JP2013167850A - 画像形成装置、画像形成装置の評価方法、およびパラメータ測定方法 - Google Patents

画像形成装置、画像形成装置の評価方法、およびパラメータ測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】現像装置4のマグネット42に新たな磁極を追加することなく、実測パラメータに基づいて運転条件を規定することにより後端現像不良を可視的に解消しつつ、現像性をも両立し得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光ドラム1の周速度をVpとし、現像スリーブ41の周速度をVsとし、所定の間隙において実測された現像剤が現像スリーブから感光ドラム1まで移動する時間をTsdとするとき、「(Vs−Vp)×Tsd<3×10−5[m]」が成立する。併せて、感光ドラム1の周速度Vpは0.1[m/sec]以上0.5[m/sec]以下であって、「0.2[m/sec]<(Vs−Vp)<0.5[m/sec]」の関係を満たす。
【選択図】図8

Description

本発明は、像担持体よりも高い周速度で回転する現像剤担持体に振動電圧を印加して像担持体の静電像をトナー像に現像する画像形成装置、詳しくは個別のトナー粒子の挙動を実測定したパラメータを用いて後端現像不良が抑制される運転条件に関する。
像担持体に形成した静電像を現像装置がトナー像に現像し、像担持体のトナー像を直接又は中間転写体を介して記録材に転写し、トナー像が転写された記録材を定着装置が加熱加圧して記録材に画像を定着させる画像形成装置が広く用いられている。トナー像の現像に際してトナーとキャリアを主成分とする現像剤を用いる二成分現像方式の画像形成装置も広く用いられている。
図1に示すように、二成分現像方式では、通常、トナーとキャリアが逆極性に帯電してトナーがキャリアに付着した状態で、現像装置の現像剤担持体(41)に磁気的に担持されて、像担持体(1)との対向部の現像領域(G)において磁気穂を形成する。現像領域(G)で磁気穂が像担持体表面を摺擦している状態で、所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した振動電圧を現像剤担持体(41)に印加することで、磁気穂のトナーが像担持体(1)の静電像に移転する。
図5に示すように、二成分現像方式では、中間階調(ハーフトーン)画像の後端部(最後に現像された部分)のトナー載り量が低下する後端現像不良という現象が発生することがある。後端現像不良は、従来、像担持体(1)よりも高速で同一方向に回転する現像剤担持体(41)の磁気穂が現像されたトナー像のトナーを追いかけて掻き取るためと考えられていた。
特許文献1では、そのようなトナー挙動の解釈に基づいて、現像剤担持体(41)の内側に配置されるマグネット(42)の現像領域(G)に磁極を追加して、現像剤担持体(41)に掻き取りの発生しにくい分布形状の磁気穂を形成させている。
特開2003−323051号公報
特許文献1の現像装置では、現像領域(G)に磁極が追加された特殊なマグネット(42)が必要である。追加された磁極はマグネットの構造を複雑にする他、元々の磁極の磁力を弱めてしまう。そのため、種々の画像形成条件(電圧、回転速度)に修正が必要となる。
ところで、後述するように、現像領域のシミュレーション装置を製作して現像領域の磁気穂を高速撮影してスローモーション再生したところ、現像領域(G)におけるトナーの挙動に新たな知見が追加された。ピークツーピーク電圧が2[kV]近い交流電圧を重畳した振動電圧下においても、磁気穂に担持されたトナーが像担持体に形成された静電像の電位の影響を受けており、現像剤担持体(41)と像担持体(1)の対向方向にトナー分布の変動が発生していた。すなわち、画像の後端よりも後方の非画像形成部を摺擦している磁気穂では、トナーが平均的に磁気穂の根元側に移動していて、現像剤担持体の回転に伴って磁気穂が画像の後端へ追いついた時点では、磁気穂に担持されるトナーが不足していることが観察された。そして、磁気穂が画像の後端へ追い付くとトナーの平均的な分布が若干の遅れ時間を持って像担持体側へ移動していることが観察された。そして、撮影された後端現像不良の大きさは、この遅れ時間にほぼ比例して発生していることが観察された。
本発明は、このような知見に基づいて、マグネットに磁極を追加することなく、実測パラメータに基づいて運転条件を規定することにより後端現像不良を可視的に解消させた画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、前記像担持体に対して所定の間隙を隔てて配置され、現像剤を磁気的に担持して、前記像担持体の対向面と同一方向に前記像担持体よりも高い周速度で回転する現像剤担持体と、所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した振動電圧を前記現像剤担持体に印加する電源とを備えるものである。そして、前記像担持体の周速度をVpとし、前記現像剤担持体の周速度をVsとし、前記所定の間隙において実測された現像剤が前記現像剤担持体の表面から前記像担持体まで移動する時間をTsdとするとき、「(Vs−Vp)×Tsd<3×10−5[m]」である。
本発明の画像形成装置では、後述する実施例のように、画像形成装置と実質的に同一に形成されたシミュレーション装置を用いて測定される時間Tsdの平均値を用いて「(Vs−Vp)×Tsd<3×10−5[m]」の関係が満たされる。これにより、実施例1〜3に示すように、少なくとも後端現像不良を目視で目立たないレベルに抑制できる。
したがって、キャリアに拘束されたトナーが磁気穂に沿った方向に移動しているという観察結果に基づいて、マグネットに磁極を追加することなく、実測パラメータに基づいて運転条件を規定することにより後端現像不良を可視的に解消できる。
画像形成装置の構成の説明図である。 感光ドラムの感光層の構成の説明図である。 別の感光ドラムの感光層の構成の説明図である。 現像スリーブに印加する振動電圧の説明図である。 後端現像不良の説明図である。 感光ドラムの非画像領域に対向した現像スリーブ上のトナーの説明図である。 画像領域の後端に到達した現像スリーブ上のトナーの説明図である。 画像領域の現像プロセスにおけるトナー軌跡の説明図である。 後端現像不良が発生しない範囲の説明図である。 後端現像不良が発生しない実用的な範囲の説明図である。 現像の前後における感光ドラムの表面電位の説明図である。 現像性の説明図である。 現像バイアスの説明図である。 モデル計算されたトナー粒子の軌跡の説明図である。 実施例1の運転条件における実験結果の説明図である。 比較例1の運転条件における実験結果の説明図である。 実施例2の運転条件における実験結果の説明図である。 比較例2の運転条件における実験結果の説明図である。 実施例3の運転条件における実験結果の説明図である。 比較例3の運転条件における実験結果の説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、現像剤の層厚を規制する部材がその上流側の現像剤の流れを整流する部材を兼ねて一つの部品にまとめられている限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、二成分現像剤を用いる現像装置に限らず、一成分現像剤を用いる現像装置でも実施できる。そして、本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、1枚ずつ搬送される記録材にトナー像を転写して定着させるモノクロプリンタである。
画像形成装置100は、感光ドラム1を囲んで、コロナ帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写帯電器5、ドラムクリーニング装置7を配置している。感光ドラム1は、外周面に感光層を形成され、所定のプロセススピードで矢印A方向に回転する。
コロナ帯電器2は、コロナ放電に伴う負極性の荷電粒子を照射して、感光ドラム1を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。露光装置3は、モノクロ画像を展開した走査線画像信号をON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1の表面電位を暗部電位VLに低下させて、感光ドラム1に画像の静電像を書き込む。現像装置4は、トナーを感光ドラム1に移転させて静電像をトナー像に現像する。
分離ローラ63は、記録材カセット61から引き出した記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ64へ送り出す。レジストローラ64は、感光ドラム1のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを転写部51へ送り込む。
転写帯電器5は、コロナ放電に伴う正極性の荷電粒子を照射して感光ドラム1に当接して搬送される記録材Pに、感光ドラム1からトナー像を移転させる。トナー像を転写された記録材Pは、定着装置6で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着される。ドラムクリーニング装置7は、感光ドラム1にクリーニングブレードを摺擦させて、記録材への転写を逃れて感光ドラム1に付着した転写残トナーを除去する。前露光器8は、感光ドラム1Yの表面に光を照射して電気的に初期化して、上記の画像形成動作の繰り返しを可能にする。
<感光ドラム>
図2は感光ドラムの感光層の構成の説明図である。図3は別の感光ドラムの感光層の構成の説明図である。
図2に示すように、感光ドラム1は、一般的な、少なくとも有機光導電体層を有する感光体であるOPC感光体を用いている。OPC感光体は、導電性基体上に、有機光導電体を主成分とする光導電層を備えた感光層(感光膜)が形成される。金属基体11の上に有機材料から成る電荷発生層12、電荷輸送層13、表面保護層14が積層されている。
図3に示すように、感光ドラム1は、少なくともアモルファスシリコン層を有する感光体であるa−Si感光体を用いることもできる。a−Si感光体は、導電性基体上に、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)を主成分とする光導電層を備えた感光層(感光膜)を有する。a−Si感光体としては、一般的に、次のような層構成のものがある。
(1)図3の(a)に示すように、感光体用支持体(基体)21の上に、感光膜22が設けられている。該感光膜22は、本例では、a−Si:H、X(Hは水素原子、Xはハロゲン原子)からなる光導電性を有する光導電層23で構成されている。
(2)図3の(b)に示すように、a−Si感光体は、感光体用支持体21の上に、感光膜22が設けられている。感光膜22は、a−Si:X、Xからなる光導電性を有する光導電層23と、アモルファスシリコン系表面層24とから構成されている。
(3)図3の(c)に示すように、a−Si感光体は、感光体用支持体21の上に、感光膜22が設けられている。感光膜22は、a−Si:H、Xからなる光導電性を有する光導電層23と、アモルファスシリコン系表面層24と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層25とから構成されている。
(4)図3の(d)に示すように、a−Si感光体は、感光体用支持体21の上に、感光膜22が設けられている。感光膜22は、光導電層23を構成するa−Si:H、Xからなる電荷発生層26及び電荷輸送層27と、アモルファスシリコン系表面層24とから構成されている。
尚、感光ドラム1としては、図2、図3に示すような層構成のものに限定されるものではなく、その他の層構成の感光体も用いることができる。
<現像装置>
近年、電子写真方式の画像形成装置のデジタル化、フルカラー化、高速化が進むにつれ、その出力画像がオリジナルの出力物としての価値を持つようになり、印刷市場への参入が期待されている。より高品位(高精細)で安定した画質の画像を出力することが求められている。高精細な画質を得るためには、現像性を向上させ、且つ、画像不良を低減させなければならない。
図1に示すように、現像装置4は、非磁性トナー粒子であるトナーTを磁性キャリア粒子であるキャリアCに重量比10%ほど混合した二成分現像剤を現像スリーブ41に担持して、感光ドラム1に供給して、トナー像を現像する。トナー像は、二成分現像剤のうち実質的にトナーのみで形成される。
本発明におけるトナーとキャリアは、制限を受けないが、具体的には、後述する各種のものが挙げられる。トナーには、離型剤としてのワックスや、有機金属錯体等の荷電制御剤を含有することが好ましい。現像剤に対するトナー重量比及びトナーに添加される外添剤種、量を調整して所望のトナー帯電量Q/Mを確保している。
現像容器(現像器本体)44は、二成分現像剤を収容する。現像スリーブ41は、現像容器44の開口部44aに回転可能に配置され、内部に磁界発生手段としてのマグネット42を内包している。現像スリーブ41は、現像スリーブ41の表面が、感光ドラム1と対向する現像部Gにおいて感光ドラム1の表面と同じ方向であるB方向に移動するように回転する。現像スリーブ41は、感光ドラム1よりも速い速度Vsで表面が移動するように回転駆動される。
二成分現像剤は、現像容器44内で現像スリーブ41の表面に担持された後、層厚規制部材43によって層厚が一様にコントロールされた後に、感光ドラム1と対向する現像部Gまで搬送される。プラスに帯電したキャリアCは、マグネット42の磁力によって現像スリーブ41の表面に拘束され、マイナスに帯電したトナーTを吸着して現像部Gまで搬送する。トナーTは、キャリアCと攪拌混合されて摩擦帯電することにより、所定のトナー帯電量Q/Mまで帯電される。
現像スリーブ41上の二成分現像剤は、現像部Gにおいて、マグネット42の発生する磁界により穂立ちして磁気ブラシを形成し、磁気ブラシの先端側が感光ドラム1の表面を摺擦する。直流電圧Vdcに交流電圧Vacを重畳した振動電圧が現像スリーブ41に印加されることにより、現像スリーブ41から感光ドラム1YへトナーTのみが移転する。
画像形成装置100では、感光ドラム1Yは、負極性に帯電され、静電像は、画像部に露光を行うことによって静電像を形成するイメージ露光方式にて形成されている。トナーはキャリアとの摩擦帯電により感光ドラム1Yの帯電極性と同極性である負極性に帯電される。帯電したトナーを用いて、感光ドラム上の体上の露光された画像部を現像する反転現像方式によって静電像がトナー像に現像される。
<振動バイアス>
図4は現像スリーブに印加する振動電圧の説明図である。図中、横軸は時間を示し、縦軸は電位を示す。図4に示すように、現像スリーブ41には、一般的な矩形波の現像バイアスが印加される。現像バイアスは、上述した明部電位VLと暗部電位VDとの中間に定められた直流電圧Vdcに、ピーク間電圧Vpp、ピーク電位Vp1、Vp2の交流電圧Vacが重畳された振動電圧である。現像バイアスは、感光ドラム1と現像スリーブ41との間に印加される。
図中、暗部電位VDは、コロナ帯電器2によって帯電された負極性の電位である。明部電位VLは、露光装置3による露光を受けて暗部電位VDが電位低下した画像部の電位である。明部電位VLは、トナーの付着量が最も多くなって定着画像の最高濃度が得られる電位である。
図4に示すように、矩形波の現像バイアスのピーク電位のうち電位Vp1が現像スリーブ41に印加された時には、明部電位VLに対して最も大きな現像コントラスト(電位差)が形成される。この電位差による現像電界が、トナーを現像スリーブ41から感光ドラム1へ移動させる。
また、逆に、矩形波の現像バイアスのピーク電位のうち電位Vp2が現像スリーブ41に印加された時には、明部電位VLに対して、現像電界が形成される時とは逆方向の電位差が形成される。この逆方向の電位差による引き戻し電界が、感光ドラムの明部電位VLの領域に付着したトナーを現像スリーブ41側へ引き戻して移動させる。
現像電界の電界強度Eaと、引き戻し電界の電界強度Ebは、それぞれ下記式で表される。
Ea=|(Vp1−VL)|/D ・・・(1)式
Eb=|(Vp2−VL)|/D ・・・(2)式
VL :最高濃度を得るための静電像の電位[V]
Vp1:振動電圧における明部電位VLの感光ドラム1にトナーを移動させる方向のピーク電位[V]
Vp2:振動電圧における明部電位VLの感光ドラム1から現像スリーブ41へトナーを移動させる方向のピーク電位[V]
Vdc:振動電圧におけるDC成分[V]
D :感光ドラム1と現像スリーブ41の最近接距離[m]
現像電界の電界強度Eaを現像電界強度とする。引き戻し電界の電界強度Ebを引き戻し電界強度とする。交流電圧Vacのピーク間電圧[V]をVppとすると、ピーク電位Vp1、Vp2は、トナーの帯電極性に応じて下記式で表される。
トナーが−極性のとき、
Vp1=Vdc−|Vpp/2|、Vp2=Vdc+|Vpp/2|・・・(3)式
トナーが+極性のとき、
Vp1=Vdc+|Vpp/2|、Vp2=Vdc−|Vpp/2|・・・(4)式
このような画像形成装置100において、現像スリーブ41の回転速度を高く設定して画像形成した場合、次のようなメカニズムによって後端現像不良が発生することがある。
<高速撮影用実験機>
図5は後端現像不良の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100では、現像装置4が備える現像スリーブ41上に担持された二成分現像剤が、感光ドラム1上の静電像と対向する現像部Gまで搬送される。そして、現像スリーブ41上の二成分現像剤の磁気穂を感光ドラム1に接触又は近接させた状態で、現像スリーブ41と感光ドラム1との間に印加された現像バイアスによって、トナーのみが感光ドラム1上に移動して静電像に応じたトナー像が形成される。
二成分現像方式では、現像性を向上させる目的や画像不良を低減させる目的のため、様々な工夫がされている。その一つとして挙げられるのが、現像スリーブと感光ドラムの間に周速差を設けていることである。一般的に、現像スリーブに感光ドラムよりも速い周速度を与えることにより、良好な画像が得られる。その理由は、現像スリーブに担持されたキャリアにより搬送された、トナーの供給量が増加するためである。感光ドラムよりも現像スリーブが速い速度で移動すると、感光ドラム上の静電像に対して、多くの新規なトナーを移転させる機会が増加するためである。
しかし、現像スリーブに感光ドラムよりも速い周速度を与えると、画像不良も発生する。その一つに画像後端における画像濃度の低下による画像不良が存在する。特に、デジタル方式の中間階調の画像(ハーフトーン画像)の場合に顕著である。その原因は、3つあると考えられる。
(1)1つめの原因は、一旦現像されたトナーをキャリアの持つカウンターチャージにより、かきとってしまうというものである。
(2)2つめの原因は、現像スリーブと感光ドラムの周速差の存在である。従来は、プロセススピードが現在ほど速くなかったため、周速差による後端濃度不良は問題とならなかった。しかし、近年のプロセススピードの高速化に伴って周速差が増大して問題が顕在化したと考えられる。
(3)3つめの原因は、トナーが劣化してトナー帯電量Q/Mが低下することにより、トナーの現像電界への追従性が低下して後端部の濃度が確保できなったと考えられる。
そこで、後端現像不良のメカニズムを明らかにするために、現像部におけるトナーの挙動を観察することを試みた。しかし、画像形成装置の動作中に感光ドラムと現像スリーブの対向領域(現像部)のトナー挙動を観察することは難しい。
(1)難しい1つめの理由は、複写機内に観察装置を配置するスペースがないことである。
(2)難しい2つめの理由は、照明を配置するスペースがないことである。高速で飛翔する数μmレベルのトナーを明確に撮影するには、充分な光源が必要となる。しかし、トナーが飛翔する空間(現像スリーブと感光ドラムの間隙で形成される現像部)はわずか数100μm程しかないため、照明を配置するスペースがない。
そこで、本発明者らは、実際の複写機ではなく、実際の複写機を模した高速撮影用実験機を作製し、実験機を用いて、トナー挙動を撮影し、スローモーション観察して後端現像不良のメカニズムを特定した。実験機は、具体的には、高速度カメラ、実験機用現像装置、アルミ製の帯電ドラムによって構成される。高速度カメラには、高速度カメラAPX−RS:フォトロン社製を用いた。
実験機用現像装置は、画像形成装置100と断面構成及び寸法を同一にして製作され、帯電ドラム(感光ドラム1に相当)の直径84mm、現像スリーブの直径24.5mmとした。撮影用のため、帯電ドラム及び現像スリーブの回転軸線方向長さは16mmとした。帯電ドラムは、アルミで構成された円筒材料の表面に酸化インジウムスズを30μm程度成膜したものを用いた。
帯電ドラムの帯電(静電像に相当)には、ゴム製ローラを用いた。ゴム製ローラに用いられるゴムの材料としては、導電性が保たれていればよく、材料を縛るものではない。ゴム製ローラは2本用い、帯電ドラムの回転方向に関して実験機用現像装置よりも上流に配置した。
ここで、1本目のゴム製ローラは、2本目のゴム製ローラよりも上流側に配置して、帯電ドラムを一様に暗部電位VDに帯電させる機能を付与した。2本目のゴム製ローラは、暗部電位VDに一様帯電させた領域上に静電像として、回転方向に10mmの間隔を置いて10mmの明部電位VLを間欠的に形成するように振動電圧を印加した。1本目のゴム製ローラと2本目のゴム製ローラに高圧電源装置を接続して、帯電ドラム上に形成される暗部電位VD及び明部電位VLが所望の電位になるように高圧電源装置から印加する電圧を調整した。
図5に示すように、高速撮影用実験機を用いて、画像形成装置の実機と同条件で運転してトナーの挙動を観察をしたところ、実機と同様に、後端現像不良が帯電ドラム上に確認された。
画像形成装置の実機においても高速撮影用実験機においても共に後端現像不良が発生した条件は、次のようであった。暗部電位VD=−500V、明部電位VL=−300V、現像バイアスの直流電圧Vdc=−350V、現像スリーブの周速度Vs=500mm/sec、感光ドラムの周速度Vp=300mm/secである。
つまり、画像形成装置の実機と高速撮影用実験機における後端部現像不良の現象自体は同一であると判断できる。そして、高速撮影用実験機により撮影した動画を用いてトナー挙動を解析することにより、画像形成装置の実機で発生している画像不良の原因を突き止めることができた。高速撮影用実験機を用いて撮影した動画を解析したところ、後端現像不良の現象は、現像スリーブが感光ドラムよりも大きな周速を持つときに、現像スリーブ側に引き寄せられた、トナーの移動が間に合わないために発生する現象であることが判った。
なお、高速撮影用実験機において、帯電ドラム上に発生した後端現像不良の長さは、実機のプリント出力で確認されたものよりも長い傾向となった。これは、画像形成装置の実機では、感光ドラム上に現像されたトナー像は、記録材に転写される転写プロセスを経た後に記録材に画像を定着させる定着プロセスを経るためと考えられる。すなわち、転写プロセスでは、感光ドラム上のトナー像の配置を正確に紙上に再現できるわけではなく、非画像部へ飛び散るトナーも少なくない。そのため、本来、後端現像不良であった部分にもトナーが転写される可能性があり、その場合は、後端現像不良の距離が短縮される。さらに、定着プロセスにおいても、一般的にトナーを紙に定着させるために、加熱および加圧が行われるため、その結果として、トナーが溶け広がるため、その分、後端現像不良の距離が緩和される。
したがって、実際の複写機には存在して、高速撮影用実験機には存在しない、転写プロセスおよび定着プロセスの影響で実機と可視化装置では現像不良距離の長さに差異が生じ、後端不良の長さは実機のほうが短いと考えられる。
<後端現像不良のメカニズム>
図6は感光ドラムの非画像領域に対向した現像スリーブ上のトナーの説明図である。図7は画像領域の後端に到達した現像スリーブ上のトナーの説明図である。図8は画像領域の現像プロセスにおけるトナー軌跡の説明図である。
図6、図7、図8は、現像プロセス中の1個のトナーTに着目した図であり、説明を簡単にするため、トナーを1粒子しか描いておらず、周囲のトナーやキャリアは図示省略してある。
図6の状態は、感光ドラム1上に静電像Sが形成されており、トナーTは静電像Sの手前の非画像領域に対向している状態である。図6に示すように、非画像領域の感光ドラム1の電位はVD=−500V、現像スリーブ41の電位は、Vdc=−350Vであるとする。静電像Sの電位を−300V、非画像領域の電位を−500V、現像スリーブ41に印加された現像バイアスの直流電圧を−350Vとし、トナーが負極性に帯電しているとする。
スローモーション画像の観察によると、ある瞬間、トナーTは、静電像Sよりも現像部Gにおいて上流に位置しており、非画像領域に対向している。トナーが非画像領域に対向している状態では、負極性に帯電したトナーは、現像スリーブに引き寄せられている。トナーTは、感光ドラム1上の非画像領域と対向して、電位の関係上、現像スリーブ41に引き寄せられている。
そして、キャリアで形成されて現像スリーブ41に担持された磁気穂は、現像スリーブ41と等速で回転しているため、磁気穂に担持されたトナーT(もしくは密に形成された磁気穂間に浮遊したトナーT)も現像スリーブ41と等速で移動している。トナーTのx方向の速度は、Vsである。現像スリーブ41が感光ドラム1よりも大きな速度を持って回転しているため、現像剤の磁気穂に囲まれたトナーTは、現像スリーブ41と等速度でx方向に移動する。
しかし、より多くのトナーを現像部Gに送り込み、静電像Sの現像性をより向上させるために、現像スリーブ41の周速Vsは、感光ドラム1の周速Vpより速い速度に設定されている。そのため、感光ドラム1の非画像領域に対向したトナーは、現像スリーブ41に引き寄せられたままの状態で、静電像Sの後端に追いつき、追いついたトナーは、感光ドラム1と現像スリーブ41の電位差に応答して感光ドラム1へ移動し始める。図6の状態からx方向へ移動するトナーが静電像S上のどの場所に付着して現像するのかに着目すれば、後端現像不良の現象は浮き彫りになる。
図6に示すように、非画像領域に対向したトナーTは、電位の関係上、現像スリーブ41に引き寄せられている。そして、現像スリーブ41と感光ドラム1の間に周速差がなければ、後端現像不良は発生しない。しかし、一定以上の周速差を設けて現像部Gに送り込むトナー量を増やさないと、高いプロセススピードにおいては、トナー供給が不足して現像性が著しく低下する。このため、現像スリーブ41は感光ドラム1よりも高い周速度で回転し、トナーTは画像領域に対向する位置へ移動する。
図7に示すように、その後、トナーTは、現像スリーブ41と感光ドラム1の周速差によって静電像に追いついた時から現像を始める。しかし、現像スリーブ41と感光ドラム1との間に距離が存在するため、最初に対向した画像領域後端には辿り着くことはできず、画像領域後端から一定の距離Xを隔てた場所に現像される。このプロセスを繰り返すうちに、後端現像不良を伴ったトナー像が巨視的に顕在化される。そして、ハーフトーン画像では、トナー載り量の差に対する視覚的感度が高くなるため、後端現像不良の濃度差がとりわけ目立つことになる。
図8に示すように、当初現像スリーブ41に引き寄せられた状態のトナーがそれぞれの軌跡を通って感光ドラム1に到着することでトナー像が現像される。この軌跡については、後述するように数学的に解析することができる。しかし、本発明者らは、後端現像不良を解決するために、撮影画像を解析して、トナーが感光ドラム1に到着するまでの時間Tsdを短くすることを検討した。以下で、後端不良の発生メカニズム、及びTsdの測定方法に関して述べる。
上記の理論に従えば、現像スリーブ41と感光ドラム1の間に周速差があるときに、後端現像不良を低減するには、非画像領域の暗部電位VDの反発を受けて現像スリーブ41に引き寄せられたトナーをより早く感光ドラム1に到達させる必要がある。トナーが感光ドラム1に到達するまでの時間Tsdによって後端現像不良となる距離xが決定されると考えられるので、距離xが許容範囲となるように時間Tsdを制御する必要がある。
本発明者らは、高速撮影用実験機の撮影動画を手作業により解析して、個別のトナー粒子が現像スリーブから帯電ドラムに到達するまでの時間Tsdを測定した。具体的には、写真画像の編集ソフトウエア(AdobePhotoShopCS2(登録商標):AdobeSystem社製)を用いて、動画像を構成する多数の静止画像を編集した。アンシャープマスク処理を施してグレイスケール画像に変換することでトナー粒子の輪郭を強調した。
その後、画像解析ソフトウエア(ImageProPlus(登録商標):AdobeSystem社製)を用いて個別のトナー粒子を目視で追跡し、動画の各静止画像における移動位置を特定した。100個のトナー粒子が帯電ドラムに到達するまでの時間を静止画像の枚数から個別に測定して100個分を平均することで、トナーが帯電ドラムに到達するまでの時間Tsdとした。
もっとも、高速撮影用実験機で撮影した動画は、静止画の集合であるので、時間的に不連続であるため、偶然、トナー粒子が帯電ドラムに到達した瞬間の画像が撮影できれば良いが、通常は、到達前と到達後に跳ね返った2枚の連続画像になる。そのような場合には、正確に帯電ドラムに到達した時刻を特定できないが、高速度カメラの撮影フレームレートをある程度まで高速にすれば、帯電ドラムに到達する前後の画像の中間値で代替しても、差し支えない。具体的には、高速度カメラのフレームレートが500000frame/sec以上であるならば、中間値を持って代替しても誤差は少ないと考えられる。
その理由としては、500000frame/secでのフレームレートで撮影した場合、シャッタースピードにも依存するが、2枚の静止画像の時間間隔は、1/500000秒、即ち2μ秒以下である。したがって、帯電ドラムに衝突する前と衝突した後の画像の中間をとることで発生する帯電ドラムに到達した時間の誤差は2μ秒以下に抑えられ、100〜30μ秒レベルのTsdについて、十分な精度を確保できるからである。
<後端現像不良のパラメータ>
図9は後端現像不良が発生しない範囲の説明図である。図10は後端現像不良が発生しない実用的な範囲の説明図である。
図8に示すように、現像部Gでは、実際には、キャリアで形成された磁気穂が密に存在している。現像スリーブ41の回転方向をx方向とする。キャリアから引き剥がされたトナーは、その密に存在する磁気穂間で盛んに運動しているため、磁気穂と等速度で現像スリーブ41と同一方向に回転している。磁気穂は、現像スリーブ41に担持され、トナーは磁気穂に拘束を受けて回転するので、現像部Gにおいて、トナーのx方向の速度は、現像スリーブと等速である。トナーのx方向の速度をvxとし、現像スリーブ41表面の速度を速度Vsとすると、次式が成立する。
Figure 2013167850
したがって、任意の時間tにおけるトナーのx方向の位置x(T)は、次式で記述される。
Figure 2013167850
ここで、xはt=0における、トナーのx方向の位置である。現像性確保のため、現像スリーブ41は感光ドラム1よりも、高い周速度を有しているため、現像スリーブ41と等速でx方向に運動するトナーは、静電像を必然的に追い越して、対向する静電像上の位置が刻々と変化する。トナーが対向する位置の感光ドラム上の画像後端からの距離Xは、次式で記述される。
Figure 2013167850
vx :トナーの移動速度
Vp :感光ドラムの周速度
Vsd:現像スリーブと感光ドラムの周速差
Tsd:トナーが感光ドラムに辿り着くまでに要する時間
図8に示すように、トナーTは、現像スリーブ41から移動開始し、振動電圧の交流電圧のパルス極性に応答した往復移動を伴って感光ドラム1上に到達する。その間、トナーTは数式(数14)で記述される距離Xだけ感光ドラムを追い抜くため、トナーTは、感光ドラム1上の点Bへは現像されず、点Bから感光ドラム回転方向へ距離X離れた点B’を現像する。
このような過程がトナーが静電像を追い越す度に平均的に繰り返されることで、巨視的に後端現像不良が顕在化する。したがって、後端不良の距離Xを緩和するには、数式(数7)から明らかなように、周速差Vsdを小さくするか、若しくは、時間Tsdを短くする必要がある。
そして、実際には、後端現像不良の距離Xは、30[μm]以下の場合においては、視覚的に許容出来る範囲と判定した。現在、電子写真で用いられているキャリアはおよそ数十μmの粒径の粒子が使用されており、そのキャリアが1粒子でも出力物である画像に付着すると画像不良として顕在化することから、最低限、キャリア粒子よりも小さい範囲でなければならないからである。また、距離Xが30[μm]以下であれば、実際に画像として許容できることも、本発明者らの検討によって確認されている。したがって、数式(数14)から次式が得られる。
Figure 2013167850
(8)式で示される領域を、図9の斜線部に示す。
しかしながら、現像スリーブ41と感光ドラム1の周速差であるVsdは、現像性、キャリア付着、画像の乱れ等の画像性とも密接な関わりがある。このため、(8)式を満たしさえすれば良いわけではなく、あくまで、現像性、画像性を満たしつつ、(8)式を満たす条件を見つけることが必要である。理想的なVsdの好ましい範囲を特定するために、実施例1〜3において検討を行い、その範囲を特定した。実施例1〜3において特定された領域を、図10の斜線部に示す。
以下の実施例の目的とするところは、後端現像不良を低減させつつ、トナーが現像する機会も確保して高い現像性が得られる画像形成装置を提供することである。
<実施例1>
図15は実施例1の運転条件における実験結果の説明図である。図16は比較例1の運転条件における実験結果の説明図である。
図1に示すように、静電像形成手段の一例である露光装置3は、像担持体の一例である感光ドラム1に静電像を形成する。現像剤担持体の一例である現像装置4は、感光ドラム1に対して所定の間隙を隔てて配置され、現像剤を磁気的に担持して、感光ドラム1の対向面と同一方向に感光ドラム1よりも高い周速度で回転する。現像スリーブ41は、トナーとキャリアを含む現像剤の磁気穂を所定の間隙で感光ドラム1に摺擦して静電像を現像する。電源の一例である電源D4は、所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブ41に印加する。
感光ドラム1の周速度をVpとし、現像スリーブ41の周速度をVsとし、所定の間隙において実測された現像剤が現像スリーブから感光ドラム1まで移動する時間をTsdとする。このとき、後端現像不良が発生しない運転条件では、「(Vs−Vp)×Tsd<3×10−5[m]」が成立している。併せて、感光ドラム1の周速度Vpは0.1[m/sec]以上0.5[m/sec]以下であって、「0.2[m/sec]<(Vs−Vp)<0.5[m/sec]」の関係を満たす。
画像形成装置の評価方法は、感光ドラム1の回転方向における静電像の境界位置でトナーが現像スリーブ41から感光ドラム1まで移動する時間を実測する。そして、当該時間が後端現像不良に関連付けた所定時間よりも小さいか否かを判断する。これにより、対向距離、相対速度、電界の強さ、トナー帯電量Q/M等の様々な条件の組み合わせが、後端現像不良の観点で問題があるか否かを正確に判断できる。1つの実測パラメータのみを用いてこれらの多数の物理的パラメータの適否を評価できる。
Tsdは、後端現像不良のパラメータである。高速撮影用実験機は、帯電ドラムと現像スリーブを用いて、感光ドラム1と現像スリーブ41の運転状態を軸線垂直断面的に再現した対向間隔のトナー挙動のシミュレーション装置である。パラメータ測定方法では、帯電ドラムと現像スリーブの対向間隔を回転軸線方向から動画撮影して動画を構成する静止画上の個別のトナー粒子を追跡して、現像スリーブ41から感光ドラム1までトナー粒子が移動する時間Tsdを求める。
帯電ドラムには感光ドラム1の暗部電位と明部電位とに対応させた電位の反転位置が形成されている。静止画において追跡されるトナー粒子は、対向間隔において、暗部電位に対応する電位の領域に対向する位置から帯電ドラムの回転に伴って明部電位に対応する電位の領域へ移動したトナー粒子である。
実施例1では、画像形成装置100において、現像スリーブ41の周速Vs、感光ドラム1の周速Vp、印加される現像バイアスの周波数fとピーク間電圧Vppの値、トナーの単位質量あたりの帯電量Q/Mを様々に変化させて、後端現像不良を評価した。併せて、出力画像の現像性、および画像性(キャリア付着、がさつき、かぶり)を評価した。いずれか1つでも許容外の場合は、実施例の画像基準を満たさないとして、比較例とした。
まず、高速撮影用実験機を用いて現像スリーブの周速Vs、帯電ドラムの周速Vp、および現像スリーブと帯電ドラムの周速差を変化させて、トナーが帯電ドラムに辿り着くまでに要する時間Tsdを上述の手順を用いて実測した。続いて、同条件で画像形成装置(100:図1)を運転して、残りの項目について測定を行い、それぞれの値と上記測定項目の関係を測定し、後述する評価基準に従って評価した。
図15に示すように、実施例1−1〜1−4の運転条件ではすべての評価基準を満たした。周速差Vsdが0.2〜0.5[m/sec]であり、かつ、感光ドラムの周速Vpが0.1〜0.5[m/sec]の実施例1−1〜1−4では、後端現像不良距離、現像性、及び画像性が後述する評価基準を満たして両立している。
図16に示すように、比較例1−1〜1−9の運転条件では1つ以上の評価基準を満たせなかった。(8)式の関係を満たさない比較例1−3、1−4では、後端現像不良が目立つ結果となった。トナー帯電量、電界強度等のパラメータが図15の実施例1と同様であっても、現像スリーブとドラムの周速差Vsdが0.2〜0.5を満たさない限り、後端現像不良距離、現像性、及び画像性等の上記評価基準がすべて満たされることにはならない。
また、周速差Vsdが0.2[m/sec]未満の比較例1−1〜1−3、1−5〜1−7では必要な現像性が得られない。0.2[m/sec]以上の周速差を設けないと、画像領域に供給されるトナー量が不足して、必要な現像性が得られないため、周速差Vsdの下限が与えられている。後端現像不良の距離Xは、既に述べているように、周速差Vsdが大きければ大きいほど不利であるため、周速差Vsdの上限として、0.5[m/sec]という制限が課せられる。
また、感光ドラム1の周速Vpの制限に関しては、現像スリーブ41の周速Vsを基準とし、適正な周速差Vsdの得られる範囲を考慮すると、Vpは0.1[m/sec]以上0.5[m/sec]以下とする必要がある。周速Vpの上限は、現像スリーブ41の周速Vsが1.0[m/sec]以上の時は、キャリアの受ける遠心力が現像スリーブ41からの磁気保持力を上回り、感光ドラム1上にキャリア付着してしまう理由による。また、磁気穂が高速でトナー像を摺擦するとトナー像が掻き乱されて画像の解像度が低下するという理由もある。周速Vpの下限は、そもそも一定以上の速度を感光ドラムに与えないと、生産性が得られないために設けてある。また、感光ドラム1の周速Vpが小さすぎると、かぶりが悪化するという問題もある。
このような理由と図15、図16の結果から、(8)式を満たしつつ、現像性、画像性を両立する条件を決定した。図15、図16における各種測定項目は、以下のように測定して評価した。
<後端現像不良距離>
まず、後端現像不良距離xの定義、及び測定方法について記述する。後端現像不良距離xの定義は、紙の搬送方向と直交する方向、所謂長手方向で、無秩序に5点の濃度を測定したときの平均濃度の値がDT=0.3以下の領域の紙の搬送方向の長さとする。
図5に示すように、ラインAとラインBの間の領域が濃度0.3以下の領域であり、その領域における記録材の搬送方向の距離が後端現像不良距離xである。また、ここでいう濃度とは、グレタグ・マクベス社製の透過濃度計TD904を用いて測定された、透過濃度DTにて説明を行っている。透過濃度DTを用いた理由は、記録材上のトナー層の表面状態に由来するグロスの影響を除いた状態にて、トナー載り量と画像濃度との関係を説明するためである。
使用した記録材は、王子製紙社製OKトップコート(坪量73.3g/m)を用いた。以下、説明を行う記録材は、すべて上記コート紙である。
評価A :0≦X≦15μm ・・・良好
評価B :15μm<X≦30μm ・・・許容
評価C :30μm<X ・・・不良
本発明にあっては、現像剤担持体と像担持体の周速差Vsdとトナーが像担持体に辿り着くまでに要する時間Tsdを小さくすれば、後端現像不良距離を短くすることができる。後端現像不良の距離Xを短くし、画像不良としての程度を緩和させるためには、トナーが帯電ドラムまで到達する時間Tsdを短くすればよい。本発明者らの検討によれば、後端現像不良の距離が30μm以下のときは、視覚的に許容できる範囲であると判定してよい。
後端現像不良距離Xは、30[μm]以下の場合においては、視覚的に許容出来る範囲できると判断した。トナーが像担持体に辿り着くまでの時間Tsdを適正な範囲に設定することで、後担現像不良の距離xを30[μm]以下に抑え、かつ、現像性、画像性との両立を図ることができる。トナーが現像する機会を減少させることなく、ハーフトーン画像の後端部の画像濃度の低下を視覚的に許容できる範囲内に収めることができる。
<現像性>
図11は現像の前後における感光ドラムの表面電位の説明図である。図12は現像性の説明図である。
図11に示すように、Vcontは、現像バイアスのDC成分と、感光ドラムの現像される部分の明部電位VLとの電位差である。ΔVは、静電像電位部分の現像後のトナー層表面電位と、現像前の静電像電位との電位差である。画像領域(ベタ画像)に対応する感光ドラムのΔVは、画像領域に対応する明部電位VLの現像後のトナー層表面電位と、現像前の明部電位VLとの電位差である。明部電位VL及びトナー層表面電位の測定は、現像位置もしくは現像位置近傍で、表面電位計により測定した。
図12に示すように、充電効率は、現像コントラストVcontに対する充電電位ΔVの割合である。現像性は、次式を用いて定義される充電効率を以って評価した。
Figure 2013167850
充電効率の測定方法について説明する。
(1)始めに二成分現像剤を入れない空の現像装置を用意し、帯電、静電像形成後における、トナーで現像されていない感光ドラム1上の表面電位(現像前静電像電位)を現像装置直下に配置した表面電位計により計測する。
(2)次に、二成分現像剤を入れた現像装置を用意し、実際に、帯電、静電像形成後に現像バイアスを印加することにより、感光ドラム1上にトナー像を形成する。現像直後の感光ドラム表面の電位(現像後静電像電位)を同様に表面電位計により計測する。
上記の2通りの方法により得られた、現像前静電像電位と現像後静電像電位の電位プロファイルを図11に示す。図11のように、現像前静電像電位と現像後静電像電位のそれぞれの表面電位値を差し引くことにより、実際にトナーが現像されることによって作られるΔVを求めることができる。このときのVcontに対するΔVの割合が充電効率となる。
なお、当然、Vcontは現像位置で決定される。つまり、現像装置4の位置に専用の表面電位計を設置し、現像位置4の静電像電位を測定し、その静電像電位に対してVdcを決定し、現像位置におけるVcontを保証している。
<かぶり>
かぶりは、画像白地部の反射濃度Dsをマクベス社製の反射濃度計(SERISE1200)により測定する。一方、記録材自身の反射濃度Drを同様に測定し、かぶり濃度を以下のように決定した。
かぶり濃度(%)=Dr−Ds ・・・(10)式
求めたかぶり濃度に対して、下記の評価基準に従って評価した。
評価A :0.5%以下 ・・・良好
評価B :0.6〜2%以下 ・・・許容
評価C :2%を超える ・・・不良
<キャリア付着>
キャリア付着の評価は、感光ドラム上に最高濃度のトナー像を形成(ベタ現像)して本体電源をOFFしたときに、感光ドラム上に残ったトナー像をテーピングして採取した。光学顕微鏡(オリンパス社製)によりテーピングを観察して、5cmのトナー像中に存在するキャリアの個数をカウントして、単位面積あたりの個数を計算した。
キャリア付着個数Z(個/cm)に応じて次のように評価した。
評価A :0≦Z≦1 ・・・良好
評価B :1<Z≦3 ・・・許容
評価C :3<Z ・・・不良
ここで、評価C(不良)は、キャリアが記録材上に転写されたり、記録材上に転写されなかったキャリアの跡が白く残る画像不良として十分認知されてしまったりするレベルであった。
<がさつき>
画像均一性の評価は、ガサツキの目立ちやすいハーフトーン画像(明度L*≒70)に対して視覚評価を行った。
評価A :画像均一性の非常に良好なもの、良好なもの
評価B :若干のガサツキが見られるが許容レベルなもの
評価C :非常にガサツキが目立つもの
<実施例2>
図17は実施例2の運転条件における実験結果の説明図である。図18は比較例2の運転条件における実験結果の説明図である。
実施例2も実施例1と同様に高速撮影用実験機を用いてTsdを測定し、画像形成装置100を用いて画像を評価した。実施例2では、トナー帯電量Q/Mを変化させて、実施例1と同様に、それぞれの測定項目に対して、測定・評価を行った。トナーとキャリアの条件を保ってトナー帯電量Q/Mを上げ下げするためには、トナーとキャリアに添加する外添剤の配合と配合量を調整した。
図17に示すように、実施例の要件を満たした条件を実施例2−1、2−2、2−3として示す。トナー帯電量Q/Mを変化させると、Tsdが変化する。印加される電界への追従性が異なり、後端現像不良距離に影響を及ぼすからである。また、トナー帯電量Q/Mが大きくなると、キャリア側に生じる逆極性の電荷もおおきくなり、トナー−キャリア間の静電的付着力も大きくなる。そのため、トナーのキャリアからの離れ易さも変わってくるため、その結果、現像性に影響を及ぼす。
図18に示すように、実施例の要件を満たさない条件を比較例2−1、2−2として示す。
よって、単位重量当たりのトナーの帯電量をQ/M[μC/g]として、「60≦Q/M≦150」の関係を満たす。トナーのQ/Mが60〜150μC/gの範囲内であることが好ましい。
<実施例3>
図19は実施例3の運転条件における実験結果の説明図である。図20は比較例3の運転条件における実験結果の説明図である。
実施例3も実施例1と同様に高速撮影用実験機を用いてTsdを測定し、画像形成装置100を用いて画像を評価した。実施例3では、現像スリーブと感光ドラムの間に印加される電界強度を変化させて、実施例1と同じ測定項目について測定・評価を行った。
図19に示すように、実施例の要件を満たした条件を実施例3−1、3−2、3−3として示す。電界強度が変化すれば、同一のトナー帯電量Q/Mのトナー粒子の移動速度が変化してTsdが変化するため、後端現像不良距離が変化する。電界強度が高いとキャリアからトナーを引き剥がす力も強まるため、現像性も向上するが、金属粉などが混入した際に、放電を誘発し、感光層を劣化させるという弊害がある。そのため、際限なく電界強度を上げることは望ましくない。
図20に示すように、実施例の要件を満たさない条件を比較例3−1、3−2として示す。
よって、所定の交流電圧によるトナーが感光ドラム1へ向かう方向の最大電界強度をE[V/m]として「2.0×10≦E≦1.0×10」の関係を満たす。現像バイアスの交流成分の電界強度は、0.2〜1.0×10[V/m]が好ましい。電界強度Eの範囲は、現像電界と引き戻し電界を問わない。
<その他のパラメータについて>
実施例1、2、3のいずれにおいても、現像バイアスの周波数を低くすることにより、現像バイアス1周期におけるトナーの移動距離を増やし、後端現像不良距離を短くすることもできる。しかし、低周波の現像バイアスは非画像部へのトナーが付着してしまう「かぶり」と呼ばれる画像不良が悪化する事が知られており、際限なく周波数を低くすることは出来ない。
適正な現像バイアスの周波数(f)は、本発明者らの検討の結果によれば、選ぶトナーとキャリアによって変化するが、好ましくは、次式の範囲である。
Figure 2013167850
したがって、所定の交流電圧の周波数をf[kHz]として「3[kHz]≦f≦9[kHz]」の関係を満たす。
また、現像スリーブと感光ドラムの最近接距離を短くすることにより、トナーが移動しなければならない距離が短くなるため、トナーが感光ドラムに到達するまでの時間Tsdが短縮され、後端現像不良距離も短くなる。しかし、その分、現像スリーブと感光ドラムの間の電界強度が強まるため、電界強度の範囲を定めた理由と同様に、現像部での放電が顕著になって好ましくない。
適正な現像スリーブと感光ドラムの最近接距離Dは、本発明者らの検討の結果によれば、選ぶトナーとキャリアの付着力によって変化するが、好ましくは、次式の範囲とする。
Figure 2013167850
したがって、所定の間隙の対向距離をD[μm]とするとき、「250≦D≦450」の関係を満たす。
<簡易なモデルによるTsdの計算>
図13は現像バイアスの説明図である。図14はモデル計算されたトナー粒子の軌跡の説明図である。
実施例1、2、3では、時間Tsdの実測値を用いて、後端現像不良が実質的に発生せず、上述した他の評価項目も併せて満たせる範囲を規定した。しかし、トナーが感光ドラム1まで到達するために必要な時間Tsdがどのような装置パラメータによって支配されるのかがわからなければ、後端現像不良の距離Xを正確に制御することはできないと考えられる。そこで、以下では、図15〜図20のデータを裏付けるとともに、図15〜図20で欠落したデータ範囲を補うために、簡易なモデルを設定してTsdの計算を行った。現像プロセスにおけるトナー挙動を簡易なモデルを用いて記述し、その結果から、時間Tsdを支配しているパラメータを抽出した。
図8に示すように、キャリアから引き剥がされて飛翔しているトナーTの感光ドラム1のy方向の軌跡は、次式の運動方程式を用いて記述できる。この運動方程式において、右辺第1項は電界から受ける力を示し、右辺第2項は、空気抵抗を示している。
Figure 2013167850
m :トナーの質量[kg]
q :トナーの電荷量[C]
E :現像剤担持体と像担持体との間に印加される電界強度[V/m]
r :トナーの半径[m]
v :トナーのy方向の速度[m/sec]
η :η=1.82*10−5[Pa・sec]
上記の運動方程式(13)から、任意の時間tにおけるトナーの速度v(t)、及び位置y(t)を求めると、次の2つの数式が得られる。
Figure 2013167850
Figure 2013167850
f :交流電圧Vacの周波数[Hz]
m :トナーの質量[kg]
q :トナーの電荷量[C]
E :現像剤担持体と像担持体との間に印加される電界強度[V/m]
r :トナーの半径[m]
:t=0におけるトナーの現像剤担持体からの距離[m]
:t=0におけるトナーのy方向への速度[m/sec]
D :現像剤担持体と像担持体の距離[m]
η :η=1.82*10−5[Pa・sec]
図13に示すように、現像バイアスが矩形波の交流成分を有しているため、ピークの切り替わりに応じて、(14)式及び(15)式における電界強度Eは変化する。すなわち、(14)式及び(15)式は、現像バイアスの半周期にしか適用することが出来ない。
ピークが切り替わった次の半周期は、電界強度Eを入れ替え、且つ、トナーの初期位置及び速度であるy及びvに、前の半周期における最後の状態の位置及び速度を用いなければならない。つまり、(14)式及び(15)式は漸化的に用いなければならず、注意を要する。また、交流電圧Vacのパルス回数とは交流電圧の半周期分の回数を示す。
図13に示すように、パルス回数nが1増えるごとに交流電圧パルスの極性が反転する。図8に示すように、トナー粒子は、交流電圧パルスの極性の反転に影響を受けつつ、現像コントラストに駆動されて現像スリーブから感光ドラムへ移動する。
図14に示すように、交流電圧Vacのパルスが1回印加された後のトナーの現像スリーブからの距離をy1とし、トナーの速度をv1とする。このとき、2回目のパルスが印加されている時における、トナーの速度v2(t)及び位置y2(t)は、次式により記述される。
Figure 2013167850
Figure 2013167850
図14に示すように、3回目のパルスが印加されている間におけるトナーの位置y3(t)は、2回目のパルスが終了したときにおけるトナーの速度をv2、位置をy2とすると、以下の式([数7]、[数8])で記述される。
Figure 2013167850
Figure 2013167850
従って、n番目のパルスが印加されている間におけるトナーの速度v(t)及び位置y(t)は、n−1番目のパルスが終了したときにおけるトナーの速度をvn−1、位置をyn−1とおくと、次式のように一般化して記述できる。
Figure 2013167850
Figure 2013167850
このように、印加されるパルスの極性の反転に伴い、電界強度が変化するため、印加されるパルスごとに、計算しなければならない点に注意しなければならない。交流電圧Vacの電界強度Eは、具体的には、次式によって、場合分けされて記述される。
Figure 2013167850
(22)式の上側の式は、トナーを感光ドラムへ飛翔させる電界を表す。(22)式の下側の式は、トナーを現像スリーブへ引き戻す電界を表す。
図6に示すように、現像スリーブ41上の点Aでは、感光ドラム1上の非画像領域と対向しているため、静電気的な力でトナーが現像スリーブ41側へ引き寄せられている。図7に示す点Aでは、破線で示された静電像Sに追いつき、静電像Sと対向した瞬間に、対向した感光ドラム1上の点Bへ向かって、(15)式に従って移動する。
時間Tsdは、トナーのy方向の位置が現像スリーブと感光ドラムの最近接距離Dと等しくなるまでの時間を表す。現像バイアスの交流電圧のn番目のパルスが印加されている間で、n番目のパルスが印加されてから時間Tsd後にトナーのy方向の位置が現像スリーブと感光ドラムの最近接距離Dと等しくなったとすれば、次式が成立する。
Figure 2013167850
q :トナーの電荷量[C]
m :トナーの質量[kg]
r :トナーの半径[m]
f :交流電圧Vacの周波数[Hz]
E :現像剤担持体と像担持体との間に印加される電界強度[V/m]
D :現像剤担持体と像担持体の距離[m]
ここで、Tsdは、大文字及び小文字で記述を分けている点に留意する。Tsdは、Tn番目のパルスが印加されてからトナーが感光ドラムに到達するまでの時間tsdとトナーが現像スリーブ表面から飛翔し始めてから、つまり1番目のパルスが印加されてから、トナーが感光ドラムに到達するまでの時間である。(23)式におけるtsdは、n番目のパルスにおける時間なので、Tsdを算出するには、1パルス目からn−1パルス目の時間の足し合わせに、nパルス目における時間tsdを加算する必要がある。1パルスの時間は、1周期の時間の半分、つまり1/2fであるので、Tsdは次式で表すことができる。
Figure 2013167850
(18)式で与えられるトナーが静電像を追い越す距離Xとは、本モデルにおいては、すなわち、後端現像不良の距離xと等しい。したがって、現像スリーブと感光ドラムの周速差Vsdとトナーが感光ドラムに辿り着くまでに要する時間Tsdを小さくすれば、後端現像不良距離xを短くすることができることは、上記のとおりである。
<トナー帯電量>
ここで、Tsdを具体的に決定する各パラメータである、トナー帯電量Q/M、質量、及び粒径の測定方法に関して記述する。
トナーの帯電量、粒径の測定は、キヤノン製複写機CLC5000及びホソカワミクロン社製E−SPARTアナライザを用いて行った。トナーは感光ドラム1上の静電像に現像された後、記録材Pへ転写されて定着装置6へ搬送される。本実施例では、実際に現像された感光ドラム上のトナーのトナー帯電量Q/M及び粒径を測定するため、トナーが記録材Pに転写される前に、画像形成装置100の電源を落として、感光ドラムごとトナーを採取した。
次に、ホソカワミクロン社製E−SPARTアナライザの測定台上にトナーが現像された感光ドラムをセットし、感光ドラム上のトナーに対して窒素ガスをあて、トナーを感光ドラムから引き剥がし、電界が印加された平板電極の間を通過させる。
各トナーの電荷qi、粒径をdi、空気の粘性係数をη、電界強度をE,粒子の電極への移動速度をνiとすると、粘性流体中で球が受ける力(ストークス抵抗)と静電気力が等しいとして、各トナーに対して次式が成立する。
Figure 2013167850
また、トナーには音波が印加されており、トナーは音波の周波数で振動している。このとき2本のレーザービームが交差するように粒子に照射されており、レーザードップラー法によってビート周波数とトナーの振動位相遅れを測定する。
レーザードップラー法で発生するビート周波数をΔf、レーザーの波長をλ、2本のレーザービームの交差角をθ、水平面からのレーザーの仰角をψとおくと、各トナーに対して、以下の関係が成り立つ。
Figure 2013167850
また、空気の粘性によるトナーの振動位相遅れをφ、音波の周波数をωとおくと、次式が成り立つ。
Figure 2013167850
ビート周波数Δfから、(26)式より、各トナーの移動速度viが算出される。各トナーの振動位相遅れφから(27)式より、各トナーの粒径diが算出される。移動速度vi及び粒径diを(25)式に代入することで、各トナーの帯電量qiを得る。各トナーの質量miは、粒径di、および密度から換算される。
本実施例においては、トナー3000個に対して、それぞれ粒径di、帯電量qi、質量miを求めた。測定されたトナー3000個に対する平均粒径D50の体積平均をトナーの粒径dとした。また、測定されたトナー3000個に対する帯電量qi、質量miの個数平均をトナーの帯電量q、質量mとした。
また、図15〜図20における、トナーの単位質量あたりの帯電量Q/Mは、帯電量qを質量mで割った値の個数平均を指す。また、上記測定法により、測定された粒径d、帯電量q、および質量mは、(13)式〜(21)式および(23)式における、d、q、mと同一のものを指す。
<実施例4>
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例及び具体例に限定されるものではないことを理解されたい。例えば、上記実施例及び具体例では、感光ドラムは負極性に帯電し、イメージ露光方式によって感光ドラム上に静電像が形成されるものとして説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、感光ドラムの帯電極性は正極性であってもよい。又、トナーが付着すべきではない非画像部に露光を行うことで静電像を形成する背景露光方式によって、感光ドラムに静電像が形成されてもよい。又、現像方式としては、感光ドラムの帯電極性とは逆極性に帯電したトナーを用いる(感光ドラムの露光されていない画像部を現像する)正規現像方式を用いてもよい。
従来、非接触現像においては、所謂掃き寄せと呼ばれる、後端部の濃度が濃くなる現象が問題とされていた。現像スリーブと感光ドラムの間隙に出来る電界の回りこみの影響のためである。しかし、トナーの劣化や近年のプロセススピードの上昇に伴い、反対に、後端部の濃度が薄くなることが問題とされている。
これに対し、特許文献1には、磁極の配置により、磁気穂を制御する事で、濃度低下を軽減させる方法が提案されている。すなわち、主極の周りに補助的な磁極を設け、且つ、その磁極の角度を適切な範囲内に設定し、磁気穂が像担持体と接触する領域を狭めるものである。これにより、一旦静電像に現像されたトナーを、キャリアの持つトナーと逆極性の電荷により、回収しにくくしている。
しかし、現像領域を狭めることにより、現像する機会も失うことにもなるため、現像性との両立が困難となり、十分ではない。上述したように、後端現像不良の原因は以下である。
(1)1つめの原因は、一旦現像されたトナーをキャリアの持つカウンターチャージにより、かきとってしまうというものである。
(2)2つめの原因は、現像スリーブと感光ドラムの周速差の存在である。従来は、プロセススピードが現在ほど速くなかったため、周速差による後端濃度不良は問題とならなかった。しかし、近年のプロセススピードの高速化に伴って周速差が増大して問題が顕 特許文献1は、1つめの原因に対する対策はされていたものの、十分ではなく、2つめの原因については、何も対策は施されていなかった。
1 感光ドラム、2 コロナ帯電器、3 露光装置、4 現像装置
5 転写帯電器、6 定着装置、7 ドラムクリーニング装置
8 帯電前露光装置、41 現像スリーブ、42 マグネット
44 現像容器、51 転写部、61 記録材カセット
64 レジストローラ、100 画像形成装置、P 記録材
T トナー

Claims (7)

  1. 像担持体と、
    前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、
    前記像担持体に対して所定の間隙を隔てて配置され、現像剤を磁気的に担持して、前記像担持体の対向面と同一方向に前記像担持体よりも高い周速度で回転する現像剤担持体と、
    所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した振動電圧を前記現像剤担持体に印加する電源と、を備え、
    前記像担持体の周速度をVpとし、前記現像剤担持体の周速度をVsとし、前記所定の間隙において実測された現像剤が前記現像剤担持体の表面から前記像担持体まで移動する時間をTsdとするとき、
    (Vs−Vp)×Tsd<3×10−5[m]
    であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記現像剤担持体は、トナーとキャリアを含む現像剤の磁気穂を前記所定の間隙で前記像担持体に摺擦して静電像を現像することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記Vpは0.1[m/sec]以上0.5[m/sec]以下であって、
    0.2[m/sec]<(Vs−Vp)<0.5[m/sec]
    の関係を満たすことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記所定の交流電圧の周波数をf[kHz]として以下の関係を満たし、
    3[kHz]≦f≦9[kHz]
    前記交流電圧によるトナーが前記像担持体へ向かう方向の最大電界強度をE[V/m]として以下の関係を満たし、
    2.0×10≦E≦1.0×10
    単位重量当たりのトナーの帯電量をQ/M[μC/g]として、
    60≦Q/M≦150
    であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 前記所定の間隙の対向距離をD[μm]とするとき、
    250≦D≦450
    であることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
  6. 像担持体よりも速い周速度で同一方向に対向面が回転する現像剤担持体に現像剤を担持して前記像担持体の静電像をトナー像に現像する画像形成装置の評価方法において、
    前記像担持体の回転方向における静電像の境界位置でトナーが前記現像剤担持体から前記像担持体まで移動する時間を実測し、
    当該時間が後端現像不良に関連付けた所定時間よりも小さいか否かを判断することを特徴とする画像形成装置の評価方法。
  7. 像担持体と現像剤担持体の運転状態を軸線垂直断面的に再現した帯電ドラムと現像剤担持体の対向間隔を、回転軸線方向から動画撮影し、動画を構成する静止画上の個別のトナー粒子を追跡して前記現像剤担持体の表面から前記像担持体までトナー粒子が移動する時間を求める後端現像不良のパラメータ測定方法であって、
    前記帯電ドラムには前記像担持体の暗部電位と明部電位とに対応させた電位の反転位置が形成され、
    前記静止画において追跡されるトナー粒子は、前記対向間隔において、前記暗部電位に対応する電位の領域に対向する位置から前記帯電ドラムの回転に伴って前記明部電位に対応する電位の領域へ移動したトナー粒子であることを特徴とするパラメータ測定方法。
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