JP2013173989A - 水素発生装置およびこれを用いた燃料電池システム - Google Patents

水素発生装置およびこれを用いた燃料電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】水素の発生および停止を短時間で容易に制御できるとともに、簡単な構成によりコンパクト化が容易である水素発生装置を提供する。
【解決手段】アノード電極、カソード電極、及びこれらの両極に挟まれた固体高分子電解質膜で構成される第1のセル301、及び、第2のセル302と、第1、第2のセルを挟持し、電気的に閉回路を形成する一対の導電性プレート103、104を備え、第1のセルのアノード電極202、及び、第2のセルのアノード電極205に有機物と水からなる液体燃料を供給する手段と、第1のセルのカソード電極203に空気または加湿した空気を供給する手段と、第2のセルのカソード電極204に有機物と水からなる液体燃料又は水を供給する手段を備え、第2のセルのカソード電極で水素を生成する水素発生装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池や水素エンジン等の水素利用機器に水素を供給する水素製造装置に関し、更にはこれを用いた燃料電池システムに関する。
今日、地球規模のエネルギー・環境問題に直面し、この問題の克服が求められている。
このような背景の中で燃料電池をはじめとする水素エネルギーを利用したシステムの開発が大きな関心を集めている。将来的には、水素は電気と共に中心的な二次エネルギーとしての役割を担っていくものと期待されているが、その普及にあたっては、水素エネルギー利用システムの開発や、水素製造、輸送、貯蔵等に関係した要素技術開発およびインフラ整備が重要である。水素製造に関して、現在は化石燃料を水蒸気改質して水素を製造する方法が一般的によく知られている。改質による水素製造は、ガス配管網や給油スタンド等既存の設備を利用できる利点があり、普及拡大に向けた開発が数多く行われている。
しかしながら、改質反応は200℃から300℃といった高温で起こるため、起動から改質温度まで昇温するために時間がかかることや、適用できる材料が耐熱性を有するものに限定されるといった問題がある。また、改質反応により生成されるガスには、燃料電池の性能を劣化させる一酸化炭素が含まれるため、これを除去するための装置組み込みが必要となる。したがって、改質装置の大型化が避けられない問題もある。
また、100℃以下の低温で水素製造が可能な技術として、特許文献1や特許文献2に記載されているような電気化学反応を利用した方法がある。
特許文献1によれば、電解質膜の各々の面にアノードとカソードを備えた電解改質セルのアノードへ有機物燃料(2−プロパノール水溶液)を供給し、外部の直流電源を用いて電圧を印加することで有機物燃料を電気化学反応させてカソード側から水素を発生させる例が開示されている。
また、特許文献2によれば、100℃以下の温度環境下で燃料を改質し、酸化極に酸化剤の供給不足領域を設けて燃料極から水素を発生させる例が開示されている。
特開2006−339071号公報 特開2007−8800号公報
特許文献1には、電解改質セルへの電圧印加および停止により、容易に水素発生および停止できることが開示されている。また、始動時には外部電源を用いて電解改質セルへ電圧を印加し、始動後は発生した水素を燃料とした燃料電池セルを用いて電圧を印加する方法が開示されている。しかしながら、水素を用いた燃料電池を用いて電解改質セルから水素を発生させる場合、理論的には電解改質セルから発生した水素を全量用いて燃料電池セルで発電させないと、電解改質セルで同じ量の水素を発生させるための電流が得られない。すなわち電解改質セルで、アノードで(CH3)2CHOH+5H2O→3CO2+18H++18e-、カソードで18H++18e-→9H2の反応をさせるための18個の電子を得るためには、燃料電池セルのアノードで、9H2→18H++18e-、カソードで4.5O2+18H++18e-→9H2Oの反応が必要となる。したがって、常時水素貯蔵部へ水素を貯蔵していた分のみがシステム外部へ取り出せるエネルギーとなる。システム外へ電気エネルギーを取り出し続けるためには、外部電源により電解改質セルへ電圧を印加し続ける必要があると考えられ、そのための外部からの電力が別途必要となる。
特許文献2には、酸化極側に酸化剤の供給が不足する領域を設けることで水素を発生できることが開示されている。したがって、酸化剤の供給量の制御や酸化剤の供給不足領域の形成に工夫が必要であり、構成がやや煩雑となる。
本発明の目的は、水素の発生および停止を短時間で容易に制御できるとともに、簡単な構成によりコンパクト化が容易である水素発生装置を提供することである。
そこで発明者らは、水素発生装置への酸化剤ガスの供給および遮断によって、水素の発生および停止を容易に制御できるとともに、簡単な構成によりコンパクト化が容易である水素発生装置について鋭意検討した結果、新規な構成を構築するに至った。
本発明の水素発生装置は、アノード電極、カソード電極、及びこれらの両極に挟まれた固体高分子電解質膜で構成される第1のセルと、アノード電極、カソード電極、及びこれらの両極に挟まれた固体高分子電解質膜で構成される第2のセルと、前記第1、第2のセルを挟持し、電気的に閉回路を形成する一対の導電性プレートを備え、前記第1のセルのアノード電極に有機物と水からなる液体燃料を、導電性プレートを介して供給する手段と、前記第1のセルのカソード電極に空気または加湿した空気を、導電性プレートを介して供給する手段と、前記第2のセルのアノード電極に有機物と水からなる液体燃料を、導電性プレートを介して供給する手段と、前記第2のセルのカソード電極に有機物と水からなる液体燃料又は水を、導電性プレートを介して供給する手段と、を備え、前記第2のセルのカソード電極で水素を生成することを特徴とする。
本発明によれば、水素発生や停止する制御を簡略化でき、装置自体の構成が単純化された水素発生装置を提供できる。
本発明の水素発生装置の構成を示す分解斜視図である。 本発明の水素発生装置に設置するセルの構成を示した図である。 本発明の水素発生装置の一つの形態における反応を示した図である。 本発明の水素発生装置の別の形態における反応を示した図である。 本発明の水素発生装置の構成の一例を示した図である。 本発明の水素発生装置を搭載した燃料電池システムの一例を示した図である。
以下に本発明に係る実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
(第一の実施形態)
図1に、本発明の実施形態における水素発生装置101の構成の一例を示す。本発明では、少なくとも2つのセルを用いる。2つのセル102は、導電性プレート103、104によって、電気的に接続されて閉回路を構成するように挟持されている。導電性プレート103、104はそれぞれ流路溝を有しており、ここから有機物と水からなる液体燃料や酸化剤ガスを2つのセル102の各々の電極へ供給する。各々の部材は、2つのセル102の各々の電極と導電性プレート103、104が電気的に接続され、かつ漏えいを防止できる圧力で締結する。締結手段は、ネジやバンド等の一般的な方法を用いればよく、特に制限はない。また、図示していないが、2つのセル102の電極部外周には、セル両面の電極の短絡の防止および液体の漏洩を防止するためにガスケット等のシール部材を備えることが望ましい。なお、後述するように固体高分子電解質膜の片面の電極側ではシール部材を設けない構成とすることも可能である。
水素発生装置101に設置する2つのセル102の構成について図2を用いて説明する。2つのセル102は、固体高分子電解質膜201の一方の面にアノード電極202と、カソード電極204が設置され、他方の面にアノード電極202と対向するカソード電極203、カソード電極204と対向するアノード電極205がそれぞれ設置されて構成されている。図2では、1つの固体高分子電解質膜201に対して一対の電極を2組形成して2つのセルを構成しているが、固体高分子電解質膜201を分離して2つのセルを構成するようにしてもよい。電極には電気化学反応を促進させるための触媒を含んでおり、触媒材料としては特に制限はないが、白金や白金ルテニウム合金等の貴金属触媒が好ましい。また、電極上にはカーボンの多孔質体からなるガス拡散層を設置することが好ましい。
固体高分子電解質膜201は、水素イオンを透過させる電解質膜と水酸化物イオンを透過させる電解質膜のどちらかを選択することができる。また、燃料の種類に応じて、各々の電極と固体高分子電解質膜201の材料を変更することも可能であり、材料選択には特に制限はない。
図1に示したように、2つのセル102は導電性プレート103、104によって電気的に接続される。具体的には、一対の導電性プレートのうち、一方の導電性プレート103はアノード電極202およびカソード電極204と直接またはガス拡散層を介して接するように配置される。また、他方の導電性プレート104はカソード電極203およびアノード電極205と直接またはガス拡散層を介して接するように配置される。これにより、2つのセル間で閉回路が形成されている。
本発明で用いる水素発生装置の原理を、有機物としてメタノールを例にして説明する。
図3を用いて、固体高分子電解質膜に水素イオン(H+)を伝導する膜を用いた場合の水素の発生原理を説明する。図3は、図1の構成図に対応して示している。図3に示す例では、第1のセル301のアノード電極202に供給部105からメタノール水溶液が供給され、カソード電極203に供給部107から酸化剤ガスが供給される。また、第2のセル302のカソード電極204に供給部111から水等の液体が供給され、アノード電極205に供給部109からメタノール水溶液が供給される。
第1のセル301のアノード電極202に供給部105からメタノール水溶液が供給されると、メタノール水溶液はアノード電極202上で、(式1)に従って酸化される。ここで生じた二酸化炭素は、導電性プレート103に設けた流路溝を介してメタノール水溶液中へ溶解またはガスとして排出部106より未反応のメタノール水溶液と共に排出される。(式1)の反応で発生した電子は導電性プレート103を通って、第2のセル302のカソード電極204へ移動する。また、(式1)の反応で発生した水素イオンは固体高分子電解質膜201を透過してカソード電極203へ移動し、供給部107からカソード電極203に供給された酸化剤ガスおよび後述する第2のセル302のアノード電極205より導電性プレート104を介して移動してきた電子により、カソード電極203上で還元される(式2)。未反応の酸化剤ガスおよび生成水は、排出部108より排出される。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- ・・・・・ (式1) 3/2O2+6H++6e- → 3H2O ・・・・・ (式2) この酸化還元反応により、第1のセル301には電位差が発生するため、閉回路を構成している第2のセル302へ電流が流れる。一方、第2のセル302では、アノード電極202からカソード電極204へ移動した電子により、第2のセル302のカソード電極204の平衡を保つようにアノード電極205から水素イオンが固体高分子電解質膜201を介して移動する。カソード電極204では、供給部111より酸化剤ガスが混入しないように水等の液体を供給しておくことで、(式3)に従った反応により水素が発生する。発生した水素は、供給部111へ供給した液体と共に排出部112より排出される。供給部111より電極204へ供給する物質は、酸化剤が混入しなければ特に制限はなく、使用する液体の種類を減らす観点からメタノール水溶液を供給してもよい。
6H++6e- → 3H2 ・・・・・ (式3) アノード電極205では、供給部109より供給されたメタノール水溶液が酸化還元平衡を保つようにアノード電極205上で(式1)に従って酸化され、電子は導電性プレート104を介して、第1のセルのカソード電極203へ移動する。未反応のメタノール水溶液および生成した二酸化炭素は、排出部110より外部へ排出される。
他の燃料の場合も、酸化反応が定まれば、同様なメカニズムで反応が進行する。燃料がホルムアルデヒドの場合はアノード電極202、205とカソード電極204の反応はそれぞれ(式4)と(式5)の組み合わせからなり、
HCHO+H2O → CO2+4H++4e- ・・・・・ (式4) 4H++4e- → 2H2 ・・・・・ (式5)ギ酸の場合は、(式6)と(式7)の組み合わせからなる。
HCOOH → CO2+2H++2e- ・・・・・ (式6) 2H++2e- → H2 ・・・・・ (式7) 他に、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサンなど、酸化反応後に水素イオンが生じるものは、全て水素イオン伝導体を用いて、同様な反応メカニズムで水素を発生することができる。
次に図4を用いて、固体高分子電解質膜に水酸化イオン(OH-)を伝導する膜を用いた場合の水素の発生原理について説明する。図4の構成も図1に示した水素発生装置構成と同じであるが、水素発生装置へ供給する一部の物質が異なる。図4に示した構成では、第1のセル301のアノード電極202に供給部105からメタノール水溶液が供給され、カソード電極203に供給部107から加湿した酸化剤ガスが供給される。また、第2のセル302のカソード電極204に供給部111から水または水を含む液体が供給され、アノード電極205に供給部109からメタノール水溶液が供給される。供給部105よりメタノール水溶液をアノード電極202に供給し、供給部107より加湿した酸化剤ガスをカソード電極203に供給すると、第1のセル301は電位差が生じるため、第2のセル302を介して次のような反応が生じる。カソード電極203上では、第1のセル301の電位差によって第2のセル302から移動してきた電子を受け取り、供給部107より供給された加湿酸化剤ガスと電子により、(式8)に従った還元反応が生じる。排出部108からは未反応の加湿酸化剤ガスが排出される。
3/2O2+3H2O+6e- → 6OH- ・・・・・ (式8) (式8)の反応によって生成した水酸化イオンは固体高分子電解質膜201を通ってアノード電極202上へ移動し、供給部105より供給されたメタノールと酸化反応する(式9)。排出部106からは、未反応のメタノールおよび生成した二酸化炭素、水が排出される。
CH3OH+6OH- → CO2+6e-+5H2O ・・・・・ (式9) また、(式9)の反応によって生成した電子はアノード電極202から導電性プレート103を通ってカソード電極204に移動し、カソード電極204上で、供給部111から供給された水と(式10)に従う還元反応により水素を発生する。水素は、排出部112より未反応の水と共に装置外へ排出される。水酸化イオンは固体高分子電解質膜201を介してアノード電極205へ移動し、供給部109より供給されたメタノールと(式9)に従って酸化反応する。生成した二酸化炭素と水は、排出部110より排出される。
6H2O+6e- → 3H2+6OH- ・・・・・ (式10) 選択する有機物は、固体高分子電解質膜がアニオン伝導型となっても、水素イオンを伝導する酸型と同様に還元反応により水酸化イオンを生成するものであれば特に制限はない。
以上で述べたように、本実施形態の水素発生装置の構成により有機物から水素を発生することができる。また、本実施形態の水素発生装置では、一般的なアルコール型燃料電池の発電温度と同等の温度で水素を発生できるため、室温から室温よりも数十℃高い程度の低温の温度環境で水素を発生させることができる。さらに、水素はセル301の電極間に電位差を生じさせることで発生するので、電極203へ酸化剤を供給、停止することで水素発生、停止を制御することができる。排出部112から排出されるガス成分は水素のみであるので気液分離膜等の気液分離手段を排出部112の下流部に設置することで、水素ガスのみを回収することができる。酸化剤は空気を利用すればよく、酸化剤の供給および停止を管理する部品は、開閉弁やシャッターのような一般的な機械部品で酸化剤の供給を遮断できる機能を備えればよく、特に制限はない。
固体高分子電解質膜は、材料をカチオン伝導型とアニオン伝導型を選択することで、酸型とアルカリ型のどちらの系でも水素を発生することができる。セル301とセル302は、原理上はイオン伝導体が図1のように1枚でなくてもよいが、1枚のイオン伝導体に各電極を設置した方が水素発生装置の組立性と部品点数低減の観点から単純化することができるので好ましい。
第1のセル301のカソード電極203と第2のセル302のアノード電極205では供給する物質が、酸化剤ガスと液体燃料で異なるため、カソード電極203とアノード電極205の間で反応物質が混ざらないようにガスケット等のシール部材で分離する必要がある。一方、第1のセル301のアノード電極202と第2のセル302のカソード電極204には同じ液体燃料を供給することが可能である。このようにアノード電極202とカソード電極204に同じ液体燃料を供給する場合には、アノード電極202とカソード電極204の間にシール部材を設ける必要はない。また、シール部材を設けずにアノード電極202とカソード電極204で互いに液体燃料を流通させる場合には、両者の供給部と排出部を1つにすることも可能であり、システムの簡略化を行うことができる。
(第二の実施形態)
本実施形態では、水素発生装置のシステム構成の一例を説明する。
図5に、本実施形態の水素発生装置のシステム構成の一例を示す。図5に示すように、水素発生装置101は、燃料供給部105、燃料排出部106、酸化剤ガス供給部107、酸化剤ガス排出部108、燃料供給部109、燃料排出部110、液体供給部111、水素排出部112を備える。水素発生装置101の基本構成は第一の実施形態で説明したものと同様である。水素発生に使われる燃料は、燃料タンク501に充填されている。燃料タンク501に貯蔵されているメタノール濃度が所定の濃度よりも低くなった場合には、高濃度燃料タンク509から高濃度のメタノール水溶液が供給され、燃料タンク501内のメタノール濃度が所定の範囲になるように調整される。高濃度燃料タンク509に貯蔵されているメタノールは100%のメタノールでも良いが、本実施形態では水でメタノール濃度が50%に希釈したメタノール水溶液を用いた。燃料であるメタノール水溶液は、燃料タンク501からそれぞれ燃料供給ポンプ502、503、504を介して、燃料供給部105、燃料供給部109、液体供給部111より水素発生装置101内の図示されていないアノード電極202、205、及びカソード電極204へ供給される。弁506を開放し、酸化剤供給ポンプ505により酸化剤ガスとして大気中の空気を酸化剤ガス供給部107からカソード電極203へ供給すると、カソード電極204から水素が発生し、水素発生部112より水素ガスを含む燃料が排出される。水素発生部112から排出された水素ガスを含む燃料は、気液分離膜508により水素ガスと燃料に分離され、液体燃料成分は燃料タンク501へ戻り、水素ガスおよび燃料蒸発成分を水素貯蔵手段507へ収納する。反応により生成した二酸化炭素や未反応の燃料は、燃料排出部106、燃料排出部110より燃料タンク501へ戻り、気体である二酸化炭素は、気液分離膜511を介して水素発生装置系外へ排出する。
本実施形態では、ポンプ類を用いて燃料を水素発生装置へ供給する構成を例示したが、燃料が自重で水素発生装置内の電極を満たすように構成することで、ポンプ類を使用しない構成にしてもよい。
本実施形態の水素発生装置は、2つのセルを一対の導電性プレートで挟持するような非常に単純な構成であるので、装置のコンパクト化が実現できる。水素発生および停止は、酸化剤ガスを電極へ供給および遮断することで制御できるので、煩雑な制御が不要である。また、本実施形態の水素発生装置では水素および二酸化炭素がそれぞれ別の電極で生成し排出されるため、純度の高い水素を回収することができる。
(第三の実施形態)
本実施形態では、水素発生装置101で生成した水素を燃料として発電する燃料電池システムの一例を示す。図6に、本実施形態の水素発生装置101を搭載した燃料電池システムの一例を示す。図6において、水素発生装置101の基本構成は第一の実施形態で説明したものと同様である。液体燃料を燃料タンク501へ供給すると、供給された燃料は自重により水素発生装置101へ供給される。燃料電池システムを起動すると、図示されていない空気ブロアが動作し、水素発生装置101へ空気を供給する。空気が供給されたことで水素発生装置101は水素排出部112より燃料電池601へ水素ガスを供給し始める。数秒後に燃料電池601へ空気供給が開始され、燃料電池システムは発電を開始し、外部へ電力を出力する。
燃料電池はプロトンを伝導する固体高分子膜を用いた燃料電池が知られているが、水酸化イオンを伝導する固体高分子膜を用いたアルカリ型燃料電池にも適用できる。アルカリ型燃料電池は、有機物の燃料を用いると、生成した二酸化炭素が燃料中へ溶解することで炭酸イオンとなり、系内のpHを低下する課題があるが、本システムの構成を適用することで有機物燃料を比較的低い温度で改質でき、さらに二酸化炭素を分離した状態で燃料電池へ供給できるので、上述した課題を解決することができる。
101 水素発生装置
102 2つのセル
103、104 導電性プレート
105、109 燃料供給部
106、110 燃料排出部
107 酸化剤ガス供給部
108 酸化剤ガス排出部
111 液体供給部
112 水素排出部
201 固体高分子電解質膜
202、205 アノード電極
203、204 カソード電極
301 第1のセル
302 第2のセル
501 燃料タンク
502、503、504 燃料供給ポンプ
505 酸化剤供給ポンプ
506 弁
507 水素貯蔵手段
508 気液分離膜
509 高濃度燃料タンク
510 高濃度燃料供給ポンプ
511 気液分離膜
601 燃料電池
602 液体燃料供給口

Claims (10)

  1. アノード電極、カソード電極、及びこれらの両極に挟まれた固体高分子電解質膜で構成される第1のセルと、
    アノード電極、カソード電極、及びこれらの両極に挟まれた固体高分子電解質膜で構成される第2のセルと、
    前記第1、第2のセルを挟持し、電気的に閉回路を形成する一対の導電性プレートを備え、
    前記第1のセルのアノード電極に有機物と水からなる液体燃料を、導電性プレートを介して供給する手段と、
    前記第1のセルのカソード電極に空気または加湿した空気を、導電性プレートを介して供給する手段と、
    前記第2のセルのアノード電極に有機物と水からなる液体燃料を、導電性プレートを介して供給する手段と、
    前記第2のセルのカソード電極に有機物と水からなる液体燃料又は水を、導電性プレートを介して供給する手段と、を備え、
    前記第2のセルのカソード電極で水素を生成することを特徴とする水素発生装置。
  2. 請求項1に記載の水素発生装置において、前記一対の導電性プレートのうち、一方の導電性プレートが前記第1のセルのアノード電極および前記第2のセルのカソード電極と直接またはガス拡散層を介して接するように配置され、他方の導電性プレートが前記第1のセルのカソード電極および前記第2のセルのアノード電極と直接またはガス拡散層を介して接するように配置され、閉回路を形成することを特徴とする水素発生装置。
  3. 請求項1または2に記載の水素発生装置において、前記第1のセルを構成する固体高分子電解質膜と、前記第2のセルを構成する固体高分子電解質膜とが一体の膜で構成されていることを特徴とする水素発生装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の水素発生装置において、前記前記第1のセル及び第2のセルを構成する固体高分子電解質膜がH+を伝導することを特徴とする水素発生装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の水素発生装置において、前記前記第1のセル及び第2のセルを構成する固体高分子電解質膜がOH-を伝導することを特徴とする水素発生装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の水素発生装置において、前記第2のセルのカソード電極から水素を含む前記液体燃料又は水を排出する排出部と、前記排出部に設けられた気液分離手段を備えることを特徴とする水素発生装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の水素発生装置において、前記液体燃料がメタノール水溶液であることを特徴とする水素発生装置。
  8. 水素発生装置と、前記水素発生装置で生成された水素を燃料として発電する燃料電池とを備える燃料電池システムにおいて、
    前記水素発生装置は、
    アノード電極、カソード電極、及びこれらの両極に挟まれた固体高分子電解質膜で構成される第1のセルと、
    アノード電極、カソード電極、及びこれらの両極に挟まれた固体高分子電解質膜で構成される第2のセルと、
    前記第1、第2のセルを挟持し、電気的に閉回路を形成する一対の導電性プレートを備え、
    前記第1のセルのアノード電極に有機物と水からなる液体燃料を、導電性プレートを介して供給する手段と、
    前記第1のセルのカソード電極に空気または加湿した空気を、導電性プレートを介して供給する手段と、
    前記第2のセルのアノード電極に有機物と水からなる液体燃料を、導電性プレートを介して供給する手段と、
    前記第2のセルのカソード電極に有機物と水からなる液体燃料又は水を、導電性プレートを介して供給する手段と、を備え、
    前記第2のセルのカソード電極で水素を生成することを特徴とする燃料電池システム。
  9. 請求項8に記載の燃料電池システムにおいて、前記一対の導電性プレートのうち、一方の導電性プレートが前記第1のセルのアノード電極および前記第2のセルのカソード電極と直接またはガス拡散層を介して接するように配置され、他方の導電性プレートが前記第1のセルのカソード電極および前記第2のセルのアノード電極と直接またはガス拡散層を介して接するように配置され、閉回路を形成することを特徴とする燃料電池システム。
  10. 請求項8又は9に記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池がアルカリ形燃料電池であることを特徴とする燃料電池システム。
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