図1は、本発明に係る光走査装置を適用した複合機(画像形成装置)の概略断面図である。図1に示すように、複合機(画像形成装置)1は、例えば、コピー、プリンター、及びスキャナー等の複数の機能を兼ね備える。複合機1は本体部100、本体部100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び本体部100の上部前面に配置された操作部400を備える。
原稿給送部300は、自動原稿給装装置として機能し、原稿載置部301に載置された複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
原稿読取部200は、CCD(Charge Coupled Device)センサー及びLED(Light Emitting Diode)等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサーにより読み取る。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
本体部100は、用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラー109の駆動により、用紙搬送部111へ向けて繰り出される。用紙は用紙搬送部111を通って、画像形成部103へ搬送される。
画像形成部103は、搬送されてきた用紙に画像データを基にしてトナー画像を形成する。画像形成部103は、感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は、画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応する光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は、転写部119によって用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
トナー画像が転写された用紙は、定着部105に送られる。定着部105は、トナー画像と用紙に熱と圧力を加え、トナー画像を用紙に定着させる。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
操作部400は、表示部403と操作キー部401とを備える。表示部403は、タッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは、画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定入力等の入力操作をする。
操作キー部401は、ハードキーからなる操作キーを備えており、具体的にはスタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー413等を備える。
スタートキー405は、コピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407は、コピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409は、コピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は、設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
機能切換キー413は、コピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
図2は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。複合機1は、上記本体部100、上記原稿読取部200、上記原稿給送部300、上記操作部400、通信部600、及び制御部500等の各機能部が相互に通信可能なように接続された構成になっている。本体部100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
通信部600は、ファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は、相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は、電話回線605に接続される。
ネットワークI/F部603は、LAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
制御部500は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリー等を備える。CPUは、複合機1を動作させるために必要な制御を、本体部100等の複合機1の上記構成要素に対して実行する。ROMは、複合機1の動作の制御に必要なソフトウェアや設定値を記憶している。RAMは、ソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶等に利用される。画像メモリーは、画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
図3は、露光部115を構成する光学部品の配置関係を示す図である。露光部115は、光源31、光偏向部10及び二つの走査レンズ33,35等を備える。光源31は、例えば、レーザーダイオードであり、画像データに対応して変調された光ビーム(レーザー光)LBを照射する。
光源31と光偏向部10との光路上には、コリメーターレンズ37及びシリンドリカルレンズ39が配置されている。コリメーターレンズ37は、光源31から照射された光ビームLBを平行光にする。シリンドリカルレンズ39は、平行光にされた光ビームLBを線状に集光する。線状に集光された光ビームLBは、光偏向部10に入射される。
光偏向部10と感光体ドラム113との光路上には、走査レンズ33と走査レンズ35が配置されている。光偏向部10のミラー部11に入射された光ビームLBは、ミラー部11で反射、偏向されて、走査レンズ33,35により感光体ドラム113に結像される。すなわち、光ビームLBを感光体ドラム113に走査することにより、感光体ドラム113に静電潜像が形成される。
露光部115は、更に、BD(Beam Detect)レンズ41a,41b及びBDセンサー(光検出部)43a,43bを備える。感光体ドラム113の一方の側部113aから他方の側部113bへ向けて、光ビームLBが感光体ドラム113を走査する場合に、有効走査範囲Rを超えた光ビームLBは、BDレンズ41a,41bで集光されてBDセンサー43a,43bで受光される。BDセンサー43a,43bは、それぞれ、有効走査範囲Rを超えた光ビームLBを受光したときに、その受光したことを示す検出信号を出力する。BDセンサー43a,43bから出力される検出信号は、感光体ドラム113に形成される静電潜像を表す画像信号と、有効走査範囲Rを走査するタイミングと、の同期をとるため等に利用される。
光偏向部10について説明する。図4は、光偏向部10の原理を示す図である。図5(a)は、図4に示す光偏向部10をA−A線に沿って切断した断面図であり、図5(b)は、図4に示す光偏向部10をB−B線に沿って切断した断面図である。
光偏向部10は、ミラー部11、可動フレーム16、固定フレーム13、トーションバー15a,15b,15c、及びミラー駆動部(駆動部)17a,17b,17c,17d,17e,17f,17g,17hを備える。
ミラー部11は、矩形板状のMEMSミラーである。このミラー部11は、トーションバー(第一トーションバー)15aに固定され、光偏向部10の中心部に配置されている。光ビームLBはミラー部11に入射され、ミラー部11で反射偏向される。
可動フレーム16の形状は矩形である。可動フレーム16は、一対の辺部16a,16bと、一対の辺部16a,16bと直交する方向に延びる一対の辺部16c,16dと、一対の辺部16c,16dにより支持される梁16e,16fとにより構成される。
トーションバー15aは、ミラー部11の長辺の中心部を通るようにして、ミラー部11の短辺方向に延びている。トーションバー15aの一端は、梁16eにより支持され、トーションバー15aの他端は、梁16fにより支持されている。
梁16e上には、トーションバー15aより辺部16c側にミラー駆動部17eが形成され、トーションバー15aより辺部16d側にミラー駆動部17fが形成されている。梁16f上には、トーションバー15aより辺部16c側にミラー駆動部17gが形成され、トーションバー15aより辺部16d側にミラー駆動部17hが形成されている。
固定フレーム13の形状は矩形である。固定フレーム13は、可動フレーム16の外側に固定され、一対の辺部13a,13bと、一対の辺部13a,13bと直交する方向に延びる一対の辺部13c,13dと、一対の辺部13c,13dにより支持される梁13e,13fとにより構成されている。
トーションバー(第二トーションバー)15b,15cは、トーションバー15aと同じ軸上に延び、つまり、トーションバー15b,15cを延ばした先がミラー部11の長辺の中心部を通るように、ミラー部11の短辺方向に延びている。トーションバー15bの一端は、梁13eにより支持され、トーションバー15bの他端は、可動フレーム16の辺部16aを支持している。トーションバー15cの一端は、梁13fにより支持され、トーションバー15cの他端は、可動フレーム16の辺部16bを支持している。つまり、トーションバー15b,15cによって、可動フレーム16が支持されている。
梁13e上には、トーションバー15bより辺部13c側にミラー駆動部17aが形成され、トーションバー15bより辺部13d側にミラー駆動部17bが形成されている。梁13f上には、トーションバー15cより辺部13c側にミラー駆動部17cが形成され、トーションバー15cより辺部13d側にミラー駆動部17dが形成されている。
ミラー駆動部17aは、図5(a)に示すように、下部電極23、PZT薄膜25及び上部電極27により構成される。ミラー駆動部17b,17c,17dはミラー駆動部17aと同じ構成を有する。尚、符号NLは、固定フレーム13に対する法線を示している。
以下、ミラー駆動部17a,17b,17c,17dを区別する必要がなければ、ミラー駆動部171と記載する。ミラー駆動部171には、予め定められた一定の基本周期で変動する交流電圧が駆動電圧として印加される。以下、ミラー駆動部171の駆動電圧を基本駆動電圧と記載する。
ミラー駆動部17eは、図5(b)に示すように、下部電極23、PZT薄膜25及び上部電極27により構成される。ミラー駆動部17f,17g,17hはミラー駆動部17eと同じ構成を有する。尚、符号NLは、固定フレーム13に対する法線を示している。
以下、ミラー駆動部17e,17f,17g,17hを区別する必要がなければ、ミラー駆動部172と記載する。ミラー駆動部172には、基本駆動電圧の変動周期である上記の基本周期よりも短い周期である、予め定められた一定の重畳周期で変動する交流電圧が駆動電圧として印加される。以下、ミラー駆動部172の駆動電圧を重畳駆動電圧と記載する。
図6(a)は、図5(a)と同じ断面において、ミラー駆動部17a,17c(第一駆動部)のPZT薄膜25が伸び、かつミラー駆動部17b,17d(第二駆動部)のPZT薄膜25が縮むように、ミラー駆動部171に基本駆動電圧を印加した状態を示す図である。梁13e,13fが撓んでおり、これによりトーションバー15b,15cがねじれ、トーションバー15b,15cと一緒に可動フレーム16が傾く。
ミラー駆動部17a,17cのPZT薄膜25が伸び、かつミラー駆動部17b,17dのPZT薄膜25が縮むことによって、トーションバー15b,15cが右方向にねじれる動作を第1の動作とする。一方、ミラー駆動部17a,17cのPZT薄膜25が縮み、かつミラー駆動部17b,17dのPZT薄膜25が伸びることによって、トーションバー15b,15cが左方向にねじれる動作を第2の動作とする。
第1の動作と第2の動作とが交互に繰り返されるように、ミラー駆動部17a,17cに印加する基本駆動電圧の位相と、ミラー駆動部17b,17dに印加する基本駆動電圧の位相を反転させ、梁13e,13fを撓ませる。これによって、トーションバー15b,15cを軸にして可動フレーム16が回動する。
図6(b)は、図5(b)と同じ断面において、ミラー駆動部17e,17g(第三駆動部)のPZT薄膜25が伸び、かつミラー駆動部17f,17h(第四駆動部)のPZT薄膜25が縮むように、ミラー駆動部172に重畳駆動電圧を印加した状態を示す図である。梁16e,16fが撓んでおり、これによりトーションバー15aがねじれ、トーションバー15aと一緒にミラー部11が傾く。
ミラー駆動部17e,17gのPZT薄膜25が伸び、かつミラー駆動部17f,17hのPZT薄膜25が縮むことによって、トーションバー15aが右方向にねじれる動作を第3の動作とする。一方、ミラー駆動部17e,17gのPZT薄膜25が縮み、かつミラー駆動部17f,17hのPZT薄膜25が伸びることによって、トーションバー15aが左方向にねじれる動作を第4の動作とする。
第3の動作と第4の動作とが交互に繰り返されるように、ミラー駆動部17e,17gに印加する重畳駆動電圧の位相と、ミラー駆動部17f,17hに印加する重畳駆動電圧の位相を反転させ、梁16e,16fを撓ませる。これによって、トーションバー15aを軸にしてミラー部11が回動する。
次に、可動フレーム16及びミラー部11の法線NLに対する偏向角θの変動について、図7を用いて説明する。図7は、可動フレーム16及びミラー部11の偏向角θの時間変化を示す図である。図7において、グラフG1は、ミラー駆動部171を駆動したときに可動フレーム16が回動することによる、法線NLに対する可動フレーム16の偏向角θの時間変化を示している。当該時間変化は、振幅がA1で、角振動数がωの正弦波(θ1(t)=A1sinωt)の波形を示している。以下、当該振幅がA1で角振動数がωの正弦波を基本正弦波θ1と記載する。ここで、角振動数ωと、当該正弦波の1周期T(周波数f)との間には、ω=2π/T(=2πf)の関係がある。
また、図7において、グラフG2は、ミラー駆動部171を駆動せずにミラー駆動部172だけを駆動したときに、ミラー部11が回動することによる、法線NLに対するミラー部11の偏向角θの時間変化を示している。つまり、当該時間変化は、ミラー駆動部172を駆動することによって生じる、可動フレーム16に対するミラー部11の偏向角θの相対的な時間変化を示している。当該時間変化は、振幅がA1よりも小さいA3であって、角振動数が基本正弦波θ1の3倍の3ωである、つまり、周波数が基本正弦波θ1の3倍である、正弦波(θ3(t)=A3sin3ωt)で変動することを示している。以下、当該振幅がA3で、角振動数が3ωの正弦波を重畳正弦波θ3と記載する。
つまり、ミラー駆動部171及びミラー駆動部172をともに駆動し、基本正弦波θ1と重畳正弦波θ3とを重畳することによって、図7のグラフG0に示すように、ミラー部11の偏向角θを略三角波(θ0(t)=A1sinωt+A3sin3ωt)の波形で時間変化させる。これによって、ミラー部11に入射された光ビームLBは、略等速度で感光体ドラム113に向けて反射、偏向され、感光体ドラム113上に略等速度で静電潜像を形成することができる。以下、当該略三角波を略三角波θ0と記載する。
図8は、露光部115の構成を示すブロック図である。露光部115は、光源31、光偏向部10、BDセンサー43a,43b、補正値算出部51、第一DAC(基本電圧生成部)52、第一増幅器(基本電圧増幅部)53、基本波形整形部54、第二DAC(重畳電圧生成部)55、第二増幅器(重畳電圧増幅部)56、及び重畳波形整形部57を備える。
光源31から出力された光ビームLBは、光偏向部10において、ミラー駆動部171,172によって揺動されるミラー部11で反射偏向されることによって走査される。BDセンサー43a,43bは、それぞれ、有効走査範囲R(図3)を超えた光ビームLBを受光したときに、その受光したことを示す検出信号を補正値算出部51に出力する。
補正値算出部51は、付近の気温や経年劣化等の環境変動によってミラー部11の偏向角θが変化するので、その変化を補償するために、ミラー駆動部171に供給する基本駆動電圧を補正するときの電圧値である基本補正電圧値や、ミラー駆動部172に供給する重畳駆動電圧を補正するときの電圧値である重畳補正電圧値等の補正値等を算出する。
具体的に、補正値算出部51がミラー部11の偏向角θの変化を補償する方法について、図7を用いて説明する。尚、BDセンサー43aは、ミラー部11の偏向角θがθaのときに、ミラー部11によって反射された光ビームLBが入射される位置に固定され、BDセンサー43bは、ミラー部11の偏向角θがθbのときに、ミラー部11によって反射された光ビームLBが入射される位置に固定されている。
また、θaとθbには、基本正弦波θ1の振幅A1を利用して、θb=A1√3/2 、|θb|≠|θa|の関係がある。このため、基本正弦波θ1は、1周期Tの4分の1が経過した時点で振幅A1と等しい値を示し、1周期Tの6分の1が経過した時点と1周期Tの3分の1が経過した時点でBDセンサー43bの固定位置に対応するθbと等しい値を示すようになっている。
BDセンサー43a,43bは、ミラー部11が往復振動(揺動)することによって、1周期Tの間に4度、光ビームLBを受光したことを示す検出信号を補正値算出部51に出力する。これによって、補正値算出部51は、4つの信号間隔t1,t12,t2,t21を算出する。尚、ミラー部11の偏向角特性が初期状態にあるときの、この4つの信号間隔は、試験運転等による実験値として予めROM等に記憶されている。
基本正弦波θ1の振幅A1と重畳正弦波θ3の振幅A3とがともに初期状態のまま変化していない場合において、図7においてグラフG0に示す、基本正弦波θ1と重畳正弦波θ3とを重畳した略三角波θ0がθ0(t)=θbのとき、重畳正弦波θ3は0である。つまり、重畳正弦波θ3の振幅A3の大きさが変化したとしても、その変化によって信号間隔t1が変化することはないと考えられる。
そこで、補正値算出部51は、信号間隔t1が予めROM等に記憶されているものよりも小さい場合は、BDセンサー43bから出力される検出信号の時間間隔を大きく補正するために、基本正弦波θ1の振幅A1の大きさ(絶対値)を増大させるのに必要な電圧値を基本補正電圧値として算出する。また、補正値算出部51は、信号間隔t1が予めROM等に記憶されているものよりも大きい場合は、BDセンサー43bから出力される検出信号の時間間隔を小さく補正すべく、基本正弦波θ1の振幅A1の大きさを減少させるのに必要な電圧値を基本補正電圧値として算出する。尚、試験運転等の実験値に基づいて、基本正弦波θ1の振幅A1の調整量と基本駆動電圧の電圧値の調整量の関係は、予めROM等に記憶されている。
そして、補正値算出部51は、後述の第一DAC52、第一増幅器53、及び基本波形整形部54を介して、電圧値が算出した基本補正電圧値に等しくなった基本駆動電圧でミラー駆動部171を駆動させ、このときの信号間隔t2が予めROM等に記憶されているものよりも小さい場合は、BDセンサー43aから出力される検出信号の時間間隔を大きく補正するために、重畳正弦波θ3の振幅A3の大きさ(絶対値)を増大させるのに必要な電圧値を重畳補正電圧値として算出する。
また、補正値算出部51は、電圧値が算出した基本補正電圧値に等しくなった基本駆動電圧でミラー駆動部171を駆動させたときの信号間隔t2が予めROM等に記憶されているものよりも大きい場合は、BDセンサー43aから出力される検出信号の時間間隔を小さく補正するために、重畳正弦波θ3の振幅A3の大きさを減少させるのに必要な電圧値を重畳補正電圧値として算出する。尚、試験運転等の実験値に基づいて、重畳正弦波θ3の振幅A3の調整量と重畳駆動電圧の電圧値の調整量の関係は、予めROM等に記憶されている。
図8に戻り、補正値算出部51は、算出した基本補正電圧値を後述の第一増幅器53で用いる増幅率で除算した結果の、基本補正電圧値よりも小さい電圧値を示すデジタル信号を第一DAC52に出力する。また、補正値算出部51は、算出した重畳補正電圧値を後述の第二増幅器56で用いる増幅率で除算した結果の、重畳補正電圧値よりも小さい電圧値を示すデジタル信号を第二DAC55に出力する。
第一DAC52は、所謂デジタルアナログコンバータであり、補正値算出部51から入力されたデジタル信号によって示される直流電圧V1を生成し、第一増幅器53に出力する。同様に、第二DAC55は、所謂デジタルアナログコンバータであり、補正値算出部51から入力されたデジタル信号によって示される直流電圧V5を生成し、第二増幅器56に出力する。
第一増幅器53は、第一DAC52から入力された直流電圧V1を予め定められた増幅率で増幅して、基本補正電圧値に等しい電圧V2を基本波形整形部54に出力する。同様に、第二増幅器56は、第二DAC55から入力された直流電圧V5を予め定められた増幅率で増幅して、重畳補正電圧値に等しい電圧V6を重畳波形整形部57に出力する。
基本波形整形部54は、第一増幅器53で増幅された直流電圧V2を、上記の基本正弦波θ1の周期に等しい周期である基本周期で変動するように整形する。同様に、重畳波形整形部57は、第二増幅器56で増幅された直流電圧V6を、上記の重畳正弦波θ3の周期に等しい周期である、つまり、基本周期の3分の1の周期である重畳周期で変動するように整形する。
具体的には、基本波形整形部54は、基本スイッチング素子541と、基本スイッチング制御部542と、を備えて構成されている。
基本スイッチング素子541は、第一増幅器53とミラー駆動部171との間に設けられ、第一増幅器53によって増幅された直流電圧V2の出力先をミラー駆動部17a,17cまたはミラー駆動部17b,17dに切り替える素子である。基本スイッチング制御部542は、上記基本周期の半分の周期毎に基本スイッチング素子541の切り替えを行う。
同様に、具体的には、重畳波形整形部57は、重畳スイッチング素子571と、重畳スイッチング制御部572と、を備えて構成されている。
重畳スイッチング素子571は、第二増幅器56とミラー駆動部172との間に設けられ、第二増幅器56によって増幅された直流電圧V6の出力先をミラー駆動部17e,17gまたはミラー駆動部17f,17hに切り替える素子である。重畳スイッチング制御部572は、上記重畳周期の半分の周期毎に重畳スイッチング素子571の切り替えを行う。
図9(a)は、第一増幅器53に入力される直流電圧V1の電圧値の変化及び基本波形整形部54に入力される直流電圧V2の電圧値の変化を示す図である。図9(b)は、ミラー駆動部17a,17cに入力される直流電圧である駆動電圧V3の電圧値の変化を示す図である。図9(c)は、ミラー駆動部17b,17dに入力される直流電圧である駆動電圧V4の電圧値の変化を示す図である。図10は、駆動電圧V3,V4の電圧値の変化に応じた可動フレーム16の偏向角の変化を示す図である。
図9(a)に示すように、補正値算出部51によって算出された基本補正電圧値に基づいて、時刻t0で、第一増幅器53に入力される直流電圧V1が上昇すると、基本波形整形部54に入力される、第一増幅器53によって増幅された直流電圧V2の波形が滑らかに上昇する。尚、直流電圧V2の波形が滑らかに上昇する理由は、第一増幅器53の応答性が悪いためである。
その後、基本波形整形部54では、基本スイッチング制御部542によって、基本周期Tの半分の周期T/2毎に基本スイッチング素子541の切り替えが行われ、基本波形整形部54に入力された直流電圧V2が基本周期Tの半分の周期T/2毎に、ミラー駆動部17a,17cとミラー駆動部17b,17dとの間で交互に切り替えて出力される。これにより、基本波形整形部54は、図9(b)及び(c)に示すように、第一増幅器53で増幅された直流電圧V2の波形を基本周期Tで変動する矩形波に整形し、ミラー駆動部17a,17cの駆動電圧V3及びミラー駆動部17b,17dの駆動電圧V4として出力する。
そして、図10に示すように、可動フレーム16の偏向角は、図9(b)及び図9(c)に示したミラー駆動部17a,17c及びミラー駆動部17b,17dに供給される駆動電圧V3,V4に応じて、時刻t0から基本周期Tの半分の周期T/2が経過する頃には最大偏向角の大きさが増大し、基本周期Tで変動するようになる。
図11(a)は、第二増幅器56に入力される直流電圧V5の電圧値の変化及び重畳波形整形部57に入力される直流電圧V6の電圧値の変化を示す図である。図11(b)は、ミラー駆動部17e,17gに入力される直流電圧である駆動電圧V7の電圧値の変化を示す図である。図11(c)は、ミラー駆動部17f,17hに入力される直流電圧である駆動電圧V8の電圧値の変化を示す図である。図12は、駆動電圧V7,V8の電圧値の変化に応じた、ミラー部11の偏向角の可動フレーム16に対する相対的な変化を示す図である。
図11(a)に示すように、補正値算出部51によって算出された重畳補正電圧値に基づいて、時刻t0で、第二増幅器56に入力される直流電圧V5が上昇すると、重畳波形整形部57に入力される、第二増幅器56によって増幅された直流電圧V6の波形が滑らかに上昇する。尚、直流電圧V6の波形が滑らかに上昇する理由は、第二増幅器56の応答性が悪いためである。
その後、重畳波形整形部57では、重畳スイッチング制御部572によって、図11(b)及び図11(c)に示すように、重畳周期T/3の半分の周期T/6毎に重畳スイッチング素子571の切り替えが行われ、重畳波形整形部57に入力された直流電圧V6が重畳周期T/3の半分の周期T/6毎に、ミラー駆動部17b,17dとミラー駆動部17a,17cとの間で交互に切り替えて出力される。つまり、重畳波形整形部57は、第二増幅器56で増幅された直流電圧V6の波形を重畳周期T/3で変動する矩形波に整形し、ミラー駆動部17e,17gの駆動電圧V7及びミラー駆動部17f,17hの駆動電圧V8として出力する。
そして、図12に示すように、ミラー部11の可動フレーム16に対して相対的な偏向角は、図11(b)及び図11(c)に示したミラー駆動部17e,17g及びミラー駆動部17f,17hに供給される駆動電圧V7,V8に応じて、時刻t0から重畳周期T/3の半分の周期T/6が経過する頃には最大偏向角の大きさが増大し、重畳周期T/3で変動するようになる。
上記実施形態の構成によれば、第一DAC52によって基本補正電圧値よりも低い電圧値の直流電圧V1が生成され、生成された直流電圧V1は第一増幅器53によって基本補正電圧値と等しい電圧値になるように増幅される。そして、増幅された直流電圧V2の波形は、基本波形整形部54によって基本周期で矩形波状に変動するように整形され、基本周期で変動する交流電圧V3,V4が、基本駆動電圧としてミラー駆動部171に出力される。
同様に、第二DAC55によって重畳補正電圧値よりも低い電圧値の直流電圧V5が生成され、生成された直流電圧V5は第二増幅器56によって重畳補正電圧値と等しい電圧値になるように増幅される。そして、増幅された直流電圧V6の波形は、重畳波形整形部57によって、基本周期の3分の1の周期に等しい重畳周期で矩形波状に変動するように整形され、この重畳周期で変動する交流電圧V7,V8が、重畳駆動電圧としてミラー駆動部172に出力される。
つまり、本実施形態では、基本駆動電圧と重畳駆動電圧とを生成するための構成として、従来技術で採用されていた正弦波を生成可能な高価な発振器に代えて、直流電圧を生成可能な安価な第一DAC52及び第二DAC55を採用している。そして、従来技術では、駆動電圧毎に正弦波を正確に増幅可能な高価な増幅器を備えた構成を採用していたが、本実施形態では、直流電圧を予め固定された増幅率で正確に増幅可能な安価な第一増幅器53及び第二増幅器56を備えた構成を採用している。その結果、基本駆動電圧と重畳駆動電圧とが重畳されることによって駆動するMEMSミラーを備えた光走査装置を安価に提供することができる。
また、基本波形整形部54は、基本スイッチング素子541と基本スイッチング制御部542とを備えて構成されている。つまり、第一増幅器53で増幅された直流電圧V2の出力先を基本周期の半分の周期毎にミラー駆動部17a,17cとミラー駆動部17b,17dとに交互に出力させるという簡素な構成で、ミラー駆動部17a,17cとミラー駆動部17b,17dに出力される基本駆動電圧の波形を基本周期で変動する矩形波に整形することができる。
また、重畳波形整形部57は、重畳スイッチング素子571と重畳スイッチング制御部572とを備えて構成されている。つまり、第二増幅器56で増幅された直流電圧V6の出力先を重畳周期の半分の周期毎にミラー駆動部17e,17gとミラー駆動部17f,17hとに交互に出力させるという簡素な構成で、ミラー駆動部17e,17gとミラー駆動部17f,17hに出力される重畳駆動電圧の波形を重畳周期で変動する矩形波に整形することができる。
また、少なくとも2方向に駆動電圧の供給経路を切り替える安価なスイッチング素子を用いて、基本波形整形部54を安価に構成することができる。
また、少なくとも2方向に駆動電圧の供給経路を切り替える安価なスイッチング素子を用いて、重畳波形整形部57を安価に構成することができる。
尚、上記実施形態において図1乃至図12に示した構成及び設定は、単なる一例に過ぎず、これに限定する趣旨ではない。
例えば、補正値算出部51は、矩形波に整形された基本駆動電圧に含まれる重畳周期の周波数成分により生じるミラー部11の駆動力を相殺するように、重畳補正電圧値を算出するように構成してもよい。
当該構成について詳述する。図13は、矩形波に整形された基本駆動電圧の時間変化と当該矩形波の基本波と3倍高調波との関係を示す図である。図13のグラフW0に示すように、基本波形整形部54によって、電圧値がV1’であって基本周期Tで変動する矩形波に整形された基本駆動電圧の時間変化v0(t)は、周波数がω/2πの正弦波(sinωt)、周波数が3ω/2πの正弦波(sin3ωt)、周波数が5ω/2πの正弦波(sin5ωt)・・・、のように、周波数が基本正弦波の周波数ω/2πの奇数倍の複数の正弦波を組み合わせて示すことができる。
図13には、グラフW0の矩形波を構成する正弦波のうち、特に、周波数が基本正弦波の周波数に等しいω/2πの正弦波(sinωt)である基本波をグラフW1に示し、周波数が基本正弦波の3倍の周波数に等しい3ω/2πの正弦波(sin3ωt)である3倍高調波をグラフW3に示している。このように、基本駆動電圧には、基本正弦波の3倍の周波数の正弦波、つまり、重畳周期の周波数成分が含まれている。
この基本正弦波の3倍の周波数の正弦波は、図7に示す略三角波θ0を構成する重畳正弦波θ3の位相とは逆位相になっている。このため、矩形波に整形された基本駆動電圧によってミラー駆動部171を駆動したときに、この基本駆動電圧の波形の矩形波に含まれる重畳周期の周波数成分による駆動電圧によって、トーションバー15aの駆動を抑止する虞がある。
つまり、重畳周期で変動する重畳補正電圧値に等しい矩形波を用いてトーションバー15aをねじれ動作させる場合に、トーションバー15b,15cをねじれ動作させて可動フレーム16を駆動させている、矩形波に整形された基本駆動電圧に含まれる重畳周期の周波数成分によって、精度良くトーションバー15aをねじれ動作させることができない虞がある。
そこで、当該構成では、補正値算出部51は、重畳補正電圧値を算出する場合に、図13の点線部に示す基本正弦波の3倍の周波数の正弦波が示す電圧値の分だけ削除(減算)するようにして、重畳補正電圧値を算出する。
当該構成によれば、補正値算出部51によって、矩形波に整形された基本駆動電圧に含まれる、重畳周期と周期が等しい高調波成分により生じるミラー部11の駆動力を相殺するように、重畳補正電圧値が算出されるので、精度良くトーションバー15aをねじれ動作させることができる。
また、補正値算出部51は、基本周期のうち、第一増幅器53によって増幅された直流電圧V2をミラー駆動部171に出力する期間の割合を示すデューティー比である基本補正デューティー比を、更に算出するように構成してもよい。これに合わせて、基本波形整形部54は、基本周期のうち、補正値算出部51で算出された上記基本補正デューティー比に対応する期間、基本駆動電圧をハイレベルにするように構成してもよい。
図14は、当該構成における露光部115の構成を示すブロック図である。図14に示すように、補正値算出部51は、上記のように、BDセンサー43a,43bから検出信号が出力されたタイミングを用いて、ミラー部11の偏向角θの変化を補償するために、基本正弦波θ1の振幅A1の大きさを粗め(例えば、変化量の95%を補償する程度)に補正するのに必要な電圧値を基本補正電圧値として算出するとともに、基本正弦波θ1の振幅A1の大きさを残り僅か(例えば、変化量の5%分補償する程度)に補正するための基本補正デューティー比を算出して、基本波形整形部54に出力する。
これに合わせて、基本スイッチング素子541は、第一増幅器53によって増幅された直流電圧V2の出力先を、ミラー駆動部17a,17cとミラー駆動部17b,17dに加えて、負荷L1にも切り替え可能に構成されている。
図15(a)は、補正値算出部51によって算出された基本補正デューティー比に応じた、ミラー駆動部17a,17cに入力される直流電圧である駆動電圧V3の電圧値の変化を示す図である。図15(b)は、補正値算出部51によって算出された基本補正デューティー比に応じた、負荷L1に入力される直流電圧VL1の電圧値の変化を示す図である。図15(c)は、補正値算出部51によって算出された基本補正デューティー比に応じた、ミラー駆動部17b,17dに入力される直流電圧である駆動電圧V4の電圧値の変化を示す図である。
補正値算出部51によって算出された基本補正デューティー比が例えば40%である場合、基本スイッチング制御部542は、図15(a)に示すように、補正値算出部51によって算出された基本補正デューティー比40%に応じて、基本周期Tのうちの最初の40%の期間は、第一増幅器53によって増幅された直流電圧V2の出力先をミラー駆動部17a,17cにするように、基本スイッチング素子541を切り替える。
続いて、基本スイッチング制御部542は、図15(b)に示すように、基本周期Tの半分の周期T/2が経過するまでの残りの期間である基本周期Tの10%の期間、第一増幅器53によって増幅された直流電圧V2の出力先を負荷L1にするように、基本スイッチング素子541を切り替える。
続いて、基本スイッチング制御部542は、図15(c)に示すように、基本周期Tのうちの40%の期間、第一増幅器53によって増幅された直流電圧V2の出力先をミラー駆動部17b,17dにするように、基本スイッチング素子541を切り替える。
そして、基本スイッチング制御部542は、図15(b)に示すように、基本周期Tが経過するまでの残りの期間である基本周期Tの10%の期間、第一増幅器53によって増幅された直流電圧V2の出力先を負荷L1にするように、基本スイッチング素子541を切り替える。
この構成によれば、基本補正電圧値を用いるだけでなく、更に基本補正デューティー比を用いて、ミラー駆動部171に基本駆動電圧を印加する期間を調整することによって、ミラー駆動部171に供給する駆動電圧を補正することができる。
また、これと同様に、補正値算出部51は、重畳周期のうち、第二増幅器56によって増幅された直流電圧V6をミラー駆動部172に出力する期間の割合を示すデューティー比である重畳補正デューティー比を更に算出するように構成してもよい。これに合わせて、重畳波形整形部57は、重畳周期のうち、補正値算出部51で算出された上記重畳補正デューティー比に対応する期間、重畳駆動電圧をハイレベルにするように構成してもよい。
図16は、当該構成における露光部115の構成を示すブロック図である。図16に示すように、補正値算出部51は、上記のように、BDセンサー43a,43bから検出信号が出力されたタイミングを用いて、ミラー部11の偏向角θの変化を補償するために、重畳正弦波θ3の振幅A3の大きさを粗め(例えば、変化量の95%を補償する程度)に補正するのに必要な電圧値を重畳補正電圧値として算出するとともに、重畳正弦波θ3の振幅A3の大きさを残り僅か(例えば、変化量の5%分補償する程度)に補正するための重畳補正デューティー比を算出して、重畳波形整形部57に出力する。
これに合わせて、重畳スイッチング素子571は、第二増幅器56によって増幅された直流電圧V6の出力先を、ミラー駆動部17e,17gとミラー駆動部17f,17hに加えて、負荷L2にも切り替え可能に構成されている。
図17(a)は、補正値算出部51によって算出された重畳補正デューティー比に応じた、ミラー駆動部17e,17gに入力される直流電圧である駆動電圧V7の電圧値の変化を示す図である。図17(b)は、補正値算出部51によって算出された重畳補正デューティー比に応じた、負荷L2に入力される直流電圧VL2の電圧値の変化を示す図である。図17(c)は、補正値算出部51によって算出された重畳補正デューティー比に応じた、ミラー駆動部17b,17dに入力される直流電圧である駆動電圧V8の電圧値の変化を示す図である。
補正値算出部51によって算出された重畳補正デューティー比が例えば40%である場合、重畳スイッチング制御部572は、図17(c)に示すように、補正値算出部51によって算出された重畳補正デューティー比40%に応じて、重畳周期T/3のうちの最初の40%の期間は、第二増幅器56によって増幅された直流電圧V6の出力先をミラー駆動部17f,17hにするように、重畳スイッチング素子571を切り替える。
続いて、重畳スイッチング制御部572は、図17(b)に示すように、重畳周期T/3の半分の周期T/6が経過するまでの残りの期間である重畳周期T/3の10%の期間、第二増幅器56によって増幅された直流電圧V6の出力先を負荷L2にするように、重畳スイッチング素子571を切り替える。
続いて、重畳スイッチング制御部572は、図17(a)に示すように、重畳周期T/3のうちの40%の期間、第二増幅器56によって増幅された直流電圧V6の出力先をミラー駆動部17e,17gにするように、重畳スイッチング素子571を切り替える。
そして、重畳スイッチング制御部572は、図17(b)に示すように、重畳周期T/3が経過するまでの残りの期間である重畳周期T/3の10%の期間、第二増幅器56によって増幅された直流電圧V6の出力先を負荷L2にするように、重畳スイッチング素子571を切り替える。
この構成によれば、重畳補正電圧値を用いるだけでなく、更に重畳補正デューティー比を用いて、ミラー駆動部172に重畳駆動電圧を印加する期間を調整することによって、ミラー駆動部172に供給する駆動電圧を補正することができる。
尚、補正値算出部51は、上記の図14、図15(a)、図15(b)及び図15(c)を用いて説明した構成と、上記の図16、図17(a)、図17(b)及び図17(c)を用いて説明した構成とを組み合わせて、基本補正デューティー比と重畳補正デューティー比とをともに算出するように構成し、これに合わせて、基本波形整形部54は、基本周期Tのうちの基本補正デューティー比に対応する期間、基本駆動電圧をハイレベルにし、重畳波形整形部57は、重畳周期のうちの重畳補正デューティー比に対応する期間、重畳駆動電圧をハイレベルにするように構成してもよい。
また、上記構成では、第一増幅器53は、第一DAC52から出力される直流電圧V1を予め固定された増幅率で増幅するように構成されていたが、これに代えて、第一増幅器53を、第一DAC52から出力される直流電圧を可変の増幅率で増幅可能な増幅器によって構成してもよい。
これに合わせて、第一DAC52は、補正値算出部51で算出された基本補正電圧値よりも十分に小さい、予め固定された電圧値(初期基本電圧値)の直流電圧を第一増幅器53に出力するように構成する。そして、補正値算出部51によって算出された基本補正電圧値を初期基本電圧値で除算した値を算出し、当該算出した値を第一増幅器53の増幅率として設定する基本増幅率設定部(図略)を、露光部115に更に備えるように構成する。
この構成によれば、第一DAC52によって、基本補正電圧値よりも低い予め固定された電圧値である初期基本電圧値の直流電圧が生成される。つまり、多様な電圧値の直流電圧を生成するように第一DAC52を構成する場合に比して、簡素で安価な第一DAC52にすることができる。
また、上記構成では、第二増幅器56は、第二DAC55から出力される直流電圧V5を予め固定された増幅率で増幅するように構成されていたが、これに代えて、第二増幅器56を、第二DAC55から出力される直流電圧を可変の増幅率で増幅可能な増幅器によって構成してもよい。
これに合わせて、第二DAC55は、補正値算出部51で算出された重畳補正電圧値よりも十分に小さい、予め固定された電圧値(初期重畳電圧値)の直流電圧を第二増幅器56に向けて出力するように構成する。そして、補正値算出部51によって算出された重畳補正電圧値を初期重畳電圧値で除算した値を算出し、当該算出した値を第二増幅器56の増幅率として設定する重畳増幅率設定部(図略)を、露光部115に更に備えるように構成する。
この構成によれば、第二DAC55によって、重畳補正電圧値よりも低い予め固定された電圧値である初期重畳電圧値の直流電圧が生成される。つまり、多様な電圧値の直流電圧を生成するように第二DAC55を構成する場合に比して、簡素で安価な第二DAC55にすることができる。
また、基本正弦波θ1の振幅A1と重畳正弦波θ3の振幅A3とがともに初期状態のまま変化していない場合、図7においてグラフG0に示す略三角波θ0の対称性より、信号間隔t12と信号間隔t21とが等しくなる。したがって、補正値算出部51によって算出された信号間隔t12と信号間隔t21とが異なる場合には、上記の対称性が崩れ、基本正弦波θ1と重畳正弦波θ3に位相差が生じているものと考えられる。
そこで、補正値算出部51は、算出した信号間隔t12と信号間隔t21とが異なる場合に、算出した信号間隔t12と信号間隔t21とが等しくなるように、重畳正弦波θ3の位相を早くする、または、遅くするときの位相差を実験値に基づいて算出し、当該位相差を基本スイッチング制御部542または重畳スイッチング制御部572に出力するように構成してもよい。これに合わせて、基本スイッチング制御部542は、入力された位相差に従って、基本スイッチング素子541の切り替えタイミングをずらすように構成する。または、重畳スイッチング制御部572は、入力された位相差に従って、重畳スイッチング素子571の切り替えタイミングをずらすように構成する。
尚、上記実施形態においては、本発明に係る画像形成装置の一例として複合機を例に説明したが、本発明は、プリンター、コピー機、或いはFAX等の画像形成装置や、スキャナー、プロジェクター、或いはバーコードリーダー等の光走査装置にも適用可能である。