JP2013172676A - ノンアルコール飲料の品質を保証するキット及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルコールデヒドロゲナーゼ、電子受容体、還元系色素及びpH7.8〜9.5の緩衝液を含み、さらに酸化剤を含むノンアルコール飲料の品質保証キット。該キットと試料とを反応させて得られる反応液を目視することで、試料中のアルコールを測定することが可能である。
【選択図】なし
Description
本実施形態にかかるキットは、アルコールデヒドロゲナーゼ、電子受容体、還元系色素及び
pH7.8〜9.5の緩衝液を含み、さらに酸化剤を含む。
本実施形態にかかる方法は、試料とアルコールデヒドロゲナーゼ、電子受容体及び緩衝液とを混合してpH7.0〜9.0の反応液1を得る工程、反応液1と酸化剤とを混合して反応液2を得る工程、反応液2と還元系色素とを混合して反応液3を得る工程及び反応液3の色を目視することで試料中のアルコールを測定する工程を含む。
ADH:アルコールデヒドロゲナーゼ
NAD+:酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
NADH:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
NTB:ニトロテトラゾリウムブルー
PMS:フェナジンメトサルフェート
トリス:トリスヒドロキシメチルアミノメタン
試料とADHとの反応時のpHを変化させたときに、アルコールの検出感度にどのような影響を及ぼすかについて調べた。緩衝液100μl、試料100μl、0.4% NAD+水溶液20μl及び10U/ml ADH溶液(pH7.5のリン酸緩衝液)20μlを混合し反応液1を得た。反応液1を室温で0〜25分間放置して反応させた。その後、反応液1に0.01% PMS及び0.1% NTBの水溶液20μlを添加し反応液2を得た。反応液2を室温で2分間放置して反応させた。その後、反応液2に1N 塩酸20μlを添加して反応を停止した。反応液1のpHを測定した。また、反応停止後の反応液2の570nmの吸光度を測定した。また、反応液2の色を目視し、試料中のアルコールの有無による発色の相違を区別できるかどうかを調べた。
緩衝液として0.1mol/l グリシン水酸化ナトリウム緩衝液又は0.1mol/l ピロリン酸ナトリウム塩酸緩衝液を用いて、試験例1と同様の試験を行った。試料は、試験例1と同様に超純水及び市販のノンアルコールビールテイスト飲料並びにそれらに50ppmのエタノールを添加したものを用いた。緩衝液のpHは、反応液1のpHが8.6となるものを使用した。すなわち、試料が超純水の場合は、pH8.6のグリシン水酸化ナトリウム緩衝液又はpH8.6のピロリン酸ナトリウム塩酸緩衝液を用い、試料がノンアルコールビールテイスト飲料の場合は、pH9.5のグリシン水酸化ナトリウム緩衝液又はpH9.4のピロリン酸ナトリウム塩酸緩衝液を用いた。(各緩衝液は、全て1%Triton−X100含有。)
緩衝液のpHを変化させたときに、反応液1中のNADH量にどのような影響を及ぼすかを調べた。トリス塩酸緩衝液(7.4、8.4、8.9、9.6及び12.7;1% Triton−X100含有)100μl、試料100μl、0.4% NAD+水溶液20μl及び10U/ml ADH溶液(pH7.5のリン酸緩衝液)20μlを混合し反応液1を得た。反応液1を室温で0〜25分間放置して反応させた。反応液1の340nmの吸光度を測定した。試料は、超純水及び50ppmのエタノールを添加した超純水を用いた。エタノールを添加した試料の吸光度からエタノールを添加していない試料の吸光度を引いた数値(ΔAbs)を、NADH量として評価した。
0.1mol/l トリス塩酸緩衝液(pH8.9;1% Triton−X100含有)100μl、試料100μl、0.4% NAD+水溶液20μl及び10U/ml ADH溶液(pH7.5のリン酸緩衝液)20μlを混合し反応液1を得た。反応液1を室温で5分間放置して反応させた。その後、反応液1に0.01% PMS及び0.1% NTBの水溶液20μlを添加し反応液2を得た。反応液2を室温で2分間放置して反応させた。その後、反応液2に1N 塩酸20μlを添加して反応を停止した。試料として、ノンアルコールビールテイスト飲料及び30ppmのエタノールを添加したものを用いた。試料を各6つ用意して、併行精度を確認した。表6に示した結果から明らかなように、良好な併行精度を示した。
0.1mol/l トリス塩酸緩衝液(pH8.9;1% Triton−X100含有)100μl、試料100μl、0.4% NAD+水溶液20μl及び10U/ml ADH溶液(pH7.5のリン酸緩衝液)20μlを混合し反応液1を得た。反応液1を室温で5分間放置して反応させた。その後、反応液1に0.01% PMS及び0.1% NTBの水溶液20μlを添加し反応液2を得た。反応液2を室温で2分間放置して反応させた。その後、反応液2に1N 塩酸20μlを添加して反応を停止した。試料として、ノンアルコールビールテイスト飲料及び30ppmのエタノールを添加したものを用いた。測定日を異なる5日として、日間再現性を確認した。表7に示した結果から明らかなように、良好な日間再現性を示した。
0.1mol/l トリス塩酸緩衝液(pH8.9;1% Triton−X100含有)100μl、試料100μl、0.4% NAD+水溶液20μl及び10U/ml ADH溶液(pH7.5のリン酸緩衝液)20μlを混合し反応液1を得た。反応液1を室温で5分間放置して反応させた。その後、反応液1に0.01% PMS及び0.1% NTBの水溶液20μlを添加し反応液2を得た。反応液2を室温で2分間放置して反応させた。その後、反応液2に1N 塩酸20μlを添加して反応を停止した。試料として、ノンアルコールビールテイスト飲料及び30ppmのエタノールを添加したものを用いた。ADH溶液を調製後、4℃の冷蔵庫に保存し、ADH溶液の保存期間により吸光度がどのように変化するか調べた。結果を表8に示した。ADH溶液の保存に伴い、吸光度が低下する傾向が認められた。しかし、31日保存したADH溶液を使用した場合でも、30ppmのエタノール添加の有無により十分なΔAbsが認められ、目視による区別も可能であった。
アスコルビン酸がアルコール測定に及ぼす影響について調べた。まずは、PMS及びNTBを含む溶液とアスコルビン酸との反応について調べた。0.1mol/l トリス塩酸緩衝液(pH8.9;1% Triton−X100含有)100μl、試料100μl並びに0.01% PMS及び0.1% NTBの水溶液20μlを添加し、室温で20秒間放置して反応させた。反応液に1N 塩酸20μlを添加して反応を停止し、570nmの吸光度を測定した。試料として、超純水及び10、50、100又は500ppmのアスコルビン酸を添加した超純水を用いた。結果を表9に示す。表9から明らかなように、アスコルビン酸の添加量が増加するにつれ、570nmの吸光度も増大した。また、反応液を目視観察したところ、アスコルビン酸濃度が10ppmでは薄紫色が認められ、アスコルビン酸濃度が濃くなるにつれて色が濃くなり、アスコルビン酸濃度が500ppmでは濃青色であった。
0.1mol/l トリス塩酸緩衝液(pH8.9;1% Triton−X100含有)100μl、試料100μl、0.4% NAD+水溶液20μl及び10U/ml ADH溶液(pH7.5のリン酸緩衝液)20μlを混合し反応液1を得た。反応液1を室温で5分間放置して反応させた。その後、反応液1に20%ヨウ化カリウム水溶液を10又は20μl添加し反応液2を得た。反応液2を室温で1.5分間放置して反応させた。反応液2に0.01% PMS及び0.1% NTBの水溶液20μlを添加し反応液3を得た。反応液3を室温で2分間放置して反応させた。その後、反応液3に1N 塩酸20μlを添加して反応を停止し、570nmの吸光度を測定した。試料として、超純水、500ppmのアスコルビン酸水溶液、及びそれらに50又は100ppmのエタノールを添加したものを用いた。結果を表11に示す。表11から明らかなように、KIの添加によりアスコルビン酸による影響を抑制することができ、エタノールの測定が可能となった。また、反応液3を目視観察したところ、KIを添加しなかった場合のアスコルビン酸水溶液ではすべて濃青色となり区別できなかったが、KIを10又は20μl添加した場合のアスコルビン酸水溶液では、エタノール添加量が0及び50ppmの試料の色の違いを区別することができた。
ヨウ化カリウムがNADH量に及ぼす影響について調べた。0.1mol/l トリス塩酸緩衝液(pH8.9;1% Triton−X100含有)100μl、試料100μl、0.4% NAD+水溶液20μl及び10U/ml ADH溶液(pH7.5のリン酸緩衝液)20μlを混合し反応液1を得た。反応液1を室温で15分間放置して反応させた。反応開始15分後に、反応液1に20%ヨウ化カリウム水溶液又は超純水を30μl添加し反応液2を得た。反応液2を室温で放置して反応させた。反応液1又は2の340nmの吸光度を測定して、NADH量を測定した。試料として、超純水及び30ppmのエタノールを添加した超純水を用いた。結果を表13及び図8に示す。図8は、試料として30ppmエタノール水溶液を用いた場合に、ヨウ化カリウムの添加の有無について比較したグラフである。表13及び図8から明らかなように、ヨウ化カリウムの添加以降のNADH量はほぼ一定となった。この結果から、ヨウ化カリウムの添加は、ADHの反応を阻害するがNADHの分解は行わないことが推測される。したがって、ヨウ化カリウムがADHの反応時に存在すると適切なアルコール測定が行えない可能性があり、ADHの反応によりNADHが十分生成した後にヨウ化カリウムを添加する必要があることが示唆された。
種々の酸化剤によるアスコルビン酸による影響の抑制効果を調べた。0.1mol/l トリス塩酸緩衝液(pH8.9;1% Triton−X100含有)100μl、試料100μl、0.4% NAD+水溶液20μl及び10U/ml ADH溶液(pH7.5のリン酸緩衝液)20μlを混合し反応液1を得た。反応液1を室温で5分間放置して反応させた。その後、反応液1に酸化剤を添加し反応液2を得た。反応液2を室温で1.5分間放置して反応させた。反応液2に0.01% PMS及び0.1% NTBの水溶液20μlを添加し反応液3を得た。反応液3を室温で2分間放置して反応させた。その後、反応液3に1N 塩酸20μlを添加して反応を停止し、570nmの吸光度を測定した。試料として、500pmのアスコルビン酸水溶液、及びそれに100ppmのエタノールを添加したものを用いた。酸化剤として、1000ppmの硝酸銅(II)の0.1mol/l硝酸溶液、1000ppmの硝酸鉄(III)の0.1mol/l硝酸溶液、30%過酸化水素水、20%ヨウ化カリウム水溶液及び0.12%ヨウ素液を用いた。結果を表14に示す。表14から明らかなように、酸化剤の添加によりアスコルビン酸による影響を抑制をすることができた。また、目視でも、エタノール100ppmの添加の有無による、反応液の色の相違を確認することができた。酸化剤の中でも、ヨウ化カリウム及びヨウ素液は吸光度差が大きく、また目視による色の相違の区別も容易であった。
Claims (18)
- ノンアルコール飲料の品質保証キットであって、
アルコールデヒドロゲナーゼ、
電子受容体、
還元系色素及び
pH7.8〜9.5の緩衝液を含み、
さらに酸化剤を含むキット。 - 酸化剤が、ヨウ化カリウム、ヨウ素液、Cu2+を含む溶液、Fe3+を含む溶液又は過酸化水素水である、請求項1記載のキット。
- 電子受容体が、
ニコチンアミド骨格を有する酸化型電子伝達体、及び
ニコチンアミド骨格を有する還元型電子伝達体と電子の授受ができる電子伝達体、
の組み合わせである、請求項1又は2記載のキット。 - ニコチンアミド骨格を有する酸化型電子伝達体が、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸である、請求項3記載のキット。
- ニコチンアミド骨格を有する還元型電子伝達体と電子の授受ができる電子伝達体が、フェナジンメトサルフェート、1−メトキシフェナジンメトサルフェート、メルドラブルー又はジアホラーゼである、請求項3又は4記載のキット。
- 還元系色素が、テトラゾリウム塩である、請求項1〜5のいずれか一項記載のキット。
- テトラゾリウム塩が、ニトロテトラゾリウムブルー、テトラゾリウムブルー、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド、2,3−ビス−(2−メトシキ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム−5−カルボキシアニリド、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロリド、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウムモノソジウム、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウムモノソジウム又は2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウムである、請求項6記載のキット。
- 緩衝液が、pH8.4〜9.5の緩衝液である、請求項1〜7のいずれか一項記載のキット。
- ノンアルコール飲料の品質を保証する方法であって、
試料とアルコールデヒドロゲナーゼ、電子受容体及び緩衝液とを混合してpH7.0〜9.0の反応液1を得る工程、
反応液1と酸化剤とを混合して反応液2を得る工程、
反応液2と還元系色素とを混合して反応液3を得る工程及び
反応液3の色を目視することで試料中のアルコールを測定する工程
を含む方法。 - ノンアルコール飲料の品質を保証する方法であって、
試料とアルコールデヒドロゲナーゼ、ニコチンアミド骨格を有する酸化型電子伝達体及び緩衝液とを混合してpH7.0〜9.0の反応液1を得る工程、
反応液1と酸化剤とを混合して反応液2を得る工程、
反応液2とニコチンアミド骨格を有する還元型電子伝達体と電子の授受ができる電子伝達体及び還元系色素とを混合して反応液3を得る工程及び
反応液3の色を目視することで試料中のアルコールを測定する工程
を含む方法。 - ニコチンアミド骨格を有する酸化型電子伝達体が、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸である、請求項10記載の方法。
- ニコチンアミド骨格を有する還元型電子伝達体と電子の授受ができる電子伝達体が、フェナジンメトサルフェート、1−メトキシフェナジンメトサルフェート、メルドラブルー又はジアホラーゼである、請求項10又は11記載の方法。
- 酸化剤が、ヨウ化カリウム、ヨウ素液、Cu2+を含む溶液、Fe3+を含む溶液又は過酸化水素水である、請求項9〜12のいずれか一項記載の方法。
- 還元系色素が、テトラゾリウム塩である、請求項9〜13のいずれか一項記載の方法。
- テトラゾリウム塩が、ニトロテトラゾリウムブルー、テトラゾリウムブルー、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド、2,3−ビス−(2−メトシキ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム−5−カルボキシアニリド、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロリド、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウムモノソジウム、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウムモノソジウム又は2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウムである、請求項14記載の方法。
- 反応液1がpH7.2〜8.7になるように調整する、請求項9〜15のいずれか一項記載の方法。
- 緩衝液が、pH7.8〜9.5の緩衝液である、請求項9〜16のいずれか一項記載の方法。
- 緩衝液が、pH8.4〜9.5の緩衝液である、請求項9〜16のいずれか一項記載の方法。
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