JP2013173637A - ZnSe焼結体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械加工のコストを低減する目的で、被削性に優れたZnSe焼結体とその製造方法を提供する。
【解決手段】ZnSe焼結体に炭素を含有させることで被削性を向上させることができ、前記焼結体を赤外線透過窓や赤外線レンズに機械加工する際のコストを低減することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線透過窓や赤外線レンズに使用されるZnSe焼結体とその製造方法に関する。
セレン化亜鉛(ZnSe)は赤外線の透過特性に優れていることから、切断加工や板金に用いられている炭酸ガスレーザー用の窓材やレンズ材として使用されている。本用途ではレーザー光の出力が非常に高いことから、窓やレンズでの吸収を極めて小さく抑える必要がある。レーザー光の吸収を極めて小さく抑えるためには、高い純度と適切なZn:Seの化学量論組成比が要求され、現在はCVD(Chemical Vapour Deposition)法で多結晶体が合成されている(特許文献1)。一方、窓やレンズとして使用するZnSe素材は数cmの厚みを必要とされるが、CVD法では厚み方向の成長速度が遅く、窓やレンズに必要な厚みの素材を作製するのに長時間を要している。また、上記のCVD法の欠点を補うプロセスとして、CVD法で高純度のZnSe素体を作製し、この素体を熱間鍛造することによって、高純度かつ高密度のZnSe多結晶体を得る方法が提案されている(特許文献2)。
特公昭61−24465号公報 特公昭60−16391号公報
CVD法で作製できるZnSe多結晶体の形状は、板状の塊であり、これを切り出して最終製品である窓やレンズの形状に仕上げるために、超精密旋盤を用いてダイヤモンドバイトで切削加工を行っている。しかしながら、最も硬度の高い工具であるダイヤモンドバイトを用いても、セラミックスであるZnSeを切削すると、バイトの刃先の摩耗が激しく、最終製品である窓やレンズの形状、表面粗さ等の加工精度を維持するためには、頻繁にダイヤモンドバイトを交換して刃先を常に鋭利な状態に維持する必要があり、機械加工のコストが高くなるという問題があった。そこで被削性に優れたZnSe多結晶体の開発が求められていた。
本発明者らは、CVD法で作製されている高純度ZnSe多結晶体と同等のレーザー光透過特性を保持しながら被削性に優れた材料の検討を行った結果、ZnSe焼結体に所定量の炭素を含有させることで、レーザー光透過特性を低下させることなく良好な被削性が得られることを見出した。
すなわち、本発明の第1の態様は、炭素を含有するZnSe焼結体である。
上記の焼結体において、炭素含有量が50ppm以上500ppm以下であることが好ましい。
上記の焼結体において、相対密度が99.5%以上であることが好ましい。
上記の焼結体において、酸素含有量が50ppm以下であることが好ましい。
上記の焼結体において、厚さ2mmの板材における波長3μmのレーザーの透過率が65%以上であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記の焼結体を用いた赤外線透過窓である。
本発明の第3の態様は、上記の焼結体を用いた赤外線レンズである。
本発明の第4の態様は、CVD法を用いてZnSe粉末を作製する工程と、前記ZnSe粉末に炭素を混合し、混合粉末を作製する工程と、前記混合粉末を加圧成形し、成形体を作製する工程と、前記成形体を非酸化性雰囲気中において、10MPa以上の圧力を加えながら、900℃以上1100℃以下の温度に保持して焼結する工程、を備えるZnSe焼結体の製造方法である。
前記製造方法において、前記焼結工程の前に、真空中または非酸化性雰囲気中において、炭素を含有する前記混合粉末もしくは前記成形体を200℃以上600℃以下の温度に保持して熱処理する工程をさらに備えることが好ましい。
以上のような本発明によれば、赤外線透過窓や赤外線レンズに好ましく用いられ得るZnSe焼結体およびその製造方法を提供することができ、最終製品である窓やレンズに機械加工する際のコストを低減することが可能となる。
以下、本発明の第1の態様であるZnSe焼結体の実施形態について説明する。
本発明のZnSe焼結体は炭素を含有する。炭素を含有することでZnSe焼結体の被削性が向上する。炭素含有量は50ppm以上500ppm以下であることが好ましい。ZnSe焼結体が50ppm以上500ppm以下の炭素を含有することで、赤外レーザー光の透過特性を大きく低下させることなく、CVD法で作製されている高純度ZnSe多結晶体とほぼ同等の赤外レーザー光透過特性を保持したまま、ZnSe焼結体の被削性を向上させることができる。より好ましくは、炭素含有量は100ppm以上200ppm以下である。炭素含有量をこの範囲に制御することにより、炭素を含有しないZnSe焼結体に比べて被削性が顕著に向上する一方、赤外レーザー光の透過率の減少を極めて小さく抑えることができるからである。ZnSe焼結体中に含まれる炭素の量は、SIMS(二次イオン質量分析計)で分析することにより、定量化できる。
ZnSe焼結体の被削性は、含有する炭素量が多くなるにしたがって向上する傾向にあるが、炭素含有量が500ppmを超えると、厚さ2mmの板材における波長3μmのレーザーの透過率が65%未満となり、赤外レーザーの透過窓やレンズとしての使用には適さなくなる。一方、ZnSe焼結体中の炭素含有量が50ppmよりも少ない場合、被削性向上の効果が小さくなり、CVD法で作製されている高純度ZnSe多結晶体と比べて被削性に顕著な差がなくなる。
被削性の評価は、ZnSe焼結体をダイヤモンドバイトを用いて切削加工し、ダイヤモンドバイトの刃先摩耗量を測定することによって行うことができる。
微量の炭素をZnSe焼結体中に含有させる方法としては、CVD法で作製された高純度ZnSe粉末と炭素粉末を混合した後に焼結する方法や、前記高純度ZnSe粉末とアルコール類を混合し、乾燥した後に焼結する方法等を用いることができる。
焼結後にZnSe焼結体中の炭素がどのように存在しているかは必ずしも明確ではないが、ZnSe結晶中に取り込まれることなく、結晶粒界に存在することにより被削性が向上しているものと考えられる。
本発明のZnSe焼結体の相対密度は、99.5%以上であることが好ましい。相対密度が99.5%未満の場合、焼結体中の気孔によって波長2μm〜11μmの赤外光が散乱され、透過率が低下するためである。相対密度は、アルキメデス法で測定したZnSe焼結体の絶対密度を、ZnSeの理論密度で除することによって求める。
本発明のZnSe焼結体の酸素含有量は50ppm以下であることが好ましい。酸素含有量が50ppmを超えると、酸化亜鉛や酸化セレンが無視できない程度に生成し、波長2μm〜11μmの赤外光の透過率が低下するためである。ZnSe焼結体中に含まれる酸素の量は、SIMSで分析することにより、定量化できる。
炭素を含有するZnSe粉末を1×10−1Pa以下の真空中または非酸化性雰囲気中において、200℃以上600℃以下の温度で30分以上保持して、当該粉末の表面に存在する水分、酸素を除去した後、不活性ガス雰囲気中で焼結することにより、ZnSe焼結体の酸素含有量を50ppm以下にすることができる。
上述の通り、ZnSe焼結体の炭素含有量、相対密度、酸素含有量を所定の値に制御することにより、本発明のZnSe焼結体は、厚さ2mmの板材における波長3μmのレーザーの透過率が65%以上となり、CVD法で作製された高純度ZnSe多結晶体と同等の透過率性能を達成できる。透過率の測定にあたっては、平板状のZnSe焼結体の上下面を平面研削した後、研削面を鏡面研磨仕上げして厚さ2mmの測定試料を作製し、赤外分光光度計を用いて透過率を測定する。
本発明の第2の態様は、第1の態様であるZnSe焼結体を用いた赤外線透過窓である。本発明のZnSe焼結体は上述の通り、従来にない優れた被削性を有すると同時に、CVD法で作製された高純度ZnSe多結晶体と同等の透過率性能を有しているため、COレーザーに代表される赤外レーザー、赤外線センサー、赤外線カメラなどの用途で使用される赤外線透過窓として好適に用いることができる。
本発明の第3の態様は、第1の態様であるZnSe焼結体を用いた赤外線レンズである。本発明のZnSe焼結体は上述の通り、従来にない優れた被削性を有すると同時に、CVD法で作製された高純度ZnSe多結晶体と同等の透過率性能を有しているため、COレーザーに代表される赤外レーザー、赤外線センサー、赤外線カメラなどの用途で使用される赤外線レンズとして好適に用いることができる。
本発明の第4の態様であるZnSe焼結体の製造方法の実施形態について、以下、工程順に説明する。
(ZnSe粉末の作製)
本発明のZnSe焼結体を作製する際の出発原料となるZnSe粉末は、高純度の粉末が得られるという観点から、CVD法を用いて作製することが好ましい。具体的には、搬送ガスとして純度99.999%程度のアルゴンガスを用い、純度99.999%程度のセレン化水素および純度99.999%程度の溶融亜鉛からの亜鉛蒸気を、温度600〜800℃、圧力10〜20kPaの反応炉内で反応させることによって得ることができる。
(混合粉末の作製)
上記のようにして作製したZnSe粉末に炭素を混合し、混合粉末を作製する。ZnSe粉末に混合する炭素は、黒鉛、非晶質カーボン等の粉末であってもよいし、アルコール等の有機溶剤もしくは樹脂等を熱分解することによって生じる炭素であってもよく、炭素源は特に限定されない。黒鉛、非晶質カーボン等の固体粉末を用いる場合は、乾式ボールミル等の手段を用いて混合することができる。
(成形体の作製)
上記のようにして作製した混合粉末を加圧成形し、成形体を作製する。加圧成形には金型を用いた一軸プレス、CIP(冷間静水圧成形)など通常の粉末成形手段を用いることができる。
(熱処理)
前記成形体を1×10−1Pa以下の真空中または非酸化性雰囲気中において、200℃以上600℃以下の温度で30分以上保持して、ZnSe粉末の表面に存在する水分、酸素を除去することが好ましい。表面に水分や酸素が存在するZnSe粉末を焼結すると、焼結時の粒成長過程で元素拡散が起こる際に、表面の酸素がZnSe結晶粒子の内部に取り込まれ、透過率が低下する可能性があるため、焼結に伴う元素拡散が起こるよりも低い温度域で熱処理をして、予めZnSe粉末の表面に存在する水分、酸素を除去しておくことが好ましいためである。この際、混合された炭素の一部は、ZnSe粉末表面の酸素と反応しCOガスとして成形体の外に排出され、ZnSe粉末表面の酸素を除去するのに役立っていると考えられる。200℃未満の温度域で熱処理しても、ZnSe粉末の表面に存在する水分、酸素を除去する効果が小さい。一方、600℃を超える温度域で熱処理すると、ZnSe粉末の表面に存在する酸素が除去される前に粉末の粒成長に伴う元素の拡散が起こって、粉末表面の酸素が結晶粒子の内部に取り込まれる可能性があり、酸素除去の効果が減少するおそれがある。
本熱処理は、ZnSe粉末と炭素の混合粉末を加圧成形した後に限られず、ZnSe粉末と炭素を混合後、加圧成形前に混合粉末の状態で行うことも可能である。
炭素源としてアルコール等の有機溶剤もしくは樹脂等を用いる場合には、本熱処理によって前記炭素源を熱分解し、ZnSe粉末の表面に炭素を均一に付着させることが可能になる。
焼結前に特に本熱処理を行わなくても、焼結の際に600℃以下の温度域の昇温速度を小さくして、成形体が200℃以上600℃以下の温度域に保持される時間を十分に長くすることによっても、本熱処理と同様にZnSe粉末の表面に存在する水分、酸素を除去することが可能である。
(焼結)
前記成形体を非酸化性雰囲気中において、10MPa以上の圧力を加えながら、900℃以上1100℃以下の温度に保持して焼結する。このとき加圧焼結の手段としては、10〜20MPa程度の圧力のホットプレス、50〜200MPa程度の圧力の熱間静水圧成形(HIP)などを用いることができる。焼結の際の雰囲気は、成形体や焼結体の酸化を防止する観点から、アルゴンガス、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気を用いることが好ましい。焼結温度が900℃未満ではZnSe焼結体の緻密化が十分に進まず、焼結体中に気孔が残留するおそれがあるため好ましくない。一方、焼結温度が1100℃を超えると、焼結中にZnSeの昇華が起こり、焼結体中に気孔が発生するおそれがあるため好ましくない。
(実施例1)
搬送ガスとして純度99.999%のアルゴンガスを用い、純度99.999%のセレン化水素および純度99.999%の溶融亜鉛からの亜鉛蒸気を、温度800℃、圧力13.3kPaの反応炉内で反応させ、ZnSe粉末を作製した。
前記ZnSe粉末5kgに0.35gの黒鉛粉末を添加してアルミナポットに投入し、アルミナボールを使って乾式で24時間のボールミル混合を行い、混合粉末を作製した。
前記混合粉末5gを油圧プレスを用いて加圧成形し、直径20mm、厚み約5mmの成形体を作製した。
前記成形体を1×10−3Paの真空中において、500℃に1時間保持して熱処理を行った。
熱処理後の成形体を0.5mm厚みのMoシートで包み、成形体と黒鉛型が直接接触しないようにして、黒鉛型に装填した。前記黒鉛型をホットプレス装置にセットした後、装置内を1×10−2Paの真空にして500℃まで昇温し、その後、装置内を1気圧のアルゴンガスで置換して黒鉛型に20MPaの圧力を加え、950℃で5時間保持してホットプレスした。
ホットプレス後の円板状焼結体の上下面を平面研削盤を用いて厚みが2.5mmになるまで研削し、アルキメデス法で絶対密度を測定した。前記絶対密度をZnSeの理論密度(5.27g/cm)で除することによって、相対密度を求めた結果、相対密度は99.9%であった。
さらに上下面を鏡面研磨仕上げして厚さ2mmの試料を作製し、赤外分光光度計(日本分光社製FT/IR−4100)を用いて、波長3μmのレーザーの透過率を測定した結果、透過率は70%であった。
透過率を測定した後、同じ試料の炭素含有量と酸素含有量をSIMSを用いて測定した結果、炭素含有量は50ppm、酸素含有量は40ppmであった。
被削性に関しては、刃先頂角30°、ノーズRが0.1mmのダイヤモンドバイトを用いて、切削速度V=50m/min、送りf=4mm/rev.、切込d=0.5mmの条件で、上記のようにして作製した直径20mmの円板状ZnSe焼結体の上面を1mm削り取る切削試験を行い、ダイヤモンドバイトの刃先摩耗量Vbが0.01mmに至るまでの加工個数を調べた結果、加工個数100個でダイヤモンドバイトの刃先摩耗量Vbが0.01mmに達した。
(実施例2〜6)
実施例1に対して黒鉛配合量が異なる他は実施例1と同様の方法により、実施例2〜6のZnSe焼結体を作製し、その性状を評価した。実施例2〜6の黒鉛配合量、焼結体の相対密度、炭素含有量、酸素含有量、波長3μmのレーザーの透過率の測定結果および切削試験の加工個数を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で作製したZnSe粉末を用いて、黒鉛を混合することなく、前記ZnSe単体粉末5gを油圧プレスを用いて加圧成形し、直径20mm、厚み約5mmの成形体を作製した。
前記成形体を熱処理することなく、0.5mm厚みのMoシートで包み、成形体と黒鉛型が直接接触しないようにして、黒鉛型に装填した。前記黒鉛型をホットプレス装置にセットした後、装置内を1×10−2Paの真空にして500℃まで昇温し、その後、装置内を1気圧のアルゴンガスで置換して黒鉛型に20MPaの圧力を加え、950℃で5時間保持してホットプレスした。
上記のようにして得られた焼結体の性状を、実施例1と同様の方法により評価した。比較例1の焼結体の相対密度、炭素含有量、酸素含有量、波長3μmのレーザーの透過率の測定結果および切削試験の加工個数を表1に示す。
Figure 2013173637
表1に示す通り、ZnSe焼結体中の炭素含有量が多くなるにしたがって、ダイヤモンドバイトの刃先摩耗量Vbが0.01mmに達するまでに加工可能なZnSe焼結体の個数が増加し、炭素含有量が600ppmの場合、加工個数が400個を超えてもダイヤモンドバイトの刃先摩耗量Vbは0.01mmに達しない。
一方、ZnSe焼結体中の炭素含有量が多くなるにしたがって、波長3μmのレーザーの透過率は低下する傾向にある。赤外線レーザーの透過窓やレンズとして使用する際の実用上の目安である65%以上の透過率を確保する観点からは、炭素含有量の上限を500ppmに抑えることが好ましい。
より好ましくは、ZnSe焼結体中の炭素含有量は100ppm以上200ppm以下である。炭素含有量をこの範囲に制御することにより、炭素を含有しないZnSe焼結体に比べて被削性が顕著に向上する一方、赤外レーザー光の透過率の減少を極めて小さく抑えることができ、CVD法で作製されている高純度ZnSe多結晶体とほぼ同等のレーザー光透過特性を達成できるからである。
比較例1では、ZnSe粉末に黒鉛を混合せず、ホットプレス前の熱処理も行わなかったため、ZnSe焼結体中の酸素含有量が増大し、その結果、波長3μmのレーザーの透過率が60%に減少した。ZnSe粉末に混合した黒鉛の配合量とZnSe焼結体中の炭素含有量を比較すると、成形体の熱処理、ホットプレスの工程を経ることにより、炭素含有量が減少していることが分かる。ZnSe粉末に混合した黒鉛の一部が成形体の熱処理、ホットプレスの工程で、ZnSe粉末表面に存在する酸素の還元、除去に寄与しているためと推察される。これに対して、比較例1では、黒鉛が存在せず、ホットプレス前の熱処理もなかったため、ホットプレスによる焼結の過程で、ZnSe粉末表面に存在する酸素がそのまま焼結体中に取り込まれ、ZnSe焼結体中の酸素含有量が増大したことが考えられる。
(実施例8)
実施例1で作製したZnSe粉末を用いて、前記ZnSe粉末5kgに1.1gの黒鉛粉末を添加してアルミナポットに投入し、アルミナボールを使って乾式で24時間のボールミル混合を行い、混合粉末を作製した。
前記混合粉末5gを油圧プレスを用いて加圧成形し、直径24mm、厚み3.6mmの成形体を作製した。
前記成形体を1×10−3Paの真空中において、500℃で1時間保持して熱処理した後、1気圧のアルゴンガス雰囲気下920℃で1時間保持して1次焼結した。
1次焼結体をHIP(熱間静水圧成形)装置を用いて、196MPaのアルゴンガス雰囲気下950℃で1時間保持して2次焼結した。
得られた焼結体の相対密度、炭素含有量、酸素含有量、波長3μmのレーザーの透過率および切削試験の加工個数を、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
(実施例7および9〜12)
実施例8に対して2次焼結の際の焼結温度と雰囲気圧力が異なる他は実施例8と同様の方法により、実施例7および9〜12のZnSe焼結体を作製し、その性状を評価した。実施例7および9〜12の2次焼結の際の焼結温度、雰囲気圧力、焼結体の相対密度、炭素含有量、酸素含有量、波長3μmのレーザーの透過率の測定結果および切削試験の加工個数を表2に示す。
Figure 2013173637
表2に示す通り、実施例7〜12のいずれの試料においても、ダイヤモンドバイトの刃先摩耗量Vbが0.01mmに至るまでの加工個数は250個以上であり、本発明のZnSe焼結体の優れた被削性が確認できた。850℃で焼結した実施例7の試料では、加工個数が400個を超えてもダイヤモンドバイトの刃先摩耗量Vbは0.01mmに達しなかったが、実施例7のZnSe焼結体は実施例8〜12のZnSe焼結体と比べて密度が低く、焼結が不十分であったためと考えられる。同じ理由で、実施例7の試料では波長3μmのレーザーの透過率も小さくなった。一方、1150℃で焼結した実施例12の試料では、焼結中にZnSeの昇華が起こって焼結体中に気孔が発生し、波長3μmのレーザー光が前記気孔で散乱されるため、透過率が小さくなった。以上のことから、焼結温度は900℃以上1100℃以下が好ましい。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は上記の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲でのすべての変更が含まれる。
本発明によるZnSe焼結体は、赤外線透過窓や赤外線レンズとして好ましく用いることができ、最終製品である窓やレンズに機械加工する際のコスト低減を可能にすることができる。

Claims (9)

  1. 炭素を含有するZnSe焼結体。
  2. 炭素含有量が50ppm以上500ppm以下である請求項1に記載のZnSe焼結体。
  3. 相対密度が99.5%以上である請求項1又は2に記載のZnSe焼結体。
  4. 酸素含有量が50ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のZnSe焼結体。
  5. 厚さ2mmの板材における波長3μmのレーザーの透過率が65%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のZnSe焼結体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のZnSe焼結体を用いた赤外線透過窓。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のZnSe焼結体を用いた赤外線レンズ。
  8. CVD法を用いてZnSe粉末を作製する工程と、
    前記ZnSe粉末に炭素を混合し、混合粉末を作製する工程と、
    前記混合粉末を加圧成形し、成形体を作製する工程と、
    前記成形体を非酸化性雰囲気中において、10MPa以上の圧力を加えながら、900℃以上1100℃以下の温度に保持して焼結する工程、
    を備えるZnSe焼結体の製造方法。
  9. 前記焼結工程の前に、真空中または非酸化性雰囲気中において、炭素を含有する前記混合粉末もしくは前記成形体を200℃以上600℃以下の温度に保持して熱処理する工程をさらに備える、請求項8に記載のZnSe焼結体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112875655A (zh) * 2021-01-29 2021-06-01 中南大学 一种非层状二维Cr2Se3纳米片的制备方法和应用

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