JP2013166362A - 帯電防止積層セロハンの製造方法 - Google Patents

帯電防止積層セロハンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セロハンの帯電防止性能を最大限活かしつつ、厚さを増すことを可能とし、しかも生分解性能を高めた帯電防止積層セロハンを得るための製造方法を提供する。
【解決手段】複数枚のセロハンフィルム11,11を含水して水膨潤セロハン紙11s,11sとし、水膨潤セロハン紙同士の間にカルボキシメチルセルロースあるいは超音波を照射することにより分解したデンプンからなる水溶性接着剤15を塗布して貼り合わせて積層し、その後乾燥した帯電防止積層セロハン10とする。
【選択図】図2

Description

本発明は帯電防止積層セロハンの製造方法に関し、特に、セロハン同士を積層化して強度を高めた積層セロハンの製造方法に関する。
再生セルロースフィルムは一般にセロハン、セロハンフィルム等と称され、各種物品の包装資材として利用されている。しかし、現状のセロハンは製造工程においてセルロースへの転化を含むため、膜厚を厚くすることはできない。通常、セロハンの厚さは10μmないし50μmである。セロハンは、透明性、帯電防止性、引き裂き性に優れ、適度な剛性、さらには生分解性を備える点で優れているものの、膜厚の制約により限定的な使用に留まり、必ずしもセロハンの特性を活かしてはいなかった。
現状、加工、成形等の容易さから帯電防止性のフィルムの主流は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムである。このような合成樹脂フィルムにおいて、帯電防止性能を付与するためには、アミン化合物等の帯電防止剤を樹脂に添加(練り込み)する手法やフィルム表面に塗工する手法が一般的である。
しかし、帯電防止剤を樹脂に添加する手法では湿度依存性が高くブリードアウトしやすく、経時変化により帯電防止性能が低下する問題がある。また、高濃度の添加に伴い透明性低下等の外観不良を引き起こす場合がある。帯電防止剤をフィルム表面に塗工する手法では、乾燥や転写の不良、表面汚染等の課題を内包している。このようなことから、合成樹脂フィルムであっても、帯電防止性能の付与は容易ではない。
帯電防止性能はフィルム同士の貼り付きを防ぐとともに、ほこりの付着を防ぐ等の点から必要性の高い性能である。このため、セロハンの利便性は依然として高い。例えば、小物品等を収容する箱等の包装容器を想定した場合、透明な容器は中の商品が把握容易であり、美麗な印象を与える。
そこで、セロハンに厚みを持たせるため、セロハンと、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムを接着剤により貼り合わせたセロハンの複合積層体が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の複合積層体によると、セロハンのみとするよりもシート状に厚みが増し、かつ、透明感と折り目等の形状維持性も備える。そのことから、複合積層体加工容易であり包装資材として都合よい。
セロハンは生分解性に優れてはいるものの、このセロハンに貼り合わされる合成樹脂フィルムは生分解性能を有さない種類が多い。また、貼り合わせに用いる接着剤も同様に生分解性能を有さない種類が用いられている。しかしながら、近年の環境意識の高まりから、商品の包装に関しても環境負荷軽減の要請が高まっている。
特開2003−19771号公報
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、セロハンの帯電防止性能を最大限活かしつつ、厚さを増すことを可能とし、しかも生分解性能を高めた帯電防止積層セロハンを得るための製造方法を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、複数枚のセロハンフィルムを含水して水膨潤セロハン紙とし、前記水膨潤セロハン紙同士の間に水溶性接着剤を塗布して貼り合わせて積層し、その後乾燥することを特徴とする帯電防止積層セロハンの製造方法に係る。
請求項2の発明は、前記水膨潤セロハン紙同士が、複数回にわたり貼り合わされる請求項1に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法に係る。
請求項3の発明は、前記セロハンフィルムの含水に際し、該セロハンフィルム中の柔軟剤が除去される請求項1または2に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法に係る。
請求項4の発明は、前記水膨潤セロハン紙がグリセリンに浸漬される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法に係る。
請求項5の発明は、前記水溶性接着剤がカルボキシメチルセルロースである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法に係る。
請求項6の発明は、前記水溶性接着剤が、超音波を照射することにより分解したデンプンである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法に係る。
請求項1の発明に係る帯電防止積層セロハンの製造方法によると、複数枚のセロハンフィルムを含水して水膨潤セロハン紙とし、前記水膨潤セロハン紙同士の間に水溶性接着剤を塗布して貼り合わせて積層し、その後乾燥するため、セロハンの帯電防止性能を最大限活かしつつ、厚さを増すことを可能とし、しかも生分解性能を高めた帯電防止積層セロハンを得ることができた。
請求項2の発明に係る帯電防止積層セロハンの製造方法によると、請求項1の発明において、前記水膨潤セロハン紙同士が、複数回にわたり貼り合わされるため、簡単により多くの積層は可能となる。そして積層枚数に比例して帯電防止積層セロハンの厚さは増すことができる。
請求項3の発明に係る帯電防止積層セロハンの製造方法によると、請求項1または2の発明において、前記セロハンフィルムの含水に際し、該セロハンフィルム中の柔軟剤が除去されるため、仕上がりを硬めにすることもできる。
請求項4の発明に係る帯電防止積層セロハンの製造方法によると、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記水膨潤セロハン紙がグリセリンに浸漬されるため、できあがる帯電防止積層セロハンの仕上がりを柔軟にすることができる。また、いずれも生分解性の材料に揃えることができる。
請求項5の発明に係る帯電防止積層セロハンの製造方法によると、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記水溶性接着剤がカルボキシメチルセルロースであるため、水膨潤セロハン紙同士の貼り合わせに際し高い接着性能を得ることができる。
請求項6の発明に係る帯電防止積層セロハンの製造方法によると、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記水溶性接着剤が、超音波を照射することにより分解したデンプンであるため、水膨潤セロハン紙同士の貼り合わせに際し比較的高い接着性能を得ることができる。
本発明の製造方法により得た帯電防止積層セロハンの断面模式図である。 本発明の製造方法の概略工程図である。 帯電防止積層セロハンを用いた物品の斜視図である。 帯電防止積層セロハンを加工した箱の全体写真である。
帯電防止積層セロハンを構成するセロハンは、通常、綿花、パルプ、古紙等から得た繊維質(セルロース)をアルカリ下、二硫化炭素との反応によりビスコースに調製される。そして、スラリー状となったビスコースは、硫酸、硫酸ナトリウムを含む凝固浴中にホッパー等により製膜されながら放出される。ここで、ビスコースはセルロースに転化される。こうして再生セルロース(セロハン)が生成する。その後、セロハンは、水洗、脱硫、漂白、柔軟仕上げ、乾燥等が行われて完成する。一連の過程から把握されるように、天然セルロースが原料であるため、生分解性能に優れる。
本発明の製造方法により得ることができる帯電防止積層セロハンについて、図1の断面模式図を基に構造から説明する。図1(a)の帯電防止積層セロハン10は、セロハンフィルム11を2枚重ねて水溶性接着剤により貼り合わせてできた積層シート状物である。セロハンフィルム11同士の貼着面12に水溶性接着剤が塗布される。図1(b)の帯電防止積層セロハン10xはセロハンフィルム11を4枚、図1(c)の帯電防止積層セロハン10yはセロハンフィルム11を6枚重ね、それぞれの貼着面12に水溶性接着剤を塗布し貼り合わせてできたシート状物である。このように、いずれにおいても構造材料はセロハンフィルムのみである。従って、目的、用途に合わせてセロハンフィルムの積層枚数を増すことができ、厚さの調整は容易である。むろん、図示の積層枚数は例示であり、図示以上の枚数の積層も可能である。
続いて、図2の概略工程図を用い本発明に規定する帯電防止積層セロハンの製造方法を説明する。はじめに、構造材料となるセロハンフィルムが用意される(図2(a))。このセロハンフィルム11は水浴等への浸漬により含水し、水膨潤セロハン紙11sとなる(図2(b),(c))。本製法の特徴として、いったん乾燥したセロハンを水膨潤して軟化したことである。セロハンが水膨潤することにより、後述する水溶性接着剤との親和性が高まる。同時に、個々のセロハンフィルム同士も接合しやすくなる。
構造材料となるセロハンフィルムには、製造条件や仕様に応じて必要によりトリエチレングリコール等の柔軟剤が添加される。そのため、生分解性材料のみの組成に限定するならば、柔軟剤の除去が必要となる。このことから、請求項3に規定するように、セロハンフィルムの浸漬により含水を通じて、当該セロハンフィルム中の柔軟剤が除去される。また、柔軟剤を除去することにより幾分硬めの仕上がりとすることもできる。
あるいは、構造材料となるセロハンフィルム自体、柔軟剤の添加なく製造される場合もある。この仕様のセロハンフィルムは全般的に硬く、紙の感触に近い。このため、できあがる積層体の柔軟性を高めたいこともある。そこで、請求項4に規定するように、セロハンフィルムの浸漬による含水後、グリセリンの入った浴中に水膨潤セロハン紙が浸漬される。グリセリンは生分解性材料であり、セロハンの柔軟剤として確立されている。
また、双方の特性から、いったん柔軟剤を除去して水膨潤セロハン紙として、さらにグリセリン浴に浸漬する組み合わせも可能である。これらの処理は、使用するセロハンフィルムの仕様、膜厚、製品用途等を考慮して適宜組み合わされる。
次に、水膨潤セロハン紙11s同士の間に水溶性接着剤15が塗布され(図2(d))、互いの水膨潤セロハン紙11sは貼着面12を介して貼り合わされる(図2(e))。水溶性接着剤15とは、水や湯に可溶な成分からなり生分解性能の高い接着剤であり、比較的広汎な種類が用いられる。水膨潤セロハン紙11sへ水溶性接着剤15を塗布する際には、スプレー塗布、バーコーターやドクターナイフ等の公知の手法、道具が用いられる。
具体的には、アラビアゴム、請求項5の発明に規定するカルボキシメチルセルロースである。さらには、請求項6の発明に規定した超音波を照射することにより分解したデンプン等である。これらの水溶性接着剤を採用する根拠は実施例の結果に由来する。
アラビアゴムは紙用の接着剤として多用されている。特にセロハンフィルムはセルロースが主成分であるため、紙と近似した性状と考えられるためである。カルボキシメチルセルロース(カルボキシメチルセルロースナトリウム)は賦形剤や造粒剤、各種添加剤等として知られており、粘着性能を比較的容易に得ることができる。
前記の超音波を照射することにより分解したデンプンとは、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、馬鈴薯デンプン等のデンプンを温水に溶解後に超音波を照射して、当初のデンプンに含まれる糖鎖の複合体を適度に小分子量化したデンプンである。すなわち、酵素や他の化学物質を用いることのなく物理的に処理されたデンプンである。例えば、特許第4288381号、特許第4663409号等に開示の手法で得ることができる。
水膨潤セロハン紙11sは、間に気泡が生じないように貼着面12を介して貼り合わされ、同時に押圧により完全に密着される。そして、一体化した水膨潤セロハン紙同士は、接着状態のまま乾燥により当初のセロハンフィルム11に戻る(図2(f))。こうして帯電防止積層セロハン10は完成する。
図2では2枚貼り合わせの例である。従って、当初から3枚もしくはそれ以上の水膨潤セロハン紙を水溶性接着剤により貼り合わせて積層することができる。あるいは、請求項2の発明に規定するように、いったん、2枚重ねの水膨潤セロハン紙とし、これらの水膨潤セロハン紙同士を複数回にわたり貼り合わせることにより、簡単により多くの積層は可能となる。積層枚数に比例して帯電防止積層セロハンの厚さは増す。後記の実施例において、厚さは概ね50μmないし200μmである。当該厚さとなれば、既存の合成樹脂フィルム(シート)と厚さにおいて遜色ない。また、裁断や貼り合わせ等の加工においても既存の合成樹脂フィルムと同様に扱うことができる。従って、セロハンに起因する透明感、帯電防止性能、さらには生分解性能に力点を置いた製品展開も可能となる。
本発明の帯電防止積層セロハンを製造するに際し、後記の実施例のとおりシート体の貼り合わせとすることに加え、連続生産による大規模化も可能である。例えば、製造されたセロハンフィルムの原反から引き出されたセロハンフィルムが水浴内に浸漬され、同水浴内で吸水、膨潤して水膨潤セロハン紙となる。この段階でグリセリン等の柔軟剤浴を介在させても良い。そして、連続供給される水膨潤セロハン紙表面の余分な水分、柔軟剤はスクレーパーにより削ぎ落とされる。ここで、水膨潤セロハン紙の表面に接着剤がコーター等によりコートされ、他から供給される水膨潤セロハン紙が積層される。こうして、連続的に積層が進む。
その後、積層済みの水膨潤セロハン紙が適宜の線圧に設定されたニップロール等のローラー間に通され互いの密着は進む。密着後には乾燥機内に搬送され内部の水分の乾燥が進み、最終的には巻き取り機により積層セロハンの原反となる。
3枚以上の水膨潤セロハン紙を積層する場合には、同時に3層分を重ねてもよく、あるいは、先に2層積層とし、これに新たに水膨潤セロハン紙を積層しても良い。なお、積層枚数によっては、巻き取り自体が困難になる。このときは、乾燥前もしくは乾燥後に適宜の長さに裁断され、シート状の製品として完成する。
図3の斜視図は、本発明の製造方法によりできあがった帯電防止積層セロハン(シート状物)を加工して組み立てた箱50である。この箱50は加工品の一例である。箱50の内部には内容物Cが収容される。内容物Cは特段限定されることはなく、食品、医薬品、化粧品、生活雑貨、文房具、衣類品、電子機器等の多岐にわたる。帯電防止積層セロハンから、図示の直方体を形成する展開図が切り取られる。そして、生分解性の接着剤等が糊代52に塗布され、側壁部51と貼着される。図中の符号53は上蓋、54は下蓋である。帯電防止積層セロハンは概ね透明であることから、箱50に収容された内容物Cの視認は容易である。従って、内容物C自体の外観を訴求する上で好適である。
[作成、測定条件]
下記の作成時並びに測定は、JIS Z 8703(1983)における標準温度状態2級(温度20±2℃)、標準湿度状態5級(65±5%)の条件下で行った。
[厚さの測定]
上記の標準温度状態2級、標準湿度状態5級の条件下8時間以上調湿後、シチズン時計株式会社製:MEI−10 JIS式紙厚測定機により、各試料を10枚重ねた厚さ測定し、1枚当たりの厚さを算出した。
[坪量の測定]
上記の標準温度状態2級、標準湿度状態5級の条件下8時間以上調湿後、各試料をそれぞれ0.1m2の大きさに裁断し、重量を株式会社島津製作所製:電子分析天秤AUX−220により測定して1m2当たりの重量を坪量として算出した。
[接着強度並びに引張強度の測定]
接着強度、引張強度ともに、上記の標準温度状態2級、標準湿度状態5級の条件下8時間以上調湿後、株式会社オリエンテック製:テンシロン万能試験機RTG−1210を用い、JIS Z 1521(1995)に基づき、幅15mm×長さ200mmの試験片に裁断し、測定を行った。接着強度は、引張速度10mm/分として測定した。引張強度は、引張速度300mm/分として測定した。
[ヘーズの測定]
JIS K 7105(1981)に準拠し、日本電色工業株式会社製 ヘーズメーター NDH−500を用いて測定した。
[帯電圧の測定]
各試作例について40mm×70mmの試験片に裁断した。そして、23℃、相対湿度50%(RH%)に調整した恒温室において、各試験片をシシド静電気株式会社製 WIN STAT BF−2ZA AIR IONIZERの風に当てて除電を行った後、シシド静電気株式会社製 スタティックオネストメーター H−0110 を用いて帯電圧を測定した。併せて、半減期、減衰率も測定した。測定後、帯電圧、半減期、減衰率を同寸法に裁断したプラスチックフィルムの場合と比較した。
[水溶性接着剤の選択]
生分解性能を備えた接着剤を選択した。これとともに、セロハンフィルムを含水して水膨潤セロハン紙とし、当該水膨潤セロハン紙同士の積層に供した。接着剤は下記の5種類である。
[水溶性接着剤の種類]
接着剤1:カルボキシメチルセルロースナトリウム(キシダ化学株式会社製,製品コード020−14515)
接着剤2:超音波加工デンプン(フタムラ化学株式会社製,エフスマッシュ(登録商標);ゲル化したデンプンに超音波を照射して低分子量化したデンプンである。)
接着剤3:アラビアゴム(キシダ化学株式会社製,製品コード020−05475)
接着剤4:カゼイン(キシダ化学株式会社製,製品コード020−14675)
接着剤5:膠(ホルベイン工業株式会社製,PG509)
[接着剤の調製]
接着剤の調製に際し、前出の接着剤1ないし5について、濃度を1%、5%、10%として、常温のイオン交換水に溶解、攪拌し、5分間ホモジナイザーにかけて均一に分散した。以降の濃度の記載は、重量パーセント濃度を意味する。
このとき、3種類のいずれの濃度とも、接着剤1(カルボキシメチルセルロースナトリウム),2(超音波加工デンプン),3(アラビアゴム)は水溶化した。これに対し、接着剤4(カゼイン),5(膠)はいずれの濃度とも水に不要であった。従って、接着剤1(カルボキシメチルセルロースナトリウム),2(超音波加工デンプン),3(アラビアゴム)が水溶性接着剤として適する。
[セロハンフィルムの積層]
平滑なセロハンフィルム(フタムラ化学株式会社製,PUT#500,厚さ35μm)をA4サイズ(縦29.7cm×横21cm)に裁断した。当該セロハンフィルムを常温のイオン交換水の水浴に24時間浸漬して水膨潤セロハン紙とした。水膨潤セロハン紙を水浴から取り出し、同水膨潤セロハン紙をニップロール内に挟み表面に残存している水を除去した。
水溶性接着剤として適する接着剤1,2,3について、それぞれを5%の濃度(重量%)に調製し、水膨潤セロハン紙の片面側にバーコーターNo.32を用いて均一に塗布した。接着剤を塗布した面に、水を除去した他の水膨潤セロハン紙を重ねて積層した。当該2枚積層体をニップロール内に挟み均等に押圧して互いを密着させた。
押圧済みの2枚積層体を平滑な板状物表面に載置し、その表面を固定した。そして、20℃、相対湿度RH65%の条件下で24時間以上乾燥した。接着剤1(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を用いた積層体を試作例1とし、接着剤2(加工デンプン)を用いた積層体を試作例2、接着剤3(アラビアゴム)を用いた積層体を試作例3とした。
[接着の結果]
接着剤ごとの接着強度を測定した結果、接着剤1(カルボキシメチルセルロースナトリウム)は1.66N/15mm幅であった。接着剤2(加工デンプン)は0.637N/15mm幅であった。従って、セロハンフィルムの積層化に際し、接着剤1(カルボキシメチルセルロースナトリウム)が最も強力である。接着剤2(加工デンプン)は市販のデンプン糊に相当する材料であり、接着効果を発揮した。
[積層枚数と物性の評価]
最も接着効果が高かった接着剤1(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を5%の濃度(重量%)に調製し、以降の接着剤とした。前出のセロハンフィルム(フタムラ化学株式会社製,PUT#500,厚さ35μm)を用い、同様の手法により2枚積層、4枚積層、6枚積層とする積層体を試作した。積層枚数の順に試作例101,102,103とした。試作例101,102,103は柔軟剤を除去しており柔軟剤不使用品となる。
これに加え、前出のセロハンフィルムを常温のイオン交換水の水浴に24時間浸漬して水膨潤セロハン紙とした後、柔軟剤としてのグリセリンを溶解した柔軟剤浴(濃度6.5%(体積%))に水膨潤セロハン紙を2時間浸漬した。その後、柔軟剤浴から取り出し、同水膨潤セロハン紙をニップロール内に挟み表面に残存している水を除去した。その後の水膨潤セロハン紙同士の積層は前記同様である。なお、4枚、6枚の水膨潤セロハン紙は、1枚ずつ積層した。積層枚数の順に試作例201,202,203とした。試作例201,202,203は柔軟剤を添加しており柔軟剤使用品となる。
試作例101,102,103と試作例201,202,203について、乾燥後に坪量(g/m2)、厚さ(μm)、縦方向の引張強度(N/15mm幅)、縦方向の引張伸度(%)、ヘーズ(%)を測定した。ここで、縦方向とは、原材料のセロハンフィルムを伸長する製膜方向(原反の巻き取り方向)である。引張伸度(%)とは、「(引張後長さ)÷(当初の長さ)×100」として求めた。結果を表1に記す。
Figure 2013166362
表1の結果によると、引張強度以外の指標は、積層枚数の増加に伴って比例して増加している。従って、セロハンフィルムの積層枚数の増減により、所望の帯電防止積層セロハン(シート状物)の作り分けが可能である。なお、積層枚数を増やしてもヘーズ値も比較的低く抑えられているため、通常の透明合成樹脂シートと同様の透明度である。従って、透明な美麗さが求められる用途に好適である。また、製造段階における柔軟剤使用の影響は、引張伸度についてのみ生じた。できあがったシート状物の手触りを確かめると、柔軟剤不使用品は硬めの感触であり、柔軟剤使用品はそれよりも柔らかめの感触であった。このことから、シート状物の用途に応じて使い分けることができる。
[帯電防止性能の評価]
前出の試作例101ないし103、201ないし203として作成した帯電防止積層セロハン(シート状物)と、帯電防止ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム(フタムラ化学株式会社製,品番FE2301,厚さ25μm)、及び帯電防止ポリプロピレン(OPP)のフィルム(フタムラ化学株式会社製,品番BNT,厚さ30μm)について、帯電圧(kV)、半減期(sec)、減衰率(%)を測定した。これらの結果は、表2である。
Figure 2013166362
試作例の帯電防止積層セロハンは、厚さや柔軟剤有無にもかかわらず、いずれも他の樹脂フィルムと比較して低い帯電圧であった。また、半減期が存在せず、完全に減衰している。このことから、非常に帯電し難く、またすぐに放電する性質である。このような性能は、既存の帯電防止剤等により帯電防止性能を高めた合成樹脂のフィルムやシートからは得ることのできない極めて特有な性質である。セロハンの構成材料であるセルロースは糖鎖であることから分子中に酸素、水素原子を比較的多く含み全体的に極性に富むと考えられる。そこで、導電性能が他の合成樹脂のフィルムよりも向上したといえる。
[物品の作成]
発明者らは、一連の経緯から帯電防止積層セロハンの有用性を確信した。そこで、帯電防止積層セロハンを用いた物品を実際に作成した。このとき使用した帯電防止積層セロハンは柔軟剤不使用の仕上げである。前出と同様の平滑なセロハンフィルム(フタムラ化学株式会社製,PUT#500,厚さ35μm)であり、5%濃度に調整した接着剤1(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を用い、水膨潤セロハン紙を5枚積層とした。作成条件等は前記の試作例の場合と同様である。
そして、5枚積層の帯電防止積層セロハンから上下に蓋を備える小箱を作成するため、はさみ、カッターナイフを用いて立方体の展開図形を糊代とともに切り出した。続いて、市販の紙用接着剤を糊代に塗布して帯電防止積層セロハン同士を接着した。その後、上下の蓋を折り曲げて綴じ込み、立方体状の小箱とした。図4はその全体写真である。同小箱は、縦4.5cm、横4.5cm、高さ4.5cmである。
本発明の帯電防止積層セロハンの製造方法は、従前のセロハンフィルムの製造において得ることができなかった肉厚のセロハンを製造することができる。そして、セロハンは生分解性能とともに特有な高い帯電防止性能も併せ持つ。このため、既存の合成樹脂フィルムの代替に留まらず、静電気防止が求められる物品の包装資材用途としても有望である。
10,10x,10y 帯電防止積層セロハン
11 セロハンフィルム
11s 水膨潤セロハン紙
12 貼着面
15 水溶性接着剤
50 箱
51 側壁部
52 糊代
53 上蓋
54 下蓋
C 内容物

Claims (6)

  1. 複数枚のセロハンフィルムを含水して水膨潤セロハン紙とし、前記水膨潤セロハン紙同士の間に水溶性接着剤を塗布して貼り合わせて積層し、その後乾燥することを特徴とする帯電防止積層セロハンの製造方法。
  2. 前記水膨潤セロハン紙同士が、複数回にわたり貼り合わされる請求項1に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法。
  3. 前記セロハンフィルムの含水に際し、該セロハンフィルム中の柔軟剤が除去される請求項1または2に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法。
  4. 前記水膨潤セロハン紙がグリセリンに浸漬される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法。
  5. 前記水溶性接着剤がカルボキシメチルセルロースである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法。
  6. 前記水溶性接着剤が、超音波を照射することにより分解したデンプンである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の帯電防止積層セロハンの製造方法。
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