JP2013169725A - レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法を提供すること。
【解決手段】熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程、並びに、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含み、前記板の材質が、無機材料であることを特徴とするレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程、並びに、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含み、前記板の材質が、無機材料であることを特徴とするレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法に関する。
レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。この方式では、フレキソ原版に直接レーザーを照射し、光熱変換で熱分解及び揮発を生じさせ、凹部を形成する。直彫りCTP方式は、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができる。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、又は、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をする、なども可能である。
一方、光学フィルムの製造方法としては、以下に示す特許文献1及び2に記載された方法が知られている。
特許文献1には、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法であって、樹脂溶液を支持体上に流延し、流延後1000mm以内に、支持体上のウェブを覆いかつ流延方向に伸びる防風板を設置することを特徴とする光学フィルムの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、原料の樹脂を溶媒に溶解させ樹脂溶液をダイスより無端支持体上に流延してウェブを形成する流延工程と、前記ウェブを前記無端支持体から剥離した後、少なくとも乾燥工程、巻き取り工程とを有する溶液流延製造装置により光学用フィルムを製造する光学用フィルムの製造方法において、前記流延工程は、前記無端支持体と、前記ダイスと、前記ウェブの乾燥風の供給装置と、前記乾燥風の開口部を有する整流手段とを有することを特徴とする光学用フィルムの製造方法が開示されている。
特許文献1には、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法であって、樹脂溶液を支持体上に流延し、流延後1000mm以内に、支持体上のウェブを覆いかつ流延方向に伸びる防風板を設置することを特徴とする光学フィルムの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、原料の樹脂を溶媒に溶解させ樹脂溶液をダイスより無端支持体上に流延してウェブを形成する流延工程と、前記ウェブを前記無端支持体から剥離した後、少なくとも乾燥工程、巻き取り工程とを有する溶液流延製造装置により光学用フィルムを製造する光学用フィルムの製造方法において、前記流延工程は、前記無端支持体と、前記ダイスと、前記ウェブの乾燥風の供給装置と、前記乾燥風の開口部を有する整流手段とを有することを特徴とする光学用フィルムの製造方法が開示されている。
本発明の目的は、ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は以下の<1>及び<9>〜<11>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<8>と共に以下に記載する。
<1>熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程、並びに、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含み、前記板の材質が、無機材料であることを特徴とするレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<2>前記板が、1〜400W/m・Kの熱伝導率を有する無機材料からなる、上記<1>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<3>前記板の厚さが、1mm以上である、上記<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<4>前記熱硬化性層が、カーボンブラックを更に含有する、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<5>前記熱硬化性層が、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物を更に含有する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<6>前記熱硬化層と前記支持体とを剥離する剥離工程、及び、前記熱硬化層の前記支持体から剥離した側の表面に接着剤を付与し別の支持体を接着する接着工程を更に含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<7>前記接着工程が、前記熱硬化層の表面に光硬化性接着剤を付与し前記光硬化性接着剤を光により硬化させ別の支持体を接着する工程である、上記<6>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<8>前記別の支持体が、透明である、上記<6>又は<7>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<9>上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の製造方法により製造された、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<10>上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成する彫刻工程を含む、フレキソ印刷版の製版方法、
<11>上記<10>に記載の製版方法により製造された、フレキソ印刷版。
<1>熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程、並びに、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含み、前記板の材質が、無機材料であることを特徴とするレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<2>前記板が、1〜400W/m・Kの熱伝導率を有する無機材料からなる、上記<1>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<3>前記板の厚さが、1mm以上である、上記<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<4>前記熱硬化性層が、カーボンブラックを更に含有する、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<5>前記熱硬化性層が、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物を更に含有する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<6>前記熱硬化層と前記支持体とを剥離する剥離工程、及び、前記熱硬化層の前記支持体から剥離した側の表面に接着剤を付与し別の支持体を接着する接着工程を更に含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<7>前記接着工程が、前記熱硬化層の表面に光硬化性接着剤を付与し前記光硬化性接着剤を光により硬化させ別の支持体を接着する工程である、上記<6>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<8>前記別の支持体が、透明である、上記<6>又は<7>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<9>上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の製造方法により製造された、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<10>上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成する彫刻工程を含む、フレキソ印刷版の製版方法、
<11>上記<10>に記載の製版方法により製造された、フレキソ印刷版。
本発明によれば、ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法が提供できた。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
(レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法)
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版(以下、単に「フレキソ印刷版原版」ともいう。)の製造方法は、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程、並びに、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含み、前記板の材質が、無機材料であることを特徴とする。
また、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版は、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版である。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版(以下、単に「フレキソ印刷版原版」ともいう。)の製造方法は、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程、並びに、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含み、前記板の材質が、無機材料であることを特徴とする。
また、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版は、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版である。
本発明者が詳細な検討を行った結果、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて材質が無機材料の板を設置した状態で熱硬化させることにより、ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版を製造できることを、本発明者は見いだした。
上記態様であると、溶媒を含有する熱硬化性層に熱を与えて熱硬化されるため、熱硬化時において溶媒が熱硬化性層から揮発し、揮発した溶媒が前記熱硬化性層表面と前記板との0.20〜20mmの間隔の隙間に充満して相対的に酸素の分圧が低下すると推定される。これにより、酸素による熱硬化性層、特に熱硬化性層表面での硬化阻害を抑制できるため、ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版が得られるものと推定される。
上記態様であると、溶媒を含有する熱硬化性層に熱を与えて熱硬化されるため、熱硬化時において溶媒が熱硬化性層から揮発し、揮発した溶媒が前記熱硬化性層表面と前記板との0.20〜20mmの間隔の隙間に充満して相対的に酸素の分圧が低下すると推定される。これにより、酸素による熱硬化性層、特に熱硬化性層表面での硬化阻害を抑制できるため、ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版が得られるものと推定される。
本発明において「熱硬化性層」とは、熱硬化前の状態の層をいい、すなわち、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する組成物からなる層である。
本発明において「熱硬化層」とは、前記熱硬化性層を熱硬化した層をいう。また、前記熱硬化は、熱により少なくとも前記エチレン性化合物が重合し硬化される反応であれば特に限定されず、他の成分が更に反応していてもよい。
熱硬化層を有するレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻することにより「フレキソ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、フレキソ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の前記熱硬化層をいう。
本発明において「熱硬化層」とは、前記熱硬化性層を熱硬化した層をいう。また、前記熱硬化は、熱により少なくとも前記エチレン性化合物が重合し硬化される反応であれば特に限定されず、他の成分が更に反応していてもよい。
熱硬化層を有するレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻することにより「フレキソ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、フレキソ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の前記熱硬化層をいう。
<形成工程>
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程を含む。
前記形成工程における熱硬化性層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、後述するレーザー彫刻用組成物を調製し、このレーザー彫刻用組成物から溶媒の一部を脱泡の目的で除去した後に、支持体表面や版胴上に、溶融押し出しする、或いは、支持体上に形成する場合には、レーザー彫刻用組成物を支持体上に流延するなどの方法が挙げられる。また、熱硬化性層の形状を安定させるため、必要に応じ、これをオーブン等の乾燥手段中で乾燥することにより、熱硬化性層から完全に溶媒を除去しない程度に、溶媒を形成工程において一部除去してもよい。
前記熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を形成する原材料としては、後述するレーザー彫刻用組成物を好適に挙げることができる。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程を含む。
前記形成工程における熱硬化性層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、後述するレーザー彫刻用組成物を調製し、このレーザー彫刻用組成物から溶媒の一部を脱泡の目的で除去した後に、支持体表面や版胴上に、溶融押し出しする、或いは、支持体上に形成する場合には、レーザー彫刻用組成物を支持体上に流延するなどの方法が挙げられる。また、熱硬化性層の形状を安定させるため、必要に応じ、これをオーブン等の乾燥手段中で乾燥することにより、熱硬化性層から完全に溶媒を除去しない程度に、溶媒を形成工程において一部除去してもよい。
前記熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を形成する原材料としては、後述するレーザー彫刻用組成物を好適に挙げることができる。
熱硬化性層の形状は、特に制限はないが、例えば、シート状又はスリーブ状(円筒状)に形成することができる。中でも、シート状であることが好ましい。
支持体に使用する素材は、特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT))やポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。
支持体の厚みは、好ましくは50μm以上350μm以下、より好ましくは100μm以上250μm以下が原版の機械的特性、形状安定性或いは印刷版製版時の取り扱い性等から好ましい。
また、必要により、支持体と熱硬化層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤を表面に設けてもよい。
また、本発明で用いることができる支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、熱硬化層或いは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線或いは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
支持体に使用する素材は、特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT))やポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。
支持体の厚みは、好ましくは50μm以上350μm以下、より好ましくは100μm以上250μm以下が原版の機械的特性、形状安定性或いは印刷版製版時の取り扱い性等から好ましい。
また、必要により、支持体と熱硬化層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤を表面に設けてもよい。
また、本発明で用いることができる支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、熱硬化層或いは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線或いは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
前記熱硬化性層をシート状又は円筒状に形成する方法は、既存の形成方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械でレーザー彫刻用組成物をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる方法、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等が例示できる。その際、加熱しながら成形を行うことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などを施してもよい。通常はPETやニッケルなどの素材からなるバックフィルムといわれる下敷きの上に成形される場合が多いが、直接印刷機のシリンダー上に成形する場合などもありうる。また、繊維強化プラスチック(FRP)製、プラスチック製又は金属製の円筒状支持体を用いることもできる。円筒状支持体は軽量化のために一定厚みで中空のものを使用することができる。バックフィルム或いは円筒状支持体の役割は、印刷版原版の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択することが好ましい。
熱硬化性層の厚みは、その使用目的に応じて任意に設定して構わないが、好ましくは0.0005mm以上10mm以下の範囲であり、印刷版の耐刷性とレーザー彫刻のしやすさから、より好ましくは0.005mm以上7mm以下の範囲である。場合によっては、組成の異なる材料を複数積層していても構わない。
熱硬化性層の形成方法、及び、板の設置方法については、前述したように特に制限はないが、具体例としては例えば、図1に示す実施態様が挙げられる。
図1は、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法における熱硬化工程時の板及び熱硬化性層等の一例を表す模式的断面図である。
図1に示すように、ステンレス鋼(SUS)製の流延基板A上にポリエステル樹脂(PET)製支持体Bが設置されており、支持体B上に熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層Cが形成されている。また、熱硬化性層C表面から距離W離れた位置に板Dが設けられている。距離Wは、0.20〜20mmの距離がとなっている。板Dの材質は、SUSが好ましく例示できる。
図1に示す状態で熱硬化性層Cを熱硬化させることにより、熱硬化性層Cと板Dとの間に揮発した溶媒が充満し、酸素による熱硬化性層、特に熱硬化性層表面での硬化阻害を抑制できるため、ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版が得られるものと推定される。
また、図1において、流延基板A、支持体B及び熱硬化性層Cは、搬送ベルト等の搬送手段により紙面手前方向又は紙面奥方向に搬送されながら、ヒーター等の加熱手段により加熱される態様が好ましく例示できる。
図1は、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法における熱硬化工程時の板及び熱硬化性層等の一例を表す模式的断面図である。
図1に示すように、ステンレス鋼(SUS)製の流延基板A上にポリエステル樹脂(PET)製支持体Bが設置されており、支持体B上に熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層Cが形成されている。また、熱硬化性層C表面から距離W離れた位置に板Dが設けられている。距離Wは、0.20〜20mmの距離がとなっている。板Dの材質は、SUSが好ましく例示できる。
図1に示す状態で熱硬化性層Cを熱硬化させることにより、熱硬化性層Cと板Dとの間に揮発した溶媒が充満し、酸素による熱硬化性層、特に熱硬化性層表面での硬化阻害を抑制できるため、ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版が得られるものと推定される。
また、図1において、流延基板A、支持体B及び熱硬化性層Cは、搬送ベルト等の搬送手段により紙面手前方向又は紙面奥方向に搬送されながら、ヒーター等の加熱手段により加熱される態様が好ましく例示できる。
<熱硬化工程>
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含む。
前記板は、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて設置されていればよいが、前記熱硬化性層表面に対して、板の表面が略平行になるように設置された板であることが好ましく、前記熱硬化性層表面に対して、板の表面が平行になるように設置された板であることがより好ましい。なお、略平行とは、平行からの傾きが5°以内の角度であるものとする。
前記熱硬化工程に用いられる板の材質は、使用する溶媒により溶解しない無機材料であれば特に制限はないが、金属が好ましい。
金属としては、特に限定はないが、鉄鋼や非鉄金属が好ましい。
鉄鋼としては、炭素鋼、鋳鉄、合金鋼等が挙げられ、合金鋼の中でもクロム鋼、ニッケル鋼、不銹鋼(ステンレス鋼)、高速度鋼、工具鋼などが好ましい。
非鉄金属としては、亜鉛、銅、アルミニウム、ニッケル及びこれらの合金が挙げられ、また、貴金属であるAu、Ag、Ptや低融点金属(Sn、Pb、Bi)、その他Mg、Tiなどでも構わない。
また、金属以外の無機材料としては、水晶等が挙げられる。
前記板の熱伝導率は、1〜500W/m・Kであることが好ましく、1〜400W/m・Kであることがより好ましく、10〜400W/m・Kであることが更に好ましい。上記範囲であると、板の温度が上昇しやすく、本発明の効果をより発揮できる。
熱伝導率の測定は、レーザーフラッシュ法が一般的であり、(株)リガク製LF/TCM−FA8510B等で測定できる。
板の厚みは、1mm以上が好ましく、1〜20mmがより好ましく、2〜10mmが更に好ましい。上記範囲であると、撓みの発生による熱硬化性層表面への板の接触を防止でき、また、熱硬化時の板の温度上昇速度が速く板表面における溶媒の結露の発生を防止できるため、面状故障の発生を抑制できる。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含む。
前記板は、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて設置されていればよいが、前記熱硬化性層表面に対して、板の表面が略平行になるように設置された板であることが好ましく、前記熱硬化性層表面に対して、板の表面が平行になるように設置された板であることがより好ましい。なお、略平行とは、平行からの傾きが5°以内の角度であるものとする。
前記熱硬化工程に用いられる板の材質は、使用する溶媒により溶解しない無機材料であれば特に制限はないが、金属が好ましい。
金属としては、特に限定はないが、鉄鋼や非鉄金属が好ましい。
鉄鋼としては、炭素鋼、鋳鉄、合金鋼等が挙げられ、合金鋼の中でもクロム鋼、ニッケル鋼、不銹鋼(ステンレス鋼)、高速度鋼、工具鋼などが好ましい。
非鉄金属としては、亜鉛、銅、アルミニウム、ニッケル及びこれらの合金が挙げられ、また、貴金属であるAu、Ag、Ptや低融点金属(Sn、Pb、Bi)、その他Mg、Tiなどでも構わない。
また、金属以外の無機材料としては、水晶等が挙げられる。
前記板の熱伝導率は、1〜500W/m・Kであることが好ましく、1〜400W/m・Kであることがより好ましく、10〜400W/m・Kであることが更に好ましい。上記範囲であると、板の温度が上昇しやすく、本発明の効果をより発揮できる。
熱伝導率の測定は、レーザーフラッシュ法が一般的であり、(株)リガク製LF/TCM−FA8510B等で測定できる。
板の厚みは、1mm以上が好ましく、1〜20mmがより好ましく、2〜10mmが更に好ましい。上記範囲であると、撓みの発生による熱硬化性層表面への板の接触を防止でき、また、熱硬化時の板の温度上昇速度が速く板表面における溶媒の結露の発生を防止できるため、面状故障の発生を抑制できる。
前記熱硬化工程における板と熱硬化性層表面との間隔は、0.20〜20mmであり、0.20〜10mmであることが好ましく、0.20〜5mmであることがより好ましく、0.20〜2mmであることが更に好ましい。上記範囲であると、ゴミの付着及び経時でのカールが改善され、彫刻カスの飛散抑制性及び版強度に優れたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版が得られる。前記間隔が0.20mm以下では、未硬化塗布後塗設物との接触によって面上欠陥を発生する。また、前記間隔が20mmを超えると、本発明の効果が十分得られない。
板と熱硬化性層表面との間隔は、公知の方法により測定すればよいが、例えば、熱硬化性層表面の位置を面内の10点の平均値で算出し、板との間隔を求める方法が好ましく挙げられる。
また、熱硬化性層の厚さを、塗布した組成物の吐出量を塗布面積と組成物比重で割った値から算出し、支持体から板までの間隔から熱硬化性層の厚さを引くことにより求める方法も例示できる。
板と熱硬化性層表面との間隔は、公知の方法により測定すればよいが、例えば、熱硬化性層表面の位置を面内の10点の平均値で算出し、板との間隔を求める方法が好ましく挙げられる。
また、熱硬化性層の厚さを、塗布した組成物の吐出量を塗布面積と組成物比重で割った値から算出し、支持体から板までの間隔から熱硬化性層の厚さを引くことにより求める方法も例示できる。
板の形状については、特に限定はないが、熱硬化性層側の微小表面形状はRa1.0μm以下が好ましい。板は、熱硬化性層表面に対して平行に位置することが好ましいが、熱硬化性層との接触がなければ、板の形状が中央から外側に向かって凹形状や凸形状であってもよく、蒲鉾型、逆蒲鉾型であってもよい。
板は、溶媒の結露防止のために加熱して、乾燥硬化する温度を維持することが好ましい。
前記熱硬化工程における加熱手段としては、熱硬化性層を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、支持体を加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
前記熱硬化工程における加熱温度は、溶媒が揮発し熱硬化可能な温度であれば特に制限はないが、40〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましく、80〜150℃が更に好ましい。なお、溶媒が揮発する温度とは、水が常温(20℃)であっても平衡的に揮発するように、溶媒の少なくとも一部が平衡的に揮発する温度であればよい。
前記熱硬化工程における加熱時間は、特に制限はなく、熱硬化が十分進行し熱硬化層が得られる時間であればよいが、10時間以下であることが好ましく、1〜10時間であることがより好ましい。
板は、溶媒の結露防止のために加熱して、乾燥硬化する温度を維持することが好ましい。
前記熱硬化工程における加熱手段としては、熱硬化性層を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、支持体を加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
前記熱硬化工程における加熱温度は、溶媒が揮発し熱硬化可能な温度であれば特に制限はないが、40〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましく、80〜150℃が更に好ましい。なお、溶媒が揮発する温度とは、水が常温(20℃)であっても平衡的に揮発するように、溶媒の少なくとも一部が平衡的に揮発する温度であればよい。
前記熱硬化工程における加熱時間は、特に制限はなく、熱硬化が十分進行し熱硬化層が得られる時間であればよいが、10時間以下であることが好ましく、1〜10時間であることがより好ましい。
また、熱硬化層を支持体上に形成する場合、両者の間には、層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
中でも、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、前記熱硬化層と前記支持体とを剥離する剥離工程、及び、前記熱硬化層の前記支持体から剥離した側の表面に接着剤を付与し別の支持体を接着する接着工程を更に含むことが好ましい。
また、前記接着工程は、前記熱硬化層の前記支持体から剥離した側の表面に光硬化性接着剤を付与し前記光硬化性接着剤を光により硬化させ別の支持体を接着する工程であることがより好ましい。
中でも、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、前記熱硬化層と前記支持体とを剥離する剥離工程、及び、前記熱硬化層の前記支持体から剥離した側の表面に接着剤を付与し別の支持体を接着する接着工程を更に含むことが好ましい。
また、前記接着工程は、前記熱硬化層の前記支持体から剥離した側の表面に光硬化性接着剤を付与し前記光硬化性接着剤を光により硬化させ別の支持体を接着する工程であることがより好ましい。
使用する接着剤としては特に限定されず、光硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、嫌気性接着剤等が例示される。これらの中でも、硬化反応の制御の容易性から、光硬化性接着剤であることが好ましい。
接着剤としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
光硬化性接着剤は、室温(20℃)において液状であっても固体状であってもよい。室温で液状である場合には、粘度が100Pa・s〜10kPa・sであることが好ましく、より好ましくは500Pa・s〜5kPa・sであり、更に好ましくは1kPa・s〜5kPa・sである。上記の粘度範囲であると、接着剤を付与した際に液だれが抑制されるので好ましい。
また、室温において固体状である場合には、光硬化性接着剤が軟化する温度まで加熱することが好ましい。また、溶剤に溶解させて塗布後、溶剤を乾燥除去することが好ましいが、無溶剤型のホットメルト光硬化性接着剤を加熱した状態で塗布してもよい。
接着剤として光硬化性接着剤を使用する場合には、透明支持体を使用することが好ましい。透明支持体は光の透過率が高く、光硬化性接着剤を硬化させるために、支持体側から光照射することができ、少ない照射量で硬化反応を行うことができる。
接着剤としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
光硬化性接着剤は、室温(20℃)において液状であっても固体状であってもよい。室温で液状である場合には、粘度が100Pa・s〜10kPa・sであることが好ましく、より好ましくは500Pa・s〜5kPa・sであり、更に好ましくは1kPa・s〜5kPa・sである。上記の粘度範囲であると、接着剤を付与した際に液だれが抑制されるので好ましい。
また、室温において固体状である場合には、光硬化性接着剤が軟化する温度まで加熱することが好ましい。また、溶剤に溶解させて塗布後、溶剤を乾燥除去することが好ましいが、無溶剤型のホットメルト光硬化性接着剤を加熱した状態で塗布してもよい。
接着剤として光硬化性接着剤を使用する場合には、透明支持体を使用することが好ましい。透明支持体は光の透過率が高く、光硬化性接着剤を硬化させるために、支持体側から光照射することができ、少ない照射量で硬化反応を行うことができる。
熱硬化性層表面又は熱硬化層表面への傷や凹み防止の目的で、熱硬化性層表面又は熱硬化層表面に保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版では、支持体と樹脂製フィルム(熱硬化層以外の層)との間、或いは樹脂製フィルムと熱硬化層との間にクッション性を有する樹脂或いはゴムからなるクッション層を形成することができる。支持体と樹脂製フィルムとの間にクッション層を形成する場合、片面に接着剤層の付いたクッション層を、接着剤層側を支持体に向けて貼り付ける方法が簡便である。クッション層を貼り付けた後、表面を切削、研磨して整形することもできる。より簡便な方法は、液状光硬化性組成物を支持体上に一定厚みで塗布し、光を用いて硬化させクッション層を形成する方法である。クッション性を有するために、光硬化した硬化物の硬度が低いことが好ましい。また、該クッション層中に気泡を含むものであっても構わない。更に、クッション層の表面を切削、研磨等で整形することも可能であり、このようにして作製されたクッション層はシームレスクッション層として有用である。
<レーザー彫刻用組成物>
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、(成分A)熱重合開始剤、(成分B)エチレン性不飽和化合物及び(成分C)溶媒を含有する。また、「(成分A)熱重合開始剤」等を単に「成分A」等ともいう。
以下、レーザー彫刻用組成物の構成成分について説明する。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、(成分A)熱重合開始剤、(成分B)エチレン性不飽和化合物及び(成分C)溶媒を含有する。また、「(成分A)熱重合開始剤」等を単に「成分A」等ともいう。
以下、レーザー彫刻用組成物の構成成分について説明する。
(成分A)熱重合開始剤
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、(成分A)熱重合開始剤を含有する。
熱重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。以下、好ましい重合開始剤であるラジカル熱重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、(成分A)熱重合開始剤を含有する。
熱重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。以下、好ましい重合開始剤であるラジカル熱重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明において、熱重合開始剤としては、有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物が好ましく、有機過酸化物が特に好ましい。
また、有機過酸化物及びアゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
また、有機過酸化物及びアゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーアミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーオクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジターシャリーブチルジパーオキシイソフタレート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化エステル系が好ましい。
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を好ましく挙げることができる。
熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
重合開始剤の含有量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対し、0.001質量%以上15質量%以下が好ましく、0.002質量%以上10質量%以下がより好ましい。重合開始剤の含有量を0.001質量%以上とすることで、これを添加した効果が得られ熱硬化性層の熱硬化が速やかに行われる。また、含有量を15質量%以下とすることで他成分が不足することがなく、フレキソ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
重合開始剤の含有量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対し、0.001質量%以上15質量%以下が好ましく、0.002質量%以上10質量%以下がより好ましい。重合開始剤の含有量を0.001質量%以上とすることで、これを添加した効果が得られ熱硬化性層の熱硬化が速やかに行われる。また、含有量を15質量%以下とすることで他成分が不足することがなく、フレキソ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
(成分B)エチレン性不飽和化合物
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、エチレン性不飽和化合物を含有する。
エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物であればよく、好ましくは末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定することなく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、エチレン性不飽和化合物を含有する。
エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物であればよく、好ましくは末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定することなく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(I)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (I)
(ただし、R及びR’は、H又はCH3を示す。)
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (I)
(ただし、R及びR’は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−322号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた感光性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
感光スピードの点では1分子あたりのエチレン性不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。
エチレン性不飽和化合物は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、好ましくは2質量%以上90質量%以下、更に好ましくは5質量%以上85質量%以下の範囲で使用される。また、これらは、1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
エチレン性不飽和化合物は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、好ましくは2質量%以上90質量%以下、更に好ましくは5質量%以上85質量%以下の範囲で使用される。また、これらは、1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
(成分C)溶媒
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、(成分C)溶媒を含有する。
(成分C)溶媒としては、種々の有機溶剤又は水を用いることができる。
溶媒としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。
これらの中でも、特に酸素溶解性が低い高極性溶媒が好ましく、具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール,ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールがより好ましく、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノールが更に好ましい。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、(成分C)溶媒を含有する。
(成分C)溶媒としては、種々の有機溶剤又は水を用いることができる。
溶媒としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。
これらの中でも、特に酸素溶解性が低い高極性溶媒が好ましく、具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール,ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールがより好ましく、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノールが更に好ましい。
酸素透過性は、隔膜形ガルバニ法を用いて測定することができ、例えば、飯島電子工業(株)製有機溶媒対応型DOメーター(溶存酸素計)等で測定することができる。
これらの溶媒は、1種単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
レーザー彫刻用組成物における溶媒に対する固形分の濃度は、40〜90質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、75〜85質量%であることが好ましい。なお、組成物の固形分量とは、組成物中の溶媒を除いた量である。
また、前記熱硬化性層における溶媒の含有量は、10〜60質量%であることが好ましく、10〜40質量であることがより好ましく、10〜25質量%であることが更に好ましい。
これらの溶媒は、1種単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
レーザー彫刻用組成物における溶媒に対する固形分の濃度は、40〜90質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、75〜85質量%であることが好ましい。なお、組成物の固形分量とは、組成物中の溶媒を除いた量である。
また、前記熱硬化性層における溶媒の含有量は、10〜60質量%であることが好ましく、10〜40質量であることがより好ましく、10〜25質量%であることが更に好ましい。
(成分D)光熱変換剤
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、更に、光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
また、本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、光熱変換剤として、カーボンブラックを含有することがより好ましい。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、更に、光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
また、本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、光熱変換剤として、カーボンブラックを含有することがより好ましい。
レーザー彫刻用組成物を用いて製造したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、光熱変換剤としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
組成物における成分Dは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レーザー彫刻用組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、前記組成物の固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
レーザー彫刻用組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、前記組成物の固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
(成分E)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物に好ましく用いられる(成分E)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物(以下、適宜、「成分E」と称する。)における「加水分解性シリル基」とは、加水分解性を有するシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基は下記式(1)で表されるものが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物に好ましく用いられる(成分E)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物(以下、適宜、「成分E」と称する。)における「加水分解性シリル基」とは、加水分解性を有するシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基は下記式(1)で表されるものが好ましい。
前記式(1)中、R1〜R3の少なくともいずれか1つは、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、及び、イソプロペノキシ基よりなる群から選択される加水分解性基、又は、ヒドロキシル基を表す。残りのR1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機置換基(例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基を挙げることができる。)を表す。
前記式(1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、特にアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、更に好ましくは炭素数1〜5、特に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
また、ハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子であり、より好ましくはCl原子である。
前記式(1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、特にアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、更に好ましくは炭素数1〜5、特に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
また、ハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子であり、より好ましくはCl原子である。
本発明における成分Eは、前記式(1)で表される基を1つ以上有する化合物であることが好ましく、2つ以上有する化合物であることがより好ましい。特に加水分解性シリル基を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。すなわち、分子内に加水分解性基が結合したケイ素原子を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。成分E中に含まれる加水分解性基が結合したケイ素原子の数は、2以上6以下が好ましく、2又は3が最も好ましい。
前記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜4個の範囲で結合することができ、式(1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であることが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
前記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜4個の範囲で結合することができ、式(1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であることが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
好ましい前記アルコキシ基として、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などを挙げることができる。これらの各アルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよいし、異なるアルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよい。
アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジアルコキシモノアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシジアルキルシリル基を挙げることができる。
アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジアルコキシモノアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシジアルキルシリル基を挙げることができる。
成分Eは、硫黄原子、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、ウレア結合、又は、イミノ基を少なくとも有することが好ましい。
中でも、成分Eは、架橋性の観点から、硫黄原子を含有することが好ましく、また、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、アルカリ水で分解しやすいエステル結合、ウレタン結合、又は、エーテル結合(特にオキシアルキレン基に含まれるエーテル結合)を含有することが好ましい。硫黄原子を含有する成分Eは、加硫処理時に、加硫剤や加硫促進剤として機能し、共役ジエン単量体単位を含有する重合体の反応(架橋)を促進する。その結果、印刷版として必要なゴム弾性を発現させる。また、熱硬化層及びレリーフ層の強度を向上させる。
また、本発明における成分Eは、エチレン性不飽和結合を有していない化合物であることが好ましい。
中でも、成分Eは、架橋性の観点から、硫黄原子を含有することが好ましく、また、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、アルカリ水で分解しやすいエステル結合、ウレタン結合、又は、エーテル結合(特にオキシアルキレン基に含まれるエーテル結合)を含有することが好ましい。硫黄原子を含有する成分Eは、加硫処理時に、加硫剤や加硫促進剤として機能し、共役ジエン単量体単位を含有する重合体の反応(架橋)を促進する。その結果、印刷版として必要なゴム弾性を発現させる。また、熱硬化層及びレリーフ層の強度を向上させる。
また、本発明における成分Eは、エチレン性不飽和結合を有していない化合物であることが好ましい。
本発明における成分Eは、複数の前記式(1)で表される基が二価の連結基を介して結合している化合物が挙げられ、このような二価の連結基としては、効果の観点からスルフィド基(−S−)、イミノ基(−N(R)−)、ウレア基又は、ウレタン結合(−OCON(R)−又は−N(R)COO−)を有する連結基が好ましい。なお、Rは水素原子又は置換基を表す。Rにおける置換基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アラルキル基が例示できる。
成分Eの合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。一例として、特開2011−136429号公報の段落0019〜0021に記載の方法が挙げられる。
成分Eの合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。一例として、特開2011−136429号公報の段落0019〜0021に記載の方法が挙げられる。
成分Eとしては、下記式(A−1)又は式(A−2)で表される化合物であることが好ましい。
前記式(A−1)及び式(A−2)におけるR1〜R3は、前記式(1)におけるR1〜R3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記RBは、リンス性及び膜強度の観点から、エステル結合又はウレタン結合であることが好ましく、エステル結合であることがより好ましい。
前記L1〜L3における二価又はn価の連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることがより好ましい。前記L1〜L3の炭素数は、2〜60であることが好ましく、2〜30であることがより好ましい。
前記Ls1におけるm価の連結基は、硫黄原子と、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子とから構成された基であることが好ましく、アルキレン基、又は、アルキレン基、スルフィド基及びイミノ基を2以上組み合わせた基であることがより好ましい。前記Ls1の炭素数は、2〜60であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。
前記n及びmはそれぞれ独立に、1〜10の整数であることが好ましく、2〜10の整数であることがより好ましく、2〜6の整数であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。
L1のn価の連結基及び/又はL2の二価の連結基、又は、L3の二価の連結基は、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、エーテル結合を有することが好ましく、オキシアルキレン基に含まれるエーテル結合を有することがより好ましい。
式(A−1)又は式(A−2)で表される化合物の中でも、架橋性等の観点から、式(A−1)において、L1のn価の連結基及び/又はL2の二価の連結基が硫黄原子を有する基であることが好ましい。
前記RBは、リンス性及び膜強度の観点から、エステル結合又はウレタン結合であることが好ましく、エステル結合であることがより好ましい。
前記L1〜L3における二価又はn価の連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることがより好ましい。前記L1〜L3の炭素数は、2〜60であることが好ましく、2〜30であることがより好ましい。
前記Ls1におけるm価の連結基は、硫黄原子と、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子とから構成された基であることが好ましく、アルキレン基、又は、アルキレン基、スルフィド基及びイミノ基を2以上組み合わせた基であることがより好ましい。前記Ls1の炭素数は、2〜60であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。
前記n及びmはそれぞれ独立に、1〜10の整数であることが好ましく、2〜10の整数であることがより好ましく、2〜6の整数であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。
L1のn価の連結基及び/又はL2の二価の連結基、又は、L3の二価の連結基は、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、エーテル結合を有することが好ましく、オキシアルキレン基に含まれるエーテル結合を有することがより好ましい。
式(A−1)又は式(A−2)で表される化合物の中でも、架橋性等の観点から、式(A−1)において、L1のn価の連結基及び/又はL2の二価の連結基が硫黄原子を有する基であることが好ましい。
本発明に適用しうる成分Eの具体例としては、特開2011−136429号公報の段落0025〜0034に記載のものが挙げられる。
また、成分Eは、適宜合成して得ることも可能であるが、市販品を用いることがコストの面から好ましい。成分Eとしては、例えば、信越化学工業(株)、東レ・ダウコーニング(株)、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ(株)、チッソ(株)等から市販されているシラン製品、シランカップリング剤などの市販品がこれに相当するため、本発明の樹脂組成物に、これら市販品を、目的に応じて適宜選択して使用してもよい。
また、成分Eは、適宜合成して得ることも可能であるが、市販品を用いることがコストの面から好ましい。成分Eとしては、例えば、信越化学工業(株)、東レ・ダウコーニング(株)、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ(株)、チッソ(株)等から市販されているシラン製品、シランカップリング剤などの市販品がこれに相当するため、本発明の樹脂組成物に、これら市販品を、目的に応じて適宜選択して使用してもよい。
本発明における成分Eとして、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を1種用いて得られた部分加水分解縮合物、又は、2種以上用いて得られた部分共加水分解縮合物を用いることができる。以下、これらの化合物を「部分(共)加水分解縮合物」と称することがある。
部分(共)加水分解縮合物前駆体としてのシラン化合物の中でも、汎用性、コスト面、膜の相溶性の観点から、ケイ素上の置換基としてメチル基及びフェニル基から選択される置換基を有するシラン化合物であることが好ましく、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい前駆体として例示される。
この場合、部分(共)加水分解縮合物としては、上記したようなシラン化合物の2量体(シラン化合物2モルに水1モルを作用させてアルコール2モルを脱離させ、ジシロキサン単位としたもの)〜100量体、好ましくは2〜50量体、更に好ましくは2〜30量体としたものが好適に使用できるし、2種以上のシラン化合物を原料とする部分共加水分解縮合物を使用することも可能である。
部分(共)加水分解縮合物前駆体としてのシラン化合物の中でも、汎用性、コスト面、膜の相溶性の観点から、ケイ素上の置換基としてメチル基及びフェニル基から選択される置換基を有するシラン化合物であることが好ましく、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい前駆体として例示される。
この場合、部分(共)加水分解縮合物としては、上記したようなシラン化合物の2量体(シラン化合物2モルに水1モルを作用させてアルコール2モルを脱離させ、ジシロキサン単位としたもの)〜100量体、好ましくは2〜50量体、更に好ましくは2〜30量体としたものが好適に使用できるし、2種以上のシラン化合物を原料とする部分共加水分解縮合物を使用することも可能である。
なお、このような部分(共)加水分解縮合物は、シリコーンアルコキシオリゴマーとして市販されているものを使用してもよく(例えば、信越化学工業(株)などから市販されている。)、また、常法に基づき、加水分解性シラン化合物に対し当量未満の加水分解水を反応させた後に、アルコール、塩酸等の副生物を除去することによって製造したものを使用してもよい。製造に際しては、前駆体となる原料の加水分解性シラン化合物として、例えば、上記したようなアルコキシシラン類やアシロキシシラン類を使用する場合は、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、トリエチルアミン等のアルカリ性有機物質等を反応触媒として部分加水分解縮合すればよく、クロロシラン類から直接製造する場合には、副生する塩酸を触媒として水及びアルコールを反応させればよい。
レーザー彫刻用組成物における成分Eは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レーザー彫刻用組成物中に含まれる成分Eの含有量は、固形分換算で、0.1〜80質量%の範囲であることが好ましく、1〜40質量%の範囲であることがより好ましく、5〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。
レーザー彫刻用組成物中に含まれる成分Eの含有量は、固形分換算で、0.1〜80質量%の範囲であることが好ましく、1〜40質量%の範囲であることがより好ましく、5〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。
(成分F)アルコール交換反応触媒
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物に成分Eを使用する場合、成分Eと特定バインダーポリマーとの反応を促進するため、(成分F)アルコール交換反応触媒を含有することが好ましい。
アルコール交換反応触媒は、一般に用いられる反応触媒であれば、限定なく適用できる。
以下、代表的なアルコール交換反応触媒である酸或いは塩基性触媒、及び、金属錯体触媒について順次説明する。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物に成分Eを使用する場合、成分Eと特定バインダーポリマーとの反応を促進するため、(成分F)アルコール交換反応触媒を含有することが好ましい。
アルコール交換反応触媒は、一般に用いられる反応触媒であれば、限定なく適用できる。
以下、代表的なアルコール交換反応触媒である酸或いは塩基性触媒、及び、金属錯体触媒について順次説明する。
−酸或いは塩基性触媒−
触媒としては、酸或いは塩基性化合物をそのまま用いるか、或いは水又は有機溶剤などの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒と称する。)を用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。
酸性触媒或いは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。層中でのアルコール交換反応を速やかに進行させる観点で、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホネート、リン酸、ホスホン酸、酢酸、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ヘキサメチレンテトラミンが好ましく、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ヘキサメチレンテトラミンが特に好ましい。
触媒としては、酸或いは塩基性化合物をそのまま用いるか、或いは水又は有機溶剤などの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒と称する。)を用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。
酸性触媒或いは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。層中でのアルコール交換反応を速やかに進行させる観点で、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホネート、リン酸、ホスホン酸、酢酸、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ヘキサメチレンテトラミンが好ましく、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ヘキサメチレンテトラミンが特に好ましい。
−金属錯体触媒−
本発明においてアルコール交換反応触媒として用いられる金属錯体触媒は、好ましくは、周期律表の2、4、5及び13族よりなる群から選ばれる金属元素とβ−ジケトン(アセチルアセトンなどが好ましい。)、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、及び、エノール性活性水素化合物よりなる群から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素化合物から構成されるものである。
更に、構成金属元素の中では、Mg,Ca,St,Baなどの2族元素、Ti,Zrなどの4族元素、並びに、V,Nb及びTaなどの5族元素、Al,Gaなどの13族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でも、Zr、Al又はTiから得られる錯体が優れており、好ましく、特にオルトチタン酸エチルなどが好ましく例示できる。
これらは水系塗布液での安定性、及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が特に好ましい。
本発明においてアルコール交換反応触媒として用いられる金属錯体触媒は、好ましくは、周期律表の2、4、5及び13族よりなる群から選ばれる金属元素とβ−ジケトン(アセチルアセトンなどが好ましい。)、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、及び、エノール性活性水素化合物よりなる群から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素化合物から構成されるものである。
更に、構成金属元素の中では、Mg,Ca,St,Baなどの2族元素、Ti,Zrなどの4族元素、並びに、V,Nb及びTaなどの5族元素、Al,Gaなどの13族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でも、Zr、Al又はTiから得られる錯体が優れており、好ましく、特にオルトチタン酸エチルなどが好ましく例示できる。
これらは水系塗布液での安定性、及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が特に好ましい。
レーザー彫刻用組成物には、アルコール交換反応触媒を1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。組成物におけるアルコール交換反応触媒の含有量は、水酸基を有する特定バインダーポリマーに対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
(成分G)バインダーポリマー
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、(成分G)バインダーポリマーを含有することが好ましい。
バインダーポリマーは、特に制限されないが、分子量500〜1,000,000の結着樹脂であることが好ましい。
また、バインダーポリマーとしては、一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種を単独使用するか、又は、2種以上を併用することができ、特にレーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮して選択することが好ましい。
バインダーポリマーとしては、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー、アクリル樹脂、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーなどから選択して用いることができる。
例えば、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。このようなポリマーは、特開2008−163081号公報の段落0038に記載されているものが好ましく挙げられる。また、例えば、柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。特開2008−163081号公報の段落0039〜0040に詳述されている。更に、レーザー彫刻用組成物の調製の容易性、得られたフレキソ印刷版における油性インクに対する耐性向上の観点から、親水性又は親アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。親水性ポリマーとしては、特開2008−163081号公報の段落0041に詳述されているものを使用することができる。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、(成分G)バインダーポリマーを含有することが好ましい。
バインダーポリマーは、特に制限されないが、分子量500〜1,000,000の結着樹脂であることが好ましい。
また、バインダーポリマーとしては、一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種を単独使用するか、又は、2種以上を併用することができ、特にレーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮して選択することが好ましい。
バインダーポリマーとしては、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー、アクリル樹脂、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーなどから選択して用いることができる。
例えば、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。このようなポリマーは、特開2008−163081号公報の段落0038に記載されているものが好ましく挙げられる。また、例えば、柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。特開2008−163081号公報の段落0039〜0040に詳述されている。更に、レーザー彫刻用組成物の調製の容易性、得られたフレキソ印刷版における油性インクに対する耐性向上の観点から、親水性又は親アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。親水性ポリマーとしては、特開2008−163081号公報の段落0041に詳述されているものを使用することができる。
加えて、加熱や露光により硬化させ、強度を向上させる目的に使用する場合には、分子内に、ヒドロキシル基、アルコキシ基、加水分解性シリル基及びシラノール基、エチレン性不飽和結合などを有するポリマーが好ましく用いられる。
この反応性官能基は、ポリマー分子中のいずれかに存在すればよいが、鎖状ポリマーの側鎖に存在することが好ましい。このようなポリマーとしては、ビニル共重合体(ポリビニルアルコールやポリビニルアセタールなどのビニルモノマーの共重合体及びその誘導体)やアクリル樹脂(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマーの共重合体及びその誘導体)が好ましく例示できる。
バインダーポリマーに反応性官能基を導入する方法は特に限定されず、反応性官能基を有する単量体を付加(共)重合又は重縮合する方法、反応性官能基に誘導可能な基を有するポリマーを合成した後、このポリマーを高分子反応により反応性官能基に誘導する方法が含まれる。
バインダーポリマーとしては、ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
バインダーポリマーとしては、ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
レーザー彫刻用組成物におけるバインダーポリマーとしては、ヒドロキシル基を有するバインダーポリマー(以下、「特定ポリマー」ともいう。)が好ましい。この特定ポリマーは、水不溶であって、かつ、炭素数1〜4のアルコールに可溶であることが好ましい。
ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーとして、水性インキ適性とUVインキ適性を両立しつつ、かつ彫刻感度が高く皮膜性も良好であるレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版には、ポリビニルアセタール及びその誘導体、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリル樹脂、及び、側鎖にヒドロキシル基を有するエポキシ樹脂等が好ましく挙げられる。
ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーとして、水性インキ適性とUVインキ適性を両立しつつ、かつ彫刻感度が高く皮膜性も良好であるレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版には、ポリビニルアセタール及びその誘導体、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリル樹脂、及び、側鎖にヒドロキシル基を有するエポキシ樹脂等が好ましく挙げられる。
ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上であることが好ましい。光熱変換剤と組み合わせた場合に、バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)を20℃以上とすることにより、彫刻感度が向上する。このようなガラス転移温度を有するバインダーポリマーを以下、「非エラストマー」ともいう。バインダーポリマーのガラス転移温度の上限には制限はないが、200℃以下であることが取り扱い性の観点から好ましく、25℃以上120℃以下であることがより好ましい。
ガラス転移温度が室温(20℃)以上のポリマーを用いる場合、特定ポリマーは常温ではガラス状態をとるが、このためゴム状態をとる場合に比較して、熱的な分子運動はかなり抑制された状態にある。レーザー彫刻においては、レーザー照射時に、赤外線レーザーが付与する熱に加え、光熱変換剤の機能により発生した熱が、周囲に存在する特定ポリマーに伝達され、これが熱分解、消散して、結果的に彫刻されて凹部が形成されると推定される。
特定ポリマーを用いた場合、特定ポリマーの熱的な分子運動が抑制された状態の中に光熱変換剤が存在すると特定ポリマーへの熱伝達と熱分解が効果的に起こるものと考えられ、このような効果によって彫刻感度が更に増大したものと推定される。
特定ポリマーを用いた場合、特定ポリマーの熱的な分子運動が抑制された状態の中に光熱変換剤が存在すると特定ポリマーへの熱伝達と熱分解が効果的に起こるものと考えられ、このような効果によって彫刻感度が更に増大したものと推定される。
本発明において好ましく用いられる非エラストマーであるポリマーの具体例を以下に挙げる。
(1)ポリビニルアセタール及びその誘導体
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる。)を環状アセタール化することにより得られる化合物である。また、ポリビニルアセタール誘導体は、前記ポリビニルアセタールを変性したり、他の共重合成分を加えたものである。
ポリビニルアセタール誘導体中のアセタール含量(原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数を100%とし、アセタール化されるビニルアルコール単位のモル%)は、30〜90%が好ましく、50〜85%がより好ましく、55〜78%が特に好ましい。
ポリビニルアセタール誘導体中のビニルアルコール単位としては、原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数に対して、10〜70モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、22〜45モル%が特に好ましい。
また、ポリビニルアセタールは、その他の成分として、酢酸ビニル単位を有していてもよく、その含量としては0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%が更に好ましい。ポリビニルアセタール誘導体は、更に、その他の共重合単位を有していてもよい。
ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルメチラールなどが挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール誘導体(PVB)が好ましい。
ポリビニルブチラールは、通常、ポリビニルアルコールをブチラール化して得られるポリマーである。また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
ポリビニルブチラール誘導体の例として、水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基等の酸基に変性した酸変性PVB、水酸基の一部を(メタ)アクリロイル基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入した変性PVB等が挙げられる。
ポリビニルアセタールの分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5,000〜800,000であることが好ましく、8,000〜500,000であることがより好ましい。更に、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000であることが特に好ましい。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる。)を環状アセタール化することにより得られる化合物である。また、ポリビニルアセタール誘導体は、前記ポリビニルアセタールを変性したり、他の共重合成分を加えたものである。
ポリビニルアセタール誘導体中のアセタール含量(原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数を100%とし、アセタール化されるビニルアルコール単位のモル%)は、30〜90%が好ましく、50〜85%がより好ましく、55〜78%が特に好ましい。
ポリビニルアセタール誘導体中のビニルアルコール単位としては、原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数に対して、10〜70モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、22〜45モル%が特に好ましい。
また、ポリビニルアセタールは、その他の成分として、酢酸ビニル単位を有していてもよく、その含量としては0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%が更に好ましい。ポリビニルアセタール誘導体は、更に、その他の共重合単位を有していてもよい。
ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルメチラールなどが挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール誘導体(PVB)が好ましい。
ポリビニルブチラールは、通常、ポリビニルアルコールをブチラール化して得られるポリマーである。また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
ポリビニルブチラール誘導体の例として、水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基等の酸基に変性した酸変性PVB、水酸基の一部を(メタ)アクリロイル基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入した変性PVB等が挙げられる。
ポリビニルアセタールの分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5,000〜800,000であることが好ましく、8,000〜500,000であることがより好ましい。更に、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000であることが特に好ましい。
以下、ポリビニルアセタールの特に好ましい例として、ポリビニルブチラール(PVB)及びその誘導体を挙げて説明するが、これに限定されない。
ポリビニルブチラールの構造は、以下に示す通りであり、これらの構成単位を含んで構成される。
ポリビニルブチラールの構造は、以下に示す通りであり、これらの構成単位を含んで構成される。
上記式中、l、m及びnは上記式中のそれぞれの繰返し単位のポリビニルブチラール中における含有量(モル%)を表し、l+m+n=100の関係を満たす。ポリビニルブチラール及びその誘導体中のブチラール含量(上記式中におけるlの値)は、30〜90モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましく、45〜78モル%が特に好ましい。 彫刻感度と皮膜性とのバランスの観点から、ポリビニルブチラール及びその誘導体の重量平均分子量は、5,000〜800,000が好ましく、8,000〜500,000がより好ましく、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000が特に好ましい。
PVBの誘導体としては、市販品としても入手可能であり、その好ましい具体例としては、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で、積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズ、「エスレックK(KS)」シリーズ、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」が好ましい。更に好ましくは、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズと電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」である。これらのうち、特に好ましい市販品を、上記式中の、l、m、及びnの値と、分子量とともに以下に示す。積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズでは、「BL−1」(l=61、m=3、n=36、重量平均分子量1.9万)、「BL−1H」(l=67、m=3、n=30、重量平均分子量2.0万)、「BL−2」(l=61、m=3、n=36、重量平均分子量2.7万)、「BL−5」(l=75、m=4、n=21、重量平均分子量3.2万)、「BL−S」(l=74、m=4、n=22、重量平均分子量2.3万)、「BM−S」(l=73、m=5、n=22、重量平均分子量5.3万)、「BH−S」(l=73、m=5、n=22、重量平均分子量6.6万)が、また、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」シリーズでは「#3000−1」(l=71、m=1、n=28、重量平均分子量7.4万)、「#3000−2」(l=71、m=1、n=28、重量平均分子量9.0万)、「#3000−4」(l=71、m=1、n=28、重量平均分子量11.7万)、「#4000−2」(l=71、m=1、n=28、重量平均分子量15.2万)、「#6000−C」(l=64、m=1、n=35、重量平均分子量30.8万)、「#6000−EP」(l=56、m=15、n=29、重量平均分子量38.1万)、「#6000−CS」(l=74、m=1、n=25、重量平均分子量32.2万)、「#6000−AS」(l=73、m=1、n=26、重量平均分子量24.2万)が、それぞれ挙げられる。
PVB誘導体を特定ポリマーとして用いて熱硬化性層を製膜する際には、溶媒に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜表面の平滑性の観点で好ましい。
PVB誘導体を特定ポリマーとして用いて熱硬化性層を製膜する際には、溶媒に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜表面の平滑性の観点で好ましい。
(2)アクリル樹脂
特定ポリマーとして用いることができるアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって、分子内にヒドロキシル基を有するものであればよい。
ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。この様な単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語である。
特定ポリマーとして用いることができるアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって、分子内にヒドロキシル基を有するものであればよい。
ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。この様な単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語である。
また、アクリル樹脂としては、上記ヒドロキシル基を有するアクリル単量体以外のアクリル単量体を共重合成分として含むこともできる。このようなアクリル単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体のモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、ウレタン基やウレア基を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
これらの中でも、水性インキ耐性の観点で、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなど脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート類が特に好ましい。
更に、ウレタン基やウレア基を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
これらの中でも、水性インキ耐性の観点で、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなど脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート類が特に好ましい。
(3)ノボラック樹脂
また、特定ポリマーとして、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合させた樹脂であるノボラック樹脂を用いることができる。
好ましいノボラック樹脂としては、例えばフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい。)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
また、特定ポリマーとして、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合させた樹脂であるノボラック樹脂を用いることができる。
好ましいノボラック樹脂としては、例えばフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい。)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
特定ポリマーとして、ヒドロキシル基を側鎖に有するエポキシ樹脂を用いることも可能である。好ましい具体例としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンの付加物を原料モノマーとして重合して得られるエポキシ樹脂が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000であり、かつ、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000であり、かつ、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
特定ポリマーの中でも、レリーフ層としたときのリンス性及び耐刷性の観点でポリビニルブチラール誘導体が特に好ましい。
本発明における特定ポリマーに含まれるヒドロキシル基の含有量は、前記いずれの態様のポリマーにおいても、0.1〜15mmol/gであることが好ましく、0.5〜7mmol/gであることがより好ましい。
本発明における特定ポリマーに含まれるヒドロキシル基の含有量は、前記いずれの態様のポリマーにおいても、0.1〜15mmol/gであることが好ましく、0.5〜7mmol/gであることがより好ましい。
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版には、上記特定ポリマーに加え、ヒドロキシル基を有しないポリマーなど特定ポリマーに包含されない公知のポリマーを単独使用又は上記の特定ポリマーと併用することができる。以下、このようなポリマーを一般ポリマーともいう。
一般ポリマーは、前記特定ポリマーとともに、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版に含有される主成分を構成するものであり、特定ポリマーに包含されない一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種又は2種以上を使用することができる。特に、フレキソ印刷版原版に用いる際は、レーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮してバインダーポリマーを選択することが必要である。
一般ポリマーは、前記特定ポリマーとともに、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版に含有される主成分を構成するものであり、特定ポリマーに包含されない一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種又は2種以上を使用することができる。特に、フレキソ印刷版原版に用いる際は、レーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮してバインダーポリマーを選択することが必要である。
一般ポリマーとしては、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレアポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーなどから選択して用いることができる。
例えば、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。このようなポリマーは、特開2008−163081号公報の段落0038に記載されているものが好ましく挙げられる。また、例えば、柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。特開2008−163081号公報の段落0039〜0040に詳述されている。更に、レーザー彫刻用組成物の調製の容易性、得られたフレキソ印刷版における油性インクに対する耐性向上の観点から、親水性又は親アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。親水性ポリマーとしては、特開2008−163081号公報の段落0041に詳述されているものを使用することができる。
レーザー彫刻用組成物には、成分Gを1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レーザー彫刻用組成物における成分Gの含有量は、塗膜の形態保持性と耐水性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、レーザー彫刻組成物の全質量に対し、2〜95質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10〜60質量%であることが特に好ましい。
レーザー彫刻用組成物における成分Gの含有量は、塗膜の形態保持性と耐水性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、レーザー彫刻組成物の全質量に対し、2〜95質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10〜60質量%であることが特に好ましい。
<その他の成分>
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物には、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物には、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
−重合禁止剤−
本発明においては、前述した成分の他に組成物の製造中或いは保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、重合禁止剤を添加してもよい。
重合禁止剤としては、光重合禁止剤であっても、熱重合禁止剤であってもよい。
熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、印刷版原版とする場合、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、0.5質量%以上15質量%以下が好ましい。
本発明においては、前述した成分の他に組成物の製造中或いは保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、重合禁止剤を添加してもよい。
重合禁止剤としては、光重合禁止剤であっても、熱重合禁止剤であってもよい。
熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、印刷版原版とする場合、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、0.5質量%以上15質量%以下が好ましい。
−充填剤−
充填剤としては、有機化合物、無機化合物、或いはこれらの混合物のいずれでもよい。例えば、有機化合物としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、黒鉛などが挙げられる。無機化合物としては、シリカ、アルミナ、アルミニウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
充填剤としては、有機化合物、無機化合物、或いはこれらの混合物のいずれでもよい。例えば、有機化合物としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、黒鉛などが挙げられる。無機化合物としては、シリカ、アルミナ、アルミニウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
−可塑剤−
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては例えばジエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が挙げられる。
可塑剤の含有量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、60質量%以下の添加量が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
本発明に用いることができるレーザー彫刻用組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては例えばジエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が挙げられる。
可塑剤の含有量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、60質量%以下の添加量が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
−着色剤−
更に、レーザー彫刻用組成物の着色を目的として染料又は顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させる事ができる。
着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。
着色剤の添加量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
更に、レーザー彫刻用組成物の着色を目的として染料又は顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させる事ができる。
着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。
着色剤の添加量は、レーザー彫刻用組成物の全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
−共増感剤−
ある種の添加剤(以後、共増感剤という。)を用いることで、レーザー彫刻用樹脂組成物を光硬化させる際の感度を更に向上させることができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、光重合開始剤により開始される光反応とそれに引き続く重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(i)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(ii)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(iii)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、又は連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては通説がない場合も多い。本発明に使用しうる共増感剤としては、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾールやジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類、アルキルアート錯体、アルキルアミン化合物、α−置換メチルカルボニル化合物、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンゾオキサゾール類、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開平9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されており、それらを本発明においても適用することができる。
ある種の添加剤(以後、共増感剤という。)を用いることで、レーザー彫刻用樹脂組成物を光硬化させる際の感度を更に向上させることができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、光重合開始剤により開始される光反応とそれに引き続く重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(i)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(ii)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(iii)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、又は連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては通説がない場合も多い。本発明に使用しうる共増感剤としては、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾールやジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類、アルキルアート錯体、アルキルアミン化合物、α−置換メチルカルボニル化合物、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンゾオキサゾール類、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開平9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されており、それらを本発明においても適用することができる。
共増感剤は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。
共増感剤の使用量は、エチレン性不飽和化合物100質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上100質量部以下、より好ましくは1質量部以上80質量部以下、更に好ましくは3質量部以上50質量部以下の範囲である。
共増感剤の使用量は、エチレン性不飽和化合物100質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上100質量部以下、より好ましくは1質量部以上80質量部以下、更に好ましくは3質量部以上50質量部以下の範囲である。
(フレキソ印刷版及びその製版方法)
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成する彫刻工程を含むことが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版は、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版における熱硬化層をレーザー彫刻して得られたレリーフ層を有するフレキソ印刷版であり、本発明のフレキソ印刷版の製版方法により製版されたフレキソ印刷版であることが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成する彫刻工程を含むことが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版は、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版における熱硬化層をレーザー彫刻して得られたレリーフ層を有するフレキソ印刷版であり、本発明のフレキソ印刷版の製版方法により製版されたフレキソ印刷版であることが好ましい。
<レーザー彫刻の条件>
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、フレキソ印刷版原版上にレリーフ画像を作成する。
レーザー彫刻に用いるレーザーは、前記熱硬化層が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが好ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線或いは近赤外線領域に発振波長を有するレーザーが好ましいものの一つである。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えば、エキシマレーザー、第3或いは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー等は、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。フェムト秒レーザーなど極めて高い尖頭出力を有するレーザーを用いることもできる。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、フレキソ印刷版原版上にレリーフ画像を作成する。
レーザー彫刻に用いるレーザーは、前記熱硬化層が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが好ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線或いは近赤外線領域に発振波長を有するレーザーが好ましいものの一つである。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えば、エキシマレーザー、第3或いは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー等は、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。フェムト秒レーザーなど極めて高い尖頭出力を有するレーザーを用いることもできる。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
レーザーによる彫刻は、酸素含有ガス下で実施することが好ましく、空気存在下又は気流下に実施することがより好ましい。彫刻終了後、フレキソ印刷版面にわずかに発生する粉末状又は液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去する洗浄工程(リンス工程)を有してもよい。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版又はフレキソ印刷版は、印刷版用レリーフ画像の他、スタンプ・印章、エンボス加工用のデザインロール、電子部品作成に用いられる絶縁体、抵抗体、導電体ペーストのパターニング用レリーフ画像、窯業製品の型材用レリーフ画像、広告・表示板などのディスプレイ用レリーフ画像、各種成型品の原型・母型など各種の用途に応用し利用できる。
<レーザー彫刻後の表面処理>
また、前記熱硬化層又は前記レリーフ層表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。
改質層としては、シランカップリング剤或いはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、或いは多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更にシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、或いは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。表面に固定化したカップリング剤分子が特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、或いは電子線を照射し架橋させることにより、より強固な被膜とすることもできる。
また、前記熱硬化層又は前記レリーフ層表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。
改質層としては、シランカップリング剤或いはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、或いは多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更にシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、或いは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。表面に固定化したカップリング剤分子が特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、或いは電子線を照射し架橋させることにより、より強固な被膜とすることもできる。
表面処理液は、上記のカップリング剤に、必要に応じ、水−アルコール、或いは酢酸水−アルコール混合液で希釈して調製する。処理液中のカップリング剤の濃度は、0.05質量%以上10.0質量%以下が好ましい。
カップリング剤処理法について説明する。前記のカップリング剤を含む処理液を、印刷版原版、或いはレーザー彫刻後の印刷版表面に塗布して用いられる。カップリング剤処理液を塗布する方法に特に限定はなく、例えば浸漬法、スプレー法、ロールコート法、或いは刷毛塗り法等を適応することができる。また、被覆処理温度、被覆処理時間についても特に限定はないが、5℃以上60℃以下であることが好ましく、処理時間は0.1秒以上60秒以下であることが好ましい。更に版表面上の処理液層の乾燥を加熱下に行うことが好ましく、加熱温度としては、50℃以上150℃以下が好ましい。
カップリング剤で印刷版表面を処理する前に、キセノンエキシマランプ等の波長が200nm以下の真空紫外線領域の光を照射する方法、或いはプラズマ等の高エネルギー雰囲気に曝すことにより、印刷版表面に水酸基を発生させ高密度にカップリング剤を固定化することもできる。
また、無機多孔質体粒子を含有する層が印刷版表面に露出している場合、プラズマ等の高エネルギー雰囲気下で処理し、表面の有機物層を若干エッチング除去することにより印刷版表面に微小な凹凸を形成させることができる。この処理により印刷版表面のタックを低減させること、及び表面に露出した無機多孔質体粒子がインクを吸収しやすくすることによりインク濡れ性が向上する効果も期待できる。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法では、彫刻工程に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
前記彫刻工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているため、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
前記彫刻工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているため、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
本発明に用いることができるリンス液のpHは、9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは、14以下であることが好ましく、13.5以下であることがより好ましく、13.2以下であることが更に好ましく、12.5以下であることが特に好ましい。上記範囲であると、取り扱いが容易である。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。 また、リンス液は、水以外の溶剤として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶剤を含有していてもよい。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。 また、リンス液は、水以外の溶剤として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶剤を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した化合物の一部を下記に示す。
A−1:ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
A−2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(新中村化学工業(株)製)
A−3:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP)(新中村化学工業(株)製)
B−1:カーボンブラック旭#80 N−220(旭カーボン(株)製)
C−1:ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(KBE−846、信越化学工業(株)製)
C−2:化合物X(以下に合成例を示す。)
C−3:トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(X−12−965、信越化学工業(株)製)
A−1:ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
A−2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(新中村化学工業(株)製)
A−3:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP)(新中村化学工業(株)製)
B−1:カーボンブラック旭#80 N−220(旭カーボン(株)製)
C−1:ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(KBE−846、信越化学工業(株)製)
C−2:化合物X(以下に合成例を示す。)
C−3:トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(X−12−965、信越化学工業(株)製)
<化合物Xの合成例>
撹拌羽及び冷却管をつけた300mLの3つ口フラスコ中に、NKエステルA−BPE−10(ビスフェノールAエチレンオキサイド10モル付加物のジアクリレート化体、新中村化学工業(株)製)54.64g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(和光純薬工業(株)製)0.04gを入れ、KBM−802(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、信越化学工業(株)製)25.36gを室温(25℃)下で30分かけて滴下した。滴下後、室温下で2時間撹拌することで、化合物X(78.1g)を得た。得られた化合物Xの構造は、1H NMRにより同定した。
撹拌羽及び冷却管をつけた300mLの3つ口フラスコ中に、NKエステルA−BPE−10(ビスフェノールAエチレンオキサイド10モル付加物のジアクリレート化体、新中村化学工業(株)製)54.64g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(和光純薬工業(株)製)0.04gを入れ、KBM−802(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、信越化学工業(株)製)25.36gを室温(25℃)下で30分かけて滴下した。滴下後、室温下で2時間撹拌することで、化合物X(78.1g)を得た。得られた化合物Xの構造は、1H NMRにより同定した。
板として使用した材料を下記に示す。
板(1):PET(厚さ0.10mm)、帝人デュポンフィルム(株)製、熱伝導率0.3W/m・K
板(2):PET(厚さ0.30mm)、帝人デュポンフィルム(株)製、熱伝導率0.3W/m・K
板(3):Al板(厚さ1.0mm)、熱伝導率236W/m・K
板(4):SUS304(厚さ1.0mm)、熱伝導率16.7W/m・K
板(5):SUS304(厚さ5.0mm)、熱伝導率16.7W/m・K
板(6):水晶板(厚さ5.0mm)、熱伝導率3.0W/m・K
板(7):亜鉛板(厚さ1.0mm)、熱伝導率115W/m・K
板(8):銅板(厚さ1.0mm)、熱伝導率390W/m・K
板(9):SUS304(厚さ0.8mm)、熱伝導率16.7W/m・K
板(1):PET(厚さ0.10mm)、帝人デュポンフィルム(株)製、熱伝導率0.3W/m・K
板(2):PET(厚さ0.30mm)、帝人デュポンフィルム(株)製、熱伝導率0.3W/m・K
板(3):Al板(厚さ1.0mm)、熱伝導率236W/m・K
板(4):SUS304(厚さ1.0mm)、熱伝導率16.7W/m・K
板(5):SUS304(厚さ5.0mm)、熱伝導率16.7W/m・K
板(6):水晶板(厚さ5.0mm)、熱伝導率3.0W/m・K
板(7):亜鉛板(厚さ1.0mm)、熱伝導率115W/m・K
板(8):銅板(厚さ1.0mm)、熱伝導率390W/m・K
板(9):SUS304(厚さ0.8mm)、熱伝導率16.7W/m・K
(実施例1〜18、及び、比較例1〜11)
<レーザー彫刻用樹脂組成物の作製方法>
バインダーとしてデンカブチラール(電気化学工業(株)製)を撹拌ヘラ及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に40質量部加え、可塑剤として下記化合物Eを20質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を150質量部入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しバインダーを溶解した。このバインダー分散液に熱重合開始剤としてパーブチルZ(t−ブチルパーオキシベンゾエート)(日油(株)製)を0.005質量部、連鎖移動剤としてKBM−802(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、信越化学工業(株)製)を3質量部、カーボンブラック旭#80 N−220(旭カーボン(株)製、CB)を5質量部、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(和光純薬工業(株)製)を0.5質量部、更に下記表1に記載のエチレン性不飽和化合物、シラン化合物をそれぞれ15質量部、6質量部加え、撹拌することでレーザー彫刻用樹脂組成物をそれぞれ得た。
<レーザー彫刻用樹脂組成物の作製方法>
バインダーとしてデンカブチラール(電気化学工業(株)製)を撹拌ヘラ及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に40質量部加え、可塑剤として下記化合物Eを20質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を150質量部入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しバインダーを溶解した。このバインダー分散液に熱重合開始剤としてパーブチルZ(t−ブチルパーオキシベンゾエート)(日油(株)製)を0.005質量部、連鎖移動剤としてKBM−802(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、信越化学工業(株)製)を3質量部、カーボンブラック旭#80 N−220(旭カーボン(株)製、CB)を5質量部、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(和光純薬工業(株)製)を0.5質量部、更に下記表1に記載のエチレン性不飽和化合物、シラン化合物をそれぞれ15質量部、6質量部加え、撹拌することでレーザー彫刻用樹脂組成物をそれぞれ得た。
<レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の作製>
−形成工程−
図1に示すように、レーザー彫刻用樹脂組成物をSUS板(流延基板)Aに隙間無く貼り付けたPET基板(支持体)B上に流出しない程度に静かに流延した。
−形成工程−
図1に示すように、レーザー彫刻用樹脂組成物をSUS板(流延基板)Aに隙間無く貼り付けたPET基板(支持体)B上に流出しない程度に静かに流延した。
−熱硬化工程−
下記表1に記載の板Dを用い、組成物層(熱硬化性層)Cと板Dとの間に表1記載の間隔を保ちながら100℃のオーブン中で、実施例1〜5及び18では9時間、実施例6〜17では5時間加熱して熱硬化性層Cを熱架橋し、熱硬化層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を得た。また、この際に、熱硬化性層又は熱硬化層の板側を板面、基板側の面を基板面と以後記載する。
下記表1に記載の板Dを用い、組成物層(熱硬化性層)Cと板Dとの間に表1記載の間隔を保ちながら100℃のオーブン中で、実施例1〜5及び18では9時間、実施例6〜17では5時間加熱して熱硬化性層Cを熱架橋し、熱硬化層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を得た。また、この際に、熱硬化性層又は熱硬化層の板側を板面、基板側の面を基板面と以後記載する。
−彫刻工程−
熱架橋させた後に、得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の熱硬化層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成することによりフレキソ印刷版を作製した。
熱架橋させた後に、得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の熱硬化層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成することによりフレキソ印刷版を作製した。
<熱伝導測定>
使用した板をそのまま測定用のサンプルとして使用した。JIS H 7801に記載のレーザーフラッシュ法試験に則り測定した。
使用した板をそのまま測定用のサンプルとして使用した。JIS H 7801に記載のレーザーフラッシュ法試験に則り測定した。
<タック測定(付着紙粉量測定、ゴミ付着抑制性評価)>
2cm四方のフレキソ印刷版原版の質量を計量し、バットに敷いた100%セルローズ紙粉・細(ZELATEX JAPAN社製)に版の板面側のみを押し付け、未着紙粉を振り払った後、フレキソ印刷版原版の質量を計量し、付着した紙粉の質量を計量した。紙粉が少ない方が、タック性が低く、ゴミがつきにくいことを示す。付着した紙粉の単位面積当たりの質量を表1に記す。
2cm四方のフレキソ印刷版原版の質量を計量し、バットに敷いた100%セルローズ紙粉・細(ZELATEX JAPAN社製)に版の板面側のみを押し付け、未着紙粉を振り払った後、フレキソ印刷版原版の質量を計量し、付着した紙粉の質量を計量した。紙粉が少ない方が、タック性が低く、ゴミがつきにくいことを示す。付着した紙粉の単位面積当たりの質量を表1に記す。
<カス飛散抑制性測定>
彫刻には、炭酸ガスレーザー彫刻機“HELIOS 6010”(Stork Prints社製)を用い、板面を彫刻した。ドラムに張り付けた彫刻されたフレキソ印刷版の回転軌道上にPETを置き、遠心力により飛散した液状彫刻カスを採取し、PETに付着した液状彫刻カスの液滴面積を測定した。彫刻条件は、レーザー出力:500W、ドラム回転数:800cm/秒、レリーフ深度:0.30mmに設定し、4cm四方のベタ部分を彫刻した。飛散面積が少ない方が、彫刻機汚染が少なく好ましい。
彫刻には、炭酸ガスレーザー彫刻機“HELIOS 6010”(Stork Prints社製)を用い、板面を彫刻した。ドラムに張り付けた彫刻されたフレキソ印刷版の回転軌道上にPETを置き、遠心力により飛散した液状彫刻カスを採取し、PETに付着した液状彫刻カスの液滴面積を測定した。彫刻条件は、レーザー出力:500W、ドラム回転数:800cm/秒、レリーフ深度:0.30mmに設定し、4cm四方のベタ部分を彫刻した。飛散面積が少ない方が、彫刻機汚染が少なく好ましい。
<版強度の測定>
版強度は、ベタ部を砂時計型に型抜きした後、日本電産シンポ(株)製荷重試験機“FGS−100TV”を用いてにより版が破断する際に必要な単位面積当たりの荷重(N/mm2)を測定した。比較例1が破断した際に必要となる荷重を100とし、他の版の版強度を相対値として算出した。版強度の数値が大きいほど、版強度が優れることを意味する。
版強度は、ベタ部を砂時計型に型抜きした後、日本電産シンポ(株)製荷重試験機“FGS−100TV”を用いてにより版が破断する際に必要な単位面積当たりの荷重(N/mm2)を測定した。比較例1が破断した際に必要となる荷重を100とし、他の版の版強度を相対値として算出した。版強度の数値が大きいほど、版強度が優れることを意味する。
<経時でのカール測定>
得られたフレキソ印刷版原版を2cm×6cmに型抜き、40℃のオーブン内で120時間静置した後、原版の四隅と水平台の距離(浮き上がり高さ)を測定した。置き版や版作製後の版形状変化を想定しており、数値が大きく端部の浮きが大きいほど版の反りが大きいことを意味し、印刷や彫刻を行う際にハンドリング不良を発生しやすくなり好ましくない。
得られたフレキソ印刷版原版を2cm×6cmに型抜き、40℃のオーブン内で120時間静置した後、原版の四隅と水平台の距離(浮き上がり高さ)を測定した。置き版や版作製後の版形状変化を想定しており、数値が大きく端部の浮きが大きいほど版の反りが大きいことを意味し、印刷や彫刻を行う際にハンドリング不良を発生しやすくなり好ましくない。
各評価結果を、表1に示す。
熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を、前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で熱硬化したレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版は、タック性・彫刻時カス飛散抑制性・版強度・カールいずれも良化することがわかった。版と板との距離には最適値があり、比較例9のように近づきすぎると乾燥不良を起こして逆効果となることもわかった。比較例7及び8に示すPETのような熱伝導性が低い素材は、昇温速度が遅くなるために硬化不良を発生し、板の効果が出にくいこともわかった。
(実施例19)
実施例1〜18の版組成において、カーボンブラックを除去した以外は同様の版をそれぞれ作製し、同様の試験を実施したところ、同様の効果をそれぞれ確認できた。
更に、実施例1〜18の印刷版原版における熱硬化層の基板側に以下の組成の光硬化性接着剤を100μmの厚みになるように塗布して、水銀灯を用いて1,000mJ/cm2の照度でPET基材と熱硬化層とをUV照射接着させた後に、タック測定及びカス飛散性測定を行ったところ、同様の改良効果を確認できた。
実施例1〜18の版組成において、カーボンブラックを除去した以外は同様の版をそれぞれ作製し、同様の試験を実施したところ、同様の効果をそれぞれ確認できた。
更に、実施例1〜18の印刷版原版における熱硬化層の基板側に以下の組成の光硬化性接着剤を100μmの厚みになるように塗布して、水銀灯を用いて1,000mJ/cm2の照度でPET基材と熱硬化層とをUV照射接着させた後に、タック測定及びカス飛散性測定を行ったところ、同様の改良効果を確認できた。
<光硬化性接着剤の作製>
下記各成分を下記の使用量で混合し、光硬化性接着剤を作製した。
・2−ヒドロキシプロピルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製) 52質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製) 40質量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8質量部
下記各成分を下記の使用量で混合し、光硬化性接着剤を作製した。
・2−ヒドロキシプロピルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製) 52質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製) 40質量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8質量部
更に、実施例1〜18の印刷版原版における熱硬化層の板側に同様の条件で、上記光硬化性接着剤を塗布して、PET基材と熱硬化層とを前記と同様の照射条件でUV照射接着させた後に、カール測定を行ったところ、同様の効果を確認できた。
(実施例20)
実施例1〜18の版組成において、カーボンブラックを近赤外線吸収色素IR−13F(昭和電工(株)製)に等質量置換した以外は同様の版をそれぞれ作製し、同様の試験を実施したところ、同様の効果をそれぞれ確認できた。
実施例1〜18の版組成において、カーボンブラックを近赤外線吸収色素IR−13F(昭和電工(株)製)に等質量置換した以外は同様の版をそれぞれ作製し、同様の試験を実施したところ、同様の効果をそれぞれ確認できた。
A:流延基板(SUS板)、B:支持体(PET基板)、C:熱硬化性層、D:板、W:熱硬化性層C表面から板Dまでの距離
Claims (11)
- 熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び溶媒を含有する熱硬化性層を支持体上に形成する形成工程、並びに、
前記熱硬化性層表面から0.20〜20mmの間隔を空けて板を設置した状態で前記熱硬化性層を熱硬化させ熱硬化層を得る熱硬化工程を含み、
前記板の材質が、無機材料であることを特徴とする
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。 - 前記板が、1〜400W/m・Kの熱伝導率を有する無機材料からなる、請求項1に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記板の厚さが、1mm以上である、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記熱硬化性層が、カーボンブラックを更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記熱硬化性層が、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物を更に含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記熱硬化層と前記支持体とを剥離する剥離工程、及び、
前記熱硬化層の前記支持体から剥離した側の表面に接着剤を付与し別の支持体を接着する接着工程を更に含む、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。 - 前記接着工程が、前記熱硬化層の表面に光硬化性接着剤を付与し前記光硬化性接着剤を光により硬化させ別の支持体を接着する工程である、請求項6に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記別の支持体が、透明である、請求項6又は7に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により製造された、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成する彫刻工程を含む、フレキソ印刷版の製版方法。
- 請求項10に記載の製版方法により製造された、フレキソ印刷版。
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