JP2013167023A - 微細構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異方導電性部材として用いることができる微細構造体の製造方法の提供。
【解決手段】1000万個/mm2以上の密度でマイクロポア貫通孔を有する基材からなり、一部の前記マイクロポア貫通孔が、前記基材の材料以外の物質で充填されている、微細構造体の製造方法であって、前記基材がアルミナであり、アルミニウム基板に、少なくとも、(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、(B)前記(A)処理で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、(C)前記(B)処理でアルミニウムが除去された酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させる処理、(D)前記(C)処理で貫通させたマイクロポア内に、前記酸化皮膜以外の物質を充填させる処理、(E)前記(D)処理後の酸化皮膜の表面および裏面を、化学機械研磨処理によって平滑化する表面平滑化処理、をこの順に施すことを特徴とする、微細構造体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細構造体の製造方法に関する。
異方導電性部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。また、異方導電部材において、接続部を自在にコントロールすることで、種々のデバイスの異方導電性接続部材や、異方導電部材の基板として光透過性を有する材料を用いた光伝送用接続部材、及び、充填物の配置を制御することによる新たなグラフィックデバイスとしての応用も期待できる。
上記のような検査用コネクタを用いる場合、その主たる用途は、半導体素子等の電子部品を回路基板に実装した後に機能検査を行うと、電子部品が不良であった場合に、回路基板もともに処分されることとなり、金額的な損失が大きくなってしまうという問題を回避するためである。
即ち、半導体素子等の電子部品を、実装時と同様のポジションで回路基板に異方導電性部材を介して接触させて機能検査を行うことで、電子部品を回路基板上に実装せずに、機能検査を実施でき、上記の問題を回避することができる。
このような異方導電性部材として、特許文献1には、「接着性絶縁材料からなるフィルム基板中に、導電性材料からなる複数の導通路が、互いに絶縁された状態で、かつ該フィルム基板を厚み方向に貫通した状態で配置され、フィルム基板の長手方向と平行な導通路の断面における形状の外周上の2点間の最大長の平均が10〜30μmであり、隣接する導通路の間隔が、上記最大長の平均の0.5〜3倍であることを特徴とする異方導電性フィルム。」が開示されている。
また、特許文献2には、「絶縁性樹脂よりなるフィルム基材中に、複数の導通路が、互いに絶縁されて、該フィルム基材を厚み方向に貫通し、かつ、千鳥配列で配置されている、異方導電性フィルムであって、導通路列内の導通路間距離よりも、隣り合う導通路列間での導通路間距離が小さいことを特徴とする、異方導電性フィルム。」が開示されている。
このような異方導電性フィルムの製造方法として、特許文献1および2には、異方導電性材料の細線を絶縁性フィルム上に挟み込んだ後、加熱及び加圧により一体化し、厚み方向にスクライブする方法が開示されている。
また、特許文献3には、レジストとマスクを用いて導電性の柱を電鋳で作製し、これに絶縁性素材を流し込み硬化させることで異方導電性フィルムを製造する方法が検討されている。
一方、特許文献4には、「電気的絶縁材からなる保持体と、該保持体中に互いに絶縁状態にて備えられた複数の導電部材とを有し、前記各導電部材の一端が前記保持体の一方の面において露出しており、前記各導電部材の他端が前記保持体の他方の面において露出している電気的接続部材を製造する方法において、
基体と、該基体に積層されて設けられるところの前記保持体となる絶縁層とを有する母材に対し前記絶縁層側から高エネルギビームを照射して、複数の領域において前記絶縁層の全部と前記基体の一部とを除去し、前記母材に複数の穴を形成する第1の工程と、
形成された複数の穴に、前記絶縁層の面と面一またはこの面より突出させて、前記導電部材となる導電材料を充填する第2の工程と、前記基体を除去する第3の工程と、を有することを特徴とする電気的接続部材の製造方法。」が開示されており、絶縁層として、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の種々の材質に関する検討も行なわれている。
ところで、近年、半導体素子等の電子部品は、高集積化が一層進むことに伴い、電極(端子)サイズはより小さくなり、電極(端子)数はより増加し、端子間の距離もより狭くなってきている。また、狭ピッチで多数配置されている各端子の表面が本体表面よりも奥まった位置にある表面構造の電子部品も現れてきている。
そのため、このような電子部品に対応できるよう、異方導電性部材における導通路もその外径(太さ)をより小さくし、かつ、狭ピッチで配列させる必要が生じている。
しかしながら、上記特許文献1〜4等に記載されている異方導電性フィルムや電気的接続部材を製造する方法では、導通路のサイズを小さくすることは非常に困難であり、また導通路自体の配列を制御する方法も、狭ピッチにおけるオーダーでは未だ見出すことができていない。
特開2000−012619号公報 特開2005−085634号公報 特開2002−134570号公報 特開平03−182081号公報
したがって、本発明は、導通路の設置密度を飛躍的に向上させ、高集積化が一層進んだ現在においても半導体素子等の電子部品の検査用コネクタ等として使用し、且つその導通路の配列を自在にコントロールすることができる異方導電性部材や、光伝送部材として使用可能な微細構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、絶縁性基材としてアルミニウムの陽極酸化皮膜を用い、皮膜内に存在するマイクロポアの貫通箇所を制御することにより、導通路の密度が飛躍的に向上し、且つ導通路の配列自体を制御できる製造方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)を提供する。
(1)1000万個/mm2以上の密度でマイクロポア貫通孔を有する基材からなり、一部の前記マイクロポア貫通孔が、前記基材の材料以外の物質で充填されている、微細構造体の製造方法であって、
前記基材がアルミナであり、
アルミニウム基板に、少なくとも、
(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、
(B)前記(A)処理で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、
(C)前記(B)処理でアルミニウムが除去された酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させる処理、
(D)前記(C)処理で貫通させたマイクロポア内に、前記酸化皮膜以外の物質を充填させる処理、
(E)前記(D)処理後の酸化皮膜の表面および裏面を、化学機械研磨処理によって平滑化する表面平滑化処理、
をこの順に施すことを特徴とする、微細構造体の製造方法。
(2)前記(C)処理において、酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させるため、
少なくとも、
(C´)アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、酸またはアルカリに不溶又は難溶なパターンを設けた後に、酸またはアルカリを用いて非パターン部の酸化皮膜を溶解することにより、該非パターン部の酸化皮膜に形成されたマイクロポアを貫通させる処理を施すことを特徴とする、上記(1)に記載の微細構造体の製造方法。
(3)前記(C´)処理において、少なくとも、
(C´−1)前記アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、光により酸またはアルカリに対する溶解性の変化する感光層を設け、該感光層に光線を照射した後、酸またはアルカリを用いて該感光層を溶解することにより、前記アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、酸またはアルカリに不溶又は難溶なパターンを設けることを特徴とする、上記(2)に記載の微細構造体の製造方法。
(4)前記(C´)処理において、少なくとも、
(C´−2)前記アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、熱により酸またはアルカリに対する溶解性の変化する感熱層を設け、前記感熱層を加熱処理した後、酸またはアルカリを用いて該感熱層を溶解することにより、前記アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、酸またはアルカリに不溶又は難溶なパターンを設けることを特徴とする、上記(2)に記載の微細構造体の製造方法。
(5)前記(D)処理において、前記(C)処理で貫通させたマイクロポア内に充填させる酸化皮膜以外の物質が、導電性部材であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の微細構造体の製造方法。
(6)前記(D)処理において、前記(C)処理で貫通させたマイクロポア内に、電解メッキにより、導電性部材を充填させることを特徴とする、上記(5)に記載の微細構造体の製造方法。
以下に示すように、本発明の微細構造体は、異方導電性部材として好ましく用いることができる。本発明の微細構造体を用いた異方導電性部材は、導通路の設置密度を飛躍的に向上させ、高集積化が一層進んだ現在においても半導体素子等の電子部品の検査用コネクタ等として使用することができる。
また、本発明の微細構造体を用いた異方導電性部材は、電子部品の電極(パッド)部分に接合される導通路の数が多く、圧力が分散されるため、電極へのダメージを軽減することが可能である。また、単一の電極に多くの導通路が接合(接触)しているので、導通路の一部分に異常が起きても全体の導電性確認への影響は極めて小さくなる。更に、評価用の回路基板の位置決めに対する負荷を大幅に低減することができる。
更に、本発明の微細構造体の製造方法は、その導通路を自在にコントロールできるため、光伝送材料、グラフィック材料等、種々のデバイス用途への応用が可能であり、非常に有用である。
図1(A),(B)は、本発明の異方導電性部材の好適な実施態様の一例を示す簡略図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)の切断面線IB−IBからみた断面図である。 図2(A),(B)は、ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。 図3(A)〜(D)は、本発明の製造方法における陽極酸化処理の一例を説明する模式的な端面図である。 図4(A)〜(D)は、本発明の製造方法における金属充填処理等の一例を説明する模式的な端面図である。 図5は、パターン画像形成及び陽極酸化皮膜の底部除去処理後の表面形状をSEMにて撮影したものである。
以下に、本発明の微細構造体およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の微細構造体は、1000万個/mm2以上の密度でマイクロポア貫通孔を有する基材からなる微細構造体であって、一部の前記マイクロポア貫通孔が、前記基材の材料以外の物質で充填されている。ここで、マイクロポア貫通孔に導電性部材を充填した場合、該導電性部材が導通路をなす異方導電性部材として用いることができる。
なお、本発明の微細構造体を異方導電性部材として用いる場合、基材が絶縁性基材であることが必要であり、マイクロポア貫通孔が直管形状であることが必要である。
次に、本発明の微細構造体を異方導電性部材として用いた場合について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の微細構造体の好適な実施態様の一例を示す簡略図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)の切断面線IB−IBからみた断面図である。
本発明の微細構造体1は、絶縁性基材2からなり、該絶縁性基材2は、1000万個/mm2以上の密度で直管形状のマイクロポア貫通孔3,4を有する。ここで、マイクロポア貫通孔3,4が直管形状とは、該マイクロポア貫通孔3,4の軸が、絶縁性基材2の厚み方向Zと略平行(図1においては平行)であること、および、該マイクロポア貫通孔3,4の直径が、その軸方向において実質的に同一であることを指す。なお、該マイクロポア貫通孔3,4の軸が、絶縁性基材2の厚み方向Zと略平行であると言った場合、該マイクロポア貫通孔3,4の軸と、絶縁性基材2の厚み方向Zと、の角度のずれが10度以下であることを指し、5度以下であることが好ましく、3度以下であることがより好ましい。また、マイクロポア貫通孔3,4の直径が、その軸方向において実質的に同一であるとは、下記式で表されるマイクロ貫通孔3,4の直径のずれΔDが10%以下であることを指し、7%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
ΔD=(Dmax−Dmin)/Dave×100(%)
max:マイクロポア貫通孔3,4の最大径、Dmin:マイクロポア貫通孔3,4の最小径、
ave:マイクロポア貫通孔3,4の平均径
本発明の微細構造体1では、マイクロポア貫通孔3,4の一部(図1では、マイクロポア貫通孔3)が、導電性部材で充填されており導通路5をなす。すなわち、図1の微細構造体1は、導電性部材で充填されたマイクロポア貫通孔3からなる複数の導通路5、及び、導電性部材が充填されていないマイクロポア貫通孔4からなる複数の非充填路を具備するものである。
導通路5は、各導通路5の一端が絶縁性基材2の一方の面において露出し、各導通路5の他端が絶縁性基材2の他方の面において露出した状態となることが必要である。別の言い方をすると、本発明の微細構造体1を異方導電性部材として用いる場合、マイクロポア貫通孔3に充填された導電性部材が、絶縁性基材2の表面に露出した状態となることが必要である。但し、図1(B)に示すように、マイクロポア貫通孔3に充填された導電性部材が、絶縁性基材の表面2a,2bから突出した状態となることが好ましい。別の言い方をすると、各導通路5の一端が絶縁性基材2の一方の面2aから突出し、各導通路5の他端が絶縁性基材2の他方の面2bから突出した状態となることが好ましい。即ち、各導通路5の両端は、絶縁性基材の主面である2aおよび2bから突出する各突出部6aおよび6bを有するのが好ましい。
次に、微細構造体の各構成要素について、材料、寸法等について説明する。
[絶縁性基材]
本発明の微細構造体1を構成する絶縁性基材2は、マイクロポア貫通孔3,4を密度1000万個/mm2以上で有する。ここで、絶縁性基材は、従来公知の異方導電性フィルム等を構成する絶縁性基材(例えば、熱可塑性エラストマー等)と同程度の電気抵抗率(1014Ω・cm)を有するものであればよい。
絶縁性基材は、上記を満たす限り特に限定されないが、後述する本発明の微細構造体の製造方法を用いて容易に製造できることからアルミナであることが好ましい。
本発明の微細構造体を構成する絶縁性基材は、マイクロポア貫通孔について下記式(i)により定義される規則化度が50%以上であることが、マイクロポア貫通孔の密度を高めることができることから好ましい。
規則化度(%)=B/A×100 (i)
上記式(i)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポア貫通孔の全数を表す。Bは、一のマイクロポア貫通孔の重心を中心とし、他のマイクロポア貫通孔の縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア貫通孔以外のマイクロポア貫通孔の重心を6個含むことになる上記一のマイクロポア貫通孔の測定範囲における数を表す。
図2は、マイクロポア貫通孔の規則化度を算出する方法の説明図である。図2を用いて、上記式(1)をより具体的に説明する。
図2(A)に示されるマイクロポア貫通孔101は、マイクロポア貫通孔101の重心を中心とし、他のマイクロポア貫通孔の縁に内接する最も半径が短い円103(マイクロポア貫通孔102に内接している。)を描いた場合に、円3の内部にマイクロポア貫通孔101以外のマイクロポア貫通孔の重心を6個含んでいる。したがって、マイクロポア貫通孔101は、Bに算入される。
図2(B)に示されるマイクロポア貫通孔104は、マイクロポア貫通孔104の重心を中心とし、他のマイクロポア貫通孔の縁に内接する最も半径が短い円106(マイクロポア貫通孔105に内接している。)を描いた場合に、円106の内部にマイクロポア貫通孔104以外のマイクロポア貫通孔の重心を5個含んでいる。したがって、マイクロポア貫通孔104は、Bに算入されない。
また、図2(B)に示されるマイクロポア貫通孔107は、マイクロポア貫通孔107の重心を中心とし、他のマイクロポア貫通孔の縁に内接する最も半径が短い円109(マイクロポア貫通孔108に内接している。)を描いた場合に、円109の内部にマイクロポア貫通孔107以外のマイクロポア貫通孔の重心を7個含んでいる。したがって、マイクロポア貫通孔107は、Bに算入されない。
本発明の微細構造体1を構成する絶縁性基材2は、厚み(図1(B)においては符号7で表される部分)は、30〜300μmであるのが好ましく、50〜100μmであるのがより好ましい。絶縁性基材の厚みがこの範囲であると、絶縁性基材の取り扱い性が良好となる。
また、本発明の微細構造体1を構成する絶縁性基材2において、導通路5間の幅、すなわち、導電性部材が充填されるマイクロポア貫通孔3間の幅(図1(B)においては符号8で表される部分)は、10nm以上であるのが好ましく、20〜100nmであるのがより好ましく、20〜50nmであるのが更に好ましい。絶縁性基材において、導電性部材が充填されるマイクロポア貫通孔3間の幅がこの範囲であると、絶縁性基材が絶縁性の隔壁として十分に機能する。
[導電性部材]
本発明の微細構造体1において、マイクロポア貫通孔3に充填される導電性部材は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であれば特に限定されず、その具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等が好適に例示される。
中でも、電気伝導性の観点から、銅、金、アルミニウム、ニッケルが好ましく、銅、金がより好ましい。
なお、コストの観点から、マイクロポア貫通孔3内部に充填される導電性部材としては、金以外の材料(例えば、銅)を使用し、絶縁性基材2の両面から露出した面や突出した面(以下、「端面」ともいう。)の表面だけが金で形成されるのがより好ましい。
本発明の微細構造体1では、全てのマイクロポア貫通孔3に同一種類の導電性部材を充填してもよいし、マイクロポア貫通孔3によって、異なる種類の導電性部材を充填してもよい。また、同一のマイクロポア貫通孔3に対して、表面側と裏面側とで異なる種類の導電性部材を充填してもよい。
本発明の微細構造体1において、導通路5の直径、すなわち、導電性部材で充填されるマイクロポア貫通孔3の直径(図1(B)においては符号9で表される部分)は20〜400nmであるのが好ましく、40〜200nmであるのがより好ましく、50〜100nmであるのが更に好ましい。導通路の直径がこの範囲であると、電気信号を流した際に十分な応答が得ることができるため、本発明の微細構造体1を電子部品の検査用コネクタとして、より好適に用いることができる。
また、本発明の微細構造体1において、導通路5の両端が絶縁性基材2の両面2a,2bから突出している場合、その突出した部分、すなわち、マイクロポア貫通孔3に充填された導電性部材が絶縁性基材2表面から突出している場合、その突出した部分、(図1(B)においては符号6aおよび6bで表される部分。以下、「バンプ」ともいう。)の高さは、1〜100nmであるのが好ましく、5〜50nmであるのがより好ましい。バンプの高さがこの範囲であると、電子部品の電極(パッド)部分との接合性が向上する。
また、本発明の微細構造体1において、導通路5、すなわち、導電性部材が充填されるマイクロポア貫通孔3は、絶縁性基材2によって互いに絶縁された状態で存在するものであるが、その密度は1000万個/mm2以上であり、5000万個/mm2以上であるのが好ましく、1億個/mm2以上であるのがより好ましい。
マイクロポア貫通孔3の密度がこの範囲にあることにより、本発明の微細構造体は高集積化が一層進んだ現在においても半導体素子等の電子部品の検査用コネクタ等として使用することができる。
また、本発明の微細構造体1において、隣接する各導通路5の中心間距離、すなわち、隣接するマイクロポア貫通孔3の中心間距離(図1においては符号10で表される部分。以下、「ピッチ」ともいう。)は、20〜500nmであるのが好ましく、40〜200nmであるのがより好ましく、50〜140nmであるのが更に好ましい。ピッチがこの範囲であると、導通路直径と導通路間の幅(絶縁性の隔壁厚)とのバランスがとりやすい。
本発明の微細構造体1を異方導電性部材として用いる場合、上述したように、絶縁性基材2の厚みが30〜300μmであり、かつ、導通路5の直径、すなわち、導電性部材が充填されるマイクロポア貫通孔3の直径が、20〜400nmであるのが、高い絶縁性を維持しつつ、かつ、高密度で導通が確認できる理由から好ましい。
本発明の微細構造体1を異方導電性部材として用いる場合、所望のパターンの配線を接続しうる観点から、図1に示すように、マイクロポア貫通孔4は、パターン状に配置されることが好ましい。
また、マイクロポア貫通孔4の直径は、微細構造体の強度を高める観点から、10〜1000nmであることが好ましく、20〜850nmであることがより好ましく、30〜700nmであることが更に好ましい。
基材がアルミナである本発明の微細構造体は、以下に述べる本発明の微細構造体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)により製造することができる。
本発明の製造方法は、アルミニウム基板に、少なくとも、
(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、
(B)前記(A)処理で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、
(C)前記(B)処理でアルミニウムが除去された酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させる処理、
(D)前記(C)処理で貫通させたマイクロポア内に、前記酸化皮膜以外の物質を充填させる処理、
をこの順に施すことにより、本発明の微細構造体を製造する微細構造体の製造方法である。
次に、本発明の製造方法に用いられるアルミニウム基板ならびに該アルミニウム基板に施す各処理工程について詳述する。
[アルミニウム基板]
本発明の製造方法に用いられるアルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
本発明においては、アルミニウム基板のうち、後述する(A)処理により陽極酸化皮膜を設ける表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、マイクロポア配列の規則性が十分となる。
また、本発明においては、アルミニウム基板のうち後述する(A)処理を施す表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理が施されるのが好ましい。
<熱処理>
熱処理を施す場合は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。これにより、後述する(A)処理により生成するマイクロポアの配列の規則性が向上する。
熱処理後のアルミニウム基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法が挙げられる。
<脱脂処理>
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、アルミニウム基板表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理としては、具体的には、例えば、各種アルコール(例えば、メタノール等)、各種ケトン(例えば、メチルエチルケトン等)、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム基板表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム基板表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム基板表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム基板表面に接触させつつ、アルミニウム基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム基板表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム基板表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法);等が挙げられる。
これらのうち、アルミニウム表面の脂分を除去しうる一方で、アルミニウムの溶解がほとんど起こらない観点から、有機溶剤法、界面活性剤法、乳化脱脂法、リン酸塩法が好ましい。
また、脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
<鏡面仕上げ処理>
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸をなくして、電着法等による粒子形成処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。アルミニウム基板の表面の凹凸としては、例えば、アルミニウム基板が圧延を経て製造されたものである場合における、圧延時に発生した圧延筋が挙げられる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法等が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる場合、使用する研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これにより、光沢度を50%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法等が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に例示される。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法;米国特許第2708655号明細書に記載されている方法;「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法;等が好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更する機械研磨を施し、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さRaは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理
(A)処理では、アルミニウム基板に陽極酸化処理を施すことにより、該アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する。
本発明の製造方法における陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上記絶縁性基材が、好ましくは上記式(i)により定義される規則化度が50%以上となるように配列するマイクロポアを有するアルミニウム基板の陽極酸化皮膜であるため、後述する自己規則化法を用いるのが好ましい。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
自己規則化法によりマイクロポアを形成するには、少なくとも後述する陽極酸化処理(a)を施せばよいが、後述する陽極酸化処理(a)、脱膜処理(b)および再陽極酸化処理(c)をこの順に施す方法(自己規則化方法I)や、後述する陽極酸化処理(d)と酸化皮膜溶解処理(e)とをこの順に少なくとも1回施す方法(自己規則化方法II)等により形成するのが好ましい。
次に、好適態様である自己規則化方法Iおよび自己規則化方法IIの各処理について詳述する。
〔自己規則化方法I〕
<陽極酸化処理(a)>
陽極酸化処理(a)における電解液の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理(a)を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。特に、かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため好ましい。このようなかくはん装置としては、例えば、「マグネティックスターラーHS−50D(AS ONE製)」等が挙げられる。
陽極酸化処理(a)は、例えば、酸濃度1〜10質量%の溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電する方法を用いることができる。
陽極酸化処理(a)に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、マロン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理(a)の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度0.1〜20質量%、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.5〜15質量%、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度1〜10質量%、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理(a)の処理時間は、0.5分〜16時間であるのが好ましく、1分〜12時間であるのがより好ましく、2分〜8時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理(a)は、一定電圧下で行う以外に、電圧を断続的または連続的に変化させる方法も用いることができる。この場合は電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
本発明においては、このような陽極酸化処理(a)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜300μmであるのが好ましく、5〜150μmであるのがより好ましく、10〜100μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような陽極酸化処理(a)により形成される陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
また、マイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。
ここで、マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合で定義される。
<脱膜処理(b)>
脱膜処理(b)は、上記陽極酸化処理(a)によりアルミニウム基板表面に形成した陽極酸化皮膜を溶解させて除去する処理である。
上記陽極酸化処理(a)によりアルミニウム基板表面に陽極酸化皮膜を形成した後、後述する貫通化処理工程を直ちに施してもよいが、上記陽極酸化処理(a)の後、更に脱膜処理(b)および後述する再陽極酸化処理(c)をこの順で施した後に、後述する貫通化処理工程を施すのが好ましい。
陽極酸化皮膜は、アルミニウム基板に近くなるほど規則性が高くなっているので、この脱膜処理(b)により、一度陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に残存した陽極酸化皮膜の底部分を表面に露出させて、規則的な窪みを得ることができる。したがって、脱膜処理(b)では、アルミニウムは溶解させず、アルミナ(酸化アルミニウム)からなる陽極酸化皮膜のみを溶解させる。
アルミナ溶解液は、クロム化合物、硝酸、リン酸、ジルコニウム系化合物、チタン系化合物、リチウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、ケイフッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、マンガン化合物、モリブデン化合物、マグネシウム化合物、バリウム化合物およびハロゲン単体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有した水溶液が好ましい。
具体的なクロム化合物としては、例えば、酸化クロム(III)、無水クロム(VI)酸等が挙げられる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、フッ化ジルコンアンモニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウムが挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、硫化チタンが挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウムが挙げられる。
セリウム塩としては、例えば、フッ化セリウム、塩化セリウムが挙げられる。
マグネシウム塩としては、例えば、硫化マグネシウムが挙げられる。
マンガン化合物としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カルシウムが挙げられる。
モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム・五水和物が挙げられる。
バリウム化合物としては、例えば、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、塩化バリウム、フッ化バリウム、ヨウ化バリウム、乳酸バリウム、シュウ酸バリウム、過塩素酸バリウム、セレン酸バリウム、亜セレン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、亜硫酸バリウム、チタン酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、あるいはこれらの水和物等が挙げられる。
上記バリウム化合物の中でも、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウムが好ましく、酸化バリウムが特に好ましい。
ハロゲン単体としては、例えば、塩素、フッ素、臭素が挙げられる。
中でも、上記アルミナ溶解液が、酸を含有する水溶液であるのが好ましく、酸として、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、2種以上の酸の混合物であってもよい。
酸濃度としては、0.01mol/L以上であるのが好ましく、0.05mol/L以上であるのがより好ましく、0.1mol/L以上であるのが更に好ましい。上限は特にないが、一般的には10mol/L以下であるのが好ましく、5mol/L以下であるのがより好ましい。不要に高い濃度は経済的でないし、より高いとアルミニウム基板が溶解するおそれがある。
アルミナ溶解液は、−10℃以上であるのが好ましく、−5℃以上であるのがより好ましく、0℃以上であるのが更に好ましい。なお、沸騰したアルミナ溶解液を用いて処理すると、規則化の起点が破壊され、乱れるので、沸騰させないで用いるのが好ましい。
アルミナ溶解液は、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しない。ここで、アルミナ溶解液は、アルミニウムを実質的に溶解させなければよく、わずかに溶解させるものであってもよい。
脱膜処理(b)は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を上述したアルミナ溶解液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
浸せき法は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を上述したアルミナ溶解液に浸せきさせる処理である。浸せき処理の際にかくはんを行うと、ムラのない処理が行われるため、好ましい。
浸せき処理の時間は、10分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上、5時間以上であるのが更に好ましい。
<再陽極酸化処理(c)>
上記脱膜処理(b)により陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に規則的な窪みを形成した後、再び陽極酸化処理を施すことで、マイクロポアの規則化度がより高い陽極酸化皮膜を形成することができる。
再陽極酸化処理(c)における陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した陽極酸化処理(a)と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
また、再陽極酸化処理(c)を低温で行うと、マイクロポアの配列が規則的になり、また、ポア径が均一になる。
一方、再陽極酸化処理(c)を比較的高温で行うことにより、マイクロポアの配列を乱し、また、ポア径のばらつきを所定の範囲にすることができる。また、処理時間によっても、ポア径のばらつきを制御することができる。
本発明においては、このような再陽極酸化処理(c)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、30〜1000μmであるのが好ましく、50〜500μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような再陽極酸化処理(c)により形成される陽極酸化皮膜のマイクロポアのポア径は0.01〜0.5μmであるのが好ましく、0.02〜0.1μmであるのがより好ましい。
平均ポア密度は、1000万個/mm2以上であるのが好ましい。
自己規則化方法Iにおいては、上述した陽極酸化処理(a)および脱膜処理(b)に代えて、例えば、物理的方法、粒子線法、ブロックコポリマー法、レジストパターン・露光・エッチング法等により、上述した再陽極酸化処理(c)によるマイクロポア生成の起点となる窪みを形成させてもよい。
<物理的方法>
例えば、インプリント法(突起を有する基板またはロールをアルミニウム板に圧接し、凹部を形成する、転写法、プレスパターニング法)を用いる方法が挙げられる。具体的には、複数の突起を表面に有する基板をアルミニウム表面に押し付けて窪みを形成させる方法が挙げられる。例えば、特開平10−121292号公報に記載されている方法を用いることができる。
また、アルミニウム表面にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除去し、蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングして窪みを形成させる方法も挙げられる。
<粒子線法>
粒子線法は、アルミニウム表面に粒子線を照射して窪みを形成させる方法である。粒子線法は、窪みの位置を自由に制御することができるという利点を有する。
粒子線としては、例えば、荷電粒子ビーム、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)、電子ビームが挙げられる。
粒子線法としては、例えば、特開2001−105400号公報に記載されている方法を用いることもできる。
<ブロックコポリマー法>
ブロックコポリマー法は、アルミニウム表面にブロックコポリマー層を形成させ、熱アニールによりブロックコポリマー層に海島構造を形成させた後、島部分を除去して窪みを形成させる方法である。
ブロックコポリマー法としては、例えば、特開2003−129288号公報に記載されている方法を用いることができる。
<レジストパターン・露光・エッチング法>
レジストパターン・露光・エッチング法は、フォトリソグラフィあるいは電子ビームリソグラフィ法によりアルミニウム板表面のレジストに露光および現像を施し、レジストパターンを形成した後これをエッチングする。レジストを設け、エッチングしてアルミニウム表面まで貫通した窪みを形成させる方法である。
〔自己規則化方法II〕
<第1の工程:陽極酸化処理(d)>
陽極酸化処理(d)は、従来公知の電解液を用いることができるが、直流定電圧条件下にて、通電時の皮膜形成速度Aと、非通電時の皮膜溶解速度Bとした時、以下一般式(ii)で表されるパラメータRが、160≦R≦200、好ましくは170≦R≦190、特に好ましくは175≦R≦185を満たす電解液を用いて処理を施すことで、孔の規則配列性を大幅に向上することができる。
R=A[nm/s]÷(B[nm/s]×加電圧[V]) ・・・ (ii)
陽極酸化処理(d)における電解液の平均流速は、上述した陽極酸化処理(a)と同様、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理(d)を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、上述した陽極酸化処理(a)と同様、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。特に、かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。そのようなかくはん装置としては、例えば、「マグネティックスターラーHS−50D(AS ONE製)」等が挙げられる。
また、陽極酸化処理液の粘度としては、25℃1気圧下における粘度が0.0001〜100.0Pa・sが好ましく、0.0005〜80.0Pa・sが更に好ましい。上記範囲の粘度を有する電解液で陽極酸化処理(d)を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
陽極酸化処理(d)で用いる電解液には、酸性、アルカリ性いずれも使用することができるが、孔の真円性を高める観点から酸性の電解液が好適に用いられる。
具体的には、上述した陽極酸化処理(a)と同様、塩酸、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて、上記一般式(ii)の計算式より所望のパラメータに調整して用いることができる。
陽極酸化処理(d)の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、上述した陽極酸化処理(a)と同様、一般的には電解液濃度0.1〜20質量%、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜500V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.5〜15質量%、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度1〜10質量%、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
本発明においては、このような陽極酸化処理(d)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、0.1〜300μmであるのが好ましく、0.5〜150μmであるのがより好ましく、1〜100μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような陽極酸化処理(d)により形成される陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
また、マイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。
ここで、マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合で定義される。
この陽極酸化処理(d)により、図3(A)に示されるように、アルミニウム基板12の表面に、マイクロポア16aを有する陽極酸化皮膜14aが形成される。なお、陽極酸化皮膜14aのアルミニウム基板12側には、バリア層18aが存在している。
<第2の工程:酸化皮膜溶解処理(e)>
酸化皮膜溶解処理(e)は、上記陽極酸化処理(d)により形成された陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの経(ポア径)を拡大させる処理(孔径拡大処理)である。
酸化皮膜溶解処理(e)は、上記陽極酸化処理(d)後のアルミニウム基板を酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
酸化皮膜溶解処理(e)において、酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であるのが好ましい。
一方、酸化皮膜溶解処理(e)において、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
また、酸化皮膜溶解処理(e)において、ポア径の拡大量は陽極酸化処理(d)の条件により異なるが、処理前後の拡大比が1.05倍〜100倍が好ましく、1.1倍〜75倍がより好ましく、1.2倍〜50倍が特に好ましい。
この酸化皮膜溶解処理(e)により、図3(B)に示されるように、図3(A)に示される陽極酸化皮膜14aの表面およびマイクロポア16aの内部(バリア層18a)が溶解し、アルミニウム基板12上に、マイクロポア16bを有する陽極酸化皮膜14bを有するアルミニウム部材が得られる。なお、図3(A)と同様、陽極酸化皮膜14bのアルミニウム基板12側には、バリア層18bが存在している。
<第3の工程:陽極酸化処理(d)>
自己規則化方法IIにおいては、上記酸化皮膜溶解処理(e)の後に、再度上記陽極酸化処理(d)を施すのが好ましい。
再度の陽極酸化処理(d)により、図3(C)に示されるように、図3(B)に示されるアルミニウム基板12の酸化反応が進行し、アルミニウム基板12上に、マイクロポア16bよりも深くなったマイクロポア16cを有する陽極酸化皮膜14cを有するアルミニウム部材が得られる。なお、図3(A)と同様、陽極酸化皮膜14cのアルミニウム基板12側には、バリア層18cが存在している。
<第4の工程:酸化皮膜溶解処理(e)>
また、自己規則化方法IIにおいては、上記陽極酸化処理(d)、上記酸化皮膜溶解処理(e)および上記陽極酸化処理(d)をこの順に施した後に、更に上記酸化皮膜溶解処理(e)を施すのが好ましい。
この処理により、マイクロポアの中に処理液が入るため、第3の工程で施した陽極酸化処理(d)で形成された陽極酸化皮膜を全て溶解し、第3の工程で施した陽極酸化処理(d)で形成されたマイクロポアのポア径を広げることができる。
即ち、再度の酸化皮膜溶解処理(e)により、図3(D)に示されるように、図3(C)に示される陽極酸化皮膜14cの変曲点より表面側のマイクロポア16cの内部が溶解し、アルミニウム基板12上に、直管状のマイクロポア16dを有する陽極酸化皮膜14dを有するアルミニウム部材が得られる。なお、図3(A)と同様、陽極酸化皮膜14dのアルミニウム基板12側には、バリア層18dが存在している。
ここで、マイクロポアのポア径の拡大量は、第3の工程で施した陽極酸化処理(d)の処理条件により異なるが、処理前後の拡大比が1.05倍〜100倍が好ましく、1.1倍〜75倍がより好ましく、1.2倍〜50倍が特に好ましい。
自己規則化方法IIは、上述した陽極酸化処理(d)と酸化皮膜溶解処理(e)のサイクルを1回以上行うものである。繰り返しの回数が多いほど、上述したポアの配列の規則性が高くなる。
また、直前の陽極酸化処理(d)で形成された陽極酸化皮膜を酸化皮膜溶解処理(e)で全て溶解することにより、皮膜表面から見たマイクロポアの真円性が飛躍的に向上するため、上記サイクルを2回以上繰り返して行うのが好ましく、3回以上繰り返して行うのがより好ましく、4回以上繰り返して行うのが更に好ましい。
また、上記サイクルを2回以上繰り返して行う場合、各回の酸化皮膜溶解処理および陽極酸化処理の条件は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、また、最後の処理を陽極酸化処理で終えてもよい。
(B)(A)処理で得られた酸化皮膜からアルミニウムを除去する処理
(B)処理では、上記(A)処理で得られた酸化皮膜から、アルミニウム基板を溶解しして除去する。アルミニウム基板の溶解には、陽極酸化皮膜(アルミナ)は溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いる。
即ち、アルミニウム溶解速度1μm/分以上、好ましくは3μm/分以上、より好ましくは5μm/分以上、および、陽極酸化皮膜溶解速度0.1nm/分以下、好ましくは0.05nm/分以下、より好ましくは0.01nm/分以下の条件を有する処理液を用いる。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pHが4以下8以上、好ましくは3以下9以上、より好ましくは2以下10以上の処理液を使用して浸漬処理を行う。
このような処理液としては、酸またはアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであるのが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドするのが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、このような処理液の組成は特に限定されず、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水等を用いることができる。
また、このような処理液の酸またはアルカリ濃度は、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。
更に、このような処理液を用いた処理温度は、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
本発明においては、アルミニウム基板の溶解は、上記陽極酸化処理工程の後のアルミニウム基板を上述した処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒〜5時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましい。
(C)(B)処理でアルミニウムが除去された酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させる処理
(C)処理では、(B)処理でアルミニウム基板が除去された酸化皮膜に存在するマイクロポアのうち、一部のマイクロポアの酸化皮膜の底部のみを除去することにより、酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させる。この処理は、貫通させるマイクロポアの酸化皮膜の底部のみを酸水溶液またはアルカリ水溶液に接させることにより行う。底部の酸化皮膜が除去されることにより、マイクロポアが貫通する。
具体的な方法としては、アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、酸またはアルカリに不溶又は難溶なパターンを設けた後に、酸またはアルカリを用いて非パターン部の酸化皮膜の底部を溶解して除去することにより、マイクロポアを貫通させる処理を施す方法が好ましい。
更に具体的には、アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に感光層又は感熱層を設け、光又は熱によりパターンを設けた後に、酸またはアルカリを用いて非パターン部の酸化皮膜を溶解する処理を施す方法が好ましく、より良好なパターンを示す観点から、アルカリを用いることが好ましい。以下その好ましい例を示す。
<アルカリ現像性の感熱層/感光層設置>
本発明において、感熱層/感光層として含有されるアルカリ可溶性樹脂は特に限定されないが、単層型、相分離型、及び重層型のいずれでも設置することができる。
単層型記録層としては、例えば特開平7−285275号公報、国際公開97/39894号パンフレット記載の感光層、相分離型記録層としては、例えば特開平11−44956号公報記載の感光層、重層型記録層としては、例えば特開平11−218914号公報、米国特許第6352812B1号、米国特許第6352811B1号、米国特許第6358669B1号、米国特許第6534238B1号、欧州特許第864420B1号明細書記載の感光層として用いることができるが、これらに限定されない。
また、ネガ型の樹脂組成物としては、特開平5−197137号公報の段落[0006]〜[0019]に記載のジアゾニウム塩を用いたネガ型観光性樹脂組成物、特開平8−320551号公報の段落[0055]〜[0134]に記載の光重合性組成物、および、特開平10−195119号公報の段落[0007]〜[0063]に記載の光重合性組成物も好適に使用することができる。
<貫通処理>
酸化皮膜の底部の除去は、予めpH緩衝液に浸漬させてマイクロポアによる孔の開口側から孔内にpH緩衝液を充填した後に、開口部の逆面、即ち、酸化皮膜の底部に酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させる方法により行うのが好ましい。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜40℃であるのが好ましい。
一方、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液や、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
また、予めpH緩衝液に浸漬させる場合は、上述した酸/アルカリに適宜対応した緩衝液を使用する。
この貫通処理により、図3(D)に示されるアルミニウム基板12およびバリア層18dがなくなった状態の構造物、即ち、図4(A)に示される、マイクロポア16dが貫通された絶縁性基材20が得られる。なお、図4(A)では、絶縁性基材のうち、(C)処理により、貫通させたマイクロポア16dを有する部分のみを示している。以下、図4(B)〜(D)についても同様。
(D)(C)処理で貫通させたマイクロポア内に酸化皮膜以外の物質を充填させる処理
(D)処理では、上記(C)処理で貫通させたマイクロポア内、すなわち、マイクロポア貫通孔内に、酸化皮膜以外の物質を充填させる。本発明の微細構造体を異方導電性部材として用いる場合、マイクロポア貫通孔内に導電性部材である金属を充填する。ここで、充填する導電性部材は、異方導電性部材の導通路を構成するものであり、本発明の微細構造体において説明したものと同様である。
本発明の製造方法においては、金属の充填方法として、電解メッキ法または無電解メッキ法を用いることができる。
ここで、着色などに用いられる従来公知の電解メッキ法では、選択的にマイクロポア貫通孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行ってもメッキが成長しないためと考えられる。
そのため、本発明の製造方法においては、電解メッキ法により金属を充填する場合は、パルス電解または定電位電解の際に休止時間を設ける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30〜60秒あるの好ましい。
また、電解液の攪拌を促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行うことが好ましい。なお、定電位電解を行う際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS社、北斗電工社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
メッキ液は、従来公知のメッキ液を用いることができる。
具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1〜300g/Lであるのが好ましく、100〜200g/Lであるのがより好ましい。また、電解液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10〜20g/Lであるのが好ましい。
また、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でメッキを行うのが望ましい。
なお、無電解メッキ法では、アスペクトの高いマイクロポア貫通孔中に金属を完全に充填には長時間を要するので、本発明の製造方法においては、電解メッキ法により金属を充填するのが望ましい。
この金属充填処理により、図4(B)に示される、マイクロポア貫通孔に金属が充填させてなる導通路5を有する微細構造体21が得られる。
(E)表面平滑化処理
(E)処理では、上記(D)処理の後に、化学機械研磨処理によって酸化皮膜の表面および裏面を平滑化する表面平滑処理を行う。
化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことにより、マイクロポア貫通孔内に酸化皮膜以外の物質を充填させた後の表面および裏面の平滑化と表面に付着した余分な充填物質を除去することができる。なお、好ましくは、この処理により、上記(C)処理では貫通させなかったマイクロポアの酸化皮膜の底部を除去し、上記(D)処理で酸化皮膜以外の物質を充填させなかったマイクロポアを貫通させて、酸化皮膜以外の物質で充填されていないマイクロポア貫通孔を形成する。
CMP処理には、フジミインコーポレイテッド社製のPNANERLITE−7000、日立化成社製のGPX HSC800、旭硝子(セイミケミカル)社製のCL−1000等のCMPスラリーを用いることができる。
なお、陽極酸化皮膜を研磨したくないので、層間絶縁膜やバリアメタル用のスラリーを用いるのは好ましくない。
表面平滑処理として、CMP処理以外にイオンミリング処理や電解研磨処理を行ってもよい。
[トリミング処理]
微細構造体を異方導電性部材として用いる場合、上記(E)処理の後に、トリミング処理を行うことが好ましい。
上記トリミング処理は、上記(E)処理の後に、微細構造体表面の絶縁性基材のみを一部除去し、マイクロポア貫通孔に充填された金属を絶縁性基板表面から突出させて、導通路5を突出させる工程である。
ここで、トリミング処理は、導通路を構成する金属を溶解しない条件であれば、上述した酸化皮膜溶解処理(e)と同様の処理条件で施すことができる。特に、溶解速度を管理しやすいリン酸を用いるのが好ましい。
このトリミング工程により、図4(C)に示される、絶縁性基板表面から導通路5が突出した微細構造体21が得られる。
本発明の製造方法においては、上記トリミング処理に代えて、図4(B)に示される導通路5の表面にのみ、更に同一のまたは異なる導電性金属を析出させる電着処理を施してもよい(図4(D))。
[保護膜形成処理]
本発明の製造方法においては、アルミナで形成された絶縁性基材が、空気中の水分との水和により、経時により孔径が変化してしまうことから、上記(D)処理の前に、保護膜形成処理を施すことが好ましい。
保護膜としては、Zr元素および/またはSi元素を含有する無機保護膜、あるいは、水不溶性ポリマーを含有する有機保護膜が挙げられる。
Zr元素を有する保護膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、ジルコニウム化合物が溶解している水溶液に直接浸せきして処理する方法が一般的である。また、保護膜の強固性と安定性の観点から、リン化合物をあわせて溶解させた水溶液を用いることが好ましい。
ここで、ジルコニウム化合物としては、具体的には、例えば、ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カルシウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド等が挙げられ、中でも、フッ化ジルコン酸ナトリウムが好ましい。
また、水溶液におけるジルコニウム化合物の濃度としては、保護膜厚の均一性の観点から、0.01〜10wt%が好ましく、0.05〜5wt%がより好ましい。
リン化合物としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられ、中でも、リン酸水素ナトリウムが好ましい。
また、水溶液におけるジルコニウム化合物の濃度としては、保護膜厚の均一性の観点から、0.1〜20wt%が好ましく、0.5〜10wt%がより好ましい。
また、処理温度としては、0〜120℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。
一方、Si元素を有する保護膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩が溶解している水溶液に直接浸せきして処理する方法が一般的である。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す。)と濃度によって保護膜厚の調節が可能である。
ここで、Mとしては、特にナトリウム、カリウムが好適に用いられる。
また、モル比は、〔SiO2〕/〔M2O〕が0.1〜5.0が好ましく、0.5〜3.0がより好ましい。
更に、SiO2の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
有機保護膜としては、水不溶性ポリマーが溶解している有機溶剤に、直接浸せきしたのち、加熱処理により溶剤のみを揮発させる方法が好ましい。
水不溶性ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリサルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、セロハン等が挙げられる。
また、有機溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等が挙げられる。
濃度としては、0.1〜50wt%が好ましく、1〜30wt%がより好ましい。
また、溶剤揮発時の加熱温度としては、30〜300℃が好ましく、50〜200℃がより好ましい。
保護膜形成処理後において、保護膜を含めた陽極酸化皮膜の膜厚は、0.1〜1000μmであるのが好ましく、1〜500μmであるのが更に好ましい。
本発明の製造方法においては、得られる微細構造体の用途に応じて、加熱処理を施すことにより、硬度および耐ヒートサイクル性を制御することができる。
例えば、100℃以上で加熱することが好ましく、200℃以上がより好ましく、400℃以上が特に好ましい。また加熱時間としては、10秒〜24時間が好ましく、1分〜12時間がより好ましく、30分〜8時間が特に好ましい。このような加熱処理により高度が向上し、半導体製造工程等における加熱および冷却のヒートサイクル時においても伸縮が抑制される。
(実施例1)
(A)鏡面仕上げ処理(電解研磨処理)
高純度アルミニウム基板(住友軽金属社製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm)を10cm四方の面積で陽極酸化処理できるようカットし、以下組成の電解研磨液を用い、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
(B)陽極酸化処理(自己規則化法I)
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム基板に、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で、5時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム基板を、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液(液温:50℃)に12時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で、1時間の再陽極酸化処理を施した。
なお、プレ陽極酸化処理および再陽極酸化処理は、いずれも陰極はステンレス電極とし、電源はGP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS−100(EYELA社製)を用いた。更に、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
(C)アルミニウム除去処理
次いで、20質量%塩化水銀水溶液(昇汞)に20℃、3時間浸漬させることによりアルミニウム基板を溶解した。
(D)加熱処理
次いで、上記で得られた構造体に、温度400℃で1時間の加熱処理を施した。
(E)感光層塗設処理
次いで、上記で得られた構造体の、アルミニウムを除去した面に、下記組成の感光層用塗布液Aを、ワイヤーバーで塗布したのち、140℃の乾燥オーブンで50秒間乾燥して塗布量を0.85g/m2とした。
(感光層用塗布液A)
・ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化物(米国特許第3635709号明細書の実施例1に記載されているもの) 0.45g
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/メタクリル酸メチル
(モル比34:66、重量平均分子量51,000) 1.10g
・2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
0.02g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学(株)製) 0.01g
・メガファックF−177(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)
0.006g
・プルロニックF−108(旭電化(株)製ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー) 0.02g
・メチルエチルケトン 10g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10g
(F)パターン画像形成及び酸化皮膜の底部除去処理
次いで、上記で得られた構造体にパターン画像を形成するため、10μmφの格子画のポジ透明原画を密着させ、30アンペアのカーボンアーク灯で70cmの距離から露光を行った。その後、0.1MのKOHを用いて25℃で20分現像し、非画像部の感光層除去及び、除去部に現れた陽極酸化皮膜の底部を除去しパターン状にマイクロポア貫通孔を有する陽極酸化皮膜からなる構造体を作製した。表面SEM像の結果を図5に示す。
(G)金属充填処理
次いで、上記加熱処理後の構造体のパターン形成側に、金蒸着により、金電極を密着させ、該金電極を陰極にし、銅を正極にして電解メッキを行った。
硫酸銅=200/50/15(g/L)の混合溶液を25℃に保った状態で電解液として使用し、定電圧パルス電解を実施することにより、マイクロポア貫通孔に銅が充填された微細構造体を製造した。
ここで、定電圧パルス電解は、山本鍍金社製のメッキ装置を用い、北斗電工社製の電源(HZ−3000)を用い、メッキ液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後、皮膜側の電位を−2Vに設定して行った。また、定電圧パルス電解のパルス波形は矩形波であった。具体的には、電解の総処理時間が300秒になるように、1回の電解時間が60秒の電解処理を、各電解処理の間に40秒の休止時間を設けて5回施した。
銅を充填した後の表面をFE−SEMで観察すると、陽極酸化皮膜の表面から一部あふれるような形になっていた。
(H)表面平滑化処理
次いで、銅が充填された構造体の表面および裏面に、CMP処理を施した。
CMPスラリーとしては、フジミインコーポレイテッド社製のPNANERLITE−7000を用いた。
(I)トリミング処理
次いで、CMP処理後の構造体をリン酸溶液に浸漬し、陽極酸化皮膜を選択的に溶解することで、導通路である銅の円柱を突出させた。
リン酸溶液は、上記貫通化処理と同じ液を使い、処理時間を5分とした。
次いで、水洗し、乾燥した後に、FE−SEMで観察した。
その結果、先述した10μmφエリア内の孔内のみに銅が充填されており、導通路の突出部の高さ(バンプ高さ)が10nmであり、電極部サイズである導通路の直径が40nmであり、部材の厚みが50μmであることを確認した。
(実施例2)
(A)〜(H)までの各処理を実施例1と同様に行った後、更に、絶縁性基材(陽極酸化皮膜)表面から突出した銅を金で被覆する処理を行った。
具体的には、実施例1で得られたトリミング処理後の微細構造体を、金の無電解メッキ液(メルプレートAU−601、メルテックス社製)に70℃で10秒間浸漬させることにより、メッキを施した。
実施例1と同様にFE−SEMで観察すると、突出部分は丸みを帯びており、バンプ高さは20nm程度に増加していた。また、電極部サイズである導通路の直径が40nmであり、部材の厚みが50μmであることを確認した。
(実施例3)
上記(B)陽極酸化処理工程(自己規則化法I)におけるプレ陽極酸化および再陽極酸化処理を0.50mol/Lシュウ酸の電解液、電圧40V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件に変え、上記(G)トリミング処理の処理時間を10分とした以外は、実施例1と同じ条件で処理を行い、微細構造体を製造した。
実施例1と同様にFE−SEMで観察すると、バンプ高さは40nmであり、電極部サイズである導通路の直径が120nmであり、部材の厚みが50μmであることを確認した。
1 微細構造体
2 絶縁性基材
2a,2b:絶縁性基材の表面
3,4 マイクロポア貫通孔
5 導通路
6a,6b 突出部
7 絶縁性基材の厚み
8 導通路間の幅
9 導通路の直径
10 導通路の中心間距離(ピッチ)
12 アルミニウム基板
14a、14b、14c、14d 陽極酸化皮膜
16a、16b、16c、16d マイクロポア
18a、18b、18c、18d バリア層
20 絶縁性基材
21 微細構造体
101、102、104、105、107、108 マイクロポア
103、106、109 円

Claims (6)

  1. 1000万個/mm2以上の密度でマイクロポア貫通孔を有する基材からなり、一部の前記マイクロポア貫通孔が、前記基材の材料以外の物質で充填されている、微細構造体の製造方法であって、
    前記基材がアルミナであり、
    アルミニウム基板に、少なくとも、
    (A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、
    (B)前記(A)処理で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、
    (C)前記(B)処理でアルミニウムが除去された酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させる処理、
    (D)前記(C)処理で貫通させたマイクロポア内に、前記酸化皮膜以外の物質を充填させる処理、
    (E)前記(D)処理後の酸化皮膜の表面および裏面を、化学機械研磨処理によって平滑化する表面平滑化処理、
    をこの順に施すことを特徴とする、微細構造体の製造方法。
  2. 前記(C)処理において、酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させるため、
    少なくとも、
    (C´)アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、酸またはアルカリに不溶又は難溶なパターンを設けた後に、酸またはアルカリを用いて非パターン部の酸化皮膜を溶解することにより、該非パターン部の酸化皮膜に形成されたマイクロポアを貫通させる処理を施すことを特徴とする、請求項1に記載の微細構造体の製造方法。
  3. 前記(C´)処理において、少なくとも、
    (C´−1)前記アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、光により酸またはアルカリに対する溶解性の変化する感光層を設け、該感光層に光線を照射した後、酸またはアルカリを用いて該感光層を溶解することにより、前記アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、酸またはアルカリに不溶又は難溶なパターンを設けることを特徴とする、請求項2に記載の微細構造体の製造方法。
  4. 前記(C´)処理において、少なくとも、
    (C´−2)前記アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、熱により酸またはアルカリに対する溶解性の変化する感熱層を設け、前記感熱層を加熱処理した後、酸またはアルカリを用いて該感熱層を溶解することにより、前記アルミニウムが除去された酸化皮膜の面に、酸またはアルカリに不溶又は難溶なパターンを設けることを特徴とする、請求項2に記載の微細構造体の製造方法。
  5. 前記(D)処理において、前記(C)処理で貫通させたマイクロポア内に充填させる酸化皮膜以外の物質が、導電性部材であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の微細構造体の製造方法。
  6. 前記(D)処理において、前記(C)処理で貫通させたマイクロポア内に、電解メッキにより、導電性部材を充填させることを特徴とする、請求項5に記載の微細構造体の製造方法。
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