JP2013172855A - カテーテル、固定具およびカテーテルキット - Google Patents

カテーテル、固定具およびカテーテルキット Download PDF

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Abstract

【課題】生体組織内で処置部と処置対象領域との相対的な位置を長時間安定して固定することができるカテーテル、固定具およびカテーテルキットを提供する。
【解決手段】細長い管状をなす躯体3を備え、生体組織内に導入して留置させることにより生体組織内の処置対象領域に対して所定の処置を行うカテーテル1であって、躯体3の端部または側面に設けられ、処置対象領域と面した状態で所定の処置を行う側孔3bと、生体組織における異物反応を促進して生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部41と、誘引部41より生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部42と、を備える。
【選択図】図1A

Description

本発明は、人間を含む哺乳動物の生体組織内に導入されるカテーテル、固定具およびカテーテルキットに関するものである。
従来から、人間を含む哺乳動物の生体組織、たとえば臓器等にカテーテルを留置して臓器中の腫瘍等に薬剤を投与する技術が知られている。このような生体組織に、カテーテルから薬剤等を投与する場合、健康な組織に薬剤が浸潤しないように、被検体が動いたとしても、カテーテルが腫瘍等の患部である処置対象領域から外れないように固定具で固定する技術が知られている(特許文献1参照)。
また、生体組織内に挿入されるカテーテルの先端に、セルロース等の組織接着材料からなるカフ部材を設け、このカフ部材によって生体組織を肉芽化させて生体組織と結合することでカテーテルの固定を行う技術が知られている(特許文献2参照)。
米国特許第746934号明細書 特開平8−266618号公報
しかしながら、上述した従来技術では、生体組織にカテーテルを長期間留置した場合、生体組織がカテーテルに癒着することによってカテーテルが移動または変形し、薬剤吐出孔等の処置部で患部を処置することができない恐れがあった。特に、処置対象領域以外に強固な癒着が発生した場合、カテーテルが癒着した箇所に引っ張られることで、処置対象領域から処置部が移動するという問題点があった。さらに、たとえば心臓等の常に運動している部位では、摩擦刺激等によりカテーテルに生体組織が癒着しやすいという問題点があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体組織内で処置部と処置対象領域との相対的な位置を長時間にわたって安定して固定することができるカテーテル、固定具およびカテーテルキットを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるカテーテルは、細長い管状をなす躯体を備え、生体組織内に導入して留置させることにより該生体組織内の処置対象領域に対して所定の処置を行うカテーテルであって、前記躯体の端部または側面に設けられ、前記処置対象領域と面した状態で前記所定の処置を行う処置部と、前記生体組織における異物反応を促進して前記生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部と、前記誘引部より前記生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部および前記難癒着部は、一体的に形成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記躯体と接続し、該躯体を前記生体組織の表面に係留する固定具をさらに備え、前記誘引部は、前記固定具が前記躯体に面する前記固定具の一端に設けられ、前記難癒着部は、前記固定具の他端に設けられていることを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記固定具は、直線状をなして延び、前記躯体を挿入可能な挿入部と、前記挿入部と連通し、前記挿入部が延びる方向と直交する方向に形成された孔と、前記孔に挿入された前記躯体を前記挿入部に固定する係止用部材と、をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記固定具は、前記躯体を挿入可能であり、屈曲する鉤型をなして当該固定具を貫通する貫通部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記固定具は、前記躯体を挿入可能であり、鋭角に屈曲する形状をなして当該固定具を貫通する貫通部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記固定具は、前記躯体を挿入可能であり、屈曲する鉤型をなして当該固定具を貫通する貫通部と、前記貫通部と連通し、前記躯体を挿入可能なスリットと、をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記固定具は、略半球状をなし、円形表面に第1溝部が形成された第1半球部と、前記第1半球部と同径の略半球状をなし、円形表面に前記第1溝部と鏡像対称な形状をなす第2溝部が形成された第2半球部と、をさらに有し、前記第1および第2半球部の円形表面同士を当接させた状態で、前記第1および第2溝部が合わさって前記躯体を挿通可能な貫通部を形成することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、表面から内部に向けてくぼんだ複数の凹部をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、表面から内部に向けて延びる複数の孔と、前記複数の孔とそれぞれ連通し、前記生体組織を収容する複数の収容部と、をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、表面から突起する複数の突起部をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、前記生体組織を収容可能であり、表面から内部に向けて径が大きくなる収容部をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、表面から内部に向けて延びる複数の孔と、前記生体組織を収容可能であり、前記複数の孔それぞれと連通し、表面から内部に向けて径が大きくなる収容部と、をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記固定具は、略球状をなすことを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、略球状をなし、前記難癒着部は、前記誘引部の一部を包み込むドーム状をなすことを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、略矩形状をなし、前記難癒着部は、前記誘引部の一部を包み込むドーム状をなすことを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、前記躯体と面する基端から先端に向けて径が広く形成された略円錐台状をなし、前記難癒着部は、前記誘引部の2つの底面のうち径が大きい方の底面と同じ径を有して該底面に連なる略半球状をなすことを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、表面から突起した複数の突起部をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、表面から内部にくぼんだ複数の凹部をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記固定部は、表面から内部に向けて凹状に切り欠かれた切り欠き部が形成された本体部と、前記切り欠き部に配設され、前記生体組織を把持する把持部と、をさらに有することを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、前記躯体の先端部に形成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、前記躯体の基端部に形成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、先端が先鋭化したフック形状をなす穿刺針をさらに備え、前記誘引部は、前記穿刺針が延びて折れ曲がる方向に沿うとともに該穿刺針の先端を通過する曲面によって二分したときに折れ曲がりの内周側を含む部分に形成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記躯体の基端部に設けられ、円をなし、前記躯体の先端部を挿入可能な連結部をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記誘引部は、ナイロン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン、金、白金および貴金属合金、誘引処理を施したシリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、またはこれらによって被覆された樹脂系材料のいずれかを用いて形成され、前記難癒着部は、シリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルのいずれかを用いて形成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルは、上記発明において、前記処置部は、当該カテーテルの外部から注入される液体または気体の流路をなす内部ルーメンに連通して該内部ルーメンを流れる前記液体または前記気体を外部へ吐出する側孔、外部に光を照射する照射部、外部に熱エネルギーを照射する発熱部、外部に超音波を送信する超音波振動部のいずれか一つであることを特徴とする。
また、本発明にかかる固定具は、生体組織内に導入して留置させることにより該生体組織内の処置対象領域に対して所定の処置を行うカテーテルに接続し、該カテーテルを前記生体組織の表面に係留して固定する固定具であって、前記カテーテルに面する当該固定具の一端に設けられ、前記生体組織における異物反応を促進して前記生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部と、当該固定具の他端に設けられ、前記誘引部より前記生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかるカテーテルキットは、生体組織内に導入して留置させることにより該生体組織内の処置対象領域に対して所定の処置を行う処置部を有するカテーテルと、前記カテーテルに接続し、該カテーテルを前記生体組織の表面に係留して固定する固定具と、を備えたカテーテルキットであって、前記固定具は、前記カテーテルに面する当該固定具の一端に設けられ、前記生体組織における異物反応を促進して前記生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部と、当該固定具の他端に設けられ、前記誘引部より前記生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、カテーテルが生体組織に異物反応を促進して生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部と、誘引部より生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部とを備えるので、生体組織内で処置部と処置対象領域との相対的な位置を長時間安定して固定することができるという効果を奏する。
図1Aは、本発明の実施の形態1にかかるカテーテルの全体図である。 図1Bは、本発明の実施の形態1にかかるカテーテルの構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。 図2Aは、本発明の実施の形態1にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。 図2Bは、本発明の実施の形態1にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。 図2Cは、本発明の実施の形態1にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。 図2Dは、図2Cに示す状態でカテーテルを所定期間留置した後の状態を示す図である。 図3は、図2Dにおける誘引部と生体組織との癒着の態様を示す図であり、癒着部分を通過する躯体の中心軸を含む平面で切断した断面図である。 図4は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカテーテルの全体図である。 図5は、図4に示す固定具の内部の構成を示す断面図であり、躯体の内部経路を通過する平面で切断した断面図である。 図6Aは、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。 図6Bは、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。 図7は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカテーテルの先端固定具を躯体の挿入方向に沿って切断した断面図である。 図8は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるカテーテルの先端固定具に躯体を固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。 図9は、針を切離した糸が先端固定具に固定された状態を示す上面図である。 図10は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかる別の形状を有する固定具を躯体の内部経路を通過する平面で切断した断面図である。 図11は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかる別の形状を有する固定具を躯体の内部経路を通過する平面で切断した断面図である。 図12は、本発明の実施の形態1の変形例2における他の固定具の正面図である。 図13は、図12のA−A線断面図である。 図14は、本発明の実施の形態1の変形例2における他の固定具の正面図である。 図15は、第1半球部の円形平面の構成を示す平面図である。 図16は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカテーテルの全体図である。 図17は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を示す図である。 図18は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を示す図である。 図19は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する際の別の固定方法の概要を示す図である。 図20は、カバーの内部構成を示す断面図であって、カバーに取り付けられた躯体の内部ルーメンを通過する平面で切断した断面図である。 図21は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかる別のカバーの内部構成を示す断面図であって、カバーに取り付けられた躯体の内部ルーメンを通過する平面で切断した断面図である。 図22は、図21のB−B線断面図である。 図23Aは、本発明の実施の形態1の変形例4にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。 図23Bは、本発明の実施の形態1の変形例4にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。 図24は、本発明の実施の形態1の変形例4にかかるカテーテルを生体組織内に留置して固定する別の固定方法の概要を模式的に示す図である。 図25は、図24の基端側固定具の内部の構成を示す断面図であり、躯体の経路を通過する平面で切断した断面図である。 図26は、本発明の実施の形態1の変形例4の別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図27は、図26の矢視C方向から見た正面図である。 図28は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図29は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図30は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具の側面図である。 図31は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図32は、図31の矢視D方向から見た正面図である。 図33は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図34は、図33の矢視E方向から見た正面図である。 図35は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図36は、図35の矢視F方向から見た正面図である。 図37は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図38は、図37の矢視G方向から見た正面図である。 図39は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図40は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図41は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図42は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体の差し込み方向に沿って切断した断面図である。 図43は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具の側面図である。 図44は、図43の矢視I方向から見た正面図である。 図45は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具の側面図である。 図46は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具の側面図である。 図47Aは、本発明の実施の形態1の変形例6にかかるカテーテル1を患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。 図47Bは、本発明の実施の形態1の変形例6にかかるカテーテル1を患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。 図48は、本発明の実施の形態1の変形例7にかかる固定具の動作前の正面図である。 図49は、図48のJ−J線断面図である。 図50は、本発明の実施の形態1の変形例7にかかる固定具の動作後の正面図である。 図51は、図50のK−K線断面図である。 図52は、本発明の実施の形態2にかかるカテーテルの要部を示す側面図である。 図53は、本発明の実施の形態2にかかるカテーテルを患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。 図54は、本発明の実施の形態2にかかる別のカテーテルの要部を示す側面図である。 図55は、本発明の実施の形態2にかかる別のカテーテルの要部を示す側面図である。 図56は、本発明の実施の形態2にかかる別のカテーテルの要部を示す側面図である。 図57は、本発明の実施の形態2の変形例1にかかるカテーテルの要部を示す正面図である。 図58は、図53のL−L線断面図である。 図59は、本発明の実施の形態3にかかるカテーテルの全体図である。 図60Aは、本発明の実施の形態3にかかるカテーテルを患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。 図60Bは、本発明の実施の形態3にかかるカテーテルを患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。 図60Cは、本発明の実施の形態3にかかるカテーテルを患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。 図61は、本発明の実施の形態3にかかる別のカテーテルの要部を示す図である。 図62は、本発明の実施の形態3にかかる別のカテーテルの要部を示す側面図である。 図63は、本発明の実施の形態3の変形例1にかかるカテーテルを患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。 図64は、本発明の実施の形態3の変形例1にかかる別のカテーテルの要部を示す図である。 図65は、本発明の実施の形態4にかかるカテーテルキットの全体図である。 図66は、本発明の実施の形態4の変形例1にかかるカテーテルキットの全体図である。 図67は、本発明の実施の形態4の変形例2にかかるカテーテルキットの全体図である。 図68は、本発明の別な実施の形態(第1例)のカテーテルを躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。 図69は、本発明の別な実施の形態(第2例)にかかるカテーテルの構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。 図70は、本発明の別な実施の形態(第3例)にかかるカテーテルの構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。 図71は、本発明の別な実施の形態(第4例)にかかるカテーテルの構成を示す断面図である。 図72は、本発明の別な実施の形態(第4例)にかかる別のカテーテルで用いる処置具の構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。 図73は、本発明の別な実施の形態(第4例)にかかる別のカテーテルの構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。 図74は、本発明の別な実施の形態(第5例)にかかるカテーテルの構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)として、人間を含む哺乳動物の生体組織に導入されて留置される処置具としてのカテーテルについて説明する。図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。また、図面は、模式的なものであり、各部の寸法や比率は、現実と異なることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。なお、以下において、誘引処理とは、難癒着材料等の表面構造および表面処理等により生体反応を促進する誘引部を形成させる処理と定義する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかるカテーテルについて説明する。図1Aは、本実施の形態1にかかるカテーテルの全体図である。図1Bは、本実施の形態1にかかるカテーテルの構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。図1Aおよび図1Bに示すように、カテーテル1は、穿刺針2と、躯体3と、固定具4と、を備える。
穿刺針2は、先鋭端を有し、全体として湾曲した形状をなす。穿刺針2は、たとえばチタンやステンレス等の金属またはポリカーボ等の樹脂材料によって形成される。
躯体3は、細長い管形状をなし、内部ルーメン3aを有する。躯体3の側面には、内部ルーメン3aと連通する側孔3bが設けられる。躯体3の先端部3cには、穿刺針2の基端部2aが固着される。躯体3は、たとえばシリコンやポリエチレン、ポリウレタン等の生体適合性を有する材料によって形成される。
固定具4は、略球状をなす。固定具4は、躯体3が内部に挿入されて基端部3dと接続し、躯体3を生体組織の表面で係留する。固定具4は、誘引部41と難癒着部42とを有する。
誘引部41は、生体組織における異物反応を促進して生体組織からの癒着を誘引する材料を用いて形成される。具体的には、誘引部41は、ナイロン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン(合金)、金、白金および貴金属合金等、または、誘引処理を施したシリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等、またはこれらの材料によって被覆された樹脂系材料を用いて構成される。また、誘引部41は、躯体3が挿入される側に設けられる。
難癒着部42は、誘引部41より生体組織が癒着し難い材料を用いて形成される。具体的には、難癒着部42は、シリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等、またはこれらの材料によって被覆された樹脂系材料を用いて構成される。難癒着部42は、固定具4の他端に設けられる。具体的には、難癒着部42は、躯体3が挿入されない側に設けられる。なお、難癒着部42の体積は、固定具4において誘引部41の体積に対して同等もしくは大きい。具体的には、難癒着部42の最大円形面が誘引部41の最大円形面に対して同等もしくは大きい。
このように構成されたカテーテル1を用いて生体組織内に留置して固定する固定方法について説明する。図2A〜図2Cは、本実施の形態1にかかるカテーテル1を生体組織内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。
まず、施術者は、患部S1(たとえば腫瘍または臓器)を含む生体組織S2に穿刺針2を穿刺し、生体組織S2の内部を進入させてから生体組織S2の外部へ取り出すことにより、生体組織S2に躯体3を貫通させる。この際、側孔3bを患部S1に面する位置に配置する(図2Aを参照)。なお、図2においては、処置対象領域として生体組織S2内の患部S1を例に説明するが、これに限定されず、病状やカテーテル1を留置する部位、たとえば胃や心臓等によって処置対象領域の大きさや位置が変更される。
続いて、施術者は、ハサミで穿刺針2を切離し(図2Bを参照)、躯体3の先端部3cを、薬剤Wの流路をなすチューブ7の一端に接続する。チューブ7の他端は、薬剤Wを供給する供給ユニット5が有する薬剤送出用のポンプ6に接続されている(図2Cを参照)。
その後、施術者は、所定期間だけカテーテル1を体内で留置する。ここでの所定期間は、たとえば生体組織の炎症反応が治まるまでの期間であり、一週間程度である。図2Dは、図2Cに示す状態でカテーテル1を所定期間留置した後の状態を示す図である。図3は、図2Dにおける誘引部41と生体組織S2との癒着の態様を示す図であり、癒着部分を通過する躯体3の中心軸を含む平面で切断した断面図である。図3に示す状態で、誘引部41は、生体組織S2と接触して生体組織S2に対して刺激を与え続ける。このため、生体組織S2では異物反応が生じ、誘引部41周辺の材料表面にタンパク質が付着し、炎症反応が生じ、結合組織の皮膜を形成することによって、誘引部41を包み込むように生体組織S2が増殖して誘引部41と癒着する。ここで、癒着とは、生体組織が異物反応によって生じる皮膜、異物肉芽腫および被包化のいずれかである。これに対して、難癒着部42は、生体組織S2の癒着が困難な部材で形成され、他の生体組織が癒着しない。これにより、カテーテル1は、固定具4によって生体組織S2による癒着を制御することができるので、患部S1と側孔3bとの位置関係が適切な状態を維持しながらカテーテル1を固定することができる。
続いて、施術者は、供給ユニット5から躯体3の内部ルーメン3aへ薬剤Wを注入し始めることにより、患部S1に薬剤Wの投与を開始する。これにより、薬剤Wが側孔3bから吐出されることによって、生体組織S2内の患部S1に薬剤Wが供給される。
以上説明した本実施の形態1によれば、カテーテル1が患部の近傍において生体組織に異物反応を促進して生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部41と、誘引部41より生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部42とを備えるので、生体組織内で側孔3bと処置対象領域との位置関係が適切な状態を維持しながらカテーテル1を固定することができる。
(実施の形態1の変形例1)
上述した実施の形態1では、誘引部41の表面が均一であったが、たとえば表面に凹凸を施してもよい。これにより、より生体組織S2に対して刺激を与えることができるので、生体組織S2による誘引部41の癒着をより速く、かつ確実に行うことができる。さらに、誘引部41の表面に親水化コーティング処理、非親水化コーティング処理、ポリテトラフルオロエチレン等の不活性物資によるコーティング処理、サイトカイン等によるコーティング処理または含浸による徐放コーティング処理を施してもよい。
(実施の形態1の変形例2)
本実施の形態1では、躯体3の中間部3eに予め固定具を取り付けた状態であっても適用することができる。
図4は、本実施の形態1の変形例2にかかるカテーテル10の全体図である。図4に示すように、カテーテル10は、穿刺針2と躯体3の基端部(図示せず)との間に設けられ、躯体3が挿通されて躯体3の中間部3eを固定する固定具11をさらに有する。
図5は、図4に示す固定具11の内部の構成を示す断面図であり、躯体3の内部経路を通過する平面で切断した断面図である。図5に示すように、固定具11は、躯体3を挿通可能な貫通部12が内部に形成された略球状をなす。貫通部12は、躯体3の外径と略等しい径を有し、固定具11の略中心へ向けて直線上に延びた後、屈曲して異なる方向へ直線上に延びている。また、貫通部12は、少なくとも一方の開口12bの中心軸が固定具11の中心を通るように形成される。さらに、貫通部12の一方の開口12bは、誘引部41の領域に形成され、他方の開口12aは難癒着部42の領域に形成される。
このように構成されたカテーテル10を生体組織S2内に留置して固定する固定方法について説明する。図6Aおよび図6Bは、本実施の形態1の変形例2にかかるカテーテル10を生体組織S2内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。
まず、施術者は、患部S1を含む生体組織S2に穿刺針2を穿刺して進入させて生体組織S2に躯体3を貫通させ、側孔3bを患部S1に配置した後、ハサミ等で穿刺針2を躯体3から切離する(図6Aを参照)。固定具11は、誘引部41が生体組織S2と向かい合うように配置される。
続いて、施術者は、躯体3の先端部3cを先端固定具13に挿入することで固定する(図6Bを参照)。これにより、カテーテル10は、固定具11および先端固定具13によって、躯体3が先端側(遠位端)と先端よりも基端側の2箇所で生体組織S2に固定されるので、活発に動く組織や他の組織の影響でズレ等が生じやすい部位であっても、患部S1と側孔3bとの相対位置を長時間安定して固定することができる。さらに、固定具11および先端固定具13の誘引部41が生体組織S2によって癒着することで、患部S1と側孔3bとの位置関係が適切な状態を維持しながらカテーテル10を固定することができる。
ここで、図6Bの先端固定具13の構成について説明する。図7は、本実施の形態1の変形例2にかかるカテーテル10の先端固定具13を躯体3の挿入方向に沿って切断した断面図である。
図7に示すように、先端固定具13は、固定具4と同様に構成され、誘引部41と、難癒着部42とが一体的に形成され、略球状をなす。これにより、先端固定具13の形状が原因となって、躯体3が生体組織S2に対してずれを生じたり、躯体3が屈曲して薬剤を送出できなくなることはない。また、先端固定具13は、略球状をなす本体部13aに、躯体3の先端部3cが挿入される躯体挿入孔13bと、躯体3を本体部13aに固定する際の糸が挿入される糸挿入孔13cとが形成されている。
躯体挿入孔13bは、開口部13dから本体部13aの中心に向かって延伸して形成される。なお、図7では、躯体挿入孔13bとして、本体部13aを貫通していない場合を例に示すが、より一般に、躯体挿入孔13bは、躯体3の先端部3cを挿入できればよく、本体部13aを貫通していてもよい。
糸挿入孔13cは、躯体挿入孔13bに交差して連通している。糸挿入孔13cは、先端固定具13と躯体3の先端部3cとを固定させるために使用される糸が挿入される。具体的には、糸挿入孔13cは、躯体挿入孔13bに直交するとともに、本体部13aの略中心を通過するように形成される。
このように構成された先端固定具13に躯体3を固定する固定方法について説明する。施術者は、図8に示すように、躯体3の先端部3cを躯体挿入孔13bに挿入し、躯体挿入孔13bの底部13eに当たるまで押し入れる。なお、躯体挿入孔13bが本体部13aを貫通している場合、躯体挿入孔13bの先端側の開口面と一致する程度まで躯体3を躯体挿入孔13bに押し込めばよい。
続いて、施術者は、針14aが先端に付いた糸14を糸挿入孔13cの一方の開口部13fから挿入し、躯体3の内部ルーメン3aを通るように躯体3に針14aを貫通させて、糸挿入孔13cの他方の開口部13gから糸14の先端を引き出す。糸14は、たとえば、図8に示すように、内部ルーメン3aが延伸する方向と直交する方向に内部ルーメン3aを貫通する。
その後、施術者は、ハサミ等で針14aを糸14から切離し、先端固定具13の糸挿入孔13cの両方の開口部13f,13gからそれぞれ出ている糸14の両端を持って先端固定具13の表面で張った後、その両端を結ぶ。これにより、躯体3は糸14を介して先端固定具13に固定される。図9は、針14aを切離した糸14が先端固定具13に固定された状態を示す上面図である。図9に示す状態から先端固定具13と躯体3との固定を解除する場合、施術者が糸14を切断するだけでよい。
以上説明した本実施の形態1の変形例2によれば、カテーテル10は、固定具11および先端固定具13によって、躯体3が基端部3d側と先端部3c側(遠位端)とで生体組織S2内で固定されるので、活発に動く組織や他の組織の影響でズレ等が生じやすい部位であっても、患部S1と側孔3bとの相対位置を安定して固定することができる。さらに、固定具11および先端固定具13の誘引部41が生体組織S2によって癒着することで、患部S1と側孔3bとの位置関係が適切な状態を維持しながらカテーテル10を固定することができる。
また、本実施の形態1の変形例2によれば、先端固定具13と躯体3との固定を解除する場合、施術者が糸14を切断するだけでよいので、両部材の固定を容易に解除することができる。
なお、本実施の形態1の変形例2では、固定具11に換えて別の形状を有する固定具を用いることも可能である。図10および図11は、本実施の形態1の変形例2にかかる別の形状を有する固定具を躯体3の内部経路を通過する平面で切断した断面図である。図10に示す固定具15は、躯体3を挿通可能であり、略直角に屈曲する鉤型をなして固定具15を貫通する貫通部16が形成されている。貫通部16の一方の開口は、誘引部41の領域に形成され、他方の開口は難癒着部42の領域に形成される。誘引部41の領域に形成された開口は、生体組織S2と向かい合う位置に配置される。また、貫通部16は、少なくとも一方の開口の中心軸が固定具15の中心を通るように形成される。
また、図11に示す固定具17の内部には、躯体3を挿通可能な貫通部18が形成されている。貫通部18は、一方の開口から固定具17の略中心へ向けて直線に延びた後、鋭角に屈曲して異なる方向へ直線に延びて他方の開口に達している。貫通部18の一方の開口は誘引部41の領域に形成され、他方の開口は難癒着部42に形成される。また、貫通部18は、少なくとも一方の開口の中心軸が固定具17の中心を通るように形成される。
図11に示す固定具17は、二つの生体組織S2およびSZに挟まれた狭い領域でカテーテル10を固定したいような場合に好適である。さらに、固定具17が難癒着部42を有することにより、カテーテル10を固定する必要がない生体組織SZに対して固定具17等が癒着するのを防止することができる。
本実施の形態1の変形例2において、施術者は、生体組織S2に躯体3を挿通して固定させる場所に応じて、3つの固定具11、15、17のうち最も適切な固定具を選択することで、躯体3を容易にかつ確実に生体組織S2に固定することができる。これらの固定具11、15、17は、難癒着部42を有しているため、カテーテルを固定する必要がない生体組織SZと難癒着部42とを向かい合わせることにより、不要な癒着を防止することができる。したがって、本実施の形態1の変形例2によれば、患部S1と側孔3bとの位置関係が適切な状態でカテーテル10を固定することができる。
また、本実施の形態1の変形例2では、固定具4に換えて別の形状を有する固定具を適用することも可能である。図12は、本実施の形態1の変形例2における他の固定具の正面図である。図13は、図12のA−A線断面図である。図12および図13に示すように、固定具15は、貫通部16に連通するスリット19が形成されている。これにより、施術者は、スリット19を介して躯体3を貫通部16に嵌め込むことにより、躯体3を固定することができる。
また、本実施の形態1の変形例2では、固定具4に換えて別の形状を有する固定具を用いることも可能である。図14は、本実施の形態の変形例2における他の固定具の正面図である。図14に示すように、固定具20は、互いに同径の略半球状をなす第1半球部21および第2半球部22を有する。固定具20は、第1半球部21の円形平面21aと第2半球部22の円形平面22aが互いに向かい合って当接することにより略球状をなす。
図15は、第1半球部21の円形平面21aの構成を示す平面図である。第1半球部21の円形平面21aには、躯体3を保持可能であり、円形平面21aの中心で略直角に屈曲した形状をなす溝部23が形成されている。溝部23は、少なくとも一方の端部の中心軸が固定具20の中心を通るように形成される。また、第1半球部21には、円形平面21aから突起した凸部24と、円形平面からくぼんだ凹部25とが設けられている。
第2半球部22は、第1半球部21と同様に、溝部と、凸部と、凹部とを有する。このうち、溝部は、第1半球部21の溝部23と鏡像対称な形状をなし、溝部23と合わさって、円形断面形状を有し、躯体3を挿通可能な貫通部を形成する。第2半球部22の凸部は、第1半球部21と第2半球部22とを組み合わせた場合に第1半球部21の凹部25と嵌合可能な位置に設けられる。また、第2半球部22の凹部は、第1半球部21と第2半球部22とを組み合わせた場合に第1半球部21の凸部24と嵌合可能な位置に設けられる。
以上の構成を有する固定具20を適用する場合、施術者は、たとえば、第1半球部21の溝部23に躯体3の先端部3cを嵌め込んだ後、第1半球部21の凸部24および凹部25をそれぞれ第2半球部22の凹部25および凸部24に嵌め込むことにより、躯体3を固定具20に固定する。なお、固定具20は、凸部24および凹部25に換えて、第1半球部21および第2半球部22に糸が挿入可能な貫通孔を設け、糸により第1半球部21および第2半球部22を固定するようにしてもよい。さらに、固定具20は、接着剤や溶着等により、第1半球部21および第2半球部22を固定してもよい。
(実施の形態1の変形例3)
本実施の形態1では、固定具に複数本の躯体を固定した状態であっても適用することができる。
図16は、本実施の形態1の変形例3にかかるカテーテル26の全体図である。図16に示すように、カテーテル26は、穿刺針2と、2つの躯体3と、2つの躯体3が接続される固定具27と、を有する。カテーテル26は、一方の躯体3の先端部3cに穿刺針2が接続される。
固定具27は、略球状をなす。固定具27は、誘引部41と難癒着部42とによって形成される。
このように構成されたカテーテル26を用いて生体組織S2内に留置して固定する固定方法について説明する。図17および図18は、本実施の形態1の変形例3にかかるカテーテル26を生体組織S2内に留置して固定する固定方法の概要を示す図である。
施術者は、穿刺針2で患部S1を含む生体組織S2内の穿刺を進めて貫通させ、側孔3bが患部S1に位置するように配置した後、ハサミ等で穿刺針2を切離する(図17を参照)。続いて、施術者は、穿刺針2がない一方の躯体3を生体組織S2に沿うように配置する(図17を参照)。その後、施術者は、2つの躯体3の先端部3cを供給ユニット5(図示せず)に接続する。これにより、カテーテル26は、患部S1の両端から薬剤を投与することができる。
また、図18に示すように、生体組織S2の細長い部分に存在している患部S1に対してカテーテル30を配置して固定する際には、穿刺針2で生体組織S2の外にいったん躯体3を露出させた後、再度、生体組織S2内に躯体3を貫通させてもよい。
さらに、図19に示すように、2つの躯体3の先端部3cに対してカバー31をかぶせて躯体3の一体化を行ってもよい。図20は、カバー31の内部構成を示す断面図であって、カバー31に取り付けられた躯体3の内部ルーメン3aを通過する平面で切断した断面図である。図20に示すように、カバー31は、内部に複数の流路32と、流路32と躯体3の先端部3cとを接続するコネクタ部33と、を有する。コネクタ部33の先端部33aは、内部ルーメン3aの径よりも小さく形成される。これにより、先端部33aの外径は、躯体3の先端部3cに接続することができる。なお、カバー31は、同じ薬剤を2つの躯体3にそれぞれ送出する場合、流路32を一つだけ設ければよい。さらに、カバー31は、患部S1に対して燃灼や凍結等を施すための熱エネルギーを送出するようにしてもよい。凍結の場合には、薬剤送出と同様の流路にガス(アルゴンガス等)を流せばよい。さらにまた、カバー31は、電気エネルギーおよび振動エネルギーを送出することもできる。この場合、カバー31に電気エネルギーを送出するコネクタ部(接続部)を設ければよい。
また、躯体3の側孔3bに作用部として光(たとえばUVやIR等)を発光するLEDがある場合、カバー31に電気エネルギーを伝導するコネクタを設ければよい。さらに、光源が外部にあり、躯体3に設けられたファイバー34で光を伝送する場合、図21および図22に示すように、カバー31にファイバー35等を設ければよい。この場合、カバー31は、図21に示すように接続部36と躯体3との段差をなくすことにより、接続部36近傍に存在する生体組織に対する異物反応を低減することができる。
以上説明した本実施の形態1の変形例3によれば、多方向から薬剤等によって処置できるので広い範囲に処置を行うことができる。もちろん患部S1の位置は、二つの側孔3bの間に配置してもよいが、生体組織S2および患部S1にそれぞれ配置させてもよく、患部S1に起因して生体組織S2にも処置を行う必要がある場合に好適である。
(実施の形態1の変形例4)
本実施の形態1では、躯体3の基端部に設けられた固定具4に、躯体3の先端部3cを貫通させて固定してもよい。
図23Aおよび図23Bは、本実施の形態1の変形例4にかかるカテーテル1を生体組織S2内に留置して固定する固定方法の概要を模式的に示す図である。
まず、施術者は、穿刺針2で患部S1を含む生体組織S2内の穿刺を進めて貫通させ、側孔3bを患部S1もしくは患部S1近傍に位置させる(図23Aを参照)。
続いて、施術者は、穿刺針2で固定具4を貫通させ、ハサミ等で穿刺針2を切離し、薬剤を供給する供給ユニット5(図示せず)に躯体3の先端部3cを接続する(図23Bを参照)。
このように、本実施の形態1の変形例4によれば、1本の躯体3で患部S1または生体組織S2を両側から処置できるので、躯体3の引き回し等が簡便なまま広範囲に処置することができる。
また、本実施の形態1の変形例4では、図24に示すように、別途、躯体3が固定具4に折り返す位置に基端側固定具40を設けてもよい。図25は、図24の基端側固定具の内部の構成を示す断面図であり、躯体の経路を通過する平面で切断した断面図である。図25に示すように、基端側固定具40は、躯体3が挿入可能であり、内部で湾曲する貫通部40aを有する。貫通部40aは、基端側固定具40と生体組織S2が接する面から固定具4の中心方向に延伸し、生体組織S2に近づく方向に湾曲している。また、貫通部40aは、少なくとも一方の挿入口40cの中心軸が固定具11の中心を通るように形成される。なお、基端側固定具40の貫通部40aの挿入口40bおよび出口40cの位置は、適宜変更してもよい。このように、カテーテル1は、基端側固定具40を設け、基端側固定具40の貫通部40aの孔の向きによって生体組織S2表面に沿う躯体3の方向を規定することができる。
また、本実施の形態1の変形例4では、固定具の形状を変更することも可能である。図26は、本実施の形態1の変形例4の別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図27は、図26の矢視C方向から見た正面図である。図26および図27に示すように、固定具50は、略球状をなす。固定具50は、躯体3の基端部3dが挿入されて固定する固定孔51と、貫通部53に配置するため、躯体3を外部から押し込んで挿入可能なスリット52と、スリット52と連通する貫通部53と、糸が挿入可能な糸挿入孔54と、を有する。
このように構成された固定具50は、施術者によってスリット52を介して貫通部53に躯体3が押し込まれて挿入される。続いて、施術者は、糸挿入孔54に糸を通して固定具50の上部で結んで固定する。これにより、1本の躯体3で患部S1または生体組織S2を両側から処置できるので、躯体3の引き回し等が簡便なまま広範囲に処置することができる。
(実施の形態1の変形例5)
本実施の形態1では、固定具の形状を変更することができる。図28は、本実施の形態1の変形例5にかかる固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。
図28に示すように、固定具60は、誘引部41と、難癒着部42とが一体的に形成された略球状をなす。誘引部41は、生体組織と接触する表面に、内部にくぼんだ略半球状をなす複数の凹部61が形成されている。これにより、固定具60が生体組織の表面に固定された場合、凹部61によって形成された凹凸パターンおよび凹部61の縁が生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、生体組織が誘引部41を被覆するように癒着して結合するとともに、生体組織が凹部61に入り込むことにより、躯体3が確実に生体組織に固定される。
また、本実施の形態1の変形例5では、固定具60に換えて別の形状を有する固定具を用いることも可能である。図29は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図29に示すように、固定具70は、誘引部41と、難癒着部42とが一体的に形成されて略球状をなす。誘引部41は、内部に生体組織が入り込む複数の収容部71と、複数の収容部71にそれぞれ連通する複数の孔72と、を有する。これにより、固定具70が生体組織の表面に固定された場合、孔72の縁が生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、生体組織が誘引部41を被覆するように癒着して結合するとともに、生体組織が孔72を介して収容部71に入り込むので、躯体3が確実に生体組織に固定される。
図30は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具の側面図である。図30に示すように、固定具80は、誘引部41と、難癒着部42とが一体的に形成されて略球状をなす。誘引部41の表面には、外周側に向けて突起する複数の突起部81が形成されている。これにより、固定具80が生体組織の表面に固定された場合、突起部81が生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、生体組織が誘引部41を被覆するように癒着して結合するとともに、生体組織が突起部81と突起部81との間に入り込むため、躯体3が確実に生体組織に固定される。
図31は、 図31は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図32は、図31の矢視D方向から見た正面図である。図31および図32に示すように、固定具90は、誘引部41と難癒着部42とが一体的に形成されて略球状をなす。誘引部41と難癒着部42とは、それぞれ略半球状をなす。誘引部41は、内部がくり抜かれた形状をなしている。より詳細には、誘引部41は、固定具90の中心から外周側へ向けて円柱状に突起した突起部41aと、突起部41aの基端部(固定具90の中心側の部分)を包囲し、略均一な肉厚を有する球殻の一部をなす外周部41bとを備える。突起部41aには、突起方向と平行に延びて難癒着部42の内部まで達し、躯体3を挿入可能な挿入孔41cが形成されている。外周部41bを含む球殻の径は、誘引部41がなす略半球の径と等しい。突起部41aと外周部41bとの間には、略円環状をなす開口部91aを有し、生体組織が入り込むことが可能な有底の収容部91が形成されている。これにより、固定具90が生体組織の表面に固定された場合、収容部91の開口部91aが生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、生体組織が誘引部41を被覆するように癒着して結合するとともに、生体組織が収容部91に入り込むため、躯体3が生体組織に確実に固定される。
図33は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図34は、図33の矢視E方向から見た正面図である。図33および図34に示すように、固定具100は、誘引部41と難癒着部42とが一体的に形成されて略球状をなす。誘引部41の内部はくり抜かれており、生体組織が入り込む収容部101が形成されている。誘引部41には、収容部101と外部とを連通する複数の孔102が形成されている。複数の孔102は、互いに径が異なる3種類の孔102a〜102cを含む。これにより、固定具100が生体組織の表面に固定された場合、各孔102が生体組織を刺激して異物反応を活性させる。この結果、生体組織が孔102を介して収容部101に入り込むので、躯体3が確実に生体組織に固定される。
図35は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図36は、図35の矢視F方向から見た正面図である。図35および図36に示すように、固定具110は、誘引部41と難癒着部42とが一体的に形成されて略球状をなす。誘引部41と難癒着部42とは、それぞれ略半球状をなす。誘引部41は、内部がくり抜かれた形状をなしている。より詳細には、誘引部41は、固定具90の中心から外周側へ向けて突起した突起部41dと、突起部41dの基端部(固定具110の中心側の部分)を包囲し、略均一な肉厚を有する球殻の一部をなす外周部41eと、突起部41dの先端部に位置し、表面が誘引部41のなす略半球面の一部をなし、突起部41dよりも突起部41dの径方向に広がった傘部41fとを有する。突起部41dには、突起方向と平行に延びて難癒着部42の内部まで達し、躯体3を挿入可能な挿入孔41gが形成されている。外周部41eを含む球殻の径は、誘引部41がなす略半球の径と等しい。突起部41dと外周部41eとの間には、略円環状をなす開口部111aを有し、生体組織が入り込むことが可能な有底の収容部111が形成されている。これにより、固定具110が生体組織の表面に固定された場合、収容部111の開口部111aが生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、生体組織が誘引部41を被覆するように癒着して結合するとともに、生体組織が収容部111に入り込むことで、躯体3が生体組織に確実に固定される。
図37は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図38は、図37の矢視G方向から見た正面図である。図37および図38に示すように、固定具120は、誘引部41と難癒着部42とが一体的に形成されて略球状をなす。誘引部41は、図31に示す固定具90の誘引部41が備える外周部41bに、複数の孔122が形成されている。複数の孔122は、躯体3を中心にして周方向に沿って形成されており、固定具120の外部と収容部121とを連通する。これにより、固定具120が生体組織の表面に固定された場合、収容部121の開口部121aおよび複数の孔122が生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、生態組織が収容部121および各孔122に入り込むため、躯体3が確実に生体組織に固定される。
図39は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図39に示すように、固定具130は、誘引部41と難癒着部42とが一体的に形成されて略球状をなす。誘引部41は、生体組織に接する面131が凹凸パターンを繰り返した形状をなしている。これにより、固定具130が生体組織の表面に固定された場合、面131が生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、固定具130では、生体組織が誘引部41を被覆するように癒着するとともに、面131の凹部131aに入り込むので、躯体3が確実に生体組織に躯体3を固定される。
図40は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。固定具132は、誘引部41と難癒着部42とが一体的に形成されて略球状をなす。誘引部41は、躯体3の基端部3d側に延びる方向に沿ってくぼむ複数の凹部133が形成されている。図40に示す場合、凹部133の深さ方向に沿った断面は矩形状をなしているが、他の形状でも構わない。また、凹部133の開口の形状は矩形でもよいし、円でもよいし、楕円でもよい。これにより、凹部133の縁133aが生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、上述した図39の固定具130に比べ、縁133aが形成されている分刺激が大きく、異物反応を効率よく活性化させることができる。さらに、生体組織が誘引部41を被覆するように癒着するとともに、凹部133に入り込むので、躯体3が確実に生体組織に固定される。
図41は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図41に示すように、固定具140は、生体組織に接触して異物反応を促進して生体組織を誘引する誘引部141と、誘引部141より生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部142とを有する。誘引部141は、略円錐台状をなし、側面には複数の突起部141aが設けられている。難癒着部142は、誘引部141のなす略円錐台において径が大きい方の底面と同じ径を有し、該底面に連なった略半球状をなす。これにより、固定具140が生体組織の表面に固定された場合、突起部141aが生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、生体組織が誘引部141を被覆するように癒着して結合するので、躯体3が確実に生体組織に固定される。なお、突起部141aは、たとえば繊毛状によって形成されてもよい。
図42は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具を躯体3の差し込み方向に沿って切断した断面図である。図42に示すように、固定具150は、生体組織に接触して異物反応を促進して生体組織を誘引する誘引部151と、誘引部141より生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部152と、を有する。誘引部151は、略円錐台状をなし、側面には複数の凹部151aが設けられている。難癒着部152は、誘引部151のなす略円錐台において径が大きい方の底面と同じ径を有し、該底面に連なった略半球状をなす。これにより、固定具150が生体組織の表面に固定された場合、誘引部151が生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、固定具150では、生体組織が誘引部151を被覆するように癒着して結合するとともに、各凹部151aに生体組織が入り込むので、躯体3が確実に生体組織に固定される。
図43は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具の側面図である。図44は、図43の矢視I方向から見た正面図である。図43および図44に示すように、固定具160は、生態組織に接触して異物反応を促進して生体組織を誘引する誘引部161と、誘引部141より生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部162と、を有する。誘引部161は、円柱状をなす。難癒着部162は、誘引部161のなす円柱と同じ径を有し、概円柱に同軸で連なる略円柱状をなす。難癒着部162の端面162aの外縁162bは、面取り加工(R面取り加工)が施されている。これにより、固定具160が生体組織の表面に固定された場合、誘引部161および誘引部161の底面161aの外縁161bが生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。さらに、難癒着部162は、外縁162bが面取りされているため、難癒着性が向上する。この結果、生体組織が誘引部161を被覆するように癒着して結合するので、躯体3が確実に生体組織に固定される。
図45は、本実施の形態1の変形例5にかかる別の固定具の側面図である。図45に示すように、固定具170は、略球状をなし、生体組織に接触して異物反応を促進して生体組織を誘引する誘引部171と、ドーム状をなし、誘引部171の一部を包み込むことにより、誘引部171の先端側171bを生体組織の癒着から防止する難癒着部172と、を有する。誘引部171および難癒着部172は、別体に設けられる。また、誘引部171には、たとえば中心に向う方向にそれぞれくぼんだ複数の凹部171aが形成されている。これにより、固定具170が生体組織の表面に固定された場合、誘引部171および凹部171aが生体組織を刺激して異物反応を活性化させる。この結果、生体組織が誘引部171を被覆するように癒着して結合するので、躯体3が確実に生体組織に固定される。さらに、難癒着部172は、誘引部171を生体組織からの余分な癒着を防止するので、難癒着部172と向かい合う位置にある他の臓器や患部が固定具170と癒着することがない。なお、図46に示すように、固定具180の誘引部181が円柱状をなす場合であっても、難癒着部172が誘引部181に対して生体組織からの癒着を防止するので、難癒着部172と向かい合う位置にある他の臓器や患部に癒着することがない。
(実施の形態1の変形例6)
本実施の形態1では、患部近傍の組織であっても適用することができる。ここで、患部近傍の組織とは、患部組織に近接し、生体振動等に合わせてほぼ一緒に動く組織である。具体的には、膜状構造、たとえば心臓と心膜、臓器(肝臓や胃等)と腹膜、血管または筋組織等である。
図47Aおよび図47Bは、本実施の形態1の変形例6にかかるカテーテル1を患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。
図47Aに示すように、施術者は、カテーテル1を用いて、たとえば穿刺針2を心臓S3と心膜S4との間の心膜腔S5に通し、患部S1付近から心膜S4に貫通させて、再度、心膜腔S5に通すことにより、心膜S4を2度貫通させる。
続いて、施術者は、心膜腔S5内で穿刺針2を除去した後、躯体3の先端部3cを進め、側孔3bが患部S1に位置するように配置するとともに、固定具4の誘引部41を心膜S4側に固定する。この際、誘引部41は、心膜S4の生体組織が癒着することで、心膜S4に固定される(図47B)。これに対して、難癒着部42および躯体3は、生体組織による癒着が生じず、心臓S3の鼓動に合わせて移動することができる。
以上説明した本実施の形態1の変形例6によれば、活発に動く組織や他の組織の影響でズレ等が生じやすい部位であっても、患部S1と側孔3bとの相対位置を安定して固定することができる。さらに、固定具4の誘引部41が生体組織(たとえば心膜S4の生体組織)と癒着することで、患部S1と側孔3bとの位置関係が適切な状態でカテーテル1を固定することができる。
(実施の形態1の変形例7)
図48は、本実施の形態1の変形例7にかかる固定具の動作前の正面図である。図49は、図48のJ−J線断面図である。図50は、本実施の形態1の変形例7にかかる固定具の動作後の正面図である。図51は、図50のK−K線断面図である。
図48〜図51に示すように、固定具190は、略半球状をなし、柔軟な樹脂等を用いて構成される。固定具190は、表面から内部に設けて凹状に切り欠かれた切り欠き部191aが形成された本体部191と、切り欠き部191aに配設され、生体組織を把持する把持部192と、円柱状をなし、内部にくぼんだ凹部193aの周辺を囲むように誘引部193とを有する。また、固定具190は、把持部192の開閉方向と躯体3が直交するように把持部192の開閉方向に平行な側面に躯体3が一体的に設けられている。把持部192は、クリップ等を用いて構成される。
このように構成された固定具190を用いて生体組織S2に留置して固定する固定方法について説明する。この場合、施術者は、把持部192が開いた状態で生体組織S2に接触させた後(図49を参照)、鉗子等で固定具190を両端から挟み込むことにより、把持部192に生体組織S2を把持させる(図51を参照)。これにより、固定具190が生体組織S2に対して仮固定される。その後、生体組織S2の異物反応によって、生体組織S2が固定具190を包み込むように癒着するまで躯体3を固定する。このとき、誘引部193が生体組織S2と接した状態で維持されるため、生体組織S2の異物反応が活性化され、生体組織S2が固定具190を包み込むように癒着するとともに、誘引部193に生体組織S2が癒着する。
以上説明した本実施の形態1の変形例7によれば、施術者が一つの動作で躯体3を生体組織S2に固定することができるので、躯体3を留置して固定する作業を簡易に行うことができるとともに、躯体3を留置する位置調整を容易に行うことができる。
(実施の形態2)
つぎに、本実施の形態2について説明する。本実施の形態2にかかるカテーテルは、上述した実施の形態1にかかるカテーテルと構成が異なる。具体的には、本実施の形態2にかかるカテーテルは、上述した実施の形態1にかかるカテーテルの固定具に換えて躯体等に誘引部が形成されている。このため、以下においては、本実施の形態2にかかるカテーテルの構成について説明後、カテーテルを生体組織に留置して固定する固定方法を説明する。
図52は、本実施の形態2にかかるカテーテルの要部を示す側面図である。図52に示すように、カテーテル200は、フック部201と、躯体202と、を有する。
フック部201は、先端が先鋭化したフック形状をなす。フック部201は、たとえばナイロン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン(合金)、金、白金および貴金属合金等を用いて形成される。
躯体202は、細長い管形状をなし、内部ルーメン202aを有する。躯体202の側面には、内部ルーメン202aと連通する側孔3bが設けられている。躯体202は、先端部に生体組織に対して異物反応を促進して生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部203と、誘引部203より生体組織と癒着し難い材料からなる難癒着部204とが一体的に形成されている。
誘引部203は、少なくとも躯体202の先端部に設けられる。誘引部203は、ナイロン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン(合金)、金、白金および貴金属合金等を用いて形成される。
難癒着部204は、誘引部203と同じ径を有し、誘引部203と滑らかに連なって形成されている。難癒着部204は、シリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等、またはこれらの材料によって被覆された樹脂系材料を用いて形成される。
このように構成されたカテーテル200を患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法について説明する。図53は、本実施の形態2にかかるカテーテル200を患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。
図53に示すように、施術者は、フック部201を心臓S3と心膜S4との間に穿刺して進め、フック部201の先端部201aを心膜S4に貫通させてカテーテル200を心臓S3と心膜S4との間に留置して固定する。これにより、フック部201および躯体202の誘引部203が生体組織を活性化させることにより、生体組織が癒着する。
以上説明した本実施の形態2によれば、誘引部203が生体組織によって癒着することで、活発に動く組織や他の組織の影響でズレ等が生じやすい部位であっても、患部S1と側孔3bとの位置関係が適切な状態を維持しながらカテーテル200を固定することができる。
さらに、本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1のように、略球状をなす固定具を設けなくてもよいので、省スペース化を図ることができ、挿入が難しい患部を有する生体組織にカテーテル200を留置して固定することができる。
また、本実施の形態2によれば、フック部201に対して耐えるだけの組織強度があればよいので、筋組織や異方性のない組織に適用することができる。
なお、本実施の形態2では、図54に示すように、躯体202の軸線を通る平面で躯体202を二つの部分に分割したときの一方の部分を誘引部203で形成し、他方の部分を難癒着部204で一体的に形成するようにしてもよい。この場合、誘引部203は、フック部201の先端部201aが向く方向に沿って設ければよい。
また、本実施の形態2では、図55に示すように、フック部201が延びて折れ曲がる方向に沿うとともにフック部201の先端を通過する曲面によって二分したときに折れ曲がりの内周側を含む部分を誘引部203とする一方、折れ曲がりの外周側を難癒着部204として一体的に形成するようにしてもよい。
また、本実施の形態2では、図56に示すように、フック部201を湾曲した形状に形成してもよい。この場合、図56に示すように、フック部201の先端部201aを心膜S4に2度貫通させてもよい。
なお、本実施の形態2では、患部近傍の組織として心臓S3および心膜S4との間にカテーテル200を留置して固定する例を説明したが、本実施の形態2は、たとえば、腹腔臓器(肝臓や胃等)と腹膜等との間にカテーテル200を留置する場合にも適用することができる。
(実施の形態2の変形例1)
本実施の形態2では、フック部201および躯体202の先端部202c付近に、生体組織からの癒着を保護する保護シートを別途設けることもできる。図57は、本実施の形態2の変形例1にかかるカテーテル200の要部を示す正面図である。図58は、図57のL−L線断面図である。
図57および図58に示すように、カテーテル200は、誘引部203を生体組織の癒着から保護する保護シート205を有する。保護シート205は、誘引部203に接着する接着部206と、生体組織の癒着を保護する保護部207とが一体的に形成されている。接着部206の接着面206aには、接着剤が塗布されている。保護部207の表面207aには、たとえば癒着防止のための均一な親水処理が施されている。
以上説明した本実施の形態2の変形例1によれば、活発に動く組織や他の組織の影響でズレ等が生じやすい部位であっても、患部S1と側孔3bとの相対位置を安定して固定することができる。また、誘引部203が生体組織によって癒着することで、患部S1と側孔3bとの位置関係が適切な状態でカテーテル200を固定することができる。さらに、固定具を設けなくてもよいので、省スペース化を図ることができる。このため、挿入が難しい患部を有する生体組織に対しても、カテーテル200を留置して確実に固定することができる。
(実施の形態3)
つぎに、本実施の形態3について説明する。本実施の形態3にかかるカテーテルは、上述した実施の形態にかかるカテーテルと構成が異なる。具体的には、本実施の形態3にかかるカテーテルは、基端部に紐状の結合部が形成されている。さらに、少なくとも躯体の基端部に誘引部が形成されている。このため、以下においては、本実施の形態3にかかるカテーテルの構成について説明後、カテーテルを生体組織に留置して固定する固定方法を説明する。
図59は、本実施の形態3にかかるカテーテルの全体図である。図59に示すように、カテーテル300は、穿刺針2と、躯体301と、結合部302と、を有する。
躯体301は、細長い管形状をなし、内部ルーメン(図示せず)を有する。躯体301の側面には、内部ルーメン(図示せず)と連通する側孔3bが設けられている。躯体301は、生体組織に対して異物反応を促進して生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部304と、誘引部304より生体組織の癒着がし難い材料からなる難癒着部303とが一体的に形成されている。誘引部304は、躯体301の基端部301c側に形成される。難癒着部303は、躯体301の基端部301d側に形成される。なお、誘引部304および難癒着部303は、上述した誘引部41および難癒着部42それぞれと同様の材料によって形成される。
結合部302は、躯体3の基端部301d側に設けられ、穿刺針2を挿入可能な紐状の輪を形成する。
このように構成されたカテーテル300を患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法について説明する。図60A〜図60Cは、本実施の形態3にかかるカテーテル300を用いて患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。
まず、施術者は、穿刺針2を心臓S3と心膜S4との間に挿入させて、心膜S4を貫通後、再度、穿刺針2を心膜S4に穿刺して貫通させる(図60Aを参照)。
続いて、施術者は、穿刺針2を結合部302の輪に挿入して、穿刺針2をハサミ等で切離し(図60Bを参照)、躯体301の先端部301cを引っ張ることで、躯体301の基端部301dを心膜S4に固定する(図60Cを参照)。これにより、カテーテル300は、誘引部304に生体組織が癒着することにより固定される。
以上説明した本実施の形態3によれば、活発に動く組織や他の組織の影響でズレ等が生じやすい部位であっても、患部S1と側孔3bとの位置関係が適切な状態でカテーテル300を固定することができる。
また、本実施の形態3によれば、生体組織が誘引部304に癒着することで、患部S1と側孔3bとの相対位置をより安定して固定することができる。
さらに、本実施の形態3によれば、カテーテル300の全てを柔軟な材料で構成することができるので、柔らかく傷つきやすい組織であってもより適用することができる。
なお、本実施の形態3では、誘引部304を心膜S4と対向する側だけに設けても良い。この場合には、誘引部304の部分を示すマーカを設けてもよい。これにより、施術者に誘引部304の位置を直感的に把握させることができる。さらに、躯体301を心膜S4に貫通させた後、再度、心膜S4に穿刺して心膜S4を貫通させた際に、心膜S4の表面と向かい合うような領域のみに誘引部304を設けてもよい。
また、本実施の形態3では、図61に示すように、先端部301a側に誘引部304が形成された躯体301を留置して固定する場合、紐306によって心膜S4と躯体301とを仮固定する。これにより、誘引部304に生体組織が癒着することにより、カテーテル300が固定される。この場合、図62に示すように、躯体301の先端部301aの近傍に内側にくびれた細径部301bを設けてもよい。この場合には、紐306を細径部301bに掛止することによって躯体301を生体組織に固定することができる。なお、図62に示す場合、心膜S4に対向する領域のみに誘引部304を設けてもよい。
(実施の形態3の変形例1)
本実施の形態3では、躯体301のみで生体組織内に留置して固定することもできる。図63は、本実施の形態3の変形例1にかかるカテーテル300を用いて患部近傍の組織に対して留置して固定する固定方法の概要を模式的に説明する図である。
図63に示すように、躯体301の先端部301a側に誘引部304を設け、心臓S3と心膜S4との間に躯体301の先端部301aを押し込むことにより、心臓S3と心膜S4とによって挟み込まれるように固定する。これにより、生体組織が誘引部304に癒着することにより、カテーテル300を生体組織内に固定することができる。
また、図64に示すように、躯体301の先端部301aから所定の位置に誘引部304を設けてもよい。
以上説明した本実施の形態3の変形例1によれば、周囲に密接して臓器が存在する場合であっても適用することができ、さらに癒着に対する注意が必要な組織にも適用することができる。
(実施の形態4)
つぎに、本実施の形態4について説明する。本実施の形態4は、保護シースでカテーテルを生体組織の癒着から保護する。
図65は、本実施の形態4にかかるカテーテルキットの全体図である。図65に示すように、カテーテルキット400は、カテーテル1と、保護シース500と、を有する。カテーテル1および保護シース500の基端側(図示せず)は、腹壁S6または管腔臓器壁等に対し、たとえば縫合、接着または癒着等によって固定されている。なお、カテーテル1および保護シース500の基端側だけでなく、先端側(遠位端側)も固定してもよい。
保護シース500は、筒状をなし、先端部にカテーテル1が挿入可能な挿入孔501が設けられている。挿入孔501には、内部の密閉性を保つためのシール材502が埋め込まれている。シール材502には、躯体3を挿通可能な孔502aが形成されている。保護シース500は、腹壁S6と接触する部分に設けられ、生体組織に対して異物反応を促進して生体組織からの癒着を誘引する誘引部503と、誘引部503より生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部504とを有する。
誘引部503は、ナイロン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン(合金)、金、白金および貴金属合金等、または誘引処理を施したシリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等、またはこれらの材料によって被覆された樹脂系材料を用いて形成される。
難癒着部504は、誘引部503と滑らかに連なって形成されている。難癒着部504は、シリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等、またはこれらの材料によって被覆された樹脂系材料を用いて形成される。
以上説明した本実施の形態4によれば、生体組織S2の動きによって保護シース500と患部S1との相対位置が変わったとしても、内部で弛んだ躯体3が伸びるので、躯体3が切断されることがない。さらに、保護シース500が生体組織S2(臓器)に引っ張られることがないので、患部S1等に負荷をかけることがない。
(実施の形態4の変形例1)
本実施の形態4では、保護シースの形状を変更してもよい。図66は、本実施の形態4の変形例1にかかるカテーテルキットの全体図である。図66に示すように、カテーテルキット410は、カテーテル1と、保護シース510と、を有する。
保護シース510は、生体内に挿入され、カテーテル1を内部で収容する第1挿入部511と、第1挿入部511よりも径が小さく形成され、カテーテル1を腹壁S6等で収容する第2挿入部512と、を有する。第1挿入部511および第2挿入部512は、一体的に形成されている。保護シース510は、コイル状の躯体3を内部で保持する。
以上説明した本実施の形態4の変形例1によれば、生体組織S2の動きによって保護シース510と患部S1との相対位置が変わったとしても、コイル状の躯体3が伸びるので、躯体3が切断されることがない。さらに、保護シース500が生体組織S2(臓器)に引っ張られることがないので、患部S1等に負荷をかけることがない。
また、本実施の形態4の変形例1によれば、躯体3がコイル状をなすので、躯体3がよじれることがなく、キンク等を防止することができる。
さらにまた、本実施の形態4の変形例1によれば、腹壁S6外における保護シース510の第2挿入部512の径が第1挿入部511の径よりも小さいので、被検者の心理的な負担を軽減することができる。
(実施の形態4の変形例2)
図67は、本実施の形態4の変形例2にかかるカテーテルキット420の全体図である。図67に示すように、カテーテルキット420は、カテーテル1と、保護シース520と、を有する。
保護シース520は、筒状をなす。保護シース520は、少なくとも生体組織内に挿入される区間が弾性体によって形成された第1挿入部521と、第2挿入部512と、を有する。また、保護シース520の先端側には、固定具4が接続されている。
以上説明した本実施の形態4の変形例2によれば、生体組織S2の動きによってカテーテル1が引っ張られたとしても、保護シース520が伸びるので、保護シース520でカテーテル1を常に保護することができる。この結果、カテーテル1を露出させることなく、少なくとも体内に引き込まれる可能性のある部分が外部に触れないように隔離されているので、感染等をより防止することができる。さらに、保護シース520の径を細くすることができる。
(その他の実施の形態)
本発明では、薬剤等の流体(たとえば冷却ガス、薬や熱湯)を吐出する側孔3bが躯体3に一つだけ形成されているカテーテルを例に説明したが、側孔3bを複数設けてもよい。図68は、本発明の別な実施の形態(第1例)にかかるカテーテルを躯体の長手方向に切断した断面図である。図68に示す場合、躯体3に複数の側孔3bが形成されている。これにより、患部S1に合わせて側孔3bの位置や数を適宜変更することができる。
また、本発明では、流体を患部S1に供給していたが、患部S1に対して光を照射してもよい。図69は、本発明の別な実施の形態(第2例)にかかるカテーテルの構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。図69に示すように、カテーテル600は、躯体3内で保護部材601によって被覆され、外部の光源(図示せず)から照射された光を伝送する光ファイバー602と、光ファイバー602から照射された光を側孔3bに反射するミラー603と、を有する。これにより、患部S1に光、たとえばUV等を照射して処置を行うことができる。なお、ミラー603は、プリズムや可変ミラー等によって構成するようにしてもよい。
図70は、本発明の別な実施の形態(第3例)にかかるカテーテルの構成を躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。図70に示すように、カテーテル610は、側孔3bに対向して配置されたLED等の光源611と、光源611に電力を供給する導線612と、シール部材613と、を有する。さらに、側孔3bと光源611との間には、シール部材613によって内部ルーメン3aの機密性が保たれている。これにより、患部S1に光を照射して処置を行うことができる。
また、本発明では、熱(加熱や冷却)によって患部S1を処置することも可能である。図71は、本発明の別な実施の形態(第4例)にかかるカテーテルの構成を示す断面図である。図71に示すように、カテーテル620は、側孔3bに処置具を誘動する傾斜部621(スロープ)を有する。この場合、施術者は、絶縁部材702によって被覆され、電気を伝導する電線701と、電線701の先端に設けられ、絶縁部材702から露出した発熱部703とを有する処置具により、患部S1の処置を行う。たとえば、発熱部703によって患部S1の温度を42度前後(最高50度)として処置を行うことができる。なお、カテーテル620を用いて冷却を行う場合、患部S1の温度を4度以下(最低−80度程度)とすればよい。
なお、カテーテル620において、図71の処置具に変えて、図72に示すように、断熱部材711によって被覆され、熱を発する熱源部712の熱を伝熱する熱伝導部713を備えた熱伝導装置710を用いて患部S1の処置を行うことも可能である。この場合、施術者は、図71に示すように、カテーテル620の傾斜部621を介して側孔3bに断熱部材711から露出した熱伝導部713の先端部713aを患部S1に接触させることにより、熱による患部S1の処置を行う。
また、カテーテル620に変えて、図73に示すように、側孔3bに設けられた熱を発する発熱部721と、発熱部721に電力を供給する電線723と、を有するカテーテル630を用いることも可能である。これにより、熱による患部S1の処置を行うことができる。さらに、躯体3の近傍に限定することができるので、安全面でより向上させることができる。
また、本発明では、振動(超音波)によって患部S1を処置することも可能である。図74は、本発明の別な実施の形態(第5例)にかかるカテーテルを躯体の長手方向に沿って切断した断面図である。図74に示すように、カテーテル640は、円筒型の超音波振動子801と、超音波振動子801の周囲を保護するシール部材802と、外部に設けられた電源から超音波振動子801に電力を供給する電導部803と、を有する。シール部材802は、超音波振動子801の振動を高効率に伝達する部材であることが望ましい。具体的には、シール部材802は、音響インピーダンスが生体組織に近いものが好ましい。また、シール部材802は、絶縁および防水等を兼ねる。このように構成されたカテーテル640は、超音波振動子801の厚さ振動、長さ振動、屈曲モードおよび表面波等によって用いられる。具体的には、超音波振動子801が音波強度を大きくした場合、患部S1を熱によって処置を行う。さらに、カテーテル640は、周波数を低くした場合、キャビテーションによる処置を行う。
また、本発明では、薬剤に換えてアルゴンガス等のガス等を側孔3bに送出してもよい。この場合、側孔3bの開口部周辺を熱伝導性が高い金属等で形成するようにしてもよい。
また、本発明では、固定具に識別可能な識別情報、たとえばバーコード等を設けてもよい。さらに、識別情報に治療履歴情報等を含めてもよい。
また、本発明では、誘引部を除く部分、たとえば躯体の遠位端全体に親水化処理等の癒着抑制処理を施してもよい。これにより、患部から引き抜くのが容易となる。
また、本発明では、側孔の近傍に画像診断器で位置を確認するためのマーカを施してもよい。これにより、画像診断器により側孔の位置を容易に確認することができる。
1,10,26,30,200,300,600,610,620,630,640 カテーテル
2 穿刺針
3,202,301, 躯体
3a,202a 内部ルーメン
3b 側孔
3c,33a,201a,202c,301a 先端部
4,11,15,17,20,27,50,60,70,80,90,100,110,120,130,132,140,150,160,170,180,190 固定具
5 供給ユニット
6 ポンプ
12,16,18,40a,53 貫通部
12a 挿入口
12b 挿入出口
13 先端固定具
13a 本体部
14 糸
14a 針
19,52 スリット
21 第1半球部
22 第2半球部
23 溝部
24 凸部
25,61,133,151a,171a 凹部
31 カバー
40 基端側固定具
41,141,151,161,171,181,193,203,304,503 誘引部
42,142,152,162,172,204,303,504 難癒着部
51 固定孔
71,91,101,111,121 収容部
72,102,122 孔
81,141a 突起部
191 把持部
201 フック部
205 保護シート
302,305 結合部
400,410,420 カテーテルキット
S1 患部
S2,SZ 生体組織
S3 心膜
S4 心臓
S5 心膜腔
S6 腹壁

Claims (28)

  1. 細長い管状をなす躯体を備え、生体組織内に導入して留置させることにより該生体組織内の処置対象領域に対して所定の処置を行うカテーテルであって、
    前記躯体の端部または側面に設けられ、前記処置対象領域と面した状態で前記所定の処置を行う処置部と、
    前記生体組織における異物反応を促進して前記生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部と、
    前記誘引部より前記生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部と、
    を備えたことを特徴とするカテーテル。
  2. 前記誘引部および前記難癒着部は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
  3. 前記躯体と接続し、該躯体を前記生体組織の表面に係留する固定具をさらに備え、
    前記誘引部は、前記固定具が前記躯体に面する前記固定具の一端に設けられ、
    前記難癒着部は、前記固定具の他端に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。
  4. 前記固定具は、
    直線状をなして延び、前記躯体を挿入可能な挿入部と、
    前記挿入部と連通し、前記挿入部が延びる方向と直交する方向に形成された孔と、
    前記孔に挿入された前記躯体を前記挿入部に固定する係止用部材と、
    をさらに有することを特徴とする請求項3に記載のカテーテル。
  5. 前記固定具は、
    前記躯体を挿入可能であり、屈曲する鉤型をなして当該固定具を貫通する貫通部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のカテーテル。
  6. 前記固定具は、
    前記躯体を挿入可能であり、鋭角に屈曲する形状をなして当該固定具を貫通する貫通部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のカテーテル。
  7. 前記固定具は、
    前記躯体を挿入可能であり、屈曲する鉤型をなして当該固定具を貫通する貫通部と、
    前記貫通部と連通し、前記躯体を挿入可能なスリットと、
    をさらに有することを特徴とする請求項3に記載のカテーテル。
  8. 前記固定具は、
    略半球状をなし、円形表面に第1溝部が形成された第1半球部と、
    前記第1半球部と同径の略半球状をなし、円形表面に前記第1溝部と鏡像対称な形状をなす第2溝部が形成された第2半球部と、
    をさらに有し、
    前記第1および第2半球部の円形表面同士を当接させた状態で、前記第1および第2溝部が合わさって前記躯体を挿通可能な貫通部を形成することを特徴とする請求項3に記載のカテーテル。
  9. 前記誘引部は、表面から内部に向けてくぼんだ複数の凹部をさらに有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  10. 前記誘引部は、
    表面から内部に向けて延びる複数の孔と、
    前記複数の孔とそれぞれ連通し、前記生体組織を収容する複数の収容部と、
    をさらに有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  11. 前記誘引部は、表面から突起する複数の突起部をさらに有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  12. 前記誘引部は、前記生体組織を収容可能であり、表面から内部に向けて径が大きくなる収容部をさらに有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  13. 前記誘引部は、
    表面から内部に向けて延びる複数の孔と、
    前記生体組織を収容可能であり、前記複数の孔それぞれと連通し、表面から内部に向けて径が大きくなる収容部と、
    をさらに有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  14. 前記固定具は、略球状をなすことを特徴とする請求項3〜13のいずれか一つに記載のカテーテル。
  15. 前記誘引部は、略球状をなし、
    前記難癒着部は、前記誘引部の一部を包み込むドーム状をなすことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  16. 前記誘引部は、略矩形状をなし、
    前記難癒着部は、前記誘引部の一部を包み込むドーム状をなすことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  17. 前記誘引部は、前記躯体と面する基端から先端に向けて径が広く形成された略円錐台状をなし、
    前記難癒着部は、前記誘引部の2つの底面のうち径が大きい方の底面と同じ径を有して該底面に連なる略半球状をなすことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  18. 前記誘引部は、表面から突起した複数の突起部をさらに有することを特徴とする請求項17に記載のカテーテル。
  19. 前記誘引部は、表面から内部にくぼんだ複数の凹部をさらに有することを特徴とする請求項17に記載のカテーテル。
  20. 前記固定部は、
    表面から内部に向けて凹状に切り欠かれた切り欠き部が形成された本体部と、
    前記切り欠き部に配設され、前記生体組織を把持する把持部と、
    をさらに有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載のカテーテル。
  21. 前記誘引部は、前記躯体の先端部に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。
  22. 前記誘引部は、前記躯体の基端部に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。
  23. 先端が先鋭化したフック形状をなす穿刺針をさらに備え、
    前記誘引部は、前記穿刺針が延びて折れ曲がる方向に沿うとともに該穿刺針の先端を通過する曲面によって二分したときに折れ曲がりの内周側を含む部分に形成されていることを特徴とする請求項21または22に記載のカテーテル。
  24. 前記躯体の基端部に設けられ、円をなし、前記躯体の先端部を挿入可能な連結部をさらに備えたことを特徴とする請求項21〜23のいずれか一つに記載のカテーテル。
  25. 前記誘引部は、ナイロン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン、金、白金および貴金属合金、誘引処理を施したシリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、またはこれらによって被覆された樹脂系材料のいずれかを用いて形成され、
    前記難癒着部は、シリコン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルのいずれかを用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜24のいずれか一つに記載のカテーテル。
  26. 前記処置部は、当該カテーテルの外部から注入される液体または気体の流路をなす内部ルーメンに連通して該内部ルーメンを流れる前記液体または前記気体を外部へ吐出する側孔、外部に光を照射する照射部、外部に熱エネルギーを照射する発熱部、外部に超音波を送信する超音波振動部のいずれか一つであることを特徴とする請求項1〜25のいずれか一つに記載のカテーテル。
  27. 生体組織内に導入して留置させることにより該生体組織内の処置対象領域に対して所定の処置を行うカテーテルに接続し、該カテーテルを前記生体組織の表面に係留して固定する固定具であって、
    前記カテーテルに面する当該固定具の一端に設けられ、前記生体組織における異物反応を促進して前記生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部と、
    当該固定具の他端に設けられ、前記誘引部より前記生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部と、
    を備えたことを特徴とする固定具。
  28. 生体組織内に導入して留置させることにより該生体組織内の処置対象領域に対して所定の処置を行う処置部を有するカテーテルと、前記カテーテルに接続し、該カテーテルを前記生体組織の表面に係留して固定する固定具と、を備えたカテーテルキットであって、
    前記固定具は、
    前記カテーテルに面する当該固定具の一端に設けられ、前記生体組織における異物反応を促進して前記生体組織からの癒着を誘引する材料からなる誘引部と、
    当該固定具の他端に設けられ、前記誘引部より前記生体組織が癒着し難い材料からなる難癒着部と、
    を有することを特徴とするカテーテルキット。
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