に水素を含むガスが、酸化極70側に酸素を含むガスがそれぞれ供給され、発電反応が進行する。両極の触媒層(20、30)における電気化学反応(発電反応)は、主に第2凝集体21を反応場として進行する。この過酸化水素がこの発電反応の副生成物として発生した場合、その過酸化水素が分解してヒドロキシラジカル(・OH)を生成することがある。しかしながら、生成したヒドロキシルラジカルは、第2凝集体21の周囲に固定されたラジカル捕捉剤29によって速やかにトラップされる。よって、ヒドロキシルラジカルが電解質膜10まで到達する可能性は低く、電解質膜10の分解が抑制される。
また、ラジカル捕捉剤29は、第2凝集体21の周囲に配置されているだけで、その他の部分はプロトン伝導性を有する第1樹脂24である。従って、触媒層全体としてのプロトン伝導性は、ラジカル捕捉剤29を含有しているにも関わらず、高い。従って、発電反応がラジカル捕捉剤によって阻害され難い。すなわち、ラジカル捕捉剤29の含有量を最小限に留め、発電能力低下を最小限に留めた上で、電解質膜10の分解を効果的に抑制することができる。
ラジカル捕捉剤29の含有量としては、両面(燃料極側と酸化極側)を合わせて、単位面積当たり0.1nmol/cm〜500μmol/cmとすることが好ましく、0.01μmol/cm〜2μmol/cmであることがさらに好ましい。含有量が0.01nmol/cmよりも少ないと、過酸化物を分解する機能が低下し、電解質膜10の劣化を抑制できないことがある。一方、含有量が500μmolよりも多いと、発電反応が抑制されて、十分な起電力を得られないことがある。
続いて、本実施形態にかかる固体高分子型燃料電池の製造方法について説明する。図5は、この固体高分子型燃料電池の製造方法のフローチャートである。この固体高分子型燃料電池の製造方法は、第1凝集体を用意する工程(ステップS10〜ステップS20)と、電解質膜電極接合体100を形成する工程(ステップS30)とを有している。各工程の詳細について、以下に説明する。
ステップS10〜20;第1凝集体の形成
まず、触媒粒と、ラジカル捕捉剤29とを、第2樹脂23の溶液中に混合して、混合物を生成する(ステップS10)。第2樹脂23の溶液としては、例えば、10質量%のパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液が挙げられる。この時、ラジカル捕捉剤の重量が触媒粒の重量に対して1%〜2%となるように混合することが好ましい。また、ラジカル捕捉剤の重量が、第2樹脂23の重量に対して、10%〜20%となるように混合することが好ましい。このような範囲で混合すると、得られた第1凝集体を用いた際に、過酸化水素分解性とプロトン伝導性とを両立させ易くなる。尚、本工程において、ラジカル捕捉剤29の溶解性を高めるために、界面活性剤を加えてもよい。
続いて、ステップS10の処理で得られた混合物を、スプレードライ法によって乾燥させ、第1凝集体22を得る(ステップS20)。尚、スプレードライ法とは、被処理体をミスト(霧)状にして乾燥させることをいう。本実施形態では、スプレードライヤ装置に、ノズルを介して、ミスト状にした混合物を投入する。そして、スプレードライヤ装置中で乾燥させた混合物を収集することで、第1凝集体22が得られる。ここで、得られる第1凝集体22の粒径は、0.1〜1μm程度となるようにすることが好ましい。このような範囲の粒径は、第1樹脂中に分散させ易く、またヒドロキシルラジカルの分解とプロトン伝導性とを両立させ易い。
スプレードライ法により乾燥させると、ミスト中で触媒粒が凝集して第2凝集体21を形成する。そして、第2凝集体21の表面は第2樹脂23で被覆される。一方、ラジカル捕捉剤29は、第2樹脂23中に分散する。このようにミスト状態として乾燥させることは、第2凝集体21の表面が、ラジカル捕捉剤29の分散した第2樹脂23によって極めて均一に被覆させることができるので、好ましい。このように、均一に被覆させることができるのは、ミストにした時の表面張力のためと考えられる。
ステップS30;電解質膜電極接合体(MEA)の形成
続いて、ステップS10〜20の処理で用意された第1凝集体22を触媒層形成用凝集体として、電解質膜電極接合体100を形成する。
(ステップS301)
まず、第1凝集体22を、第1樹脂24の溶液中に分散させる。第1樹脂24の溶液としては、例えば、10質量%濃度のパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液のが挙げられる。「第1凝集体22」:「第1樹脂24」との混合比は、例えば、「1:0.3」である。尚、ここで、分散性を高めるために、界面活性剤を添加してもよい。
(ステップS302)
続いて、S301で得られた混合溶液を、電極用基材上に塗布して乾燥させる。その電極用基材としては、例えば、撥水化剤により撥水されたカーボンペーパ、等を用いることができる。このとき、電極用基材の本体部分が、ガス拡散層となり、塗布された層が触媒層となる。
(ステップS303)
続いて、S302で得られた電極用基材を、電解質膜10の両面に接合する。具体的には、電極用基材で電解質膜10を挟持して熱圧着することで、接合させることができる。
上述のステップS10〜30の処理により、電解質膜電極接合体100が得られる。得られた電解質膜電極接合体100に対して、複数の電解質膜電極接合体100を積層(スタック)させたり、燃料や酸化剤を供給する機構などを取り付ける、などの処理が施され、固体高分子型燃料電池が作製される。
上述のような固体高分子型燃料電池の製造方法を用いれば、予めラジカル捕捉剤を含有した触媒層形成用凝集体(第1凝集体22)を用いて触媒層が形成されるので、ラジカル捕捉剤29を、第2凝集体21の周囲にのみ選択的に配置させた構造を得る事ができる。ここで、触媒形成用凝集体を得るにあたり、スプレードライ法を用いているので、第2凝集体21の周囲を、極めて均一に第2樹脂23で被覆することができる。
尚、本実施形態では、ステップS20で得られた第1凝集体22を、電極用基材側に塗布する場合について説明したが、電解質膜10側に塗布することでも同じ構成の電解質膜電極接合体100を得る事ができる。
また、上述の形態では、ラジカル捕捉触媒層が燃料極60と酸化極70とのそれぞれに設けられる場合について説明したが、いずれか一方にのみ設けられている場合でも、ある程度の効果が得られる。このとき、ヒドロキシルラジカルは、酸化極60側で発生し易いので、酸化極60側にラジカル捕捉触媒層を設けておいた方が、燃料極側に設けた場合よりも効果が高い。
また、本実施形態では、燃料極60と酸化極70とで、触媒層の組成が同じである場合について説明したが、必ずしも同じである必要はない。例えば、燃料極60側の触媒25として白金−ルテニウム合金触媒を用い、酸化極70側の触媒25として白金触媒や、白金合金触媒(例示;Pt−Co,Pt−Ni)等を用いてもよい。
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る電解質膜電極接合体100の断面図である。本実施形態は、第1の実施形態に比較して、触媒層80、90の構造が更に工夫されている。尚、触媒層80、90以外の点については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する場合がある。また、触媒層80と90とは、実質的に同じ構成のものを用いることができるので、説明は触媒層80側だけとし、触媒層90についての詳細な説明は省略する。
図6に示されるように、触媒層80は、2層構造となっている。触媒層80の電解質膜10側は、ラジカル捕捉触媒層81となっており、ガス拡散電極40側はラジカル非捕捉触媒層82となっている。ラジカル捕捉触媒層81は、電解質膜10に密着している。
ラジカル捕捉触媒層81の構成は、第1の実施形態で説明した触媒層20と同じである。すなわち、第1樹脂24中に第1凝集体22の分散された構造を有している。
一方、ラジカル非捕捉触媒層82は、第3樹脂83中に触媒作用を有する触媒粒が分散された構造を有している。ここで、第3樹脂83は、プロトン伝導性を有しており、ラジカル捕捉剤は含有していない。第3樹脂83としては、第1樹脂24や第2樹脂23と同様のものを用いることができる。また、第3樹脂中に分散された触媒粒としては、第2凝集体と同じものを用いることができ、例えば、カーボン担持白金触媒を用いることができる。
上述したような構造に依れば、発電反応はラジカル非捕捉触媒層82とラジカル捕捉触媒層81の双方で行われる。ここで、ラジカル非捕捉触媒層82は、ラジカル捕捉剤を含まないので、ヒドロキシラジカルを捕捉する能力を有さない。しかし、ラジカル非捕捉触媒層82が電解質膜10との間に設けられているので、ヒドロキシルラジカルは電解質膜10へ到達する前に無害化される。
一方、ラジカル非捕捉触媒層82におけるプロトン伝導能力は、ラジカル捕捉剤を含有していないので、ラジカル捕捉触媒層81よりも更に高くなっている。従って、ラジカル捕捉触媒層81の厚みを、ヒドロキシルラジカルが捕捉されるのに必要な最低限の厚みにすれば、触媒層80全体としてのプロトン伝導性を、第1の実施形態よりも更に高めることができる。これにより、発電反応低下をより抑制した上で、電解質膜10の分解を押さえることができる。
続いて、本実施形態にかかる固体高分子型燃料電池の製造方法について説明する。図7は、この固体高分子型燃料電池の製造方法を示すフローチャートである。尚、第1凝集体22を用意するまでの工程は、第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
(ステップS304)
まず、電極用基材上に、ラジカル非捕捉触媒層81を形成する。ラジカル非捕捉触媒層81は、第3樹脂83の溶液(例えば水溶液)に、第3凝集体84を分散させ、これを電極基材上に塗布、乾燥させることで形成することができる。
(ステップS305、S306)
次に、第1の実施形態と同じように、用意した第1凝集体22を、第1樹脂24の溶液(例えば水溶液)中に混合する(S305)。この混合物を、S304で処理された電極用基材上に、ラジカル非捕捉触媒層82の上から塗布して乾燥させる(S306)。これにより、ラジカル捕捉触媒層81が、電極用基材のラジカル非捕捉触媒層82上に形成される。
(ステップS307)
次に、第1の実施形態と同じように、電解質膜10を、S306の処理の施された電極用基材で挟んで熱圧着させる。このとき、ラジカル捕捉触媒層81側を電解質膜10側として、接合させる。これにより触媒層80が、ラジカル非捕捉触媒層82とラジカル捕捉触媒層81との2層構造である電解質膜電極接合体100が形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、ラジカル捕捉触媒層81は触媒層80のうちの電解質膜10側にのみ設けられているので、触媒層80全体としてのプロトン伝導性低下を最低限に抑えた上で、電解質膜10の分解をも抑制させることができる。
尚、本実施形態においても、触媒層80を電極用基材側に塗布する場合について説明したが、予め電解質膜10側に触媒層80を塗布しておき、触媒層80の形成された電解質膜10に電極用基材を接合させてもよい。
続いて、本発明者らによって行われた実験例、比較例を参照して、本発明の作用効果について説明する。
(実験例1)
触媒粒として白金を重量比で約50%担持させたカーボン担持白金触媒(商品名TEC10E50E、田中貴金属社製)を、第2樹脂として10%濃度のパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液(商品名ナフィオン、デュポン社製)を、ラジカル捕捉剤として硝酸セリウム(三津和化学社製)の粉末を、それぞれ用意した。これらを、重量比がこの順で200:200:3となるように混合し、さらにイオン交換水を加えてスラリ化させた。このスラリをスプレードライヤ装置を用いて130℃で乾燥させ、カーボン担持白金触媒触媒の周囲にパーフルオロスルホン酸樹脂溶液と、硝酸セリウムとが付着した凝集体(燃料極用第1凝集体)を得た。
得られた燃料極用第1凝集体と10質量%のパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液(商品名ナフィオン、デュポン社製)とを、重量比が1:3となるように混合した。この混合物を、撥水化剤により撥水されたカーボンペーパ上に塗布して乾燥させ、酸化極側のセルとした。なお、上記スラリは、0.5mg/cmPtとなるように塗布した。
酸化極側のセルと同様に、燃料極側のセルを得た。但し、触媒粒としては、白金を重量比で約30%担持させたカーボン担持白金ルテニウム触媒(商品名TEC61E54、田中貴金属社製)を用いた。第2樹脂としては、10%濃度のパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液(商品名ナフィオン、デュポン社製)を用いた。また、ラジカル捕捉剤としては、硝酸セリウムの粉末を用いた。更に、これらの混合比は、重量比がこの記載順に、100:100:1となるようにイオン交換水に混合させてスラリ化させた。このスラリをスプレードライの装置で吹き付けることで、カーボン担持白金ルテニウム触媒の周囲にパーフルオロスルホン酸樹脂溶液と硝酸セリウムとが付着した凝集体(酸化極用第1凝集体)を得た。
上記で得た凝集体と10質量%濃度のパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液(商品名ナフィオン、デュポン社製)を重量比が1:3となるように混合した。この混合物を、撥水化剤により撥水されたカーボンペーパ上に、0.5mg/cmPtとなるように塗布して乾燥させ、燃料極側のセルとした。
上記で作製した酸化極側のセルと燃料極側のセルで、膜厚が50μmの電解質膜(商品名ナフィオン、デュポン社製)を挟持して熱圧着することで電解質膜電極接合体を得た。尚、この電解質膜電極接合体の両面でのセリウム含有量は約0.1μmol/cmであった。
(比較例1)
実施例1と同じように、カーボン担持触媒とパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液と硝酸セリウムの添加量が上記で作製したセルと同等になるように混合してスラリ化させるまでは、実験例1と同じとした。次に、スプレードライヤ法ではなく、このスラリを、直接カーボンペーパ上に塗布して乾燥させることで、セル(燃料極及び酸化極)を作製した。このようにして作製したセルを電解質膜に熱圧着して、比較例1の電解質膜電極接合体を得た。
(比較例2)
比較例2で用いた電解質膜電極接合体の製造方法について説明する。まず、カーボン担持白金触媒とパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液の添加量が、実験例1で作製したセルと同等になるように混合してスラリ化させた。そして、このスラリを、直接カーボンペーパ上に塗布して乾燥させた。ここで、スラリは、0.5mg/cmPtとなるように塗布した。続いて、硝酸セリウム粉末とパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液(デュポン社製ナフィオン(商品名)10質量%液、)とを乾燥時の固形分の体積比が1:1となるように溶媒(エタノール)に混合した。そして、乾燥時の硝酸セリウム層(触媒層)の厚さが片面あたり約3μmとなるように塗布することにより、酸化極側のセルを作製した。
次に、燃料極側のセルを作製した。酸化極側のセルと同様に、カーボン担持白金ルテニウム触媒とパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液の添加量が上記で作製したセルと同等になるように混合してスラリ化したものを、直接カーボンペーパ上に塗布して乾燥させることで触媒を担持させた。ここで、スラリは、0.5mg/cmPtとなるように塗布した。硝酸セリウム粉末とパーフルオロスルホン酸樹脂水溶液(デュポン社製ナフィオン(商品名)10質量%液、)とを乾燥時の固形分の体積比が1:1となるように溶媒(エタノール)に混合し、乾燥時の硝酸セリウム層の厚さを約3μmとなるように塗布することにより燃料極用のセルを作製した。
そして、酸化極用のセルと燃料極用のセルとを電解質膜に熱圧着することで比較例2の電解質膜電極接合体を得た。このときの両面でのセリウム含有量は約1.0μmol/cmであった。
(実験方法1)
実験例1、比較例1及び2の電解質膜電極接合体を用いて、燃料極膜側に水素ガスを供給し、酸化極膜側に空気を供給することにより負荷をかけない開回路電位にて耐久性評価(劣化加速試験)を行った。なお、上記各ガスは、温度調節装置及び加湿器で湿度を調整した。このときの、各ガスの供給時の相対湿度は13%、セルの温度は85℃であった。そして、酸化極膜側に所定時間ごとに空気に代えて窒素ガスを供給し、セルの酸化極膜側から排出される窒素ガス中の水素ガス濃度を経時的に測定することにより、耐久性の評価を行った。尚、水素ガス濃度が高い程、電解質膜を透過する水素ガス量(ガスリーク量)が高く、電解質膜が分解していることを示唆している。
(実験結果)
図8は、実験例1と比較例1の耐久性評価結果を示している。図8に示されるように、実験例1の電解質膜電極接合体は、比較例1と比較して、ガスリークを長期にわたって抑制できることが明らかである。すなわち、スプレードライヤ法を用いてラジカル捕捉剤を含有させた凝集体(第1凝集体)を用いることで、固体高分子電解質膜の劣化による破損が大幅に抑制され、耐久性が大幅に向上することが確認された。
図9は、実験例1と比較例2の耐久性評価結果を示している。図9に示されるように、実験例1の電解質膜電極接合体は、比較例2と比較して、ガスリークを同等程度に抑制できることがわかった。ここで、実験例1のセリウム含有量は、0.1μmol/cmであるのに対し、ここで、実験例1のセリウム含有量は、0.1μmol/cmであるのに対し、ここで、比較例2のセリウム含有量は、1.0μmol/cmである。すなわち、実験例1の電解質膜電極接合体は、比較例2と比較して、ラジカル捕捉剤の含有量が1/10となっているにも関わらず、同程度の耐久性を示していることが判った。すなわち、スプレードライヤ法を用いて予めラジカル捕捉剤を含有した第1凝集体を用意しておくことにより、ラジカル捕捉剤の含有量を最低限とした上で、電解質膜の分解を抑制できることが確認された。
電解質膜が分解する様子を示す説明図である。 第1の実施形態にかかる電解質膜電極接合体の構造を示す模式断面図である。 電極の構造を示す模式断面図である。 第1凝集体の構造を示す模式図である。 第1の実施形態にかかる固体高分子型燃料電池の製造方法を示すフローチャートである。 第2の実施形態にかかる電解質膜電極接合体の構造を示す模式断面図である。 第2の実施形態にかかる固体高分子型燃料電池の製造方法を示すフローチャートである。 実験例1と比較例1の耐久性評価結果である。 実験例1と比較例2の耐久性評価結果である。
符号の説明
10 電解質膜
20 触媒層
21 第2凝集体
22 第1凝集体
23 第2樹脂
24 第1樹脂
25 触媒
26 担体
29 ラジカル捕捉剤
30 触媒層
40 ガス拡散層
50 ガス拡散層
60 電極(燃料極)
70 電極(酸化極)
80 触媒層
81 ラジカル捕捉触媒層
82 ラジカル非捕捉触媒層
83 第3樹脂
84 第3凝集体
90 触媒層
91 ラジカル捕捉触媒層
92 ラジカル非捕捉触媒層

Claims (10)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜の両面にそれぞれ接合された2つの電極と、
    を具備し、
    前記2つの電極の各々は、触媒層を有し、
    前記2つの電極のうちの少なくとも一方の前記触媒層は、ラジカル捕捉触媒層を有し、
    前記ラジカル捕捉触媒層は、
    プロトン伝導性を有する第1樹脂と、
    前記第1樹脂中に分散された第1凝集体とを含み、
    前記第1凝集体は、
    触媒作用を有する第2凝集体と、
    前記第2凝集体を覆う第2樹脂とを含み、
    前記第2樹脂には、ラジカル捕捉剤が分散されている
    固体高分子型燃料電池。
  2. 請求項1に記載された固体高分子型燃料電池であって、
    前記ラジカル捕捉触媒層は、前記電解質膜に密着している
    固体高分子型燃料電池。
  3. 請求項2に記載された固体高分子型燃料電池であって、
    前記触媒層は、更に、前記ラジカル捕捉触媒層上に形成されたラジカル非捕捉触媒層を有し、
    前記ラジカル非捕捉触媒層は、プロトン伝導性を有し、
    前記ラジカル非捕捉触媒層には、触媒が分散されている
    固体高分子型燃料電池。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
    前記ラジカル捕捉剤は、Ce、Ti、Mn、Ag、及びYbからなる集合から選ばれる少なくとも一の金属元素を含有している
    固体高分子型燃料電池。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
    前記ラジカル捕捉剤の含有量が、前記2つの電極の合計で、0.1nmol/cm〜500μmol/cmである
    固体高分子型燃料電池。
  6. 触媒が担体に担持された触媒粒と、第2樹脂溶液と、ラジカル捕捉剤とを含む混合物を生成する第1混合工程と、
    前記第1混合工程で生成された混合物を、スプレードライ法により乾燥させて、第1凝集体を生成する乾燥工程と、
    前記第1凝集体を触媒層形成用の凝集体として、電極・電解質膜接合体を形成するMEA形成工程と、
    を具備し、
    前記MEA形成工程は、前記第1凝集体を、プロトン伝導性を有する第1樹脂溶液中に混合させる第2混合工程を有している
    固体高分子型燃料電池の製造方法。
  7. 請求項に記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
    前記MEA形成工程は、更に、
    前記第2混合工程で形成された混合物を、電極用基材上に塗布して乾燥させるラジカル捕捉層形成工程と、
    前記ラジカル捕捉層形成工程の後に、前記電極用基材を電解質膜に接合させる接合工程と、を有する
    固体高分子型燃料電池の製造方法。
  8. 請求項に記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
    前記MEA形成工程は、更に、
    プロトン伝導性を有する第3樹脂溶液を、電極用基材上に塗布して乾燥させるラジカ
    ル非捕捉触媒層形成工程と、
    前記ラジカル非捕捉触媒層形成工程の後に実施され、前記第2混合工程で形成された
    混合物を、電極用基材上に塗布して乾燥させるラジカル捕捉層形成工程と、を有する
    固体高分子型燃料電池の製造方法。
  9. 請求項に記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
    前記MEA形成工程は、更に、
    前記第2混合工程で形成された混合物を、電解質膜上に塗布して乾燥させるラジカル捕捉層形成工程と、
    前記ラジカル捕捉層形成工程の後に、前記電極用基材を電解質膜に接合させる接合工程と、を有する
    固体高分子型燃料電池の製造方法。
  10. 請求項に記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
    前記MEA形成工程は、更に、
    前記第2混合工程で形成された混合物を、電解質膜上に塗布して乾燥させるラジカル捕捉層形成工程と、
    前記ラジカル捕捉層形成工程の後に、プロトン伝導性を有する第3樹脂溶液を、前記電解質膜上に塗布して乾燥させるラジカル非捕捉触媒層形成工程と、
    前記ラジカル非捕捉層形成工程の後に、電極用基材を前記電解質膜に接合させる接合工程と、を有する
    固体高分子型燃料電池の製造方法。
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