JP2013171945A - 半導体装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子及び正孔注入効率の向上を可能にする半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の上側に設けられた第1絶縁膜111と、第1絶縁膜111のエネルギー障壁よりも小さい第2絶縁膜113と微結晶膜112とからなり、第1絶縁膜111の上側に設けられた層間膜115と、層間膜115の上側に設けられた第3絶縁膜114と、第3絶縁膜114の上側に設けられた電荷蓄積膜12とを有する。半導体装置の製造方法は半導体基板の上側に第1絶縁膜111を設ける工程と、第1絶縁膜111の伝導帯及び価電子帯におけるエネルギー障壁よりも小さいエネルギー障壁を有する第2絶縁膜113と微結晶膜とを含む層間膜115を、第1絶縁膜111の上側に設ける工程とを有する。
【選択図】図2
【解決手段】半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の上側に設けられた第1絶縁膜111と、第1絶縁膜111のエネルギー障壁よりも小さい第2絶縁膜113と微結晶膜112とからなり、第1絶縁膜111の上側に設けられた層間膜115と、層間膜115の上側に設けられた第3絶縁膜114と、第3絶縁膜114の上側に設けられた電荷蓄積膜12とを有する。半導体装置の製造方法は半導体基板の上側に第1絶縁膜111を設ける工程と、第1絶縁膜111の伝導帯及び価電子帯におけるエネルギー障壁よりも小さいエネルギー障壁を有する第2絶縁膜113と微結晶膜とを含む層間膜115を、第1絶縁膜111の上側に設ける工程とを有する。
【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
例えば、NAND型フラッシュメモリのような電荷蓄積型不揮発性半導体記憶装置では、制御ゲートの電位を制御することにより、書込みまたは消去を行う。この種の記憶装置においては、書込みまたは消去をするには高電圧を要するが、高電圧を印加すると隣接セル間にも高電界が印加されてしまい、隣接セルに誤書込みしてしまう。そのため、トンネル絶縁膜の電荷注入効率を向上させ、書込み電圧及び消去電圧を低減させる必要がある。
本発明が解決しようとする課題は、電子及び正孔注入効率の向上を可能にする半導体装置を提供することである。
上記課題を解決するために、実施形態の半導体装置は半導体基板と、前記半導体基板の上側に設けられた第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の伝導帯及び価電子帯におけるエネルギー障壁よりも小さいエネルギー障壁を有する第2絶縁膜と微結晶膜とからなり、前記第1絶縁膜の上側に設けられた層間膜と、前記層間膜の上側に設けられた第3絶縁膜と、前記第3絶縁膜の上側に設けられた電荷蓄積膜と、前記電荷蓄積膜の上側に設けられたブロック絶縁膜と、前記ブロック絶縁膜の上側に設けられたゲート電極とを有する。
上記課題を解決するために、実施形態の半導体装置の製造方法は半導体基板の上側に第1絶縁膜を設ける工程と、前記第1絶縁膜の伝導帯及び価電子帯におけるエネルギー障壁よりも小さいエネルギー障壁を有する第2絶縁膜と微結晶膜とを含む層間膜を、前記第1絶縁膜の上側に設ける工程とを有する。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する符号を付す。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。なお、本実施形態は、本発明を限定するものではない。
[第1の実施形態]
(半導体装置1aの構造)
第1の実施形態に係る半導体装置1aの構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1の(a)は第1の実施形態に係る半導体装置1aのワード線方向からの断面構造を示す断面図、図1の(b)は第1の実施形態に係る半導体装置1aのビット線方向からの断面構造を示す断面図、及び図2は図1におけるトンネル絶縁膜11aの拡大図を示している。
(半導体装置1aの構造)
第1の実施形態に係る半導体装置1aの構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1の(a)は第1の実施形態に係る半導体装置1aのワード線方向からの断面構造を示す断面図、図1の(b)は第1の実施形態に係る半導体装置1aのビット線方向からの断面構造を示す断面図、及び図2は図1におけるトンネル絶縁膜11aの拡大図を示している。
図1の(a)に示すように、半導体基板10の表面側には、チャネル形成領域21を挟むようにソース領域20aとドレイン領域20bが形成されている。半導体基板10のチャネル形成領域21上には、トンネル絶縁膜11aが形成される。半導体基板10には例えばシリコン(Si)等が用いられる。
ここで、図2に示すように、トンネル絶縁膜11aは、第1シリコン酸化膜111(第1絶縁膜)、シリコン微結晶膜112(微結晶膜)とシリコン窒化膜113(第2絶縁膜)とを含む層間膜115、及び第2シリコン酸化膜114(第3絶縁膜)で構成されている。まず、半導体基板10のチャネル形成領域21上には厚さ1〜2nm程度の第1シリコン酸化膜111が設けられる。
第1シリコン酸化膜111上には、平均結晶子径1〜2nmの微結晶からなる、厚さ1〜2nm程度のシリコン微結晶膜112が形成される。すなわち、平均結晶子径はシリコン微結晶膜112の膜厚に略一致する。シリコン微結晶膜112におけるシリコン微結晶(以後、結晶子)は、クーロンブロッケイド条件(電子1個の充電エネルギーが熱揺らぎよりも大きいこと)を満たす微小結晶である。シリコン微結晶膜112上には、厚さ約1〜2nm程度のシリコン窒化膜113が形成される。シリコン微結晶膜112とシリコン窒化膜113は層間膜115となる。
さらにそのシリコン窒化膜113上には厚さ2〜7nm程度の第2シリコン酸化膜114が形成される。
トンネル絶縁膜11a上(第2シリコン酸化膜114上)には電荷蓄積膜12が設けられる。そして、その電荷蓄積膜12上にはブロック絶縁膜13が設けられ、そのブロック絶縁膜13上には制御ゲート電極14(ゲート電極)が設けられる。
また、図1の(b)に示すように、半導体基板10において素子が形成されている領域の周囲には、シリコン酸化膜等で形成されたSTI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁膜30が形成されている。ここで、STIとは半導体製造工程における素子分離法の一つである。具体的には、半導体基板10上に浅い溝を形成した後、シリコン酸化膜等の絶縁体で埋め戻して素子分離領域を形成する。一般に、STIは横方向への広がりが少なく、素子の微細化が容易となる利点を有する。
なお、本実施形態において、ブロック絶縁膜13は単層であるように図示したが、これに限定されず、例えば、シリコン酸化層と、シリコン窒化層と、シリコン酸化膜との積層構造を有するONO(Oxide−Nitride−Oxide)膜等でも実施は可能である。
(半導体装置1aの動作)
次に半導体装置1aの動作について説明する。
次に半導体装置1aの動作について説明する。
半導体装置1aは電気的な書込み及び消去が可能な不揮発性半導体メモリ(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory;EEPROM)等として使用される。電荷蓄積膜12中に電子が注入された場合が書込み動作であり、電荷蓄積膜12中の電子が消去された場合が消去動作となる。
書込み動作の場合、制御ゲート電極14に高い電圧を印加してブロック絶縁膜13を介して下に位置する電荷蓄積膜12中に、半導体基板10側からトンネル絶縁膜11aを通過させて電子を注入する。消去動作の場合、電荷蓄積膜12中に正孔を注入し、電荷蓄積膜12中の電子と再結合させて消去するという方法が取られている。
(半導体装置1aの製造方法)
次に、第1の実施形態の半導体装置1aの製造方法について説明する。図3は第1の実施形態に係る半導体装置1aの製造方法を説明する断面図を示している。
次に、第1の実施形態の半導体装置1aの製造方法について説明する。図3は第1の実施形態に係る半導体装置1aの製造方法を説明する断面図を示している。
図3の(a)に示すように、半導体基板10上に、トンネル絶縁膜11aを形成するために、まず、膜厚1nm〜2nm程度の第1シリコン酸化膜111を形成する。第1シリコン酸化膜111の代表的な成膜方法として熱酸化法が挙げられるが、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition;CVD)法等によって成膜しても構わない。
次に、第1シリコン酸化膜111上に膜厚1〜2nm程度のアモルファスシリコン膜120が形成される。アモルファスシリコン膜120の形成方法として、CVD法や基板表面を異なる種類の気相反応物質(前駆体)に交互に暴露させ、原子層単体での成長制御が可能な原子層成長(Atomic Layer Deposition;ALD)法による形成方法が挙げられる。この状態で、窒素雰囲気中で700℃の高温アニールを行うと、図3の(b)に示すように、アモルファスシリコン膜120はナノメートルサイズのシリコン微結晶からなるシリコン微結晶膜112となる。
ここで、アモルファスシリコン膜120の膜厚程度の大きさの結晶ができた後は、表面エネルギーが最小になる結晶状態を維持しようとする傾向により、横方向の結晶成長は薄いシリコン微結晶膜112では起こりにくい。このため、窒素雰囲気中での高温アニール条件の調整により、シリコン微結晶膜112の形成において、膜厚程度を典型的大きさとするシリコンナノ微結晶の結晶子径制御が可能である。膜厚によって典型的大きさが決まるので、シリコン微結晶層112のシリコンナノ微結晶の典型的な大きさは1〜2nmとなる。
次に、シリコン微結晶膜112上に膜厚1nm〜2nm程度のシリコン窒化膜113を形成し、そのシリコン窒化膜113上には膜厚2nm〜7nm程度の第2シリコン酸化膜114が、それぞれCVD法またはALD法等によって成膜される。なお、ALD法によって成膜する場合は成膜温度が300〜600℃程度であるのに対して、CVD法によって成膜する場合は成膜温度が約800℃で成膜が行われる。従って、CVD法によってシリコン窒化膜113または第2シリコン酸化膜114を成膜する場合は、前述した高温アニールによるアモルファスシリコン膜120をシリコン微結晶膜112へ結晶化させる工程を省くことも可能である。
以上の工程によりトンネル絶縁膜11a(第1シリコン酸化膜111、シリコン微結晶膜112、シリコン窒化膜113、第2シリコン酸化膜114)を形成した後、CVD法等によって電荷蓄積膜12を膜厚10nm〜50nm程度形成する。次に、その電荷蓄積膜12上に素子分離用シリコン窒化膜40を膜厚50nm〜200nm程度、CVD法等により形成する。さらに、その素子分離用シリコン窒化膜40上に素子分離用シリコン酸化膜41を膜厚50nm〜400nm程度、CVD法等により形成し、図3の(c)に示す構造を得る。
次に、素子分離用シリコン酸化膜41上にフォトレジスト(図示略)を塗布し、露光描画によりフォトレジストをパターニングする。そのフォトレジストを耐エッチングマスクにして素子分離用シリコン酸化膜41をエッチングする。エッチング後にフォトレジストを除去し、エッチングされた素子分離用シリコン酸化膜41をマスクにして、素子分離用シリコン窒化膜40、電荷蓄積膜12、第2シリコン酸化膜114、シリコン窒化膜113、シリコン微結晶膜112、第1シリコン酸化膜、及び半導体基板10の一部をエッチングすることにより素子分離のための溝を形成して、図3の(d)に示す構造を得る。
そして、塗布技術等により素子分離絶縁膜30を200nm〜1500nm程度形成し、素子分離溝を埋め込み、酸素雰囲気下もしくは水蒸気雰囲気下で熱処理を行うことにより、素子分離絶縁膜30を高密度化させる。
次に、研磨剤(スラリー)を使用することにより機械による研磨効果を増大させ、平滑な研磨面を得ることが可能となる化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)により、素子分離用シリコン窒化膜41をストッパーにして平坦化を行う。そして、素子分離用シリコン窒化膜40と選択比のあるエッチング条件(すなわち、素子分離用シリコン窒化膜40よりも素子分離絶縁膜30が優先的にエッチングされる条件)を用いて、素子分離絶縁膜30のみをエッチングする。その後、シリコン窒化膜40を剥離して、図3の(e)に示す構造を得る。
電荷蓄積膜12と素子分離絶縁膜30上にCVD法等によって、電極間絶縁膜13が形成される。例えば、この電極間絶縁膜13が、前述したようなONO膜の場合、シリコン酸化膜を膜厚1nm〜10nm程度形成し、その上部にシリコン窒化膜を膜厚1nm〜5nm程度形成し、さらに、シリコン酸化膜を膜厚1nm〜10nm程度形成する。この段階で、電極間絶縁膜13の高密度化や界面改善のためのデンシファイ処理(熱処理による緻密化)や、界面改善のための酸化処理などを実施してもよい。なお、電極間絶縁膜13の形状が電荷蓄積膜12を中心にコの字型にすることにより、電荷蓄積膜12と電極間絶縁膜13の接触面積が大きくなるため、電極間絶縁膜13に掛かる電界ストレスを緩和することが可能となる。この電極間絶縁膜13は半導体基板10と略平行になるように、直線状に形成しても実施は可能である。
そして、電極間絶縁膜13上に制御ゲート電極14を形成し、図1の(b)に示すような半導体装置1aの構造を得る。制御ゲート電極16は露光描画等によりパターニングされる(図示略)。さらに、制御ゲート電極16をマスクに用いて、半導体基板10に例えばリン(P)をドーズ量1×1015cm−2、入射エネルギー5KeVで注入し、1000℃、10秒の高速アニールを施すことにより、ソース領域20a及びドレイン領域20bを形成する。これにより、図1の(a)に示す構造が得られる。
なお、上記説明した製造方法はあくまで一例であり、例えば成膜方法については、CVD法やALD法の他にスパッタ法、物理気相成長(Physical Vapor Deposition;PVD)法、塗布法、及び噴霧法等でも実施は可能である。
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態の半導体装置1aの効果について、比較例を参照して説明する。
第1の実施形態の半導体装置1aの効果について、比較例を参照して説明する。
図4は比較例に係る半導体装置1bのトンネル絶縁膜11bの構造を示す拡大断面図、図5の(a)は比較例に係る半導体装置1bのトンネル絶縁膜11bの伝導帯エネルギーバンド図、及び図5の(b)は書込み動作時(電子注入時)における比較例に係る半導体装置1bのトンネル絶縁膜11bにおける伝導帯エネルギーバンド図を示している。また、図6はシリコン微結晶層112におけるシリコン結晶子のエネルギー障壁高さΔEに対するシリコン結晶子径の関係を示すグラフを示している。
比較例が第1の実施形態と異なる点は、トンネル絶縁膜11bがシリコン窒化膜113を有していない点である。すなわち、半導体装置1bは、半導体基板10のチャネル形成領域21上に第1シリコン酸化膜111、シリコン微結晶膜112、第2シリコン酸化膜114が成膜され、トンネル絶縁膜11bをなす。なお、シリコン微結晶膜112を形成するシリコン結晶子の大きさは、クーロンブロッケイド条件を満たす微小結晶である。トンネル絶縁膜11b上には第1の実施形態と同様に、電荷蓄積膜12等が形成される。
以上のように、トンネル絶縁膜11b内にシリコン微結晶膜112を形成することにより、図5の(a)に示すように量子サイズ効果により、トンネル絶縁膜11bの電子のエネルギーバンド中にシリコン基板10の伝導帯の底からΔEの高さのエネルギー障壁が生じる。なお、このエネルギー障壁・ΔEは図6に示すようにシリコン結晶子径の大きさによって決まり、第1シリコン酸化膜111及び第2シリコン酸化膜114のエネルギー障壁である3.5eVよりも小さい値となっている。
シリコン微結晶膜112を有していないゲート絶縁膜を用いた半導体装置(図示略)を用いた場合と比較すると、本比較例のようにトンネル絶縁膜11b内にエネルギー障壁・ΔEのシリコン微結晶膜112を有することにより、書込み電圧を印加した際に図5の(b)に示すようなバンド構造となり、書込み動作時、すなわち電荷蓄積膜12への電子注入動作における電子注入効率が向上する。よって、シリコン微結晶膜112により、書込み特性が向上する。
なお、シリコン微結晶膜112の膜厚を厚くする、すなわちシリコン微粒子の平均結晶子径を大きくすると、図6に示すようにエネルギー障壁・ΔEの大きさは小さくなり、書込み特性は向上するが、電荷保持特性が劣化する問題点が生じるため、
次に、比較例の半導体装置1bの消去動作について図7を用いて説明する。
次に、比較例の半導体装置1bの消去動作について図7を用いて説明する。
電荷蓄積膜12に電子を注入する書込み動作に対して、消去動作として電荷蓄積膜12内の電子を放出する手段が挙げられるが、より良好な消去特性を得るために、電荷蓄積膜12に正孔を注入することで電子と再結合をさせて電子を消去する動作が挙げられる。本比較例の場合、図7の(a)に示すようにシリコン微結晶膜112の価電子帯におけるエネルギー障壁はΔE’で表され、例えば、シリコン結晶子径が2nmの時、約3eVとなる。このエネルギー障壁・ΔE’の値は、第1シリコン酸化膜111及び第2シリコン酸化膜114の価電子帯におけるエネルギー障壁である4.4eVと比較した際、大きな差は生じない。よって、図7の(b)に示すように、書込み電圧とは逆バイアスを制御ゲート電極14に印加し、電荷蓄積層12へ正孔を注入する際、正孔注入量はほとんど向上しないため、書込み特性と比較して消去特性はほとんど向上しない。
以上より、シリコン酸化膜のみでトンネル絶縁膜が形成されている場合と比較して、比較例のように第1シリコン酸化膜111とシリコン微結晶膜112及び第2シリコン酸化膜114で構成されるトンネル絶縁膜11bを有する半導体装置1bは、電荷蓄積膜12へ電子を注入する書込み特性の向上という効果は有しているが、電荷蓄積膜12へ正孔を注入する消去特性についてはほとんど改善しない。
上記の比較例における問題点を踏まえて、第1の実施形態の半導体装置1aの効果について説明する。
図8の(a)は第1の実施形態に係る半導体装置1aのトンネル絶縁膜11aの伝導帯エネルギーバンド図、図8の(b)は書込み動作時(電子注入時)における第1の実施形態に係る半導体装置1aのトンネル絶縁膜11aにおける伝導帯エネルギーバンド図を示している。また、図9の(a)は第1の実施形態に係る半導体装置1aのトンネル絶縁膜11aの価電子帯エネルギーバンド図、図9の(b)は消去動作時(正孔注入時)における第1の実施形態に係る半導体装置1aのトンネル絶縁膜11aにおける価電子帯エネルギーバンド図、及び図10は第1の実施形態と比較例における正孔電流に対する印加電界の関係を示すグラフを示している。
第1シリコン酸化膜111、シリコン微結晶膜112、シリコン窒化膜113、及び第2シリコン酸化膜114で構成されるトンネル絶縁膜11aを有する半導体装置1aの場合、図8の(a)に示すように、伝導帯におけるシリコン窒化膜113のエネルギー障壁は2.4eVであり、第1シリコン酸化膜111及び第2シリコン酸化膜114のエネルギー障壁(3.5eV)よりも小さいエネルギー障壁であるため、シリコン微結晶膜112(エネルギー障壁・ΔE)の効果は維持される。すなわち、図8の(b)に示すように、書込み電圧を制御ゲート電極14に印加し、電荷蓄積層12へ電子を注入する際、電子注入量は比較例の場合とほぼ同様の特性を有しており、シリコン酸化膜のみでトンネル絶縁膜が形成されている場合と比較すると、書込み特性は向上している。
一方、正孔注入すなわち消去動作においては、図9の(a)に示すように、価電子帯におけるシリコン窒化膜113のエネルギー障壁は1.8eVであり、第1シリコン酸化膜111と第2シリコン酸化膜114のエネルギー障壁(4.4eV)、及びシリコン微結晶膜112のエネルギー障壁・ΔE’よりも小さいエネルギー障壁(例えば、シリコン結晶子径が2nmの時、約3eV)であるため、電荷蓄積膜12への正孔注入量の向上という効果が生じる。すなわち、図9の(b)に示すように、書込み電圧とは逆バイアスを制御ゲート電極14に印加し、電荷蓄積層12へ正孔を注入する際、第1の実施形態の正孔注入量は比較例よりも向上している。その結果は図10において示されており、ある印加電圧において第1の実施形態と比較例を比較した際、正孔電流の値は第1の実施形態の方が増加している。図10には具体的な数値は記載していないが、第1の実施形態の正孔電流値は比較例の約10倍である。
以上のように、第1の実施形態の半導体装置1aは、シリコン微結晶膜112とシリコン窒化膜113を有するトンネル絶縁膜11aを用いることにより、トンネル絶縁膜11aの実質的な伝導帯エネルギー障壁をシリコン微結晶膜112により低減することで電荷蓄積膜12への電子注入量を向上させ、さらにトンネル絶縁膜11aの実質的な価電子帯エネルギー障壁をシリコン窒化膜113により低減することで電荷蓄積膜12への正孔注入量を向上させている。これら2つの効果(すなわちトンネル絶縁膜の電荷注入効率の向上)を有することにより、書込み電圧及び消去電圧の低減が可能となり、高電圧印加による隣接セルへの誤書込みという問題を抑制することができる。
加えて、シリコン微結晶膜112は、外部から一定以上のエネルギー(印加電圧)が与えられるまで電荷移動が起こらないクーロンブロッケイド条件を満たしているため、電荷蓄積膜12に注入された電子が容易に漏れてしまう問題は生じない。
なお、第1シリコン酸化膜111は1〜2nm程度の膜厚であると前述したが、この第1シリコン酸化膜111の膜厚を1nm以下にした方が、上記電荷蓄積膜12への電荷注入効率は更に向上する。
また、本実施形態では正孔注入量を向上させる目的として、シリコン窒化膜113をトンネル絶縁膜11a中に備えたが、シリコン窒化膜に限らず、伝導帯及び価電子帯においてシリコン酸化膜よりもエネルギー障壁が小さい材料であれば実施は可能である。例えば、ハフニウム酸化物(一例として、HfO2)やタンタル酸化物(一例として、Ta2O5)等が挙げられる。HfO2の伝導帯のエネルギー障壁は1.5eV、価電子帯のエネルギー障壁は3.4eVである。また、Ta2O5の伝導帯のエネルギー障壁は0.3eV、価電子帯のエネルギー障壁は3.0eVである
[第2の実施形態]
以下に、図1、図8及び図9を用いて第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態について、第1の実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
[第2の実施形態]
以下に、図1、図8及び図9を用いて第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態について、第1の実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
(半導体装置1cの構造)
図11は第2の実施形態に係る半導体装置1cのトンネル絶縁膜11cの構造を示す拡大断面図を示している。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、トンネル絶縁膜11c(層間膜115)を構成するシリコン微結晶膜112とシリコン窒化膜113の積層順序が逆となっている点である。
図11は第2の実施形態に係る半導体装置1cのトンネル絶縁膜11cの構造を示す拡大断面図を示している。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、トンネル絶縁膜11c(層間膜115)を構成するシリコン微結晶膜112とシリコン窒化膜113の積層順序が逆となっている点である。
具体的には、図1の(a)に示すように、ソース領域20aとドレイン領域20bに挟まれるように形成されたチャネル形成領域21を最表面に有する半導体基板10において、前記チャネル形成領域21上にトンネル絶縁膜11cが形成される。半導体基板10には例えばシリコン(Si)等が用いられる。
ここで、図11に示すように、トンネル絶縁膜11cは、第1シリコン酸化膜111、シリコン窒化膜113、シリコン微結晶膜112、及び第2シリコン酸化膜114で構成されており、まず、半導体基板10のチャネル形成領域21上には厚さ1〜2nm程度の第1シリコン酸化膜111が設けられる。
第1シリコン酸化膜111上には、厚さ約1〜2nm程度のシリコン窒化膜113が形成される。そのシリコン窒化膜113上には平均結晶子径1〜2nmの微結晶からなる、厚さ1〜2nm程度のシリコン微結晶膜112が形成される。ここで、シリコン微結晶膜112におけるシリコン微結晶は、クーロンブロッケイド条件(電子1個の充電エネルギーが熱揺らぎよりも大きいこと)を満たす微小結晶である。さらにそのシリコン微結晶膜112上には厚さ2〜7nm程度の第2シリコン酸化膜114が形成される。
トンネル絶縁膜11上(第2シリコン酸化膜114上)には電荷蓄積膜12が設けられる。そして、その電荷蓄積膜12上にはブロック絶縁膜13が設けられ、そのブロック絶縁膜13上には制御ゲート電極14が設けられる。
なお、ブロック絶縁膜13は単層であるように図示したが、これに限定されず、例えば、シリコン酸化層と、シリコン窒化層と、シリコン酸化膜との積層構造を有するONO(Oxide−Nitride−Oxide)膜等でも実施は可能である。
(半導体装置1cの動作)
半導体装置1cの動作は半導体装置1aと同様である。
半導体装置1cの動作は半導体装置1aと同様である。
すなわち、書込み動作の場合、制御ゲート電極14に高い電圧を印加してブロック絶縁膜13を介して下に位置する電荷蓄積膜12中に、半導体基板10側からトンネル絶縁膜11を通過させて電子を注入する。消去動作の場合、電荷蓄積膜12中に正孔を注入し、電荷蓄積膜12中の電子と再結合させて消去するという方法が取られている。
(半導体装置1cの製造方法)
半導体装置1cの製造方法における、トンネル絶縁膜11cの各種作製方法は、半導体装置1aのトンネル絶縁膜11aと同様であるが、成膜順序が一部異なる。詳細には、第1シリコン酸化膜111を成膜した後に、前記第1シリコン酸化膜111上にシリコン窒化膜113が成膜される。そして、そのシリコン窒化膜113上にアモルファスシリコン膜120が成膜され、窒素雰囲気下で700℃の高温アニール処理を施すと、アモルファスシリコン膜120はナノメートルサイズのシリコン微結晶からなるシリコン微結晶膜112となる。そして、シリコン微結晶膜112上に第2シリコン酸化膜114が形成される。以上の工程により、トンネル絶縁膜11cは形成される。
半導体装置1cの製造方法における、トンネル絶縁膜11cの各種作製方法は、半導体装置1aのトンネル絶縁膜11aと同様であるが、成膜順序が一部異なる。詳細には、第1シリコン酸化膜111を成膜した後に、前記第1シリコン酸化膜111上にシリコン窒化膜113が成膜される。そして、そのシリコン窒化膜113上にアモルファスシリコン膜120が成膜され、窒素雰囲気下で700℃の高温アニール処理を施すと、アモルファスシリコン膜120はナノメートルサイズのシリコン微結晶からなるシリコン微結晶膜112となる。そして、シリコン微結晶膜112上に第2シリコン酸化膜114が形成される。以上の工程により、トンネル絶縁膜11cは形成される。
その他の作製工程については、半導体装置1aと同様である。
なお、アモルファスシリコン膜120を形成後、高温アニール処理を施す方法を説明したが、CVD法で第2シリコン酸化膜114を成膜する場合、成膜温度は約800℃であるため、高温アニール工程は必ずしも必要としない。
なお、上記説明した製造方法はあくまで一例であり、例えば成膜方法については、CVD法やALD法の他にスパッタ法、物理気相成長(Physical Vapor Deposition;PVD)法、塗布法、及び噴霧法等でも実施は可能である。
(第2の実施形態の効果)
ここで、第2の実施形態の効果について、図12及び図13を用いて説明する。
ここで、第2の実施形態の効果について、図12及び図13を用いて説明する。
図12の(a)は第2の実施形態に係る半導体装置1cのトンネル絶縁膜11cの伝導帯エネルギーバンド図、図12の(b)は書込み動作時(電子注入時)における第2の実施形態に係る半導体装置1cのトンネル絶縁膜11cにおける伝導帯エネルギーバンド図を示している。また、図13の(a)は第2の実施形態に係る半導体装置1cのトンネル絶縁膜11cの価電子帯エネルギーバンド図、図13の(b)は消去動作時(正孔注入時)における、第2の実施形態に係る半導体装置1cのトンネル絶縁膜11cにおける価電子帯エネルギーバンド図を示している。
図12の(a)に示すように、伝導帯におけるシリコン窒化膜113のエネルギー障壁は2.4eVであり、第1シリコン酸化膜111及び第2シリコン酸化膜114のエネルギー障壁(3.5eV)よりも小さいエネルギー障壁であるため、シリコン微結晶膜112(エネルギー障壁・ΔE)による電荷蓄積膜12への電子注入効率が向上する。すなわち、図12の(b)に示すように、書込み電圧を制御ゲート電極14に印加し、電荷蓄積層12へ電子を注入する際、電子注入量は第1の実施形態及び比較例の場合とほぼ同様の特性を有しており、シリコン酸化膜のみでトンネル絶縁膜が形成されている場合と比較すると、書込み特性は向上している。
一方、正孔注入すなわち消去動作においては、図13の(a)に示すように、価電子帯におけるシリコン窒化膜113のエネルギー障壁は1.8eVであり、第1シリコン酸化膜111と第2シリコン酸化膜114のエネルギー障壁(4.4eV)、及びシリコン微結晶膜112のエネルギー障壁・ΔE’よりも小さいエネルギー障壁(例えば、シリコン結晶子径が2nmの時、約3eV)であるため、電荷蓄積膜12への正孔注入量の向上という効果が生じる。すなわち、図13の(b)に示すように、書込み電圧とは逆バイアスを制御ゲート電極14に印加し、電荷蓄積層12へ正孔を注入する際、第1の実施形態の正孔注入量と同様に、比較例よりも向上している。
従って、半導体装置1cにおいて、チャネル形成領域21側から第1シリコン酸化膜111、シリコン窒化膜113、シリコン微結晶膜112、及び第2シリコン酸化膜114の順番にトンネル絶縁膜11cを形成しても、第1の実施形態の半導体装置1aと同様の効果を有する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1a,1b,1c…半導体装置、10…半導体基板、11a,11b,11c…トンネル絶縁膜、12…電荷蓄積膜、13…ブロック絶縁膜、14…制御ゲート電極(ゲート電極)、20a…ソース領域、20b…ドレイン領域、21…チャネル形成領域、30…素子分離絶縁膜、40…素子分離用シリコン窒化膜、41…素子分離用シリコン酸化膜、111…第1シリコン酸化膜(第1絶縁膜)、112…シリコン微結晶膜(微結晶膜)、113…シリコン窒化膜(第2絶縁膜)、114…第2シリコン酸化膜(第3絶縁膜)、115…層間膜、120…アモルファスシリコン膜
Claims (7)
- 半導体基板と、
前記半導体基板の上側に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の伝導帯及び価電子帯におけるエネルギー障壁よりも小さいエネルギー障壁を有する第2絶縁膜と微結晶膜とからなり、前記第1絶縁膜の上側に設けられた層間膜と、
前記層間膜の上側に設けられた第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜の上側に設けられた電荷蓄積膜と、
前記電荷蓄積膜の上側に設けられたブロック絶縁膜と、
前記ブロック絶縁膜の上側に設けられたゲート電極と、
を有する半導体装置。 - 前記微結晶膜の上側に前記第2絶縁膜が設けられた請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第2絶縁膜の上側に前記微結晶膜が設けられた請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1絶縁膜の膜厚が1nm以下である請求項1乃至3のいずれか一に記載の半導体装置。
- 前記微結晶膜の膜厚が2nm以下である請求項1乃至4のいずれか一に記載の半導体装置。
- 前記第2絶縁膜はシリコン窒化膜からなる請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体装置。
- 半導体基板の上側に第1絶縁膜を設ける工程と、
前記第1絶縁膜の伝導帯及び価電子帯におけるエネルギー障壁よりも小さいエネルギー障壁を有する第2絶縁膜と微結晶膜とを含む層間膜を、前記第1絶縁膜の上側に設ける工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
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JP2012034334A JP2013171945A (ja) | 2012-02-20 | 2012-02-20 | 半導体装置とその製造方法 |
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