JP2013172573A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電流リプルを低減できるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置100は、3相モータ102の電機子鎖交磁束の絶対値及びモータトルクがそれぞれ磁束指令及びトルク指令に追従するように、インバータを用いたPWM制御によって3相モータ102に電圧ベクトルを印加する。モータ制御装置100は、電圧ベクトルの方向を定める出力電圧ベクトルを選択するスイッチングテーブル111と、トルク偏差の絶対値が小さいほど小さく、トルク偏差の絶対値が大きいほど大きいデューティ変数であって、電圧ベクトルの絶対値に対応するデューティ変数を特定するデューティ演算部112と、出力電圧ベクトル及びデューティ変数から、インバータが電圧ベクトルを生成するときに使用されるデューティベクトルを生成するデューティ生成部113と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
従来から、ブラシレスDCモータ、誘導モータ等の3相モータの駆動方法として、直接トルク制御(DTC)が知られている。一般的な直接トルク制御では、まず、インバータに接続された3相モータの相電流及び相電圧を特定する。次に、相電流及び相電圧から3相モータのトルク及び2相交流座標(例えばα−β座標)上の電機子鎖交磁束を求める。次に、求められたトルク及び電機子鎖交磁束、トルク指令及び磁束指令(これらは、例えば、速度制御部で求められる)、並びにメモリ等に予め格納されているスイッチングテーブルに基づいて、インバータから3相モータに印加される電圧ベクトルを決定する。次に、決定された電圧ベクトルが3相モータに印加されるように、インバータのスイッチングを制御する。
直接トルク制御の駆動アルゴリズムは非常にシンプルである。そのため、コントローラ内部における演算量は非常に少ない。また、エンコーダ、レゾルバ等の位置センサを省略できる。
特許文献1には、直接トルク制御を採用したモータ制御装置の一例が記載されている。
特許第3485844号明細書
特許文献1のモータ制御装置によると、インバータが出力する電圧ベクトルは、8種類(実質的には7種類)の固定ベクトル(固定された方向及び長さを有するベクトル)から選択される。選択された電圧ベクトルは、電圧ベクトルのサンプリング周期(選択された電圧ベクトルが維持される周期)の全期間にわたって印加される。その結果、インバータと3相モータとの間に過大な電位差が生じることある。この場合は、3相モータの相電流に、スイッチングに伴う大きな電流リプルが重畳される。電流リプルは、3相モータの損失を増大させ、モータ効率の低下及びそれに伴う発熱の問題を招く。さらに、電流リプルは、トルクリプルを直接的に発生させる。トルクリプルは、3相モータを振動させたり、モータ効率を低下させたりする。
上記問題に鑑み、本発明は、制御アルゴリズムがシンプルであり演算量が少ないという先行技術の利点を損なうことなく、電圧ベクトルの長さが固定されていることに起因する電流リプルを低減できる、モータ制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、3相モータの電機子鎖交磁束の絶対値及びモータトルクがそれぞれ磁束指令及びトルク指令に追従するように、インバータを用いたPWM制御によって前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
前記3相モータにおける3相交流座標上の相電流から、2相交流座標上の軸電流を特定する3相2相座標変換部と、
前記2相交流座標上の前記軸電流及び軸電圧から、前記電機子鎖交磁束及び前記モータトルクを求める磁束トルク演算部と、
前記磁束指令と前記電機子鎖交磁束の絶対値との偏差である磁束偏差及び前記トルク指令と前記モータトルクとの偏差であるトルク偏差を区分することによって偏差区分情報を生成するテーブル選択部と、
前記電機子鎖交磁束の位相及び前記偏差区分情報に応じて、前記電圧ベクトルの方向を定める出力電圧ベクトルを選択するスイッチングテーブルと、
前記トルク偏差の絶対値が小さいほど小さく、前記トルク偏差の絶対値が大きいほど大きいデューティ変数Dnであって、前記電圧ベクトルの絶対値に対応するデューティ変数Dnを特定するデューティ演算部と、
前記出力電圧ベクトル及び前記デューティ変数Dnから、前記インバータが前記電圧ベクトルを生成するときに使用されるデューティベクトルを生成するデューティ生成部と、
を備えた、モータ制御装置を提供する。
本発明によれば、電圧ベクトルの長さが適切に調整される。従って、インバータと3相モータとの間に過大な電圧差が発生し難い。すなわち、本発明によれば、電流リプルを低減できる。
実施形態のモータ制御装置の構成図 駆動部の構成図 α−β座標上の電機子鎖交磁束の位相の各領域を説明するための図 スイッチングコンパレータAのヒステリシス特性を説明するための図 スイッチングコンパレータBのヒステリシス特性を説明するための図 スイッチングテーブルにより選択され得る出力電圧ベクトルを説明するための図 実施形態におけるデューティ演算部を説明するための図 実施形態におけるデューティ生成部の構成図 実施形態における修正電圧ベクトルを説明するための図 実施形態におけるデューティ生成部で使用する搬送波及び基準波ベクトルと、3相モータに印加される電圧との関係を示す関係図 従来の直接トルク制御を採用した場合の、シミュレーションによる3相モータの3相電流の波形を示すシミュレーション図 実施形態における制御系を採用した場合の、シミュレーションによる3相モータの3相電流の波形を示すシミュレーション図 変形例1のモータ制御装置の構成図 変形例1におけるデューティ演算部の構成図 変形例2のモータ制御装置の構成図 変形例2におけるデューティ生成部で使用する搬送波及び基準波ベクトルと、3相モータに印加される電圧との関係を示す関係図 変形例2の別例におけるデューティ生成部で使用する搬送波及び基準波ベクトルと、3相モータに印加される電圧との関係を示す関係図
本発明者は、選択された電圧ベクトルの方向は固定されていても、長さを可変にすれば、電流リプルを低減し得ることに着眼した。本発明は、このような着眼点からなされたものである。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態)
図1に示すように、モータ制御装置100は、駆動部104及び3相モータ102に接続される。モータ制御装置100は、第1電流センサ105a、第2電流センサ105b、3相2相座標変換部106、電圧演算部107、磁束/トルク演算部108、位相演算部109、トルク偏差演算部141、磁束偏差演算部142、テーブル選択部110、スイッチングテーブル111、デューティ演算部112及びデューティ生成部113を備えている。デューティ生成部113は、駆動部104に接続される。
モータ制御装置100の一部又は全部の要素は、DSP(Distal Signal Processor)又はマイクロコンピュータにおいて実行される制御アプリケーションによって提供され得る。DSP又はマイクロコンピュータは、コア、メモリ、A/D変換回路及び通信ポート等の周辺装置を含んでいてもよい。また、モータ制御装置100の一部又は全部の要素は、論理回路によって構成されていてもよい。
(モータ制御装置100による制御の概要)
図1を参照しながら、モータ制御装置100の動作の概要を説明する。まず、第1電流センサ105aによって相電流iuを検出するとともに、第2電流センサ105bによって相電流iwを検出する。次に、3相2相座標変換部106によって、相電流iu,iwを、固定されたα−β座標上のα軸電流iα及びβ軸電流iβに変換する(以下の説明では、α軸電流iα及びβ軸電流iβをまとめて軸電流と記載することがある。)。電圧演算部107によって、デューティ変数Dn及び1制御周期前のスイッチング情報Su,Sv,Swから、α−β座標上のα軸電圧vα及びβ軸電圧vβを求める(以下の説明では、α軸電圧vα及びβ軸電圧vβをまとめて軸電圧と記載することがある。)。次に、磁束/トルク演算部108によって、α軸電流iα及びβ軸電流iβ並びにα軸電圧vα及びβ軸電圧vβから、電機子鎖交磁束Ψsのα−β座標上の成分である電機子鎖交磁束Ψα,Ψβ及び電機子鎖交磁束Ψsの絶対値|Ψs_es|、並びにモータトルクTe_esを求める。次に、トルク偏差演算部141によって、モータトルクTe_esと上位コントローラから与えられるトルク指令T*との偏差であるトルク偏差ΔTを求める。磁束偏差演算部142によって、電機子鎖交磁束Ψsの絶対値|Ψs_es|と上位コントローラから与えられる磁束指令|Ψs*との偏差である磁束偏差ΔΨを求める。次に、テーブル選択部110によって、トルク偏差ΔT及び磁束偏差ΔΨに基づいて、スイッチングコンパレータ出力cT及びスイッチングコンパレータ出力cΨを生成する。位相演算部109によって、電機子鎖交磁束Ψα,Ψβ及び電機子鎖交磁束Ψsの絶対値|Ψs_es|から、電機子鎖交磁束Ψsの位相が属する領域θ(N)を特定する。次に、スイッチングテーブル111によって、スイッチングコンパレータ出力cT、スイッチングコンパレータ出力cΨ及び領域θ(N)から、スイッチング情報Su,Sv,Swを生成する。デューティ演算部112によって、トルク偏差ΔTから、デューティ変数Dnを特定する。次に、デューティ生成部113によって、スイッチング情報Su,Sv,Sw及びデューティ変数Dnから、出力デューティDu,Dv,Dwを生成する。出力デューティDu,Dv,Dwは駆動部104に入力され、駆動部104において3相モータ102を駆動するための電圧ベクトルvu,vv,vwが生成される。電圧ベクトルvu,vv,vwは、3相モータ102に印加される。このような制御により、3相モータ102は、電機子鎖交磁束Ψsの絶対値|Ψs_es|及びモータトルクTe_esがそれぞれ磁束指令|Ψs*及びトルク指令T*に追従するように制御される。
次に、モータ制御装置100、駆動部104及び3相モータ102の詳細を以下で説明する。
(駆動部104)
図2に示すように、駆動部104は、スイッチング素子119a,119b,119c,119d,119e,119f及び還流ダイオード120a,120b,120c,120d,120e,120fが対になった変換回路、ベースドライバ116、平滑コンデンサ117及び直流電源118を含む。直流電源118は、ダイオードブリッジ等によって整流された出力を表す。なお、本明細書では、変換回路及び平滑コンデンサ117を併せた構成をインバータと記載する。
駆動部104は、インバータを用いたPWM制御によって3相モータ102に電圧ベクトルを印加する。具体的には、3相モータ102への給電は、スイッチング素子119a〜119fを介して、直流電源118から行われる。より具体的には、まず、出力デューティDu,Dv,Dwがベースドライバ116に入力される。次に、出力デューティDu,Dv,Dwがスイッチング素子119a〜119fを電気的に駆動するためのドライブ信号に変換される。次に、ドライブ信号に従って各スイッチング素子119a〜119fが動作する。
本実施形態では、駆動部104は、スイッチング素子119a〜119fを用いた3相スイッチング回路である。スイッチング素子119a〜119fとしては、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が挙げられる。
(3相モータ102)
3相モータ102は、モータ制御装置100の制御対象である。3相モータ102には、駆動部104によって、電圧ベクトルが印加される。「3相モータ102に電圧ベクトルが印加される」とは、3相モータ102における3相交流座標上の3相(U相、V相、W相)の各々に電圧が印加されることを指す。本実施形態では、3相(U相、V相、W相)の各々が、相対的に高電圧を有する高電圧相と、相対的に低電圧を有する低電圧相との2種類から選択されるいずれかとなるように、3相モータ102が制御される。
3相モータ102は、例えば、永久磁石同期モータである。永久磁石同期モータとしては、IPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)及びSPMSM(Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)が挙げられる。IPMSMは、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとが相違する突極性(一般には、Lq>Ldの逆突極性)を有し、マグネットトルクに加えてリラクタンストルクも利用できる。このため、IPMSMの駆動効率は極めて高い。3相モータ102としては、誘導モータ、シンクロリラクタンスモータを用いることもできる。
(第1電流センサ105a、第2電流センサ105b)
第1電流センサ105a、第2電流センサ105bとしては公知の電流センサを用いることができる。本実施形態では、第1電流センサ105aは、u相を流れる相電流iuを測定するように設けられ、第2電流センサ105bは、w相を流れる相電流iwを測定するように設けられている。ただし、第1電流センサ105a及び第2電流センサ105bは、u相及びw相の2相以外の組み合わせの2相の電流を測定するように設けられていてもよい。
(3相2相座標変換部106)
3相2相座標変換部106は、3相モータ102における3相交流座標上の相電流iu,iwから、2相交流座標上の軸電流iα,iβを特定する。本実施形態では、3相2相座標変換部106は、(1)、(2)式により、相電流iu,iwを、α−β座標上のα軸電流iα及びβ軸電流iβに変換して、α軸電流iα及びβ軸電流iβを出力する。
Figure 2013172573
Figure 2013172573
(電圧演算部107)
電圧演算部107は、1制御周期前の出力電圧ベクトル(スイッチング情報Su,Sv,Sw)及びデューティ変数Dnから、2相交流座標上の軸電圧vα,vβを求める。本実施形態では、電圧演算部107は、表1に示すテーブルを有し、このテーブルに基づいてα−β座標上のα軸電圧vα及びβ軸電圧vβを求め、α軸電圧vα及びβ軸電圧vβを出力する。表1に示すように、本実施形態の電圧演算部107におけるα軸電圧vα及びβ軸電圧vβを求めるための数式は、1制御周期前の出力電圧ベクトルによって場合分けされている。表1における各数式は、デューティ変数Dnの乗算を含む。表1におけるVdcは、駆動部104における直流電源118の直流電圧である。なお、一般的な直接トルク制御では、表1の数式からDnの乗算を省略した数式が用いられることがある。表1の数式にDnの乗算が存在するのは、表1の数式により得られる値と、3相モータ102に実際に印加されている電圧の値とを一致させるためである。
Figure 2013172573
(磁束/トルク演算部108)
磁束/トルク演算部108は、2相交流座標上の軸電流iα,iβ及び軸電圧vα,vβから、電機子鎖交磁束Ψs及びモータトルクTe_esを求める。本実施形態では、磁束/トルク演算部108は、α−β座標上のα軸電流iα及びβ軸電流iβ並びにα軸電圧vα及びβ軸電圧vβから、式(3)、(4)、(5)及び(6)を用いて、電機子鎖交磁束Ψsのα軸成分Ψα、電機子鎖交磁束Ψsのβ軸成分Ψβ、電機子鎖交磁束Ψsの絶対値|Ψs_es|及びモータトルクTe_esを演算する。なお、式(3)におけるΨα|t=0は、電機子鎖交磁束Ψαの初期値である。式(4)におけるΨβ|t=0は、電機子鎖交磁束Ψβの初期値である。式(3)及び(4)におけるRは、3相モータ102の巻線抵抗である。式(6)におけるPnは、3相モータ102の極対数である。磁束/トルク演算部108は、DSP、マイクロコンピュータ等のディジタル制御装置に組み込まれていてもよい。この場合は、式(3)及び(4)における演算のために必要となる積分器は、離散系で構成され得る。具体的には、1制御周期前における電機子鎖交磁束Ψα,Ψβに、現在の制御周期に由来する値を加減算すればよい。
Figure 2013172573
Figure 2013172573
Figure 2013172573
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(位相演算部109)
位相演算部109は、電機子鎖交磁束Ψsの位相を特定する。本実施形態では、位相演算部109は、電機子鎖交磁束Ψsの位相が、図3に示す領域θ(I)からθ(VI)までのいずれの領域に属するのかを特定する。位相演算部109は、具体的には、α−β座標での電機子鎖交磁束Ψα,Ψβ並びに電機子鎖交磁束Ψsの絶対値|Ψs_es|により求められる|Ψs_es/2|及び−|Ψs_es/2|から、表2の判定条件に基づいて、電機子鎖交磁束Ψsの位相が属する領域θ(N)を特定する。
Figure 2013172573
(トルク偏差演算部141)
トルク偏差演算部141は、入力されたトルク指令Te *と、モータトルクTe_esとの偏差(Te *−Te_es)であるトルク偏差ΔTを求める。トルク偏差演算部141としては、公知の演算子を用いればよい。なお、本実施形態では、トルク指令T*は、上位コントローラにより出力される。
(磁束偏差演算部142)
磁束偏差演算部142は、入力された磁束指令|Ψs*と、電機子鎖交磁束の絶対値|Ψs_es|との偏差(|Ψs*−|Ψs_es|)である磁束偏差ΔΨを求める。磁束偏差演算部142としては、公知の演算子を用いればよい。なお、本実施形態では、磁束指令|Ψs*は、上位コントローラにより出力される。
(テーブル選択部110)
テーブル選択部110には、磁束偏差ΔΨ及びトルク偏差ΔTが入力される。テーブル選択部110は、磁束偏差ΔΨ及びトルク偏差ΔTを区分することによって偏差区分情報を生成する。本実施形態では、テーブル選択部110は、トルク偏差ΔTを区分してスイッチングコンパレータ出力cTを出力するスイッチングコンパレータAと、磁束偏差ΔΨを区分してスイッチングコンパレータ出力cΨを出力するスイッチングコンパレータBとを有する。本実施形態では、偏差区分情報は、スイッチングコンパレータ出力cT及びスイッチングコンパレータ出力cΨを含む。
スイッチングコンパレータAは、図4Aに示すようなヒステリシス特性を有し、入力されたトルク偏差ΔTに基づいて、−1、0、1の3値のいずれかのスイッチングコンパレータ出力cTを出力する。具体的には、トルク偏差ΔTが0のときは、スイッチングコンパレータ出力cTは0である。トルク偏差ΔTが0から増大するときであってトルク偏差ΔTがδT未満のときは、スイッチングコンパレータ出力cTは0である。トルク偏差ΔTがδT以上のときは、スイッチングコンパレータ出力cTは1である。トルク偏差ΔTがδTから減少するときであってトルク偏差ΔTが0よりも大きいときは、スイッチングコンパレータ出力cTは1である。トルク偏差ΔTが0から減少するときであってトルク偏差ΔTが−δTよりも大きいときは、スイッチングコンパレータ出力cTは0である。トルク偏差ΔTが−δT以下のときは、スイッチングコンパレータ出力cTは−1である。トルク偏差ΔTが−δTから増大するときであってトルク偏差ΔTが0よりも小さいときは、スイッチングコンパレータ出力cTは−1である。なお、δTは、予め設定可能なパラメータである。
δTは、インバータにおけるスイッチングの回数の過剰な増大を防止するためのパラメータである。適切なδTの値は、使用する3相モータ102によって異なる。また、δTを大きくするにつれて、スイッチングの回数は減少するが、3相モータにおける電流波形が歪み易くなる。従って、δTの値は、実験によって最適化されることが好ましい。
スイッチングコンパレータBは、図4Bに示すようなヒステリシス特性を有し、入力された磁束偏差ΔΨに基づいて、0、1の2値のいずれかのスイッチングコンパレータ出力cΨを出力する。具体的には、磁束偏差ΔΨがδΨ以上のときは、スイッチングコンパレータ出力cΨは1である。磁束偏差ΔΨがδΨから減少するときであって磁束偏差ΔΨが−δΨよりも大きいときは、スイッチングコンパレータ出力cΨは1である。磁束偏差ΔΨが−δΨ以下のときは、スイッチングコンパレータ出力cΨは0である。磁束偏差ΔΨが−δΨから増大するときであって磁束偏差ΔΨがδΨよりも小さいときは、スイッチングコンパレータ出力cΨは0である。なお、ΔΨは、予め設定可能なパラメータである。
本実施形態では、δΨは、コントローラにおいて設定される。ΔΨは、δTと同様に、インバータにおけるスイッチングの回数の過剰な増大を防止するためのパラメータである。ただし、δΨよりもδTのほうが、インバータにおけるスイッチング回数をより効果的に減少させる傾向がある。従って、δΨの値は、必要最低限の値に設定され得る。
(スイッチングテーブル111)
スイッチングテーブル111は、電機子鎖交磁束Ψsの位相及び偏差区分情報に応じて、3相モータ102に印加される電圧ベクトルの方向を定める出力電圧ベクトルを選択する。本実施形態では、スイッチングテーブル111は、スイッチングコンパレータ出力cT、スイッチングコンパレータ出力cΨ、及び電機子鎖交磁束Ψsの位相が属する領域θ(N)に基づいて、出力電圧ベクトルを選択する。具体的には、本実施形態のスイッチングテーブル111は、表3に示すテーブルに基づいて、出力電圧ベクトルを選択する。本実施形態の出力電圧ベクトルは、図5に示すv0,v1,v2,v3,v4,v5,v6,v7のいずれかから選択される。v0及びv7はゼロベクトルであるため、本実施形態の出力電圧ベクトルは7種類である。
Figure 2013172573
実際には、スイッチングテーブル111は、スイッチング情報Su,Sv,Swを選択し、出力する。スイッチング情報Suは電圧ベクトルのU相成分に対応する情報であり、スイッチング情報Svは電圧ベクトルのV相成分に対応する情報であり、スイッチング情報Swは電圧ベクトルのW相成分に対応する情報である。本実施形態では、スイッチング情報Su,Sv,Swの各値は0又は1である。スイッチング情報Suが1である場合は、3相モータ102のU相を高電圧相とする。スイッチング情報Suが0である場合は、3相モータ102のU相を低電圧相とする。スイッチング情報Svが1である場合は、3相モータ102のV相を高電圧相とする。スイッチング情報Svが0である場合は、3相モータ102のV相を低電圧相とする。スイッチング情報Swが1である場合は、3相モータ102のW相を高電圧相とする。スイッチング情報Swが0である場合は、3相モータ102のW相を低電圧相とする。すなわち、スイッチング情報Su,Sv,Swは、3相モータ102の3相交流座標上の3相のうち、いずれの相を高電圧相とし、いずれの相を低電圧相とするかを定める情報である。換言すると、スイッチング情報Su,Sv,Swは、電圧ベクトルの方向を定める情報である。すなわち、スイッチング情報Su,Sv,Swは、出力電圧ベクトルを表す情報である。出力電圧ベクトルとスイッチング情報との対応関係を表4に示す。
Figure 2013172573
(デューティ演算部112)
デューティ演算部112は、トルク偏差ΔTの絶対値が小さいほど小さく、トルク偏差ΔTの絶対値が大きいほど大きいデューティ変数Dnを特定する。デューティ変数Dnは、3相モータ102に印加される電圧ベクトルの絶対値に対応する。本実施形態では、デューティ変数Dnは、トルク偏差ΔTの絶対値が小さいほど0に近く、トルク偏差ΔTの絶対値が大きいほど1に近い。具体的には、本実施形態のデューティ変数Dnは、3相モータ102に印加される電圧ベクトルの絶対値に比例する。なお、デューティ演算部112は、一般的な直接トルク制御を行うためのモータ制御装置には存在しない要素である。
デューティ演算部112は、閾値によって複数の範囲に区切られた閾値範囲とトルク偏差ΔTの絶対値とを比較して、トルク偏差ΔTの絶対値が属する範囲に対応し、当該範囲毎に準備されたデューティ変数Dnを特定する。これにより、トルク偏差ΔTの絶対値が閾値よりも大きいときには、相対的に大きいデューティ変数Dnを出力し、トルク偏差ΔTの絶対値が閾値よりも小さいときには、相対的に小さいデューティ変数Dnを出力する。本実施形態では、トルク偏差ΔTの絶対値は2つの閾値によって3段階に区分され、出力可能なデューティ変数Dnは3種類である。ただし、出力可能なデューティ変数Dnは、2種類又は4種類以上であってもよい。
デューティ演算部112の詳細を、図6を参照しながら説明する。トルク偏差ΔTの絶対値が0以上閾値ΔT1未満の場合は、DnはD1となる。トルク偏差ΔTの絶対値が閾値ΔT1以上閾値ΔT2未満の場合は、DnはD2となる。トルク偏差ΔTの絶対値が閾値ΔT2以上の場合は、DnはD3となる。本実施形態では、閾値ΔT1は定格トルクTrの0.1倍の値であり、閾値ΔT2は定格トルクTrの0.4倍の値である。D1は0.5(50%)であり、D2は0.75(75%)であり、D3は1.0(100%)である。各Dn(D1,D2及びD3)は、例えば、予めメモリ等にデータとして与えればよい。
本実施形態では、D2が、(閾値ΔT1)/(定格トルクTr)よりも大きく、D3が、(閾値ΔT2)/(定格トルクTr)よりも大きい。これにより、所望のトルクを確保するために必要な大きさ以上の大きさを有する電圧ベクトルが3相モータ102に印加され、3相モータ102のトルクが不足することを防止できる。すなわち、3相モータ102のトルクが不足することを防止する観点からは、定格トルクTrと、閾値ΔTnと、トルク偏差ΔTが増大して当該閾値ΔTnに達したときの、増大後のデューティ変数Dn+1とが、Dn+1>ΔTn/Trの関係を満たすことが好ましい。
ところで、3相モータ102は、ファン、ブロア等に適用され得る。ファン、ブロア等の回転数は、一定ではないことがある。回転数が上がると、必要なトルクは増大する。これを考慮すると、閾値は、可変であってもよい。具体的には、3相モータ102の回転数が高くなるにつれて、閾値として大きな値が設定されてもよい。これにより、3相モータ102の回転数が高い場合であっても、3相モータ102が必要なトルクを確保できるように、電圧ベクトルの大きさを調整できる。
(デューティ生成部113)
デューティ生成部113は、出力電圧ベクトル(すなわち、スイッチング情報Su,Sv,Sw)及びデューティ変数Dnから、デューティベクトルを生成する。デューティベクトルは、電圧ベクトルを生成するときに駆動部104(インバータ)によって使用されるベクトルである。デューティ生成部113は、出力電圧ベクトル及びデューティ変数Dnから、駆動部104が電圧ベクトルを生成できるようなデューティベクトルを生成する。本実施形態では、デューティベクトルは、出力デューティDu,Dv,Dwである。
図7に示すように、デューティ生成部113は、情報操作部130a,130b,130c、乗算部131a,131b,131c、搬送波発生器(三角波発生器132)及びコンパレータ133a,133b,133cを有する。また、乗算部131a,131b,131cとコンパレータ133a,133b,133cとの間には、図示しないPWMタイマが設けられている。
情報操作部130a,130b,130cは、スイッチング情報Su,Sv,Swの各値を操作して、スイッチング情報S1u,S1v,S1wを出力する。本実施形態では、スイッチング情報Su,Sv,Swの各値が1の場合はスイッチング情報S1u,S1v,S1wの各値は1であり、スイッチング情報Su,Sv,Swの各値が0の場合はスイッチング情報S1u,S1v,S1wの各値は−1である。
乗算部131a,131b,131cは、スイッチング情報S1u,S1v,S1wの各値にDnを乗じてスイッチング情報S2u,S2v,S2wを出力する。スイッチング情報S2u,S2v,S2wの各値は、−Dn又はDnとなる。
スイッチング情報S2uがDnであることは、3相モータ102のU相を高電圧相とすることを表す。スイッチング情報S2uが−Dnであることは、3相モータ102のU相を低電圧相とすることを表す。スイッチング情報S2vがDnであることは、3相モータ102のV相を高電圧相とすることを表す。スイッチング情報S2vが−Dnであることは、3相モータ102のV相を低電圧相とすることを表す。スイッチング情報S2wがDnであることは、3相モータ102のW相を高電圧相とすることを表す。スイッチング情報S2wが−Dnであることは、3相モータ102のW相を低電圧相とすることを表す。すなわち、スイッチング情報S2u,S2v,S2wは、3相モータ102の3相交流座標上の3相のうち、いずれの相を高電圧相とし、いずれの相を低電圧相とするかを表す情報である。換言すると、スイッチング情報S2u,S2v,S2wは、3相モータ102に印加される電圧ベクトルの方向を表す情報である。また、後述のように、デューティ変数Dnは、高電圧相と低電圧相とにより規定される線間電圧のデューティ比に等しい。従って、スイッチング情報S2u,S2v,S2wは、3相モータ102に印加される電圧ベクトルの絶対値を定める情報でもある。すなわち、スイッチング情報S2u,S2v,S2wは、3相モータ102に印加される電圧ベクトルの方向及び絶対値を表す情報である。本実施形態では、スイッチングテーブル111は、ゼロベクトルである出力電圧ベクトル、又は、6種類の方向から選択される1つの方向を有する出力電圧ベクトルを選択する。デューティ生成部113は、出力電圧ベクトルの方向と同一の方向を有しかつデューティ変数Dnに対応する絶対値を有する電圧ベクトルが3相モータ102に印加されるように、デューティベクトルを生成する。
スイッチング情報S2u,S2v,S2wが表す電圧ベクトルの方向及び絶対値は、図8に示す修正電圧ベクトルにより模式的に表すことができる。図8における各矢印の先端が、各修正電圧ベクトルを表す。図8に示すように、修正電圧ベクトルの方向は、出力電圧ベクトルの方向と同じである。本実施形態では、デューティ演算部112において特定され得るデューティ変数DnがD1,D2及びD3の3段階であるため、修正電圧ベクトルの絶対値も3段階となり、電圧ベクトルの絶対値も3段階となる。
搬送波発生器は、振幅がCである搬送波を発生させる。本実施形態では、搬送波発生器は三角波発生器132であり、Cは1であり、搬送波は三角波である。
PWMタイマは、スイッチング情報S2u,S2v,S2wを記憶する。PWMタイマは、具体的にはレジスタである。また、PWMタイマは、基準波ベクトルを出力する。基準波ベクトルの各成分は直流波である。各直流波の値は、スイッチング情報S2u,S2v,S2wの各成分の値に等しい。すなわち、基準波ベクトルは、Dnの値を有する直流波と、−Dnの値を有する直流波とを含む。Dnの値を有する直流波は、高電圧相用の直流基準波Hである。−Dnの値を有する直流波は、低電圧相用の直流基準波Lである。以上から、PWMタイマは基準波ベクトルの各成分の値を記憶する要素であると言える。
コンパレータ133a,133b,133cは、基準波ベクトルと三角波とを比較して出力デューティDu,Dv,Dwを出力する。出力デューティDu,Dv,Dwは、駆動部104のベースドライバ116に入力される。
(本実施形態の効果)
上記のように、本実施形態では、スイッチングテーブル111は、出力電圧ベクトルを表す情報として、電圧ベクトルの方向が出力電圧ベクトルによって定められた方向に一致するように3相交流座標上の3相(U相、V相、W相)の各々を高電圧相又は低電圧相に区別するスイッチング情報Su,Sv,Swを選択する。デューティ生成部113は、スイッチング情報Su,Sv,Sw及びデューティ変数Dnから、高電圧相及び低電圧相により規定される線間電圧のデューティ比がデューティ変数Dnに一致するように、搬送波と比較されてデューティベクトルを生成する基準波ベクトルを生成する。具体的には、デューティ生成部113は、高電圧相用の直流基準波Hと、低電圧相用の直流基準波Lとを含む基準波ベクトルを生成する。直流基準波Lの値は、直流基準波Hの値よりも(搬送波の振幅の2倍)×(デューティ変数Dn)小さい。本実施形態の効果を、図9を参照しながら説明する。
図9は、三角波の振幅Cが1であり、スイッチング情報Su,Sv,Swが{1、0、0}であり(出力電圧ベクトルがv1であり)、デューティ変数Dnが0.75(D2)である場合に、3相モータ102に印加される電圧を示す。図9に示す例では、スイッチング情報Su,Sv,Swが{1、0、0}であるため、U相が高電圧相となり、V相及びW相が低電圧相となる。すなわち、U相とV相との間に線間電圧vuvが、U相とW相との間に線間電圧vuvがそれぞれ発生する。換言すると、U相からV相に向かって流れる線間電流及びU相からW相に向かって流れる線間電流が生じる。また、図9に示す例では、スイッチング情報S2u,S2v,S2wが{0.75、−0.75、−0.75}となる。従って、スイッチング情報S2uに対応する直流波、すなわちU相に対応する直流波は、0.75の値を有する直流波となる。スイッチング情報S2v,S2wに対応する直流波、すなわちV相及びW相に対応する直流波は、−0.75の値を有する直流波となる。この例では、0.75の値を有する直流波が直流基準波Hであり、−0.75の値を有する直流波が直流基準波Lである。直流基準波Lの値は、直流基準波Hの値よりも、1.5、すなわち(C×2)×Dn小さい。
図9は、詳細には、直流基準波Hの時間変化、直流基準波Lの時間変化、三角波の時間変化、仮想中線点に対するU相電圧vunの時間変化、仮想中線点に対するV相電圧vvnの時間変化、仮想中線点に対するW相電圧vwnの時間変化、U相とV相との間の線間電圧vuvの時間変化及びU相とW相との間の線間電圧vuwの時間変化を表している。図9に示すように、本実施形態では、線間電圧(線間電圧vuv及び線間電圧vuw)のデューティ比がデューティ変数Dnである0.75に等しい。これにより、デューティ変数Dnに比例した電圧が3相モータ102に印加される。すなわち、出力電圧ベクトルの絶対値が適切に制御されるため(出力電圧ベクトルが可変となるため)、インバータと3相モータ102との間に過大な電圧差が発生し難い。従って、電流リプルを低減できる。
また、閾値によって複数の範囲に区切られた閾値範囲とトルク偏差ΔTの絶対値とを比較して、トルク偏差ΔTの絶対値が属する範囲に対応したデューティ変数Dnを特定することには複雑な演算は要さない。これにより、演算量を抑えることができる。従って、モータ制御装置100は、計算機資源の観点から有利であり、演算周期が短い用途(例えば、回転数が高いモータ)に好適に適用できる。
また、本実施形態では、デューティ生成部113は、直流基準波Hの値(0.75)及び直流基準波Lの値(−0.75)の平均値(0)を搬送波(三角波)の直流成分の値(0)に一致させた状態で、搬送波と基準波ベクトルとを比較している。このため、U相電圧vunのON状態とV相電圧vvn及びW相電圧vwnのOFF状態とでは三角波に基づく位相が180度シフトしている。また、U相電圧vunのON時間の幅は、V相電圧vvn及びW相電圧vwnのOFF時間の幅に等しい。従って、線間電圧vuv及び線間電圧vuwの波形は、180度毎に並んだ均一幅のパルスを有する。すなわち、線間電圧vuv及び線間電圧vuwには、三角波に基づく1周期内にゼロ電圧となる期間が必ず存在する。これにより、電流リプルが効果的に低減する。特に、本実施形態では、線間電圧vuv及び線間電圧vuwには、三角波に基づく1/2周期内にゼロ電圧となる期間が必ず存在する。これにより、電流リプルがより効果的に低減する。
電流リプルの低減の程度を、図10A及び図10Bを参照しながら説明する。図10Aは、従来の直接トルク制御方式を用いた場合のシミュレーションによる電流波形である。図10Bは、本実施形態における制御方式を用いた場合のシミュレーションによる電流波形である。詳細には、図10Bに示す電流波形は、図9を参照しながら説明した条件でシミュレーションを実施することにより得た波形である。図10Aに示す電流波形は、デューティ変数Dnを1に固定し、情報操作部を省略したこと以外は、図9を参照しながら説明した条件と同一の条件でシミュレーションを実施することにより得た波形である。図10A及び図10Bから、本実施形態によれば、電流リプルが低減することが分かる。従って、モータ損失の低減及び、トルクリプルの低減も見込まれる。
なお、トルク偏差ΔTが小さく、出力電圧ベクトルがゼロベクトルである場合(線間電圧を発生させない場合)は、インバータによるPWM制御のためのスイッチングを停止するために、デューティ生成部113は、デューティベクトルの各成分(出力デューティDu,Dv,Dw)のデューティ比を0又は1とするように構成されていてもよい。トルク偏差ΔTの絶対値がδTよりも小さく、スイッチングコンパレータ出力cTがゼロになる場合(図4Aに示すヒステリシスループ参照)には、出力電圧ベクトルとしてv0又はv7が選択される(表3参照)。すなわち、ゼロベクトル(合成電圧ベクトルがゼロであるベクトル)が選択される。このような場合に、デューティ演算部112により生成されたデューティ変数Dnを無効にする、すなわち出力デューティDu,Dv,Dwのデューティ比を0又は1(0%又は100%)とすれば、全相のスイッチングを停止できる。これにより、インバータの合計のスイッチング回数を低減できる。従って、駆動部104(インバータ)における損失を低減できる。
(変形例1)
以下、本発明の変形例1のモータ制御装置について説明する。なお、変形例1では、実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略する。
図11に示す変形例1のモータ制御装置200は、実施形態のモータ制御装置100のデューティ演算部112とは異なるデューティ演算部212を有する。図12に示すように、変形例1におけるデューティ演算部212は、トルク偏差ΔTをゼロに収斂させるデューティ変数Dnを特定する比例積分補償器(PI補償器)を有する。この比例積分補償器は、比例ゲインKpを有する要素240、並びに積分ゲインKiを有する要素241及び積分器242を備えている。
デューティ演算部212では比例操作及び積分操作を行うため、デューティ演算部212における演算量はデューティ演算部112における演算量よりも多いものの、デューティ演算部212を用いた場合の電圧ベクトルの制御の精度はデューティ演算部112を用いた場合の電圧ベクトルの制御の精度よりも高い。また、デューティ演算部212における事前に設定すべきパラメータ(Kp及びKi)の数は、デューティ演算部112における事前に設定すべきパラメータ(ΔT1,ΔT2及びD1,D2,D3)の数に比べると少ない。そのため、モータ制御装置200に必要なチューニングは、モータ制御装置100に必要なチューニングよりも容易である。
なお、積分ゲインKiをゼロにして、比例制御を実施してもよい。この場合、デューティ演算部212は、トルク偏差ΔTの絶対値を比例ゲインKpに乗ずることによって、デューティ変数Dnを特定する。積分ゲインKiをゼロにすることにより、デューティ演算部212の構成をシンプルにできる。また、比例制御を実施する場合は、3相モータ102の回転数が高くなるにつれて、比例ゲインKpとして大きな値が設定されてもよい。これにより、3相モータ102の回転数が高い場合であっても、3相モータ102が必要なトルクを確保できるように、電圧ベクトルの大きさを調整できる。
(変形例2)
以下、本発明の変形例2のモータ制御装置について説明する。なお、変形例2では、実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略する。
図13に示す変形例2のモータ制御装置300は、実施形態のモータ制御装置100のデューティ生成部113とは異なるデューティ生成部313を有する。
変形例2におけるデューティ生成部313は、直流基準波Lの値を搬送波(三角波)の最小値に一致させた状態で、搬送波と基準波ベクトルとを比較する。具体的には、変形例2では、スイッチング情報S2u,S2v,S2wにおける最小値である−Dnが三角波の最小値である−Cに一致するように、スイッチング情報S2u,S2v,S2wの全成分にDn−Cを加算して、スイッチング情報S3u,S3v,S3wを生成する。すなわち、スイッチング情報S3u,S3v,S3wは2Dn−C又は−Cとなる。次に、PWMタイマによって、各成分がスイッチング情報S3u,S3v,S3wの値に等しい値を有する直流波である基準波ベクトルを生成する。
変形例2の効果を、図14を参照しながら説明する。図14は、三角波の振幅Cが1であり、スイッチング情報Su,Sv,Swが{1、0、0}であり、デューティ変数Dnが0.75(D2)である場合(すなわち、図9に示す例と同じ場合)に、3相モータ102に印加される電圧を示す。この例では、スイッチング情報S3u,S3v,S3wは{0.5、−1、−1}である。また、スイッチング情報S3uに対応する直流波、すなわちU相に対応する直流波は、0.5の値を有する直流波となる。スイッチング情報S3v,S3wに対応する直流波、すなわちV相及びW相に対応する直流波は、−1の値を有する直流波となる。この例では、0.5の値を有する直流波が直流基準波Hであり、−1の値を有する直流波が直流基準波Lである。本実施形態でも、直流基準波Lの値は、直流基準波Hの値よりも、(C×2)×Dn小さい。
図14に示すように、変形例2においても、線間電圧(線間電圧vuv及び線間電圧vuw)のデューティ比がデューティ変数Dnである0.75に等しい。すなわち、トルク偏差ΔTの絶対値に応じて生成されたデューティ変数Dnに比例した電圧が3相モータ102に印加される。従って、変形例2でも、実施形態と同様に、インバータと3相モータ102との間に過大な電圧差が発生し難い。
また、変形例2は、計算機資源の観点から有利である。
さらに、変形例2では、低電圧相の相電圧(V相電圧vvn及びW相電圧vwn)のデューティ比が0である。すなわち、インバータは、低電圧相用のスイッチングを省略できる。これにより、インバータの合計のスイッチング回数を低減できる。従って、インバータにおける損失(半導体スイッチにおける損失)を低減できる。
また、デューティ生成部313は、直流基準波Hの値を搬送波(三角波)の最大値に一致させた状態で、搬送波と基準波ベクトルとを比較するように、構成されていてもよい。具体的には、スイッチング情報S2u,S2v,S2wにおける最大値であるDnが搬送波の最大値であるCに一致するように、スイッチング情報S2u,S2v,S2wの全成分に−Dn+Cを加算すればよい。これにより、スイッチング情報S3u,S3v,S3wの各成分がC又はC−2Dnとなる。また、基準波ベクトルの各直流波の値がC又はC−2Dnとなる。図15に、三角波の振幅Cが1であり、スイッチング情報Su,Sv,Swが{1、0、0}であり、デューティ変数Dnが0.75(D2)である場合(すなわち、図9及び図14に示す例と同じ場合)に、3相モータ102に印加される電圧を示す。この別例によっても、変形例2と同様の効果を得ることができる。
本発明は、SPMSM、冷暖房装置及び給湯機等のヒートポンプ式冷凍装置用の同期モータ、並びにスピンドルモータ等の各種モータの制御に適用できる。本発明は、特に、高速駆動が求められるスピンドルモータ等に有用である。
100,200,300 モータ制御装置
102 3相モータ
104 駆動部
105a 第1電流センサ
105b 第2電流センサ
106 3相2相座標変換部
107 電圧演算部
108 磁束/トルク演算部
109 位相演算部
110 テーブル選択部
111 スイッチングテーブル
112、212 デューティ演算部
113、313 デューティ生成部
116 ベースドライバ
117 平滑コンデンサ
118 直流電源
119a〜119f スイッチング素子
120a〜120f 還流ダイオード
130a〜130c 情報操作部
131a〜131c 乗算部
132 三角波発生器
133a〜133c コンパレータ
141 トルク偏差演算部
142 磁束偏差演算部
240,241 要素
242 積分器

Claims (11)

  1. 3相モータの電機子鎖交磁束の絶対値及びモータトルクがそれぞれ磁束指令及びトルク指令に追従するように、インバータを用いたPWM制御によって前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
    前記3相モータにおける3相交流座標上の相電流から、2相交流座標上の軸電流を特定する3相2相座標変換部と、
    前記2相交流座標上の前記軸電流及び軸電圧から、前記電機子鎖交磁束及び前記モータトルクを求める磁束トルク演算部と、
    前記磁束指令と前記電機子鎖交磁束の絶対値との偏差である磁束偏差及び前記トルク指令と前記モータトルクとの偏差であるトルク偏差を区分することによって偏差区分情報を生成するテーブル選択部と、
    前記電機子鎖交磁束の位相及び前記偏差区分情報に応じて、前記電圧ベクトルの方向を定める出力電圧ベクトルを選択するスイッチングテーブルと、
    前記トルク偏差の絶対値が小さいほど小さく、前記トルク偏差の絶対値が大きいほど大きいデューティ変数Dnであって、前記電圧ベクトルの絶対値に対応するデューティ変数Dnを特定するデューティ演算部と、
    前記出力電圧ベクトル及び前記デューティ変数Dnから、前記インバータが前記電圧ベクトルを生成するときに使用されるデューティベクトルを生成するデューティ生成部と、
    を備えた、モータ制御装置。
  2. 前記デューティ演算部は、閾値によって複数の範囲に区切られた閾値範囲と前記トルク偏差の絶対値とを比較して、前記トルク偏差の絶対値が属する前記範囲に対応し、前記範囲毎に準備された前記デューティ変数Dnを特定する請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記デューティ演算部は、前記トルク偏差の絶対値を比例ゲインに乗ずることによって、前記デューティ変数Dnを特定する請求項1に記載のモータ制御装置。
  4. 前記デューティ演算部は、前記トルク偏差をゼロに収斂させる前記デューティ変数Dnを特定する比例積分補償器を有する請求項1に記載のモータ制御装置。
  5. 前記3相モータの回転数が高くなるにつれて、前記閾値として大きな値が設定される請求項2に記載のモータ制御装置。
  6. 前記3相モータの回転数が高くなるにつれて、前記比例ゲインとして大きな値が設定される請求項3に記載のモータ制御装置。
  7. 前記スイッチングテーブルは、前記出力電圧ベクトルを表す情報として、前記電圧ベクトルの方向が前記出力電圧ベクトルによって定められた方向に一致するように前記3相交流座標上の3相の各々を高電圧相又は低電圧相に区別するスイッチング情報を選択し、
    前記デューティ生成部は、前記スイッチング情報及び前記デューティ変数Dnから、前記高電圧相及び前記低電圧相により規定される線間電圧のデューティ比が前記デューティ変数Dnに一致するように、搬送波と比較されて前記デューティベクトルを生成する基準波ベクトルであって、前記高電圧相用の直流基準波Hと、前記低電圧相用の直流基準波Lとを含む基準波ベクトルを生成し、
    前記直流基準波Lの値は、前記直流基準波Hの値よりも(前記搬送波の振幅の2倍)×(前記デューティ変数Dn)小さい請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記デューティ生成部は、前記直流基準波Hの値及び前記直流基準波Lの値の平均値を前記搬送波の直流成分の値に一致させた状態で、前記搬送波と前記基準波ベクトルとを比較する請求項7に記載のモータ制御装置。
  9. 前記デューティ生成部は、(I)前記直流基準波Lの値を前記搬送波の最小値に一致させた状態で、又は、(II)前記直流基準波Hの値を前記搬送波の最大値に一致させた状態で、前記搬送波と前記基準波ベクトルとを比較する請求項7に記載のモータ制御装置。
  10. 前記出力電圧ベクトルがゼロベクトルである場合は、前記インバータによる前記PWM制御のためのスイッチングを停止するために、前記デューティ生成部は、前記デューティベクトルの各成分のデューティ比を0又は1とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記スイッチングテーブルは、ゼロベクトルである前記出力電圧ベクトル、又は、6種類の方向から選択される1つの方向を有する前記出力電圧ベクトルを選択し、
    前記デューティ生成部は、前記出力電圧ベクトルの方向と同一の方向を有しかつ前記デューティ変数Dnに対応する絶対値を有する前記電圧ベクトルが前記3相モータに印加されるように、前記デューティベクトルを生成する請求項1〜10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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