JP2013171659A - 過充電防止剤及びそれを用いたリチウムイオン電池 - Google Patents

過充電防止剤及びそれを用いたリチウムイオン電池 Download PDF

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Toshiaki Tsuno
利章 津野
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亮 油谷
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Abstract

【課題】高い充電電流に対しても安定して機能するレドックスシャトルを起こす過充電防止剤、及び過充電時の安全性と実用性に優れるリチウムイオン電池を提供する。
【解決手段】アルコキシ基を2個、ハロゲン原子を2個含む芳香族化合物からなる、リチウムイオン電池の電解液に添加するための過充電防止剤であって、リチウムイオン電池の過充電の際にレドックスシャトル反応を起こす、過充電防止剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、レドックスシャトル反応を起こすことにより過充電を防止する添加剤及びそれを用いたリチウムイオン電池に関する。
近年、カメラ一体型ビデオテープレコーダ、携帯電話、ラップトップコンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。そして、これらの電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。
非水電解液を用いた電池、中でもリチウム二次電池、リチウムイオン二次電池は、従来の水溶液系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して、大きなエネルギー密度が得られるため、市場も著しく成長しており、さらなる期待も大きくなっている。
リチウム二次電池における過充電防止機構としては、化学反応を利用する方法と電子回路を利用する方法が提案されており、実用的には後者が主に採用されている。しかしながら、電子回路による方法では、コスト高になるばかりか、商品設計上種々の制約が生ずることになる。
そこで、化学反応を利用して過充電を防止する技術の開発が進められている。中でも非水系の電池においては、化学的過充電保護手段の一つとして、適当な酸化還元試薬を電解液に添加する方法が試みられている。この方法によれば、酸化還元試薬の反応の可逆性がよい場合には、電池内には、正負極間を往復して過充電電流を消費する保護機構が成立する(レドックスシャトル反応)。
レドックスシャトル反応によってリチウム二次電池の安全装置を簡略化することは、電子回路式より低コストであり、また、安全装置による電池のエネルギー密度の低下がない等の利点がある。
特許文献1では、ベンゼン環に2つのメトキシ基と1つのハロゲン原子が置換された化合物が提案されている。1,4−ジメトキシ−2−フルオロベンゼンは4.04Vと低い電位でシャトルするため、LiCoO等の4V級正極活物質を用いる場合に、満充電電位に達することができないが、1,2−ジメトキシ−4−ブロモベンゼンでは4.27Vと適当な電位でのシャトルが得られている。しかし、いずれも直径16のコインセルに対して、150μA(0.075mA/cm)以上の充電電流に対しては、電池電圧上昇を抑えられなくなっている。
特許文献2では、電解質としてのリチウム塩の種類との組合せによる改良が提案されている。実施例では1,2−ジメトキシ−4−ブロモベンゼンが示されている。例えば、電解質としてLiN(CSOを用いた場合は直径16のコインセルに対して300μA(0.15mA/cm)までの充電電流で電圧上昇が抑えられている。一般的な電池では、電極の容量は1〜3mAh/cmの目付量とされていることが多い。このような電極の場合、0.15mA/cmの充電電流で充電すると7〜20時間を要することになり、十分な充電電流とは言えない。
特許文献3には、Liと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体,合金及び化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む負極に対して、ベンゼンが1以上のアルコキシ基と1以上のハロゲンとで置換された構造を有する有機化合物が添加された電解液を用いることが示されている。このような負極と電解液を用いることにより、負極に安定な被膜が形成され、負極と電解液との間に生じる不可逆反応を抑制して、高容量でサイクル特性に優れた電池が得られる。しかし、過充電抑制効果については記載されていない。
特開平7−302614号公報 特開2009−16362号公報 特開2005−44682号公報
本発明は高い充電電流に対しても安定して機能するレドックスシャトルを起こす過充電防止剤、及び過充電時の安全性と実用性に優れるリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の過充電防止剤及びそれを用いたリチウムイオン電池等が提供される。
1.アルコキシ基を2個、ハロゲン原子を2個含む芳香族化合物からなる、リチウムイオン電池の電解液に添加するための過充電防止剤であって、
リチウムイオン電池の過充電の際にレドックスシャトル反応を起こす、過充電防止剤。
2.前記芳香族化合物が、ベンゼン誘導体である1記載の過充電防止剤。
3.2個のアルコキシ基が、芳香環の、1位と2位、又は1位と4位に置換している1又は2記載の過充電防止剤。
4.前記芳香族化合物が、1,4−ジアルコキシ−2,5−ジハロゲン化ベンゼンである1〜3のいずれか記載の過充電防止剤。
5.アルコキシ基がメトキシ基である1〜4のいずれかに記載の過充電防止剤。
6.ハロゲン原子がフルオロ原子である1〜5のいずれかに記載の過充電防止剤。
7.1〜6のいずれか記載の過充電防止剤を含む電解液。
8.7に記載の電解液を含むリチウムイオン電池。
9.電解液に、アルコキシ基を2個、ハロゲン原子を2個含む芳香族化合物を含むリチウムイオン電池。
10.前記芳香族化合物のサイクリックボルタンメトリーによって測定された対リチウムの酸化開始電位が、正極活物質の満充電の対リチウム電位より高い8又は9記載のリチウムイオン電池。
本発明によれば、高い充電電流に対しても安定して機能するレドックスシャトルを起こす過充電防止剤、及び過充電時の安全性と実用性に優れるリチウムイオン電池が提供できる。
実施例1で作製したセルのサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例2で作製したセルのサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例3で作製したセルのサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例4で作製したコイン電池の充放電曲線を示す図である。 比較例1で作製したコイン電池の充放電曲線を示す図である。 比較例2で作製したコイン電池の充放電曲線を示す図である。 実施例5で作製したコイン電池の充放電曲線を示す図である。 比較例3で作製したコイン電池の充放電曲線を示す図である。 比較例4で作製したコイン電池の充放電曲線を示す図である。
本発明の過充電防止剤は、アルコキシ基を2個、ハロゲン原子を2個含む芳香族化合物である。本発明の過充電防止剤は、リチウムイオン電池の電解液に添加して用いられる。具体的には、非水溶媒に電解質としてのリチウム塩を溶解した、非水電解液に添加する。
芳香族化合物は、好ましくはベンゼン誘導体である。ベンゼン環1つの誘導体は芳香族化合物としては比較的低分子量であるので電解液への溶解性が高く、低粘度とすることができるので、大きい充電電流でも安定したレドックスシャトルが機能する。
好ましくは2個のアルコキシ基がベンゼン環の1位と2位又は1位と4位に置換する化合物であり、より好ましくは1,4−ジアルコキシ−2,5−ジハロゲン化ベンゼンである。この位置が置換されることにより、効果的に高電位でレドックスシャトルが機能する。
好適なアルコキシ基は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルコキシ基であり、最も好ましくはメトキシ基である。
またハロゲン原子として、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子が好ましい。
このような分子構造を有する化合物を、電池の電解液に添加することにより、4V級の正極材に対して、大きい充電電流でも有効にレドックスシャトルが機能することができる。
過充電防止剤の純度は、電気化学的に安定な溶剤や不純物が混合していても問題はないが、好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
また、水分は、除去されていることが好ましく、事前に真空下、窒素下、あるいは、−60℃以下の露点環境にて保存、あるいは処理することが望ましい。
本発明のリチウムイオン電池は、非水電解液を用いる二次電池である。一般的な構成として、対向する正極と負極の間にセパレーターがあり、セパレーターに電解液が保持されている。本発明の電池では、電解液に上記の過充電防止剤が添加されている。
具体的には、電解液は、溶媒に電解質と本発明の過充電防止剤を添加したものであり、過充電防止剤はレドックスシャトル反応を起こして過充電を防止する。
本発明の過充電防止剤の電解液における濃度は、電池の用途や非水電解液の種類、セパレータの種類や形態にあわせて調整する。通常、過充電防止剤は、電解液中に、0重量%より多くかつ5重量%以下含まれる。好ましくは0.5重量%以上3重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上2重量%以下含まれる。
ここでの添加剤の量は、電池製造直前のものではなく、化成処理後の添加剤の量になる。
ここで、化成処理とは、電池製造後に行う充放電をいう。電池製造後は電圧等が安定せず、数回の充放電を行うと電圧等が安定するために該充放電を行う。
なお、Liと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体,合金及び化合物からなる負極を用いる場合等、電極材料によっては初期充放電時に、添加剤が電極材料と反応して皮膜形成等で消費される場合がある。ここでの添加剤の電解液中の濃度は、初期充放電後の実際に使用される状態の電池中における濃度である。
低濃度では充電電流が大きくなると過充電による電圧上昇を抑制できない恐れがある。高濃度においても電解液粘度が高くなるため過充電防止剤が拡散することができず、効果的にレドックスシャトルが機能しない恐れがある。セパレータとして拡散しやすい構造の膜を用いる場合は濃度を高めることが好ましい。また高濃度の場合は低温で過充電防止剤が析出してしまい機能しなくなる恐れもある。
さらに、Liと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体,合金及び化合物からなる負極を用いる場合は、過充電を防止するために、他の添加剤を添加して、電極に表面皮膜を形成するようにしてもよい。即ち、電極が添加剤により表面皮膜を形成する場合には、皮膜の形成に使用される添加剤と、本発明のレドックスシャトル反応のための過充電防止剤の両方を含む。尚、本発明の電池は負極に被膜を形成しない構成としてもよい。
皮膜形用添加剤として、ビニレンカーボネートやベンゼンが1以上のアルコキシ基と1以上のハロゲンとで置換された構造を有する有機化合物等が挙げられる。このとき、本発明の過充電防止剤より低い電位で反応して皮膜を形成することが望ましい。
電解液中に皮膜の形成のための添加剤と、本発明の過充電防止剤を含むときは、両方の添加剤の合計が0重量%より多くかつ15重量%以下含まれることが好ましい。より好ましくは、1重量%以上8重量%以下、さらに好ましくは1重量%以上4重量%以下含まれる。15重量%を超えると電解液の粘度が高くなりすぎたり、添加剤が低温で析出する等によって、十分にレドックスシャトルが機能しない恐れがある。
皮膜形用添加剤は、好ましくは0より多く10重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上5重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以上2重量%含まれる。
電池の電解液溶媒としては、従来より非水電解液に用いられている種々の公知の非水溶媒を用いることができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジプロピルカーボネート、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、アニソール、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、2−メチルテトラヒドロフラン等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、また、複数種を混合して用いてもよい。
非水電解液中に溶解させる電解質として、LiPF、LiBF、LiClO、LiN(SOSF、LiN(SO、LiCFSO、LiB(C等を単独又は混合して用いることができる。
なお、電解液に代えて、ゲル状電解質あるいは固体電解質を用いてもよい。ゲル状電解質は、例えば、高分子化合物に電解液を保持させたものである。高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体等のフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体等のエーテル系高分子化合物、またはポリアクリロニトリル等が挙げられる。
また、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶等よりなる無機固体電解質を用いることができる。また、無機固体電解質と電解液とを混合したもの、または無機固体電解質とゲル状電解質あるいは高分子固体電解質とを混合したものを用いてもよい。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体等のエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレート等のエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合してまたは共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはヨウ化リチウム等が挙げられる。これら他の電解質における本発明の過充電防止剤の含有量は、電解液と同様である。
正極は、正極活物質を含み、必要により導電剤及び結着剤等を含む。
正極活物質は、電池の放電時にアルカリ金属を吸蔵し、充電時にアルカリ金属を放出できる物質であれば特に限定されずに使用できる。
正極活物質としては、種々の酸化物、硫化物が挙げられ、例えば二酸化マンガン(MnO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−xCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo1−x)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNiMnCo1−x−y)、ポリアニオン系リチウム化合物(例えば、LiFePO、LiCoPOF、LiMnSiO等)、バナジウム酸化物(例えばV)等が挙げられる。また、導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、等の有機材料も挙げられる。硫化リチウム等のイオウ化合物材料も挙げられる。より好ましい正極活物質は、電池電圧が高いリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi0.8Co0.2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnCo1−x)等が挙げられる。
正極集電体としては、導電性材料であれば特に制限されること無く使用できるが、特に正極用の集電体としては電池反応時に酸化されにくい材料を使用することが好ましく、例えばアルミニウム、ステンレス、チタン等を使用すればよい。
導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム等が挙げられる。
正極中の正極活物質、導電剤及び結着剤の含有比は、通常、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲である。
負極は、負極活物質を含み、必要により導電剤や結着剤等を含む。
負極活物質としては、リチウム金属、リチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、リチウムを吸蔵・放出できる炭素質材料、黒鉛、フェノール樹脂、フラン樹脂等のコークス類、炭素繊維、ガラス状炭素、熱分解炭素、活性炭、ケイ素、アルミニウム、スズ、亜鉛、マグネシウム等が用いられる。
正極及び負極の両極の接触による電流の短絡等を防ぐためのセパレータとしては、両極の接触を確実に防止することができ、かつ電解液を通したり含んだりすることができる材料、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、多孔質セラミックフィルム、若しくは多孔質薄膜フィルム等を用いることができる。
本発明の電池は、例えば、負極、電解質を含浸したセパレータ、正極を外装体の中に入れてかしめて製造する。
本発明の電池は、高い充電電流に対しても安定してレドックスシャトルが機能するので、過充電を効果的に防止しながら充電時間を短くすることができる。また、組電池において直列接続の際に、各セルの容量にばらつきがあった場合でも、容量の小さいセルが過充電になるのを防止し、さらに電流を流すことができるので、他のセルには充電することができる。このようなセルを用いると電池の保護回路やバイパス回路を簡易なものにすることができる。
本発明の電池は、好ましくは、過充電防止剤のサイクリックボルタンメトリーによって測定された対リチウムの酸化開始電位が、正極活物質の充電終止の対リチウム電位より高い。これにより電池設計通りに完全に充電することが可能であり、かつ、万一、充電終止の電位を超えて過充電となった場合に正極活物質の分解等を防ぐことができるためである。
[レドックスシャトル反応]
実施例1
以下のようにして、サイクリックボルタンメトリー用のセルを作製した。
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートを3:7の体積比で混合した混合溶媒に、LiPFを1.0M溶解した電解液(キシダ化学(株)製)に対して、過充電防止剤として1,4−ジメトキシ−2,5−ジフルオロベンゼン(和光純薬工業(株)製)を1.0重量%となるように溶解した。
作用極としてPt箔(厚さ0.2mm)、セパレータとして多孔質ポリプロピレン/ポリエチレン積層フィルム、対極及び参照極としてLi箔(厚さ0.2mm)を順に積層し、過充電防止剤を溶解した電解液を用いて、三極セルを作製した。
サイクリックボルタンメトリーは、VSP(Bio−Logic製)を用いて、5mV/sec、3V〜6Vで3サイクル行った。結果を表1に示す。図1にサイクリックボルタンメトリーのグラフを示す。
実施例2
過充電防止剤として、1,4−ジメトキシ−2,5−ジフルオロベンゼンの代わりに、1,4−ジメトキシ−2,5−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)を添加した以外は実施例1と同様にして、三極セルを作製し、サイクリックボルタンメトリーを行った。結果を表1、図2に示す。
実施例3
過充電防止剤として、1,4−ジメトキシ−2,5−ジフルオロベンゼンの代わりに、1,4−ジメトキシ−2,5−ジブロモベンゼン(和光純薬工業(株)製)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、三極セルを作製し、サイクリックボルタンメトリーを行った。結果を表1、図3に示す。
Figure 2013171659
表1と図1〜3に示すように、実施例1〜3のいずれにおいても酸化ピークだけでなく、還元ピークが見られ、可逆的に酸化還元(レドックスシャトル反応)が可能であることが分かる。また、ハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモの順に酸化開始電位が高くなる傾向があった。
[電池の作製]
実施例4
正極として、宝泉(株)製のリン酸鉄リチウム電極シート(目付量:1.5mAh/cm)、負極として、宝泉(株)製のグラファイト電極シート(目付量:1.6mAh/cm)、セパレータとして、多孔質ポリプロピレン/ポリエチレン積層フィルムを用いた。
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートを3:7の体積比で混合した混合溶媒に、LiPFを1.0M溶解した電解液に対して、過充電防止剤として1,4−ジメトキシ−2,5−ジフルオロベンゼンを1.0重量%となるように溶解した。
宝泉(株)製のコインセル2032に、上記の正極、セパレータ、負極を順に積層し、過充電防止剤を溶解した電解液を加えた。宝泉(株)製のコインセルかしめ機を用いて、密閉することでコイン電池を作製した。
北斗電工(株)HJ1001SM8を用いて、0.2Cの電流(0.30mA/cm)で充電カットオフ3.7V、放電カットオフ2.5Vで化成処理として2サイクルの通常充放電を行い、その後に、充電電圧制限を外し250%容量まで過充電を行った。その後、0.2Cで2.5Vまで放電し、さらに通常充放電を2サイクル実施した。結果を表2に示す。図4に充放電曲線を示す。
比較例1
過充電防止剤を添加しない電解液を用いた以外は実施例4と同様にして、コイン電池を作製し、充放電を行った。結果を表2、図5に示す。
比較例2
過充電防止剤として、4−ブロモベラトロール(1,2−ジメトキシ−4−ブロモベンゼン)(和光純薬工業(株)製)を用いた以外は実施例4と同様にして、コイン電池を作製し、充放電を行った。結果を表2、図6に示す。
Figure 2013171659
表2と図4〜6に示すように、実施例4では、3サイクル目の過充電において、レドックスシャトルによって一定以上の電位上昇が防ぐことができた。実施例4ではプラトー電位が4.29Vであった。その結果、過充電後の通常充放電においてもほとんど劣化がみられなかった。
一方で比較例1では過充電防止剤を添加していないため、過充電によって電位が上昇してしまい、その結果、過充電後は充放電しなくなった。比較例2も、0.2C充電において電位上昇は抑えることができなかった。
実施例5
正極として、宝泉(株)製のLi(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O電極シート(目付量:1.5mAh/cm)を用いた以外は実施例4と同様にして、コイン電池を作製し、充放電を行った。結果を表3、図7に示す。
比較例3
過充電防止剤を添加しない電解液を用いた以外は実施例5と同様にして、コイン電池を作製し、充放電を行った。結果を表3、図8に示す。
比較例4
過充電防止剤として、4−ブロモベラトロール(1,2−ジメトキシ−4−ブロモベンゼン)を用いた以外は実施例5と同様にして、コイン電池を作製し、充放電を行った。結果を表3、図9に示す。
Figure 2013171659
表3、図7〜9に示すように、実施例5では、レドックスシャトルによって過充電時の電位上昇を防ぐことができ、過充電前後においても劣化しなかった。比較例3では過充電防止剤を添加していないため、過充電により電位が5V以上に上昇し、その結果、過充電後の放電容量は初期より大きく低下した。比較例4では、電圧上昇は緩やかになっているものの4.8Vまで上昇した。その結果、過充電後の放電容量は低下が見られた。
本発明の過充電防止剤はリチウムイオン電池に用いることができる。また、リチウムイオン電池は、カメラ一体型ビデオテープレコーダ、携帯電話、ラップトップコンピュータ等の電子機器の電源に用いられる。

Claims (10)

  1. アルコキシ基を2個、ハロゲン原子を2個含む芳香族化合物からなる、リチウムイオン電池の電解液に添加するための過充電防止剤であって、
    リチウムイオン電池の過充電の際にレドックスシャトル反応を起こす、過充電防止剤。
  2. 前記芳香族化合物が、ベンゼン誘導体である請求項1記載の過充電防止剤。
  3. 2個のアルコキシ基が、芳香環の、1位と2位、又は1位と4位に置換している請求項1又は2記載の過充電防止剤。
  4. 前記芳香族化合物が、1,4−ジアルコキシ−2,5−ジハロゲン化ベンゼンである請求項1〜3のいずれか記載の過充電防止剤。
  5. アルコキシ基がメトキシ基である請求項1〜4のいずれかに記載の過充電防止剤。
  6. ハロゲン原子がフルオロ原子である請求項1〜5のいずれかに記載の過充電防止剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の過充電防止剤を含む電解液。
  8. 請求項7に記載の電解液を含むリチウムイオン電池。
  9. 電解液に、アルコキシ基を2個、ハロゲン原子を2個含む芳香族化合物を含むリチウムイオン電池。
  10. 前記芳香族化合物のサイクリックボルタンメトリーによって測定された対リチウムの酸化開始電位が、正極活物質の満充電の対リチウム電位より高い請求項8又は9記載のリチウムイオン電池。
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